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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2008)シンポジウム

セッション 3E  モバイルアプリケーションとDB(MBL)
日時: 2008年7月9日(水) 17:20 - 19:30
部屋: コスモ(1)
座長: 安本 慶一 (奈良先端大)

3E-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名FeliCaを利用したWebフォームへの個人情報自動入力ソフトの開発
著者*近藤 克彦, 宮崎 剛, 山本 富士男 (神奈川工科大学)
Pagepp. 622 - 625
KeywordFeliCa, 認証
Abstract現在パソコンが普及し,インターネットの通信速度の向上などによって,インターネットを利用する人が増えている.インターネットで各種サービスを受けようとする場合,ユーザ登録を必要とすることがある.また,商品の購入時や懸賞サイトへの応募などでも個人情報を入力することがある.登録内容は受けようとするサービスによって様々であるが,名前や住所など共通している項目がいくつかある.Webでこのような情報を入力する際,自動的に入力できると効率が良いと考える.近年ICカードが広く普及するようになり,クレジットカード会社や銀行などの金融機関はクレジットカードやキャッシュカードのIC化を急速に推し進めている.さらに今後,免許証やパスポートのIC化も計画されている.これらのことに着目し本研究では,個人情報が登録してあるICカードを利用し,ユーザ登録などの個人情報入力画面において,カードから個人情報を読み込み,自動で入力するソフトを開発する.このソフトを利用することにより,入力ミスが削減でき,パソコンに慣れていない人でも簡単に利用でき,大幅な時間短縮が期待できる.

3E-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名携帯電話を用いたWeb閲覧のためのクリック検索インタフェース
著者*小牧 大治郎, 大西 健史, 荒瀬 由紀, 原 隆浩 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻), 服部 元 (KDDI研究所), 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 626 - 633
Keyword携帯電話, Webブラウジング, Web検索
Abstract近年,携帯電話を用いたWeb閲覧は一般的なものとなっており,さらに閲覧だけでなく検索も一般的に行われるようになってきている.ただし,文字入力のインタフェースとして数字キーしか備えていない携帯電話では,検索語の入力に煩雑な操作が必要となる.筆者らの研究グループでは,ポインティングデバイスをもつ情報家電端末を対象とし,Webページ内でユーザが興味を持った語にポインタを合わせてクリックするだけで,その語に関連する情報を検索することができるクリック検索方式を提案している.しかし,ポインティングデバイスとして方向キーしか備えていない携帯電話では,興味を持った語に正確にポインタを合わせるために煩雑な操作が必要となる.そこで本研究では,携帯電話上で快適にクリック検索を実現することを目的として,クリック検索インタフェースの設計と実装を行った.円による領域で検索語を指定することで,ユーザはキーを押し続ける長さを変化させるだけで,方向キーしか持たないクリック検索方式を利用することができる.

3E-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名携帯端末間における自律的ブックマーク交換と状況による整理
著者*伊東 寛修, 高田 秀志 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 634 - 640
Keywordbluetooth, ブックマーク, PDA
Abstract近年,携帯電話やパソコン等の情報端末が普及し,人々はこれらの情報端末を用いて情報を集めたり伝えたりしている.しかし,いつでも気軽に情報を扱えるようになったかわりに,その情報を扱っている端末のユーザ以外の人々に情報が伝わらなくなってきている.例えば,e-mailなど個人用端末同士の通信では,通信をしている人同士でしか情報を共有することができず,それが有益な情報であったとしても,通信をしている人同士以外はその情報を得ることができない. 一方で,井戸端会議のような公共の場での世間話では,話している当人同士はもちろんのこと,話している声が聞こえる範囲にいる人も話の内容から有益な情報を得ることができる可能性がある.これは,このような公的な場での会話は,多くの人にとって「聞こえる」といった受動的なものだからである.これに対して,情報端末を用いてインターネット上の掲示板やblogなどで情報を得ようとする場合,「探す」「見る」といった能動的な働きかけが必要になる.これらの情報機器を扱う上で個人情報をはじめとした情報の保護は必須であり,必要以上の情報が不特定多数の人の目に触れることは避けなければならない.しかし,様々な個人用機器やユビキタス環境が進歩しているなか,情報をただ保護するだけでは,個人間の能動的な働きかけがなければ情報は流通せず,多くの人が有益な情報を取得する機会を逃しているのではないだろうか. 我々は,様々な情報機器間の情報を積極的に流通させることを目的として,「街角メモリ」という環境を構築している.「街角メモリ」は,前述の個人用端末や社会インフラとしての情報機器などを利用し,ユーザに特に意識させることなく有益な情報を提供することを目的とする.情報機器に保存されている様々な情報の1つにブックマークがある.ブックマークはユーザ一人一人が自分にとって役に立つ情報にアクセスしやすくするために登録しているものである.このようなブックマークを日常的に出会っている人々と交換することによって,日常生活の中で役に立つ新しい情報をユーザに提供することができるのではないかと考えている. 本稿では,個人用端末としてPDAを用い,PDAがブックマークを自律的に交換し,受信したブックマークをユーザの状況によって整理する手法を提案する.本手法では,ブックマーク内にあらかじめ役割が決められているフォルダとして,「公開ブックマーク」フォルダと「受信ブックマーク」フォルダを用意する.PDAは通信可能距離が約10メートルのBluetoothを用いて,同じ状況にいるユーザのPDAを検出する.ここで,同じ状況とは,一度検出してから一定時間以上(今回の実装では3分)通信可能な状態を維持すれば,PDAのユーザ同士はすれ違っているのではなく,同じ状況にいると考える.同じ状況にいるユーザのPDAを確認したら,Bluetooth通信により「公開ブックマーク」フォルダ内のブックマークを送信する.また,受信時にはPDAが予定表などからユーザの状況を取得し,取得した状況ごとに「受信ブックマーク」フォルダ内に登録する.このように,本手法では端末のユーザが意図的に発信しなければ伝わることのなかった情報を,端末が自律的に交換することによって多くのユーザ間での情報流通を促す.また,交換したブックマークをユーザの状況によって整理することで,状況に関連した情報を発見しやすくする.これにより,能動的な働きかけをしなければ発見できなかった情報を提供する. さらに,提案手法を用いたプロトタイプシステムを実装し,評価実験を行った.開発はWindows Vista上でVisualC#を用いて行い,実装にはHewlett-Packard社のiPAQシリーズを用いた.実験では,被験者10名に4日間PDAを持ち歩いてもらった.その中で交換されたブックマークについて,「ブックマークの内容が状況にあっていたかどうか」と「ブックマークが役に立ったかどうか」について,アンケートを行った.このアンケートの結果,「状況にあっていて,役に立った」という回答と「状況にあっておらず、役にも立たなかった」という回答の割合が多かった.このことから,ブックマークをユーザの状況によって整理することは有効ではないかという考察に至った. 今後の課題として,次のようなことが考えられる.ユーザによっては予定表から取得した状況がとても少なかったので,他の状況取得の方法を組み合わせ,状況をより確実に取得できるようにする必要がある.また,状況に整理されたブックマークは受信した順番に並ぶだけなので,ユーザにとって役立つ情報を推薦する方法を考案する必要がある.

