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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム

セッション 8G  コンテキストアウェア2(DPS)
日時: 2007年7月6日(金) 10:50 - 12:30
部屋: 展望サロンB
座長: 木原 民雄 (NTT)

8G-1 (時間: 10:50 - 11:15)
題名Instant Learning Sound Sensor: ユビキタス・コンピューティングのための柔軟なイベント音学習センサ
著者*根岸 佑也 (名古屋大学大学院 情報科学研究科), 河口 信夫 (名古屋大学大学院 工学研究科)
Pagepp. 1700 - 1711
Keywordsmart sensor, sound recognition, context awareness
Abstract近年,ユビキタス環境の実現の期待とともに,ユーザ自身の状況と取り巻くコンテクストに基づき,そのユーザに適したサービスを提供するコンテクストアウェア・システムが盛んに研究されている.コンテクスト情報を取得するデバイスとしては,GPS や加速度・圧力・温度センサなどが利用される.そして,それらを集約した小型無線センサデバイスも開発され,実際にスマートルームなどに組み込む実験もされている.また,Jianfeng Chenらはバスルームにおける手を洗う,シャワーを浴びるといった行動イベントを,室内に設置したマイクロフォンを用いた音認識により取得し,健康管理に役立てるシステムを提案している.Paul Lukowiczらは,加速度センサとマイクロフォンからの時系列信号を解析し,工房においてユーザがどの道具を使用中であるか識別可能なシステムを実現している.しかしながら,そのような信号処理を伴う複雑なパターンの認識処理の設計は,個別の特徴量の解析などに手間がかかるため,日常空間中の任意の物音に対して,音認識処理を適用し,手軽にコンテクストアウェア・システムに活用するようなことは困難である.  本研究では,マイクロフォンや加速度センサといった時系列信号を伴う各種センサ情報から,イベントとして検出したい信号パターンを,センサを設置する現場で手軽に学習できるInstant Learning Sensorを提案する.提案手法は,実演されたイベント信号を自動的に解析し,その信号パターンの認識に適した特徴量抽出処理や認識アルゴリズムを自動的に選択し,組み合わせ,認識処理を試行し,認識率と誤認識率を評価する.そして,最も性能の良い認識処理を最適なものとして,ユーザに提示する.本手法を用いることにより,ユーザは信号処理プログラミングを用いることなく,信号処理を用いた高度なコンテクスト情報が取得可能になる.  上記の手法に基づく最初のInstant Learning Sensorとして,生活音や環境音の認識に特化したInstant Learning Sound Sensor を開発した.まず,多様な物音に対応するために,様々な物音の特徴量や認識アルゴリズムについて検討し,多様なパラメータ設定を持つ認識処理を設計した.本認識処理は,多様なパラメータを持つため,様々な物音に応じて調整可能である.しかしながら,イベント音学習時に,全パラメータを試行することは計算量の点から非現実的である.これを解決するために,本研究では,あらかじめ多種多様な物音をサンプル音データベースとして構築した.各サンプル音に対して,軽量な処理にて高い認識率が得られるように,最適なパラメータ設定をテンプレートとして与えておく.軽量化は,生成される処理をDSPマイコンなど小型デバイス上でも動作を実現させるためである.未知のイベント音を学習する際は,いくつかの類似する音のテンプレートを自動選択し,パラメータ決定に利用する.  実際に,家具や日用品に貼付けた圧電マイクによって,コーヒーカップにコーヒーを注ぐ音や,ドアノブを回す音,水道から水が流れる音などに対して,80%を超える認識率を持つ処理を自動生成可能であることを確認できた.本手法を用いることにより,物音認識を用いた高度なコンテクスト情報を,誰でも手軽にコンテクストアウェア・システムに組み込むことができる.

