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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2008)シンポジウム

セッション 4G  P2Pネットワーク(IOT)
日時: 2008年7月10日(木) 8:30 - 10:10
部屋: ぽぷら
座長: 峰野 博史 (静岡大学)

4G-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名P2Pシステムにおける実ネットワークトポロジを考慮したオーバレイネットワークトポロジ構築に関する一考察
著者*藤樫 淳平, 池部 実, 洞井 晋一, 藤川 和利 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科)
Pagepp. 925 - 931
Keywordインターネット, P2P, オーバレイネットワーク, ネットワークトポロジ, ISP
Abstract近年P2P方式で通信を行うサービスが注目を集めている.P2P方式はサーバ/クライアント方式に比べて単一障害点に強く耐障害性に優れており,論理的なネットワークによって柔軟なサービスを提供できる.その反面,実ネットワークのトポロジを無視してトポロジを構築するため,ISP間に余分なトラフィックが発生するという問題があり,ISPのインターネット中継リンクなどの回線を消費することになる. 本研究の目的は,P2Pシステムが実ネットワークトポロジを無視してオーバレイネットワークトポロジを構築することで発生する,ISP間の余分なトラフィックを抑制することである.本論文では,世界で最も普及しているP2Pファイル共有システムの一つであるBitTorrentを対象として,Autonomous Systemの接続情報を利用した隣接ピアの選択法について議論し,実現に向けて解決すべき問題を述べる.

4G-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名DTN環境を想定したトポロジ変化に強いメッセージルーティング
著者*落合 秀也, 江崎 浩 (東京大学)
Pagepp. 932 - 943
KeywordDelay Tolerant Network, Potential-Based Routing, 自律分散
AbstractDelay (or Disruption) Tolerant Networks(DTN)の技術は,無線に代表される通信回線が不安定なネットワークで効率よくメッセージを配送する技術として有望視されている.ただ,DTNの想定する環境ではネットワークが物理的に切断されるなどのため,全体で同期を取ることが難しく,従来のルーティング方式では期待通りにメッセージを配送することができない.本研究では,ネットワーク全体で同期を取ることなく近隣ノードとの相対的な関係だけでメッセージ配送を行うPotential-Based Routing(PBR)をDTN環境に適用し,トポロジ変化に強いルーティング手法,Topology Change Tolerant Routing(TCTR)を提案する.本研究では,プロトタイプシステムおよびTCTRシミュレータを開発した.プロトタイプシステムを使ってTCTRが実装可能であることを確認すると共に,シミュレータを使い100台規模のノードが行動する状況において,メッセージの配送時間,転送総量,メッセージプールサイズの評価を行った.

4G-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名社会ネットワークを用いたP2Pネットワークにおけるデータ保存方式の提案
著者*安藤 公彦, 水田 祥泰 (東京農工大学 工学府 寺田研究室), 大島 浩太, 寺田 松昭 (東京農工大学 共生科学技術研究院)
Pagepp. 944 - 951
KeywordP2P, 社会ネットワーク, アクセス制御
AbstractPeer to Peerネットワークには悪意ある利用者が容易に利用できることから,違法ファイルの交換やウィルス感染,情報漏洩といった社会問題がある.これまでに我々は,リンク構造に社会ネットワークを適用することでアクセス制御を行うP2Pネットワークを提案し,特定のノードのみへの情報送信,信頼性の低いノードとの中継も含めた通信拒否により安全性の向上に成功した.安全性は確保されたが,従来のP2P同様,ユーザの接続状況に依存するため利用範囲が限定的で,社会情報インフラへの適用が難しかった.そこで本論文では,離脱ノードの情報を利用できないという課題に対し,アクセス制御情報も含めた離脱ノードの保有するデータを知人ノードに複製し,知人ノードがこのデータを元にアクセス制御を行う方式を提案する.これにより,知人ノードがP2Pネットワーク上に存在すれば離脱したノードの情報の取得,更新が,アクセス制御を伴ったまま実現できる.また,知人数の平方根の数だけに配置する平方根配置を,複製の配置に適用することで,すべての知人に複製を配置する方式と比べ,少ない情報量で効果的に実現できることを,シミュレーションにより示した.

4G-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名気象センサ障害検知システムの網羅性及び利便性の検証と評価
著者*山内 正人 (慶應義塾大学 メディアデザイン研究科), 洞井 晋一, 松浦 知史, 藤川 和利 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学 メディアデザイン研究科)
Pagepp. 952 - 958
Keyword障害検知, センサネットワーク, 運用
Abstractセンサ技術の進歩や普及、ネットワーク環境の整備によって広域気象センサネットワークが構築されつつある。 広域気象センサネットワークでは負荷分散や冗長性を考慮すると共に、センサデータの信頼性確保を行う必要がある。 負荷分散や冗長性を実現し、センサデータを共有する方法としてP2Pを用いた方法がある。 また、センサデータの信頼性を確保するには障害検知を行う必要がある。 そこで、筆者らはP2Pネットワーク上にセンサデータの信頼性確保が可能な障害検知基盤を提案した。 提案基盤では、比較基準の導入、センサのグルーピング、を行うことでデータが分散している場合でも 全体の信頼性基準の整合性を統一、適切な信頼性の確保が可能となった。 障害検知を行う際に、各地域に最適な閾値などのパラメータ設定や障害検知手法を適用することが重要となる。 最適な設定値や障害検知手法を適用するには気象学の知識を用いることが考えられる。 また、各地域に異なるパラメータや障害検知手法を適用するため、容易に適用可能である必要がある。 しかし、提案基盤では障害検知手法やパラメータがシステムに組み込まれている。 そのため、障害検知手法やパラメータを適用するにはプログラミングなどの特別な技術が必要となる。 そこで、一般の気象学者でも容易に設定、適用可能にするためパラメータや障害検知手法をモジュール化して 適用可能とした。しかし、モジュール化すると柔軟性が低下し、障害検知手法が適用できなくなる可能性がある。 そこで、本研究ではモジュール化による障害検知手法の利便性向上と適用できる障害検知手法の網羅性について検証を行う。 実験の結果、利便性の向上とモジュール化による柔軟性の低下が障害検知手法に影響がないことを確認した。