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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2008)シンポジウム

セッション 5D  車載端末と車車間通信(ITS)
日時: 2008年7月10日(木) 10:20 - 12:00
部屋: ペガサス
座長: 屋代 智之 (千葉工業大学)

5D-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名ユビキタスITSにおける利便性向上に向けた端末間連携方式
著者*今井 尚樹, 井戸上 彰 (株式会社KDDI研究所)
Pagepp. 1081 - 1088
KeywordITS, 車内ネットワーク, 携帯電話
Abstract身の回りに多くのネットワーク端末が存在するユビキタス通信環境では,人と車をシームレスに接続することで快適・便利なITS社会を実現することが期待されている.例えば,タクシー等の車内に乗り込むユーザがアプリケーションを実行する場合,携帯電話の画面よりも後部座席のモニタを利用することで,より満足度の高いアプリケーション実行環境とすることが可能となる.本稿では,ユーザが持ち込む端末群と車内の端末群を動的に融合・分離させるためのシステムを述べ,プロトタイプの実装と性能評価について報告する.加えて,提案システムを用いたアプリケーション例についても示す.

5D-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名車車間通信を利用した信号機制御手法の評価
著者*桐村 昌行 (三菱電機株式会社情報技術総合研究所), 梅津 高朗, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1089 - 1096
Keyword信号機制御, 車車間通信, アドホックネットワーク
Abstract現在,全国の交通渋滞による経済損失は12兆円以上ともいわれており,一般道路での渋滞の一因として交差点で の信号待ちが挙げられている.その一方で,渋滞時におけるアイドリングによる二酸化炭素排出問題も指摘され ている.これらの交差点における渋滞問題の解決策としてさまざまな信号機制御方式が運用されている. 代表的な信号機制御方式として,プログラム選択制御方式やプログラム生成制御方式などの中央感応制御方式や ,プロファイル信号制御方式などがあり,総遅れ時間の短縮だけでなく交通事故の削減にも大きく貢献している .ただし,これらの信号制御方式は超音波車両感知器や光学式車両感知器などの路側固定センサーによる交通状 況把握を行っており,感知器未設置区間の交通状況の把握が困難である.設置区間を短くすることで交通状況の 把握を密にすることも考えられるが,固定センサーを大量に設置するには莫大なコストが必要となり,現実的で はない.そのため,あらゆる場所や状況に適した信号制御を行うことが困難である. 一方,車車間通信を利用したさまざまなアプリケーションが研究開発されているが,すべての車両に対応車載機 器を搭載することを前提としているサービスが多く,サービス黎明期において車載機器購入者がそのメリットを 享受できない状況となり,販売数の鈍化につながる可能性が高い.そのため,車載機器購入者が即座にそのサー ビスのメリットを享受でき,かつ,非購入者にもある程度のメリットが得られるサービスモデルが望ましい. そこで本稿では,すべての車両が利用する信号機に注目し,モバイルアドホック通信によって伝播させた車両情 報を利用した効率的なリアルタイム信号機制御手法を提案する.提案手法では複数の車両のブロードキャストに よって伝播した車両情報に応じてスプリットの配分やサイクル長の調整を行うことを特長としている.また,車 両感知器未設置区間における車両状況把握や,前方だけでなく後方や直交方向の信号機に車両情報を伝播するこ とにより交通状況に合った信号制御を実現している.そのため,車両状況に即したリアルタイムな信号制御を行 うことができるだけでなく,路側車両感知器の設置場所に依存しないため,感知器未設置区間における交通状況 の把握や,スキー場周辺や祭りなどの突発的な渋滞に対処した効率のよい信号制御を行うことが期待できる.ま た,対応車載機器購入者は交差点の交通円滑化に貢献し,そのメリットを最大限享受することが可能であり,非 購入者にとっても少なからず通行の円滑化を享受することが期待できる. 提案手法では車両情報伝播方式として, 〜以伝播方式, 後方伝播方式, D掌鯏素妬式, の拈楔鮑硬栖崚 播方式を提案する.前方伝播方式とは,車両の進行方向に位置する信号機を制御するための手法であり,信号機 間を走行する車両の車両情報を受信することで,それぞれの速度や位置情報などから信号機間のオフセットを計 算することでより最適なスプリットを算出することが期待できる.また,公共車両優先システムPTPSのようにあ る特定の車両の通行を円滑にするサービスへの応用が期待できる.後方伝播方式とは,車両の走行方向と逆方向 に位置する信号機あるいは通過した信号機を制御するための手法であり,冗長な有効青時間の縮小を目的とする .直交伝播方式とは,車両の走行方向と直交する車線に位置する信号機を制御するための手法であり,無信号交 差点における渋滞の解消を目的とする.隣接交差点間伝播方式とは,隣接する交差点間の信号機同士で信号機の 制御情報をその信号機間に存在する車両の車車間通信により送受信を行う系統制御手法である. また,車両情報および信号機情報のブロードキャストには我々研究グループが開発したブロードキャストプロト コルCRCPを利用する.CRCPは,自車がある一定期間受信したパケット数と検知したパケット衝突数の比率から自 車周辺のパケット衝突率および帯域利用率の推定をおこなう.そして,その推定値を元にデータ受信量が最大に なるようパケット送信間隔を調整する. なお,提案手法の有効性を示すため、シミュレーション評価のための車載機器および信号制御器の設計および通 信プロトコルの設計を行った.本稿ではシミュレーション結果として車両密度や対応車載器の普及率やブロード キャスト電波範囲の大きさなどによる総旅行時間の変化について検証を行う.

