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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2008)シンポジウム
プログラム

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セッション表

表内のセッション名はそのセッション情報にリンクしています.

2008年7月9日(水)

ABCDEFGHIJK




WS (コスモ(1))
併設ワークショップ(放送コンピューティング)

9:15 - 11:45






開会式 (ビューホール)
13:00 - 13:25
1A (ポラリス)
コンピュータウィルス検知技術(CSEC)

13:40 - 15:20
1B (ベガ)
電子メール・コミュニケーション基礎(GN)

13:40 - 15:20
1C (シリウス)
モバイルネットワーク(MBL)

13:40 - 15:20
1D (ペガサス)
無線LAN(DPS)

13:40 - 15:20
1E (コスモ(1))
センサーネット(1)(MBL)

13:40 - 15:20
1F (コスモ(2))
分散処理(DPS)

13:40 - 15:20

1H (ビューホール(1))
ユビキタスセキュリティ(UBI)

13:40 - 15:20
1I (ビューホール(2))
ユビキタス情報提示(UBI)

13:40 - 15:20

KS (会議室前ホール)
企業展示

13:40 - 19:30
2A (ポラリス)
認証(CSEC)

15:30 - 17:10
2B (ベガ)
協調作業(GN)

15:30 - 17:10
2C (シリウス)
QOSとPAN(MBL)

15:30 - 17:10
2D (ペガサス)
ネットワークプロトコル(1)(DPS)

15:30 - 17:10
2E (コスモ(1))
センサーネット(2)(MBL)

15:30 - 17:10
2F (コスモ(2))
P2P(1)(DPS)

15:30 - 17:10

2H (ビューホール(1))
ユビキタスアクセス制御(UBI)

15:30 - 17:10
2I (ビューホール(2))
位置情報応用(UBI)

15:30 - 17:10

3A (ポラリス)
暗号・実装(CSEC)

17:20 - 19:30
3B (ベガ)
教育(GN)

17:20 - 19:30
3C (シリウス)
社会システム(EIP)

17:20 - 19:30
3D (ペガサス)
ネットワークプロトコル(2)(DPS)

17:20 - 19:30
3E (コスモ(1))
モバイルアプリケーションとDB(MBL)

17:20 - 19:30
3F (コスモ(2))
P2P(2)(DPS)

17:20 - 19:30

3H (ビューホール(1))
トラフィック解析(IOT)

17:20 - 19:30
3I (ビューホール(2))
位置推定(UBI)

17:20 - 19:30

夕食 (大広間・鴻飛)
19:30 - 21:30



2008年7月10日(木)

ABCDEFGHIJK
朝食 (レストラン・グランシャリオ)
7:00 - 9:00
4A (ポラリス)
アクセス制御(1)(CSEC)

8:30 - 10:10
4B (ベガ)
Webサービス(GN)

8:30 - 10:10
4C (シリウス)
モバイル端末と遠隔教育(MBL)

8:30 - 10:10
4D (ペガサス)
位置情報(ITS)

8:30 - 10:10
4E (コスモ(1))
アドホックネットワーク(1)(MBL)

8:30 - 10:10
4F (コスモ(2))
マルチメディア(1)(DPS)

8:30 - 10:10
4G (ぽぷら)
P2Pネットワーク(IOT)

8:30 - 10:10

4I (ビューホール(2))
ユビキタスプラットフォーム(1)(UBI)

8:30 - 10:10

KS (会議室前ホール)
企業展示

8:30 - 19:20
5A (ポラリス)
アクセス制御(2)(CSEC)

10:20 - 12:00
5B (ベガ)
Web DB(GN)

10:20 - 12:00
5C (シリウス)
位置推定(MBL)

10:20 - 12:00
5D (ペガサス)
車載端末と車車間通信(ITS)

10:20 - 12:00
5E (コスモ(1))
アドホックネットワーク(2)(MBL)

10:20 - 12:00
5F (コスモ(2))
マルチメディア(2)(DPS)

10:20 - 12:00
5G (ぽぷら)
管理ツール(IOT)

10:20 - 12:00

5I (ビューホール(2))
ユビキタスプラットフォーム(2)(UBI)

10:20 - 12:00

昼食(各セッション会場),アウトドアセッション (定山源泉温泉公園−二見公園散策)
12:00 - 13:50
6A (ポラリス)
ネットワーク・セキュリティ(CSEC)

13:50 - 16:00
6B (ベガ)
チャット・掲示板(GN)

13:50 - 16:00
6C (シリウス)
グループホーム・センサ活用(GN)

13:50 - 16:00
6D (ペガサス)
放送コンピューティング(BCC)

13:50 - 16:00
6E (コスモ(1))
アドホックネットワーク経路構築(MBL)

13:50 - 16:00
6F (コスモ(2))
遠隔教育とWeb応用(DPS)

13:50 - 16:00
6G (ぽぷら)
分散システム(IOT)

13:50 - 16:00

6I (ビューホール(2))
コンテクストアウェアネス(UBI)

13:50 - 16:00








SP (ビューホール(1),(2))
招待講演

16:30 - 17:50










DS (ビューホール(3))
デモセッション

17:50 - 19:20
夕食 (大広間・鴻飛)
19:20 - 20:40







NS (ビューホール(1),(2))
ナイトテクニカルセッション
21:30 - 23:00





2008年7月11日(金)

ABCDEFGHIJK
朝食 (レストラン・グランシャリオ)
7:00 - 9:00
7A (ポラリス)
セキュリティ管理(CSEC)

8:30 - 10:10
7B (ベガ)
SNS(GN)

8:30 - 10:10
7C (シリウス)
MobileIPと光通信(MBL)

8:30 - 10:10
7D (ペガサス)
シミュレーションと交通予測(ITS)

8:30 - 10:10
7E (コスモ(1))
アドホックネットワークセキュリティ(MBL)

8:30 - 10:10
7F (コスモ(2))
ナビゲーション(DPS)

8:30 - 10:10

7H (ビューホール(1))
情報家電(UBI)

8:30 - 10:10
7I (ビューホール(2))
情報センシング(1)(UBI)

8:30 - 10:10


8A (ポラリス)
コンピュータ・セキュリティ(CSEC)

10:20 - 12:00
8B (ベガ)
Webナビゲーション・嗜好活用(GN)

10:20 - 12:00
8C (シリウス)
システム管理(DPS)

10:20 - 12:00
8D (ペガサス)
ナビゲーションと情報提示(ITS)

10:20 - 12:00
8E (コスモ(1))
アドホックネットワーク応用(MBL)

10:20 - 12:00
8F (コスモ(2))
グリッド(DPS)

10:20 - 12:00

8H (ビューホール(1))
ユビキタス応用(UBI)

10:20 - 12:00
8I (ビューホール(2))
情報センシング(2)(UBI)

10:20 - 12:00


昼食 (各セッション会場)
12:00 - 13:00
閉会式 (ビューホール)
13:10 - 14:10



論文一覧

(「*」印は講演予定者を表す)

2008年7月9日(水)

セッション 1A  コンピュータウィルス検知技術(CSEC)
日時: 2008年7月9日(水) 13:40 - 15:20
部屋: ポラリス
座長: 勝野 恭治 (日本IBM)

1A-1 (時間: 13:40 - 14:05)
題名コールグラフと制御フロー解析によるマルウェアの静的解析と分類
著者*岩本 一樹 (日本コンピュータセキュリティリサーチ), 和崎 克己 (信州大学大学院工学系研究科)
Pagepp. 1 - 14
Keywordコンピュータウイルス, マルウェア, 静的解析, 分類, 亜種
Abstract 本研究では,コールグラフとプログラム中の制御フロー解析を組み合わせ,マルウェアを精度良く静的に分類する手法について提案する.本手法の特徴は,マルウェア作成者側による,わずかな改変では検出を回避できない点が挙げられる.  今日,マルウェアは利益目的で作成され大量の亜種が存在する.それらの亜種はアンチウイルスプログラムによる検出を避けるために,わずかに改変されている.その検出を避けるための改変は容易であり,安価で亜種を作ることができる.一般的なマルウェアの検出方法としてパターンマッチ法がある.パターンマッチ法では検査対象となるプログラムにバイト列が含まれているか調べるだけであり,この方法では既存のマルウェアしか発見できない.パターンマッチ法ではマルウェアの解析を行い,そのパターンを作成した者がマルウェアを分類して名前を決定する.解析者の経験に基づいて分類を行うので,誤って分類されることもある.  一方,未知のコンピュータウイルスを検出する方法としてヒューリスティック法がある.ヒューリスティック法では検査対象となるプログラムのコードを分析することで未知のコンピュータウイルスの検出が可能である.しかしヒューリスティック法では誤認という問題がある.またアンチウイルスプログラムのヒューリスティック法では分類まではできない.  プログラム解析の手法は,動的解析と静的解析の大きく2つに分類される.まず,プログラムの実行時の動作からマルウェアを検出する方法(動的解析)がある.この方法の問題点は,検査対象のプログラムがマルウェアとして動作するまで検出ができないことである.  他方,プログラムの構造からマルウェアを検出する方法(静的解析)の研究が近年盛んに行われている.静的解析で用いられる方法の1つに,プログラムのコードに対して制御フロー解析を行い,プログラムのコードをグラフ化して比較を行う方法がある.しかしマルウェア全体を制御フロー解析すると巨大なグラフになってしまう.グラフを分割するなど,どのように工夫してグラフの比較を行うかがポイントとなる.  本研究は,マルウェアの検体コードに対して,コールグラフと制御フローの解析に基づいて,多少のコード改変に対する耐性を有しながら,かつ精度良く亜種分類する手法について提案している.実行可能プログラムの構造やコード列の解析に基づく静的解析時に問題となる点として,上位言語での実装は同一であったとしても,コード生成時のコンパイラの最適化設定変更や,異なるコンパイラを利用すること等で,動作が同一のマルウェアであっても異なるコードが生成されており,それらを検出できなかったり分類を誤ってしまうことが挙げられる.このようなコードの違いにも対応できる方法を考える.また静的解析ではマルウェアとは関係ない正常なコードを多く付加することで,プログラム全体のうちのマルウェアのコードの比率を下げて検出を回避する方法がある.これに関しても検討を行う.  具体的にはプログラムを逆アセンブルし,コード内のAPI呼び出しや制御フローを静的解析することで特徴を抽出し,マルウェアの検出と分類を行う.また特徴の共通部分グラフを比較することからもマルウェアの検出と分類を試る.API呼び出しを抽出する方法では,逆アセンブルした結果をコールグラフに沿って解析し,呼び出されているAPIを抽出する.抽出したAPIの並びを1つの配列とみなし,各々のプログラムから求めたこの配列を比較する.結果として各プログラムの違いを数値化することに成功した.  制御フロー解析の結果は巨大なグラフとなるため,単純な比較はできない.従って,各プログラムの関数を1つの単位として関数内部の制御フローが完全に一致するか否かを比較する.一致した関数の比率から各プログラムが一致する割合を求めることができる.制御フロー解析の結果からあるAPIが呼び出されたときに,次に呼び出される可能性のあるAPIを求めてグラフ化した.このグラフの一致するエッジの割合を求めることで各プログラムが一致する割合を求めることができる.またコールグラフと制御フロー解析を組み合わせることでマルウェアが正常に実行された場合のフローを推測し,その実行によって呼び出されるAPIを抽出することでマルウェアの検出と分類が行えるか検討した.  実際のマルウェア検体を対象として,本手法の有効性を確認するための亜種分類試行実験を行った.実験の結果からはAPI呼び出しや制御フローから特徴を抽出し分類することは可能であった.マルウェアの分類ができることで,新たに作られたマルウェアがどの既知のマルウェアに似ているかわかる.それによって機能を推定したり,また解析者が解析を行う上での手がかりとなる.新しいマルウェアの解析にどの解析者を割り当てるのか,また解析を進める方針が早い段階でわかることは,大量の亜種が作られる今日のマルウェア対策にとって大変有用である.

1A-2 (時間: 14:05 - 14:30)
題名セキュリティ検査/対策と連動したPC持出し管理システムの提案
著者*原田 道明, 植田 武, 撫中 達司 (三菱電機株式会社 情報技術総合研究所)
Pagepp. 15 - 18
Keyword企業情報セキュリティ, 計算機管理技術
Abstract機密情報の不適切な持出しによる情報漏洩を防ぐため,多くの組織が機密持出し管理の強化を図っている. しかしながら,多量のデータやソフトウェアを格納したノートPCの持出しでは,データ暗号化や不要文書の削除,ウイルス対策など多岐にわたるリスク対策が必要となり,人手の作業によるルールの徹底が難しくなっている. 本稿では,エンドユーザの利便性向上と対策漏れの防止を目的として,ノートPC等の持出し/返却時に際したリスク対策状況の検査および対策の自動化機能を備えたPC持出し管理システムを試作した. 本稿では,PC持出し管理のシステム化における要件を整理するとともに,本システムの構成・特長を紹介する.

1A-3 (時間: 14:30 - 14:55)
題名ボット攻撃における加害者PCおよび指令サーバの探索
著者*竹森 敬祐, 藤長 昌彦, 佐山 俊哉 (KDDI研究所), 西垣 正勝 (静岡大学)
Pagepp. 19 - 26
KeywordIP探索, アプリケーション探索, ボット, 踏み台, 指令サーバ
Abstract1. 背景 ボット感染PCを踏み台にしたスパムメールやDoS攻撃の送信に対する脅威が高まっている. ボットは,正規の通信プロトコルによる攻撃やコードを頻繁に更新することでIDSやAVで検知し難い問題や,PCに直接的な被害を及ぼさないことでユーザが放置してしまう問題がある.また,指令者,指令を中継するサーバ,指令に従って攻撃する加害者PCなど,役割分担が異なる通信アプリケーションで制御されることで,指令サーバや指令者の特定が困難な問題がある. 2. 提案 そこで本研究では,(i)自身が加害者であることを自己認識する手法,(ii)指令サーバを探索する手法を提案する.この被害者⇒加害者⇒指令サーバを探索するシステム構成を図1に示す. 2.1. 被害者IP/FQDN配信型の加害者探索 攻撃を受けた被害者PCから,攻撃時刻と被害者のIP/FQDNをセンタ局に登録しておき,これを各PCがダウンロードして,自身の通信記録と照合することで踏み台になっていることを自己認識する,ホスト型の加害者PC探索方式を提案する.配信されるIP/FQDNは,IDSやAVのパターンファイルと同じ役割を果たす.図2に,被害者PCのIP/FQDN登録インタフェース(IF)を示す.併せてProtocol,Port,時刻情報も申告することで,加害者PCを絞り込む. 2.2. 指令サーバの探索 加害者PCは,攻撃時刻を参考に,自身の通信先IP/FQDNと通信プロセスをセンタ局に報告する.センタ局では,各地の加害者PCからの報告に共通して現れるIP/FQDNを指令サーバと判定する.その際,信頼できるサーバのIP/FQDN,攻撃用の通信Portを除外する. 図1に示した加害者PCの通信監視部が,ボットの通信状況をモニタした様子を図3に示す.不審な通信アプリケーション(Module)として,^21.tmp.exeがport 25と80への通信を,nbin.exeとEventLogger.exeがport 80への通信を行っている.通信アプリケーションを跨る場合でも,指令サーバを探索できるようになる. 3. おわりに 本研究では,被害者IP/FQDNを配信することで,自身が加害者になっていることを認知できる,クレームドリブンな感染PCの探索方式を提案した.また,加害者の通信情報の提供を促すことで,ボットの通信アプリケーションが変化する場合においても,指令サーバを特定できる探索方式を提案した.これらにより,ボット感染PCが放置され続ける問題,アプリケーションを跨る困難な探索の解決が期待される.

1A-4 (時間: 14:55 - 15:20)
題名ディジタルフォレンジックのための視覚化によるワームの感染経路特定手法
著者*稲場 太郎, 芝口 誠仁, 川口 信隆 (慶應義塾大学大学院理工学研究科), 重野 寛, 岡田 謙一 (慶應義塾大学理工学部)
Pagepp. 27 - 34
Keywordワーム, 感染経路, 視覚化
Abstract 近年,ネットワークワームによる被害が多数報告されてきた.これに対し,脆弱性の補強や事後の法的手段,すなわちディジタルフォレンジックのためにワームの感染経路を特定する需要が高まっている.しかし,感染経路を自動で特定する手法には多くの誤検知が存在するのが現状である.そこで,本論文では自動システムと人の手による解析の融合に注目する.まず自動システムが膨大なネットワークログから大まかな感染経路を特定し,その後視覚化システムを用いて人間が解析を行うことにより誤検知を減らし,精度の高い感染経路特定を目指す.この視覚化においては,ワームの感染経路がツリー状に表示され,解析者がログに対して容易にインタラクションを行えるようになっている. 本手法のプロトタイプを構築し,実際に解析作業を行うユーザ実験によって評価を行った結果,自動検知による誤検知を90%程度削減することに成功し,有用性が示された.


セッション 1B  電子メール・コミュニケーション基礎(GN)
日時: 2008年7月9日(水) 13:40 - 15:20
部屋: ベガ
座長: 宗森 純 (和歌山大)

1B-1 (時間: 13:40 - 14:05)
題名電子メールアーカイブシステムにおけるユーザ管理の一方式
著者*楓 仁志, 森川 修一, 郡 光則, 菅野 幹人 (三菱電機株式会社 情報技術総合研究所)
Pagepp. 35 - 41
Keywordユーザ管理, 電子メールアーカイブシステム, アクセス管理
Abstract近年、金融商品取引法の施行に伴い、企業基幹システムである電子メール管理に注目が集まっている。企業内で管理される電子メールには、企業機密情報が含まれているものがあり、プロジェクト単位や部門単位で参照権限を管理する必要がある。我々は、企業内で利用される膨大な電子メールの蓄積および検索・取得を実現する電子メールアーカイブシステムの開発を行っている。本稿では、電子メールアーカイブシステムによって蓄積された電子メールデータに対して検索・取得を行う際、ユーザが保有する参照権限の範囲に基づき、複数種類のアクセス権を管理する方式について報告する。 従来関係データベースでは、アクセス管理を行う際に、管理対象データごとに定義されたスキーマあるいはテーブルに対する操作権限を設定する。電子メールデータへのアクセス管理においても、管理対象ユーザごとに記憶空間を構築し、アクセス権限を管理する方式が考えられる。しかし、電子メールは同一メールを一度に複数の電子メールアドレスに対して送信することが可能である。その場合、複数の記憶空間に同一電子メールデータが蓄積されることとなり、データ容量が増大するという問題があり、実用的ではない。 そこで電子メールデータを複製せずに、対象ユーザごとに検索対象を制限する検索条件を定義し、ユーザが検索処理を実施する際に利用可能な検索範囲を選択させる方式が考えられる。一般的にアーカイブシステムでは、蓄積されたデータを高速に検索するために索引情報を管理している。また、検索対象となる電子メールデータをヘッダ、本文、添付ファイルなどに分割してデータベースに蓄積することにより、検索対象を限定し高速に検索する方式が考えられる。検索対象を細分化することは検索性能を向上させる一方、検索処理を実施するさいにユーザがアクセス管理によって規定された個々のデータベースに対して検索対象を制限するための検索範囲を逐一選択しなければならないため、作業負荷が増大するという課題がある。 本稿は上記の課題を解決し、管理対象となる電子メールデータを複数の記憶空間に蓄積することなく、ユーザの参照権限に基づき検索・取得対象を制限するアクセス管理方式を実現した。本方式では、ユーザが検索・取得可能な電子メールデータの範囲を規定した仮想メールセットを定義する。本方式で提案する仮想メールセットは、仮想メールセットを一意に特定する仮想メールセット定義情報と検索対象となる電子メールデータを制限する仮想範囲情報に分割したデータ構造によって管理される。これにより、単一仮想メールセット定義情報に複数の仮想範囲情報を紐付けて管理することが可能となる。また仮想範囲情報は、仮想メールセット定義の登録時に検索・取得対象項目と、アクセス制限内容を記述する条件式、制限対象となるデータベース名を分割して管理する。これにより、ユーザからの検索・取得処理要求により電子メールアーカイブシステムに対する検索命令を生成するさいに、構文解析処理による個々の検索条件に対する走査を行うことなく、アクセス範囲を制限することが可能である。また、電子メールを索引、ヘッダ、本文、添付ファイルなどに分割してデータベースに蓄積する電子メールアーカイブシステムにおけるアクセス管理を行う場合、ユーザが検索・取得処理を実施する際に仮想メールセット定義情報を選択するだけで、仮想メールセット定義情報に紐付けられた個々のデータベースに対して定義された仮想範囲情報を適用することが可能となる。これにより、複数のデータベースによって電子メールが管理される電子メールアーカイブシステムに対応して、ユーザが検索対象を選択する作業負荷を低減することができる。 企業上の職務などによってアクセス管理を行う場合、複数の仮想メールセットが定義されることが想定される。また、任意のユーザが複数の職務を兼任することもある。そこで本方式は、複数の仮想メールセットを一括りとしたロールを定義する。任意のロールには、複数の仮想メールセットを設定可能とする。アーカイブされた電子メールデータを参照するユーザに対して、職務などの権限に応じて設定されたロールを付与することにより、ユーザに対して一度に複数のアクセス制限を設定することが可能となる。 本ユーザ管理方式を電子メールアーカイブシステムに適用することにより、管理対象となる電子メールデータを複数に分割してデータベースに蓄積する場合であっても、個々のデータベースに対する仮想メールセットを逐一選択させることなく、アクセス制限を適用することが可能となる。本手法によって管理された仮想メールセットをエンドユーザが検索・取得処理を実施する際の最小単位とすることにより、ユーザの権限の範囲に応じたアクセス管理を実現することが可能となる。これにより、企業内の自部門の電子メールに対してのみ参照可能とするなどの複数種類のアクセス権管理を行うことが可能となる。

1B-2 (時間: 14:05 - 14:30)
題名電子メールへのメタ情報付加とそれを利用したMUAによる情報処理支援
著者*神堀 真也, 相田 仁 (東京大学)
Pagepp. 42 - 49
Keyword電子メール, メタ情報, 情報処理支援, 情報分類

1B-3 (時間: 14:30 - 14:55)
題名インフォーマルコミュニケーションにおけるきっかけの要因についての調査
著者*西岡 大 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科), 藤原 康宏 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科), 村山 優子 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 50 - 57
Keywordインフォーマルコミュニケーション, 質問紙調査, KJ法, アウェアネス
Abstractインフォーマルコミュニケーションとは,事前に,「いつ」「何処で」「誰と」と行うかが定まっておらず,偶然始まるという特徴があるといわれている.しかし,実際のインフォーマルコミュニケーションでは,会話の相手に関連した内容の会話が行われる場合がある.この場合,コミュニケーションが意図的に始められると考えられ,インフォーマルコミュニケーションの偶発性という特徴とは一致しない.また, インフォーマルコミュニケーションを支援するシステムでは相手の存在や行動, 状態を認識するアウェアネスの機能が重要視されてきた. そのため, アウェアネスの機能以外でインフォーマルコミュニケーションを支援する手法は確立されていない. そこで, 本研究では, インフォーマルコミュニケーションの特徴の抽出を行う上で, インフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」に着目する. 本研究では, 文献調査によりインフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」の要因を抽出した.「きっかけ」の要因を抽出した結果,知人同士を対象としたシステムでは,「いつ」「何処で」「誰が」等の要因が「きっかけ」となることが判明した. 次に, 日常生活におけるコミュニケーションの「きっかけ」の要因を抽出するために質問紙を用いて調査した. 調査は,知人に自ら話しかけた会話を対象とし,その会話の「きっかけ」と考えられる要因について尋ねた.文献調査及び質問紙調査から得られた「きっかけ」の要因を, 情報の整理と発想のための方法であるKJ法を用いてグループ化を行い,インフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」の要因を整理した.KJ法でグループ化した結果, インフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」の要因は, 会話相手もしくは会話相手が行っている行動を認識することがインフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」となる「認識」, 会話相手が行っている行動に対して自分自身が所持している知識と一致したことがインフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」となる「会話相手の行動と自分の知識の一致」, 自分自身の願望を叶えたいと思ったことがインフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」となる「自分の願望」, 予め会話相手と会話内容が定められていることがインフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」となる「定められた会話」の4つの要因に分類されることが判明した. また, 従来研究から抽出したインフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」とKJ法で分類したインフォーマルコミュニケーションの「きっかけ」の要因を比較した. 比較した結果, 従来研究から抽出した「きっかけ」はKJ法で分類した要因のうち, 「認識」「会話相手の行動と自分の知識の一致」に集中した. そのため, 「認識」「会話相手の行動と自分の知識の一致」の2つの要因は, アウェアネスの機能と関わりがあり, 残りの「自分の願望」「定められた会話」の2つの要因は, アウェアネスの機能と関わりがないことが判明した. そのため, 「自分の願望」「定められた会話」の2つの要因を基にインフォーマルコミュニケーション支援システムを構築する場合, アウェアネスの機能以外の機能を考察し, 導入する必要があると判明した.

1B-4 (時間: 14:55 - 15:20)
題名ユーザ同士のコミュニケーションを考慮したプレゼンスサービスシステムの検討
著者*金 ナレ, 相田 仁 (東京大学大学院新領域創成科学研究科)
Pagepp. 58 - 65
Keywordプレゼンスサービス, コミュニケーション, 親近度, パーソナルネットワーク
Abstract近年,様々な通信機器の発展に伴い,いつでもどこでもコミュニケーションを行うことができる環境になりつつある.しかし,時間と場所の制約なしでコミュニケーションができるとしても,相手の状況(プレゼンス) により連絡が取れない場合がある.そのため,相手が現在コミュニケーションできる状態にいるか否かを知らせてくれるプレゼンスサービスが用いられている. プレゼンスサービスの課題としては,プレゼンス情報の信頼性や即時性を保つためのデータ収集や,プレゼンス情報の活用に関わるデータ管理,プレゼンス情報の提示が挙げられる.本研究では,プレゼンス情報の管理及び提示に注目し,ユーザのプレゼンス情報をサーバ側で自動的にフィルタリングするプレゼンス サービスシステムについて考察する. 本研究で提案するシステムではユーザのコミュニケーションの様子を分析し,ユーザ間の人間関係を調べ,ユーザごとにパーソナルネットワークを作成する.作成したパーソナルネットワークを基にプレゼンス情報を再編集し提供することで,無駄のないプレゼンス情報を提供し,親しい人の間でのコミュニケーションを活性化させる.


セッション 1C  モバイルネットワーク(MBL)
日時: 2008年7月9日(水) 13:40 - 15:20
部屋: シリウス
座長: 太田 賢 (NTTドコモ)

1C-1 (時間: 13:40 - 14:05)
題名無線LANにおける最適なアクセスポイント選択手法
著者*平田 千浩 (電気通信大学大学院電気通信学研究科 ), 渡辺 浩文, 大島 勝志 (株式会社インターエナジー), 鈴木 健二 (電気通信大学大学院電気通信学研究科)
Pagepp. 66 - 72
KeywordWiFi, アクセスポイント, 接続先自動選択, 接続環境予測, モニタリング

1C-2 (時間: 14:05 - 14:30)
題名赤外線通信を用いた高速列車通信におけるハンドオーバ処理の提案
著者*山下 泰弘 (慶應義塾大学大学院理工学研究科), 寺岡 文男 (慶應義塾大学理工学情報工学科)
Pagepp. 73 - 80
Keywordモビリティ, ハンドオーバ, 赤外線通信, 新幹線
Abstract 近年,ラップトップを所持して外出する人が増えており,それに伴って新幹線でのインターネットサービスの需要も高まっている.乗客が移動を意識せずにインターネットサービスを利用するためには新幹線全体をモバイルネットワークにする必要がある.しかし,モバイルルータ(MR)は乗客にある程度の帯域を割り当てるために地上側アクセスルータ(AR)と高速で通信しなくてはならない.よって,地上ネットワークと高速通信するための装置として赤外線通信装置を用いる必要がある.この赤外線通信装置は新幹線側と地上側に設置され,移動に伴って新幹線内の車上赤外線通信装置が地上赤外線通信装置を切り替えることで通信を継続することができる.ただし,MRは車上赤外線通信装置を介して地上ネットワークとの通信を継続するためにモビリティプロトコルを利用する必要がある.しかし,動画ストリーミング配信やインターネット会議のようなリアルタイム通信を実現するためには,新幹線の移動によって起こるハンドオーバによる通信切断時間が通信品質に致命的な影響を与えてしまう.したがって,MRはハンドオーバの際の通信切断時間を削減し,効率のいい通信を行う必要があり,そのためには地上側のネットワーク設計と新幹線内のMRのハンドオーバ処理が必要となる.その際,実際に運用することを考慮し,地上側のネットワーク機器に変更を加えないことが望まれる.  そこで本研究では,地上と新幹線との通信のために赤外線通信装置を用いた際における運用可能な地上側ネットワークの設計と新幹線側ハンドオーバ処理について提案を行った.まず地上側ネットワークの設計を提案するため,ハンドオーバの種類について考慮する必要がある.このハンドオーバの種類にはサブネット内ハンドオーバとサブネット間ハンドオーバの2種類がありそれぞれ行う処理が異なる.サブネット内ハンドオーバは車上赤外線通信装置が同じARに接続された地上赤外線通信装置に接続を切り替えることをいう.その際,MRはネットワークプレフィックスが変化がないためネットワークの観点からみると移動していない.したがって,地上赤外線通信装置の切り替え(L2ハンドオーバという)のみで通信再開することができる.また,サブネット間ハンドオーバは車上赤外線通信装置が異なるARに接続された地上赤外線通信装置に切り替えることをいう.その際,MRはネットワークプレフィックスが変化しておりネットワークの観点からみても移動している.そのため,MRは通信を継続するためにL2ハンドオーバに加え,新たなIPアドレスとデフォルト経路の設定を行い位置管理サーバに位置を登録する(L3ハンドオーバという)必要がある.このようにサブネット間ハンドオーバではL2ハンドオーバに加えL3ハンドオーバを行わなければならないため付加的な遅延が生じてしまう.したがって,効率のいい通信を行うためにサブネット間ハンドオーバをなるべく減らすようなネットワーク設計を行う必要がある.そこで,本提案では地上側ネットワーク設計として,ARを駅に2台設置し駅間の半分を1台のARが担当するようにする.これによって,サブネット間ハンドオーバの頻度を減らすことができる.また,MRはサブネット間ハンドオーバの際に生じる付加的な遅延を削減するために高速ハンドオーバを行う必要がある.そこで本研究では,車上赤外線通信装置が地上赤外線通信装置と光軸を合わせて通信の継続を行うために利用する赤外線通信装置のミラー制御装置からの制御情報を利用することによる高速ハンドオーバを提案する.それによって,MRはL2ハンドオーバの完了を検知し,速やかにハンドオーバ処理を実行できる.MRは,L2ハンドオーバの検知後,pingプログラムでも利用されるICMPパケットを利用してハンドオーバ後の接続ARの情報を取得しサブネット内ハンドオーバかサブネット間ハンドオーバかの判別を行う.サブネット内ハンドオーバの場合,MRはこれ以上処理を行う必要はなく通信が再開する.一方,サブネット間ハンドオーバの場合,MRは先ほどのICMPパケットの始点アドレスと自身が保持するARリストを参照して速やかにL3ハンドオーバ処理を行う.  本研究では本提案の評価を行うためにFreeBSD 6.2-RELEASE上に高速ハンドオーバデーモンとミラー制御デーモンを実装した.この高速ハンドオーバデーモンはミラー制御デーモンからのミラー制御情報を利用して高速ハンドオーバ処理を行うものである.  また,評価ではまずサブネット間ハンドオーバの際のMRの通信切断時間を測定した.その結果,L2ハンドオーバを10 msecと想定した場合の切断時間は20 msec程度であることがわかった.また,無線環境エミュレータを用いて地上ネットワークをエミュレートし平均パケットロス率を測定した.その結果,通信ノードとMR間のRTT (Round Trip Time)が40msの場合でも1%未満であることがわかった.