8G-2 (時間: 11:15 - 11:40)
題名携帯端末のコンテキスト情報利用による操作性向上方式
著者*清原 良三 (大阪大学大学院 情報科学研究科), 三井 聡 (三菱電機(株)), 松本 光弘 (大阪大学大学院 情報科学研究科), 沼尾 正行, 栗原 聡 (大阪大学産業科学研究所)
Pagepp. 1712 - 1719
KeywordContext-Aware, Mobile Phone, UI
Abstract携帯電話は、最も普及するインターネット端末とし、世界中で多くのユーザが利用している。小さいながら多機能であり、これを使いこなすのが課題となりつつある。  ユーザインタフェースとしてどうあるべきかという研究アプローチと、既存のユーザを対象に、数年に1回は機種変更するであろうユーザが何を望むのかをターゲットにする研究がある。本研究では後者をターゲットに携帯電話の操作に関して複雑度を定義し、操作履歴情報とコンテキスト情報から複雑度の高い操作候補を抽出し、推薦機能としてユーザに提示することにより利便性の向上を図る操作機能推薦方式を提案する。  ユーザのメニューをカスタマイズする研究などは盛んに行われているがほとんどがユーザが指定する方式であり、最も良く使う機能をどのようにしてより使いやすくするかという観点のものが多い。 本研究では、複雑度の観点を入れることにより平均的な操作性の向上を目指すことができ、あまり使わない機能も使いやすくするいう効果がある。  操作の複雑性は、操作回数と操作中に考えた時間や、誤った操作をした部分まで含めて複雑性を定義する。また、推薦機能の提示には、頻繁に使うであろう機能と複雑度から判定した機能をあわせて推薦することにより、頻繁に使う機能の利便性を失わないようにする。  提案する方式が有効であることを具体的な行動パターンを分析することにより示すとともに、携帯電話への搭載に関して、速度応答性、メモリ性能、消費電力の観点から評価検討する。

8G-3 (時間: 11:40 - 12:05)
題名利用者の状況と好みに基づいた適切なコミュニケーションサービスを選択する手法の提案
著者*奥村 祐介, 小原 泰弘, 南 政樹 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科), 村井 純 (慶應義塾大学 環境情報学部)
Pagepp. 1720 - 1727
Keywordcontext awareness, unified messaging
Abstract 本研究は,インターネット上のコミュニケーションにおいて,受信者の状況 とコミュニケーションサービスの好み を考慮した,最適な受信方法の選択手法を提案する.  インターネット上のコミュニケーションは,技術の進化と利用者のニーズの変化によって多様化している.通信機器は高性能化や小型化が進み,インターネットでは常時接続が一般的なものとなりパケット伝送も高速になった.これらにより,利用者はインスタントメッセージングや音声通話などのサービスを日常的に利用することが可能となった.また,多くの利用者はコンピュータ,携帯電話,ゲーム機などの複数の通信機器を所持し,電子メール,インスタントメッセージングなど複数のサービスを状況によって使い分けている.送信者と受信者が複数のコミュニケーションサービスを利用している場合,送信者は,受信者が利用している複数のサービスから一つを選択する.一方,受信者は、同時に複数のサービスを利用していても,どのサービスで受信するかを選ぶことはできない.このことから,送信者が受信者の状況を把握できなければ,受信者に最適なサービスを利用したコミュニケーションにならない可能性がある.  これらの問題点を解決するための既存研究には,通信機器の状態情報を取得し,コミュニケーションサービスを決定する手法が多く用いられている.しかし,この手法では通信機器を利用しているユーザの状況を考慮することができない.また,通信機器の状態情報だけでなくユーザの状態情報を取得する手法も提案されているが,それらは赤外線センサや超音波センサなどが必要であり,導入障壁が高い.  そこで本研究は,受信者の状況に最適 なコミュニケーションサービスを決定するために,キーボードやマウスの入力イベントとその入力先アプリケーション情報から状況を類推する.さらに,各状況に対しコミュニケーションサービスの好みを指定することで,利用者の好みに基づいて最適なコミュニケーションサービスを選択する手法を提案した.その手法に基づき,好みに関する情報を設定することにより,入力イベントの発生に応じてリアルタイムに最適なコミュニケーションサービスを表示するシステムを実装した.  本手法を評価するために,被験者が提示されたシナリオに沿ってシステムを利用する検証実験を行った.結果として,コンピュータを継続的に利用するシナリオでは97.4% という高い的中率を確認できた.しかし,一定時間以上コンピュータを利用しない状況が含まれるシナリオでは,42.0% という的中率であった.  本研究は,利用者のニーズを考慮したメッセージの送受信を実現するための,入力イベントを用いた推測手法の有用性と問題点を明らかにした.

