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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム
プログラム

PDF版 目次

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セッション表

表内のセッション名はそのセッション情報にリンクしています.

2007年7月4日(水)

ABCDEFGHIJK
開会式 (飛天)
12:30 - 12:55
1A (平安)
アドホックネットワーク1(MBL)

13:10 - 14:50
1B (花の舞)
アクセス制御1(CSEC)

13:10 - 14:50
1C (砂子〜磯笛)
センサネットワーク1(UBI)

13:10 - 14:50
1D (松〜梅)
位置情報とプローブシステム(ITS)

13:10 - 14:50
1E (鶴・亀)
情報家電(UBI)

13:10 - 14:50
1F (展望サロンA)
協調作業支援(GN)

13:10 - 14:50
1G (展望サロンB)
P2P1(DPS)

13:10 - 14:50
1H (回転スカイラウンジ)
インターネット1(DSM)

13:10 - 14:50


K1〜K3
(四季の広場)
企業展示
2A (平安)
アドホックネットワーク2(MBL)

15:00 - 16:40
2B (花の舞)
アクセス制御2(CSEC)

15:00 - 16:40
2C (砂子〜磯笛)
センサネットワーク2(UBI)

15:00 - 16:40
2D (松〜梅)
位置推定(ITS)

15:00 - 16:40
2E (鶴・亀)
ユビキタス情報処理1(UBI)

15:00 - 16:40
2F (展望サロンA)
屋外環境と異文化コミュニケーション(GN)

15:00 - 16:40
2G (展望サロンB)
P2P2(DPS)

15:00 - 16:40
2H (回転スカイラウンジ)
インターネット2(DSM)

15:00 - 16:40


3A (平安)
アドホックネットワーク3(MBL)

16:50 - 18:30
3B (花の舞)
ネットワークセキュリティ1(CSEC)

16:50 - 18:30
3C (砂子〜磯笛)
センサネットワーク3(UBI)

16:50 - 18:30
3D (松〜梅)
車々間通信(ITS)

16:50 - 18:30
3E (鶴・亀)
ユビキタス情報処理2(UBI)

16:50 - 18:30
3F (展望サロンA)
教育支援とインフォーマルコミュニケーション(GN)

16:50 - 18:30
3G (展望サロンB)
マルチメディア1(DPS)

16:50 - 18:30
3H (回転スカイラウンジ)
インターネット3(DSM)

16:50 - 18:30


夕食 (飛天)
19:00 - 20:30



2007年7月5日(木)

ABCDEFGHIJK
朝食 (飛天)
7:00 - 9:00
4A (平安)
ワイヤレスMACプロトコル(MBL)

8:30 - 10:10
4B (花の舞)
ネットワークセキュリティ2(CSEC)

8:30 - 10:10
4C (砂子〜磯笛)
センサネットワーク制御1(MBL)

8:30 - 10:10
4D (松〜梅)
社会システム(EIP)

8:30 - 10:10
4E (鶴・亀)
ユビキタス情報処理3(UBI)

8:30 - 10:10
4F (展望サロンA)
マルチメディア2(DPS)

8:30 - 10:10
4G (展望サロンB)
分散処理・グリッド1(DPS)

8:30 - 10:10
4H (回転スカイラウンジ)
ネットワーク管理1(DSM)

8:30 - 10:10


K4〜K8
(四季の広場)
企業展示
5A (平安)
モバイルネットワーク(MBL)

10:20 - 12:30
5B (花の舞)
ネットワークセキュリティ3(CSEC)

10:20 - 12:30
5C (砂子〜磯笛)
センサネットワーク制御2(MBL)

10:20 - 12:30
5D (松〜梅)
災害対策システム(EIP)

10:20 - 12:30
5E (鶴・亀)
ユビキタス情報処理4(UBI)

10:20 - 12:30
5F (展望サロンA)
遠隔教育(GN)

10:20 - 12:30
5G (展望サロンB)
分散処理・グリッド2(DPS)

10:20 - 12:30
5H (回転スカイラウンジ)
位置情報(ITS)

10:20 - 12:30


昼食(各セッション会場)、アウトドアセッション(ミキモト真珠島散策または鳥羽湾めぐり)
12:30 - 14:30
6A (平安)
アドホックグループ通信(MBL)

14:30 - 15:45
6B (花の舞)
IDS (CSEC)

14:30 - 15:45
6C (砂子〜磯笛)
センサネットワークミドルウェア(MBL)

14:30 - 15:45
6D (松〜梅)
プライバシ(EIP)

14:30 - 15:45
6E (鶴・亀)
ユビキタス情報処理5(UBI)

14:30 - 15:45
6F (展望サロンA)
ナレッジマネジメントとワークフロー(GN)

14:30 - 15:45
6G (展望サロンB)
RFID (UBI)

14:30 - 15:45
6H (回転スカイラウンジ)
ナビゲーション(ITS)

14:30 - 15:45


SP (平安+花の舞)
招待講演

16:05 - 17:25
















DS (萩〜もみじ)
デモセッション

17:25 - 19:05

夕食 (飛天)
19:15 - 20:45









NS (朝日〜松風)
ナイトセッション
21:30 - 23:00




2007年7月6日(金)

ABCDEFGHIJK
朝食 (飛天)
7:00 - 9:00
7A (平安)
モバイルアプリケーション(MBL)

8:30 - 10:40
7B (花の舞)
認証(CSEC)

8:30 - 10:40
7C (砂子〜磯笛)
QoS (QAI)

8:30 - 10:40
7D (松〜梅)
暗号(CSEC)

8:30 - 10:40
7E (鶴・亀)
放送型情報配信(BCC)

8:30 - 10:40
7F (展望サロンA)
Webサービス(GN)

8:30 - 10:40
7G (展望サロンB)
コンテキストアウェア1(DPS)

8:30 - 10:40
7H (回転スカイラウンジ)
ネットワークと応用(DPS)

8:30 - 10:40



8A (平安)
無線通信システム(MBL)

10:50 - 12:30
8B (花の舞)
コンピュータ・セキュリティ(CSEC)

10:50 - 12:30
8C (砂子〜磯笛)
ネットワークプロトコル(QAI)

10:50 - 12:30
8D (松〜梅)
コンテンツ・著作権保護(CSEC)

10:50 - 12:30
8E (鶴・亀)
放送・通信融合(BCC)

10:50 - 12:30
8F (展望サロンA)
仮想環境(GN)

10:50 - 12:30
8G (展望サロンB)
コンテキストアウェア2(DPS)

10:50 - 12:30
8H (回転スカイラウンジ)
ネットワーク管理2(DSM)

10:50 - 12:30



昼食 (各セッション会場)
12:30 - 13:30
閉会式 (飛天)
13:30 - 14:00



論文一覧

(「*」印は講演予定者を表す)

2007年7月4日(水)

セッション 1A  アドホックネットワーク1(MBL)
日時: 2007年7月4日(水) 13:10 - 14:50
部屋: 平安
座長: 岡崎 直宣 (宮崎大学)

1A-1 (時間: 13:10 - 13:35)
題名シームレスハンドオーバを実現する無線メッシュネットワークの提案とシミュレーション評価
著者*伊藤 将志 (名城大学大学院), 渡邊 晃 (名城大学), 鹿間 敏弘 (福井工業大学電気電子工学科)
Pagepp. 1 - 8
Keyword無線メッシュネットワーク, 無線LAN, アドホックネットワーク, ハンドオーバ
Abstract有線LANで接続していたアクセスポイント間の接続をアドホックネットワークのルーティングプロトコルで接続することによりバックボーンインフラを容易に構築する無線メッシュネットワークの研究に注目が集まっている.現在,無線メッシュネットワークは様々な機関で研究・開発が進められており,IEEEでも802.11のタスクグループsによって標準化が進められている.しかし,無線メッシュネットワークには様々な改善点が残されており,シームレスハンドオーバの実現,通信帯域の確保,最適なルーティングプロトコルの選定などが課題としてあげられる.我々はこれらの課題に対して次のような特徴を持つWAPL(Wireless Access Point Link)を提案する.(1)シームレスなハンドオーバを実現する.(2)ルーティング制御がトラヒックに及ぼす影響を極力少なくする.(3)アドホックルーティングプロトコルを自由に選択することができる.本稿ではWAPLをns-2に実装し,シミュレーションにより評価を行った結果を報告する.シームレスハンドオーバについて研究が行われている既存の無線メッシュネットワークとしてiMeshがある.iMeshはOLSRをベースに改造を施しており,端末がAPにアソシエーションを張ると,APは拡張HNAメッセージをフラッディングすることにより端末の情報を周囲に知らせる.拡張HNAメッセージを受け取ったAPは端末とその端末を配下に有するAPをマッピングすることにより,端末間通信に必要となる経路情報を構築する.端末が移動すると拡張HNAメッセージを再度送信して経路情報を更新する.フラッディングはMACブロードキャスト中継するものであり,RTS/CTS制御,再送制御などは行わない.従って,衝突が起きやすく,パケットロスが起きやすいという特性がある.そのため,背景トラヒックのあるような状態ではブロードキャストが消滅し,ハンドオーバを失敗することがある.また,HNAメッセージは上記のようなハンドオーバ失敗を修正するために定期的にフラッディングされる.これにより,システムの規模が大きいと,HNAメッセージのトラヒックが膨大になり,端末間の通信に影響を及ぼす. WAPLは端末とAPのマッピング情報のやり取りを行う機能をアドホックルーティングと独立することによって,既存のルーティングプロトコルを用途に応じて自由に選択することができる.端末とAPのマッピング情報の交換は通信開始時とハンドオーバ時のみであり,できるだけブロードキャストを使わない様にした.そのため,マッピング情報の交換によるトラヒックの影響は微小である.シームレスハンドオーバを実現するためにAPはプロミスキャスモードで近隣1ホップのAPの通信を常時監視しており,通信中の端末とAPの関係を把握する.これにより通信中の端末が移動した時のみユニキャストにより経路情報を更新することができる.シミュレーションではiMeshとWAPLをns-2のモジュールとして実装し,比較を行った.その結果,iMeshではハンドオーバ時にロスが発生するケースがあるのに対し,WAPLでは常にロスなしでハンドオーバが可能であることを実証した.今後は更に多様なシミュレーション条件を実行し,評価の信頼性を高めていく.

1A-2 (時間: 13:35 - 14:00)
題名無線アクセスポイントリンク”WAPL”の提案と評価
著者*加藤 佳之, 伊藤 将志, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 9 - 15
Keyword無線メッシュネットワーク, アドホックネットワーク
AbstractIEEE802.11準拠の無線LANは導入が容易で高速な通信が可能であるため、近年急速に普及が進んでいる。今後、無線LANはより大規模な無線ネットワークを容易に構築できることが望まれる。しかし、既存のアクセスポイント(AP)が提供できる通信範囲は限られている。またAP間の接続は有線を前提としており、設置の自由度は低い。これらの問題を克服するために近年ワイヤレスメッシュネットワーク(WMN)の研究が進められている。WMNはAP間を無線で結合するため、容易に通信範囲を拡張が可能となる。我々はメッシュネットワークの実現方式の一つとしてWireless Access Point Link(WAPL)を提案している。 WAPLはWireless Access Point(WAP)と呼ぶ特別なAPを用いてネットワークを構築する。WAPは2つの無線インタフェースを持つ。一方はAPモードに設定し、インフラストラクチャモードの端末と通信を行う。もう一方はアドホックモードに設定し、WAP間の通信を行う。WAP間の通信にはMANET(Mobile Ad-hoc Network)のルーチングプロトコルを適用し、マルチホップ通信による無線結合を行う。端末間通信のIPパケットはWAPによりカプセル化され、端末からみるとWAPL全体が端末は一つのLANのように見える。 カプセル化されたパケットはリンクテーブル(LT)を参照して適切なWAPに転送される。LTは、端末のIPアドレスとその端末を収容するWAPのアドホック側のIPアドレスの対応関係を記録したテーブルである。LTが未生成の場合、WAPはLT生成要求/応答メッセージによるLT生成シーケンスを開始する。LT生成要求メッセージはフラッディングされる。このメッセージを受け取ったWAPは収容している端末に宛先端末が配下に存在するかどうかを確認する。存在する場合、LT生成応答メッセージを送信元WAPにユニキャストで送信する。このようにしてWAPはLTを生成し、以降の通信はLTを参照して行う。端末が送信するARP requestメッセージについてはWAPが代理でARP replyを返す。 本稿ではWAPLのインターネット接続について検討を行った。WAPLでは既存の有線ネットワークの接続点にGWAP(Gateway-WAP)と呼称する、特別なWAPを配置する。GWAPは外部接続用のインタフェースとルータ機能を持ち、WAPL内部から外部へと通信パケットを転送する機能を有する。各端末はデフォルトゲートウェイをGWAPに設定することで、インターネット接続が可能となる。デフォルトゲートウェイの配布はWAPL内に配置するDHCPサーバにより行われる。しかし、この方法ではWAPL内の端末のインターネット向けのパケットがすべてGWAPを経由することになるため、GWAP周辺のトラヒックが増大し、AP間通信のボトルネックとなる懸念がある。そこで本稿では複数のデフォルトゲートウェイを分散配置する。この方式は1つ以上のGWAPをWAPL上に配置する。WAPLは前述のアーキテクチャによりパケットは任意のWAPへとルーティングすることが可能である。端末からのインターネット向けのパケットを受信するとWAPは最適なGWAPを選択し、転送を行う。GWAPの選択手法には以下の2通りがある。ホップベース選択方式は送信元端末を収容するWAPと宛先のGWAPのホップ数を算出し、最小のものを選択する。この手法は端末へのトラヒックを最大化する効果が高い。フロー監視方式は各GWAPのトラヒックを監視し、トラヒックの低いGWAPに優先的にパケットを転送する。この方式はGW近傍のトラヒックを平均化する効果が高く、WAPL全体のトラヒックを最適化できる。 WAPLの基本機能は実装済みであり今後は本稿の提案手法を実装し、評価を行う。

1A-3 (時間: 14:00 - 14:25)
題名非対称無線マルチホップネットワークへのTDD導入とその効果について
著者*明石 藍子 (静岡大学大学院情報学研究科), 西井 龍五, 撫中 達司 (三菱電機情報技術総合研究所), 萬代 雅希 (静岡大学情報学部), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院インフォマティクス部門)
Pagepp. 16 - 24
Keywordメッシュネットワーク, 非対称
Abstract 近年の無線技術の進歩,ネットワーク技術の発展に伴い, APをメッシュ状に無線接続したメッシュネットワークが注目されつつある.メッシュネットワークとは半固定的に設置された無線通信機能を持つアクセスポイント(Mesh Access Point : 以下AP)と移動端末であるモバイルノード(Station : 以下STA)で構成されるネットワークで,ネットワーク構築・システム保持の容易性,通信領域の拡大,APの負荷分散などの特性を持つ.メッシュネットワークではAPの通信範囲はSTAと同一であるため通信はシングルホップで行われている.  本研究では無線LANの規格であるIEEE802.11をベースとし,無線マルチホップネットワークネットワークの高効率化を目指すためにTDD(以下Time Division Duplex)の導入,検討を行う.メッシュネットワークの構成要素であるAPの送信出力を大きくする非対称無線マルチホップネットワークを利用することで下りデータ送信にかかる中継時間を減らすこと,TDD(Time Division Duplex)を導入することで上りデータ送信と下りデータ送信の衝突を少なくすることで,従来のメッシュネットワークからのスループットの向上を図る.  本研究のベースになっている非対称無線マルチホップネットワークとはSTAの省電力化を目的として提案されたネットワークである.メッシュネットワークにおけるAPはその設置条件上電力供給が見込めるが,一方のSTAは小型化による電力制限が厳しい.この差に着目してAPの無線出力到達距離を長くすることでAPからSTAへの通信はシングルホップ通信,STAからAPへの通信はマルチホップ通信という非対称な通信方法を持つネットワークを構成することができる.この非対称なネットワークではSTAがAPからのデータ中継を行わないため,中継にかかる電力消費・中継遅延を抑えることが可能となる.  また,携帯電話のようなモバイル環境においてはSTAからのインターネットアクセスというメッシュネットワーク利用方法が一般的と考えられる.このような環境ではサーバからSTAへのデータ(下りデータ)が端末からサーバへのデータ(上りデータ)に比べはるかに多いという前提が成り立つため,下りデータをマルチホップ通信する際の遅延やSTAにかかる負担が上りデータに比べて大きくなる.そのため,サイズの大きな下りデータをシングルホップ通信で行い中継遅延を短縮できることはネットワークの処理能力を向上させると考えられる.  しかし非対称無線ネットワークに通常のデータ通信を適用すると,APがSTA間の通信をキャリアセンスできない(電力送信範囲と電力受信範囲は異なる)ため,高出力のAPがSTA間の通信に干渉・衝突するという問題が発生する.そこで,効果的な下りデータ配信を目的として非対称無線マルチホップネットワークに対してTDDを導入する.本方式ではネットワークの運営時間を「各STAがAPに対してデータ配信を行う(上りデータ処理)期間」と「APが要求のあったSTAに対してデータ配信を行う(下りデータ処理)期間」に明示的に分離,管理する.上りデータ処理期間はAPからのデータ送信を,下りデータ処理期間はSTA間のデータ通信を禁止することでAPがキャリアセンスできないSTA間のデータ通信とAPからのデータ送信との衝突を避ける.  TDD導入の基礎評価として,従来方式(IEEE 802.11)と提案方式との性能比較を行った.トポロジやパラメータには同一の値を用いる一方,従来方式と提案方式でAPの通信範囲と動作を変更している.従来方式ではAPとSTAの通信範囲が等しいが,提案方式ではAPの通信範囲を拡大することで下りデータシングルホップを実現した.また,提案方式においてAPは全要求データ受信まで送信しないとし,全要求データ受信までを上りデータ処理期間と仮定することで時間分割による通信方向の制御を行った.また,評価指標には遅延とスループットを用いた.  シミュレーション結果として,提案方式は従来方式を基準としたときに7%〜21%の遅延時間、5倍〜15倍のスループットを示した.  本研究では下りデータを効率よく配信する非対称無線マルチホップネットワークに対してTDDを導入した際の効果について述べた.下りデータ処理と上りデータ処理を分割することでデータの干渉や衝突を減らし,効率のよいデータ通信を目指し,計算機シミュレーションを用いて有効性を示した.今後は効率的なデータ処理期間長を計算によって求め,動的に期間切り替えを行いながら現実的なデータ通信モデルを用いたシミュレーション評価を行う.また複数APを設置した場合のデータ処理等についても考察し,高性能なメッシュネットワークに関する技術を提案していく.

1A-4 (時間: 14:25 - 14:50)
題名無線ネットワークシミュレータMobiREALの並列化機構の性能向上手法と性能評価
著者*花房 諒, 山口 弘純, 楠本 真二 (大阪大学大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻), 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科情報ネットワーク学専攻)
Pagepp. 25 - 32
KeywordMobiREAL, 並列, シミュレータ, ネットワーク, lookahead
Abstract本論文では,イベントの先読み機構による移動無線ネットワーク を対象とした並列シミュレータの同期効率向上手法を提案し, その性能を評価する.本手法が対象とするネットワークシミュレ ータはシミュレーション対象の領域を複数に分割し,分割した領 域ごとに担当プロセスを割り当てる.各プロセスは結果に矛盾が 生じないように協調してシミュレーションを実現する.この種の 同期手法の性能はlookaheadと呼ばれる値に大きく依存する. 提案手法ではイベントを先読みして,lookaheadをより早期に,よ り高い精度で動的に求めることで同期効率を高める.本論文では シミュレーション対象領域の面積やノード密度を変化させて提案 手法の性能評価を行った結果,静的なlookaheadを用いた場合と 比較し約4%から約50%の性能向上が見られた.


セッション 1B  アクセス制御1(CSEC)
日時: 2007年7月4日(水) 13:10 - 14:50
部屋: 花の舞
座長: 田端 利宏 (岡山大学)

1B-1 (時間: 13:10 - 13:35)
題名アドホックネットワークにおけるマルチフィルタリング
著者*山本 太郎, 谷本 茂明 (日本電信電話株式会社 NTT情報流通プラットフォーム研究所)
Pagepp. 33 - 40
Keywordフィルタリング技術, マッチング技術, アドホックネットワーク, アクセス制御, コンテキストアウェアネス
Abstract インターネットや携帯電話等の普及により,ユビキタスコミュニケーションが一般化してきている.また,NWの利用形態としては,直接の知り合いでなくても(オープン),ある条件を満たす者同士(クローズド)でコミュニケーションを行うといった利用形態が増えてきている.  ユビキタスコミュニケーション環境で有効なアドホックNWにおいて,ある条件を満たす者同士で情報交換等を行う際,省力化及び高速化の観点から自動化手法であるフィルタリング技術が有効である.  情報交換では,対象者以外に情報を送信したり,不要な情報を受信したりする等の脅威が考えられる.これらを解決する為に,第三者がフィルタリングに関与することが望ましいが,提供者と利用者の双方にとって,その第三者が,一方に与したフィルタリングを行っているのではないかといった脅威も考えられる.  一方,このような環境では様々なものが変動しており,マッチングにおいてその変動を敏感に把握する必要がある.  以上を踏まえ,本論文では,前述の環境下で,マッチングの際に,環境等の変動に追従するとともに,アドホックNWの特徴を活かし,複数の中継ノードが第三者としてフィルタリングを行う方式の提案を行う.

1B-2 (時間: 13:35 - 14:00)
題名リモート制御サービスの安全性を表現する機器利用権
著者*釜坂 等, 北上 眞二, 安田 晃久 (三菱電機株式会社), 石本 貴之, 服部 佐次郎 (三菱電機インフォーメーションシステムズ株式会社)
Pagepp. 41 - 48
KeywordACL
Abstract1.はじめに 近年、多機能な興味深い情報家電が発売されてきた。これらの情報家電は、家庭内のホームネットワーク内で連携して利用できるだけでなく、インターネットと接続して、コンテンツのダウンロードを行うだけでなく、携帯電話等を通じて、家庭外からリモートで制御できるようになってきている。 しかし、消費者の意識調査によると、情報家電利用の条件として、誤動作や不正アクセス防止等のセキュリティ機能などといったセキュリティに関することを第一に重要視しており、これらの不安が、サービスが普及していない原因の一つにあると考える。 そこで、本稿では、この不安を解消するための「サービスの安全性」を定義し、このサービスの安全性を実現するリモート制御の方式およびそのメッセージ形式を定義(「機器利用権」)したので報告する。 2.サービスの安全性と機器利用権 2.1 サービスの安全性 インターネットを用いたリモート制御サービス享受での脅威として、第一にネットワークセキュリティが挙げられるが、SSL技術など暗号化通信技術や認証技術によって対策できている。しかし、サービスを享受する側からの脅威に、実際のリモート監視や制御といったサービス内容のサービス契約内容からの逸脱がある。 そこで、サービスの契約内容に逸脱しないサービスが提供されることを「サービスの安全性」と定義する。 2.2 機器利用権 サービス契約は、一般に自然言語によってサービス内容(操作内容)を規定する。サービス契約の内容に関して、サービス契約を逸脱した制御をチェックするには、機器制御内容に関するサービス契約内容を機器が解釈できる電子的な表現形式を定義する必要がある。この表現形式を「機器利用権」として定義する。 機器利用権は、XML(eXtensible Markup Language)表記によって、サービス内容(サービス提供者、操作対象機器、操作内容、操作条件)を表記する。また、内容の改ざん防止のためにXML電子署名技術を利用する。 2.3 機器利用権によるリモート制御の手順 機器利用権を用いたリモート制御は、以下の手順となる。 [1]サービス提供者からのサービス情報提供:サービス提供者は、サービス契約内容を公開する。この契約内容は、機器利用権の形式で公開される。 [2]ユーザのサービス加入:ユーザは、サービス情報を確認(該当するリモート制御内容が許可できる場合)し、サービスの加入を行う。この時、サービス契約内容つまり、サービス事業者と機器所有者の合意内容を記載した機器利用権を発行する。 [3]サービス提供者からのサービス提供:サービス加入にてユーザから発行された機器利用権に、具体的な制御コマンドを付加して機器に送付することによって、サービス提供つまり、リモート制御を行う。このとき、制御コマンドが、サービス契約内容(=機器利用権)から逸脱していないかどうかをチェックすることにより、サービスの安全性を確保する。 3.まとめ  リモートサービスを普及させるための「サービスの安全性」を定義し、それを実現するメッセージ形式である「機器利用権」を定義した。今後、本仕様に基づいて実装したシステムを用いて、評価を行う予定である。

1B-3 (時間: 14:00 - 14:25)
題名ソーシャルフィルタリングを用いた承認システム
著者*久保山 拓, 五味 秀仁, 小西 弘一 (NEC)
Pagepp. 49 - 52
Keywordソーシャルフィルタリング, 承認
Abstract 従来、個人間における承認処理では承認要求者からの承認要求に対して承認者自らが承認すべきかどうかを考えて承認可否の決定を行っている。このような個人間の承認処理では、代表的な例として保護者が子供の有害コンテンツへのアクセスを制御するペアレンタルコントロールや、企業内における上司による部下の行動の管理や業務上の適切性を考慮した承認等が挙げられが、例えばペアレンタルコントロールでは親が承認可否判断に迷ったり、承認の可否決定を行うことによる子供の他者との協調性に関する影響等を考えなければならなかったりして承認を行うことが困難になることがあり、同世代の保護者がどのような判断を行っているか知りたいと考える場合もある。しかし、実際には多くの保護者の判断を知る手段は乏しく、またそれらの情報が自分が承認を行うにあたって最適である保証も無い。そのため、個人間の承認処理において他の承認者の承認結果から、承認者にとって最適な判断材料を抽出し、提供することが課題となる。  そこで本論では、過去に他の承認者が承認要求に対して行った承認可否判断の情報を保管し、承認者がその情報の中から自分とって承認可否判断に必要となる情報をフィルタリングして収集し、承認に最適な参考情報を得ることで承認処理が行えるシステムについて検討した。  本システムは、過去に様々な承認要求者によってされた承認要求に対する承認者の承認可否判断結果の履歴をデータベースとして保管し、その履歴から承認者の必要とする情報を抽出した結果を承認可否の判断を行う際の参考情報として承認者に提示する。履歴データベースには要求内容と承認結果に加え、係る承認要求者、承認者の情報を保管する。  承認要求者から承認要求が行われた場合、承認者は要求内容、承認要求者、承認者の各属性項目のうち、自分が情報を必要とし検索したい属性項目と、フィルタリングする条件を指定する。これは例えばペアレンタルコントロールでは属性項目がコンテンツのジャンルや価格、子供の性別や年齢といったものであり、フィルタリングする条件は『子供の性別が女子、年齢が10〜12才』というものである。フィルタリングする属性項目と条件を指定後、承認者は履歴データベースから適合するレコードをフィルタリングする。このようなフィルタリングを行うことで承認者が参考としたい属性を持つ承認者が過去に行った承認可否判断結果の集合を得ることができ、この承認可否判断結果の総数およびそのうち承認可となっている数の割合を承認者に提示する。  本システムにより承認者は承認要求毎に承認要求内容、承認者、承認要求者の属性から承認可否決定の参考としたい属性と条件を指定することで、承認者は過去の承認履歴からフィルタリングされた最適な判断材料を得て承認を行うことが出来る。  また、上述では承認要求に対して承認者が直接承認を行っていたが、本提案では自動承認を行うことも出来る。これは、新たに履歴データベースからフィルタリングする属性と条件を承認者のポリシとして事前に設定しておき、加えて承認者が有効サンプル数であるとみなすフィルタリング後の承認可否判断結果の総数と、承認者が承認してもよいと考える承認許容率も設定する。これは例えば『有効サンプル数200、承認許容率60%』のように設定する。このように設定することで承認者が承認要求に対して即座に承認が行えない場合でも、フィルタリング後の履歴数数、承認率と承認者が設定した有効サンプル数、承認許容率を比較することで、システムが自動で、しかも判断材料を参考にして承認者自身が承認を行う場合と同等の承認可否判断を行うことが出来る。


セッション 1C  センサネットワーク1(UBI)
日時: 2007年7月4日(水) 13:10 - 14:50
部屋: 砂子〜磯笛
座長: 秡川 友宏 (静岡大学)

1C-1 (時間: 13:10 - 13:35)
題名無線センサネットワークにおけるモバイルエージェントの直接通信
著者*末永 俊一郎 (日本ユニシス/総合研究大学院大学), 本位田 真一 (国立情報学研究所/東京大学)
Pagepp. 53 - 59
Keyword無線センサーネットワーク, エージェント, 通信
Abstract1. 概要 無線センサネットワーク(Wireless Sensor Network :WSN) は,多量なノードで構成されるネットワークである.WSN を構成するノードは資源が限られている一方,複数のアプリケーションをWSN 上で実現したいというニーズがある.既存研究により,このニーズに対して,モバイルエージェントの適用可能性が示された.ただし,エージェント間の通信遅延と通信の信頼性は課題として残されており,WSN の規模が大きくなるにつれ,無視できない課題となる.本論文では,WSN 内で通信を行う複数のエージェントが通信相手とな るエージェントを物理的な距離が近い範囲から検索する手法を提供し,通信遅延の減少と通信の信頼性を向上することを目的とする. キーワード:無線センサネットワーク,モバイルエージェント,通信遅延,通信の信頼性 2. イントロダクション WSN (Wireless Sensor Network)にアプリケーションを配備するために,プログラマはプログラムを記述し,バイナリコードをセンサノードに焼き付ける必要がある.このとき,プログラマはセンサノード とパソコンを接続する必要がある.しかし,人手で保守することが難しい場所に敷設されるケースが多いWSN アプリケーションでは,常に,ノードと PC を物理的に接続できるとは限らない.そこで,無線波経由でプログラムを更新する研究が行われた.代表的な研究例にDelugeやMateがある.これらの研究事例は,全てのノード群に同じアプリケーションがインストールされていることを想定していた.そこで,異なるアプリケーションをノードに動的に配備する研究が行われた.SensorWareや Agillaはモバイルエージェントを実装技術として,エージェントで構成されるアプリケーション をノードに配備することを示した.両研究の最大の差は,極めて資源の少ないMOTEといわれるセンサノードでAgillaが稼動することである.本研究では,MOTEのような資源制約の厳しいセンサノードを用いて,複数のステークホルダによる複数のアプリケーションが一つのインフラを利用する環境を想定する. 3. 課題 WSN が大規模になると,WSN が空間的な広がりを持ち,距離の離れたノード間の通信が必要な場合がある.WSN はIP ネットワークと異なり,通信の信頼性と通信の遅延がノード間の距離に大きく依存する.そこで,距離が離れた通信を抑えられれば,通信遅延を減少し,通信の信頼性を向上できる.Agilla では移動する可能性をもつエージェント間の通信を,特定のノードのタプルを用いて行う.しかし,プログラマはこの座標をハードコードするため,空間的に分散した同じコードをもつエージェントは全て,特定のタプルで通信を行うことになる.しかし,この通信モデルでは,距離の離れたエージェント間で通信 を行う際の通信遅延が起こるだけでなく,通信の正確性の観点でも非効率である. そこで,本研究では,エージェント間の直接通信を実現する手法を提案する. 4.ソリューション 本研究のゴールは,エージェントがWSN 内で動的に最寄の通信相手を探す環境を提供することである.提案手法の概要は,次のとおりである.WSN のアプリケーションを実現できるエージェントを機能単位で分割し名称を定義する.これらの機能を持つエージェント 間のインタラクションのパターンを定型化し,アプリケーションを構成する複数のエージェントがお互いに名称で互いを検索できる機構を与える. 検索を行うために,一定範囲のエージェントの所在を管理するランドマークノードを儲ける.ランドマークは,自身がランドマークになった時点で,近隣のノード群にランドマークであることをブロードキャストする.メッセージを受信したノード群は,ランドマークの位置を登録する.モバイルエージェントが移動を行った際には,ランドマークノードに自身の位置と名称を登録,削除することでモバイルエージェントの位置の情報が最新に保たれる. モバイルエージェントは通信対象となるエージェントの位置をランドマークノードに問い合わせることによって取得することができる.

1C-2 (時間: 13:35 - 14:00)
題名センサに対する地理位置情報の自動設定手法
著者*山内 正人, 洞井 晋一, 松浦 知史, 砂原 秀樹 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)
Pagepp. 60 - 65
Keywordセンサネットワーク, 位置情報, 自動設定
Abstract近年センサの小型化、低価格化が進み、センサが世の中に偏在するようになってきている。 また、ネットワーク環境の整備によって様々な情報を大量に流通させることが可能となってきた。 それにより、大規模なセンサネットワークが構築され、運用・管理、センサデータの利用がおこなわれてきている。 また、こうしたセンサネットワークではセンサにメタ情報を付与しサービスや運用・管理に活用している。 しかし多くのメタ情報は自動化されておらず手入力のため設定コストが高いといった問題がある。 また、設定コストが高いことによって設定者は精度の悪い情報を入力するといった問題もある。 そこで本論文では、センサの位置情報取得の自動化を目的とし、センサに対する地理位置情報の自動設定手法の検討を行う。 位置情報を取得する方法としてGPSやIPアドレスを用いた方法、無線LAN基地局情報を用いた方法が考えられる。 これらの位置情報取得方法を定性的に比較しセンサに対する地理位置情報を自動設定するための最適な方法を検討する。 またGPSと無線LAN基地局を利用して取得した位置情報を比較し、センサの位置情報の設定誤差が許容可能で 広範囲で設定可能であることを確認した。

1C-3 (時間: 14:00 - 14:25)
題名センサネットワークのための位置情報を用いた階層的省電力化手法の評価
著者*稲垣 徳也, 石原 進 (静岡大学)
Pagepp. 66 - 73
Keywordセンサネットワーク, 省電力化, 位置情報, 適応型トポロジ, 階層化
Abstract無線センサネットワークでは,無線センサノードを観測したい領域に配置し,それらノード間にお けるマルチホップ通信を用いて観測者へセンシングされたデータが送信される.その際,センサノー ドには電源容量の限られた小型端末が使用され,ネットワークの維持のために稼動端末の省電力化 が重要となる.そこで,筆者らはセンサネットワークにおける位置情報を利用した省電力手法である GAF(Geographical Adaptive Fidelity) に階層構造を導入し,必要最低限のノードを動的に利用するこ とでさらなる省電力化を図る電力制御手法HGAF(Hierarchical Geographical Adaptive Fidelity) を提案 している.本稿ではそのシミュレーション評価について述べる.シミュレーションの結果,HGAF は GAF と比べてノード寿命とパケット到達率の点で優れていることが確かめられた.

1C-4 (時間: 14:25 - 14:50)
題名連鎖型センサネットワークにおけるデータ集約の効果について
著者*岡村 大輔 (静岡大学大学院情報学研究科), 萬代 雅希 (静岡大学情報学部), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院インフォマティクス部門)
Pagepp. 74 - 81
Keywordセンサネットワーク


セッション 1D  位置情報とプローブシステム(ITS)
日時: 2007年7月4日(水) 13:10 - 14:50
部屋: 松〜梅
座長: 梅津 高朗 (大阪大学)

1D-1 (時間: 13:10 - 13:35)
題名追突事故防止を考慮した車両位置の伝搬手法の提案
著者*岡田 陽次郎, 春名 恒臣 (慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻), 重野 寛 (慶應義塾大学理工学部)
Pagepp. 82 - 87
KeywordITS, 車車間通信, フラッディング
Abstract今日,我々にとって自動車は日常生活において欠かせないものとなっている.自動車は個人各々の都合により任意に移動することができ,利便性の面で非常に優れている.しかし,自動車はこういった有益な面ばかりではない.その反面,自動車の持つ特性により,様々な問題が起こっている.交通事故・交通渋滞・環境汚染がその代表である. 自動車交通社会の問題を根本的に解決するために,ITS (Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)の研究が世界的に行われている.ITSとは,最先端の情報通信技術を用いて,道路と車を一体のシステムとして構築し,安全性や輸送効率,さらには快適性・利便性を向上させるというねらいがあり,その結果,これまでに述べた問題を根本的に解決しようとするものである.ITSにおいて具体的に進められている研究として,道路と車両が通信する路車間通信と,車両と車両がお互いに通信し合う車車間通信がある. 路車間通信では急速に普及しているETC(自動料金収受システム)のようなスポット型の通信に加えて,道路交通情報の提供のような路側から車両への情報送信,また交通状態の把握や管理のために車両から路側に車両情報を送信することも考えられる.また,安全運転支援のために事故を起こしやすい区間において常時接続が可能なような連続型の路車間通信についても研究が行われている. 車車間通信では多くの車両が車車間通信のための車載器を搭載することが必要であるものの,車両同士の通信によってリアルタイム性の高い走行制御や緊急情報の伝達を行うことが可能であり,安全運転支援や道路交通の効率化の実現には欠かせない技術である.リアルタイム性の高い車両事故防止システムのようなアプリケーションを車車間通信で用いるためには,周辺車両の位置は必ず把握する必要がある.そこで現在,移動性の高いノードへデータを届ける手法であるフラッディングを車車間通信に適用することで,車両IDや車両位置・速度・加速度などの車両情報を伝搬させる手法が検討されている.従来検討されてきた周辺車両に自車両の位置を把握させる方式では,信号や道路形状などによる車両特有の運動である加速や減速を考慮せず,一定周期で車両情報を伝搬している.車両の運動を考えたときに,追突する危険性は常に存在する.追突事故を考慮し,一定周期で車両情報を伝搬させると,トラフィック量の増加が生じてしまう.トラフィック量が増加すると,車車間通信においてパケットが送信先へ届かない可能性が生じる. そこで本研究では,フラッディングによる伝搬手法をベースに,追突事故の防止を目的とした,パケット送信周期を適切な値に動的に変化させる手法を提案する.この場合の適切とは、追突する危険性が0であるということを指す.伝搬するパケットには車両IDと位置・速度・加速度を含ませる.提案方式の2つの機能として,パケット送信周期制御とパケット伝搬制御を考える.前者は,車間距離・速度・加速度より追突事故の危険性を推測し,次のタイムスロットまでに追突しないパケット送信周期を周辺車両のパケットを受信するたびに逐次計算により決定する.そのパケット送信周期を用いて自車両の位置情報を送信する.後車では,危険度に応じてブロードキャストとフラッディングのどちらかを用いてパケットの伝搬範囲の切り替えを行う.伝搬範囲の切り替えを行うことで,追突する危険性が高い車両にパケットを届けるようにする.また,ブロードキャストとフラッディングの切り替えをし,トラフィック量の増加を防ぎながら車両情報の伝搬をする.パケット伝搬範囲の切り替えを行うために車両の状態遷移を考え,危険性が低い場合を通常走行モード,危険性が高い場合を危険走行モード,車両が停止している場合を停止モードと定義し,その3つの車両状態を考える. シミュレーションにより,提案手法の性能を評価し,トラフィック量を低く保ちながら,危険性が低い場合にはパケットの送信を抑え,危険性が高い場合にはパケットを頻繁に送信させることを示す. その結果,提案方式では,追突する危険性が低い状況ではパケット生成量を低く抑え,危険性が高い状況ではパケットを多く生成しながら,危険性が高い状況においてもトラフィック量を低く保つことが示された.よって,追突事故の防止を考慮した位置の伝搬は,安全性に着目したITSアプリケーションによる位置の伝搬をサポートし,交通事故防止を援助することができると考えられる.また,位置を把握させることで,他のアプリケーションにも利用可能であると考えられる.

1D-2 (時間: 13:35 - 14:00)
題名車車間通信を用いた渋滞情報収集と目的地への到着時刻予測手法の提案
著者*木谷 友哉, 寺内 隆志 (奈良先端科学技術大学院大学), 柴田 直樹 (滋賀大学), 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学), 東野 輝夫 (大阪大学), 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 88 - 95
Keyword車車間通信, 渋滞情報, エリア分割
Abstract本研究では,道路を走行する各車両が道路の混雑状況を自律的に収集し,目的地への到着時刻を推測できるようにすることを目的とした,車車間通信による情報管理・伝播方式を提案する. 提案方式では,対象道路網をエリアと呼ばれる部分領域群に分割し,各車両がその経路を通過する時間を部分領域毎に計測する. 経路の部分領域毎の通過時間の情報を他の車両と車車間通信を用いて,交換,収集,集計し統計情報として流通させることで,各車両が目的地への経路の通過にかかる時間を予測できるようにする. 車車間通信による統計情報生成の際には,異なる車両を経由して同じデータが重複して受信され集計されるという問題が起こるため,データのハッシュ値を付加することで重複集計をある程度回避できるようにする. また,限られた通信帯域のもとで統計情報を送信するために,提案方式では,統計情報を幾つかのカテゴリに分類し,重要なカテゴリの情報をより高い優先度で送る. 提案方式の有効性を評価するため,車車間通信のプロトコルおよび集計・管理システムを設計・実装し,交通流シミュレータNETSTREAM に組み込み,実験を行った. その結果,車車間通信を用いた統計情報の作成・交換が十分に可能であることを確認した.

1D-3 (時間: 14:00 - 14:25)
題名次世代プローブ情報システム(1)〜スケーラブルなプローブ情報の収集・配信アーキテクチャの提案〜
著者*三津橋 晃丈 (NEC 共通基盤ソフトウェア研究所), 藤山 健一郎, 喜田 弘司, 中村 暢達 (NEC サービスプラットフォーム研究所)
Pagepp. 96 - 103
KeywordITS, 位置情報システム, センサーネットワーク, ユビキタス情報処理

1D-4 (時間: 14:25 - 14:50)
題名次世代プローブ情報システム(2)〜大規模高速マップマッチングアルゴリズムの提案〜
著者*喜田 弘司, 藤山 健一郎, 三津橋 晃丈, 中村 暢達 (NEC インターネットシステム研究所)
Pagepp. 104 - 109
Keywordマップマッチング, ITS, アベイラビリティ
Abstract1.はじめに 近年,自動車等の交通に係る様々な社会的要請への対応方策として、ITSが推進されている.本稿では,車両を動くセンサーとみたて車両個々の情報をサーバに集約し加工することにより新たな価値を創出する「プローブ情報システム」を議論する. プローブ情報システムは現在,実証実験の段階であり,経済産業省とソフトウェアエンジニアリング技術研究組合(COSE)の共同プロジェクトが最も新しい[1].この実験では8500台のタクシーやバスからのプローブ情報を使って5分周期で渋滞情報を生成する. 実用化を目指した次のステップは,全国規模で数万台のプローブ情報を解析することであり,大規模化への対応が重要な技術課題である.本稿では,プローブ情報の解析には欠かすことができない,マップマッチングの大規模化のためのアルゴリズムを提案する. 2.マップマッチングの分析 2.1 問題定義 マップマッチングとは,車両の位置情報から,車両が走行している道路を紐付ける.本稿では,道路ネットワーク全体を交差点から交差点などの単位で区切った道路区間へのデータのマッチングを行う. 2.2 要件分析 ITSのサービスは社会インフラであり以下の要件を満足する必要がある. スケーラビリティ:車両数,適用地域の拡大に伴いボトルネックのないマッチング方式である必要がある. リアルタイム:渋滞情報などリアルタイム性が重要視されるサービスのニーズが高く,また(夜間)バッチ処理では処理が追いつかない問題の発生が考えられ,可能な限り処理コストがひくい方式である必要がある. アベイラビリティ:想定外の大量にデータが発生した場合においても,システムを停止させることなく解析が継続できる必要がある. 3. 大規模高速マップマッチング 3.1 基本方針 問題の本質は,「データの発生速度と比べ,データの解析速度の方が早い必要がある」ことである.1データ当たりの処理コストを下げる工夫も重要であるが,前記の条件を保証することはできない.そこで我々は,近似計算により,データの解析速度を制御できる方式を提案する.すなわち,発生するデータが少ない場合には,1データ当たりの平均解析コストをかけて正確に計算し,発生するデータが多くなればなるほど,近似計算により1データ当たりの平均解析コストを低くし高速に解析する. 3.2 高精度近似処理 高精度近似処理では,データの解析速度の制御を,解析するデータのサンプリングレートを変えることで行う.精度の低減を抑えるために,車両データのローカル性に着目したサンプリングレートの決定方法を提案する.車両データを分析すると,同じ道路を走っている車両はデータが似ており,サンプリングによりデータを捨てたとしても解析に影響が少ないと考えられる.そこで,高精度近似処理では,道路を地理的な接続関係でグルーピングし,解析に十分にデータがそろっているグループはサンプリングレートを低くし,データがそろっていないグループはサンプリングレートを高くする.解析に必要なデータ数の十分性は,道路の長さ、データの分散値,データの時間変化、カーブ,交差点などの道路の構造で算出する. 3.3 アルゴリズム 前処理:  (ステップ1)道路ネットワークを等間隔にグリッドに分割 (ステップ2)道路の結合関係からグリッドを結合(グルーピング) マッチング処理:以下のステップを全データ繰り返す (ステップ1)グリッドとマッチング (ステップ2)もし,すでにデータが足りているグリッドであれば,このデータの処理を終了し次のデータを処理.データが不足している場合は,ステップ3を実行 (ステップ3)グリッドの中に含まれる複数の道路区間との距離を算出し,最も近い道路区間にデータを紐付ける (ステップ4)グリッド毎にデータ数の十分性を評価 4 リアルタイム渋滞度算出アプリケーション 大規模高速マップマッチング方式をベースに渋滞度を算出するアプリケーションを作成した.プローブカーを,奈良県奈良市,生駒市でシミュレーションさせ[2],位置,速度,方向を解析サーバへ送信した.解析サーバでは,マップマッチングを行い,道路区間毎の渋滞度を算出した.毎秒5万台のデータからリアルタイムに算出することに成功した. 5 評価 基本性能の評価として,従来方式と比較実験を行った.道路本数変化による処理時間の変化は,従来方式がリニアに増えるのに対し,本方式は計算量が一定であることが確認できた.また,車両台数の変化による処理時間の変化は,本方式,従来方式共にリニアに増えるが,本方式は従来方式の14%程度の処理時間であり圧倒的に高速である.また,高精度近似処理は,ランダムにサンプリングした場合,サンプリングレートに比例して精度が悪くなるのに対し,本方式では,精度の低減がほとんどないことを確認した. 参考文献: [1] ソフトウェアエンジニアリング技術研究組合(COSE)ホームページ, 先進的ソフトウェア開発プロジェクト公開デモンストレーション,http://www.cose.jpn.org/ [2] 株式会社フェニックスリサーチ交通シミュレータ『NETSIM日本版 V5』ホームページ,http://www.phoenix-r.co.jp/products/netsim/netsim.htm


セッション 1E  情報家電(UBI)
日時: 2007年7月4日(水) 13:10 - 14:50
部屋: 鶴・亀
座長: 今野 将 (東北大学)

1E-1 (時間: 13:10 - 13:35)
題名携帯電話端末のユーザインタフェースにおけるデータ利用量削減の一手法
著者*中西 正洋, 坂倉 健太郎, 天野 美樹, 財満 博昭, 畑山 尚毅, 片山 三千太, 小野 修一郎 (シャープ株式会社技術本部プラットフォーム開発センター), 尾上 孝雄 (大阪大学情報科学研究科)
Pagepp. 110 - 116
Keyword携帯電話, UI, XML, SVG, カスタマイズ
Abstract近年,携帯電話端末のユーザインタフェース(UI)が利用する画像のデータサイズは,(1)高解像度化(2)画像カスタマイズ範囲の広がり(3)高速レスポンス処理のための非圧縮画像の利用,という3要件により,増加の一途をたどっている.利用するデータサイズが増加するにつれて,大容量で高価格なメモリが必要となり,端末の製造コストが増大する.このため,UIが利用するデータサイズを削減することが強く望まれている.一方,組込み機器のUIをXML言語で記述する流れが広まってきている.これにより,開発者の裾野が広がり,開発コストが削減できるようになってきた.そこで本研究では,端末のUIにおける新しいデータ利用量削減の一手法を提案する.また,(1)UIをXML言語で記述可能で,(2)UIを利用中に瞬時にカスタマイズ可能で,(3)UIが利用するデータサイズの削減が可能という特長を持つUIシステムを実装し,提案手法の有効性の評価を行った.結果として,9種類のUIが選択可能である場合,従来手法と比較して67%のデータ利用量を削減できた.

1E-2 (時間: 13:35 - 14:00)
題名ゲートウェイへの機能追加を必要としない埋め込みIPv6アドレスのためのアドレス管理手法
著者*黒木 秀和 (株式会社IRIユビテック ユビキタス研究所/静岡大学創造科学技術大学院), 井上 博之, 荻野 司 (株式会社IRIユビテック ユビキタス研究所), 石原 進 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 117 - 124
Keyword埋め込みアドレス, IPv6, NEMO, 機器管理, 情報家電
Abstract 従来ではIP機能が搭載されることのなかった様々な機器に対して新たにIP機能が搭載され、インターネットを介した機器の操作や保守、あるいは新しいサービスが実現されるようになってきている。  これらを容易に実現する方法の一つとして、機器の出荷時等に予め決められたIPアドレスを機器内部に埋め込み、機器とインターネット上の他のIPホスト間において、埋め込まれたIPアドレスを用いた通信を実現することが考えられる。この方法を実現することにより、複雑なIPアドレス設定機能や設置場所によって動的に変化する機器のIPアドレス管理を不要にし、機器の遠隔操作や遠隔保守を容易にすることが出来る。  しかし、一般的に機器に設定するIPアドレスが機器の設置されたネットワーク環境において割り当てられるIPアドレスではない場合、機器とは異なるネットワークに接続されたIPホストからこのIPアドレスへの経路到達性が確保されない。このため、このようなIPアドレスは通信に用いることの出来ない孤立したIPアドレスになってしまうという問題がある。  この問題を解決可能な既存の技術として、MIP及びMIP6や各種トンネル技術が存在する。これらの技術では、機器に対してIPアドレスの変換機能やIPパケットのカプセリング機能を実装することにより、機器と機器とは異なるネットワークに接続されたIPホストの間において、埋め込まれたIPアドレスを用いた通信を実現している。しかし、これらの機能の実装は機器の処理負荷を高めると共に、機器全体の実装を複雑にするという問題がある。  我々は、既存技術における問題を解決し、機器が自身に埋め込まれたIPアドレスで通信するため手法として、機器に埋め込まれるIPアドレスをIPv6アドレスとし、IPv6ネットワークのモビリティを実現するNEMO技術を応用した機手法を提案した。この手法では、機器に同一の/127のIPv6ネットワークプレフィックスに含まれる連続した2つのIPv6アドレスを埋め込み、この2つのIPv6アドレスをそれぞれ機器及び機器が接続されるネットワーク上に存在するゲートウェイの内側のアドレスとして利用する。そして、この2つのIPv6アドレスがそれぞれに設定された機器及びゲートウェイからなる/127のIPv6ネットワークをNEMOにおけるモバイルネットワークとして扱い、これをホームエージェントに登録するように動作する。  このように動作することで、機器と機器とは異なるネットワークに接続されたIPホストの間における埋め込まれたIPv6アドレスを用いた通信を実現する。また、機器が設置されるネットワーク上のゲートウェイがNEMOにおけるモバイルルータとして動作することにより、機器に対する負荷のかかるIP処理(IPアドレスの変換やIPパケットのカプセリングなど)の実装を不要にしている。さらに、機器の実装が簡単になることで、機器開発に要するコストの削減を可能にしている。  一方で、本手法を用いるには機器が設置されるネットワークのゲートウェイをこの手法に対応したモバイルルータである必要がある。このため、本手法を用いた機器を既存ネットワークに設置する場合、 ・ゲートウェイの取り替えに伴う一時的なネットワークの切断が発生 ・モバイルルータに上位ネットワークに対する接続情報の設定が必要 あるいは ・新たに機器のためのネットワークを構築する費用が発生 といった問題があった。  そこで本稿では、既存ネットワークに設置する場合にゲートウェイの置き換えや新たなネットワークの構築が発生しないように上記手法を拡張した手法を提案する。この拡張した手法では、既存ネットワーク上にネットワークインタフェースが一つのみからなるモバイルルータをゲートウェイとは別に設置し、モバイルルータはゲートウェイを介して外部ネットワークへの接続性を確保する。そして、同一の/127のIPv6ネットワークプレフィックスに含まれる連続した2つのIPv6アドレスが埋め込まれた機器は、既存のネットワークに接続され、このネットワークのゲートウェイではなくモバイルルータをデフォルトゲートウェイとして選択するように動作する。モバイルルータは、機器との間で構成される/127のIPv6ネットワークをNEMOにおけるモバイルネットワークとしてホームエージェントに登録するように動作する。  この拡張した手法により、既存ネットワークのゲートウェイの交換や機器のためのネットワークを新たに構築することなく、機器と機器とは異なるネットワークに接続されたIPホストの間における埋め込まれたIPv6アドレスを用いた通信を実現する。また、既存ネットワークのゲートウェイを有効に利用することで、本手法に対応したモバイルルータに対して、RS/RA以外の上位ネットワークに接続する機能(DHCP、DHCPv6、PPP、PPPoEなど)を実装する必要が無くなり、モバイルルータの実装が簡単になることで、モバイルルータ開発に要するコストの削減を可能にしている。

1E-3 (時間: 14:00 - 14:25)
題名グローバルネットワーク環境におけるUPnP機器連携の実現
著者*小川 将弘 (同志社大学大学院工学研究科), 早川 裕志 (九州大学大学院システム情報科学府), 小板 隆浩 (同志社大学工学部), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院工学研究科)
Pagepp. 125 - 133
Keywordユビキタス, 情報家電, ホームネットワーク, UPnP

1E-4 (時間: 14:25 - 14:50)
題名ワームホールデバイス:DLNA情報家電の遠隔相互接続支援機構
著者*武藤 大悟, 吉永 努 (電気通信大学大学院情報システム学研究科)
Pagepp. 134 - 138
KeywordDLNA, UPnP
Abstract1.研究の背景と目的 近年情報家電の普及はめざましく,なかでもDLNA[1]ガイドラインに準拠した機器はその相互接続性の良さからAV機器を中心に数を増やしつつある.一方で一般家庭のインターネット接続環境は広帯域・常時接続化が広く浸透してきた. これらの下で,家庭内に閉じている情報家電ネットワークをインターネットを通じて家庭の外へ拡張し,外部または異なる家庭間で相互に接続・操作を行うことは,情報家電のアプリケーションの応用を大きく広げる.本稿ではDLNAガイドラインの中核をなすUniversal Plug and Play (UPnP)[2]スタックを実装した機器を異なるドメイン間で相互に接続する機構を提案する.これにより既存の情報家電ネットワークに参加する機器を再編成せずとも,それらの機器からインターネット越しに遠隔相互接続することが実現する.以降,それらを実現するための相互接続網の構成とその通信方法を示す. 2.相互接続網とその要素 異なるホームネットワーク間でDLNA機器を接続するためには,グローバルネットワーク上での接続相手の位置解決問題や,NAT透過に関する問題を解決する必要がある.ホームネットワークではその特性からユーザからの設定支援がごく簡単なものに限られるため,それらの問題を半自動的に解決する必要がある.研究では,既存のDLNA機器によって構成されたネットワークに新たに提案するWormhole Device(WD)を投入して,それらの接続に関する問題の解決に必要な動作を行わせる.またグローバルネットワーク上にSIP Proxy Server(Proxy)[3]を配置し,情報家電ネットワークを結ぶ相互接続網を構成する.相互接続網には扱う内容に応じて異なる2つの経路,シグナリングチャネルとデータチャネルを設定する.データチャンネルは各UPnP機器が直接的に通信を行うために利用され,その接続の状態の制御をSIPで構成されたシグナリングチャンネルよって行う. 3.各要素間の通信 3.1.WD間の通信 相互接続の両端のホームネットワークに存在するWDの通信は,網上のProxyを中継して行う.Proxyに登録されたWDはSIP UIDによって一意に識別される.WDはシグナリングを行う際にSIPのMESSAGEメソッドを利用したリクエストを,UIDを指定した上で網へ送信する.リクエストのmessage-body にはXMLに整形されたRPC(Remote Procedure Call)メッセージを挿入し,これを受け取った受信側のWDはmessage-body にRPCに対する戻り値,エラーコード,エラーメッセージをXMLに整形された形で挿入したMESSAGEリクエストへ応答を送信する. 3.2.DLNA機器間の通信 DLNA機器は機器同士の通信にUPnPを利用するが,この通信は異なるホームネットワーク間で通常行えないため,それらをWDによって中継する. 通常UPnP Control Point(CP)は,同じドメインのUPnP Device(Device) を検出するためにSSDPを用いる.SSDPは同じドメイン内に限って有効であり,異なるドメイン間にこの処理を拡張しようとした場合これを適切に処理する必要がある.これに対してWDは,まず,それぞれのドメインのWDは同じドメイン内の DeviceをSSDPによって検出する.WDは検出したこれら同一ドメインにある機器についての要約を作成し,通信先のWDと交換する.こうすることでSSDPを直接送信することなく,遠隔ネットワークのDLNA機器を把握することができる.また,ユーザがWDのインターフェースから要約の中にある機器を指定し,公開することを選択すると指示を受けたWDは指定された機器を持つWDに対して指定された機器の公開を要求し,接続の後,遠隔にある実際のDeviceに代わって,ローカルネットワークに対してSSDPの通知を行う.これにより,DLNA機器は本来のSSDPの処理に従いながら異なるドメインのDeviceに接続し,UPnP通信を行うことができる. 4.実験と今後の課題・展望 WDをCプログラムで実装し,DLNA DMS/DMPを接続したホームネットワーク間でのコンテンツシェアの実験を行った.実験には複数のISPを用いてFTTHとADSLの相互接続を行った.それぞれの機能が期待された動作を行うことが確認できた. 今後の課題としては,セキュリティの強化や,この研究で得られたPear to pear 通信基盤を利用するDLNA情報家電向け応用アプリケーション基盤の開発などが挙げられる. 謝辞 本研究の一部は,電気通信大学と船井電機蠅両霾鷁氾鼎亡悗垢覿ζ姥Φ罅FUN-Xプロジェクト)の援助を受けて行われた. 参考文献 [1]DLNA, http://www.dlna.org/en/consumer/home. [2]UPnP Forum: "UPnP Device Architecture 1.0", Ver.1.0.1, p.73 (2003). [3]Rosenberg J., Schulzrinne H., Camarillo G., Johnston A., Peterson J., Sparks R., Handley M. and E. Schooler, "SIP:Session Initiation Protocol", RFC 3261, (2002).


セッション 1F  協調作業支援(GN)
日時: 2007年7月4日(水) 13:10 - 14:50
部屋: 展望サロンA
座長: 井上 智雄 (筑波大学)

1F-1 (時間: 13:10 - 13:35)
題名情報の重畳提示による多言語間協調作業の支援
著者*吉野 孝, 小菅 徹 (和歌山大学システム工学部), 松下 光範 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
Pagepp. 139 - 149
Keywordテーブルトップグループウェア, 多言語
Abstract急速なグローバル化の進展にともない,対面環境での多言語間協調作業に対するニーズも高まることが予想される.対面環境でのPC 利用による作業の支援を行うシステムとしてSingle Display Groupware(SDG) の利用は,対面協調作業においては,有効な手段の一つである.しかし,多言語協調作業においては,表示言語の問題が生じる.つまり,複数言語の参加者の全ての言語情報を画面上に表示すると,いわゆる情報爆発が発生する.これらの問題の解決のために,方向依存ディスプレイテーブルLumisight Table 上で多言語間協調作業システムKOSGET を構築した.多言語間協調作業システムにおける情報の重畳提示方式の評価および多言語間協調作業システムKOSGET の試用結果について述べる.

1F-2 (時間: 13:35 - 14:00)
題名方向依存ディスプレイテーブルが発想支援システムに及ぼす影響
著者*大橋 誠, 伊藤 淳子, 宗森 純 (和歌山大学), 松田 昌史, 松下 光範 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
Pagepp. 150 - 154
Keywordグループウェア, 発想支援, KJ法, Lumisight-Table
Abstract1.はじめに  KJ法とは、東京工業大学名誉教授川喜田二郎氏が考案した発想法である。KJ法は、紙面上で行うKJ法とネットワークを通じて統合された複数の計算機を使用して行う分散型KJ法に大別される。紙面上で行うKJ法は、結果を保存するために写真などで撮影するか、あるいはラベル、島が剥離しないように、注意深く折りたたむ必要があり、現状のまま保存することは困難である。また、分散型KJ法は、物理的に指などで画面上のオブジェクトを指示することが不可能である。  本研究では、先述の問題点を解決するため、方向依存ディスプレイテーブルLumisight-Tableを使用する。提案手法と既存の分散型KJ法との比較実験を行い、その結果を作業時間や発言回数の観点から評価し、本手法の有意性を示す 2.Lumisight-Tableのシステムの構成  Lumisight-Tableとは、東京大学苗村研究室とNTTコミュニケーション科学基礎研究所が共同開発した方向依存ディスプレイテーブルである。Lumisight-Tableは、4台の計算機を用いて、4方向の画面を出力することで、同一画面を共有しながらユーザの見る方向によって異なる画像を提示することが可能である。これを利用することによって、各ユーザが自分の正面に文字が見えるようにしながら各画面にオブジェクトを同一座標に配置し、ディスプレイ上で共有することが可能である。  本システムはサーバ、クライアントからなる。クライアントで出力された情報をサーバに送信し、サーバが各クライアントへ出力された情報を送信する。クライアントは送信された情報を元に、自身の計算機の番号を参照し座標変換を行う。さらに、文字列のみ各クライアントの正面に見えるようにLumisight-Tableのディスプレイに画像を表示する。 3.評価実験  本システムを使用して、比較実験を行った。被験者は4名1組になり、Lumisight-Tableを使用した分散型KJ法(以下、Lumisight-Table KJ法と記述する)と,物理的に離れた場所に設置された4台のディスプレイを使用した分散型KJ法(以下、分散型KJ法と記述する)をそれぞれ1度ずつ行い、その結果を検証した。  実験の結果、対面でコミュニケーションを取り共有画面を指で指示することで,既存の分散型KJ法と比較して、発言回数が10秒間に1回の割合から4秒間に1回と大幅に増加し、コミュニケーションの活性化をもたらすことがわかった。また、作業時間の比較を行うためt検定を行ったところ、分散型KJ法とLumisight-Table KJ法に有意差がみられた。 4.おわりに  本研究では、紙面上で行うKJ法の利点と既存の分散型KJ法の利点を併せ持つシステムを構築するため、Lumisight-Tableを用いてシステムの開発を行った。その上で、分散型KJ法とLumisight-Table KJ法を本システムを用いて比較・実験・評価を行った。実験の結果から提案手法により、コミュニケーションが活性化され、作業時間を短縮することが可能になることを立証した。

1F-3 (時間: 14:00 - 14:25)
題名大画面共同作業インタフェースを持つ発想支援グループウェアKUSANAGIの開発
著者*由井薗 隆也 (北陸先端科学技術大学院大学), 西村 真一 (島根大学), 宗森 純 (和歌山大学), 杉山 公造 (北陸先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 155 - 158
Keywordグループウェア, 発想支援, マルチユーザインタフェース, 大画面, KJ法
Abstract コンピュータネットワークを用いて複数の人々の知的生産活動を支援するグループウェアの研究が行われてきている.近年,Web2.0により集合知という概念が社会一般に注目を集めるとともに,組織経営の分野では,人間が持つ知識を活用,創成するための知識経営が90年代後半より注目されてきている.従って,グループの知識を集約できる会議支援技術は,今後ますます必要になると予想される.その中,衆知を集める発想法であるKJ法 [1]に着目したグループウェアの研究が日本では数多く行われてきた.代表例として,KJ-Editor[2], D-Abductor,発想支援グループウェア郡元[3]が上げられる.KJ法は,収集したデータから新たな構想を発想するための技法として始まり,数多くの収集データを取り扱えることが期待される.そのために,上記の計算機支援において,1台の計算機画面でより多くのデータを取り扱うための工夫が検討されてきた.KJ-Editorではパニング機能[2],郡元では拡大縮小表示機能[3],郡元の拡張であるGUNGEN-DXII[4]ではテトリス型インタフェースの技術開発が行われている.本研究では,1台の計算機画面という制約条件を取り払い,複数の計算機画面を結合し,複数の人々の共同作業を支援するマルチユーザインタフェースを備えた電子会議環境を実現する.  提案するシステムはKUSANAGIと名付け,発想支援グループウェア郡元の研究で支援されてきた分散協調型KJ法[3]の支援と同等な支援環境を開発した.ただし,大きな共同作業空間を実現するために,複数のPC画面を結合できるとともに,複数のマウスでデータ移動操作を可能とした.その開発には,ネットワークを介したマウス操作を実現するミドルウェアGLIAを用いた[5].開発したグループウェアKUSANAGIでは,横5列×縦2行の10画面を仮想画面でなく,物理的に同時に表示している.複数のマウスを用いて,それぞれが別々の意見や島を動かすことが可能である.またその移動は,10画面どこでも動かすことが可能である.また,複数の人が同じ意見を移動することがないように,同時に1人しか意見ラベルを動かせないアクセス制御を実現している  今後,開発したKUSANAGIを用いて大画面共同作業空間の分散協調型KJ法に及ぼす影響を実験・評価する予定である. 参考文献 [1] 川喜田二郎 : 発想法-混沌をして語らしめる, 中央公論社 (1986). [2] Ohiwa, H., Takeda, N., Kawai, K. and Shimomi, A.: KJ editor: a card-handling tool for creative work support, Knowledge-Based Systems, Vol.10, pp.43-50 (1997) . [3] 由井薗隆也,宗森 純:発想支援グループウェア郡元の効果 〜数百の試用実験より得たもの〜, 人工知能学会論文誌, Vol.19, No.2, 105-112 (2004). [4]重信智宏,吉野 孝,宗森 純:GUNGEN DX II: 数百のラベルを対象としたグループ編成支援機能を持つ発想支援グループウェア,情報処理学会論文誌,Vol.46,No.1,pp.2-14 (2005). [5] 西村真一,由井薗隆也,宗森 純:ネットマウスでPC画面を結合するミドルウェアGLIAの開発と評価,情報処理学会マルチメディア,分散,協調とモバイル(DiCoMo’06) シンポジウム論文集, pp.507-512 (2006).

1F-4 (時間: 14:25 - 14:50)
題名プレゼンテーション発表時のコメント収集に焦点をあてたアノテーションシステムCollabStickyの開発と評価
著者*土井 健司, 井上 正博, 田坂 未来, 平島 大志郎, 勅使河原 可海 (創価大学大学院工学研究科)
Pagepp. 159 - 164
Keywordcontext, webサービス
Abstract1.研究の背景と目的 近年,会議においてプレゼンテーションを用いた質疑応答を含むディスカッション形式の会議が大学の研究室や企業で増えてきており,このような会議を支援するシステムが多く存在する.この形式の会議では参加者から有益な意見を収集することを目的に持っている。そのためこの形式の会議を対象として参加者から意見を収集することを目的としたシステムがあり,代表例としては,議事録システムや,チャットシステムなどがあげられる. しかし、既存の意見収集を目的としたシステムでは、学会発表等のようにプレゼンテーションの後にディスカッションがある会議において、ディスカッション中はコメントを投稿する時間がプレゼンテーション中に比べて多く存在するため参加者のコメントが得られやすいのに対し、プレゼンテーション中は参加者が内容の理解に多くの時間を奪われてしまいシステムにコメントを十分に投稿することができなかったと考えられる。 そこで、本研究では人々が本を読む際に目印をつけたりメモを書き記したりするために付箋を貼るという行為に着目した。そして、プレゼンテーション中にも意見を発想したスライドに直接目印を付けておくことで、後から見直したときに何をコメントしようとしたか思い出すことができるのではないかと考えた。そして、結果的に会議全体のコメントの量と質が向上し、より有益な意見が取得できるのではないかと予測した。そこで、本研究では特定箇所にコメントを挿入することのできる付箋システムCollabStickyを提案する。 2.CollabStickyの概要 2.1付箋の機能 本システムで用いる付箋は、作成・編集・追記・削除・移動・表示の6つの操作を前提としている。 以下にこれらの操作について説明を行う。 (1)付箋作成 ユーザはコメントを付与したい場所を指定して、コメントの種類を選択することで付箋を作成する。作成された付箋は、コメントが挿入されるまでは、コメントを行いたい箇所に対するユーザ個々の目印としての役割を持つ。そのため、後述する編集操作によってコメントが挿入されるまで他のユーザに表示されることは無い。本システムではこのプレゼンテーションの特定箇所に付ける目印のことを「フック」と定義する。 (2)付箋編集 作成された付箋にコメントの挿入を行う。挿入されたコメントは何度でも書き直しが可能となっている。 (3)付箋追記  他のユーザが投稿したコメントに対して更なるコメントを行うことができる。そして、この追記されたコメントの回数が多くなるほど、コメントの種類を表す付箋の色は濃くなっていく。これによって、スライド内のコメントの中で他のユーザがどのコメントに注目しているか知ることができる。 (4)付箋削除 任意の場所に貼り付けられている付箋を削除することができる。 (5)付箋移動 一度貼り付けられた付箋の位置を変更することができる。 (6)付箋表示 投稿した付箋を公開する範囲を選択。これによって、参加者がコメントを躊躇することなく投稿することができる。 2.2参照ウィンドウ 付箋はユーザがスライドの好きな箇所に付与することができるため、かえってコメントを読む際に負担がかかってしまうという問題が考えられる。また、プレゼンテーション中のコメントの投稿を促すことからコメントの量の増加は見込めるが、質を高めるにはシステムに工夫が必要となる。そのため、閲覧しているスライド以外のコメントを参照することのできる参照ウィンドウを設けることで、1つのスライドページを参照しながらもプレゼンテーション内に貼り付けられたスライドごとのコメント数とそれらコメントを参照できるようにする。 これによって、プレゼンテーションのスライドに分散したコメントを参加者が把握することが可能となる。そのため、互いのコメントを参照しあうことで更なるコメントの量の向上が見込めるだけでなく、1つのコメントに対して参加者が意見を交わしあうことで、より発表者にとって影響力の高い意見となり、結果的に質の向上が得られると考える。 3.利用実験と評価 本稿では、検討したシステムのプロトタイプの開発を行った。そこで、会議のコメントの質と量が向上したか既存のコメント収集システムと比較実験を行った。比較の対象としてはチャット系システムの代表としてCollabMinutesを用い、発表者の発言頻度などに偏りがないよう配慮しながら参加者を2つのグループに分けてそれぞれCollabStickyとCollabMinutesのそれぞれのシステムに独立してコメントの投稿を行った。この実験によって、プレゼンテーション中の支援を行うことによって会議全体で得られるコメントの量が向上し、これらのコメントをもとに参加者間で多くの意見を交し合うことで質も向上するという結果を結果を得ることができた。 今後は、さらに多くの利用実験を実施し、コメントの質の向上について定量的に評価する。また、ユーザビリティについても評価を行い利用上の問題点を抽出し、システムの改良を行う。


セッション 1G  P2P1(DPS)
日時: 2007年7月4日(水) 13:10 - 14:50
部屋: 展望サロンB
座長: 神崎 映光 (大阪大学)

1G-1 (時間: 13:10 - 13:35)
題名P2P環境におけるセンサ観測値の地理的分布を把握可能なデータ収集手法
著者*小西 佑治, 竹内 亨 (大阪大学大学院情報科学研究科), 寺西 裕一 (大阪大学サイバーメディアセンター), 春本 要 (大阪大学大学院工学研究科), 下條 真司 (大阪大学サイバーメディアセンター)
Pagepp. 165 - 172
KeywordP2P, ユビキタス, センサ, ドロネーネットワーク
Abstract近年ブロードバンド常時接続環境が普及し、生活の隅々にまで情報通信が溶け込んで「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークにつながるユビキタス環境への関心が高まっている。ユビキタス環境では、人−人の結びつきだけでなく人−モノ、モノ−モノも結ばれ、多くの人やモノが情報を発信したり取得したりする。また、様々な情報発信元がネットワークでつながることにより、遠隔地の情報や広範囲にわたる情報を自由に取得することが可能となる。 このように取得される情報に実世界の環境の情報があり、この環境の情報を発信するものとしてセンサが挙げられる。ユビキタス環境では、無線センサノードやセンサをもつ情報家電などがネットワークに接続されることで、膨大な数のセンサが利用可能になると考えられる。しかし、膨大なセンサ情報を従来のようにあらかじめサーバに集約して提供を行う形態では、負荷が集中したり情報のリアルタイム性が損なわれたりする。そのためセンサのネットワークは、各センサがピアとなり直接問い合わせを受けるP2Pネットワークが適している。 センサ情報を活用する場合として、ある地点周辺の少数のデータが必要な場合、広範囲の全データが必要な場合、広範囲のデータ全てが必ずしも必要ではない場合が考えられる。これらのうち、本研究では広範囲のデータ全てが必ずしも必要ではない場合について扱う。広範囲のデータ全てが必ずしも必要ではない場合とは、例えば降雨分布や温度分布といった観測値の大まかな分布を把握するために対象範囲の情報を収集する場合が挙げられる。このような場合、利用者がセンサに問い合わせを行うと検索範囲内に存在する多数のセンサ全てが対象となる。このとき、地理的に近いセンサの観測値はほぼ同値であるため、利用者は類似したセンサ情報を多数取得してしまう。しかし、センサ情報は高密度に存在するため、情報を間引いても利用者は十分に観測値の分布を把握できる。また、0℃〜20℃の範囲を5℃間隔で色分けして表示するような温度分布を考える時、同じ5℃の範囲に属する多数のセンサ情報は同じ色で表わされる。このように得たい分布の詳細度が粗くてよい場合、観測値がほぼ同値でなくても同じ意味を表す情報が多数存在することになり、より多くの情報を間引くことができる。 そこで、情報を間引くためにセンサの応答数を削減することを考える。各センサが確率pで応答するランダムサンプリングにより応答数を削減すると、利用者が取得するセンサ情報数は検索範囲内の全てのセンサ情報数の約p倍に減少する。しかし、ランダムサンプリングでは利用者の要求する詳細度を満たす観測値の分布を把握するために必要なセンサ情報を取りこぼし、全てのセンサの応答から得られる観測値の分布を得られない可能性がある。このため、観測値の分布を考慮して、利用者の要求する詳細度で観測値の分布を把握するために必要な情報は必ず取得できるような手法が必要となる。 本研究では、観測値の分布を大まかに把握する場合における、地理的に近く同じ値の範囲に属する領域に注目する。ここではこの領域をクラスタと呼ぶ。先ほどの温度分布の例では、クラスタは地理的に連続して分布する0℃〜5℃、5℃〜10℃といった領域にあたる。利用者はこのクラスタの境界となる閾値の間隔、つまり1℃間隔なのか5℃間隔なのかを検索時に与えることで、得られる分布から読み取れる観測値の変化の詳細度を決めることができる。このため、クラスタは検索時に動的に決定される必要がある。クラスタ内部は同じ値の範囲と分っているため、クラスタ内部に存在するセンサのうち境界に接するセンサの観測値がどの値の範囲に含まれるか分かれば、そのクラスタの分布範囲と値の範囲を知ることができる。そのため、検索範囲内に分布するクラスタを少ないセンサ情報で把握するために、クラスタの境界付近のセンサが応答する手法をとる。 P2Pネットワークにおいて、各ピアが広範囲にわたるセンサ観測値の分布を把握することは難しい。そのため、センサの構築するネットワークにP2Pドロネーネットワークを利用し、応答するかどうかは近傍のセンサ情報を利用して判断する。このようにして、本研究では冗長な情報を削減し、利用者の要求する詳細度でセンサ観測値の分布を把握できるセンサ情報収集手法を提案する。また、提案手法をシミュレーションにより評価し、ユーザの要求する詳細度でセンサ観測値の変化を把握することができ、かつ、冗長な情報を削減できていることを確認した。 キーワード: P2P、ユビキタス、センサ、ドロネーネットワーク

1G-2 (時間: 13:35 - 14:00)
題名PLATON: 超分散環境におけるデータ共有のためのP2P多次元範囲検索システム
著者*中台 慎二, 谷口 邦弘 (NEC インターネットシステム研究所)
Pagepp. 173 - 184
KeywordP2P, DHT, 空間充填曲線, 分布関数, de Bruijn
Abstract実世界から得られるデータを利用して、ユーザに多様な付加価値を提供するユビキタス社会を実現するには、これを支えるデータ共有基盤に、汎用な検索機能とスケーラビリティが求められる。ここでの汎用な検索機能とは、文字列の前方一致検索や数値の範囲検索など、多様なアプリケーションが汎用に利用可能な検索式を提供する機能である。また、スケーラビリティとは、データを収集するセンサー、データを利用するユーザ、および共有されるデータの数が増加しても、システム負荷や検索性能が劣化しないことである。この種のスケーラビリティを有すデータ共有方式として、P2Pデータ共有技術がある。 初期のP2Pデータ共有技術であるGnutellaなどは、インターネット上に分散する膨大なホスト間で膨大な情報を共有できる可能性を示した。そこでは汎用な検索機能が提供されていたが、問題点としてネットワーク利用の非効率性と検索の不完全性、すなわち格納したデータが確実には検索できないという問題があった。一方、Chord, CAN, Pastry, Tapestry, Koordeといった先駆的研究で注目されているDHTは、スケーラブルにデータ欠落のない検索を可能とするが、完全一致検索しかサポートされない。  これに対しMAANやSENSといった先行研究は、それぞれChordやCANを、多次元属性に対する範囲検索が可能なようにデータのID算出方法を拡張した。具体的には、ChordやCANではHash関数を用いてデータのIDを算出するが、ここに各属性の分布関数を用いる。このように算出されたデータIDは均一性が保たれるだけでなく、属性値の連続性も保持されるため範囲検索が可能となる。 しかしながら、これら従来の分布関数を用いたID算出方式では、多次元属性値をID空間に写像する際に問題があった。MAANでは、多次元属性を構成する各属性値を個別にChord一次元ID空間に写像するため、テーブルに対して複数の単一インデックスが設定されている状態と同様、多次元属性値の分布を考慮した効率的な検索を行うことができない。具体的には検索時に、多次元検索式を構成する各属性について、その属性の分布関数を用いて検索条件の範囲をID範囲に変換する。そして、それらのID範囲の中から最も狭いID範囲を選択し、この範囲に到達するようにメッセージ転送を行う。このため、本来必要な多次元検索式を満たす集合要素数に比べてより大きな集合にメッセージ転送をする必要があり、効率的でない。一方、SENSでは、多次元属性の各属性値をCAN多次元ID空間に写像するため、データの均一配置に問題がある。具体的には、データ登録時に各属性の分布関数を用いて多次元IDを算出するが、この関数には多次元属性値の分布情報は含まれていないため、データが密に存在しない値域に対しても広いID空間が割り当てられてしまう。 スケーラビリティの観点では、いずれの技術にも一長一短がある。MAANがベースとするChordはO(logN)の次数でO(logN)ホップ数を実現する。これはピア数の増加に伴って、ホップ数は飽和するものの、ピア数が少ない状態からルーティングテーブルの管理負荷が大きいことを意味する。一方で、SENSがベースとするCANでは、次元数をdとしてO(d)の次数でO(dN1/d)ホップ数を実現する。すなわち、dを小さく設定した際には、ピア数に寄らずにルーティングテーブルの管理負荷は小さいものの、ピア数が増加するに従いホップ数が飽和しにくい。dを大きく設定した際には、ホップ数は飽和しやすいもののルーティングテーブルの管理負荷が大きくなる。 本提案システムPLATON (Planetary-scale Table on Overlay Network)は、これらの多次元属性の範囲検索に関する課題を解決する。すなわち、メッセージ転送負荷としては、多次元検索式を満たす値の集合と対応するピアにのみメッセージを転送するため、負荷が低く効率的である。データ配置の均一性としては、多次元属性値の分布に歪みがある場合でも均一にデータを配置することが可能となる。さらに、スケーラビリティとしてはO(logN)の次数でO(logN)のホップ数を実現する範囲検索方式に加えて、O(1)の次数でO(logN)のホップ数を実現する範囲検索も実現する。このことは、ピア数が増加してもルーティングテーブルの管理負荷は小さく、なおかつホップ数が飽和することを意味する。これらの提案方式は、検索式の入力として簡易SQL言語を持つシステムとして実装し、その効果検証を行った。

1G-3 (時間: 14:00 - 14:25)
題名アプリケーション層マルチキャストプロトコルの設計開発および性能評価を支援するミドルウェアの設計と実装
著者*池田 和史, Thilmee, M. Baduge, 梅津 高朗, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 185 - 193
Keywordアプリケーション層マルチキャスト, ミドルウェア, PLanetLab, 設計開発, 性能評価
Abstract本稿では,アプリケ−ション層マルチキャスト(ALM)プロトコルの設計開発および性能評価を支援するためのミドルウェアを提案する.我々は既存のALMプロトコルを詳しく分析,そのオーバレイトポロジや制御方式によりそれらを分類し,共通に利用できる汎用的な機能を抽出し,提案ミドルウェアに実装した.提案ミドルウェアはトポロジ管理機能,通信支援機能,ALMプロトコル設計支援機能,性能評価支援機能などを提供することで,ALMプロトコルの開発および性能評価に必要な時間と労力を大幅に削減する.我々はミドルウェアの提供するこれらの機能を用いて,既存の著名なALMプロトコルであるALMI,NARADA,NICE,OMNIを実装し,実環境として世界中に配置されているサーバからなる実験用テストベットであるPlanetLab上で,これらのALMプロトコルの性能比較評価実験を行った.これらの実験を通して,提案ミドルウェアを利用することで,ALMプロトコルの実装にかかる労力が大幅に削減され,実環境での様々な性能評価試験を容易に行うことができることを確認した.


セッション 1H  インターネット1(DSM)
日時: 2007年7月4日(水) 13:10 - 14:50
部屋: 回転スカイラウンジ
座長: 吉田 和幸 (大分大学)

1H-1 (時間: 13:10 - 13:35)
題名新広域サービスの段階的検証手法へのPlanetLabの適用
著者*松井 大輔 (北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 櫻井 覚 (東京大学新領域創成科学研究科), 管 文鋭 (名古屋大学情報科学研究科), 今井 祐二 (富士通研究所 ITアーキテクチャ研究部), 村本 衛一 (松下電器産業株式会社 ネットワーク開発センター), 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科電子情報システム専攻), 篠田 陽一 (北陸先端科学技術大学院大学 情報科学センター)
Pagepp. 194 - 198
Keywordインターネット

1H-2 (時間: 13:35 - 14:00)
題名StarBEDを用いたサーバ負荷試験の実現
著者*野中 雄太, 知念 賢一 (北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 宇多 仁 (北陸先端科学技術大学院大学情報科学センター), 宮地 利幸 (北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 篠田 陽一 (北陸先端科学技術大学院大学情報科学センター)
Pagepp. 199 - 204
Keywordネットワークテストベッド, ベンチマーク, StarBED
Abstract現在、インターネット上で様々なサービスが提供されており、そのサービスの検証技術が必要とされている。サービスを検証するための方法として様々な方法が提案されているが、その多くが特定のプロトコルに特化されていたり、実際にネットワーク上で運用されているプログラムを利用できないなど、汎用性と現実性には限界がある。そこで、本論文では実機をベースとしたネットワークテスベッドであるStarBEDを用い、既存のサービス検証手法よりも現実性とユーザビリティの高い手法を確立するため、StarBEDを用いたサーバ負荷試験のフレームワークを提案する。 また、本フレームワークを用いたサーバ負荷試験の一例として、北陸先端科学技術大学院大学のFTP及びHTTPサーバに対するアクセス傾向を解析し、解析された負荷の特性を模倣したサーバ負荷試験の結果を述べる。

1H-3 (時間: 14:00 - 14:25)
題名ルーティングシミュレータ SimRouting の開発
著者*小原 泰弘, 南 政樹 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科), 中村 修, 村井 純 (慶應義塾大学 環境情報学部)
Pagepp. 205 - 211
Keywordルーティング, インターネット, シミュレーション, アルゴリズム
Abstractインターネットの新たな通信機能や性能,社会基盤としての堅牢性などを考慮するとき,ネットワークのグラフ構造や,ルーティングアルゴリズムの性質,特徴を調査することが重要である。ネットワークのグラフ構造がどのように構築されているかによって,障害時に障害を迂回する代替経路が存在するかが決まる.また,通信遅延や利用可能な最大帯域などの通信性能は,ルーティングアルゴリズムが計算する経路によって決まる.そのため,ネットワークのグラフ構造を考慮し,ルーティングアルゴリズムがどのような経路を計算する傾向にあるかなど,ルーティングアルゴリズムの性質を理解することが必要である. しかし,ルーティングアルゴリズムの性質を評価することは困難である.なぜならば,ルーティングアルゴリズムの計算結果に影響を与える変数が多いからである.例えば,ネットワーク回線の帯域利用率がどのようになる傾向があるのかというルーティングアルゴリズムの性質を考える.ネットワーク回線の帯域利用率は,ネットワーク回線の帯域幅,ルーティングアルゴリズムが計算する経路と,ネットワークが受信するトラフィック負荷の量によって決まる.さらに,ルーティングアルゴリズムが計算する経路は,ルーティングアルゴリズムの性質,ルーティングメトリックの設定,ネットワークのグラフ構造などによって決まる.このように,あるルーティングアルゴリズムがどのようなネットワーク回線の帯域利用率を生み出す傾向にあるのかという性質は,多くの変数が関係するため,特定が困難である.例えば,あるネットワークであるルーティングアルゴリズムを利用した結果,ネットワーク回線の帯域利用率の平滑化という目的が良好に達成されたとする.このとき,この原因がルーティングアルゴリズムの性質であるのか,ネットワークのグラフ構造の特徴であるのか,単にルーティングメトリック設定の結果であるのか,断定することができない. ルーティングアルゴリズムを評価するには,以下の三つの機能が必要となる.第一に,各変数を簡単に変更する機能.たとえば,ネットワークのグラフ構造のみを変更する,トラフィック負荷のみを変更するなど,各変数をほかの変数と独立に,簡単に変更する機能が必要となる.第二に,同じ環境で比較する機能.ルーティングアルゴリズムの評価をするためには,ネットワークトポロジ,トラフィック負荷などを固定し,ルーティングアルゴリズム だけを変更して比較評価することが必要である.第三に,多くの変数の組み合わせを容易に評価する機能.ルーティングアルゴリズムには,特定のネットワークのグラフ構造の場合に特に良好に動作するなどの特徴がある.このような特徴を考慮するためには,多くのネットワークトポロジとトラフィック負荷の組み合わせを調べることが必要である. ルーティングアルゴリズムを評価し,インターネットの機能や性能を研究するため,本研究ではルーティングシミュレータを開発した.このルーティングシミュレータを simrouting と呼ぶ.simrouting は多くの種類のネットワークのグラフ構造を簡単に扱え,トラフィック負荷やルーティングメトリックを設定することが可能である.また,それらの組み合わせを簡単に調整することができる. simrouting は可読性が高く最も基本的な言語である C言語で実現されるため,多くのユーザが容易に理解し実行可能である.シナリオファイルを利用し,複数のシミュレーションをバッチ処理することが可能である.多くの変数を調整した比較を容易にするため,各変数は内部データ構造として抽象化される.例えば,ネットワークのグラフ構造,ルーティングメトリックの設定,ルーティングアルゴリズムが計算した経路,トラフィック負荷の量と方向は,それぞれ独立のデータとして構築できる.連携できる外部ツールとして,BRITE, Net-SNMP, Graphviz がある.BRITE が生成した仮想のネットワークグラフ構造や,Net-SNMP を利用して稼働中のルータから実際のネットワークのグラフ構造を取得し,dijkstra の最短経路計算を実行し,それを Graphviz で図示する,などといった利用方法が可能である. 本ツール上にルーティングアルゴリズムを実装することにより,ルーティングアルゴリズム間の比較評価や,実際のネットワークとの親和性を検証することができる.このことから,本ツールはインターネットのルーティング研究に貢献する.