1C-3 (時間: 14:30 - 14:55)
題名リンク特性の変化に対するアプリケーションの追従挙動の検討およびリンク特性通知機構の提案
著者*岩本 聡史, 石橋 賢一, 森島 直人, 砂原 秀樹 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 81 - 89
Keywordネットワークアプリケーション, アプリケーションプロトコル, 移動体通信, 適応
Abstractインターネットが社会に浸透するのに伴い、ネットワークを利用してサービスを提供する様々なアプリケーションが開発されてきた。アプリケーションが提供するサービスは増加の一途を辿っており、World Wide Webによる情報閲覧や電子メールなどのメッセージサービス、ファイル転送やファイル共有など情報創作物の授受といった従来型のサービスから、近年ではIP電話やテレビ会議のように音声や映像など連続メディアの実時間配信まで多種多様である。このようなアプリケーションの性能は動作する通信環境に大きく依存する。アプリケーションは与えられた通信資源の中で、よりよいユーザエクスペリエンスの提供を目指している。従来の固定通信ではリンク特性(帯域幅、遅延、ジッタ、エラー率など)がほとんど変化せず、利用可能な通信資源は安定しているため、アプリケーションは動作開始時のリンク特性に基づく動作によって最適なユーザエクスペリエンスを提供してきた。しかし、インターネットへの接続形態も当初の想定を超えて多様化しており、無線を利用した柔軟な通信環境が増加してきた。これによりアプリケーションの利用環境にもが変化が生じている。有線インタフェースに比べ不安定である無線インタフェースによる接続形態や、移動通信のようにハンドオーバやインタフェースの切り替えが生じる接続形態では、通信中にリンク特性が突然にして著しく変化する。この影響により、アプリケーションが性能を十分に発揮できなかったり、サービスの提供に支障をきたしたりと、ユーザエクスペリエンスの低下が招かれる。多くのアプリケーションでは下位層におけるこのような変化を想定せずに設計されているため、変化に追従できないのが原因である。 このようなアプリケーションの通信性能低下を防ぐ方法としては、下位層でのリンク特性の変化を防ぐ方法と、アプリケーションの挙動を下位層の変化に追従させる方法が考えられるが、エンドノードにおいてL2レベルの変化を防ぐのは困難である。そこで本研究では、リンク特性の変化にアプリケーションの挙動を追従させることにより、ユーザの要求を最大限に満たすことを目的とする。しかし、アプリケーションがどのように挙動を変化させるかは、個々のアプリケーションによって異なるため、すべてのアプリケーションに対し、個々に追従挙動を実装するのは困難である。そこで、本研究ではアプリケーションの追従挙動を提案することで、今後のアプリケーション設計時における指標を示すものとする。アプリケーションの追従挙動を考える際に問題となるのがアプリケーションの数である。通信資源に対する要求はアプリケーションごとに異なるため、本来はすべてのアプリケーションに対して追従挙動を定義するべきであるが、現実的ではない。そこで、リンク特性の変化に対するアプリケーションの挙動の変化をモデル化し、2つの評価軸を定義する。評価軸を用いてアプリケーションが提供する本質的なサービスを必要最小限のカテゴリに分類する。これにより、それぞれのカテゴリに対して追従挙動を定義することが可能となる。また、追従挙動を実現させる場合、アプリケーションは下位層の変化を認知をする必要があるが、現在のシステムでは標準的な手段が存在せず困難である。そのためアプリケーションが独自に下位層の変化を取得するためのシステムを持つ必要があり、アプリケーションの作成コストが高くなる。そこで、下位層から上位層への情報伝達システムであるリンク特性通知機構を実装する。これはアプリケーションや変化する特性に関わらず汎用的なものとして設計する。


セッション 1D  無線LAN(DPS)
日時: 2008年7月9日(水) 13:40 - 15:20
部屋: ペガサス
座長: 神崎 映光 (阪大)

1D-1 (時間: 13:40 - 14:05)
題名経路ダイバーシティを考慮した緊急メッセージ送信手法の提案
著者*友澤 弘充, 小口 潔 (慶應義塾大学大学院理工学研究科), 重野 寛, 岡田 謙一 (慶應義塾大学理工学部/独立行政法人科学技術振興機構,CREST)
Pagepp. 90 - 95
Keywordトリアージ, 災害, 救急救命
Abstract災害やテロ事件などの教訓から,傷病者の位置や病状変化をセンサネットワークによってリアルタイムで監視・収集できるような救命救急支援システムの研究が活発になっている. 送信するデータには緊急度の高い重要なデータが存在し,そのデータを送信する手法を考えなければならない. 単一経路を用いた伝送は経路途中においてロスが起こりやすいという問題がある. また,フラッディングでは,トラフィック量が膨大になるという問題点がある. そこで,データを確実に送り届けるためにはトラフィック量を抑えてダイバーシティを大きくする必要がある. 本稿では,この必要性に対し,経路ダイバーシティを考慮した緊急メッセージ送信手法EMPaDを提案する. また,シミュレーションによる評価により,提案方式が経路ダイバーシティを得たまま, トラフィック量を抑えて緊急メッセージを送信できることを示した.

1D-2 (時間: 14:05 - 14:30)
題名Network Codingを用いたアドホックネットワーク情報伝送方式の検討
著者*寺島 美昭, 河東 晴子 (三菱電機(株)/情報技術総合研究所)
Pagepp. 96 - 101
KeywordAd-hoc Network, Network Coding

1D-3 (時間: 14:30 - 14:55)
題名無線伝搬モデルを利用したセンサアクタネットワークのルーティング効率の性能評価
著者*楊 涛 (福岡工業大学大学院工学研究科知能情報システム工学専攻 ), 池田 誠 (福岡工業大学大学院工学研究科知能情報システム工学専攻), Leonard Barolli (福岡工業大学情報工学部情報通信工学科)
Pagepp. 102 - 107
Keywordセンサアクタネットワーク, 無線伝播モデル, AODV, DSR, ルーティング効率
Abstractセンサアクタネットワークは従来のセンサネットワーク にアクタノードを配置させる新たなネットワークの形態 である。本稿では、無線伝搬モデルを利用したセンサアクタ ネットワークのルーティング効率を調査する。 アドホックルーティングプロトコルとしてAODVとDSR を用いて、ns-2上でシミュレーションシステムを実装し 実験する。結果として、ノード数が多い場合、伝搬モデル としてTwoRayGround用いて、DSRを利用したランダムトポロジー の場合ルーティング効率が良いことが分かった。しかし、 伝送レートを多角していった時にルーティング効率が不安定 となった。

1D-4 (時間: 14:55 - 15:20)
題名無線メッシュネットワークにおける輻輳改善の提案
著者*樋口 豊章, 伊藤 将志, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 108 - 111
Keywordメッシュネットワーク, 輻輳, 無線LAN, 電波強度
Abstract無線LANを通信インフラとして用いるサービスが注目されている.しかし,既存の無線LANのAP(Access Point)間 は有線で接続されることが一般的であり,APの設置に多大なコストを要する.この問題の解決策として,無線メッシュネットワークがある.無線メッシュネットワークは,無線LAN のAP 間をアドホックネットワークで接続する.端末/AP間の通信はインフラストラクチャモードで行うため,既存の端末が容易にネットワークに参加することが可能である.筆者らは無線メッシュネットワークの実現手段の一つとして“WAPL”(Wireless Access Point Link) を提案している.本論文では,WAPLを用いて無線メッシュネットワークの輻輳を改善する方法について提案する.


セッション 1E  センサーネット(1)(MBL)
日時: 2008年7月9日(水) 13:40 - 15:20
部屋: コスモ(1)
座長: 長谷川 輝之 (KDDI研究所)

1E-1 (時間: 13:40 - 14:05)
題名センサネットワークにおける大容量データ通信方式について
著者*高田 悠 (静岡大学大学院情報学研究科), 萬代 雅希 (静岡大学情報学部), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院インフォマティクス部門)
Pagepp. 112 - 119
Keywordセンサネットワーク, 大容量データ, 協調
Abstract一般にセンサネットワークにおける観測対象となるのは, 気温, 光, 振動などの比較的データ量の少ない数値データである. しかしこれらのデータに加え, 音声や動画によりさらに高度な観測が可能になると考えられる. だが音声や動画のデータは, 数値データと比較するとデータ量が大きく, データの蓄積が困難であることが考えられる. また, センサネットワークにおける課題のひとつであるノードの省電力化という点においても, 既存の方式ではその実現が困難であることが考えられる. そこで本稿では, 大容量データ蓄積を可能とするCB (Cooperative Buffering)を提案する. CBでは, 複数のノードが協調してデータの蓄積をおこない, 単体のノードではオーバーフローをおこすサイズのデータを扱うことを可能にする. また, 複数のノードが蓄積したデータをシンクが移動して回収することで, ノードの消費電力を削減する. 提案手法の消費電力を定式化し, 既存のマルチホップ送信と比較して, CBが低消費電力であることを示す.

1E-2 (時間: 14:05 - 14:30)
題名ローカライゼーションとルーティングプロトコルの融合手法の提案と評価
著者*曽我 和由 (静岡大学情報学部情報科学科水野研究室), 竹中 友哉 (静岡大学大学院情報学部研究科水野研究室), 峰野 博史 (静岡大学情報学部情報科学科), 徳永 雄一, 寺島 美昭 ((株)三菱電機), 水野 忠則 (静岡大学情報学部情報学研究科)
Pagepp. 120 - 126
Keywordローカライゼーション, OLSR, ルーティング
Abstractセンサネットワークを含む無線マルチホップネットワークにおいて,ノードの位置を推定するローカライゼーションと、ルーティングは重要な技術である.無線マルチホップネットワークではノードの位置はイベントの発生場所を示すため,ローカライゼーション技術はもっともよく議論されている研究テーマのひとつである. また,無線マルチホップネットワーク上での経路制御,ルーティングもよく議論される研究テーマの一つである.  ノードの位置を推定する方法の最も簡単な解決方法のひとつとして,各ノードにGlobal Positioning System (GPS) 受信機を取り付けるという方法が考えられる.GPS などを利用して事前にノードの位置を設定されたノードをアンカーノードと呼ぶ.しかし,すべてのノードにGPS を取り付ける方法は,次の2つの理由により現実的ではない.1 つは,GPSデバイスが各ノードに余分なハードウェアコストを強いるということである.もう1 つは,GPS が屋内などの障害物によってGPS 衛星と通信できないところでは,GPS から位置情報を取得することができないということである.  近年,無線マルチホップネットワークを利用してノードの位置情報を取得する方法に関する多くの研究がおこなわれている.いくつかのローカライゼーション技術では,ノードは指向性アンテナや超音波を利用した特別な測位デバイスをノードに装備させることを想定している.しかし,即位デバイスをノードに装備させることはハードウェアのコストが増加するため,大規模なネットワークに適さない.したがってよりコストのかからない方式が求められる.本研究室では,測位デバイスに頼らない,OLSR プロトコルをベースにしたローカライゼーション(ROULA) を提案している. 今までの研究では,ルーティングプロトコルとローカライゼーションプロトコルは別々に評価されてきた.しかしそれは実環境を想定した場合に,2つのプロトコルを別々に動かすのはオーバヘッドの増加につながる.本研究は,無線マルチホップネットワークのルーティングプロトコルであるOptimized Link State Routing (OLSR) と,ROULA のローカライゼーションとの融合手法の提案と評価である.OLSRにROULAの技術を移植し,ルーティングのバックグラウンドでローカライゼーションをする.実装はNS2-allinone-oolsrで行い,評価をNS2で行う.

1E-3 (時間: 14:30 - 14:55)
題名ワイヤレスセンサネットワークの設計開発支援環境D-sense
著者*森 駿介 (大阪大学大学院情報科学研究科), 梅津 高朗, 廣森 聡仁, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科,独立行政法人科学技術振興機構, CREST)
Pagepp. 127 - 136
Keywordワイヤレスセンサネットワーク, 統合環境, プロトコル設計, 性能評価支援, 実環境実験
Abstractワイヤレスセンサネットワーク(WSN)は大規模な分散システムであるため,そのプロトコルやアプリケーションの開発においては,従来の分散システム開発にみられる課題が生じる.また,ネットワーク性能や処理性能に制約があるセンサノードからなるWSN 特有の課題も生じる.例えば,開発者は高レベルでのアルゴリズム設計後は低レベルのセンサーノードへのコーディングを強いられることになる.また大規模であることからテストベッドを構築することも容易でなく,性能分析や評価が困難である.さらに,維持管理には多数のノードを操作する必要性も生じる.そこで本稿ではWSN プロトコル開発におけるこれらの課題を解決するために,統合開発環境D-sense を提案し,その開発を行う.D-sense では,アルゴリズムレベルでプロトコルを記述できるAPI を提供することで,NesCなどの低レベル言語による実装に要する労力を抑える.それらのAPI を用いて書かれたNesC のプログラムコードをシミュレータ用のコードに変換する機能を提供することで,シミュレーション実験に伴う実装の労力を抑える.また,WSN アプリケーションのモニタリング,ロギング,デバッグといった有用な機能も提供する.我々は既存の著名ないくつかのプロトコルを実装し,シミュレーションと実環境で性能評価を行うことで,D-sense の機能の利便性を示した.

1E-4 (時間: 14:55 - 15:20)
題名自然観測のためのセンサネットワーク構築方式について
著者*高橋 慶太, 萬代 雅希 (静岡大学情報学部), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 137 - 144
Keywordセンサネットワーク, 環境, サステナビリティ
Abstract無線センサネットワークは, 有線の固定インフラを利用せずに観測データを取得できるため幅広い応用が期待されている. その一つとして, 温室効果ガスの発生量などを観測する自然環境観測応用がある. 一般的に, 自然環境観測のための環境センサネットワークでは, 長期にわたる観測を可能にするために, ノードの回収, 交換などのメンテナンスが必要となる. その際, 自然環境への影響を小さくするよう考慮する必要がある. 本稿では, まず環境センサネットワークにおける自然量と環境への影響度を定義する. そして, 影響度を小さくするセンサネットワーク構築方式の一つとしてLess Impact area(LI-area)集中ルーティングプロトコルを提案する. LI-area集中ルーティングは, 自然量が極端に減少した領域を敢えて集中的に利用し全体の影響度を小さくする方式である. 評価の結果, LI-area集中ルーティングは最短経路ルーティングに対して影響度を30%程度小さくできることを示す.


セッション 1F  分散処理(DPS)
日時: 2008年7月9日(水) 13:40 - 15:20
部屋: コスモ(2)
座長: 小林 真也 (愛媛大)

1F-1 (時間: 13:40 - 14:05)
題名JavaSpacesを用いた共有メモリ機構の構造化と操作
著者*富田 昌平 (湘南工科大学/工学研究科), 坂下 善彦, 大谷 真 (湘南工科大学/情報工学科)
Pagepp. 145 - 148
Keyword共有メモリ, 分散環境
Abstract目的・背景: 分散共有メモリ方式に基づくLindaシステムをベースとしJava言語で構築されたJavaSpacesによる分散共有空間とする情報空間を提供し,そこに存在するエントリを用いて木構造に構造化した情報場を構築した [情報処理学会第70回全国大会]。 本報告では、構造化のための情報量と実際に分散環境での使用に焦点を当て、in/out操作時における操作時間を計測し、構造との関係と特徴について報告する。 概要: ネットワーク環境上で利用することが可能で,ユーザはオブジェクトがどこに存在するのかを意識せずに位置フリーに扱うことができるものとしてLindaシステムがある。そこでは,オブジェクトがタプルという形でタプル空間と呼ばれる空間上に存在する。このタプル空間に置かれているタプルを操作するための“Linda Interface”が用意されていて,書込み,読込み,取出しの3つの操作を基本にして行う。Lindaシステムはタプル空間とLinda Interfaceによって,ネットワーク上にあたかも共有メモリ空間があるようにふるまう。この原理をJava上で使えるようにしたのがJavaSpacesである。JavaSpacesはJiniServerによって分散環境上に実装される。JavaSpacesではタプルのことをエントリ,タプル空間のことをJavaSpacesと呼ぶ。 JavaSpacesにエントリとしてオブジェクトを置く場合、このエントリの一部を構造化用の目的としたデータとして、木構造の管理制御の目的で使用する。このデータを読取って構造化データのついたエントリを操作する管理制御システムと、ユーザが管理制御システムに命令要求を出すためのユーザインターフェイスを使ってユーザがJavaSpacesを見ることによってユーザはあたかもJavaSpacesが木構造を成しているように見える。 しかし、構造化するためには構造化用データの追加、変更などの作業を行う為、ただオブジェクトをエントリとしてJavaSpaces上で操作するのと比べて明らかなオーバーヘッドが発生する。今回は、木構造が大きくなるだけ、構造化用データも大きいものになってしまう為、これがどれほどのオーバーヘッドになるのか。実際にこのシステムを分散環境で使用した場合、管理制御システムの台数が増えるにつれてどの程度処理時間を短縮できるか。この二つに焦点を絞って処理時間の測定を行い、測定結果と評価を行ったので報告する。

1F-2 (時間: 14:05 - 14:30)
題名P2Pオーバレイネットワーク上での協調サービス実行を支援する統合システムの設計と実装
著者*境 裕樹, 廣森 聡仁, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 149 - 160
Keyword分散処理, ペトリネット, P2P
Abstract 本論文ではノード間がそれぞれ論理的に直接結合されたオーバーレイネットワーク上において,逐 次,並列,分岐により結合された複数のコンポーネントで構成されるサービスを,複数のノードで分 散して実行するための自動分散化アルゴリズムの基本概念に基づき,P2P ネットワークにおける協 調サービス実行として実現するシステムを提案し,その設計および実装を行う.提案するシステムで は,サービス記述モデルとしてカラーペトリネットを利用し,コンポーネントの並列処理や同期処理 を容易かつ直感的に表現する.また,与えられたメトリクス(ネットワーク遅延など)に基づく最適 化方針に従い,ネットワークやピアに与える実行負荷を軽減するようなコンポーネントの最適配置を 決定する機能を備える.さらに,ノード(ピア)間のメッセージ交換やデータ移動の手順は与えられ たサービスから自動的に導出され,本システムが提供するピア制御プログラムにより,それに従った 通信ならびにデータ処理が,指定されたサービスが全体として正しくかつ低負荷で協調実行される. 本システムは,サービスの分散化及び実行のみならず,プログラムモジュールの配置や分析情報の取 得といった管理作業も自動化することで,サービスをシームレスにP2P ネットワーク上で実行する ために要する管理コストも軽減する.本論文では,フルメッシュP2P ネットワーク上での映像トラン スコードサービスの協調実行を通して,本システムの有用性を示す.

1F-3 (時間: 14:30 - 14:55)
題名セマンティックWeb技術を用いたJavaによる機器連携アーキテクチャの設計と実装
著者*石田 匠平, 門脇 恒平 (同志社大学大学院工学研究科情報工学専攻), 小板 隆浩 (同志社大学工学部情報システムデザイン学科), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院工学研究科情報工学専攻)
Pagepp. 161 - 167
Keyword機器連携, セマンティックWeb, Java
Abstract 現在,ユビキタスネットワーク社会の実現に向けて,DVDの再生といった機器が提供する機能(以下サービス)を,様々な機器から利用するためのアーキテクチャが提案されている.よく知られているものとして,MicrosoftによるUPnPやSun MicrosystemsによるJiniが挙げられる.これらの仕様では,機器同士が目的のサービスを見つけ出し,連携して動作するために,サービスの提供者と利用者が,サービスの仕様を,何らかの形で事前に共有している必要がある.つまり,JiniにおいてはJava言語のインタフェースを共有する必要があり,UPnPにおいてはUPnP Forumによって策定されたインタフェースの仕様に従う必要がある.  これらの点は,サービスがアーキテクチャの仕様によって制約されることになるということである.そのため,仕様に定められていないサービスを利用することや,全く新しいサービスを導入することが難しい.また,アーキテクチャの仕様を定める段階でサービスの利用方法を考えなければならない.そのため,「MP3などの様々な音声データを再生するサービスに対して動画ファイルを渡し,音声データ部分だけを再生させる」といった複雑なサービス利用方法をサポートできない.  本研究は,Javaを利用し,サービスに関する情報を事前に共有する必要のない,すなわち,機器の連携やシステムの開発に制約を課すことのないアーキテクチャを構築することを目的とする.このアーキテクチャでは,既存のもののようにサービスが定められた仕様に従うのではなく,XMLを始めとするセマンティックWebの技術を用いてインタフェースなどの情報を意味的に解釈し,柔軟に対応することで,機器間の協調動作を実現する.  まず,提案するアーキテクチャの構成を述べる.このアーキテクチャは,サービスの利用者と提供者である2つの機器の他に,ネットワーク上のサービスを管理し,利用者と提供者の仲介する機器(以下サービスマネージャ)により構成される.サービスの提供者は,サービスの内容を端的に表す1個以上のキーワードと,サービスのメソッド名や引数などのインタフェース情報を記述したXMLファイル,RMI (Remote Method Invocation) によって制御を行うためのスタブやスケルトンを持つ.サービスの利用者は,探したいサービスのキーワードと,そのサービスが発見された場合に用いるインタフェースの情報を記述したXMLファイルを持つ.サービスマネージャは,サービスの利用者と提供者のインタフェースの違いを埋めるために,意味的な解釈を行う.この解釈の仕組みについては,同義語の対応などが考えられるが,その手段はアーキテクチャとして問わず,必要に応じて組み替えることができる.  次に,全体的な処理の概要を述べる.まず,サービスの提供者が,提供するサービスの内容を表すキーワードとインタフェースの情報を記述したXMLファイルをサービスマネージャに送ることで,サービスを登録する.次に,サービス利用者が,探し出したいサービスのキーワードと,そのサービスのためのインタフェースの情報を記載したXMLファイルをマネージャに送信することで,サービスの検索を依頼する.この時,サービスマネージャは両者から送られたキーワードを照合し,サービス利用者が求めているサービスが登録されているかを調べ,その後XMLファイルを読み込み,両者のインタフェース情報を照合する.サービス提供者側が求める引数などをサービス利用者側が全て満足できる場合,サービス提供者のIPアドレスと両者のインタフェースのメソッド名や引数などがどう対応しているのかを,サービスマネージャがサービス利用者に伝える.そして,サービス利用者が,サービス提供者のIPアドレスをもとに,RMIを利用してサービスを呼び出す.サービスを利用するためにメソッドを実行する際には,メソッド名の違いなどといったインタフェースの齟齬を解消するために,リフレクションを用いる.リフレクションとは,単なる文字列からオブジェクトの持つメソッドなどを呼び出すことができる機能である.これを用いることで,サービスマネージャより伝えられる文字列のみによってメソッドの呼び出しが可能となるため,サービス利用者がサービスの実際のインタフェースを予め知る必要がなくなる.つまり,アーキテクチャの仕様にとらわれないサービス構築が可能となるのである.  本研究では,柔軟な機器連携を行う上で重要となることは,インタフェースの意味的な解釈であると捉え,上記のアーキテクチャに基づいたシステムを実装し,「サービス利用者の想定する仕様と完全には一致しないサービスを利用できるか」などの面における有効性を検証する.

1F-4 (時間: 14:55 - 15:20)
題名情報統合サービスのための分散型情報統合アーキテクチャ及びジョイン方式の提案
著者*須賀 啓敏 (日本電信電話株式会社 NTTサイバースペース研究所), 寺本 純司 (日本電信電話株式会社 NTTサーバースペース研究所), 日高 東潮, 小谷 尚也, 星 隆司 (日本電信電話株式会社 NTTサイバースペース研究所)
Pagepp. 168 - 176
Keyword情報統合, 異種情報源, 統合インデックス, ジョイン, 分散
Abstract 近年のインターネット上における情報源(WebAPI等)の増加に伴い,一つの情報源を利用したサービスだけでなく,マッシュアップと呼ばれるような複数の情報源を統合して一つのサービスとして提供することでユーザの利便性をより高めたサービスが提供されている.しかも今後は,情報源の提供は企業主体であったものが個人主体の提供も増加されていくなど,多種多様な情報源が爆発的に増加していくことが予想される.  そこで本報告では,上述の状況に適した分散型アーキテクチャにおいて,その欠点である参照・更新性能,特にジョイン処理性能の向上を目的とした,情報統合サービスのための分散型情報統合アーキテクチャ及びジョイン方式を提案する.提案するアーキテクチャのポイントは,情報源と独立し、かつ1対1に対応するインデクスユニットのみをメモリ上に保持することと,ジョイン処理はインデックスユニット間で行うことにある.このアーキテクチャの利点は,メモリ上のインデックス間だけでジョインすることにより,性能向上が図れることである.本報告では,上述のアーキテクチャ上でのジョイン処理性能の向上方式として,ブロック単位ソートマージジョインを提案するとともに,その有効性確認結果を報告する.  一般に分散データベースにおける適したジョイン方式としては,セミジョインがある.この方式では片系に全てのキー値を送信し,ジョインに成功したキー値を送信元の系に返信する.しかし,片系に全てのキー値を送信するので送信された系は一時的に両系のキー値を全てメモリ上に保持することになり、特に全てのキー値の合計サイズが数GBに及ぶ場合には、各インデックスユニットで常に数GBの空き容量を用意する必要がある。さらに複数のインデックスユニット間で複数のジョイン処理が同時平行に発生する状況では、ひとつのインデックスユニットへ同時に複数のインデックスユニットから全キー値が送信されることも考えられ,より大きな空きメモリ領域を確保しておく必要がある.一方,キー値がソート済みの状態で格納されているインデックスを使用することを想定すると、ソートマージジョインの採用も考えられる.キー値を一個ずつ互いに送信しあいながらジョイン処理を進めることになるので,セミジョンのように大量のメモリ領域の確保は必要がない.しかし,キー値の送受信回数がセミジョインと比較して非常に多くなり,通信時間が増大するため性能では著しく不利である.  そこで,セミジョインのキー値の送信の効率性とソートマージジョインの省メモリ性を両立可能とする,ブロック単位ソートマージジョインを提案する.インデックスユニット間の通信プロトコルとしてTCP/IPを前提とすると,インデックスユニット間の通信帯域幅は最大TCPウィンドウサイズの制約を受ける.よって全キー値のサイズが少なくとも最大TCPウィンドウサイズ以上のサイズになると,全部を一度に送信する場合と分割して複数回で送信する場合において通信時間が変わらなくなってくることが予想される,そこで本方式では,分割して送信しても通信時間が変わらないサイズに複数個のキー値をブロックとしてまとめて送信をすることで,セミジョインと比べてメモリ使用量を削減し,かつ通信時間を増加を防ぐ.本方式の処理フローは以下の通りである.ソートマージジョインがキー値を1個ずつ他系に送信するのに対して,ソートされたキー値の上位からn個を1つのブロックとしてまとめて他系に送信する,以降,最初にn個のキー値を送信する系を0系,受信する系を1系と呼ぶ,1系において受信したn個のキー値と1系のキー値とのジョイン処理をおこなう.そしてn個のキー値の中の最大値より大きい1系のキー値を取得し,そのキー値以降のn個を1つのブロックとしてまとめる,そのブロックをジョインが成功したキー値とともに1系に送信する,上述の処理を0,1系にて交互に繰り返しキー値列の最後のキー値の処理が完了したときジョイン処理が完了する.このブロック単位ソートマージジョインは,n=1のときはソートマージジョイン,n=(全キー値数)のときはセミジョインと同じ処理となる.  本方式の有効性の確認のため、全キー値数が1億個のインデックスをメモリ上に構築して検証をおこなった.なおインデックスとしてはB-treeを使用した.この結果、n=5千〜5万の場合でもジョイン処理時間がn=1億の場合と同等となる結果が得られ、本方式の有効性を確認した。


セッション 1H  ユビキタスセキュリティ(UBI)
日時: 2008年7月9日(水) 13:40 - 15:20
部屋: ビューホール(1)
座長: 和田 雅昭 (はこだて未来大学)

1H-1 (時間: 13:40 - 14:05)
題名サービスアクセスに連動したトンネルネットワークの自動構築
著者*榎堀 優, 中野 悦史 (立命館大学大学院理工学研究科), 藤原 茂雄, 田中 宏一 (株式会社内田洋行), 岩崎 陽平, 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 177 - 184
Keyword仮想ネットワーク制御, スマート環境, トンネリング
Abstractユビキタスコンピューティングでは,部屋などに設置したデバイス群の連携でユーザをサポートするスマート環境が提唱されており,これらの相互連携により高度なサービスが提供されると期待されている.多くのスマート環境は区切られたネットワーク内に構築されており,各種VPN やSSH ポートフォワードなどを行うことが多い.しかし,これらは固定通信路の事前確保や,意識的にサービス利用とは別の手順を行う必要があった.これに対し我々は,サービスアクセス時に発生するDNS クエリをトリガとして自動的な通信経路の確保するPeerPool を提案してきた.しかしながら,PeerPoolは特定形式のホスト名を要求するため,サービスやユーザが注意を払いつつ利用する必要や,連携時や設定時の動作に,ユーザらが日常的に行っている動作から乖離が見られた.この問題に対し,既存ソフトウェアを統御してスマート環境間の連携をサポートするNUE を用いることで解決を行った.プロトタイプのNUE はSkype を用いて実装されており,OpenVPN ベースで構築したPeerPoolとの連携によりサービスアクセスに連動したトンネルネットワークの自動構築を可能とした.

1H-2 (時間: 14:05 - 14:30)
題名RESTに基づく異種スマート環境間のセキュアな連携基盤
著者*岩崎 陽平 (名古屋大学大学院 工学研究科), 榎堀 優 (立命館大学大学院 理工学研究科), 藤原 茂雄, 田中 宏一 (株式会社 内田洋行), 西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部), 河口 信夫 (名古屋大学大学院 工学研究科)
Pagepp. 185 - 194
KeywordREST, Webサービス, スマート環境, ユビキタスコンピューティング, アクセス制御
Abstract生活環境に様々なセンサや機器を埋め込み,スマート環境を構築する試みが多数なされているが,一般にスマート環境はその環境の中だけで閉じていることが多く,異なる組織により構築されたスマート環境(異種スマート環境)間で,機器やサービス間の連携を行うのは困難であった.本稿では,異種スマート環境間の連携のための要件を示し,それを満たすフレームワークを提案する.本フレームワークでは,シンプルかつ汎用的な枠組みを実現するために,各スマート環境の機器をRESTに基づくWebサービスとして公開する.また,ゲストユーザに対してもスケーラブルできめ細かな権限管理を実現するために,ユーザ管理が不要なアクセス権限管理手法として,チケット認証方式を提案する.これは,イベント等で利用される紙のチケットから着想を得たものであり,ユーザが持つデジタル署名されたチケットのデータのみで,サービスの利用権限を判断する.本稿で提案した枠組みを用いれば,異種スマート環境間の連携を,シンプル・汎用的・セキュア・スケーラブルに実現できる.

1H-3 (時間: 14:30 - 14:55)
題名通信コストと計測精度を考慮したトラッキングのためのセンサモデルの提案
著者*中里 彦俊, 中村 善行 (早稲田大学), 鄭 顕志 (早稲田大学/国立情報学研究所), 深澤 良彰 (早稲田大学), 本位田 真一 (国立情報学研究所/東京大学)
Pagepp. 195 - 204
Keywordトラッキング, RSSI, センシング範囲
Abstract本論文では,無線センサネットワークにおけるトラッキングの計測精度と通信コストのトレードオフを調整する方法を提案する.無線センサネットワークを使用したアプリケーションに,移動する対象を追跡するトラッキングがある.トラッキングを用いることで,外部からの要求に応じて指定された対象を追跡する事ができる.トラッキングを行う際に,追跡できた対象の位置に関する正確さを示す計測精度は,外部の要求に応じて異なる.また,センサはバッテリ駆動であり,電力資源に制限がある為,トラッキングをする際に消費する電力量は,少なく抑えなければならない.消費電力量を抑える方法の一つに,通信コストを削減する方法がある.計測精度と通信コストはトレードオフの関係になっており,本論文では,外部から与えられた計測精度を満たしつつ,通信コストが最小になるようにトレードオフ調整をするトラッキングの構築を目標とする. トラッキングにおける対象の位置を推定する方法として電波強度を使用した推定方法が広く用いられている.本論文が対象とするトラッキングでは,複数のセンサが対象から発信された電波を受信し,互いの電波強度を統合する事で対象の位置推定を行う.この電波強度から対象の位置情報に変換するモデルをセンサモデルと呼ぶ.既存のセンサモデルにはレンジセンサモデルとバイナリセンサモデルの2種類がある.レンジセンサモデルは,受信した電波強度から対象までの距離を算出する.一方,バイナリセンサモデルは,受信した電波強度から、センサが電波を受信できる限界範囲であるセンシング範囲内に対象が存在するかどうかを判定する.レンジセンサモデルとバイナリセンサモデルでは計測精度に違いがあり,計測精度を調整する事ができない.従って,外部から要求された計測精度に応じて通信コストを最小に抑える事ができない.そこで,計測精度と通信コストを柔軟に調整するセンサモデルが必要になる.  本論文では,センシング範囲の分割に着目し,計測精度と通信コストを柔軟に調整するn分割モデルを提案する.n分割モデルではセンシング範囲内を,センサを中心とする同心円にn-1等分し、電波強度に応じていずれかの区域に対象の推定位置をマッピングさせる。分割数nを増減させることで、区域の広さを調節し,その結果計測精度を調整する事ができる。また,計測精度と通信コストはトレードオフの関係にある為,nを調整することで,計測精度を調整すると同時に通信コストも調整することができる. n分割モデルにおける分割数nが計測精度と通信コストに与える影響をシミュレーションにより評価した.シミュレーションでは,バイナリセンサモデル,レンジセンサモデル,n分割モデルを用いたトラッキングを行い,nを変更させながら,各センサモデルにおける計測精度と通信コストを比較した.移動軌跡には,異なる数種類の軌跡を準備した.シミュレーションの結果,軌跡の種類に依存せずにn分割モデルにおける分割数nの増加に従い,計測精度が向上し,同時に通信コストも高くなった.この事から,n分割モデルのnを変更することで,計測精度と通信コストを柔軟に調整できる事が示された. 本論文では,トラッキングにおける計測精度と通信コストを柔軟に調整する為に,センサの計測した電波強度に複数の閾値を設定し,電波強度に応じてセンサのセンシング範囲内を分割するn 分割モデルを提案した.分割数n を変更させる事で,トラッキング精度と通信コストのトレードオフを取れる事をシミュレーションにより示した.nを適切な値に設定する事で,外部の要求する計測精度を満たしつつ,通信コストを最小に抑えることができる.

