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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム

セッション 7C  QoS (QAI)
日時: 2007年7月6日(金) 8:30 - 10:40
部屋: 砂子〜磯笛
座長: 峰野 博史 (静岡大学)

7C-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名MANETのための中継端末協調による輻輳制御手法
著者*小嶋 明寿 (静岡大学大学院工学研究科), 石原 進 (静岡大学創造科学技術大学院インフォマティクス部門)
Pagepp. 1356 - 1363
KeywordMANET, 輻輳制御
AbstractMANET (Mobile Ad hoc NETworks) では無線通信経路上のビット誤りや端末の移動に伴うパケットロスなど輻輳以外の要因でパケットロスが発生する可能性が高い.TCPはこれらのパケットロスを輻輳と判断し,輻輳ウィンドウを減少させてしまうため,輻輳ウィンドウが大きくなりにくい.これによりMANETにおいてTCPは高いスループットを得ることができない.そこで本稿ではMANET上でのTCP通信の性能向上のため新しい輻輳制御手法としてRTBCC (Rest of Transmission Buffer based Congestion window Control) を提案する.RTBCCは通信開始時および再送発生時に輻輳ウィンドウ初期値を中継端末の送信バッファ残量に基づいて決定する.これにより輻輳ウィンドウを大きくし,スループットの向上を図る.シミュレーションの結果,3ホップの経路で経路変更が発生する場合においてRTBCCはスループットがRenoの約1.5倍に向上することを確認した.

7C-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名オーバレイマルチキャストのためのネットワークコーディングプロトコル
著者*稲井 俊介 (名古屋工業大学), 福田 洋治 (愛知教育大学), 白石 善明 (名古屋工業大学)
Pagepp. 1364 - 1372
Keywordオーバレイマルチキャスト, ネットワークコーディング, アプリケーションレイヤ, プロトコル, オーバーレイネットワーク
Abstract近年,1対多通信を実ネットワークにおいて実現するための,ネットワークコーディングを適用したオーバレイマルチキャストに関する議論が盛んに行われている.オーバレイマルチキャストでは,オーバレイネットワークを構成する際に同一の物理リンク上に複数のパスが構築されることでリンクストレスが高くなる傾向にあり,それを軽減することが課題となっている.ネットワークコーディングは,ネットワーク上のノードで通信データの代数的演算を行うことにより,1対多通信におけるネットワーク上のリンクストレスの高い部分の影響を低減させる効果を持っている.ネットワークコーディングをオーバレイマルチキャストに適用して,実ネットワークでの1対多通信の実現に向けた取り組みを進める過程で,基本プロセスをプロトコル化して明確化することは,様々な環境においてシステムを実装し,妥当な評価,検討を進めるうえで重要である.本稿では,ネットワークコーディングを適用したオーバレイマルチキャストを実現する基本プロセスの1つである,ネットワーク上のノードでの通信データの転送,複製,符号化のための要件を明らかにし,それに基づくプロトコルを示す.