1H-4 (時間: 14:25 - 14:50)
題名大規模なShibbolethシステムにおけるWAYFの負荷分散手法の検討
著者*長谷川 智矢 (首都大学東京システムデザイン研究科), 長尾 雄行, 市川 本浩, 石島 辰太郎 (産業技術大学院大学)
Pagepp. 212 - 216
KeywordShibboleth, 負荷分散, セキュリティ
Abstract インターネットは当初,研究用のネットワークとしてスタートしたが,今日では大学での研究活動や企業のビジネスに不可欠なものになってきており,一般家庭においても電子メールやショッピング等,利用が拡大している.インターネットを利用することにより,時間や距離に依存せず,低価格でリソースを利用できるようになった反面,利用者やリソース提供者の住所や氏名が相手に分からないといった匿名性に起因した犯罪への利用が問題となっている.この問題を解決するための,安全かつ信頼性の高いネットワークが求められている.  単に匿名性を廃し,事前に個人情報を登録し利用時に認証を行いリソースを利用する場合,利用者側とリソース提供側それぞれに次のような問題点がある.それは,認証主体とリソース提供者が同じであり,誰がどういったリソースをどのように利用したかがリソース提供者に分かってしまう.これにより,購入履歴等の個人情報が,リソース提供以外の目的に利用される可能性があるという点である.リソース提供者においても,個人情報を安全に管理する必要があり,運用コストが増加する.また,複数のリソースを利用する場合,個人情報を複数のサイトに登録する必要があるため,個人情報が偏在し漏洩の危険性が高くなる. そこで本研究では,これらの問題点を解決するために以下のように非匿名性ネットワークを定義した.  (1)通常は利用者のプライバシーに配慮し,利用者情報,及び,その行為を特定するための情報を分散管理する等,利用者の特定を困難とする.また,それらの情報が適切に管理されること.  (2) 犯罪等,非常時には,ネットワーク管理者等の特定の権限を持った管理者が情報を集約することで,利用者の特定が可能であること.  これらの要件を満たすために,近年注目されている広域ID連携の技術であるShibbolethに着目した.  Shibbolethの構成は,リソースの存在するSP(Service Provider),利用者を認証しSPに対して識別子を払い出すIdP (Identity Provider),複数のIdPが存在する場合,所属する組織のIdPを選択するWAYF (Where Are You From?) の3つから成っている.ShibbolethはIdPやSPを運営する組織同士で連盟 (Federation)を構成する.利用者はIdPで認証すると,認証情報と識別子(NameIdentifier)を取得する.この二つにより,連盟に加盟している組織のリソースにシングルサインオンでアクセスすることができる. また,最大の特徴として,アクセスするリソースを選択できるという機能がある.IdPでは,参照・公開可能な属性情報(Attribute)を定義することができる.また,SPでは利用者に認可を与えるために要求する属性情報を定義することができる.IdPの参照・公開可能な属性情報とSPの要求する利用者を認可するための属性情報を比較し,マッチしたリソースのみにアクセスすることができる.属性情報は,IdPにより定められ,氏名や大学,所属するドメイン名等幅広く定義することができる.この機能により,SPは利用者の情報を必要に応じて知ることができる.また,利用者としても所属する組織単位ではあるが,属性情報の参照・公開の範囲制御ができるため,ネットワーク上の非匿名性・匿名性の操作を行うことができる.これらの機能により,前述したような非匿名性ネットワークの要件を満たすことができる.  これまでにShibbolethの動作検証を行った.さらに,非匿名性ネットワークの要件について,次の三つの項目に着目し,評価を行った.三つの項目とは,要求する属性情報が異なるSP間を利用者が移動する時の秘匿性,属性情報によるアクセス制御の可用性,ログ情報を集約した際に利用者を特定できるかの完全性である.その結果,高いパフォーマンスを提供できることが証明された.  これまでに証明したShibbolethの有効性についての検討は,二地点間の小規模なシステムで行った.しかしながら,大規模なShibbolethシステムになると,Federationに加盟する組織数,ユーザ数が増えてくる.これにより,各サーバへのアクセス数が増え,WAYFへの負荷が増加する.なぜなら,ユーザはSPにサービスを要求する毎にIdPを選択するためにWAYFへアクセスしなければならないからである.この問題について,Anycastingを用いた負荷分散の提案がある.本研究では,仮想的に大規模なShibbolethシステムを構成し,ラウンドロビン等のいくつかの負荷分散手法を用いる.その後,既存の提案手法と比較し,その有効性について検討を行う.


セッション 2A  アドホックネットワーク2(MBL)
日時: 2007年7月4日(水) 15:00 - 16:40
部屋: 平安
座長: 石原 進 (静岡大学)

2A-1 (時間: 15:00 - 15:25)
題名OLSRにおける隣接ノード変化検出性能の向上
著者*後藤 康宏 (千葉大学大学院融合科学研究科), 増田 修士 (千葉大学大学院自然科学研究科), 阪田 史郎 (千葉大学大学院融合科学研究科)
Pagepp. 217 - 222
KeywordOLSR, 隣接ノード, プロアクティブ型

2A-2 (時間: 15:25 - 15:50)
題名非常に不安定なネットワークにおける送信方式の違いによる通信安定性の検証
著者*片岡  慧 (東京大学/国立情報学研究所), 山上 智久 (東京大学), 本位田 真一 (東京大学/国立情報学研究所)
Pagepp. 223 - 229
Keywordaodv, アドホックネットワーク, 無線
Abstract不安定なアドホックワイヤレスネットワークにおいては,既存のルーティングプロトコルを利用した場合,通信到達率が大幅に低下する.パケットが到達できなかった場合,同じパケットの再送信を行うため,到達率の低下は,通信量・レイテンシ双方の増大を招く.本論文では,基本的な送信方法を三種類提案し,それぞれについて,不安定なネットワーク下(Zigbeeを想定)でのルーティングプロトコルの一つであるAODVプロトコルを実装し,通信量・レイテンシを比較した.また,不安定なアドホックネットワークにおいても通信到達率の下がりにくいプロトコルを考案した.

2A-3 (時間: 15:50 - 16:15)
題名時刻により変化する都市歩行流や交通流を再現するモビリティモデルの提案と評価
著者*前田 久美子, 中村 雅俊, 梅津 高朗, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 230 - 237
Keywordモビリティモデル, ネットワークシミュレーション, 無線ネットワーク, MANET
Abstractネットワークシミュレーションにより無線ネットワークアプリケーションの正確な評価を行うには,より現実的なモビリティモデルが必要とされている.本稿では都市における歩行者の行動に焦点を当てたモビリティモデルであるUrban Pedestrian Flows (UPF) を,駅前で電車が到着すると一時的に人が増加するといったような時間的な密度の変化が再現できるように拡張した.ワイヤレスメッシュネットワークシステムにおける負荷分散プロトコルの評価事例を通して,提案する密度の動的な変化モデルの有用性を示す.

2A-4 (時間: 16:15 - 16:40)
題名MANETにおけるコスト基準経路探索プロトコルへのコスト基準拡張リング探索の適用
著者*河村 美嗣 (早稲田大学理工学研究科), 鄭 顕志 (早稲田大学理工学研究科、国立情報学研究所), 深澤 良彰 (早稲田大学理工学研究科), 本位田 真一 (東京大学、国立情報学研究所)
Pagepp. 238 - 244
KeywordMANET, ルーティング
Abstract MANET(Mobile Ad-hoc Network)とは、複数の移動可能な携帯端末により形成された、マルチホップ無線ネットワークである。MANETにおける大きな制約の1つは、電池容量の制約である。MANETを構成するノードは電池で駆動しており、また多くの場合においてその電池の充電や交換が困難な状況において使用される。そのため、電池の消費量を低減しネットワークの寿命が長くなるようにする必要がある。ネットワークの寿命を伸ばすことを目的とする主なルーティングプロトコルとして、コスト基準ルーティングプロトコルがある。ルーティングプロトコルの役割は大きく経路探索とデータ転送に分けられるが、経路探索の部分を特に経路探索プロトコルと呼ぶ。本論文は、コスト基準経路探索プロトコルで使用される拡張リング探索を改良し、ネットワークの寿命をより伸ばすことを目的とするコスト基準拡張リング探索を提案する。  拡張リング探索(Expanding Ring Search)とは、リアクティブ型の一般的なルーティングプロトコルが経路探索時に使用する技術である。拡張リング探索を説明するため、既存のリアクティブ型の一般的なルーティングプロトコルである、AODVプロトコルを例に挙げて説明する。まず、送信元ノードが送信先ノードへデータを送信したい場合、送信元ノードは送信先ノードへの経路情報が送信元ノードのルーティングテーブルに存在するかどうかを確認する。もし送信元ノードが経路表に送信先ノードへの経路情報を保持していない場合、ルートリクエスト(RREQ)メッセージを隣接ノードへブロードキャストし、送信元ノードから送信先ノードまでの経路の探索を開始する。このとき、RREQメッセージがネットワーク全体に転送されると送信先ノードが近くにいた場合に無駄なRREQメッセージが大量に発生するため、効率的ではない。そのため、送信元ノードがRREQメッセージを送信する際に、最初はRREQメッセージが転送されるホップ数を制限し、それで見つからない場合は徐々にホップ数を大きくして探索する範囲を広げる拡張リング探索を行う。  コスト基準ルーティングプロトコルとは、送信元ノードの経路表に送信先ノードまでの経路の候補が複数存在する場合に、それぞれの経路のコストを計算しそれが最小となるように経路を選択して送信するプロトコルの総称である。経路のコストを計算する方法は多数あるが、ネットワークの寿命を伸ばすことを目的とするプロトコルでは、経路の総消費電力や経路に使用されるノードの最低残り電池寿命をコストとして用い、経路の候補が複数存在する場合にコストの低い経路を選択しデータ転送を行う。  既存のコスト基準経路探索プロトコルでは、リアクティブ型の一般的な経路探索プロトコルと同じようにホップ数による拡張リング探索が行われている。しかし、コスト基準経路探索プロトコルで既存のホップ数による拡張リング探索を行うことは適切ではない。そもそも既存の経路探索プロトコルではホップ数が最小となる経路を探索する要求があるため、ホップ数による拡張リング探索を行っていた。しかし、コスト基準経路探索プロトコルではコストが最小となる経路を探索する必要がある。コストの計算方法によってはホップ数が最小の経路であっても、コストが最小の経路とならないことがある。たとえば消費電力において、距離の離れたノード間で通信する場合より、その間のノードが中継を行い通信する方が消費電力を低減できる場合がある。このように、ホップ数が増加してもコストが減少する場合がある。そのため、ホップ数による拡張リング探索を行うことによりホップ数でRREQメッセージの転送範囲を制限するとコストが最小の経路を発見することができない場合があるので、コスト基準経路探索プロトコルではホップ数による拡張リング探索ではなく、コストによる拡張リング探索であるコスト基準拡張リング探索を行うべきである。  コスト基準拡張リング探索とは、RREQメッセージが転送される際の制限をコストにより指定することである。RREQメッセージを受け取ったノードはコストが一定値を下回っている場合にのみ転送するようにする。これによって送信元ノードからコストが一定値以下である範囲で送信先ノードを探索することができる。しかし転送されるごとにコストが必ず増加する方法以外でコストが計算される場合では、転送が無限に行われる可能性がある。例えばコストが経路の総消費電力で計算される場合は、RREQメッセージが転送されるごとにコストが必ず増加するため転送は一定範囲内に収まり、ネットワーク全体に転送されることはない。しかし、コストが経路に使用されるノードの最低残り電池寿命で計算される場合は、RREQメッセージが転送されるごとにコストが増加するとは限らないため、RREQメッセージはネットワーク全体に転送される可能性がある。本研究では、このようなコストの計算方法でも適用できるようなコスト基準拡張リング探索を提案し、様々なコストの場合に対して適用し、その効果を評価する。


セッション 2B  アクセス制御2(CSEC)
日時: 2007年7月4日(水) 15:00 - 16:40
部屋: 花の舞
座長: 須賀 祐治 (キヤノン)

2B-1 (時間: 15:00 - 15:25)
題名携帯電話の操作履歴情報を利用した認証方式の提案
著者*仁野 裕一, 野田 潤, 中尾 敏康 (NEC 共通基盤ソフトウェア研究所)
Pagepp. 245 - 250
Keyword履歴, 認証, 携帯電話
Abstract近年の携帯電話は,GPS・加速度センサなど多種多様なセンサを搭載し,多くのサービスに関するデータを受信し,端末内の記憶容量も増大したため,多量のユーザ操作履歴情報を格納できるようになった.このような履歴情報は,携帯電話オペレータ・サービスプロバイダなどと共有され,時間経過とともに変化する特徴がある.筆者らは,この履歴情報の特徴を利用した2つの認証方式を提案する.1つは,携帯電話事業者以外の第三者には知るのが困難なデバイスマネジメント情報の履歴を活用したクローン端末の防止に有効な認証方式と,もう1つは,携帯電話に搭載されたセンサ出力などから共通の体験を行ったユーザ端末を判定し,共通のサービスを提供する認証方式である.本稿では,これら2つの方式の提案と,有効性評価,実用化に向けた課題について述べる.

2B-2 (時間: 15:25 - 15:50)
題名権利管理システムへの権利貸与機能の適用について
著者*山崎 知美 (九州大学大学院システム情報科学府), 井上 創造 (九州大学附属図書館), 中村 徹, 野原 康伸 (九州大学大学院システム情報科学府), 安浦 寛人 (九州大学大学院システム情報科学研究院)
Pagepp. 251 - 257
Keyword権利管理, プロキシ
Abstract権利管理システムへの権利貸与機能の適用について 権利管理システムにおいては,権利を他人に貸与する機能が求められることが多い.この機能を貸与利用機能と呼ぶ.システムの中には,サービスを介することで貸与を実現しているオンライン貸与方式と,サービスを介さずに利用者間だけで貸与を実現するオフライン貸与方式が提案されている.しかし貸与利用機能を考慮していないサービスに対して,貸与利用機能を付加する方法については議論されていない.本論文では,既存のサービスに対して貸与利用機能を付加する方法を提案する.既存のサービスに改造を加えることは多くの場合,手間と費用がかかるため,本論文では既存のサービスにできるだけ手を加えずに貸与利用機能を追加することを考える.その際に課題となる点は以下の2点である. 1. 既存のサービスが外部に公開するインターフェースは,IDとパスワードの入力といったように,限られていることを想定する. 2. 利用者の集合は追加や削除により,頻繁に変更することが多いが,既存のサービスは利用者を把握する機能を外部に公開しないことが多い. 本論文では,利用者と既存サービスの間に代理処理をするプロキシを介入させることにより,上記課題を解決した上で貸与利用機能を付加させる方法を提案する. 以下では,すでに提案されているオフライン貸与方式のプロトコルを示す.ただし簡単のため,盗聴によるなりすましや不正な再利用を防ぐための暗号化や認証のための手続きは省略する. サービスをs,利用者の集合をUとする.また各利用者u∈Uは識別子iuを与えられているものとする.またsは権利関数Fs:U→{0,1}をもつ.0は利用者が権利を持たないことを表し,1は権利を持つことを示す. (1) オフライン貸与利用プロトコル (a)利用者aからbへの貸与フェーズ STEP1:aは貸与する権利に対して利用できる回数や時間などの制限を,条件Ra→bとして記述する. STEP2:aはbに(ia,Ra→b)を提出する. (b)利用者bがaから貸与された権利を行使してsを利用するフェーズ STEP1:bはsに(ia,ib, Ra→b)を提出する. STEP2:sはFs(a)=1かつRa→bが真ならばbにサービスを提供する. なお,あらかじめsを受ける権利をもつ利用者aにはFs(a)=1,Ra→aに真が設定されているものとする.実際には盗聴によるなりすましや不正な再利用を防ぐため,適切な暗号化と認証が用いられる. 次に既存のサービスにできるだけ手を加えることなく貸与利用機能を付加することを考える.既存サービスs’は権利関数Fs’をもち,外部に対して以下のプロトコルしか用意していないものとする. (2) 既存サービスに想定するプロトコル STEP1:uはs’にiuを提出する. STEP2:s’はFs’(u)=1ならばuにサービスを提供する. このような単純サービスに手を加えずに貸与利用機能を付加する方法として,利用者と単純サービスの間で,サービスを利用する権利の貸与利用機能を代行するプロキシを導入することが考えられる. ただし,Uは利用者の追加や削除によって頻繁に更新されることが考えられる.上記のプロトコルしかもたない単純サービスに対して,プロキシは最新のUを把握することはできない. 以下に単純サービスs’とプロキシPを用いて貸与利用機能を実現する方法を提案する.ただし本論文ではオフライン貸与利用プロトコルのみを対象とする. (3) プロキシを用いたオフライン貸与利用プロトコル (a)利用者aからbへの貸与 STEP1:aは条件Ra→bを記述する. STEP2:aはbに(ia,Ra→b)を提出する. (b)利用者bがaから貸与された権利を行使してs’を利用 STEP1:bはPに(ia,ib, Ra→b)を提出する. STEP2:PはRa→bが真ならs’にiaを提出する. STEP3:s’はFs’(a)=1ならばbにサービスを提供する. 上記の方法により,単純サービスに貸与利用機能を付加することが可能である.上記の方法では,PはUの情報を必要としない.従って,Uが変更された場合でも運用することが可能である.またオフライン貸与利用プロトコルの場合,Ra→b内の変数を永続的に記憶する必要がないならば,Pはデータベースのような永続的な記憶領域を必要としないことも特徴である. 以上のように本論文では,既存の権利管理システムに権利の貸与機能を付加する方法を提案した.現在実装とその評価を行っている.

2B-3 (時間: 15:50 - 16:15)
題名Self COntrolled Trust "SCOT"
著者*小林 信博, 宮崎 一哉, 小俣 三郎 (三菱電機/情報技術総合研究所)
Pagepp. 258 - 263
KeywordPKI, PMI, PKC, SCOT
Abstract今後のユビキタス時代には,ヒト−ヒトのみならず,ヒト−モノそしてモノ−モノの連携が進むことで,我々の生活がサポートされ,より豊かになっていくものと期待されている.このようなユビキタス環境では,安全な連携を実現するために多数のエンティティが様々なポリシーに応じて多数の信頼関係を構築することが予想され,ユーザによる主体性を持った信頼関係の構築が自由にできる仕組みが望まれる.現在,セキュリティを実現する仕組みとして公開鍵暗号方式に基づくPKIが広く普及しているが,信頼関係の構築においてPKIによる従来方式には,エンティティに対する与信権限が最終的には認証局に委ねられることとなり,ユーザの主体性が保証されない,あるいは信頼関係の有無の判断を第三者に委ねなければならずユーザのコントロールが必ずしも及ばない,などの課題があった. そこで,本稿では,ユビキタス環境における信頼関係の定義と要件を整理し,属性認証による信頼関係の構築を基本方針とし,PKI による属性認証の各実現方式を比較するとともに課題を明らかにした.そしてこの解決方式をSelf COntrolled Trust ”SCOT”として提案した.その特徴として,登録局をユーザが担当することによる与信権限の主体性確保,そして発行局において公開鍵への署名を処理するHSM(Hardware Security Module)のユーザによる保有とコントロールが挙げられる.本提案方式により,ユーザの主体性とコントロールのもとで属性認証に基づく信頼関係の構築が可能となる.また,従来認証局が負担したプライベート鍵の厳重な保管に対する責任とコストを軽減することにも寄与する.

2B-4 (時間: 16:15 - 16:40)
題名ライフログを用いた認証システム
著者*石原 雄貴, 小池 英樹 (電気通信大学大学院情報システム学研究科)
Pagepp. 264 - 268
Keyword認証
Abstract近年,生活のあらゆる場面で個人認証を行う機会が増加した.そして,主に用いられいてる個人認証は4桁の暗証番号(PIN)や英数字列を用いたパスワードである.これらの問題点として,ユーザ自身が覚えやすいように脆弱のあるパスワードを用いていることがあげられる.このような場合,第三者が容易に推測が可能となる.推測されにくいパスワードを利用すると,ユーザがパスワードを覚えていられないという問題が生じ,特定のパスワードを覚える事はユーザにとって負担となる.本研究では,特定のパスワードを覚える必要の無い,ライフログを用いた認証(ライフログ認証)システムを考案した. 本研究で定義するライフログとは,駅の改札情報や購入物の情報のことである.現段階では,自動的にこのようなログを計測する手段はないが,今後自動的に取得できることを想定した.今回利用したログは,購入や駅を利用した際に,携帯電話を用い手動でサーバにアップロードしたものである. ライフログ認証とは,ユーザの最新の購入物や利用路線名を問う質問型の認証である.購入物と路線名を6つのカテゴリーに分け,各カテゴリーに9つのメニューを用意した.カテゴリーは,飲み物,食べ物,お菓子,デザート,雑誌,路線である. (カテゴリー例:飲み物,メニュー:コーヒー,お茶,スポーツ飲料,炭酸飲料,ジュース,ミネラルウォータ,ビール,焼酎,ワイン). 認証画面では,カテゴリーごとに表示され,9つのメニューの選択肢の中から前回購入した物を選択する.カテゴリーが路線の場合は,前回使用した路線を選択する.この操作を4カテゴリー分行い,認証の正誤判定を行う. 新たな購入物や路線情報が追加される度に,ユーザのパスワードが変化することとなる. ユーザは特定のパスワードを覚える必要がなく,最近の購入物,使用路線を覚えているだけで良い.現在,主に用いられている英数字列を用いたパスワードでは,安全性を高めるためにランダムな英数字列を用いると覚える事が困難である.逆に,覚えやすい英数字列を用いると,安全性が低くなる.また,定期的に使わない場合はパスワードを忘れてしまう場合が多い.本研究で考案したライフログ認証では,ライフログに情報が追加される度にパスワードが変化し,最新の購入物、利用路線を問うため,記憶する事に関して比較的容易であると考えられる. 本研究では,ユーザがどの程度自分の購入物,路線情報を覚えていられるかの記憶性関する事や,認証の成功率などの考察を行った.


セッション 2C  センサネットワーク2(UBI)
日時: 2007年7月4日(水) 15:00 - 16:40
部屋: 砂子〜磯笛
座長: 植原 啓介 (慶応義塾大学)

2C-1 (時間: 15:00 - 15:25)
題名センサネットワークを用いた分散計測システムの時間同定手法
著者*徳永 雄一, 稲坂 朋義, 平岡 精一 (三菱電機/情報技術総合研究所), 横田 裕介, 大久保 英嗣 (立命館大学/情報理工学部)
Pagepp. 269 - 276
Keywordセンサーネットワーク, 分散計測, 時刻同期
Abstract無線センサネットワークによる分散計測システムを構築する上で,各ノードの計測時間を正確に一致させる必要がある.一般的には,時刻同期プロトコルを導入することで,計測時間を特定する.しかし,高精度な同期を維持するためには,短い周期での時刻同期が必要なため,慢性的に通信帯域が消費される.そこで各ノードを時刻同期することなく,計測時間を特定する手法を提案する.本手法では,選択されたノードによるビーコン指示で計測を実施する.各ノードは,同期していない低精度のローカルクロックによるタイムスタンプを,計測情報とともに記録する.各タイムスタンプ情報を用いて,ビーコン指示のタイミング調整を行い,指定時刻の計測値取得を実現する.本手法による時間精度を,IEEE802.15.4準拠のセンサネットワークで評価した.その結果,±100μ秒以下の精度で計測時刻を特定できることを示した.

2C-2 (時間: 15:25 - 15:50)
題名ZigBeeを用いた無線信号強度による位置測定精度の検討
著者小松 祐也 (山形大学工学部電気電子工学科), *平松 孝規, 北島 雄一朗 (山形大学大学院理工学研究科電気電子工学専攻), 近藤 和弘, 中川 清司 (山形大学工学部電気電子工学科)
Pagepp. 277 - 280
Keyword位置情報システム
Abstract 近年ユビキタス社会の実現に向け,いたるところで位置情報を取得する必要がある.しかしながら屋内での位置情報の取得は確立されていない.  ZigBeeは他の近距離無線と比べて極めて低速である.しかしながら低コストで電力消費が少ないという特長がある.そのため建物内のいたるところに高密度で配置されると想定できる.そこで多くのZigBee端末を用いて屋内の位置情報の取得を目指す.  まずZigBeeで実測した距離に対する電波強度をもとに,Centroid測定をシミュレーションし,端末の密度と受信電波強度の関係を明確にし,位置測定の精度向上を目指す.  本来Centroid測定とは,受信電波強度を考慮しないものである.しかしながら本研究では,端末が十分近くにあり,受信電波強度を十分に強く受信した端末位置を用いることで精度の安定化を図った.そこで受信電波強度にしきい値を設けて,受信電波強度がしきい値以上の場合,端末が十分近くにあり,受信したものとみなす.  端末の配置場所はすべて極座標で表す.位置を知りたい受信端末は原点(0,0)に固定し,位置情報を既知とする送信端末はランダムで(r,θ)に配置する.ここでrは50cm以上400cm以下とし,θは端末の偏りを防ぐために象限毎に端末数を統一した.この条件下で受信電波強度のしきい値を何dBmにするかと,配置する送信端末の密度をどの程度にするかの2項目を検討した.それぞれの測定条件において500回試行した.この条件でそれぞれの端末から受信の可否を確認し,受信された端末が3端末以上であれば受信された端末の重心に測位結果を表示し,実際に受信端末が位置する場所と比較を行い誤差を算出する.このシミュレーションで用いる電波強度は,実測した値をもとに算出したものである.算出方法は以下に示す.  実測した距離に対する電波強度の分布を距離ごとに頻度グラフで観測したところ,Gaussian分布に類似した形をしていたため,主要なパラメータとして時系列で電波強度を測定したときの平均と分散を算出した.平均は距離ごとに平均をとり,最小二乗法の2次で近似した.分散は規則性がみられないため,全標本の平均とした.  シミュレーション結果より,端末を配置する密度が0.3個/m2以上で,しきい値がマイナス48dBm以下であれば,ほぼ100%測位可能である.測位可能とは3端末以上が受信されることと定義した.その他にしきい値がマイナス48dBmにおいて密度を0.318,0.398,0.477個/m2のように変化させたところ,誤差の平均が39.88,34.70,29.90cmとだんだん小さくなっている.端末の散らばり具合にもよるが,送信端末を高密度に配置するほど誤差の平均は小さくなることが確認された.  シミュレーション結果で,端末の配置密度が0.398個/m2,しきい値がマイナス48dBmのとき誤差が最大125cmと最小2.57cmの端末配置を比較したところ,端末の分布の様子に違いがあることがわかった.受信端末のまわりに送信端末がほとんどない上に,送信端末の配置も偏りがあった.よって端末を均等に配置することで誤差を小さくできる.  次に誤差が最大125cmと最小2.57cmの2パターンで端末の配置をまったく同じにして,実測で位置測定をしてシミュレーション結果と比較した.電波強度の差により受信されたとする端末に違いが出てくるため測位に誤差が生じた.実測での誤差は最大のとき141.91cm,最小のとき54.30cmとなった.実測での誤差はシミュレーションを行った誤差とほぼ同程度であることが確認できた. 今後以下を検討する. (1)Centroid測定は壁の近くで精度が悪くなるのでこの影響を考慮した測定方法を検討する. (2)本研究では障害物のない理想空間で研究を行ったが,実空間では壁以外にも障害物があるので,これも考慮して検討と行う.

2C-3 (時間: 15:50 - 16:15)
題名無線センサネットワークにおけるクラスタリングプロトコル向けスリープモードの検討
著者*鄭 懿, 陳 恵芳, 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 爰川 知宏, 小橋 喜嗣 (NTT サービスインテグレーション基盤研究所), 水野 忠則 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 281 - 286
Keywordセンサネットワーク, スリープモード, スケジューリング


セッション 2D  位置推定(ITS)
日時: 2007年7月4日(水) 15:00 - 16:40
部屋: 松〜梅
座長: 桐村 昌行 (三菱電機)

2D-1 (時間: 15:00 - 15:25)
題名無線LANおよびRFIDを統合した位置検知システム
著者*井上 文暁 (筑波大学大学院 システム情報工学研究科), 張 勇兵 (筑波大学大学院システム情報工学研究科)
Pagepp. 287 - 292
Keyword位置検知システム, 位置情報ドメイン, 無線LAN, RFID, Webサービス
Abstract本稿では,無線LAN技術およびRFID技術を統合した位置検知システムを提案する.本提案システムでは,ネットワークを複数の小さな位置情報管理ドメインに分割し各ドメインで位置情報を分散管理することにより,ネットワーク全体の位置情報管理負荷が分散されるのみでなく,各ドメインの構成変更に迅速に対応でき,大規模ネットワークに容易に拡張できるようになっている.また,各ドメインに設置されている位置情報管理サーバは無線LAN技術およびRFID技術の両方をサポートするため,異なる無線技術を用いる移動端末の位置情報を一元管理することができ,異なる通信技術が混在するシステムにおける位置情報サービスを提供できる.さらに,異なるドメイン間における位置情報の通信を制御することにより,ネットワークを流れる位置情報トラフィック量を減らすことが可能である.

2D-2 (時間: 15:25 - 15:50)
題名インターレースカメラによるフレーム内オプティカルフローを用いた高速移動対応の速度推定手法
著者*鈴木 雄貴 (神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻), 國本 佳嗣 (神戸大学大学院自然科学研究科電気電子工学専攻), 佐野 渉二 (神戸大学大学院自然科学研究科情報・電子科学専攻), 義久 智樹 (京都大学学術情報メディアセンター), 塚本 昌彦 (神戸大学工学部電気電子工学科)
Pagepp. 293 - 302
Keywordフレーム内オプティカルフロー, インターレース, 位置推定, 速度推定, 画像処理
Abstract 近年のカメラの小型化・高性能化に伴い,カメラ画像から撮影対象やカメラの速度を推定し,それらの位置を把握する研究が盛んに行われている.例えば,イベント会場の一部を撮影するカメラを用いて参加者の移動速度を推定し,会場案内を行うナビゲーションシステムや,ロボットに搭載されたカメラを用いて移動速度を求める研究が挙げられる.これまでの研究のほとんどは,撮影対象の画像フレーム間の移動量から速度を推定しているために,画像に歪みやぶれが生じない程度の速度でしか推定することができず,1フレームにしか撮影されないくらい高速に移動する場合では,正確に速度推定できなかった.どれくらいの速度を高速とするかについてはカメラの性能に依存するが,筆者らの無線カメラを用いた実験では,歩く速度程度が高速移動に相当する.例えば,高速移動する撮影対象の速度推定を行う以下の場合が考えられる. ・例1 街中に設置されたウェブカメラを用いて,友人の位置情報把握のため速度を推定する. ・例2 自転車に設置したハンディカメラを用いて,繁華街の店の位置情報把握のため速度を推定する. ・例3 自動車に設置した高精度カメラを用いて,近接車の位置情報把握のため速度を推定する.  このため,筆者らの研究グループでは,高速に移動する対象の速度推定を行う手法としてカメラのインターレーススキャンを利用した速度・推定手法を提案している.インターレーススキャンとは,インターレースカメラで撮影した1フレームの画像を奇数走査・偶数走査の順でスキャンするものである.これまでの手法では,黒色円形マーカを使用し,インターレーススキャンによるフレーム内でのマーカのぶれを利用して速度推定を行っていた.既定のマーカを用いるため,処理負荷が軽くなるが,あらかじめ多数のマーカを設置する必要がある.  本研究では,フレーム内オプティカルフローを用いた速度推定手法を提案する.オプティカルフローとは,連続する2枚の画像のある点が次の瞬間にどの方向へどの程度移動したかを示すベクトル場であり,オプティカルフローを用いることで,マーカがなくても速度推定を行うことができる.従来のオプティカルフローによる速度推定は,連続する2フレーム間の輝度差分を用いているが,スキャン間隔の長さのために,画像がぶれる場合や,2フレーム間の画像に対して,オプティカルフローを求めるために区切る局所領域内に画像の共通部分がなくなる場合のように高速移動するものに対しては対応できない.提案手法では,インターレーススキャンを利用し,フレーム内の奇数走査画像・偶数走査画像を2枚の画像とみなしてオプティカルフローを求めることで,スキャン間隔より短い時間間隔の画像からオプティカルフローを求めるために高速に移動する撮影対象の速度推定を行うことが可能となる.  提案手法の評価としてカメラの移動速度とオプティカルフローベクトルの大きさとの関係を調べることで,従来のオプティカルフローを用いた手法に比べ,提案手法の方が高速移動に対応できることを確認した.また,実験環境の照度を変えて実験を行うことで,照度による精度の変化がないことを確かめた.提案する速度推定手法を利用すれば,対象物体の位置・大きさが分かっている場合は,移動物体の速度推定や移動コンピュータの自律移動への応用,また速度推定を行うことでカメラをマウス代わりとして用いるアプリケーションや,カメラを装着したダンサーの動きの早さにより光の明滅パターンを変えるダンスパフォーマンスなどへの応用が実現可能と考えられる.

2D-3 (時間: 15:50 - 16:15)
題名アドホック無線通信を用いた位置推定プラットフォームの設計と性能評価
著者*内山 彰, 藤井 彩恵, 梅津 高朗, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 303 - 311
Keywordアドホックネットワーク, 位置推定, 都市環境, 通信量削減
Abstract我々はこれまでに都市環境向けの高精度な位置推定手法UPL を提案している.本稿では,UPL の 実現に関するいくつかの課題解決を図り,UPL を用いた位置推定プラットフォームの実現を目指す. UPL では端末間で位置推定に必要な情報をやりとりする必要があるが,電力節約のためにその通信量 をできるだけ削減することが求められる.この目的のため,周辺端末の密度やそれらが保持するデー タを推測し,推定精度を低下させることなく自律的に通信量を削減できる方法を提案する.また,領 域情報を階層化することでデータサイズを削減し,拡張性を向上させる.さらに,実環境での電波到 達範囲の不安定性を考慮した無線範囲モデルを導入し,それらが性能に与える影響を調べる.現実的 な人の行動を再現可能なネットワークシミュレータMobiREAL を用いたシミュレーション実験結果 より,提案手法をUPL に導入することで,実装時に考慮すべき問題を効果的に解決できることが分 かった.また,現実的な無線範囲モデルの下でも高い推定精度を維持できることを確認した.

2D-4 (時間: 16:15 - 16:40)
題名無線端末の遭遇履歴情報を用いた位置トレース推定手法の提案
著者*藤井 彩恵, 内山 彰, 梅津 高朗, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 312 - 321
Keyword位置トレース, アドホックネットワーク, シミュレーテッド・アニーリング
Abstract本稿では,GPS などの測位システムを用いず,少ない位置基準点と無線端末が蓄積した他端末との遭遇情報のみを用い,それらの移動軌跡をオフラインで推定する低コストな位置トレース手法を提案する.提案手法では,与えられた遭遇情報から,位置基準点間をなるべく最短距離で移動する端末の行動を検出し,それを基準とした逐次的推定を順次行うことで,高速かつ簡潔な位置トレーシングを可能としている.さらに,シミュレーテッド・アニーリング(SA)に基づいた,全端末間での一括位置調整を併用することで,逐次的推定からの更なる高精度化を図る.シミュレーション実験により,基準位置が数十メートル間隔で配置された領域において端末の位置誤差の平均が4m 以下に抑えられた.


セッション 2E  ユビキタス情報処理1(UBI)
日時: 2007年7月4日(水) 15:00 - 16:40
部屋: 鶴・亀
座長: 西尾 信彦 (立命館大学)

2E-1 (時間: 15:00 - 15:25)
題名物体の相対的な位置関係に基づいた実世界のイベント検知手法
著者*柳沢 豊, 前川 卓也, 岡留 剛 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
Pagepp. 322 - 329
Keywordユビキタスコンピューティング, イベント検出, センサネットワーク, 接触
Abstract近年,実世界に埋め込まれた多数のセンサノードから集めたデータを使って,さまざまなサービスを提供しようとする研究が進んでいる.代表的なサービスとしては,コンテキストアウェアサービス,ロケーションアウェアサービスがある.これらのサービスでは,ユーザや実世界の物の状態や位置に応じて,ユーザに提供するサービスの内容を動的に変える.どのようなサービスを提供するかは,センサで取得したさまざまな実世界のデータを処理して決める.中でも,ユーザや物体の物理的な位置をあらわすデータは,サービスの内容や質を決定する上で重要なデータである.位置データの使われ方は,主に次の2つに分類できる. 1. サービスの内容を決定するために,物体やユーザの位置を(判断材料として)利用する.例えば「本を持ったユーザが机に近づくと,スポットライトが点灯する」というようなサービスはこれにあたる. 2. サービスの方法として,物体や他ユーザの位置をユーザに提示する.例えば「ユーザが置き忘れたサイフの場所を提示する」というサービスはこれにあたる. いずれのサービスを提供する場合にも,「位置」または「位置の変化」を人間の理解できる形で表現することが必要である.本稿では,この「位置」に関するイベントを記述するよりよい方法について議論する. 従来のシステムでは,物体の位置データは通常 のような組で表現された,絶対的な座標点データとして管理している.これは,絶対的な位置が取れれば,あらゆるサービスに使えるという考えに基づいている.しかし,物体の位置を検索するときや,物体の位置に関する条件を記述するときに,絶対位置を用いることは実際にはほとんどない.例えば「部屋の <120, 300, 40> の位置に本がある」のような記述は人間には分かりにくいが,「部屋の中の机の上に本がある」というように,物体との相対的な位置関係を使った記述は分かりやすい.検索を行う場合でも「机の上に何があるか」という問いの記述方法は分かりやすいが,「<100,250,50> <220,180,80> を対角線とする立方体の領域内に何があるか」のような記述は,記述そのものがしにくい上にユーザにも分かりにくい表記である. つまり,物体に関して位置を情報として使う問い合わせでは,何か別の物体を基準として,その物体との相対関係を使って問い合わせること(および回答が得られること)が望まれる.こうした"相対位置表現"を使った,イベント記述の需要は高い. 従来のシステムでも,相対位置表現は可能ではある.従来法では,目的毎に定義した(便宜的な)ルールを個別に解釈し,絶対座標をもとに位置的な上下関係や包含関係などの相対的な関係を計算で求めている.しかし,こうしたおざなりなルールの記述方法は,次の2つの問題を引き起こす. 1. 同じイベントを表現するルールが何通りにも記述できる(一意性の欠如).このため,ルールを追加するたびに,ユーザ自身がルールセット全体の一貫性をチェックする必要があり,ユーザの負担が重くなる. 2. 位置の変化を検出するルールの,効率的な評価法(計算法)がない.ルールの記述法が曖昧であるため,ルールの評価(計算)自体もルールごとに与える必要がある.こうした方法は,ルール数や扱う物体(データ量)が少ない限りは問題がない.しかし,この方法は本質的に,物体の数の二乗に比例して,評価すべきルールの数が増大するという問題がある.つまり,相対位置表現を実際のアプリケーションで利用するためには,ルールの記述に一貫性を確保することと,ルールの評価法を定式化することが必要である. その方法として,われわれは領域間の図形的な関係を表す8つの単語(disjoint, contains, inside, equal, meet, cover, covered by, overlap) に「support」を加えた8+1の関係(ルール)を base にして,物体の相対位置表現を可能にする方法を提案する.図形的な関係とは,図形間の関係を推論するために用いられる関係である.例えば「 図形 A の中に図形 B が入っており, 図形 B の中に図形 C が入っているならば,図形 A は図形 C を含む」というような推論に使われる.この図家関係は物理的に不変な現象に基づいているため,相対的な位置関係を必ず一意に記述できる(かつ解釈も一意になる).また,位置関係をこれらの9つの関係のみで記述することで,センサデータから位置関係の変化を発見する方法を,最終的には 6 つの関係の発見という問題に置き換えることで定式化(形式化)できることを示す.

2E-2 (時間: 15:25 - 15:50)
題名センサネットワークを構成する小型センサノードの状態可視化システム
著者*安西 徹 (長岡技術科学大学大学院工学研究科電気電子情報工学専攻), 柳沢 豊, 前川 卓也, 岡留 剛 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
Pagepp. 330 - 338
Keywordsensor network, ubiquitous computing, sensor node, visualization
Abstractセンサネットワークの技術はユビキタス社会を担う重要なインフラであり,これを用いてさまざまなサービスが提供されることが期待されている.従来センサネットワークを構成する,多数のセンサノードの状態を確認するためには,ユーザがデータをテキストやグラフの形式で閲覧する方法が一般的である.しかし,多数のセンサデータを同時に閲覧して動作を確認することは,ユーザにとっては大きな負担となる.そこで筆者らは,センサノードの状態をリアルタイムに可視化してユーザに提示することで,センサの状態や実世界で生じているイベントを直感的に理解しやすくするシステムの開発を行った.この可視化システムの要件としては,センサノードの状態が視覚的に確認しやすいこと,センサノードの異常を速やかに発見できること,センシングを行う様々な環境への適用が容易でに行えることである.本論文では,これらの要件を満たすシステムの設計および実装について述べる.

2E-3 (時間: 15:50 - 16:15)
題名光通信による大量のLEDマイコンユニットの一斉制御方式
著者*中田 眞深, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻)
Pagepp. 339 - 346
Keyword光通信, 電飾アート, LED制御, ユビキタスコンピューティング, ユビキタスデバイス
Abstract近年,発光ダイオード(LED)は低消費電力で長寿命,低発熱というメリットを生かし街頭のサイン,信号機から照明器具まで 生活の様々な場所で見られるようになった. 特にイルミネーションやウェアラブルファッションなどのLEDを利用した電飾アートはデバイスの技術向上に伴い その表現力の幅は広がっている.しかし,その動作は単純なON/OFFの切り替えやマイコンによる簡単なインタラクションの 導入にとどまっている. マイコンを用いたLEDの制御ではデバイスが大量になると個別にプログラムを書き込むことは難しくなる. そこで本稿では大量のLEDマイコンユニットの動作を動的に一斉に制御する方法としてプロジェクタを用いた方式を提案する. 提案手法では光を感知するセンサを搭載したデバイスにプロジェクタの光を照射し,マイコンがその情報を解析しLEDの動作を制御する. これを用いることにより大量のLEDの動的な一斉制御が可能となる.さらにカメラを用いれば デバイスからの情報を受信することができ,プロジェクタとカメラによる各デバイスとの双方向の一斉通信を行うことができる.

2E-4 (時間: 16:15 - 16:40)
題名加速度センサを用いたウェアラブルダンシング楽器システム
著者*藤本 実 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻), 塚本 昌彦 (神戸大学/工学部電気電子工学科), 藤田 直生 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻), 田川 聖治 (神戸大学/工学部電気電子工学科)
Pagepp. 347 - 354
Keywordウェアラブルコンピューティング, 加速度センサ, ダンス, 演奏システム, 音楽情報処理
Abstract 近年,コンピュータ技術の進化にともない,音楽エンターテイメントのあり方が大きく変化してきた.例えば,数年前アーケードゲームや家庭用ゲーム機市場で,ダンスダンスレボリューションやブラボーミュージックなど,新しい体感型音楽エンターテイメントが一世を風靡した.これらのゲームは音楽自体の楽しさと身体活動のゲーム性,爽快感を併せ持つ,音を使った新しい遊びのジャンルを確立したといえる. また,コンピュータにより,人と音楽を合わせた新しいインタラクションが考えられるようになったともいえる.これらの流行を機に,体感型エンターテイメントはさまざまな形に応用され,ドラム,ギター,和太鼓,マラカスなど楽器を再現するもの,ダンスのパラパラの動きをゲームにしたものなどが登場した. このような近年の状況において,コンピュータを利用した新しい楽器に関する研究も進められている.YAMAHA MIBURIをはじめとするさまざまなモーション系の楽器は,身体情報で音を表現する,新しい音楽表現の方法を取り入れるものである.しかしこれらは非常に素朴なレベルで音楽とモーションを関連付けるものであり,楽器としては操作が難しいものである.そして,これらの楽器は演奏の再現性が低いものであるか,表現力が不十分なものとして多くの人に受け入れられるまでは成長していないのが現状である.例えばダンスダンスレボリューションについて述べると,動作のパターンは4つのパターンに固定されており,決められたパターンの音楽しか演奏できない.また,YAMAHA MIBURIの場合では,演奏方法を覚えることにより,楽器で演奏しているかのように音を出力することが可能となる.演奏をするためだけならある程度は成立すると考えられるが,踊ることによって演奏などさらに高度なパフォーマンスには表現能力が不足している. ここで,近年急速に発展しているセンサやマイコンなどの組込み技術やウェアラブル,ユビキタスコンピューティングのシステム技術を用いることで,操作が簡単で,かつ,ユーザの動きと音楽をより密接に関連付けた高度な音楽表現が可能になるものと考えられる. しかし,これまで動きにより音を出し,演奏する装置は存在したが,ダンスのステップに直接結びつけたものはない.そこで本研究では,音を出すために動くのではなく,ダンスを踊ることによって音を奏でるという踊ることを前提に考えた装置を提案する. 実際のダンスによるパフォーマンスでは,クラシックから現代の新しい音楽,民族音楽から自然の音など無数にある音の中から音を選び,編集し,音作りを行う.これらの音から全体の構成を決め,音に合わせたフリ作りが始まる.つまり,音がなければダンスというものは成立しないともいえる. また,ダンスには展開があり,一つのショーとして完成させるためには,曲の雰囲気,曲のテンポを変えてアクセントをつけることも必要となる.そして音のパターンを変更できるようにすることで踊りの雰囲気を変えることができる.さらに音のテンポを変更できるようにすることで展開に幅を持たせることが可能になる.これらを実現するため,本研究ではスクリプト記述によるマッチングの機構を採用する. スクリプト記述は,コンパイル作業を省略し,簡単に実行できるようにしたプログラムを記述する方式のことである.これによりユーザはアプリケーション上で設定を記述するだけで動作設定を行うことが可能となる.つまり,簡単な文を記述するだけで,ユーザが自ら音を選択し,音のパターンの変更方法を設定し,曲の編集をするかのように展開をつけることが可能となる. システム内ではデータのマッチングにより動きを認識し,それを一つのパターンとして取り扱えるようにする.マッチングにはDPマッチングとしきい値の2手法を用意する.DPマッチングは,動的計画法(Dynamic Programming) によるマッチングを行う方式で,一度計算した結果を再利用して効率的に計算し,二つのパターンの要素間を対応付け,効率的に類似度を計算する方法である.センサから動きの3軸加速度データのサンプルを取得し,DPマッチングを行うことによって,ユーザ一人ひとりに対応させるシステムになっている.しきい値による解析は,設定した軸の加速度データの大きさだけで判断する.状況に応じて適している方式を用いることで,計算時間を短縮し,音の出力の遅延を抑えることができる.これにより,遅延によるダンスのステップと音のずれによる違和感の減少につなげることができる. 以上のように本稿では新しいエンターテイメントの形を提案する. 音選びから動きの選択,構成の決定まで行えるシステムを構築し,「踊ることにより演奏できる」という新たなショーの形を提案する.例えば,一人はドラム,一人はギターというように分けて踊ることによってダンスによるセッションと,音によるセッションが同時に可能となり,新しいショーとして成り立つようになるものと考える.


セッション 2F  屋外環境と異文化コミュニケーション(GN)
日時: 2007年7月4日(水) 15:00 - 16:40
部屋: 展望サロンA
座長: 宗森 純 (和歌山大学)

2F-1 (時間: 15:00 - 15:25)
題名病院受付における多言語間コミュニケーション支援システムM3の開発
著者*宮部 真衣 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部デザイン情報学科/情報通信研究機構), 西村 竜一 (和歌山大学システム工学部デザイン情報学科)
Pagepp. 355 - 363
Keyword多言語間コミュニケーション, 用例対訳, 病院受付
Abstract多言語コミュニケーションを円滑に行うためには,言語の違いを克服しなければならない.特に医療分野では,高い翻訳精度が要求されており,機械翻訳などの技術による支援は難しい.そこで本稿では,用例対訳を用いた多言語コミュニケーション支援システムを開発し,京都市立病院において試用を行った.また,試用結果に基づき,問題解決フローチャート機能を開発し,帰結誘導実験を行った.実験の結果,13項目のフローチャートの場合,開発した機能を用いて約11秒で帰結まで誘導できた.また,フローチャートは全体の把握が容易であるが,迷いやすく感じる被験者が多く,1つずつ質問を行う逐次質問形式との併用により効果が上がると考えられる.

2F-2 (時間: 15:25 - 15:50)
題名外国人旅行者向け画像を用いた疑問解決支援システム UJIN
著者*吉野 孝 (和歌山大学システム工学部/情報通信研究機構), 坂西 裕次郎 (和歌山大学システム工学部), 重信 智宏 (情報通信研究機構)
Pagepp. 364 - 370
Keyword異文化間コミュニケーション, 観光支援, 機械翻訳
Abstract近年,訪日外国人旅行者数の増加および旅行先の多様化に伴い,地方まで積極的に足を伸ばす外国人旅行者の割合が増加している.しかし,外国人に対応した観光案内所の数が地方には少なく,十分なガイドを提供出来ないといった問題がある.そこで,外国人旅行者への観光支援の一つとして,観光中に短時間かつ適切に質問が出来るように,携帯電話からの画像添付メールを質問の手段とし,地域住民によりその画像解釈の提供を行うシステムUJIN を開発した.本システムでは,日本人の回答記入のために機械翻訳を利用することで,母国語を使って回答を作成できる.本システムでは,写真の利用に加えて,あらかじめ準備された質問リストを用いることにより,適切な質問と回答ができることを目指している.本論文では,システム開発および外国人,日本人によるシステムの評価を行い,写真を介した疑問解決支援システムUJIN の効果と異なる言語利用者間における利用の可能性を示す.

2F-3 (時間: 15:50 - 16:15)
題名外国人旅行者向け観光地情報収集システム iTravelE の開発
著者*長野 優一朗, 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 371 - 377
Keyword外国人旅行者支援, 機械翻訳, GoogleEarth
Abstract日本を訪れる外国人旅行者の数は年々増加している. また,インターネットの普及に伴い,訪日前にインターネットを利用して訪問地の情報収集を行っている旅行者も増えてきているが, 訪日外国人旅行者向けのWebサイトに掲載されている情報は僅かであり,訪日前に十分な情報収集が行えるほど環境が整備されているとは言えない. そこで,訪日前の外国人旅行者の情報収集活動を支援するために, 機械翻訳とGoogleEarthを用いた外国人旅行者向け観光地情報収集システムiTravelEの構築を行った. 本稿は,iTravelEと異文化間チャットツールを用いた試用実験の結果およびGoogleEarthの共有機能による効果について検討を行った. 実験の結果,システムを利用することで,質問の回答に対するユーザの満足度がシステムを利用しない場合よりも高くなることが分かった.


セッション 2G  P2P2(DPS)
日時: 2007年7月4日(水) 15:00 - 16:40
部屋: 展望サロンB
座長: 西山 智 (KDDI研究所)

2G-1 (時間: 15:00 - 15:25)
題名ピュアP2Pネットワークにおける囮ピアを用いた検索ネットワークの制御によるファイル流通制御方式
著者*山崎 尭之 (東京農工大学大学院 技術経営研究科), 大坐畠 智, 川島 幸之助 (東京農工大学大学院 工学府情報工学専攻)
Pagepp. 378 - 383
KeywordP2P, 流出ファイル, セキュリティ, Winny
Abstract1.はじめに 日本ではファイル共有ソフトWinnyによる著作権の存在するファイルの違法な流通および,ウィルスファイルの感染による情報流出が大きな社会問題となっている. 一度Winnyネットワークに流通したファイルの流通を制御するためには,Winny ネットワークに参加し内部から不適切なファイルの流通を防止することが必要である.本稿では非協力的なピアをWinny ネットワークに参加させることによって,流通するファイルの制御を行う方式を提案し,評価を行う. 2.Winny のファイル流通方式 Winnyネットワークでは“キー”と呼ばれるファイルのメタ情報をネットワーク上に流通させることでファイル流通を実現している.キーにはファイル実体をアップロードしているかまたは転送を中継しているピアのIP アドレス及びポート番号や,アップロードファイルの名前やファイルサイズなどの情報が記録されている. Winny のファイル流通方式の特徴的な点は,ピアの通信速度によってネットワークが階層化され,隣接ピア間で定期的にキーを拡散することや,ピアの検索キーワードによるクラスタリングを行うこと等から,ファイル検索クエリのフラッディングを行わずに実用的なファイル検索効率を実現している点が挙げられる. 3.提案する制御方式 本稿ではキーに含まれるタイマに着目した.タイマはキーの生存時間となっており,時間経過により値が0 となった時点(およそ25分)でキーはそれを保持しているピアから削除される.よって,Winny ネットワークにおけるファイル流通にはファイルをアップロードしているピアからの定期的なキーの拡散によるタイマが必要不可欠となっている.このことから,ファイルの1 次アップロード元からのキーの拡散を抑制することができれば,Winny ネットワークからファイルメタ情報が消滅し,アップロードファイルが検索によりネットワーク上から発見できなくなり,実質的にファイルが存在しない状況になると考えられる.そこで,ファイル流通制御機能を持ったピアをWinny ネットワークに参加させ,不適切なファイルのアップロードに加担しているピアと検索リンク,すなわち,キーの流通に関する通信を高い頻度でかつ継続的に接続させることによって,制御対象ピアからキーが他のピアに拡散することを抑制するという制御手法を提案する. 4.実験と結果 提案する制御方式の効果を評価するために提案方式をWinnyプロトコル互換ピアとして実装し,シミュレーション実験を行った.実験環境としてVMWare WorkStation5 を利用して仮想マシン55台にWinny2β7.1を動作させ,制御ピアと測定ピアをそれぞれ1台のPCに動作させた.2つの制御ピアを実行し,それぞれが制御対象ピアに対して継続して10 本のクライアント接続を行う.また,20 秒ごとにWinny コマンド10(拡散クエリ送信要求) を送信することで検索リンクを維持しつづけ,キーの拡散を抑えた. 実験中にネットワークに参加する各ピアのキーの保持状況を測定した.各ピアのファイルメタ情報の保持状況を調査する測定用ピアを実装し,ネットワーク上の全Winny ピアに対して一定間隔でWinny コマンド10(拡散クエリ送信要求) を1 個送信する事で,接続先から返答として得られるWinny コマンド13(検索クエリ) から抽出したキーを記録した.実験の結果,提案方式により,キーの流通がなくなることを確認した. また,提案制御方式によるファイル検索効率への影響についても評価を行った.測定にあたってはWinnyネットワークに対して実際にファイル検索クエリを送信し,この返答を調査する測定用ピアを実装した.測定用ピアは一定の時間間隔でWinnyネットワーク内のピアをランダムに選択してファイル検索クエリを送信し,返答を記録する.評価実験の結果,提案制御方式による制御によって,制御対象ピアのアップロードしているファイルはネットワーク上において検索しても発見できなくなることを確認した. 5.おわりに Winny ネットワークにおけるファイル流通を制御する手法として,検索リンクの制御によるキーの流通制御を行う方式を提案し,効果を示した.今後は現実のWinny ネットワークでの検証を行う予定である.

2G-2 (時間: 15:25 - 15:50)
題名P2Pネットワークにおけるクエリ統計情報を利用した自律分散型複製配置方式
著者*趙 勇, 渡辺 俊貴, 神崎 映光, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 384 - 391
KeywordP2P, 複製配置, データアクセス頻度, 検索成功率, 自律分散
Abstract 近年,計算機の高性能化とネットワークのブロードバンド化に伴い,Peer-to-Peer(P2P)ネットワークサービスに対する注目が高まっている.P2Pネットワークサービスでは,クライアント・サーバモデルのように,サービスの提供者や利用者といった明確な区別を行わず,各端末(ピア)が両方の役割を担い,互いにサービスを提供しあう.このようなP2Pネットワークサービスは,クライアント・サーバモデルに比べ,サービス提供における負荷が分散されるため,スケーラビリティや耐障害性の面で優れているという特徴をもつ.  P2Pネットワークでは,検索における負荷分散やデータの可用性向上のために,ネットワーク上の複数のピアにデータの複製を配置することが有効であり,様々な研究が行われている.ここで,各ピアが全てのデータの複製を所持すると,全てのデータアクセスが必ず成功する.しかし,実環境では,莫大な数のピアがデータを共有することが考えられるため,全てのデータの複製を保持することは現実的ではない.そのため,ピアに配置する各データの複製数に関する研究が数多く行われている.その中で,理想的な複製配置として,平方根配置モデルが挙げられる.平方根配置モデルでは,ネットワーク全体に配置する各データの複製数の比を,各データに対するアクセス頻度の平方根の比と等しくすることで,ネットワークトラフィックや検索成功率において最も良い性能が得られることを証明している.この平方根配置モデルを実現するために,筆者らの研究グループではこれまでに,データアクセス頻度を考慮した確率的な複製配置方式を提案している.この方式では,検索成功時にクエリが伝播したパス上のピアが,そのデータに対するアクセス頻度の順位を考慮して確率的に複製を配置することで,平方根配置モデルに近い数の複製をネットワーク上に配置する.しかし,この方式では,ネットワーク全体における各データへのアクセス頻度の分布が既知である環境を想定し,その環境に応じて各ピアの複製配置確率を決定するため,実環境への適用が困難である.  そこで本研究では,各ピアの自律的な動作によって平方根配置モデルに近い数の複製配置を実現するために,クエリ統計情報を利用した自律分散型複製配置方式を提案する.提案方式では,各ピアが,自身が受け取ったクエリに関する情報を記録し,データごとのクエリ数を統計情報として保持する.また,統計情報を利用して,各データへのアクセス頻度を推測する.ここで,クエリの伝播には,TTLを設定したフラッディングを用いることが一般的であり,全てのピアが同じ数のクエリを受け取るとは限らない.そのため,各ピアが自身の統計情報のみを参照しても,正確なアクセス頻度を推測できない可能性がある.このことを考慮して,提案方式では,統計情報を隣接ピア間で互いに共有することで,より正確なデータへのアクセス頻度を推測する.このとき,一つのクエリを複数のピアで記録することによって起こるクエリ統計の重複を防ぐために,各ピアが,各データに対するクエリの送受信数を隣接ピアごとに記録し,重複クエリ情報として保持する. 各ピアは,全ての隣接ピアが所持する統計情報および重複クエリ情報を収集し,自身の周辺におけるより正確なデータアクセス頻度を推測する.その後,検索成功時にクエリが伝播したパス上のピアが,推測したデータアクセス頻度を基に各データに対する複製配置確率を決定する.  ここで,データの検索は,アクセス頻度の高いデータに対して頻繁に行われる.そのため,これらのデータの複製が作成される機会が,アクセス頻度の低いデータより多くなる.このような環境では,各ピアにおける複製の置き換えによって,アクセス頻度の低いデータの複製数が減少し,これらのデータの発見が困難になる.そこで,提案方式では,アクセス頻度の高いデータの複製配置確率を減少させ,アクセス頻度の低いデータの複製配置確率を増加させることで,アクセス頻度の高いデータの複製が過剰に配置されることを抑え,アクセス頻度の低いデータの検索成功率を高く保つ.  さらに本研究では,シミュレーション実験を行い,提案手法の有用性を評価する.

2G-3 (時間: 15:50 - 16:15)
題名P2Pネットワークにおけるユーザの嗜好特性を考慮した検索方法
著者*宮崎 知美, 渡辺 俊貴, 神崎 映光, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学 大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 392 - 399
KeywordP2P, 検索
Abstract近年,計算機の高性能化とネットワークインフラの高度化により,Peer-to-Peer (P2P)ネットワークモデルを用いたネットワークサービスに注目が集まっている.既存のネットワークサービスとして最も一般的なクライアント・サーバモデルとは異なり,P2Pネットワーク上では各計算機(ピア)が 互いにサービスを提供しあう.そのため,高い耐障害性やスケーラビリティを実現できる. P2Pモデルを用いたネットワークサービスでは,データを検索する場合,ユーザがデータの特徴を表す単語(キーワード)を指定したクエリを発行することが一般的である.このとき,クエリを受け取ったピアは,クエリ内のキーワードを含むデータを所持していた場合,クエリを発行したピアに自身の所持するデータを返す.一方,ネットワーク規模の拡大や,ネットワーク上のデータ数の増加により,キーワード検索に対する正確性の課題が指摘されている.一般的に,ユーザは,多義語のように複数の意味をもつキーワードを使用する場合でも,その中の一つの意味を想定してデータを検索する.しかし,キーワード検索では,ユーザの希望するデータだけでなく, 意図していない意味でキーワードが使われているデータも,検索結果として返されてしまう可能性が高い.この問題を解決するための単純な方法として,キーワードを複数入力することで検索の精度を高めることが考えられる.しかし,追加されたキーワードが複数の意味をもつ場合や,ユーザの意図を表現しきれない場合は,受信するデータ数が減少せず,単一のキーワードを利用する場合と同様の問題が発生する. そこで本研究では,P2Pネットワークにおけるユーザの嗜好特性を考慮した 検索手法を提案する.提案手法では,各データに特徴となるキーワードが あらかじめ複数付与されている環境を想定し,各ピアが,自身のもつデータや,過去にユーザがアクセスしたデータに付与されたキーワードに基づいて,ユーザの嗜好を推測する.また,各ピアが推測したユーザの嗜好を検索時に利用することで,ユーザの嗜好に応じたデータのみを効果的に取得する. 各ピアは,ユーザの嗜好を推測するために,データに付与されたキーワードのうち,関連するものを連結したグラフ(キーワードグラフ)を生成,管理する.ここで,キーワード間の関連性は予め定められているものとし,ピアごとに独自の関連性が設定されることはないものとする.さらに,各ピアは,自身のキーワードグラフに含まれる各枝に重み(関連度)を設定することで,ユーザの嗜好をより詳細に推測する. データ検索時には,嗜好の似たユーザから優先的にデータを取得するために,各ピアのキーワードグラフを利用する.クエリを発行するピアは,ユーザが入力したキーワード(メインキーワード)と,自身のキーワードグラフにおいて,メインキーワードを含む部分的なキーワードグラフをクエリ内に含めて送信する.クエリを受け取ったピアは,自身のキーワードグラフと クエリ内に含まれているキーワードグラフの類似度を計算する.ここで,類似度の計算は,二つのキーワードグラフにおいて共通なキーワード数,および,共通の枝に設定された重みの差異を考慮する.その後,計算した類似度の高いピアのみ,クエリを発行したピアに,データを返信する.これにより,クエリを発行したユーザが,自身の嗜好とかけはなれたピアからデータを受信することを防ぐ.また,クエリを発行したピアは,受信したデータをユーザが選択した場合に,そのデータの特徴を表すキーワードを調べ,自身のキーワードグラフを更新する.キーワードグラフを更新する際には,ユーザが選択したデータに付属するキーワードグラフを参照し,自身のキーワードグラフ内に存在しないキーワードの追加や,キーワード間の関連度の変更を行う.各ピアは,検索およびキーワードグラフの更新を繰り返すことで, ユーザの嗜好を学習する. さらに本研究では,シミュレーション実験を行い,提案手法の有効性を検証する.

2G-4 (時間: 16:15 - 16:40)
題名P2P情報検索における単語の重みに基づいたデータ配置手法
著者*倉沢 央 (東京大学大学院), 若木 裕美 (東芝 研究開発センター), 正田 備也 (長崎大学), 高須 淳宏, 安達 淳 (国立情報学研究所)
Pagepp. 400 - 408
KeywordPeer-to-Peer, 情報検索, 単語の重み, データ配置, データ分割
AbstractPeer-to-Peer(P2P)ネットワークを用いた情報検索では,低コストでありながら負荷分散や高いスケーラビリティが簡単に実現可能である.しかしながら既存のP2Pネットワークを用いた情報検索手法のデータ配置法は,全ての文書のデータが単語に対して均等な重み付けに割り当てられている.つまり,既存の手法では個々の文書のデータは内容に無関係に配置されているため,ユーザは問い合わせに対する適合度の大小に関わらず同じだけの手間をかけて文書を取得しなければならない.そこで我々は,P2P情報検索における索引とデータの分散配置手法,Concordiaを提案する.文書のデータを単語の重みに基づいて配置することで,問い合わせとの適合度の高い文書ほど収集を容易にした.さらに,文書と関係する単語のハッシュ値に該当するノードすべてに,(k,n)閾値法でエンコードした分散情報を単語の重みに基づいて配置することで,ノードの突如の離脱が起こりうる状況でも安定した文書の収集を実現した.


セッション 2H  インターネット2(DSM)
日時: 2007年7月4日(水) 15:00 - 16:40
部屋: 回転スカイラウンジ
座長: 藤村 直美 (九州大学)

2H-1 (時間: 15:00 - 15:25)
題名端末の機能追加が不要なNAT越え方式の提案
著者*宮 悠 (名城大学), 鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学 理工学研究科)
Pagepp. 409 - 413
KeywordNAT, NAT越え, DNS, STUN, AVES
Abstractユビキタス社会の到来に向けて,いつでもどこからでもネットワークにアクセスしたいという需要が高まっている.そこでは外出先からでも家庭内や企業内の端末に自由にアクセスしたいというニーズが考えられる.しかし,家庭内や企業内のネットワークはプライベートアドレスで構築される場合が一般であり,通信経路上に必ずNATが存在する.このような環境ではインターネット側の端末からプライベートアドレスの端末に対して通信を開始するためにNAT越え問題を解決する必要がある.本稿では,DNSサーバとNATルータを改造し,両者を協調させることによりNAT越えを実現する方式を提案する.

2H-2 (時間: 15:25 - 15:50)
題名非常時における通信確保のためのBGP接続手法の提案
著者*渡里 雅史, 屏 雄一郎, 阿野 茂浩 (株式会社KDDI研究所), 山崎 克之 (長岡技術科学大学)
Pagepp. 414 - 419
KeywordBGP, 耐故障性, マルチホーム, 経路制御
Abstractインターネットは,非常時における緊急通信確保のための重要な社会インフラとなった一方で,インフラを支えるBorder Gateway Protocol 4 (BGP)の仕様は,標準化から10年以上経った今もほとんど変更されてない.一般的なBGPを用いたインフラの安定化・高信頼化手法としてマルチホームがあるが,予め代替経路を確保する手法は運用コストが高く,インターネット全体の経路数を増加させることが問題となる.本課題を解決するため,本稿では,新たな高信頼化手法として,予め代替経路を確保せず,障害時にオンデマンドでドメイン内外の他のBGPピアを自律的かつ動的に探索し,接続性を確保するオンデマンド型BGP接続手法を提案する.提案手法は,代表BGPスピーカ間でAS番号を変換することで,ドメイン間の収容変更を可能とする.本稿では,提案手法のBGP拡張に関わる詳細設計ならび既存ネットワークへの適用性について述べる.

2H-3 (時間: 15:50 - 16:15)
題名インターネット上の名前解決の可用性を向上させるDNSLXPの提案
著者*渥美 清隆 (鈴鹿工業高等専門学校), 岡田 卓也, 増山 繁 (豊橋技術科学大学知識情報工学系)
Pagepp. 420 - 428
KeywordDNS, 名前解決, 可用性, 地域IX
Abstractキーワード: Domain Name System, Local eXchenge Point, Alternate Root Server, 可用性, P2P アブストラクト: インターネットではFQDNと呼ばれるコンピュータに付与された名前から, そのコンピュータに付与されたIPアドレスに変換するサービスとしてDNS(Domain Name System)が定着し、このサービスが利用できなければ、事実上インターネットを利用できない状況である。ここで言う事実上というのは、当該コンピュータ間のIP到達性があり、当該コンピュータのIPアドレスを知っていれば、当該コピュータのサービスを利用できるにも関わらず、IPアドレスを知ることが 出来ないために、サービスが利用できないということである。 あるクライアントがDNSを使って名前解決を行なうためには、まず、キャッシュサーバと呼ばれる名前解決を再帰的に行なってくれるサーバに名前解決の要求をする。キャッシュサーバはルートサーバと呼ばれるコンテンツサーバに名前解決を要求する。ルートサーバは要求された名前を知らないので、当該名前を含むドメインの権限が移譲されているコンテンツサーバAに要求せよと返信する。更に、キャッシュサーバはコンテンツサーバAに名前解決を要求すると、当該名前を含むドメインの権限が移譲されているコンテンツサーバBに要求せよと返信する。そのため、これらの名前解決に必要な全てのサーバへのIP到達性がないと、当該コンピュータの名前解決ができないことになるが、インターネットは相当スパースなグラフ構造をしており、ある辺で故障すると大規模に名前解決が行えなくなる可能性があり、極めて脆弱な体質であることが分かる。現在の解決策としては、権限移譲を複数のコンテンツサーバ(セカンダリサーバ)に持たせる方法や、キャッシュサーバの一時記憶を頼りにするなどが行なわれており、一時的な障害であればそれなりに動作する。 本論文では、一時的解決ではなく、IP到達性がある限り、必ず名前解決ができるよう、現在のDNSに拡張を行なうDNSLXP(Domain Name System Local eXchenge Point)提案をする。DNSLXPとはIP到達性上の近隣のコンピュータ同士の名前解決については、局所的に解決しようとするものである。DNSLXPを構成するものは、ルートサーバの振りをするコンテンツサーバ(alternate root server, AltRS), AltRSを唯一のルートサーバとするキャッシュサーバ, AltRSにnsレコードを登録したり、あるいはAltRS自身をセカンダリサーバとして設定するコンテンツサーバから成る。 キャッシュサーバは、ユーザからの要求に対して指定されたAltRSにユーザからの要求を送る。キャッシュサーバはAltRSからの返事がどのような返事であっても信頼することとする。下位ドメイン名となっているnsレコードに付けられたグルーAレコードは一般に信頼するが、そうではない場合のFQDNのnsレコードの場合はグルーaレコードを信頼してはならないことに注意する。AltRSからの返信はこの場合でも信頼することとする。 AltRSでは、IP到達性的近隣のDNSコンテンツサーバ(以下、コンテンツサーバ)の情報を常に最新の状態で保持していることとする。このとき、以下の2つのパターンが考えられる。いずれの場合も、どのように信頼できる形でレコードを保持できるかが課題である。 1. コンテンツサーバのnsレコードのみを保持する。 コンテンツサーバは近隣にないが、コンテンツサーバに保持されているaレコードに記録されているサーバのIPアドレスは近隣にあり、IP到達性がある場合に問題となる。 2. あるコンテンツサーバのセカンダリとしての振る舞いをする。 1の問題は解決するが、保持するデータをどのように管理するかが、1の場合よりも顕著になる。 AltRSは、ICANNが管理するroot server群のIPアドレスについて、常に最新のものを保持していると仮定する。AltRSは、自らが管理する範囲のコンテンツについては権限保持者として要求に対する返信をする。また、管理する範囲のコンテンツではない場合、ICANNの管理するroot server群を返し、その後は、通常のDNSの振る舞いと同じである。ただし、この場合、遅延時間が増えるので改善の余地があるかもしれない。 AltRSと直接関連付けられるnsレコードについては、その妥当性が常に検査され、異常がある場合は、関連付けから外すようにするとともに、各ドメイン管理者に通知するという機能を持たせれば、権限移譲の不整合、存在しないコンピュータのIPアドレスをnsレコードやmxレコードに記述したり、TTLの設定間違いなどで、一見動作しているかのように見える危うい設定等の内の一部の問題を同時に解決することができる。 AltRSはIP到達性的に近隣の他のAltRSの持つコンテンツと交換可能である。交換する場合は、pgp的電子署名をすることを前提とするので、事前に公開鍵の交換を信頼できる形で実施していることが条件となる。 本研究の有用性を調査するため、まずはシミュレーションをする。インターネットはいくつかの木の頂点同士がスパースなグラフで結ばれているようなグラフと仮定する。ただし、各木の中では節点同士を結ぶ短絡辺がいくつか存在するため、完全な木とは異なる。節点の内、辺を1本しか持たない節点を葉とする。葉はサーバやクライアントとなる。辺を2本以上保持する節点をルータとする。DNSを演じるプレイヤーは全て葉となる。 ドメイン空間は完全な木と仮定する。しかし、木の接点を管理するコンテンツサーバに付けられる名前が木に付けられる名前とは違う場合があることに留意する。 いくつかの辺をランダムに切り取った場合の可用性の変化をシミュレーションで調査することにより、提案する手法が可用性を上げることを説明する。

2H-4 (時間: 16:15 - 16:40)
題名地理的位置依存情報のマルチキャスト配信手法の設計と実装
著者*垣内 正年 (奈良先端科学技術大学院大学), 久保 力也 (株式会社東芝), 戸辺 論 (株式会社インターネットイニシアティブ), 砂原 秀樹 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 429 - 437
Keywordインターネット, モバイルネットワーク, 位置情報システム
Abstract携帯電話・PDA等のモバイル端末とGPSなどを利用した測位技術の融合により,情報受信者の地理的位置に依存した情報配信が可能になってきた. 本研究では,情報受信者の増加に伴うスケーラビリティを考慮し,マルチキャストを利用して情報受信者の地理的位置に依存した情報を配信する手法を提案する. 多数のクライアントに対して動画像配信などのストリーム配信を行う場合,一般的にマルチキャストを利用することがサーバの負荷軽減,ネットワークの使用帯域削減に有効である. しかし,通常地理的位置とネットワーク的位置は異なる属性であるために,配信サーバ,もしくはマルチキャスト経路上のルータが地理的位置を識別することは困難である. 本研究では,情報サービスの種類,および情報配信対象となる地理的位置毎に異なるマルチキャストグループを構成する. このマルチキャストグループに対して,配信サーバは情報配信を行い,受信クライアントはグループ参加して情報受信を行うことで,地理的位置に依存した情報配信を行う. 配信サーバと受信クライアントにおいてマルチキャストグループを関連づけるために,位置情報サーバを導入する. 位置情報サーバは地理的位置属性を追加した Session Description Protocol (SDP) のデータベースを保持し,受信クライアントの要求に基づいて情報サービスの種類,地理的位置に対応するセッション情報を返す. 受信クライアントはセッション情報に記述されたマルチキャストグループに参加することにより,地理的位置に対応する情報の受信が可能となる. 本提案に基づいた情報配信システムのプロトタイプを実装し,評価実験を行った. これにより,受信クライアントの地理的移動,ネットワーク移動において,地理的位置に応じた情報受信が行えることを確認した. また,移動時の応答時間を測定し,受信クライアント数の増加に伴う変化をユニキャストとマルチキャストにおいて比較した. その結果,受信クライアント数の増加に対して本提案が有効であることを明らかにした.


セッション 3A  アドホックネットワーク3(MBL)
日時: 2007年7月4日(水) 16:50 - 18:30
部屋: 平安
座長: 古市 実裕 (日本IBM)

3A-1 (時間: 16:50 - 17:15)
題名無線アドホックネットワーク上の位置依存情報共有における複製の動的再配置に関する一検討
著者*土田 元, 石原 進 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 438 - 445
Keywordアドホックネットワーク, 位置依存情報, 複製配置, Geocast
Abstract無線アドホックネットワークでは,端末の移動等により,各端末が保持している情 報を他の端末から利用できなくなるという状況が発生する.この問題の解決手法として筆者らは,位置に依存した情報をサーバレスなアドホックネットワーク上で扱われ,利用される情報がGeocastによってアクセスされることを想定し,データ発生位置の周辺に複製を配置する手法として位置依存情報複製配布方式Skip Copy (SC) 方式,Adaptive Skip Copy (ASC)方式を提案・評価してきたが,応答経路上の端末にしか複製が再配置されないという問題点があった.そこで本稿では,これらの方式の問題点を解決するための手法LDR(Link-aware and Density-based Relocation)方式を提案する.LDR方式ではネットワークの分岐点となる端末の下流に存在する端末に複製を保持させる.シミュレーションの結果,LDR方式では既存の複製再配置手法よりもメモリサイズが小さいときに高いアクセス成功率が得られることが確かめられた.

3A-2 (時間: 17:15 - 17:40)
題名中継ノードの行動がWLANに与える影響の評価 -Mixed ModeとAd-hoc Modeの比較-
著者*市川 貴久 (愛知県立大学大学院 情報科学研究科), 奥田 隆史, 井手口 哲夫, 田 学軍 (愛知県立大学 情報科学部)
Pagepp. 446 - 450
KeywordAd-hoc Mode, Mixed Mode, 中継ノード, マルチエージェント
Abstract本稿では,WLANを利用するにあたり,中継ノードの行動がネットワーク全体に与える影響について検討することを目的とする. 我が国におけるインターネット利用者数は2005年末までの統計によると約8329万人,人口普及率に換算すると66.8%と推定されている.利用端末状況は,パソコンと携帯電話等の両端末を利用している人数が4862万人(57.0%)で,パソコンのみを利用している人数は1585万人(18.6%),携帯電話等のみを利用している人数は1921万人(22.5%)となっており,近年モバイル化がさらに進展している. また,ネットワーク技術の発展に伴い,携帯電話等の携帯情報端末を利用した無線通信が普及している.現在のサービスでは,基地局を介して行われているため,地震等の災害によって基地局の機能が停止した場合,通信が遮断されてしまう恐れがある.こういった問題を解決するネットワーク形態として,アドホックネットワークが注目されている. アドホックネットワークとは,「特別に」,「その場限りの」といった意味をもつラテン語からきたアドホック(ad-hoc) と,ネットワークインフラを組み合わせた言葉である.アドホックネットワークの利用方法としては,いつでも・どこでも・誰でもインターネットアクセス,イベント会場でのマルチメディア情報交換や,位置情報と連携した情報配信サービス,家族・友人・知人等でアドホックコミュニティを構築して情報交換といったものが考えられる. アドホックネットワークでは,広くコンピュータ等の無線接続に用いられているIEEE802.11x等の技術を用いながら多数のユーザ端末をアクセスポイントの介在なしに相互に接続する形態(マルチホップ通信) を取っている.このようなネットワークでは,ユーザの自由な行動(例えば,データ送信時には中継要求を中継ノードに依頼するが,中継側の立場になった場合,バッテリ消費やPCへの負荷を考え,中継を拒否する)により,ネットワークトポロジーが刻々と変化するため,新たなサービスを安定的に提供する場合,あらかじめネットワーク全体の接続率を見積もる必要がある.文献[1]では, 1.ユーザの行動を表現するために,人間の行動を表現する理論である「プロスペクト理論」を利用[2] 2.高い接続率を維持するためにはユーザの協力的行動が不可欠である.そこで,ユーザの協力的意欲を引き出すためのインセンティブとして,中継処理を行ったユーザに対してポイントを付与する「中継ポイント制」を導入 の2点を考慮に入れ,アドホックネットワークシステムをマルチエージェントシステム[3]として捉え表現することにより,地方都市でアドホックネットワークを利用した場合のネットワーク全体の接続率を評価する手法を提案した.提案手法により,人口密度の低い地域でアドホックネットワークを利用する場合,全ユーザが協力的な行動をしても高い接続率を維持することは困難であることがわかった.そこで本研究では,従来のネットワークインフラとして利用されている固定のアクセスポイント(以下,AP)を数ヶ所に設置し,各ユーザ端末だけではカバーすることができない範囲についてはAPを経由して通信を行うネットワーク形態(Mixed Mode)[4]について焦点をあてる.文献[1]では,純粋なアドホックネットワーク(ユーザ端末のみで構成されたネットワーク)において,ユーザの行動がネットワーク全体の接続率に与える影響およびコストについて評価している.本研究では,前述したMixed Modeにおいて,ユーザの行動がネットワーク全体の接続率に与える影響およびコストについて評価し,文献[1]の結果との相違を考察する. 参考文献 [1] 市川貴久,奥田隆史,“プロスペクト理論を用いたアドホックネットワークの性能評価手法 -中継ノードの行動がネットワーク品質に与える影響の予測-”,平成18度卒業論文,2007. [2] 多田洋介,『行動経済学入門』,日本経済新聞社,2003. [3] 大内東,山本雅人,川村秀憲, 『マルチエージェントシステムの基礎と応用』, コロナ社,2002. [4] Stefano M. Faccin,Carl Wijting,Jarkko Kneckt,Ameya Damle,“MESH WLAN NETWORKS:CONCEPT AND SYSTEM DESIGN”,IEEE Wireless Communications,April 2006.

