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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム

セッション 8E  放送・通信融合(BCC)
日時: 2007年7月6日(金) 10:50 - 12:30
部屋: 鶴・亀
座長: 義久 智樹 (京都大学)

8E-1 (時間: 10:50 - 11:15)
題名複数映像を用いた実時間インターネット放送に関する研究
著者後藤 幸功 (サイバー大学), *磯貝 佳輝, 村山 優子 (岩手県立大学)
Pagepp. 1649 - 1652
Keywordインターネット放送, マルチメディア, 視点カメラ
Abstract 岩手県立大学では今年で4回目となる卒業式のインターネット中継を行った. 卒業式の中継を放送コンテンツに選択した目的は, 地域性の高いコンテンツの配信により地域の情報発信による地域社会への貢献とともに容易なコンテンツの配信手法を確立することである. また, 卒業式の参加者の視点を放送することにより受信者が式に参加したかのように感じることが出来るかどうかの視点放送の実験も行っている. 2006年度の放送では, これまでの放送実験による課題を考慮し, 放送形態の変更および視点カメラの設備改良や技術的な問題の改善も行いシステムの評価を行った. また, アンケート調査による受信者の感想および意見を収集し本実験放送の問題点を明らかにする.  これまでの卒業式インターネット放送では, 複数のカメラの映像を提供しながらも受信者へは同時に複数の映像コンテンツを中継することが出来ず, 従来までのテレビ放送のように提供する側でカメラを切り替えて放送を行う方式や, 受信者がホームページ(以下, HP)上からカメラの番号を選んで受信する方式を用いてきた. 受信者がカメラを選択する方式では, 受信者の意図により受信する映像を変えることが可能であるが, 受信者映像を見て選択する方式ではない. そのため, 受信者は選択したコンテンツにアクセスしたにもかかわらず, すぐに接続を切るよう状況であることは, 昨年までの統計情報によって分かった. そこで, 2006年度の放送では定点カメラ2台と移動可能な視点カメラ1台をHP上で受信者に提示し, 受信者は現在のカメラの中継内容を見て, カメラの選択が可能な状況をHP上に構築した. このHPの環境において受信者の選択したカメラと各カメラの受信時間を計測することにより, 受信者の興味を測る. また, 視聴者のアクセス先と視聴者の平均受信時間を求め, アンケート調査からのデータを比較し受信者の受信先を考慮したコンテンツの地域性について検討する.  また, 視点カメラの改良については, これまでB5サイズの小型ノートPCを使用し携帯性が低かったが, 今回の実験ではディスプレイもない小型のカメラ撮影専用のPCを製作実装し形態性を向上させた. また, カメラの視点位置についてはこれまで胸部や頭部に設置するなど視点位置からのずれが大きく, 視点位置やカメラ設置者の行動による視点の変化を追尾することが出来なかったが, 今回の実験では, 視線位置に合わせるためにメガネの淵にカメラを設置し, このカメラを製作したカメラ撮影専用のPCに接続することでカメラ設置者の頭部の動きと視線を一致することが可能となった. このカメラを用いて撮影し, 視聴者へ視線映像の中継を行う実験を行い, システムの評価を行った.

8E-2 (時間: 11:15 - 11:40)
題名動画配信のための最適サーバ選択方式とその評価に関する研究
著者*後藤 幸功 (サイバー大学), 村山 優子 (岩手県立大学)
Pagepp. 1653 - 1657
Keywordストリーミングサービス, サーバ選択方式, 分散処理, CDN, シミュレーション
Abstract インターネット上で動画放送サービスが実現し, 商用にサービスが行われている. これらのサービスは現在のところ, サーバ・クライント形式のシステムである. これまでの研究ではVoD(Video on Demand)サービスを大人数に対応するためのシステムモデルであるサーバ分散システムが利用者数とサーバの配置状況によって利用者収容状況がどのように変化するかをシミュレーションによって検証した. 検証を行うにあたり, VoDサービスを提供する複数のサーバを1つのグループとし, 複数のグループを論理的に接続したモデルを用いた. また, クライアントはできる限りクライアントからネットワーク距離が近いサーバつまり最適なサーバに接続する要求を行うものとする. このモデルにおいてクライアントがどのサーバに接続するか接続状況をシミュレーションによって求めた. この結果, モデルに存在する全サーバが同時に許容できるクライアント接続数を超えたクライアントからの接続要求が発生した場合, 50%を超えるクライアントが最適なサーバに接続できない状況が発生する場合はあることが確認できた.  そこで, 本研究ではクライアントの接続数が全サーバが同時に許容できるクライアント接続数を超えた場合においても, クライントが最適なサーバへ接続可能となるためのアルゴリズムについて提案と評価を行う. 提案するアルゴリズムではクライアントの接続数が全サーバが同時に許容できるクライアント接続数を超えた場合, クライアントからの接続要求を待つことにより提供可能な最適サーバの接続可能状況になるときにクライアントをサーバに接続するアルゴリズムである. しかし, このアルゴリズムの検証としてクライアントの待ち時間をパラメータとして, このパラメータとクライアントの接続発生数との関係をシミュレーションにより検討する. この検討により, 提案したアルゴリズムの評価とする.  本研究ではサーバクライントモデルを元として検証を行ったが, このモデルはALM(Application Layer Multicast)のモデルにおいても, 応用が可能であることを考察する. これにより, 本研究は今後P2P型動画サービスにおいても最適サーバの選択方式を決定するための指針となることが期待できる.