1H-4 (時間: 14:55 - 15:20)
題名センサネットワークにおけるプライバシー保護とサービス提供を実現するセンサ制御方式の検討
著者*一枚田 隆史, 中川 紘志, 加藤 弘一, 勅使河原 可海 (創価大学大学院)
Pagepp. 205 - 213
Keywordセンサネットワーク, 最適化問題, プライバシー, ユビキタス
Abstract1. 研究の背景と目的 近年,ユビキタス社会の実現に向けて様々な研究や開発が進められている.このユビキタス社会を実現するための技術の一つとして,センサネットワーク技術に注目が集まっている.この技術により,性能や使用用途が異なる多種多様なセンサノードや電子タグリーダが自動的に周囲の人やモノの状況,または空間の温度や湿度といった環境情報などを取得し,それらの情報を基に日常の生活や業務に対して,空間利用者の行動や状況に応じた有益なサービス提供が可能になると考えられる. センサネットワーク技術の普及に付随する問題として,ユーザのプライバシー問題が挙げられる.現状のセンサネットワーク空間では,個人を特定できるような個人情報やユーザのプライバシーを侵害する情報が無意識のうちにセンサノードによって取得されてしまい,ノード間やネットワーク上でやり取りされることが考えられる.従って,ユーザはセンサネットワークを安心して利用することができなくなってしまう恐れがある.一方,センサノードによって取得する情報を制限してしまうと,サービスを提供できない可能性がある.以上の点から,センサネットワーク空間では,ユーザのプライバシー保護とサービス提供の両立を図ることが重要となる. そのような問題に対して本研究室では,センサネットワーク空間利用の際にユーザの要望を抽出し定義する方式について検討が行われている.これにより,ユーザが利用したいサービスや提供を許容する/しない情報等が決定される.これを受け,本研究ではこれまで,ユーザの要望を実際のセンサネットワーク空間に反映させることを目的とし,決定されたユーザの要望をセンサネットワークに反映させるためのセンサ制御方式について検討してきた.しかし,実際にセンサを適切に制御するためには,ユーザ,センサ,サービスの状況を考慮して最適なセンサを選択する必要がある.そこで本稿では,状況に応じた最適なセンサの組み合わせ決定方式について検討を行う. 2. 本研究のアプローチと課題 情報取得やサービス利用に関するユーザの要望をセンサネットワーク空間に反映させるためには,空間に存在する多様なセンサノードを制御する必要がある.具体的な方法として,ユーザが提供を許容する/しない情報を取得するそれぞれのセンサノードに対して命令を出し,取得動作を制御する方法がある. このセンサ制御の実現のためには,制御すべきセンサを決定する必要がある.しかし,空間を利用するユーザは複数存在し、各ユーザの要望は異なると考えられるため,空間を利用する全ユーザの要望を満たす情報取得とサービス提供の実現は非常に困難である.また,空間を利用するユーザの数や位置が変化すると,使用すべきセンサも変化する。 同時に,情報取得に関するセンサノードの性能の違いも考慮に入れなければならない。センサの種類や性能により,情報を取得可能な物理的範囲は異なる.さらに,センサノードの性能の違いにより,サービスを実行する上で必要なコンテキスト情報の精度に差が生じ,サービスの品質に影響を与える.例えば,「人が来た」というコンテキスト情報と「Aさんが来た」というコンテキスト情報では情報としての精度が異なり,提供可能なサービスの品質も異なってくる. 以上から,ユーザが望むサービス提供と品質を実現するためには,センサネットワーク空間における様々な情報を考慮し,最適な使用センサノードの組み合わせを決定しなければならない。 3. 使用する最適なセンサの組み合わせの選択 本稿では,まず最適なセンサの組み合わせを決定する際に考慮しなければならない要素を整理する.例えば,ユーザが提供を許容する/しない情報,利用したいサービス,センサの性能や取得情報の精度,ユーザとセンサの位置関係,各サービスを実行するために必要なセンサ情報やコンテキスト情報などが挙げられる. そして,ユーザの要望を実現するための最適なセンサの組み合わせの決定のための定式化を行う.このために,まず考慮すべき要素を定量化する.そして,満たすべきユーザの要望や考慮すべき条件を制約条件とし,全ユーザのサービス品質を最大化するなど適切な目的関数を設定することで,センサ選択に関する離散最適化問題として定式化を行う.この最適化問題を解くことによって,全てのユーザの要望を考慮した,最適なセンサノードの組み合わせが決定できる.


セッション 1I  ユビキタス情報提示(UBI)
日時: 2008年7月9日(水) 13:40 - 15:20
部屋: ビューホール(2)
座長: 今野 将 (千葉工業大学)

1I-1 (時間: 13:40 - 14:05)
題名プロジェクタによる一斉制御が可能なユビキタス光デバイスの設計と実装
著者*中田 眞深, 児玉 賢治, 藤田 直生, 竹川 佳成, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻), 細見 心一, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院/情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 214 - 221
Keyword電飾アート, LED制御, ユビキタスコンピューティング, ユビキタスデバイス
Abstract近年,発光ダイオード(LED)を用いたイルミネーションが多くみられるようになった. しかしその動作は非常に単純で点滅パターンの組合せやマイコンによる簡単なインタラクションの 導入にとどまっている.筆者らの研究グループではこれまでに,プロジェクタと光センサを搭載したデバイスによる 新しいLEDの一斉制御方式を提案した.この手法を用いることで,数百個,数千個のLEDの 動的な一斉制御が可能になる.そこで本研究ではこの新しい制御方法を実現するための小型デバイスの 設計と実装を目的とする.実装した小型デバイスは光センサ,LEDおよびマイコンを搭載しており,プロジェクタによって照射された光を 光センサが感知し,その情報に基づいてマイコンがLEDを動作させる.またデバイスは大量のデバイスを一斉に制御 する際に必要なしきい値の自動調整の機能や,光コマンドによる制御機能も実装しており,スイッチのON/OFFや しきい値調整を各デバイスに行うことなく,すべてのデバイスを一括管理することが可能となっている. さらにデバイスの評価実験,実運用を通して本提案手法と実装したデバイスの有用性を確認した.

1I-2 (時間: 14:05 - 14:30)
題名公共大画面への注視情報取得システム
著者*南竹 俊介 (筑波大学大学院 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻), 高橋 伸, 田中 二郎 (筑波大学大学院  システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻)
Pagepp. 222 - 229
Keyword大画面, カメラ, 画像解析, 顔の向き
Abstract1. はじめに  プラズマディスプレイやプロジェクタなどの大画面を公共の場に設置し,それらを用いて情報を提示する機会が増加している.公共の場での大画面とのインタラクションを行う研究も盛んに行われており,今後もこのような大画面が設置され,利用される機会は増大していくと考えられる.  しかし現在,公共の場でこれらの大画面を用いる場合,その大画面の前にいる人物の情報を取得していることは稀である.これらの大画面から,情報を提示するときやインタラクションを考える際,大画面の前にいる人物の情報を取得することは重要であり,特に大画面に表示している情報への注目状況を取得することは重要である.  ユーザの注視点を推定する研究は[1]や[2]のように眼球の動きや角膜反射などを直接撮影することによってユーザの注視点を推定する研究が行われているが,ユーザが測定デバイスを装着する必要があったり,特徴点抽出のために利用者が測定デバイスの前から大きく動けないなどといった点で問題があるといえる.本研究では大画面付近に設置されたカメラより歩行者を撮影し,取得した画像中の歩行者の顔の肌色領域を解析することにより,大画面上に表示されている情報への注目状況を取得することが可能なシステムの実装と,それを利用した大画面上の画像への注目状況を取得するアプリケーションの実装を行った. 2 システム構成  本システムでは大画面付近に歩行者を撮影するカメラを設置し,そこから取得した画像を解析することによって歩行者の注視点を推定する.カメラからの画像の取得と画像解析部に関してはOpenCVを用いて実装を行った. また,壁一面を覆うサイズの大画面への注目情報を取得しようとする場合,一つのカメラのみでは歩行者全体を撮影することは困難であるため,歩行者を撮影するためのカメラを複数設置することも可能なよう実装を行った.また,一つのカメラから取得した画像から同時に複数名の視線情報を取得することも可能である. 2.1 顔向きの推定  カメラから取得した画像から顔の位置を認識した後,顔の向きの推定を開始する.人間の鼻は一般に,顔の中央,凸部の位置に存在している.本研究ではその特徴に着目し顔の角度の推定を行う.まず,顔と鼻の位置を検出し,その位置を中心に一定サイズの矩形画像として撮影画像を切りだす.その後,肌色領域抽出のための画像処理を行い,矩形画像中に存在する最も大きな肌色領域の重心が,鼻の位置からどの程度離れているか測定し,それを顔を球体モデルにあてはめることによって角度の計測を行う.これによってユーザの顔の向きを測定する. 3. 予備実験  実装を行った顔向き推定システムの精度に関して予備実験を行った. カメラの前にいる被験者に10度おきに設置されたオブジェクトを注視してもらい, 実際の注視点とシステムの推定する注視点とのずれを計測した.  注視点を推定する際,誤差を±10 度まで許容しそれ以上をエラーとした場合,30度以内までは平均5%程度の,40度から50度までの場合は大きい時は20%程度,平均して10%程度のエラー率で注視情報が取得可能であった.また,それ以上の角度に関しては顔認識自体に失敗してしまい計測が不可能であった. 4. 大画面への注目状況取得アプリケーションの実装  先述したシステムを利用して,大画面上に表示される広告などへの注目状況を解析するアプリケーション,SignageGazerの実装を行った.大画面付近に測定用PCに接続されたカメラを設置し,測定を行いたい画像,または動画を登録し,開始ボタンをクリックしたら測定が開始される. 画面上の情報を継続して見続けた人物にはそれぞれIDが設定される.ユーザは画面を見た人物の数や, 画面上の情報が見られた時間などの情報が取得可能であり,これらの情報はグラフや表で出力される. また,ユーザはそれぞれの情報に対して閾値を設定することによって,表示する情報を歩行者の興味にあわせて動的に変更することも可能である.例えば,広告提供者は事前に複数のバージョンの広告を準備しておくことによって,現在視聴中の歩行者に対してより詳細な情報の表示を行うことや,より歩行者の興味を引きやすい広告に変更することなどが可能になり,画面を注目する人物への積極的な働きかけを行うことが可能となる. 参考文献 [1] Jason S. Babcock and Jeff B. Pelz. Building a lightweight eyetracking headgear. In ETRA ’04: Proceedings of the 2004 symposium on Eye tracking research & applications, pp. 109?114,New York, NY, USA, 2004. ACM. [2]中道上, 阪井誠, 島和之, 松本健一. 視線情報を用いたweb ユーザビリティ評価の実験的検 討. 情報処理学会研究報告, ソフトウェア工学, 第143 巻, pp. 1?8, July 2003.

1I-3 (時間: 14:30 - 14:55)
題名ユーザ応答に動的に適応するコンテンツ配信システム
著者*馬谷 達也 (立命館大学大学院理工学研究科), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 230 - 240
Keywordレコメンデーション

1I-4 (時間: 14:55 - 15:20)
題名コンテキスト情報を用いた携帯電話のアプリケーションメニューの構築と評価
著者*松本 光弘 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 清原 良三 (三菱電機(株)情報技術総合研究所), 福井 秀徳 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 沼尾 正行, 栗原 聡 (大阪大学産業科学研究所)
Pagepp. 241 - 248
Keyword携帯電話, 操作予測, クラスタリング
Abstract近年,携帯電話は高機能化し,様々な用途に利用されている.本来の用途である通話機能はもちろんのこと,カメラで静止画や動画を撮影したり,音楽を聴いたり,テレビを見ることもできる.また,スケジュール管理や文書ファイルなどの閲覧まで可能な機種も登場しており,電子マネー用のデバイス機能までが付加され,いまや情報管理における電子秘書としての重要な役割を担う.このように,さまざまな機能が付加され携帯電話の利便性が向上する一方で,その操作が複雑になっていることも事実である.機能が増加すれば,その中から必要な機能を選択する手間が増える.そのため,複雑な機能を排除し,電話やメールなど携帯電話として必要な機能を絞り込んだシニア携帯が携帯電話に精通していない60歳以上のシニア層から支持を得ている.このように携帯電話にとって操作性の向上は利便性の向上と同様に重要な問題である.機能が増加しても操作性が低下しないUIを作成する必要がある. そこで,我々はユーザの操作を予測することで煩わしい操作を軽減することを考えた.ユーザの操作を予測するには,ユーザが携帯電話をどのように利用しているかを知る必要がある.我々は位置や時刻というコンテキスト情報によって,携帯電話で利用される機能が異なることに着目した.位置や時刻によって利用される機能が異なれば,位置や時刻を特定することでユーザが利用したい機能を予測することができる. 本論文では,ユーザの所望する機能を予測することができるのか検証するために,実際にユーザの行動履歴を取得した.携帯電話での操作履歴の取得が困難であったため,被験者に携帯電話の代わりに小型PCとGPSレシーバを持ち歩いてもらい,行動履歴を取得した.約3ヶ月間実験を行い,51日分の操作履歴を取得することができた. その操作履歴の中でよく利用されていた15種類の機能に着目し,15種類の機能がどこでいつ利用されるのかを抽出した.具体的には,1つの機能に対し,似たコンテキストで利用されているものをクラスタリングすることで,その機能の利用範囲(例えば,駅周辺とか9時頃など)を特定する.その利用範囲において,利用頻度の多いものをユーザが利用したい機能とし,その頻度順にメニューを構築した.メニューの上位にユーザが利用したい機能があれば,ユーザの操作を予測できたといえる. 51日分のデータのうち,直前の14日間のデータを用いて,37日分のデータの予測を行った.提案手法を評価するために,位置と時刻を用いない利用頻度のみを用いて構築したメニューと比較した.その結果,コンテキストに依存する機能において,より良い結果を得ることができた.


セッション 2A  認証(CSEC)
日時: 2008年7月9日(水) 15:30 - 17:10
部屋: ポラリス
座長: 加藤 岳久 (東芝ソリューション)

2A-1 (時間: 15:30 - 15:55)
題名指静脈認証を用いた出席確認システムの開発
著者*河田 貴司, 湯瀬 裕昭, 吉田 雄紀 (静岡県立大学大学院経営情報学研究科)
Pagepp. 249 - 254
Keyword出席確認, 指静脈認証
Abstract 大学における出席確認においては,従来から紙による出席表での確認や点呼による確認が採用されてきている.しかし,これらの方法による出席確認は,授業中の出席確認作業と,授業後の集計作業に,大変な労力と時間を費やす必要がある.また一方では,大人数の受講者を対象とした講義においては,いわゆる「代返」や「なりすまし」といった不正をどう防ぐかという大きな課題も存在する.本研究では最初に,「代返」や「なりすまし」といった不正行為を抑止することが可能な出席確認システムについて,先行研究をサーベイし,「時間」と「場所」と「本人の同定」の3つの軸に分けて検討を行い,不正行為を抑止することが可能な出席確認システムには,他人に貸し出すことができず,学生ひとりひとり唯一無二な生体情報を使用する必要があると考え,指静脈認証を使用する出席確認システムの提案を行った.  本論文では,指静脈認証を用いた出席確認システムのプロトタイプの開発を行ったので,そのシステムについて報告する.

2A-2 (時間: 15:55 - 16:20)
題名モバイル環境のための近似文字列照合によるバイオメトリック認証に関する一考察
著者*川本 哲 (九州大学大学院システム情報科学府), 高野 茂, 馬場 謙介 (九州大学大学院システム情報科学研究院)
Pagepp. 255 - 260
Keywordセキュリティ, バイオメトリック認証, 文字列照合, プライバシー保護, 携帯デバイス
Abstract銀行のATMや建物の入退管理,インターネットを介した様々なサービスの提供等を行うシステムにおいて,特に本人確認による認証を行う機会が増大している.本人確認の手段のひとつとして,「生体情報」と呼ばれる身体的あるいは行動的特徴により認証を行う「バイオメトリック認証」が注目されている.バイオメトリック認証は,生体情報の唯一性と永続性から,なりすまし等の攻撃に対して耐性を持つ有益な認証手段になり得ると考えられている. バイオメトリック認証は,携帯型のデバイスとネットワークを利用したユビキタスシステムへの導入により,より利便性の高い応用が考えられる.例えば,銀行のATMで提供されるサービスの一部は,ATMの設置された場所でなくても携帯電話端末で享受できる場合がある.この際,生体情報を採取する機器が照合などの処理を行うサーバコンピュータ部分と一体になった単純な実装形態と比較し,少なくとも以下の2つの問題点が生じる.まず,単純な実装形態で専用の機器によって行われる生体情報の採取を,携帯デバイス等の制限された機能で行わなければならない.また,認証に用いる情報は,公共性の高いネットワーク上でやり取りされ,携帯デバイスやクライアント機器に保存されることが考えられるため,漏洩する可能性が増加する. 我々は,認証に用いる生体情報の種類として,携帯電話端末等に搭載されたカメラにより採取できるものを想定する.そして,生体情報を採取した携帯デバイス上で文字列に変換し,サーバ等の本人確認を行うシステムへ送信する認証手法を提案する.前述の第一の問題点は,生体情報を採取するための専用機器による生体情報の正規化が行われないために,認証の精度が下がることである.提案手法では,この精度の低下を文字列の近似照合によって補う.具体的には,画像の照合は特徴点の比較によって行い,元の画像の位置や拡大・縮小についての正規化を,特徴点の種類の設定によって補う.また,回転についての正規化を,特徴点についての順序の設定によって補う.ノイズ混入や特徴点の抽出ミスは,近似文字列照合での挿入・削除や置換の操作によって補う.第二の問題点に対しては,生体情報の文字列への変換を採取した機器上で行うことにより,その機器の出力から元の生体情報を漏洩しにくくすることができる.ここでは,本人確認として実用的な精度を実現する近似文字列照合を可能にしたままで,変換後の情報からの元情報の推測の困難さを実現しなければならない. 本稿では,モバイル環境のための近似文字列照合によるバイオメトリック認証法を提案する.まず,我々の提案するバイオメトリック認証手法において,変換後の文字列からの元の生体情報の推測の困難さを理論的に解析する.そして,手のひらのしわを認証のための生体情報とし,一般的な画像の照合手法による認証と提案手法についてサンプル画像による実験を行い,認証の精度としてFAR値およびFRR値を測定する.実験では,生体情報の採取や処理のための機器として十分な性能のものを用いることで,提案手法についての認証の精度を,計算資源が制限されることによる精度の低下と区別して測定する.この結果をもとに,携帯電話端末等の既存の携帯デバイスでの実装可能性について考察する.

2A-3 (時間: 16:20 - 16:45)
題名ワンタイム・パスワード型画像認証の覗き見防止に関する提案と実装
著者風間 昭洋 (東京工科大学コンピュータサイエンス学部), *上田 英司 (東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科), 宇田 隆哉 (東京工科大学コンピュータサイエンス学部)
Pagepp. 261 - 268
Keyword画像認証, ワンタイムパスワード, 覗き見防止
Abstract近年,ATM等で利用者がパスワードを入力する際,隠しカメラによる覗き見や後方からの覗き見が問題となっている. これらの覗き見によりパスワードが漏洩するため,キャッシュカード等を紛失した場合,利用者は甚大な被害を被る可能性がある.覗き見の対策として,生体情報を認証に用いたシステムが研究開発されている.しかし,近年の研究により指紋情報や静脈情報は偽造が可能であることが示唆されており,生体情報は変更できないため,その情報が流出してしまうと被害は大きい.徐らは,覗き見に対する耐性を持つワンタイム・パスワード型画像認証手法を提案しているが,この手法は連続した覗き見に対して耐性がない.それゆえ,本稿では,連続した覗き見に対して耐性を持つワンタイム・パスワード型画像認証手法の提案とその評価について述べる.

2A-4 (時間: 16:45 - 17:10)
題名手続き記憶を利用した再認型認証方式の検討
著者*小島 悠子 (静岡大学大学院), 山本 匠, 西垣 正勝 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 269 - 277
Keywordセキュリティ, 画像認証方式, 描き順, 覗き見耐性
Abstract記憶を用いた認証は,「記憶の種類」と「想起方法」の組み合わせによりいくつかに分類される.例えば,認証時に提示される複数の画像のうち,自身の記憶したパス画像がどれであるかを判断し,選択することで認証が行われる画像認証方式などは,「エピソード記憶」を用いた「再認」型の認証に分類される.このように,さまざまな「記憶の種類」と「想起方法」の組み合わせを利用した認証方式が既に提案・実用化されているが,本研究ではこれらのうち,まだ検討されていない組み合わせを利用した新しいユーザ認証の実現可能性を探ることを目的としている.本稿では,その中でも「手続き記憶(技能記憶)」を用いた「再認」型の認証方式に着目し,基礎実験により実効性を評価する.


セッション 2B  協調作業(GN)
日時: 2008年7月9日(水) 15:30 - 17:10
部屋: ベガ
座長: 小川 剛史 (東京大学)

2B-1 (時間: 15:30 - 15:55)
題名対面協調作業支援システムの基盤としてのタンジブルユーザインタフェースの評価
著者*水越 悠太 (神奈川工科大学大学院工学研究科), 服部 哲 (神奈川工科大学情報学部), 速水 治夫 (神奈川工科大学大学院工学研究科)
Pagepp. 278 - 284
KeywordCSCW, TUI, 対面協調作業
Abstract1.はじめに 現在,ユーザインタフェースは操作の容易さからGUIが主流となっている.GUIはそれまで主流だったCUIに比べ,コンピュータを直感的に操作することができる.しかし,マウスなどによる操作は間接的なものであり,ユーザとコンピュータの間にははっきりと境界が存在する.また,複数のユーザが同時にコンピュータを操作することはできない. こういった問題を解決することができるユーザインタフェースであるタンジブルユーザインタフェース(TUI: Tangible User Interface)を石井らが提案している.TUIでは情報を物理的な物体と対応させることで,直接操作性を向上させることができる.これによりユーザとコンピュータの間の境界を取り除き,より直感的で自然な操作を行える. 協調作業は人と人が協力して作業をすることであり,効率よく進めるためには円滑なコミュニケーションが重要になる.分散型の協調作業においては協調作業支援システムを介してコミュニケーションが行われるのに対し,対面同期の協調作業では作業参加者同士のコミュニケーションはシステムを介さずに行われるため,システムがこれを支援する必要性は高くない.したがって,協調作業を支援するシステムは作業者同士のコミュニケーションを支援するよりもむしろ妨げないようにするべきである. 2.協調作業支援システム 協調作業支援システムは紙・GUI・TUIといった基盤の上に個々の作業を支援するアプリケーションで構築される.KJ法を例にとると,付箋や模造紙などのアナログなものを基盤とし,その上にKJ法というアプリケーションが乗っていると考えられる.基盤は協調作業を支援するための特別な機能を持っておらず,システム・ユーザ間のインタフェースとしての特性を持っている.基盤が持つ特性により,その上に構築されるアプリケーションは様々な制約を受けるが,その特性を活かすことで効果的な協調作業の支援を行うことができる. GUIを基盤とした場合,作業参加者にマウスやキーボードを使った作業を強いる.このため,作業参加者はシステムの操作に一定の注意を払わなくてはならないため作業参加者同士のコミュニケーションを妨げる可能性がある.これに対し,TUIを基盤として用いた場合は日常的な作業スタイルと異なる作業スタイルを強いることがなく,自然な操作でシステムを扱うことができる.これにより作業参加者は本来の作業に集中することができ,コミュニケーションを妨げにくいと考えられる. 3.試作システム 本研究では協調作業支援システムの基盤としてのTUIの評価を行うために,TUIを取り入れた協調作業環境を試作した.試作したシステムではテキストデータ・画像データを,紙を扱うのに近い操作感で扱えるようにした.情報と対応付けられた紙製のマーカを操作することで,表示されている情報を動かすことができる.マーカの認識と識別にはARToolKitを使用した. 協調作業支援システムの基盤としてのTUIを評価するため,具体的に協調作業を支援するような機能は持たせていない. 4.実験 協調作業の観察とアンケートによって協調作業時のコミュニケーションについて,紙・GUI・TUIの3つの環境で比較した.実験では9部屋のアパートに与えられた条件に従って学生を配置するという課題を用意し3つの環境で作業を行ってもらった.これを3人ひと組のグループ3組で実施し,作業の様子を観察してアンケートを行った. 紙環境でみられたオブジェクトを指示するという動作がTUI環境では観察することができたが,GUI環境においてはほぼ見られなかった.また,紙環境及びTUI環境ではすべての参加者がオブジェクトの操作を行っていたのに対し,GUI環境では一人の参加者がマウスを保持し,専任的にオブジェクトの操作を行っていた. アンケートでは1)協調作業がしやすかった,2)操作が簡単だった,3)自分の思う通りにオブジェクトの操作ができた,4)他の参加者が見ている場所がよく理解できた,5)他の参加者の動作がよく理解できた,6)他の参加者の表情を見ながら作業した,7)十分に協調作業に参加できた,の7項目について5段階で評価を受けた. その結果すべての項目においてTUIの評価はGUIを上回っていた. 5.考察 試作したシステムでは紙を使用した協調作業と近いデータが得られ,GUIを用いた協調作業と比べコミュニケーションを妨げないことが分かった.特にアウェアネスに関するアンケート項目4〜6ではTUI環境とGUI環境の差が顕著であった.このことから,アウェアネスが重要となる協調作業を支援するシステムの基盤としてTUIが有効であると考えられる.

2B-2 (時間: 15:55 - 16:20)
題名自動処理可能なビジュアルメタグループウェア
著者松本 義隆 (神奈川工科大学大学院工学研究科), 服部 哲 (神奈川工科大学情報学部情報メディア学科), *速水 治夫 (神奈川工科大学大学院工学研究科)
Pagepp. 285 - 288
KeywordVMG, グループウェア
Abstract1.はじめに  グループウェアとは,人々の協調作業を支援するコンピュータシステムである.一般的にはオフィスにおいて,導入コストを安価に抑えて使いやすいグループウェアを導入することは困難である.そこでユーザグループにとって最も使いやすいグループウェアを低コストで導入することを目指すシステムとして,ビジュアルメタグループウェア(Visual Meta Groupware,以下VMGと略す)が本研究室で先行研究されてきた.VMGのコンセプトは次の2つの側面がある. (A)あるユーザグループが必要とする機能を持つグループウェアを構築できる. (B)ノンプログラミングにグループウェアを構築できるため,低コストで導入できる.  先行研究では主に側面Bを達成するための土台となるシステムが開発された.単純な図形を組み合わせることで複雑な視覚的ツールを構築可能とした.  また,側面Aを達成するための手法として自動処理機能を提案した.  本論文では引き続き側面Aを推進し,満足度向上のための土台作りを行う.自動処理機能を強化することで,部品間の機能的連携を実現する.すなわち,単純な機能を組み合わせて複雑な機能的ツールを構築可能とすることを目指す. 2.VMG  VMGとは,特定のユーザグループにとって使い易いグループウェアを構築することを目的として,本研究室で開発されているグループウェア開発支援システムである.VMGはホワイトボードを使った情報共有ツール構築とグループウェア構築のアナロジに注目して作られた.Web上の擬似ホワイトボードである共有領域に,ホワイトボードに貼り付けるマグネットやビニルテープを模した画面要素である部品をビジュアルに配置することで,情報共有を目的としたツールをユーザグループで協調して構築することができる.これにより,側面Bの「低コストでのグループウェア構築」を実現した.  本論文では側面A「ユーザグループが必要とする機能を持つグループウェアを構築できる」の土台を作ることを目指す. 3.自動処理機能の強化  自動処理機能とは著者が卒業研究で提案し,試験実装した機能である.ユーザが部品に対して「条件」と「命令」をあらかじめ設定しておくことで,条件が満たされたときに命令が実行されるという機能である.卒業研究では試験実装に留まったため,「時間」という条件と「移動」という命令をひとつの部品にしか設定できなかった.  本研究では以下のような方針で自動処理機能の強化を行った. (1)全部品で自動処理設定を可能とする (2)「条件」を増やす (3)「命令」を増やす (4)部品に複数の命令を設定可能にする 3.1条件  設定できる条件を3つに増やした.「スイッチ」「時間」「配置状態」である.「スイッチ」は設定したスイッチ部品が押されることが条件となる.「時間」は設定した時刻になると条件が満たされる.時間間隔を設定することで定期的な命令実行も可能となる.「配置状態」は四角部品を枠として設定することで,その枠内に部品が存在すると命令が実行される.2つの枠のANDやORを設定することもできる. 3.2命令  設定できる命令を増やした.全部品で設定できる命令として「メッセージ表示」「移動」「削除」「色変更」などがある.特定の部品でのみ設定できる命令として,四角部品には「枠内の部品を数える」命令,メール部品には「メール送信」命令などがある.また,命令は命令リストに格納される.命令リストには複数の命令を格納でき,命令実行時には上から順番に命令を実行する. 4.運用実験  著者の研究室にて自動処理機能を強化したVMGの運用実験を行った.すでにVMGで卒研セミナ発表者予定表を運用しており,今回はこの予定表に対して自動メール送信機能を構築してもらい,運用してもらった.実験協力者は卒研生16名で,うち1名が構築者(管理者)である.評価はコメントとアンケートによって行った.  構築時の評価として,構築者は「命令一つひとつは分かりやすいが複数部品を連携させようとすると複雑になる」とコメントした.このコメントは,自動処理設定を部品に施しても即座に実行結果を確認できない点が原因である,と著者は考察した.運用時の評価として「自動メール送信機能は便利と思うか」の問いに対して「便利」と回答したのが12名,「どちらともいえない」が4名,「ない方が良い」が0名だった. 5.おわりに  自動処理機能を強化したことで,単純な機能を組み合わせて複雑な機能的ツールを構築することができた.これにより,側面Aを達成するための土台を作ることができたと言える.課題としては,自動処理を用いた複数部品の連携の設定を容易にすることである.