3A-3 (時間: 17:40 - 18:05)
題名MANETにおけるモバイルDBデータ転送時の中継ノード高機能化
著者*松井 愛子, 神坂 紀久子 (お茶の水女子大学), 山口 実靖 (工学院大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 451 - 459
Keyword無線LAN, マルチホップ, プロトコル, モバイルDB
Abstract無線通信の一つの利用形態として、既存のインフラに頼らずに移動無線端末同士で動的にネットワークを構築する、モバイルアドホックネットワーク(MANET)がある。現在、MANEATを用いたセンサネットワークやモバイルDBについての多くの研究がなされている。そのMANETにおいて期待される手法としてマルチホップ通信がある。マルチホップ通信を用いれば、端末同士が直接通信するだけでなく、他の端末を経由することでより広い範囲の端末と複数の経路を介した通信が可能となる。 我々は、これまでに無線LAN通信および無線LANを含むマルチホップ環境等におけるTCPパラメータの振舞やスループット等を詳細に調べてきた。その結果、有線LANと比べ極めて小さい無線LANの帯域幅が、無線LAN独自の通信を行わせることが分かった。 その経験から、無線LANの帯域幅が小さいため、無線LANをインタフェースとして持つ端末は下位層の通信処理に比べて上位層において余裕がある可能性が高いことが予想される。従ってマルチホップ通信におけるデータ中継ノードに、中継データをキャッシュしたりアグリゲートする等の高度な処理を行わせたとしても通信性能にはさほど影響が出ない可能性があると考えられる。MANETは無線LANの一部の区間が断続的に切断される状況が多く起こると考えられるが、そのような場合、中継ノードにキャッシュやアグリゲート等の高度な処理をさせるという形態は極めて有効である。そもそも無線LANは有線LANと異なり、帯域に大きな制約があることから、通信は出来るだけ節約し、中継ノードの機能を出来るだけ高機能化させる、という考えは自然である。 このような考えのもと、既に我々は、無線LANツーホップ通信環境において |羞僖痢璽匹肪韻縫如璽燭鮹羞僂気擦訃豺腓斑羞僖痢璽匹離▲廛螢院璽轡腑鸛悗砲いてデータをread/writeさせた場合 2台の端末のDB間でデータ転送を行う際に、中継ノードに単にデータを中継させる場合と中継ノード自体にDB動作(データキャッシュ)を行わせた場合 について通信性能測定実験を行い、中継ノードにおける処理の有無に対する通信性能の差について調べた。その結果、中継ノードにおいて処理を行っても十分に良い性能が得られ、中継ノードにおける処理の有効性を確認した。 そこで本研究では、より具体的なアプリケーションを想定し、その環境に応じた実験を行う。まずモバイル通信に適していると考えられるインメモリDBを採用し、無線LANマルチホップ環境におけるインメモリDB転送システムを構築する。その環境においてストリームデータを流し、中継ノードにおける処理の有無に対する通信性能の差を測定し解析を行う。

3A-4 (時間: 18:05 - 18:30)
題名ペアワイズテストを応用した無線ネットワークの性能評価技法
著者*中村 雅俊, 前田 久美子, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学 大学院情報科学研究科)
Pagepp. 460 - 467
KeywordMANET, ペアワイズ, 性能試験, 組み合わせ試験
Abstract近年,ユビキタス社会を支える技術として無線通信ネットワークが重要な役割を担っている.無線 通信によるサービスは基地局などのインフラを用いるものが一般的であるが,一方では特定の基地 局を用いずにそれぞれのノードがルータの役割を担うモバイルアドホックネットワーク(MANET) による新しい形の通信サービスが期待されている. MANET によって構成されるシステムやサービスは,リンク層,ネットワーク層,トランスポー ト層の既存のプロトコルや要求する通信の性質に合わせて新たに実装されたプロトコルを組み合わ せて実現され,得られる通信性能はこれらの複数層に渡るプロトコルの持つパラメータ値に左右さ れる.また同時に,MANET を構成しているノードの密度や速度,移動方向などのモビリティも通 信性能に大きな影響を与えている. 本研究では,このように性能に多くのパラメータを持つMANET の組み合わせ性能試験をなるべ く少ないテスト数で行う一手法の提案を行っている. ここでは,それぞれのパラメータに値を指定したものをテストケースと呼ぶ. パラメータのうち,整数値や実数値のように多様な値をとりうるパラメータに対しては, 値を数段階に区切り,その中の代表値を水準として組み合わせテストに取り入れる. 水準の取り方としては,仕様書などでデフォルト値として提案されて いる値やその2 倍,4 倍といった値,1/2 倍,1/4 倍といった値を用いることが考えられる.ここで 例えば,n 個のプロトコルパラメータが含まれているあるMANET アプリケーションの実装に対し て,それぞれのパラメータが代表値としてm 水準の値をとった場合のテストを行いたいとする.す ると,網羅的に考えられる組み合わせを列挙した場合,m^n 個と膨大な数になってしまう.そこで, あらゆる2 個のパラメータについて取りうる水準の組み合わせが全て網羅されるようにテストケー ス集合を生成するペアワイズテスト,及び注目するパラメータの個数を2 個から任意のt 個に拡張し たt-wise テストの手法を用いる.t-wise テストにより,通信性能に影響を持つパラメータがせ いぜいt 個に限られるとき,その組み合わせを全て含みながら単純な網羅による組み合わせとくらべ 大幅に少ない数のテストケース集合を得ることができる.このようなt-wise テストによる通信性能 の試験を行うことで高い通信性能が出たり,通信に不具合をもたらすようなパラメータ値の組み合わ せを明らかにできると考えられる. t-wise テストの組み合わせの数を削減するには,t をできる限り低くとることが効果的であるが, パラメータ間の網羅率の低下につながる.例えば,t を最小に取った2-wise テストでは,性能に影響 を与えるパラメータが2 個を超えると性能評価が難しくなる.特にパラメータがそれぞれ別個に性 能に対して影響しているのではなく,複数のパラメータの組み合わせによって影響の現れ方に差があ る場合,一般的にはt の値を大きく取る以外の方法はない.しかし,パラメータの及ぼす影響が単純 な形で現れている場合,例えばあるパラメータを特定の値に固定することが性能の向上に寄与す る場合,パラメータをその値に固定する.また,通常はパラメータの影響は見られないがあ るパラメータの組み合わせを取ったときのみ通信が全くできないというような極端な性能の低下が ある場合,望ましくない影響が現れる値の組を禁則として除外することでt を低い値に保ちながらテ ストを実施できるようにする. 一方,MANET ではノードの密度や速度,移動方向などのモビリティも通信性能に影響を与えて いるため,提案手法ではこのような使用環境を環境パラメータとして与える.環境パラメータはその 何れもが通信性能との相関が強いと考えられ,プロトコルパラメータと同様に組み込んでt-wise テ ストを実施しようとすると,t を大きく取らざるを得なくなりテストケース数は膨大になってしまう. このため,性能試験を前後半の二段階に分離して実施する.前半では性能と関係の深いパラメータを 調べ,後半の性能試験に組み込むプロトコルパラメータを絞り込む. 後半では,関係の薄いと考えられるプロトコルパラメータ間の組み合わせを除外し, 絞り込んだプロトコルパラメータを用いて環境パラメータとの組み合わせ試験を実施することで, テスト数を大幅に増やすことなくプロトコルパラメータと環境パラメータの関係を調べることが可能である. このような方法でt-wiseテストをMANET に適用し,少ないテスト数で網羅率の高い性能試験を行うことを目指している. 提案手法の有効性を確認するため,MANETのルーティングプロトコルDSR上のTCPセッション に対する性能試験を実施した. 無線ネットワーク上でTCP通信を行ったとき,通信の帯域や安定性に問題があることや, 複数のセッション間ではfairnessが保たれないことが知られている. 今回,これらの問題を提案手法で確認し,関係の深いパラメータを明らかにした.


セッション 3B  ネットワークセキュリティ1(CSEC)
日時: 2007年7月4日(水) 16:50 - 18:30
部屋: 花の舞
座長: 薄田 昌広 (関西電力)

3B-1 (時間: 16:50 - 17:15)
題名GSCIPとIPsecを併用したリモートアクセス方式の提案と評価
著者*今村 圭佑, 鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 468 - 472
KeywordIPsec, VPN, リモートアクセス
Abstractインターネットの普及に伴い,企業業務においてネットワークの利用が必須となってきている.近年のユビキタス社会の発展により,ホットスポット(無線アクセスポイント)普及や,在宅勤務者の増加などの要因により,インターネット経由で社外から社内ネットワークにアクセスしたいという要望が高まっている.しかしインターネット空間には,盗聴,改ざん,成りすましといった脅威が存在する.それらの脅威から通信を保護するために,VPN(Virtual Private Network)を構築してリモートアクセスを行う方法がよく利用されている.リモートアクセスVPNを構築する手段として様々な手法が考えられるが,特にIPsecやSSLを利用したリモートアクセスが注目をされている.IPsecを利用したリモートアクセスは,IKE(Internet Key Exchange)を拡張することで提供される.しかし,IPsecはユーザが増加すると管理が煩雑になる.一方,SSLはトランスポート層とセッション層の間に実装されていることから上位プロトコルを利用したアプリケーションでしか利用できないという問題が存在する.そこで,任意のアプリケーションが利用可能でかつ,End-to-Endでセキュアな通信を実現することを目的として,GSCIP(Grouping for Secure Communication for IP;ジースキップ)とIPsecを併用したリモートアクセス方式を提案する.  GSCIPとは,柔軟かつセキュアなネットワークを実現するためのアーキテクチャである.GSCIPにおける通信グループの構成要素をGE(GSCIP Element)と呼ぶ.GEには端末にソフトウェアをインストールして実装するホストタイプのGES(GE realized by Software),サブネットを構成するルータに実装したルータタイプのGEN(GE for Network)が存在する.GSCIPでは同一の共通暗号鍵を所持するGEの集合を同一の通信グループとして定義する.この共通暗号鍵をグループ鍵(Group Key)と呼ぶ.同一の通信グループ間の通信はGKにより暗号化される.異なる通信グループに所属する端末との通信を一切禁止したり,平文での通信を可能にすることが出来る.通信グループの定義は,管理装置GMS(Group Management Server)で設定する.GEとGMS間は公開鍵認証による確実な認証を行い,グループ情報とそれに対応するGKを各GEに配送する.  GSCIPでは通信に先立ち,DPRP(Dynamic Process Resolution Protocol)によるネゴシエーションが行われる.DPRPは通信経路上に存在するすべてのGE間で設定されているグループ情報を相互に交換することで,各GE内に通信パケットの処理に必要となる動作処理テーブルPIT(Process Information Table)を動的に生成する.GE間の通信は,DPRPによって生成されたPITに基づき,GKにより暗号化されたり,破棄されたりする.  提案方式では,IPsec-VPN装置を社内LANのゲートウェイに設置する.GSCIPをインストールしたリモート端末(以下リモートGES)は,IPsec-VPN装置とIPsecトンネルの構築を行う.リモート端末の認証は,IKE-XAUTH(eXtended AUTHentication)などを使用し,事前共有鍵,ユーザ名,パスワードで認証を行う.リモート端末のIPアドレスの割り当ては,IPsec-DHCPにより行い,IPsec-VPN装置から社内LANのプライベートIPアドレスを割り当てる.これらはIKEを拡張する方法で提供され既存のIPsec-VPN装置に実装されている.リモートGESは上記の手続きにより,透過的に社内ネットワークの一部に取り込まれる.その後,リモートGESは社内LANに設置されたGMSに対して,グループ鍵配送を要求する.以後の動作は,同一のGKを所持するGE同士でグループを構成する.動作処理テーブルPITにより,GKによる暗号化,アクセス拒否を行うことが可能である.このようにGSCIPとIPsecを併用することにより,リモート拠点から社内の重要なサーバまでEnd-to-Endでセキュリティを確保することが可能となる.

3B-2 (時間: 17:15 - 17:40)
題名IPsec用鍵交換プロトコルにおけるDPD Trigger方式の一検討
著者*石山 政浩, 神田 充, 福本 淳 ((株) 東芝 研究開発センター 通信プラットホームラボラトリー)
Pagepp. 473 - 480
KeywordIPsec, Dead Peer Detection
Abstract本稿では,IPsecにおけるDead Peer Detection (DPD)を効率的に行なう方法について提案する.IPsec Security Association (IPsec SA)の一貫性喪失からの回復にはDPDが有効である.しかし現在のDPDの方式として使用されているkeep aliveなどの方式では定期的な探査パケット交換による帯域の圧迫や,不必要な電力使用が発生し,センサネットワークなどでの使用には問題がある.本稿では,DPDを開始するタイミングを効率的に検知する方法について議論し,通信トラフィックを監視することによって能動的にDPDを行なうProactive DPD Trigger の実装方式を提案する.また,Linux 2.6上で実装を行ない,提案方式がIPsec SA 一貫性喪失の検出に定期的な探査パケット交換を必要とせず,通信帯域を圧迫しないことを示す.さらに実装を評価することにより処理オーバヘッドは十分小さいことを示し,センサネットワーク等におけるIPsecの使用にはProactive DPD Triggerが有効であることを示す.

3B-3 (時間: 17:40 - 18:05)
題名メールの送受信関係に基づくフィルタリングの提案とそのベイジアンフィルタとの連携
著者*鈴木 貴史, 白石 善明 (名古屋工業大学), 溝渕 昭二 (近畿大学)
Pagepp. 481 - 492
Keyword迷惑メール, 社会ネットワーク分析, 有向グラフ, メールセット, ベイジアンフィルタ
AbstractエンドPC上での迷惑メールのフィルタリングとして,社会ネットワーク分析(Social Network Analysis, SNA)に分類される,無向グラフのクラスタリング係数に基づく方法(Clustering Coefficient-based Method,CCM)が提案されている.この方法は正当なノードを不明ノードとして判定することが多い.そこで,本論文では有向グラフを利用した受信スコアに基づく方法(Receiving Score-based Method,RSM)を提案する.RSMでは,迷惑メールは一方的に利用者に送るだけで返信されることはないという点に着目し,各ノードの得点である受信スコアを求める.RSMによるフィルタリングの実験結果として,CCMより誤遮断や誤通過が減ることを示している.また,CCMとベイジアンフィルタを連携させることによって誤遮断を抑制する手法が提案されているが,誤通過を抑制することは考慮されていなかった.本論文では過去のSNAの結果を利用し,ベイジアンフィルタの閾値を動的に変更することで誤通過を抑制する連携手法を提案し,評価実験によりその手法が有効であることを示している.

3B-4 (時間: 18:05 - 18:30)
題名電子メール誤送信に関する一考察
著者*荒金 陽助, 塩野入 理, 金井 敦 (NTT情報流通プラットフォーム研究所)
Pagepp. 493 - 499
Keyword電子メール, 誤送信, パターン, 履歴
Abstract電子メールは,通信相手の時間を拘束することなく,瞬時に遠距離の通信相手に送ることができ,そのコストも非常に低廉であり,操作も簡単であるなどの多数の長所を有している.そのため,コミュニケーションツールとして電話を超える勢いで普及し,ビジネスシーンを始めとした重要な局面でも利用されるようになっている.また,我が国では携帯電話における電子メールの利用が非常に多く,また,非同期通信手段でありながらもリアルタイムに限りなく近い利用法が普及するなど,その利用形態も特徴的である.しかし,電子メールの普及に伴い,様々なセキュリティ脅威が顕在化してきている. コンピュータウィルスはコンピュータおよびネットワークに甚大な被害を及ぼすことが多く,セキュリティ脅威の代表的なものに挙げられている.そのウィルスたる「感染」の手段としては,ネットワークに関連するソフトウェアの脆弱性をねらうものや,電子メールを利用して増殖するものなどがある.特に電子メールを利用して感染を拡大するコンピュータウィルスは,現時点においても広く蔓延している.また,スパムメールは,簡便安価かつ効率的な広告ツールとして日々ネットワーク帯域を圧迫し続けている.一般的に,単なる迷惑メールとして考えられがちであるが,一定数の受信者がその商品を購入しているという報告もあり,愉快犯ではなくビジネスとして成立してしまうところにも着目する必要がある.さらに,昨今ではフィッシング詐欺というさらに効率的な犯罪が広まっており,ネットワークだけではなくエンドユーザにも多大な被害が出始めている点に注目する必要があるだろう. これらの脅威に比して目立たないものの,電子メールの誤送信は多くの利用者を悩ましてきた.簡便な利用が可能であることの裏返しとして,宛先・内容を良く確認せずに送信してしまうと共に,インターネットの電子メールシステムの特性により送信を取り消すことが事実上不可能であるという特徴がある.電子メールが限定されたユーザ間で用いられていた時代から,広くビジネスなどにも利用されるようになり,電子メールの誤送信が与えるインパクトを無視できなくなってきた.さらに,情報漏洩の問題や内部統制の強化に伴い,電子メールを介する情報のやりとりの健全性に注目が集まっており,電子メール誤送信は無視できない問題となりつつある. 電子メールの誤送信は,電子メールが根本的に抱える問題であり,古くより様々な対策が提案されてきた.送信メールを一旦保留することで,保留期間内の取り消しを可能とする手法や,特定キーワードを含む電子メールを指定したドメイン以外に送信しようとすると警告を発する手法,全ての電子メールを暗号化することで適切な受信者でなければ内容を閲覧することが出来ない手法などが存在する.これらの手法は,送信自体を防ぐのか,不適切な宛先に送信することを防ぐのか,閲覧を防ぐのかといった様々な観点に基づいて対策を講じている.本稿では,このような電子メール誤送信に関わる状況を概観し,既存対策を分類すると共に,不適切な宛先に送信することを防ぐ目的で電子メールアドレス,宛名などのマッチングを行う対策手法についてそのコンセプトを提案する.


セッション 3C  センサネットワーク3(UBI)
日時: 2007年7月4日(水) 16:50 - 18:30
部屋: 砂子〜磯笛
座長: 井上 創造 (九州大学)

3C-1 (時間: 16:50 - 17:15)
題名ワイヤレスセンサネットワークにおけるIPv6利用についての一考察
著者*佐藤 貴彦, 島田 秀輝, 藤川 和利, 砂原 秀樹 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 500 - 505
Keywordセンサネットワーク, 6lowpan, ZigBee, IPv6
Abstract様々な分野でワイヤレスセンサネットワークが広まる中, 省電力に重点を置いた,IEEE802.15.4と呼ばれる新しい短距離無線通信規格が注目を集めている. このIEEE802.15.4の上位層プロトコルとしては,非IPプロトコルであるZigBeeなどが代表的であるが, 6lowpanと呼ばれるIPv6プロトコルについてもIETFで議論されている. 本論文では,ウェアラブルセンサを例に取り,IPを用いたワイヤレスセンサの必要性を述べる.

3C-2 (時間: 17:15 - 17:40)
題名無線センサーネットワークにおける計測処理記述のためのデザインパターンの抽出と適用
著者*鄭 顕志 (早稲田大学/国立情報学研究所), 深澤 良彰 (早稲田大学), 本位田 真一 (国立情報学研究所/東京大学)
Pagepp. 506 - 515
Keyword無線センサーネットワーク, デザインパターン, モデル駆動開発, ミドルウェア
Abstract無線センサーネットワーク(Wireless Sensor Network:WSN)は,現実世界の状態に関するデータを提供する基盤として 期待を集めている. しかし,複数のWSNを横断的に利用する場合, 1つの計測処理を,それぞれのWSNを管理している管理機構の計測記述言語ごとに記述しなければならず, 利便性が低くなってしまう. 本研究では,モデル駆動アーキテクチャの概念を導入し,WSNの計測記述を各管理機構に被依存の中間的なモデルとして記述し, その中間モデルから各計測記述言語に変換するというプロセスを導入することで,横断的なWSN利用の負荷を低減する. しかし,各記述言語が提供する機能の差異によって,中間モデルから各計測記述言語に変換する際に, 自動変換をすることが困難な場合がある. その場合,プログラマによる手動変換が必要になり,プログラマへの負担が増加する. そこで,本論文では,手動変換に関する負担を低減するために変換のためのデザインパターンを抽出、適用する. デザインパターンを用いることで,各記述言語が提供するプリミティブでは提供できない機能を実現する明示的な手順を プログラマに対して示し,変換時のプログラマの負担を低減することができる.

3C-3 (時間: 17:40 - 18:05)
題名無線センサーネットワークにおけるFalse Eventの検知
著者*清 雄一 (東京大学), 本位田 真一 (東京大学/国立情報学研究所)
Pagepp. 516 - 523
Keywordセンサーネットワーク, セキュリティ, False Event
Abstract大規模なセンサーネットワークでは,個々のセンサーがセキュリティ侵害を受けやすい.セキュリティ侵害を受けたセンサーは,嘘のイベント(False Event)を発生させるのに利用される.この攻撃は,イベントの受け取り手を混乱させるだけではなく,個々のセンサーの有限のエネルギーを消費させる.False Event攻撃に対する既存のセキュリティ機構の共通目標は,小さな閾値を設定し,閾値未満のセンサーがセキュリティ侵害を受けた場合のFalse Eventを,In-networkで検知することである.だが多く既存研究では,セキュリティ侵害を受けたノードの数が閾値を超えると,False EventをIn-networkで検知することはできない.一方,閾値の値を上げるためには全体のノード数を増やす必要があり,設備費用や維持費用が上昇する.本論文では,閾値以上のセンサーがセキュリティ侵害を受けた場合でも,高確率でIn-network内においてFales Eventの検知ができる新しい機構を提案する.提案手法では,従来のセンサーへの鍵の配備に加え,同じイベントを検知できるセンサーの集合の情報を各センサーに保持させる.従来研究と比較し,False Eventの検知率が大幅に向上することを,数学的な解析によって示す.

3C-4 (時間: 18:05 - 18:30)
題名複数の属性分割を利用したセンサネットワーク向け鍵管理方式の実装と評価
著者*野田 潤 (NEC共通基盤ソフトウェア研究所), 楫 勇一, 毛利 寿志 (奈良先端科学技術大学院大学), 仁野 裕一, 中尾 敏康 (NEC共通基盤ソフトウェア研究所)
Pagepp. 524 - 529
Keywordセンサネットワーク, 鍵管理方式, セキュアマルチキャスト, ユビキタスシステム
Abstractセンサネットワークにおけるグループ鍵管理のための方式を実装し,その性能を評価した.本方式の特徴は,サーバとノードとの間で共有される鍵を,ノードの属性に合わせて適切に構造化し,暗号化された同報通信メッセージのマルチキャスト通信(セキュアマルチキャスト通信)を効率的に行う点である.本グループ鍵管理を適用するにあたり,無線センサネットワーク用のセンサノードとして広く知られているクロスボー社のMICA /MOTEを実装環境とした.このとき,センサネットワークのトポロジとして,クラスタツリー型のネットワークトポロジを想定した.クラスタツリーにおいて,一つの内部節点と,その内部節点の子の中で葉節点であるものから構成される節点集合を,一つのクラスタという.各センサノードの属性として,クラスタツリーにおける何番目の幹に属するかという情報および根節点からの深さ,クラスタ内で何番目のノードであるかという情報を定義した.以上のように属性を定義し,提案手法を適用することにより,幹,深さ,クラスタ内順序の3属性で特定できるグループに対して,セキュアマルチキャスト通信を実施した結果,情報伝達のためにサーバからネットワークに送信されるデータの総通信量は,グループのノード数によらず定数オーダになることが確認できた.


セッション 3D  車々間通信(ITS)
日時: 2007年7月4日(水) 16:50 - 18:30
部屋: 松〜梅
座長: 屋代 智之 (千葉工業大学)

3D-1 (時間: 16:50 - 17:15)
題名より現実的な車両挙動のモデル化と交通シミュレータへの組み込み
著者*中西 一宏, 藤木 健之, 梅津 高朗, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科), 北岡 広宣, 森 博子 (豊田中央研究所)
Pagepp. 530 - 539
Keyword車両挙動, 車車間通信システム, 交通シミュレータ, ITS

3D-2 (時間: 17:15 - 17:40)
題名車車間アドホックルーティングプロトコルGVGridの実装と評価
著者*濱田 淳司, 孫 為華, 山口 弘純, 楠本 真二 (大阪大学大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻)
Pagepp. 540 - 547
Keywordモバイルアドホックネットワーク, 車車間通信
Abstract近年,高度交通システムの普及を目指し,DSRCやVICSなどの狭域通信器が徐々に路側や店舗などに設置されつつある.しかし,固定インフラの完全な整備と展開には膨大なコストと年月が必要である.さらに整備維持コストの観点からは,技術の進歩や改新に対する機器の更新が容易でないといった問題点もある.そこで,固定インフラの通信範囲外の地域へ情報を配信するために配信範囲を拡大する補完的な役割や,極めて局所的な情報伝達の手段として,固定インフラを用いない車車間マルチホップ通信技術が注目されている.そのアプリケーションとして,事故情報や渋滞情報のリアルタイム配信や車両へのインターネットサービスの提供などが考えられる.しかし,これらのアプリケーションの実現にはリアルタイム性が求められるため,移動する車両間において出来る限りデータ遅延および損失の少ない安定した通信経路の構築が要求される. 車車間ルーティングプロトコルの1つに,私の所属する研究グループで提案しているGVGridがある.GVGridは,近距離無線基地局や事故現場に停車した緊急車両などの移動しない情報送信元から,交差点などの特定地点を含む領域に存在または通過する車両群への通信経路をオンデマンドに構築する.通信経路を構築する際に車両(以下ノードと呼ぶ)の移動に伴った通信経路の切断を軽減するために,道路に沿って移動するというノードの移動特性を考慮し,GPSなどの測位機器と電子地図を利用してなるべく道路に沿った経路を構築する.また,GVGridは,地理領域を正方形の領域(以下グリッドと呼ぶ)に分割し,初期経路の形状をその経路が通過するグリッド列として記憶する.初期経路は広範囲を探索した結果得られた良質の経路であると考えられるため,経路切断時には記憶したグリッド列上のみで再探索を行い初期経路に近い新たな通信経路を再構築することで,耐切断性の高い通信経路を維持しながらも再構築のためのメッセージ数を削減できるという特長を持っている. 本研究では,GVGridの主要機能である経路維持機能の実装を行い,また既存のMANET向けプロトコルであるAODVとの経路切断における経路修復機能の比較評価を行った.GVGridの経路修復機能の実装は,スウェーデンのUppsala Universityで開発されているAODVプロトコルの実装であるAODV-UUをもとに,その経路修復機能部分を追加修正することで実現している.評価実験では,無線LANを備えたノートPC10台程度の小規模テストベッドを構築し,実マップにおける車両の移動を想定して作成したシナリオに基づき,GVGridとAODVの経路上にICMPパケットを連続送出した上で,スループットの比較評価を行った.その結果,GVGridはより高いスループットを達成でき,かつプロトコルの制御パケット数が少ないことを確認した.

3D-3 (時間: 17:40 - 18:05)
題名IEEE802.11pを用いたセキュア車車間通信の一考察
著者*撫中 達司, 坂倉 隆史, 小野 良司, 山田 敬喜 (三菱電機情報技術総合研究所)
Pagepp. 548 - 552
KeywordITS, DSRC, IEEE802.11p, IEEE1609.2, 車車間通信
Abstract自動車向け無線通信の形態は路車間通信と車車間通信に大別できるが,現在のITSにおける安全・安心の実現を目標とした取組みの多くは,路車間通信を用いている.路車間通信には道路上の通信インフラ整備が必要となるが,これには一定のコストが見込まれ,また,全ての道路にインフラが整備されるとは限らない.インフラの整備状況に応じて,車車間通信による解決,たとえば渋滞中の車輌から直接,後方車輌に情報を配信するなどの方策が選択できることが望ましい.このような車車間通信による解決策の提供を目指して,各種の研究開発が進められている.本稿では,主に欧米で検討されている車車間通信規格IEEE 802.11pおよびIEEE 1609.2について述べるとともに,車車間通信において求められるセキュリティ要件を整理する.その上で,車車間通信を実現するための課題を整理し,その解決策につき考察する.


セッション 3E  ユビキタス情報処理2(UBI)
日時: 2007年7月4日(水) 16:50 - 18:30
部屋: 鶴・亀
座長: 和田 雅昭 (はこだて未来大学)

3E-1 (時間: 16:50 - 17:15)
題名カメラを搭載したラジコンヘリコプタの飛行制御システム
著者*國本 佳嗣 (神戸大学大学院/自然科学研究科), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院/工学研究科), 小道 学 (ヒロボー 研究開発所)
Pagepp. 553 - 560
Keyword自律飛行, ヘリコプタ, 画像処理, ユビキタスコンピューティング
Abstract近年,空中停止や空中での自由度の高い移動が可能なヘリコプタが産業用として注目 を集めている.それと同時に自律飛行に関する技術の発展,ラジコンヘリコプタの小型 化,高性能化も急速に進み,自律飛行可能な小型ヘリコプタの実現が近づきつつある. そのような機体に小型のコンピュータを搭載することで人間の行けない場所から 様々なサポートを行う新しい形態でのコンピュータ利用が可能となるが, 多くの制限により,現在の自律飛行の手法では実現は難しい. 本研究では,その問題を踏まえ,小型ラジコンヘリコプタの制 御を行うためのシステムを構築した.画像処理を用い,遠隔のPCから地上に設置 されたマーカ上の小型ラジコンヘリコプタに制御を行う. これはペイロードや電力等の様々な制限の中で,画像処理単独での位置, 姿勢推定による自律飛行を検証するためのプロトタイプのシステムである. 評価実験を行った結果,画像処理による飛行制御で一定の精度を実現できることが確認できた.

3E-2 (時間: 17:15 - 17:40)
題名日常生活における情報機器利用のための足ステップ入力方式
著者*山本 哲也 (神戸大学大学院/自然科学研究科情報・電子科学専攻), 塚本 昌彦 (神戸大学/工学部電気電子工学科), 義久 智樹 (京都大学/学術情報メディアセンター)
Pagepp. 561 - 568
Keywordウェアラブル, 足ステップ, ジェスチャ入力
Abstract近年の情報機器の小型化,高性能化に伴い,日常生活の中で携帯型端末を利用することが多くなっている.例えば,夕食を作りながら携帯型音楽プレーヤーのiPodを利用する場合や,携帯電話を歩きながら利用する場合が考えられる.ほとんどの場合,手を使ってこれらの携帯型端末に入力を行うが,手をつかった入力インタフェースでは腕を振っていたり振動により入力しにくい.既存研究として,音声を用いた入力インタフェースなどもあるが,雑音に弱く環境によって入力しにくいといった問題がある.そこで,我々の研究グループでは足ステップを用いた入力インタフェースを提案している. 足ステップとは,足の運びであり,足ステップを用いることで,ハンズフリーでの入力ができる.携帯型端末の操作のほとんどはメニュー選択形式であるため,提案手法では,足ステップでメニュー選択を行えるように設計,実装している.本研究では,足ステップを用いた入力インタフェースにおける入力方式を幾つか評価する.評価を行うことで,状況に応じて適した入力方式を明らかにする. 3軸の加速度センサを取り付け,メニュー選択をおこなう.メニュー選択の特徴として,選択操作と決定操作があり,選択操作は選択したい項目までカーソルを移動する操作であり,決定操作はカーソル位置の項目を選択し次のメニューへと決定する操作である.選択操作ではカーソルが継続的に次々と移動することで行われ,決定操作は意図的におこなう動作である.日常生活の中には,歩行時やジョギング時などに,継続的な動作と,意図的な動作がある.継続的な動作は歩みのように意図せずとも繰り返される動作であり,ユーザが静止している状態では発生しない特徴で,しかも継続的であり普段は意識しないが,多少であればユーザがコントロールすることもできる柔軟性を持っている.この継続的な動作は,例えば,メニュー選択で選択肢を順次選択する操作といったように,繰り返して行う操作に応用できると考えられる. 提案するシステムでは3軸加速度センサを両足の靴に取り付けている.従来の入力インタフェースの研究では,Ubi-Finger:指を使ったジェスチャ入力(塚田・安村)やダブルリング:両手に小型ジョイスティックによる入力(中村他)のように手を使ったものが多く,歩いたり走ったりしながらでは操作しにくく,また入力用のデバイスを新たに身につける必要があるが,提案システムは靴にセンサを取り付けており,新たなデバイスを身につける必要がない. 両足の3軸加速度センサからのデータはしきい値とDPマッチングの2つの方法を用いて解析した.本システムでは入力としてリアルタイム性が必要とされるので,単純で素早い解析方法としてしきい値による解析を試みた.静止状態の加速度センサの値から,ある設定したしきい値を超えたときにメニューへの入力とする.これにより歩みのような継続的動作を検出することができる.そして,足ステップによる入力として様々な入力が考えられるが,上記に述べたしきい値による入力では意図的な動作などの複雑な動きを入力として検出できない.そこで複雑な動きに対応するため,あらかじめ登録した動きの加速度センサのデータをテンプレートとし,これにどれだけ近いか検出するために DP マッチングを用いた.DP マッチングとは,動的計画法(DynamicPrograming) を用いて系列になっているデータ同士の類似度を比較するものでこれにより,様々な意図的な動作で入力をおこなうことができる. しかし,選択に用いるジェスチャの波形をあらかじめ任意に登録するため,入力しにくかったり,誤作動が多いといった問題があった.そこで,本研究では,幾つかのジェスチャ入力方式を評価し,入力しやすい手法を明らかにする.そこで本研究では日常生活において,静止時や歩行,走行時にどのような入力が可能であるかの評価をするため様々な動きについて検証を行った.

3E-3 (時間: 17:40 - 18:05)
題名ルール型動作制御機能を備えた小型無線モーションセンサノードの開発
著者*児玉 賢治, 藤田 直生 (神戸大学大学院工学研究科), 義久 智樹 (京都大学学術情報メディアセンター), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科), 田川 聖治 (近畿大学理工学部)
Pagepp. 569 - 576
Keywordセンサネットワーク, ユビキタスコンピューティング, センサノード, コンテキストアウェア
Abstract現在,無線センサネットワークの研究開発のため,様々なセンサノードが提供されている.しかし,これら既存のセンサノードは,設置後の動作過程における機能変更が容易でないという問題がある.さらに,多くの既存のセンサノードは,様々な利用を考慮して汎用性の高い設計となっており,人やものに取り付けられるほど小型でない.柔軟な機能変更を実現する方法としてルール型の動作制御がある.ルール型の動作制御は,様々な状態対する動作が記述されているルールを逐次処理することで動作を行う.このルールを追加,削除することで,ファームウェアを書き換えることなく機能変更を容易に実現することができる.本研究では,小型性と省電力性に優れ,加速度センサを搭載するセンサノードを開発し,ルール型の動作制御を適用した.センサデータを実行条件とするルール型動作制御を組み込み,センサノードの基本的な動作を実現した.さらに,開発したセンサノードに対して評価と考察を行いその有効性を示す.

3E-4 (時間: 18:05 - 18:30)
題名物理構成を考慮した仮想スマート環境
著者*榎堀 優 (立命館大学大学院/理工学研究科), 西尾 信彦 (立命館大学/情報理工学部)
Pagepp. 577 - 582
Keywordユビキタスコンピューティング, 仮想化
Abstractユビキタス環境を構築するための様々な機器を敷設した空間が,オフィスや家庭,駅ナカなどに敷設されていくと予想され,本稿ではこの空間をスマート環境と呼ぶ.各スマート環境上でサービスフレームワークが動作することでユビキタス環境が実現するが,単一のユビキタス環境の構成を複数のスマート環境で利用するのが困難である問題,各入出力機器のアクセス制御が難しい問題や,各ユビキタス環境を構築するサービスフレームワーク間で利用機器が衝突する問題などが残存していた. 我々はこれらの問題に対して,各ユビキタス環境に合わせて動的に構成を変更する仮想スマート環境を提案している.仮想スマート環境は,実スマート環境を構成する各機器を仮想化し,組み合わせ方と仮想機器へのアクセス制御を用いて,ユビキタス環境ごとに適切なスマート環境を提供した. 本稿では仮想スマート環境の概略について述べ,ポータブル用途で利用するために実ユビキタス環境との連携を考慮して配置先の物理構成や利用可能なサービスに適応する仮想スマート環境を提案する.提案では,仮想スマート環境のポータブル化時に必要となる仮想スマート環境構成の自動調整,仮想スマート環境に対する通信制御,実ユビキタス環境内サービスとの連携について述べた.


セッション 3F  教育支援とインフォーマルコミュニケーション(GN)
日時: 2007年7月4日(水) 16:50 - 18:30
部屋: 展望サロンA
座長: 井上 亮文 (東京工科大学)

3F-1 (時間: 16:50 - 17:15)
題名インフォーマルコミュニケーションの発生におけるきっかけについての初期調査報告
著者*西岡 大, 藤原 康宏, 村山 優子 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 583 - 586
Keywordインフォーマルコミュニケーション
Abstractインフォーマルコミュニケーションは, フォーマルコミュニケーションに比べ, 相手や会話内容は特定されておらず, 時間や場所も定まっていない等の特徴がある. 会話の相手が自分より目上の立場な場合, たとえインフォーマルな内容の会話であったとしてもフォーマルコミュニケーションになりうる. そこで, 本稿では, インフォーマルコミュニケーションの要素を明確にするため, 従来のインフォーマルコミュニケーションの論文でインフォーマルコミュニケーションの発生におけるきっかけに着目し, きっかけがどの様にインフォーマルコミュニケーションを支援しているかについて調査したので報告する.

3F-2 (時間: 17:15 - 17:40)
題名授業のための自己評価システムの提案
著者*杉浦 茂樹 (東北学院大学 教養学部)
Pagepp. 587 - 590
Keyword授業支援, 自己評価, 相互評価, XML
Abstract実習の成績評価は,従来のペーパーテストによる評価では困難な場合が多く,実習の成果である作品や発表を用いて評価する場合が多い。このような成果物による評価では,従来の教員による評価だけでは不十分で,生徒自身が自分の作品や発表を評価する「自己評価」が重要であると言われている。 従来は,「自己評価」は紙で行うのが主流であった。しかし,紙などを使った方法では教員・生徒の双方に対して,さまざまな問題があった。 具体的には,教員側では,(1) 使用する紙の量が多いため,管理が難しく,配布に時間がかかる,(2) 結果の集計や平均・標準偏差などの計算に手間がかかり,生徒への評価に時間がかかる,(3) 実施結果の整理が大変であり,これまでの評価を参照するのが容易ではなく,そのため有効に活用できない,などの問題があった。 生徒側では,(1) 評価用紙に記入する労力がかかり,評価用紙の取り扱いが煩雑になる,(2) 返却された評価結果の管理が面倒であり,紛失の可能性があるため,後々見直すことができず,次回の学習に生かせない,などの問題があった。 本稿では,従来,紙の上で行われてきた「自己評価」を電子化することにより教師の負担の軽減を目指す,自己評価システムについて提案する。 近年急速に普及しつつあるXMLというWeb関連技術を効果的に取り入れることにより,PCの操作に不慣れな教員でも自由自在に自己評価シートの作成が行えるシステムを,効率的に実装することができる。 試作されたシステムを学生に利用してもらったところ,特に操作の説明を受けなくても自己評価シートを作成できることが確認でき,教員の負担の軽減という目標の一部が達成できることが示された。

下記講演は発表セッションを5Fから変更しました。

5F-2 (時間: 17:40 - 18:05)
題名異なる学習集団の学生が協調的に作問可能なe-Learningシステム
著者*高木 正則 (創価大学/工学部), 光國 正明, 勅使河原 可海 (創価大学大学院/工学研究科)
Keyworde-Learning, 非同期協調学習, 作問演習, 相互評価, オンラインテスト
Abstract我々はこれまで学生が協調に作問可能なWBTシステム「CollabTest」を開発し,大学などで利用実験を実施してきた.その結果,本システムがe-Learningのコンテンツ不足と同期対面型講義における教師‐学生間ならびに学生同士のインタラクティブ性の欠如の改善に十分寄与できることが示された.一方,近年ではTim O’Reillyによって提唱されたWeb2.0が注目を集めている.CollabTestもWeb2.0的な要素を含むe-Learningシステムであるといえるが,WebをプラットフォームとしているWeb2.0とは異なっていた.そこで,我々はシステムの利用環境をWeb上の非同期分散環境へと拡大するより,システムの新たな利用価値を検討した.本稿では,非同期分散環境での利用形態の第一段階として,複数の学習集団の学生が非同期環境で協調的に作問可能なe-Learningシステムについて述べる.
→(発表セッションの変更) 本論文の実データはこちら


セッション 3G  マルチメディア1(DPS)
日時: 2007年7月4日(水) 16:50 - 18:30
部屋: 展望サロンB
座長: 池田 哲夫 (静岡県立大学)

3G-1 (時間: 16:50 - 17:15)
題名プリンタネットワークを構築するPrinterSurfシステムの提案と開発
著者*齊藤 達郎 (岩手県立大学 ソフトウェア情報学部), 中上 恭介, 村山 優子 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 591 - 594
Keywordマルチメディアネットワーク, P2P, PrinterSurf
Abstract現在, 遠隔地へ印刷するためのプロトコルや商用サービスが存在している. しかし, 遠隔地への印刷を行う際には, さまざまな初期設定が必要となるため, ユーザが, 容易に遠隔地のプリンタを利用開始することができない. そこで本研究では, 遠隔地への印刷を容易に可能とするシステムの構築を行う. 提案システムでは, JXTAを用いたP2Pネットワークの構築を行い, オーバレイネットワークをプリンタ利用者のPeerによって構築する. これにより, プリンタネットワークで遠隔地への印刷を容易に可能にするシステムの開発を行う.

3G-2 (時間: 17:15 - 17:40)
題名大規模ビデオ会議システムの実現化に関する研究
著者*杉田 薫, 横田 将生 (福岡工業大学情報工学部)
Pagepp. 595 - 600
Keywordビデオ会議システム, Web, ストリーム合成, 発話者特定支援
Abstract近年,多くのビデオ会議システムやビデオストリーミングシステム に関する研究が行われている.しかし,このような研究の多くは,インターネット上に分 散する多数の個人を利用者として想定しておらず,システムの大規模化によって増大す る利用帯域の問題と複数の利用者が同時に発言できる環境における発話者の特定に関 する問題について検討していない.我々は遠隔教育での利用を目的としてWWW会議シス テムの開発と性能評価を実施してきた.しかし,従来の研究では,大規模なビデオ会議シ ステムやビデオストリーミングシステムについては検討していなかった.そこで,本研 究では、100人が参加可能な多地点ビデオ会議システムの実現を目指し,ストリーム合 成法と発話者特定支援法について検討したので報告する.

3G-3 (時間: 17:40 - 18:05)
題名IP監視カメラ画像閲覧のための階層的画像集約手法の実装
著者*古谷 雅理 (東京農工大学), 阿久津 渡 (株式会社大広), 宮村(中村) 浩子, 大島 浩太, 萩原 洋一, 斎藤 隆文 (東京農工大学)
Pagepp. 601 - 604
Keyword監視カメラ

3G-4 (時間: 18:05 - 18:30)
題名動画の対話的視聴システムSevinaの実装
著者*林 志憲 (青山学院大学大学院理工学研究科), 伊藤 一成, Martin J. Duerst (青山学院大学理工学部), 橋田 浩一 (産業技術総合研究所)
Pagepp. 605 - 610
Keywordセマンティックオーサリング, ビデオハンドリング技術, 意味構造化, メタデータ, 談話解析
Abstractテレビ放送やインターネットなどを通じて大量に流通しつつあるビデオコンテンツを,従来のようにただ一方的に視聴するだけでなく,コンテンツの意味内容やニーズに応じて対話的に選択視聴できる方式を提案する.方式としては,我々がこれまで研究を重ねてきたセマンティックオーサリング技術をテキストコンテンツだけではなく動画に応用する.映像のショット間のつながりを談話構造の関係で結び,有向グラフとして動画コンテンツを意味構造化するのが特徴である.さらに本方式をWeb アプリケーションとして利用できるシステム Sevina を構築した.グラフ構造化されたショット群をわかりやすいツリー形式に変換して表示できる機能,再生ショットに対して関係ボタンを選択することによって視聴内容や順序をリアルタイムに変化させる対話的視聴方式を実現した.また未構造化状態のコンテンツに対しての構造化作業も簡便に行える機能についても実装した.


セッション 3H  インターネット3(DSM)
日時: 2007年7月4日(水) 16:50 - 18:30
部屋: 回転スカイラウンジ
座長: 山井 成良 (岡山大学)

3H-1 (時間: 16:50 - 17:15)
題名Unix系とWindows系のユーザクライアントのLogIn認証機構と処理時間
著者*坂下 善彦 (湘南工科大学 メディア情報センター), 大野 寿也, 吉田 幸二 (湘南工科大学 情報工学科)
Pagepp. 611 - 616
Keyworddirectory, authentication, LDAP
Abstract目的・背景: Windows OSのコンピュータとUnix/Lnux OSのコンピュータが混在するネットワーク環境において,同一のLogIn情報によりアカウント認証する認証システムの実現を目指している. 概要: Windows OS系のシステムでは,Windows 200X サーバが備えるLDAP機能を備えたactive directoryにより認証管理を行い,Unix/Lnux OS系のシステムでは,従来はNISによる認証管理が行われていたが,LDAPを用いて行うシステムが多くなっている. この場合,同一のOSを搭載したコンピュータにより構成されるネットワークシステムを一貫して管理運用することは,システムのオープン化あるいはWebあるいはJavaなど技術の発展に伴い,コンピュータ環境の制約が少なくなる傾向にあり,現実には難しくなってきている. 複数のOSが混在したネットワークシステムにおいて,OSの違いに依存して認証情報が異なることは,ユーザにとっては極めて不自然であり,今後コンピュータの環境条件が自由になることを想定した場合,管理運用の観点からも無駄の多いことになる. 現在,LDAPあるいはNISの機能を備えた認証サーバにNISに問合せを仲介する機能を備えたRADIUSを介して,認証を行うシステムもある. 本研究では,大学等のネットワークドメインの中で,LogIn個人認証やユーザの環境資源を一元的に管理して,コンピュータフリーに作業が出来るシステムの構築を目指している.現在は,LDAPを搭載した認証サーバを管理の頂点にして,複数OSのコンピュータ群を管理する方式を対象にして,下記に示す複数のシステム構成方式における認証の性能を観測し,妥当な時間枠の中で認証処理が可能かを見極めることとした. 個人認証を行う場合に,個人のLogIn情報のセキュリティ保護を行うことが必須であり,この保証を行うことが必要である. 現在,以下の3形態を構成して評価を行っている. 1. Windows 2000 server / active directory 2. Linux / samba(PDC) 3. Linux / LDAP / samba 認証処理時間の測定は,認証サーバ側でクライアントからのパケットを監視し,要求パケットが届いてから認証完了のパケットが出て行くまでの時間を計測した. 以上の形態の,システム構成と測定結果を示し,評価を行ったので報告する.

3H-2 (時間: 17:15 - 17:40)
題名PC教室のための仮想的大規模ストレージの構築
著者*チャイ エリアント, 上原 稔, 森 秀樹 (東洋大学工学部情報工学科)
Pagepp. 617 - 622
Keyword大規模ストレージ, 分散
Abstract現在では、大規模ストレージが必要である。ヒトゲノム、計算工学など、大量データの研究に扱われる。また、ビデオ、音楽データなど、個人で大量データが使用される。教育環境でも、蓄積されたレポートが大きなストレージが必要としている。教育環境では信頼性や管理の容易さを重視するため、数TBのHDD容量を持つ高価なファイルサーバを導入することが多い。しかし、このようなファイルサーバはより安価なシステムを求める教育現場のニーズと乖離している。ここで、一例をあげる。60TBのファイルサーバを定価で見積もると2.5億円になるが、120GBのHDDを持つ500台のPCからなるシステムはHDD単価1万として500万円で済む。そのコスト比は1:50になる。信頼性等は重要であるが、これほどコストが違うと異なる選択肢も考えられる。 高価な集中型ストレージのかわりにNFSなどの分散型ストレージが採用される。しかし、分散型でも相互運用性がLinuxに依存、管理が困難、信頼性が低い、性能が悪いという問題点がある。また既存の分散型ファイルストレージはディスク容量を100%利用できないという問題点もある。例えば、120GBずつ集めて60TBのストレージを構築しても、それぞれのファイルは120GBを超えることはできない。また、1つのディレクトリの中でファイルの合計サイズが120GBを越えることもできない。さらに、仮想ファイルシステムは下位層のファイルシステムに依存するためファイルサイズの上限が2GBに制約されることもある。このようにNFSをはじめとするファイルシステムレベルの分散ストレージでは空き容量を連結して1つのストレージにすることができない。 「PC教室のための仮想的な大規模ストレージの構築」は数百台のPCから構成されるPC教室の遊休資源(ディスクの空き容量)を連携して一つの大きいストレージを構築する。PCの使い切れないHDDの空き容量を集めて、うまく使えば、高価なストレージの必要性がなくなる。経済的の点から見ると遊休資源を集めた分散型ストレージは、ハードディスク代のみなので、集中型の値段と比較すると50倍ぐらい安い。NBDを利用することによってディスクレベルの分散型ストレージの実現ができ、既存の分散型ファイルシステムの問題点を解決することができる。分散型ストレージでは仮想的なディスクを構築することでファイルシステムに依存しない運用が可能となる。また既存の分散ファイルシステムでは、不可能である1台のディスク容量を超えるファイルの保存を可能にする。 本研究で開発する「PC教室のための大規模ストレージの構築」の目的は、PC教室などの教育環境の数百台のPCで安価な高信頼・大規模ストレージを構築する。本システムのファイルサーバは64ビットLinuxで構築され、LinuxクライアントからはNFS、WindowsクライアントからはCIFSでアクセスされる。  本研究ではディスクレベルで空き容量をJava言語でディスクを連結して1つの69.7TBストレージを構築した。システムはディスクレベルなので、ディスクサイズを越えるファイルの保存も可能である。本研究は512台のディスクを32グループにして、RAID66を構築する。本システムは64ビットファイルサーバとディスクサーバがある。ディスクサーバのLinuxやWindowsなどのOSからなる仮想ディスクはディスクの読み込みや書き込みをJavaのRMIで機能を提供する。ファイルサーバの方は用意されたディスクに接続してRAID66を構築する。NBD ServerはそのRAID66を利用してNBD Clientからのアクセスを待つ。そして、NBD Clientの起動をした後、XFSでフォーマットする。WindowsのクライアントはSambaを介してそのファイルサーバをアクセスする。 実験では2種類の仮想ディスク、固定長ディスクと可変長ディスクを比較した。可変長ディスクは固定ディスクと違い、必要とする分だけイメージファイルに書き込みをする。実験で固定長ディスクと可変長ディスクをXFSでフォーマットし、フォーマット時間を比較する。各容量には3回ずつフォーマットして平均処理時間を記録してグラフにした。グラフから見ると、可変長ディスクの方がフォーマットする時間が速い。理由は仮想ディスクではディスクのシークする時間が速いためと考えられる。まとめとして、本研究はRAID66で69.7TBの大規模仮想ディスクを構築した。今後は、故障の種類、故障の数、故障ディスクなどにより信頼性を評価したり、故障時の性能を評価したりする。また、サーバの遠隔管理やボトルネックを解消する。

3H-3 (時間: 17:40 - 18:05)
題名IP-SAN統合型PCクラスタにおける複数プロセスによる同時アクセス時の性能評価
著者*神坂 紀久子 (お茶の水女子大学大学院人間文化研究科複合領域科学専攻), 山口 実靖 (工学院大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学理学部情報科学科), 喜連川 優 (東京大学生産技術研究所)
Pagepp. 623 - 630
KeywordiSCSI, IP-SAN, PCクラスタ, 並列分散処理
AbstractTCP/IPベースのストレージ統合技術であるIP-SANが登場したことにより,PCクラスタにおける計算ノード--ストレージ間のネットワークにIP-SANを使用することが可能となっている.現在のところ,SANを使用したPCクラスタでは一般にフロントエンドのLANとバックエンドのSANのネットワークを個々に構築しているが,IP-SANの使用により,これら双方のネットワークを統合し,運用管理負荷を削減できる. 本稿では,バックエンドのネットワークをフロントエンドに統合したIP-SAN統合型PCクラスタ環境において,マクロベンチマークを使用して並列分散処理性能を評価し,非統合型の性能と比較した.また,マイクロベンチマークとして,複数のプロセスによりI/Oやノード間通信が繰り返し実行されたネットワーク高負荷時における評価も行なった.

3H-4 (時間: 18:05 - 18:30)
題名VPN複数経路接続時におけるiSCSIストレージアクセスの特性解析
著者*千島 望 (お茶の水女子大学), 山口 実靖 (工学院大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 631 - 638
KeywordiSCSI, VPN, 輻輳ウィンドウ, スループット, 複数経路
Abstract近年,インターネット技術の進展などにより,ユーザが蓄積し利用するデータ容量が爆発的に増加している.これに伴いストレージの増設,管理コストの増大が問題となっている.そこでSAN(Storage Area Network)が登場し,広く用いられるようになった.SANとは,サーバとストレージを物理的に切り離し,各ストレージとサーバ間を相互接続してネットワーク化したもので,これにより各サーバにばらばらに分散していたデータの集中管理が実現された. 一般にSANとしてはファイバチャネルを用いるFC-SAN(Fibre Channel - SAN)が利用されている.しかし,FC-SANはファイバチャネルを用いているため高価となり,また距離に制約がある.一方,SANにIPネットワークを利用したIP-SANとしてiSCSIが期待されている.iSCSIは,これまでDAS(Direct Attached Storage)で使われてきたSCSIコマンドをTCP/IPパケット内にカプセル化することにより,サーバ(Initiator)とストレージ(Target)間でデータの転送を行う.今後インターネットの発展により,ギガビットクラスの回線実現が期待され,iSCSIの有効性もさらに高まると考えられる. 現状において,SANは主にサーバサイト内のみでしか使用されていない.しかし遠隔バックアップ等を目的として,離れたサイトのサーバとストレージをSANで接続することが望まれている.そこで本研究では,VPN(Virtual Private Network)を利用することにより,ローカル環境で使用されているiSCSIを用いて広域ネットワーク上でリモートアクセスを行うことを検討した.さらに,より信頼性の高い通信を実現するためVPN広域ネットワーク内に複数経路を構築した.iSCSIは複雑な階層構成のプロトコルスタックで処理されており,バースト的なデータ転送も多いことから,通常のソケット通信と比較して,特に高遅延環境においては性能の劣化が著しく,さらに下位基盤のTCP/IP層が提供できる限界性能を超えることはできない.また広域環境でiSCSI複数経路アクセスを行う場合,経路によりネットワーク遅延やネットワーク性能が異なるため,iSCSIで適応的なパケット処理を行うことが望ましい.そこで本研究では,VPN複数経路接続において異なる遅延時間をもつ経路を構築して実験を行い,iSCSIストレージアクセスの特性を解析した.



2007年7月5日(木)

セッション 4A  ワイヤレスMACプロトコル(MBL)
日時: 2007年7月5日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 平安
座長: 長谷川 輝之 (KDDI研究所)

4A-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名スマートアンテナを用いた指向性MACの空間利用効率に関する実証的考察
著者*渡辺 正浩 (ATR適応コミュニケーション研究所スマートネットワーク研究室), 河村 直哉 (静岡大学大学院情報学研究科), 萬代 雅希 (静岡大学情報学部), 小花 貞夫 (ATR適応コミュニケーション研究所所長), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院インフォマティクス部門)
Pagepp. 639 - 648
KeywordAd hoc, MAC, ZigBee, Throughput, SDMA
Abstract無線アドホックネットワークの指向性メディアアクセス制御(MAC: Medium Access Control)プロトコルの研究において,実際のアンテナのビーム形状,無線装置の固有の特性,実空間の電波伝搬による影響を含めた実環境での性能を評価する.スマートアンテナとしてESPAR (Electronically Steerable Parasitic Array Radiator)アンテナ,無線装置としてIEEE802.15.4規格のZigBeeチップをベースとして用い,指向性ビームを用いたMACプロトコルとしてSWAMP (Smart antenna based Wider range Access MAC Protocol)方式を実装する.実環境における基本特性として,SWAMPにおける空間分割多重化や通信の長距離化を主目的とするモードでは,それぞれの実効スループットとして,166.8Kbits/sec,175.2Kbits/sec(例:1500Bytesデータの場合)が得られることを示す.また,両モードを組み合わせたSWAMPの運用において,D-NAV (Directional-Network Allocation Vector)後のスペース時間を設けて,両モードがシェアしながら通信する特性を示し,D-NAVが直線トポロジーにおける指向性隠れ端末の発生を抑止出来る効果があることを示す.

4A-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名実環境における指向性MACプロトコルのDeafnessと隠れ端末問題について
著者*河村 直哉 (静岡大学大学院/情報学研究科), 高田 昌忠 (静岡大学大学院/理工学研究科), 萬代 雅希 (静岡大学/情報学部), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院/インフォマティクス部門)
Pagepp. 649 - 656
KeywordMAC
Abstract近年,無線アドホックネットワークが注目されている.全ての端末が無線チャネルを共有するアドホックネットワークでは,無線媒体の効率的な利用が重要課題の1つである.従来のアドホックネットワークでは無指向性アンテナの使用が前提とされてきた.無指向性アンテナは全方位に電波が放射されるため,位置を特定できない移動通信環境下において有効であるが,周囲の端末にとっては干渉波となるため,高スループットの実現は困難である.そこで近年,アンテナビームの指向性を任意に制御可能な指向性アンテナの利用が注目されている.指向性アンテナは,任意の方向へビームを形成することにより周辺端末への干渉を抑制することが可能となる.そのため,高い空間利用効率を実現できる.また,特定の方向に高い利得を持たせることにより同じ送信電力での通信距離を拡大することができる.しかし,指向性アンテナを使用することで無指向性アンテナでは起こりえなかった新たな問題が発生する.本論文では,特にDeafness問題と指向性隠れ端末問題に着目し,実環境テストベッドを用いて実環境での影響を示す. 指向性通信では特定方向で通信を行うことで空間利用効率が向上する反面,周辺の通信の状況を把握できない問題がある.Deafness問題は通信したい相手がビジーであることを知らず通信を試みようとするが,受信者が自身のビームを他の方位に向けているために通信が失敗してしまう問題である.通信が失敗すると再送,バックオフ処理を行う.これは意図する相手の通信が終了するまで,繰り返される.これによりパケットの廃棄,無線チャネルの浪費等を引き起こし,スループット性能に大きな影響を与える.  指向性隠れ端末問題とは,無指向性アンテナ,指向性アンテナの利得差によって発生する問題である.通常,アイドル状態では,各端末は無指向性アンテナで待機する.これは,パケットがどの方向から送信されるかわからないためである.そのため,各端末が周辺端末の通信を受信できる範囲としては,無指向性送信-無指向性受信,指向性送信-無指向性受信で通信可能な範囲となる.周辺端末の通信を受信した端末はNAV (Network Allocation Vector)を設定することにより,他の通信との干渉を回避する.しかし,指向性アンテナを用いたMACプロトコルでは,DATA受信に指向性ビームを用いる方式がある.この場合,影響を受ける範囲は指向性送信-指向性受信の範囲まで拡張される.つまり,NAVを設定させていない端末からの影響を受けることになる.これが指向性隠れ端末問題である. これらの評価は電波伝播環境や指向性のビームパターンを理想化した計算機シミュレーションによるものが多く,実環境における性能に関して十分な知見が得られていない.そこで本論文では実環境におけるDeafness問題と指向性隠れ端末問題の影響について考察する.Deafness問題については,実際のビームパターンではサイドローブが存在し,実環境においてはDeafnessの軽減がなされると考えられる.しかし,制御フレームが送信されない範囲が存在し,実環境においてもDeafnessは大きな問題であると考えられる.また,指向性隠れ端末問題についてもサイドローブの影響により軽減されると考えられるが,無指向性アンテナと指向性アンテナの利得差から,実環境においても影響が大きいと考えられる. これらの考察に基づき,無線MACプロトコルのテストベッドを用いて指向性MACプロトコルとしてDMACを,無指向性MACプロトコルとしてIEEE 802.11を実装する.実験によってDeafnessが実環境において発生することを確認した.DeafnessによってRTSの失敗が多く発生していることを確認し,その結果DeafnessによってIEEE 802.11よりもDMACのスループットが低下することを示す.また,指向性隠れ端末問題によってデータの衝突によりスループットが低下していることを示す.

4A-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名On an Ad Hoc Routing Protocol using Directional Antennas
著者*Masanori Takata, Masaki Bandai, Takashi Watanabe (Shizuoka University)
Pagepp. 657 - 662
KeywordAd Hoc Networks, Routing Protocol, Directional Antennas, Load-Aware Routing
AbstractDirectional antennas have great potential such as high spatial reuse and range extension. To fully exploit the benefits of directional antennas in ad hoc networks, efficient routing protocols as well as MAC schemes are to be considered. This paper proposes Load-Aware Directional Routing (LADR) to establish routes with fewer loads. Each node maintains current load information for each beam. In LADR, a route request packet is sequentially transmitted from the beam with few loads to establish a fewer loads route. LADR realizes load balancing without additional control overhead. Simulation results show that LADR outperforms DDSR and DSR in terms of the packet delivery ratio, throughput, and end-to-end delay, especially when the sending rate is high and the number of the sessions is large.

4A-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名指向性アンテナを用いたアドホックネットワークMACプロトコルにおける隠れ端末問題への対処法について
著者*高塚 雄也 (静岡大学大学院情報学研究科), 高田 昌忠 (静岡大学大学院理工学研究科), 萬代 雅希 (静岡大学情報学部), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院インフォマティクス部門)
Pagepp. 663 - 670
Keywordアドホックネットワーク, MACプロトコル, 指向性アンテナ, マイナーローブ
Abstract近年,アドホックネットワークにおける指向性MACプロトコルが提案されている.指向性アンテナを使用することにより,ネットワーク性能は大きく改善されると考えられる.しかし,指向性アンテナの使用により,無指向性アンテナでは発生しなかった新たな問題が発生する.本論文では,二つの問題に注目する.一つ目は指向性隠れ端末問題である.指向性隠れ端末問題は無指向性アンテナ,指向性アンテナの利得の違いにより発生する.二つ目は,マイナーローブによる影響である.実際のアンテナでは,サイドローブ,バックローブ等のマイナーローブが発生する.これらのマイナーローブは,ネットワーク性能に影響を及ぼすことが考えられる.本論文では,指向性隠れ端末問題,マイナーローブによる影響に対処する指向性MACプロトコルであるDMAC-PCDR (Directional MAC with Power Control and Directional Receiving) を提案する.DMAC-PCDRは二つの特徴を持つ.一つ目は,指向性巡回受信であり,二つ目は,宛先端末の位置情報により選択される3つのアクセスモードである.シミュレーション評価により,DMAC-PCDRはスループット性能が向上することを示した.


セッション 4B  ネットワークセキュリティ2(CSEC)
日時: 2007年7月5日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 花の舞
座長: 西垣 正勝 (静岡大学)

4B-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名中長期トラフィック分析によるLAN内端末検出システムの試作および評価
著者*薄田 昌広 (関西電力株式会社 電力技術研究所), 上原 哲太郎 (京都大学 学術情報メディアセンター), 上田 達也 (大阪市立大学 創造都市研究科)
Pagepp. 671 - 676
Keywordpassive scan, セキュリティ監査, 端末検出
Abstract LAN技術のコモデティ化に伴い、IP技術を用いたイントラネットの構築はいまや誰にでも容易に行える。そのため、企業や組織のLAN管理者にとっては、管理ポリシーに反したり設定が誤った端末が勝手に接続されたりすることを防ぐことが必要になっている。そこで本研究では、LAN内に不正に接続された端末を検出するシステムを開発した。LAN内を調査する方式としては、パケットを発信して応答を分析するActive Scan方式とトラフィックデータだけを分析するPassive Scan方式が存在する。Active Scan方式は短時間で高い精度の分析が可能であるため現在広く使われている方式であるが、システムに負荷をかけるという問題や、パーソナルファイアウォールの普及により端末検出の精度が下がるという問題がある。本研究では検出の時間はかかるがLANに対する副作用が少ないPassive Scanを採用した。  Passive Scanによって各機器の状態を詳しく知るためには、個別の機器が発する各トラフィックの詳細な情報と、このトラフィックの中長期的かつ大まかな傾向の両方を得る必要がある。これらの要求に応えるため大きなストレージを持つシステムを構築することは可能であるがコストの上で不利である。本システムでは、汎用のパソコンをベースにして低コストのトラフィック分析システムの構築を目指したため、限られたストレージにこの両方のトラフィックを効率よく蓄積する技術を開発した。具体的には、ヘッダ情報を中心とし、少ないデータ量で多くの情報を選択的に蓄積する手法および、長期間の情報を定期的に効率良く集約する圧縮手法を実装している。  さらに、システムを一定時間運用した後の解析作業は全自動化が難しいため、解析作業のアウトソーシングを可能にするべく、遠隔地からの分析が可能となるようにトラフィックデータをWebブラウザで閲覧、分析可能なインターフェースを作成した。本論文ではさらに、実際にこのトラフィック分析システムを実ネットワークで稼動させ、分析機能およびデータ集約性能の評価を行った結果について述べる。

4B-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名インスタントグループ通信とその認証方式の提案
著者*山形 遥平 (徳島大学), 福田 洋治 (愛知教育大学), 白石 善明 (名古屋工業大学), 毛利 公美 (岐阜大学), 大濱 靖匡 (徳島大学)
Pagepp. 677 - 683
Keywordグループウェア, P2P, セキュリティ, 認証技術
Abstract ノートPCの所有率が高くなり,各種の会議においても参加者の多くがノートPCを持参している光景が見られるようになった.ノートPCを,室内等の限定された空間でグループ通信できるように接続できれば,従来USBメモリ等のメディアを使って手動で配布していた電子データの配布が簡便に行えるようになる.  このような会議等で使用するグループ通信では,即座にグループが形成できること,事前には明らかではない参加者とグループが形成できること,グループ通信および共有されるデータをセキュアにすること等を考慮しなければならない.これらの特徴を有する通信をインスタントグループ通信と呼ぶことにする.なお,本研究ではサーバを用いないP2P型のグループ通信を考える.  インスタントグループ通信を実現するためには,まず通信と共有情報の保護という課題がある.通信と交換した共有情報を保護するためには暗号技術を用いるが,その鍵の交換が必要になる.鍵の交換においては,グループへのアクセスの可否を行うことも含めて,認証が必要になる.  既存のP2Pミドルウェアが提供する認証技術は,パスワード認証とPKI(公開鍵基盤)に基づく認証がほとんどである.ユーザIDとパスワードによる認証は,認証情報のアカウントサーバによる集中管理を行わない場合,鍵管理が複雑になるためP2P型での利用には適さない.PKIを利用した認証では鍵管理の問題は解決できるが,公開鍵証明書の発行や管理などの面倒な手続が必要となる.  インスタントグループ通信の認証方式の要件は次のようになる. 1)インスタント性 2)鍵管理容易性 3)アカウント拡張性 4)鍵更新容易性 インスタント性とは,アカウント登録などのグループ通信を開始する際の事前登録を必要とせず,必要な時に即座に通信を開始できる性質である.鍵管理容易性とは,相互認証を行う場合の必要な認証鍵数が少なく,鍵管理が容易に行える性質である.アカウント拡張性とは,アカウントを複数持つ場合に複雑な手続きが必要なく,複数アカウントを容易に実現できる性質である.鍵更新容易性とは,認証鍵の更新時の手続きを容易に行え,ユーザの判断でいつでも更新できる性質である.  本研究では,上記4つの要件を満たす,利便性と安全性を両立させたインスタントグループ通信を実現するインスタントIDによる認証方式を提案する.インスタントIDとは,グループ通信を行う際にグループの正規メンバであることを示すためにメンバ間で共有する秘密情報のことである.会議等では,口頭でインスタントIDを配布する方法が例として挙げられる.  提案する認証方式は次のようになり,暗号化通信等に必要なセッション鍵がグループメンバ間で共有される. 【認証手順】  Step 1. グループ作成者が参加メンバMPにインスタントID(IID)を通知  Step 2. 参加メンバMPは認証子aを計算し,任意の認証済メンバMCiに送信  Step 3. 認証済メンバMCiは認証子aを検証して参加メンバMPがIIDを持つことを確認  Step 4. 参加メンバMPと認証済メンバMCiの関係を入れ替えてStep 2,3を行う  Step 5. 認証済メンバMCiが参加メンバMPにセッション鍵を送信 Step 2で参加メンバが生成する認証子a は次式で計算される. a = Ep(sk_{MP}, h(IID)) || Ec(IID, pk_{MP}) ここで,h()はハッシュ関数,Ep(k, data)は鍵kを用いた公開鍵暗号方式の暗号化関数,Ec(k, data)は鍵kを用いた共通鍵暗号方式の暗号化関数,sk_{u}とpk_{u}は公開鍵暗号のユーザuの秘密鍵と公開鍵である.Step 3では,受信した認証済みメンバMCiが,まずMPの公開鍵pk_{MP}を復号し,h(IID)をその公開鍵pk_{MP}で復号する.取り出したh(IID)により,MPがIIDを所有しているかを検証する.  インスタントIDによる認証方式により,グループ参加者の正当性確認とセッション鍵の交換を容易に行うことができ,安全なインスタントグループ通信のための通信と共有情報の保護という課題を解決することができた.提案方式を実装したアプリケーションをモバイル端末などの持ち運び可能な機器で使用することで,外出先で出合う人々と簡単にオンラインでのコミュニケーションや情報共有を実現でき,今後のユビキタス社会において様々な用途への利用が期待できる.なお,距離が限定された空間だけでなく,遠隔地のPC同士を接続したインスタントグループ通信に対しても,インスタントIDの配布方法を工夫すれば提案方式は容易に利用可能である.

4B-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名Webブラウザを用いたセキュリティセンサの共有ログ情報視覚化システム
著者*金子 博一 (電気通信大学大学院情報システム学研究科情報システム運用学専攻小池研究室), 秀島 裕介 (ソネットエンタテインメント株式会社), 小池 英樹 (電気通信大学大学院情報システム学研究科情報システム運用学専攻)
Pagepp. 684 - 689
Keywordセキュリティ, 視覚化, 分散
Abstractインターネットが社会インフラとして重要な役割を占めるようになり、インターネットに接続された計算機を標的としたサイバー攻撃の問題が深刻になっている。例えばコンピュータワームやコンピュータウィルス、ボット等のサイバー攻撃が増加している。 これらの攻撃によってメールシステムやWebサービスといったものを停止させることがあり、 経済活動や公共に大きな影響を与えている。  これらのサイバー攻撃はログとして計算機に蓄積される。 だが、こういった攻撃の解析には膨大なテキストデータを読む必要があり、とても一件一件を精査することはできない。 そのため情報視覚化技術を用いて解析をしやすくすることが多い。  近年、インターネット上のこれらの攻撃を監視することにより、攻撃の早期発見や攻撃の予知 に役立てる研究が行われている。 そういった研究の一つとして、分散IDS(不正侵入検知システム)の比較の研究が行われている。 これは一つのIDSによる検知ログではわからない攻撃も、多くの分散したIDSによるログ比較を行うといったことで 統合的に攻撃を解析するものである。 しかし、ログの比較にはお互いのフォーマットや、そもそもログの提供を望めない場合が多く、実現は難しい。  これに対し,攻撃情報を共有することを目的とした国際的プロジェクト,The Honeynet Projectがある The Honeynet Projectは、ネットワークを監視、解析を行う行うツールの一つであるHoneypotを運用している大きな団体の一つであり、世界のセキュリティ調査員はこれを用いて監視、解析を行っている。 The Honeynet Projectではログのフォーマットがほぼ共通であり、交換が行いやすいという特徴があり、上記の問題を解決できる。 しかし、世界中にある拠点間で交流が少ないため、データのやりとりも少ない。  本研究では、分散IDSのログの比較の一例として The Honeynet Projectの個々の拠点でのデータ比較を行 うことを目的とし、そこでログ情報を共有していることを前提に、解析結果を地理的視覚化を用いてブラウザ上で表現する視覚化システムを考案、実装した。

4B-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名機密情報の拡散追跡機能を利用した書き出し制御手法
著者*大橋 慶 (岡山大学大学院自然科学研究科), 箱守 聰 (NTTデータ技術開発本部), 田端 利宏 (岡山大学大学院自然科学研究科), 横山 和俊 (NTTデータ技術開発本部), 谷口 秀夫 (岡山大学大学院自然科学研究科)
Pagepp. 690 - 697
Keywordセキュリティ, 情報漏えい防止, オペレーティングシステム, アクセス制御, プライバシー保護
Abstract近年,機密情報の漏えいを防ぐために,様々な手法が提案されている. これらの手法の1つとして,我々は,オペレーティングシステムのシステムコール発行を契機とし, 機密情報が拡散する経路を追跡し,計算機外への漏えいを 検知する手法を提案している. 提案手法は,機密情報の外部への漏えいが発生した場合, 漏えいを検知し警告を発生させることはできる.しかし,漏えいを抑止する機能そのものは実現していない. そこで,本論文では,上記の機密情報の拡散追跡機能を利用して,漏えいに対し ての警告が発生した際,その情報の書き出しを利用者が制御し,漏えいを抑 止する機構を提案する. 具体的には,漏えいを検知した後の動作として, 警告表示と共に利用者に書き出しの可否判定を促す.ここで,利用者によって書き出しが許可された際は通常の書き込み処理を行い,拒否された際は 書き出しエラーを返すことで漏えいを抑止する. 提案手法をLinux上に実装し,評価を行った.これにより,利用者の判断による制御が行えていることを示す.


セッション 4C  センサネットワーク制御1(MBL)
日時: 2007年7月5日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 砂子〜磯笛
座長: 義久 智樹 (京都大学)

4C-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名Clustering and In-Network Processing Routing Algorithm based on Time Division Transmission: CIPRA
著者*Eunhyoung Chu (九州大学大学院システム情報科学府知能システム学専攻), 峯 恒憲, 雨宮 真人 (九州大学大学院システム情報科学研究院知能システム学部門)
Pagepp. 698 - 705
Keywordsensor-networks, data gathering, clustering, routing
AbstractRecent advances in computing technology have led to the development of a new computing device: the wireless, battery-powered, smart sensors. Sensors which are capable of sensing, computing and communicating may be deployed in ad hoc networks without infrastructure and centralized control. Self-organizing and self-configuring capability are requisite for the sensor networks. In addition, activities of sensors are severely constrained by limited resources such as battery power, memory and computing capability available, which require sensor networks to be energy-efficient. Communication may occur via intermediaries in a multi-hop fashion because of limited power. Moreover because adjacent sensor nodes obtain similar or identical data, using in-network aggregation in a multi-hop communication is useful to reduce the volume of transmission data. A clustering technique which gathers data from several representative sensor nodes by clustering sensors provides scalability for the sensor networks composed of hundreds or thousands of nodes. Clustering is essential for applications requiring efficient data aggregation. Another advantage of clustering technique is to reduce energy consumption of the network. We discuss an energy-efficient method based on Clustering and In-network Processing Routing Algorithm named CIPRA, which prolongs network lifetime by distributing energy consumption, for data gathering in sensor networks. Given a collection of sensors and a base station, CIPRA groups sensors into a cluster that has a single cluster-head transmitting data to the base station and normal-sensors (non-cluster-head) sending data to the cluster-head and organizes a connected data routing-tree path based on a Ring Topology composed of adjacent several rings, where sensors are permitted to aggregate incoming data packets. CIPRA reduces energy required to construct a spanning tree using a new hybrid flooding which employs Time Division Transmission (TDT) which lets sensors communicate with other sensors only during their assigned time slots and sensors take a role either transmitter or receiver. TDT helps to reduce a mount of energy consumption resulting from collisions, overhearing, and idle listening in CSMA MAC layer. Overhearing which is an energy consumption source because of broadcast medium decreases for sensor to have sensor receive messages only for their receiving time slot. In other words, because waiting to hear messages during their receive-time slot, sensors consume the same amount of energy for radio listening regardless of the distance from sensors to the cluster head. In addiction, CIPRA reduces the energy load of a cluster-head and the volume of transmission data by aggregating data at each member node within a cluster. In CIPRA after sensing data, each node sends the data to its neighbor node instead of its cluster-head. Neighbor nodes aggregate data to reduce amount of data and transfer the aggregated data to their neighbor nodes or their cluster-head. Using local communication among neighbor nodes lessens the communication distance. In-network processing at each member node distributes the energy load of cluster-heads to the member nodes. Experimental results show that our data gathering mechanism outperforms the direct scheme protocol and the LEACH protocol on the point of view of the network lifetime.

4C-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名光知覚神経ネットワークにおけるTCPスループットの改善方式
著者*松岡 幸一, 阿部 伸俊, 篠宮 紀彦, 勅使河原 可海 (創価大学)
Pagepp. 706 - 713
Keywordセンサネットワーク, TCP制御
Abstract1. 背景 近年,FTTH(Fiber To The Home)に代表されるように,“光ファイバ通信”が注目されている.一方で,光ファイバ自体を,構造物の歪みや圧力などを環境情報として常時モニタリングする“光ファイバセンサ技術”にも関心が寄せられている.もし,同じインフラで通信とセンサの両機能を兼ね備えた光ファイバシステムが実現できれば,コスト効率が良く,障害の予兆検知などの応用も期待できる.我々は,この通信とセンシングを融合した光ファイバシステムを,光知覚神経ネットワークと呼び,開発を進めている. 2. 光知覚神経ネットワーク 本研究における光知覚神経ネットワークは,光のインターフェースを備えたイーサネットと,計測精度や価格など実用的観点からの評価が高いヘテロコア光ファイバを用いて構成される.通信技術としてイーサネットを用いる理由は,まず,ネットワーク機器が安価であり,機器をネットワークにつなげる際に特別な設定が不要で一般家庭やオフィスでも使いやすく,現在最も普及しているからである.さらに,光知覚神経ネットワーク環境においては,ノード間の相互情報交換や動画像情報等の伝送が頻繁に行われ,Multipoint-to-Multipoint接続や高速大容量データ通信が必要であるため,ギガビット伝送も可能なイーサネットが適していると考えられる. また,ヘテロコア光ファイバセンサとは,伝送路用光ファイバセンサを任意の位置で切断し,さらにコア径の小さい光ファイバを約1个ら数兪淨し融着したものである.このコア径の小さい部分をヘテロコア部と呼ぶ.このセンサは伝搬光の一部がヘテロコア部の境界面にてクラッド層へ漏れ,ヘテロコア部に曲げを与えるとクラッド層に漏れる光の量が変化するため,鋭敏に損失量の変化として測定可能である. 光知覚神経ネットワークでは,センシングによって空間の環境情報を取得し,同時に即応性の高いサービスを提供する.そのため,この空間では高信頼・高品質なデータ通信が必要とされるのは明白である.したがって,接続相手やデータ到着の確認,フロー制御,データ重複や抜けの検出などを行うことにより信頼性の高い通信を実現するTCPを使用する. 3. 光知覚神経ネットワークの通信特性に関する問題点 ヘテロコア光ファイバは,光を漏らす点を作為的に作ることによって曲げに対する感度を高め,センサとして機能させている.これは,通信の観点から見ると,光信号の強度が減少し,符号誤り率が増加することを意味する.符号誤り率が増加し,その影響が大きくなるとセグメントロスが発生してしまう.通常の有線ネットワークでは,セグメントロスが発生するのはネットワーク輻輳が発生した場合である.ゆえに,セグメントロスが発生すると,TCPはネットワークの輻輳が発生したと判断し,ロスしたセグメントの再送制御を行い,かつ輻輳ウィンドウを下げるようになっている.そこで本研究では,光知覚神経ネットワーク環境において,ファイバの曲げによるセグメントロスがTCP通信にどのような影響を与えてしまうのかをOPNETを用いたシミュレーション実験により明らかにした.結果として,TCPがセンシングによる一時的な通信断をネットワークの輻輳状態と勘違いして,不必要にウィンドウサイズを低下させ,RTO(Retransmission Time Out)も増加してしまい,スループットが大幅に低下してしまう現象を確認できた.つまり,光知覚神経ネットワークにおいては,ヘテロコア光ファイバの使用に対して,特にTCP通信特性に注意を向けなければならない. 4. センシングによるTCPスループット低下の回避手法 そこで,本研究では,上記シミュレーション実験により明らかとなったTCPスループットの低下を最小限に抑える手法を提案し,その効果を示す. 光知覚神経ネットワークと類似したリンク特性を持つものとして,無線ネットワークがある.無線ネットワークでは,フェージング等によりビットエラーが起こり,その影響でセグメントロスが発生する.これまで,無線ネットワークの環境に応じて,標準TCPをベースに改良された独自のアプローチが各種提案されているが,想定環境の違いにより完全には光知覚神経ネットワークに適用できない.しかし,一部の機能は有用であると思われるため,ファイバの曲げによる通信断の検知,通信断発生時における適切なTCP制御,通信回復通知の方法の3点について応用した新しい手法を提案する.

4C-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名Spatial-Correlation-Based Data Aggregation Scheme in Wireless Sensor Networks
著者*Huifang Chen (Shizuoka University), Yoshitsugu Obashi, Tomohiro Kokogawa (NTT Corporation), Hiroshi Mineno, Tadanori Mizuno (Shizuoka University)
Pagepp. 714 - 721
Keywordwireless sensor networks, data aggregation, spatial correlation, estimation

4C-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名データセントリックセンサネットワークにおける位置情報を必要としないルーティング方式の提案
著者*油田 健太郎 (熊本県立大学/宮崎大学), 佐藤 雄亮, 岡崎 直宣, 冨田 重幸 (宮崎大学), 朴 美娘 (三菱電機)
Pagepp. 722 - 732
Keywordセンサネットワーク, ルーティング, GPSR, HVGF
Abstract 近年,無線移動端末などを用いて固定のインフラがない場所にネットワークを構築するモバイルアドホックネットワークの研究が行われている.その中でも,ユビキタス環境を実現させる重要な技術としてセンサネットワークが注目されている.センサネットワークは,電力資源が乏しいセンサノード(以下,ノード)で構成されており,省電力化が重要な課題となる.そのため,ルーティングにおいても通信量の少ない方式が求められる.これまで位置情報を用いることにより通信量を抑えたルーティング方式が提案されているが,位置情報を取得するためには,各ノードに特別なデバイスを付与する必要があり,低コスト化,小型軽量化する上で妨げとなるだけでなく,位置情報を取得する際に電力を消費するという問題がある.そこで,本論文では通信量を抑えつつ,かつ位置情報を必要としないHVGF(Hop-Vector based Greedy Forwarding)ルーティング方式を提案する.ここでは特に,外部ストレージ方式で問題になるような通信の集中による電力消費の偏りが起こりにくいという特徴を持つデータセントリックストレージ方式のセンサネットワークを対象とし,そこで重要となる任意の2点間におけるルーティング方式について考察する.  提案方式では,n個(n>2)の基準点を設け,基準点からのホップ数を要素とするベクトルを作成する.ルーティングの精度を上げるために,基準点をそれぞれが互いになるべく離れるように指定する必要がある.そこで,基準点をネットワークの周辺に配置されているノード(以下,周辺ノード)の中から選択することとした.そのため,まず周辺ノードを判別し,それらの中から互いにできるだけ離れるようにn個の基準点を選択する.そして,基準点からのホップ数を要素とするベクトルをすべてのノードに作成し,そのn次元ベクトルをアドレスとして用いたGreedy Forwardingを行う.ここでGreedy Forwardingとは,各ノードが隣接ノードの情報を保持し,自分の隣接ノードの中で一番宛先に近いノードへ転送することを,宛先に届くまで繰り返す転送方式のことである.本提案方式では,平面上の2次元の位置情報の替わりにあて先やノードのアドレスとして用いるベクトル間の距離を,ユークリッドノルムとして定義した.  本提案方式の有効性を示すために,提案方式と既存の実際の位置情報を用いた方式をシミュレーションにより比較した.ここでは評価項目として,送信ノードから送られたパケットが宛先ノードに到着した割合を示す成功率と平均ホップ数の2つの基準を用いた.シミュレーション結果より,提案方式は実際の位置情報を用いた既存方式と同程度の性能と通信オーバヘッドであること,特にノード密度が低いネットワークに適した方式であることなどが分かった.  今後は,障害物や空洞がある場合などの現実的に起こりうる状況を想定したネットワークでのシミュレーションを行う予定である.


セッション 4D  社会システム(EIP)
日時: 2007年7月5日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 松〜梅
座長: 中野 潔 (大阪市立大学)

4D-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名国民保護計画における住民避難誘導を想定したリアルタイム非常時情報通信パイロットシステム
著者*多田 浩之 (みずほ情報総研株式会社 情報・コミュニケーション部), 小澤 益夫 (コンテンツ株式会社), 日下部 幸 (みずほ情報総研株式会社 情報・コミュニケーション部), 猪俣 敦夫 (独立行政法人 科学技術振興機構), 能瀬 与志雄 (みずほ情報総研株式会社 情報・コミュニケーション部), 熊平 美香 (クマヒラセキュリティ財団), 大野 浩之 (金沢大学総合メディア基盤センター)
Pagepp. 733 - 743
Keyword国民保護計画, 非常時通信, 避難誘導, 災害救援通信
Abstract日本では、2004年に、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(国民保護法)が制定された。この法律は、テロ・武力攻撃事態において国民の生命や財産を保護するため、国や地方公共団体等の責務、住民避難に関する措置、避難住民等の救援に関する措置、武力攻撃災害への対処に関する措置等に関して必要な事項を定めている。現在、市町村を含む自治体等は、この法律に基づき、国民保護措置を行う実施体制、住民の避難や救援に関する事項等を規定する「国民保護計画」を策定している。「国民保護計画」の枠組みにおいては、テロ・武力攻撃が起きた場合に、国は、都道府県知事に対して警報の通知を行い、必要であれば住民の避難措置を講ずるように指示する。市長村は、都道府県知事からの指示を受けて、住民への避難指示の伝達や住民避難誘導を行う。実際、市町村は、ファーストリスポンダーとして応急対応に当たるほか、警察や自衛隊への避難誘導の要請等を含め、主体的に住民避難措置を実施する役割を担っている。このような中、市町村は、実効性のある住民避難誘導の方策等を検討する必要性を強く認識している。特に、NBCテロの場合には、NBC剤の大気拡散等により、事態の急激な変化等の予期せぬ事態に進展する可能性があり、迅速かつ効果的に住民避難誘導を行うことが極めて重要になる。これを実行するに当たって鍵を握るのは、非常時通信である。非常時通信は、危機管理のプレーヤーの視点に基づき、政府・応急対応機関同士の通信(G to G)、政府・応急対応機関から地域・市民への通信(G to C)、地域・住民から政府・応急対応機関への通信(C to G)、地域・住民同士の通信(C to C)の4つのタイプに分類される(GはGovernment、CはCitizenの略)。 最近、災害の大規模化やテロの同時多発化にともない、非常時通信の役割が一層重要になってきており、危機管理体制と危機管理のプレーヤーの視点に基づく、非常時通信に関する統合的研究が必要になってきている。筆者らは、これまで、テロを含む最近の壊滅的災害における危機管理の事例等を調査・分析し、危機管理と非常時通信との関係、4つのタイプ別の非常時通信のフレームワーク等に関する検討を進めてきた。この4つのタイプのうち、G to Gの非常時通信は災害救援通信(Telecommunication for Disaster Relief:TDR)と呼ぶが、このタイプの非常時通信は、大規模災害や事態の進展予測が困難なNBCテロ災害において非常に重要な役割を持つ。このような事態においては、災害対策本部での情報収集、状況分析、意思決定等に資する統合的なマルチメディア情報マネジメント、災害対策本部と被災現場で展開するファーストリスポンダー間での連絡・指示・報告の迅速なやり取り、リアルタイムでの統合化マルチメディア情報の受発信、インターネットでの統合化マルチメディア情報の高速配信(専用の通信基盤を必要としない)等が必要となる。筆者らは、これらの事項をTDRの仕様概念として位置づけ、市町村が担う実効性のある住民避難誘導を支援するためのTDRの仕様概念を具現化する研究を行ってきた。 本稿では、以上を踏まえ、TDRの仕様概念を具現化することを目的として開発した、国民保護計画における住民避難誘導を想定したリアルタイム非常時情報通信システム(パイロットシステム)について述べる。本研究では、まず、大規模スタジアムでの化学爆弾テロを想定し、テロ発生後の応急対応と住民避難誘導シナリオを想定した。これに基づき、災害対策本部(災害対策用コンピュータシステムを持つと想定)、被災現場のファーストリスポンダーや避難誘導員(モバイル防災情報端末を持つと想定)間での時系列での交信と情報のやり取りの画面を設計した。また、情報統合編集・リアルタイム高速情報配信システム(コンテンツ社がアプリケーション開発と販売権を持つ)を利用して、迅速かつ効果的な情報の収集・統合・表示等ができ、避難誘導等の意思決定等に資する緊急時情報統合型マネジメント環境(災害対策本部で運用されることを想定)を構築し、インターネット上での3者(災害対策本部、ファーストリスポンダー、避難誘導員)間のリアルタイム情報通信を模擬する環境を構築した。さらに、この環境上で、想定シナリオに基づき3者を模擬した双方向の非常時情報通信実験を実施した。この実験により、災害対策本部(模擬)にて、同期・非同期で収集した各種情報を容易に編集・統合・表示し、統合編集された大規模情報(10km四方規模のGISマップ・航空写真を含む))をインターネットでリアルタイム配信し、避難誘導員(模擬)等がモバイル環境で瞬時に情報を閲覧できることを示した。

4D-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名被災地内に通信インフラを再構築する研究
著者*山崎 浩司, 伊藤 将志, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 744 - 748
Keyword災害システム, メール通信

4D-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名言語化しにくい画像を用いた出席確認システムの構築
著者*吉野 孝, 中濱 誠司 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 749 - 754
Keyword授業支援, 出席確認
Abstract大学における出席確認の作業は,比較的時間のかかる作業であり,講義時間を圧迫している.また,従来より,「代返」という行為が日常の講義で行われており,その対策が課題となっている.代返防止は教育効果の向上にもつながるが,代返防止のための確実な出席確認作業は,講義時間を圧迫するというジレンマもある.そこで,これらの問題を解決するために,短時間の出席確認が可能で,代返のしにくい出席確認システムの構築を目指している.今回,「言語化しにくい画像」に着目した出席確認システムAGENGO の構築を行った.本報告では,本システムの構築における「言語化しにくい画像」の実験および開発した出席確認システムの試用について報告する.言語化しにくい画像の評価実験およびAGENGO の実際の講義での試用において,次のことが分かった.(1)画像の種類は画像の説明しづらさに影響を与えることが分かったが,画像の数は,画像の説明しづらさに影響しなかった.(2)AGENGO の試用実験の結果より,出席確認に要する時間は約4〜5分であることが分かった.(3)携帯電話のキャリアや機種,講義室の場所によって電波状況が悪い所があるため,そのような状況への対応を検討する必要がある.

