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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2008)シンポジウム

セッション 1B  電子メール・コミュニケーション基礎(GN)
日時: 2008年7月9日(水) 13:40 - 15:20
部屋: ベガ
座長: 宗森 純 (和歌山大)

1B-1 (時間: 13:40 - 14:05)
題名電子メールアーカイブシステムにおけるユーザ管理の一方式
著者*楓 仁志, 森川 修一, 郡 光則, 菅野 幹人 (三菱電機株式会社 情報技術総合研究所)
Pagepp. 35 - 41
Keywordユーザ管理, 電子メールアーカイブシステム, アクセス管理
Abstract近年、金融商品取引法の施行に伴い、企業基幹システムである電子メール管理に注目が集まっている。企業内で管理される電子メールには、企業機密情報が含まれているものがあり、プロジェクト単位や部門単位で参照権限を管理する必要がある。我々は、企業内で利用される膨大な電子メールの蓄積および検索・取得を実現する電子メールアーカイブシステムの開発を行っている。本稿では、電子メールアーカイブシステムによって蓄積された電子メールデータに対して検索・取得を行う際、ユーザが保有する参照権限の範囲に基づき、複数種類のアクセス権を管理する方式について報告する。 従来関係データベースでは、アクセス管理を行う際に、管理対象データごとに定義されたスキーマあるいはテーブルに対する操作権限を設定する。電子メールデータへのアクセス管理においても、管理対象ユーザごとに記憶空間を構築し、アクセス権限を管理する方式が考えられる。しかし、電子メールは同一メールを一度に複数の電子メールアドレスに対して送信することが可能である。その場合、複数の記憶空間に同一電子メールデータが蓄積されることとなり、データ容量が増大するという問題があり、実用的ではない。 そこで電子メールデータを複製せずに、対象ユーザごとに検索対象を制限する検索条件を定義し、ユーザが検索処理を実施する際に利用可能な検索範囲を選択させる方式が考えられる。一般的にアーカイブシステムでは、蓄積されたデータを高速に検索するために索引情報を管理している。また、検索対象となる電子メールデータをヘッダ、本文、添付ファイルなどに分割してデータベースに蓄積することにより、検索対象を限定し高速に検索する方式が考えられる。検索対象を細分化することは検索性能を向上させる一方、検索処理を実施するさいにユーザがアクセス管理によって規定された個々のデータベースに対して検索対象を制限するための検索範囲を逐一選択しなければならないため、作業負荷が増大するという課題がある。 本稿は上記の課題を解決し、管理対象となる電子メールデータを複数の記憶空間に蓄積することなく、ユーザの参照権限に基づき検索・取得対象を制限するアクセス管理方式を実現した。本方式では、ユーザが検索・取得可能な電子メールデータの範囲を規定した仮想メールセットを定義する。本方式で提案する仮想メールセットは、仮想メールセットを一意に特定する仮想メールセット定義情報と検索対象となる電子メールデータを制限する仮想範囲情報に分割したデータ構造によって管理される。これにより、単一仮想メールセット定義情報に複数の仮想範囲情報を紐付けて管理することが可能となる。また仮想範囲情報は、仮想メールセット定義の登録時に検索・取得対象項目と、アクセス制限内容を記述する条件式、制限対象となるデータベース名を分割して管理する。これにより、ユーザからの検索・取得処理要求により電子メールアーカイブシステムに対する検索命令を生成するさいに、構文解析処理による個々の検索条件に対する走査を行うことなく、アクセス範囲を制限することが可能である。また、電子メールを索引、ヘッダ、本文、添付ファイルなどに分割してデータベースに蓄積する電子メールアーカイブシステムにおけるアクセス管理を行う場合、ユーザが検索・取得処理を実施する際に仮想メールセット定義情報を選択するだけで、仮想メールセット定義情報に紐付けられた個々のデータベースに対して定義された仮想範囲情報を適用することが可能となる。これにより、複数のデータベースによって電子メールが管理される電子メールアーカイブシステムに対応して、ユーザが検索対象を選択する作業負荷を低減することができる。 企業上の職務などによってアクセス管理を行う場合、複数の仮想メールセットが定義されることが想定される。また、任意のユーザが複数の職務を兼任することもある。そこで本方式は、複数の仮想メールセットを一括りとしたロールを定義する。任意のロールには、複数の仮想メールセットを設定可能とする。アーカイブされた電子メールデータを参照するユーザに対して、職務などの権限に応じて設定されたロールを付与することにより、ユーザに対して一度に複数のアクセス制限を設定することが可能となる。 本ユーザ管理方式を電子メールアーカイブシステムに適用することにより、管理対象となる電子メールデータを複数に分割してデータベースに蓄積する場合であっても、個々のデータベースに対する仮想メールセットを逐一選択させることなく、アクセス制限を適用することが可能となる。本手法によって管理された仮想メールセットをエンドユーザが検索・取得処理を実施する際の最小単位とすることにより、ユーザの権限の範囲に応じたアクセス管理を実現することが可能となる。これにより、企業内の自部門の電子メールに対してのみ参照可能とするなどの複数種類のアクセス権管理を行うことが可能となる。