3E-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名装着型センサを用いた経路推薦機構をもつナビゲーションシステムの開発
著者*片山 拓也, 中宮 正樹, 山下 雅史, 村尾 和哉, 田中 宏平 (大阪大学大学院情報科学研究科), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科), 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 641 - 649
Keyword経路推薦, ナビゲーションシステム, イベント空間
Abstract近年,街中や公園におけるスタンプラリーやアミューズメントスポットにおけるアトラクション巡回など,イベント空間内に設置されたポイントを回る,ポイント巡回型のサービスがさまざまな場所で提供されている.これらのイベント空間では,参加者の多くは「遠回りはしたくない」,「自分が体験したいアトラクションを効率よく回りたい」といった意志をもって行動している.一方,これらのイベントを参加者の意志のみに任せて運営すると,特定の経路およびアトラクションの混雑や,ラリーの早期終了および遅延など,イベント主催者にとっての問題が発生する.そこで本研究では,参加者の行動を部分的に制御できる環境を想定し,「一定の時間内でラリーを終わらせたい」,「効率よくポイントを回らせてイベントの完遂者を増やしたい」,「特定のアトラクションへの人の集中を回避させて待ち時間を減らしたい」といったイベント主催者の意図を考慮した経路推薦機構をもつナビゲーションシステムの実現を目的とする.構築したシステムを実運用した結果,提案システムによって参加者はイベント主催者の目的に沿って行動していることを確認した.また,装着型センサを用いて参加者の状況をリアルタイムに取得することでシステムがより有効に動作することを確認した.

3E-5 (時間: 19:00 - 19:25)
題名組込み用データベースにおける二段階検索方式の提案
著者*氏家 純也, 水口 武尚, 大塚 義浩, 田中 功一 (三菱電機)
Pagepp. 650 - 657
Keyword組込み機器, 携帯端末, データベース, 検索
Abstract PDAや高機能携帯電話などで取扱うコンテンツは肥大化の傾向が強く,円滑な管理を目的にDBMS(Database Management System)を用いてコンテンツを管理するケースが増加している.一方,ユーザ操作に対する応答時間が重要視されている.それゆえ,機器上で動作するDBMSに対しても応答性能の向上が求められており,内部的にはDBMS単体の応答性能のみならず,ユーザから見た応答性能,すなわちアプリケーションと組み合わせた場合の応答性能の向上が重要となる.  組込み機器の多くはLCDなど表示サイズが小さいため,コンテンツの一覧などの表示は複数のページに分割され,ユーザ操作により表示するページを変更するといったユースケースが考えられる.アプリケーションの応答性能を向上させるためには,DBMSが「最初の画面」に表示すべき内容を高速に提供する必要がある.また,複数のページに分割された表示内容をユーザが確認する場合,「次のページ」,「前のページ」といった単純なページ移動に限らず,たとえば「10ページ先」,「最終ページ」のようなものにも対応することが望ましい.しかし,このような動作を実現するためには,アプリケーションからDBMSに対して事前に検索要求を発行してヒット件数などを取得する必要があり,結果としてユーザに対する応答時間が長くなってしまうと言う問題がある.  本報告では,上記の問題を解決する検索方式として,アプリケーションから発行された検索要求を二段階にわけて解決することを提案する.この方式ではまず,条件を満たすレコードのプライマリキーのみの取得しヒット件数(条件を満たすレコードの数)を数え上げる(第一段階).また取得したプライマリキーを用いて,アプリケーションが発行した検索要求にある取得対象カラムの値をDBMSから取得する処理を繰り返す(第二段階).  本報告では,提案方式を組込み機器に実装し評価も行った.実装では,検索処理をアプリケーションとは別のスレッドで動作させ,第二段階の実行中にアプリケーションから特定の行番号について検索結果取得の指示を受けると,その指示を優先してDBMSから検索結果を取得するように構成した.このように動作させることで,アプリケーションから1つの検索要求を発行するだけで,ヒット件数の数え上げが完了した時点から,任意の行番号の検索結果を取得可能となるため,ユーザ操作に対する応答性能の向上が期待できる.