2B-3 (時間: 16:20 - 16:45)
題名複合現実感空間におけるポータブルな実物体を基準に相対移動変化量を軌跡提示する遠隔作業支援
著者*山本 峻, 岡嶋 雄太 (慶應義塾大学大学院), 岡田 謙一 (慶應義塾大学、独立行政法人科学技術振興機構)
Pagepp. 289 - 296
Keyword複合現実感, 遠隔コラボレーション, 遠隔作業支援, 実物体コラボレーション
Abstract近年,遠隔にいるユーザがそれぞれ自分の手に実物を所有し,それをあたかも共有しているかのようにコラボレーションができる環境を目指した研究が行われるようになってきた.従来このような環境を実現するには,アクチュエーターや電磁石などを用いて所有する実物の動きを機械的に同期させる手法,または,複合現実感環境で作業空間上の環境全ての実物の構造を一致させて,さらに,ヒトとモノの初期位置を遠隔間で一致させた環境での遠隔コラボレーションを行う共有手法があった.しかし,初期状態に制限なく遠隔間でユーザがそれぞれ実物体を6自由度ポータブルに動かせる環境で、実物体への操作を遠隔に伝え,なおかつその物体そのものの動きを遠隔に伝達することのできる環境は実現されていなかった. また,遠隔コラボレーションにおいて実物の動きを遠隔空間に伝える場合,これまでは機械的な同期の場合は唐突に実物が動き出したり,動きの始点と終点を把握することはできるがそこにいたるまでの軌道は見落としやすいため,遠隔ユーザの行った操作を正しく把握することが難しかった. 本稿では,ユーザが手にデバイスや道具などを持って作業対象物体へ行なう作業をもう一方の遠隔にいるユーザに教えたりトレーニングをする遠隔作業支援環境を想定し,遠隔地にいる指示者・作業者が共に実物を手で動かしながら作業の支援を行なえる「MR空間における実物体を用いた遠隔作業支援」として二つの提案をする. 一つ目の提案によって,遠隔間の環境を同一にする必要がなく自由な環境設定において,物体のポータブル性を維持と物体そのものの動き遠隔に伝達することを実現する. 作業を教える指示者が自身の実物体を実際に動かすことによって物体操作の手本を見せると,その実物体の動きは遠隔にいる作業者の持つ実物を基準として仮想モデルを用いて提示される.つまり,作業者の持つ実物体を始点に指示者の動作が仮想モデルで三次元的に提示される.作業者はこの仮想モデルによる指示に自身の実物体を重ね合わせていくことによって操作を習う.また,この仮想モデルによる指示情報の提示は常に一つ一つの操作ごとに作業者の持つ実物を基準に行なわれるため,実物体の位置姿勢を作業空間上で完全に同期させる必要はなく,それぞれのユーザは自分の作業対象物を自由に動かすことができる.本システムでの一操作は物体の動きが一定時間停止した場合,または実物体の軌跡が一定角度を越えた変化をした場合とする.以上の物体基準での物体の動きを伝達することによって,空間的・身体的な制約がある場合や,途中でユーザが動いたり体の向きを変えた場合にも実物の共有状態を破綻させることなく作業支援を行うことができる. 次に,二つ目の提案では物体の動きの過程が把握困難であった問題を解決する.操作する実物体が回転移動や放物線のような3 次元的な動きをしながら移動する場合は,遠隔側では動きの過程もこれまでは把握が困難であったが,本研究では動きの軌跡を残像として仮想物を提示し,一つ目の提案で述べた,一操作から次の一操作が始まるまで表示し続けることにより,作業者は時間的な制約を受けずに観察し,それをなぞることによって操作の過程を追従することができる. 本提案手法は,作業空間上の空間構造を遠隔間で同期させなくても作業対象となる実物体を共有できる新しいコラボレーション手法であり,この手法を応用していくことによって,実際に物を触って動かしながらの様々な作業支援を行える可能性がある. この提案概念を実現するためのプロトタイプシステムを実装し評価実験を行った. このプロトタイプシステムを用いて本提案システムの有効性を示すために.本提案システムと,ユーザの向きと物体の初期位置を遠隔間で同一にしなくてはいけない従来システムによる比較実験を行った.その結果,指示者・作業者共に実物体を所有し互いに自分の意思でその実物体を動かせる状況で,物体を基準に動き表示する本システムではユーザが向きを変えても実物体の動きを従来システム同様に共有できるということが確認された.また,動きの軌跡を見せることにより,作業者は操作の過程を認識できたことから,動きの軌跡を表示することの有効性が示された.よって本提案の構成要素である実物を基準とした操作の提示と動きの軌跡を表示が有効であることが分かった.よって,2 つの構成要素を含む本提案手法の有効性が示されたと言える. 今後の展望として,現段階では実物体を持ったままユーザが向きを変えたことを,音声を使って遠隔に知らせる方法をとっているが,ユーザが動いたということもより簡単かつ効果的にアウェアできる機能を検討し加えていくことにより,より効率のよい実物体共有型の遠隔作業支援システムが実現していく.

2B-4 (時間: 16:45 - 17:10)
題名複数のサブコミュニティを有するOSSコミュニティを対象としたネットワーク分析
著者*伊原 彰紀, 大平 雅雄, まつ本 真佑, 亀井 靖高, 松本 健一 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 297 - 303
KeywordOSSコミュニティ, 分散開発, ソーシャルネットワーク分析, コーディネータ, PostgreSQL
Abstract一般的なOpen Source Software (OSS) は,地理的に分散した不特定多数の開発者がWWW上に形成したOSSコミュニティにおいて開発が行われている.現在,LinuxやApacheを代表とする一部のOSSは,商用ソフトウェアに劣らない品質と機能を兼ね備えているため広く普及しており,情報化社会における社会基盤を支えているといっても過言ではない.中国やインドにおいてオフショア開発が盛んに行われるようになったことを背景に,分散開発の成功事例であるOSS開発を分析する研究が盛んに行われている.それらの研究の目的は,OSS開発の実態を分析することによって分散開発を成功に導くための要因を明らかにすることである. 我々はこれまで,3つのOSSコミュニティ(Apache,Gimp,Netscape)を対象として,OSSコミュニティ内の開発者とユーザの間に形成されたコミュニケーション構造を分析した.分析の結果,OSSコミュニティが活発に活動するためには,開発者とユーザの間の橋渡し役を務め協調作業を支えるコーディネータの存在が重要であることが分かった.本稿では,開発者とユーザに加え,信頼性の高いソフトウェアの実現に重要な役割を果たすと考えられるバグ報告者らの協調作業を分析した結果について報告する. 本稿では,信頼性の高いリレーショナルデータベース管理システムを開発しているPostgreSQLコミュニティにおける3つの参加者グループ(開発者,ユーザ,バグ報告者)に着目し,コミュニティ成立初期からのコミュニティの成長の様子を,コミュニティ参加人数およびコーディネータ数の時間的推移という観点から分析した.3つのグループの協調作業の円滑化に寄与するコーディネータの存在を確認するとともに,4種類のコーディネータが存在することが分かった. 次に,4種類のコーディネータがどのような特徴を有しているかを調べるために,PostgreSQLコミュニティのある1年間を対象として,参加者のコミュニケーション構造をソーシャルネットワーク分析の一手法である中心性分析を用いて分析した.本稿における中心性分析とは,各参加者の情報を発信/受信する量(次数中心性),参加者間の情報伝達における仲介度合い(媒介中心性),コミュニティ全体に対する情報提供/入手のしやすさ(近接中心性)という3つの指標に基づいて,参加者のコミュニケーション構造を分析することを指す.分析の結果,4種類のコーディネータの内,開発者とバグ報告者を仲介するコーディネータ,および,ユーザとバグ報告者を仲介するコーディネータは,他の2種類のコーディネータと比べてバグ報告者とのコミュニケーション量が少ないということが分かった.また,特定の数人のコーディネータは,開発者,ユーザ,バグ報告者の3つのグループの協調作業における仲介に関与し,常に高い中心性を示すことがわかった.分析によって得られたこれらの知見に基づいて,ソフトウェアの分散開発の成功要因について考察する.


セッション 2C  QOSとPAN(MBL)
日時: 2008年7月9日(水) 15:30 - 17:10
部屋: シリウス
座長: 渡邊 晃 (名城大)

2C-1 (時間: 15:30 - 15:55)
題名無線LAN環境におけるトランスポート層プロトコルの相違による帯域公平性の検討
著者*新井 絵美 (お茶の水女子大学 ), 平野 由美, 村瀬 勉 (NECシステムプラットフォーム研究所), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 304 - 316
Keyword無線LAN, QoS, TCP, UDP, 公平性
Abstract近年,動画ストリームや音声(VoIP)などのマルチメディア通信の需要が高まっている.そのような通信においてQoS(Quality of Service)は大変重要である.しかしQoSと言ってもそこで要求される品質はメディアやアプリケーションにより異なる.そのため,マルチメディア通信のための「QoS」を定義し,これが保証される仕組みを作る必要がある.また,インターネット(TCP/IPに基づくネットワーク)の本質は「ベストエフォート」であるが,QoSが必要とされる場面が増えてきたため,インターネットのプロトコルにQoS保証の仕組みを組込む方法が検討されてきている.この1つの例がTCP-AVである.これは,ルータなどにQoS制御を実装するのではなく,既存のTCPをこれに載せかえて通信を行うというものである.TCP-AVでは,輻輳状態により輻輳ウィンドウ制御パラメータを変更する.これにより目標帯域を確保させるようなことが可能となり,ストリーミング通信などを効果的に行うQoSを実現できる.TCP-AVにより有線環境における帯域確保などのQoS保証が達成されるようになった. 一方で,無線LANが広く普及したことから,有線環境と同様の無線環境において通信の品質が保証されることが望まれている.その例は,前述のVoIPなどである.ユーザは常に同じ品質でアプリケーションが利用可能であることを要求するが,システムとしては無線環境において,有線環境の場合と同様に品質保証を行うことは,より困難である.そこで本研究ではTCP-AVのような帯域確保型TCPが無線環境においても想定しているように振舞うかどうかを検証する.特に実機を用いて評価を行うことにより,シミュレーションではモデル化が困難な端末ごとの機器の差異やバッファの大きさなどによる影響を明らかにし,実環境で有効なQoS手法について検討する. 無線環境におけるQoS保証を実現するために,本論文では無線環境におけるQoSについての2つの重要な問題に焦点をおく.1つは無線LANの公平性の問題であり,もう1つは実機における実装の差異に起因する問題である.無線LANの公平性の問題は端末の台数が増えたときに顕著になり,すでにシミュレーションにおいて,複数のTCPフロー間におけるスループットの不公平の発生が示されている.これは,ネットワークの非対称性と送信権の平等性により起こるといわれている.上記特性の下では,無線LAN AP(Access Point)のバッファにおけるTCP-ACKの破棄が不公平につながるといわれている.しかし,無線上のノイズや電波干渉,デバイスドライバの構築法やOSの構成など,シミュレーションでは考慮されない点が実機には存在するため,このような不公平が実機においてどの程度起こるのかどうかは明らかではない.例えば実機のAPのバッファサイズはメモリや装置の低価格化などの要因で変動していると考えられ,現状の実システムでバッファが問題になりうるかどうかを把握することは非常に重要である.また,無線LANインタフェースが単一の環境における,台数と不公平の関連の有無についても検証する.さらに,その時のトランスポート層プロトコルによる差異の検証も行う.次に,無線LANインタフェースの構成方法に起因する実機特有の不公平に関しても考察する.これらの実験により実機の無線環境における課題を議論した上で,有線環境においては品質保証を実現することができるTCP-AVが実機の無線環境で期待通りの働きができるかについて検証を行った.

2C-2 (時間: 15:55 - 16:20)
題名FMCを想定したリアルタイムメディアストリーム転送の評価
著者*吉田 瑞輝 (静岡大学大学院情報学研究科), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 水野 忠則 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 317 - 324
KeywordSIP, FMC, PAN, リアルタイム通信, メディアストリーム
Abstract近年,電話回線網やIP網などのコアネットワークをALL-IP化する新たなサービスプラットフォームとしてのIMS(IP Multimedia Subsystem)や,固定系と移動系の通信を融合するFMC(Fixed Mobile Convergence)が注目されている.また,情報家電が次々とインターネットに接続され,1人のユーザが多数の端末を使用するマルチデバイス通信環境が想定される.IMSが実現することで,IPをベースとした単一システムとして制御機構が水平統合化され,All-IP化した媒体機器による固定系と移動系の通信を融合したマルチメディアサービスを提供することが可能となり,異種混在したネットワークを意識することなく移動系端末が周辺機器とPANを形成して周辺機器と連携したサービスの利用が可能になると考えられる.我々は,このようなFMCの概念を拡張したユーザ中心のサービスモビリティを実現する形態をmPAN(Mobile Personal Area Network)と呼称している. 本研究室では,制御ポイントとなる携帯電話がブロードバンド接続されたホームネットワーク上の情報家電とmPANを形成する環境を想定し,mPAN内のリアルタイムマルチメディアストリーム(受信側,送信側で送受信される音声・ビデオ映像のデータの流れ) をシームレスに周辺入出力デバイスへ転送するmPANストリーミングモビリティアーキテクチャを提案し,その実現性に対してアプローチしてきた.具体的なサービス例としては,ユーザが携帯電話を用いて通信相手とTV電話をしている最中に携帯電話による簡単な操作で「ユーザが参入しているホームネットワーク内のデバイス(TVやオーディオ機器など)へ通信相手と交わしているメディアストリームを転送する」,「デバイスへ転送していたメディアストリームを別のデバイスへ転送する」,「デバイスへ転送していたメディアストリームを携帯電話へ戻す」といったサービスを実現している. 本mPANアーキテクチャは,セッション制御においてIMS標準規格のSIP(Session Initiation Protocol)を用いており,通信相手とマルチメディアセッションを確立するためにエンドツーエンドでネゴシエーションをする特徴を持つため,メディアストリームを転送する際にセッション制御反映までの遅延が問題となっていた.我々は,これを改善する方式として,予めデバイスの起動時に自動的にネゴシエーションを開始してGWとセッション確立させておくことで,転送要求時にはセッション確立するためのネゴシエーションを省略し,転送処理シーケンスの簡素化を可能とする手法(起動時接続手法)を提案・検討し,実環境を想定したプロトタイプを実装して性能評価を行った.性能評価には,各転送の転送開始から転送終了までのシグナリングに要する処理時間と実際にメディアストリームが転送されて各端末へ表示されるまでの総転送処理時間に関して測定を行った.

2C-3 (時間: 16:20 - 16:45)
題名ユーザ主導サービス構築のための仮想ネットワーキング技術 〜(1)プライベートネットワークの基本設計〜
著者*中内 清秀, ベド カフレ, 井上 真杉 (NICT), 松中 隆志, 蕨野 貴之, 岸 洋司 (KDDI研)
Pagepp. 325 - 332
Keywordプライベートネットワーク, パーソナルネットワーク, ユーザ主導ネットワーキング, ユーザ・デバイス認証
Abstract携帯電話や情報家電などネットワーク機能をもつデバイスの多様化,高機能化と,FTTHによる大容量アクセス方式や3G以降の無線アクセス方式などアクセス網の多様化,高速化が同時に進行している.このような高機能なデバイスが高速なアクセスシステムによってネットワーク接続される環境は,デバイス同士がユーザの要求に応じて自在にネットワークを構築することに対する障壁を低くする.Web2.0やP2Pネットワークに代表されるように,結果としてユーザが自ら情報を積極的に発信するクライアント同士の通信がより重要になると考えられる.その一環として,ユーザが所有するデバイス間または,特定のユーザのデバイス間での情報共有,情報配信などがますます活性化されると予想している.そこで本研究では,2010年以降を想定し,複数のデバイスから構成され,ユーザが要求するサービスを提供可能な仮想環境を,簡易な操作でかつセキュアに構築することを目的とする. 上述した環境は本研究の必要性に説得力を持たせるものの,一方でデバイスの増加,多様化に伴うユーザに対するデバイス管理負荷の増加,デバイス及びアクセスシステムの多様化に伴うデバイス間通信・連携の複雑化,及びデバイスへの不正アクセス,デバイス間通信の安全性といった課題を解決する必要がある.そこで筆者らは,ユーザの現在の環境(アクセスシステム.利用デバイス)及び要求するサービスに応じて,ネットワークをまたがって関連するデバイスが連携し,ユーザやユーザグループに閉じたセキュアな仮想ネットワークをユーザ自らの意思で動的に構築するユーザ主導型プライベートネットワーク (PN: Private Network) を提案する.本稿では,PNの概念,アプリケーションシナリオ,及び基本構成要素について述べる. PNは,PAN(Personal Area Network)の概念を拡張させたものである.PANがユーザを中心としてBluetoothなどの近距離無線技術を用いて複数のデバイスが構成するプライベートな物理ネットワークであるのに対し,PNはユーザを中心として,遠隔にあるデバイス同士が管理ドメインをまたいで論理的に構成するプライベートな仮想ネットワークである.PNでは利用するアクセスシステムを問わず,デバイスは無線,有線のどちらの接続形態をもっていてもよい.また,ここでは狭義の論理ネットワークにとどめず,その上でユーザもしくはユーザグループに対して提供されるプライベートサービスまで含めてPNと定義する.そのため,例えば,ファイル共有のためのPNを「ファイル共有PN」,映像配信のためのPNを「映像配信PN」と呼ぶ. ユーザ主導型PNを実現するための要件として,(1) ユーザの負担にならない操作性,(2) デバイス間通信の秘匿性,(3) ユーザ主導で自在に構築できる柔軟性,(4) デバイス間のスムーズな連携と相互接続性,が挙げられる.これらの要件を満たすために,筆者らは「オペレータ通信基盤を活用した強固なユーザ認証・デバイス認証」,及び「フラット構造」という特徴をもつPNアーキテクチャを検討している.PN構築手順を簡略化するため,また強固なセキュリティを実現するため,ユーザ認証・デバイス認証に関しては,IMS (IP Multimedia Subsystem) / MMD (MultiMedia Domain) のようなオペレータ通信基盤における認証方式を拡張し,PN構成デバイス一般の認証に応用する.また,PNのネットワーク構造をフラット化することにより,ユーザ単位,もしくは管理ドメイン単位でのPN管理が不要となり,迅速かつ少ない手順でのPN構築が可能とする.さらに,PN管理・制御のためのPNプラットフォーム機能により,デバイス間の相互接続性を容易にする. ユーザ主導型PNでは,キーデバイスとしてユーザが常時持ち歩く携帯電話を利用する.また,デバイスの能力に加え,PN構築に必要な機能のクリティカル度,PN構築手順の効率を考慮して機能を適切に配置し,PNアーキテクチャの設計を行う.

2C-4 (時間: 16:45 - 17:10)
題名ユーザ主導サービス構築のための仮想ネットワーキング技術 〜(2)オペレータ通信基盤を活用したデバイス認証・登録方式〜
著者*松中 隆志, 蕨野 貴之, 岸 洋司 (KDDI研究所), 中内 清秀, ベド カフレ, 井上 真杉 (情報通信研究機構)
Pagepp. 333 - 340
Keywordパーソナルネットワーク, IMS/MMD, モバイルコンピューティング, 認証
Abstract多様なデバイスが多様なアクセスシステムによってネットワークに接続されている環境下では,ユーザが,楽しみたいサービスを,ユーザの現在の環境(アクセスシステム,利用デバイス)に応じて,ユーザ主導で柔軟に構築することができるような仕組みが求められている.筆者らは,ユーザが,ユーザの現在の状況および要求するサービスに応じて,関連するデバイスが連携して構成される仮想ネットワークを,動的にかつ簡易に構築することを可能とするユーザ主導サービス構築プラットフォームを提案した1).本稿では,上記プラットフォームにおける簡易なデバイス認証・登録方式として,携帯電話をキーデバイスとした簡易なデバイス認証・登録処理を提案する.提案方式によって,ユーザは,利用するデバイスに事前に設定を行わなくても,上記プラットフォームに対して登録を行い,サービスを利用することが可能となる.


セッション 2D  ネットワークプロトコル(1)(DPS)
日時: 2008年7月9日(水) 15:30 - 17:10
部屋: ペガサス
座長: 寺西 裕一 (阪大)

2D-1 (時間: 15:30 - 15:55)
題名Valley-free規則を用いたネットワークトラフィックグラフ描画ツール
著者*野本 真吾 (東洋大学大学院工学研究科情報システム専攻), 福田 健介 (国立情報学研究所), 上原 稔, 森 秀樹 (東洋大学大学院工学研究科)
Pagepp. 341 - 347
Keywordグラフ描画, スケールフリー, Valley-free, スモールワールド, トラフィック

2D-2 (時間: 15:55 - 16:20)
題名統合型光無線システムの研究開発
著者*鈴木 敏司, 若森 和彦, Kamugish Kazaura, Alam Shah, Pham Dat, 松本 充司 (早稲田大学 国際情報通信研究センター), 塚本 勝俊, 東野 武史, 中村 卓也, 高橋 浩一, 小牧 省三 (大阪大学大学院工学研究科)
Pagepp. 348 - 352
Keyword光無線システム, RoFSO, マルチメディア, 大気屈折構造定数, CNR
Abstract 本研究の目的は、光ファイバ整備が困難な地域に対して,各種(携帯電話,地上ディジタル放送,WiFi,WiMAX等)のブロードバンド・サービスを光ファイバと同等の性能で容易に低コストで提供するため,本技術はRoF信号をDWDMとして,ファイバ〜空間〜ファイバと伝送するRoFSO(Radio on Free Space Optics)の技術開発を目指している。  本研究の実験は、早稲田大学の西早稲田と大久保キャンパス間の約1Km強で実施している。測定はRF信号発生器でWCDMA信号を生成し、FSO装置で空間伝搬を行い、受信側で空間伝搬されたRF信号をシグナル・アナライザで測定する。これと並行して天気計で気象観測を行っている。  実フィールドにおける大気揺らぎが信号品質に与える影響を汎用的に評価するいためのパラメータを中質するために,大気揺らぎとCNR,ACLRとの相関関係を評価を行った。注目すべきは,大気屈折率構造定数(Cn^2)の大きさの変動と通信品質(CNR)の解析を行った。この結果より,本実験システムでは大気揺らぎが最悪時でも10dB程度のマージンを見込んでおけばよいことが分かる。この大気屈折率構造定数(Cn^2)をパラメーとすることでシステムの大気揺らぎに対する光無線区間のリンク・マージン設計にできる事が分かつた。

2D-3 (時間: 16:20 - 16:45)
題名DCCP TFRCにおける転送レート通知機構の検討
著者大石 祐亮 (電気通信大学 情報システム学研究科), *小林 克志 (産業技術総合研究所)
Pagepp. 353 - 357
Keywordリアルタイム性, 輻輳制御, トランスポートプロトコル, インターネット, マルチメディアネットワーク
Abstract 近年インターネットの発達により、転送されるデータに時間的な制限が要求されるリアルタイム性(実時間性)が問われる利用が多くなってきていている。現在のインターネットにおけるトランスポートプロトコルにはTCPとUDPがある。リアルタイムが問われる利用においては、TCPは再送などの誤り訂正機能を備え実時間性が損なわれるため、現状ではUDPが利用されている。しかしながら、輻輳制御のないトラフィックの増加による輻輳の発生と、TCPとの帯域利用の公平性への問題が発生する。以上の理由から実時間性の問われる利用においても、輻輳制御機能が必要になる。  そのため、輻輳制御を備えた信頼性の無い転送プロトコルとしてDCCP (Datagram Congestion Control Protocol) が提案された。DCCP は輻輳制御アルゴリズムを選択でき、その中の一つに、TCPと帯域を公平に取ろうとするTFRC (TCP-Friendly Rate Control) が備わっているため、それらの問題を解決することができる。 しかしながら、信頼性のないプロトコルに輻輳制御を備えたことで実装上に新たな問題が発生する。輻輳制御を持つプロトコルのトラフィックパターンは、送信側の転送レートによって制御されて受信側へ転送されるため、送信側、受信側が同様になる。DCCPの輻輳制御によって転送レートが低下した時、アプリケーションはその変化を検知することができない。そのため、転送レートの減少に応じて品質を変更することができず、その結果、送信できなくなったデータはソケットバッファに溜まってしまう。  このような時、リアルタイムアプリケーションによる利用では送信キューに繋がれたソケットバッファでは時間と共に有用性が失われ、既に価値のない情報になって送信してしまう。そのようなパケットは受信しても破棄されてしまう。さらに、転送レートの低下によって溜まってしまうと、新しいパケットがソケットバッファに入れることが出来なくなってしまい、リアルタイム性を損失してしまう。このことから、リアルタイム性の問われる通信においては、本来独立した設計可能なレイヤモデルにおけるトランスポート層の情報がアプリケーション層へ影響を与えることを意味する。  このような問題の解決手法の一つに、late data choiceアルゴリズムが提案されている。mmapを用いた独自のユーザーカーネルインターフェースを用いることで、アプリケーションから直接、送信直前のパケットを制御することを可能にした機構である。この機構を利用しアプリケーションの実装を行うことによって問題を解決することができる。しかしながら、従来から利用されているソケットインターフェースを利用せず独自のインターフェースを実装しているため、実装する際にはインターフェースに沿った実装方法に従う必要がある。そのため汎用性が損なわれてしまう。  そこで、本研究ではシグナルを利用したトランスポート層からの転送レート通知することによる解決手法の検討を行った。アプリケーションとカーネル間のイベント通知機構であるシグナルを利用し、トランスポート層から直接アプリケーションへ通知することで、アプリケーションが変化の検知を可能にする。また、転送レートの低下を検知すると供にソケットバッファのデータをクリアすることで、検知した転送レートに適した品質のデータを新たに格納できるようにし、遅延による転送レートの低下を防ぐことを可能にする。検知にはDCCP TFRCにおける輻輳情報の一つであるロスイベントレートを用いることで実現した。  本機構の実装は、Debian/GNU Linux etch上で動作するkernel-2.6.21をベースに実装を行った。アプリケーションにはビデオ電話であるVideo Phone for Linux (linphone)をDCCPに適応し、シグナル受信処理を追加実装した上で利用した。検証にはDummynetを利用し、仮想インターネットをエミュレートすることで本研究の有効性を確認した。計測結果では、既存の実装と本機構の実装によるトラフィックパターンに相違が見られた。本来ソケットバッファに溜まることによる遅延から転送レートの低下により、パケットロス発生時のトラフィックパターンは同様になるはずである。これは、新たなデータを格納するためのソケットバッファをクリアによる作用から、本来パケットロスとなるパケットを転送させないようにし、パケットロスが減少したためである。また、パケットロス発生後、遅延の増加が見られ、既存の実装は急激に転送レートが低下し、通信に支障きたすところ、本機構の実装により転送レート低下に伴った転送量の制御が可能になったことを確認することができた。


セッション 2E  センサーネット(2)(MBL)
日時: 2008年7月9日(水) 15:30 - 17:10
部屋: コスモ(1)
座長: 中村 直毅 (東北大)

2E-1 (時間: 15:30 - 15:55)
題名無線センサネットワーク省電力化機構HGAFの実環境評価
著者*大沢 昂史, 稲垣 徳也, 石原 進 (静岡大学)
Pagepp. 358 - 365
Keywordセンサーネットワーク, 省電力, 位置情報, 実装
Abstract 近年,協調動作をする小型の無線センサ端末を観測領域に複数配置し,環境情報を収集する無線センサネットワーク(WSN)が注目されている.筆者らはWSNの省電力化手法として,GAF(Geographical Adaptive Fidelity)を拡張したHGAF(Hierarchical Geographic Adaptive Fidelity)を提案している.本稿ではHGAFの無線センサ端末MICAz-Mote上での試作及びそれを用いた実環境での評価について述べる.  GAFは,観測領域を正方格子状に分割し,ノードを位置に基づいて複数のグループに分割する.各格子(セル)から予想稼働時間のもっとも長い1台のノードを転送を担うアクティブノードとして選出し,他のノードを休止させる.GAFでは1つのセルから1台のアクティブノードを選出するため,セル面積を拡大するほど観測領域内でのセル数が減りアクティブノード数が減る.つまり,セル面積を可能な限り拡大し稼動ノード数を減らすことでGAFは,より高い省電力効果を得ることができる.一方,GAFでは隣接セル間でのデータ転送の必要性から,隣接セルの最も遠い2点間の距離がノードの最大通信半径以下である必要がある.この制約により,GAFにおけるセル一つあたりの最大面積は制約を受け,セルの大きさを一定以上に拡大することができない.  HGAFではGAFよりも最大セル面積を拡大し,稼働ノード数を減らすことで更なる省電力化を図る.HGAFではGAF同様に観測領域を複数のセルに分割した上で,セルを更に複数の正方格子(サブセル)に分割する.すべてのセルにおいて同じ位置にあるサブセルをアクティブサブセルとして選び,その中のノードからアクティブノード選出処理を行う.これにより,HGAFではアクティブノードの存在位置を,セル内の特定の範囲(アクティブサブセル内)に限定することができる.よって,GAFでは隣接セル内の最も離れた2点間がノードの最大通信半径以下である必要があったのに対し,HGAFでは隣接セルのアクティブサブセルで最も離れた2点間の距離がノードの最大通信半径以下となればよい.これによりHGAFではセルを4つ以上のサブセルに分割した場合,最大セル面積をGAFの2倍以上に拡大可能となる.  また,HGAFでは負荷均等化のためにアクティブサブセルのローテーションを行う.この時,セル間の通信を保障するためにすべてのセル内でアクティブサブセルの位置が等しくなるように同期してローテーションが行われる.  HGAFを市販の無線センサ端末であるMICAz-Mote上に試作した.HGAFでは各ノードは位置情報に基づいて自身の所属するセル及びサブセルを決定する.よって,各ノードは何らかの方法を用いて位置情報を取得する必要がある.本試作では各ノードに対して,ソフトウェアのインストール時にあらかじめその設置位置に応じてノードが所属するセルID,サブセルID,セル一つ当たりのサブセル数の情報を静的に与えるものとした.  また,HGAFではGAF同様に休止時間の決定にバッテリ残量から予測される予想稼働時間を用いるため,各ノードが随時自身の稼働時間予測を行う必要がある.本試作では過去の起動時間をもとに仮想的に残存電力を管理することで稼働時間の予測を行った.各ノードに対してソフトウェアのインストール時に,電源容量,アクティブ時及びスリープ時の消費電流の情報を与える.ノードは1秒ごとに発火するタイマを持つ.タイマが発火するたび,電源容量から消費電流分だけ値を減じる.その時点での電源容量をアクティブ時の消費電流で除することで予想稼働時間とする.  更に,HGAFでは隣接セル間での通信の保証,及び同一セル内での複数のアクティブノードの存在を防ぐため,アクティブサブセルの交代時刻の同期が必要である.本試作では,1ホップブロードキャストされた起動信号の受信によりすべてのノードが動作を開始するタイミングを揃えることで簡易的な時刻同期とした.  試作したHGAFにおいて,アクティブノードの交代処理及びアクティブサブセルの交代処理の動作を確認するための実験を行い,実装したHGAFが正しく動作していることを確認した.また,実装したHGAFとHGAFのベースとなるGAFを同一のノード配置の観測領域において稼動させた場合の実験により,両者の省電力性能を比較することでHGAFの有効性を示す.

2E-2 (時間: 15:55 - 16:20)
題名スマートアンテナを利用する階層型センサネットワークの実装と評価
著者*坂本 浩, 萬代 雅希, 渡辺 尚 (静岡大学情報学部)
Pagepp. 366 - 373
Keywordセンサネットワーク, スマートアンテナ, MOTE
Abstractセンサネットワークでは非常に多くの端末を利用することから安価で大量生産が可能な同一機能の端末の使用が一般的である.そのため安価で小型化が可能な無指向性アンテナの利用が前提となる.しかし,大規模ネットワークを構築する場合や遠隔地でデータの収集,複数地域のデータを一括して収集する場合には,観測地とデータ収集地点との距離が大きくなり,データを中継する場合に多くの端末が必要となる.中継端末数が増加するとそれぞれの端末による伝送処理が必要となり,その分の電力や時間が必要となり,スループットの低下やネットワークライフタイムを短縮するといった問題を起こす.これらの問題を解決する方法に,スマートアンテナの利用が考えられる.スマートアンテナは,アンテナの指向性を電子的に制御可能で,ある特定方向へのみ送受信ビームを出すことができる(指向性通信).また,ビームを絞ることで特定方向の通信距離を拡張できるという特徴がある.それらの特徴を利用しスマートアンテナをもつ端末でデータの中継をさせると,中継する端末数を減らすことができるためスループットの向上やネットワークライフタイムを延長する事ができる.しかし,スマートアンテナは高価でありアンテナが大きくなるという問題がある.本稿では,無指向性アンテナとスマートアンテナを併用した階層型センサネットワークを提案する.スマートアンテナは多数に使用する事が困難であることから,クラスタヘッドとして中継のみを行う端末として使用する.無指向性アンテナを利用してセンシングを行う階層とスマートアンテナを利用して中継を行う階層とを役割により分けることで,無指向性アンテナとスマートアンテナの欠点を補う階層構造のセンサネットワークを形成し,センシング層の中継負荷の削減による省電力化と,中継層において収集したデータを効率的に基地局へ届けるためにスループット向上を目的とする.また,本稿では無指向性通信をするノードにMICA moteを利用し,指向性通信が可能なノードにUNAGI(Ubiquitous Network testbed with an Adaptively Gain-controlled antenna for performance Improvement)を利用して実環境での評価を行う.

