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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2008)シンポジウム

セッション 1I  ユビキタス情報提示(UBI)
日時: 2008年7月9日(水) 13:40 - 15:20
部屋: ビューホール(2)
座長: 今野 将 (千葉工業大学)

1I-1 (時間: 13:40 - 14:05)
題名プロジェクタによる一斉制御が可能なユビキタス光デバイスの設計と実装
著者*中田 眞深, 児玉 賢治, 藤田 直生, 竹川 佳成, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻), 細見 心一, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院/情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 214 - 221
Keyword電飾アート, LED制御, ユビキタスコンピューティング, ユビキタスデバイス
Abstract近年,発光ダイオード(LED)を用いたイルミネーションが多くみられるようになった. しかしその動作は非常に単純で点滅パターンの組合せやマイコンによる簡単なインタラクションの 導入にとどまっている.筆者らの研究グループではこれまでに,プロジェクタと光センサを搭載したデバイスによる 新しいLEDの一斉制御方式を提案した.この手法を用いることで,数百個,数千個のLEDの 動的な一斉制御が可能になる.そこで本研究ではこの新しい制御方法を実現するための小型デバイスの 設計と実装を目的とする.実装した小型デバイスは光センサ,LEDおよびマイコンを搭載しており,プロジェクタによって照射された光を 光センサが感知し,その情報に基づいてマイコンがLEDを動作させる.またデバイスは大量のデバイスを一斉に制御 する際に必要なしきい値の自動調整の機能や,光コマンドによる制御機能も実装しており,スイッチのON/OFFや しきい値調整を各デバイスに行うことなく,すべてのデバイスを一括管理することが可能となっている. さらにデバイスの評価実験,実運用を通して本提案手法と実装したデバイスの有用性を確認した.

1I-2 (時間: 14:05 - 14:30)
題名公共大画面への注視情報取得システム
著者*南竹 俊介 (筑波大学大学院 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻), 高橋 伸, 田中 二郎 (筑波大学大学院  システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻)
Pagepp. 222 - 229
Keyword大画面, カメラ, 画像解析, 顔の向き
Abstract1. はじめに  プラズマディスプレイやプロジェクタなどの大画面を公共の場に設置し,それらを用いて情報を提示する機会が増加している.公共の場での大画面とのインタラクションを行う研究も盛んに行われており,今後もこのような大画面が設置され,利用される機会は増大していくと考えられる.  しかし現在,公共の場でこれらの大画面を用いる場合,その大画面の前にいる人物の情報を取得していることは稀である.これらの大画面から,情報を提示するときやインタラクションを考える際,大画面の前にいる人物の情報を取得することは重要であり,特に大画面に表示している情報への注目状況を取得することは重要である.  ユーザの注視点を推定する研究は[1]や[2]のように眼球の動きや角膜反射などを直接撮影することによってユーザの注視点を推定する研究が行われているが,ユーザが測定デバイスを装着する必要があったり,特徴点抽出のために利用者が測定デバイスの前から大きく動けないなどといった点で問題があるといえる.本研究では大画面付近に設置されたカメラより歩行者を撮影し,取得した画像中の歩行者の顔の肌色領域を解析することにより,大画面上に表示されている情報への注目状況を取得することが可能なシステムの実装と,それを利用した大画面上の画像への注目状況を取得するアプリケーションの実装を行った. 2 システム構成  本システムでは大画面付近に歩行者を撮影するカメラを設置し,そこから取得した画像を解析することによって歩行者の注視点を推定する.カメラからの画像の取得と画像解析部に関してはOpenCVを用いて実装を行った. また,壁一面を覆うサイズの大画面への注目情報を取得しようとする場合,一つのカメラのみでは歩行者全体を撮影することは困難であるため,歩行者を撮影するためのカメラを複数設置することも可能なよう実装を行った.また,一つのカメラから取得した画像から同時に複数名の視線情報を取得することも可能である. 2.1 顔向きの推定  カメラから取得した画像から顔の位置を認識した後,顔の向きの推定を開始する.人間の鼻は一般に,顔の中央,凸部の位置に存在している.本研究ではその特徴に着目し顔の角度の推定を行う.まず,顔と鼻の位置を検出し,その位置を中心に一定サイズの矩形画像として撮影画像を切りだす.その後,肌色領域抽出のための画像処理を行い,矩形画像中に存在する最も大きな肌色領域の重心が,鼻の位置からどの程度離れているか測定し,それを顔を球体モデルにあてはめることによって角度の計測を行う.これによってユーザの顔の向きを測定する. 3. 予備実験  実装を行った顔向き推定システムの精度に関して予備実験を行った. カメラの前にいる被験者に10度おきに設置されたオブジェクトを注視してもらい, 実際の注視点とシステムの推定する注視点とのずれを計測した.  注視点を推定する際,誤差を±10 度まで許容しそれ以上をエラーとした場合,30度以内までは平均5%程度の,40度から50度までの場合は大きい時は20%程度,平均して10%程度のエラー率で注視情報が取得可能であった.また,それ以上の角度に関しては顔認識自体に失敗してしまい計測が不可能であった. 4. 大画面への注目状況取得アプリケーションの実装  先述したシステムを利用して,大画面上に表示される広告などへの注目状況を解析するアプリケーション,SignageGazerの実装を行った.大画面付近に測定用PCに接続されたカメラを設置し,測定を行いたい画像,または動画を登録し,開始ボタンをクリックしたら測定が開始される. 画面上の情報を継続して見続けた人物にはそれぞれIDが設定される.ユーザは画面を見た人物の数や, 画面上の情報が見られた時間などの情報が取得可能であり,これらの情報はグラフや表で出力される. また,ユーザはそれぞれの情報に対して閾値を設定することによって,表示する情報を歩行者の興味にあわせて動的に変更することも可能である.例えば,広告提供者は事前に複数のバージョンの広告を準備しておくことによって,現在視聴中の歩行者に対してより詳細な情報の表示を行うことや,より歩行者の興味を引きやすい広告に変更することなどが可能になり,画面を注目する人物への積極的な働きかけを行うことが可能となる. 参考文献 [1] Jason S. Babcock and Jeff B. Pelz. Building a lightweight eyetracking headgear. In ETRA ’04: Proceedings of the 2004 symposium on Eye tracking research & applications, pp. 109?114,New York, NY, USA, 2004. ACM. [2]中道上, 阪井誠, 島和之, 松本健一. 視線情報を用いたweb ユーザビリティ評価の実験的検 討. 情報処理学会研究報告, ソフトウェア工学, 第143 巻, pp. 1?8, July 2003.

