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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム

セッション DS  デモセッション
日時: 2007年7月5日(木) 17:25 - 19:05
部屋: 萩〜もみじ
座長: 桐村 昌行 (三菱電機)

DS-1
題名ITS通信アプリケーション評価用統合シミュレータの開発
著者*吉岡 顕, 小佐井 潤, 本多 輝彦 (トヨタIT開発センター)
Pagepp. 1762 - 1766
KeywordITS, 交通流シミュレーション, ネットワークシミュレーション, 電波伝搬
Abstract1. 背景 ITS(Intelligent Transport System)として,路車間通信,車々間通信を用いた様々なアプリケーションが検討されている.これらのアプリケーションに共通する課題として,多数の構成要素,技術分野が関連するため,単体での検証・評価が困難なことが上げられ る.従来同様実車による検証を考えた場合,シナリオを限定した状態でも,数十〜数百台以上といった大量の実験車を用いたテストコース実験か現実の交通環境での大規模な実証実験(社会実験)が必要となる.開発の最終段階ではこのような手法での検証も必要であるがアプリケーションを実現するための通信機の開発,アプリケーション内部のパラメータ調整といった開発初期の段階から,その都度このような手法をとることは非現実的であり,シミュレーションによる評価が必須である. 通信を利用するITSアプリケーションを評価するためには,各時刻における車両位置を決定するミクロ交通流シミュレーション,送信側機器と受信側機器の通信可能性を評価する電波伝搬シミュレーション,通信による情報が伝達可能かを評価するネットワークシミュレーションを組み合わせる必要がある.上記各シミュレーションは,それぞれ単体としては既に多くの研究開発が行われており,研究レベルのもの,市販のものを含めて多数のシミュレータが存在する.これらのシミュレータを用いれば,アプリケーションを構成する要素技術の一つ一つにの評価は可能である.しかし,それぞれ単体のシミュレーションではシステムあるいはアプリケーション全体を通しての効果を検証することは不可能であり,これらの「シミュレーション要素」が連携する形で,対象となる系全体をシミュレーションする統合シミュレーションが必要である. このような観点から,通信を利用したITSアプリケーションの評価が可能な統合シミュレータを開発したので報告する. 2. 基本設計 複数の要素から現象をシミュレーションする場合,それぞれの要素シミュレーションモデルを内部で密に組み合わせる方式と,それぞれ単体で動作する要素シミュレータを粗に結合する方法と2種類の統合方法がある. 筆者らは,要素シミュレーション部について,評価目的等により,市販/既開発のシミュレータを適宜選択,交換可能とするため,各要素シミュレータを相互に接合するのではなく ・統合プラットフォームを用意 ・各要素シミュレータは統合プラットフォームと通信により結合 する粗結合アーキテクチャを採用した. 3. 実装 本稿では,要素シミュレーション部に,電波伝搬シミュレーション: RapLab,ネットワークシミュレーション: Qualnet,ミクロ交通流シミュレーション: Automesh を組み合わせて実装を行った. 4. シミュレーション例 ITSアプリケーションとして, 信号情報提供を例として,シミュレーションを行った.これは,信号プログラム(具体的には赤信号までの時間)を路側機から通信で車両に広報し,それを受け取った車両が,自車の位置,速度と比較して,情報提供/注意喚起/警報 /強制介入するものである. 電波伝搬-ネットワーク-ミクロ交通流シミュレーションが統合することによる効果を検証するため, ・本開発の統合シミュレータを利用したケース ・電波伝搬部に,ネットワークシミュレータが内蔵する 2 波モデルを用いたケース による比較を行った.前者では,対象車の前方車両が電波障害物として作用することがきちんと評価されるが,後者ではそれができないという差がある. そこで,大型車両の混入率を変化させ,対象車両群に対し,信号情報提供情報が届いた確率を,両者で比較した.後者では,車両密度に対して結果が全く変化しないが,前者では大型車混入率が高くなるにつれて情報が届く確率が下がることが確認され,より現実に 近いシミュレーションが実施できたことを確認した. 5. まとめ 本統合シミュレータの特徴は,要素シミュレーション部に既開発のものが利用でき,交換可能であることである.今後, ミクロ交通流シミュレーション部にドライバーモデルを搭載したもの に交換することにより,ITSアプリケーションの効果検証へ利用することを計画している.