1B-2 (時間: 14:05 - 14:30)
題名電子メールへのメタ情報付加とそれを利用したMUAによる情報処理支援
著者*神堀 真也, 相田 仁 (東京大学)
Pagepp. 42 - 49
Keyword電子メール, メタ情報, 情報処理支援, 情報分類

1B-3 (時間: 14:30 - 14:55)
題名インフォーマルコミュニケーションにおけるきっかけの要因についての調査
著者*西岡 大 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科), 藤原 康宏 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科), 村山 優子 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 50 - 57
Keywordインフォーマルコミュニケーション, 質問紙調査, KJ法, アウェアネス
Abstractインフォーマルコミュニケーションとは,事前に,「いつ」「何処で」「誰と」と行うかが定まっておらず,偶然始まるという特徴があるといわれている.しかし,実際のインフォーマルコミュニケーションでは,会話の相手に関連した内容の会話が行われる場合がある.この場合,コミュニケーションが意図的に始められると考えられ,インフォーマルコミュニケーションの偶発性という特徴とは一致しない.また, インフォーマルコミュニケーションを支援するシステムでは相手の存在や行動, 状態を認識するアウェアネスの機能が重要視されてきた. そのため, アウェアネスの機能以外でインフォーマルコミュニケーションを支援する手法は確立されていない. そこで, 本研究では, インフォーマルコミュニケーションの特徴の抽出を行う上で, インフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」に着目する. 本研究では, 文献調査によりインフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」の要因を抽出した.「きっかけ」の要因を抽出した結果,知人同士を対象としたシステムでは,「いつ」「何処で」「誰が」等の要因が「きっかけ」となることが判明した. 次に, 日常生活におけるコミュニケーションの「きっかけ」の要因を抽出するために質問紙を用いて調査した. 調査は,知人に自ら話しかけた会話を対象とし,その会話の「きっかけ」と考えられる要因について尋ねた.文献調査及び質問紙調査から得られた「きっかけ」の要因を, 情報の整理と発想のための方法であるKJ法を用いてグループ化を行い,インフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」の要因を整理した.KJ法でグループ化した結果, インフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」の要因は, 会話相手もしくは会話相手が行っている行動を認識することがインフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」となる「認識」, 会話相手が行っている行動に対して自分自身が所持している知識と一致したことがインフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」となる「会話相手の行動と自分の知識の一致」, 自分自身の願望を叶えたいと思ったことがインフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」となる「自分の願望」, 予め会話相手と会話内容が定められていることがインフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」となる「定められた会話」の4つの要因に分類されることが判明した. また, 従来研究から抽出したインフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」とKJ法で分類したインフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」の要因を比較した. 比較した結果, 従来研究から抽出した「きっかけ」はKJ法で分類した要因のうち, 「認識」「会話相手の行動と自分の知識の一致」に集中した. そのため, 「認識」「会話相手の行動と自分の知識の一致」の2つの要因は, アウェアネスの機能と関わりがあり, 残りの「自分の願望」「定められた会話」の2つの要因は, アウェアネスの機能と関わりがないことが判明した. そのため, 「自分の願望」「定められた会話」の2つの要因を基にインフォーマルコミュニケーション支援システムを構築する場合, アウェアネスの機能以外の機能を考察し, 導入する必要があると判明した.

1B-4 (時間: 14:55 - 15:20)
題名ユーザ同士のコミュニケーションを考慮したプレゼンスサービスシステムの検討
著者*金 ナレ, 相田 仁 (東京大学大学院新領域創成科学研究科)
Pagepp. 58 - 65
Keywordプレゼンスサービス, コミュニケーション, 親近度, パーソナルネットワーク
Abstract近年,様々な通信機器の発展に伴い,いつでもどこでもコミュニケーションを行うことができる環境になりつつある.しかし,時間と場所の制約なしでコミュニケーションができるとしても,相手の状況(プレゼンス) により連絡が取れない場合がある.そのため,相手が現在コミュニケーションできる状態にいるか否かを知らせてくれるプレゼンスサービスが用いられている. プレゼンスサービスの課題としては,プレゼンス情報の信頼性や即時性を保つためのデータ収集や,プレゼンス情報の活用に関わるデータ管理,プレゼンス情報の提示が挙げられる.本研究では,プレゼンス情報の管理及び提示に注目し,ユーザのプレゼンス情報をサーバ側で自動的にフィルタリングするプレゼンス サービスシステムについて考察する. 本研究で提案するシステムではユーザのコミュニケーションの様子を分析し,ユーザ間の人間関係を調べ,ユーザごとにパーソナルネットワークを作成する.作成したパーソナルネットワークを基にプレゼンス情報を再編集し提供することで,無駄のないプレゼンス情報を提供し,親しい人の間でのコミュニケーションを活性化させる.