4D-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名理工系学部から考える観光教育の可能性
著者*井出 明 (首都大学東京)
Pagepp. 755 - 760
Keyword観光学, 教育, ユビキタス
Abstract 近年、日本では観光系学部や学科の新設が進んでいる。ここ2年間の国公立大学の動きに限ってみても、和歌山大学・琉球大学・山口大学が学科を改組して社会科学系学部の一部を観光系の学科に変更し、さらには北海道大学では大学院におけるMBA的教育として観光科学研究科を設立した。私立大学では、平安女学院大学、流通科学大学、大阪観光大学に続々と観光系の学部学科が出現している。  観光学の地位向上とすそ野の拡大を願う観光系の研究者にとっては、喜ばしい現象ではあるが、手放しで喜べる状況とも言い切れない。これらの大学の多くは、既存学部の不振が引き金となって観光系学部・学科の創設にシフトしており、いわば客集めのための観光信仰とも言え、観光をどこまで学術的に探求できるかはまだ未知数のところがある。  確かに欧米における観光学の発展の経緯を考えた場合、人文・社会系学部の改組によって観光学科の設置を図ろうとすることは妥当性を持つ。ヨーロッパでは、観光は文化研究の対象として確固たる地位を有している。主要大学には観光担当の教授職がおかれ、熱心に研究・教育が進められている。また、アメリカにおいては、コーネル大学やジョージワシントン大学で見られるように、観光学は「応用経営学」とも言える地位を有している。したがって日本における観光教育も人文・社会系が基盤になると言うことは十分に得心がいく。  一方アジアに目を向けると、理工系大学の特に情報系の学部・学科において観光に関する教育が幅広く行われている。特に有名なのは、ジャッキーチェンが教授を務める香港理工科大学であるが、この他にも台湾や中国の理工系大学の情報系学科において観光教育が展開されている。  このようなアジアの大学の現状を鑑みたとき、なぜ日本以外のアジアの大学では、情報系の学部・学科において観光教育が可能となっているのかを考える必要があるであろう。その理由として、日本をのぞくアジア諸国では、観光産業をこれまで日本で考えられていた「移動と宿泊」(換言すれば「足と枕」)として捉えているのではなく、巨大な情報の流通システムという点で俯瞰されていることが挙げられよう。観光産業は従来、移動手段・宿泊施設・飲食といったカテゴリーの各店舗毎に情報が存在し、ステークホルダーの間ではほとんど情報がやりとりされることもなかった。いわばスタンドアロン的に情報は閉じられていたのである。しかし近年、ネットワークの爆発的普及は、観光産業の形を根本から変化させている。これまで個別に存在していた観光産業における情報が結合し、観光マーケティングは抜本的な変化を遂げつつある。特徴的なものとして、航空会社におけるマイレージサービスがあるが、これはマイレージ番号を通じて、顧客の経済行動を統一的に把握するための手段となっており、高度のCRMを実現させている。 また、観光を文化的営みの面から捉えても、観光は単に人が移動するという事実を本質としているわけではなく、観光者が観光地を訪れることで、現地の文化と対峙し、その結果として自分が背負ってきた文化を再認識するという効用を持っている。同時に、観光者の受け手側にとっても、自分たちが認識してこなかった地域文化の特徴を、観光者を受け入れることによって外部から認識可能になると言う利点を有している。このように、観光は異なる文化的背景を持つ者同士の出会いを創出するという、いわば文化的な情報交流の側面を強く有している。  本稿では、上記の状況を踏まえ、情報系を中心とした日本の理工系大学における観光学科設置の可能性と教育すべき内容について概観する。この論点は、純粋な意味での理工系の研究には当たらないが、情報系学部・学科における志願者が激減している昨今、生き残りのための新しいブレークスルーを模索するために考えておく必要がある。同時に、工学系における観光教育のあり方を検討することで、既存の観光系学部・学科が有している問題点が浮かび上がり、今後のカリキュラム開発等も含んだ観光系教育全般への貢献も期待できる。さらには、観光系学部では、「先生」の調達が大きな問題となっているが、どのような人材を教員として備えるべきであるかという観点からの議論も展開する予定である。


セッション 4E  ユビキタス情報処理3(UBI)
日時: 2007年7月5日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 鶴・亀
座長: 柳沢 豊 (NTT)

4E-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名MTシステムに基づく状態判別のための小型センシングデバイス
著者*木下 浩平, 藤田 直生 (神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻), 田川 聖治 (近畿大学理工学部情報学科), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻)
Pagepp. 761 - 768
KeywordMTシステム, ユビキタスコンピューティング, 状態判別, センサネットワーク
Abstract本研究では,パターン認識の手法であるMT(Mahalanobis-Taguchi)システムを用いることで,センサ情報を基に状態判別を行う小型デバイスを提案する.これにより,センサ情報に対して状態判別を行うことで,防犯対策や健康管理など人々の生活をサポートするシステムが考えられる.また,センサ情報を一元化し,通信量を減らすことができる.MTデバイスの有用性を検証するため,扇風機の回転速度の状態判別と洗濯物の乾きと落下の状態判別の二つの実験を行った.その結果,MTデバイスは,様々なセンサ情報に対して,容易に状態判別が行えることを示した.さらに,マハラノビス距離とサンプル数の変化との関係を導出し,ユークリッド距離との比較により,マハラノビス距離はデータ集合に対し,分散や相関係数を考慮していることから,MTシステムに優位性があることを示した.このことから,MTデバイスは,多くのセンサ情報に対して分散や相関係数を考慮するため,複雑なデータに対しても解析することができ,誤判別も少ないといえる結果が得られた.

4E-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名ユビキタス環境の実現に向けたサービス設計と実現プロセス
著者*伊藤 雅博, 高橋 修, 宮本 衛市 (はこだて未来大学)
Pagepp. 769 - 774
Keywordユビキタス, 商品開発, サービス開発
Abstract コンテンツ、プラットフォーム、ネットワーク及びターミナルの各レイヤにおける融合と連携がもたらすユビキタス環境の方向性を分析し、そのKey Pointにもとづくサービスの設計と実現にむけたプロセスの成功要件についての研究成果を発表する。  特に今後のユビキタス環境を牽引するサービスの芽となる技術動向とビジネスの可能性における考察から、成功事例におけるケーススタディとトライアルの分析により、方向性を導き出す領域を中心とする。

4E-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名コンテンツ提供者とユーザの意図を考慮したコンテンツ推薦アルゴリズムの提案と評価
著者*新井 イスマイル (奈良先端科学技術大学院大学), 竹内 亨, 寺西 裕一 (大阪大学), 藤川 和利, 砂原 秀樹 (奈良先端科学技術大学院大学), 下條 真司 (大阪大学)
Pagepp. 775 - 783
Keyword情報推薦, 情報検索, メタデータ
Abstractユビキタス環境では,ユーザが行動支援の情報を省作業で効率よく取得するために,ユーザの状況や嗜好を反映したコンテンツ推薦機構の実現が期待される. 本論文では,ユーザおよびコンテンツ提供者の意図をユーザプロファイルおよびコンテンツメタデータとして記述し,それらを照合するコンテンツ推薦機構を提案する. ここでは,ユーザのサービス参加のためのプロファイルの準備と,コンテンツ提供者のコンテンツメタデータ作成の労力を考慮し,制限されたプロファイルとメタデータを用いる中で,ユーザおよびコンテンツ提供者の意図を反映した情報をユーザに提供することを実現する. 提案するコンテンツ推薦機構を用いて商品推薦システムを実装し,青森県五所川原市の大型ショッピングモール「ELMの街」で1ヶ月間の実証実験を行った. この実証実験の結果を基に本研究の有効性について論じる.


セッション 4F  マルチメディア2(DPS)
日時: 2007年7月5日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 展望サロンA
座長: 寺西 裕一 (大阪大学)

4F-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名コールセンタオペレータ通話認識における話し言葉認識言語モデルの効率的な構築
著者*三木 清一, 畑崎 香一郎, 佐藤 研治 (NEC共通基盤ソフトウェア研究所)
Pagepp. 784 - 790
Keyword音声認識, 言語モデル, コールセンタ
Abstract従来、音声認識は人が機械を操作するためのマンマシンインタフェースとして使用されることが多かった。しかし今日、音声認識技術の発展により、より複雑で困難な人と人の話し言葉の認識が可能となってきた。このような話し言葉の認識技術により、動画コンテンツの音声を認識してインデキシングを行ったり、議会音声を認識して会議録作成を支援したり、コールセンタのオペレータが顧客と会話する音声を認識して業務を支援したりといった応用が実現されつつある。実用的な音声認識を行うためには認識対象とマッチした言語モデルを作成する必要があるが、そのためには音声認識対象となる発話内容を表現する大量のテキストコーパスが必要となる。しかしながら新聞やWWW等から得られる書き言葉テキストと異なり、話し言葉の場合、そのようなテキストコーパスを得るためには膨大な録音作業と書き起こし作業が必要となる。話し言葉の認識技術を実用化するためには、このような言語モデル作成コストを低減する必要がある。今回、コールセンタのオペレータ通話音声の認識を対象とし、業務の異なる別のコールセンタの既存の書き起こしが利用可能な場合に、それに対して対象とするコールセンタの文書データ(書き言葉)を加えることで効率良く、認識対象とマッチした言語モデルを作成する方式を検討した。話し言葉の認識のための言語モデルを作成する際に、書き言葉である文書データを用いる場合、その文章のスタイルの違いが問題となる。このような問題に対し、本稿において、既存の書き起こし(話し言葉)と文書データのキーフレーズ(N−gram)を組み合わせる方法を提案する。キーフレーズとはキーワードを含む前後の単語からなるN−gramである。キーワードとは対象コールセンタに特徴的な単語である。この方法により、話し言葉と書き言葉の文章のスタイルの違いに対する頑健さと、単語コンテキストの導入による言語的制約の反映を両立させることができる。我々は既存の書き起こしとして、異なる2種のコールセンタの書き起こし、対象とするコールセンタの文書データとして、顧客との通話後に書かれるレポート(応対履歴)を用い、認識実験を行って本手法を評価した。書き起こしと文書データを混合する方法としては提案手法とともに、文書データから得られるキーワードのみを追加する方法を実験して比較した。対象とするコールセンタ(A)は情報機器に関する問い合わせを受け付けるコールセンターである。既存の書き起こしとして、対象コールセンタと比較的似た業務を行っている、情報機器に関する問い合わせを受け付けるコールセンタ(B)と、サービス業のコールセンタ(C)の2つを用いた。既存の書き起こしはそれぞれ100時間分の通話から得られたものであり、文書データは3ヶ月分の応対履歴である。キーワードとしては新聞記事に応対履歴を一文書として加え、応対履歴に含まれる単語の中からtf−idf値が大きいもの1万単語を抜き出し、更にその中で自立語であるものを選択した。対象コールセンタの通話音声に対し、各コーパス・手法により作成された言語モデルを用いて認識実験を行った。実験の結果、応対履歴のみを用いて作成された言語モデルは、評価データと業務が同じであるにも関わらず、その書き言葉と話し言葉の文章スタイルの違いから54.5%と低い認識率を示した。別コールセンタの書き起こしのみを用いた場合、業務内容が近いコールセンタ(B)のデータで70.2%、コールセンタ(C)のデータで63.3%の認識率が得られた。業種の近さが認識精度に影響することが分かる。コールセンタ(B)のデータに対し、応対履歴から得られるキーワードのみを加えることで72.2%の認識率が得られ、更に提案手法により、73.1%の認識率が得られた。比較のため、対象コールセンタ(A)の100時間分の通話の書き起こしから作成した言語モデルを用いた実験を行ったがその認識率は75.2%であり、提案手法との差は小さく、提案手法により十分認識対象とマッチした言語モデルが得られたと考えられる。また、品詞別の認識率を比較した結果、アプリケーションで使用されることが多いと考えられる「名詞」「数詞」といった単語では提案手法と、対象コールセンタの書き起こしを用いた場合とでほとんど差が見られなかった。提案手法では「動詞」等の活用語で少し認識精度が低い傾向が見られ、業務に依存する活用語の話し言葉表現への対応が不十分であることも分かった。以上のように、既存の書き起こしと文書データを用いて効率良く精度の高い言語モデルを作成する方式を提案し、その効果を認識実験を通じて確認した。今後、キーワード選択手法の改善や、言い換え技術のように文書のスタイルを話し言葉のように変換する技術を検討する。

4F-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名質問同定を用いた自由文検索方式の提案 〜 コンタクトセンターFAQ検索と携帯電話マニュアル音声検索 〜
著者*石川 開, 花沢 健, 赤峯 享, 山端 潔 (NECメディア情報研究所)
Pagepp. 791 - 798
KeywordFAQ, マニュアル, 質問, 検索
Abstract近年のコンタクトセンターやQAサイトの浸透に伴い、質問と回答のペアからなる大規模なFAQデータの構築が可能となり、効率の良いアクセス方法が求められている。また、携帯電話をはじめとする身近な電子機器の多機能化が進み、利用者が機能の使い方を全ては把握するのは困難になっている。そのため、膨大な量の操作方法が記載されているマニュアルの中から、必要な機能の使い方だけを簡便取り出せるようなアクセス方法が求められている。我々は、これらの異なる要求について、それぞれ質問同定を用いた異なる2つの自由文検索方式を提案し、その有効性を検証する。 [コンタクトセンターFAQ検索] コンタクトセンターに蓄積されるFAQは、特定のサービスや製品に関して、その価格がいくらであるか、その期間が何時であるか、その場所がどこであるかなどの検索要求によって、異なった回答となる場合が多い。自然文による検索方式は、類似文書検索が主流となっているが、FAQ検索に用いた場合、検索要求と無関係の文書が多く検索され、正解が埋もれやすいという問題がある。つまり、FAQ検索は、ドメインが限定されるため、検索要求やFAQの内容が異なっても、同じ単語が出現する割合が高く、類似文検索では、これらの文書に高いスコアを与えてノイズが増える傾向がある。この解決として、Lytinenらは質問タイプを用いたFAQ 検索方式を提案し、検索精度の向上を確認している。しかし、質問タイプは利用者の質問内容が同じでも、質問文の表現次第で異なる場合がある。異なる質問タイプを照合する際に、曖昧さが生じるという問題がある。本稿では、より曖昧さの少ない質問内容の表現として質問タイプとトピックの組を導入し、この質問タイプ・トピックの組の類似度から、利用者の質問文とFAQの質問内容の類似度をより精緻に求めるFAQ検索方式を提案する。また、銀行応対業務に関するFAQに対して提案方式を評価した結果を報告する。 [携帯電話マニュアル音声検索] 携帯電話のマニュアルは、特定機器の操作方法にドメインが限定されるため、操作内容が異なる文同士でも、使われる表現や語彙は重複することが多い。一方、同じ機能の操作方法について表現した要求文であっても、利用者ごとに様々な表現が用いられる。このような、検索対象における語彙や表現の重複と、要求文における表現の多様性は、いずれも類似性の尺度に基づく従来のテキスト検索技術にとって、検索誤りを生じる要因となる。本稿では、利用者の要求を識別することで、利用者が入力する特定分野の要求に対して適合率の高い検索方式を提案する。本方式では、(1)利用者の情報要求を識別する構文解析ベースの識別器を構築し、(2)文字組ベースの類似文書検索と組み合わせる。我々は、本方式を用いて、携帯電話の操作方法に関する質問や操作要求を中国語で音声検索できるプロトタイプシステムを開発し、PDA上で動作を確認した。中国語の携帯電話マニュアルを対象とする評価実験を行い、従来の検索手法との比較により、提案手法の有効性を示す。 最後に、コンタクトセンターFAQ検索と携帯電話マニュアル音声検索という異なるタスクにおける質問同定を用いた2つの提案方式を比較し、タスクの規模や要求文、検索対象の違いや、異なるアーキテクチャーを通じて実現されている共通する質問同定の効果について論じる。

4F-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名カメラを用いた未知物体へのアノテーションシステム
著者*池田 卓朗, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻), 山本 哲也 (神戸大学大学院/自然科学研究科情報・電子科学専攻)
Pagepp. 799 - 806
Keywordアノテーションシステム, 画像認識, ウェアラブル, ユビキタス, 拡張現実感
Abstract近年,カメラを搭載した携帯電話や小型PCの普及に伴い,小型で高性能なカメラが開発されている.また,計算機の処理能力の飛躍的な向上,高速な無線通信網の発展により,画像や映像を小型の情報機器で容易に扱えるようになりつつある.このため,ものや人といった実空間の物体をカメラ画像と対応付け,アノテーション(注釈)を表示する研究が行われている.これらの多くは,画像のテンプレートマッチングに基づくため,想定されていないものを検索,認識する場合に,テンプレートを作成できないことが多い. 本研究では,3次元モデルとWeb画像検索の2つの手法を用いてテンプレートの作成を行い,カメラ画像と作成したテンプレートに対して画像処理を行うことにより,未知物体にアノテーションを表示するシステムの構築を行う.物体の種類によって異なったアルゴリズムを用いてテンプレートを作成することにより,柔軟な物体検索を行い,アノテーションをカメラ画像に表示できる.

4F-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名ピクトグラムとWordNetの連携によるオントロジマッピング促進システム
著者*松田 基弘 (青山学院大学大学院理工学研究科), 伊藤 一成, Martin J. Duerst (青山学院大学理工学部)
Pagepp. 807 - 810
Keywordピクトグラム, WordNet, オントロジマッピング, 多言語語彙データベース
Abstract世界には多くの言語が存在し,各言語において語彙オントロジの構築が進められている.これまでEuroWordNetなどで多言語語彙オントロジの構築が進められてきたが,概念プリミティブとなるPrinceton WordNetには言語依存性があることがわかっている.そこで近年,言語非依存の構造を持つSUMOにWordNetを写像する試みが行われているが,推論構造の低下が問題となっている.我々はその解決案として,ピクトグラムによる概念プリミティブの表現を提案する.本稿ではその手始めとして,ピクトグラムとPrinceton WordNetを連携し,Web上でのデータ付与によって多言語語彙のマッピングを実現するシステムを提案する.ピクトグラムを多言語間を連携する共通言語として利用し,さらにピクトグラムを利用した容易なデータ付与方式を提案することにより更新手続きの困難性を解決する.ピクトグラムを共通言語として利用することで,世界各国での利用を想定とすると共に,多言語語彙および既存WordNetの親和的なマッピングを可能とする.


セッション 4G  分散処理・グリッド1(DPS)
日時: 2007年7月5日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 展望サロンB
座長: 北形 元 (東北大学)

4G-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名自律負荷分散方式におけるノード情報の制限と局所的タスク投入による影響
著者*合田 卓矢, 樋上 喜信, 小林 真也 (愛媛大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 811 - 817
Keyword負荷分散, マルチコンピューティング
Abstract ワークステーションなどの低価格な計算機の出現と、ネットワーク技術の進歩によりホストコンピュータによる集中型のシステムに変わり、計算機がネットワークで相互に接続された分散型のシステムが普及している。分散型のシステムは計算機資源の完全な共有化は不可能であるが、低価格でコストパフォーマンスに優れ、耐故障性・拡張性を持つという利点がある。OSとして、マルチユーザ、マルチタスク型のUNIXが使われるケースが多く、同一計算機上で複数のユーザが複数のタスクを処理したり、あるユーザが複数の計算機を同時利用することが可能である。  UNIXのようなマルチユーザ、マルチタスク型のOSを用いた分散型のシステムでは、ある計算機に複数のタスクが投入されたり、シミュレーションやコンパイルなどのような処理時間の大きいタスクが実行された場合、特定の計算機に負荷が集中しタスクの応答時間が遅くなるといった問題がある。この様な負荷の不均衡な状況では計算機資源の有効利用が行われず、システムの運用上好ましくない。そこで高負荷な計算機から低負荷な計算機へタスクを転送し、実行することによってタスクの応答時間を短縮させる必要がある。しかし、ユーザが各計算機の負荷が動的に変化する状況を把握して、適宜にタスクを分散させることは困難である。従って、各計算機が自律的に負荷を分散させ、資源の有効利用や応答時間の短縮を行う負荷分散方式が求められる。  このような背景のもと、我々の研究室では負荷分散方式の一つとして、自律負荷分散方式(Autonomous Load Distributing Algorithm)を提案している。自律負荷分散方式とは、タスクを投入された計算機が他の計算機と1対1通信を用いてタスクの実行依頼とその諾否からなる交渉を行い、受諾した計算機がさらに交渉を行うといった動作の繰り返しで実行計算機を決定する方式である。これまでの研究により自律負荷分散方式はマルチコンピュータ環境において有効な負荷分散方式であることが示されている。  自律負荷分散方式では、ノード間で交渉を行う際に互いの持つ情報を交換し合うことで新たな情報を獲得する。このため、各ノードがシステム全体の情報を持つ必要がないという特徴を持つが、大規模な環境では交渉を繰り返すことで、情報量が単調に増加してしまう。そこで、各ノードが所持できるノード情報量を制限し、それを越えるような場合、ノード情報を削除する方法を提案している。また、ノード情報は獲得してから時間がたつと情報の信頼度が低下するため、ノード情報には信頼性有効期限を設定し、期限内情報のノードと優先的に交渉することで適切な依頼判断が行えると考えられる。  ノード情報を削除することは、情報量が単調に増加することを抑えることができるが、ノード間のつながりが解消されることになる。システムに均一にタスクが投入される場合には、ノード情報の制限が負荷分散動作に支障を起こさないが、局所的にタスクが投入される状況においては、タスク投入ノードから非投入ノードへの単方向の関係を途切れさせる傾向となり、タスク投入ノードから非投入ノードへ依頼を行うことが不可能な状況に陥る。このとき、低負荷な非投入ノードが存在するにもかかわらず、タスク投入ノード間でのみ負荷分散が行われてしまう。これは以下の理由であると考えられる。タスクが投入されたノードは自ら交渉を行うことができるが、非投入ノードは依頼が来て初めて交渉に参加することができるため、投入ノードの方が交渉回数が多いといえる。そのため、投入ノード同士が頻繁に交渉し合ってしまう傾向となり、非投入ノードの存在を知る機会が少なくなってしまい、信頼性有効期限が過ぎた非投入ノードの情報が優先的に削除されてしまう。このことを理由として、投入ノードから非投入ノードへのつながり関係が途切れ、適切に負荷が分散されない状態になると考えられる。そこで、この問題に対する対処法として、信頼性有効期限が過ぎたノード情報は削除対象とはせずに、負荷の高いノード情報のみを削除する方法を提案した。  従来法と提案法との比較を行った結果、時間経過とともに投入ノードから非投入ノードへのつながり関係が途切れることはなく、非投入ノードにも負荷が分散し、適切に負荷分散が行われることが確認できた。提案法は若干の平均交渉回数の増加と、平均交渉成功率の低下が見られたが、大幅に平均応答時間が改善されたため、提案法は有効な方法であることが明らかとなった。

4G-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名自律負荷分散方式におけるノード情報とその信頼性
著者*工藤 路比古, 樋上 喜信, 小林 真也 (愛媛大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 818 - 821
Keywordマルチコンピュータ環境, 負荷分散, ノード情報, 信頼性

4G-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名野菜類の産地判別システムにおける効率的な産地判別対象の絞込み
著者*佐藤 永欣 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部), 上原 稔 (東洋大学情報工学科), 下村 講一郎, 山本 浩文, 上條 賢一 (東洋大学植物機能研究センター)
Pagepp. 822 - 828
Keyword微量元素含有量による産地判別, 類似密ベクトルの効率的な検索
Abstract近年、日本では農産地のブランド化が進み、産地により農産物に価格差がでている。 このため、農産物の産地偽装事件が多発した。この問題を解決するため食品 トレーサビリティシステムが導入され、一部で運用されている。 しかし、食品トレーサビリティシステムはバーコードやRFIDなどの形で 人工的に付加したIDを追跡しているため、ID偽造、パッケージ偽造、 中身のすり替えなどの可能性があり、実際に事件が起きている。 そこで我々は、育った土地の違いによる野菜類の微量元素含有量の違いを 利用した産地判別システムの開発を進めている。 本システムは農家からの出荷時に野菜類の微量元素含有量を測定、 データベースに蓄積し、産地偽装が疑われる野菜類が発見された場合、 微量元素含有量を比較し、真の産地を推定する。本システムは、 産地が一致するかどうかを相関係数が適当な閾値を超えるかを基準として判断する。 データベース中の全データとの相関係数の計算が必要であるが、 データ数に対してスケーラビリティが不足している。本論文では、 相関係数の計算対象となるデータをあらかじめ限定し、スケーラビリティを 確保する手法を提案する。 以前われわれが用いていたSimilarity Preserve Hash (SPH)による絞込みは、 SPHの値を一つ計算するために、浮動小数点演算をSPHのビット幅だけ繰り返す 必要があり、高速化には限界があった。絞込みの計算を高速化するためには、 整数演算のみ、データ1件に対して1回の演算で絞込みができるとよい。 一般的に、疎なベクトルにおいては、データ投入、取り出し、空間の利用効率、 データ取出し時の再現率の各点において効率的な手法が知られているが、 密なベクトルの検索・絞込みではこれらを全て同時に満たす手法は 知られていない。以下では、空間の利用効率と再現率を犠牲にすることにより、 データ取り出し時と格納時の所要時間を短縮する手法を述べる。 まず、微量元素含有量そのものについて検討する。各産地を総合した微量元素 含有量は、ある元素について、正規分布か、その変種の分布を持つと考えられる。 負の含有量は考えられないため、左側のすそが切れているかもしれない。 各産地、または農家での、特定の微量元素の含有量も正規分布かその変種に従い、 なおかつ比較的類似した値を持つと考えられる。これらの模式図をFig. 2に示す。 これらの特徴から、産地dのh番目の野菜類のサンプルの元素Aの測定値x_{Adh}が、 A全体の分布のどのあたりの位置を示すかを用いて分類する手法が考えられる。 x_{Adh}全体の平均を、標準偏差をS_Aとする。x_{Adh}は以下のように基準化できる。 基準化したy_{Adh}はx_{Adh}が正規分布に従う場合、標準正規分布に従う。 y_{Adh} = (x_{Adh} - average(x_A)) / s_A y_{Adh}の範囲-∞<=y_{Adh}<=∞を、y_{Adh}が区間gに分類 される確率は全て等しくなるようにb個の区間に分割する。それらを下から順に g (g = 1, 2, 3, …, b)と名前をつける。標準正規分布をg等分する パーセント点を計算し、yAdhとの大小を比較するだけでよい。 同じ圃場で収穫された野菜類のある元素の含有量が、二つまたは それ以上の区間に跨って分類される可能性がある。 すなわち、クエリQの元素Aの含有量Q_Aが与えられたとき、その分類g_{QA}の前後lの 区間g_{QA}±lにも、高い相関係数を持つ微量元素含有量データが存在する 可能性があり、これらが産地判別の対象からもれると、正しい結果が得られない。 次に、分類区間を効率的にコード化する手法を述べる。この手法は浮動小数点 演算命令を使わずに、1回の演算でデータベース中の一つの微量元素含有量 データが、相関係数の計算対象になるかどうか、すなわち、1に近い相関係数を 持つかどうかを判定する。まず、元素Aのためのコード空間をbビット幅取る。 ビット列b_b…b_2b_1で元素Aの分類区間を表現し、全ての元素のためのコードを 連結して特定のサンプルの微量元素含有量のおおよその値を表現する。 元素Aの含有量が区間gに分類されたとき、該当するビットbgを1にし、 それ以外を0にする。g_{QA}±lの範囲に分類されている微量元素含有量全てを 検索する場合、該当するビットを全て1にして検索すればよい。 産地判別にe種類の元素を使い、それぞれがb区間に分類されるとき、 微量元素含有量全体はe×bビットあれば表現可能である。これがこの演算を行う 計算機の主要なレジスタのビット幅以下であれば、データベース中の1件の 微量元素含有量データを、相関係数の計算対象とするかどうか判断するのに 1回の整数演算のみで済む。 SPHの評価に用いたのと全く同じ、シミュレーションにより生成した10万件の 微量元素含有量データに対して、微量元素含有量の区間への分割と その結果のコード化、結果のデータベースへの格納を行ったときの実行時間を 評価したところ、8分程度であり、10万件に対する実行時間としては十分であった。 産地判別を行うために、相関係数の計算対象を提案手法により絞り込むための 所要時間を測定したところ、ほぼ1秒弱であった。隣接区間からも絞り込んだ 場合のほうが若干長い。これは対象となるデータ数が多いためと考えられる。 以前用いていたSPHによる絞込みでは概ね3秒強であったので、十分な高速化を 実現できた。

4G-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名アプリケーションレベル分散セキュアグループのためのChinese-Wall型プロセス隔離手法
著者*勝野 恭治, 渡邊 裕治, 古市 実裕, 工藤 道治 (日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所)
Pagepp. 829 - 839
KeywordChinese-Wallポリシー, プログラムリファレンスモニター, プロセス隔離, 強制アクセス制御, 情報フロー制御
Abstract分散セキュアグループは、分散したノード上のコンポーネント間で構築したグループに対してセキュリティポリシーを強制適応できる分散コンピューティングプラットフォームである。現在提案されているプロトタイプの主流はコンポーネント間の強固な隔離を実現するために仮想マシンモニタが用いられているため、アプリケーションの運用や管理が複雑になり、利便性が低下する恐れがある。そこで、プログラムリファレンスモニタを用いて利便性への影響を軽減するアプリケーションレベル分散セキュアグループが期待されている。さらに既存環境への影響を最小限に抑えるために、既存OSやアプリケーションのコードを変更しない実現方法が望ましい。 本論文では、既存環境への影響を最小限に抑えたアプリケーションレベル分散セキュアグループを実現する、Chinese-Wallポリシーの概念を利用したプロセス隔離手法CWPC(Chinese-Wall Process Confinement)を提案する。CWPCは既存OSやアプリケーションのコードを変更しないで実現するため既存環境への影響を最小限に抑えることができる。さらに本論文では、既存環境に対する変更を最小限に抑えられることを示すために、幅広く用いられているMicrosoft Windows環境、及びその上で頻繁に利用されるオフィスアプリケーションを検証対象として、ドキュメントの安全な取り扱いを実現するプロトタイプシステムを実装し、性能評価を通して、本論文のアプローチが実用的であることを示す。


セッション 4H  ネットワーク管理1(DSM)
日時: 2007年7月5日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 回転スカイラウンジ
座長: 北口 善明 (インテック・ネットコア)

4H-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名イベントスコアリングによるネットワーク管理の効率化手法に関する研究
著者*佐藤 彰洋, 長尾 真宏, 小出 和秀 (東北大学大学院 情報科学研究科), Glenn Mansfield Keeni (サイバー・ソリューションズ), 白鳥 則郎 (東北大学大学院 情報科学研究科)
Pagepp. 840 - 845
Keywordイベント, 異常検出手法, スコアリング, 独立成分分析
Abstract本稿では,ネットワーク管理において,それぞれ異なる指標によって検出されたn 個のイベントに対し優先順位を付けるスコアリングを行うための指標を提案する.これによって,複数の手法により検出されたイベントに対し,優先順位を付けた迅速な対応が期待できる. ネットワーク管理において「ネットワーク状態の計測によって捉える事ができる,管理上重要と考えられる出来事」をネットワークイベント(イベント)と定義する.異常検出に基づくネットワーク管理では,通常,対象となるネットワークのトラフィックを監視することにより得られる情報(トラフィック情報)から指標となる値を計算し,その変化を基にイベントを「検出」する.さらにそのイベントの発生原因を「分析」することが行われる.現在,これらを実現する多種多様な手法が研究されており,検出精度の向上や調査・分析の効率化,自動化が進められている.それらの手法の多くは独自の指標に基づいた異常検出を行っているため,検出可能なイベントの種類・性質がそれぞれ異なる.また分析の面においても,対象とする指標に特化した手法を採らざるを得ない.従って,実際の運用においては1 つの異常検出手法のみを利用するという状況は稀れであり,管理目的に応じて,複数の異常検出手法を同時に利用することが多いと考えられる.これにより,より多様なイベントに対応することが可能となり,検出もれの低減などが期待できる. しかしながら,複数の異常検出手法を同時に利用する場合,利用する手法の数や監視するネットワークの規模によって,イベントの数が非常に多くなると考えられる.管理者がこのような膨大な量のイベントに対応するため,発生原因が同じと想定されるイベントの集約や,優先順位を付けたイベントへの対処が必要になる.しかし,複数の異常検出手法によって検出されたそれぞれのイベントは,別々の指標に基づいて検出されているため,それらイベント間の重要度を単純に比較することはできない.これらの要因により,イベントの原因を調査することによる管理負担の増大や,重要なイベントに対する対処が遅れるなど深刻な問題が発生する.よって,複数の異常検出の利用を考慮した場合,手法の違いに依存せずに,イベントに優先順位を付加するスコアリングを行うための統一的な指標が必要不可欠であると言える. そこで,本稿では複数の異常検出手法によって検出されたイベントに対し,スコアリングを行うための指標として,情報理論におけるエントロピーの概念を拡張しイベント解析に適用した,「イベントエントロピー」を提案する.イベントエントロピーは次のように決定する.まず,トラフィック情報から,送信元や受信先のアドレス,各ポートへのアクセス頻度をそれぞれ計測する.それらのアクセスを事象の発生確率とすると,検出されたイベントに対する4 つの離散確率分布を得ることができる.これらの確率分布を解析することによって,イベントの特徴を把握することができる.提案するイベントエントロピーでは,イベントにおける(i) アクセスの複雑さ,(ii) イベントの発生頻度,および(iii) それらの値の時間的変動の3 つの点に着目する.すなわち,イベントを質,量,変化の3 つの側面から解析し,これらの指標を統合するとこによって,そのイベントが有する情報量を導出する.この情報量が低い場合,発生頻度が高いイベント,発生原因が明確なイベント,また時間的変動の無いイベントであると推測できる.例えば,各ホストの特定のサービスに対してアクセスが集中している状況下では,各分布間の相関が高く,イベントの発生原因が明確であると言える.また,頻繁に発生するイベントは,その内容や原因が既知であることが多い.そのような場合,イベントが持っている情報量は低く,優先順位の低いイベントであると判断できる.逆に情報量が多い場合,送信元や受信先アドレス,各ポートへのアクセスが均等に分布しているイベント,すなわち過去に例の無いイベントの発生など,未知の情報を多く含んでいる注目すべきイベントであると判断できる. 本稿では,イベントエントロピーについて詳細に述べた後,イベントエントロピーがイベントの重要度を表すのに適した値であることを示す.加えて,複数の異常検出手法から検出されるイベントのスコアリングに適用可能であることと,その有効性を予備実験によって明らかにする.また,現在プロトタイプを作成し,それを実ネットワーク上で運用することで,提案手法の評価とシステムの改善を進めている.

4H-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名大規模ネットワーク・サーバ運用監視向けITILインシデント管理システムの評価
著者*菅野 幹人 (三菱電機株式会社 情報技術総合研究所), 猪股 義晴, 高井 伸之, 東郷 吉伯 (三菱電機情報ネットワーク株式会社)
Pagepp. 846 - 850
KeywordITIL, MSP

4H-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名セキュリティ脆弱性診断支援システムを用いたセキュリティ対策とその評価
著者*田島 浩一, 岸場 清悟, 西村 浩二, 相原 玲二 (広島大学情報メディア教育研究センター)
Pagepp. 851 - 856
Keywordセキュリティ対策, 脆弱性診断
Abstractネットワーク管理におけるセキュリティ対策として,ネットワークに接続 している情報システムの弱点や脆弱性を診断により発見し,それを改善する ことでセキュリティレベルの維持や向上が期待できる.各種のサーバソフト をはじめとするソフトウェアの不具合等に起因するシステムの脆弱性とそれ を利用したワームや不正アクセスの危険性は絶え間なく増加しており,継続 して被害を防ぐためには診断とその対策を1つのサイクルとして,これを繰り 返し行う事が必要である. 実際に診断を行う方法は,診断サービスを利用する方法と診断システムを 導入する方法とに大きく分けられる.このうち診断システムを導入する方法は, システムを維持するコストは必要であるが,組織内で実施する頻度や 実施日の調整が容易な点と診断の対象とするアドレス範囲やネットワーク 構成変更等に柔軟に追従可能である点で柔軟性に優れた利用が可能であると 考えられる. 試作したシステムは次の2種のサーバを組み合わせて構成した. WWW兼管理サーバ:HTMLやテキストファイル形式の診断結果の閲覧,および オンデマンドに対象アドレスや診断内容を指定して診断を実行するインタフェース としてWWWサーバソフト等を用いて構築した.あわせて定期的な診断のスケジュール 設定や診断サーバの設定管理等の機能追加を行っている. 診断サーバ:脆弱性診断ツールをインストールして作成したサーバで,実際の 診断アクセスを行い,主に学内ネットワークに設置した.学内からでは診断 の困難な学外ネットワークからのHTTP-PROXY等の中継機能のアクセス制限の 適正性等を検証するため組織外の商用ISPに接続する診断サーバも設置した. 診断サーバは,定期的な診断およびオンデマンドでの診断に用いられる. 構築した診断支援システムは学内の約150の部分ネットワークを管理する 述べ250名のネットワーク管理者等に公開しそれぞれの管理者の管理に利用 されている.これについてはDSMシンポジウム(2004)他1件において構築事例 を報告している. あわせて本研究で構築した診断支援システムの効果 について実際の学内での利用結果の比較分析を行い, 診断支援システムの効果としてまとめる.


セッション 5A  モバイルネットワーク(MBL)
日時: 2007年7月5日(木) 10:20 - 12:30
部屋: 平安
座長: 山本 幹 (関西大学)

5A-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名NAT-fの移動透過通信への拡張
著者*鈴木 秀和, 金本 綾子, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 857 - 865
Keyword移動透過性, NAT越え, プロトコル
AbstractIPv4ネットワークにおいて,グローバルアドレス空間とプライベートアドレス空間の違いを意識せずに,移動透過通信を実現できると有益である.従来のNATを介した移動透過技術は,移動ノードが異なるアドレス空間に移動する前に,ノード間の通信が既に確立していることを前提にしている.しかし,ノード間にNATが介在すると,NAT外部のノードから内部のノードへ通信を開始することができないため,適用範囲が限定されていた.本稿ではこの問題を解決するために,通信開始時にNAT越えを実現するNAT-f(NAT-free protocol)と,移動透過技術であるMobile PPC(Mobile Peer-to-Peer Communication)を融合した拡張NAT-fを提案する.移動ノードとNATは拡張NAT-fにより,移動ノードの移動前後のIPアドレスの関係,およびNATのマッピング関係を共有し,NAT-fとMobile PPCにおけるアドレス変換を同時に行う.インターネット上の移動ノードは,ホームネットワーク内のノードに対して通信を開始することができ,かつ通信中に移動しても通信継続性が保証される.

5A-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名Mobile PPCにおけるパケットロスレスハンドオーバの提案
著者*金本 綾子, 鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 866 - 872
Keywordインターネット, ハンドオーバ, 移動体
Abstractモバイルコンピューティング環境では,端末が移動してもコネクションを切断することなく通信を継続することが要求されている.しかし,インターネットでは端末が移動するとIPアドレスが変化するため,通信が継続できない.そこで,我々はエンド端末だけで移動透過性を実現できるMobile PPCの研究を行っている.しかしながらMobile PPCだけでは,移動時の通信切断時間や,パケットロスが大きく発生してしまうという課題がある.また,エンド端末が同時に移動した時に通信が切断されないようにするための配慮も必要である.そこで,本研究では,Mobile PPCをターゲットとして上記課題を解決する方法を検討した.

5A-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名移動透過通信を用いたキャンパス生活支援システム
著者*正岡 元 (広島大学大学院 総合科学研究科), 田島 浩一, 岸場 清悟, 西村 浩二, 相原 玲二 (広島大学 情報メディア教育研究センター), 前田 香織 (広島市立大学大学院 情報科学研究科)
Pagepp. 873 - 878
KeywordIP Mobility, 位置情報
Abstract1 はじめに 移動透過通信とは、ノードが移動してもコネクションを維持し たまま継続して通信を行う事をいう。IP層における移動透過性 を実現する方式が複数提案されているが、それらはいずれも通 信を行う移動体が接続するネットワークのIP アドレスから何 らかの位置情報を得ることができる。この、移動透過通信時に 位置情報を得られるシステムを教育利用に応用する手法を提案 する。 2 移動透過通信 2.1 教育における活用 ネットワークの教育利用では、学生や端末の位置などの状況を 講義や実習で利用したい場合がある。位置情報を移動透過通信 に利用するIP アドレスから得る事で、新たな手法や装置を用 意する事無く位置情報を利用するシステムを構築できる。 2.2 移動透過通信アーキテクチャ IP 層における移動透過性を実現するアーキテクチャはMIP6[1]、 LIN6 [2]、MAT[3] など複数提案されている。ここでは移動透 過性を実現するアーキテクチャとしてMAT を採用する。その理 由を以下に述べる。 2.2.1 MAT のアーキテクチャ MAT ではホームアドレス(HoA) とモバイルアドレス(MoA) の対 を IMS と呼ぶサーバで管理する。HoA はノードに固定であり、 MoA は接続するネットワークから動的に割り当てられる。宛て 先HoA に対応するMoA をIMS で調べ、HoA と MoA を変換する 事で、ノードが移動してもHoA を利用して通信を継続すること が可能である。 IMS を用いる事で、ノードの状態によらずHoA とMoA を得られ る。本提案ではMoA から位置情報を得る必要があるため、ノー ドに依存せずIMS のみでMoA を調べられる MAT を採用する。 3 アプリケーション 3.1 基本機能 移動ノードは双方向通信が可能である。移動透過通信により、 移動しても通信の継続が可能である。また、ノードに固定で割 り当てるHoA を学生に一意に対応させる事で、 HoA から個人 を特定できる。また、場所ごとに異なるMoA 用のプレフィック スを割り当てる事で、MoA から場所を特定できる。ここでIMS の登録情報を調べることで、誰がどこにいるか知ることができ る。 さらに移動ノードのMoA とその変化を追うことで、移動ノード の現在位置と過去の軌跡の情報をリアルタイムに得られる。こ の情報を用いる事で、各移動ノードに対して最適な情報を提供 できる。次節以降に具体例を挙げて応用を示す。 3.2 フィールドワーク 例えば測量実習などのフィールドワーク時に、学生は移動端末 を持って実習を行う。教員は講義室の固定端末を用いる。 教員は学生の実習状況を講義室で確認でき、現場を巡回する事 無く全体の状況をリアルタイムに把握することが可能となる。 他方、学生は場所に依存せずに教員にアドバイスを求められる。 その際、現場の状況をリアルタイムに教員へ提供する事で、そ の場で適切なアドバイスを受ける事ができる。 3.3 学内案内 キャンパス内にカメラを設置し、動画をネットワーク配信する。 また大学内を案内するコンシエルジュを置き、移動端末を持つ ユーザに案内を行う。コンシエルジュは移動端末の位置情報を 元に適切な案内を行う。詳細な地図や案内情報などの配信も可 能である。個人向けだけでなく、キャンパス内カメラの情報を 元に天気などの一般的な情報を提供する事もできる。 3.4 食堂や駐車場の混雑状況の提供 食堂及び駐車場にカメラを設置し、動画をネットワーク配信す る。学生は昼休みに食堂に移動しながら動画を視聴し、各食堂 の混雑状況をリアルタイムに確認して最適な食堂を選択する事 が可能である。駐車場も同様に空きのある駐車場をリアルタイ ムに確認し、選択が可能である。またここで移動ノードの位置 情報を利用する事で、混雑していない食堂及び駐車場を案内す る際に移動ノードから近い場所を優先して案内する事ができる。 4 実験ネットワーク 4.1 実験ネットワークの構築 キャンパス内の無線LAN 網を用いて、IPv6 の実験ネットワー クを構築した。既存のアクセスポイント(AP) に実験用の ESS-ID を設定し、実験用のVLAN を経由して大学内IPv6 ネッ トワークに接続する。このIPv6 実験ネットワークはJGN の IPv6 網を経由してインターネットへの接続性を持つ。 AP の場所毎に異なるプレフィックスを割り当てる。MoA はこ のプレフィックスから割り当てる。このプレフィックスと場所 との対応を別に管理し、対応関係を調べることで、MoA から場 所を得る。 4.2 位置情報の利用 IMS の登録情報と、MoA として使われるプレフィックスと場所 との対応情報を利用することで、 MoA を位置情報として利用 する事ができる。移動透過通信の利点と、MoA から得られる位 置情報とを用いて様々なサービスを実現できる。 5 まとめ 移動透過通信において、MAT の持つIMS を用いてHoA とMoA の 対を管理するという特徴を利用する事で、通信をしている個人 とその位置を知ることができる手法を実現した。また、その手 法を用いた教育への応用について提案した。 参考文献 [1] D. Johnson, C. Perkins, and J. Arkko. Mobility Support in IPv6. rfc 3775, IETF, June 2004. [2] Masahiro Ishiyama, Mitsunobu Kunishi, Keisuke Uehara, Hiroshi Esaki, and Fumio Teraoka. Lina: A new approach to mobility support in wide area networks. IEICE Transaction on Communication, Vol. E84-B, No. 8, pp. 2076?2086, 2001. [3] 相原玲二, 藤田貴大, 前田香織, 野村嘉洋. アドレス変換 方式による移動透過性インターネットアーキテクチャ. 情報処 理学会論文誌, Vol. 43, No. 12, pp. 3889?3897, 2002.

5A-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名ローカルネットワーク接続ならびにセキュアな無線LANスポットを考慮したモバイルルータ拡張方式の実装と評価
著者*田坂 和之, 磯村 学, 井戸上 彰, 堀内 浩規 (株式会社KDDI研究所)
Pagepp. 879 - 887
Keywordモバイルルータ, ネットワークモビリティ, ITS, mobile IP

5A-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名リンク特性変化追従のためのTCP輻輳制御パラメータ設定タイミングの提案
著者*石橋 賢一, 森島 直人, 砂原 秀樹 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 888 - 897
KeywordTCP, 輻輳制御, 移動体通信, Mobile IP, Network Mobility
AbstractMobile IPやNetwork Mobilityといった移動透過性を実現する技術によって、 移動端末からインターネットを利用する際にも、 環境に応じたデータリンクへ、 通信を遮断することなく移行できるようになった。 移動透過性は、 データリンクの切り替え時に起こるIPアドレスの変化を、 上位層から隠蔽することで実現しているが、 データリンク特性の変化までは関知しない。 そのため、 通信経路の特性に輻輳制御を最適化するTCPでは、 データリンク特性の急激な変化に追従することができず、 通信性能の劣化が生じたり、 輻輳を引き起こしたりする。 我々は、 データリンク特性が急激に変化する環境において、 TCPの輻輳制御機構を追従させるための研究に取り組んでいる。 手法の提案に先立ち、 我々はリンク特性の変化に伴う輻輳制御パラメータの挙動を予備実験により詳しく調査した。 予備実験では、 dummynetと呼ばれるリンクエミュレータをもちいて、 PHS相当のデータリンクとIEEE802.11b相当のデータリンクを擬似的に作成した。 このふたつのデータリンクを切り替えながらTCPによる通信をおこない、 TCPの輻輳制御パラメータの遷移を調査した。 その結果、 データリンクを切り替える際に、 輻輳ウィンドウサイズ(cwnd)、 スロースタート閾値(ssthresh)、 再送タイムアウト値(RTO)などの輻輳制御パラメータが適正値から乖離することが明らかとなった。 これらの適正値から乖離した値をもとにセグメントの送信や輻輳制御が実施されると、 不要な輻輳制御が実施されたり、 逆にデータリンクが許容できる以上のセグメントを送出してしまう可能性がある。 輻輳制御パラメータの不整合に起因するさまざまな問題は、 乖離した輻輳制御パラメータを、 データリンクの切り替えに応じて、 適切な値に設定することで解決できると考えられる。 しかし、 データリンクが切り替わった直後に輻輳制御パラメータを再設定しても、 再度パラメータの変化が生じてしまい、 リンク特性の変化に追従できない。 これは、 データリンクの切り替え前後は、 ハンドオーバ処理による一時的な切断や、 セグメントの到着順序の入れ替わり問題、 遅延確認応答などの要因によって、 通信経路が不安定になるためである。 したがって、 パラメータを設定するタイミングを十分に考慮する必要がある。 本研究では、 データリンクの切り替えが発生してから、 上述の問題が発生する期間をリンク移行期間と定義する。 リンク移行期間が終了するまでパラメータの設定を遅延することにより、 データリンク特性の変化に確実に追従できるようにする。 リンク移行期間は、 データリンクの切り替え後に送出したセグメントに対する最初の確認応答を受信したときに終了する。 また、この確認応答を本研究ではWedgeAckと呼ぶことにする。 WedgeAckの受信以降は、 切り替え後のデータリンクのみを利用して通信を行うことが保証される。 リンク移行期間の終了、 すなわちWedgeAckの到着を検知するために、 TCPの制御情報が格納されるトランスミッション制御ブロックに新たな変数tsmaxを導入する。 tsmaxはデータリンクの切り替え時に、 それまで送信したセグメントのシーケンス番号に1を加えた値を保持する。 そして、 確認応答を受信するたびに、確認応答の値(Ack)とtsmaxを比較する。 確認応答の値がtsmaxよりもおお聞ければその確認応答をWedgeAckと判断し、 リンク移行期間の終了とみなす。 逆に確認応答の値がtsmax以下の場合は、 WedgeAckとは判断せずに、リンク移行期間を継続する。 この条件に加えて、 さらに遅延確認応答の影響を排除するための制約を設けた、 WedgeAckの検出条件を式(1)に示す。 (tsmax < Ack) && (tsmax <= snd_una) (1) ここで、snd_unaは確認応答を受信していないシーケンス番号の最大値である。 式(1)を満たす最初の確認応答をWedgeAckと判断し、 リンク移行期間を終了すると共に、 パラメータの設定を行う。 本研究では、 上記のリンク移行期間の効果を確かめるために、 NetBSD上のTCPを改変し、 エミュレーション環境での評価を行った。 その結果、 リンク移行期間を設けなかった場合では、 設定したパラメータが活用されない事例が多数発生したのに対し、 リンク移行期間を設けた場合は、 設定したパラメータをもちいた通信を実現できていることが確かめられた。


セッション 5B  ネットワークセキュリティ3(CSEC)
日時: 2007年7月5日(木) 10:20 - 12:30
部屋: 花の舞
座長: 白石 善明 (名古屋工業大学)

5B-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名Cooperative Detection of Malicious Mobile Users using Network Activity History
著者*Shinya Tahara, Nobutaka Kawaguchi, Taro Inaba (Graduate School of Science and Technology, Keio University), Hidekazu Shiozawa (Faculty of Technology, Tamagawa University), Hiroshi Shigeno, Ken-ichi Okada (Faculty of Science and Technology, Keio University)
Pagepp. 898 - 905
Keywordセキュリティー, モバイル
Abstract本論文では安全なモバイルネットワークを実現するためのMSP‐system(Mobile Secure Passport‐system)を提案する.MSP‐systemでは,MSP(Mobile Secure Passport)がユーザの履歴情報を保持し,MSP‐gatewayがMSP内の履歴情報をもとに悪意あるユーザを検知し,そのネットワーク利用を制限する.MSP-Systemにより、悪意あるユーザを排除した安全なモバイルネットワークの運用が可能となる。 ここ数年,モバイルネットワークが急速に発展・普及している.モバイル端末は,その最大の特徴であるモビリティから複数のネットワークを移動して利用する.そのため,ある1つのネットワークで何らかのウィルスに感染し,その脅威を他のネットワークに持ち込んでしまう危険性がある.また,不特定多数のモバイルネットワークユーザとネットワークを共有することから悪意あるユーザとネットワークを共有する危険性も含んでいる.このように,モバイルネットワークではその利便性に対し,セキュリティ上の問題を内包しているのが現状である.安全なネットワーク環境の実現のためのアプローチとして,ユーザのログイン時に端末のセキュリティチェックを行うことで危険な端末のネットワーク利用を防ぐという手法がある.そのような手法の既存の技術として検疫ネットワーク等が挙げられる.しかしながら,検疫ネットワークによる検知は,ウィルス定義ファイルなどによる端末チェックにとどまるため,未知の攻撃に対処することができない.また,端末の状態をチェックするだけであり接続後に悪意ある行動をとることを考慮していない. そこで本論文では,悪意あるユーザを検知し,そのネットワーク利用を制限することで未然に攻撃を防ぐことを目的とするMSP‐systemを提案する.MSP‐systemはMSPとMSP‐gatewayから構成されている.MSP‐systemでは,過去にユーザがネットワークを利用したときの情報(履歴情報)を用いることで,攻撃を行う悪意あるユーザを検知する.履歴情報は複数のモバイルネットワークの管理者が協調して,ユーザがネットワークを利用する毎に作成され,ユーザが所持しているMSPに記録する.ユーザがネットワークにログインしようとした時,ネットワークに設置されたMSP‐gatewayがユーザのMSPより,そのユーザは,いつ,どのネットワークで,どのような行動をしたかの履歴情報を得る.それらの履歴情報を解析することで,そのユーザが悪意あるユーザであるかを判断する.この判断を行う際には検知アルゴリズムを用いる.検知アルゴリズムでは時間の概念を加え,ユーザの状態の変化を考慮することによって, 攻撃の検知にとどまらず,悪意ある端末の検知を実現し,攻撃を未然に防ぐことが可能である.また,誤検知を考慮したアルゴリズムとなっており,各ネットワークにおけるIDS の誤検知を許容することができる.このようにするにより,MSP‐systemは攻撃を検知する際に発生する誤検知の問題に対処すると共に,未知の攻撃を未然に防ぐことを実現している. 本論文における評価では,悪意ある挙動を行うユーザモデルとして,定常攻撃者モデル,ワーム感染者モデルなどを作成し,それらのモデルに対してのシミュレーションによってMSP‐systemに用いられる検知アルゴリズムの性能を評価した.その結果,MSP‐systemの導入により,それぞれの悪意のあるユーザのモデルで攻撃を抑制できることを示した.

5B-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名AODVベースセキュアルーティングプロトコルの提案とその実装・評価
著者*森 郁海, 森 拓海 (公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科), 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 906 - 917
KeywordAODV, hop by hop, frame-up, レポート
Abstractアドホックネットワーク上には様々な攻撃方法が存在し,その防御法も多岐にわたる.その中でも汎用防御法は,あらゆる攻撃に対し一定の防御効果を持つことが要求される.本稿ではネットワーク攻撃の分類を詳細に行い,攻撃の形態化をして既存の防御法との対応を明確化する.そして汎用防御法の要求条件を示した上で,HADOF の核となる技術の一つであるレポートの交換と誠実度の設定がhop by hopのルーティングプロトコルでも有効であることを示す.またレポートを送信元方向,宛先方向へ1ホップさせる方法(1ホップレポート法)を考案し,攻撃ノードの検出を行う.検出を効率的に行うため,レポートの構成を再定義し検出後のルート切り替え作業と再検索を主体とした防御法を提案する.更に,実装した提案手法と通常のAODV でのシミュレーション結果を比較評価する.パケット到達率は,frame-up を行わない場合には最大約40%向上し,frame-up 時でも最大約35%向上した.パケットのドロップ数も総じて提案手法は低く,最大約50%減少した.DSR の短所である高移動性状態(ノード移動速度60km/h,ポーズタイム0sec)でも一定の効果を発揮した.

5B-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名AAAr: Anti Attack Ad-hoc routing protocolの提案と実装・評価
著者*森 拓海, 森 郁海 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科), 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 918 - 929
Keyword耐攻撃性アドホック・ルーティング・プロトコル, AAAr, Anti Attack Ad-hoc routing protocol, 防御, 回避
Abstract本論文では,最初にリアクティブ型に焦点を置き,関連する攻撃の分類を行うとともに,分類された攻撃法に対しそれぞれの防御法あるいは耐性を持つプロトコルの種類を明確にする.次に,攻撃法の回避に着目し,調査したすべての攻撃法に対して,暗号化・認証技術を除いた6つの攻撃回避技術を提案する.また, 6つの回避技術を実現するための耐攻撃性アドホック・ルーティング・プロトコル(AAAr: Anti Attack Ad-hoc routing protocol)を提案する.  更に,本論文ではAAArをDSRベースに実装し,計算機シミュレーションによりその有効性を実証評価する.評価は,多くの攻撃法に利用されるグレイホール攻撃に関して,従来のDSRに比べAAArがどの程度攻撃耐性を有するかに着目して行う.その結果,AAArは攻撃ノード数の増加に対しても完全に接続が途切れることがないことを明らかにする.特に,ノードの移動速度が速い(20km/h)場合にはDSRよりも最大約290%,平均約133%高いスループットを維持することができることを示す.これらの結果から,提案するAAArは高い攻撃耐性を有することを示す.

5B-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名社会ネットワークを適用することでアクセス制限を実現したDHTネットワークの提案
著者*安藤 公彦, 深貝 篤生, 大島 浩太 (東京農工大学工学府), 寺田 松昭 (東京農工大学大学院共生科学技術研究院)
Pagepp. 930 - 938
KeywordP2P, DHT, 社会ネットワーク, アクセス制御
Abstract近年,Peer to Peerによるサービスが広まってきているが,違法ファイルの交換や情報漏洩といった問題が指摘されている.これらの問題は,ノードが不特定多数のノードと接続情報のやり取りができるために生じる.本論文ではネットワークレベルでP2Pに社会ネットワークを適用することでノード間の信頼性を向上し,特定のノードと接続・情報のやり取りをすることできめ細かなアクセス制御を行う.これにより,”知人Aとは接続する”,”知人Bの知人とは接続する”,”知人Cの知人とは接続しない”,などのアクセス制御が可能となる.また,P2Pに社会ネットワークのつながりを用いることで生じる経路長増大の問題を解決するために,ノードの動的移動方式を提案する.提案方式を円形構造を持つPureP2P型のDHTで実装しその動作を確認した.プロトタイプおよびシミュレーション評価の結果,P2Pにアクセス制御構造を備えつつDHTネットワークで代表的なChordと同程度の経路長に短縮できることがわかった.


セッション 5C  センサネットワーク制御2(MBL)
日時: 2007年7月5日(木) 10:20 - 12:30
部屋: 砂子〜磯笛
座長: 神崎 映光 (大阪大学)

5C-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名End-to-Endパケット伝送モデルに基づくリアルタイム性を考慮した可用帯域幅推定方式
著者*祐成 光樹, 小西 勇介, 中尾 敏康 (NEC 共通基盤ソフトウェア研究所)
Pagepp. 939 - 945
Keyword可用帯域幅, 推定, 待ち行列モデル, 無線マルチホップ, 映像ストリーム
Abstract我々は,映像ストリームを無線マルチホップ送信する「モバイル・カメラセンサネットワーク」の研究開発に取り組んでいる.無線マルチホップ経路で利用可能な帯域幅(可用帯域幅)が低下した場合,ネットワーク輻輳が発生し,通信品質劣化(パケットロス増加,遅延/ジッタ増大)を招く.このような劣化を回避するには,輻輳状態を定量的に把握するために,End-to-End経路の可用帯域幅をリアルタイム計測するネットワーク計測技術が重要である.従来方式は,高レートの試験ストリームを経路に送出し,パケット受信間隔に基づき可用帯域幅を推定する.このため,試験ストリームレートが経路の可用帯域幅を超える場合,計測時間が長くなり(低速),輻輳を誘発(高負荷)する問題があった.本稿では,低レートの試験ストリームを用いて高速/低負荷に可用帯域幅を高精度推定する方式を提案する.本方式では,隣接ノード数がポアソン分布に従うよう配置されたノードで構成される経路を想定する.経路ノードの占有帯域幅を,隣接ノード数を用いた線形回帰モデルで定式化し(占有帯域幅モデル),End-to-Endのパケット伝送時間(片道伝送時間)を待ち行列モデルで定式化する(パケット伝送モデル).そして,隣接ノード数,および片道伝送時間を観測し,両モデルから可用帯域幅を推定するアルゴリズムを説明する.評価実験の結果,低レートの試験ストリームを用いた場合でも,可用帯域幅を高精度推定できることを示す.

5C-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名大規模センサネットワークにおけるトラフィック量低減のためのデータ送信制御方式に関する一検討
著者*高岡 真則 (日本電気通信システム), 中尾 敏康 (日本電気)
Pagepp. 946 - 950
Keywordセンサネットワーク
Abstractセンサネットワークが大規模になり膨大なセンサノードからデータが送信されるようになると,データの送信を適切に制御しなければ,系に流れるトラフィック量が膨大になり輻輳状態に陥る可能性がある. 本研究の目的は,大規模なセンサネットワークにおける自律分散的なデータ送信制御方式を開発することである. センサネットワークはアプリケーションに対し,各センサノードからの情報を集約し,または必要な情報の選択や変換を行ったものを観測情報として提供する. たとえトラフィックの低減を行うためにデータ送信頻度を抑制しても,そのような観測情報の正確性や品質が,著しく低下したり劣化したりしないようなデータ送信制御方式である必要がある. 一般に,センサネットワークがアプリケーションに提供する観測情報の正確性(品質)の向上と,系のトラフィック量の低減の間には,トレードオフ関係があり両立は難しい. しかしながら,センサノードが密に配置されていれば,近接するセンサノードが観測するデータ間には,冗長性があると考えられる. そこで,各センサノードが観測データの冗長性を考慮して,無駄を省くようにデータを送信すれば,系のトラフィック量の削減が期待できる. すなわち,トレードオフ関係を超えて,観測情報の正確性向上とトラフィック量低減が両立できると期待できる. 本論文では,トレードオフ関係を調整できるような,自律分散的なデータ送信制御機構を提案する. 具体的には,個々の観測データが,センサネットワークがアプリケーションに提供する観測情報の正確性に対して寄与する度合いに基づく方式とする. すなわち,センサネットワークから最終的に出力される観測情報に対し,どれだけその正確性の向上に貢献するかといった度合いに着目する. このように個々の値が全体集合の正確性へ寄与する度合い応じて送信することにより,冗長的度合いの高いデータの送信が行われなくなり,トレードオフ関係を超えた制御が可能と期待できる. また,本方式では,寄与する度合に基づいて確率的に送信を制御している. これにより,中央集権的なノードから指示されることなく,各センサノードは自律分散的に送信を制御することができる. 本方式の有効性を確認するために,計算機によるシミュレーション実験を行った. 実験の結果,トレードオフ関係にある観測情報の正確性とトラフィック量の調整を行えることがわかった. しかしながら,トレードオフ関係を超えて,センサノードがアプリケーションに提供する観測情報の正確性の向上と,系のトラフィック量の低減を両立するには,非常に密にセンサノードが配置されている条件下でないと実現できないことも分かった. 本論文では,系の平均的なトラフィック量や,観測対象のバースト的変化に対する影響,時間変化に対する追従性等について調べ,大規模センサネットワークの制御可能性についての考察を行う.

5C-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名カメラセンサネットワークにおける地理位置情報ルーティングプロトコルの設計
著者*石塚 宏紀 (東京電機大学大学院 情報メディア専攻 ユビキタスネットワーキング研究室), 戸辺 義人 (東京電機大学 情報メディア学科)
Pagepp. 951 - 956
Keywordセンサネットワーク, アドホックネットワーク, 地理位置情報, カメラセンサ
Abstract 近年,MEMSを基にしたセンサ技術の進歩により低コストで低エネルギー消費のセンサデバイスが開発されてきている.さらに,Webカメラを始めとしたマルチメディアセンサも急速に発展し,実世界で利用され始めている.その中でも,カメラセンサネットワークは現在,都市環境での防犯や災害地での人命救助,異常気象の観測など我々の生活に近い分野で利用されている.カメラセンサネットワークにおいて,ユーザから発信されるクエリは位置情報に大きく起因する可能性が高い.そのため,カメラセンサネットワークは地理位置情報ルーティングによってユーザのクエリを転送することが望ましい.例えば,ビルの警備員は,カメラセンサネットワークを用いて不審者を追跡する際,位置情報を元にクエリを発行することが考えられる.カメラセンサネットワークでは,カメラのセンシング範囲や向きなどをノードが予め,ネットワークに対してフラッディングし,それらの情報を基にルーティングを行う手法も提案されている.しかし,地理位置情報ルーティングは経路構築過程でフラッディング用いないため,通信電力節約できることから,センサネットワークのクエリ転送において大きな注目を集めている.既存の地理位置情報ルーティングはセンサノードが設置してある位置を宛先としてクエリを転送する. しかしながら,カメラのように広いセンシング範囲とセンシングに向きを持つセンサは,カメラが配置してある地点が必ずしもユーザが求めるデータを保持するノードであるとは限らない.そのため,カメラセンサネットワークにおける地理位置情報ルーティングでは,センシング範囲とセンシングの向きを考慮した新しい地理位置情報ルーティング プロトコルを設計する必要がある.そこで,我々はカメラセンサネットワークに適した地理位置情報ルーティングプロトコルとしてSenriGanを提案した.SenriGanは,既存の地理位置情報ルーティングプロトコルであるGPSRを拡張し,カメラが設置された位置に対してではなく,ユーザが必要とするデータの位置に対してクエリを発行し,その位置が撮影しているカメラまでルーティングできるプロトコルである.あるノードのセンシング範囲の情報はその近隣ノード間で共有され,ネクストホップを選出する際に利用される.また,選択した地点を撮影するカメラへ余すことなくクエリを転送するために,ランデブーペリメターフォワーディングを提案した.これによって,ユーザは欲しい画像の位置を指定するだけで,その地点を撮影している複数カメラまでクエリを転送し,画像を得ることができる.  しかしながら,現在のシステムでは,ユーザにはユーザに対してどちらの方向から撮影した画像なのか把握できないデータが転送される可能性がある.アプリケーションのシナリオを考慮すると,ユーザはあらかじめ,どちらの方向から撮影したデータが必要なのかを指定できるほうが望ましい.例えば,警察官が,追跡中の犯人の顔を正面から捉えた画像が必要な場合,ユーザは犯人を前から捉えたデータを指定できなければならない.そこで,我々はSenriGanを改良し,クエリの属性として新たにユーザが取得したいデータの方向を指定し,各センサノードにもユーザの指定する方向とノードが撮影する方向を判定するクエリプロセッシング機構を構築した.また,必ずしも指定された方向に完全一致した画像があるとは限らないので,完全一致しない場合においても,指定された位置を撮影した画像の中からもっとも近しいものを選択し,ユーザに返答するインプリシット レスポンス機能も実装した.  本稿では,提案地理位置情報ルーティングプロトコルSenriGanのシステムアーキテクチャを示し、そのプロトタイプの実装と既存の地理位置情報ルーティングプロトコルであるGPSRとSenriGanのクエリ到達率を示す.評価の結果として,クエリ到達性に関して,GPSRよりもSenriGanのほうがより,高いことが明らかになった.

5C-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名ノードの負荷を考慮した複数シンクセンサネットワークのパケット分配送信方式について
著者*大石 忠央 (静岡大学大学院情報学研究科), 萬代 雅希 (静岡大学情報学部), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院インフォマティクス部門)
Pagepp. 957 - 965
Keywordセンサネットワーク, 複数シンク, パケット分配送信
Abstractセンサネットワークの問題の一つに,特定のセンサノードにパケット中継が集中することが挙げられる.このようなノードをボトルネックノードと呼ぶ.一般に,センサネットワークではボトルネックノードがシンク付近に存在し,シンク付近のボトルネックノードの負荷分散のため,複数のシンクをセンサネットワークに導入することが考えられている.しかし,センサノードの分布が一様でない場合では,ボトルネックノードは必ずしもシンク付近ではない.この場合,従来方式では,ボトルネックノードがシンク付近のノードよりも早期にバッテリ枯渇を引き起こし,ネットワークの延長が十分になされない.そこで本稿では,複数のシンクを用いたセンサネットワークにおいて,ボトルネックノードを考慮したネットワーク長寿命化方式DCAM (DispersiveCast of Packets to Avoid bottleneck nodes in using Multiple sinks)を提案する.DCAMではまず,シンクがボトルネックノードを見つけだす.そして,各ノードは見つけ出されたボトルネックノードの負荷を減少させるように,複数のシンクを届け先とする.DCAMの性能を計算機シミュレーションによって評価した結果,DCAMは従来方式であるO-DOP (Optimal DispersiveCast of Packet)送信方式より1.58倍のネットワーク寿命を示した.

5C-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名可動ノードの導入によるセンサネットワークの省電力ルーティング方式の提案
著者*勝間 亮, 村田 佳洋 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学学科 情報処理学専攻 ソフトウェア基礎学講座), 柴田 直樹 (滋賀大学), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学学科 情報処理学専攻 ソフトウェア基礎学講座)
Pagepp. 966 - 971
Keywordセンサネットワーク, 可動ノード, モバイルセンサ
Abstract近年,広域に設置された多数の小型センサノードが無線通信により相互通信する ことで環境情報の収集やオブジェクトの追跡などを行うワイヤレスセンサネット ワーク(以下,WSNと呼ぶ)およびそのアプリケーションが注目されている.一 般に,センサノードはバッテリー駆動で長期間の動作を要求されるため,計算パ ワーは貧弱であり,また,センシング,通信のための電力も限られていることが 多い.WSNのより長期間の動作を可能にするために,これまで様々な省電力化方 式が提案されている. 本研究では通常用いられる静止ノード(一度配置されるとそれ以降は移動できな いノード)に加え,駆動能力を備えた可動ノード(自力で移動できるノード)を一 部導入し,可動ノードを適切な位置に移動させることで,既存方式より広いセン シングエリアとより長期間のWSNの動作を実現する方法を提案する.可動ノード の導入によって,どのノードからも孤立しており基地局へのパスが分断されてい るような静止ノードに対して,基地局へのネットワークを中継できるように可動 ノードを移動させることや,可動ノード自らが未カバーエリアに移動してセンシ ングをおこなうことで,より広いセンシングエリアを確保できる.また,通信に かかる電力は距離の2乗に比例することが知られており,遠距離を1ホップで通信 しているような箇所に可動ノードを移動させて通信を中継させることで,ネット ワークの省電力化が可能になるとともに,局部的なバッテリーの消耗を防ぐこと も可能である.そして,ノードの故障やバッテリー切れなどの不意の出来事が発 生した際に再計算し,可動ノードを適切に移動させることで,その影響をより少 なくすることが可能である. 可動ノードを用いたWSNは既にいくつか提案されている.例えばWangらは,可動 ノードを用いたセンサの再配置手法を提案しているが,ここでは全てのセンサノ ードが可動ノードであることが前提であるため,本研究よりもセンサノードの配 置におけるコストが高くなる.さらに可動ノードの移動にかかる時間に制限が無 いために定期的にデータ収集をするようなアプリケーションが正常に動作できな い危険性があるという問題点が存在する. 他には,例えばMeiらは部分的に可動ノードを導入し,センサが故障してネットワ ークが分断した場合に修復する手法を提案している.しかしここでは本研究の目 的の1つである広いセンシングエリアの確保については考慮されていない. 提案方式では,センシング領域として障害物のない平面を想定し,領域にばらま かれた各センサノードが周辺の温度や湿度などのデータを周期的に計測し,マ ルチホップ無線通信によりあるノード(基地局ノードと呼ぶ)に集めるアプリケー ションを対象とする.各センサノードのバッテリー量は限られているため,マル チホップ通信により,他のノードが集めたデータの中継に特定のノードが頻繁に 使用されると,バッテリー切れによりデータのセンシングおよび中継が出来なくな り,結果としてセンシング領域が狭まりWSNの稼働時間が短くなってしまうこと が予想される.提案方式では,この問題に対処し,WSNのセンシング領域の広さ と稼働時間の長さをできるだけ保つように可動ノードを適切な位置に移動させる. 上記を実現するため,対象アプリケーションにおいて,各ノードからのデータ計 測間隔(周期),可動ノードの最大移動速度,各センサの座標,各センサの電力 残量を入力とし,各時刻のセンシング領域をWSNの稼働時間で積分した面積を最 大とするような各可動ノードの移動先を出力する問題を定義する.本問題は組み 合わせ最適化問題のため,大規模のWSNでは現実的な時間で最適解を算出するこ とはできない.そのため,センシング領域を格子状に幾つかの部分領域に分け, 可動ノードの移動先は各部分領域中の一点に固定することで,考慮すべき組 合せを減らすというヒューリスティックを導入し,組み合わせ最適化問題の近似 的解法を用いて良い精度の近似解を算出する.また,可動ノードの移動中にネッ トワークが分断して対象アプリケーションの動作を妨げてしまう場合がある.そ のため,各ノードからのデータ計測周期よりも短いタイムスロットに区切り,各 タイムスロットごとにできるだけセンシングエリアを広くできるような可動ノー ドの配置を離散的に計算する.また,時間とともに,センサノードのバッテリー は消費され,さらには,故障するノードも発生する.従って,可動ノードの最適 な位置は時間の経過とともに変わってくる.そのため,提案方式では,周期的に 可動ノードの最適な位置を再計算する. シミュレーション実験により,提案方式が,静止ノードのみのWSNに比べどの程 度有効であるかを評価する.また,静止ノードの数に対し必要な可動ノードの 割合などについても評価を行う.


セッション 5D  災害対策システム(EIP)
日時: 2007年7月5日(木) 10:20 - 12:30
部屋: 松〜梅
座長: 仁野 裕一 (NEC)

5D-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名政府・民間連携を考慮した非常時情報通信システムの設計と実装
著者大野 浩之 (金沢大学総合メディア基盤センター), *猪俣 敦夫 (独立行政法人 科学技術振興機構), 山下 仰 (金沢大学工学部情報システム工学科), 多田 浩之, 能瀬 与志雄 (みずほ情報総研株式会社), 熊平 美香 (クマヒラセキュリティ財団)
Pagepp. 972 - 979
KeywordEIS, 非常時情報通信, 大規模災害, 安否情報
Abstract世界各国においても地震、津波、洪水、噴火などの大規模災害が頻繁に報告されているわけではない。しかし、これらの大規模災害が発生した際には想像すらつかない甚大な被害の発生が後を絶たないのも事実である。もちろん我が国においてもこれらの問題に対して何も対策をとっていないわけではなく、大規模災害を想定した考えられうる対策を掲げている自治体は比較的多い。しかし、過去の大規模災害の事例から省みても災害発生時には被災者の救援活動や想定外の対応処理などに追われ、被災者の安否情報をはじめとして被災地外との重要なコミュニケーション確立のための手段の確保に関しては未だ不十分である。 近年、通信事業者などにおいて被災地における緊急通信用の回線を確保するために、被災者の安否情報などをデータベースに格納しインターネットを通じて配信を行う災害用伝言ダイヤルや災害情報伝言板などのサービスの提供を始めている。これは、インターネットで培われた通信技術をもとにWEBアプリケーションや電子メールを活用することにより、従来型の音声(固定電話および携帯電話)に見られる特定地域における回線の輻輳問題から回避できることやテレビやラジオ放送に比べて被災情報の検索・リスト化という点において優位であることが理由である。本研究における最終目標はこのような大規模災害における非常時に対応可能な非常時情報通信システムを有効利用するために社会的・制度的課題を明らかにすることである。既に、我々は被災者の安否情報確認システムに関わる法的・社会的な要件事例の収集、整理も実施しており、大規模災害時等の緊急時における通信の特徴を1. C toC、2. C to G、3. G to C、4. G to Gの4つのタイプに分類できることを指摘した。ここでCとは民間(住民や企業)であり、Gとは政府、応急対応機関を指す。ここで、国内におけるこれら4タイプについてまとめる。1.C to CにはIAA(I Am Alive)システム、電気通信事業者による災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板が存在する。2. Cto Gには電話による119番、110番が存在する。3. G to Cには市町村が防災情報を収集し、また住民に対して防災情報を周知するためのネットワークである市町村防災行政無線が存在する。4. G to Gには内閣府により運用・管理された中央防災無線、消防庁により運用・管理された消防防災無線、各都道府県により運用・管理された都道府県防災行政無線が存在する。 しかし、このような各機関が連携した環境において、特にインターネットを利用した非常時情報通信システムを実際に適用する際には、あらかじめ関係機関ごとのネゴシエーションや機器設置や接続試験などが必要であり、それらを容易に稼動し検証するための明確な手続きは今のところ存在していない。それだけでなく、大規模災害発生時にはこれらの各機関が密接に連携した形で迅速にサービスが提供されなければならない。非常時情報通信システムは、WEBサーバのようにインターネット上に固定的に配置され、独立してサービスを提供するような単純な計算機ネットワークに閉じたシステムではない。民間と政府・応急対応機関双方が常日頃からネゴシエーションを行い、運用等から様々な経験を活かした実稼動インフラを構築し、いかにそのインフラにおいて必要なサービス(アプリケーション)を展開できるかを、これら4タイプにおける機関ごとの役割を明確にしておくために何らかの検証環境が必要である。 そこで本稿では、実際のCとGにおける非常時情報通信システムに焦点を当てその実稼働インフラを考慮した上でのテストベッドを実現するために構築したプロトタイプについて述べる。プロトタイプは、4ノードで構成される。また、ノード増設を容易に実現するためにノードの構成情報を他のノードに分散配置するこで、増設時にはネットワークトポロジにおける最短ノードから取得するようにした。続いて、各ノード構成について述べる。大規模災害が発生した場合を想定すると被災地において大掛かりなシステムを迅速に設置、稼動させることは困難である。そこで、被災地ノードにおいても比較的容易に稼動が可能であること、さらに移動手段を考慮して、可搬式のキャビネットラックに配置可能な安価でかつ小型サーバによるクラスタリング構成を取った。さらに本稿では、CやGの拠点が複数存在した環境における使用事例を想定して実施した実証実験についても報告する。一例としてCからG(C to G)の場合には、各ノードに対してCあるいはGをアサインし、Cに存在するユーザからのリクエストに応じて、Gがユーザからの情報を集約するサイトを容易にクローズドな環境において実現出来ることを示した。

5D-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名携帯電話を用いたユニバーサルな安否情報登録システムの開発
著者*張 正義, 吉田 雄紀, 湯瀬 裕昭 (静岡県立大学大学院経営情報学研究科)
Pagepp. 980 - 983
Keyword携帯電話, 安否情報, ユニバーサル
Abstract 日本は地震が多く発生する国である。1995年の阪神大震災や2004年の新潟県中越地震などでは大勢の人々が被害を受けた。地震が発生した場合は、地震直後の被災者やその関係者にとっては、まず災害の状況を把握するための情報が必要となる。地震といえば、死者・けが人の数、建物やライフラインの被害などの被害情報だけが必要と思われるが、被災者にとっては、震度・震源地などの災害原因に関する情報が、避難や救助のために必要である。また、被災者の関係者にとっては、家族や知人の安否や避難先などの情報が必要とされる。 このような情報を把握するため、最も使われているのはWeb安否情報システムである。静岡県立大学でもWeb安否情報システムを導入しており、学生の安否情報登録と閲覧機能を備えている。このWeb安否情報システムは学生の安否情報の登録には学籍番号、氏名、生年月日を認証データとして使っている。安否情報として、健康状態、大学への復帰見込み、所在地などを登録することができる。閲覧機能として、学生の名前の一部を入力することで該当する学生が列挙されそれらの情報を閲覧することができる。学内の学生のみならず、学外から親類、父兄なども安否情報を閲覧することができる。ただし、プライバシー保護の観点から、閲覧できる安否情報は限定されている。また、このWeb安否情報システムはパソコンだけではなく、携帯電話などの携帯端末からも利用できる。 視覚障害者がパソコンを使ってWeb安否情報システムにアクセスする場合、市販の音声読み上げソフトを利用することで、システムの操作が可能になる。高齢者もパソコン上の文字を大きく表示することで、操作が容易になる。しかし、一般のパソコンには音声読み上げソフトはまだ普及しておらず、利用できるパソコンが限られている。また、災害発生後にパソコンから利用するより、普及率が高く常に持ち歩いている携帯電話から利用するほうが実用的かつ現実的である。しかし、視覚障害者にとって携帯電話からWeb安否情報システムを利用することは携帯電話の読み上げブラウザの性能がパソコン用の音声読み上げブラウザに比べて劣るため難しい。高齢者の場合、携帯電話の小さいキーは操作しにくく、携帯電話からWeb安否情報システムを利用することが難しい。そのため、視覚障害者や高齢者にとって使いやすい携帯電話用安否情報システムが必要である。  そこで、本研究では視覚障害者や高齢者が、携帯電話から安否情報の登録を最小限のボタン操作で可能なユニバーサルな安否情報登録システムを開発する。本システムでは、クライアントプログラムをiアプリとして開発する。クライアントプログラムは、視覚障害者向けに、音声ガイダンスの機能を備える。聴覚障害者の利用も考慮し、文字でのガイダンス情報も表示する。また、高齢者向けに文字を大きめに見やすく表示する機能を備える。非常時に利用者が本システムのiアプリをダウンロードするとき、予めユーザ確認情報の入力を促す。そのときに視覚障害者は健常者の助けを必要とするが、最初にユーザ登録を行うことでそれ以降のユーザ認証と個人情報の入力の手間を省き、視覚障害者一人で最小限のボタン操作でシステムの利用を可能にする。災害時の安否情報の入力は、音声ガイダンスに従って現在の健康状態を選択する、所在地は携帯電話の位置情報取得機能を使い現在地の取得を行うことでユーザからの入力は最小限にする。また、既存の安否情報システムを変更せずに、クライアントプログラムから安否情報を登録できるような汎用性を持たせるために、新たに中継サーバも構築する。  本システムでは、視覚障害者がiアプリをダウンロードするときのユーザ登録に健常者の助けを必要とするので、今後はユーザ情報の入力を視覚障害者一人で入力可能なシステムにすることを検討する。今後の課題として、視覚障害者、聴覚障害者や高齢者に実際に利用してもらい、システムの評価を行うことが挙げられる。

5D-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名無線センサネットワークの災害現場への適用に関する考察
著者*爰川 知宏, 小橋 喜嗣 (NTTサービスインテグレーション基盤研究所), 鄭 懿, 峰野 博史, 陳 恵芳 (静岡大学情報学部), 水野 忠則 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 984 - 990
Keyword無線センサネットワーク, 災害対策, 社会システム
Abstract無線センサネットワークの災害現場への適用について,要求条件の整理を行った.災害時の初動体制として重要な,災害発生後3日間での適用に焦点を当て,実際に適用した場合に想定される要件を,過去の災害対応の教訓などをもとに5つの観点で明らかにした.センサのライフタイムを伸ばす観点から,ネットワーク構成方法に着目し,改良型LEACHプロトコルをベースとした通信処理の効率化アプローチを提案し,その有効性について基礎評価を実施した.