2E-3 (時間: 16:20 - 16:45)
題名無線センサネットワークにおける電波到達特性の実測に基づく経路構築について
著者*能勢 康宏, 神崎 映光, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 374 - 381
Keyword無線センサネットワーク, 送信電力制御, 経路構築, パケット到達率, データ転送
Abstract無線センサネットワークでは,ノードに搭載されるハードウェアは貧弱であり,電力や通信の面で多くの制約が存在する.そのため,電力効率および通信品質の良い通信経路の構築が重要であり,数多くの研究がなされている.その中でもノードの送信電力制御は,近年最も活発な研究が行われている分野の一つである.しかし,既存手法では,ノードが送出する無線信号が全方向に均等に伝播するモデルを前提としている.一方,実環境においては,周辺に存在する物体やアンテナ特性などの影響により,既存手法で想定しているモデルは適用できない.そこで本稿では,電波到達特性の実測値を利用した通信経路構築手法を提案する.提案手法では,各ノード間で電波到達特性を測定し,その結果を用いて各ノードからシンクノードまでの通信経路および,各ノードの送信電力を決定する.

2E-4 (時間: 16:45 - 17:10)
題名データ収集型WSNでのk重被覆の保証および稼働時間の最大化を目的とした移動センサノードの位置決定および通信経路構築手法
著者*勝間 亮 (奈良先端科学技術大学院大学), 村田 佳洋 (広島市立大学), 柴田 直樹 (滋賀大学), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 382 - 395
Keywordセンサネットワーク, 可動ノード, k重被覆, 省電力ルーティング, 遺伝的アルゴリズム
Abstract近年,広域に設置された多数の小型センサがセンシングした情報を無線マルチ ホップ通信により交換することで環境情報の収集やオブジェクトの追跡などを行 うワイヤレスセンサネットワーク(以下,WSN)およびそのアプリケーションが 注目されている.典型的なアプリケーションとして,農地のエリアごとの温度や 光量などの情報を一点(基地局)に収集し,収集した情報を用いて作物の育ちや すい環境を作るシステムなどが構築されている.WSN における各センサは長期 間の動作を要求されるが,ネットワークのノードとしてデータ送受信も行う必要 があることから,その動作時間はバッテリ容量および通信量,通信距離等に応じ て変わってくる.WSN を長期間稼働させるため,センシングやデータ転送の省 電力化を行う研究が行われている.例えば,通信頻度を調整して省電力化を実現 する手法や,センシングした情報をノード間で統合して通信データ量を削減 する手法などが提案されている. これら既存研究の多くは,一度配置されるとそれ以降は移動できないセンサ ノード(静止ノードと呼ぶ)のみが使用されることを想定している.静止ノード のみのWSN では,センサノードのバッテリ寿命や故障によりセンシングできな くなった領域を自動的に修復することはできない.そこで,近年,車輪とモータ 等を備え,対象領域を自由に移動できるセンサノード(移動ノードと呼ぶ)が利 用され始めている.例えば,移動ノードが移動することで,バッテリが尽きたノー ドや故障したノードのセンシング領域を埋め合わせる手法が研究されている. 他にも,センサノードの不足している領域を検出して,移動ノードを移動させる ことでセンシング領域全体を拡大する手法も研究されている.しかし,これ ら移動ノードを用いる既存手法は,広範囲のセンシング領域の確保に注力してお り,移動ノードを利用してWSN の稼働時間を延長する手法は扱っていない. 本論文では,データ収集を目的とする,静止ノードと移動ノードから構成されるWSN において,広範囲のセンシング領域をできるだけ長時間保持するような,移動ノー ドの適切な移動先,および,データ収集のためのマルチホップ通信経路を構築す る手法を提案する.移動ノードは静止ノードに比べて高価であり(現状では,移 動ノードは静止ノードの約2倍の価格である),全てのノードを移動ノードとす るにはコストがかかる.そのため提案方式では,多数の静止ノードに対し,少数 の移動ノードを導入する環境を想定する.本論文では,まず,センシング対象領 域,対象領域上の基地局および各センサノードの位置,各センサノードの通信や 移動にかかる消費電力量,1回のセンシングで取得されるデータのサイズ,セン シングする時間間隔が与えられた時,対象領域をk重被覆(対象領域内のどの地 点もk 個以上のセンサノードのセンシング範囲内にある状態)し,与えられたパ ラメタのもとでWSN の予測稼働時間が最長となるような,移動ノードの移動先お よび全ノードからのセンシングデータを基地局に収集するためのマルチホップ通 信経路(木)を求める問題を定式化する.本問題はk=1の時,NP完全問題として 知られているMINIMUM GEOMETRIC DISK COVER問題を含むため,最適解を実用時間 で求めるのは困難である.そこで,準最適解を実用時間で求めるため,遺伝的ア ルゴリズム (Genetic Algorithm,以下GA) に基づいた近似アルゴリズムを提案す る. 提案アルゴリズムでは,各移動ノードの移動先および各静止ノード,移動ノード のデータ収集経路における次のノードを解候補として符号化する.そして,最初 にランダムに値を設定した複数の解候補(初期解)を与えて,評価,交叉,突然 変異,選択の操作を行い,解を進化させる.この際,良い解が導出できるかどう かは,初期解の品質に依存するため,品質の良い初期解を生成するために次のよ うな最適枝数探索法を考案した.まず,データ収集用通信経路において,基地局 ノード(データを収集するノード)に近いノードは,より遠方のノード(子孫ノー ドという)のデータを中継するため通信回数(通信量)が多くなる.したがって, 基地局に直接接続するノードおよびその数を,中継に必要な通信量を考慮した上 で決定する.具体的には,基地局に直接接続するノード(1段目ノード)の数n を,基地局との距離が近い順に増やしていき,残りのすべてのセンサノードの中 継先を,1段目ノードの中継のための消費バッテリ量が均等になるよう分配し,n 個の1段目ノードの消費バッテリ量の和が最小になるnを求める.分配された各セ ンサノード集合について,同様の手法で2段目以降のノードを決定し,最終的に 基地局を根とし全てのセンサノードを接続する木(データ収集木と呼ぶ)を構築 する.このようにして求まった木をGAの初期解の一部として含ませ,GAの操作を 適用して,進化させることで,より優れた解を導出する. 提案方式により構築したデータ収集木の効率を評価するため,提案手法を実装し, 他の2種類のデータ収集木構築アルゴリズムとのWSN稼働時間の性能比較をシミュ レーションにより行った.その結果,提案方式は,センサノードの数が100のと き,対象領域をk 重被覆するWSNの稼働時間を,他の手法より78〜165%延長でき ることを確認した.また,静止ノードの数が7,移動ノードの数が3の時,最適解 と比較して,97.1% 程度の稼働時間を達成することを確認した.さらに,データ 収集木の計算時間は,静止ノードの数が75,移動ノードの数が25の時,一般的な PCで31.4 秒程度となり,十分実用的であることを確認した.


セッション 2F  P2P(1)(DPS)
日時: 2008年7月9日(水) 15:30 - 17:10
部屋: コスモ(2)
座長: 木谷 友哉 (奈良先端大)

2F-1 (時間: 15:30 - 15:55)
題名非均質なネットワークにおける均質なWebコンテンツ提供方式の検討
著者*門脇 恒平 (同志社大学大学院工学研究科知識工学専攻), 小板 隆浩 (同志社大学工学部情報システムデザイン学科), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院工学研究科知識工学専攻)
Pagepp. 396 - 402
KeywordP2P, Web, ネットワーク
Abstract 近年,日本やアメリカなど,先進国と呼ばれる国々においてネットワークの広帯域化が急速に進行している.一方,発展途上国と呼ばれる国々の中には,未だ広帯域化が実現されていない国が多く存在する.その結果,先進国と発展途上国において利用可能なネットワークの帯域幅に格差が生まれている.  利用可能なネットワークの帯域幅が異なる複数地域の人々が,ある一つのWebサーバにおいて提供されるSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などのWebコンテンツを利用し,互いにコミュニケーションを行う状況を考える.本研究では,このようなネットワーク環境を「非均質なネットワーク」と表現する.非均質なネットワークにおいては,地域間において,Webコンテンツを構成するファイルの取得速度に差異が生じる.結果として,各地域の人々に対して均質にWebコンテンツを提供することができず,地域間における人々のコミュニケーションを妨げてしまう可能性がある.  本研究では,非均質なネットワークにおいて均質にWebコンテンツを提供するために,利用可能帯域幅が広い地域のファイル取得速度を低下させることなく,利用可能帯域幅が狭い地域のファイル取得速度を向上させるシステムを提案する.また,研究対象として,各地域の人々が地域に存在する拠点(学校など)に集まり,拠点に存在するPCを用いてWebコンテンツを利用する状況を考える.  各拠点では,拠点のローカルエリアネットワークに存在するPCを相互接続することによりP2Pネットワークを構築し(以下イントラクラスタネットワーク),その上に分散ファイルシステムを展開する.イントラクラスタネットワークでは,各ノードの性能やローカルエリアネットワークの使用状況に応じて,拠点ごとに一つのクラスタヘッドノードを動的に選出する.クラスタヘッドノードは,Webコンテンツを提供するWebサーバと接続し,拠点・Webサーバ間の通信路における利用可能帯域幅をすべて消費しファイルを取得し続ける.クラスタヘッドノードが取得したファイルは,自ノードが属する分散ファイルシステムに随時格納される.これにより,イントラクラスタネットワークに属する各ノードは,Webサーバから直接ファイルを取得する場合と比較して,高速に目的のファイルを取得することが可能になる.  しかし,クラスタヘッドは,拠点・Webサーバ間の通信路における利用可能帯域幅が非常に狭い,あるいは,遅延が非常に大きい場合,自ノードが属するイントラクラスタネットワーク全体で要求されるすべてのファイルをWebサーバから取得できない可能性がある.そこで,提案システムでは,拠点を一つのノードとみなし,複数の拠点を相互接続することによりP2Pネットワークを構築する(以下インタークラスタネットワーク).イントラクラスタネットワークにおけるクラスタヘッドノードは,自ノードが属する拠点とインタークラスタネットワークに属する他拠点間,および,Webサーバ間の通信路における利用可能帯域幅と遅延を定期的に計測する.クラスタヘッドノードはこれらの情報を利用し,最も短時間でファイルを取得できると考えられる拠点またはWebサーバからファイルを取得する.これにより,クラスタヘッドノードは,拠点・Webサーバ間の通信路の一部に帯域幅が極度に狭い区間が存在する場合においても,その時点で最適なファイルの取得先を選択し,Webサーバからファイルを直接取得する場合と比較して高速にファイルを取得することが可能になる.  本稿では,提案システムに適用するアルゴリズムとして,インタークラスタネットワークのノード間における通信路の利用可能帯域幅・遅延測定アルゴリズム,および,イントラクラスタネットワークにおける分散ファイルシステム構築アルゴリズムの検討を行う.

2F-2 (時間: 15:55 - 16:20)
題名分散配列: 連番アイテムに適したP2P分散データ構造
著者*福地 大輔, Christian Sommer, 清 雄一 (東京大学), 本位田 真一 (国立情報学研究所/東京大学)
Pagepp. 403 - 415
KeywordP2P, オーバーレイネットワーク, 分散データ構造, DHT, Chord
AbstractP2P環境で多数のアイテムを扱う場合,分散ハッシュテーブル(DHT)を用いることでアベイラビリティを保つことができる. しかし,その上で連番アイテムに関する操作を行う場合,DHTは十分な性能ではない. DHTはアイテム間の関連を考慮してつくられてはおらず,連番アイテムはハッシュ関数によって乱数的にネットワーク内に配置される. そのようなアイテム配置では,連番アイテムに関する有用な操作である,シーケンシャルアクセス,範囲アクセス,最大インデクス探索を効率良く実行することが困難である. 我々はそれらの操作を高速化するために分散配列を構築する. まず,ビット列を逆読みする写像によって,DHTのスケーラビリティを損わぬように連番アイテムを規則的に配置する. 次に,連番アイテムに関する操作のアルゴリズムとDHTのオーバーレイネットワークをその規則に合わせて改良する. 結果,連番アイテムに関する操作に必要なメッセージホップ数のシステム内のノード数への依存度は低下し,多くの場合,ホップ数は大きく減少する. これを理論と実験の両面から示す.

2F-3 (時間: 16:20 - 16:45)
題名データ検索効率化のためのP2Pネットワークトポロジ変更方法の検討
著者*川本 絵茉, 門脇 恒平 (同志社大学大学院工学研究科情報工学専攻), 小板 隆浩 (同志社大学理工学部情報システムデザイン学科), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院工学研究科情報工学専攻)
Pagepp. 416 - 423
KeywordP2P, トポロジ, 自己組織化, コンテンツ検索
Abstract 近年,P2Pファイル共有システムの普及に伴い,ファイルの検索効率の向上を目的とした研究が注目されている.ピュアP2P型で用いられる代表的なコンテンツ検索方式には,分散ハッシュテーブルを用いるものとクエリをフラッディングするバケツリレー方式がある.分散ハッシュテーブルはStructured型のP2Pネットワークで用いられ,この方式は高速ではあるが,単一のキーワードからしかハッシュ値が求められないので,条件比較などの柔軟な検索が行えない欠点がある.一方,バケツリレー方式はUnstructured型のP2Pネットワークで用いられ,コンテンツを検索したいノードはクエリを発行し,そのクエリをタイムアウトが生じるまで連鎖的にブロードキャストすることで,ネットワーク上のノードに自分の要求するコンテンツを所有するかを聞きまわる.このようにバケツリレー方式では,クエリを用いて個々のノードに問い合わせるので,分散ハッシュテーブル方式と異なり,柔軟な検索が行え,さらに,探索動作は完全に分散した形で進行するため,探索対象のコンテンツ数に対するスケーラビリティ性,アドホック性,耐障害性に優れているという利点がある.しかし,TTL という値で何ホップ先までクエリを伝播するのか制限されるので,目的のノードにクエリが届かないという問題に遭遇する場合がある.TTL を増やすことで,コンテンツ発見確率を上げることはできるが,その分,クエリのトラフィック量が増加するというトレードオフの問題が発生する.  本研究では,柔軟な検索に対応可能なバケツリレー方式を対象に,類似コンテンツを保持するノード同士が論理ネットワーク上において近くに配置されるようにネットワークのトポロジを再構築するアルゴリズムを提案する.そこで,類似するコンテンツを保持するノード同士が近くに配置されるように随時,論理ネットワーク上のリンクの繋ぎ換えを行い,Unstructured型P2Pネットワークのトポロジを再構築する.バケツリレー方式の情報検索を適用することで,単一のキーワードのみならず,複数のキーワードを組み合わせてAND・OR検索が行え,さらに否定条件を加えられるので,ユーザが求めるコンテンツをピンポイントで検索することが可能となり,よりユーザのニーズに応えるサービスが提供できる.なお,提案するアルゴリズムは,ユーザが要求するコンテンツに嗜好性があり,ユーザは何時も類似した内容・種類のコンテンツを検索することを前提に動作する.そこで,各々のノードにおいて,どの隣接ノードからどの隣接ノードにレスポンスが流れたのかを各ノードが持つトラフィック履歴テーブルに記録することで,周囲のノードが要求するコンテンツの傾向や検索頻度を計測する.そして,一定時間内において,あるノードからあるノードへのレスポンス数がある閾値を超えている場合,2つのリンクのうちレスポンスのトラフィックが小さい方のリンクを不要とみなし切り離し,代わりに,その2つのノード間に新しいリンクを張る.このことで,レスポンスの転送頻度が高い経路において類似ノード間の中継ノードをスキップできるので,ホップ数削減に繋がる.しかし,ノードが保持できるリンク数を制限せずにリンクを張り換えると,あるノードにリンクが集中する,あるいは,あるノードの全リンクが切り離される可能性があるので,リンクの張り換えと同時に,ノードが保持できるリンク数を2〜6 本に収まるように制御する.このようにリンク数を制御しながらノードが保持するコンテンツに沿って組織化された論理ネットワークを形成することができれば,検索精度の高い検索を実現できるだけでなく,トポロジ変更後でもネットワーク上のリンク数は一定に保たれる.その上,ノードの要求するコンテンツを保持するノードに少ないホップ数で到着できるので,TTLを増やすことなく目的のノードを発見することができ,その結果,クエリの氾濫を抑制することができる.  提案手法の有効性を検証するため,P2PシミュレータのPeersimを使って提案手法のシミュレーションを行った.シミュレーションでは,ユーザが検索するコンテンツに嗜好性を持たせるために,それぞれのノードに1種類のコンテンツを保持させ,毎回,類似した種類のコンテンツに対してリクエスト要求を出させた.評価では,レスポンス取得率と組織化の度合いを測定し,結果,トポロジ組み換え前と比べたとき,コンテンツ検索の効率が向上することが分かった.

2F-4 (時間: 16:45 - 17:10)
題名Bloom filterを利用したSemantic Overlay Network構築手法の検討
著者*高木 健士, 遠藤 伶 (慶應義塾大学大学院理工学研究科), 重野 寛 (慶應義塾大学理工学部)
Pagepp. 424 - 429
KeywordP2P, オーバレイネットワーク, セマンティック, Bloom filter
Abstract現在,ピアが持つ特徴を利用することで意味的な検索を可能とする,Semantic Overlay Networks(SONs)に関する研究が注目されている.SONではピアからSemanticsを抽出することで,関連したピア同士を接続し意味的なクエリ検索を可能としている. しかし,既存のSONsではピアの頻繁な参加・離脱(churn)に対応できるものはほとんどない.また,Unstructuredオーバレイにおいてはピアがネットワーク全体のトポロジの知識を持たないために,クエリの転送効率が低下するという問題もあった. そこで本稿では,churn状態においても効率的な意味検索が可能なSONs構築手法を提案する.本提案手法では,SONs構築のためにBloom filterを利用する.そして,2つピアのBloom filterのXORをピア間の距離と定義し,Bloom Filter Table(BFT)と呼ぶピアとBloom filterとの対応表を利用することで意味的な検索を実現する.また,Bloom filter間の距離に応じてピア同士を接続することでネットワークの柔軟性を高め,churn状態に対応している. 本提案手法をシミュレーションにより評価した結果,churn状態においても,検索効率および検索成功率は十分に低い値を示すことを確認した.


セッション 2H  ユビキタスアクセス制御(UBI)
日時: 2008年7月9日(水) 15:30 - 17:10
部屋: ビューホール(1)
座長: 寺田 努 (神戸大学)

2H-1 (時間: 15:30 - 15:55)
題名既存の組織構造を表すDNSを利用した認証と権限の分散管理
著者*榎堀 優 (立命館大学大学院理工学研究科), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 430 - 434
Keyword認証技術, 分散管理, スマート環境, ユビキタスコンピューティング
Abstract部屋などに設置したセンサなどの機器の連携により利用者をサポートするスマート環境を構築が試みられ,それらの相互連携により,よりよいサービスの提供が期待されている.しかしながら,スマート環境構築用ミドルウェアもその上で提供サービスも様々であり,かつ将来的には多数かつ勝手に構築されるであろうスマート環境間の連携を想定した認証・権限管理システムの研究は十分とは言えない.本稿ではスマート環境間の連携を想定した認証・権限管理システムの要件を検討として,1) 各自のスマート環境に存在する認証情報が他のスマート環境で認証情報として利用可能,2) 1)の認証情報の相互利用が粗な結合で行われる,3) 被認証者に対する権限は,認証を行った各スマート環境で個別に付与する,4) 被認証者の所属情報が判別可能,5) 被認証者の現在の場所(e.g. 所属ネットワーク)に基づいた認証が可能,の5点を挙げそれらを満たすDNSをベースとした認証機構の提案を行った.今後は,スマート環境の連携に提案機構を適用して運用しての問題の洗い出しや,シミュレーションなどによる負荷計測などを行っていく.

2H-2 (時間: 15:55 - 16:20)
題名イベントに基づくアクセス制御モデルのECAを用いた実装モデルへの変換
著者石川 冬樹 (国立情報学研究所), *清 雄一 (東京大学大学院情報理工学系研究科), 吉岡 信和, 本位田 真一 (国立情報学研究所)
Pagepp. 435 - 438
Keywordアクセス制御, ユビキタスコンピューティング, ECA
Abstract近年,ユビキタスコンピューティングにおける状況に基づいたアクセス可否判断や,プライバシ情報を扱う際の 振る舞い義務,アクセス許可後の監視等,イベントや状況に基づき権限判断や振る舞い起動を行う様々なアクセ ス制御モデルが提案されている.本論文においては,そのようなアクセス制御モデルに対し,ECA( Event-Condition-Action)ルールを用いた実装モデルへの変換を行うことにより汎用性や実行効率を高めるアク セス制御実装方式へのアプローチについて論じる.

2H-3 (時間: 16:20 - 16:45)
題名センサネットワークへの透過的なアクセス機構の設計と実装
著者*佐藤 龍 (慶應義塾大学 環境情報学部), 鈴木 茂哉 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科助教), 中村 修, 村井 純 (慶應義塾大学 環境情報学部)
Pagepp. 439 - 450
Keywordプロキシ, 実空間情報
Abstractセンサネットワークは,センサを用いて計測した実空間のある現象や状態のデータを伝播し,利用者へ提供するための通信ネットワークである.近年,センサ製造技術の向上により一般生活でのセンサネットワークの活用が可能となりつつある.そのため,センサデータを利用するシステムの開発者は,日常生活での多様な要求を満たすアプリケーションの開発が望まれている.しかし,センサネットワークを通じてセンサデータを利用するには,センサの仕様に応じてデータをリクエストした上で,多様なデータフォーマットを解釈しなければならない.この問題は多種類のセンサデータを統一的に取得できる機構がないことに起因する. アプリケーション開発者は,センサデータ取得処理を種類の異なるセンサネットワークごとに実装する必要があるのが現状である.その負担は,センサデータを統一的に取得できないことから,利用するセンサネットワークの数に応じて増加する.さらに,取得したセンサデータをセンサの仕様に応じて解釈する必要があるため,取得したセンサデータを統合させるのが困難である.結果,システムで利用するセンサの構成を変更するにはアプリケーションの多くの処理を再実装する必要があり,非効率である. 本研究では,アプリケーション開発者の実装負担を軽減させるために,次の二点を達成すべき課題とする.一点目はアプリケーションによるセンサデータアクセス方式の統一である.二点目は利用するセンサネットワーク構成の柔軟性の実現である. この二点の課題を実現するため,アプリケーションとセンサネットワークの通信モデルとしてプロキシモデルを提案する.アプリケーションからのデータ指定方式としてデータセントリック方式を利用する. プロキシモデルとは,アプリケーションとセンサネットワークが行う通信をプロキシが中継するとともに,データ変換をし,フォーマットの統一化を計るモデルである.異なるプロトコルとデータフォーマットを利用するノード間の通信を可能にできる利点がある.アプリケーションがセンサデータを解釈すると,利用するセンサネットワークの構成変更により,新たな構成に対応する処理を実装する必要がなる.この問題はアプリケーションが解釈すべきセンサデータフォーマットを統一することで解決できる.プロキシモデルを利用する場合,データ通信を中継する.そのため,プロキシにおいてセンサデータフォーマットを変換すると,アプリケーションは統一したセンサデータフォーマットでセンサデータを取得できる. データセントリック方式は,データ種類の名称やセンサデータを生成した時刻などの,データに関連付けられた付加情報を用いて,データを指定し要求する方式である.センサデータ要求において,センサノードを指定するノードセントリック方式では,あるアプリケーションが他のアプリケーションの要求を知るのは難しい.また,データフォーマット解釈の問題と同様に,利用するセンサネットワークの構成の変更により新たな実装が必要となる.データセントリック方式は,センサネットワーク内のセンサノード構成にほぼ依存せず,データを要求できる利点がある.さらに,プロキシノードはアプリケーションが要求するデータを把握できるため,同一センサネットワークを利用する要求を集約するなど最適化できる.そのため,これらの問題はデータセントリック方式による要求で解決できる. 本研究では以上のアプローチを実現するプロキシノードを設計し実装した.プロキシノードは,アプリケーションとセンサネットワークの通信のために,二方向のインタフェースを持つよう設計した.さらに,新規センサネットワーク追加時の対応処理を容易にするため,プラグインとして実装できるように設計した.プロキシノードがアプリケーション実装負担を軽減できていることを確認するため,環境モニタリング目的のサンプルアプリケーションを実装した.サンプルアプリケーションはセンサデータの照度と温度のデータから,室内の状態を判断して結果を表示する.プロクシノードは二種類のセンサネットワークからセンサデータを取得できる.一つ目のセンサネットワークはXBridgeとuPartで構成される.二つ目はMICAzで構成される. 本実装をセンサシステムに必要と考えられる規模性,拡張性において関連研究と比較評価を行った.その結果,センサネットワークに個別アプリケーションからでは要求数の制限がある場合において,プロキシノードで要求を集約して,接続アプリケーション数を増加できることを示した.本実装を使用することで,アプリケーションを少ないソースコード量で記述できることをサンプルアプリケーションのソースコード記述量により確認した.

2H-4 (時間: 16:45 - 17:10)
題名パイプライニングを用いたWSNにおけるソフトウェア配送の効率化
著者*橋詰 葵 (静岡大学情報学部), 宮丸 卓也 (三菱電機株式会社), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 寺島 美昭, 徳永 雄一 (三菱電機株式会社), 水野 忠則 (静岡大学情報学部)
Pagepp. 451 - 457
Keywordワイヤレスセンサネットワーク, リプログラミング, パイプライニング, アドホックネットワーク
Abstract近年,MEMS 技術や低消費電力無線通信の発展によりワイヤレスセンサネットワーク (WSN) を実現する環境が整いつつある.WSN とは,通信機能を付加した小型センサ(センサノード)を複数配置し,自律的にネットワークを構成して,周囲のあらゆる環境情報を収集するシステムのことである.こうして収集した情報を利用して,様々なサービスやアプリケーションが開発されている.この例として,環境モニタリングやセキュリティ監視,災害発生時の被災者の位置情報取得などが挙げられる. WSN において,センサノード上のソフトウェアを更新するリプログラミングは重要なサービスの 1 つである.WSN が比較的新しい技術で構成されるため,多くのアプリケーションはアドホックルーティング,新たなデータ処理手法,位置推定など様々な発展途上の技術を含んでいる.そのため,アプリケーションを長期間運用することでこれらのソフトウェアの変更や拡張が必要となる可能性が高い.したがって,一度に多くのセンサノードを簡単に更新するリプログラミング手法が必要となる.古典的なリプログラミング手法として,ソフトウェア開発用のコンピュータとセンサノードを直接ケーブルで接続し,ケーブルを介してソフトウェアをノードに書き込む手法がある.しかし,ノードを 1 台ずつケーブルで接続してソフトウェアを更新するのは,無数のノードで構成されるような大規模な WSN では非効率的である.そこで近年注目されているのが,無線マルチホップ通信を用いてソフトウェアを多くのセンサノードに配送するワイヤレスリプログラミングという技術である。ワイヤレスリプログラミングでは,信頼性の向上,電力効率性の向上,そしてソフトウェア配送時間の短縮という 3 つの設計目標が重要視されている. また,WSN における一般的なプロトコルでは,1 つ 1 つの小さなセンシングデータを末端センサノードから基地局へ集約することを目標としているのに対して,リプログラミングのソフトウェア配送では,ソフトウェアというサイズの大きなデータを基地局から末端センサノードまで拡散させることが目標である.そのため大容量のデータを高速にネットワーク全体へ拡散させる技術としてパイプライニングが利用されている.パイプライニングとは,ソフトウェアデータを複数のセグメントと呼ばれる単位に分割し,並列にセグメントを配送することで高速なソフトウェア配送を実現する技術である.パイプライニングでは,セグメント分割数を増やせば増やすほど配送の並列度が増し,高速なソフトウェア配送を実現できる.しかし同時にコントロールパケットが急増し,電力消費の増加や信頼性の低下を引き起こすという特徴がある. 現状のパイプライニングの問題に対処するため,本研究室ではローカルパイプライニングと呼ばれるソフトウェア配送手法を提案している.ローカルパイプライニングでは,ネットワーク上のノードを複数のサブグループに分割し,グループごとにセグメント分割数を割り当てる.そうすることでコントロールパケット数や消費電力をグループの状態に応じて柔軟に変更し,配送パフォーマンスを維持したまま現実的な配送を可能とする. 本論文ではローカルパイプライニングについてシミュレーション評価と検討を行う.シミュレーションにより,グループなどネットワークの局所で配送性能を調整できることを確認し,どのようなグループ設定が適しているのかを調査する.


セッション 2I  位置情報応用(UBI)
日時: 2008年7月9日(水) 15:30 - 17:10
部屋: ビューホール(2)
座長: 三浦 元喜 (北陸先端大)

2I-1 (時間: 15:30 - 15:55)
題名位置情報応用システムのための塗り分け画像を用いた高速ジオコーディング手法の提案
著者*田島 孝治, 安藤 公彦 (東京農工大学工学府電子情報工学専攻), 大島 浩太, 寺田 松昭 (東京農工大学共生科学技術研究院先端情報科学部門)
Pagepp. 458 - 465
Keyword位置情報システム, ジオコーディング, 地域情報配信システム
Abstract近年,ユーザの位置情報を利用し,場所・地域に特化した有用な情報を提供するシステムに注目が 集まっている.これまでに我々は,個人の現在位置と時刻に応じて必要な情報を選び,自動的に映し 出す情報提示システム「水晶珠」を提案し,そのプロトタイプを示した.提案システムは,利用者が 地域や店舗などのエリアの名称や場所を自由に編集・追加できる機能があり,エリア名称と経緯度の 変換を行っている.これは,位置情報を利用したシステムを構成する上で欠かせない技術であり,ジ オコーディングとして広く知られている.しかし,従来手法は,名称から経緯度に変換することに重 点を置いて設計されており,経緯度からエリア名称へ変換する際には,変換時間と変換精度に課題を 残していた.本稿ではエリアごとに色で塗り分けた画像を用いて,経緯度から地点名への変換を行う 新しいジオコーディング手法を提案する.さらに,平成18 年度に国土交通省国土計画局が発行した, 国土数値情報および街区レベル位置参照情報から,埼玉県の市区町村区分ベクトルデータを用いて, 本方式の評価を行った.これにより,変換ミスをエリアの境界面である0.2%に押さえ,従来方式の 約70 倍の高速化が実現できることを確認した.