5D-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名車車間ルーティングプロトコルによる車両と基地局との通信プラットフォームの提案
著者*孫 為華 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 山口 弘純 (大阪大学大学院情報科学研究科), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科)
Pagepp. 1097 - 1104
Keyword車車間通信, 狭域通信, VICS
AbstractカーナビのVICS 受信装置などの狭域通信機は通信帯域が狭く,通信距離も短いため,一度に送受信できるデータの容量が極めて小さい.本研究では,車車間通信を利用して,路側に設置されたVICS ビーコン送信機などの固定基地局の付近で通信ネットワークを形成し,データの相互補完により基地局の送信データ容量を向上させる手法を提案する.基地局を中心とする数ホップの区域内で,ノードが自律的にネットワークを形成し,データを受信した複数のノードが一定区域内でデータを散布することで,区域内の全ノードに大きいデータを短時間に散布させることが可能となる.これにより,各車両が固定基地局と通信する際の通信量を軽減しながらより多くのノードに一貫性のあるデータを配信することを目指す.

5D-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名転送リストを用いた高効率・低負荷フラッディング方式の提案
著者*長谷川 淳, 板谷 聡子, 近藤 良久, デイビス ピーター (ATR 適応コミュニケーション研究所), 榊原 勝己 (岡山県立大学), 鈴木 龍太郎, 小花 貞夫 (ATR 適応コミュニケーション研究所)
Pagepp. 1105 - 1112
Keywordアドホックネットワーク, フラッディング
Abstract車車間通信のような自律分散ネットワークにおいて1対多の通信を行う場合,一般にフラッディングが検討されるが,通常の方式では全受信端末が転送を行うため,ネットワーク内の総パケット数が急激に増加する問題がある.本稿では,送信時に受信パケットの統計情報から中継端末を指定することにより,無駄な転送を削減する方式を提案し,端末50台の固定環境において,全端末が転送を行う従来方式で90%以上あったパケット損失率を20%以下に低減できることを計算機シミュレーションおよび実験により示す.この性能はフラッディング転送の効率化で代表的な既存方式とほぼ同等の性能であるが,その方式と比べ,端末負荷で優位性があり,かつ端末の移動がある環境においても,提案方式のパケット損失率が20\%以下を保つことが可能であることを示す.