5D-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名加速度情報を用いた常時携帯型機器の地震識別に関する研究
著者*吉田 雄紀, 張 正義, 湯瀬 裕昭 (静岡県立大学大学院経営情報学研究科)
Pagepp. 991 - 996
Keyword災害情報システム, 加速度センサ, 地震
Abstract 日本は地震大国といわれるほど地震が多く、常にその脅威にさらされている。そのため、災害時に利用される救助ロボットや災害情報システムが多く開発・研究されている。災害情報システムには、被災者が自分の安否や被災状況などを親族や知り合いに伝えるための災害用伝言ダイヤルや、複数の被災者から被災情報を集めてハザードマップを作成し救助や避難に役立てる災害ハザードマップ、地域ごとに掲示板を設置して被災状況、避難場所、集合場所の告知などに利用する災害時連絡用掲示板などがある。  新潟県中越沖地震では、災害用伝言ダイヤルは運用されその成果をあげている。しかし、災害用伝言ダイヤルや災害時連絡用掲示板は適当な携帯端末から被災者自らの安否情報や避難場所などを録音、書き込みする必要がある。また、災害ハザードマップも被災者からの被災情報の提供がない限り被災状況の把握ができずハザードマップとしての役割を果たさない。このように災害情報システムの多くは、通信インフラが正常に動作していることが前提となっており、被災者や被災者の知人はパソコンや携帯端末を使ってサーバと通信する必要がある。そのため、被災者が怪我を負って機器を操作できない場合や気を失っている場合などにはシステムは利用できない。また、通信インフラが災害によって破壊されてしまった場合、被災者はパソコンや携帯端末を使ってサーバと通信できず、災害時の避難や救助活動の助けにならず本来の機能を果たさない。今までの地震では、大きく通信インフラが破壊されたこともなく、現在の通信インフラは想定しうる震度では破壊されることはないといわれている。しかし、何らかの要因が重なり通信インフラが破壊される場合や山村など通信インフラの整備がもともと整っていない地域では、既存の災害情報システムが利用できない。  そこで、本研究では災害時に被災者の操作を必要とせず通信インフラにも依存しない人命救助に役立つシステム構築のための基礎研究として、人が3次元加速度センサを持った状態での3次元加速度の解析を行う。本研究では、民製機器に搭載されている3次元加速度センサを用いて加速度情報の取得を行うシステムの構築を行う。本システムは、3次元加速度センサからの3次元加速度情報と傾き情報をBluetoothを利用して取得、蓄積する。また、3次元加速度センサの傾きや振幅の状況を3次元画像データとして逐次表示することで3次元加速度センサがどういう状況にあるかを視覚的に理解しやすい機能を追加する。  3次元加速度測定のために、人が3次元加速度センサを携帯した状態で本システムを利用して様々な環境下で加速度の測定を行う。3次元加速度センサを携帯して歩行している場合、走行している場合、自動二輪に乗車している場合、自動四輪に乗車している場合など一般の生活環境下で加速度の変化が見込まれる環境と擬似的に地震を再現する起震装置内で3次元加速度センサを携帯して加速度データの測定を行う。実験結果から通常の環境下と起震環境下との加速度の比較を行う。  本研究では、3次元加速度データ取得、保存のためのプログラムを作成し、人が3次元加速度センサを携帯した状態での一般生活下と地震時の加速度データの取得を行い、地震の識別を試みた。今後は、多くの人が常に持ち歩いていると考えられる携帯端末上で災害を検知した後の携帯端末単独での救助要請を行うシステムについて研究開発を行っていく。特に阪神淡路大震災では、救助やマスコミのヘリコプタの飛行音によって瓦礫の下敷きになった人の助けを求める声を聞き取ることができず救助の妨げになり、ヘリコプタの飛行を制限するサイレントタイムの設置が提案されている。そこで、被災者が動けないまたは意識を失い自発的に救助要請や第三者への連絡ができない場合に、サイレントタイム時に音を発して救助者に対して携帯端末自身が救助を求めることができる機能などについて検討する。

5D-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名地方自治体における災害対応管理WebGISシステムの構築とその有効性の検討
著者*浅野 俊幸 ((独)海洋研究開発機構/横浜国立大学大学院 環境情報研究院), 天見 正和 (株式会社ドーコン), 佐土原 聡 (横浜国立大学大学院 環境情報研究院)
Pagepp. 997 - 1002
Keyword防災, 情報システム, WebGIS
Abstract 独立行政法人 防災科学技術研究所・地震防災フロンティア研究センター・川崎ラボラトリーは,平成16年度から文部科学省の重点課題解決型研究プロジェクトの研究プロジェクト「危機管理対応情報共有技術による減災対策」の研究を行っている.本稿で紹介する研究は,本プロジェクトの一環として行なわれたものである.  日本中を震憾させた阪神・淡路大震災から12年が経過した.震災を引き起こした兵庫県 南部地震が発生したのは,1995年1月17日早朝.この地震では地震直後の死者が5,500人,負傷者が4万数千人という大変な被害が生じてしまった.  震災の被害が著しく大きくなった理由はいくつもあるが,その一つとして,被災者の救出や消防活動の前提となる被害情報の収集と伝達が大幅に遅れ,それが犠牲者の増加につながったという事実は否定できないだろう.適切な救出活動や消防活動を行うためには,地震の被害がどのくらいの規模なのか,どこにどのような被害が出たのかを大まかでもいいからすばやく把握して,それらの情報を他の機関に迅速に伝えることが必要だが,この震災では肝心の情報収集・伝達がままならず,その結果,大規模な初動態勢を発動することができなかったのである.  そこで,震災後,国やいくつかの地方自治体では,震災の経験をふまえ,膨大な費用を かけて,新たな防災情報システムの構築や,災害情報の内容の改善に着手した.なかでも,地震初期にすばやく被害状況を予測し,防災関係機関の初動態勢を迅速に立ち上げるためのシステムの開発がひろく行われた.  これまでの情報システムは災害予測を行うものがほとんどであり,災害直後での有効な情報共有を考慮したものは少ない.また,自治体に導入された防災情報システムは,クライアント/サーバ・システムやWebシステム等の一極集中的なシステムが導入されている.災害時という劣悪なIT環境を考慮すると一極で情報を管理する事は望ましくない.しかし,Webシステムであれば,ネットワークに接続できる環境であれば,離れたところからの操作も可能であり,管理が複雑でない・費用も比較的安いなどメリットがある.そこで,近年では多くの自治体に導入され始めている.災害時の劣悪なIT環境での一極集中的なシステムでは,アクセス集中によるレスポンスの遅れや,GIS機能を持つことによるサーバの負荷が問題視され,実際の災害対応で使えるかどうか疑問である.これまで自治体に導入されたWebタイプの防災情報システムでは,その管理組織の特徴から有効性の評価は外部には漏れてこない.  そこで本稿では,災害直後に情報共有することが可能な災害対応管理WebGISシステムを構築し,その有効性を評価した.この評価は,数回にわたる大規模な災害対応を実施・経験した自治体の協力を得て,大規模な実証実験を行ない,その結果に基づいたものである.


セッション 5E  ユビキタス情報処理4(UBI)
日時: 2007年7月5日(木) 10:20 - 12:30
部屋: 鶴・亀
座長: 井上 創造 (九州大学)

5E-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名電気特性と赤外線信号を併用した高精度な既存家電の状態推定手法
著者*栗山 央 (静岡大学創造科学技術大学院), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 古村 高 (株式会社ルネサスソリューションズ), 水野 忠則 (静岡大学情報学部)
Pagepp. 1003 - 1009
Keywordホームネットワーク, ホームオートメーション, PLC, UPnP
Abstract我々は通信機能を持たない家電製品(以降,既存家電)を用いてホームネットワークを構築するためのデバイスとしてHATを開発した.HATは既存家電に対してネットワークを介した遠隔監視や遠隔制御を達成する.本論文では,新たに消費電気特性と受信赤外線信号情報を併用した高度な状態推定手法の適用を考える.消費電気特性とは既存家電が消費した電力量,電圧量,電流量の組である. 近年,UPnP (Universal Plug&Play) やECHONETなどホームネットワークに関する標準規格の整備や,DLNA (DigitalLiving Network Alliance) 対応家電などそれらの規格に準拠した家電製品の登場により,一般家庭においてもホームネットワークを構築可能な環境が整いつつある.ホームネットワークを構築することで,ネットワークを介したメディアコンテンツの取得や,ホームオートメーションを達成できる. しかしながら,現在家庭内に存在する家電製品の多くは通信機能を有しておらず(以降,通信機能を持たない家電製品を既存家電,通信機能を持つ家電製品を情報家電と呼ぶ),ユーザはホームネットワークを構築するにあたって,既存家電から情報家電へと買い換える必要がある.情報家電への買い替えはユーザにとって金銭的負担となる.また,全ての家電製品が情報家電化されるとは限らず,情報家電化されなかった家電製品はホームネットワークに参加できない. 我々はこの問題を解決するため,Home Applinace Translator(HAT),及びHAT-Control Point (HAT-CP) と呼ばれるデバイスを開発した.HAT 及びHAT-CP は,安価なコストで既存家電をホームネットワークに参加可能にする.HAT 及びHAT-CPを用いたホームネットワークでは,情報家電の購入や新たな通信インフラの敷設,複雑なネットワーク設定等を必要としない.ユーザはHAT 及びHAT-CP を用いることで,安価かつ容易にホームネットワークを構築でき,既存家電や情報家電など家庭内の全てのデバイスに対してホームオートメーションを達成できる. HAT及びHAT-CPは既存家電の消費電気特性及び受信赤外線信号情報を用いて既存家電の状態推定を行なう.消費電気特性を用いた状態推定に関して単一変量を用いた状態推定の他に,新たに多変量解析を応用した状態推定手法を提案し,これを評価した.また消費電気特性を用いた状態推定結果と受信赤外線信号情報を用いた状態推定結果のどちらを優先すべきかといった問題に対しても解決を図り,その結果を評価した.本論文では,多変量解析を応用した状態推定手法が従来手法より優れていることを示すと共に,消費電気特性と受信赤外線信号情報を併用することで,既存方式よりも高精度に既存家電の状態推定が可能なことを示す.

5E-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名幼児施設における保護者参加型子ども見守りシステムの活用に関する一考察
著者*河田 博昭 (NTT), 高野 陽介 (NEC), 岩田 義行, 金丸 直義, 下倉 健一朗 (NTT), 藤田 善弘 (NEC)
Pagepp. 1010 - 1013
Keyword子どもの見守り, ロボット, 携帯電話
Abstract近年の生活スタイルの変化により、核家族化や、両保護者が共に就業する割合が高まっている。この割合は、今後も高くなっていくことが予想されている。この様な背景で、現在の育児は、保護者と保育士との協力が不可欠なものとなる場面が多く見られ、育児支援対策の拡充が求められている。 従来、保護者が子どもを幼児施設へ預けると、幼児施設での保育活動は保育士へすべて委任することとなった。幼児施設での様子は、保育士からの連絡帳や、登降園時の短時間での会話で伝えられるだけであった。そのため、幼児施設からの情報提供に関して、情報通信技術の活用が試みられている。 保護者と保育士との協力をサポートするシステムとして、従来の連絡帳をデジタル化する試みが研究されている。保育士が撮影したデジタル画像を活用しつつ、オンデマンドでの連絡帳配信をインターネット経由で実現している。配信回数の増加による保育士の負担を、データベース化されたテンプレートを用いることで軽減しており、保護者と保育士間における情報共有ツールとして、有効な試みである。遠隔の保護者が子どもの様子を確認することを可能とする試みとして、保育園へWebカメラを設置しインターネット経由で園内の様子を配信する試みが行われている。保護者が子どもの様子を直に確認できることは、子どもの安全や保護者の安心感を向上させる上で有効な試みである。子どもの活動を確認することで、その後の親子間での会話も活性化することが予想される。しかし、子どもの様子を断片的に視聴することにより、保護者の不安を増幅させる可能性がある点などが懸念されている。 安心、安全で、より質の高い育児を実現するためには、保育施設側と子どもとのコミュニケーションやふれ合い方を支援することや、保護者の保育活動への参加を促すことも必要であると考えられている。将来的には保護者と保育士の協力をサポートするだけではなく、保護者と子どもとの係わり合いを支援するシステムが求められると、我々は考える。 一方で、ロボットの高度化が進み、社会的ニーズを満たすレベルに達してきている。ロボットによるチャイルドケアの実験は近年多く実施されており、ロボットの存在が子どもたちに及ぼす効果が研究されている。 今回、我々は、保護者と保育士の協力と保護者と子どもとの係わり合いとを支援するシステムとして、チャイルドケアロボットを活用し、幼児施設におけるケア・知育・遊びに、遠隔に居る保護者がネットワーク経由で関与する方式を提案する。その実現例として、保護者参加型子ども見守りシステム「メルロボ連絡帳」を開発した。情報機器の配置が難しい幼児施設において、チャイルドケアロボットは子どもや保育中の保育士にとって親和性の高いデバイスである。保護者が、ネットワーク経由でチャイルドケアロボットへ希望を伝えられることにより、保護者の希望を、保育士や子どもへスムーズに伝達することが可能になると考える。 保護者参加型子ども見守りシステム「メルロボ連絡帳」では、遠隔地の保護者は携帯電話、ノートPCなどでメールの利用や、Web閲覧を可能とする環境であるとする。幼児施設へパーソナルロボット パペロを、ネットワーク上へパペロと携帯電話を結ぶ「ActionSwitchプラットフォー ム(AcSP)」を配置する。本システムは、NTT、NECが共同実験において開発したものであり、「ActionSwitchプラットフォー ム(AcSP)」はNTTが試作開発し、「パーソナルロボット パペロ」はNECが試作開発したものである。 本システムは、2つの機能、「メルロボ」と「ロボ連絡帳」を提供することを可能としている。以降、この2つの機能に関して紹介する。 メルロボは、保護者からの電子メールの内容に応じて、パペロが見守り動作を行うことで、幼児施設への保護者の参加と、子どもの状況確認とを実現する機能である。メルロボは、子どもの見守り動作一般を意図したアプリケーションであるが、今回の実験では特に、子どもとの遊びをサポートする機能を実現した。 ロボ連絡帳は、AcSP上に蓄積される、パペロのカメラより取得されている画像データを活用することで、保護者と保育士間での情報共有の実現を目的とした機能である。本機能の特徴として、保育士が、画像データの取得タイミングをパペロへ指示することを可能としており、パペロと遊ぶ子どもの意図するシーンをスムーズに共有することが可能となっている。 本報告では,本システムを幼児施設へ持参し,6組の親子に利用してもらった結果に関して報告を行なう.幼児施設における提案システムの活用事例や,保護者や保育士から得たシステムに関する評価に関して報告し,本システムの今後の改良に関して考察を行なう.

5E-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名自由筆記手書き入力での仮名漢字変換指定と誤認識訂正併用インタフェースの設計
著者*櫻田 武嗣, 織田 英人, 萩原 洋一, 中川 正樹 (東京農工大学)
Pagepp. 1014 - 1019
Keywordペン入力, 日本語変換, インタフェース
Abstract 本論文は、漢字入力のための枠なし自由筆記のインタフェースについて述べる。ペン入力PDAの普及や、電子インタラクティブホワイトボードの売り上げの拡大、マイクロソフト社のタブレットPCの出荷などにより、ペンベースのインタフェースは、人々の注目を再び集めている。特に最近は任天堂のNintendo DSが発売され、ペンインタフェースを使ったゲームが人気である。  ペン入力はいくつかの利点がある。大きな場所をとらない点、使うのにトレーニングを要しない点、インタラクティブホワイトボードへのペン入力は聴衆の注意を簡単に引きつけることができる点である。人々はどうやって使うのかを考えることなく、彼ら自信のアイデアを表現したり、注釈をつけたりすることができ、考えは書く動作によって邪魔されることは少ない。  しかし、現在使われている手書き文字入力には問題がある。問題の一つは、手書き認識エンジンが誤認識をしてしまうこと、もう一つの問題は文字の入力枠があって、1文字ずつ入力しなくてはならず、入力しづらいことである。現在の手書き文字認識はユーザが入力したかった文字と認識された文字が違う誤認識が起こる。また、これまでの日本語の手書き文字認識は枠の中に文字を書かせるものであった。枠があることで、文字の区切りが分かり、認識率は向上するが、枠の中に納める必要があり、ユーザに負担をかけるものであった。  他方でユーザ側の問題もある。難しい漢字は読めるが書けないという問題、漢字をど忘れしてしまうという問題である。漢字を書くことができなければ、これまでの手書き文字認識エンジンではその文字を入力することができなかった。  枠なし手書き文字認識により、ユーザは記入枠を気にすることなく、自由に紙とペンを用いたように自然に文字を入力する事が可能である。しかしながら現状ではどうしても誤認識が起こるため、その訂正作業が必要となる。我々はこれまで枠なし手書き文字認識における誤認識を簡便に訂正し、スムーズな文字入力を行えるようにすることを目的とした誤認識訂正インタフェースについて研究を行ってきた。このインタフェースを使うことで、誤認識の訂正は簡単になる。しかし、ユーザが最初に入力したかった文字である保証はない。なぜならば、ユーザが本当は入力したかった文字が書けず、別の文字を入力することがあるからである。特に漢字が書けない場合に、仮名文字で代用することがある。仮名文字から漢字への変換は、キーボード入力の場合、仮名漢字変換を使ってできる。しかしながら、手書き入力ではその方法が無いのが現状である。  我々は以前、NHK(日本放送協会)の番組の実験に協力した。その番組の中で、読める字と正しく書ける字は違うということを確認している。キーボード入力の場合は、前述のように仮名漢字変換を使えば良いが、漢字を詳細に知っておかなければ、手書き文字認識で入力することができない。ユーザが書けると思っている漢字でも実際には書き順が大幅に違っていたり、線や点が足りないため正確な漢字となっていなかったりする。正確でない文字は、文字認識では認識されないので、ユーザは仕方なく仮名で入力をすることになる。  手書き入力で、漢字が分からない場合に、平仮名で記入しておき、後でゆっくりと仮名漢字変換が出来れば便利である。本論文は、枠なし手書き文字認識において、誤認識の訂正と仮名漢字変換場所の指定を併用できるインタフェースの設計について述べる。本論文で述べるインタフェースを実装すれば、枠なし手書き入力環境においても、思考を妨げない自由な筆記が可能となる。

5E-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名センサー情報を統一的に扱うためのフレームワークの設計と実装
著者*佐藤 龍, 村井 純 (慶應義塾大学 環境情報学部), 南 政樹 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科)
Pagepp. 1020 - 1024
Keywordセンサネットワーク

5E-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名模型をつかったRFIDによるユビキタス実験環境モデルの構築
著者*山田 晴弘, 大西 克実, 中野 秀男 (大阪市立大学大学院創造都市研究科)
Pagepp. 1025 - 1028
Keywordユビキタス, RF-ID, 模型, IT特区
Abstractどこでもコンピュータ環境としてユビキタスコンピューティングは、普及への道を進むべく、各所で実証実験が行われているが、ユビキタスコンピューティングは、そもそもの対象が人間そのものに帰結するため、その装置は大型化せざるを得ない。そのため、実験にあたっては実験装置が大掛かりにならざるを得ず、その構築にかかわる期間や経費がネックとなっていることが多い。そのような中では、多伎にわたる実験内容を効率よく行なうことは極めて難しくなっているといえる。本稿は、その欠点を補いかつ、俯瞰的な見地からより効率的な実験を行なう手段として10分の1スケールのモデルルーム実験環境を構築し、その運営ノウハウを公開するものである。 基本実験モジュールとして、運搬可能なトランクの中にRF-IDをキーデバイスとしてサーバー連携を行う実証環境であり、基本機能として大型ディスプレイの制御、ドアセキュリティ、TV電話等が連係動作を目指す。  一般的に、ユビキタスコンピューティングの実証としては、「断片的な実機モデル」を構築するか、コンピューター上の仮想空間にてバーチャルなシミュレーションを行なうかどちらかを選択することになる。  これまでのユビキタス実験は、研究室内にセンサーやワイヤーを張り巡らし仮設の実験環境を構築することがせいぜいであったため、マンション一室をまるごと実験環境とした「ユビキタスホーム実験」はその点では革新的であるが、いかんせんその費用もけた違いであり、再検証なども簡単に行なうことは難しい。 しかし、実験装置は大きくとも、コンピュータやセンサーは技術の進歩により小型化が進められている。コンピュータは高速に、記憶容量はより広大に、各種無線デバイスも小型化が著しく、実験対象と機器の大きさのギャップは開く一方なのが実情である。   一方で、バーチャルなシミュレーションの分野においては、再現できる事象が全てあらかじめプログラム可能な既知の事実になるため、アクシデントといった突発的な事象を把握することは困難である。 このようなミスマッチを解決するには、人間の大きさを小さくすることであり、ユビキタス実証実験環境を効率よく安価に求める手段としてミニュチュアモデルを使うことがふさわしい。 橋梁土木や航空機風洞実験では模型実験は一般的である。現在ではヴァーチャルなコンピュータシミュレーションに取って代わられた感もあるが、モデリング理論が確立するまでは、まだまだ模型が有効であり最終的な追試として模型実験を行うことも多い。  特に、今回はRD-IDを用いたが、使用する電波は免許の不要な微弱無線を使用し、人間を対象とした実験装置では1mの到達距離が必要となる場合も、10分の1スケールであれば100mmで有効となる。また、無線装置は実験である以上、アンテナ形状や位置等を頻繁に累犯に変更する必要も生じるが、この点でも無線免許が不要であることは極めて有利であり、実験の柔軟性を広げることに繋がる。  また、将来的には家やオフィスといった閉じた部屋から、ビルそのもの、まち全体にまでネットワークを拡張していくことが検討されている。そのような中での実証実験は装置の設置・運用また撤去といった作業工程にかかる人的経費は極めて大きい。この分野でも模型を活用した実証実験環境の構築と効率的な実験手法の確立は有用であると考える。いうまでもなく、ユビキタスコンピューティングの世界は、今後ますます大規模になっていく。従来の部屋や家ではなく、ビル丸ごと 街ごと全部など、スケールはさらに大きくなる。すでに、道案内システムや弱視者サポートシステムなどの実証実験が国土交通省の助成等により行なわれている。  それはすなわち、事前調査の費用も爆発的に増加する事を意味している。しかし、ユビキタス社会は人が直に触れることを前提としていれる以上、その検証は極めて慎重に行なわなければならない。一方でその実証実験環境の構築には莫大な費用が予想されるとともに構築期間や、住民周知や広報といった間接費用も大きなウエイトをしめることになる。  今回は10分の1のスケールにて実験を行なったが、今後の展開としては 64分の1や100分の1などの大縮尺模型での実験も想定できる。本稿の実験内容を発展させれば、研究室の一角で ユビキタスビルの検証も行なうことが出来るわけである。


セッション 5F  遠隔教育(GN)
日時: 2007年7月5日(木) 10:20 - 12:30
部屋: 展望サロンA
座長: 岡本 昌之 (東芝)

5F-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名Side-by-Side Meeting: 非対称な環境を用いた遠隔作業支援
著者*飯塚 裕一 (名古屋大学情報科学研究科), 河口 信夫 (名古屋大学工学研究科)
Pagepp. 1029 - 1033
Keyword遠隔作業

5F-2
題名異なる学習集団の学生が協調的に作問可能なe-Learningシステム
著者*高木 正則 (創価大学/工学部), 光國 正明, 勅使河原 可海 (創価大学大学院/工学研究科)
Pagepp. 1034 - 1039
Keyworde-Learning, 非同期協調学習, 作問演習, 相互評価, オンラインテスト
Abstract我々はこれまで学生が協調に作問可能なWBTシステム「CollabTest」を開発し,大学などで利用実験を実施してきた.その結果,本システムがe-Learningのコンテンツ不足と同期対面型講義における教師‐学生間ならびに学生同士のインタラクティブ性の欠如の改善に十分寄与できることが示された.一方,近年ではTim O’Reillyによって提唱されたWeb2.0が注目を集めている.CollabTestもWeb2.0的な要素を含むe-Learningシステムであるといえるが,WebをプラットフォームとしているWeb2.0とは異なっていた.そこで,我々はシステムの利用環境をWeb上の非同期分散環境へと拡大するより,システムの新たな利用価値を検討した.本稿では,非同期分散環境での利用形態の第一段階として,複数の学習集団の学生が非同期環境で協調的に作問可能なe-Learningシステムについて述べる.

5F-3 (時間: 10:45 - 11:10)
題名クライアント単独で利用時間および入力時間を厳密に管理できるデジタルコンテンツ配信・送信システムの提案
著者*五百蔵 重典 (神奈川工科大学), 古井 陽之助 (九州産業大学), 速水 治夫 (神奈川工科大学)
Pagepp. 1040 - 1043
KeywordDigital Rights Management, ICカード, 利用期間
Abstract1. はじめに コンピュータおよびネットワークの発展に伴い,コンピュータを利用した資格認定試験が増えてきている.しかし受験状況の管理・監督に厳密性が要求される入学試験などの試験ではまだ利用されていない.このような試験においてコンピュータを利用するには,受験生に同一の問題を時間差なく確実に配布し,かつ定められた時間内でのみ解答を許可しなければならないという課題がある. 一方,我々はデジタルコンテンツを図書館的に共同利用するシステム(以下,図書館システム)を提案した[1].図書館システムを使うと,クライアントに暗号化したデジタルコンテンツを配信することができ,特定のユーザにのみその利用を許可する.また,クライアントは利用期限切れを判定するためにネットワークに接続する必要がなく,利用時間をクライアント環境のみで正確に管理できる. 本論文では図書館システムに基づき,試験問題の配信および解答時間の管理に利用できる新たなシステムを提案する.本提案システムを使うと,試験開始前にネットワーク経由で試験問題をデジタルコンテンツとして配布し,ネットワーク障害による遅延・不達・データ化けにも事前に対処することができる.さらに,試験問題の閲覧時間および入力時間を厳密に管理することもできる. 2. システムの提案  提案システムを述べる前に,提案システムの元になった図書館システムの概要を述べ,その後提案システムについて述べる. 2.1 図書館システム  我々が開発中の図書館システムは,デジタルコンテンツを対象とする図書館的共同利用サービスを提供するものである.図書館システムはデジタルコンテンツの二次原本とN人分の同時閲覧利用権を所有し,ネットワークを通して,同時に最大N人に,貸出期間付きで閲覧させる.閲覧は,デジタルコンテンツはクライアントコンピュータにダウンロードして行う.通常の書籍と同様,貸し出し期限内では,スタンドアローンでの閲覧(持ち運び:PC)が可能である.貸出期間終了後は,利用権が消滅し閲覧できなくなる.  図書館的共同利用サービスを実現するためには,トークンと呼ばれる「PCと接続可能であり,携帯可能な大きさであり,一般ユーザが変更できない時計を内蔵しており,一般ユーザが書き込めない機能」を持つ機器をそれぞれのユーザが所有していると仮定する.トークンのエミュレータは開発済みで,現在は実機を作成中である.図書館システムの構成は,図書館のコンテンツ貸出管理サーバ,ユーザPC,PC上の閲覧ソフト,およびトークンである. 図書館システムの特徴として,ネットワークを経由してコンテンツをダウンロードするが,ネットワークから切り離された状態でも使用することを前提として,図書館からの貸し出し数と返却数を管理し同時利用数を一定数以内にする方式であること.特に,貸出期間を経過するとコンテンツが閲覧できなくなる点が図書館システムの特色である. 2.1 提案システム  提案システムの動作を,学力試験での利用を想定して述べる.まず図書館システムと同様にデジタルコンテンツの利用権を取得する.利用権には,利用期限,コンテンツ暗号化鍵,デジタルコンテンツの署名が含まれており,トークン内の保護領域に書き込まれる.試験のアナロジーでは利用権は受験票に該当している.受験者または会場設置者は暗号化された試験問題を試験時間前にダウンロードすることができる.受験者は,ビューアを使って試験問題が正常にダウンロードされているか確認することができる.ビューアは試験問題が正常にダウンロードされているかを,トークン内に保存された試験問題の署名を使って確認する. 試験問題はビューアを通してのみ見ることができるが,ビューアはトークンと一定間隔で通信を行い,利用期間内でしか復号化して閲覧することができないように制限される.ユーザの入力は,一定間隔でトークンに保存され,利用期間が過ぎると,ユーザ入力は不可能になる.そしてユーザの入力は,入力終了時刻と共に暗号化されトークン内に保存される.暗号化されたコンテンツは,サーバへ送られる. 2.1.1 提案システムの特徴 本提案システムでは,コンテンツが利用期間前に配信可能だが,利用期間前では閲覧できず,コンテンツが正常にダウンロードできたかを確認する機能が備えられている.この機能により,利用可能開始時間前にコンテンツの配信および整合性の確認ができるため,トラブルの中で最も想定されるネットワーク障害による問題配布の遅延および不達を防ぐことができる. 図書館システムで作成したトークンを用いることで,クライアント環境のみでの厳密な時間管理,および不正なユーザからの時計の保護は実現できていた.しかし,図書館システムではコンテンツの貸し出し期限は1日単位であるため,それ程利用時間を厳密に管理していなかった.特に利用開始時間は管理しておらず,利用権を得るとすぐに利用可能であった.本提案システムでは,ビューアはトークンと一定間隔で通信を行うことで,利用時間を厳密に管理することができるようになっている. 本提案システムには,図書館システムにはない入力機能が備えられている.ユーザ入力は一定間隔でトークンに保存されることで,PCのフリーズなどの障害に耐えるようになっている.また利用期限内でのみ入力が可能で,利用期間終了時には最終入力時間と共に入力データを暗号化する.この機能により,期限内にユーザ入力されことを保障している. サーバに送信するユーザ入力は,最終入力時間が添えられているので,書き込み時間が保証されている.そのため,ネットワークの不調などにより,解答の送信の遅れが発生したときも,期限内に書き込まれたことを保障できる. 3. 提案システムの実装  スタンドアローンで閲覧可能で,貸出期間を終了するとコンテンツが閲覧できなくなる機能を実現するためには,クライアント側の耐タンパー性と時間管理機能が求められる.クライアント側に耐タンパー性を持たせるために現在試作中の時間管理機能を保持しているICカード(トークン)を用いて本システムを実装する.しかし時間管理機能付きICカードは存在しないため,図書館システムで作成済みの時間管理機能付きICカードのエミュレーション環境を用いて,本提案システムを構築した. 4 評価・今後の課題・まとめ  試験問題の配信および解答時間の管理はできたが,身代わり受験などを防ぐことはできない.そのため自宅受験はできず,試験監督がいる所定の会場で試験を受けなくてはいけないのは従来のコンピュータを用いた資格試験などと同じである. 利用時間および入力時間を保証したデジタルコンテンツ配布・送信サービスのプロトコルが実用的であるかを確認するためのシステムを作成し,本システムの目的を十分果たすことを確認した.加えて,本システムは時間を厳密に管理するために,図書館システムよりもICカードに求められる要求が厳しい.そこで時間管理機能つきICカードエミューレータを用いて,本提案で要求される要求を実測し,実機を作る際の参考データを集めた.  本システムは構成を若干変更することによって,時間管理を厳密に要求される用途で,タトエバ電子入札などでも利用可能であると思われる.

5F-4 (時間: 11:10 - 11:35)
題名オンライン講義におけるノートテイク高速化のためのテキスト入力支援システム
著者*井上 亮文, 小高 正道, 市村 哲 (東京工科大学 コンピュータサイエンス学部)
Pagepp. 1044 - 1049
Keyword教育システム, 入力支援
Abstract現代の大学等における講義は,パワーポイントに代表される電子プレゼンテー ションが主流である.電子プレゼンテーションでは,板書と比べて見やすい講 義資料を提供できる.しかし,講師は事前に用意した資料をクリックで切り替 えるだけでよいため,同じ内容を講義する場合でも板書に比べて進行が速くな る傾向があり,学生が内容をノートに書き留めることが困難である.そこで多 くの講師は,講義資料をネット上で公開し,講義の前後で受講者が自由に参照 できるようにしている. また,学生のノートテイクの方法にも変化が生じている.紙のノートではなく ノートPCで講義資料を開き,講師が話した補足説明や重要事項をテキストエディ タで入力するというスタイルが定着しつつある.この場合,講師が話した内容を, 正確かつ高速に記録する必要がある. 予測入力システムは,キーボードによる日本語入力を高速化するため,変換の 候補を自動的にリストアップするシステムである.例えば「いん」と入力する と,「インターネット」「インターンシップ」など候補のリストが現れ,その 候補の中から選択することで入力が保管される. POBoxは携帯電話の予測入力システムとして知られており,あらかじめ用意され た辞書やユーザの利用履歴から候補を推定していく.Nanashiki や Kukura は,編集中の文書や,閲覧したことのあるWebページの内容に基づいて優先候補 を出力するものであり,やはりユーザ自身の履歴に基づいて候補を推定する. しかし,講義資料は要点だけを抜粋して書いてあることが多い.講師はスライ ドには書いていない単語や専門用語を駆使しながら,この要点を説明すること が多い.事前に用意した辞書や利用履歴に基づく予測だけでは,このような単 語を適切な候補として推薦することはできない. そこで本論文では,講義資料や講義で用いるインターネット情報を参照して適 切な日本語変換候補を出力することで,講義中のメモを高速に入力可能にする システムCaIMEを提案する. ユーザーはCaIME を使い,講義資料(PPTファイル)を1つまたは複数選択する. この時システムは,ユーザによって選択されたPPT ファイルをネットワーク経 由で取得し,この中に記述されたテキストの抽出を行なう.次にシステムは, テキストを形態素解析をして講義資料から名詞を抽出すると共に,正規表現を 用いたパターンマッチによりテキストからURLを抽出する. 抽出された名詞は,優先候補語句としてIMEの変換辞書に即座に登録される.一 方,URL については,URL のリンク先ホームページのコンテンツをインターネッ ト経由で取得し,そのコンテンツから抽出した名詞を優先候補語句として変換 辞書に登録するようになっている.講義資料からURL を抽出する理由は,講師 が準備や講義資料作成の際に参考にしたページであることが多く,講義資料に 書かれていない専門用語を講師が発話した場合にでもシステムが対応できる可 能性が高いためである. 以上のように講義資料から抽出された名詞とURLに基づき変換候補語句を辞書登 録することにより,講義で使われる可能性の高い用語が日本語変換候補の上位 に現れるようになっている. 実験の結果,単語ごとに短く変換する場合は,講義で使われる用語が上位にく る場合が多く,使いやすいという結果を得た.長文ごとで変換する場合は,変 換回数が増える傾向が見られた.被験者の全体の感想として講義に関連する用 語が上位変換候補に出てくることが多くなることで入力支援を行うことが確認 出来た. 今後の課題としては,PPT以外のファイル形式に対応すること,ユーザの変換 スタイルに応じて登録する読み仮名の長さを可変にすることがあげられる.

5F-5 (時間: 11:35 - 12:00)
題名プログラム概念からPERL言語までを学ぶ遠隔教育システム
著者*吉田 幸二, 川崎 陽亮, 松浦 智史, 坂下 善彦 (湘南工科大学/情報工学科), 宮地 功 (岡山理科大学/総合情報学部情報科学科), 市村 洋 (サレジオ高専/専攻科)
Pagepp. 1050 - 1054
Keyworde-learning, 遠隔教育, ソフトウエア工学, プログラミング, インターネット
Abstract1.概要  近年,プログラム概念が理解できていない学生が増えてきている。こうした中で、ソフトウェアの開発は複雑で大規模なものになってきている,学生はソフトウェア工学における仕様の決定からプログラミングまでを体系的に学ぶ必要がある。そこで、プログラムの基本概念からプログラミングまでを学べる遠隔教育システムがあれば良いと考えた。  本システムは、まず、プログラム概念学習から設計イメージを把握する。この設計は、プログラム初心者でも簡単にイメージ的図形を配置することにより体験できる。そして、それを実行することにより、図形が画面上で動作でき確認できる。次に、プログラミングの実体験を実践する。Web上で、Perl言語の基本を学習した後、単純なプログラムの作成から、複雑なプログラムの組み合わせまでを学ぶ。ここでは、Perl言語を使用しているため、Web上でシームレスにプログラムの拡張や接続が容易なため、その作成と実行及びデバッグが容易に可能である。また、自己学習の進度やランキングもあるので学習者のモチベーションの持続にも配慮している。 2.機能概要 (1)プログラム概念学習  利用者に対してプログラムの設計を行えるインターフェイスと、設計されたプログラムを読み込み、図形描画を用いて実行結果を表示するインターフェイスをアプリケーションにて提供する。アプリケーションはjava言語にて実装した。プログラムの設計および実行を行うアプリケーションでは、操作性と使いやすさを考慮してGUIにて提供する。プログラム内容はLogo言語的なオブジェクトを相対座標にて操作し、グラフィックスの描画を行うものであり、実行を行ったシミュレーションの動作が理解しやすいようにアニメーションを用いて表示する方法を採用した。 プログラムの設計方法は対象者をプログラムの知識を持たない者としていることから、言語を用いず、命令を持たせたブロック(命令ブロック)を組み合わせることで行う。 (2)Perl言語学習機能 機能を大きく2つに分けると学習支援機能とPerl言語学習機能があるPerl言語学習機能ではPerl言語の解説、Perlに関するクイズ、Perl言語プログラム作成機能を持っている。学習支援機能ではユーザアカウントの登録や削除などのアカウント管理機能、ファイルの管理機能、ユーザが学習した記録を分析する機能がある。 ユーザ認証して本システムのPerl言語学習機能を学習する。このシステムで作成したプログラムはサーバ上に保存されているのでいつでも実行確認する事が出来る。言語学習促進機能としてユーザが行ったクイズやPerl言語プログラム作成の正答率や成功率を集計しグラフ化することで学習者が今どこまで学習できているかを確認できる機能がある。 3.まとめ  本システムは、プログラムの概念の理解を容易にするために、Logo的な言語仕様によりイメージ的にプログラミングとその結果を図形のシュミレーションにより体験できる。このため、この機能はプログラミングの未経験者や初心者には、プログラム概念習得に有効であった。次に、Perl言語によるプログラミング学習は、個人学習結果の履歴や自己の進捗度も見えるので学習の効果が上がり、モチベーションの持続にもつながった。  一方、C言語との比較があるとより理解しやすい。また、ソフトウエア開発に於けるグループ学習や他人とのコミュニケーションの練習等ができると、実践に役立つという意見もあり、今後は、これらの機能を拡張し総合的なシステムを開発して行く。

上記5F-2の講演は発表セッションを3Fに変更しました。


セッション 5G  分散処理・グリッド2(DPS)
日時: 2007年7月5日(木) 10:20 - 12:30
部屋: 展望サロンB
座長: 上原 稔 (東洋大学)

5G-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名並列相関関係抽出実行時のIP-SAN統合型PCクラスタの特性評価
著者*原 明日香, 神坂 紀久子, 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1055 - 1058
KeywordPCクラスタ
Abstract近年,発達する情報化社会では,データの蓄積と運用が非常に重要になってきている。また,情報システムにおいて処理されるデータ量が膨大になってきている。ユーザにとって重要なデータが蓄積されているにも関わらず,使いこなせていない場合が少なくない。そこでデータマイニングの中で,膨大なデータから有益な規則や関係を抽出する相関関係抽出に注目した。相関関係抽出のためのアルゴリズムとして代表的なものに,AprioriアルゴリズムとFP-growthアルゴリズムがある。Aprioriアルゴリズムは候補アイテムセットから頻出アイテムセットを抽出するという動作を繰り返していくもので,候補アイテムセットを格納するために大容量のメモリが必要となる,何度も繰り返しデータベースをスキャンする可能性があるといった問題が生じる。それに対しFP-growthアルゴリズムは巨大なトランザクションデータベースから相関関係抽出に必要な情報をコンパクトに圧縮したデータ構造であるFP-treeを利用することにより,候補パターンを抽出することで,Aprioriアルゴリズムの問題点を解決したアルゴリズムである。しかしいずれのアルゴリズムにおいても,パラメータの条件によっては相関関係抽出における計算量,データ処理量は非常に多くなるため,並列化が不可欠となる。各ノードが独立して動作するCPU,メモリ,二次記憶を保有し,ノードが必要に応じてネットワークを介し互いに通信することで全体として並列分散処理を実現する分散メモリ型並列計算機において,各ノードに汎用のパーソナルコンピュータとネットワークを用いたものをPCクラスタという。通常PCクラスタはノード間通信を行うFront-endはLAN,ストレージアクセスを行うBack-endはSANでネットワーク接続されている。そこで本研究室では,ネットワーク構築コストと管理コストの削減を目指し,Front-endとBack-endのネットワークを同じIPネットワークに統合したIP-SAN統合型PCクラスタの実現を考え,構築した。このIP-SAN統合型PCクラスタ上で2つのアルゴリズムを実行するためにはそれらのアルゴリズムを並列化しなければならない。PCクラスタ上などの環境においてマイニング処理を実行する並列相関関係抽出の研究は多数行われている。その中でAprioriをベースとした並列相関関係抽出のためのアルゴリズムはいくつか提案されているが,本研究ではハッシュ関数を使用してAprioriを並列化するHPA(Hash Partitioned Apriori)を用い,FP-growthの並列相関関係抽出アルゴリズムはHPAを元に行われた既存研究で提案されたPFP(Parallelized FP-growth)を用いる。HPAアルゴリズムとPFPアルゴリズムをローカルデバイスを用いたPCクラスタ,IP-SAN統合型PCクラスタ,IP-SAN非統合型PCクラスタ上で実行し,実行時間を測定したところFPFアルゴリズムの方が格段に速いということ,どのPCクラスタも同程度の性能であることが分かった。しかし現状の実験環境ではPFPアルゴリズムはマイニングを行うデータ量が非常に大きい場合には処理が実行できなかったため,その原因を解明し,より大規模なデータマイニングを行う。また,実行時間だけでなく,消費メモリ量,ネットワークスループット,CPU使用率などの測定も行い,これらの結果を元にIP-SAN統合型PCクラスタの最適化を行う。

5G-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名教育用端末を利用したHPCクラスタシステムの省電力化手法とその評価
著者*近堂 徹 (広島大学情報メディア教育研究センター)
Pagepp. 1059 - 1064
Keywordグリッド, HPC, 省電力
Abstract近年のネットワークの高速化,パーソナルコンピュータの低価格化などにより,PCクラスタ型のコンピュータが科学技術の分野で多く利用されるようになってきている。特に大学などの研究教育機関では,大規模・数値シミュレーション計算資源への要求も多く,これらを満たすための環境を構築するために様々な試みがなされている。広島大学でも,平成17年度から教育用PC端末の遊休時間を利用し,HPC(High Performance Computing)用の計算資源として活用する環境を構築し,実運用を行っている。その一方で,多数のPCを稼動させることによる電力消費量の増加が問題となっている。これらクラスタを構成するPCは,ジョブの実行状況に関係なく常に稼動させることが必要となるため,状況によっては無駄なアイドリングが生じることになる。そのため,PCクラスタとしての計算性能を維持しつつも省電力を考慮することが望ましい。本稿では,消費電力の削減を目的とした,計算ノードのプロセス実行状況に応じたCPUクロック周波数の動的制御やハードディスクサスペンド制御を取り入れた大規模PCクラスタについて述べ,その有効性について検証する。

5G-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名グリッドコンピューティングにおける科学技術計算を支援するワークフローシステム
著者*増田 慎吾, 池部 実, 藤川 和利, 砂原 秀樹 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1065 - 1073
Keywordグリッド, シミュレーション, ワークフロー, 試行錯誤
Abstract本論文では,試行錯誤を考慮したグリッドシステム向けワークフローシステムを提案する. グリッドシステムによるコンピュータシミュレーションは多くの科学技術の研究に用いられている.このようなシミュレーションで精度の良い結果を得るためには,複数のプログラムの連携実行や,計算の途中結果を元にパラメータを修正し,試行を繰り返す試行錯誤が有効である.グリッドシステム上で複数のプログラムを連携して実行するには,ワークフローシステムが便利であるが,試行錯誤の考慮はなされていない.そのため,ワークフローシステムを用いて試行錯誤を行うと,記述するワークフローが増大するなど,ユーザへの負荷が大きい.そこで,本論文では試行錯誤において必要な機能を整理し,試行錯誤を考慮した新たなワークフローモデルとそれに基づくワークフロー言語と実行システムの提案を行う.また,ワークフロー言語と実行システムの実装を既存システムと比較することで,本提案の有効性を示す.

5G-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名大型・小型計算機を用いた処理連携システムのための処理記述言語
著者*出宮 健彦 (京都大学 大学院情報学研究科), 義久 智樹, 金澤 正憲 (京都大学 学術情報メディアセンター)
Pagepp. 1074 - 1081
Keyword処理記述言語, コンパクトグリッドシステム
Abstract 近年,ネットワークを介して接続された複数の計算機を用いて処理を行うグリッドコンピューティングに対する注目が高まっている. グリッドコンピューティングを実現するためのソフトウェアとして,GLOBUSやUNICOREが開発されている.これらのミドルウェアは,小型計算機を対象としていないが,多数の機器に組み込まれている小型計算機と連携させることで,計算資源や搭載されているセンサを有効利用できる.そこで,筆者らの研究グループでは,小型計算機を用いたグリッドコンピューティングのための基盤システムとしてコンパクトグリッドシステムの提案[1]を行っている.小型計算機と大型計算機を連携させて行う処理として次のようなものが考えられる. ・ケース1:ICレコーダーのようにマイクから音声データを入力し保存可能なものがある.これに大型計算機を利用することで逐次的な文字データへの変換や,ノイズ除去などの処理能力を必要とする処理を複合的に行うことができる. ・ケース2:小型計算機にはセンサノードや,各種機器に搭載されている温度センサを有するものがある.様々な場所の小型計算機を利用して大型計算機に温度センサの値を収集し,大規模または綿密な環境のモニタリングを行う. 近年,インターネット家電のようにインターネットに接続する機器が登場してきているものの,これらにおいては大型計算機と小型計算機の処理の連携は行われていない.しかしながら,ケース1やケース2のように大型計算機と小型計算機が処理を連携することは有効であり,コンパクトグリッドクライアントのような小型計算機単体では実現しえなかった処理が可能になる.  本研究では,このコンパクトグリッドシステムを利用して,小型計算機と大型計算機との処理の連携を容易に利用できるシステム基盤として簡便な処理記述言語を用いることを提案する.処理連携のための言語に必要な要件として次のようなものが挙げられる. ・簡潔な構造で記述できること  小型計算機を用いるため,連携処理記述言語は小型計算機でも処理できる程度に簡潔である必要がある. ・大型計算機や小型計算機の連携が容易なこと  連携させるために煩雑な設定の記述を要求せず,必要な項目のみの簡潔な記述である必要がある. ・小型計算機用の命令を簡単に使用できる  小型計算機の命令にはハードウェアリソースを操作できるものもあり,それを利用できる必要がある. ・柔軟な処理命令の記述が可能  これまで,使用してきた言語や言語規則に近いまたは同等の言語を利用できる必要がある. これらの要件を満たすための言語を提案する.定義部,大型計算機処理部,小型計算機処理部,出力部の大きく4つから構成される.次に,定義部で大型計算機と小型計算機に関する必要十分な設定を記述するだけで,各処理部に記述された内容が実行される仕組みとなっているので,連携が容易という要件を満たしている.また,小型計算機処理部に記述される処理命令は小型計算機の持つ機械語と1対1で対応するようになっており,小型計算機の命令を簡単に使用できるようになっている.大型計算機処理部にはシェルスクリプトを用いることができる.提案言語は手続き型の言語ではあるが各処理部においては,逐次処理の記述が可能なように設計しており,容易かつ柔軟性の高い処理命令の記述を実現している.  応用例として,例えば,提案言語を用いて,コンパクトグリッドクライアントに接続されたコンデンサマイクから音声を入力し,大型計算機にその音声データを送信し信号処理(FFT)を行う.結果をジョブ投入した中型計算機(ジョブを投入するユーザが使用するPC)に返す.  今後はこのスクリプトを利用した処理の最適化としてジョブスケジューリング,ストリームデータの内,音声や映像などの信号を大型計算機で処理することで高品質なメディアデータの提供について考えている. [1] 義久智樹, 金澤正憲, "小型計算機を用いたグリッドコンピューティングのための情報基盤システム," in Proc SwoPP2006, July, 2006.

5G-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名PlanetLabを用いたXCAST6オーバレイネットワークの構築
著者*櫻井 覚 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科), 管 文鋭 (名古屋大学大学院 情報科学研究科), 松井 大輔 (北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 今井 祐二 (富士通研究所 ITアーキテクチャ研究部), 村本 衛一 (松下電器産業株式会社 ネットワーク開発センター), 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科電子情報システム専攻)
Pagepp. 1082 - 1088
Keywordオーバレイネットワーク, 分散, 実験環境, マルチキャスト
Abstract インターネットとその上で動作するアプリケーションやサービスの実験を行うためのテストベッド「PlanetLab」が注目されている。  これまで、新しいネットワークプログラムを実験する場合、シミュレーションソフトやネットワーク接続されたマシンが使用されてきた。しかし、実際のインターネットは規模が大きく複雑で、これらの実験環境に信頼性の限界があると同時に、導入するリスクやコストも無視できない。また、インターネットが普及し、世界中の人々がそれに依存しているため、十分な機能検証を行う前に新しいサービスを直接インターネットに導入すると、安全に機能停止できないなど、様々な問題を生じる危険性がある。  これらの問題を解決するため、世界中に分散された多数のマシンをインターネット上に配置し、実際のインターネットに近い環境で実験をするという考えが生まれた。つまり、テストベッドを現行のインターネットにオーバーレイすることである。この考え方に基づいて考案されたテストベッドプロジェクトがPlanetLabである。しかし、一組織が数百台のマシンを世界中に持つことは難しいため、PlanetLabプロジェクトでは、参加組織が数台のマシンを提供する代わりに、すべてのPlanetLabマシンを共用できるようにした。現在、PlanetLabは分散された750以上のノードを有しており、まさしく地球規模のテストベッドだと言える。この完全に管理された環境の上で、同プロジェクトに参加する研究者はこれまでは規模が小さすぎて実験できなかったような分散アプリケーションの実験をはじめ、ウイルス・ワーム対策など、これまで試験が難しかったサービスの実験を行えるようになった。  しかしながら、PlanetLab上で実験をする上で問題となるのは、カーネルに手を加えることができないということがあげられる。また、本提案をしている時点において、PlanetLabはIPv6をサポートしていない。さらに、Planetlabカーネルは、実験者毎のルーティング機能を保持していないので、XCAST6のような特別なルーティング機能の実験を行うことができないという制限がある。なお、XCAST6とはIPv6のオプションヘッダを用いてマルチキャスト転送を実現する多地点間通信方式である。また、PlanetLabは実験用のノードを提供するが、オーバレイネットワークは実験者が各自で構築する必要があり、実験に本質的に関わらない部分に時間を費すことになる。  本研究では、User Mode Linux(UML)とトンネリングを用いて、PlanetLab上でオーバレイネットワークを容易に構築が出来る手法を提案する。この手法を実現するために「Orbit」と呼ぶソフトウェアを開発した。またUMLとOrbitを用いてPlanetLab上でIPv6とXCAST6の利用を可能にした。  PlanetLab上にUMLを配置することができる。UMLカーネルを修正することが可能なので、PlanetLabのユーザランド上で修正を加えたカーネルを動かすことができる。XCAST6 enableにしたUML同士を相互接続させるため、IPv4/UDPでカプセリングしたトンネルを用いた。これにより、UMLが転送するIPv6パケットはPlanetLabノードではIPv4パケット中にカプセル化される。このようにして、IPv6をサポートしていないPlanetLab上にXCAST6のオーバレイネットワークを構築した。  Orbitではトポロジ情報を記述した設定ファイルを用いてオーバレイネットワークを構築する。ただし、実験において、トポロジーの変更がしばしば要求される。その度に、設定ファイルを記述するのは骨が折れる作業である。そこで我々は、GUI操作でだれもが簡単に規定した形式のトポロジ設定ファイルを出力できるGUIツールを開発した。ユーザは設定ファイルの記述方法やOrbitの詳しい動作を知る必要はなく、GUIで容易にネットワークトポロジを組めるようになっている。  我々は、数台のPCで閉じられたPlanetLab環境を構築できるMyPLCを利用して、Orbitを実装しその動作を確認した。また、本実装の機能検証を大規模ネットワークテストベッドであるStarBEDを用いて実施した。12台の計算機を用いて米国Abilineのバックボーン上に配置されたPlanetLab環境を構築し、Orbitの機能を検証した。OrbitはUMLを利用するため、さまざまなオーバヘッドが生じると考えた。そこでOrbitを用いて構築したXCAST6オーバレイネットワークを用いた場合と、用いない場合の二点間のファイル転送時間を比較したところ、実際にオーバヘッドが観測された。たとえば、SCPで300MBのファイルを転送した場合、Orbitを用いた場合は258秒、用いない場合では38秒かかった。  今後の課題としてOrbitの細かい性能評価と外部接続性の確保がある。細かい性能評価を行うことでOrbitがどのような実験に適しているか判断する必要がある。また、外部接続性を確保するため、一般ユーザを巻きこんだ実験環境を実現する必要がある。


セッション 5H  位置情報(ITS)
日時: 2007年7月5日(木) 10:20 - 12:30
部屋: 回転スカイラウンジ
座長: 木村 裕 (NEC)

5H-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名個人と集団の行動履歴に基づく予測型情報提示システム『水晶珠』の提案
著者*田島 孝治, 安藤 公彦 (東京農工大学工学府電子情報工学専攻), 大島 浩太, 寺田 松昭 (東京農工大学共生科学技術研究院先端情報科学部門)
Pagepp. 1089 - 1097
KeywordGPS, 情報提示システム
Abstract近年、GPS 機器の小型化・低価格化が進み、位置情報を利用したサービスが次々と開始されている。従来のGPS による位置情報の利用は、車や船舶などの「物」を中心としたサービスであったが、現在では、PDA や携帯電話などのモバイル機器を利用する「人」を中心としたサービスへ展開を始めている。国内の携帯電話・PHSの契約者数は2007年1月に1億人を突破した。携帯電話には今後GPS 搭載が義務付けられることから、一人が一台の携帯電話を所持し、自身の位置情報を容易に取得可能となる。このため、個人による位置情報の利用が、増加すると考えられる。 インターネットの普及による情報量の急増により、利用者にとって有益な情報が「存在するが、見つけることができない」という状況が発生している。特にモバイル機器においては、端末の大きさや入力デバイスの制限などから、効率的な検索や表示は難しい。これらの理由から、サービス業者により管理されたメニューリスト用いて、用途やジャンルで大まかな情報を検索しているユーザも多い。この手段は情報の選択や入力の手間も大きく、屋外で長く操作時間を費やしたにも関わらず、得られた情報はわずかで、自分の望む情報が得られないケースも少なくない。 本論文ではこれらの問題の解決を目指し、情報提示システムの提案とプロトタイプの試作を行う。本論文で提案するシステムを「水晶珠」と名づける。水晶珠は個人の場所と時間に応じて必要な情報を映し出す、情報提示・共有システムである。携帯電話などのモバイル機器から利用する事を想定し、情報取得時に手間かかる入力作業をほとんど行う必要がないシステムを目指している。 提供する情報は、個人から収集した行動履歴を元に推測する。また、推測の間違いを学習し、利用者にとってより好ましい結果を導くことができる。このように、「水晶珠」は、占い師の使う道具のような「覗き込むだけで本人の必要としている情報を提示するシステム」を目指している。 提供される情報は利用者により追加・変更可能とする。管理者によって一方的に決められたものではなく、災害時や街づくりなどで使われるWeb-GIS と同様に、利用者による情報の書き込みを実現する。この集合知の考え方を利用することで、利用者が必要と感じた細かい粒度の情報まで追加できるシステムを実現する。 提案システムでは、市町村から施設内までのエリア作りに対応することができる。また、位置情報を利用した利用者によるコミュニティの形成を促進し、地域の不審者情報や迷子捜索などの、リアルタイム性の高い用途にも活用が期待できる。 電車通学を行っている大学生が本システムを利用すると、通学時には、大学内に設置された学生向け情報が表示され、休講やスケジュールなどを知ることができる。これは、この学生が大学到着時に学生向け掲示板を毎回確認するという動作を学習した結果である。帰宅時に駅に向かう途中では、自宅までの乗り換え情報や到着予測時間が提示され、急いで乗換えをすべきか多少駅でゆっくりしていっても良いかを知ることができる。この際に、家への連絡といった基本的な処理をこの画面に登録することも可能である。駅に到着し電車を降りる時には、最寄り駅付近の警戒情報や、いつも寄る商店の売り出し情報などを知ることもできる。 さらに、初めて訪れた地域や、特別なスケジュールが設定されていない場合は、周囲の観光情報や地図などの表示が行われ、迷うことなく周辺情報を利用して散策を行うことが可能となる。 本システムの実現には、主に5つの課題がある。 (1) 位置情報の収集と効率的な保存 (2) 行動の学習と予測 (3) 利用者による情報・機能の追加 (4) セキュリティと個人認証 (5) スケーラビリティの向上 システムは利用者から位置情報を収集する。また、収集した大量のログを整理し、効率的に保存する必要がある。さらに、行動履歴を利用して利用者の行動を学習し、利用者が必要としている情報を、利用者自身と他人の行動から予測し提供する。必要な情報の提供方法は状況に応じて、定常的な行動や、スケジュール済みの行動、さらに旅行などの初めての地域での行動など様々な種類が必要となる。また方式を追加・切り替えできる仕組みも必要である。さらに、同じ地域や同じ行動を行う利用者の行動を推薦情報として提示し、自身では気づくことができなかった情報を提供する。 このように、利用者によるシステムの機能と情報の自由な追加・変更を行える構造を実現し、集合知を利用できるシステムとする。 本論文では、モバイル機器において個人と集団の行動履歴を元に、必要な情報を提示するシステム「水晶珠」を提案し、構成および課題の検証と、プロトタイプ作成を行った。 プロトタイプにおけるログ管理では、一人当たりのログは半年分で28MBとなった。これを行動の特徴から導き出した中間点を利用して、特徴をのこしたまま102KBまで圧縮することに成功した。 今後は、セキュリティとスケーラビリティの向上を目指した方式の提案と実装、さらにPDA や携帯電話などの小型端末への実装、利用評価を行う予定である。

5H-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名実空間連携コミュニケーション基盤「ロケーションコール」の提案
著者*千原 晋平, 中野 正務, 坂田 一拓, 石井 健一, 倉島 顕尚 (日本電気)
Pagepp. 1098 - 1102
Keyword携帯電話, 位置情報, 通話, 実空間
Abstract 携帯電話の位置情報と通話機能と連携させることで空間独自の通話サービスを実現する実空間連携コミュニケーション基盤「ロケーションコール」を提案する。ロケーションコールを用いることにより、個々の空間の価値向上を実現する通話サービスを携帯電話キャリアに依存することなく提供することが可能となる。本稿では、ロケーションコールのコンセプト、機能要件及び実現方式について述べると共に、開発した試作システムについて説明する。試作システムを用いてユーザ待ち時間を評価した結果、待ち時間は3秒以下に収まり実用上問題のないことが確認された。

5H-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名リファレンスタグを用いた非定常隠れマルコフモデルによるエリア検知方式
著者*小西 勇介, 中尾 敏康 (NEC共通基盤ソフトウェア研究所)
Pagepp. 1103 - 1111
Keyword位置情報, RFID, 確率推論
Abstract・はじめに  近年のモバイルデバイス技術や移動体通信環境の急速な発達と普及により,移動体の位置情報の取得/活用に注目が集まっている.特に屋内におけるヒトやモノの位置情報取得システムに関しては,これまでにGPS応用技術,無線LAN,赤外線,超音波などを利用したシステムが多く提案されているが,検知精度の不足や高い導入/運用コストなどの理由により,広く普及するには至っていない.これに対して,移動するヒトやモノの管理,トレーサビリティが要求される物流管理,個人/個体認証,キャッシュレス決済など多くの事業領域において,RFIDシステムの利用が広まりつつある.RFIDの中でも特にアクティブ型と呼ばれるシステムを利用して,屋内におけるエリア単位の位置情報を取得できる低コストのシステムも提案されている.しかしながら,RFIDは無線通信を利用する技術であるため,電波環境の乱れによる検知ミスが大きな問題となっている.  我々は,このような検知ミスをはじめとするアクティブRFIDシステムでのデータ/情報の欠落(情報欠落)を低減する技術の開発に取り組んでいる.これまでに,環境の変動成分を検出するために環境に固定して利用するリファレンスタグを提案し,アクティブ型RFIDを用いてユーザがあるエリアに存在するかどうかを正確に検知できる方式を開発してきた.本論文ではさらに,ユーザタグの電波が近接して設置された複数のリーダにより同時に検知されてしまうような場合でも,ユーザタグがどのエリアに存在するかを正確に検知できる方式を提案する. ・方式の概要  本方式では,ユーザタグがあるエリアに存在することを1つの状態と見なし,誤差を含む観測量(複数のRFIDリーダで得られるユーザタグの受信信号強度)から,各状態の発生確率(ユーザタグが各エリアに存在する確率)を,状態遷移(ユーザの各エリア間の移動)を考慮して算出するために,隠れマルコフモデルを利用する.さらに,リファレンスタグを用いて検出されたユーザの移動有無情報に応じて使用するパラメータを動的に更新する仕組みを適用することにより,高精度なエリア検知を実現する. ・リファレンスタグによる状態遷移確率表の動的な更新  リファレンスタグの受信信号強度変動の大きさから検出した各エリアにおける“場の動き”と,ユーザタグの受信信号強度変動の大きさから検出した“ユーザタグの動き”から,場の動きとユーザタグの動きが共に有る場合に限り該当エリアにおいて該当ユーザタグを所持したユーザが移動していると判定し,ユーザの移動有無を検出する.検出された移動有無情報を元に,隠れマルコフモデルで使用する状態遷移確率表を動的に更新する.このような仕組みを適用することにより,ユーザの移動が無いときにはエリア検知の安定性を高めながら,ユーザの移動が有るときには移動に対するエリア検知の時間応答性を高く保つことが可能となる. ・隠れマルコフモデルによるエリア存在確率の算出  あらかじめ各エリアにユーザタグが存在しているときに各エリアに設置された複数のRFIDリーダで取得される受信信号強度の状況を学習させておくことにより,ある時点で各RFIDリーダで取得される受信信号強度の組合せが出力される確率(以下,出力確率)を算出する.算出された出力確率と動的に更新される状態遷移確率表を用いて,逐次,隠れマルコフモデルに従ってユーザが各エリアに存在する確率を算出することができる. ・評価と今後の課題  本方式の有効性を確認するために,独立行政法人情報通信研究機構(以下,NICT)のユビキタスホームで評価実験を行った.ユビキタスホームとは,家庭におけるユビキタス環境のテストベッドとしてNICTけいはんな情報通信融合研究センター内に構築された実験施設である.ユーザタグを身に付けた2人のユーザが,アクティブRFIDリーダおよびリファレンスタグを設置した7つのエリアを,設定したシナリオに従って移動する評価実験の結果から,提案方式によって安定性と時間応答性を両立したエリア検知が実現でき,従来方式(受信強度が最大となるリーダが設置されたエリアを検知結果とする方式)に対して検知精度を約15%改善できることを確認した.  一方,本方式では,あらかじめ実施するキャリブレーション実験の結果から,基準となる受信状況および出力確率表を生成しておく必要がある.また,場の動きやユーザタグの動き検出,および,検出されたユーザの移動有無をもとに状態遷移確率表を決定するためのパラメータも,あらかじめ与える必要がある.今後,これらの各種パラメータを簡単に設定できるようなキャリブレーション手法について検討を進めていく.

5H-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名パーソナルコンテンツと位置情報を結合・共有するためのプラットフォーム
著者*久野 綾子 (立命館大学大学院 理工学研究科), 西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部)
Pagepp. 1112 - 1117
Keyword位置情報
Abstract近年,GPSや無線LANによる位置測位技術の発展により,位置情報を使ったサービスが増えている.これらのサービスは位置情報と結び付けられたコンテンツがあってこそ真価を発揮する.ユーザが所持するコンテンツ(パーソナルコンテンツ)と位置情報を結びつけることができれば,ユーザは場所をクエリとして自分の所持するコンテンツを検索することが可能となる.また,位置情報と結び付けられたパーソナルコンテンツを他人と共有することでコミュニケーションを支援したり,場所に対する新たな発見があると考えられる. そこで,本論文ではパーソナルコンテンツと位置情報を結びつけるプラットフォームを提案する.パーソナルコンテンツと位置情報を結びつけるにはそれぞれに含まれている「時間」のデータを用いて結びつける.またパーソナルコンテンツを単なる位置情報と結びつけるだけでなく、人間に認識できる「場所」と結び付けられればユーザにとって利用しやすい.本論文では,スケジュールに入力された「場所」と位置情報を結びつける手法について述べ,実装したアルゴリズムの予備実験を行った

5H-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名位置情報を用いた情報連携プラットフォームに関する研究
著者*中村 友一, 三屋 光史朗, 植原 啓介 (慶應義塾大学 政策・メディア研究科), 村井 純 (慶應義塾大学 環境情報学部)
Pagepp. 1118 - 1122
Keyword位置情報, Webサービス
Abstractインターネット上において,Google Maps やYahoo Mapsのように地理位置情報を利用した地図Webサービスはいまや不可欠なものとなり,サービスの機能拡張が著しい.また,インターネット上には,ある特定の地域を詳細にあるいは利用形態に特化した形で記した情報も多く存在している.具体的には,ビルのフロアマップや列車の路線図などが挙げられる.これらの情報は一般的に所属する組織のサイトにおいて管理・公開されている.このように,地理位置情報は地図Webサービスのみに利用されるものではなく,様々な情報に付随して公開されることも珍しくない. 現在,インターネット上の情報を検索するためのサービスとしてGoogleなどが挙げられるが,検索サービスは一般的に検索したい語彙を用いて検索を行う.この語彙検索で情報を検索する場合,地理的に関係のあるものは考えられずに,語彙に関係するものが検索結果として表示される.そのため,本当に欲しい情報を探索するためには,様々な経路を探索しなければならなくなることがある.例えば,都内在住者が慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)まで移動する場合,SFCの所在地の確認,最寄り駅からSFC最寄り駅までの移動方法の確認,SFC最寄り駅からSFCまでの移動方法など,これだけ煩雑な手順を踏んでもユーザは必要とされる情報を全て取得することが出来ない. また,インターネット上の地理位置情報の表現方法もWGS84で表された緯度経度,住所表記など様々な種類が存在している.このように様々な表記がされているため,インターネット上で扱う位置情報は整理されておらず混乱している. このような場合において,地図間を協調させる機能が必要となってくる.そこで,本研究の目的は,地理位置情報及び付随情報を連続して扱うための情報連携プラットフォームを提案することである.本研究で述べる情報連携プラットフォームとは,世界中に偏在しているデジタル情報を,位置情報をキーとして関連付けを行い,相互参照を可能にする情報流通基盤を示す.この目的を達成するために,本研究では「付随情報に位置情報を書き込むための仕組み」及び「位置情報を含んだ付随情報を流通させるためのディレクトリサービス」の提案及び実装を行う.本研究によって作成されるフレームワークを地図間協調リンク(Map Collaboration Link)と呼ぶ.地図,付随情報提供者は,地図及び付随情報に位置情報を書き込む.付加された位置情報は,地図及び付随情報間での相互参照を行うためのキーとして利用される.このときの位置表現方法としてPlace Identifier を利用する.これにより,地図や付随情報に位置情報を付加する際に,緯度経度のみならず住所や施設名等,場所を特定するための様々な表現方法が利用可能になる.これらの位置情報を含んだ付随情報を公開/流通させる位置情報システムとしてMap Collaboration Link Portal Siteを展開させる.Map Collaboration Link Portal Siteでは,地図や位置情報など様々な条件で検索することが出来るポータルサイトである.利用者はポータルサイトにアクセスすることで,地図を介した検索が行えるようになっている.検索はキーワードや位置情報などで検索されるようになっている.検索では,キーワードや位置情報に対応したものが重み付けされる.また,地図間のリンクの強さにも重み付けを持たせる.検索結果はこれらの重み付けが重いものから結果上位に出るようになっており,結果として表示された地図から様々な地図を辿ることが出来るようになっている. 本ポータルサイトを利用することで,一つの地図から相互連携されている地図を辿ることで,ユーザが取得したい様々な情報を取得することが出来るようになる.前述の例を参照すると,一つの地図Webサービスを利用することで,各地点間の電車経路(例えば,新宿駅から湘南台駅など) やフロアマップの情報を探すことなく,双方向から参照することが出来るようになる. 本研究の有効性を示すために,ポータルサイトの設計と実装を行った.Map Collaboration Link Portalを利用することで地図間の連携を行うことが出来ることを確認した.今後は本ポータルサイトを利用しながらアンケートをとることで評価をとっていきたいと考えている.


セッション 6A  アドホックグループ通信(MBL)
日時: 2007年7月5日(木) 14:30 - 15:45
部屋: 平安
座長: 渡邊 晃 (名城大学)

6A-1 (時間: 14:30 - 14:55)
題名位置情報の利用によりオーバーヘッドを削減するアドホックマルチキャストプロトコル
著者*熊谷 佑紀 (千葉大学大学院 融合科学研究科), 大野 優樹, 須藤 崇徳 (千葉大学大学院 自然科学研究科), 阪田 史郎 (千葉大学大学院 融合科学研究科)
Pagepp. 1123 - 1128
Keywordアドホックネットワーク, マルチキャスト, ODMRP, 位置情報, 経路有効時間

6A-2 (時間: 14:55 - 15:20)
題名アドホックネットワークにおける受信ホスト間の公平性を考慮したマルチキャスト輻輳制御方式に関する検討
著者*丸田 佑紀 (関西大学大学院工学研究科), 小川 英己 (関西大学工学部), 今西 友樹 (関西大学工学研究科), 山本 幹 (関西大学システム理工学部)
Pagepp. 1129 - 1138
Keywordアドホックネットワーク, マルチキャスト輻輳制御, Intra-session Fairness
Abstract近年,無線LANにおけるアクセスポイントなどの無線インフラを要さず,無線端末のみで自律的に構築されるアドホックネットワーク実用化に向けて様々な技術が提案,開発されている.その中で, 1対多,もしくは多対多通信を実現するアドホックマルチキャスト通信がある.マルチキャスト通信は多数の受信ノードが存在する場合,各受信ノードにユニキャスト通信で送信するよりも帯域消費量が大幅に減少する.特に,アドホックネットワークの様な無線環境では帯域が制限されているため,アドホックマルチキャスト技術が重要となる. 一般に,アドホックマルチキャストではトランスポート層にUDPが用いられており,ネットワーク輻輳に対して送信レート制御を行わない.そのため,ユニキャスト通信で広く用いられているTCPとマルチキャスト通信がアドホックネットワークで共に用いられる場合,輻輳が発生するとTCPは自らのレートを下げるのに対してマルチキャストは全くレートを下げないという状況になる.この状況ではマルチキャストがTCPに対してアドホックネットワークの帯域を大きく占有する可能性があり,アドホックマルチキャスト輻輳制御が必要となる. マルチキャスト輻輳制御では,送信元ノードが受信ノードの受信状況を把握する必要があり,一般にフィードバック情報を用いる.マルチキャスト通信では多数の受信ノードが存在するため,全受信ノードがフィードバック情報を送信元ノードへ送信すると,送信元ノードにフィードバック情報が集中する,いわゆるFeedback Implosionが発生する. マルチキャスト輻輳制御において,送信元ノードの送信レートを輻輳状況の最も劣悪な受信ノードの輻輳が回避できるレートに設定することが要求条件となる.従って,輻輳制御の観点からは,最悪輻輳状況にある受信ノードからのフィードバック情報のみが重要となる.この観点から,最悪輻輳状況にある受信ノードを代表ノードとして選出し,送信元ノードと代表ノード間でフィードバック情報の授受を行うマルチキャスト輻輳制御方式が提案されている.なお,代表ノードを用いた方式では,送信レート決定の際,TCPと共有した状況ではほぼ等しいスループットを得るようにし,TCP親和性を実現している. アドホックネットワークでは,送信元ノードと受信ノード間のホップ数増加によるスループット低下が知られている.また,輻輳によるパケットロス以外に無線リンクでのパケットロスが発生する.このため,送信元ノードからのホップ数が大きい受信ノード,無線環境が劣悪な受信ノードのスループットが低下する. アドホックネットワークで代表ノードを用いた方式を適用すると,これら状況下の受信ノードは代表ノードに選択されやすく,代表ノードの受信可能スループットに送信レートを適合するので,同一セッション内の他の受信ノードは自身の受信可能スループットよりかなり低いレートで受信することになる.この観点からみた同一セッション内の受信ノード間の公平性は,Intra-session Fairnessと呼ばれる.Intra-session Fairnessが実現された状況とは,各受信端末が自身の受信可能なスループットでマルチキャストデータを受信している状況と定義される. 本稿ではこのIntra-session Fairnessに注目し,Intra-session Fairnessを実現するために,プロキシと呼ばれるノードをマルチキャストセッション内に配置する方式を提案する.プロキシはマルチキャスト通信の上流側(送信元ノード,上流に存在するプロキシ)に対しては,受信ノードとして動作し,下流側(受信ノード,下流に存在するプロキシ)に対しては送信元ノードとして動作する.セッションを送信元ノードからプロキシ,プロキシから受信ノードと分割することにより各ノード間の伝送遅延を減少させ,またプロキシを配置することにより,送信元ノードに対して無線環境が劣悪な受信ノードの隠蔽を行う.この様に,プロキシをセッション内に配置し,送信元ノードに対してセッション内に存在する最もスループットが低い受信ノードを隠蔽することにより,Intra-session Fairnessが改善される. また,本稿では,提案方式の有効性を検証するため,計算機シミュレーションによる性能評価を行った.その結果から,アドホックマルチキャスト輻輳制御にプロキシを導入することにより,Intra-session Fairnessが改善されることを示した.

6A-3 (時間: 15:20 - 15:45)
題名組織行動に対応するグループアドホックルーティング方式の提案
著者*寺島 美昭, 河東 晴子 (三菱電機/情報技術総合研究所)
Pagepp. 1139 - 1144
Keywordad-hoc, disaster, routing
Abstract厳しい電波伝搬環境下にある被災地域において、複数の防災救助グループが連携して活動するための無線ネットワーク実現を目的に、グループ内とグループ間のルーティングを分離した階層型で制御するグループアドホックルーティング方式を提案する。この方式はグループ境界において、各端末が電波伝搬環境や利用状況に応じて自律的にルーティング範囲を変更する事により、制御通信トラフィックを抑制し、重要度の高い通信に必要なルートを優先的に確保する事を特徴とする。


セッション 6B  IDS (CSEC)
日時: 2007年7月5日(木) 14:30 - 15:45
部屋: 花の舞
座長: 上原 哲太郎 (京都大学)

6B-1
題名プライバシー保護のための秘匿性と非観測性を持った通信機構の提案
著者*鈴木 克明 (東京女子大学 / 情報処理センター)
Pagepp. 1145 - 1150
Keywordセキュリティ, 通信グループ
Abstractインターネット上で通信を行なうためには、伝えたい情報をメディア化し、通 信路を経由して送信され、様々な通信機器、通信路を経由し最終的に受信者に 届く。その際、多くの通信機器では、通信量、通信の行なわれた時間、通信の 頻度や場合によっては送信者や受信者のログ情報等という形で、様々な通信の 情報が残る。また、通信者の関与しない通信路を経由するため、通信路では通 信内容の傍受の危険がある。よって、これらのトラフィック改正や傍受により、 情報が漏洩する危険性がある。 通信には、伝搬する情報として、 1.通信文 がある。しかし、現在までの研究により、強固な暗号を用いて、通信文を暗号 化することで、通信文のもつ情報を十分長い時間秘匿することができる。 先に述べたトラフィック解析では、 2.通信が行なわれた時刻→送信者の意思 3.通信が行なわれた頻度→送信者と受信者の相関度合い 4.通信者(送信者と受信者)→送信者と受信者の相関 5.通信者による通信の漏洩を防ぐために払ったコスト→通信者にとっての通信 の重要度 のような、通信者の意思、関係が観測できる。これらの漏洩は、高いコストが かかる暗号解析のコストを下げる一因にもなるばかりか、これらの意思、関係 のみが十分な価値を持つ。 4 を秘匿する手段として、PKI を用いたFreenet や オニオンルーティングな どの機構が多く提案され、実用化もされているが、これの導入には大きなコストがかかってしまう。 本論文では、過去に提案された匿名性と非観測性を持つシステムの欠点を指摘し、さらに通信の持つ副次的な情報の漏洩の危険を指摘し、PKIシステムと、仮想トンネリング、通信路に適合した秘匿方法選択機構を用いて、通信トラフィック解析や傍受に対抗でき、また大きな通信路に与える帯域圧迫を防ぐことができる実用的な通信システムを提案する。

6B-2 (時間: 14:30 - 14:55)
題名主成分分析を用いたネットワーク異常検知システムの運用評価
著者*大野 一広, 榊原 裕之, 北澤 繁樹, 藤井 誠司 (三菱電機(株)情報技術総合研究所)
Pagepp. 1151 - 1154
Keyword不正侵入検知, 進入検知システム, ネットワーク異常検知

6B-3 (時間: 14:55 - 15:20)
題名ネットワーク不正侵入検知のためのイベント分析手法の検討
著者*水谷 正慶, 白畑 真, 南 政樹 (慶應義塾大学 政策・メディア研究科), 村井 純 (慶應義塾大学 環境情報学部)
Pagepp. 1155 - 1160
Keywordネットワークセキュリティ, 侵入検知
Abstractインターネットを経由した不正侵入の試みは種類,数ともに増加の傾向にある.ネットワーク管理者が不正侵入に対応するためには,不正侵入を防ぐ技術の導入だけではなく,不正侵入の成功や,不正侵入事件の進行を早急に検知するための技術(不正侵入検知技術)の導入が不可欠である.しかし,現状の不正侵入検知技術ではネットワーク管理者が必要とする知識・経験の多さや,運用のための負担が大きいことから,適切な運用が難しい. ネットワーク管理者による不正侵入検知技術は2段階に分けられる.まず,ネットワークトラフィックやネットワーク上の各機器から,不正侵入に関連する可能性のあるイベントの情報を収集する.例としてFirewallや,ネットワーク型侵入検知システム(IDS),サーバのログが挙げられる.その後,ネットワーク内で得られたイベントを全て収集し,分析する.収集されたイベントは1つずつでは攻撃者の意図や,実際に発生している状況を判断するのが難しい.そのため,収集されたイベントを関連づけしあい,具体的にどのような状況が発生しているかを判断する.また,複数のイベントを関連づけすることで,ネットワーク管理者が注目するべき事象を集約する役割も果たしている. 本論文では,後半のイベントの分析における問題に焦点をあてる.現在の主要なイベント分析手法は状態遷移のモデルを構築し,モデルにあてはまるイベント同士に相関関係があると判断する.状態遷移のモデルはあらかじめ定義したルールをもとにする.状態遷移による分析はモデル通りにイベントが発生した場合は極めて効果的であるが,不正侵入検知においては予想された順序に従って不正侵入が発生しない場合が多い.例えば,攻撃者はサービスやホストの探索,脆弱性を利用した攻撃,権限の昇格の順番で不正侵入を試みるため,そのようなモデルを構築する分析がある.しかし実際には,脆弱性を利用した攻撃のみや,サービスやホストの探索のみなど,様々な状況が発生しており,多様な状態遷移を示すルールを作成するのは困難である.また,発生するイベントの種類も多様化している.特にIDSが発見するイベントは攻撃の多様化に伴い種類が急増している.オープンソースのIDSであるSnortでは2007年3月現在,公式に配布されているルールだけでも約15,000件ある.全てのイベントに対して状態遷移を定義するのは難しい.そのためネットワーク管理者が不正侵入の成功や進行を検知する負担を軽減に繋がりにくい. この問題を解決するために,本論文ではイベントを関連づけするための柔軟なルールを提案し,ネットワークで発生している状況を的確に判断するための手法を検討する.本手法の特徴として,各イベントの時間間隔や送信元,送信先IPアドレス,イベントの種類などで関連づけした後に,関連づけで利用した以外のパラメータの変化に着目する点である.これは先述した状態遷移とは異なり,変化の順序は問わない.例えば,ある送信元IPアドレスと送信先IPアドレスをキーとして関連づけし,イベントのクラスタを作成する.このクラスタのイベントが常に同じ種類なのか,あるいは全て異なる種類のイベントかによってでも,状況が異なる.常に同じ種類のイベントであれば,同じ攻撃を繰り返しても無意味なため,悪意のあるイベントではないと判断できる.全てが異なるイベントの場合は,様々な攻撃を試行している可能性が高く,危険性が高い.他にも,Webページに対する攻撃を送信元IPアドレスをもとに複数のイベントをクラスタ化した後,送信先IPアドレスと攻撃内容の変化を調べる.多数の送信先IPアドレスに送信しており,かつ攻撃内容が変化していない場合は,ワームによる無差別な攻撃が予想される.あるいは,送信先IPアドレスが変化せずに,攻撃内容が変化を続けている場合は,対象ホストの脆弱な箇所を調査しながら攻撃している可能性がある. 本研究は複数のイベント情報から,状況を適切に判断するための手法の確立を目的としている.これにより,ネットワーク管理者が注目すべき情報が大幅に削減できることが期待される.また,状況を適切に判断することで,ネットワーク上のリスク分析にも応用できると期待する.


セッション 6C  センサネットワークミドルウェア(MBL)
日時: 2007年7月5日(木) 14:30 - 15:45
部屋: 砂子〜磯笛
座長: 石山 政浩 (東芝)

6C-1 (時間: 14:30 - 14:55)
題名Live E!:センサストリーム制御機構および地理位置に基づくオーバレイネットワークを利用したセンサ情報共有基盤の構築
著者*松浦 知史, 洞井 晋一 (奈良先端科学技術大学院大学), 落合 秀也 (東京大学), 石塚 宏紀 (東京電機大学), 江崎 浩 (東京大学), 砂原 秀樹 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1161 - 1167
Keywordセンサネットワーク, オーバレイネットワーク, センサストリーム
Abstractセンサ技術やネットワーク性能の向上により、現在では大量のセンサを設置し、インターネットを通してセンサ情報を共有する事が可能となりつつある。産官学共同のプロジェクトであるLive E!ではセンサ情報を公共の資産と考え、誰でも自由にセンサ情報を利用できる情報基盤の構築に取り組んでいる。現在では主に水害対策や教育現場において利用されており、今後環境問題やビジネスへの応用などが期待されている。 現在Live E!ではクライアント・サーバ型のアーキテクチャを採用し、サービスを提供している。しかし、今後センサの増加を考慮すると負荷分散を考慮したアーキテクチャを構築することは必須である。センサから常時生成されるセンサデータストリームを柔軟に制御できる事ができれば、アーキテクチャの変更を円滑に進める事が可能となる。そのために専用のセンサゲートウェイを作成した。 センサゲートウェイはセンサを管理している団体ごとに設置され、センサデータストリームを受け付ける。センサゲートウェイは各種プラグイン対してデータストリームを受け渡し、各プラグインがデータストリームを制御する仕組みを取っている。例えばローカルのデータベースにセンサデータを蓄積するプラグインや降雨時にメールを送信するプラグインなど様々なプラグインが考えられる。センサゲートウェイにはデフォルトでLive E!ネットワークに対してセンサストリームを送信するプラグインが組み込まれている。このプラグインは専用のサービス解決サーバに対して問い合わせを行った後にそこで提示された宛先へセンサストリームを送信する設計になっている。このような構成をとる事で、サービス解決サーバの中身をアップデートすることで、新規にプラグインを追加・更新する事無しに、センサから生成されるセンサストリームを自在に制御することが可能となっている。 また分散環境を実現するために位置に基づくオーバレイネットワークを構築し、そのオーバレイネットワークにセンサストリームを送信する。温度や湿度などのセンサ情報はその値だけでは価値を持たず、データの生成された位置や時間といった付加情報と共に利用される。位置による範囲検索を実現するために、4分木を用いて地表の2次元平面を表現し、Z-orderingを利用したID生成方法を採用したオーバレイネットワークを提案し、構築する。オーバレイネットワークを構成するノードは動的に割り当てられた特定範囲の地理位置に関する情報を、データの生成時刻をインデックスとしたバイナリツリー状にデータを蓄積する。そのためユーザは特定の場所や時間を指定してオーバレイネットワーク上から情報を取り出すことが可能となる。 オーバレイネットワーク構成するノードを含めLive E!ネットワーク全体ではセンサデータのやり取りなどをWEB-APIを定義し、これを利用することで行っている。これはアーキテクチャを構成するコンポーネント間で疎結合を実現するためである。今回取り組んだシステムアーキテクチャの変更時などに効果を発揮し、システム全体を停止することなく移行作業を行うことが可能である。 本論文では上記で述べたLive E!全体のアーキテクチャとその変更の推移をセンサゲートウェイの仕組みと共に示す。またオーバレイネットワークの構成やアルゴリズムの詳細を述べ、実環境での性能評価も含めて説明する。

6C-2 (時間: 14:55 - 15:20)
題名KAOSによる無線センサーネットワークのための計測処理中間モデルの導出
著者*鄭 顕志 (早稲田大学/国立情報学研究所), 深澤 良彰 (早稲田大学), 本位田 真一 (国立情報学研究所/東京大学)
Pagepp. 1168 - 1179
Keyword無線センサーネットワーク, モデル駆動開発, KAOS, ミドルウェア
Abstract無線センサーネットワーク(Wireless Sensor Network:WSN)は,現実世界の状態に関するデータの提供基盤として 期待を集めている. しかし,複数のWSNを横断的に利用する場合, 計測処理を,それぞれのWSNを管理しているミドルウェアの計測記述言語ごとに記述しなければならず, 利便性が低くなってしまう. 本研究では,WSNの計測記述を各ミドルウェアに被依存の中間モデルとして記述し, その中間モデルから各計測記述言語に変換する,モデル駆動アーキテクチャの概念を導入することで,横断的なWSN利用の負荷を低減する. 中間モデルは,一般的な計測処理内容を記述できなければならず,さらに,既存の計測記述言語に変換可能でなければならない. 本研究では,十分な記述能力を持つ中間モデルを導出するために,ソフトウェア開発におけるゴール指向要求分析手法KAOSを用いる. KAOSを用いることで,計測処理内容と中間モデルの関係性や,中間モデルと各計測記述言語との関係性を整理し, 中間モデルの妥当性を網羅的に検証することが可能となる.