2I-2 (時間: 15:55 - 16:20)
題名出発地が異なる2ユーザの共通の目的地への協調ナビゲーションの提案
著者*曽我 真人 (和歌山大学システム工学部), 角本 一嘉 ((株)アメニティソリューションズ)
Pagepp. 466 - 473
Keyword協調, ナビゲーション, 時間消化, 合流
Abstract現在,GPSを利用して目的地までの経路を案内するシステムは,カーナビゲーションや,携帯電話のナビゲーションシステムなどで実用化されている.その中で,車谷らは,複数の自動車が特定の道路に集中して渋滞するのを避けるために,情報共有に基づいて,誘導するカーナビを提案している[1].さらに,人を対象とした混雑低減を目的として,災害時に非難する場合,避難者によって,異なる避難経路や避難場所に誘導することを協調ナビゲーションとして提案している[2].すなわち,[1]と[2]は,いずれも,出発地点と目的地の双方とも異なる個々の移動体が,なるべく経路を共有しないように,システムが個別の経路を提案することを協調ナビゲーションと位置づけている. それに対して,我々は,異なる出発点にいる複数の移動体が,同時に共通の目的地に至る場合の,システムによる経路の提案を協調ナビゲーションと呼ぶことにする.提案する協調ナビゲーションは2つあり,時間消化ナビゲーションと合流ナビゲーションである. 本論文の第一の目的は,時間消化ナビゲーションと合流ナビゲーションの概念を提案することである.第二の目的は, GPS付き携帯電話を用いて,2人の歩行を対象として,提案する協調ナビゲーションシステムを試作し,評価を行うことである.次に,提案する2つの協調ナビゲーションの概念について概説する. まず,時間消化ナビゲーションの概念について説明する.2人のユーザが,異なる出発点から,同時に出発し,共通の目的地に向かうと,どちらかが先に目的地に到着して,もうひとりのユーザを待たなければならないことが,しばしば生じる.このような場合,その待ち時間を利用して,途中の観光地やお店に立寄ることができれば便利である.そこで,出発前にシステムがそれぞれについて単独ナビで経路と所要時間を計算して,2人の目的地への到着時刻が異なる場合に,先に到着すると見込まれるユーザに対して,単独ナビで提示される経路上や経路付近の立寄りスポットの候補を提示し,それぞれの立寄りスポットに留まれる時間を提示する.また,その中からひとつの立寄りスポットをユーザが選択した場合に,その立寄りスポットを経由して目的地に至る経路を提示する.これが時間消化ナビゲーションである.また,地図画像上には自分のルートとパートナーのルートの2つが描画されるため,パートナーがどこを通ってくるか予測が出来ることになる. 次に,合流ナビゲーションの概念について説明する.2人のユーザが,異なる出発点から,同時に出発し,共通の目的地に向かうときに,それぞれが目的地にたどり着くまで別々に行動するのではなく,途中で合流して目的地に行きたい場合がある.たとえば,2人で会話しながら目的地に向いたい場合などがこれにあたる.このような場合に,システムが合流地点と,出発地点から合流地点までの経路,および,合流地点から目的地までの経路を提示する.これが合流ナビゲーションである.原理としては,ユーザ,パートナー,目的地の3点を結んで描かれる三角形の内部にある全ての交差点の中からから最大3つの交差点を待ち合流候補点として抽出する.そして,ユーザはこの候補の中から1つをパートナーとの合流場所として選べるが,この時ユーザには,「2人で揃って歩く距離を短くする」,「長くする」,「普通」といった表現で提示される.ユーザの選択結果によって,待ち合わせ場所が確定され,地図上にそれがマークされる.また,こちらも時間消化ナビと同様に,自分とパートナー,2人分のルートが地図画像上で明らかになる.  評価実験は,被験者に2人1組となってもらい,Webサーバ上にナビゲーションシステムを構築し,NTTドコモのGPS付ケータイでこのWebサーバにアクセスすることでシステムを利用し,実際に街中を歩いてもらい,アンケートによってその使い勝手や改良点等の感想を記入してもらった.その結果,このシステムについて良い評価を得られた点として,待ち合わせ場所などをシステムが決めてくれることや,友達との待ち合わせに便利などの意見が得られた.また,逆に悪い点として,相手の位置はWebサーバを介してしか知ることができないので相手の現在地が見られない点などがあげられた.この欠点は,携帯電話の端末同士が直接通信できる技術が得られれば,解決できる可能性がある. [1] 山下倫央,車谷浩一:道路交通流の円滑化に向けた情報共有に基づく協調カーナビの提案,情報処理学会研究報告,2006-ITS-25,pp.63-70,(2006) [2] 産業技術総合研究所マルチエージェントグループ研究テーマ http://www.consorts.org/mas/ja/research/activity.html

2I-3 (時間: 16:20 - 16:45)
題名無線LAN端末の向きを考慮した屋内ナビゲーションの検討
著者*加藤 悠一郎 (静岡大学情報学部), 櫻木 伸也 (静岡大学大学院情報学研究科), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 水野 忠則 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 474 - 481
Keyword位置情報, ナビゲーション, 無線LAN
Abstract近年、携帯端末は飛躍的に進歩・普及しており、携帯電話などの契約数は1億回線を突破した。携帯端末の普及にともないモバイルインターネット環境が充実し、ユーザは携帯端末を利用して様々なサービスを容易に入手できる環境が整いつつある。またIrDA,UWB,Bluetooth,無線LANなどの短距離無線通信技術の進展によって、あちこちに偏在するオブジェクトが常にネットワークに接続されるユビキタスコンピューティング環境が現実のものとなりつつある。ユビキタスコンピューティング環境やモバイル環境の普及に伴い、位置情報サービスニーズが高まっており、測位やナビゲーションなど位置情報サービスに関する様々な研究が進められている。中でもGPSを利用したシステムは、カーナビゲーションをはじめとして様々な運用システムですでに実用化されている。しかし一方で、衛星からのGPS信号が受信できない屋内環境における位置情報サービスの要求も高まってきている。これに対しては、RFIDタグや超音波などの屋内用の様々なインフラを利用したシステムが検討されているが、新たにナビゲーションナービス専用にインフラを敷設することはコスト面から考えると得策であるとは言い難い。 そこで、本研究では携帯端末を用いて低コストで直観的に利用可能な屋内環境を想定したナビゲーションシステムの現実を目標とし、ナビゲーションシステムの提案・設計及び無線LANを用いた位置・方向に関しての実験を行った。現在、一般家庭をはじめとして商業施設、各種学校施設、企業、電車、空港、駅などあらゆる場所で利用可能になってきている無線LANをインフラとして利用することで、低コストで屋内環境向けのナビゲーションの実現を目指す。また無線LANを用いてナビゲーションを行う上での課題の一つの即位という点に着目した。無線LANの受信電波強度を用いて目的地への遠近上オフや利用者の方向を知ることを第一目標とし、それらをどのように実現していくかという点についての検討を行った。 目的地と端末との関係を利用したナビゲーションを行うために、まずアクセスポイントと端末との関係についての実験を実環境で行った。実験では1つのアクセスポイントと1つの端末を用いて距離を変化させた場合と方向を変化させた場合についてそれぞれ観測を行い、その結果から、移動による受信電波強度の変化を用いたナビゲーションと受信電波強度の観測値の分散などを見ることによる前後判断が実現可能であるという結果を得た。


セッション 3A  暗号・実装(CSEC)
日時: 2008年7月9日(水) 17:20 - 19:30
部屋: ポラリス
座長: 高木 剛 (公立はこだて未来大学)

3A-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名特定入力ペアを用いたRSA暗号に対する電力解析攻撃の実験的評価
著者*宮本 篤志, 本間 尚文, 青木 孝文 (東北大学大学院情報科学研究科), 佐藤 証 (独立行政法人 産業技術総合研究所)
Pagepp. 482 - 489
KeywordRSA暗号, べき乗剰余演算, サイドチャネル攻撃, 単純電力解析, 平文選択
AbstractRSA 暗号の単純電力解析(SPA: Simple Power Analysis) を平文選択により強化・強調する手法がいくつか提案されている.その中でもFouque の提案による特定入力ペアを用いた解析手法は,SPA対策として挿入されるダミー乗算を無効化することができる.しかしながら,その適用は左バイナリ法で実装されたべき乗剰余演算に限定されていた.これに対し,右バイナリ法を含む広範なアルゴリズムに対し適用可能な平文選択型のSPA を提案する.本手法は,2 つのべき乗剰余演算の電力波形の中で異なるサイクルに発生する自乗算波形パターンを比較して鍵情報を推定する.2 つの演算に用いる平文ペアのパターンを適切に選択することで,右バイナリ法だけでなくアレイ法(ウィンドウ法)への適用も可能となる.本稿では,右バイナリ法およびアレイ法をソフトウェア実装したRSA 暗号モジュールに対するSPA 実験により,提案手法の有効性を検証する.

3A-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名シフトレジスタ・アーキテクチャによるハッシュ関数Whirlpoolの高性能回路実装
著者*菅原 健, 本間 尚文, 青木 孝文 (東北大学 大学院情報科学研究科), 佐藤 証 (独立行政法人 産業技術総合研究所)
Pagepp. 490 - 497
KeywordWhirlpool, ハッシュ関数, ハードウェア実装
AbstractISO/IEC 10118-3標準の512ビットハッシュ関数Whirlpoolの高性能回路アーキテクチャを提案する.提案アーキテクチャは,分割したWhirlpoolの演算器の間にレジスタを挿入するシフトレジスタ構造を有し,従来手法と比較して小型かつ高速な処理が実現できる.本稿では,データパス幅512, 256, 128, 64ビットの4種類のアーキテクチャを示し,90nm CMOSスタンダードセル・ライブラリを用いて,各アーキテクチャの回路規模と速度の性能比較を行う.その結果,最小の回路規模で12.5 Kgates (スループット3.65Gbps),および最大の回路効率で480 Kbps/gate(7.93 Gbps / 16.5 Kgates)を得た.これらは,従来手法と比較して最も優れた値であり,特に最小の回路規模を得た実装では,従来手法の最小値13.6 Kgates(スループット820Mbps)と比較し,面積を8%削減しながら,スループットを4.5倍に改善した.

3A-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名ブロック暗号AESの高性能エラー検出回路方式
著者*佐藤 証 ((独)産業技術総合研究所), 菅原 健, 本間 尚文, 青木 孝文 (東北大学)
Pagepp. 498 - 505
Keyword故障利用攻撃, 暗号回路, 誤り検出, AES
Abstract本稿ではブロック暗号に対する効率的なエラー検出方式を提案する.エラー検出には新たな演算回路を付加することなく,2分割したラウンド関数ブロックを暗号化(または復号)と検証に交互に使用するため,回路リソースの増加は少ない.また,処理サイクル数は2倍となる反面,クリティカルパスが半分となって動作周波数が向上するため,処理速度への影響も小さい.提案方式を用いた実装を90 nmと130 nmのCMOSスタンダードセル・ライブラリで論理合成した結果,小型実装でそれぞれ2.21 Gbps @ 16.1 Kgatesと1.18 Gbps @19.4 Kgates,高速実装が3.21 Gbps @ 24.1 Kgatesと1.86 Gbps @ 28.6 Kgatesとなった.一方,エラー検出を行わないものは,小型実装で1.66 Gbps @ 12.9 Kgatesと1.10 Gbps @ 15.4 Kgates,高速実装で4.22 Gbps @ 30.7 Kgatesと2.33 Gbps @ 31.1 Kgatesであり,トータルな性能にさほど大きな差は出なかった.回路効率(ゲートあたりのスループット)が最大となった実装同士の比較ではエラー検出機構のオーバーヘッドは15 % (90 nm)〜30 % (130 nm)で,論理合成の制約条件によっては提案手法の方が高い回路効率を示す場合もあった.今回の実装はAESを対象としたが,提案方式は他のアルゴリズムにも適用することができる.また,CTRモードなどでパイプライン処理が可能な場合は,ラウンド関数の分割数を4, 6, 8と増やすことでスループットが大幅に向上される.

3A-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名組込み機器向け認証・暗号システムのプロトタイプ実装
著者*小俣 三郎, 小林 信博, 宮崎 一哉 (三菱電機株式会社 情報技術総合研究所)
Pagepp. 506 - 512
Keyword機器認証, 機器ID, TPM, 暗号化ファイルシステム, 利便性
Abstract近年ユビキタスコンピューティング環境が拡大してきており、身の回りのあらゆるものに小型のコンピュータが組み込まれ、我々はそれらを無意識のうちに利用している場合がある。このような状況の中で、身の周りにある小型コンピュータが扱う情報のセキュリティについても近年関心が高まってきている。一般的なPCではユーザの操作により、パスワードや生体情報などを利用した認証や、暗号化ソフトウェアを利用したPC内部の情報保護、等が容易に実施可能である。一方PCのようにキーボードやマウス等の入力装置、CRTや液晶モニタ等の出力装置を搭載していない小型コンピュータでは、PCと同様に機器購入後にユーザが自由に認証や暗号の機能を設定したり利用したりすることは困難な場合がある。 また、機器購入後にユーザのPCと機器、または機器と機器とでデータを共有したい場合がある。その場合、データを安全に共有するためには、あらかじめなんらの手段で共有された暗号鍵でデータを暗号化してやり取りする場合がある。例えば、通信データを保護するためにSSL通信やTLS通信を利用する場合、Webサーバ用に秘密鍵と公開鍵を生成し、公開鍵に対してCAから発行される公開鍵証明書のサブジェクト名にはホスト名を入れる必要がある。Webブラウザはそのホスト名が実際にアクセスしているWebサーバのホスト名かどうかを確認する。このホスト名は機器購入後にユーザによって決定されるので機器製造時には決まらない。したがってあらかじめ製造者が決められない情報を、購入後にユーザが設定する必要がある。特に機器が多数存在するような場合に、この設定の手間が非常に大きくなってしまう。 さらに上記のように通信データを暗号化していても、ユーザの意図しない機器とデータを共有することは危険である。つまり不正な機器を第三者によって設置されてしまうと、機器内にデータを格納する際に暗号化して保管することを保証することができず、データを復号した状態で外部に持ち出されてしまうなど、機密情報および個人情報等の漏洩につながる可能性がある。 そこで、本論文ではこのような課題を解決するために、機器認証による不正機器の排除、機器内の情報保護による情報漏洩防止、およびこれらを利便性を損なうことなく実現することにフォーカスし研究開発した内容について記述する。 機器認証については、機器製造時に書き込まれたマスター鍵および機器固有のID(以下機器ID)から機器毎に異なる識別情報(以下認証情報)を生成し、それを認証サーバが検証する技術を我々はすでに開発している。この技術を用いれば、機器製造時に個別の鍵を書き込むことなく、製造後に自動的に個別の認証情報を生成できる。 機器内の情報保護については、TPM(Trusted Platform Module)と連携する暗号化ファイルシステムを適用した。データ格納領域に暗号化ファイルシステムを適用した機器を、全体で一つのプラットフォームとしてユーザに提供することにより、機器上で動く個々のアプリケーションそれぞれが暗号機能を持っていなくても、扱うデータを保護できるため、ユーザの利便性を損なわない。 今回は、これら二つの技術を組み合わせることによる安全性の向上および利便性を評価するプロトタイプシステムを実装した。なお、暗号化ファイルシステム技術として調査対象としたのは比較的入手が容易なオープンソースパッケージとし、eCryptfs、dm_crypt、CryptFS、EncFS、LOOP-AES、LUCKS、TrueCryptである。比較基準としたのは、TPMとの連携機能を有するか、暗号鍵等を処理する部分と本体とが分離されているか、などである。この中で今回の要件に最も近いものとしてeCryptfsを採用した。eCryptfsは、IBM社のMike Halcrow氏を中心に開発が進められている暗号化ファイルシステムであり、共通鍵でファイルを暗号化し、その共通鍵をTPM、OpenSSL、パスワード等から生成する鍵により暗号化して保護している。  本論文では、組込み機器上で上記の機器認証技術とTPM連携暗号化ファイルシステムとを連携動作させることにより、組込み機器に機器認証機能および暗号機能を実装し、かつユーザに手間のかかる設定を強いることなくそれらの機能を簡単に利用することができる一連のシステムとして動作させ、不正機器の排除および情報漏洩防止に有効であることを確認した。 今回は既存技術の組み合わせによる、組込み機器の安全性および利便性の評価を目的としたが、今後はこの結果を踏まえ、より組込み機器に適したセキュリティ機能の実現方式について研究する予定である。

3A-5 (時間: 19:00 - 19:25)
題名一方向性通信を用いたモバイル端末の暗号鍵・端末管理方式
著者*辻 宏郷, 米田 健 (三菱電機)
Pagepp. 513 - 519
Keyword暗号化通信, 鍵配布・鍵共有, 端末管理, モバイル通信, 一方向通信
Abstractモバイル通信端末間の通信内容の盗聴を防止するためには,端末間でEnd-to-Endの暗号化通信を行う必要がある.我々は,End-to-End暗号鍵の配布,端末の管理を,ディジタル放送等の一方向性通信を用いて実現する方式を提案する.暗号鍵は,システム管理サーバにおいて一括生成し,各々の端末に配布する.また,端末の紛失・盗難が発生した場合,システム管理サーバからの遠隔操作によって,端末の機能停止や端末内機密情報の消去を行う.これらの暗号鍵配布,端末管理を実現するプロトコルを設計し,実装した.この結果,利用者が特別な操作を必要とせず,暗号鍵の共有や定期的更新を実現できることを確認した.また,モバイル通信端末の紛失・盗難が発生した場合,システム管理サーバからの遠隔管理や他の端末の協調による動作によって,該当不正端末を除外できることを確認した.


セッション 3B  教育(GN)
日時: 2008年7月9日(水) 17:20 - 19:30
部屋: ベガ
座長: 國藤 進 (北陸先端大)

3B-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名プログラミング演習における状況適応型指導者補助システム
著者*片桐 由裕, 山本 大介, 高橋 直久 (名古屋工業大学大学院工学研究科)
Pagepp. 520 - 527
Keywordコンテクストアウェアネス, 遠隔教育, 位置情報システム, RFID
Abstract本稿では,指導者の演習に関する状況に応じた指導者補助システムを提案し, その実現法について述べる.はじめに,指導者の演習に関する状況を認識する機能を実現する.演習室内の指導者の位置情報,指導者の近辺にいる受講者との位置関係,指導者の直近にいる受講者の演習状況,過去の指導情報などを認識する.これにより以下の3つの機能の実現を可能とする. 1)指導者の状況に応じて,演習室全体から指導対象となる受講者を提示する機能. 2)指導者の直近にいる受講者が提出した答案から,その答案の誤り箇所や過去に提出した答案との差分などを算出する機能. 3)指導者が受講者を指導する際に,受講差の答案の誤りに対して図やコメントを書き,それをデータ化,保存,再演する機能. また,提案システムのプロトタイプを開発し,演習に適用した.その結果に関するアンケート評価によって提案システムは指導者を補助する上で有効であることを確認した.

3B-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名アセンブラプログラミング演習システムのための命令系列によるプログラム分類機能の実現法
著者*吉田 裕一, 山本 大介, 高橋 直久 (名古屋工業大学大学院工学研究科)
Pagepp. 528 - 536
Keyword遠隔教育, E-Learning, アセンブラ, 連想検索
Abstract本稿では,類似のまとまった処理を行う一連の命令系列を持つ答案プログラムの集合を検索して,その結果をデータベース化するプログラム分類機能を提案する.一般にプログラミング演習では受講者数に比べて指導者数が少ない場合が多い.そのため,誤りや冗長な箇所を抽出して各受講者にそれぞれ指摘することは難しい.そこで我々は,誤りや冗長な箇所が似ているプログラムをまとめ,それらのプログラムを提出した複数の受講者に対してまとめて指導できるようにするシステムの実現を目指している.本稿では,関数の開始処理や引数の読み出し処理などまとまった処理を行う一連の命令系列をチャンクと呼ぶ.提案機能は次の2点の特徴を有する.(1)プログラムを入力すると,あらかじめシステム管理者によって定義されたチャンク条件に従ってプログラムをチャンクに分解する機能.(2)チャンクおよびそれと類似のチャンクの条件を入力すると,同じチャンクあるいは類似のチャンクを含む答案プログラムの集合を求める機能.これらの機能により,同じような誤りを持つ答案プログラムの集合を発見することができる.そして,それらのプログラムを提出した受講者に対してまとめて指導することが可能となる.

3B-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名多様な媒体からコメントを収集可能な講義支援システム
著者*土井 健司, 平島 大志郎 (創価大学大学院工学研究科), 高木 正則 (創価大学工学部), 望月 雅光 (創価大学経営学部), 勅使河原 可海 (創価大学大学院工学研究科)
Pagepp. 537 - 544
Keywordインタラクション, コメント収集, 講義支援
Abstract1. 研究の背景と目的 近年、ICT(Information and Communication Technology)を活用した講義が増えてきている。ICTを用いる目的の一つに、講義に対する学生のフィードバックを得るというものがあり、これまで様々な研究がなされてきた。しかし、講義を支援する研究が進められる一方で、学生を支援するICT環境は不十分であるといえる。例えば、全ての教室でノートPCやLANの環境が備わっているとは限らない。また、ノートPCを必要とする講義において学生がノートPCを所持していないことや、持ってくることを忘れてしまうことがある。さらに、支援環境が充実していたとしても学生が十分に使いこなすことができないといった問題があり、学生によってコメントを投稿しやすいメディアも異なると考えられる。 そこで、本研究ではPCや携帯端末、紙など多様なメディアからコメントの投稿が可能なシステムを提案する。これにより、本研究では身近に存在するメディアを用いて、学生の参加が容易なコメント収集が可能となるシステムを考える。 2. 学生の意見収集システム 本システムでは、学生から意見の管理、表示を行うために、CollabStickyを用いる。CollabStickyは、プレゼンテーション中に特化したコメント収集システムである。プレゼンテーションのスライドとコメントを統合することで、スライドの特定個所にコメントを投稿することが可能なシステムである。これにより、学生は簡潔にコメントの投稿が可能となり、教師はコメントの内容を容易に理解できるということがあげられる 3. インタラクションを支援する媒介 本システムでは、学生から意見を収集する媒介として、ノートPC、eメール、紙を考えている。本章では、それぞれの媒介と期待する機能について述べる。 (1) ノートPC ノートPCを所有している学生は、Webブラウザを用いて直接CollabStickyを用いることにより、教師が発表を行っているスライドを閲覧しながら、意見を発想した箇所にコメントを投稿することが可能となる。 教師は、講義の合間や終了後にWebブラウザを介してCollabStickyを閲覧することで、学生の各スライドに対する意見や、質問を容易に把握することができる。また、授業後はそれらの意見に対しコメントを返信することが可能である。 (2) 携帯端末 携帯電話では、Webサイトからのコメント入力と、eメールによるコメントの入力を想定している。Webサイトでは、簡易フォームにスライドのページと投稿する場所、コメント内容の入力を行う。 eメールは、主に携帯電話を利用した場合を想定している。現在、大学生のほとんどが携帯電話を所持していることから、携帯を用いてシステムにeメールを送信することでコメント投稿を実現する。学生は、携帯電話からシステムにeメールを送信することでCollabStickyにコメントを送信する。具体的には、題名の場所にスライドページを指定し、本文にコメントの内容を記述する。 (3) 紙 紙メディアによる学生からのコメントの収集は、もっとも一般的な方法である。そこで、従来同様紙メディアによる学生からの意見の収集も行う。 4. 設計方針 上記の機能に基づいて、システムの要求仕様について述べる。本システムの目標として、あらゆるメディアを統合的に用いることができると考える。 4.1. eメールの活用 eメールを送信することでシステムにコメントを反映させるためには、eメールの内容を解析する仕組みが必要である。 4.2. Webサイトにおける簡易入力 Webフォームに入力された項目をDBに入力する仕組みが必要である。 4.3. 紙メディアに対応すること 本研究では、学生から回収した意見を、OCR(Optical Character Reader)などを用いてデジタルデータに変換する。そして、これらのデジタルデータを解析する仕組みが必要である。 これにより、紙と電子メディアのそれぞれが持つ長所を生かすことができると考える。 5. まとめ 本稿では、複数の媒介からコメント可能な同期講義支援システムの提案を行った。本システムを用いることにより、これまでインタラクションが困難とされてきた大規模な講義の支援を特別な設備を用意することなく実現でき、学生から具体的な意見を収集することが可能になると考えられる。そこで、今後は本提案に基づいたシステムの開発及び評価を行う。

3B-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名仮想Linux環境を用いたネットワーク教育システムにおける通信可視化機能とネットワーク保存・再現機能の開発
著者*上田 拓実 (近畿大学大学院総合理工学研究科), 井口 信和 (近畿大学理工学部情報学科), 島村 博 (株式会社イーラボ・エクスペリエンス)
Pagepp. 545 - 552
Keyword情報技術者教育, 分散システム運用・管理, 仮想Linux環境, ネットワーク学習
Abstract本研究は,仮想Linux 環境であるUser Mode Linuxによる仮想的なネットワークを用いて,1台のPC 上でネットワークの構築手順やトラブルシューティングについて学習するシステムe-Netlab(以下,本システム)の開発を目的とする.本システムを使用することで,ネットワークの構成要素に対する深い理解と,ネットワークの構築経験による知識の定着が可能となる.仮想環境を利用することで,実機では実現が困難な課題を手軽に実習することができる.さらに,実機による学習では機器が故障した場合の復旧作業が指導者にとって作業負担となるが,仮想環境の利用により,指導者の負担の軽減が可能となる.また,GUIによる操作環境を用いることで,実機に近い操作性を学習者に提供できる. 従来のネットワーク学習の形態として,実機による実習と書籍やWeb資料による学習が挙げられる.実機による実習では,ネットワークの構築経験による実践的な知識が身に付くため教育効果が高い.しかし,機器の購入費用や設置場所の確保が困難な場合,学習者に対して十分な数の機器を用意することは難しい.また,トラブルシューティングの学習には,何らかの障害や誤った設定を含むネットワーク機器を用意しなければならない.しかし,ネットワークにおける故障や障害は多種多様であり,そのすべての事例を実機によって再現することは困難である.書籍やWeb資料による学習では,通信プロトコルの仕様や通信の処理手順に関する知識が身に付く.しかし,実機の操作を伴わない学習であることや,例として用いられるネットワークの構成が固定であることから,学習内容がパターン化し実践的なスキルを習得できないといった問題がある. そこで本研究では,User Mode Linux(以下,UML)を用いて,1台のPC 上に仮想的なネットワークを構築することで,通信プロトコルや通信の処理手順を学習するシステムを開発した.本システムは,仮想ネットワーク構築支援GUIを実装しており,マウスやキーボードによる直感的な操作によって仮想ネットワークを構築できる.仮想ネットワーク構築支援GUIには,仮想ネットワークのトポロジや仮想ネットワークを構成する機器の設定が一覧表示される.さらに,通信の可視化機能とネットワークの保存・再現機能を実装した. 本システムで利用可能な仮想ネットワーク機器は,クライアントやサーバとなるホスト,およびルータとレイヤ2スイッチである.仮想ルータでは,静的ルーティングとRIP,OSPF,BGP4による動的ルーティングが可能である.また,仮想スイッチでは,VLAN(Virtual LAN)とSTP(Spanning Tree Protocol)の設定が可能である. 通信の可視化機能は,通信ログ表示機能とアニメーション機能からなる.ネットワーク学習では,構築経験を重ねることで知識と理論が定着し,高い学習効果につながる.本システムは,ネットワークの構築経験による知識の定着のため,学習者が構築したネットワークを教材としても利用可能とする.学習者自身が構築したネットワークにおいて,機器間でやりとりされるパケットの情報や,ルータやスイッチによって経路選択される様子を視覚的に確認することで,知識と構築経験をより深く結びつけることが可能となる. 通信ログ表示機能は,任意の仮想ネットワーク機器のインタフェースを通過したパケットを一覧表示し,選択されたパケットの情報をプロトコルの仕様と合わせて表示する機能である.本稿では,機器間でやりとりされるデータを総称してパケットと呼ぶ. アニメーション機能は,機器間の通信を視覚的に把握するための機能である.プロトコル名が付記されたアイコン画像でパケットを表現し,ネットワーク図上を移動させることで,通信経路を視覚的に提示する.また,各ネットワーク機器を通過する際にパケットの情報をダイアログ表示する機能も備えている.この機能により,パケットの伝送経路と宛先情報の変化を把握できる. ネットワーク保存機能は,仮想ネットワーク機器の設定やネットワークのトポロジを,XML(eXtensible Markup Language)で記述したファイルとして保存する機能である.本稿では,このファイルをネットワーク定義ファイルと呼ぶ.ネットワーク再現機能は,ネットワーク定義ファイルを読み込み,仮想ネットワークを再現する機能である.この機能により,本システムを用いた学習の中断・再開が可能となる. ネットワーク保存・再現機能の用途としてトラブルシューティングの学習が挙げられる. 指導者が予め用意した障害情報を含むネットワーク定義ファイルから,トラブルシューティングの学習課題となる仮想ネットワークを本システム上に再現する.学習者は,発生している障害の原因を特定し,対策の検討・実施によりトラブルシューティングについて学習する. 近畿大学では,実機によるネットワーク学習の場としてシスコネットワーキングアカデミーを開講している.シスコネットワーキングアカデミーの課題を用いて,本システムの評価実験を実施した.被験者はシスコネットワーキングアカデミーの受講生である.実験後に実施したアンケートにより,実機に近い操作感,通信経路やパケットの情報が確認できることから,本システムがネットワーク学習に有効であるという結果が得られた.

3B-5 (時間: 19:00 - 19:25)
題名泡メタファーを用いた子供向けWeb提示手法について
著者*岩田 麻佑 (大阪大学工学部電子情報エネルギー工学科), 荒瀬 由紀, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 553 - 560
Keywordインターネット, WEB, ブラウザ, WEBページ提示, 泡メタファー
Abstractインターネットが爆発的に普及し,小さな子どもがインターネットを使用することが当たり前になっている.しかし,Webページをそのまま提示する現在のWebブラウザの表示形式は,初めてインターネットに触れる小さな子供にとっては面白みのないものであり,新聞のように文字が密集したページを子供が楽しく閲覧できるとは考えにくい.また,インターネット上には子どもにとって有害な情報が溢れており,安全にWeb閲覧できる状態にあるとはいえない.そこで本稿では,泡メタファーを用いたWebページ提示手法について述べる.Webページ中の各コンテンツを海中の泡で表し,Web閲覧にエンタテイメント性を持たせることで,初めてWebに触れる子供が楽しくインターネットを利用することを可能とする.更に,有害なコンテンツはアニメーションにより排除することで,子どもが安全にWeb閲覧できるようにする.


セッション 3C  社会システム(EIP)
日時: 2008年7月9日(水) 17:20 - 19:30
部屋: シリウス
座長: 小山 繁樹 (ほくでん情報テクノロジー)

3C-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名分散IDエスクローDECIDEのペルソナ法人への適用に関する考察
著者*谷口 展郎, 山室 雅司, 櫻井 紀彦 (日本電信電話株式会社 NTTサイバースペース研究所)
Pagepp. 561 - 567
Keywordディジタル・アイデンティティ, 法人格, アイデンティティ・エスクロー
Abstractディジタル・アイデンティティはネット社会において,仮名(pseudonym)として用いられ,仮想アイデンティティ(virtual identity)として機能する.従来のディジタル・アイデンティティは信用性の裏付けに乏しく,契約などの法的行為には,実名(real identity)を用いる必要があった.しかし,実名の使用は個人のネット上での活動の捕捉につながり,プライバシー侵害の危険性が大きくなる.そこで,公的機関に登録することで信用の裏付けを与え,法的能力を持たせたディジタル・アイデンティティ Limited Liability Persona が,Burton Group によって提案されている.我々は,前稿で Limited Liability Persona について,既存の仮想アイデンティティである法人に関する法学的議論を踏まえて分析し,いくつかの課題・修正を提示した.本稿では,これらの課題を解決し,法的能力を持つディジタル・アイデンティティ(ペルソナ法人)を実現する方法として,分散アイデンティティ・エスクローDECIDEに基づくペルソナ法人制度について考察する.アイデンティティ・エスクローは,実名と匿名の2つの状態間を双方向に遷移可能にすることで,通常の活動は匿名で行われ,問題が生じたときだけ実名を開示する仕組みである.DECIDEでは,遷移可能な状態を実名・仮名・匿名の3状態に拡張する.本稿では,DECIDEの仮名をペルソナ法人として利用する際のプレイヤー構成やシナリオについて,検討・考察を行う.

3C-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名携帯電話を用いたユニバーサルな安否情報登録システムの改良と評価
著者*湯瀬 裕昭, 河田 貴司, 張 正義, 吉田 雄紀 (静岡県立大学大学院経営情報学研究科)
Pagepp. 568 - 573
Keyword携帯電話, 安否情報, ユニバーサルデザイン
Abstract 筆者らは,視覚障害者や高齢者が,携帯電話から安否情報の登録を最小限のボタン操作で可能なユニバーサルな安否情報登録システムの開発を行ってきた.  本研究では,先に開発したユニバーサルな安否情報登録システムの改良を行った.最初のシステムでは,システムの利用者として,視覚障害者,高齢者,健常者の利用を想定していたが,災害時に災害弱者となりうる外国人も利用者に加えることとした.本システムでは,複数言語による音声と大きな文字でガイダンス情報を出力し,利用者はボタン1つの操作で安否情報を携帯電話から送信できる.また,本研究では,改良したシステムの評価実験も行った.日本人の健常者,高齢者,視覚障害者と外国人の健常者に本システムを利用してもらい,タスクの遂行時間の測定を行い,本システムの有効性と必要性を検証した.

3C-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名一般ユーザの情報セキュリティに対する安心感の要因
著者*藤原 康宏 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部), 山口 健太郎 (横浜市行政運営調整局行政システム推進部IT活用推進課), 村山 優子 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 574 - 579
Keyword情報セキュリティ, 安心感, トラスト, ユーザ調査, 統計分析
Abstract情報セキュリティの分野では,安全なシステムを提供することで,利用者が安心を得ることができるという仮定で研究が行われている.本研究では利用者の安心感の要因について調査を行っている.一般のユーザに対する大規模なアンケート調査を予定しており,本稿では109名の被験者を対象に行った予備実験について述べる.探索的因子分析の結果,安心感の要因として7つの因子が抽出され,情報セキュリティに関する知識によって,安心感の捉え方が異なることが示唆された.