DS-2
題名RAIS-Mixer: DJ の知識に基づく音楽の連続再生プレイヤー
著者*福井 登志也, 井上 亮文, 市村 哲 (東京工科大学コンピュータサイエンス学部)
Pagepp. 1767 - 1768
Keywordマルチメディアシステム, 情報家電
Abstract1.はじめに mp3 に代表される音楽データ圧縮技術や記録媒体の大容量化など,ここ数年で音楽プレイヤーは大きな進化を遂げた.しかしプレイヤーの再生機能に着目してみると,レコードやテープ等のアナログ媒体では「再生・停止・早送り・巻き戻し」,CD 等のデジタル媒体に移行してからは,これらに加えてイントロ再生,頭だしなどが加わっただけであり,かれこれ20 年近くも本質的な変化がないことになる. 本稿では,リスナーに対して新たな再生機能を提供することを目的とし,DJ(Disc Jockey) の知識と技術に注目した音楽の連続再生方法を提案する. 2. 提案方式 2.1 DJによるミキシング 本研究で注目したDJ は,クラブやディスコなどのライブスペースにおいて,ターンテーブル(レコードの再生機器)とミキサーを使いながら2 枚のレコードを同時に操作する.そして一方の曲からもう一方の曲へと違和感なく移行し,2 つの音源を連続的に再生する.このミキシングと,CD やPC における通常の再生方法では,曲の接続部分に大きな違いがある. 通常のプレイリスト再生では,ユーザは曲順を自由に変更することができるが,ボリュームに対して何の操作も行わない.現在の曲Tn の再生が終了すると,0〜数秒の無音区間を挟んで次の曲Tn+1 の再生が開始されるだけである. クロスフェード再生では,連続して再生される2 曲のボリュームを同時に操作する.現在の曲Tn の末端数秒前からボリュームをフェードアウトさせると同時に,Tn+1 の冒頭からボリュームをフェードインさせている. 通常の連続再生と異なり,両者がオーバーラップしながら入れ替わる時間帯が存在する. DJ のミキシングによる連続再生は,オーバーラップ部分が存在すること,ボリュームのフェードイン・アウト処理があることはクロスフェードと同等である.しかし,オーバーラップ部分が必ずしも曲の末端と先頭であ る必要はない.Tn の途中部分でオーバーラップを開始し,Tn+1 の途中部分へと曲をつなげていく.また,Tn とTn+1 のテンポ(BPM) が一致するよう速度変換も行う. 2.2 分析 DJ がどのようにミキシングするのかを調べるため,サンプル375 曲のミキシング箇所分析及び5 人のDJ からのヒアリング調査を行った.その結果,以下の点を考慮する必要があることがわかった. (1) Tn の再生が終了する点はサビの終わり (2) Tn+1 に完全に切り替わる点はTn+1 の歌いだし(最初にボーカルが入る箇所) (3) Tn とTn+1 のビート(リズムのアクセント) 位置を一致させる (4) 2 曲がオーバーラップする時間の平均は12.32 秒 (5) Tn とTn+1 のBPM の差は5 パーセント以内 (6) BPM に差がある場合は速度変換を行うが,その際に音程を変えてはいけない 3. 実装 3.1 RAIS-Mixer 2.2節の結果を反映したプロトタイプRAIS-Mixer を開発した. ユーザはプレイリスト作成部で,再生曲のリストを作成し,このリストに従って,連続する2 曲が別々のバッファにロードされる.RAIS-Mixer は常に曲の再生位置を監視しており,2 つの曲を速度と音量を操作しながら適切なタイミングで同時再生することでDJ ライクなミキシングを実現する. ミキシングに必要な情報は,曲名などと同様に,CDDB などの外部データベースやID3 タグなどのメタ情報から取得することを考えている.現在のところ,BPM とビート位置は音量からある程度自動取得が可能である. 3.2 連続再生の詳細 再生の流れの詳細を以下に示す. (1) プレイリストから楽曲のデータをロードし,1 曲目の再生を開始する.この時,サビやBPMの関連情報も読み込む. (2) ミキシングに備えて次曲のBPM を調べる.現在の曲のBPM との差が5%以上ならば,以降の再生で速度変換を施す. (3) サビの終了直前に差し掛かった時点で,もう一方の再生を開始する.この時,双方のバッファにはボリュームフェードイン・フェードアウトフィルタが適用される. (4) サビが終わり,一曲目の再生が終了する. (5) 再生が終了したバッファに次曲をロードし,同様の処理を左右入れ替えて行う. 4. おわりに DJ のようなミキシングを実現するシステムRAIS-Mixer を提案した.BPM 認識の精度向上やサビ・歌いだし位置の自動認識を今後の課題としたい. また,DJ の技量は,どの曲とどの曲をミキシングすれば「Cool 」かという選曲能力も大きい.これには自動判別技術の開発以外にも,ユーザ同士での情報交換が有効と考えられることから,ソーシャルプレイリストのようなサービスへ拡張することを検討している.