6C-3 (時間: 15:20 - 15:45)
題名経済市場モデルに基づいた無線センサーネットワークにおけるマルチアプリケーション間での資源共有
著者*清家 良太, 清 雄一, 本位田 真一 (東京大学)
Pagepp. 1180 - 1181
KeywordWSN, Market-base
Abstract無線センサネットワーク(WSN)とは,さまざまな場所の状態を計測できるセンサ類を搭載したノードを数多く配置し,防災や安全,監視,観測といった各種サービスを提供することを目的とする無線アドホックネットワークである.近年MEMS(Micro-Electro-MechanicalSystem)技術の発達によりセンサノードの小型化,低価格化が進み,幅広い分野において実用化への期待がたかまっている. このように、実用化への期待が高まっているWSNであるが、現状では一つのネットワークに一つのアプリケーションを想定した技術がほとんどである.しかし,実用的かつ商用的な無線センサネットワークを考慮した際,複数の管理者がそれぞれの目的をもって一つのネットワークを共有することが必要となってくる.例えば,そういったWSNの利用例として建物への利用がある.建物内では,温度や湿度といった情報から建物内の状況を監視するアプリケーション,建物の構造健全性を監視するアプリケーション,侵入者を追跡するセキュリティアプリケーション,危険を察知し,人々を安全な場所へ誘導するアプリケーションといった様々なアプリケーションが一つのWSNを共有するであろう\cite{1182822}.今後,WSNはこのような多様な要求にこたえる,オープンな実環境情報提供基盤となっていくものと思われる. よって,今後より実用可能なWSNを実現するためには、複数のアプリケーションが一つのネットワークを共有することを想定した技術がより重要になってくる.中でも,WSNでは計算資源が厳しく制限されてしまうので,複数アプリケーション間での資源共有は解決しなければならない重大な問題の一つである. 本研究では,WSNにおける資源と,それを使用するアプリケーションとの間に経済市場モデルを導入することによって,複数アプリケーション間での効率的な資源共有を実現する手法を提案する.


セッション 6D  プライバシ(EIP)
日時: 2007年7月5日(木) 14:30 - 15:45
部屋: 松〜梅
座長: 井出 明 (首都大学東京)

6D-1 (時間: 14:30 - 14:55)
題名識別リスクを保証する個人情報匿名化システムの検討
著者*佐藤 嘉則, 川崎 明彦 ((株)日立製作所 システム開発研究所)
Pagepp. 1182 - 1189
Keywordプライバシー保護, 匿名化, 識別リスク
Abstract 省庁が規定する個人情報保護法ガイドラインのいくつかでは匿名化を望ましい対策として挙げているが,匿名化の際には個人情報を構成する変数値の組み合わせによる識別リスクを考慮しなければならない.本稿では,特に企業情報システムに好適な,識別リスクを保証した個人情報匿名化を実現するためのアルゴリズムを提案する.提案アルゴリズムは,変数の利用優先度を考慮しつつ安全な変数の組み合わせを抽出するものである.本稿では,提案アルゴリズムの詳細と評価実験結果について報告する.

6D-2 (時間: 14:55 - 15:20)
題名電子文書の内容から通報者発覚の防止が可能な匿名内部告発システムの提案と試作
著者*多田 真崇 (東京電機大学 工学研究科情報メディア学専攻), 芦野 佑樹, 安 健司 (東京電機大学 先端科学技術研究科情報通信メディア工学専攻), 佐々木 良一 (東京電機大学), 側高 幸治 (日本電気 第一システムソフトウェア事業部), 松田 誠一 (筑波大学 システム情報工学研究科), 土井 洋 (情報セキュリティ大学院大学 情報セキュリティ研究科), 岡本 栄司 (筑波大学 システム情報工学研究科)
Pagepp. 1190 - 1199
Keyword内部告発, グループ署名, 電子墨塗り, 電子署名
Abstract自分の所属している企業,または取引先の企業が不正を行っている事実を知り,実名で内部告発を実行しようとしたが、後の企業からの報復措置を恐れ、告発を思いとどまるものが少なく無いという現状がある。そうした場合、告発者は匿名で内部告発を行いたいと考える場合は多い. このような問題を解決するため、従来、(1)匿名通信路などの発信元を秘匿する技術や、(2)グループ署名などの署名者の秘匿を可能とする技術はいろいろ研究されてきた。しかし,不正行為の証拠である不正者の署名付き電子文書の内容から通報者が発覚してしまっては匿名で告発する効果がまったく発揮されないが、これを可能とする技術の研究は従来実施されてこなかった. 本論文ではこのような問題を解決する技術として,電子文書から自分に関連する情報を秘匿するために電子墨塗りを施すことを基本とする方式を提案する。あわせて、この方式と上記(2)の内部告発者の署名を匿名化する方式の統合化を可能とした。さらに、これらの方式を実現するプログラムを開発し、その機能と性能を確認したのでその結果を報告する。なお、上記(1)については、今回開発したプログラムと独立に実現できるので、これにより匿名性を維持する上で必要となるすべての機能が実現できたことになる。 従来の墨塗り技術としては、SUMI-4が有名である(宮崎邦彦, 洲崎誠一, 岩村充, 松本勉, 佐々木良一, 吉浦裕, “電子文書墨塗り問題,” 信学技法ISEC2003- 20,pp. 61?67, 2003)。しかし、従来方式は墨塗り者と署名者の関係がどちらかといえば協力関係にあり、墨塗りを施すために墨塗り用の電子文書を前もって作成しておくということである。一方、今回提案する方式では、墨塗り者と署名者(提案方式の中では告発者と被告発者という関係になる)が協力的な関係でない場合でも墨塗りを施すことが出来、且つ、電子文書自体も墨塗り用に作成された電子文書でなくても墨塗りを施すことが可能であるという点が大きく異なっている。 これを可能とするため、電子文書の検証の際、従来方式では検証者により、各乱数付きブロックのハッシュ値を計算し、署名検証を行っていたが、提案方式ではセキュリティデバイス内で墨塗り対象文字列である暗号化された文字列データを復号し、復号された文字列データを元の位置に埋め込み、元文書を一時的に復元する。復元された元文書のデータよりハッシュ値を算出し、署名検証結果であるハッシュ値と比較し、文書の正当性を検証するようにしている。セキュリティデバイスの中でのみ墨塗り文字列が復号されるため、検証者であっても墨が塗られた文字列の内容、及び元文書の内容を知ることはできないという特徴を持つ。また、ここでは、このような墨塗り処理を行った文書に、内部告発者がグループ署名を行えるようにする機能も同時に実現している。 これらの機能を実現するプログラムを、Window XP上にC#を用いて開発した。ここで、グループ署名の部分はNEC、情報セキュリティ大学院大学、筑波大学によってC言語を用いて開発された「グループ署名ライブラリ」を利用した。このライブラリで実現したグループ署名は楕円曲線の双曲線性(Pairing)を用いるものである(DICOMO2007にて発表予定)。なお、すみ塗り検証の処理の一部は、ICカードなどのTrusted Third  Party(TTP)の中で実施すべきであるが、開発環境の制約から今回はすべてPCの中で実現している。 次に、このプログラムを10人からなるグループの1人が内部告発者である問題に適用した。その結果、PCとして、OS: Windows XP professional version2002 Service Pack 2 CPU: Intel Pentium M processor 1.1GHz Memory:760MBを用いた場合、グループ署名に要する時間は約0.3秒と十分小さな時間で可能であることを確認した。また、墨塗りの処理も0.1秒未満とPCの中の処理であるが、実用的な時間で処理できる見通しを得た。 今後は、すみ塗り検証の処理の一部をICカードなどTTPの中で実施できるようにすることなどにより、さらに実用性の高いものにしていきたいと考えている。 なお,これらの研究は2004年度から2006年度まで実施された文部科学省科学技術振興調整費「重要課題解決型研究等の推進 セキュリティ情報の分析と共有システムの開発」の研究開発成果の一つとして実施されたものである。 キーワード:内部告発、グループ署名、墨塗り、匿名署名技術

6D-3 (時間: 15:20 - 15:45)
題名防犯カメラを念頭に置いたユビキタスネットワーク社会における人の所在情報の保護に関する一考察
著者*中野 潔 (大阪市立大学)
Pagepp. 1200 - 1206
Keyword監視カメラ, 防犯カメラ, 所在情報, 肖像権, プライバシー権
Abstract ユビキタスネットワーキングの普及に伴い、情報面でのプライバシー侵害や個人情報の保護が問題になるようになってきた。本稿では、まず、船越一幸、青柳武彦、小林正啓の理論をレビューする。三者の論考の中でも、監視(防犯)カメラに関する論議を中心に、社会情報学の観点を主とし、一部、法学の観点をまじえて分析する。  船越は、「存在や行為の痕跡」を各主体が制御することが必要だが、実現については難しいので議論が必要であるとした。また、船越は、監視(防犯)カメラに関して、肖像権の保護から議論を始めている。それ自体は、今までの多くの論者の議論の流れを踏まえており、十分合理的である。  船越は、また、ある程度の判例の積み重ねのある、公的場所における公権力による撮影と、公的場所におけるマスメディアによる撮影に、主たる論点を絞っている。これも、判例を主たる材料として論じる上では、それなりに合理的である。  しかし、ユビキタスネットワーク社会における防犯カメラの利用においては、これらの枠組みでは、判断できないケースが出てくる。公権力による撮影では、公権力が個人の政治的活動をはじめとする活動を抑圧するのに利用する可能性が出てくる。また、マスメディアによる撮影では、たとえ、公的場所にいたのだとしても、特定の施設に入った後であるとか、特定の個人と親密にしている状況であるとか、他者に知られたくない事実を撮影により証拠づけられ、意に反して公表される可能性が出てくる。  だが、次に列挙するような事態においては、権力の抑圧にも知られたくない事実の公表にも、つながるとは、通常、考えられない。路上によくいる人に、路上にいたときの顔を見られた(顔自体は秘匿すべき事実ではない)という事態との差を、明確に説明するのは、案外難しい。その事態とは、すなわち、市民が市民を見守る(監視する)ようなケースが増えてくること、平穏でいる間は撮影した画像が人間の目に触れることなく定められた期限が過ぎると消去され、事件や事故が起きたときだけ人の目に触れるような運営がなされる可能性があること、事件や事故が起きたときだけ個人が識別できるような画像に戻せるようにしておき、平常時にはモザイクを掛けた画像だけが表示されるといった仕組みにする可能性があること、顔識別やナンバープレート識別によって即座にテキストデータ情報のような形にし、撮影した画像は消去してしまうような仕組みにする可能性があること−−などである。  青柳は、不可侵私的領域に属する情報については法的強制力を行使してでも保護すべきだが、それ以外の部分では自由な流通を許して、電子商取引などを隆盛に導くべきだと主張した。また、防犯カメラについては、その効果を高く評価し、テロリストが闊歩している危険な状況を少しでも回避するための防犯カメラに、なぜ異議を唱えるのか−−と問い掛けている。  小林は、憲法13条により保障される基本的人権として「みだりに行動を記録されない自由」があるとした。誰に見られてもおかしくない公的場所において、コミュニティーの多くの人に知られている(すなわち、秘密ではない)顔を露出しているとしても、この自由により、カメラの設置主体にかかわらず、カメラによる撮影には、厳しく枷をはめるべきだとした。  筆者は、不可侵私的領域に属さない存在や行動の痕跡も、記録して統合すれば、個人のセンシティブな情報について確度高く推定できてしまうと考え、小林の考えにおおむね賛同する。防犯カメラ、各種認識システムなどを組み合わせれば、ユビキタスネットワーク社会のメリットを生かした便利なアプリケーションが生み出されうるが、一方で、市民の自由に対する脅威にもなりうる。これらシステムの利用を全面否定せずに、幅広い議論の中から新しいタイプの情報モラルや船越のいう「新しい法理」を形成していくしかないと考える。


セッション 6E  ユビキタス情報処理5(UBI)
日時: 2007年7月5日(木) 14:30 - 15:45
部屋: 鶴・亀
座長: 今野 将 (東北大学)

6E-1 (時間: 14:30 - 14:55)
題名神戸イルミネプロジェクト:LEDを使ったブレイクダンスパフォーマンス
著者*牧 成一, 藤本 実 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻), 花岡 邦俊, 沖野 将司, 池田 朋大, 岡田 量太 (神戸大学大学院/自然科学研究科電気電子工学専攻), 細見 心一 (大阪大学大学院/情報科学研究科・マルチメディア工学専攻), 中田 眞城子 (えぬぷらす), 塚本 昌彦 (神戸大学/工学部電気電子工学科)
Pagepp. 1207 - 1214
Keywordウェアラブルコンピューティング, ダンス, LED, 加速度センサ, 電飾ファッション
Abstract本稿では,2006年の神戸ルミナリエでイルミネーションブレイクダンスを披露したイルミネプロジェクトと,制作したシステムについて述べる.イルミネプロジェクトとは,LEDをはじめとするウェアラブルファッションという新しい産業・文化を神戸から立ち上げることを目的とし,神戸大学塚本研究室と神戸ベンチャー研究会が協力し2005年に立ち上げたプロジェクトである. 近年,コンピュータや半導体,センサなどの小型化により,ユビキタスコンピューティング環境が実現しつつある.このような環境では,アクセサリや服などにLEDを埋め込むことが可能となり,これらの作品は様々な展示会やファッションショーなでで披露され注目を集めている.これまで,筆者らの研究グループでは,LED同士の高度な連携を実現するユビキタスデバイスの可能性に着目し研究活動を行ってきた.そして,2005年にイルミネプロジェクトを立ち上げ,制作したシステムを利用したパフォーマンスや機能説明を行ってきた.2005年には,ルミナリエ期間中にルミナリエ会場の南にある噴水広場前公園にて,ジャケット,帽子,ストラップ,マフラーにLEDとセンサと取り付けた作品を披露した.2006年の夏には,神戸摩耶山にてウェディングドレス,タキシード,十字架,風船などにLEDを取り付けたウェディングセレモニーのデモンストレーションを行った.そして,2006年のルミナリエ期間中には,昨年と同様の場所で,ダンスズボンシステム,加速度センサをつけたLEDバー,LEDマトリックスを制作し,ブレイクダンスのパフォーマンスを披露した. ダンスズボンシステムは,プログラムで制御されたLEDがバックミュージックやブレイクダンスの動きとタイミングを同期させて多彩なパターンで明滅する.これによって装着者は,自らのパフォーマンスに光という新たな要素を加えることができ,さらに自由な表現が可能となる.今回のダンスズボンシステムでは,1着あたりフルカラーLEDを16個用いており,これらのLEDの明滅パターンをマイクロコントローラで制御する.マイクロコントローラを利用することで,明滅パターンをシナリオ通りに再生することが可能となる.LEDの明滅を制御するプログラムは,1ms単位での調整を行いバックミュージックとの正確なタイミングの同期を実現した.ブレイクダンスでは装着者が激しく動き回るため,ダンスズボンシステムのハードウェアは衝撃や振動への耐久性と,装着者の動きをできるだけ阻害しないことが求められる.そこで,設計の段階からハードウェアにさまざまな衝撃対策を講じた上で,LEDへの配線の引き回しと固定方法にも衝撃を吸収する工夫を施した.また,センサやスイッチ等といった外部からの入力を増やすと,ダンス中の衝撃により装着者の意図しないタイミングでLEDが動作する危険性が高まる.そのため,今回のダンスズボンシステムでは,LEDを点灯させる制御のほとんどをソフト側で行い,外部からの入力をダンス開始時のスイッチのみとした. 加速度センサを用いたLEDバーは,縦に16個のLEDを並べ,装着者の手の動きに反応して文字やイラストを表示させる.今回は5パターンのコンテンツをスイッチで切り替えて表示した.LEDマトリックスは,8×16個のLEDを用いており,ダンサーの胸に付けてアニメーションを表示させた.LEDバーとLEDマトリックスにおけるコンテンツ制作のために,PC上で専用の開発環境を作成した.この開発環境では,マウスを利用しエディタ上で絵や文字を書くことで,フリーハンドでコンテンツを制作することを可能とする.LEDマトリックスは,basicインタプリタを搭載しており,文字をプログラミングで表示させることを可能とする. パフォーマンスは5人のダンサーによって2006年12月10日と17日の2回に渡って行われた.3人がダンスズボンシステムを装着し,2人は手にLEDバーを胸にLEDマトリックスを装着し,パフォーマンスを行った.ダンスズボンシステムを装着したダンサーは,動きやすさを生かしてアクロバティックなダンスを披露した.脚の動きを大きく見せる振り付けにすることで,LEDの残像を効果的に利用したパフォーマンスを披露することができた.また,LEDバーとLEDマトリックスを装着したダンサは,メッセージやイラストを表示し,ダンスの手の振りとの連携を行った.

6E-2 (時間: 14:55 - 15:20)
題名ウェアラブルコンピューティングのための2つの加速度センサを用いたポインティング方式
著者*所 洋平 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻), 村松 邦彦 (神戸大学大学院/自然科学研究科電気電子工学専攻), 細見 心一 (大阪大学大学院/情報科学研究科・マルチメディア工学専攻), 塚本 昌彦 (神戸大学/工学部電気電子工学科)
Pagepp. 1215 - 1222
Keywordポインティング, ウェアラブルコンピューティング, 加速度センサ, ハンズフリー, 入力デバイス
Abstract近年,計算機の小型化,軽量化に伴い,ノートPC,PDAなどの計算機をユーザが常に身につけ利用するウェアラブルコンピューティングに対する注目が高まっている.一方,通常のデスクトップコンピューティング環境では,GUIが多く利用されるようになり,コンピュータを利用する際にはポインティングデバイスが必要不可欠である.すなわち、計算機を使用する際にはアイコンやボタンなどに対して,マウスなどのポインティングデバイスを用いて操作をおこなうことが一般的である.また,携帯情報端末などでは,文字入力やメニュー選択などにおいても、ポインティングを用いておこなう方法が実用化されている.ウェアラブルコンピューティング環境では、実世界における荷物を持つ,片手で他の装置を操作するような作業をしながら従来型のアプリケーションを利用することを考慮する必要があり、ハンズフリーで,操作の簡単なポインティングができるデバイスが求められている.既存のポインティングデバイスとして,トラックボールや視線入力があるが、しかし,トラックボールは手に持って操作する必要があり両手でなんらかの作業をしながらの使用が困難である.一方,視線入力は,カメラなどの機器が必要になり,作業に支障をきたす可能性がある.また,視線入力は,操作の自由度が低く,使いにくいという問題がある.そこで,本研究では,簡単かつ直観的な操作での入力とハンズフリー性の両方を満たすことを目的とした,2つの小型加速度センサによるポインティング方式を提案し,評価実験を行う. 提案する入力インタフェースでは,ユーザの両手もしくは両肘などに2個の小さな加速度センサを装着する.これにより,加速度センサを両肘に付けた場合は,両手で他の作業をしながらポインティングを行うことが可能となる.対応する表示画面では,画面左下の点と画面右下の点を支点とした2直線を表示させ,それらの2直線の交点にポインタを配置する.この2直線をそれぞれ装着した左右2個の加速度センサに対応させ,加速度センサの値の変化に応じて直線の画面下端からの角度を変化させることでポインタを動かす.加速度センサを取り付けた手先または肘の動きに同期して,画面上の直線が動き,その交点によって表されるポインタを動かすことができる.これにより,単純な動作で動き,直観的なポインティングが可能となる.提案したポインティング方式の有効性を示すため,プロトタイプシステムを用いてポインティング速度に関する評価実験を行った.実験の結果,提案方式は,画面左下右下など画面位置によってはポインティング速度が遅くなることが明らかになった.この問題を解決するために,直線の支点をポインティング画面上から下方に適切量だけ移動することで,問題をほぼ解決すると同時に,ポインティング速度をさらに向上させることが可能となった.また,プロトタイプシステムと既存デバイスとの評価実験を行い,提案方式の有効性について調べた.その結果,ハンズフリー性を実現しながら,手に持つ既存デバイスの一部とほぼ同等のポインティング速度を記録し,2個の加速度センサを用いる方式の有効性を示すことができた.提案方式は,手で他の作業を行いながら利用することが可能なため,さまざまな応用が考えられる.具体的な例として,医療現場での利用が考えられる.歯科医療のように,問診と施術を同時に行う現場では,治療をしながらカルテや施術の記録を入力するために,ハンズフリーで使いやすいポインティング方式が求められる.外科などの手術の場合でも,医師と麻酔技師などの間での情報共有のためにウェアラブルコンピューティングが利用されているが,その際にも本研究で提案する方式は有効であると考えられる.また,工場などで,荷物の運搬作業をしながらの計算機の利用や,重機や他の装置を操作しながらマニュアルを見る際などの利用にも提案方式は有効であると考えられる.

6E-3 (時間: 15:20 - 15:45)
題名無線ネットワークを使用した設備の監視制御システムにおける端末管理方式の開発
著者*堀 悟, 藤岡 孝芳, 鮫嶋 茂稔 (株式会社日立製作所システム開発研究所)
Pagepp. 1223 - 1226
Keyword設備の保守管理, 無線ネットワーク, 省メモリ, SNMP


セッション 6F  ナレッジマネジメントとワークフロー(GN)
日時: 2007年7月5日(木) 14:30 - 15:45
部屋: 展望サロンA
座長: 國藤 進 (北陸先端科学技術大学院大学)

6F-1 (時間: 14:30 - 14:55)
題名客観的知識の抽出プロセスに基づいたプロジェクト推進評価システムの提案
著者*亀田 栄一, 勅使河原 可海 (創価大学工学研究科情報システム工学専攻)
Pagepp. 1227 - 1232
Keywordknowledge, ontology, semantic web
Abstract近年,企業・組織において「ナレッジマネージメント」を目指したシステム開発が行われている.しかし実態は,その多くがドキュメント管理システムや企業情報ポータルであり,システムによって膨大な情報は蓄積されていても,有効な「知識や経験の継承」を行うことは難しい.一方,現在Web上のコンテンツを最大限に活用するための方法として,「セマンティックWeb」の技術が注目されている.セマンティックWebは,人間の知識を意味の構造であるオントロジーによって表現し,意味付けされた情報を有効に活用しようというものである.しかし,医療分野やシステム開発の分野など,特定の領域の専門知識のオントロジー化と,その実用性を図る研究が進められているが,企業などの組織の知識共有・継承を対象とした研究は,まだ十分には取り組まれていない.本研究では,組織における知識共有・継承においてセマンティックWebを活用する事例として,プロジェクト推進評価システムを提案する.即ち,企業組織の過去の経験から客観的知識を抽出してモデル化,オントロジー化し,モデルやオントロジーを理解可能なエージェントを作成することによって,組織構成員が有する様々な情報をプロジェクト推進に最大限に活用することを目的としている.

6F-2 (時間: 14:55 - 15:20)
題名ホワイトカラーの業務プロセス把握に適した業務管理モデルの提案と実証
著者*坂口 基彦, 本橋 洋介, 坂上 秀和 (NEC サービスプラットフォーム研究所)
Pagepp. 1233 - 1238
Keyword業務プロセス, カイゼン, ホワイトカラー, 生産性
Abstract工場における生産性が「カイゼン」活動により飛躍的に向上する一方で、ホワイトカラーの生産性はあまり向上していない。この原因は、ホワイトカラーの業務プロセスは遂行の途中で変化するため把握が難しく、「カイゼン」課題が抽出されにくいことにあると考えた。そこで本稿では、作業者自身が業務遂行の過程で業務プロセスを詳細化することを特徴とする業務プロセス管理モデルを提案する。また、実際のホワイトカラーの業務に、本モデルに基づく試作システムを適用し実証実験を行なった。その結果、本モデルの適用により実際のホワイトカラーの業務プロセスを詳細化することが可能なことを確認した。さらに、業務プロセスの詳細化によって生産性をカイゼンすることが可能な実例を発見した。

6F-3 (時間: 15:20 - 15:45)
題名ビジュアルメタグループウェアにおけるファイル共有システムの構築
著者*松本 義隆 (神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻), 古井 陽之助 (九州産業大学情報科学部社会情報システム学科), 速水 治夫 (神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻)
Pagepp. 1239 - 1242
KeywordVMG, グループウェア


セッション 6G  RFID (UBI)
日時: 2007年7月5日(木) 14:30 - 15:45
部屋: 展望サロンB
座長: 戸辺 義人 (東京電機大学)

6G-1 (時間: 14:30 - 14:55)
題名Implementation of ID-Based Signature in RFID System
著者*Piseth Ith (筑波大学情報学類), 大山 義仁 (筑波大学・大学院システム情報工学研究科), 猪俣 敦夫 (科学技術振興機構), 岡本 栄司 (筑波大学・大学院システム情報工学研究科)
Pagepp. 1243 - 1248
KeywordRFID, IBE, Digital Signature, Pairing
AbstractRFID is a new technology developed to bring convenience in many areas. In a short period of time, RFID becomes one of popular topic and the use of RFID is growing rapidly. This pervasive use of RFID causes many kinds of security concern such as tag cloning, data forgery, privacy violence, etc. Many studies have been conducted to achieve a safety RFID system. Hopper and Blum proposed an authentication protocol called HB protocol based on the hardness of Learning Parity with Noise (LPN) problem. Later, Jonathan Katz et al and Julien Bringer et al modified the protocol to HB+ and HB++ to assure higher security against many kinds of attack. In this protocol, the tag is required to make some easy computation such as multiplication and addition. This means that this kind of authentication protocol cannot be applied only on passive tags which have no ability in computation. In practice, passive tags are used in many areas but currently we have not found any study in passive RFID tags yet. Pairing cryptography is a new cryptosystem which requires shorter key length compared to RSA cryptography while the security level is almost the same. ID-Based Encryption (IBE) is a cryptosystem in which public key is the user's unique information. In IBE, certification process of public key is unnecessary. Since the certificate of the public key is not needed, this cryptographic scheme is suitable for the low resource devices such as RFID tags. Florian Hess proposed a ID-Based signature scheme based on pairing. Dan Boneh et al proposed another algorithm of short signature based on pairing. Since passive RFID tags have no ability of computation and small memory, dealing with the security problem in passive RFID tags is a difficult work. It is very hard to implement any encryption of data or digital signature with a cryptosystem where the key size is long. In our work, we try to implement security solution of passive RFID tags. Our goal is to succeed in preventing data forgery in passive tags by implementing digital signature based on IBE and pairing. We also mean to evaluate the effectiveness of our proposed secure RFID in the real system. We make use tag's unique ID (UID) as ID in ID-Based cryptosystem and we adopted the digital signature scheme based on Pairing by Dan Boneh. We also tried to implement another scheme by Florian Hess and compared both algorithms to find the most effective method for using in RFID. Actually, we implemented the signature by applying 170-bit key. As a result, Hess's scheme produced a 1024-bit signature while Boneh's scheme produced a 170-bit signature. From the signature length viewpoint, we found that short signature scheme by Dan Boneh is more suitable with RFID than that of Florian Hess. However, we also found that the computing time needed in Boneh's scheme is about 10 times more than Hess's scheme. To evaluate our prototype, we executed some experiments on our implemented system. We confirmed some effectiveness of ID-Based Signature and pairing in protecting data against forgery. Our system could successfully detect the maliciousness of falsification of data stored in the tags. Furthermore, from our work we could find some clue to the security solution in passive RFID tags as well as other kinds of RFID tags. We also noticed that in practice, the trade-off between signature length, computing time and security level is very important.

6G-2 (時間: 14:55 - 15:20)
題名RFタグユーザメモリ制御方式の検討
著者*陳 卓 (東京工業大学大学院社会理工学研究科経営工学専攻), 江原 正規 (東京工科大学コンピュータサイエンス学部LinuxOSSセンター), 星 徹 (東京工科大学コンピュータサイエンス学部)
Pagepp. 1249 - 1253
KeywordRFID, RFタグ
Abstract近年,物流,トレーサビリティ,物の管理などの分野におけるRFID技術の利用が急速に進展しているが,これまでのシステムのほとんどは,RFタグ内のUID(Unique Identifier)のみの利用に留まっているのが実情である.一方で,RFIDシステムの運用拡大につれ,RFタグのユーザメモリの活用に関する要望は高まっており,それに対応する形でISO/IEC 15961,15962においてユーザメモリ制御コマンドやユーザメモリの構造やエンコード,ディコード方法などが定義されてはいるが,この規格は有効に活用されてはいない.そこで本研究では,その標準規格を実装し,RFタグのユーザメモリを制御することで,現状の規格における問題点と解決策について検討した.

6G-3 (時間: 15:20 - 15:45)
題名個人の特定と測位情報を制御可能な相互認証型タグシステムにおける再認証機構
著者*森川 知憲 (立命館大学大学院 理工学研究科), 西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部)
Pagepp. 1254 - 1258
Keyword認証技術, 位置測位, RFID
Abstract近年,RFID技術の発展に伴いRFIDを利用したサービスが増加してきた.しかし,現在サービスに利用されているパッシブ型RFIDや,アクティブ型RFIDは,対応するRFIDのリーダを第三者が持っている場合,データを読み取られる危険性がある.利用者のプライバシーに対しても配慮されていないままサービスで利用されている場合がある.また,利用者がサービスを利用する場合に,RFIDのデータを読み取っているリーダが,利用者から信用のできるリーダであることを確かめなければならない. 本研究室ではRFID技術を用いてプレゼンス情報を利用する実証実験を行った.1つは,RFIDのリーダが学童の持つRFIDを検知すると,カメラで学童の登下校風景を撮影し,学童の登下校を見守るシステムである.このシステムでは,RFIDを持つ学童がカメラで撮影されたことがわかるが,カメラの画像内に複数の学童が写っている場合に,該当する学童がどこに写っているのかわからない結果となった.そのため,画像内での人物特定ができるように,カメラ認識と利用者の特徴情報を用いて,システムが判断できるようにならなければならない. そして,もう1つはカラータグを持った利用者に対して,カメラでカラータグを認識し,利用者の近くに情報を配信するシステムである.このシステムでは,利用者の近くにコンテンツを表示し,情報提供が行えているが,その利用者に合わせた情報の配信ができていない.利用者の嗜好に合った情報を配信するためにも,個人を特定し利用者の嗜好情報を反映した情報提供ができるシステムでなければならない.しかし,システム側がカメラを用いて個人を特定できると,公共空間ではプライバシー侵害の恐れがあるため,利用者の意思によって,プレゼンス情報や個人情報などの,プライバシー情報の制御が行えるシステムでなければならない. 本研究では,現在のアクティブ型RFIDにおける問題点に着目し,空間内に存在する利用者の位置情報を取得することができ,プレゼンス情報や個人認証に関して,利用者からシステムに伝える情報の制御が行える,セキュア通信をするタグシステムの実現である.本タグシステムが実現されると,街中情報配信や,学童見守り,様々な利用者支援システムにおいても,さらに利用者のニーズに配慮したサービス提供が行えるようになる. 本タグシステムでは,利用者のタグを認証することに付け加えて,認証システムを利用者の持つタグが認識する設計であり,タグと認証システム間でのRF通信は暗号化が行われており,第三者から容易に読み取られることのない設計である.経路内に流れるデータも通信毎に暗号文が変わり,シーケンス番号と組み合わせてリプレイ攻撃やなりすましに対応できる設計となっている.また,タグにはシステムに位置情報を知らせるために発光できる仕様となっており,画像認識を用いて,タグからの点滅信号を認識し,利用者の位置情報を取得する設計である.点滅信号は認証システムが点滅パターンを個別に決めてタグが発光する設計である.点滅パターンは,認証に必要なデータを認証システムとタグ間のRF通信で送信するデータと分割して決める.利用者の認証には,点滅パターンとRF通信を用いて送信されたデータを合わせて認証を行い,RF通信経路に流れるデータが分割されているため経路内の暗号強度も向上している.また,画像認識を用いての点滅パターン取得を考慮して,画像処理におけるプリアンブルの設計も行っている.画像認識で利用者を見失った場合や,利用者の特定ができない場合は再度位置取得を行う設計となっている. 利用者のプライバシーに対しても配慮できるように,利用者が認証システムに位置情報の取得や,個人認証を行うかを選択するためにプライバシーレベルの設計も行っている. 本タグシステムのプロトタイプとして,携帯電話を用いてタグを実装し,携帯電話に搭載されているライトを点滅させて,画像認識で利用者の位置取得を行った.また認証システムと携帯電話との通信は携帯電話網を介してHTTP通信を行い,インターネット上にある認証システムと通信を行った.利用者の認証では,認証に必要なデータを携帯電話に搭載されているライトの点滅パターンと,HTTP通信に分割して認証を行っている. 本論文では,ユーザとシステムの相互認証型のセキュア通信が行え,画像処理とRFIDを組み合わせた位置情報が取得でき,利用者の意思でプライバシー情報が制御できるタグシステムを設計・実装・評価をする. 参考文献 Nishio N. et.al Wonder Wall:Realization of Interactive Wall in the Movie Minority Report,Demos of UBICOMP'06(Sep.2006) 塩津 真一, 山田 勇, 稲野 聡, 板崎 輝, 武仲 正彦, ”セキュアRFIDシステムの開発”, 情報処理学会 マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2006)シンポジウム論文集, pp.353-356, (2006) Sakata M. et.al. Active IR-tag User Location Systemfor MR Collaborative Environment, 3rd CREST/ISWC Workshop onAdvanced Computing and Communicating Techniques for Wearable InformationPlaying, pp.90-93, Oct. 2004, Arlington, VA, USA


セッション 6H  ナビゲーション(ITS)
日時: 2007年7月5日(木) 14:30 - 15:45
部屋: 回転スカイラウンジ
座長: 小花 貞夫 (ATR)

6H-1 (時間: 14:30 - 14:55)
題名歩行者の空間認知に適応した動的な案内地図作成
著者*北 望, 高木 健士 (慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻), 井上 智雄 (筑波大学大学院図書館情報メディア研究科), 重野 寛, 岡田 謙一 (慶應義塾大学理工学部)
Pagepp. 1259 - 1266
KeywordITS, 歩行者ITS, 地図作成, モデル化
Abstract歩行者ITS では歩行者の移動を支援するため,デフォルメ地図の作成や経路選択方法など歩行者にとって分かり易い地図を作成するための研究が様々な面から行われてきた.しかし既存の研究では地図の見易さ・分かりやすさは考慮されているが,実際の歩行者の環境までは考慮されていない.歩行者は地図を見て移動するが,歩行者をとりまく実際の環境は時間や天気,周囲の状況によって動的に変化していくため,地図の見易さだけでなく,実際の歩行者環境を考慮した上での案内地図作成が重要である.歩行者は移動を行う時に,自身の内に認知地図を構成することで空間を把握するが,この際ランドマークが自身の位置と地図上の位置を対応付ける上で重要な役割を果たすと考えられている.しかしランドマークは提示方法や経路を決定する要素の一つとしてしか利用されず,実際に歩行者がランドマークをどのように捉えているのかについては研究がされてこなかった.人の空間認知は認知心理学の分野で古くから研究が行われてきており,距離感や方向感などの人が持つ感覚に関する研究は,都市計画や建築物に応用されてきた.これら都市空間や建築物は,人が移動経路を決定する際に影響を与える直接的な原因であるため,近年の歩行者ITS の分野でも人の空間認知を利用して移動を支援するようになっている.例えば,パスやランドマークといった構成要素を地図上に表示すべきか,強調や省略をどのように行うか,という空間認知の視点を通じて,人の視点に近い移動支援を行うことができると考えられる. そこで本研究ではランドマークの視認性に着目し,歩行者自身から見て目立つランドマークの条件を定量化することで,歩行者の移動を迷いなく間違いなく行える案内地図の作成を提案する.現在案内地図で用いられているランドマークは案内地図の作成者が選択しているが,ランドマークの視認性を定量化することで,作成者の主観に依らず,歩行者にとって分かり易い案内地図の作成が可能となる.本研究ではランドマークの視認性を構成する要素として種類別条件,視対象条件,環境条件の3つに着目する.種類別条件とは,地図上に表示されるランドマークとして人が認知しやすいランドマークの種類を定量化したものであり,視対象条件とは視対象の大きさ,特に歩行者から見た建物の幅といった物理的条件である.さらに環境条件とは,照明,採光,空間の大きさ,形状,内装などの空間における光の状態を決定する物理的要因であり,本研究ではランドマークが存在する道路の幅と時間による明暗の変化で決定する. これら3つの条件についてそれぞれ予備実験を行い,サンプルモデル作成のための指標を導出する.さらに導出した指標を用いてサンプルモデルを作成し,このモデルを用いることでランドマークの視認性を考慮した案内地図を作成する. 本研究ではカーナビゲーションなどでよく用いられるDijkstra 法による最短経路ではなく,視認性の高いランドマークを経由する経路を選択するランドマークルーティングアルゴリズムを利用する.本アルゴリズムを用いることで,視認性の高いランドマークを経由する経路を選択できる.ここで,歩行者の周囲の環境によってランドマークの視認性は変化するため,選択される経路も動的に変化していく.そのため,歩行者が置かれた実際の環境に適した地図を提供することが可能となる.評価実験では,本研究で作成したランドマーク定量化のサンプルモデルと,それによって作成された案内地図の評価を行った.実験方法として,Dijkstra 法で決定した経路と提案手法によって決定した経路のそれぞれにおいて,経路長,判断時間,誤り回数を計測した.ここで経路長は昼用の地図と夜用の地図上でそれぞれ測った実測値で,判断時間と誤り回数は,映像を見ながら仮想的に移動してもらった時に間違えた回数であり、夜と昼それぞれで実験した。実験結果から,本提案手法を利用した場合に経路長は長くなるが,判断時間,誤り回数共に低減され,ランドマークの視認性を取り入れた案内地図の有効性が示された.

6H-2 (時間: 14:55 - 15:20)
題名建築・空間デジタルアーカイブスを用いた実空間上の建築散歩支援システムの設計と実装
著者*遠山 緑生, 大久保 成 (慶應義塾大学DMC機構), 加藤 貴之, 南 政樹 (慶應義塾大学政策・メディア研究科), 村井 純 (慶應義塾大学環境情報学部)
Pagepp. 1267 - 1274
Keyword位置情報, GPS, デジタルアーカイブス, 歩行者ナビゲーション, コンテクストアウェアネス
Abstract本論文は,都心部における建築・空間に関する資料のデジタルアーカイブスを利用した,建築散歩支援システムについて提案し,設計と実装について述べる.このシステムは,利用者のコンテキストに基づいて,デジタルアーカイブス上の資料を提示し,利用者の実空間行動を支援するものである. 建築や都市空間については,有意義で資料的価値が高い資料が存在していても,一般利用者が楽しめるような形では提供されていないことがある.本論文では,携帯電話やPCのWebブラウザを用いて,利用者がこのような資料を楽しむことができるシステムの設計と実装について述べる.特に,携帯電話を用いることで,その建築に向き合った現場で,「今この目の前」にある建築や地域について,その成り立ちの資料や過去の写真を閲覧できるシステムを提案する.

6H-3 (時間: 15:20 - 15:45)
題名研究・教育を支援する位置情報提供サービスの構築と運用
著者*波多野 敏明 (慶應義塾大学 環境情報学部), 奥村 祐介 (慶應義塾大学 政策・メディア研究科), 佐藤 龍 (慶應義塾大学 環境情報学部), 小原 泰弘 (慶應義塾大学 政策・メディア研究科), 加藤 文俊 (慶應義塾大学 環境情報学部), 南 政樹 (慶應義塾大学 政策・メディア研究科)
Pagepp. 1275 - 1280
Keyword位置情報システム, コンテクストアウェアネス, RFID, 応用・社会システム
Abstract本論文は,慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(以下慶應SFC)の情報インフラストラクチャとして構築された、位置情報提供サービスについて報告する。この位置情報提供システムは、人やモノの位置情報を活用した研究,教育活動を支援する目的で、2005年10月から設計・実装と運用を行っている。 人やモノが実空間上のどの辺りに存在しているかを示す位置情報は,ユビキタス・コンピューティングをはじめとした様々な分野で利用されている.また,研究に限らず,実空間指向のアプリケーションを教育や実際のサービスとして実現するためにも位置情報は必要である.そこで,様々な活動を支援する基盤して位置情報を提供するシステムが必要であると考え,キャンパス全域をカバーする位置情報共有システムを構築した. その結果,利用者は位置情報提供サービスから得られる位置情報を利用して「出欠確認システム」「客観的事実にのみ基づくブログ」「キャンパスマッチングサービス」などのアプリケーションを作成し公開した.また,あらかじめ同意した教員が,自身の位置情報をパブリックドメインの共有財として公開し,それを可視化し公開することで,学生とのコミュニケーションが誘発されるなど,位置情報の新たな可能性を見いだすことができた.



2007年7月6日(金)

セッション 7A  モバイルアプリケーション(MBL)
日時: 2007年7月6日(金) 8:30 - 10:40
部屋: 平安
座長: 清原 良三 (三菱電機)

7A-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名WLAN-IP携帯端末をベースにした学園向け多目的端末の開発と評価
著者*尾川 正美 (富士通(株)文教ソリューション事業本部/北陸先端科学技術大学院大学), 廣田 多加治 (富士通(株)文教ソリューション事業本部), 松澤 照男 (北陸先端科学技術大学院大学情報科学センター)
Pagepp. 1281 - 1286
KeywordWLAN-IP端末, ユビキタス端末, 中等教育機関, 指紋認証, Felica
AbstractWLAN-IP携帯電話をベースにした学園向け多目的端末の開発と評価 初等教育機関では児童の安全確認へのRF-IDの利用が,高等教育機関では個人認証の為のICカード利用,学習支援の為の携帯端末の利用など携帯デバイスの活用が進展してきた.我々は,全寮制の中等教育機関向けに,危機管理支援や生活支援に役立つ電子生徒手帳として,生体認証機能付きでICカードを内蔵したWLAN-IP携帯端末を設計・開発した.この設計の経緯と1年間運用した結果に基づいた評価を報告する.

7A-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名Mobile ER: 救急活動支援画像配信システム
著者*砂原 秀樹, 森島 直人, 神原 誠之, 石橋 賢一 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 今西 正巳 (奈良県立奈良病院)
Pagepp. 1287 - 1292
Keywordモバイルネットワーク, 遠隔医療, Mobile IPv6, ネットワークモビリティ
Abstract 救急活動において現場の患者の様子を的確に医師に伝えることが重要である。現在の救急活動では救急隊員は携帯電話を用いて医師と連絡を取りながら応急措置をすませ受け入れ病院へ患者の搬送を行っている。こうした状況を改善するため現場の様子の画像を医師に伝えるシステムの開発が望まれているが、携帯電話等の通信システムの限界、受け入れ病院側での通信システムの整備等、普及展開には困難を伴っている。我々は一昨年よりインターネット技術を用いワイヤレスブロードバンド接続によって救急車と病院を密接に結合するシステムの開発を行ってきた。ここでは、Mobile IPv6やNEMOといった移動体通信支援機能を持ったモバイルルータを核に、救急車内にネットワークを敷設し複数の機器をインターネットからアクセスできるようにしている。今回実現したシステムでは、救急隊員はウェアラブル機器を装着し、隊員が目視している場所の画像を医師に伝達するようになっている。同時に隊員と医師は音声での会話も可能であり、画像と音声を用いた円滑な情報交換が行えるようになっている。さらに、心電図等の各種医療情報機器からの情報もインターネットを経由して送信可能であり、医師が患者の状況を的確に判断できるようになっている。医師側の機器は通常のPCとインターネットアプライアンスを用いており特殊な装置を必要としないため普及展開も容易であると考える。なお、このシステムで扱われる情報は個人情報を含むため通信においてこれらの情報が漏洩しないようセキュリティやプライバシに配慮してシステムは構築されている。  本論文では、これらのシステムの詳細を述べるとともに、現在実現できている機能の概要を示す。また、本システムの実用化へ向けた今後の展望についても述べる。本システムは、生駒市消防本部の救急隊員及び救急病院の医師とも協力して開発を進めており、これらの評価についても述べる。

7A-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名モバイル端末向け自動通訳システムにおける複数アーキテクチャの統合
著者*長田 誠也, 山端 潔, 花沢 健, 奥村 明俊 (日本電気株式会社 共通基盤ソフトウェア研究所)
Pagepp. 1293 - 1298
Keyword携帯端末, 自動通訳, ユーザインタフェイス, 音声認識, 機械翻訳
Abstract複数の自動通訳システムをモバイル端末向けに統合する手法を提案する。 多くの自動通訳システムでは、音声認識エンジン、機械翻訳エンジン、音声合成エンジンの3つのエンジンを持っている。 音声認識エンジンの出力の正しさは、利用者が見れば判断できるが、自由文機械翻訳エンジンの出力の正しさは、利用者が判断することは難しい。 一方、機械翻訳エンジンには例文選択型翻訳エンジンがあり、翻訳精度は保障されているが、カバレッジが不十分であるという課題がある。 そこで、この自由な入力を許す通訳システムと、例文ベースの通訳システムを統合することで翻訳精度とカバレッジを両立させながら、ユーザにとって使いやすい統合方式が望まれている。 一方、自動通訳システムは、人との対面での使用を想定しているため、簡単に持ち運べたり、使いたいときにすぐに使えるように、小型の端末で動作することが望まれている。 しかし、複数のシステムを統合した統合システムは、一般的にはシステムが複雑化し、それに伴いシステム内の状態遷移が複雑化し、更にユーザインタフェイスも複雑化するため、小さな画面と簡単な入力デバイスしかもたない携帯端末への搭載は難しい。 そこで、我々は自動通訳システムの特徴となる翻訳結果の出力という点で、複数の自動通訳システムの結果をユーザインタフェイスレベルで統合することにより、携帯端末上でも使いやすい統合手法を提案する。さらに、小型の携帯端末上での実現について述べる。 これにより、従来の統合システムでは利用者がシステム全体を理解して、システムの内部状態を意識しながら使用する必要があったが、提案手法では利用者がシステム状態を意識せずに使うことが可能である。 また、ユーザの操作数は、従来の統合手法よりも、提案手法の方が少ないことを示す。

7A-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名ホスト情報を用いたユーザコンテキスト推測機構
著者*坂本 憲昭, 倉田 哲也, 西尾 信彦 (立命館大学/情報理工学部)
Pagepp. 1299 - 1304
Keywordコンテキストアウェア, モバイルコンピューティング
Abstract近年,ユビキタス環境の実現の期待と共に,ユーザ自身のコンテキストに応じたサービスの提供を目指すコンテキストアウェア・コンピューティングの研究が盛んに行われている.これまでの研究の多くは,ユーザのコンテキストを取得するために,種々多様なセンサを我々の生活空間の中に遍在させ,そこから得られる情報を元にコンテキストの推測を行っていた.しかし,そのようなセンサが我々の生活空間の中に張り巡らされるといった環境が実現されるには,まだ多くの時間がかかることが予想され,ユーザのコンテキストを推測することが難しいのが現状である.一方,センサとは異なり,PCやPDAなどの小型・高性能なホストを使用する機会が増加している.仕事や会議の場での使用はもちろんのこと,プライベートやコミュニケーション手段としても使用されるなど,我々の生活の一部として,とても身近な存在になりつつある. そこで本稿では,ホストから取得できる情報のみを用いてユーザのコンテキストを推測することを目指す.ホストを使用する際には,ユーザは必ず何らかの目的をもって使用することが多いため,そのコンテキストをホストのみから取得することが出来れば,コミュニケーション支援や周囲の環境との連携など,様々なサービスに応用可能であると考えられる.ここで述べるコンテキストとは,「会議中」や「休憩中」などといったユーザがホストをどのような場所及び目的で使用するかに合わせたものである.また,そのようなコンテキストはユーザごとに無数に存在することが容易に想像できる.よって,ユーザごとの意思を反映するものでなければならず,システム構築の際に静的に定めておくことは適切ではない.本稿で提案するシステムは,ホスト管理部,コンテキスト管理部,コンテキスト推測部の三つのモジュールに分類される. ホスト管理部は,ユーザがホストを使用することで変化する様々なホストの情報や,ホストに接続されたデバイスなどの情報を取得・管理する役割を持つモジュールである.本モジュールにおいては,Probe Promptを使用する.Probe Promptとは,現在立命館大学ユビキタス環境研究室で研究されているシステムで,ホストに常駐し,アプリケーションからの統一的なアクセスによってホスト情報,あるいはホストの履歴に関する情報を容易に取得できるシステムである.現在CPU利用率やネットワーク状況などの取得が可能となっている.しかし,本稿ではホスト情報として,ホストの現在地や,近年のハードディスクに搭載されている三軸加速度センサの情報,実行中のアプリケーション,閲覧しているWebページなどの情報の取得・管理が必要なため,これらの機能の追加を行う. コンテキスト管理部は本システムにおいて最も重要となるモジュールである.ユーザコンテキストを推測するアルゴリズムなどの研究は,近年盛んに行われている.しかし,システム開発者がすべてのユーザに適したアルゴリズムや,その推測のための要素となるものを静的にシステムに組み込むことはユーザの意思を反映しにくく,コンテキスト認識確度の低下を招く原因となるため適切ではないと考える.一方,ユーザが逐一細かい設定を行うことは,ユーザの意思を推測システムに反映可能であるが,設定の煩わしさなどの問題もあるため現実的ではない.よって本システムのコンテキスト管理部では,ホスト管理部から取得したリアルタイムなホスト情報とその履歴からユーザの癖を見つけ出してユーザに提示し,取捨選択及びラベリングのみを行わせる.このことで,ユーザは少しの手間をかけるだけでシステムがユーザに合わせたコンテキスト推測を学習し,より高いコンテキスト認識確度が望まれる. コンテキスト推測部は,コンテキスト管理部で学習したユーザに合わせたコンテキスト推測基準を用い,ホスト管理部から取得したリアルタイムのホスト情報から現在のユーザコンテキストの推測を行うモジュールである.例えば,ACアダプタがはずされており,ホストに内蔵されている加速度センサが反応している場合は,現在ユーザはそのホストを持って移動中であることが推測される.また,会議室においてホストにプロジェクタが接続され,プレゼンテーションの資料のウィンドウが多く使用されている場合には,現在ユーザはプレゼンテーション中であることが推測される. 以上の三つのモジュールを用いて本システムを構築する.評価については,複数ユーザに数日間本システムを利用してもらい,そのコンテキスト認識確度の評価及びユーザビリティの調査を行う. 本稿では,ホスト情報のみを用いたユーザコンテキスト推測機構の提案を行った.また,システムがユーザの癖を抽出し,提示することでのユーザごとの意思をコンテキスト抽出機構に反映するための仕組みを提案した.今後は更なるコンテキスト認識確度の向上と,システムにかかる負荷の軽減を目標に提案システムの改善に取り組んでいく予定である. 参考文献 ・首藤幸司,西尾信彦,”センサフュージョンを利用した個人行動の未来予測機構”,ユビキタスコンピューティングシステム研究会報告,2006-UBI-12,2006年. ・森川大補,本庄勝,山口明,大橋正良,”コンテキストを活用したサービスプラットフォームの検討”,DICOMO2003,2003年.

7A-5 (時間: 10:10 - 10:35)
題名公共空間における周囲の第三者とのコミュニケーション支援のための自己プレゼンス
著者*通山 和裕 (立命館大学大学院 理工学研究科), 西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部 情報システム学科)
Pagepp. 1305 - 1313
Keywordubiquitous and mobile computing, mobile communication, shared encounters
Abstract近年,街中のような公共空間での第三者間コミュニケーション支援を目的とする研究/開発が各所で進められている.それらは,これまで表出していなかった人間関係を発見し,興味や嗜好,目的を共有する人々を結びつけることで,より価値の高い生活の実現を支援することを大きな目標としている.しかし,既存の手法は第三者間に交友関係を持たせるプロセスが急であり,心理的な抵抗が強い.本稿では,携帯電話などの携帯無線端末を用いて周囲の第三者とのゆるやかなコミュニケーションを支援することを目指し,そのために「いま周囲にいる第三者との共感」を実現する自己表現(自己プレゼンス)の要件について述べ,一手法として写真とテキストメモを周囲の第三者間で共有することを提案する.また,Web上のソーシャルブックマークを利用した予備調査から,公共空間において第三者たちの自己プレゼンスを利用して「場所の属性」や「潜在的なコミュニティ」を発見する手法の実現可能性を検討する.


セッション 7B  認証(CSEC)
日時: 2007年7月6日(金) 8:30 - 10:40
部屋: 花の舞
座長: 加藤 岳久 (東芝ソリューション(株))

7B-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名携帯電話におけるバイオメトリクス認証の安全性の評価
著者真鍋 大和, 山川 佑太, *佐々木 良一 (東京電機大学)
Pagepp. 1314 - 1321
Keywordバイオメトリックス, 携帯電話, 安全性
Abstract近年,携帯電話の普及に伴い加入者数が増加してきている.携帯電話には電話帳やメールなど多くの個人情報が入れられており,カメラ・テレビ・おサイフケータイといった様々な機能やサービスが登場してきている。決済機能の付加などの多機能化により,盗難による不正使用に対する安全性を強化する必要がある.そこで,より高い信頼性でかつ,利便性に優れているバイオメトリクス認証技術が導入されてきている。 バイオメトリクス認証の利点として,ICカードや免許証等の物体を携帯する必要が無く,パスワードのように記憶しておく必要も無いことから,本人の身体があれば良いので非常に利便性に優れている。しかし,年齢や環境により,認識率が変化する問題がある。また,本人であっても認証を拒否されたり,他人が認証できたりする誤認識が起きる可能性がある。 そこで、著者らは,これらの安全性を、実験を用いて検証することとした。ここで、バイオメトリックス付きの携帯電話としては、(1)指紋認証を用いるものとしてF505i、(2)顔認証を用いるものとしてN902is、(3)音声認証を用いるものとしてD902isを選定した。 そして、次のようにして実験を行った。  ・本人(登録者)  :1人 20代男性  ・他人(非登録者) :9人 20代男性 ・測定方法  ・本人による認証(1人につき10回) 本人の情報で登録し,本人の情報で認証 ・FRR※1の測定(1人につき10回) 例:登録者Aに対して認証者A    登録者Bに対して認証者B ・FAR※2の測定(1人につき10回)  例:登録者Aに対して認証者B,C,・・・,J    登録者Bに対して認証者A,C,・・・,J ※1 FRR(False Rejection Rate) ・・・本人拒否率 ※2 FAR(False Acceptance Rate)・・・他人許容率 その結果、通常の使用方法においては、次のようになることが明らかになった。        本人拒否率   他人許容率 (1)指紋認証:   0%     0% (2)顔認証:    0%     0% (3)音声認証:   8%     0% この結果よりいずれの方式も、通常の使用においては十分安全性が高いことが明らかになった。 しかし、(1)に対し人工指を用いたり、(2)に対し、顔写真や、携帯画面の画像を用いたり、(3)に対し、録音装置を用いる攻撃を実際に行ってみると、その成功率は、次のようになることが明らかになった。 (1)に対し人工指使用:81% (2)に対し顔写真使用:87% (2)に対し携帯画面の画像使用:97% (3)に対し録音装置を使用:89% これにより、バイオメトリックスを用いても必ずしも安全でないことが分かる。従来の報告では、ここまでで研究が終わる場合が多いが、ここでは、運用も含めたシステム全体としての安全性をフォルトツリー分析法を用い評価すると共に、対策案の検討を行うことにした。 フォルトツリー分析法を用いた分析の結果、各認証方式を用いた場合の成りすましの発生頻度は以下のとおりであることが明らかになった。 (1)指紋認証 0.0032回/年・人 (2)顔認証 0.0010回/年・人 (3)音声認証 0.0034回/年・人 なお、顔認証が他の認証に比べて数値が低い要因として,バイオメトリクス認証に成功した場合においても,暗証番号の入力が必要な為であるということが挙げられる.仮に暗証番号の入力が必要でない場合のFTAを作成した場合,2つの特殊な認証方法がある顔認証における数値は0.0038回/年・人であり,音声認証の数値よりも大きくなり,不正による認証の突破の危険性が高くなることが分かる。 このことより、いずれの方式も一人一人にとってはその発生頻度は十分小さいが、社会全体としては何らかの対策が必要であることが明らかになった。そこで、携帯電話におけるバイオメトリクス認証の安全性をより高めるための対策案を個人の利用方法とメーカとしてとるべき対策の両方を次のように提案した。 指紋認証 ユーザによる方法:指紋採取の困難な部分を使用 例)指を傾ける      メーカによる方法:生体指の判定機能など 顔認証  ユーザによる方法:表情のある顔で登録および認証   メーカによる方法:顔の動き検出機能など 音声認証 ユーザによる方法:音声盗聴が困難な場所で登録 メーカによる方法:ランダムなキーワード読み上げによる認証機能など 今後、これらの対策のコストー効果分析を用い有効性の検証していきたいと考えている。

7B-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名遠隔本人認証プロトコル
著者*門田 啓, 黄 磊, 吉本 誠司 (NEC)
Pagepp. 1322 - 1331
Keywordアクセス制御・認証, バイオメトリクス
Abstractネットワークを通して遠隔地のユーザを認証するプロトコルを提案する。ネットワークを通したサービスの拡大に伴い、ネットワーク越しの本人認証が必要とされる場面が増えつつある。本人を確認する方法として、指紋認証を始めとした生体認証(バイオメトリクス認証)があるが、ネットワーク越しの本人認証に用いるためには、ネットワーク越しに認証結果を確認できる仕組みが必要である。そこで、生体認証と公開鍵認証基盤(PKI)を組み合わせて本人認証する方法がいくつか提案されている。本稿では、生体認証とPKIを組み合わせて、生体情報をネットワークに流すことなく、遠隔地から生体認証により本人確認できるプロトコルを提案する。 公開鍵暗号を用いた本人認証では、本人の秘密鍵を用いて署名を行い、署名を秘密鍵に対応する公開鍵を用いて確認することで、秘密鍵を持っていることを確認している。この方法で確認できるのは秘密鍵を保持していることだけであり、秘密鍵を用いたのが実際に誰であったのかを知ることはできない。秘密鍵は通常パスワード等で保護されているが、秘密鍵がどう保護されており、秘密鍵を使ったのが本人であることを遠隔地で確認できる仕組が必要である。 生体認証では、生体情報を照合することで本人確認する。生体情報はパスワードや暗号鍵と異なり、仮に漏洩したとしても変更したりできないため、生体情報そのものは安全に保護する必要がある。そのため、信頼できないネットワークに生体情報を流すことは危険であり、また、信頼できないサーバに生体情報を登録することも危険である。社内システムのようなある程度信頼できるシステムであれば、認証サーバに生体情報を登録し、ネットワーク越しに生体情報を送付して認証することも可能であるが、一般のネットワーク越しの遠隔本人認証には適さない。生体情報を保護するために認証結果だけをネットワーク越しに送付する場合、認証結果だけでは遠隔地で実際にどのような認証が行われたのか知ることができず、認証結果は詐称されたものではないことを確認することはできない。また、生体認証における精度は、生体認証の方式や装置により異なるため、認証結果だけでは所望の精度以上で認証が行われているかどうかを確認することができない。そのため、所望の精度で生体認証が行われたことを遠隔地で確認する仕組みが必要である。 そこで、本稿では、生体認証デバイスを用いて、ネットワーク越しにどのような認証が行われたのかを確認することができる遠隔本人認証プロトコルを提案する。本プロトコルでは、次のように認証を行う。ユーザは生体認証デバイスを所有する。生体情報はその生体認証デバイス内に安全に保管する。照合も生体認証デバイス内で行い、生体情報に関することは全て生体認証デバイス内に閉じ、生体情報は生体認証デバイスから一切出ないようにする。ユーザがネットワーク越しにサーバに自身を認証させたい場合、生体認証デバイスで生体認証を行い、認証結果に対して生体認証デバイスが生体認証デバイスの秘密鍵で署名を行い、署名をサーバへ送付する。署名を受け取ったサーバは、署名を生体認証デバイスの公開鍵で確認する。生体認証デバイスの公開鍵は、デバイス認証局の発行する生体認証デバイス証明書で確認する。更に、生体認証デバイス証明書で、生体認証デバイスの認証精度と生体認証デバイスが所望の動作をするよう設計されていることを確認する。 提案する遠隔本人認証プロトコルでは、個人の生体情報は個人の所有する生体認証デバイスに閉じており、デバイスの外に出ることはない。そのため、生体情報が第三者に漏洩するという危険はなく、生体情報の安全を確保できる。生体情報はデバイスの外にはでないが、生体認証が正しく行われたことは生体認証デバイスが、生体認証デバイスの署名によって保証する。生体認証デバイスが所望の動作をすることや生体認証の精度はデバイス認証局の発行するデバイス証明書によりデバイス認証局が保証する。生体認証デバイスの署名により確かにその生体認証デバイスが生体認証をしたことが確認でき、生体認証デバイスの動作や精度はデバイス証明書により確認できるため、提案する遠隔本人認証プロトコルを用いることで、生体情報を安全に保ったまま、遠隔地でも生体認証がなされたことを確認することが可能となる。

7B-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名非接触型ICカードを用いた認証方式SPAICの提案
著者*束 長俊, 鈴木 秀和 (名城大学大学院 理工学研究科 渡邊研究室), 渡邊 晃 (名城大学大学院 理工学研究科)
Pagepp. 1332 - 1337
Keyword認証, 公開鍵, ディジタル署名, Diffie-Hellman鍵交換
Abstractクライアント/サーバ間通信において重要な情報を交換する場合,確実な認証と暗号化が必要となる.このような環境において,ユーザ固有の情報を格納したICカードを利用する方式が注目されている.これまでは,接触型ICカードを利用する場合がほとんどであり,ICカード/クライアント間通信のセキュリティはそれほど重要ではなかった.しかし,今後は非接触型ICカードの普及が見込まれ,ICカード/クライアント間でも暗号通信を行うことが必須になると考えられる.これを実現するために,すべてのICカードとクライアントに同じ共通鍵を所持させるという方法があるが,クライアントから情報が流出するという懸念があった.本論文では,非接触型IC カードを利用し,初期情報を一切持たないクライアントに重要情報を配送することを可能とするプロトコルSPAICを提案する.

7B-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名人間の動作を用いた認証方式に関する検討
著者*梅本 功太 (静岡大学大学院情報学研究科), 西垣 正勝 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1338 - 1346
Keywordバイオメトリクス, 動作, 加速度
Abstract生体認証には生体情報の取替えが効かないという問題がある.これを解決する一つのアプローチは,ユーザに任意のパス動作の登録を自由に許した上で,登録されているパス動作に基づいて本人性を確認することができる生体認証方式を実現することである.そのためには,人間は自分が登録した任意のパス動作を十分な精度で再生することが可能であるか確認する必要がある.そこで本稿では,ユーザが任意のパス動作を練習により習得することができるか否かに関する調査を行った.基礎実験の結果,円や四角形のような単純な動作に関しては,一週間に一セット10回の練習を行うことにより,多くの被験者が三週間で動作を習熟することができるという事実が得られた.

7B-5 (時間: 10:10 - 10:35)
題名仮名認証に基づいた地域交通支援システムのための位置情報プライバシ保護フレームワーク
著者*山崎 重一郎 (近畿大学)
Pagepp. 1347 - 1355
Keywordプライバシ, 電子認証, 地域交通, 位置情報
Abstract 我々は、仮名認証に基づく個人情報管理システム「アイデンティティシェルタ」の研究開発を行っている。本論文では、地域に潜在する交通資源を最大限に活用するために利用者の位置情報を活用する地域交通支援システムを提案し、さらにこのシステムのための実用的な位置情報のプライバシ保護フレームワークをアイデンティティシェルタを利用して構成することによって、アイデンティティシェルターの有効性の評価を行う。  本論文の構成を以下に示す。 1章.提案する地域交通支援システム  本論文で提案する地域交通支援システムは、生活拠点に設置された端末や携帯電話を介して登録される利用者の位置、目的地、到着希望時刻などの情報を利用して動的に利用者コミュニティ(相乗りコミュニティ)を作成し、その位置情報を交通事業者に開示することによって、予約制のタクシーやデマンドバスの相乗り率を高めることを目的とする。  また、提案するシステムの要件として、相乗りコミュニティは同乗者の性別などの制限や目的地からの距離の制限などの参加条件を付与可能にすること、自分の位置情報などの個人情報を開示する範囲の限定を可能にすること、移動距離や時間に基づく匿名化機能、利用者によるプライバシポリシの定義と個人情報利用履歴の請求機能を備えることなどを要求する。 2章.ローケーションプライバシの関連研究  IETFのGeoPriv WGで提案されている位置情報を扱うサービスの一般的アーキテクチャの要件と、MarkLangheinrichによって提案されているユビキタスプライバシの6原則にを中心に述べる。 3章.仮名認証と認可の基本モデル  この章では、まず我々の専門用語としての「仮名」の概念の定義を行う。我々の「仮名」は、信頼できる第三者が本人の実在性と属性の真正性を保証したアイデンティティである。仮名認証書は、仮名の実在を証明するクレデンシャルであり、仮名属性証明書は、仮名認証書に対して定義される真正性が保証された属性証明書である。  本論文では、まずNIST SP 800-63モデルに基づいて実名の認証書から仮名認証書を発行するシステムを構成し、次いでSAMLの基本モデルに基づいて仮名認証書と仮名属性証明書とSAMLアサーションによる認可機構について述べる。 4章.アイデンティティシェルタ  アイデンティティシェルタは、仮名による個人の実名の保護と個人情報の統合管理を目的としたAgentシステムである。アイデンティティシェルタは、一つの本人Agentと複数の仮名Agent群から構成される。本人Agentは本人に関する全ての情報が記録されるが直接的にアクセスできるのは本人のみである。仮名Agentは一定の用途のためのポリシに基づいて生成されるAgentで、仮名認証書や仮名属性証明書を持ち、本人情報の一部にアクセスすることができる。外部システムとは必ず仮名Agentを介してコミュニケーションが行われる。仮名Agentは必要に応じて生成と消滅が行われる。仮名Agentが消滅しても本人の情報が失われることはない。 5章.地域交通支援システムの構成  プレースエージェントモデルは、Agent間で情報の共有と流通を行うためのフレームワークである。本論文では、2階層のプレースを用いることによって、相乗りコミュニティと交通事業者のコミュニティの間で位置情報の安全な流通が可能であることを示す。 6章.提案システムのロケーションプライバシの観点からの評価  提案する地域交通支援システムがGeoPrivアーキテクチャとMarkLangheinrichのユビキタスプライバシ6原則の観点からローケーションプライバシの要件を満たしていることを示す。 7章.実装方法 Ruby言語によるLindaの実装であるRindaによるプレースエージェントモデルの構成とOpenSAMLを利用した認証と認可システムの構成に基づく提案システムの実装方法について述べる。 8章.運用の視点からのトラストモデル  本システムを実際に運用するときのアイデンティティシュエルタサービスの管理主体や個人情報の利用履歴の請求に対する情報開示の主体などに関するトラストモデルについて議論する。 9章.まとめと実用化のための技術的課題  この章でまとめを行う。また、本論文では仮名に基づくローケーションプライバシ保護技術に主眼を置いたが、地域交通支援システムの実用化のためにはこの他にも様々な技術的課題があり、その課題の一部についてこの章で議論を行う。  例えば、仮名認証だけでは個人の行動の追跡を完全には防止できないため、より安全性を高めるためには匿名化技術が必要である。また、相乗り率向上のためには、利用者の行動予測が重要であるが、一日ごと、曜日ごと、年間の行事ごとなどの行動パタンを学習する機能をロケーションプライバシを守りつつつ導入する必要がある。


セッション 7C  QoS (QAI)
日時: 2007年7月6日(金) 8:30 - 10:40
部屋: 砂子〜磯笛
座長: 峰野 博史 (静岡大学)

7C-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名MANETのための中継端末協調による輻輳制御手法
著者*小嶋 明寿 (静岡大学大学院工学研究科), 石原 進 (静岡大学創造科学技術大学院インフォマティクス部門)
Pagepp. 1356 - 1363
KeywordMANET, 輻輳制御
AbstractMANET (Mobile Ad hoc NETworks) では無線通信経路上のビット誤りや端末の移動に伴うパケットロスなど輻輳以外の要因でパケットロスが発生する可能性が高い.TCPはこれらのパケットロスを輻輳と判断し,輻輳ウィンドウを減少させてしまうため,輻輳ウィンドウが大きくなりにくい.これによりMANETにおいてTCPは高いスループットを得ることができない.そこで本稿ではMANET上でのTCP通信の性能向上のため新しい輻輳制御手法としてRTBCC (Rest of Transmission Buffer based Congestion window Control) を提案する.RTBCCは通信開始時および再送発生時に輻輳ウィンドウ初期値を中継端末の送信バッファ残量に基づいて決定する.これにより輻輳ウィンドウを大きくし,スループットの向上を図る.シミュレーションの結果,3ホップの経路で経路変更が発生する場合においてRTBCCはスループットがRenoの約1.5倍に向上することを確認した.

7C-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名オーバレイマルチキャストのためのネットワークコーディングプロトコル
著者*稲井 俊介 (名古屋工業大学), 福田 洋治 (愛知教育大学), 白石 善明 (名古屋工業大学)
Pagepp. 1364 - 1372
Keywordオーバレイマルチキャスト, ネットワークコーディング, アプリケーションレイヤ, プロトコル, オーバーレイネットワーク
Abstract近年,1対多通信を実ネットワークにおいて実現するための,ネットワークコーディングを適用したオーバレイマルチキャストに関する議論が盛んに行われている.オーバレイマルチキャストでは,オーバレイネットワークを構成する際に同一の物理リンク上に複数のパスが構築されることでリンクストレスが高くなる傾向にあり,それを軽減することが課題となっている.ネットワークコーディングは,ネットワーク上のノードで通信データの代数的演算を行うことにより,1対多通信におけるネットワーク上のリンクストレスの高い部分の影響を低減させる効果を持っている.ネットワークコーディングをオーバレイマルチキャストに適用して,実ネットワークでの1対多通信の実現に向けた取り組みを進める過程で,基本プロセスをプロトコル化して明確化することは,様々な環境においてシステムを実装し,妥当な評価,検討を進めるうえで重要である.本稿では,ネットワークコーディングを適用したオーバレイマルチキャストを実現する基本プロセスの1つである,ネットワーク上のノードでの通信データの転送,複製,符号化のための要件を明らかにし,それに基づくプロトコルを示す.

7C-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名NAT越えを可能にするDPRPの検討
著者*後藤 裕司, 鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1373 - 1377
KeywordNAT, プロトコル
Abstract近年企業ネットワークでは不正侵入,データの盗聴や改竄などの脅威に対するセキュリティ対策が課題となっている.組織外部からの脅威に対しては通信の暗号化やディジタル署名など,セキュリティ強度の高い技術が利用されており,ファイアウォール(以下FW)やIDS(Intrusion Detection System)と協調するなど,様々な工夫がなされている.しかし,企業ネットワークのセキュリティ脅威はイントラネット内部にも存在しており社員や内部関係者による不正による犯罪が多く報告されている.イントラネット内のセキュリティ対策は,ユーザ名とパスワードによる簡単な相手認証,アクセス制御しかされていないのが現状であり,有効な対策が今後必要になると考えられる.ネットワークセキュリティを実現する代表的な技術としてIPSecがあり,現在VPNを構築する手段として広く利用されている.IPSecは通信に先立ち暗号・認証に必要なパラメータを動的に生成して安全な情報の交換を行う.しかし,IPsecには多くの設定項目がありシステム環境が頻繁に変化するような環境では管理者の負担が大きい.また,ホスト間で暗号化通信を行うトランスポートモードと,ネットワーク間で利用するトンネルモードで互換性がないため,セキュリティドメインが階層的に構築されていたり,個人単位の通信グループとネットワーク単位との通信グループが混在するような環境では利用することが難しい.そこで我々は柔軟かつ安全なグループ通信を可能にするためにシステム構成が変化してもその変化を動的に学習することができるDPRP(Dynamic Process Information Protocol)と呼ぶ通信プロトコルを提案してきた.DPRPでは通信端末間の通信に先立ってネゴシエーションを行い,通信グループ情報などの情報を収集して各装置に動作処理情報テーブルPIT(Process Information Table)を生成する.PITにはセッションごとに暗号/復号/透過中継といった処理内容が記述されている.ネゴシエーション終了後は生成したPITに従って通信パケットを処理する.しかし,これまで検討してきたDPRPは,すべての装置がグローバルアドレスあるいはプライベートアドレスのどちらかに存在することが想定されていた.すなわちNAT(Network Address Translation)が介在するような通信環境ではNATでIPアドレスが変換されるため利用することができない.この問題を解決するためには,プライベートアドレス(以下PA)側から通信が始まる場合,及びグローバルアドレス(以下GA)側から通信が始まる場合の両者を別々に検討する必要がある.前者の場合については検討を既に終え実現方法が明確になっている.本稿ではGA空間からPA空間へ通信を開始する場合について詳細な検討を行った.この検討にはNAT越え問題を解決する必要がある.これには我々が別途研究中のNAT-f(NAT free)プロトコルを流用した.NAT-fでは,GA空間上の端末GNとNAT-fに対応したルータNAT-fルータが連携することによりGA空間からPA空間への通信開始を可能にするプロトコルである.NAT-fでは通信に先立ってGNとNAT-fルータがネゴシエーションを行い必要な情報をNAT-fルータに通知する.NAT-fルータはこの情報をもとに強制的にNATテーブルを生成し,さらにNATテーブルにマッピングされたポート番号をGNに通知する.GNはこの情報をもとにポート番号変換テーブルを生成する.その後一時的に待避してあったパケットを復帰させる.GNから送信されるパケットは,上記ポート番号変換テーブルによりNATでマッピングされているポート番号に変換することになる.従って,以後のNAT-fルータは既存のNATと同様の処理を行えばよい.NAT-fは通常の通信パケットに対応するプロトコルであるが,これをDPRPにも適応できるように拡張する.DPRPにNAT-fネゴシエーションに必要な情報を追加することによりNATテーブルを強制的に生成し,NATテーブルにマッピングされたポート番号をGNに通知する.更に,通知されたポート番号を用いて各端末にPITの生成を行う.このようにDPRPとNAT-fを統合することによりNAT越えが可能なDPRPを実現することができる.これによりアドレス空間を意識することなく通信グループの構築を行うことが可能になる.

7C-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名IPv6普及度調査システムによる普及度評価
著者*北口 善明, 金山 健一 (株式会社インテック・ネットコア/IPv6研究開発グループ)
Pagepp. 1378 - 1383
KeywordIPv6, ネットワーク計測, インターネット, 経路情報
AbstractIPv6(Internet Protocol version 6)への関心は世界的に高まってきており,IPv6アドレス割り当て状況も順調に伸びて来ていることから,IPv6インターネットの規模も着実に成長していると言える.今後はIPv6の利用状況や運用状況を計測し,その測定結果に関する研究・分析がより重要となると考えられる.特に,世界に先駆けIPv6環境の普及が進む日本には,広範囲で多角的なIPv6の普及度調査を継続的に実施し,IPv6に関するマーケット戦略やネットワーク運用に役立つデータとして,調査結果を広く一般へ提供して行くことが求められている. 以上のことを踏まえ,本研究では,IPv6への移行実態・普及度を定量的に把握することを目的として,さらにIPv6の普及度が広く一般に認知されることを目指し次の内容を実施した. (1)広範囲で多角的な普及度調査のために必要とされる計測項目(メトリック)を検討し,IPv6の普及度を評価する情報として定義する. (2)定義した計測項目を計測方法に基づいて継続的に計測し,取得したデータの蓄積と分析を実施するための手法を確立する. (3)IPv6の普及度が広く一般に認知されるために,取得した統計情報をWeb上にて公開する. (4)計測した統計データを基に,IPv6の現在の普及状況を分析する. 本稿では,平成18年度までに実施した計測内容を最初にまとめ,継続的な計測によって得られた結果を基に,現在のIPv6普及度について考察を行う.

7C-5 (時間: 10:10 - 10:35)
題名OXCによるL2/L3スイッチ光インタフェース制御方式の計算機シミュレーションによる評価
著者*曽我 恭行 (愛知県立大学大学院), 妹尾 尚一郎 (三菱電機), 井手口 哲夫, 奥田 隆史, 田 学軍 (愛知県立大学)
Pagepp. 1384 - 1389
Keyword光ネットワーク, オプティカルクロスコネクト, ネットワークアーキテクチャ, 輻輳制御
Abstract インターネットの商業利用が1990年代初めに開始されて以来、IP (Internet Protocol)を用いたパケット通信は増加の一途をたどっている。特にアクセス網におけるトラヒックの増加はブロードバンド回線の普及と共に増加率が高く、今後はFTTH (Fiber To The Home)の普及やユビキタス社会の進展と共に更なるトラヒックの増加が予想される。そのため、官公庁においてもその対策が進められている。  アクセス網のトラヒックを支えるバックボーン回線は光回線が用いられるのが一般的であるが、ネットワークトポロジはポイント・ツー・ポイントかリング状を採用している。これらのネットワークトポロジは障害や輻輳が発生した場合に経路の変更が容易ではなく、トラヒックが滞る場合が存在する。そこで、バックボーンネットワークを冗長的に経路選択が可能なメッシュネットワークへと切り替えるための研究が進められており、メッシュトポロジーを実現するためのノードとして、OXC (Optical Cross Connect)が開発されている。このノードは光通信(光パス)を自由に設定して、光信号を交換伝送することが可能である。OXCは波長単位で交換伝送するため、WDM (Wavelength Division Multiplexing)が用いられる。  本稿が対象とするL2/L3スイッチは前述の光ケーブルネットワークと、メタルケーブルネットワークを繋ぐノードであり、各L2/L3スイッチ間は光ネットワーククラウドを介して接続されているといえる。このL2/L3スイッチには1Gbpsと10Gbps、10Gbpsと40Gbpsといった、異なる帯域幅を持つインタフェースが混載可能である。また、一般に広帯域なインタフェースであるほど高価であると言える。  本稿が提案するのは、L2/L3スイッチの光インタフェース制御であり、各帯域のインタフェースを有効利用することである。広帯域インタフェースは高価であるため、一度に全てのL2/L3スイッチの光インタフェースを広帯域にするのは容易ではなく、L2/L3スイッチが抱える拠点の中で、広帯域インタフェースを割り当てられないパスも存在する。これら狭帯域インタフェースを利用するパスのうち、時刻の変化と共にトラヒック量が増大し、輻輳が発生する場合がある。または、広帯域インタフェースを利用しているものの内で、輻輳が発生する場合もある。本稿ではこれらの輻輳を回避するため、インタフェースの制御アルゴリズムの有効性を検証する。提案する制御アルゴリズムはインタフェース上での制御であるため、低コストな機構であるといった特徴も兼ね備えている。  提案手法のアルゴリズムの有効性を確認するため、計算機シミュレーションによる評価を行う。このシミュレーションで用いるトラヒックは、実際に総務省が発表した統計データを利用する。また、各L2/L3スイッチが抱える拠点に特徴を持たせ、企業が多い拠点や一般家庭が多い拠点などを想定する。先の統計データより企業が多い拠点は昼間のトラヒック量が多く、家庭が多い拠点は夜間のトラヒック量が多いと推定される。このようにトラヒック量が日変化する中、輻輳を発生させることが無いよう、インタフェースの切り替えが正等に行えているかを評価する。


セッション 7D  暗号(CSEC)
日時: 2007年7月6日(金) 8:30 - 10:40
部屋: 松〜梅
座長: 岩村 惠市 (東京理科大学)

7D-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名暗号危殆化問題に対する暗号SLAポータルサイトの開発
著者*猪俣 敦夫 (独立行政法人 科学技術振興機構), Guillermo Horacio Ramirez Caceres (創価大学 情報システム工学科), 大山 義仁, 岡本 健 (筑波大学 システム情報工学研究科), 勅使河原 可海 (創価大学 情報システム工学科), 岡本 栄司 (筑波大学 システム情報工学研究科)
Pagepp. 1390 - 1397
Keyword暗号危殆化, 暗号SLA, 公開鍵暗号, RSA
Abstract近年、オンラインショッピングやインターネットバンクなどの利用が急増し、インターネットでやり取りされる情報の保護技術として暗号が担う役割が益々重要になりつつある。特に、インターネットでは1024bitの鍵長サイズを利用した公開鍵暗号系のRSA暗号が一般的に利用されている。ところで、このRSA暗号の安全性は素因数分解計算の困難性に基づいたものである。しかし、この安全性は、時間経過とともに素因数分解を効率的に行う画期的なアルゴリズムの創出や計算機性能の大幅な向上、量子計算機の登場などの様々な要因により次第に低下していく。これが暗号危殆化問題である。そこで本研究の目的は、暗号危殆化問題におけるリスクに着目し、現代社会に対して暗号の安全性を説明し、今後この問題をどのように対処していくべきかを明らかにすることである。このためには、利用者に対して情報の保護という視点から、暗号技術による安全性を明確にするにはどの種類の暗号技術をどのようなパラメータで適用すべきかを整理しておく必要がある。実際に暗号を利用したサービスを利用していくためには、利用者が自分自身で納得できる暗号の安全性を有しているかどうかを自身で見極める必要がでてくる。しかし、暗号の専門家でない利用者にとってこれは非常にハードルの高い問題である。一方、暗号を利用したサービスの提供者側においても、サービスの利用者に対して暗号が提供する安全性をある程度明確にしておかなければならないが、現状においてそのような体制も未だ不十分である。 本稿では、暗号の安全性についてより明確な分かりやすい形態で表現するために、新たに定義した暗号SLAについて述べ、暗号利用における全ての利用者間において、暗号SLAを利用した上で暗号利用における合意を支援するために開発した暗号SLAポータルサイト、および実施した実証実験の結果について報告する。 暗号SLAでは、これから何年後に何ビットのRSA暗号が解読されるかを示す曲線として定義した暗号危殆化曲線を導入する。暗号危殆化曲線を導出するにあたり、RSA暗号の解読可能性については、Lenstraらによって最も効率的な解読手法とされていた数体ふるい法による解読計算量をもとにする。具体的にRSA暗号の解読時間までの計算量は、暗号の鍵長サイズ、解読定数、暗号解読時間、ある時間における計算速度を変数とした式により算出される。さらに、我々は計算機の進化速度としてムーアの法則を導入し、より実計算機環境に応じた解読可能性を予測する暗号危殆化曲線を導出した。それだけでなく、暗号危殆化曲線の妥当性を検証するため、RSAセキュリティ社による解読チャレンジコンテストの解読事例を用いて暗号解読予測の基準年を算出し、先述した解読定数を決定した。なお、2004年12月3日に576bitが解読された結果を暗号解読の基準年として暗号危殆化曲線を図示したところ、2005年11月4日に640bitの素因数分解が成功した結果とほぼ一致しており、導出した暗号危殆化曲線の妥当性についてある程度示すことが出来た。また、暗号SLAでは、暗号SLAレベルと呼ぶパラメータを導入し、暗号利用における全ての利用者において明確な情報を提供することとした。 暗号SLAとは、暗号を利用した通信における利用者・提供者双方の合意の取り決めのようなものであり、暗号SLAの利用者全てのユーザを対象としている点が特徴である。以下、暗号SLAの目的と効果についてまとめる。暗号SLAの目的は、1.暗号利用者、およびサービス提供者に対して暗号の安全性を分かりやすい形態として提示する、2.明確な暗号SLAレベルを提示することで、暗号利用者、およびサービス提供者双方の利便性を向上させる、3.暗号利用者、およびサービス提供者双方の責任範囲を明確にする、ことである。続いて、暗号SLAの効果は、1.目的に見合った暗号を利用したシステム(サービス)の適用コストを明確にできる、2.合意と達成、報告と改善を通じ現状の暗号の危殆化度合いを確認、報告できる、3.暗号利用者と提供者双方間に暗号をベースとした信頼関係を構築できる、ことである。 現状において、暗号危殆化が直接的な原因によって即座に被害を受けた事例は現状ではほぼ皆無である。一方、暗号を利用したサービスを運営する側にとっても暗号危殆化によって直接的な損害を受けた事例も存在していない。しかし、暗号を利用する全てのユーザにとって暗号危殆化リスク問題の認識を高めていくことは重要であり、各々立場によっては認識の度合いも大きく変わるはずである。我々は、暗号危殆化リスク問題を考慮した上で暗号利用ユーザをサポートする意味で暗号SLAポータルサイトを開発し、実際にその有効性について評価するために実証実験を実施した。

7D-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名匿名署名を実現するためのPairingを用いたグループ署名ライブラリの実装
著者*側高 幸治 (日本電気), 松田 誠一 (筑波大学 システム情報工学研究科), 土井 洋 (情報セキュリティ大学院大学 情報セキュリティ研究科), 岡本 健 (筑波大学 システム情報工学研究科), 小松 文子 (日本電気), 岡本 栄司 (筑波大学 システム情報工学研究科)
Pagepp. 1398 - 1402
Keywordグループ署名, Pairing, 匿名署名
Abstract本発表では,楕円曲線の双曲線性(Pairing)を用いた匿名署名を実現するためのライブラリを実装したので ,その結果について報告する. 近年,プライバシー保護を実現するための技術として,匿名性を実現する署名技術(以下,匿名署名技術) に関する研究が行われている.これらについては,理論研究などは活発に行われているが,匿名署名を実 装し,製品やアプリケーション等のプロトタイプの評価を行うことは容易ではなく,ほとんど行われてい ない.実際,匿名署名技術はブラインド署名,リング署名,1-out-of-n署名,グループ署名等に類別する ことができるが,現在広く使われているRSA署名やDSA署名等と較べて,方式自体がはるかに複雑であり, これを利用現できる環境は提供されていないと考えられる. 一方,2000年以降,匿名署名技術を含む暗号技術全体にわたって,楕円曲線の双曲線性(Pairing)を用いた 効率化,高性能化が達成されている.しかしながらPairingについては,高度な数学的知識を必要とするた め,興味深い応用が可能であるとの結果が示されていたとしても,Pairingを用いたアプリケーションのプ ロトタイプ等を実装し,それを評価するのは容易ではない. 本研究では,ある特定のグループを定義した場合の匿名性実現に適しているグループ署名の実装を最終タ ーゲットと位置づけた.グループ署名の実現方法としては,RSAをベースにした方法やPairingをベースに した方法等が提案されているが,署名長を小さく抑えることができるPairingをベースにした方式(Bonehら のShort Group Signatures)に注目した.そこで, (1)Pairingを利用できるライブラリ及びAPIの設計, (2)Pairingを用いたグループ署名ライブラリ及びAPIの設計 を行い,WindowsやUnix環境上での実装を行ったので,その結果を報告する. ライブラリの実装に当たっては,体演算ライブラリ,楕円曲線ライブラリ,Pairingライブラリ,グループ 署名ライブラリをそれぞれ実装した.Pairingを実装する場合は,もっとも下位層に有限体(正確には拡大 体)ライブラリを実装しなくてはならない.Pairingや楕円曲線演算の構成法は,巨大な素数を標数とする 体(以下,標数p)の2次拡大体を利用するか,標数が小さな(例えば,標数が2や3など)体の数十〜数百次拡 大体を利用するかにより大きく異なる.我々は,安全性,性能などを考慮して,標数p及び標数3の体演算 ライブラリを実装し,その上で動作する楕円曲線ライブラリ,及びPairingライブラリを実装した.そして ,更に上位層に楕円曲線ライブラリとPairingライブラリを用いるグループ署名ライブラリを配置するよう に設計した. 既に述べたように,楕円曲線ライブラリ及びPairingライブラリの構成は標数に依存する部分が大きい.し かし,匿名性を実現するグループ署名ライブラリは汎用使用を考慮して設計した.実際,グループ署名ラ イブラリを利用する上位アプリケーションからは,利用したいライブラリの各パラメータである標数や拡 大体の拡大次数を変更するのみで,それ以外の差分を意識することなく各標数の下位ライブラリを利用す ることが可能である.なお,Pairingアルゴリズムの高速化に関する研究は,現在も盛んに行われており, グループ署名の研究も同様な状況である.しかし,今回の実装方針を採用した結果,今後,使用する楕円 曲線や異なる標数を扱う場合を含むライブラリの拡張にも容易に対応可能であり,それらを利用する上位 アプリケーションへの影響を局所化することに成功したと考えている. また,通常のRSA署名やDSA署名等と較べて格段に処理が複雑な,特にPairingという複雑な処理を利用する グループ署名の性能測定を行い,現実的な処理時間で動作することを確認した.実際,本研究と並行して 行われた「電子文書の内容から通報者発覚の防止が可能な匿名内部告発システムの提案と試作」の研究 (DICOMO2007にて発表予定)において,実使用に耐えうるとの評価を得ている. なお,これらのライブラリは2004年度から2006年度まで実施された文部科学省科学技術振興調整費「重要 課題解決型研究等の推進 セキュリティ情報の分析と共有システムの開発」の研究開発成果の一つであり ,これらのライブラリを研究開発成果として公開する予定である.

