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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム

セッション 3D  車々間通信(ITS)
日時: 2007年7月4日(水) 16:50 - 18:30
部屋: 松〜梅
座長: 屋代 智之 (千葉工業大学)

3D-1 (時間: 16:50 - 17:15)
題名より現実的な車両挙動のモデル化と交通シミュレータへの組み込み
著者*中西 一宏, 藤木 健之, 梅津 高朗, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科), 北岡 広宣, 森 博子 (豊田中央研究所)
Pagepp. 530 - 539
Keyword車両挙動, 車車間通信システム, 交通シミュレータ, ITS

3D-2 (時間: 17:15 - 17:40)
題名車車間アドホックルーティングプロトコルGVGridの実装と評価
著者*濱田 淳司, 孫 為華, 山口 弘純, 楠本 真二 (大阪大学大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻)
Pagepp. 540 - 547
Keywordモバイルアドホックネットワーク, 車車間通信
Abstract近年,高度交通システムの普及を目指し,DSRCやVICSなどの狭域通信器が徐々に路側や店舗などに設置されつつある.しかし,固定インフラの完全な整備と展開には膨大なコストと年月が必要である.さらに整備維持コストの観点からは,技術の進歩や改新に対する機器の更新が容易でないといった問題点もある.そこで,固定インフラの通信範囲外の地域へ情報を配信するために配信範囲を拡大する補完的な役割や,極めて局所的な情報伝達の手段として,固定インフラを用いない車車間マルチホップ通信技術が注目されている.そのアプリケーションとして,事故情報や渋滞情報のリアルタイム配信や車両へのインターネットサービスの提供などが考えられる.しかし,これらのアプリケーションの実現にはリアルタイム性が求められるため,移動する車両間において出来る限りデータ遅延および損失の少ない安定した通信経路の構築が要求される. 車車間ルーティングプロトコルの1つに,私の所属する研究グループで提案しているGVGridがある.GVGridは,近距離無線基地局や事故現場に停車した緊急車両などの移動しない情報送信元から,交差点などの特定地点を含む領域に存在または通過する車両群への通信経路をオンデマンドに構築する.通信経路を構築する際に車両(以下ノードと呼ぶ)の移動に伴った通信経路の切断を軽減するために,道路に沿って移動するというノードの移動特性を考慮し,GPSなどの測位機器と電子地図を利用してなるべく道路に沿った経路を構築する.また,GVGridは,地理領域を正方形の領域(以下グリッドと呼ぶ)に分割し,初期経路の形状をその経路が通過するグリッド列として記憶する.初期経路は広範囲を探索した結果得られた良質の経路であると考えられるため,経路切断時には記憶したグリッド列上のみで再探索を行い初期経路に近い新たな通信経路を再構築することで,耐切断性の高い通信経路を維持しながらも再構築のためのメッセージ数を削減できるという特長を持っている. 本研究では,GVGridの主要機能である経路維持機能の実装を行い,また既存のMANET向けプロトコルであるAODVとの経路切断における経路修復機能の比較評価を行った.GVGridの経路修復機能の実装は,スウェーデンのUppsala Universityで開発されているAODVプロトコルの実装であるAODV-UUをもとに,その経路修復機能部分を追加修正することで実現している.評価実験では,無線LANを備えたノートPC10台程度の小規模テストベッドを構築し,実マップにおける車両の移動を想定して作成したシナリオに基づき,GVGridとAODVの経路上にICMPパケットを連続送出した上で,スループットの比較評価を行った.その結果,GVGridはより高いスループットを達成でき,かつプロトコルの制御パケット数が少ないことを確認した.

3D-3 (時間: 17:40 - 18:05)
題名IEEE802.11pを用いたセキュア車車間通信の一考察
著者*撫中 達司, 坂倉 隆史, 小野 良司, 山田 敬喜 (三菱電機情報技術総合研究所)
Pagepp. 548 - 552
KeywordITS, DSRC, IEEE802.11p, IEEE1609.2, 車車間通信
Abstract自動車向け無線通信の形態は路車間通信と車車間通信に大別できるが,現在のITSにおける安全・安心の実現を目標とした取組みの多くは,路車間通信を用いている.路車間通信には道路上の通信インフラ整備が必要となるが,これには一定のコストが見込まれ,また,全ての道路にインフラが整備されるとは限らない.インフラの整備状況に応じて,車車間通信による解決,たとえば渋滞中の車輌から直接,後方車輌に情報を配信するなどの方策が選択できることが望ましい.このような車車間通信による解決策の提供を目指して,各種の研究開発が進められている.本稿では,主に欧米で検討されている車車間通信規格IEEE 802.11pおよびIEEE 1609.2について述べるとともに,車車間通信において求められるセキュリティ要件を整理する.その上で,車車間通信を実現するための課題を整理し,その解決策につき考察する.