3C-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名デジタル・フォレンジック対策選定のための法的証明力を高める要件の関係性に関する検討
著者*川西 英明, 加藤 弘一 (創価大学大学院工学研究科), 間形 文彦 (NTT情報流通プラットホーム研究所), 勅使河原 可海 (創価大学大学院工学研究科), 西垣 正勝 (静岡大学創造科学技術大学院), 佐々木 良一 (東京電機大学未来科学部)
Pagepp. 580 - 586
Keywordデジタル・フォレンジック, セキュリティ対策, 証拠性
Abstract1. 研究の背景と目的 情報社会の発展に伴い,コンピュータを利用した業務が一般的となり,多くの情報が電子データとして扱われている.そのため,情報資産の機密性・完全性・可用性が失われた場合,企業活動に多大な損害を与えることになる.ところが,不正アクセスなど外部からの攻撃だけでなく,内部ユーザの故意・過失による情報漏洩,組織ぐるみの不正会計や証拠隠蔽などの不祥事も後を絶たない. これらの問題に対し,企業が当事者となる民事訴訟が起きている.また,不正アクセス禁止法,内部統制に関わる法律(J-SOX法)などの法律が制定されており,電子データを証拠として扱う刑事訴訟の増加も予想される. これに合わせて,近年では電子データの証拠保全・調査・分析を行う為の手法や技術であるデジタル・フォレンジック(以下,DF)が重要視されている.そのため,組織は証拠を確保するためのDF対策を実施することが重要となる.しかし,証拠の正確な取得,証拠の改ざん・破壊の防止,訴訟時における証拠提示による情報漏洩など,DF特有の問題を考慮する必要があり,DF対策の選定は一般のセキュリティ対策の選定よりも困難である.さらに,必要なDF対策は運用形態などの組織環境に依存する.現在では,組織に最適なDF対策を決定する手法は確立されていない. そこで本研究では,組織が訴訟に耐え得る十分な証拠を残すために必要なDF対策を決定することを目的とし,組織環境に最適なDF対策を決定する方式の確立を目指す. 2. 現状の問題点と本研究のアプローチ 訴訟において証拠として電子データを提出する際は,ただ提出すれば良いというものではなく,提出後に裁判で証拠として採用されなければ意味が無い.証拠が裁判で有効であるためには,証拠法による証拠能力と証明力が必要である.そのため,証拠能力と証明力を損なわないよう様々な対策を実施し,電子データが正確に取得,保管されていたことを証明できるようにする必要がある.また,対策選定の際には証拠が不正持出しや改ざんをされないか,証拠の提出時に必要な証拠を容易に抽出できるかといった証拠自体の機密性・完全性・可用性や,DF対策の導入・維持におけるコストや作業負荷といった要素も考慮する必要がある. しかし,大規模ネットワークでは存在する機器の数は膨大であり,証拠を残すべき箇所・候補を網羅することは大変な作業である.また,証拠自体の機密性・完全性・可用性,DF対策の効果や作業負荷などの定量化に際して,過去の経験や事例など多くの情報が必要であり,組織の運用形態にも依存するため,妥当な値を決定する仕組みが必要となる. 本研究ではこれまで,組織のメールシステムに範囲を限定し,電子データの裁判での有効性を確保するための対策選定手法について検討を重ねてきた.証拠の有効性を保持するためには証拠能力と証明力が必要であるため,フォルトツリー解析(以下,FTA)を用いて証拠能力と証明力が損なわれる要因,DF特有の脅威などを分析し,対策コスト,業務負荷などを考慮したDF対策選定の離散最適化問題として定式化した.しかし,この検討では証拠能力と証明力の要素は主観的に決定しており,訴訟に対応できる十分な証拠性が確保できているかは不明瞭であった. 一方,間形らはデジタル証拠の法的証明力を高めるための要件について検討を行ってきた.組織において十分なDF対策を取るためには,この要件を満たすことが一つの指標となる. そこで本稿では,十分な証拠性を確保するために,この証明力を高めるための要件に基づき,証拠性を確保するための要件の詳細な分析を行う. 3. 要件間の関係の分析 証明力を高めるための要件をより詳細に分析するため,電子データを収集してから証拠として提出するまでの流れを「収集」「処理」「保全」「提出」の4フェーズに分割する.証明力を高めるための要件をこの4フェーズに対応させて細分化することにより,電子データを収集してから提出するまでの流れの中でいつ,どのような要件を満たす必要があるのかを明確にすることができる. そして,証明力を高めるための要件をフェーズ単位に分割して分析し,要件間の関係を整理する.ここで,DF対策を決定するためには,組織全体として実施すべき事項や必要な機能・機器の決定と,各機器がDFのための役割を果たす上で実施すべき事項の決定が必要である.そのため,組織全体としての要件の関係性分析と,機器単位での要件の関係性分析をそれぞれ行い,これらを結合することで,その組織がDF対策を行う上で必要な要件が明確になり,適切なDF対策の決定が可能となる.

DS-1 (時間: 19:00 - 19:25)
題名APIフックを用いた個人情報漏洩対策システムの提案と多重リスクコミュニケータによる評価
著者*鈴木 大輔 (東京電機大学工学部第一部情報メディア学科), 芦野 佑樹 (東京電機大学大学院先端科学技術研究科情報通信メディア工学専攻), 佐々木 良一 (東京電機大学工学部第一部情報メディア学科)
Pagepp. 1980 - 1986
Keywordリスク, セキュリティ, リスクマネジメント, 個人情報漏洩問題, APIフック
Abstract 近年、様々な組織において情報漏洩事件が相次いで起こっている。日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の調べでは、2006年に発生した企業の個人情報漏洩事件は約千件、被害者数は約2千万人に及んでいる。その中でも情報漏洩の原因として紛失・盗難に次いで誤操作による漏洩が多いこと、漏洩経路として記録媒体が最も多いことが報告されている。  そこで、職場などから持ち帰った情報の漏洩を防ぐセキュリティシステム「USBメモリ対応のファイル保護方式」を提案する。このシステムはUSBメモリの中にあるファイルデータの持ち出しを制限するシステムである。  提案したこのシステムが情報漏洩に対しどの程度効果があるのかを、著者らが開発した「多重リスクコミュニケータ(Multiple Risk Communicator以下MRCとする)」を使用して評価を行った。  MRCとは、ある問題に対し既存の製品や制度を対策案として入力し、その中から問題の関係者の要望に沿った対策案の組み合わせ(以下最適解とする)を求めるシステムである。 MRCに、構想中の提案システムを対策案として入力し、既存のセキュリティ対策との比較を行った結果、有効性を証明できたとして実装に入ることにした。


セッション 3D  ネットワークプロトコル(2)(DPS)
日時: 2008年7月9日(水) 17:20 - 19:30
部屋: ペガサス
座長: 田上 敦士 (KDDI研究所)

3D-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名端末に依存しないNAT越えシステムの提案と実装
著者*宮崎 悠 (名城大学大学院 理工学研究科), 鈴木 秀和 (名城大学大学院 理工学研究科 ), 渡邊 晃 (名城大学大学院 理工学研究科)
Pagepp. 587 - 592
KeywordNAT, NAT越え, DNS, ホームネットワーク
AbstractインターネットではIP アドレスの枯渇を回避するため,家庭内や企業内のネットワークはプライベートアドレスで構築されるのが一般的である.それらのネットワークとインターネットの間にはアドレス変換装置(以下NAT:Network Address Translator) が必要である.しかし,このような環境ではインターネット側の端末からプライベートアドレス空間の内部が見えなくなるため,外側の端末から内側の端末へ通信を開始することができないという制約がある.これはNAT越え問題と呼ばれている.これまで,企業ネットワークにおいてはファイアウォールが設置され,内側からの通信開始のみを許可するのが一般的であったため,NAT の制約が表面化することはなかった.今後は家庭にもネットワークが導入されること想定されるが,そこでは企業のような厳しいセキュリティポリシーは必要とならない.ここでは外出先から家庭内の端末に自由にアクセスしたいというニーズが十分に考えられるため,上記のようなNAT の制約を除去することは有益である.この課題を解決する為にこれまで様々なNATテーブル越え技術が提案されている. NAT 越えの既存技術として,STUN (Simple Traversal of User Datagram Protocol Through Network Address Translators),AVES(Address Virtualization Enabling Service) やNAT-f (NAT-free protocol)などがある.STUN はインターネット上の専用サーバを利用することによりNAT 越えを実現できるが,第三の装置が必要で,かつアプリケーションが限定されるという課題がある.AVES はwaypointと呼ばれる特殊なサーバと改造したNATルータが協調してNAT 越えを実現できるが,STUN と同様に専用のサーバが必要であり,経路冗長が発生するという課題がある.我々はSTUN やAVES の課題を解決するため,インターネット上の端末とNAT ルータが連携することによりNAT 越えを実現できるNAT-f と呼ぶプロトコルを提案している.しかし,端末への機能追加が必要であることから,一般ユーザがNAT 越えを行うのは難しい.そこで本稿では改良したDNS サーバとNATルータが協調することにより,一般のユーザ端末でもNAT 越えを可能とする方式を提案する.  本提案方式をNTS(NAT-Traversal Support)プロトコルと呼び,本方式で使用する改良したDNSサーバをNTSサーバ,NATルータをNTSルータと呼ぶ.また,NTSルータ内のプライベートネットワークに存在する端末をPN(Private Node)と呼び,NAT越え通信を開始する外部端末をGN(Global Node)と呼ぶ.ここでPNはグローバルアドレスを所持していないので,外部の一般DNSサーバに予めPNのFQDN(Fully Qualified Domain Name)とNTSルータのアドレスをDDNS登録する必要がある.これは一般のDDNS登録と同様で,本方式の特別な処理ではない.この際,NTSルータはPNのDNS登録パケットからFQDNとプライベートIPアドレスを対応させPHL(Private Host List)へ記憶させておく.また,本方式を利用するGNはプライマリDNSをNTSサーバに指定しておく. GNがPNへ通信を開始する場合,GNはNTSサーバへPNのFQDNでクエリを送信する.NTSサーバは通常のDNS機能によりDNS名前解決を行い,得たDNSリプライパケットからNTSルータのグローバルアドレスを取得する.NTSサーバはNTSルータへGNからPNへの通信要求があることを通知し,NTSルータにその情報を保持させておく.次にNTSサーバはGNへ先ほど得たNTSルータのグローバルアドレスを伝える.GNは通常のDNSを利用した通信と同様に取得したIPアドレス宛に通信を開始すると,NTSルータは事前に得ていた情報とGNからの通信パケットによりNATテーブルを生成し,通信パケットをPNへ転送することができる.PNから返信や以降の通信は通常のNATを介した返信と同様に行われる.NTSサーバとNTSルータ間のやりとりはユーザ端末とは関係のないところで成されるため,GNやPNはNATやNTSを意識せずに通信を行うことができる.

3D-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名NATを越えてグループ通信が可能な拡張DPRPの提案
著者*後藤 裕司, 鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 593 - 600
KeywordNAT, IPsec, protocol
Abstract企業ネットワークでは不正侵入,データの盗聴や改竄などの脅威に対するセキュリティ対策が課題となっている.組織外部からの脅威に対しては通信の暗号化やディジタル署名など,セキュリティ強度の高い技術が利用されており,ファイアウォール(以下FW)やIDS(Intrusion Detection System)などと協調するなど,様々な工夫がなされている.しかし,企業ネットワークのセキュリティ脅威はイントラネット内部にも存在しており社員や内部関係者による不正による犯罪が多く報告されている.しかしながら,イントラネット内のセキュリティ対策は,ユーザ名とパスワードによる簡単な相手認証,アクセス制御しかされていないのが現状であり,有効な対策が今後必要になると考えられている.ネットワークセキュリティの代表的な技術としてIPSecがあり,現在VPNを構築する手段として広く利用されている.IPSecは通信に先立ち暗号・認証に必要なパラメータを動的に生成して安全な情報の交換を行う.しかし,IPsecには多くの設定項目がありシステム環境が頻繁に変化するような環境では管理者の負担が大きい.また,ホスト間で暗号化通信を行うトランスポートモードと,ネットワーク間で利用されるトンネルモードで互換性がないため,セキュリティドメインが階層的に構築されていたり,ドメイン単位と個人単位の通信グループが混在したりするような環境では利用することが難しい.そこで我々は柔軟かつ安全なグループ通信を可能にするためにシステム構成が変化してもその変化を動的に学習することができるDPRP(Dynamic Process Information Protocol)と呼ぶ通信プロトコルを提案してきた.DPRPでは通信端末間の通信に先立って2往復のネゴシエーションを行うことで,DPRP対応端末の通信グループ情報などの情報を収集して各装置に動作処理情報テーブルPIT(Process Information Table)を生成する.PITには暗号/復号/透過中継といった処理内容が記述されている.ネゴシエーション終了後は生成したPITに従って通信パケットを処理する. 近年、アドレス管理を容易にするため、企業なでもNAT(Network Address Translation)を使うケースが増えてきた。これまでのDPRPはNATが介在するような通信環境を想定していなかった。NATではパケットのIPアドレスが変換されてしまうため適切なPITを生成できなくなる。本稿ではNAT外部からNAT内部へ通信を開始する場合についてDPRPの実現方式の検討を行った.NAT外部からの通信を始める場合はNAT越え問題を解決する必要がある。この問題は、DNSサーバとNATルータが協調することにより解決する。また、DPRPをNAT越えに対応できるよう拡張する。DPRPネゴシエーションの一往復目では、NATルータに強制的にNATテーブルを生成し、NATテーブルにマッピングされたポート番号をNAT外部の端末に応答することでポート変換テーブルを生成する。二往復目では、外部端末とNATルータに、NATにマッピングされたコネクション情報をもとにPITを生成する。ネゴシエーション終了後、外部端末は通信パケットをNATにマッピングされたポート番号に変換してからPITの処理を行う。この方法より内部端末と通信を開始することが可能となる。

3D-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名マルチパスを利用したSCTPにおける帯域集約機構の提案
著者*岩崎 あかね, 韓 閏燮 (慶應義塾大学大学院理工学研究科), 寺岡 文男 (慶應義塾大学理工学部情報工学科)
Pagepp. 601 - 608
KeywordSCTP, トランスポート, 帯域集約, マルチパス
Abstract近年,GRID環境などにおいて大量のデータを高速に転送する事例が増加している.また,有線 Local Area Network (LAN),無線LAN,携帯電話など複数のネットワークインタフェースを持つ端末の普及が進んでいる.ホストが複数のネットワークインタフェースを持つ環境をマルチホーム環境と呼ぶ.ユーザが複数のInternet Service Provider (ISP)と契約することで各ISPからIP アドレスをそれぞれ取得し,ユーザが使用するホストのマルチホーム環境が実現された場合,これらの複数のIPアドレスを同時に利用し,複数のpathに同時にデータ送信を行うことで帯域集約・負荷分散が実現でき,データ転送のさらなる効率化が図れると考えられる.また,Transmission Control Protocol (TCP)の後継トランスポートプロトコルとして注目されている Stream Control Transmission Protocol (SCTP)はTCPの様々な問題点を解決している.例えば,SCTPではTCPのConnectionに対応する1つのAssociationで複数のpathを保持することが可能であり,これによりSCTPはTCPに比べ耐故障性が向上している.SCTPは1つのAssociationで複数のpathを使用可能であるため,マルチホーム環境に適しており,SCTPは今後TCPに代わるトランスポートプロトコルとして広く世の中に普及すると考えられる.SCTPを利用した帯域集約・負荷分散手法にはいくつかの提案があるが,pathの選択にインタフェース情報を考慮していない,pathがAssociationで共通に管理されているなどの問題点がある.  そこで,本研究では既存研究の問題点を解決し,トランスポートレベルでの帯域集約・負荷分散を実現する機構であるマルチパスSCTPを提案した.マルチパスSCTPではAssociation確立時にお互いのインタフェース情報を交換し,それを基に最適なpathを選択する機能を提案した.具体的には,SCTPはAssociationの確立時にINIT,INIT ACK,Cookie Echo,Cookie ACKの4つのメッセージ交換するがINIT,INIT ACKメッセージでお互いのインタフェースのID,インタフェースの種類,帯域を交換する.そして,送信側はINIA ACK受信時に,受信側はCookie Echo受信時にそれぞれ同じ関数を用いて交換したインタフェース情報を基にpathを選択する.そうすることで無線インタフェースは無線インタフェース同士,有線インタフェースは有線インタフェース同士といった様な同じインタフェースの種類でpathが決まることを保証した.さらに同じインタフェースの種類でも,帯域の近いインタフェース同士を組み合わせることで,帯域の有効利用を図り,さらなるデータ転送の効率化を実現した.また,マルチパスSCTPでは複数のpathに同時にデータを送信し,path毎に再送制御や輻輳制御を行う機能を提案した.具体的には,path毎のシーケンス番号であるPath Sequence Number (PSN)を送信データに付加し,PSNを基に送受信側でパケットの到着順序を管理し再送制御や輻輳制御を行うことでデータをpath毎に管理する機能を提案した.またデータ送信時に,送信側で持つ送信できるデータの量を保持する変数である輻輳ウィンドウの最も大きなpathにデータを送信することで,データ送信時点で送信可能であるデータの容量が最も大きなpathにデータを割り当てることが可能となり,それにより効率的な通信を実現した.  以上の提案を実際にFreeBSD6.1-Releaseのオペレーティングシステム上に実装し,性能評価を行った.また,SCTPは2007年10月のバージョンを使用した.EndHost1,EndHost2の2台のマシンと4台のルータの計6台を用いてローカルなネットワークを構築し,インタフェースリストの交換の動作確認,送信レートの監視による複数のpathへの同時データ送信の確認,SCTPとのファイル転送時間,スループットの比較の3項目による性能評価を行った.  マルチパスSCTPを用いた通信をtcpdumpにより監視することで,提案手法ではインタフェースリストの交換が行われていることが確認できた.また,path毎の送信レートをtcpdumpにより監視することで,複数のpathに同時にデータが送信できていることを確認できた.さらに,通常のSCTPとファイル転送時間,スループットを比較することで,ファイル転送時間がSCTPの約51.21 %に短縮され,スループットが約1.96 倍に向上していることを示し,本提案方式の有効性を証明した.

3D-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名パケットロス発生におけるiSCSI遠隔ストレージアクセスに関する評価
著者*比嘉 玲華 (お茶の水女子大学), 神坂 紀久子 (情報通信研究機構), 山口 実靖 (工学院大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 609 - 615
KeywordiSCSI, ストレージ, TCP
Abstract 近年、インターネットなどの発達により、企業でも家庭でも、個人の所有する情報量が爆発的に増えてきた。それに伴って問題となってくるのが、データを保全、管理する作業である。データを格納するストレージ装置の増設や万一に備えたデータのバックアップ、データの移管など、面倒な作業が幾つも生じてくる。さらに、データが複数の機器に分散するという問題が起こる可能性もある。 こうした問題に抜本的な解決策を与えるプロトコルとして登場したのが、iSCSIである。 しかし、iSCSIは、複雑な階層構成で処理されており、バースト的なデータの転送も多いことから、通常の通信と比較して、特に、高遅延環境においては性能が著しく劣化してしまう。特に、下位基盤のTCP/IP層が提供できる限界性能を超えることはできず、最大限の性能が発揮できるようTCPパラメータなどを制御することが求められる。 一般に需要が多い遠隔ストレージへのデータバックアップを考えた場合、データの読み出し量よりも書き込み量の方が圧倒的に多く、また遠隔ストレージ側には標準的な環境のみを使用し、カスタマイズが不可能である場合も多い。 そこで本研究では、iSCSIのパラメータを最適に設定し、Initiator側のTCPソースコードにモニタ用の関数を挿入しユーザ空間からもアクセス可能なカーネルメモリ空間に記録する仕組みを作成しカスタマイズして、TCP輻輳ウィンドウの振舞とスループットを観察し、特に、高遅延環境におけるiSCSIのシーケンシャルライトアクセスの性能を高めるための手法を考案、検討する。  具体的には、本研究において、遅延装置を使って、様々な遅延を挿入した状態の下でiSCSIのパラメータを最適に設定し、スループットとTCP輻輳ウィンドウを観察したところ、デフォルト時の性能よりも良い性能が観察できたのだが、やはり、高遅延になればなるほどその差がわからなくなってしまうほど、スループット性能が劣化してしまうことが確認できた。  そこで、ネットワークアナライザを用いて性能劣化の原因を探り、それを元に性能向上の手法を提案していく。  また、IPネットワークにおいては、通信量が増加して回線や中継装置、サーバーの処理能力を超える場合などに、データ(パケット)が廃棄されるという、パケットロスが起こってしまうことがある。本研究では、理想的な高遅延環境のみを考慮した実験のみを行っていたのだが、より実際のネットワーク環境に近づけるために、様々な場合のパケットロスの環境の下でも実験していき、ネットワークアナライザを用いて性能劣化の原因の解析を行う。

3D-5 (時間: 19:00 - 19:25)
題名GSCIPのWindowsへの実装に関する検討
著者*細尾 幸宏 (名城大学理工学部), 鈴木 秀和 (名城大学大学院理工学研究科), 渡邊 晃 (名城大学理工学部)
Pagepp. 616 - 621
Keywordネットワークアーキテクチャ
Abstract企業ネットワークのセキュリティを確保するために通信グループを定義することは有効な方法である.しかし,IPsecのような既存の技術では通信グループの構成が頻繁に変化する場合や,個人単位と部門単位のグループ定義が混在した場合,それらに柔軟に対応するためには管理負荷が高くなり,導入が難しくなる. 我々はFPN(Flexible Private Network)と呼ぶ柔軟性とセキュリティを兼ね備えたネットワークの概念を提唱し,FPNを実現するためのネットワークアーキテクチャとしてGSCIP(Grouping for Secure Communication for IP)を提案している.GSCIPは現在FreeBSDに実装し,基本動作を確認済みである.今後GSCIPをより多くの人に利用してもらい,評価を受けるためにはWindowsに実装することが必須である. 本稿ではGSCIPをWindowsに実装する方法について検討し,GSCIPの基幹プロトコルの1つであるDPRP(Dynamic Process Resolution Protocol)の実装と評価実験を行ったので報告する. GSCIPでは,同一の通信グループに所属する端末は共通の暗号鍵としてグループ鍵を持ち,グループ鍵と通信グループを1対1に対応付ける.これにより,IPアドレスに依存しない通信グループを定義することができ,IPsecに比べて大幅に管理負荷を軽減することができる. FreeBSDにおけるGSCIPモジュールはIP層の一部を改造し,適切な場所から呼び出すサブルーチンとして実現されている.しかし,WindowsはOSがブラックボックスになっており,FreeBSDのように直接IP層を改造して実装することができない.その代わりに,Windowsは機能を拡張できるインタフェースが公開されている.この中でネットワーク機能を拡張できるNDIS(Network Driver Interface Specification)に着目し,これを用いてFreeBSDの場合と同等の機能を実現する方法を検討した. NDISはネットワークドライバの仕様やそれらドライバとのインタフェースを規定した仕様である.NDISはデータリンク層の機能の一部であり,中間ドライバとミニポートドライバがある.NDISドライバはネットワークドライバとして必要な機能を実現するモジュール群として作成して登録しておき,登録されたモジュールはNDISのインタフェースを介して所定のタイミングで呼び出される. GSCIPはNDISの中間ドライバとして実装する. FreeBSDで開発したGSCIPのモジュールはほぼそのままWindowsへ流用可能であるが,WindowsとFreeBSDで提供されているAPIの違いへの対応,MACヘッダに対する処理の追加,処理対象パケットのフィルタリングを行うなどの処理が必要になる. また,NDISドライバにはパケット送受信時にFreeBSDのIP層にはない特有の動作がある.プロトコルスタックの上位モジュールはパケットの送信を行う際に送信処理の結果をすぐには受け取らず,後で実行される結果通知処理によって結果を取得する.受信時は上位モジュールが受信パケットへの処理終了を通知すると,ミニポートドライバがリソースを開放する. GSCIPでは通信開始時にDPRPによって通信相手とのネゴシエーションを行い,グループの認証や通信の可否を判断する.このとき,トリガとなった通信パケットを待避し,ネゴシエーションパケットを送信するが,このパケットはGSCIPが動作するスタックより上位モジュールにその送信結果を知らせる必要はない.また,上記ネゴシエーションパケットの送信完了通知を上位モジュールが受け取ると管理していないパケットの通知を取得したことに起因してクラッシュを起こす可能性がある.そこで,ネゴシエーションパケットについては送信完了通知処理時と受信処理時にパケットの判別を行い,下位モジュールで全ての処理を完結させる必要がある. 上記検討結果に基づき,DPRPをWindowsのNDISを用いて実装し,性能評価を行った. DPRPのネゴシエーションによるオーバヘッド時間と通信時の処理によるスループットの低下を測定し,従来の通信に対してほとんど影響を与えないことを確認した. 今後はGSCIPの他の機能であるMobile PPC(Mobile Peer to Peer Communication),NAT-f(NAT-free Protocol),PCCOM(Practical Cipher COMmunication)を追加実装し,性能評価を行う.


セッション 3E  モバイルアプリケーションとDB(MBL)
日時: 2008年7月9日(水) 17:20 - 19:30
部屋: コスモ(1)
座長: 安本 慶一 (奈良先端大)

3E-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名FeliCaを利用したWebフォームへの個人情報自動入力ソフトの開発
著者*近藤 克彦, 宮崎 剛, 山本 富士男 (神奈川工科大学)
Pagepp. 622 - 625
KeywordFeliCa, 認証
Abstract現在パソコンが普及し,インターネットの通信速度の向上などによって,インターネットを利用する人が増えている.インターネットで各種サービスを受けようとする場合,ユーザ登録を必要とすることがある.また,商品の購入時や懸賞サイトへの応募などでも個人情報を入力することがある.登録内容は受けようとするサービスによって様々であるが,名前や住所など共通している項目がいくつかある.Webでこのような情報を入力する際,自動的に入力できると効率が良いと考える.近年ICカードが広く普及するようになり,クレジットカード会社や銀行などの金融機関はクレジットカードやキャッシュカードのIC化を急速に推し進めている.さらに今後,免許証やパスポートのIC化も計画されている.これらのことに着目し本研究では,個人情報が登録してあるICカードを利用し,ユーザ登録などの個人情報入力画面において,カードから個人情報を読み込み,自動で入力するソフトを開発する.このソフトを利用することにより,入力ミスが削減でき,パソコンに慣れていない人でも簡単に利用でき,大幅な時間短縮が期待できる.

3E-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名携帯電話を用いたWeb閲覧のためのクリック検索インタフェース
著者*小牧 大治郎, 大西 健史, 荒瀬 由紀, 原 隆浩 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻), 服部 元 (KDDI研究所), 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 626 - 633
Keyword携帯電話, Webブラウジング, Web検索
Abstract近年,携帯電話を用いたWeb閲覧は一般的なものとなっており,さらに閲覧だけでなく検索も一般的に行われるようになってきている.ただし,文字入力のインタフェースとして数字キーしか備えていない携帯電話では,検索語の入力に煩雑な操作が必要となる.筆者らの研究グループでは,ポインティングデバイスをもつ情報家電端末を対象とし,Webページ内でユーザが興味を持った語にポインタを合わせてクリックするだけで,その語に関連する情報を検索することができるクリック検索方式を提案している.しかし,ポインティングデバイスとして方向キーしか備えていない携帯電話では,興味を持った語に正確にポインタを合わせるために煩雑な操作が必要となる.そこで本研究では,携帯電話上で快適にクリック検索を実現することを目的として,クリック検索インタフェースの設計と実装を行った.円による領域で検索語を指定することで,ユーザはキーを押し続ける長さを変化させるだけで,方向キーしか持たないクリック検索方式を利用することができる.

3E-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名携帯端末間における自律的ブックマーク交換と状況による整理
著者*伊東 寛修, 高田 秀志 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 634 - 640
Keywordbluetooth, ブックマーク, PDA
Abstract近年,携帯電話やパソコン等の情報端末が普及し,人々はこれらの情報端末を用いて情報を集めたり伝えたりしている.しかし,いつでも気軽に情報を扱えるようになったかわりに,その情報を扱っている端末のユーザ以外の人々に情報が伝わらなくなってきている.例えば,e-mailなど個人用端末同士の通信では,通信をしている人同士でしか情報を共有することができず,それが有益な情報であったとしても,通信をしている人同士以外はその情報を得ることができない. 一方で,井戸端会議のような公共の場での世間話では,話している当人同士はもちろんのこと,話している声が聞こえる範囲にいる人も話の内容から有益な情報を得ることができる可能性がある.これは,このような公的な場での会話は,多くの人にとって「聞こえる」といった受動的なものだからである.これに対して,情報端末を用いてインターネット上の掲示板やblogなどで情報を得ようとする場合,「探す」「見る」といった能動的な働きかけが必要になる.これらの情報機器を扱う上で個人情報をはじめとした情報の保護は必須であり,必要以上の情報が不特定多数の人の目に触れることは避けなければならない.しかし,様々な個人用機器やユビキタス環境が進歩しているなか,情報をただ保護するだけでは,個人間の能動的な働きかけがなければ情報は流通せず,多くの人が有益な情報を取得する機会を逃しているのではないだろうか. 我々は,様々な情報機器間の情報を積極的に流通させることを目的として,「街角メモリ」という環境を構築している.「街角メモリ」は,前述の個人用端末や社会インフラとしての情報機器などを利用し,ユーザに特に意識させることなく有益な情報を提供することを目的とする.情報機器に保存されている様々な情報の1つにブックマークがある.ブックマークはユーザ一人一人が自分にとって役に立つ情報にアクセスしやすくするために登録しているものである.このようなブックマークを日常的に出会っている人々と交換することによって,日常生活の中で役に立つ新しい情報をユーザに提供することができるのではないかと考えている. 本稿では,個人用端末としてPDAを用い,PDAがブックマークを自律的に交換し,受信したブックマークをユーザの状況によって整理する手法を提案する.本手法では,ブックマーク内にあらかじめ役割が決められているフォルダとして,「公開ブックマーク」フォルダと「受信ブックマーク」フォルダを用意する.PDAは通信可能距離が約10メートルのBluetoothを用いて,同じ状況にいるユーザのPDAを検出する.ここで,同じ状況とは,一度検出してから一定時間以上(今回の実装では3分)通信可能な状態を維持すれば,PDAのユーザ同士はすれ違っているのではなく,同じ状況にいると考える.同じ状況にいるユーザのPDAを確認したら,Bluetooth通信により「公開ブックマーク」フォルダ内のブックマークを送信する.また,受信時にはPDAが予定表などからユーザの状況を取得し,取得した状況ごとに「受信ブックマーク」フォルダ内に登録する.このように,本手法では端末のユーザが意図的に発信しなければ伝わることのなかった情報を,端末が自律的に交換することによって多くのユーザ間での情報流通を促す.また,交換したブックマークをユーザの状況によって整理することで,状況に関連した情報を発見しやすくする.これにより,能動的な働きかけをしなければ発見できなかった情報を提供する. さらに,提案手法を用いたプロトタイプシステムを実装し,評価実験を行った.開発はWindows Vista上でVisualC#を用いて行い,実装にはHewlett-Packard社のiPAQシリーズを用いた.実験では,被験者10名に4日間PDAを持ち歩いてもらった.その中で交換されたブックマークについて,「ブックマークの内容が状況にあっていたかどうか」と「ブックマークが役に立ったかどうか」について,アンケートを行った.このアンケートの結果,「状況にあっていて,役に立った」という回答と「状況にあっておらず、役にも立たなかった」という回答の割合が多かった.このことから,ブックマークをユーザの状況によって整理することは有効ではないかという考察に至った. 今後の課題として,次のようなことが考えられる.ユーザによっては予定表から取得した状況がとても少なかったので,他の状況取得の方法を組み合わせ,状況をより確実に取得できるようにする必要がある.また,状況に整理されたブックマークは受信した順番に並ぶだけなので,ユーザにとって役立つ情報を推薦する方法を考案する必要がある.

3E-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名装着型センサを用いた経路推薦機構をもつナビゲーションシステムの開発
著者*片山 拓也, 中宮 正樹, 山下 雅史, 村尾 和哉, 田中 宏平 (大阪大学大学院情報科学研究科), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科), 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 641 - 649
Keyword経路推薦, ナビゲーションシステム, イベント空間
Abstract近年,街中や公園におけるスタンプラリーやアミューズメントスポットにおけるアトラクション巡回など,イベント空間内に設置されたポイントを回る,ポイント巡回型のサービスがさまざまな場所で提供されている.これらのイベント空間では,参加者の多くは「遠回りはしたくない」,「自分が体験したいアトラクションを効率よく回りたい」といった意志をもって行動している.一方,これらのイベントを参加者の意志のみに任せて運営すると,特定の経路およびアトラクションの混雑や,ラリーの早期終了および遅延など,イベント主催者にとっての問題が発生する.そこで本研究では,参加者の行動を部分的に制御できる環境を想定し,「一定の時間内でラリーを終わらせたい」,「効率よくポイントを回らせてイベントの完遂者を増やしたい」,「特定のアトラクションへの人の集中を回避させて待ち時間を減らしたい」といったイベント主催者の意図を考慮した経路推薦機構をもつナビゲーションシステムの実現を目的とする.構築したシステムを実運用した結果,提案システムによって参加者はイベント主催者の目的に沿って行動していることを確認した.また,装着型センサを用いて参加者の状況をリアルタイムに取得することでシステムがより有効に動作することを確認した.