7D-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名波形フィルタリングによる暗号モジュールへの高精度電力解析
著者*長嶋 聖, 本間 尚文, 菅原 健, 青木 孝文 (東北大学 大学院情報科学研究科), 佐藤 証 (産業技術総合研究所)
Pagepp. 1403 - 1408
Keywordサイドチャネル, 電力解析攻撃, フィルタリング
Abstract本稿では,波形フィルタリングによる電力解析攻撃の高精度化について述べ,その有効性を検証する.一般に暗号モジュールの消費電力は,暗号化以外の演算や電源ノイズの影響を受け,それらは統計処理による解析において精度低下の大きな要因の一つとなる.提案手法は,電力波形の周波数帯域から秘密情報の解析に有効な部分を動的に選択し,処理の精度を向上させようというものである.INSTAC-8準拠プラットフォームのZ80プロセッサ上に実装したDESのソフトウェアを用いた実験において本手法を適用した結果,取得波形が少ない場合でも高い精度での統計解析が可能であることが示された.

7D-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名特定入力パターンを用いたRSA暗号ハードウェアの単純電力解析
著者*宮本 篤志, 本間 尚文, 青木 孝文 (東北大学 情報科学研究科), 佐藤 証 (産業技術総合研究所)
Pagepp. 1409 - 1414
Keywordサイドチャネル攻撃, 単純電力解析, RSA暗号, ハードウェア実装
Abstract 本稿では,RSA暗号ハードウェアに,特定のデータパターンを入力することで単純電力解析(SPA:Simple Power Analysis)の性能を向上させる手法を提案する.RSA暗号のSPAは,秘密鍵のビットパターンに応じて 繰り返される乗剰余算と自乗剰余算の違いを消費電力波形から見分ける ものである.しかし,乗剰余算と自乗剰余算を同一の演算器・演算手順 で処理するハードウェア実装では,ランダムな入力からその消費電力差 を見分けることは極めて困難である.それに対して本手法は,乗剰余算の2変数の一方が入力データに直接関係していることを利用し,特定のデータパターンを与えることで乗剰余算と自乗剰余算の消費電力の違いを強調するものである.本稿では,2種類の乗算器と2種類の演算シーケンスを組み合わせ,計4種類のRSA暗号ハードウェアをFPGA上に実装し,それらを用いたSPA実験により,提案の有効性を検証する.

7D-5 (時間: 10:10 - 10:35)
題名サイドチャネル攻撃標準評価FPGAボードを用いた暗号ハードウェアに対する電力解析実験
著者*菅原 健, 本間 尚文, 青木 孝文 (東北大学 大学院情報科学研究科), 佐藤 証 (独立行政法人 産業技術総合研究所)
Pagepp. 1415 - 1420
Keywordセキュリティ, 暗号, サイドチャネル攻撃
Abstract本稿では,暗号モジュールへのサイドチャネル攻撃実験を目的として開発したサイドチャネル攻撃標準評価FPGAボード(SASEBO Side-Channel Attack Standard Evaluation Board) を紹介する.本ボードは,暗号ハードウェアの消費電力や放射電磁波の高精度な測定を可能とする.SASEBO の仕様およびアーキテクチャを説明するとともに,共通鍵暗号AES(Advanced Encryption Standard)への電力解析攻撃実験により,INSTAC-32との比較を行う.


セッション 7E  放送型情報配信(BCC)
日時: 2007年7月6日(金) 8:30 - 10:40
部屋: 鶴・亀
座長: 阿倍 博信 (三菱電機)

7E-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名情報配信システムにおける情報の取得先RSSサイトの遠隔指定機能の実装
著者*矢野 健太郎, 樋上 喜信, 小林 真也 (愛媛大学理工学研究科)
Pagepp. 1421 - 1426
KeywordRSS, 情報フィルタリング, ディジタルデバイド, 情報過多
Abstract 近年、情報ネットワークの普及により全世界と情報網が繋がり、情報通信が高速化した。それにより多くの人が今まで手に入れることの出来なかった情報を容易に手に入れることが出来るようになった。その革新的な情報社会において、情報システムを扱うことができる人と扱うことができない人との格差が大きな問題となっている。さらに、インターネットが普及する以前は手に入る情報が少なすぎることが問題であったが、現在ではインターネット上の高機能な検索エンジン等により取得できる情報は膨大になった。しかし、本当に必要な情報のみを取得するための情報選別が困難になるという問題が生じている。このような問題を解決するために、我々はPUSH型情報配信システムPinotを提案している。PUSH型情報配信とは、ラジオやテレビ等のように発信側がきっかけとなって受信側に情報を配信する方法である。従って受信側にとってその情報が不必要であったとしても配信されるが、誰でも簡単に利用することができる。  Pinotはテレビ局、情報配信サーバー、情報BOX、テレビ、リモコンで構成されている。テレビ局はテレビ番組、また情報配信サーバーはテキスト情報を配信する。配信されるテキスト情報には緊急情報、緊急詳細情報、確認情報、一般情報の4種類がある。情報配信サーバーのオペレーターが配信するテキスト情報の入力等を行い、情報配信サーバーが情報BOXにテキスト情報を配信する。次に情報BOXは、情報配信サーバーから送られてきたテキスト情報に対して情報フィルタリングを行い、ユーザーに興味があると判断したテキスト情報と、テレビ局から送られてきたテレビ番組の映像を合成してテレビ画面に表示させる。情報BOXが情報フィルタリングを行うことで情報数の増大を抑えることができる。ユーザーはリモコンを用いて、先飛ばし、逆戻し、一時停止の操作をテレビ画面のテキスト情報に対し行う。  現在、情報配信サーバーが配信するテキスト情報の取得方法は2種類あり、オペレーターの手入力による取得方法と、RSSサイトからのダウンロードによる取得方法が存在する。オペレーターの手入力による取得方法は、4種類全てのテキスト情報の取得に利用している。この取得方法は、オペレーターが情報を直接入力するため配信する情報を自由に決めることができるが、オペレーターの負担は大きい。一方、RSSサイトからのダウンロードによる取得方法は、現在一般情報の取得にのみ利用している。この取得方法は、オペレーターが情報配信サーバーに情報の取得元であるRSSサイトのアドレスを予め登録しておき、オペレーターが情報のダウンロードの指令を行うと情報をダウンロードし、情報BOXに配信する。この方法を用いると、オペレーターが自由に配信する情報を決めることはできないが、RSSサイトのアドレスを事前に登録しておくと、後はダウンロードの指令を行うだけなのでオペレーターの負担は小さい。  RSSサイトからのダウンロードによる取得方法の場合、情報の取得元であるRSSサイトと情報の配信先である情報BOXの数が増えると、情報配信サーバーの負荷が大きくなるという問題が生じる。また緊急詳細情報を配信する際に、オペレーターが手入力で情報を入力すると時間がかかり、情報配信が遅れしまうという課題も存在する。それらの解決のために、RSSサイトから情報をダウンロードするのは情報配信サーバーではなく、情報BOXが直接ダウンロードするという方法を提案する。まず、オペレーターが情報の取得元であるRSSサイトのアドレスを情報配信サーバーに入力し、RSSサイトのアドレスを情報配信サーバーが情報BOXに通知する。通知を受けた情報BOXはすぐにそのRSSサイトから情報のダウンロードを行い、そのアドレスは保持しておく。つまり、一度情報配信サーバーがRSSサイトのアドレスを通知すると、それ以後は定期的に情報BOXがそのRSSサイトから情報をダウンロードするので情報配信サーバーの負荷を軽減させることができる。さらにこの提案法を緊急詳細情報の配信に適用すると、オペレーターが緊急詳細情報を手入力で入力する必要がないので緊急詳細情報配信のリアルタイム性の確保が可能となる。また、ユーザーがRSSサイトのアドレスを指定するのではなく、情報配信サーバーが指定することにより、信頼できない情報を配信しているサイトや詐欺行為を行っているサイト等に誤ってユーザーがアクセスすることはなく、情報システムを利用する技術がないユーザーでも安心して利用することができる。提案法により、情報配信サーバーの負荷集中の問題解決と緊急詳細情報配信のリアルタイム性の確保ができ、さらにディジタルデバイドの問題も生じない。

7E-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名Tickerの情報表示動作への指示操作に基づく興味の有無の判断法の改善
著者*遠藤 洋記, 樋上 喜信, 小林 真也 (愛媛大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1427 - 1439
Keyword情報過多, ディジタルデバイド, 興味の類推

7E-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名放送型配信を用いたデータ収集のためのセンシングシステム
著者*藤田 直生 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻), 義久 智樹 (京都大学/学術情報メディアセンター), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻)
Pagepp. 1440 - 1447
Keyword放送, センサネットワーク, 投機型センシング, ユビキタスコンピューティング
Abstract近年,医療,セキュリティ,防災,環境リスクの把握のため,温度や湿度といったセンサが情報ネットワークを形成して通信するセンサネットワークに対する注目が高まっている.センサネットワークでは,センサから発生するデータを収集してからデータ処理を行う場合が多く,様々な手法が提案されている.非常に多数のセンサが存在する場合通信量が多くなり,データの収集に時間がかかるといった問題がある.これまで,筆者らの研究グループでは,推測値を放送型で配信してデータを効率的に収集する手法を提案してきたが,シミュレーションによる評価がほとんどであり,実機による性能評価を行っていなかった.実環境では,配信エラーや,輻輳が発生するため,実環境での評価は重要である. そこで本研究では,ハードウェアに提案手法を実装し,その性能評価を行った.評価の結果,複数のセンサに同時に推測値を送信でき,通信量が削減された.これにより多くのセンサノードを配置する環境で問題となる通信の輻輳を解消できることを確認した.また,センサノードからの送信が抑制されるため,センサノードの消費電力が削減された.

7E-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名P2Pネットワークを用いた連続メディアデータの放送型配信手法
著者*後藤 佑介 (京都大学大学院), 義久 智樹, 金澤 正憲 (京都大学学術情報メディアセンター)
Pagepp. 1448 - 1455
Keyword放送, 通信, プロトコル
Abstract 近年の放送通信融合環境への注目の高まりにともない,ネットワーク接続型の映像再生装置が普及している.これらは,映像データを放送波から受信して視聴し,視聴している映像に関連する情報をインターネットから取得している.例えば,ドラマの主人公が着ている服の情報を表示したり,サッカーの試合中に他会場の得点状況を表示する場合が考えられる.しかし,視聴できる映像データは現在放送されている映像データのみであり,視聴者が見たい映像を見たいときに視聴することはできなかった.このようなオンデマンド型の視聴形態は,近年のインターネット放送の普及により一般化しており,ネットワーク接続型の映像再生装置においても見たい映像を見たいときに視聴できる視聴形態が求められている.これまで,周期的に繰り返して同じ映像データを放送することで擬似的にオンデマンド型の視聴形態を実現する擬似オンデマンド型の放送型配信に関する研究が多数行われているが,放送する映像データの数が増えると、待ち時間が長くなるといった問題がある.  そこで本研究では,ネットワーク接続型の映像再生装置でP2Pネットワークを構成し,映像データを共有して視聴するシステムを提案する.P2Pネットワークでは,ピアと呼ばれるクライアントがサーバを中継することなくデータを送受信することで,サーバへの負荷集中を回避できる.このため,BittorretやNapstarといったP2Pシステムが普及している.クライアントが保持しているデータを共有できるため,多数の映像データの配信に適していると考える.あるデータに対して受信要求が偏ると,他のデータに対する受信時間が長くなるが,本研究では,放送波を用いた映像データ配信も同時に行うことで,P2Pネットワークにおけるこの受信時間を短縮する.例えば,映像データの一部をP2Pネットワークから受信すると,規定の時間より受信待ち時間が長くなる場合,放送サーバにその部分の配信を依頼し,放送波からデータを受信する.P2Pネットワークと放送型配信を融合することで,互いの問題点を軽減し,視聴者が見たいときに見たい映像を視聴できる視聴形態を可能とする.本研究では,P2Pネットワークにおいて人気のある映像データや,受信クライアント数を把握する必要があるため,受信状況を管理できるBitTorrentプロトコルを用いる.BitTorrentプロトコルでは,ピアはP2Pネットワークへの接続時に一度サーバに接続するため,ピアの動作を常に監視できる.また,データを固定長に分割して送受信するため,あるピアが通信を占有することがない.分割されたデータの受信要求には幾つかの戦略がある.Strict Priority戦略では,クライアントが連続メディアデータの分割ファイルの受信を開始すると,他の分割ファイルは受信せずに,受信対象となる分割ファイルをさらに等分割したサブファイルをすべて受信する.すべてのデータを受信すると,そのピアは他のピアからダウンロードされる対象になる.他のファイルの受信にかかる時間分だけ受信待ち時間を短縮できるという利点があるが,この手法では,ノード群のレベルで見ると,分割ファイルがいくつかのピアに集中してしまうため,結果として他のピアがデータの受信を要求したときにデータの受信要求から受信完了までの時間が大きくなってしまう.そこで,Rarest First戦略では,ノード群のレベルで見たときに,いかにピアのノードを分散させる.この手法では,最終的にすべてのノードがすべての分割ファイルを取得できる環境を目指している.ピアがデータの受信を要求すると,他のピアが持っていない分割ファイルを優先的にダウンロードしようと試みる.これは,分割ファイルをノード間に分散させるための戦略である.本研究で提案するシステムでは,Rarest First戦略を用いて,分割ファイルをすべてのピアに効率的に分散させる.また,放送サーバと連携することで,ピアのデータ受信における待ち時間を短縮する.  結果として,P2Pネットワークと放送型配信を併用し,クライアントが受信するデータを効率的にスケジューリングしてデータの受信にかかる時間の最大値を放送型配信で軽減させることで,クライアントがデータの受信を要求してから受信を完了するまでの時間を短縮できた.

7E-5 (時間: 10:10 - 10:35)
題名実ネットワーク環境を考慮したP2Pビデオ配信システムの提案
著者*横川 芳隆 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科), 橋本 浩二, 柴田 義孝 (岩手県立大学 ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 1456 - 1463
KeywordP2P, マルチメディアシステム, 放送プロトコル
Abstract近年,効率的なビデオ配信手法としてP2Pネットワークの研究が数多く行われているが,多くはユーザの属する現実のネットワーク環境を考慮せず,配信にはIP unicastを用いているため,各ノードの配信負荷が課題となる.また,ユーザの多様化する品質要求に対応するため,適切な品質で配信を行う方法も必要となる.本稿では,多様な接続形態が混在する環境に属するユーザに対して,ユーザのネットワーク環境や品質要求,および配信に利用するP2Pネットワークの動的な変化に柔軟に対応するため,1) ユーザのネットワーク環境に応じたIP unicast/multicastの配信方式の選択機能,2) ユーザ要求に基づくコンテンツのトランスコーディング機能,3) サブストリーム配信による配信連続性保証の機能 を持ったP2Pビデオ配信システムを提案する.


セッション 7F  Webサービス(GN)
日時: 2007年7月6日(金) 8:30 - 10:40
部屋: 展望サロンA
座長: 荒金 陽助 (NTT)

7F-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名「伊勢・志摩」を対象とした観光情報シソーラスの構築実験
著者*守屋 豊 (近畿大学経済学部), 井出 明 (首都大学東京大学院 都市環境科学研究科)
Pagepp. 1464 - 1470
Keywordインターネット
Abstract「伊勢・志摩」を対象とした観光情報シソーラスの構築実験 1. 研究の背景  今から数百年前の江戸時代は「口コミ」と「文字」による情報が非常に発達した時代であった。当時の旅のバイブル的存在であり、非常によく読まれていた『旅行用心集』には旅先での注意事項などと共に「道中にて日記認方之事」という項目が設けられている。ここには旅に出る際には日記帳を持参し、道中で名所、旧跡や景勝地を訪れた時には、詩歌連俳句や画をそれに書き付けよ、と記されていた。特に江戸時代後期、当時の人口比率にしておよそ20人に1人が参宮し社会現象ともなった「伊勢参宮」について書かれた日記で数多く現存している『参宮日記』には名所や旧跡、道中で購入した土産、さらには献立や宿賃まで詳細に書き記されているものもある。それは単なる一個人の道中の記録にとどまらず、翌年以降にお伊勢参りに旅立つ、講内の後輩へのオリジナルガイドブックとなり、さらに(これは意図したものではないであろうが)、数百年を経た今では当時のナマの社会状況を知る大変貴重な情報となっており、それをもとに我々は古人の「記憶」を鮮明に辿ることが可能となっている。  このように古来より人々は旅の記憶を伝達することを積極的に行ってきた。その営みは現在の我々にも綿々と続いており、人々は旅に出た思い出として記憶をとどめておくことを望んでいる。また観光を行う際に最も参考とするものとしてガイド本や旅行業者からの情報よりも、口コミで得た情報に重きを置いていることも変わっていないと言える。江戸時代では日記がその役目を果たしてきたが、現在ではその多くがインターネットのサイバースペース上に役割が移されている。「楽天トラベル」や「じゃらんnet」といった観光情報ポータルサイトでは観光者がそれぞれの旅の記憶を「口コミ」として書き残し、また別の人がそれに対するコメントを加えることが可能なスペースがあり、活発に利用されている。また個人でホームページやブログを立ち上げて自らの旅行記を公開することも盛んに行われている。それらはこれから旅に出ようと考えている者にとって大変参考となる情報として利用され、まさに“現代の参宮日記”と言い換えることが出来るであろう。  また、観光情報がサプライヤー側からの一方通行であった時代には、サプライヤーと観光者の間に“情報の非対称性”が存在していた。しかしながら、インターネットの急速な発展によって個人で容易に情報発信が出来るようになってからは、いくつかの観光情報ポータルサイトでは消費者の声を積極的に活用するようになってきている。その中でサプライヤー側も形だけのアンケートなどでは見えてこない“ナマの声”を得ることが可能となり、市場競争の中で観光の質が向上してきていると言える。 2. 現在までの取り組み  これまで筆者らは、現行の観光情報の提供形態についての調査を行い、その中からいくつかの問題点を指摘し、あるべき情報システムの方向性について提案してきた。  加速度的に情報化の進んだ近年、インターネットによって観光情報を求める動きが目立ってきている。前述のように多くの人は観光、旅に出た際の一番の思い出として記憶をとどめておくことを望んでおり、その記憶を他人と空間、時間を越えてインターネット上で共有し、オーガナイズすることによって観光の質は飛躍的に向上させることが出来る。しかし、現在のシステムにおいては、キャラクターコードで表すことの出来ない漠然とした情報、個人の記憶を辿るような情報検索は非常に困難であることが分かった。そこで観光に関するシソーラスを構築することによって、情報をオーガナイズし体系的な検索が行えるシステムの必要性を提案した。 3. 本研究の目的と方法  本研究ではこれまでの理論を踏まえた実装実験として『参宮日記』の中心舞台ともなった伊勢・志摩を対象とした“伊勢・志摩に関する観光情報シソーラス”を構築する。 方法としては『茶筅』、『termex』の形態素解析システムを用いてインターネット上の観光情報サイト、観光情報雑誌、さらに実際に伊勢・志摩で配布されている観光情報パンフレットなどからその土地ならではの特徴的な単語を取り出し、カテゴリごとにそれらの語を階層付け、関連付けを行い一つの伊勢・志摩に関するシソーラスとしてまとめる。最終的にはそれを用いることによって、旅の記憶を伝達する、また観光者とサプライヤー、観光者同士、サプライヤー同士が共に啓発しあい観光の質を高めていくことができるシステムの設計が可能かを検討する。

7F-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名SNSでのチャットによる友達の輪拡大支援システムの提案
著者*春日 章宏 (神奈川工科大学 情報学部 情報工学科), 三枝 優一 (神奈川工科大学 大学院 工学研究科 情報工学専攻), 速水 治夫 (神奈川工科大学 情報学部 情報工学 神奈川工科大学 大学院 工学研究科 情報工学専攻)
Pagepp. 1471 - 1475
KeywordSNS, チャット, 日記

7F-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名利用特性にもとづいたコンテンツ取捨選択アルゴリズムの提案
著者*高林 光 (神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻速水研究室), 速水 治夫 (神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻)
Pagepp. 1476 - 1479
KeywordRSS

7F-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名感性表現を用いたコンテンツ検索支援手法
著者*原 雅樹, 水口 弘紀, 中村 暢達 (NEC)
Pagepp. 1480 - 1485
Keywordナビゲーション, 検索支援, 感性表現, Webサービス, インタラクション
Abstract ECサイトや映像ポータルなどの各種ポータルサイトにおいて、ユーザが欲しいコンテンツを見つけるための機能は、ユーザ利便性のみならず、サイト利用率や購買数といった観点からも重要な機能である。ポータルサイトにおけるコンテンツの探し方は、検索機能を使って自らキーワードを指定してコンテンツを探すケースと、画面上に表示されたコンテンツやリンクを逐次クリックしながら所望のコンテンツを探すケースに大別できる。前者の場合、キーワードが適切に指定できれば、欲しいコンテンツを見つけられる確率が高い。しかしながら、ユーザが自身の意図をキーワードで表現することがに出来ないケースでは、コンテンツを見つけられないユーザが少なからず存在する。一方、後者の場合、ユーザはポータルサイト上に用意されたカテゴリの中から絞り込みキーワードを選択し、絞り込んだコンテンツの中から所望の ものを探すが、カテゴリの分類がユーザの意図と必ずしも合っているとは言えず、コンテンツ発見率はさほど高くない。また、ソーシャルフィルタリング(協調フィルタリング)等を使ってユーザの意図を推測し、コンテンツを自動的に絞り込むコンテンツ推薦機能も、近年多く提供されている。(これは、絞り込みキーワードの自動設定といえる)。しかしながら、ユーザの意図を的中させるのは至難であるため、コンテンツ発見率を飛躍的に向上させるには至っていない。このように、従来機能では、絞り込みのためのキーワードを適切に選ぶことが難しいという問題があった。 我々は、映像ポータルサイトを対象として、絞り込みのためのキーワードをユーザに推薦することで、大量の動画コンテンツからのコンテンツ探しをサポートする『感性ワードナビ』を設計・開発した。感性ワードナビで提示するキーワードは、アニメ、映画などのジャンル属性に加えて、泣ける、スカッとするといった感性的な表現(感性ワード)も採用した。これにより、ジャンル属性でうまく絞り込みが出来ない状況でも、感性ワードを使って、気分に合わせた絞り込みができる。 本稿では、感性ワードナビのシステム構成、および主要機能として感性ワード付与機能と、対話型情報ナビゲーション機能の2つの機能を議論する。 感性ワード付与機能は、事前にコンテンツに対する感性ワードの付与する。付与する感性ワードは、サービス運用者によって予め定義し、感性ワード付与機能では、感性ワードと、対象コンテンツのタイトルや作品紹介文など属性情報との相関を判定することで、コンテンツと感性ワードとの対応付けを行う。属性情報が少なくても、感性ワードの使われ方から、関連キーワードを抽出し、幅広く対応付けを行うことを可能としている。対応付けをほぼ自動的に行えるため、膨大な動画コンテンツへ効率的に感性ワードを付与することができる。 対話型情報ナビゲーション機能は、その時々の状況に合わせてコンテンツを絞り込むのに適したキーワードを提示する機能である。ユーザは、提示されたオススメキーワードの中から、気分にあったキーワードを選択する簡単操作で、所望のコンテンツにたどり着くことができる。提示するキーワードは、ユーザの操作履歴から推測した各キーワードに対する期待度合いと、各キーワードで絞り込んだ場合の絞り込み効率を掛け合わせて、その状況下において適切と思われるキーワードを算出する。コンテンツに対応付けられたキーワードの中には、その時のユーザの気分にマッチせず提示しても選ばれないキーワードや、該当コンテンツ数が多すぎたり、少なすぎたりするキーワードが存在する。対話型情報ナビゲーションでは、各キーワードの期待度合いや、絞り込み効率を考慮することでユーザの効率的な絞り込みを実現する。 感性ワードナビのプロトタイプを用いて被験者実験により評価したところ、知らないコンテンツの発見や、操作着手時に念頭に無かったコンテンツへの興味喚起という効果が確認できた。今後、実際のポータルサイトにおける有効性評価を予定している。

7F-5 (時間: 10:10 - 10:35)
題名Webサービスの提供を目的としたデジタルアーカイブシステムの設計と実装 〜建築・空間デジタルアーカイブスの実践〜
著者*南 政樹, 遠山 緑生, 大久保 成, 村井 純 (慶應義塾大学)
Pagepp. 1486 - 1489
Abstract近年,貴重な資料やコンテンツを数多く収蔵するデジタルアーカイブが,インターネットを通じて利用可能になっている.これらの多くは,WWW(World Wide Web)技術を基盤としたWebサイトであり,検索機能や高精細な資料閲覧機能を提供している.  そのWeb技術は,「Web2.0」という言葉に象徴されるように,この数年の間に単なる「情報を検索し閲覧する」から「情報を活用し新たなサービスを作る」ための技術へと変化してきた. これにより,先進的な利用者は,複数のWebサイトが提供する情報やサービスを組み合わせることで,自分のニーズに合った新たなサービスを作り出すことができるようになった.  デジタルアーカイブに収蔵されている資料やコンテンツをWebサービスとして利用できるようにし,自分の価値観やニーズに合わせて自由に組み合わせ表現できるデジタルアーカイブシステムの設計と実装を行った.また,建築写真を中心とした建築資料を収蔵・公開している建築・空間デジタルアーカイブス(Digital Archives for Architectural Space:DAAS)で運用をはじめた.  本論文では,DAASで用いたデジタルアーカイブシステムの設計と実装,そして運用について概要を報告する.


セッション 7G  コンテキストアウェア1(DPS)
日時: 2007年7月6日(金) 8:30 - 10:40
部屋: 展望サロンB
座長: 乃村 能成 (岡山大学)

7G-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名グループドリブンのサービス提供に向けたグループコンテキスト管理機構
著者*鄭 哲成 (立命館大学大学院 理工学研究科), 西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部)
Pagepp. 1490 - 1495
Keywordコンテキストアウェア, グループベースサービス, グループコンテキスト, 適応的アクセス制御, アドホックネットワーク
Abstract人は日常生活の中で周囲の人々とグループを不断に形成/解消しているため,グループに関する状況(グループコンテキスト)は実世界における重要なコンテキストの一つだと言える.しかし,「集団登下校中の学童が一定時間以上はぐれたら保護者に通知する」など,グループコンテキストをトリガとしたサービスの実行制御は,現状において困難である.本論文では,各人の所持する携帯端末が近接無線通信によりグループコンテキストをセンシングし,サービスからのグループコンテキストに関する要求を解決する機構であるGRECOM (Group Context Management Middleware for Group Event-based Services)を提案する.GRECOMの特徴は,周囲の端末とのプレゼンスだけでなく相識関係の判断などを通して高位のグループコンテキストを把握する点と,グループコンテキストへのアクセス制御ポリシーを状況に応じて変更できる点にある.本論文では,我々が想定するグループベースサービスやサービス基盤としての要件定義,GRECOMの設計について述べる.

7G-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名利用者コンテキスト認識における電車内外判定に関する検討
著者*中村 友宣 (大阪大学大学院 情報科学研究科), 小川 剛史 (東京大学 情報基盤センター), 清川 清, 竹村 治雄 (大阪大学 サイバーメディアセンター)
Pagepp. 1496 - 1501
Keywordウェアラブルシステム, コンテキスト認識, 加速度センサ, 超音波センサ, サポートベクターマシン
Abstract本稿では,移動中の利用者の状況に応じた連続的な学習支援をするシステムのための利用者コンテキスト認識における電車内外判定の検討について述べる.本システムでは,大腿部にモーションセンサを装着し,計測した角度から「座位」,「立位」,「歩く」,「走る」,「(自転車を)こぐ」という基本5状態に加え,「立位」状態での「電車内」と「電車外」の両状態を加速度センサと超音波センサを用いて認識する.取得した角度と加速度データは短時間フーリエ変換によりパワースペクトルに変換し,超音波による距離データは1秒間の中央値を求めて,サポートベクターマシンにてユーザの状態を識別する.実験にて通学時における「立位」状態での電車内外の認識率は加速度センサのみの場合で「電車内」が98.1%と高い認識率を示した一方,「電車外」及び超音波センサのみ,加速度センサと超音波センサの併用では状況により認識精度が大きく劣化することを確認した.

7G-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名既存の気象情報を利用した仮想センサの生成
著者*洞井 晋一, 松浦 知史, 藤川 和利, 砂原 秀樹 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)
Pagepp. 1502 - 1509
Keywordウェブサービス
Abstract気象庁はAMeDAS(Automated Meteorological Data Acquisition System, 以下ア メダス)を用いて日本国土の気象情報を収集している。 アメダスでは、日本の気象状況を時間的・地理的に細かく監視するために、降水 量・風向・風速・気温・日照時間の観測を自動的に行っている。 降水量を観測する観測所は全国に約1300ヶ所あり、このうち約850ヶ所では降水 量に加え、風向・風速・気温・日照時間を観測している。 この観測所の数は、約17km間隔で降水量を観測し、約21km間隔で風向・風速・気 温・日照時間の観測を行っていることになる。 この観測所の間の地域では、センサが設置されていないため正確な気象情報を知 ることができない。 例えば、観測所で降雨を観測した場合、観測所のすぐ近くでは雨が降っている可 能性が高いが、 ある程度の距離が開くと雨が降っていない可能性がある。 本研究では任意の位置における気象情報の提供を行うために、 仮想センサの生成を行うシステム「VS-RS」を提案する。 従来は利用者がセンサを指定して気象情報の利用を行ってきたが、 VS-RSでは、利用者が利用する位置に仮想センサを生成し、 まるでその位置にセンサが存在するかのようにしてデータを利用する。 この仮想センサの生成を行うことによって、 気象情報を利用することを促進し、精度の高い気象情報の提供が期待できる。 VS-RSを構築するために、プロトタイプシステムの構築を行う。 プロトタイプシステムの概要は次のようになる。 仮想センサは既に設置されているセンサの情報を利用して、気象情報を生成する。 VS-RSを構築するために、まず既存の気象情報を収集する必要がある。 この既存センサの収集した気象情報はアメダスが提供している情報を利用する。 精度の高い気象情報を提供するためには、 実際にアメダスが生成した情報を利用することが望ましいが、 プロトタイプの段階ではインターネット上のデータを利用する。 アメダスの収集した気象情報は気象庁のウェブサイトにアクセスすることで収集 できる。 また、インターネット上のサービスとして気象情報を提供しているウェブサイト は多く存在する。 ウェブページを解析して気象情報を収集することで、 アメダスの収集した気象情報を容易に取得することができる。 こうして取得した気象情報はデータベースに蓄積する。 仮想センサはこのデータベースを利用して、 気象予報に用いられる数値解析の手法を利用して仮想的なデータを生成する。 VS-RSのプロトタイプではサービスを提供するウェブサイトを用意する。 利用者はウェブサイトのCGIから、利用する位置を入力し、 その位置に仮想センサを生成する。 この仮想センサが利用者に対して気象情報を提供し、 また他の利用者の作成した仮想センサも利用可能とする。 仮想センサにはアラートの機能などを保有させることも可能であり、 例えば雨が降ったときにメールの送信を行うといった機能の拡張も可能である。 また、本研究ではVS-RSを用いて仮想センサが提供する情報と、 実際の気象情報の乖離を調べる。 アメダスの観測所が設置されていない地点の気象状況は、理想的な状況であれば 推定可能である。 しかし、現実の地球上では地表の起伏や海面・湖面の影響など、正確な推定は難 しい。 また、特に近年では環境問題としてヒートアイランド現象やビル風の影響、集中 豪雨の発生など、局所的な気象状況の推定が困難になってきている。 こうした局所的な気象状況を知るためには、高密度なセンサの設置が必要である。 高密度なセンサの設置を行うプロジェクトとしては、Live E!プロジェクトがある。 Live E!プロジェクトが設置しているセンサの位置にVS-RSによって仮想センサを 生成し、 その値を比較することによって高密度なセンサの設置の有効性を考察する。 また、センサの設置密度の変化によって、仮想センサの生成する気象情報が どのように変化するかを調べ、有効な設置密度を考察する。 将来的には自動車などに取り付けた移動体センサが様々な位置の気象情報を収集し、 仮想センサの気象情報と比較することで、気象センサを設置すべき位置を特定す ることが考えられる。 また、VS-RSを一般に公開するためには気象法の定める様々な問題があるため、 こうした現状での問題点もまとめる。

7G-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名ユーザのコミュニティ情報を用いたSNSユーザの出会い支援システムDIの開発
著者*村上 豊聡 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 1510 - 1513
KeywordSNS, コミュニケーション, 会話分析
AbstractSNSでは「友人の友人」といった繋がりを通じて人間関係を構築することがメリットのひとつとされる.本研究では人間関係の拡張を行う手段として「友人の友人」という関係に焦点を当てた.「友人の友人」関係であるユーザの位置情報をもとに,コミュニケーションを実際に行うための,きっかけを提供するシステムDIを開発した.「友人の友人」関係にあるユーザが近接すると,共通の友人や趣味,相手ユーザのコミュニティ情報を提示する.本稿では,システム使用の有無で「友人の友人」であるユーザ間の会話を比較し,システムの有用性を考察した.ユーザの所属コミュニティ情報は会話の話題提供に有効であることがわかった.

7G-5 (時間: 10:10 - 10:35)
題名共同作業を支援する情報共有Webエージェントの方式
著者*清水 好明, 三井 広海, 小泉 寿男 (東京電機大学大学院理工学研究科情報システム工学専攻)
Pagepp. 1514 - 1519
Keywordエージェントシステム, オントロジ, コンテクストアウェアネス, グループウェア
Abstract1.はじめに  共同作業においてよりよい製品を開発するためグループウェアの研究が多く発表されているが,共同作業により蓄積される知識アーカイブの量は膨大であり,ユーザ自らが検索エンジン等を用いてこの中から目的の知識を抽出するためには多大な時間を要するという問題がある.このため知識処理を用いてこれらのアーカイブを有効活用する必要がある.  本研究では共同作業においてより良い製品を開発するために,エージェントとオントロジを用いてユーザから共同作業にとって有用な知識を自動的に収集・共有・提供するシステムを提案する.提案システムでは共有した知識を共同作業の内容や専門性に応じて再構成して作業者へ提供することで,異なる専門性を持つ作業者の知識の差異を埋め,作業者の知識レベル向上を目指す. 2.方式と構成  一般的に共同作業には機械・電子機器・プログラムなど異なる専門・異業種の作業者が参加するものであり,共同作業の過程で発生する知識は各作業者の専門性によって異なるため,膨大な知識の中から共同作業の集団全体にとって有用な知識を判別して抽出・提供するのは非常に困難となっている.そこで提案システムではソフトウェアエージェントとオントロジを用いて有用な知識の抽出を実現し,これを知識共有データベースへ格納する.  エージェントにはユーザエージェントと管理エージェントの2種類が存在する.ユーザエージェントは作業者のPC上に存在し知識の抽出と知識共有データベースへの送信,およびユーザの行動を観察し共有サーバへ知識提供リクエストを送信する.管理エージェントはユーザエージェントから送信された知識をオントロジに基づいて管理し,ユーザへ提供する.なお,本システムにおけるエージェントはJADEを用いて構築する.  本研究におけるオントロジは「目的層」,「構造層」,「タスク層」の3階層により構成される.「目的層」にはよりよい製品であるための要件や条件を記述する.「構造層」では各作業者の専門性や関係,および「目的層」に記述されたの要件をどの作業者が担当すべきかなどの共同作業場の構成を記述する.「タスク層」では,各作業者がすべき仕事の概念が記述されている.例えば目的が「よりよいソフトウェア開発」であるならば,「タスク層」にはソフトウェアを構成するプログラムの概念が処理内容を基準としたモジュールの集合としてオントロジ記述言語OWLを用いて記されている.また,オントロジを構成する各概念間を結ぶ関係には概念間の関連性の大小に応じて重みを付加する.これにより概念同士の関連が定量化でき,「目的層」におけるある1つの要件概念にとって「タスク層」に記述されたどの仕事の概念がより関連深いかを把握することが可能となる.すなわち本システムのオントロジにより共同作業におけるタスクの重要性を把握できる.本研究ではこのオントロジをタスクウエイトオントロジ(TWO)と呼ぶ.  ユーザエージェントは,ユーザが作成したプログラムや製品に関するドキュメントなどの共同作業の成果物に対し検索や形態素解析・構文解析処理をおこない,共同作業に関連する品詞を抽出しこれにメタデータを付加してドキュメントをXML文書化した後,共有サーバ上の管理エージェントへ向け送信する.また,ユーザエージェントはユーザの専門性を表す小規模なオントロジのテンプレートプロファイルオントロジ(PO)を有する.このテンプレートはTWOの「構造層」に基づいて記述されており,抽出されたXML文書のメタデータの種類および出現頻度を概念として付加することで作業者の専門性を表現する.  管理エージェントはユーザエージェントから送信されたXML文書のメタデータを用いてTWOのタスク層を検索しタスク概念とドキュメントを結びつける.その後管理エージェントは,結び付けられたタスク概念と「目的層」における要件概念との距離を概念間をたどることで計測しXML文書の有する重要性としてこれを付加する.さらに管理エージェントはユーザエージェントが作成したPOからユーザの現在の専門性を把握し,これに最も適しておりかつ重要性の高い知識を共有DBから検索して作業者へ送信する.  以上のようにして,本システムでは共同作業に従事する作業者の成果物から動的に知識を抽出・共有し,作業者の専門性に応じた共有知識の自動的かつ最適な提供を実現する. 3.評価と考察  本研究では,抽出・共有すべき知識アーカイブが膨大であり,提案システムを適用することでよりよい製品が開発できる共同作業のモデルとしてオープンソースソフトウェア開発を選択する.そのうえで仮想的なオープンソースソフトウェア開発場として小規模なソフトウェア開発場を設定し提案システムの適用・評価を行なう.  評価は,2つの共同作業グループを設け,そのうち一方にのみ本システムを適用したうえで同一のソフトウェアを開発することで行なう.一定の期限内に作成された成果物とアンケート・テストによる知識レベルの変化について,両グループでの違いを検討し考察する.


セッション 7H  ネットワークと応用(DPS)
日時: 2007年7月6日(金) 8:30 - 10:40
部屋: 回転スカイラウンジ
座長: 重野 寛 (慶応義塾大学)

7H-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名構造化オーバレイを利用したコンテキスト管理サーバの実装および評価
著者*吉澤 政洋 (日立製作所中央研究所)
Pagepp. 1520 - 1527
Keywordコンテキストアウェアネス, 構造化オーバレイ, IP電話, プレゼンス, センサネット
Abstractコンテキスト管理サーバとは,各種センサから取得した情報からユーザの状況を推測し,状況に応じてユーザ間コミュニケーションを制御するサーバである.ユーザが携帯可能なセンサの普及に伴い,コンテキスト管理サーバの処理量は増加し,その重要性も増す.しかし,従来の負荷分散方式はシステム共通のデータベースを用いるため,大量のセンサ情報を扱うコンテキスト管理サーバには適していない.本研究では,データベースへの負荷集中を防ぐために,コンテキスト管理サーバ群が形成する構造化オーバレイを利用した負荷分散方式を提案する.また,従来方式と提案方式の両方の負荷分散を容易に切り替え可能なコンテキスト管理サーバContext Crossoverを提案する.本稿では,Context Crossoverサーバの実装と評価,ならびに今後の課題について述べる.

7H-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名連接共起単語を用いた形態素解析用辞書への新語獲得方式
著者*三枝 優一, 速水 治夫 (神奈川工科大学大学院 工学研究科 情報工学専攻)
Pagepp. 1528 - 1531
KeywordWeb, 自然言語, 品詞同定

7H-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名システムメトリックの相関関係を用いた自律制御ポリシ開発手法の提案
著者*西村 祥治 (NEC インターネットシステム研究所)
Pagepp. 1532 - 1537
Keyword自律制御, ポリシ, ポリシ開発, 相関性
AbstractWebシステムをはじめとするサーバシステムは、そのSLA(Service Level Agreement)を 遵守できるように、注意深く設計、開発、そして運用がなされている。現在は、 あらかじめ、想定される最大負荷に耐えうるように構成されることが主流であるが、 今後、負荷の増減にあわせて、その構成を変えることができると、 資源の有効利用やシステムに必要な費用削減などに効果があると期待されている。 この負荷に応じて、素早く対応するためのシステムとして、ポリシベースの 自律制御システムが提案され、その実現可能性の研究が進められている。 ここでいう、ポリシとは、SLAを遵守するために、システムがどのような状況に なったとき(コンディション)に、システムに対してどのような操作を適用するか (アクション)の組として記述されるものである。 ポリシベースの自律制御システムでは、このポリシのセットをあらかじめ制御システム に与えておくことで、システムに対する負荷の変動に応じて、自律的な制御を 実現している。 しかしながら、これらのポリシセットを設計、開発することは、一般的に困難である。 なぜなら、そのシステムが守るべきSLAとシステムのメトリックがどう関連づいているか、 そのシステムのメトリックがどんな閾値を越えたときに構成を変更すべきか、 構成変更するとき、どの層にどれだけの資源を投入すればよいか、 など、システム全体を見渡しながら設計、開発する必要があるからである。 そこで、我々は、Web3層システムに代表されるような多段構成になっている Webシステムを対象に、各層の処理能力のバランスを考慮して、ポリシセットの開発を 支援する方法を提案する。 システムのメトリックは、そのシステムにかけられたワークロードによって、 その値を変化させる。このとき、ワークロードとシステムのメトリックの間、および、 いくつかのシステムのメトリックの間で、相関性を持っていることが、 G. Jiangらの研究(Discovering Likely Invariants of Distributed Transaction Systems for Autonomic System Management: ICAC 2006)で報告されている。 我々は、この点に注目し、これらの相関関係を元に、各層の処理能力のバランスが とれたシステム構成の導出および、これらのシステム構成を遷移を駆動する コンディションの導出を試みる。 まず、テスト環境上のシステムに、ワークロードを与え、システムのメトリックの 時系列データを収集する。 次に、各メトリックの時系列データを回帰分析により、メトリック間の相関関係を 抽出し、個々の回帰式を元に、各メトリックの値の間の相対比を求める。 G. Jiangらの研究では、ARX(AutoRegressive models with eXogenous inputs)モデル により、相関関係の抽出を試みているが、我々は、メトリックの相対比を求めるには、 ARXモデルでは、回帰式が複雑であったことから、単回帰を用いた。 単回帰の結果、一定値以上の相関係数を持つメトリックの組が見つかれば、 それらのメトリック間に相関関係があるとみなす。 そして、これの相対比と、管理者により与えられた各メトリックの上限値から、 各層間の処理性能比を満たす台数構成のシステムを導出する。さらに、導出された 各システム構成の処理可能量をボトルネックとなるメトリックから推定することで、 システム構成遷移のコンディションを導出する。 他の同様の研究としては、B. Urgaonkarらによる待ち行列モデルを利用した研究 (Dynamic Provisioning of Multi-tier Internet Applications: ICAC 2005)がある。 上記手法を、Web/AP層とDB層の2層で構成されるオンラインショッピングサービスを 対象に評価を進めている。 各層1台ずつの最小のシステム構成にワークロードを与え、ARXモデルと同等数 の相関関係の抽出することができた。そして、ワークロードから各層のサーバの システムのメトリックにわたる相関関係のネットワークが構築できることを確認し、 この相関関係のネットワークからメトリック間の相対比を求めることができた。 今回の評価環境では、ソフトウエアの構成上DB層のサーバ台数を増やすことが できなかったため、Web/AP層がどれくらいまでサーバ台数を追加することが可能 であるか、そして、導出されたシステム構成が、どれくらい見積どおりの性能が 出ているかを本稿までに追加評価する。

7H-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名XML文書に対する構造を指定した全文検索方式の提案
著者兵藤 正樹, *榎本 俊文, 江田 毅晴, 山室 雅司 (NTTサイバースペース研究所 OSSコンピューティングプロジェクト)
Pagepp. 1538 - 1544
KeywordXML, 全文検索, 部分文書
Abstract近年,XMLは様々なアプリケーションで用いられるようになってきている.XMLは,タグを字の文に埋め込むことで文書やデータの意味や構造を記述することが出来るため,計算機で用いられる様々なデータがXMLで記述されている.このような背景から,XMLで記述され,蓄積されたデータを効率よく検索する技術の研究は急務といえる.現在,XMLデータの検索には,XPathやXQueryなどの構造を指定可能な問合せ言語が広く用いられており,今日まで盛んに研究が行われている. XMLデータには文書指向(document-centric)のものと,データ指向(data-centric)のものがある.文書指向のXMLデータは,データ指向のXMLデータに比べ,記述内容が文章的で各ノードに多くのテキストを含む傾向にある.ここでは文書指向のXMLデータをXML文書と呼ぶ.そのため, XML文書に対して検索を行う場合,全文検索の手法を適用することが有効であると考えられる.これまでに提案されている手法は、基本的にXML文書のテキストノードを全て対象にし,全文検索を行うというものだった. しかし,文書指向といえどもXMLは構造化データであり,構造を指定し,検索する対象の文書の範囲を限定して全文検索を行う手法が今後必要になるのではないかと考えられる.例えば,本のデータを構造化し,章ごと,節ごとにテキストを分類する.ユーザが,ある検索単語で文書の検索をする時,検索単語が含まれる本一冊分のデータを結果として返される場合,返されたXMLデータの中からさらに必要な部分を探索せねばならず,ユーザにとって利便性が低いことが考えられる.しかし,もしユーザがある検索単語を含む本の一節を検索できるとしたらユーザは本一冊分という大きな一つのXML文書から,必要とする部分だけを取り出すことが出来る. そうした上で,様々な構造を指定した問合せを可能にすることで,検索対象とするテキストの範囲を柔軟に決定したい.上記の例では,検索単語を含む文書をより局所的に検索する場合には節単位で,ある程度広く探索する場合には章単位で,といった検索が考えられる.この場合,節は章に含まれるため,章単位で構造を指定した場合,章ノード以下の節のテキストノードも全て検索される.この様な,構造を指定することによって限定される文書をここでは部分文書と呼ぶ. 上記のような検索を行う場合,問合せ(クエリ)に依存して検索する部分文書が決定されてしまうため,検索されうる部分文書全てに対してテキストインデックスを作成することが考えられる。ただしその場合,部分文書のバリエーションおよび重複するテキストノードにより,非常に膨大なテキストインデックス群の作成を必要とし,巨大なディスク容量を必要としてしまう. 本論文では,XMLデータに対し効率よく構造検索を実現する手法であるストロングデータガイドおよび範囲ラベルを対象にした全文検索方式を提案し, XML文書に対し,構造を指定した全文検索を効率よく行う手法を提案する.本方式では,ストロングデータガイドや範囲ラベルにパス構造やノード間の先祖子孫関係情報のほかに,全文検索インデックスと共通のIDを保持することで,これらの手法を組み合わせた時に効率よく検索を実行することが出来る.本方式を用いることで巨大なテキストインデックスを作成することなく構造を指定した全文検索を行うことが出来る.


セッション 8A  無線通信システム(MBL)
日時: 2007年7月6日(金) 10:50 - 12:30
部屋: 平安
座長: 長谷川 輝之 (KDDI研究所)

8A-1 (時間: 10:50 - 11:15)
題名空間可視光通信による携帯情報端末の提案
著者*林 新, 伊藤 日出男 (産業技術総合研究所 情報技術研究部門)
Pagepp. 1545 - 1548
Keyword光無線通信, カード型端末, 双方向通信, 多元個別情報対応, 電子ペーパー
Abstract 近年,ユーザへのより良い情報支援を志向するために,表示部を有する携帯情報端末やICカードが盛んに研究開発されている.本提案では,有機固体素子に基づく電流型半導体発光材料である有機EL素子と有機薄膜太陽電池を利用することにより,端末の低消費電力,双方向多元データ伝送を実現することが可能となるだけでなく,端末を高視認性,湾曲自在の携帯電子ペーパーとして利用も期待できる.また,情報伝送媒体として,照明光源の利用を想定するので,カーテンで光を遮断すれば,情報が室外に漏洩する心配が少ない.さらに,端末パネルに複数の制御スイッチを設置することにより,1つの端末で複数の請求をそれぞれ環境側に送信することができるようになる.  本提案は,照明光の利用を想定しているので,端末を照明の届く範囲で使えば,情報伝送と閲覧を行うことができるようになる.電波を使わないため,無線電波のように混線することがなく,人体への悪影響がないという特徴があるので,医療や研究機関での活用が期待できる.

8A-2 (時間: 11:15 - 11:40)
題名UHF帯RFIDシステム設計支援ツール「RADIOSCAPE-RFID」の開発
著者*菅原 弘人, 小野 隆志, 土門 渉 (NEC/ビジネスイノベーションセンター)
Pagepp. 1549 - 1552
KeywordRFID, 電波伝搬, 通信プロトコル, 無線システム設計
AbstractUHF帯RFID導入時のシステム設計業務を支援するツール「RADIOSCAPE-RFID」を開発した.今回我々は,物流現場の一括検品における検知漏れや対象外タグ誤検知の問題を発生させないためのシステム設計を支援するため,複数枚タグの一括読み取りにおける読取率を推定する機能や,タグが最大限読み取られる可能性のあるエリアを推定する機能を開発した.これらの推定機能の精度について実機を用いた評価を行い,実用上十分な高い精度が得られることを確認した. RADIOSCAPE-RFIDを用いることにより,UHF帯RFID導入現場における環境や運用条件を考慮したうえで,対象外タグの誤検知を回避しながら所望の読取率を実現するためのリーダアンテナの設置位置や角度,送信出力等を机上検討によって決定することができる.そのため,UHF帯RFID導入時のシステム設計業務の大幅な効率化が期待できる.

8A-3 (時間: 11:40 - 12:05)
題名2次元空間移動物体の1次元情報による継続的追跡方式
著者*佐野 渉二, 田村 明広 (神戸大学大学院/自然科学研究科), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院/工学研究科), 義久 智樹 (京都大学学術情報メディアセンター)
Pagepp. 1553 - 1560
Keywordセンサネットワーク, 移動体, ノード追跡, 電波強度
Abstract可動ノードを用いた無線センサネットワークでは,幅広い範囲のデータを収集することが可能であるが,可動ノードが他のノード群からある一定距離以上離れてノード郡の受信可能範囲から出てしまうと通信を維持できなくなる問題が生じる.そのため,無線ネットワークから外れそうな可動ノードに対して,他のノードが追跡することにより,ネットワークを維持する必要がある. 本研究では,可動ノードが定期的に電波を発することを想定し,可動ノードの発する電波強度からそのノードとの相対距離が求められることを利用することで,相対距離のみから可動ノードを追跡する方法について考える.本稿では,追跡方式を提案し,シミュレーション実験により,その有用性を確かめた.応用例として,発信機を取り付けた生物の生態調査,車車間通信,センサネットワークにおけるノード同士の協調動作などに利用できると考えられる.

8A-4 (時間: 12:05 - 12:30)
題名コグニティブ無線クラウドにおける通信情報管理
著者*村田 嘉利 (岩手県立大学 ソフトウェア情報学部), 宮本 剛, 長谷川 幹雄, 斉藤 義仰 (情報通信研究機構 ユビキタスモバイルグループ)
Pagepp. 1561 - 1567
Keywordモバイルネットワーク, コグニティブ無線, 通信制御
Abstract次世代の移動通信システムの在り方として、全ての通信を一つの通信システムで対応するホモジーニアスなネットワーク構成ではなく、複数の異なった無線システムを状況に使い分けるヘテロジーニアスなネットワーク構成がある。その際、一つの通信事業者が全ての無線システムを提供するのではなく、個々の通信事業者が提供する通信設備を端末主導で選択することによって伝送路を確立するアーキテクチャ構成が考えられる。このようなコンセプトの移動通信システムを我々はコグニティブ無線クラウドと呼んでいる。 一つの事業者が接続可能な通信設備を一元的に管理している場合には、ネットワークの基本性能については設計段階で保障されており、接続端末数や端末のロケーションといったダイナミックに変化する状態についても一元的に管理されている。 一方、コグニティブ無線クラウドにおいては、個々の事業者が提供する通信設備の性能やキャパシティはばらついていると考えなければならない。また、ダイナミックに変化する情報についても各通信設備が個々に所持していると考えるのが妥当である。このような状況下において、出来る限り料金の安い経路を希望するとか品質の高い経路を希望するとかいったユーザポリシーに基づいて経路選択をするためには、必要とする情報種別からして3G移動通信ネットワークを始めとするホモジーニアスネットワークとは異なる。当然、それらの通信情報を管理するネットワーク構成にしても従来とは異なった構成となる。 本論文では、コグニティブ無線クラウドにおける通信制御に必要な情報種別に言及すると共にそれらの情報を収集する手法、情報管理ネットワークの構成について考察する。 まず、最初にコグニティブ無線クラウドの基本コンセプトおよび要求条件について述べる。基本コンセプトとしては、以下を考えている。 ・ 端末主導によりユーザポリシーにもとづいて通信設備を選択する。 ・ 一つの通信事業者によって保障・提供されているネットワークではなく、複数のことなる通信事業者が提供する通信設備の集合体としてのホモジーニアスネットワークである。 ・ 周波数の利用効率を追求する。 ・ スケーラブルなネットワークである。 上記に基づいて必要となる通信情報を明確化する。無線区間としては、各ロケーションをカバーしている無線設備に関する情報、自端末を取り巻く周辺のトランザクション情報などが必要となる。有線区間に関しては、当面インターネットが実際的なネットワークであり、その上でポリシーオリエティッドな制御を行うためには、仮想オーバレイネットワークを構成すると共にエンドツーエンド区間を構成する個々のネットワークの状態に関する情報が必要となる。 続いて、上記の情報を取得する手段について言及する。無線設備に関する情報についてはスペクトラムセンシングが主な手段となる。一方、周辺情報については、通信中の端末とローカルエリア単位に情報管理するサーバを設けてそこに聞きにいくなりする必要がある。有線ネットワークの状態に関する情報についても各ネットワークのルータから情報を得るかそれらの情報を分散管理するサーバを設けて聞きに行く方法などが考えられる。 それに引き続いて、上記で得た情報をどこで、あるいはどの単位で管理すべきかについて述べる。無線区間の情報は端末自身、それを取り巻く無線基地局で主に情報を管理するが、周辺の情報やトランザクション履歴などは上位サーバで管理した方が適している可能性がある。有線ネットワークに関しても同様である。


セッション 8B  コンピュータ・セキュリティ(CSEC)
日時: 2007年7月6日(金) 10:50 - 12:30
部屋: 花の舞
座長: 佐々木 良一 (東京電機大学)

8B-1 (時間: 10:50 - 11:15)
題名セキュリティと利便性を両立するモバイル・オフィス環境の提案
著者*古市 実裕, 池部 敦巳 (日本IBM)
Pagepp. 1568 - 1577
KeywordAccess Control, Digital Rights Management, Information Flow, Security Policy
Abstract近年,ブロードバンドの普及や業務形態の多様化に伴い,オフィス以外の場所でもメールや文書編集などのオフィス環境を手に入れたいという要望が高まっている.その一方で,盗難や紛失による機密情報の漏洩を恐れる企業では,業務用ノートPCの持ち出しを禁止している所も多く,セキュリティとモビリティを両立する有効な手段が求められている. 一つの解決策として,シンクライアントやDRMシステムを導入して機密情報の漏洩を防止する手法が実用化されているが,システム導入や運用のコストが大きく,まだ本格的には普及していない.一方,モビリティ向上という観点から,USBメモリキーなどの小型可搬デバイスに業務プログラムやデータを全て内蔵し,出張先や移動先などのコンピュータに挿入して利用することで,任意の場所でオフィス環境を手に入れる方式が実用化されている.しかし,利用できるプログラムが限定されている上,メモリキー挿入先のコンピュータに機密情報が不正にコピーされる危険があるなど,セキュリティ上の課題が多い. 本発表では,USBメモリキーの挿入先コンピュータに対して,メモリキー所有者である企業や個人が定めたアクセス制御ポリシーを強制適用する手法を紹介し,挿入先コンピュータのプログラムの挙動を自在に制御しながら,手軽に安全なオフィス環境を実現するシステムを提案する, 本手法では,USBメモリキーの挿入と同時に,挿入先コンピュータで稼動する全プロセスに対して,ファイルやプリンタ,クリップボードなどに対するアクセス制御を実施する制御モジュールを注入し,状況依存のきめ細かい情報フロー管理を実現する.アプリケーションに対して透過的にアクセス制御を実現するため,どのようなアプリケーションにも適用可能であり,汎用性が高い. CPUやメモリ,プログラムなどの,挿入先コンピュータの資源を有効活用しながら,USBメモリ内の機密情報データが不正に持ち出されないように情報フローを厳密に管理することで,セキュリティと利便性を両立するモバイル・オフィス環境を実現する.本発表で紹介する手法により,自宅や出張先にはUSBメモリキーだけを持って行けばよいという利便性と,移動先のコンピュータ内に機密情報が漏れる危険がないという安全性を両立する,実用的なソリューションが提供可能になる.

8B-2 (時間: 11:15 - 11:40)
題名利便性とセキュリティを両立させるための最適対策組合せに関する検討
著者*加藤 弘一, 勅使河原 可海 (創価大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1578 - 1585
Keywordセキュリティ, 利便性, リスクマネジメント, フォルトツリー, 交渉
Abstract1. 研究の背景と目的 近年,ホームネットワーク,企業や大学など組織のネットワーク,公共空間における高速無線アクセスポイントなど,複数のネットワーク環境を利用するユーザが増加している.今後,ユビキタスネットワークが確立され,いつでもどこでもネットワークが利用できるようになった場合,ユーザは当然のように多くのネットワーク環境を利用するようになると考えられる. この際,どのようなネットワーク環境においても,ユーザの望む端末・サービス利用が自由に行える十分な利便性と,ユーザや組織が保有する情報資産を保護できる十分なセキュリティを確保し,両立することが重要となる.しかし,一般に利便性とセキュリティはトレードオフの関係にあり,適切なバランスを維持し,両立することは非常に困難である.さらに,ネットワークの運用形態や,求められる利便性とセキュリティのバランスは環境や組織によって異なるため,利便性とセキュリティの両立が可能なネットワークを構築するための汎用的な手法は確立されていない. そこで本研究では,ネットワーク利用時における利便性とセキュリティの両立を目的とし,特に組織のネットワークにおけるサービスの利用に焦点を当て,セキュリティを維持しつつユーザがサービスを自由に利用できるようにすることを目指す. 2. 現状の問題点と本研究のアプローチ 組織のネットワークではセキュリティポリシーの遵守がユーザに求められているが,実際には企業における業務遂行や大学における研究活動のためなど,通常時には利用できないサービスを特別に利用したい場合もある.一般に,ユーザが特別な利用を実施したい場合には管理者へ書類等により申請を行い,管理者が審査することで申請内容の実施可否を決定する.しかし,管理者が申請内容を審査するためには多くの知識や経験が必要であり,容易に判断することはできない.さらに,審査結果の妥当性を客観的に証明することは困難である. 我々は,ユーザが自由にネットワークを利用するためには,通常利用できるサービスに加え,通常時には利用できないサービスも許可を得ることで自由に利用できることが重要であると考える.ただし,そのためにはセキュリティ上の問題が発生しないように,十分なセキュリティを維持することが求められる.そして,これら自由な利用とセキュリティの維持を実現するためには,特別な利用の実施可否を客観的に審査する仕組みが必要である. 本研究ではこれまで,ユーザと管理者が利便性とセキュリティの両観点から特別な利用の実施可否を交渉する方式について検討を重ねてきた.この方式では,一つの脅威に対して様々な箇所で対策を施すことで堅牢なセキュリティを確保するという多層防御の概念に基づき,特別な利用を実施するために現在のある対策の強度を低下させる代わりに,他の対策を強化することでリスクの発生を抑制するというアプローチをとる.しかし,他対策を強化するとユーザに新たな利用上の制約が生じ,利便性が低下する.そこで,フォルトツリー解析(FTA)を利用して対策の変化によるリスク発生確率と利便性の変動を定量的に算出し,対策の組合せ候補の中からユーザと管理者の両者が許容できる組合せを選択することにより特別な利用の実施可否を交渉する.これにより,客観性かつ妥当性のある交渉を可能とし,ユーザの利用状況に応じて利便性とセキュリティを動的に移行させることで利便性とセキュリティを両立できると考えられる.しかし,対策組合せの候補数は非常に膨大であり,ユーザと管理者の望む利便性とセキュリティを達成可能である適切な組合せを決定することは困難である.そこで本稿では,利便性とセキュリティを両立するための対策案選択問題と捉えて定式化し,適切な対策組合せの決定について検討する. 3. 最適な対策組合せの選択 3.1 対策組合せ候補の決定 ユーザが特別なサービス利用をするためには対策を変化させる必要があり,その対策変化に伴うリスク発生確率と利便性の大きさはFTAにより定量的に(式を利用して)算出することができる.さらに,膨大な対策組合せを絞り込む必要があるが,何らかの固定的な絞り込み方法では「特別な利用ができるならば他の利便性は損なわれてもよい」「すべての利便性を均等にしてほしい」「特定の利便性を重要視する」といったユーザの状況に対応することが難しい.そのため,リスク発生確率や利便性への閾値の設定,リスクの最大値最小化,利便性の最小値最大化など絞り込む方法を選択できる必要がある.これらは対策決定における制約条件と考えることができる.このことから,ユーザの状況に柔軟に対応可能な対策組合せの決定は,様々な制約条件下における離散最適化問題として定式化することができる.これにより,数値上の条件を満たす対策組合せの候補を抽出することができる. 3.2 最適な対策組合せの決定 数値上は適切である対策組合せ候補の中から,本当にユーザと管理者の望む最適な組合せを決定する必要がある.しかし,どの対策がどの程度変化するかを直接見たとしても,ユーザ自身がどのような利用と制約が生じるかを理解することは容易ではない.そこで,サービス単位で利用できるもの/できないものを示す方法や,通常利用できるものが利用できなくなるといった差分で示す方法などにより,最終的な対策組合せを決定する.これにより,ユーザと管理者の両者が利便性とセキュリティの観点から妥当と判断する対策組合せを決定することができる.

8B-3 (時間: 11:40 - 12:05)
題名利便性とセキュリティの定量的評価に基づくユーザポリシー作成方式の検討
著者*松林 大樹, 加藤 弘一, 勅使河原 可海 (創価大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1586 - 1591
Keywordセキュリティ, 利便性, フォルトツリー, ユーザポリシー
Abstract1. 研究の背景と目的 近年、家庭や大学・職場、公共空間でのネットワーク環境が整理され、ユーザは複数空間で端末を利用する機会が増えている。今後、ユビキタス社会の到来により、ユーザは当然のように複数の端末を利用するようになると考えられる。そのような情報社会では、ユーザが自由に端末やサービスを利用できることが重要となる。一方で、安全にサービスを利用するために、セキュリティを確保することが必要になる。一般に、利便性とセキュリティはトレードオフの関係にあり、両立は非常に困難であるため、ユーザが自身の望む利便性とセキュリティのバランスを適切に設定できることが重要となってくる。 そこで本研究では、ユーザの望む利便性とセキュリティを端末環境に反映させることを目的とする。そのため、まずユーザの望む利便性とセキュリティのバランスを明確にし、そのバランスを満たすような端末の設定を算出し、これらをユーザポリシーとして作成する。そして、ユーザの利用する端末にユーザポリシーを反映させることで、ユーザの望む端末環境を実現する。その際、利用ネットワークのセキュリティポリシーを考慮することで、セキュリティポリシーの遵守も可能となる。 2. 現状の問題点と本研究のアプローチ 端末の利便性とセキュリティのバランスを調節するためには、ユーザに端末設定やセキュリティに関する知識と経験が必要となってくる。さらに、設定項目は多岐に渡り、項目間の関係も複雑である。そのため、知識のない一般ユーザには利便性とセキュリティのバランスを調節しつつ端末を設定することは難しい。また、利便性とセキュリティのバランスを調節する際には、バランスがどのような状態であるかを客観的に判断するための指標をユーザに示すことが重要となってくる。 そこで本研究では、知識のないユーザから要望を抽出し、要望を満たすような端末設定の算出方法について検討を行ってきた。要望抽出の際に障害となる設定項目数の多さや関係性の複雑さに対しては、カテゴリという大きな枠で捉えることによって解消を目指す。また、端末の利便性やセキュリティを客観的に判断するための指標に関しては、利便性とセキュリティのレベルを定量的に扱うというアプローチを取る。これにより、ユーザの要望と端末設定のパラメータを明確にすることができ、ユーザポリシーとして定義することができる。ユーザは自身のユーザポリシーを持ち、利用する端末にユーザポリシーを適用することで自身の要望を端末に反映することができるようになる。 3. 利便性とセキュリティの定量的評価によるユーザポリシーの作成 3.1 設定項目の分類 ユーザの要望を抽出する際に、数多くある設定項目をユーザにひとつずつ確認する方法は現実的ではない。ユーザから要望を抽出する際には、知識の少ないユーザにも分かりやすく、かつユーザの負担を減らすことを目指さなければならない。そこで、設定項目の機能や役割に注目し、分類を行った。この分類により、カテゴリという大きな枠で捉えることで、すべての設定項目を確認することなく、知識の少ないユーザからもわかりやすく、かつ容易に要望を抽出できるようになる。 3.2 カテゴリ、端末の利便性とセキュリティの客観的な指標 ユーザの要望を適切に抽出するためには、ユーザの望む利便性とセキュリティを客観的に判断するための指標が必要となる。そこで、ユーザがどれだけの利便性やセキュリティを望んでいるのかを定量的に算出することを目指す。そのためには、設定をどのようにしたかによって、端末の利便性やセキュリティがどの程度になるかを定量的に捉えられなければならない。そこで、設定項目を役割で分類したカテゴリごとにフォルトツリーを構成し、頂点にはカテゴリの利便性やセキュリティを置き、設定をどのようにするのかを基本事象として展開する。これにより、どのような設定をしたかによってそのカテゴリ、さらには端末の利便性とセキュリティの大きさを定量的に算出することができる。 3.3 ユーザの望む利便性とセキュリティを達成する設定パラメータの決定 ユーザは、ユーザポリシーを作成するためにカテゴリごとに自身の望む利便性とセキュリティのバランスを定量的に決める。そして、そのユーザの要望を満たすような設定項目のパラメータを算出する。場合によっては算出される候補が複数になる可能性がある。それらをユーザに提示し、選択もしくはカスタマイズを行うことによって、ユーザの意思を適切に表現したユーザポリシーを作成することができるようになる。

8B-4 (時間: 12:05 - 12:30)
題名危険アウェアネスを支援する不快インタフェースのための試験的調査
著者*及川 ひとみ, 藤原 康宏, 村山 優子 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 1592 - 1595
Keywordセキュリティ, 不快なインタフェース, discomfort interface
Abstractコンピュータ利用時の危険を回避するためには,危険へのアウェアネスが重要である.そこで本研究では,利用者に「不快感」を与えることで危険へのアウェアネスを支援するユーザインタフェースを実現するため,不快の要因探索を試みた.不快を与える要素を収集し,不快の度合いを求め,探索的因子分析を行った結果,コンピュータ利用時の不快を構成する7因子が示唆された.


セッション 8C  ネットワークプロトコル(QAI)
日時: 2007年7月6日(金) 10:50 - 12:30
部屋: 砂子〜磯笛
座長: 砂原 秀樹 (奈良先端科学技術大学院大学)

8C-1 (時間: 10:50 - 11:15)
題名ストリーミングサービスにおけるSLA利益最大化方式の検討
著者*長野 純一 (創価大学大学院工学研究科), 深瀬 伸城 (創価大学工学部), 阿部 伸俊, 勅使河原 可海 (創価大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1596 - 1601
Keywordストリーミング, SLA, 利益, レート制御, 受付制御
Abstract1.研究の背景と目的  近年,インターネットの普及と共にストリーミングサービスの需要は高くなり,様々な場面で利用されている.それに伴い,サービスへのユーザの要求は多様化すると予想される.例えば,高額であっても高品質な映像を望む場合や,品質が多少悪くても低価格な映像を要求する場合が考えられる.そのため,サービス提供者はユーザの要求に応じたサービスを提供することが望ましい.  一般的に,サービス提供者とユーザ間で品質に関する取決めをSLA (Service Level Agreement)と呼ぶ.SLAでは,ユーザは要求する品質を選択し,それに応じた料金(保証額)を支払う.一方,サービス提供者はその品質を保証する.保証出来なかった場合には,ユーザに賠償を支払う.SLAの導入により,ユーザは品質を,サービス提供者は対価を得ることができる.しかし,SLAの運用・管理が適切でないと,品質が保証できない場合や,利益が得られない場合がある.サービス提供者は,SLAを導入する際,設備投資などにより大きな負担を強いられるため,運用・管理の誤りによってSLAによる利益が得られないと問題である.そこで本研究では,ストリーミングサービスを対象とし,サービス提供者がSLAを導入した場合におけるSLAの運用・管理方式について利益最大化の手法を検討する. 2.想定環境  想定する環境として,サービス提供者はストリーミング配信サービスと共にネットワーク接続サービスを提供しているものとし,SLAはサービス提供者とストリーミングを閲覧するユーザの間で結ばれているものとする.ストリーミングの代表的なサービス形態として,オンデマンドとリアルタイムがある.本研究では,まずリアルタイムストリーミングに着目し,フロー毎にユーザとSLAを結ぶ.  リアルタイムストリーミングにおけるSLAで保証すべき品質として,再生が始まるまでの待ち時間,画像の乱れや停止,画質(再生レート)が挙げられる.再生までの待ち時間は,通信開始時の受信側でのバッファ量を少なくすることで保証できる.一方,画像の乱れや停止は,ネットワークの輻輳を原因とするバッファ枯渇によって発生する.これに対し,送信側で少ないバッファ量でもデータを再生できるように,再生レートを低下させ,それに応じて送信レートも下げることにより対応できる.そのため本研究では,保証品質を画質,つまり再生レートとする.また,再生レートを基準としたクラスを用意し,ユーザはそのクラスを選択できるものとする. 3.SLA運用管理方式  本研究では,サービス提供者の利益を最大化する運用・管理方式の実現を目的としている.特に,SLA利益を最大とするような受付制御とレート制御について取り組む.例えば,ユーザを制限なく受け付けると,ネットワークの使用帯域の増加により,ユーザへの提供再生レートが低くなり,賠償が発生する.逆にユーザの受け付けを極端に制限すると,賠償は発生しないがサービス提供による対価を得ることができない.また,利用可能なリソース内で,できる限り賠償が発生しないようレート制御を行う必要がある.従って,受付ユーザ数と割り当てレートを適切に決定することが研究の課題となる. 4.SLA利益最大化手法の検討  SLAによる利益を大きくするための受付制御手法として,要求ユーザを受け付けた場合に発生する保証額と賠償額を比較し,受付を判断する受付制御を考案した.  また,レート制御としては,ストリーミングサーバの限界帯域を超えるユーザ要求が新たに受け付けられた場合に,サービス中のフローに割り当てられた帯域を減少させ,新たなユーザに割り当てるという制御とした.今回,帯域を減少させるフローの選択基準として公平レート制御,ランダムレート制御,時間判断レート制御を考案した.公平レート制御は全フローの帯域を減少させる手法である.次のランダムレート制御は帯域を減少させるフローを出来るだけ少なくするが,減少させるフローはランダムに選ぶ手法である.最後の時間判断レート制御はランダムレート制御と同じ考え方で,減少させるフローをストリーミング終了までの時間を考慮し,選択する手法である. 5.シミュレーションによる評価  考案手法の有効性を検証するためにOPNETを用いてシミュレーションを行った.シミュレーションでは,それぞれのレート制御方式において,ユーザを制限なく受け付ける場合と極端に拒否する場合,また提案した受付制御を適用した場合での利益を比較した.なお,シミュレーションにおいて,到着間隔とサービス時間はポアソン分布とした.  シミュレーション結果では,極端に受け付けを拒否する受付制御についての全レート制御方式を適応した場合と,全ての受付制御について,公平レート制御方式を適応した場合において,ユーザ拒否が多くなり,利益が低くなるという結果となった.  また,ランダムレート制御と時間判断レート制御方式を適用しての利益は,公平レート制御方式での利益の2倍の値を示した.さらに,それぞれのレート制御方式に,提案した受付制御方式を適用したところ,制限なくユーザを受け付けする場合より,高い利益を得ることができた.

8C-2 (時間: 11:15 - 11:40)
題名分散協調基盤におけるQoSを考慮した動的ストリーミングサービス制御
著者*森村 吉貴 (京都大学大学院情報学研究科), 山 達也 (独立行政法人情報通信研究機構), 美濃 導彦 (京都大学学術情報メディアセンター)
Pagepp. 1602 - 1606
KeywordQoS制御, 分散処理, 情報家電, 家庭内ネットワーク, ストリーミング
Abstract本報告では,家庭内ネットワークの分散協調型の基盤ミドルウェアにメディア種別に応じたトランスポートプロトコルの自動選択機能やEnd-to-End のフィードバック型のQoS 制御機能を組み込む ことによって,動的なストリーミングサービス制御を実現する提案を行い,またその実装について報告する.提案手法では,サービスで相互接続したいアプライアンスを指定するだけで,ミドルウェアがアプライアンスの入出力可能なメディア種別に応じた接続を行い,それがストリーミング可能な映像・音声データであれば,自動的にストリーミングに適したトランスポートプロトコルを選択する.また,End-to-End の動的なフィードバック型QoS 制御を実現するために,ミドルウェアにRTP 及びRTCP の通信機能を組み込みAPI 関数から容易に利用可能とする.提案手法の有効性を確認するため,分散協調基盤ミドルウェアである「ゆかりカーネル」上でフィードバック型QoS 制御を行うアプライアンスを実装し,ミドルウェアの支援によってネットワーク状況に追随するQoS 制御が行えることを確認した.

8C-3 (時間: 11:40 - 12:05)
題名リッチメディアコミュニケーションにおけるリソースの傾斜配分による品質制御方式の提案
著者*金友 大, 中島 一彰, 大芝 崇, 田淵 仁浩 (日本電気 サービスプラットフォーム研究所)
Pagepp. 1607 - 1613
KeywordQoE, リッチメディアコミュニケーション, 品質制御, リアルタイムコミュニケーション
Abstract 本稿では、複数のアプリケーションを同時に利用するリッチメディアコミュニケーションにおいて、ユーザの要求に基づいて限られたリソースを傾斜配分することでアプリケーションの品質を動的に制御し、ユーザの感じる品質を高めることができる品質制御方式を提案する。企業内におけるイントラネットと汎用PCを利用してのリッチメディアコミュニケーションでは、性能のばらつきや同時に利用されるアプリケーションの負荷により、コミュニケーションのためのアプリケーションが端末やネットワークのリソースを十分に利用することは困難である。提案方式では、ユーザの品質向上要求に対し、ユーザにとって重要性の低いアプリケーションの品質を抑制することで、品質向上にその時点での余剰リソース量より多くのリソースを利用可能とする。また実際の品質向上時には、ユーザがその時点で主に利用するアプリケーションを対象に、必要とするリソース量に対し効率よく品質が向上できるアプリケーションから順にリソースを割当てる。これによりリソースの有効活用とユーザ要望を満足させることによる体感品質の向上を実現する。

8C-4 (時間: 12:05 - 12:30)
題名複数の無線基地局を用いたQoS制御システムにおける適応的接続制御アルゴリズム
著者*水野 邦彦, 伊藤 淳 (立命館大学大学院理工学研究科), 毛利 公一 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 1614 - 1621
Keyword無線LAN, QoS制御, 適応通信
Abstract無線技術の発展は,2.4GHz帯や5GHz帯の周波数を用いた高速通信を実現し,IEEE802.11a/g規格の無線LANでは54Mbpsでの通信が可能となっている.また,無線LANが利用されている場所も増え,適用場面も,メール送受信やWeb の閲覧だけでなく,動画像のストリーミング,VoIPなどの音声通信,ユビキタスコンピューティングなど,大きな広がりを見せようとしている.しかし,このようなコンテンツの増加と大容量化,QoS(Quality of Service) 制御の必要性の視点から解決しなければならない課題は多い.例えば,1台の無線基地局ではクライアントの台数が増えると,全体としてのスループットが低下してしまう.これを解決するために複数の基地局を配置する場合があるが,端末が特定の基地局に集中し,得られる効果が少なくなる場合がある.以上より,本論文では,複数の基地局を配置することによって全体としてのスループットの向上を狙い,さらに,QoSを考慮しながら,基地局と端末の接続を動的に制御するシステムを提案している.以下では,特に,基地局と端末の組合せを決定するためのアルゴリズムについて述べる. 本システムでは,上述のとおり,教室など特定のエリア内に複数の基地局を配置する環境を想定している.ただし,動的な基地局と端末の制御を実現するために,各基地局の通信可能な範囲がそれぞれ重なるように配置したり,一つの基地局に複数の無線NICを装着したりする.このような環境では,位置によって接続可能な基地局群やそれらの電波状況は異なる.本システムは,QoSを保証するために,各端末のQoS要求や各端末が通信可能な基地局群と電波状況などを管理し,それらの情報に基づいて,基地局と端末の適切な組み合わせを求める.さらに,その結果に基づいて接続を切り替える.具体的な動作は次のとおりである. (1) エリア内の全基地局から代表基地局を1台選出する. (2) 代表基地局で,各基地局におけるトラフィック状況・帯域予約状況,各 端末の接続状況・接続可能な基地局群とその電波状況・要求帯域を収集する. (3) 代表基地局で,適応的接続制御アルゴリズムに従って端末の接続先を決 定する.当該アルゴリズムでは,プロセスの要求帯域をどれだけ満たし ているかを示すQoS満足度を指標とする. (4) 各基地局と端末に切替え指示を行う. 以上によって,システム全体のQoS満足度を最大化させる. 適応的接続制御アルゴリズムでは,収集した情報から,各基地局と端末の組合せ毎に,要求帯域を満たすために必要な割付け時間割合を動的に求める.この割付け時間割合を使用して,端末の接続先を決定する.これにより,より多くの要求帯域を満たし,QoS満足度を最大化させる.現在,(A)〜(C)に示す3つの適応的接続制御アルゴリズムを検討している.ただし,各アルゴリズム共通の方針は次のとおりである. ・割付け時間割合の合計値がより高い基地局から低い基地局へ切替える. ・切替え元基地局における割付け時間割合の合計値と,切替え先基地局の合 計値が,切替え前後で増加する場合は移動しない. (A) 積極的な割付時間割合の分散を目的としたアルゴリズム (1) 各端末が最良の電波状況となる基地局に接続された状態を初期状態とする. (2) 切替えによる切替え先基地局で割付け時間割合の増加が,最小となる基 地局を切替え候補とする. (3) 切替え可能な端末が無くなるまで(2)を繰り返す. (B) 接続先の切替え回数を少なくすることを目的としたアルゴリズム (1) 割付け時間割合がより大きい端末について,割付け時間割合が最小とな る基地局を切替え候補とする. (2) 各基地局の割付け時間割合の合計が一定以下となるまで(1)を繰り返す. (C) 複数のパラメータを用い,割付け時間割合の分散と切替え回数の均衡を目 的としたアルゴリズム (1) 各端末から接続先切替えの積極性をパラメータとして収集する. (2) 切替え元における割付時間割合に対する切替え先における割付時間割合 の倍率に,切替え元における割付時間割合の大きさと積極性で補正をか けた値が,最小となる基地局を切替え候補とする. (3) 補正後の値が一定以下の間(2)を繰り返す. 以上3つのアルゴリズムに関して,実測とシミュレーションの両面から評価を行った.各アルゴリズムの傾向は,次のとおりである. (A) 利点: 新規に端末が帯域要求をした際に,接続されている基地局で要求 帯域を満たせる確率が最も高い. 欠点: 接続先を切り替える回数が最も多く,要求帯域の小さい端末ほど 移動頻度が高い. (B) 利点: 接続先を切り替える回数が最も少ない. 欠点: 新規に端末が帯域要求をした際に,接続されている基地局で要求 帯域を満たせる確率が最も低い. (C) 利点: 平均して切替え回数が少なく,新規に端末が帯域要求をした際に, 接続されている基地局で要求帯域を満たせる確率も高い. 欠点: 各パラメータの考慮度合い,積極性の値によっては,切替え回数 の多い状況,要求帯域が満たせない状況が存在する. 本論分では, 3つのアルゴリズムについての考察を比較し, アルゴリズム(C)における各パラメータのQoS満足度への影響について述べている.


セッション 8D  コンテンツ・著作権保護(CSEC)
日時: 2007年7月6日(金) 10:50 - 12:30
部屋: 松〜梅
座長: 満保 雅浩 (筑波大学)

8D-1 (時間: 10:50 - 11:15)
題名Fingerprinting Codes for Live Pay-Television Broadcast via Internet
著者*侯 書会 (京都大学大学院 情報学研究科), 上原 哲太郎 (京都大学学術情報メディアセンター), 森村 吉貴 (京都大学大学院 情報学研究科), 美濃 導彦 (京都大学学術情報メディアセンター)
Pagepp. 1622 - 1630
Keywordfingerprinting code, Live pay-TV
AbstractIn the last few years, businesses offering digital contents (such as music and video) via internet have come to be established with the development of broadband networks. At the same time, to adapt to the diversification of people's preferences, television broadcasts tend to use multi-channel broadcasting, which leads to fewer viewers on one channel. Hence, it is conjectured that free broadcasting based on advertisement revenue will become difficult. Under such circumstances, live pay-television broadcasts via internet, i.e., internet-based pay broadcasting is becoming a promising business. To get internet-based pay broadcasting implemented, it is necessary to protect distributed contents from illegal copying and redistributing after they are accessed. Hence, fingerprinting system is a useful tool for it. Fingerprinting schemes embed unique user information (e.g., ID or fingerprints) into each user's copy and if an illegal copy appears, user information can be extracted to help trace or identify illegal users. So, the goal of digital fingerprinting is to deter or discourage people from illegally redistributing the digital data that they have legally purchased. The major challenge to fingerprinting is collusion attacks from illegal users. A collusion attack is a cost-effective attack, where colluders (illegal users) combine several copies with the same content but different fingerprints to try to remove the original fingerprints or frame innocent users. It is necessary to study what kind of fingerprinting code is appropriate for our internet-based pay broadcasting system and what kind of fingerprinting code is efficient and effective to protect distributed contents from illegal copying and redistributing. For superior scalability, the most widely used model is a multicast distribution model. That is, we send same digital content to all subscribers, and then at the user end, build a uniquely fingerprinted content. So the fingerprinting code has to manage a large amount of users, and at the same time it must be robust against collusion. These are important from a business and economic point of view. In this paper, we first show that the anti-collusion code (ACC) has advantages over other existing fingerprinting codes on live pay-television broadcasting. Based on several survey results on existing fingerprinting codes, ACC is considered to be superior in terms of efficiency and effectivity. The major reasons consist in that ACC adapts to multimedia data, identifies all colluders and is shorter in code length and larger in code size than traceability code in some sense. Here, code efficiency is referred to as the number of users that can be supported by code length. Code effectivity is defined as a ratio between the maximum tolerated collusion size and the total number of users, which describes the resistance against collusion attacks. Next, we devote to presenting how to achieve and construct efficient and effective ACC codes since there is no practical construction of ACC by now. 1. We examine the known balanced incomplete block design (BIBD) examples and demonstrate that efficient and effective ACC codes can be derived from unital and affine plane. Then we investigate their properties, i.e., unital has higher efficiency but lower effectivity, while affine plane has higher effectivity but lower efficiency. In other words, unital supports more users but exhibits weaker resistance, while affine plane exhibits stronger resistance but supports fewer users. 2.Meanwhile, performances of the ACC codes generated by unital and affine plane are evaluated from three aspects: the number of users that can be supported, collusion size and facility of implementing. For example, assume that both unital and affine plane support 10000 users, the same amount of users, then the collusion size of affine plane is about 100. It can be considered secure enough due to the difficulty to bring together 100 illegal users. Similarly, assume the collusion sizes of affine plane and unital as about 100, then unital can support about 100,000,000 users. This is amazing ability to our live multicasting. Last, we give out the practical explicit constructions for ACC codes derived from unital and affine plane. In brief, we contribute in two aspects: 1.We have shown that anti-collusion code has advantages over other existing fingerprinting codes on live pay-television broadcasting, based on the analyses of survey results. 2.We first introduced affine plane and unital into fingerprinting code design. By investigating their properties and evaluating their performances, we have present how to generate efficient and effective anti-collusion codes. Finally, we have given out their practical explicit constructions, which are desirable from a users・point of view.