7C-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名NAT越えを可能にするDPRPの検討
著者*後藤 裕司, 鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1373 - 1377
KeywordNAT, プロトコル
Abstract近年企業ネットワークでは不正侵入,データの盗聴や改竄などの脅威に対するセキュリティ対策が課題となっている.組織外部からの脅威に対しては通信の暗号化やディジタル署名など,セキュリティ強度の高い技術が利用されており,ファイアウォール(以下FW)やIDS(Intrusion Detection System)と協調するなど,様々な工夫がなされている.しかし,企業ネットワークのセキュリティ脅威はイントラネット内部にも存在しており社員や内部関係者による不正による犯罪が多く報告されている.イントラネット内のセキュリティ対策は,ユーザ名とパスワードによる簡単な相手認証,アクセス制御しかされていないのが現状であり,有効な対策が今後必要になると考えられる.ネットワークセキュリティを実現する代表的な技術としてIPSecがあり,現在VPNを構築する手段として広く利用されている.IPSecは通信に先立ち暗号・認証に必要なパラメータを動的に生成して安全な情報の交換を行う.しかし,IPsecには多くの設定項目がありシステム環境が頻繁に変化するような環境では管理者の負担が大きい.また,ホスト間で暗号化通信を行うトランスポートモードと,ネットワーク間で利用するトンネルモードで互換性がないため,セキュリティドメインが階層的に構築されていたり,個人単位の通信グループとネットワーク単位との通信グループが混在するような環境では利用することが難しい.そこで我々は柔軟かつ安全なグループ通信を可能にするためにシステム構成が変化してもその変化を動的に学習することができるDPRP(Dynamic Process Information Protocol)と呼ぶ通信プロトコルを提案してきた.DPRPでは通信端末間の通信に先立ってネゴシエーションを行い,通信グループ情報などの情報を収集して各装置に動作処理情報テーブルPIT(Process Information Table)を生成する.PITにはセッションごとに暗号/復号/透過中継といった処理内容が記述されている.ネゴシエーション終了後は生成したPITに従って通信パケットを処理する.しかし,これまで検討してきたDPRPは,すべての装置がグローバルアドレスあるいはプライベートアドレスのどちらかに存在することが想定されていた.すなわちNAT(Network Address Translation)が介在するような通信環境ではNATでIPアドレスが変換されるため利用することができない.この問題を解決するためには,プライベートアドレス(以下PA)側から通信が始まる場合,及びグローバルアドレス(以下GA)側から通信が始まる場合の両者を別々に検討する必要がある.前者の場合については検討を既に終え実現方法が明確になっている.本稿ではGA空間からPA空間へ通信を開始する場合について詳細な検討を行った.この検討にはNAT越え問題を解決する必要がある.これには我々が別途研究中のNAT-f(NAT free)プロトコルを流用した.NAT-fでは,GA空間上の端末GNとNAT-fに対応したルータNAT-fルータが連携することによりGA空間からPA空間への通信開始を可能にするプロトコルである.NAT-fでは通信に先立ってGNとNAT-fルータがネゴシエーションを行い必要な情報をNAT-fルータに通知する.NAT-fルータはこの情報をもとに強制的にNATテーブルを生成し,さらにNATテーブルにマッピングされたポート番号をGNに通知する.GNはこの情報をもとにポート番号変換テーブルを生成する.その後一時的に待避してあったパケットを復帰させる.GNから送信されるパケットは,上記ポート番号変換テーブルによりNATでマッピングされているポート番号に変換することになる.従って,以後のNAT-fルータは既存のNATと同様の処理を行えばよい.NAT-fは通常の通信パケットに対応するプロトコルであるが,これをDPRPにも適応できるように拡張する.DPRPにNAT-fネゴシエーションに必要な情報を追加することによりNATテーブルを強制的に生成し,NATテーブルにマッピングされたポート番号をGNに通知する.更に,通知されたポート番号を用いて各端末にPITの生成を行う.このようにDPRPとNAT-fを統合することによりNAT越えが可能なDPRPを実現することができる.これによりアドレス空間を意識することなく通信グループの構築を行うことが可能になる.

7C-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名IPv6普及度調査システムによる普及度評価
著者*北口 善明, 金山 健一 (株式会社インテック・ネットコア/IPv6研究開発グループ)
Pagepp. 1378 - 1383
KeywordIPv6, ネットワーク計測, インターネット, 経路情報
AbstractIPv6(Internet Protocol version 6)への関心は世界的に高まってきており,IPv6アドレス割り当て状況も順調に伸びて来ていることから,IPv6インターネットの規模も着実に成長していると言える.今後はIPv6の利用状況や運用状況を計測し,その測定結果に関する研究・分析がより重要となると考えられる.特に,世界に先駆けIPv6環境の普及が進む日本には,広範囲で多角的なIPv6の普及度調査を継続的に実施し,IPv6に関するマーケット戦略やネットワーク運用に役立つデータとして,調査結果を広く一般へ提供して行くことが求められている. 以上のことを踏まえ,本研究では,IPv6への移行実態・普及度を定量的に把握することを目的として,さらにIPv6の普及度が広く一般に認知されることを目指し次の内容を実施した. (1)広範囲で多角的な普及度調査のために必要とされる計測項目(メトリック)を検討し,IPv6の普及度を評価する情報として定義する. (2)定義した計測項目を計測方法に基づいて継続的に計測し,取得したデータの蓄積と分析を実施するための手法を確立する. (3)IPv6の普及度が広く一般に認知されるために,取得した統計情報をWeb上にて公開する. (4)計測した統計データを基に,IPv6の現在の普及状況を分析する. 本稿では,平成18年度までに実施した計測内容を最初にまとめ,継続的な計測によって得られた結果を基に,現在のIPv6普及度について考察を行う.