8E-3 (時間: 11:40 - 12:05)
題名モバイル環境での番組連携型コンテンツ提示インタフェースの提案
著者佐藤 康二, *瀬川 慎介, 永松 孝之, 花田 恵太郎 (シャープ株式会社 技術本部 プラットフォーム開発センター)
Pagepp. 1658 - 1661
KeywordモバイルTV, 放送連携, EPG
Abstract近年、放送型コンテンツ受信機構を備えるモバイル端末を有することで、利用者は保有端末を用いて時間・空間を問わずユビキタスに放送コンテンツを楽しむことができる環境が整いつつある。放送型メディアは不特定多数の機器・端末に対しコンテンツを配信するための方式としては効率的であるが、放送型メディアを通して配信されたデータを一旦端末に格納し、格納されたデータをオフラインにて利用する蓄積型コンテンツとしての利用形態においては多量のコンテンツがモバイル端末に蓄積されていくに従い、利用者が所望のコンテンツを選択することが困難になっていく。 特に、リアルタイムストリーミング配信される番組に関連のあるコンテンツを同じ放送型メディアにて配信する場合には配信されたコンテンツの在り処を提示するためのインタフェースが必要になる。 また、利用者のモバイルでの利用シーンの多様化に伴い、ホームネットワーク上にあるコンテンツをモバイル端末へ一旦移動し外出時にオフラインにて利用するといった局面や、メールにて受信したリコメンド情報を基にインターネット上のあるコンテンツへ誘導するといった局面が存在する。モバイル端末が個人のメディアアクセスための中核デバイスとなるにつれ、遍在するコンテンツへアクセスするためのモバイルでの選択手段を如何に提供できるか、加えて利用者に対しその関連付けを目に見える形で提示できるかが課題となってくる。 本稿では上記課題に鑑み、モバイル端末での放送連携型インタフェースとしての切り口にて、モバイル端末に格納されたコンテンツを放送型ストリーミング番組コンテンツとの関連性を基にEPG(Electronic Program Guide)上に配置することによる情報提示インタフェースを提案する。 蓄積型コンテンツはEPGを介し、関連性の高いコンテンツを番組の近傍に配置、あるいはEPGの一部にコンテンツ選択用のウィンドウを配置させることで番組との連携をシンプルに提示でき、かつ利用者へのリコメンデーションをも含むコンテンツ情報提供の仕組みとコンテンツアクセスのための手段を提供できる。

8E-4 (時間: 12:05 - 12:30)
題名エラーコンシールメントの有効性に基づくNo Reference型画質劣化推定
著者*山田 徹, 宮本 義弘 (NEC/共通基盤ソフトウェア研究所)
Pagepp. 1662 - 1669
Keyword画質評価, NR, エラーコンシールメント
AbstractIP伝送によるビデオ配信アプリケーションのエンドユーザ端末上でのビデオ品質監視に適したNo-Reference型画質推定方法を提案する。IP伝送ではユーザ環境によって伝送路品質が異なるため、各ユーザ端末での品質保証が重要となる。エンドユーザ視聴品質の保証を実現するために、エンドユーザ端末上での画質評価技術が要求される。提案方法では、伝送エラーにより正しくデコードできないマクロブロックを検出し、このマクロブロックに対するエラーコンシールメント処理が有効でなかったマクロブロック数を集計し、この数を元に画質劣化度を推定する。エラーコンシールメント処理の有効性は、映像中の動き情報と、エラー領域境界での輝度の不連続性を元に評価する。シミュレーションにより、エラーコンシールメント無効マクロブロック数と、実際の画質劣化度(あらかじめ計測した平均二乗誤差)との間に高い相関関係(相関係数0.95)があることを示す。