8D-2 (時間: 11:15 - 11:40)
題名オフラインコンテンツ保護システム
著者*上條 浩一, 阪本 正治 (日本IBM東京基礎研究所), 新村 泰英 (日本IBM大和ソフトウエア研究所), 古市 実裕 (日本IBM東京基礎研究所)
Pagepp. 1631 - 1639
Keywordコンテンツ保護, オフライン, 権限委譲, 実用化, トレーサビリティ
Abstractデジタルコンテンツは、編集、コピー、転送が容易であるため、不正使用や不正流通により、個人、企業が損失を被る可能性がある。企業、役所等(以下、企業で代表)においては、機密性の高いコンテンツは、その企業の内部においても、全ての人に閲覧・編集を許可するのではなく、特定の人、もしくはグループ内でのみ閲覧・編集を許可することで、秘密の漏洩を防ぐことが行われる。 本論文では、企業内で取り扱われるコンテンツにおいて、許可されたユーザーのみに閲覧・編集を許可することでし、コンテンツの不正利用や不正流通を防ぎ、企業内での健全なコンテンツ流通を促進するための”オフラインコンテンツ保護システム”の仕組み、実装、運用方法について紹介する。本システムの特徴としては、”1.オフライン認証”、”2.権限委譲システム”、”3.ローカルデバイスにおける攻撃に対する耐性”、”4.トレーサビリティ”があげられるが、以下各々の特徴に関して概要を述べる。 1.オフライン認証:サーバー上に保管されているデータの送受信を行う場合、ユーザーIDやパスワード、あるいは公開鍵暗号を使って認証を行う方法が考えられるが、複数のユーザに対して同一コンテンツを配布する場合、ユーザ数分の公開鍵と秘密鍵のペアを発行、管理する必要がある。そこで、本システムにおいては、CPRM/CPPM/AACS等の著作権保護方式として実績があるブロードキャスト暗号技術を応用して、コンテンツの暗号化、配布を行う。この方法により、ダウンロード後のデータがオフラインであってもコンテンツは暗号化されており、その暗号化コンテンツが漏洩しても、あらかじめ許可された人以外は情報にアクセスが出来ない。また、コンテンツの配布の方法は、メールによる配信、メディアによる配布、認証された人からの受け渡し、等方法を問わないため、利便性が高い。 2.権限委譲システム:ブロードキャスト暗号を用い、企業内でコンテンツを管理、配布する場合、ユーザのデバイス鍵(各ユーザがセキュアに保管するユニーク鍵セット)を管理する管理運用部門が必要となる。コンテンツオーナが特定のグループ、または人にコンテンツを配布したい場合は、配布リストと、コンテンツを暗号化するタイトル鍵をこの管理運用部門に送信し、管理部門は、これらの情報からMKB(media key block、タイトル鍵やメディア鍵をデバイス鍵で暗号化したもの)を作成しコンテンツオーナに返信し、コンテンツオーナは、このMKBと暗号化コンテンツを配布する、という方法が考えられる。しかし、企業がグループ企業等大規模で、社員が何万人もいるような場合は、アウトソースが進んでいるのが現状があり、管理運用部門が孫やその孫会社等の全てのユーザに対してこの対応を行うとなると、管理サーバの負荷が大きくなってしまうばかりでなく、全ての末端の孫会社まで管理サーバに接続される必要があり、例えば管理サーバがダウンしてしまった場合には、MKBの作成を行うことが出来なくなってしまう。そこで、管理部門の権限を子会社等に権限委譲するシステムを構築した。その際、権限委譲を受けた子会社の管理部門にその管理下のユーザのデバイス鍵をそのまま渡してしまうと、万一鍵漏洩があった場合、不正ユーザから漏洩したのか、その子会社の管理部門から漏洩したかの判別が困難になるため、それを避ける方法も採用した。 3.ローカルデバイスにおける攻撃に対する耐性: ブロードキャスト暗号を用いて配付されたコンテンツを、PC上の汎用アプリケーションで閲覧・編集する場合、ハードディスクやメモリ上に復号化されたコンテンツや鍵自体が、他のプロセスから容易に持ち出される危険がある。そこで、本システムでは、アプリケーションに対して透過的にリソースアクセスを制御する監視モジュールを常駐させ、プロセス単位の細粒度なアクセス制御を実現することにより、復号化されたコンテンツの情報漏洩を防止する機構を導入した。 4.トレーサビリティ:上記1.から3.の方法によって、コンテンツの不正漏洩の防止を行っても、万一コンテンツが不正に漏洩した場合にも、そのコンテンツの漏洩元が特定できるようなシステムを、IBMが開発しAACSで採用された"sequence key"の技術を応用することにより可能とした。

8D-3 (時間: 11:40 - 12:05)
題名ソフトウェアライセンス管理支援システムの開発
著者*藤村 直美 (九州大学大学院芸術工学研究院), 永石 勝也 (九州芸術工科大学)
Pagepp. 1640 - 1644
Keywordソフトウェア, ライセンス, 管理支援システム
AbstractPC におけるソフトウェアの違法コピーなどが大きな社会問題になっている.大学などでは,卒業や修了に伴う学生の入れ代わりが毎年起こる,教員や学生がPCの集中管理になじまない,経済的な余裕がないことなどから,ソフトウェアライセンスの適切な管理は容易でない.大学のような組織でソフトウェアのライセンスを適切に管理するためにはソフトウェアのライセンス管理のための気軽に使えるツールが必要である.本研究では,PC にインストールされているソフトウェアの情報を手軽にかつ確実に把握することができ,サーバ上で必要に応じてライセンス情報を付加できるシステムを構築したので報告する.

8D-4 (時間: 12:05 - 12:30)
題名ファイル改ざん検出支援システムの実現について
著者*藤村 直美 (九州大学大学院芸術工学研究院), 梅 晋 (九州大学大学院芸術工学府)
Pagepp. 1645 - 1648
KeywordWebサーバ, ファイル改ざん, セキュリティ, 改ざん検出支援システム
Abstract通常のWebサーバでは管理者とは別のユーザがコンテンツの制作・編集を行う場合が多いために,ファイルの内容が変化しても,管理者はその変化に気がつき難いうえに,気づいてもそれが改ざんか,適切な修正かを迅速に判断することが実は難しい.コンテンツの正しい修正の場合は問題とせず,不正にWebページが改ざんされた場合だけ自動的かつ迅速に関係者が把握できることが望まれる.既存のシステムは,ファイルの修正や改ざんの事実が管理者にしか通知が届かない,管理者しかファイルの検査を実行できない,小回りがきかないなどの問題がある.そこで,正しく更新されたページの変更は検出しない,制作者の責任範囲のページが改ざんされた場合には,そのコンテンツの制作者に通知が届くシステムを実現したので,機能,インターフェイス,利用経験について報告する.


セッション 8E  放送・通信融合(BCC)
日時: 2007年7月6日(金) 10:50 - 12:30
部屋: 鶴・亀
座長: 義久 智樹 (京都大学)

8E-1 (時間: 10:50 - 11:15)
題名複数映像を用いた実時間インターネット放送に関する研究
著者後藤 幸功 (サイバー大学), *磯貝 佳輝, 村山 優子 (岩手県立大学)
Pagepp. 1649 - 1652
Keywordインターネット放送, マルチメディア, 視点カメラ
Abstract 岩手県立大学では今年で4回目となる卒業式のインターネット中継を行った. 卒業式の中継を放送コンテンツに選択した目的は, 地域性の高いコンテンツの配信により地域の情報発信による地域社会への貢献とともに容易なコンテンツの配信手法を確立することである. また, 卒業式の参加者の視点を放送することにより受信者が式に参加したかのように感じることが出来るかどうかの視点放送の実験も行っている. 2006年度の放送では, これまでの放送実験による課題を考慮し, 放送形態の変更および視点カメラの設備改良や技術的な問題の改善も行いシステムの評価を行った. また, アンケート調査による受信者の感想および意見を収集し本実験放送の問題点を明らかにする.  これまでの卒業式インターネット放送では, 複数のカメラの映像を提供しながらも受信者へは同時に複数の映像コンテンツを中継することが出来ず, 従来までのテレビ放送のように提供する側でカメラを切り替えて放送を行う方式や, 受信者がホームページ(以下, HP)上からカメラの番号を選んで受信する方式を用いてきた. 受信者がカメラを選択する方式では, 受信者の意図により受信する映像を変えることが可能であるが, 受信者映像を見て選択する方式ではない. そのため, 受信者は選択したコンテンツにアクセスしたにもかかわらず, すぐに接続を切るよう状況であることは, 昨年までの統計情報によって分かった. そこで, 2006年度の放送では定点カメラ2台と移動可能な視点カメラ1台をHP上で受信者に提示し, 受信者は現在のカメラの中継内容を見て, カメラの選択が可能な状況をHP上に構築した. このHPの環境において受信者の選択したカメラと各カメラの受信時間を計測することにより, 受信者の興味を測る. また, 視聴者のアクセス先と視聴者の平均受信時間を求め, アンケート調査からのデータを比較し受信者の受信先を考慮したコンテンツの地域性について検討する.  また, 視点カメラの改良については, これまでB5サイズの小型ノートPCを使用し携帯性が低かったが, 今回の実験ではディスプレイもない小型のカメラ撮影専用のPCを製作実装し形態性を向上させた. また, カメラの視点位置についてはこれまで胸部や頭部に設置するなど視点位置からのずれが大きく, 視点位置やカメラ設置者の行動による視点の変化を追尾することが出来なかったが, 今回の実験では, 視線位置に合わせるためにメガネの淵にカメラを設置し, このカメラを製作したカメラ撮影専用のPCに接続することでカメラ設置者の頭部の動きと視線を一致することが可能となった. このカメラを用いて撮影し, 視聴者へ視線映像の中継を行う実験を行い, システムの評価を行った.

8E-2 (時間: 11:15 - 11:40)
題名動画配信のための最適サーバ選択方式とその評価に関する研究
著者*後藤 幸功 (サイバー大学), 村山 優子 (岩手県立大学)
Pagepp. 1653 - 1657
Keywordストリーミングサービス, サーバ選択方式, 分散処理, CDN, シミュレーション
Abstract インターネット上で動画放送サービスが実現し, 商用にサービスが行われている. これらのサービスは現在のところ, サーバ・クライント形式のシステムである. これまでの研究ではVoD(Video on Demand)サービスを大人数に対応するためのシステムモデルであるサーバ分散システムが利用者数とサーバの配置状況によって利用者収容状況がどのように変化するかをシミュレーションによって検証した. 検証を行うにあたり, VoDサービスを提供する複数のサーバを1つのグループとし, 複数のグループを論理的に接続したモデルを用いた. また, クライアントはできる限りクライアントからネットワーク距離が近いサーバつまり最適なサーバに接続する要求を行うものとする. このモデルにおいてクライアントがどのサーバに接続するか接続状況をシミュレーションによって求めた. この結果, モデルに存在する全サーバが同時に許容できるクライアント接続数を超えたクライアントからの接続要求が発生した場合, 50%を超えるクライアントが最適なサーバに接続できない状況が発生する場合はあることが確認できた.  そこで, 本研究ではクライアントの接続数が全サーバが同時に許容できるクライアント接続数を超えた場合においても, クライントが最適なサーバへ接続可能となるためのアルゴリズムについて提案と評価を行う. 提案するアルゴリズムではクライアントの接続数が全サーバが同時に許容できるクライアント接続数を超えた場合, クライアントからの接続要求を待つことにより提供可能な最適サーバの接続可能状況になるときにクライアントをサーバに接続するアルゴリズムである. しかし, このアルゴリズムの検証としてクライアントの待ち時間をパラメータとして, このパラメータとクライアントの接続発生数との関係をシミュレーションにより検討する. この検討により, 提案したアルゴリズムの評価とする.  本研究ではサーバクライントモデルを元として検証を行ったが, このモデルはALM(Application Layer Multicast)のモデルにおいても, 応用が可能であることを考察する. これにより, 本研究は今後P2P型動画サービスにおいても最適サーバの選択方式を決定するための指針となることが期待できる.

8E-3 (時間: 11:40 - 12:05)
題名モバイル環境での番組連携型コンテンツ提示インタフェースの提案
著者佐藤 康二, *瀬川 慎介, 永松 孝之, 花田 恵太郎 (シャープ株式会社 技術本部 プラットフォーム開発センター)
Pagepp. 1658 - 1661
KeywordモバイルTV, 放送連携, EPG
Abstract近年、放送型コンテンツ受信機構を備えるモバイル端末を有することで、利用者は保有端末を用いて時間・空間を問わずユビキタスに放送コンテンツを楽しむことができる環境が整いつつある。放送型メディアは不特定多数の機器・端末に対しコンテンツを配信するための方式としては効率的であるが、放送型メディアを通して配信されたデータを一旦端末に格納し、格納されたデータをオフラインにて利用する蓄積型コンテンツとしての利用形態においては多量のコンテンツがモバイル端末に蓄積されていくに従い、利用者が所望のコンテンツを選択することが困難になっていく。 特に、リアルタイムストリーミング配信される番組に関連のあるコンテンツを同じ放送型メディアにて配信する場合には配信されたコンテンツの在り処を提示するためのインタフェースが必要になる。 また、利用者のモバイルでの利用シーンの多様化に伴い、ホームネットワーク上にあるコンテンツをモバイル端末へ一旦移動し外出時にオフラインにて利用するといった局面や、メールにて受信したリコメンド情報を基にインターネット上のあるコンテンツへ誘導するといった局面が存在する。モバイル端末が個人のメディアアクセスための中核デバイスとなるにつれ、遍在するコンテンツへアクセスするためのモバイルでの選択手段を如何に提供できるか、加えて利用者に対しその関連付けを目に見える形で提示できるかが課題となってくる。 本稿では上記課題に鑑み、モバイル端末での放送連携型インタフェースとしての切り口にて、モバイル端末に格納されたコンテンツを放送型ストリーミング番組コンテンツとの関連性を基にEPG(Electronic Program Guide)上に配置することによる情報提示インタフェースを提案する。 蓄積型コンテンツはEPGを介し、関連性の高いコンテンツを番組の近傍に配置、あるいはEPGの一部にコンテンツ選択用のウィンドウを配置させることで番組との連携をシンプルに提示でき、かつ利用者へのリコメンデーションをも含むコンテンツ情報提供の仕組みとコンテンツアクセスのための手段を提供できる。

8E-4 (時間: 12:05 - 12:30)
題名エラーコンシールメントの有効性に基づくNo Reference型画質劣化推定
著者*山田 徹, 宮本 義弘 (NEC/共通基盤ソフトウェア研究所)
Pagepp. 1662 - 1669
Keyword画質評価, NR, エラーコンシールメント
AbstractIP伝送によるビデオ配信アプリケーションのエンドユーザ端末上でのビデオ品質監視に適したNo-Reference型画質推定方法を提案する。IP伝送ではユーザ環境によって伝送路品質が異なるため、各ユーザ端末での品質保証が重要となる。エンドユーザ視聴品質の保証を実現するために、エンドユーザ端末上での画質評価技術が要求される。提案方法では、伝送エラーにより正しくデコードできないマクロブロックを検出し、このマクロブロックに対するエラーコンシールメント処理が有効でなかったマクロブロック数を集計し、この数を元に画質劣化度を推定する。エラーコンシールメント処理の有効性は、映像中の動き情報と、エラー領域境界での輝度の不連続性を元に評価する。シミュレーションにより、エラーコンシールメント無効マクロブロック数と、実際の画質劣化度(あらかじめ計測した平均二乗誤差)との間に高い相関関係(相関係数0.95)があることを示す。


セッション 8F  仮想環境(GN)
日時: 2007年7月6日(金) 10:50 - 12:30
部屋: 展望サロンA
座長: 由井薗 隆也 (北陸先端科学技術大学院大学)

8F-1 (時間: 10:50 - 11:15)
題名生体情報を用いた仮想環境における作業支援
著者*山本 翔太 (慶應義塾大学大学院/理工学研究科・開放環境科学専攻・岡田研究室), 宮田 章裕 (慶應義塾大学大学院/理工学研究科・岡田研究室), 林 雅樹 (慶應義塾大学大学院/理工学研究科・開放環境科学専攻・岡田研究室), 岡田 謙一 (慶應義塾大学/情報工学科)
Pagepp. 1670 - 1677
KeywordVR, 作業支援, 脳波, 呼吸, フィードバック
Abstract近年,大型のスクリーンを用いて強く没入する事が可能な仮想作業環境が増加してきている.この環境を個人作業へ応用させることで,作業空間に強く没入し,より集中した作業が可能になる.また,個人作業における作業効率は作業者の状態に大きく左右される.つまり,作業者の状態に合わせて作業を行うことで作業効率を向上させることが可能であると言える.ここで,作業者の状態を推定する手法として,本研究では生体情報に着目する.脳波情報や呼吸情報などの生体情報は,作業者が無意識に発し続けている情報であり,集中や負荷といった作業者の状態と関連が深い.生体情報を用いて作業者の状態を推定する手法や,作業環境に反映させる手法は提案されているが,仮想環境での個人作業の作業へと反映させているものは少ない.  そこで,本研究では生体情報を利用した仮想環境における作業支援を提案する.本手法では,脳波情報から頭の活発度をBA-Level という独自の指標で数値化する.このBA-Levelは,簡易脳波計を用いて前頭葉から得られた集中と関連の深い14〜27Hz周波数帯のデータを利用している.そして,この得られた脳波データの最高値と最低値を用いて,相対的に0〜100に数値化することで,脳波の強度に生じる個人差に対応している.また,呼吸情報から頭の活動状態と関連の深い指標を導出する.呼吸情報においては,サーミスタを用いて鼻息の温度変化を測定することで得られる呼気時間・吸気時間から,呼吸時間,呼吸回数を計算している.ここで,負荷のかかる状態ではリラックス時に比べて呼吸は乱れるという知見が得られているので,リラックス時との呼吸の割合を指標として用いる.これらの生体情報から得られた指標より,作業者の頭の活動状態を推定する.そして推定した作業者の状態を,仮想環境における作業の複雑さなど作業内容の難易度に反映させる.つまり,頭の活動状態が低調な時は難易度の低い作業,活発な時は難易度の高い作業をユーザに提供する.こうすることで作業者の頭の活動状態に合わせて作業の難易度を切り替え,作業効率の向上を目指す.本研究では,仮想作業環境としてヘルメット型のデバイスを採用している.このデバイスは,脳波計と呼吸センサで生体情報をセンシングし,HMD(Head Mounted Display)とノイズキャンセラ付きのヘッドホンで作業空間を提示することで,高い没入感の提供と,生体情報の容易な複合センシングを実現している.脳波情報を用いて作業者の状態を推定し,仮想作業環境に反映させている既存研究はあるが,複数の生体情報を複合的に扱って状態を推定し,作業内容へ直接反映させている点が既存研究との差異である. 提案概念を実現するために,脳波情報や呼吸情報から得られる指標の中から頭の活動状態と関連の深い指標を簡単な計算問題を長時間解き続ける予備実験より調査した.その結果,頭を働かせている程BA-Levelの値が大きい,リラックス時に比べて呼吸回数の割合が増える,ということが分かった.そして,予備実験によって決定したパラメータを用いて,作業者の状態に合わせた作業の難易度の切り替え手法について検討するために実験を行った.まず,作業の難易度と生体情報の関係を調査するために,3段階の難易度変化が可能なピッキングタスクを行った.この実験より,難易度の低すぎる,または高すぎる作業は集中力を持続させることが困難であることや,適切な難易度の作業を提供することで集中力は持続することが分かった.次に,ピッキングタスクの難易度を自動的に変化させた時に,生体情報がどのような影響を受けるのか調査した.その結果,難易度を緩やかに上昇させていくと,生体の状態も上昇しやすいことや,緩やかに難易度を下降させると生体の状態も下降すること,さらに急激に難易度を下降させると生体の状態は上昇しやすいことが分かった.そして得られた実験結果から,生体の状態を上昇させる手法や,作業の難易度に対して生体の状態がついてこなかった時にとる手法を考案した.このようにして作業者の状態を仮想環境の作業の難易度へ反映させるための知見を得て,仮想空間における作業の効率を向上させるための足がかりとした.

8F-2 (時間: 11:15 - 11:40)
題名仮想空間上のアバタを用いた遠隔相談対話支援に関する研究
著者*大西 達也 (東京電機大学大学院工学研究科情報メディア学専攻), 矢島 敬士 (東京電機大学工学部情報メディア学科)
Pagepp. 1678 - 1681
Keyword遠隔相談, 仮想空間, アバタ, 着席位置
Abstract現在,携帯電話やインターネットの普及により,遠隔地間でコミュニケーションを行う機会が増加している.遠隔コミュニケーションを行うツールにおいても従来の電話に加え,テレビ電話やパーソナルコンピュータなど,多様化している.近年,これらの遠隔コミュニケーションツールを用い,遠隔地間で相談業務が行われる機会が増加しており,そのサービス内容も商品の購入相談や,資金運用相談など,多様化してきている.  遠隔相談を行う上では,顧客が相談内容に対する回答をすぐに得ることができる同期型コミュニケーションを採用することが主流となっている.従来の電話や,それを発展させたテレビ電話などが挙げられる.  同期型コミュニケーションを遠隔地間で行う上での問題点として,話者の顔の表情や,話者同士の距離などの言葉以外の情報,すなわち非言語情報の不足が挙げられる.対人コミュニケーションにおいて,言語メッセージが占める割合は35%程度、残りの65%は非言語メッセージによる.実際に対面してコミュニケーションを行う場合は,相手の顔の表情や,相手の仕草などを見ながら会話を進めていく.これらの顔の表情などは会話を進めていく上で重要な情報となる.しかし,遠隔地間では非言語情報が伝わりにくいため,円滑なコミュニケーションが困難になる.遠隔相談を行う上でも,非言語情報が伝わりにくいことにより,顧客が相談にやりにくさを覚え,相談の非効率が生じる. 遠隔コミュニケーションにおいて非言語情報を補い,コミュニケーションの円滑化を図る手法として,コンピュータ上の仮想空間を用いたものがある.実世界の特定の場所や状況をコンピュータの画面上に表示させ,その中に話者の分身となるアバタと呼ばれるものを仮想空間上に存在させ,他ユーザとの対話を,複数のアバタが仮想空間上で会話しているという形式で実現する. ユーザがアバタに対して何かしらの操作をすることで,ユーザが自由に非言語情報を他ユーザに伝えることが可能になる.アバタに顔の表情などを表現させることで,ユーザの心情を伝えることが可能であり,また,アバタに仮想空間上を自由に動き回らせることにより,話者同士の距離や位置関係といった空間的な非言語情報を表現することも可能である. 仮想空間およびアバタは集団コミュニケーションを行うツールとしての研究がなされており,3者間のコミュニケーションに特化させ,頭部をはじめとする話者の一部の動作を再現したものや,人間の実世界の行動様式を対象とし,同じ仮想空間内で複数の集団を生成することが可能なものなどがある.それに伴い,デスクトップ会議システムの支援ツールとしての研究も行われている.これらは,遠隔地間での会議を円滑に行うことを目的としている,会議は通常,同じ立場の参加者が議論を交わす場であり,顧客と職員といった立場の異なる話者同士の会話である相談業務は会議とは異なるため,遠隔相談を円滑に行うことを考えると,相談業務に特化したシステムを構築する必要があると考える. 本研究では,仮想空間およびアバタを用い,円滑な遠隔相談業務を実現することを提案する.相談業務を行う上では,顧客の緊張感が重要な要素であると考え,それを仮想空間およびアバタによって意図的にコントロールした上で顧客と職員とが会話を行い,円滑な相談業務を行うことを提案する.実現方法として,話者同士の着席位置という空間に関する非言語情報を操作し,顧客の緊張感のコントロールをすることを提案する.これにより,相談全体の時間短縮,顧客の情報伝達効率の向上,顧客の相談に対する満足度の向上などの効果があると考える.  認知心理学の分野において,話者同士の着席位置による心理状態の変化に関する研究が行なわれている.対人不安の高い者は話者同志が対面して着席したときに緊張し,90度の位置に着席したときに緊張感が低くなることが証明されている.  本研究では,相談を〜蠱娘圈文楜辧砲砲茲訃況説明,∪賁膕函平Π)と相談者による質疑応答,A蠱娘圓砲茲覯魴荳提示,という3つのフェーズに分け,それぞれのフェーズにおいて顧客が持つべき緊張感は異なると考える.相談者が状況を説明するフェーズ( 砲蓮ざ枋ゴ兇少ないほうが的確に説明や回答ができ,専門家が不足情報を質問し,相談者が回答するフェーズ(◆砲任蓮い笋箒枋ゴ兇鮃發瓠げまった雰囲気にすることで,相談者は回答しやすくなると考える.このように,相談のフェーズによって,顧客の緊張感をコントロールすることで,円滑な相談業務を行うことができると考える.これを実現するため,仮想空間上アバタの着席位置を相談のフェーズごとに操作し,顧客の緊張感をコントロールすることを提案する.これにより,円滑な相談を行うことを狙いとする.

8F-3 (時間: 11:40 - 12:05)
題名分散型部分空間の結合による共有仮想空間の構成法
著者*酒徳 哲, 黒田 貴之 (東北大学大学院情報科学研究科), 北形 元, 菅沼 拓夫, 白鳥 則郎 (東北大学電気通信研究所)
Pagepp. 1682 - 1689
Keyword仮想空間, 協調作業
Abstractコンピュータネットワークを利用した協調作業支援として,ソフトウェア開発におけるバージョン管理システムであるCVSやSubversionやグループウェアなど,ファイルベースのシステムが用いられるようになってきている.一方,3次元仮想空間ベースの協調作業支援システムも提案されており,として共同モデリングや製品組み立てシミュレーションなどに利用され,その有効性が示されている.しかしながら,従来の3次元仮想空間ベースの協調作業支援システムでは,複数の利用者によって共有仮想空間を動的に再構成することが困難であるため,各利用者の要求に柔軟に対応することが求められる協調作業支援システムでの利用には限界がある.そこで,本論文では,分散配置した複数の部分的な3次元仮想空間をシームレスに結合して共有仮想空間を構成することによって,複数の利用者による共有仮想空間の動的な再構成を容易に行うことが可能な,新しい共有仮想空間の構成法を提案する. 既存の3次元仮想空間ベースの協調作業支援システムに関する研究として,VR型共同利用設計システムがある.このシステムにおいては共有仮想空間を単一のサーバによって集中管理するため,利用者による共有仮想空間の構成の自由度には限界がある. また,複数の共有仮想空間を利用可能とする既存研究として,PalmPlazaがある.PalmPlazaでは利用者が作成した3次元仮想空間を容易に共有仮想空間として共有できる.また,各共有仮想空間をそれぞれ別のサーバに分散して配置することが可能である.しかしながら,各共有仮想空間はそれぞれ独立したものであり,複数の共有仮想空間の統合的な構成には限界があるといえる. そこで本論文では,上述の限界を解消するため,分散型部分空間の結合による共有仮想空間の構成法を提案する.提案する構成法では,各利用者が自由に3次元仮想空間を構成・再構成できるようにするため,各利用者が定義した部分的な3次元仮想空間(以降,部分空間と呼ぶ)を複数のサーバに分散的に配置し,それらを動的に結合することによって1つの共有仮想空間を構成する. ここで,部分空間を分散的に配置し,部分空間を各サーバ上で独立かつ動的に更新可能とするためには,部分空間を静的に結合して共有仮想空間を構成する方法は適さない.そのため,提案する構成法では,サーバ上での共有仮想空間の構成は行わず,部分空間の接続関係情報のみを保持し,実際の部分空間の結合,すなわち共有仮想空間の構成をクライアント端末上にて行う. また,クライアント端末上での部分空間の結合を実現するために,本研究では空間構造キャッシュと呼ぶ一時的な空間構造操作機構を新たに導入する.空間構造キャッシュは,サーバに配置された各部分空間と,それら部分空間の接続関係情報をクライアント端末上に保持・操作するための機構であり,クライアントが保持する部分空間とサーバ上の部分空間を同期させる機能を備えている.この同期は,サーバ上において部分空間が更新されたときにサーバが各クライアントに配信する更新情報を用いて行う. また,共有仮想空間を構成する部分空間が多量になると,すべての部分空間を保持することはメモリの制約上困難になる.このため,各部分空間について,クライアント端末上での処理に必要かどうかを動的に判断し,必要がなくなった部分空間はクライアント端末上から開放する. 以上のような機能を持つ空間構造キャッシュを介して部分空間を結合し,共有仮想空間を構成することで,複数の利用者が各部分空間の構成と動的な再構成を容易に行うことが可能となる. 提案する構成法の有効性を確認するため,プロトタイプシステムを実装し,動作実験を行った.実験内容として,部分空間を複数のサーバに分散配置し,複数のクライアントがウォークスルーする際の動作を検証した.その結果,各クライアントにおいて,空間構造キャッシュにより必要十分な空間情報がクライアント端末上に保持され,それらが動的に結合され正しく表示されることを確認した.また,このとき,部分空間内で3次元オブジェクトの配置が変更されると,各クライアントに変更が通知され,表示が更新されることを確認した.以上のことから,提案手法による共有仮想空間の構成と動的な再構成が実現できることを確認した. 結論として,本論文において提案する共有仮想空間の構成法を利用することにより,協調作業に利用する共有仮想空間を利用者が作業内容に合わせて自由に再構成を行うことが可能となる.このことから,本論文において提案する共有仮想空間の構成法は,より効率的な協調作業支援システムの実現に有効であるといえる.

8F-4 (時間: 12:05 - 12:30)
題名実空間と仮想空間におけるインタラクションを一般的なネットワーク環境で実現するためのフレームワークの提案
著者*山本 眞也, 村田 佳洋 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 柴田 直樹 (滋賀大学 経済学部 情報管理学科), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)
Pagepp. 1690 - 1699
Keyword仮想環境, P2P, QoS制御
Abstract近年,様々な物体(以下,オブジェクトと呼ぶ)を,ユーザの目の前に,あたかも存在するように表示するMR (Mixed Reality)技術やAR (Augmented Reality)技術が注目されている.また,遠距離にいるユーザ同士がネットワークを介してインタラクションや協調作業を行うNVE (Networked Virtual Environment)やCSCW (Computer Supported Cooperative Work) に関する研究も盛んに行われている.これらの技術を用いることで,様々な社会活動(例えば,コンサート,ショッピング,展示会,スポーツ,ゲーム,旅行,講習会,会議,共同作業など)に,遠隔ユーザ(以下,仮想ユーザと呼ぶ)がネットワークを介して仮想的に参加することも可能になる.これらの実ユーザ・仮想ユーザ混合対話型アプリケーションにおいて,実ユーザおよび仮想ユーザが,円滑かつリアルにインタラクションできるようにするには,(1)実ユーザと仮想ユーザが同じ空間を共有できること,(2)ユーザが共有空間内を自由に移動でき,位置や向いている方向に応じて,実・仮想ユーザの区別なく同じように空間が見えること,(3)空間内へのオブジェクトの導入,および,各オブジェクトに対しアクション(移動や加工)を起こすことができ,かつ,そのリアクションが他のユーザに見えることが望ましい.また,普及性のためには,(4)特殊な装置や高性能・高価なサーバやネットワークを使うことなく上記(1)-(3)を実現できること,(5)多数のオブジェクト(ユーザを含む)が同じ空間に同時に存在できること,も望まれる. これまで,MMOGのための通信アーキテクチャや遠隔協調作業のための様々なNVEが提案されている.これらには,多数のユーザによる仮想空間の共有をP2P技術を用いてスケーラブルに実現しているものも存在し,上記(1)-(5)を部分的に満たしている.しかし,仮想的な空間・オブジェクトの共有のみを対象としており,実ユーザや実オブジェクトをリアルに共有することはできない.一方,既存のMR技術やAR技術を用いることで,実ユーザと仮想ユーザが,実オブジェクト・仮想オブジェクトを含む空間を同じように観測可能にできるため,上記(1)-(3)を満たすことは可能である.しかし,AR,MR 技術を実現するには,現状では特殊な装置や特別なサーバ,ネットワークを必要とするため,上記の(4),(5)を満たすことは難しい. 本研究では,多数の実ユーザ・仮想ユーザ混合対話型アプリケーションを普及したコンピューティング環境で実現するための新しいフレームワークFAIRVIEW (FrAmework for InteRaction between VItual and rEal Worlds)を提案する.FAIRVIEWでは,上記(1)-(3)を満たすため,アプリケーションの舞台となる実空間と,実空間に対応する仮想空間を用意し,両方の空間を重ね合わせる.重ね合わせた空間では,実ユーザは仮想オブジェクトとその動作を,仮想ユーザは実空間の実オブジェクトおよびその動作を,それぞれ観測できる仕組みを実現する.上記(4)を満たすため,仮想ユーザはインターネット接続可能なPCのみを使用し,実ユーザは,無線通信機能を持つウェアラブルコンピュータもしくは携帯端末を所持し,無線AP経由でインターネット上の仮想ユーザのPC と通信できる環境を想定する.実オブジェクトの空間における位置,向きなどの情報(以下,AR情報と呼ぶ)は,既存のAR技術を用いて短い周期で計測し,ユーザ端末間でリアルタイムに交換することで,ユーザ毎の視界をそのユーザの端末のディスプレイに3Dグラフィックスを用いて再現する.上記(5)を満たすため,AR情報を実時間でユーザに配送するための機構(AR情報配送機構と呼ぶ)を考案した.AR情報配送機構には,ユーザノード間で利用可能な帯域の範囲内で,オブジェクトとそれを観測するユーザのペア毎にAR情報の送信間隔を制御するため,ユーザの視野およびオブジェクトとの距離に応じて,どのオブジェクトがユーザにとってより重要であるかを自動判定することでオブジェクト間の重み付けを行い,より重要なオブジェクトの動作をより滑らかに表示できるよう,AR情報の送信間隔を決定するようなQoS適応機構を組み込んでいる. 提案するAR情報配送機構の効果を評価するため,FAIRVIEW が利用される典型的な環境を想定し,空間内のオブジェクト数に応じた必要トラフィック量を見積もるとともに,実際の普及ネットワーク環境の下でどの程度のオブジェクト動作の表示精度が実現されるか解析を行った.その結果,トラフィックを閾値以下に抑えつつ,均等な重み付けによるQoS制御を行った場合,実ユーザが見るオブジェクトの更新頻度は,それぞれ6fps,仮想ユーザが見るオブジェクトの更新頻度は,それぞれ9fpsであるのに対し,提案する5段階の重み付けによるQoS制御を行った場合,実ユーザが見るオブジェクトは,重要な順に10fps,2fps,1fps,1fps,1fpsとなり,仮想ユーザが見るオブジェクトは,重要な順に47fps,14fps,4fps,1fps,1fpsとなった.これにより,提案手法を用いることで,より効果的な視界をユーザに提供できると言える.


セッション 8G  コンテキストアウェア2(DPS)
日時: 2007年7月6日(金) 10:50 - 12:30
部屋: 展望サロンB
座長: 木原 民雄 (NTT)

8G-1 (時間: 10:50 - 11:15)
題名Instant Learning Sound Sensor: ユビキタス・コンピューティングのための柔軟なイベント音学習センサ
著者*根岸 佑也 (名古屋大学大学院 情報科学研究科), 河口 信夫 (名古屋大学大学院 工学研究科)
Pagepp. 1700 - 1711
Keywordsmart sensor, sound recognition, context awareness
Abstract近年,ユビキタス環境の実現の期待とともに,ユーザ自身の状況と取り巻くコンテクストに基づき,そのユーザに適したサービスを提供するコンテクストアウェア・システムが盛んに研究されている.コンテクスト情報を取得するデバイスとしては,GPS や加速度・圧力・温度センサなどが利用される.そして,それらを集約した小型無線センサデバイスも開発され,実際にスマートルームなどに組み込む実験もされている.また,Jianfeng Chenらはバスルームにおける手を洗う,シャワーを浴びるといった行動イベントを,室内に設置したマイクロフォンを用いた音認識により取得し,健康管理に役立てるシステムを提案している.Paul Lukowiczらは,加速度センサとマイクロフォンからの時系列信号を解析し,工房においてユーザがどの道具を使用中であるか識別可能なシステムを実現している.しかしながら,そのような信号処理を伴う複雑なパターンの認識処理の設計は,個別の特徴量の解析などに手間がかかるため,日常空間中の任意の物音に対して,音認識処理を適用し,手軽にコンテクストアウェア・システムに活用するようなことは困難である.  本研究では,マイクロフォンや加速度センサといった時系列信号を伴う各種センサ情報から,イベントとして検出したい信号パターンを,センサを設置する現場で手軽に学習できるInstant Learning Sensorを提案する.提案手法は,実演されたイベント信号を自動的に解析し,その信号パターンの認識に適した特徴量抽出処理や認識アルゴリズムを自動的に選択し,組み合わせ,認識処理を試行し,認識率と誤認識率を評価する.そして,最も性能の良い認識処理を最適なものとして,ユーザに提示する.本手法を用いることにより,ユーザは信号処理プログラミングを用いることなく,信号処理を用いた高度なコンテクスト情報が取得可能になる.  上記の手法に基づく最初のInstant Learning Sensorとして,生活音や環境音の認識に特化したInstant Learning Sound Sensor を開発した.まず,多様な物音に対応するために,様々な物音の特徴量や認識アルゴリズムについて検討し,多様なパラメータ設定を持つ認識処理を設計した.本認識処理は,多様なパラメータを持つため,様々な物音に応じて調整可能である.しかしながら,イベント音学習時に,全パラメータを試行することは計算量の点から非現実的である.これを解決するために,本研究では,あらかじめ多種多様な物音をサンプル音データベースとして構築した.各サンプル音に対して,軽量な処理にて高い認識率が得られるように,最適なパラメータ設定をテンプレートとして与えておく.軽量化は,生成される処理をDSPマイコンなど小型デバイス上でも動作を実現させるためである.未知のイベント音を学習する際は,いくつかの類似する音のテンプレートを自動選択し,パラメータ決定に利用する.  実際に,家具や日用品に貼付けた圧電マイクによって,コーヒーカップにコーヒーを注ぐ音や,ドアノブを回す音,水道から水が流れる音などに対して,80%を超える認識率を持つ処理を自動生成可能であることを確認できた.本手法を用いることにより,物音認識を用いた高度なコンテクスト情報を,誰でも手軽にコンテクストアウェア・システムに組み込むことができる.

8G-2 (時間: 11:15 - 11:40)
題名携帯端末のコンテキスト情報利用による操作性向上方式
著者*清原 良三 (大阪大学大学院 情報科学研究科), 三井 聡 (三菱電機(株)), 松本 光弘 (大阪大学大学院 情報科学研究科), 沼尾 正行, 栗原 聡 (大阪大学産業科学研究所)
Pagepp. 1712 - 1719
KeywordContext-Aware, Mobile Phone, UI
Abstract携帯電話は、最も普及するインターネット端末とし、世界中で多くのユーザが利用している。小さいながら多機能であり、これを使いこなすのが課題となりつつある。  ユーザインタフェースとしてどうあるべきかという研究アプローチと、既存のユーザを対象に、数年に1回は機種変更するであろうユーザが何を望むのかをターゲットにする研究がある。本研究では後者をターゲットに携帯電話の操作に関して複雑度を定義し、操作履歴情報とコンテキスト情報から複雑度の高い操作候補を抽出し、推薦機能としてユーザに提示することにより利便性の向上を図る操作機能推薦方式を提案する。  ユーザのメニューをカスタマイズする研究などは盛んに行われているがほとんどがユーザが指定する方式であり、最も良く使う機能をどのようにしてより使いやすくするかという観点のものが多い。 本研究では、複雑度の観点を入れることにより平均的な操作性の向上を目指すことができ、あまり使わない機能も使いやすくするいう効果がある。  操作の複雑性は、操作回数と操作中に考えた時間や、誤った操作をした部分まで含めて複雑性を定義する。また、推薦機能の提示には、頻繁に使うであろう機能と複雑度から判定した機能をあわせて推薦することにより、頻繁に使う機能の利便性を失わないようにする。  提案する方式が有効であることを具体的な行動パターンを分析することにより示すとともに、携帯電話への搭載に関して、速度応答性、メモリ性能、消費電力の観点から評価検討する。

8G-3 (時間: 11:40 - 12:05)
題名利用者の状況と好みに基づいた適切なコミュニケーションサービスを選択する手法の提案
著者*奥村 祐介, 小原 泰弘, 南 政樹 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科), 村井 純 (慶應義塾大学 環境情報学部)
Pagepp. 1720 - 1727
Keywordcontext awareness, unified messaging
Abstract 本研究は,インターネット上のコミュニケーションにおいて,受信者の状況 とコミュニケーションサービスの好み を考慮した,最適な受信方法の選択手法を提案する.  インターネット上のコミュニケーションは,技術の進化と利用者のニーズの変化によって多様化している.通信機器は高性能化や小型化が進み,インターネットでは常時接続が一般的なものとなりパケット伝送も高速になった.これらにより,利用者はインスタントメッセージングや音声通話などのサービスを日常的に利用することが可能となった.また,多くの利用者はコンピュータ,携帯電話,ゲーム機などの複数の通信機器を所持し,電子メール,インスタントメッセージングなど複数のサービスを状況によって使い分けている.送信者と受信者が複数のコミュニケーションサービスを利用している場合,送信者は,受信者が利用している複数のサービスから一つを選択する.一方,受信者は、同時に複数のサービスを利用していても,どのサービスで受信するかを選ぶことはできない.このことから,送信者が受信者の状況を把握できなければ,受信者に最適なサービスを利用したコミュニケーションにならない可能性がある.  これらの問題点を解決するための既存研究には,通信機器の状態情報を取得し,コミュニケーションサービスを決定する手法が多く用いられている.しかし,この手法では通信機器を利用しているユーザの状況を考慮することができない.また,通信機器の状態情報だけでなくユーザの状態情報を取得する手法も提案されているが,それらは赤外線センサや超音波センサなどが必要であり,導入障壁が高い.  そこで本研究は,受信者の状況に最適 なコミュニケーションサービスを決定するために,キーボードやマウスの入力イベントとその入力先アプリケーション情報から状況を類推する.さらに,各状況に対しコミュニケーションサービスの好みを指定することで,利用者の好みに基づいて最適なコミュニケーションサービスを選択する手法を提案した.その手法に基づき,好みに関する情報を設定することにより,入力イベントの発生に応じてリアルタイムに最適なコミュニケーションサービスを表示するシステムを実装した.  本手法を評価するために,被験者が提示されたシナリオに沿ってシステムを利用する検証実験を行った.結果として,コンピュータを継続的に利用するシナリオでは97.4% という高い的中率を確認できた.しかし,一定時間以上コンピュータを利用しない状況が含まれるシナリオでは,42.0% という的中率であった.  本研究は,利用者のニーズを考慮したメッセージの送受信を実現するための,入力イベントを用いた推測手法の有用性と問題点を明らかにした.

8G-4 (時間: 12:05 - 12:30)
題名複数人の関係に基づいた適応的広告システムの開発
著者*瓶子 和幸 (筑波大学大学院図書館情報メディア研究科), 岡田 仁之, 根本 卓 (筑波大学図書館情報専門学群), 井上 智雄 (筑波大学大学院図書館情報メディア研究科)
Pagepp. 1728 - 1735
Keywordコンテクストアウェアネス, ユビキタス情報処理, グループウェア
Abstractプラズマディスプレイの低価格化やブロードバンド技術の発達により,身近な地域社会の場でも大型ディスプレイが情報発信ツールとして次第に普及し始め,人々とディスプレイとの接点がますます近くなってきている.また,大型ディスプレイを利用した企業広告やプロモーションなど公共空間における不特定多数に向けた情報伝達手法が増えてきており,その高い視認性と臨場感を生かして,広告主と閲覧者のコミュニケーションをあらゆる場面において実現してきている. このように広告コミュニケーションがますます盛んになってきている今日であるが,一般的に公共空間に存在する広告は,閲覧者の属性はほとんど考慮されておらず,閲覧者に対して一方的に情報を発信している.それに対して,近年,閲覧者の興味・関心を考慮した広告手法が検討・実現されてきている.その場で閲覧者の嗜好情報を抽出する,または情報機器を閲覧者に携帯させて,あらかじめ登録しておいた嗜好情報と人物を特定するなどの方法で,閲覧者に効果的な広告を提示しようとする研究などが多くあるが,問題点も多い.その場で閲覧者の嗜好情報を抽出する方法では,閲覧者のプライバシーの負担が大きく,また,情報機器を閲覧者に携帯させて,あらかじめ登録しておいた嗜好情報と人物を特定する方法では,日常的に機器を携帯する必要があり,煩わしさを感じさせることや,公共空間においてはあらかじめ嗜好情報を登録することは困難であるという問題などが存在する. そこで,我々は,以上のような問題を踏まえ,かつ,閲覧者に効果的な広告を提示するために,閲覧者の属性を考慮した広告システムを提案する.閲覧者の属性を推定する方法として,複数人の関係性を利用する.従来の研究では,閲覧者の属性の推定方法は,個人を対象としていたが,複数人を対象とすることで,その関係を広告ターゲットの対象として利用できる可能性がある.具体的には,対人距離や位置,人数から,複数人の関係性を推定する. 提案するシステムの概要としては,エレベータホールなど人々の滞留状況が発生する場所を想定し,そこに設置した大型ディスプレイの前に滞留する複数人の距離や位置,人数を計測することによってシステムが複数人の関係性を推定し,その関係性に基づいた広告提示を行う. まず,複数人の関係とその対人距離,人数などのデータを得るために観察調査を行った.調査データとしては,一つの複数人のサンプルごとに,関係,対人距離,人数,性別,子ども・ベビーカーの有無のデータを取得した.複数人の関係については,現在,広告マーケティングに利用されている広告ターゲットに倣い,複数人の関係を「恋人・夫婦」・「友人」・「家族」・「ビジネス」と「個人」に設定した(以下関係カテゴリと呼ぶ).対人距離については20cm単位で計測し,関係カテゴリごとに対人距離の分布をまとめた.それぞれの関係カテゴリごとの距離データ間には「友人」-「家族」以外の全ての間に統計的有意差があるという結果となった. 次に,それぞれの関係カテゴリにおける人数構成の比率を調べた.「二人組」が占める割合が各関係カテゴリによって違いがみられたので,複数人の関係の推定材料になることが判明した.同様に性別については,各関係カテゴリによって異性同士の組が占める割合が異なっていることが判明したので,「異性率」という形で関係の推定要素となり得ることが分かった.子ども・ベビーカーの有無についても,「家族」の推定に寄与することが判明した. 開発したシステムは,1)複数人の位置,人数,身長の計測,2)取得データからの関係推定モデルに基づく複数人の関係の推定,3)推定された関係に適応した広告のディスプレイへの表示,の各部分からなる.本システムの要求仕様として‖變云態の複数人の位置・人数・身長を取得する,対象者に何も準備させることなくセンシ ングが可能であることが挙げられるので,それらを満たすために,センサとしてPoint Grey Research 社製ステレオカメラBumblebee2(BB2-03S2C-38)を使用し,Windows 環境においてPoint Grey Research 社提供のVisual C++ 2005によるCensys3D People Tracking System を用いて実装した.


セッション 8H  ネットワーク管理2(DSM)
日時: 2007年7月6日(金) 10:50 - 12:30
部屋: 回転スカイラウンジ
座長: 安東 孝二 (東京大学情報基盤センター)

8H-1 (時間: 10:50 - 11:15)
題名待ち行列網モデルによるspamメールを考慮したメールサーバーシステム設計法
著者*河路 慶一, 市川 貴久 (愛知県立大学大学院 情報科学研究科), 奥田 隆史, 井手口 哲夫 (愛知県立大学 情報科学部)
Pagepp. 1736 - 1739
Keywordspamメール, 待ち行列網, 性能評価
Abstract我が国におけるインターネット利用人口は,平成16年度末の統計によると約7948万人,人口普及率は62.3%となり,インターネットは生活に欠かせない存在となっている.中でも電子メールは,必要不可欠なコミュニケーションツールとして利用されている.一方、メール受信者に同意を得ずに大量に送信されるspamメールが増加している.2005年末には,全電子メールに占める80〜90%がspamメールとなっており,処理を行うメールサーバー,ユーザーに影響を与えている.我々の研究グループでは,あるユーザーに到着するspamメールの収集,分析を行い,spamメールの到着間隔特性を示した.また,ユーザー側でのspamメール対策について述べた.今後も増加が予想されるspamメールに対し適切な対策を行うためには,メールサーバー,ネットワークでの影響について評価を行う必要がある.そこで本稿では,メールサーバーに到着する電子メールの一般的な処理の流れについて待ち行列網によるモデリングを行う.数値例として,我々の研究グループで得たspamメールの到着間隔特性を用いることによって,メールサーバーシステムの性能評価を行う.

8H-2 (時間: 11:15 - 11:40)
題名大規模ネットワーク実験設備への要件
著者*宮地 利幸 (情報通信研究機構 北陸リサーチセンター), 宇多 仁 (北陸先端科学技術大学院大学 情報科学センター), 三輪 信介 (情報通信研究機構 情報通信セキュリティ研究センター), 知念 賢一 (北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 芳炭 将 (情報通信研究機構 情報通信セキュリティ研究センター), 丹 康雄 (北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 篠田 陽一 (北陸先端科学技術大学院大学 情報科学センター)
Pagepp. 1740 - 1747
Keywordネットワーク実験, StarBED2
Abstract我々はこれまで大規模な実験設備であるStarBEDの運用開発に携わり、 さまざまな実験を実施してきた。 このような経験のなかで、大規模な実験を行うためには、実験設備とそれ を制御する支援ソフトウェアにさまざまな機能が必要であることを確認し た。 StarBEDでは、物理的な設備レベルで、 実験用と管理用ネットワークの分離や、実験用ノードのコン ソールへの容易なアクセス、ノードの死活管理、実験トポロジの柔軟な構 築、ノードの起動方法の切り替えなどを提供している。 本論文ではこれらについての詳細と、 StarBEDの問題点を整理する。 それらをもとに、一般的な実験設備に求められる物理的要件を整理し、 さらにそれをStarBED2として実装している。

8H-3 (時間: 11:40 - 12:05)
題名IPv6ネットワークトポロジ表示システムについて
著者加耒 徹 (大分大学工学部), 児玉 清幸 (大分大学大学院工学研究科), *有田 敏充 (大分大学工学部), 吉田 和幸 (大分大学総合情報処理センター)
Pagepp. 1748 - 1753
Keywordネットワーク管理, ネットワークトポロジ, IPv6, OSPFv3
Abstract近年のネットワークの発達は我々にインターネット等多くの恩恵をもたらしている。それにともない、ネットワークの利用者は年々増加し、ネットワークは大規模で複雑なものになっている。そのために、一度ネットワークに障害が発生すると、その原因を突き止めて解決するまでに発生する被害が甚大なものになる。そのため、ネットワークを円滑に運用するために管理するネットワーク管理者が重要な役割を担っている。しかし、ネットワークが大規模になるほどには、ネットワーク管理者は増えておらず、ネットワーク管理者にかかる負担は増大している。また、ネットワークの大規模化によって、今までのネットワークを支えてきたIPv4(Internet Protocol version 4)はIPアドレスの枯渇、経路表の増大等といった様々な問題点が指摘されている。そこで、IPv4の問題点を解決し、新しい要求に応えることができる次世代のインターネットプロトコルとしてIPv6 (Internet Protocol version 6)が設計され、IPv6ネットワークの運用も始まりつつある。  我々は、従来作成してきたIPv4のためのネットワークトポロジ表示システムを拡張し、LAN程度大きさのIPv6ネットワークに関するトポロジ情報の収集とその表示を行うシステムを作成した。IPv4ネットワークでは、OSPFv2のupdateパケットを監視し、見つかるとSNMPを利用し、ルータからOSPFv2 MIBのオブジェクトを収集して、その中からOSPFv2が維持しているLink State Database(LSDB)を取り出し、そこからルータとサブネットの接続情報と、そのメトリックを抽出し、表示部に渡している。IPv6では、経路制御に用いるOSPFv3のMIBは、まだExperimental段階であり、ほとんど実装されていない。そのため、IPv6のネットワークトポロジ情報の収集のためにSNMPを用いることができない。そのためPCサーバ上にIPv6ルーティングデーモンであるZebraをインストールし、そこにTelnetで接続することでZebraが隣接ルータから集めたOSPFv3のLSDBを収集した。このLSDB からIPv6ネットワークトポロジ情報の抽出に関しては、OSPFv2からIPv4ネットワークトポロジ情報の抽出アルゴリズムがほとんど使えた。しかしながら、IPv6では、一つのインターフェースに複数のIPv6アドレスを設定できるため、経路表の中のNext HopにLink Local Addressを使う。そのためNext Hopの情報はトポロジ情報としては不十分であった。また、マルチホームしている場合には、1つのインターフェースにLink Local Addressを以外に複数のネットワークアドレスが対応する場合がある。IPv6のためのネットワークトポロジ表示システムの構築を通してIPv4にはなかった、これらのネットワークトポロジを表示する上での問題が明らかになった。本論文では、IPv6のためのネットワークトポロジ表示システムの構築とその際明らかになったIPv6固有のトポロジ表示上の問題、およびシステムの運用について述べる。

8H-4 (時間: 12:05 - 12:30)
題名ネットワーク構成情報表示システムのための自動配置アルゴリズムの評価
著者*児玉 清幸, 釜崎 正吾 (大分大学大学院工学研究科), 吉田 和幸 (大分大学総合情報処理センター)
Pagepp. 1754 - 1761
Keywordネットワーク管理, ネットワークトポロジ
Abstract 現在、コンピュータネットワークは様々な場面で利用されている。企業や行政機関、個人利用に至るまでその利用形態や利用目的は多岐にわたる。また、その重要度や依存度も年々増加しており、コンピュータネットワークは今や社会インフラとしての役割を持つと言っても過言ではない。そのため、コンピュータネットワークには"常に利用可能であること(可用性)"が求められている。コンピュータネットワークの可用性維持の為には、コンピュータネットワークのトポロジーを把握することは、性能管理、障害管理、機密管理等を行う際の基本的情報であり、重要である。トポロジーを把握するにより、障害発生箇所の早期発見・早期復旧を可能にし、ネットワークの可用性を高めることができる。しかし、利用者の増加や接続規模の拡大に伴うコンピュータネットワークの大規模化・複雑化により、ネットワーク管理者にとって管理対象となるネットワークを把握することが非常に困難なものとなっている。 そこで、我々は管理者のネットワーク管理に掛かる負担を軽減させることを目的として、コンピュータネットワークにおけるルータ間およびルータとサブネット間の接続状況を、収集し、Appletを用いて表示するシステムの開発を行ってきた。 本論文では、本システムの中でネットワーク構成図のレイアウトを自動決定するための“レイアウトアルゴリズム”の改良とその評価について述べる。本システムが従来用いていた自動配置アルゴリズムでは(1)ランダムに与えていた各ノードの初期座標値がレイアウト結果に影響を及ぼす(2)ノードの振動現象によって自動配置の終了が明確でない、(3)本来接続関係に無いノードとリンクが偶然、重複することがあり、ユーザの誤解を招く(ネットワークの接続関係をご認識する)レイアウトを提示する可能性がある、という3つの問題点が存在した。新たなレイアウトアルゴリズムでは、これらの問題点解消のために、(A)各ノードの初期座標値の設定方法、(B)ノードに「重量」を導入した反発力計算、(C)接続関係に無いノードとリンクの重複を検出排除する機能、という3つの提案を行う。 (A)については、従来は乱数により決定されていた初期状態を、接続関係を考慮して決定することで、レイアウト結果への初期状態の依存を緩和させることを目的としている。(B)については、ノード間に働く反発力の抑制により、ノードの振動現象を抑えることを目的としている。(C)については、接続関係に無いノードとリンクの重複を検出し、リンクを曲線化することで重複状態の排除を行うことを目的としている。  提案したレイアウトアルゴリズムに関して、“収束までの繰返し回数”や“平均処理時間”等の処理効率に関する評価と、レイアウトの“視認性”に関する評価の2種類の評価基準により評価した。なお、“視認性”の評価基準は本システムの目的でもある“ネットワークの構成把握”という観点から“正確な接続関係の確認しやすさ”を評価基準として設定した。具体的な指標としては、“接続関係に無いノードとリンクの重なり”、“リンクの交差”がグラフ全体で何箇所発生しているかなどを評価項目とする。


セッション DS  デモセッション
日時: 2007年7月5日(木) 17:25 - 19:05
部屋: 萩〜もみじ
座長: 桐村 昌行 (三菱電機)

DS-1
題名ITS通信アプリケーション評価用統合シミュレータの開発
著者*吉岡 顕, 小佐井 潤, 本多 輝彦 (トヨタIT開発センター)
Pagepp. 1762 - 1766
KeywordITS, 交通流シミュレーション, ネットワークシミュレーション, 電波伝搬
Abstract1. 背景 ITS(Intelligent Transport System)として,路車間通信,車々間通信を用いた様々なアプリケーションが検討されている.これらのアプリケーションに共通する課題として,多数の構成要素,技術分野が関連するため,単体での検証・評価が困難なことが上げられ る.従来同様実車による検証を考えた場合,シナリオを限定した状態でも,数十〜数百台以上といった大量の実験車を用いたテストコース実験か現実の交通環境での大規模な実証実験(社会実験)が必要となる.開発の最終段階ではこのような手法での検証も必要であるがアプリケーションを実現するための通信機の開発,アプリケーション内部のパラメータ調整といった開発初期の段階から,その都度このような手法をとることは非現実的であり,シミュレーションによる評価が必須である. 通信を利用するITSアプリケーションを評価するためには,各時刻における車両位置を決定するミクロ交通流シミュレーション,送信側機器と受信側機器の通信可能性を評価する電波伝搬シミュレーション,通信による情報が伝達可能かを評価するネットワークシミュレーションを組み合わせる必要がある.上記各シミュレーションは,それぞれ単体としては既に多くの研究開発が行われており,研究レベルのもの,市販のものを含めて多数のシミュレータが存在する.これらのシミュレータを用いれば,アプリケーションを構成する要素技術の一つ一つにの評価は可能である.しかし,それぞれ単体のシミュレーションではシステムあるいはアプリケーション全体を通しての効果を検証することは不可能であり,これらの「シミュレーション要素」が連携する形で,対象となる系全体をシミュレーションする統合シミュレーションが必要である. このような観点から,通信を利用したITSアプリケーションの評価が可能な統合シミュレータを開発したので報告する. 2. 基本設計 複数の要素から現象をシミュレーションする場合,それぞれの要素シミュレーションモデルを内部で密に組み合わせる方式と,それぞれ単体で動作する要素シミュレータを粗に結合する方法と2種類の統合方法がある. 筆者らは,要素シミュレーション部について,評価目的等により,市販/既開発のシミュレータを適宜選択,交換可能とするため,各要素シミュレータを相互に接合するのではなく ・統合プラットフォームを用意 ・各要素シミュレータは統合プラットフォームと通信により結合 する粗結合アーキテクチャを採用した. 3. 実装 本稿では,要素シミュレーション部に,電波伝搬シミュレーション: RapLab,ネットワークシミュレーション: Qualnet,ミクロ交通流シミュレーション: Automesh を組み合わせて実装を行った. 4. シミュレーション例 ITSアプリケーションとして, 信号情報提供を例として,シミュレーションを行った.これは,信号プログラム(具体的には赤信号までの時間)を路側機から通信で車両に広報し,それを受け取った車両が,自車の位置,速度と比較して,情報提供/注意喚起/警報 /強制介入するものである. 電波伝搬-ネットワーク-ミクロ交通流シミュレーションが統合することによる効果を検証するため, ・本開発の統合シミュレータを利用したケース ・電波伝搬部に,ネットワークシミュレータが内蔵する 2 波モデルを用いたケース による比較を行った.前者では,対象車の前方車両が電波障害物として作用することがきちんと評価されるが,後者ではそれができないという差がある. そこで,大型車両の混入率を変化させ,対象車両群に対し,信号情報提供情報が届いた確率を,両者で比較した.後者では,車両密度に対して結果が全く変化しないが,前者では大型車混入率が高くなるにつれて情報が届く確率が下がることが確認され,より現実に 近いシミュレーションが実施できたことを確認した. 5. まとめ 本統合シミュレータの特徴は,要素シミュレーション部に既開発のものが利用でき,交換可能であることである.今後, ミクロ交通流シミュレーション部にドライバーモデルを搭載したもの に交換することにより,ITSアプリケーションの効果検証へ利用することを計画している.

DS-2
題名RAIS-Mixer: DJ の知識に基づく音楽の連続再生プレイヤー
著者*福井 登志也, 井上 亮文, 市村 哲 (東京工科大学コンピュータサイエンス学部)
Pagepp. 1767 - 1768
Keywordマルチメディアシステム, 情報家電
Abstract1.はじめに mp3 に代表される音楽データ圧縮技術や記録媒体の大容量化など,ここ数年で音楽プレイヤーは大きな進化を遂げた.しかしプレイヤーの再生機能に着目してみると,レコードやテープ等のアナログ媒体では「再生・停止・早送り・巻き戻し」,CD 等のデジタル媒体に移行してからは,これらに加えてイントロ再生,頭だしなどが加わっただけであり,かれこれ20 年近くも本質的な変化がないことになる. 本稿では,リスナーに対して新たな再生機能を提供することを目的とし,DJ(Disc Jockey) の知識と技術に注目した音楽の連続再生方法を提案する. 2. 提案方式 2.1 DJによるミキシング 本研究で注目したDJ は,クラブやディスコなどのライブスペースにおいて,ターンテーブル(レコードの再生機器)とミキサーを使いながら2 枚のレコードを同時に操作する.そして一方の曲からもう一方の曲へと違和感なく移行し,2 つの音源を連続的に再生する.このミキシングと,CD やPC における通常の再生方法では,曲の接続部分に大きな違いがある. 通常のプレイリスト再生では,ユーザは曲順を自由に変更することができるが,ボリュームに対して何の操作も行わない.現在の曲Tn の再生が終了すると,0〜数秒の無音区間を挟んで次の曲Tn+1 の再生が開始されるだけである. クロスフェード再生では,連続して再生される2 曲のボリュームを同時に操作する.現在の曲Tn の末端数秒前からボリュームをフェードアウトさせると同時に,Tn+1 の冒頭からボリュームをフェードインさせている. 通常の連続再生と異なり,両者がオーバーラップしながら入れ替わる時間帯が存在する. DJ のミキシングによる連続再生は,オーバーラップ部分が存在すること,ボリュームのフェードイン・アウト処理があることはクロスフェードと同等である.しかし,オーバーラップ部分が必ずしも曲の末端と先頭であ る必要はない.Tn の途中部分でオーバーラップを開始し,Tn+1 の途中部分へと曲をつなげていく.また,Tn とTn+1 のテンポ(BPM) が一致するよう速度変換も行う. 2.2 分析 DJ がどのようにミキシングするのかを調べるため,サンプル375 曲のミキシング箇所分析及び5 人のDJ からのヒアリング調査を行った.その結果,以下の点を考慮する必要があることがわかった. (1) Tn の再生が終了する点はサビの終わり (2) Tn+1 に完全に切り替わる点はTn+1 の歌いだし(最初にボーカルが入る箇所) (3) Tn とTn+1 のビート(リズムのアクセント) 位置を一致させる (4) 2 曲がオーバーラップする時間の平均は12.32 秒 (5) Tn とTn+1 のBPM の差は5 パーセント以内 (6) BPM に差がある場合は速度変換を行うが,その際に音程を変えてはいけない 3. 実装 3.1 RAIS-Mixer 2.2節の結果を反映したプロトタイプRAIS-Mixer を開発した. ユーザはプレイリスト作成部で,再生曲のリストを作成し,このリストに従って,連続する2 曲が別々のバッファにロードされる.RAIS-Mixer は常に曲の再生位置を監視しており,2 つの曲を速度と音量を操作しながら適切なタイミングで同時再生することでDJ ライクなミキシングを実現する. ミキシングに必要な情報は,曲名などと同様に,CDDB などの外部データベースやID3 タグなどのメタ情報から取得することを考えている.現在のところ,BPM とビート位置は音量からある程度自動取得が可能である. 3.2 連続再生の詳細 再生の流れの詳細を以下に示す. (1) プレイリストから楽曲のデータをロードし,1 曲目の再生を開始する.この時,サビやBPMの関連情報も読み込む. (2) ミキシングに備えて次曲のBPM を調べる.現在の曲のBPM との差が5%以上ならば,以降の再生で速度変換を施す. (3) サビの終了直前に差し掛かった時点で,もう一方の再生を開始する.この時,双方のバッファにはボリュームフェードイン・フェードアウトフィルタが適用される. (4) サビが終わり,一曲目の再生が終了する. (5) 再生が終了したバッファに次曲をロードし,同様の処理を左右入れ替えて行う. 4. おわりに DJ のようなミキシングを実現するシステムRAIS-Mixer を提案した.BPM 認識の精度向上やサビ・歌いだし位置の自動認識を今後の課題としたい. また,DJ の技量は,どの曲とどの曲をミキシングすれば「Cool 」かという選曲能力も大きい.これには自動判別技術の開発以外にも,ユーザ同士での情報交換が有効と考えられることから,ソーシャルプレイリストのようなサービスへ拡張することを検討している.

DS-3
題名TV会議システムをベースとした遠隔医療のための高品質静止画取得法
著者*平山 宏人 (岡山大学大学院自然科学研究科), 岡山 聖彦, 山井 成良 (岡山大学総合情報基盤センター), 岡本 卓爾 (岡山理科大学工学部), 秦 正治 (岡山大学大学院自然科学研究科), 岡田 宏基 (岡山大学病院)
Pagepp. 1769 - 1774
Keyword遠隔医療, TV会議, 高品質静止画
Abstract最近,少子高齢化や農村部の過疎化に伴い,医療の地域間格差が社会問題となってきている.この問題への対策方法として,TV 会議システムを活用した遠隔医療が注目されている.ところが,既存のTV 会議システムは一般に解像度が低く,また画像に乱れが生じる場合もあり,そのままでは診療に用いることができない.そこで本論文では既存のTV 会議システムをそのまま用いながら高品質な静止画を取得する方式を提案する.本方式では,患者側端末においてTV 会議システムの入力を高品質静止画像として短時間保存し,そのうち必要なものだけを医師の操作に応じて医師側端末に別途転送して表示するようにする.これにより,医師がTV 会議システムの動画像を確認して静止画像の撮影部位を確認できるため,所望の静止画像を容易に取得することが可能になる.提案方式に基づいたシステムを試作して性能評価実験を行った結果,医師側端末に表示された動画像に対応するVGA サイズの静止画像を任意の時点で取得することができ,本方式の有効性が確認された.

DS-4
題名TV向けリモコン操作型Webブラウザの提案
著者*大賀 暁 (NEC C&Cイノベーション研究所), 辰巳 勇臣, 仙田 修司, 旭 敏之 (NEC 共通基盤ソフトウェア研究所)
Pagepp. 1775 - 1776
Keywordユーザインタフェース, リモコン, ブラウザ
Abstract ユビキタス環境の普及にともないインターネットを利用した情報活用の利用機会が増大するだろうという期待がある。これまでは、身の回りにインターネットに接続した情報閲覧端末が無いもしくはあっても画面が小さいといったことが原因して広がりにくかった。ところが最近では携帯電話において、コンテンツの限られたiモードによる情報アクセスだけでは飽き足らず、PCでのみ利用可能であったWebコンテンツすべてにアクセスできるフルブラウザと呼ばれるツールを搭載する端末も増えつつある。また通信機能を搭載したPDAのほか、携帯ゲーム機やテレビでもインターネット接続機能を搭載したものが市場に登場している。このようにWebアクセスを可能とする環境は増えつつある。しかし、一方で閲覧性や操作性における問題はまだ解決していない。  特に、住宅のリビングのような環境において、PC以外の端末を用いてPCで利用可能な全情報にアクセスできる端末・ツールも極めて不十分である。我々はTVがある空間ではTVでWebブラウジングを快適に行えるようにすることを目指し、リモコン操作型のWebブラウジングツール(以下、TVブラウザと呼称)を提案・開発した。本発表では、TVブラウザの基本的な仕組み、操作を紹介する。  はじめにTVブラウザの基本的な仕組みを紹介する。TVブラウザは、Webコンテンツをブラウザが描画するレイアウトのレベルで解析しWebページ内にある意味的な切れ目を探るレイアウト解析技術[1]をTV向けに応用している。レイアウト解析技術を用いると、例えば解析結果として得られた切り目をもとに1つのWebページを複数のブロックに分割することができる。これにより表示画面サイズに比べて大きすぎるWebページでも、画面内に収まる複数のブロックに変換することができる。この切り分けられた各ブロックをリモコンにより入れ替えながら表示することで、ユーザはWebページを見やすいサイズでかつ情報として欠落することなく閲覧することができる。  次にこのブロック化したWebページを効率よく閲覧する操作方法を説明する。TVブラウザは、Webページからレイアウト解析技術をもとに分割した各ブロックの移動操作、おのおののブロック内にある複数のリンクを選択する操作、そして実際の移動先へジャンプする操作や過去に閲覧したページへ戻る操作を、リモコンの上下左右の4方向で効率的に行えるように操作体系を構築している。この操作体系を用いることで、効率的なWeb閲覧が可能である。例えば、リンク移動や過去に閲覧したWebページへ戻る操作を、リモコンの左右ボタンに割り当てている。具体的にはリモコンの左を押すとこれまでに閲覧したWebページを遡ることができるほか、リンク先へジャンプする操作はリモコンの右ボタンを押すことでできるようにし、ユーザがWebを閲覧した流れを左右の軸上に配置したように扱うことができるようにしている。一方ブロック間の移動や、リンク項目間の移動はリモコンの上下ボタンに割り当てている。これにより、Webの移動は上下ボタンでブロックを選ぶと右ボタンでブロック内のリンク選択に移り、上下ボタンでリンクを選ぶと右ボタンで再度リンク先のページに移動するという単純な操作体系にWeb閲覧という操作を落とし込むことができる。この操作体系はGUIの工夫により、リモコンを用いても快適に操作することができる。 [1] 辰巳,旭:「Webページのレイアウト解析手法と応用インタフェースの提案」, 第12回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2004)論文集, pp. 153-154, Dec 2004.

DS-5
題名指向性MACを実装したTCP/IPインターフェースIEEE802.15.4/ZigBeeアドホック無線装置の構築
著者*渡辺 正浩 (ATR適応コミュニケーション研究所スマートネットワーク研究室), 三觜 輝 (静岡大学大学院情報学研究科), 萬代 雅希 (静岡大学情報学部), 小花 貞夫 (ATR適応コミュニケーション研究所所長), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院インフォマティクス部門)
Pagepp. 1777 - 1781
KeywordAd hoc, ZigBee, ESPAR, Directional MAC, TCP/IP
Abstract無線アドホックネットワークの指向性メディアアクセス制御(MAC: Medium Access Control)の研究において,実際のアンテナのビーム形状,無線装置の固有の特性,実空間の電波伝搬による影響を含めた実環境での性能を評価するためにテストベッドを構築する.スマートアンテナとしてESPAR (Electronically Steerable Parasitic Array Radiator)アンテナ,無線装置としてIEEE802.15.4規格のZigBeeチップをベースとして用い,指向性ビームを用いたMACプロトコルとしてSWAMP (Smart antenna based Wider range Access MAC Protocol)方式を実装する.更に,実験においては,一般的なアプリケーション(telnet, ftp,ファイル共有など)が利用出来るように,ノートPCにTCP/IPパケット通信のトンネル処理を行い,VPN (Virtual Private Network)でも利用されているTUN/TAPドライバを利用したゲートウェイを構成する.EthernetフレームはIEEE802.15.4/ZigBeeフレームにカプセル化し,これを超えるサイズのデータを送信する場合はデータフレームを連続送信する.例えば,テストベッドのノートPCを用いてhttpサーバを立ち上げ、もう一方のクライアント側となるテストベッドのノートPCのブラウザからアクセスして画像などを表示させるようなデモが実施可能となる.

DS-6
題名複数センサネットワークを統合管理するアーキテクチャの検討
著者*神谷 英樹, 峰野 博史 (静岡大学), 石川 憲洋, 角野 宏光 (NTT ドコモ), 水野 忠則 (静岡大学)
Pagepp. 1782 - 1786
Keywordセンサネットワーク, PUCC

DS-7
題名高速赤外線通信を利用した携帯電話向けプリンティングプロトコルの実装と評価
著者*小佐野 智之, 石川 憲洋 (株式会社NTTドコモ), 北川 和裕 (慶応義塾大学), 長坂 文夫 (セイコーエプソン株式会社)
Pagepp. 1787 - 1792
KeywordP2P, オーバーレイ, プリンティングプロトコル, ユビキタス
Abstract近年、携帯電話の発達と普及が進み、従来の携帯電話網における通信機能だけでなく、赤外線、Bluetooth、無線LAN、FeliCaといった様々なローカル通信機能を備えた端末が登場している。そのため、携帯電話は通話やメールを利用するための手段だけではなく、携帯電話周辺に存在するAV機器、プリンタ、ヘッドセットなどの周辺機器を制御する手段や、携帯電話間にてローカルにデータ交換を行う手段として、利用領域が広がっている。また、DLNAやECHONETなどのホームネットワーク、RFIDなどのセンサデバイスなどを携帯電話から利用するニーズも高まっており、複数の標準化団体でプロトコル等の検討が進められている。PUCC(Peer-to-peer Universal Computing Consortium)では、ホームネットワーク、センサネットワークなどが混在するヘテロジーニアスなネットワーク環境において、携帯電話から各デバイスをシームレスに制御するプロトコルの研究開発とデファクト化を行っている。なかでも携帯電話からのプリンタ制御については、多様な環境で、多様なコンテンツ形式の印刷を可能にすることを目指している。 現在、日本の携帯電話において、もっとも普及しているローカル通信機能は赤外線通信機能であり、規格としてIrDA DATA 1.2(115kbps)が主流であるが、IrDA DATA 1.3(4Mbps),IrSimple(4Mbps)などの高速赤外線通信規格を搭載した端末も登場している。本稿ではPUCC / 既存プロトコル変換ゲートウェイにおいて高速赤外線通信モジュール上でのPUCCプリンティングプロトコルの実装と評価について述べる。 実装したゲートウェイでは、OBEX APIを用いて赤外線通信を制御する。OBEXは、赤外線通信やBluetoothなどの近距離無線通信を利用したファイルやコンテンツ、トランザクションなどの情報を交換する手順として作成された汎用のオブジェクト交換プロトコルであり、OSI参照モデルにおいては第5層のセッションプロトコルに相当する。携帯電話の赤外線通信規格であるIrMC(Infrared Mobile Communication)ではOBEXを利用して、携帯電話内の電話帳、スケジュールなどPIM情報の交換を行う。 本論文ではゲートウェイ上のプリンタ制御アプリケーションおよびPUCCプロトコルスタックをJavaで作成し、Javaプラットフォーム上で動作させた。なお、JavaプラットフォームはOBEX APIを持たないため、別途OBEX WrapperをC言語で作成し、当該APIをPUCCプロトコルからJNI経由で呼び出すことでOBEXを制御する。 PUCCプリンティングプロトコルの実装をOBEX赤外線通信に最適化し、実機を用いた性能試験により、接続性、実行速度を評価し、高速赤外線通信上で目標とするスループットを達成できたことを確認した。

DS-8
題名RFIDを利用した物品管理システムの精度向上手法に関する研究
著者*小倉 正利 (静岡大学大学院情報学研究科), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 寺島 美昭, 徳永 雄一 (三菱電機株式会社情報技術総合研究所), 水野 忠則 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1793 - 1799
KeywordRFID, 位置情報
Abstract近年発達してきた測位システムから,位置情報を利用したサービスが発展している. しかし,現在まだ屋内環境における位置情報を利用した物品管理システムは確立し ていない.精度の高い位置情報を提供する物品管理システムには,1つ1つの物品に 取り付けるデバイスにコストがかかり,デバイス自体が大きいと取り付けるものの 大きさにも制限がかかってしまう. そこで現在安価になり,コインサイズ以下の小型なものも登場しているRFIDタグを 利用して位置を推定する研究が盛んに行われている.RFIDタグは小型化し,値段も データの送受信可能な他デバイスに比べて安価であるため,物品に取り付けやすい. また,数m離れて通信を行うことが可能であるため,移動端末を持って室内を歩き回 るだけでRFIDタグの情報を集めることができる. その特性を利用して移動端末を用いた物品管理システムとしてMobitraが開発された. Mobitraでは,持ち運び可能なRFIDのタグリーダを室内で移動させ,タグリーダが タグを受信した位置を正確に測位することでタグの位置の推定を行う. リーダが受信した情報を位置管理サーバに蓄積することで,複数の移動端末からの情 報を利用することもでき,移動端末に負荷をかけることなく,指定した物品の位置推 定を行うことができる.タグの位置推定にはリーダの地点を中心とした通信範囲を円 として利用することが一般的で,Mobitraでも検知した位置の履歴から複数の円を重 ねて行くことでタグの位置推定をおこなっている.しかし現状では推定位置に1m近 い誤差が生じてしまうことがある. 実環境においてタグリーダの通信範囲を一定距離に設定することは難しいため,予測 のもとで利用しなければならない.推定時に利用する最大通信範囲を小さく予測する と,推定位置と実際の位置とに大きな誤差が発生し,大きめに予測すると,推定位置 の面積が予想以上に大きくなってしまう. 既存のシステムには,複数のタグリーダを設置し,タグリーダの通信距離を変化させる ことで,タグを検知し,各タグとの距離を計算し,位置推定を行う.LANDMARCと呼ば れるシステムが利用されているが,やはり通信範囲の設定は難しく,部屋の規模に応じ てタグリーダの個数が増加するため,コストがかかってしまうという欠点がある. また,Mobitraではタグリーダの位置を検出するシステムにセンサーネットワークを利 用した,Cricketを採用している.Cricketは天井に複数装着されたセンサーと測位 するものに取り付けるリスナーとで通信を行い,各センサー間の通信距離を利用して, リスナーの位置を即位するシステムで,インフラの整備も天井に設置し,位置情報を入 力することで使用可能である.センサー間の通信に障害が発生する場合など,正確にリ ーダの位置情報がとれない場合も生じることも誤差の原因となっている. 本研究では,履歴の分布状況や追加のパラメータを利用することによって,適した通信 範囲を知るための手法を検討及び実装を行い,リーダの正確な位置情報を得られるシス テムの利用の検討も行う.

DS-9
題名組込みマルチコアプロセッサ向けH.264ビデオデコーダ開発
著者*西原 康介, 幡生 敦史 , 森吉 達治 (NECシステムIPコア研究所)
Pagepp. 1800 - 1805
KeywordH.264, マルチコアプロセッサ, プリロード
Abstract携帯機器向けビデオコーデックとして利用されているH.264は,高負荷な演算処理を要求し,ソフトウェア処理をするには高性能なプロセッサが必要である.また一般に,シングルコアプロセッサの性能改善では消費電力が増加を招くという問題点があり,消費電力を抑えて大幅な性能向上が期待されるマルチコアプロセッサが注目されている.マルチコアプロセッサの性能を引き出すためには,逐次処理にはなかった複数コア間の演算負荷の不均等や,メモリアクセス競合などへの対応が不可欠である.そこで,H.264デコーダをマルチコアプロセッサ上で高速動作させるために,H.264デコード処理の特性に応じた分割方法を適用して同期コストを抑えた負荷均等化ができる負荷分割方法と,アクセス間隔を適応的に制御することでメモリアクセス競合を低減できるプリロード手法を提案する.前記負荷分散を適用した並列化デコーダの性能を測定した結果(QVGA 512kbps 30fpのビットストリーム使用),並列化しない場合(228Mcps)に比べ4並列動作(113Mcps)で2倍のデコード性能を達成した.また,適応制御プリロードでは,制御を行わない場合に比べ6%の性能改善が得られた.前記負荷分散と適応制御プリロードを併用することで(109Mcps),並列化しない場合に比べ2.1倍まで性能を高めることができ,本手法の適用でH.264デコーダの性能改善が図れることが示せた.

DS-10
題名PUCCストリーミングプロトコルに対するIPマルチキャスト対応拡張
著者*古村 隆明 (京都大学学術情報メディアセンター), 内田 良隆, 石川 憲洋 (NTTドコモ), 岡部 寿男 (京都大学学術情報メディアセンター)
Pagepp. 1806 - 1809
KeywordIPマルチキャスト, ピアツーピア, 動画像, ストリーミング, PUCC
AbstractPeer to Peer Universal Computing Consortium (PUCC) では, 様々なデジタルデバイス同士が自律的にピアツーピア通信を行うための プロトコルを策定している. 本稿では,PCUUで策定されているプロトコルのうち,動画像の転送に用いられる ストリーミングプロトコルを拡張し, 複数の受信者に同じ映像を転送する場合に, 通信路の途中や末端の無線区間などでマルチキャストを 利用できるよう提案と実装を行なった.


セッション K1-K8  企業展示
日時: 2007年7月4日(水), 5日(木)
部屋: 四季の広場

K1-1
題名P2P エージェントプラットフォーム PIAX のセンサー応用
著者*石 芳正, 寺西 裕一, 春本 要, 下條 真司 (大阪大学)
Pagep. 1810

K1-2
題名高速Webメールソリューション MailSuite
著者*北瀬 聖光, 岸 克政 (日本電気株式会社)
Pagep. 1811

K1-3
題名PLATON: 超分散環境におけるデータ共有のためのP2P多次元範囲検索システム
著者*中台 慎二, 谷口 邦弘 (NEC)
Pagep. 1812

K1-4
題名シンプルに実現するハイパフォーマンスセキュアネットワーク
著者*橋本 賢一郎, 峯岸 徹 (物産ネットワークス株式会社)
Pagep. 1813

K1-5
題名国民保護計画における住民避難誘導を想定したリアルタイム情報通信パイロットシステム
著者*小澤 益夫 (コンテンツ株式会社)
Pagep. 1814

K1-6
題名USBスティックによるプレゼン共有 P-Stick,P-Station
著者河口 信夫 ((有)ユビグラフ/名古屋大学), *安藤 真介 ((有)ユビグラフ)
Pagep. 1815


セッション SP  招待講演
日時: 2007年7月5日(木) 16:05 - 17:25
部屋: 平安+花の舞
座長: 國尾 武光 (NEC)

SP-1
題名(招待講演) タンジブル・ビット:情報の感触・情報の気配
著者*石井 裕 (MIT Media Laboratory)
Pagep. 1816
Keywordタンジブル, HCI, アンビエントメディア
Abstract 人々は、物理空間の状況を知覚しそれを操作するために、極めて洗練された能力を発展させてきました。しかし、今日のグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)は、このような能力を十分活用することができませんでした。Tangible Bits(タンジブル・ビット)は、人とコンピュータの対話(HCI)の未来形を追求する我々のビジョンであり、ディジタル情報に物理的な実体を与えることで、人間の持つ物理世界を認知・操作する優れた能力を活かして、ディジタル情報へのアクセスを可能とし、ビットとアトムの2つの世界を継ぎ目なく(シームレスに)結ぶことを目標にしています。  Tangible Bitsのビジョンを指針に、我々は、物理的なモノ、その表面、および物理空間にディジタルの意味を付与することにより、ディジタル情報を、物理世界を通してより直接的に実感・操作することが可能な「タンジブル・ユーザ・インタフェース」(TUI) をデザインしてきました。人間の認知のフォアグラウンドにおける、モノを介したディジタル情報の直接操作、また、それに加えて環境的(アンビエント)メディアを用いた知覚の周辺(バックグラウンド)における情報ディスプレイについても研究を行なっています。  人々が生涯を通じ物質的な世界と関わりあうことで育んできた豊かな感覚と能力を活かし、人間、ディジタル情報、そして物理世界をシームレスにつなぐインタフェースを実現することが、私達の研究の目的です。  この講演では、Tangible Media Groupがデザインした様々なタンジブル・ユーザ・インタフェースをご紹介し、ユビキタスGUI を越える、将来の研究の方向を提案します。