8G-4 (時間: 12:05 - 12:30)
題名複数人の関係に基づいた適応的広告システムの開発
著者*瓶子 和幸 (筑波大学大学院図書館情報メディア研究科), 岡田 仁之, 根本 卓 (筑波大学図書館情報専門学群), 井上 智雄 (筑波大学大学院図書館情報メディア研究科)
Pagepp. 1728 - 1735
Keywordコンテクストアウェアネス, ユビキタス情報処理, グループウェア
Abstractプラズマディスプレイの低価格化やブロードバンド技術の発達により,身近な地域社会の場でも大型ディスプレイが情報発信ツールとして次第に普及し始め,人々とディスプレイとの接点がますます近くなってきている.また,大型ディスプレイを利用した企業広告やプロモーションなど公共空間における不特定多数に向けた情報伝達手法が増えてきており,その高い視認性と臨場感を生かして,広告主と閲覧者のコミュニケーションをあらゆる場面において実現してきている. このように広告コミュニケーションがますます盛んになってきている今日であるが,一般的に公共空間に存在する広告は,閲覧者の属性はほとんど考慮されておらず,閲覧者に対して一方的に情報を発信している.それに対して,近年,閲覧者の興味・関心を考慮した広告手法が検討・実現されてきている.その場で閲覧者の嗜好情報を抽出する,または情報機器を閲覧者に携帯させて,あらかじめ登録しておいた嗜好情報と人物を特定するなどの方法で,閲覧者に効果的な広告を提示しようとする研究などが多くあるが,問題点も多い.その場で閲覧者の嗜好情報を抽出する方法では,閲覧者のプライバシーの負担が大きく,また,情報機器を閲覧者に携帯させて,あらかじめ登録しておいた嗜好情報と人物を特定する方法では,日常的に機器を携帯する必要があり,煩わしさを感じさせることや,公共空間においてはあらかじめ嗜好情報を登録することは困難であるという問題などが存在する. そこで,我々は,以上のような問題を踏まえ,かつ,閲覧者に効果的な広告を提示するために,閲覧者の属性を考慮した広告システムを提案する.閲覧者の属性を推定する方法として,複数人の関係性を利用する.従来の研究では,閲覧者の属性の推定方法は,個人を対象としていたが,複数人を対象とすることで,その関係を広告ターゲットの対象として利用できる可能性がある.具体的には,対人距離や位置,人数から,複数人の関係性を推定する. 提案するシステムの概要としては,エレベータホールなど人々の滞留状況が発生する場所を想定し,そこに設置した大型ディスプレイの前に滞留する複数人の距離や位置,人数を計測することによってシステムが複数人の関係性を推定し,その関係性に基づいた広告提示を行う. まず,複数人の関係とその対人距離,人数などのデータを得るために観察調査を行った.調査データとしては,一つの複数人のサンプルごとに,関係,対人距離,人数,性別,子ども・ベビーカーの有無のデータを取得した.複数人の関係については,現在,広告マーケティングに利用されている広告ターゲットに倣い,複数人の関係を「恋人・夫婦」・「友人」・「家族」・「ビジネス」と「個人」に設定した(以下関係カテゴリと呼ぶ).対人距離については20cm単位で計測し,関係カテゴリごとに対人距離の分布をまとめた.それぞれの関係カテゴリごとの距離データ間には「友人」-「家族」以外の全ての間に統計的有意差があるという結果となった. 次に,それぞれの関係カテゴリにおける人数構成の比率を調べた.「二人組」が占める割合が各関係カテゴリによって違いがみられたので,複数人の関係の推定材料になることが判明した.同様に性別については,各関係カテゴリによって異性同士の組が占める割合が異なっていることが判明したので,「異性率」という形で関係の推定要素となり得ることが分かった.子ども・ベビーカーの有無についても,「家族」の推定に寄与することが判明した. 開発したシステムは,1)複数人の位置,人数,身長の計測,2)取得データからの関係推定モデルに基づく複数人の関係の推定,3)推定された関係に適応した広告のディスプレイへの表示,の各部分からなる.本システムの要求仕様として‖變云態の複数人の位置・人数・身長を取得する,対象者に何も準備させることなくセンシ ングが可能であることが挙げられるので,それらを満たすために,センサとしてPoint Grey Research 社製ステレオカメラBumblebee2(BB2-03S2C-38)を使用し,Windows 環境においてPoint Grey Research 社提供のVisual C++ 2005によるCensys3D People Tracking System を用いて実装した.