DS-3
題名TV会議システムをベースとした遠隔医療のための高品質静止画取得法
著者*平山 宏人 (岡山大学大学院自然科学研究科), 岡山 聖彦, 山井 成良 (岡山大学総合情報基盤センター), 岡本 卓爾 (岡山理科大学工学部), 秦 正治 (岡山大学大学院自然科学研究科), 岡田 宏基 (岡山大学病院)
Pagepp. 1769 - 1774
Keyword遠隔医療, TV会議, 高品質静止画
Abstract最近,少子高齢化や農村部の過疎化に伴い,医療の地域間格差が社会問題となってきている.この問題への対策方法として,TV 会議システムを活用した遠隔医療が注目されている.ところが,既存のTV 会議システムは一般に解像度が低く,また画像に乱れが生じる場合もあり,そのままでは診療に用いることができない.そこで本論文では既存のTV 会議システムをそのまま用いながら高品質な静止画を取得する方式を提案する.本方式では,患者側端末においてTV 会議システムの入力を高品質静止画像として短時間保存し,そのうち必要なものだけを医師の操作に応じて医師側端末に別途転送して表示するようにする.これにより,医師がTV 会議システムの動画像を確認して静止画像の撮影部位を確認できるため,所望の静止画像を容易に取得することが可能になる.提案方式に基づいたシステムを試作して性能評価実験を行った結果,医師側端末に表示された動画像に対応するVGA サイズの静止画像を任意の時点で取得することができ,本方式の有効性が確認された.

DS-4
題名TV向けリモコン操作型Webブラウザの提案
著者*大賀 暁 (NEC C&Cイノベーション研究所), 辰巳 勇臣, 仙田 修司, 旭 敏之 (NEC 共通基盤ソフトウェア研究所)
Pagepp. 1775 - 1776
Keywordユーザインタフェース, リモコン, ブラウザ
Abstract ユビキタス環境の普及にともないインターネットを利用した情報活用の利用機会が増大するだろうという期待がある。これまでは、身の回りにインターネットに接続した情報閲覧端末が無いもしくはあっても画面が小さいといったことが原因して広がりにくかった。ところが最近では携帯電話において、コンテンツの限られたiモードによる情報アクセスだけでは飽き足らず、PCでのみ利用可能であったWebコンテンツすべてにアクセスできるフルブラウザと呼ばれるツールを搭載する端末も増えつつある。また通信機能を搭載したPDAのほか、携帯ゲーム機やテレビでもインターネット接続機能を搭載したものが市場に登場している。このようにWebアクセスを可能とする環境は増えつつある。しかし、一方で閲覧性や操作性における問題はまだ解決していない。  特に、住宅のリビングのような環境において、PC以外の端末を用いてPCで利用可能な全情報にアクセスできる端末・ツールも極めて不十分である。我々はTVがある空間ではTVでWebブラウジングを快適に行えるようにすることを目指し、リモコン操作型のWebブラウジングツール(以下、TVブラウザと呼称)を提案・開発した。本発表では、TVブラウザの基本的な仕組み、操作を紹介する。  はじめにTVブラウザの基本的な仕組みを紹介する。TVブラウザは、Webコンテンツをブラウザが描画するレイアウトのレベルで解析しWebページ内にある意味的な切れ目を探るレイアウト解析技術[1]をTV向けに応用している。レイアウト解析技術を用いると、例えば解析結果として得られた切り目をもとに1つのWebページを複数のブロックに分割することができる。これにより表示画面サイズに比べて大きすぎるWebページでも、画面内に収まる複数のブロックに変換することができる。この切り分けられた各ブロックをリモコンにより入れ替えながら表示することで、ユーザはWebページを見やすいサイズでかつ情報として欠落することなく閲覧することができる。  次にこのブロック化したWebページを効率よく閲覧する操作方法を説明する。TVブラウザは、Webページからレイアウト解析技術をもとに分割した各ブロックの移動操作、おのおののブロック内にある複数のリンクを選択する操作、そして実際の移動先へジャンプする操作や過去に閲覧したページへ戻る操作を、リモコンの上下左右の4方向で効率的に行えるように操作体系を構築している。この操作体系を用いることで、効率的なWeb閲覧が可能である。例えば、リンク移動や過去に閲覧したWebページへ戻る操作を、リモコンの左右ボタンに割り当てている。具体的にはリモコンの左を押すとこれまでに閲覧したWebページを遡ることができるほか、リンク先へジャンプする操作はリモコンの右ボタンを押すことでできるようにし、ユーザがWebを閲覧した流れを左右の軸上に配置したように扱うことができるようにしている。一方ブロック間の移動や、リンク項目間の移動はリモコンの上下ボタンに割り当てている。これにより、Webの移動は上下ボタンでブロックを選ぶと右ボタンでブロック内のリンク選択に移り、上下ボタンでリンクを選ぶと右ボタンで再度リンク先のページに移動するという単純な操作体系にWeb閲覧という操作を落とし込むことができる。この操作体系はGUIの工夫により、リモコンを用いても快適に操作することができる。 [1] 辰巳,旭:「Webページのレイアウト解析手法と応用インタフェースの提案」, 第12回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2004)論文集, pp. 153-154, Dec 2004.