1I-3 (時間: 14:30 - 14:55)
題名ユーザ応答に動的に適応するコンテンツ配信システム
著者*馬谷 達也 (立命館大学大学院理工学研究科), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 230 - 240
Keywordレコメンデーション

1I-4 (時間: 14:55 - 15:20)
題名コンテキスト情報を用いた携帯電話のアプリケーションメニューの構築と評価
著者*松本 光弘 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 清原 良三 (三菱電機(株)情報技術総合研究所), 福井 秀徳 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 沼尾 正行, 栗原 聡 (大阪大学産業科学研究所)
Pagepp. 241 - 248
Keyword携帯電話, 操作予測, クラスタリング
Abstract近年,携帯電話は高機能化し,様々な用途に利用されている.本来の用途である通話機能はもちろんのこと,カメラで静止画や動画を撮影したり,音楽を聴いたり,テレビを見ることもできる.また,スケジュール管理や文書ファイルなどの閲覧まで可能な機種も登場しており,電子マネー用のデバイス機能までが付加され,いまや情報管理における電子秘書としての重要な役割を担う.このように,さまざまな機能が付加され携帯電話の利便性が向上する一方で,その操作が複雑になっていることも事実である.機能が増加すれば,その中から必要な機能を選択する手間が増える.そのため,複雑な機能を排除し,電話やメールなど携帯電話として必要な機能を絞り込んだシニア携帯が携帯電話に精通していない60歳以上のシニア層から支持を得ている.このように携帯電話にとって操作性の向上は利便性の向上と同様に重要な問題である.機能が増加しても操作性が低下しないUIを作成する必要がある. そこで,我々はユーザの操作を予測することで煩わしい操作を軽減することを考えた.ユーザの操作を予測するには,ユーザが携帯電話をどのように利用しているかを知る必要がある.我々は位置や時刻というコンテキスト情報によって,携帯電話で利用される機能が異なることに着目した.位置や時刻によって利用される機能が異なれば,位置や時刻を特定することでユーザが利用したい機能を予測することができる. 本論文では,ユーザの所望する機能を予測することができるのか検証するために,実際にユーザの行動履歴を取得した.携帯電話での操作履歴の取得が困難であったため,被験者に携帯電話の代わりに小型PCとGPSレシーバを持ち歩いてもらい,行動履歴を取得した.約3ヶ月間実験を行い,51日分の操作履歴を取得することができた. その操作履歴の中でよく利用されていた15種類の機能に着目し,15種類の機能がどこでいつ利用されるのかを抽出した.具体的には,1つの機能に対し,似たコンテキストで利用されているものをクラスタリングすることで,その機能の利用範囲(例えば,駅周辺とか9時頃など)を特定する.その利用範囲において,利用頻度の多いものをユーザが利用したい機能とし,その頻度順にメニューを構築した.メニューの上位にユーザが利用したい機能があれば,ユーザの操作を予測できたといえる. 51日分のデータのうち,直前の14日間のデータを用いて,37日分のデータの予測を行った.提案手法を評価するために,位置と時刻を用いない利用頻度のみを用いて構築したメニューと比較した.その結果,コンテキストに依存する機能において,より良い結果を得ることができた.