7C-5 (時間: 10:10 - 10:35)
題名OXCによるL2/L3スイッチ光インタフェース制御方式の計算機シミュレーションによる評価
著者*曽我 恭行 (愛知県立大学大学院), 妹尾 尚一郎 (三菱電機), 井手口 哲夫, 奥田 隆史, 田 学軍 (愛知県立大学)
Pagepp. 1384 - 1389
Keyword光ネットワーク, オプティカルクロスコネクト, ネットワークアーキテクチャ, 輻輳制御
Abstract インターネットの商業利用が1990年代初めに開始されて以来、IP (Internet Protocol)を用いたパケット通信は増加の一途をたどっている。特にアクセス網におけるトラヒックの増加はブロードバンド回線の普及と共に増加率が高く、今後はFTTH (Fiber To The Home)の普及やユビキタス社会の進展と共に更なるトラヒックの増加が予想される。そのため、官公庁においてもその対策が進められている。  アクセス網のトラヒックを支えるバックボーン回線は光回線が用いられるのが一般的であるが、ネットワークトポロジはポイント・ツー・ポイントかリング状を採用している。これらのネットワークトポロジは障害や輻輳が発生した場合に経路の変更が容易ではなく、トラヒックが滞る場合が存在する。そこで、バックボーンネットワークを冗長的に経路選択が可能なメッシュネットワークへと切り替えるための研究が進められており、メッシュトポロジーを実現するためのノードとして、OXC (Optical Cross Connect)が開発されている。このノードは光通信(光パス)を自由に設定して、光信号を交換伝送することが可能である。OXCは波長単位で交換伝送するため、WDM (Wavelength Division Multiplexing)が用いられる。  本稿が対象とするL2/L3スイッチは前述の光ケーブルネットワークと、メタルケーブルネットワークを繋ぐノードであり、各L2/L3スイッチ間は光ネットワーククラウドを介して接続されているといえる。このL2/L3スイッチには1Gbpsと10Gbps、10Gbpsと40Gbpsといった、異なる帯域幅を持つインタフェースが混載可能である。また、一般に広帯域なインタフェースであるほど高価であると言える。  本稿が提案するのは、L2/L3スイッチの光インタフェース制御であり、各帯域のインタフェースを有効利用することである。広帯域インタフェースは高価であるため、一度に全てのL2/L3スイッチの光インタフェースを広帯域にするのは容易ではなく、L2/L3スイッチが抱える拠点の中で、広帯域インタフェースを割り当てられないパスも存在する。これら狭帯域インタフェースを利用するパスのうち、時刻の変化と共にトラヒック量が増大し、輻輳が発生する場合がある。または、広帯域インタフェースを利用しているものの内で、輻輳が発生する場合もある。本稿ではこれらの輻輳を回避するため、インタフェースの制御アルゴリズムの有効性を検証する。提案する制御アルゴリズムはインタフェース上での制御であるため、低コストな機構であるといった特徴も兼ね備えている。  提案手法のアルゴリズムの有効性を確認するため、計算機シミュレーションによる評価を行う。このシミュレーションで用いるトラヒックは、実際に総務省が発表した統計データを利用する。また、各L2/L3スイッチが抱える拠点に特徴を持たせ、企業が多い拠点や一般家庭が多い拠点などを想定する。先の統計データより企業が多い拠点は昼間のトラヒック量が多く、家庭が多い拠点は夜間のトラヒック量が多いと推定される。このようにトラヒック量が日変化する中、輻輳を発生させることが無いよう、インタフェースの切り替えが正等に行えているかを評価する。