DS-5
題名指向性MACを実装したTCP/IPインターフェースIEEE802.15.4/ZigBeeアドホック無線装置の構築
著者*渡辺 正浩 (ATR適応コミュニケーション研究所スマートネットワーク研究室), 三觜 輝 (静岡大学大学院情報学研究科), 萬代 雅希 (静岡大学情報学部), 小花 貞夫 (ATR適応コミュニケーション研究所所長), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院インフォマティクス部門)
Pagepp. 1777 - 1781
KeywordAd hoc, ZigBee, ESPAR, Directional MAC, TCP/IP
Abstract無線アドホックネットワークの指向性メディアアクセス制御(MAC: Medium Access Control)の研究において,実際のアンテナのビーム形状,無線装置の固有の特性,実空間の電波伝搬による影響を含めた実環境での性能を評価するためにテストベッドを構築する.スマートアンテナとしてESPAR (Electronically Steerable Parasitic Array Radiator)アンテナ,無線装置としてIEEE802.15.4規格のZigBeeチップをベースとして用い,指向性ビームを用いたMACプロトコルとしてSWAMP (Smart antenna based Wider range Access MAC Protocol)方式を実装する.更に,実験においては,一般的なアプリケーション(telnet, ftp,ファイル共有など)が利用出来るように,ノートPCにTCP/IPパケット通信のトンネル処理を行い,VPN (Virtual Private Network)でも利用されているTUN/TAPドライバを利用したゲートウェイを構成する.EthernetフレームはIEEE802.15.4/ZigBeeフレームにカプセル化し,これを超えるサイズのデータを送信する場合はデータフレームを連続送信する.例えば,テストベッドのノートPCを用いてhttpサーバを立ち上げ、もう一方のクライアント側となるテストベッドのノートPCのブラウザからアクセスして画像などを表示させるようなデモが実施可能となる.

DS-6
題名複数センサネットワークを統合管理するアーキテクチャの検討
著者*神谷 英樹, 峰野 博史 (静岡大学), 石川 憲洋, 角野 宏光 (NTT ドコモ), 水野 忠則 (静岡大学)
Pagepp. 1782 - 1786
Keywordセンサネットワーク, PUCC

DS-7
題名高速赤外線通信を利用した携帯電話向けプリンティングプロトコルの実装と評価
著者*小佐野 智之, 石川 憲洋 (株式会社NTTドコモ), 北川 和裕 (慶応義塾大学), 長坂 文夫 (セイコーエプソン株式会社)
Pagepp. 1787 - 1792
KeywordP2P, オーバーレイ, プリンティングプロトコル, ユビキタス
Abstract近年、携帯電話の発達と普及が進み、従来の携帯電話網における通信機能だけでなく、赤外線、Bluetooth、無線LAN、FeliCaといった様々なローカル通信機能を備えた端末が登場している。そのため、携帯電話は通話やメールを利用するための手段だけではなく、携帯電話周辺に存在するAV機器、プリンタ、ヘッドセットなどの周辺機器を制御する手段や、携帯電話間にてローカルにデータ交換を行う手段として、利用領域が広がっている。また、DLNAやECHONETなどのホームネットワーク、RFIDなどのセンサデバイスなどを携帯電話から利用するニーズも高まっており、複数の標準化団体でプロトコル等の検討が進められている。PUCC(Peer-to-peer Universal Computing Consortium)では、ホームネットワーク、センサネットワークなどが混在するヘテロジーニアスなネットワーク環境において、携帯電話から各デバイスをシームレスに制御するプロトコルの研究開発とデファクト化を行っている。なかでも携帯電話からのプリンタ制御については、多様な環境で、多様なコンテンツ形式の印刷を可能にすることを目指している。 現在、日本の携帯電話において、もっとも普及しているローカル通信機能は赤外線通信機能であり、規格としてIrDA DATA 1.2(115kbps)が主流であるが、IrDA DATA 1.3(4Mbps),IrSimple(4Mbps)などの高速赤外線通信規格を搭載した端末も登場している。本稿ではPUCC / 既存プロトコル変換ゲートウェイにおいて高速赤外線通信モジュール上でのPUCCプリンティングプロトコルの実装と評価について述べる。 実装したゲートウェイでは、OBEX APIを用いて赤外線通信を制御する。OBEXは、赤外線通信やBluetoothなどの近距離無線通信を利用したファイルやコンテンツ、トランザクションなどの情報を交換する手順として作成された汎用のオブジェクト交換プロトコルであり、OSI参照モデルにおいては第5層のセッションプロトコルに相当する。携帯電話の赤外線通信規格であるIrMC(Infrared Mobile Communication)ではOBEXを利用して、携帯電話内の電話帳、スケジュールなどPIM情報の交換を行う。 本論文ではゲートウェイ上のプリンタ制御アプリケーションおよびPUCCプロトコルスタックをJavaで作成し、Javaプラットフォーム上で動作させた。なお、JavaプラットフォームはOBEX APIを持たないため、別途OBEX WrapperをC言語で作成し、当該APIをPUCCプロトコルからJNI経由で呼び出すことでOBEXを制御する。 PUCCプリンティングプロトコルの実装をOBEX赤外線通信に最適化し、実機を用いた性能試験により、接続性、実行速度を評価し、高速赤外線通信上で目標とするスループットを達成できたことを確認した。

DS-8
題名RFIDを利用した物品管理システムの精度向上手法に関する研究
著者*小倉 正利 (静岡大学大学院情報学研究科), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 寺島 美昭, 徳永 雄一 (三菱電機株式会社情報技術総合研究所), 水野 忠則 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1793 - 1799
KeywordRFID, 位置情報
Abstract近年発達してきた測位システムから,位置情報を利用したサービスが発展している. しかし,現在まだ屋内環境における位置情報を利用した物品管理システムは確立し ていない.精度の高い位置情報を提供する物品管理システムには,1つ1つの物品に 取り付けるデバイスにコストがかかり,デバイス自体が大きいと取り付けるものの 大きさにも制限がかかってしまう. そこで現在安価になり,コインサイズ以下の小型なものも登場しているRFIDタグを 利用して位置を推定する研究が盛んに行われている.RFIDタグは小型化し,値段も データの送受信可能な他デバイスに比べて安価であるため,物品に取り付けやすい. また,数m離れて通信を行うことが可能であるため,移動端末を持って室内を歩き回 るだけでRFIDタグの情報を集めることができる. その特性を利用して移動端末を用いた物品管理システムとしてMobitraが開発された. Mobitraでは,持ち運び可能なRFIDのタグリーダを室内で移動させ,タグリーダが タグを受信した位置を正確に測位することでタグの位置の推定を行う. リーダが受信した情報を位置管理サーバに蓄積することで,複数の移動端末からの情 報を利用することもでき,移動端末に負荷をかけることなく,指定した物品の位置推 定を行うことができる.タグの位置推定にはリーダの地点を中心とした通信範囲を円 として利用することが一般的で,Mobitraでも検知した位置の履歴から複数の円を重 ねて行くことでタグの位置推定をおこなっている.しかし現状では推定位置に1m近 い誤差が生じてしまうことがある. 実環境においてタグリーダの通信範囲を一定距離に設定することは難しいため,予測 のもとで利用しなければならない.推定時に利用する最大通信範囲を小さく予測する と,推定位置と実際の位置とに大きな誤差が発生し,大きめに予測すると,推定位置 の面積が予想以上に大きくなってしまう. 既存のシステムには,複数のタグリーダを設置し,タグリーダの通信距離を変化させる ことで,タグを検知し,各タグとの距離を計算し,位置推定を行う.LANDMARCと呼ば れるシステムが利用されているが,やはり通信範囲の設定は難しく,部屋の規模に応じ てタグリーダの個数が増加するため,コストがかかってしまうという欠点がある. また,Mobitraではタグリーダの位置を検出するシステムにセンサーネットワークを利 用した,Cricketを採用している.Cricketは天井に複数装着されたセンサーと測位 するものに取り付けるリスナーとで通信を行い,各センサー間の通信距離を利用して, リスナーの位置を即位するシステムで,インフラの整備も天井に設置し,位置情報を入 力することで使用可能である.センサー間の通信に障害が発生する場合など,正確にリ ーダの位置情報がとれない場合も生じることも誤差の原因となっている. 本研究では,履歴の分布状況や追加のパラメータを利用することによって,適した通信 範囲を知るための手法を検討及び実装を行い,リーダの正確な位置情報を得られるシス テムの利用の検討も行う.

DS-9
題名組込みマルチコアプロセッサ向けH.264ビデオデコーダ開発
著者*西原 康介, 幡生 敦史 , 森吉 達治 (NECシステムIPコア研究所)
Pagepp. 1800 - 1805
KeywordH.264, マルチコアプロセッサ, プリロード
Abstract携帯機器向けビデオコーデックとして利用されているH.264は,高負荷な演算処理を要求し,ソフトウェア処理をするには高性能なプロセッサが必要である.また一般に,シングルコアプロセッサの性能改善では消費電力が増加を招くという問題点があり,消費電力を抑えて大幅な性能向上が期待されるマルチコアプロセッサが注目されている.マルチコアプロセッサの性能を引き出すためには,逐次処理にはなかった複数コア間の演算負荷の不均等や,メモリアクセス競合などへの対応が不可欠である.そこで,H.264デコーダをマルチコアプロセッサ上で高速動作させるために,H.264デコード処理の特性に応じた分割方法を適用して同期コストを抑えた負荷均等化ができる負荷分割方法と,アクセス間隔を適応的に制御することでメモリアクセス競合を低減できるプリロード手法を提案する.前記負荷分散を適用した並列化デコーダの性能を測定した結果(QVGA 512kbps 30fpのビットストリーム使用),並列化しない場合(228Mcps)に比べ4並列動作(113Mcps)で2倍のデコード性能を達成した.また,適応制御プリロードでは,制御を行わない場合に比べ6%の性能改善が得られた.前記負荷分散と適応制御プリロードを併用することで(109Mcps),並列化しない場合に比べ2.1倍まで性能を高めることができ,本手法の適用でH.264デコーダの性能改善が図れることが示せた.

DS-10
題名PUCCストリーミングプロトコルに対するIPマルチキャスト対応拡張
著者*古村 隆明 (京都大学学術情報メディアセンター), 内田 良隆, 石川 憲洋 (NTTドコモ), 岡部 寿男 (京都大学学術情報メディアセンター)
Pagepp. 1806 - 1809
KeywordIPマルチキャスト, ピアツーピア, 動画像, ストリーミング, PUCC
AbstractPeer to Peer Universal Computing Consortium (PUCC) では, 様々なデジタルデバイス同士が自律的にピアツーピア通信を行うための プロトコルを策定している. 本稿では,PCUUで策定されているプロトコルのうち,動画像の転送に用いられる ストリーミングプロトコルを拡張し, 複数の受信者に同じ映像を転送する場合に, 通信路の途中や末端の無線区間などでマルチキャストを 利用できるよう提案と実装を行なった.