3E-5 (時間: 19:00 - 19:25)
題名組込み用データベースにおける二段階検索方式の提案
著者*氏家 純也, 水口 武尚, 大塚 義浩, 田中 功一 (三菱電機)
Pagepp. 650 - 657
Keyword組込み機器, 携帯端末, データベース, 検索
Abstract PDAや高機能携帯電話などで取扱うコンテンツは肥大化の傾向が強く,円滑な管理を目的にDBMS(Database Management System)を用いてコンテンツを管理するケースが増加している.一方,ユーザ操作に対する応答時間が重要視されている.それゆえ,機器上で動作するDBMSに対しても応答性能の向上が求められており,内部的にはDBMS単体の応答性能のみならず,ユーザから見た応答性能,すなわちアプリケーションと組み合わせた場合の応答性能の向上が重要となる.  組込み機器の多くはLCDなど表示サイズが小さいため,コンテンツの一覧などの表示は複数のページに分割され,ユーザ操作により表示するページを変更するといったユースケースが考えられる.アプリケーションの応答性能を向上させるためには,DBMSが「最初の画面」に表示すべき内容を高速に提供する必要がある.また,複数のページに分割された表示内容をユーザが確認する場合,「次のページ」,「前のページ」といった単純なページ移動に限らず,たとえば「10ページ先」,「最終ページ」のようなものにも対応することが望ましい.しかし,このような動作を実現するためには,アプリケーションからDBMSに対して事前に検索要求を発行してヒット件数などを取得する必要があり,結果としてユーザに対する応答時間が長くなってしまうと言う問題がある.  本報告では,上記の問題を解決する検索方式として,アプリケーションから発行された検索要求を二段階にわけて解決することを提案する.この方式ではまず,条件を満たすレコードのプライマリキーのみの取得しヒット件数(条件を満たすレコードの数)を数え上げる(第一段階).また取得したプライマリキーを用いて,アプリケーションが発行した検索要求にある取得対象カラムの値をDBMSから取得する処理を繰り返す(第二段階).  本報告では,提案方式を組込み機器に実装し評価も行った.実装では,検索処理をアプリケーションとは別のスレッドで動作させ,第二段階の実行中にアプリケーションから特定の行番号について検索結果取得の指示を受けると,その指示を優先してDBMSから検索結果を取得するように構成した.このように動作させることで,アプリケーションから1つの検索要求を発行するだけで,ヒット件数の数え上げが完了した時点から,任意の行番号の検索結果を取得可能となるため,ユーザ操作に対する応答性能の向上が期待できる.


セッション 3F  P2P(2)(DPS)
日時: 2008年7月9日(水) 17:20 - 19:30
部屋: コスモ(2)
座長: 佐藤 健哉 (同志社大)

3F-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名PSP2P:P2Pネットワークを用いた高画素写真の共有
著者*洞井 晋一, 松浦 知史, 藤川 和利, 砂原 秀樹 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科)
Pagepp. 658 - 667
Keywordオーバーレイネットワーク, ピア・ツー・ピア
Abstractデジタルカメラの低価格化やパソコンの普及に伴い、 高画素なデジタルカメラが一般に広く普及してきている。 デジタルカメラが従来のフィルムカメラと違うところは、膨大な量の写真を撮影できる点にある。 フィルムカメラにはフィルムの枚数という制限があったが、 デジタルカメラが利用しているカードメディア等は大容量化を続け、 多くの写真を撮影しても容量が不足するということは少なくなってきている。 また、フィルムカメラの場合は現像しなければ写真を見ることができなかったが、 デジタルカメラで撮影した写真はパソコン等での閲覧を行うことにより、現像する必要がなくなった。 そのため、従来は厳選した場面のみで写真を撮影し、その写真を現像し、保存していたのに対し、 現在ではとにかく多くの写真を撮影し、パソコン等に取り込んだ後で気に入った写真を探すという利用方法に変わってきている。 このような膨大な量の写真データをインターネットを用いて共有するさまざまなサービスが考えられている。 著名なものとしては「Flickr」というサービスがある。 写真を撮影したユーザはFlickrのサーバに画像をアップロードし、 一般のユーザはそのサーバ上の写真データを閲覧することができる。 また、日本においても「はてなフォトライフ」や「PHOTOHITO」といったサービスを用いることで写真の共有が行われている。 しかし、こうしたサービスでは膨大な量の写真を高画質のまま共有することが難しい。 これにはサーバ側の負荷や、ユーザがアップロード時に要する時間など、さまざまな要因が考えられる。 一方で、様々なユーザの需要に応えるためには撮影された膨大な写真を共有することが必要であり、 また高画質なままの写真はトリミングを行う時や印刷時に需要がある。 本研究ではこの「高画質なままの膨大な量の写真」を共有するために、独自のP2Pネットワーク「PSP2P」を提案し、実装した。 従来のシステムの場合、大量の写真を共有しようとしたとき、写真のアップロードに長い時間がかかってしまう。 また、サーバの負荷も大きくなることから多くのサービスでは一度にアップロードできる写真の数を制限している。 そこで、PSP2Pでは写真のサムネイル画像のみを共有することで、 写真の枚数が多くとも高速に共有することを可能とした。 サムネイルのみを共有の対象とした理由は、負荷の問題のほかにユーザの写真探索の手順を考慮したためである。 ユーザが目的の写真を探すとき、写真の一枚一枚を吟味するとは考えにくい。 ユーザはまず写真のサムネイル一覧を閲覧し、その中から目的となる写真を探索する。 その後、目的の写真について高画素の写真を取得することが予想できる。 そのため、共有される画像はサムネイル画像のみで十分であると考え、 元の高画素な写真は共有元のユーザが保持する。 写真を得ようとするユーザはまずサムネイル画像を得るための任意のクエリーを送信し、 サムネイル画像の一覧を得る。 ユーザがそのサムネイルの一覧の中から興味のある写真を見つけた場合、 高画素画像を共有元のピアから直接取得することができる。 このように用途によってサムネイル画像と高画素画像を使い分けることで、 高速な写真のアップロードや、効率的な写真の探索、また高画素な写真の取得を可能とした。 PSP2Pの実装を行う上では特にサムネイル画像の共有に着目し、 筆者らが提案している時間を考慮したP2Pネットワーク上での共有を行った。 そのため、PSP2Pでは撮影時間の範囲を指定したクエリーを効率よく処理することができる。 また、こうした撮影時間を指定したサムネイル画像の取得を行うことで、 同じ時間に撮影された全く趣旨の異なる写真などをユーザに提供することを可能とした。 これは、目的となる写真とは別に「一方そのころ」といった新しい写真提供の方法を実現している。 また、PSP2Pを用いた場合、他のサーバ・クライアント方式やハイブリッドなP2P方式と比べてどのような利点があるか、また今後解決するべき問題点などについて考察を行う。

3F-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名P2Pネットワークにおけるユーザの嗜好特性を考慮した検索方法に関する一考察
著者*宮崎 知美, 渡辺 俊貴, 神崎 映光, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 668 - 675
KeywordP2P, 検索, キーワード, 嗜好特性
AbstractP2Pネットワークにおいてデータを検索する場合, ユーザの指定した任意数のキーワードを用い, これらと一致するデータを獲得する方法が 一般的である.しかし,この方法では, データの内容を考慮せずに検索を行うため, ユーザが必要としないデータも同時に獲得してしまう可能性が高い. 筆者らはこれまでに,P2Pネットワークにおいて, ユーザの嗜好を考慮した検索方法を提案した. この方法では,各ピアが所持するデータの特徴を表すキーワードを基に ユーザの嗜好を学習,推測し,これを用いて 返送するデータのフィルタリングを行う. しかし,この方法は,ピアのネットワークへの参加や脱退の発生しない, 静的な環境を想定している.そのため,動的な環境では, ユーザの嗜好の学習速度や 推測した嗜好の信頼性が低下し, フィルタリングの効率が低下してしまう. そこで本稿では,これまでに提案した手法を拡張し, 動的な環境に適した検索方法を提案する. 提案方法では,ピアが嗜好を推測する際に, 他のピアから嗜好情報を受け取ることで,ユーザの嗜好の学習速度や精度を 向上させ,動的な環境においてもフィルタリングの効率を維持する.

3F-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名IPv6の通信性能を考慮したネットワークプラットフォームの提案
著者*岡村 拓, 井手口 哲夫, 田 学軍, 奥田 隆史 (愛知県立大学情報科学研究科)
Pagepp. 676 - 681
KeywordIPv4, IPv6, LAN, コンピュータネットワーク, 実測
Abstract近年、インターネットの急速な普及によりインターネットへの参加端末が多様化、増大化してきた。そのため各端末に割り当てるグローバルIPアドレスの不足が懸念されている。そこで現在主に使用されているIPv4(Internet Protocol version 4)から次世代インターネットプロトコルであるIPv6(Internet Protocol version 6)への移行が進められている。このようなIPv6への移行に伴い、著者等が所属する研究室ではネットワーク技術の研究のためにIPv6通信の実験プラットフォームの構築が必要とされている。また、研究室ネットワークもIPv6通信への対応が必要となっていることから、最適な研究室ネットワークを構築する上でIPv6の通信性能に関しての情報が必要である。しかし、実際にはIPv6の通信性能に関するデータは公開されていないというのが現状である。本稿では、IPv6を使用することでどのようなメリット・デメリットが得られるかを端末間ユニキャスト通信で実測し、IPv4と比較することにより評価する。さらに、研究室ネットワークとして最適なネットワークプラットフォームの構築条件を示す。

3F-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名P2Pストリーミング放送における複数端末へのデータ配信手法
著者*後藤 佑介 (京都大学大学院情報学研究科), 義久 智樹 (大阪大学サイバーメディアセンター), 金澤 正憲 (京都大学学術情報メディアセンター)
Pagepp. 682 - 689
Keyword放送型配信, ストリーミング, 待ち時間, P2P
Abstract 近年の映像視聴形態の多様化にともない,P2P (Peer-to-Peer) 技術を用いたストリーミング放送に注目が高まっている.P2Pストリーミング放送では,映像を要求する端末(以下,要求ピア)は,映像の再生に必要なデータを他の複数の端末(以下,供給ピア)から受信する.ピアと呼ばれるクライアントは,データを受信するだけでなく,他のピアからデータを要求されたときはサーバとして動作する.要求ピアは,セグメントと呼ばれるデータを等分割した部分を供給ピアから受信し,データの先頭部分のセグメントの受信が完了すると,再生を開始できる.  従来のP2Pストリーミング放送では,ピアの負荷を分散するため,要求ピアがデータの受信に使用する供給ピアをランダムに選択していた.しかし,選択した供給ピアが使用できる帯域幅が小さい場合,受信開始から再生開始までの時間(以下,待ち時間)が大きくなる.そこで,待ち時間をできるだけ短縮するため,受信先のピアを効率的に選択する必要がある.  筆者らはこれまで,P2Pストリーミング放送において,データ受信時の待ち時間を短縮するピア選択手法を提案してきた. 提案手法では,要求ピアが複数の供給ピアにセグメントの最初の部分から順番にデータを要求するとき,各セグメントの配信終了時刻が一番早い供給ピアに受信を要求することで待ち時間を短縮する.しかし,この手法では,1つの供給ピアが複数の要求ピアに対して同時にデータを配信することを想定していない.供給ピアが使用できる帯域幅は,最初にデータを要求したピアにすべて使用するため,新たな要求ピアがデータを要求しても,配信に使用する帯域幅を確保できず,最初にデータを要求したピアが使用している帯域幅が解放されるまで待つ必要がある.  そこで本研究では,P2Pストリーミング放送において,同時に複数の要求ピアにデータを配信する場合のピア選択手法を提案する.提案手法では,各供給ピアが使用できる帯域幅を考慮して供給ピアを選択することで,要求ピアがデータを受信するときに発生する待ち時間を短縮する.

3F-5 (時間: 19:00 - 19:25)
題名異種端末環境に適応したオーバレイマルチキャストによるビデオストリーミング方式の検討
著者*田中 貴章, 相田 仁 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科)
Pagepp. 690 - 697
Keywordオーバレイマルチキャスト, P2P, ライブストリーミング, トランスコーディング
Abstract近年、 P2P技術を用いたオーバレイネットワーク上で実現するライブストリーミングサービスが登場し注目を集めている。しかし、そのようなサービスのほとんどは提供する動画品質が固定されてしまっており、あらゆる端末で動画を視聴することは困難である。そこで、動画品質が端末の処理能力やネットワーク帯域に最適化され、それぞれの端末でライブストリーミングを快適に視聴できるようにするためのコンテンツ配信手法について提案を行う。本研究では、端末の環境に適応した品質のデータを流通させるために、オーバレイネットワーク上で動画を中継する端末が受信したデータのビットレートや符号化形式を転送先に適応(トランスコーディング)させて中継する、という手法をメッシュ型トポロジに対して適用する。従来提案されていた手法であるツリー型トポロジでは、ビデオストリームを一つの端末がリアルタイムでトランスコードを行うには、特にH.264のような高忠実度符号化手法を用いた場合に、現状では処理能力の面で困難である場合が多い。そのため、配信データを分割し、それらを各端末が部分的にトランスコードを行い、さらにそれを同じ動画品質を要求する端末間で共有し合う、というメッシュ型の特徴を利用することにより、柔軟かつ効率的、そして配信元にかかる負荷を低減させるデータ配信が可能になる。この提案手法の実現のためには、同じ品質の動画を要求する端末同士の連携が効率的に行われるためのネットワークトポロジの構築が必要となる。そこで、このような端末同士の効率的な連携のために、動画品質と符号化方式との組み合わせからなるクラスタを形成する。端末はパラメータとして処理性能、上り帯域、下り帯域を持ち、それらの値から自身がどのクラスタに所属するかが決定される。そして、クラスタ間でデータがやりとりされる際にのみトランスコード処理がなされるようにする。このようなネットワークトポロジ構築の有効性をシミュレーションによって検証を行う。


セッション 3H  トラフィック解析(IOT)
日時: 2008年7月9日(水) 17:20 - 19:30
部屋: ビューホール(1)
座長: 安東 孝二 (東京大学)

3H-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名ネットワークトラフィックの異常検出過程における分析の効率化手法の提案
著者*佐藤 彰洋 (東北大学大学院 情報科学研究科), 長尾 真宏 (東北大学大学院 報科学研究科), 小出 和秀 (東北大学電気通信研究所), 木下 哲男 (東北大学サイバーサイエンスセンター), 白鳥 則郎 (東北大学電気通信研究所)
Pagepp. 698 - 704
Keywordネットワーク管理, トラフィック分析, ネットワークイベント

3H-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名並列データマイニング実行時のIP-SAN統合型PCクラスタのネットワーク特性解析
著者*原 明日香 (お茶の水女子大学), 神坂 紀久子 (NICT), 山口 実靖 (工学院大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 705 - 714
KeywordIP-SAN, iSCSI, 並列分散処理, PCクラスタ, データマイニング
Abstract近年、発達する情報化社会では、データの蓄積と運用が非常に重要になってきている。また、情報システムにおいて処理されるデータ量が膨大になってきている。ユーザにとって重要なデータが蓄積されているにも関わらず、使いこなせていない場合が少なくない。そこでデータマイニングの中で、膨大なデータから有益な規則や関係を抽出する相関関係抽出に注目した。相関関係抽出のためのアルゴリズムとして代表的なものに、頻出アイテムセットから候補アイテムセットを生成し、繰り返し数え上げを行っていくAprioriアルゴリズムと、巨大なトランザクションデータベースから相関関係抽出に必要な情報をコンパクトに圧縮したデータ構造であるFP-treeを利用することで候補パターンを生成せずに頻出パターンを抽出するFP-growthアルゴリズムというものがある。パラメータの条件によっては相関関係抽出における計算量、データ処理量は非常に多くなるため、並列化が不可欠となる。分散メモリ型並列計算機の各ノードに汎用のパーソナルコンピュータとネットワークを用いたPCクラスタと、増大する情報量を蓄積するための技術として登場したSAN(Storage Area Network)を併せて用いることで、大量の情報を高速に処理することを目指した。通常SANを用いたPCクラスタではノード間通信を行うフロントエンドはLAN,ストレージアクセスを行うバックエンドはSANでネットワーク接続されている。これに対し我々は、ネットワーク構築コストと管理コストの削減を目指し、フロントエンドとバックエンドのネットワークを同じIPネットワークに統合したIP-SAN統合型PCクラスタの実現を考え、構築した。PCクラスタ上で2つのアルゴリズムを実行するためにはそれらのアルゴリズムを並列化しなければならない。PCクラスタ上の環境でマイニング処理を実行する並列相関関係抽出の研究は多数行われている。その中でAprioriをベースとした並列相関関係抽出のアルゴリズムはいくつか提案されているが、本研究ではハッシュ関数を使用してAprioriを並列化するHPA(Hash Partitioned Apriori)を用い、FP-growthの並列相関関係抽出アルゴリズムはHPAを元に行われた既存研究で提案されたPFP(Parallelized FP-growth)を用いる。これまで使用してきたクラスタにおいては、ネットワークに比べてローカルストレージの帯域幅が低いため、IP-SAN統合型PCクラスタの性能が低下しないということが分かった。そこで、我々は以前より高性能なストレージ(SATAディスクとRAID0構成のSASディスク)を導入したIP-SAN統合型PCクラスタを新たに構築し、HPAアルゴリズムとPFPアルゴリズムをそれぞれローカルデバイスを用いたPCクラスタおよびIP-SAN統合型PCクラスタ上で実行し、実行時間を測定し、そのときのネットワークトラフィック、CPU使用率、メモリ使用率などのモニタを行った。その結果、HPAにおいてはどのクラスタも実行時間はほとんど変わらず、PFPにおいては基本性能測定で格段に性能が良かったSASディスクを用いたPCクラスタの実行時間が一番遅いことがわかった。また、ネットワークトラフィックのモニタリングから、どちらのアルゴリズムにおいてもどのクラスタもネットワークの帯域にはまだ余裕があり、iSCSIを用いた場合も、iSCSIのトラフィックはネットアークにはあまり大きな影響を与えていないことが分かり、IP-SAN統合型PCクラスタは有効であることが分かった。そこで、本研究では、initiatorとtargetの接続台数を変化させるなどして、これまでよりよりネットワークに高負荷をかけたときの、IP-SAN統合型PCクラスタの振舞を観察し、解析を行っていく。

3H-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名大規模データを扱うエンジニアリングアプリケーション向けの高速なASPシステムの構築
著者*亀山 裕亮, 佐藤 裕一 (富士通研究所)
Pagepp. 715 - 722
KeywordASPサービス
Abstract近年、高速なインターネット回線が安価に利用できるようになったことに伴い、 データセンタのサーバ上に置かれたアプリケーションをインターネット経由で 利用し、アプリケーションを利用した分だけ課金されるという枠組みを提供する ASPサービスが注目されている。 ASPサービスを導入することで、利用する人数の分だけコンピュータを準備する 場合と比べて、コンピュータの購入費用だけではなく、ソフトウェアの導入費用、 サポート費用、運用管理などの総運用コストを下げることが可能である。また セキュリティの面でも、業務データが複数のコンピュータに分散していると、 データの入ったPCを紛失したり盗難に会う確率が高く、情報漏洩のリスクが非常に 高くなってしまうが、ASPサービスではサーバ側ではデータを一括管理するため そのリスクを下げることができる。 現在ASPサービスで主に提供されているサービスとしては、文書の編集や、Eメール 送受信、Webサイトの閲覧などといったオフィスアプリケーションが多いが、 これを特にCADやCAEなどといったエンジニアリングアプリケーションに適用した 場合には扱うデータの規模の違いから発生する問題がある。 そこで本発表ではエンジニアリングアプリケーションをASPサービス化した場合の 問題点とその解決方法について発表を行なう。 まずASPサービスでは基本的にはサーバがアプリケーションを実行し、その結果 となる画面だけをユーザサイドのクライアントに転送している。画面の転送方法 としては、画像そのものを送る方式、ベクトルデータに変換して送る方式、描画の ためのコマンドだけを送り処理はクライアント側で行なう方式などがあるが、 エンジニアリングアプリケーションには動作環境がUNIXであるものも多く、 Xプロトコルとよばれる転送方式がそのまま利用されている。Xプロトコルでは図形の 描画やウィンドウの生成などをコマンドとしてサーバからクライアントに送信して いる。この時、例えば縦横のサイズが数万グリッドを越えるようなLSIの配線設計 であっても、実際に画面に表示されるサイズは1600×1200ピクセル程度であり 重なって表示されない部分が多いが、それらもすべて描画コマンドとして送られて しまう。そこで我々はアプリケーションから送られてくる描画情報を一旦サーバ上で キャッシュし、画像データに変換して直接転送することで転送データ量の削減を 行った。転送データ量の削減率は設計データの種類や規模に依存するが、4万本の 配線データが存在するLSIの設計において、従来のXプロトコルのまま転送する場合と 比較して50%のデータ量削減を実現した。 また一般的なASPシステムではデータ転送のプロトコルにTCPを用いている。TCP 通信ではRTT(Round Trip Time)が大きな回線では十分な速度を出すことができない。 これは、送信側は受信側からの応答(ACK)が届かないまま送信できるデータ量が ウィンドウサイズで制限されていることや、ACKが届かないことでパケットの消失を 検知し、 消失した所から再送を行う構造上の理由が原因である。そこでACKを用い ないUDPでパケットを連続的に送付し、パケットの消失を FEC(Forward Error Correction)で修復することにより, 高速データ転送を実現する ため、我々は簡単な計算と少ないメモリ量で高速に符号化・復号化ができるFECで あるRPS(Random Parity Stream)符号を開発した。RPS符号では転送データを いくつかのブロックに分割し、要素が0と1からだけなる符号化行列に従って特定の ブロック間で排他的論理和をとったものをデータとして転送する。受信側で転送 データを復元する際にはガウス消去法を用いた復号法により元の転送データを 復元することができる。この手法では符号化と復元に用いられる演算が排他的 論理和のみであるため、非常に高速できるという点が特徴である。従来のTCPによる 転送と比較してUDPとRPS符号を用いることで、RTTが200msの環境では2倍の高速化を 実現した。 今回開発したASPシステムは社内適用を開始しており、今後は他の業務システム のASP化についても検討を行なっていく予定である。

3H-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名遠隔医療用TV会議システムにおける重畳フレーム番号の識別率評価
著者*平山 宏人 (岡山大学大学院自然科学研究科), 岡山 聖彦, 山井 成良 (岡山大学総合情報基盤センター), 岡本 卓爾 (岡山理科大学工学部), 秦 正治 (岡山大学大学院自然科学研究科), 岡田 宏基 (岡山大学病院総合患者支援センター)
Pagepp. 723 - 728
Keyword遠隔医療, TV会議システム, 高品質静止画, フレーム番号, 識別子
Abstract 近年,少子高齢化社会や農村部の過疎化が急速に進み,特に過疎地域では高齢者の人口に占める割合が人口密集地域に比して著しく高い状態になっている.これに対して,高度な医療設備を有している医療機関は人口密集地域に集中しており,また患者もより高度な医療を求めてこのような病院に集中する傾向が続いていることら,地域の医療格差がより広がる結果となっている.すなわち,過疎地域では高度な医療を必要とする患者の割合が高いにもかかわらず,十分な医療を受けることが困難になってきている.  このような状況への対策として,TV会議アプリケーションを利用した遠隔医療が注目を集めている.特に最近では,一般家庭へのブロードバド回線の普及により,過疎地域においてもインターネットへのアクスが可能となってきており,医療の地域間格差を解消するものとして期待されている.しかし,インターネットはベストエフォート型のネットワークであり,利用可能帯域などの品質が保証されないことから,既存のTV会議アプリケーションで送受信される動画像の品質を高品質なものにするのは難しく,またネットワーク障害によって,画質の劣化,フレームレートの低下,転送遅延時間の増大といった問題が発生することもある.以上のような理由から,既存のTV会議アプリケーションのままでは診療に用いることはできない.  この問題に対して,我々の研究チームでは,TV会議アプリケーションの動画像を撮影部位の確認に使用し,医師が所望するタイミングで,診断に耐えうる高品質な静止画 (以下,高品質静止画という)を取得するシステムを開発している.本システムでは,患者側のカメラから入力された動画像を1 フレームずつ高品質静止画として一定期間保存すると共に,動画像にフレーム番号画像をリアルタイムに合成してからTV会議アプリケーションに入力する.そして,TV会議アプリケーションはこれを低品質な動画像に変換しつつ医師側に送信する.一方,医師側端末のTV会議アプリケーションにはフレーム番号画像が重畳された動画像が表示されるが,医師はこの動画像と音声通話機能を併用して撮影部位を確認しながら,所望のタイミングで動画像のスナップショットを取得する.スナップショット画像を解析するとフレーム番号が得られるので,これを患者側端末に要求し,対応する高品質静止画を得て表示する.TV会議アプリケーションの動画像に重畳されたフレーム番号画像を用いて高品質静止画を特定することにより,ネットワークの伝送遅延やTV会議アプリケーションで発生する遅延が変動しても,医師が取得したスナップショットに対応する高品質静止画を得ることが可能となっている.  本システムでは,フレーム番号は2進数として表現され,各ビットをブロック画像の列として配置することによりノイズ耐性を高めているが,パケットロスや遅延の増大など,ネットワーク状態の著しい悪化によって動画像にノイズが混入した場合や,ブロック画像の色情報が変化・消失することや,配置が崩れるなどの問題が起こる場合に,フレーム番号が正しく転送されず,本来の番号とは異なった解析結果となる(以下,誤認識という)可能性がある.TV会議アプリケーションで用いられるMPEGベースの動画像圧縮方式では,画像圧縮の単位となるブロックは横方向のスライスとしてまとめられるなど,ブロック画像列の配置方向やフレーム上の配置位置により識別率は変化することが考えられるが,ネットワーク状態の変化がフレーム番号の識別率に与える影響は,これまで検討されていなかった.  そこで本研究では,フレーム番号のブロック画像列の配置方法が,識別率に与える影響を評価する.具体的には,本システムを構成する医師側および患者側端末の間にネットワークエミュレータを導入してネットワークのパラメータ,すなわち,帯域・遅延時間・パケットロス率を指定できるようにする.そして,ブロック画像列の符号化方法および配置方法それぞれについて患者側から医師側にTV会議アプリケーションの動画像を送信し,医師側でフレームごとにブロック画像列を解析することにより,それぞれの場合におけるフレーム番号の誤認率を比較検討する.実験パラメータのうち,ブロック画像列の符号化方法について行った予備実験では,グレイコードの使用により通常のバイナリコードよりも誤認率が約35%改善されることが判明している.

3H-5 (時間: 19:00 - 19:25)
題名大規模無線環境へ拡張可能な通信品質検知フレームワークの提案
著者*妙中 雄三, 樫原 茂, 門林 雄基, 山口 英 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 729 - 737
Keyword無線計測, 通信可能エリア検知
Abstract将来の無線ネットワークはいつでもどこでも接続でき、通信が途切れない環境であることが望まれる。実際にこのような将来の無線ネットワークを実現するにはいくつかの問題が存在する。将来の無線ネットワークは大規模で安定した通信品質が求められるが、構築・管理の大部分が技術者によって行われているため、無縁エリア全域での品質管理の困難や大規模環境への拡張性の欠如が問題となる。また、実環境では、無線エリアの様々な場所で空間的・時間的に無線干渉や反射、拡散等の様々な影響が発生するため、それらの影響による通信品質変動の問題がある。そこで、本研究では、将来の無線ネットワークを実現するための基礎となる新たな無線計測基盤を提案する。提案手法では、技術者の関与を軽減し、無線エリア全域を継続的にかつ詳細に無線計測を実現する。そして、シミュレーションによる実験を通して、提案手法の精度と有効性を評価する。


セッション 3I  位置推定(UBI)
日時: 2008年7月9日(水) 17:20 - 19:30
部屋: ビューホール(2)
座長: 井上 創造 (九州大学)

3I-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名無線電波測位手法における障害物を考慮した電波マップの構築
著者*桑原 雅明 (立命館大学大学院 理工学研究科), 西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部)
Pagepp. 738 - 745
Keyword位置情報システム, 位置推定

3I-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名私的空間を対象とするカメラを用いた屋内位置推定システムの提案
著者*西山 智 (KDDI研究所/東京大学), 岩本 健嗣 (KDDI研究所), 越塚 登, 坂村 健 (東京大学)
Pagepp. 746 - 754
Keyword位置検出, 屋内空間, カメラ
Abstract近年、ユーザの状況(コンテキスト)に応じたサービスをユーザに提供するコンテキスト依存サービスの研究が盛んに進められている。特に、ユーザの位置情報は、利用したいサービスや端末などに関するユーザの意図が推定可能する、あるいはより直接的にナビゲーションサービスなどでの初期位置に使えるなど、重要なコンテキストと考えられる。屋外においてはGPS(Global Positioning System)を用いて比較的高精度な位置情報が取得可能である。しかしながら、GPSの利用できない屋内では、超音波を利用するもの、無線LANの電界強度を利用するものなどこれまでいろいろな位置取得方式が検討されてきたが決定的なものは報告されていない。  筆者らは、その利用形態から屋内空間を公共空間と私的空間に分類する。すなわち不特定多数のユーザが利用する駅の構内や商業施設、地下街などは公共空間であり、一方オフィスや住宅は原則としてそこで働く従業員や住人のみが利用するため、私的空間と考えた。公共空間ではそこを利用する全ての人を位置推定システムに予め登録することは難しいため、予めの登録の必要が無い位置推定方式が必要である。一方、私的空間ではそこを通常利用する人は決まっており、位置推定システムに予めユーザ登録を行うことが可能である。さらに、住居等での利用を考えると、ユーザが何らかの端末装置を常に携帯することをシステム要件とすることは望ましくない。また来客や不法侵入者等に端末を持つことを強制することは難しい。また設置あるいは運用のコストが低いことが必要となる。 そこで、筆者らは、これらの要件を考慮して環境側に設置したセンサーのみで屋内位置推定を行うシステムを設計した。本稿ではその設計概要および一部の評価について報告する。 提案するシステムの要件は次の2つである: ・ 比較的低コストで設置可能であること、 ・ ユーザに何も装置を持たせないこと。 これらの要件を満たすため以下の設計とした: ・ 比較的安価なカメラをセンサーとして使用し、カメラ画像の差分抽出により動物体を検出する。カメラ一台が撮影できる範囲は限りがあるため、複数台のカメラを用いることができ、さらに魚眼カメラや斜め方向に設置したカメラも使用できるようにする。 具体的には、各カメラの画像から差分抽出ソフトウェアによって動物体の重心を抽出する。この軌跡はオクルージョンやユーザの動きが止まった場合に急激に移動したり、あるいは交差や消滅したりする。このノイズの多い軌跡を接続する処理も組み込む。 また、全てのカメラが魚眼カメラではなく鉛直方向にむけて配列されている場合と、魚眼カメラも含む複数カメラが任意の方向に設置されている場合の両方をサポートすることとし、前者は単一カメラ内で位置がわかるためカメラ間の軌跡の接続処理を、後者は各カメラでの物体の撮像位置から物体の方向ベクトルを検出し、そのベクトル間の交差により位置を求めるため、複数カメラによる位置推定理を実装する。 ・ 単なる動物体の軌跡ではユーザを識別できないため、予め各ユーザの行動パターンを学習しておき、検出した動物体の動きからそれがどの登録ユーザ(あるいは登録ユーザ以外の誰か)であるか推定する。具体的には、軌跡を短い区間ごとにシンボル化しそのシンボルの並びからHMM(隠れマルコフモデル)等によりユーザを推定する。 この設計に基づき実験システムを構築し、カメラを実際のオフィスに設置した。本稿では、第一段階としてカメラからの動物体の軌跡検出精度についても報告する。

3I-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名カメラとモーションセンサを用いた公共空間における位置取得システム
著者*岩本 健嗣, 西山 智 (株式会社KDDI研究所)
Pagepp. 755 - 760
Keyword位置取得システム, モーションセンサ, 公共空間, 屋内位置
Abstract近年,屋外では,GPSを用いて位置取得を行う方式が一般的に利用されており,携帯電話におけるナビゲーションサービスなどが実現されている. しかし,屋内では,GPSが利用できないため,こうしたサービスを利用することができない. そのため,屋内においてもユーザの位置を取得するための様々な研究がおこなわれている. 例えば,超音波タグを利用する方法や,RF-IDによる手法,無線LAN基地局を利用する手法などが提案されている. 本稿では,屋内環境として公共空間をターゲットとする位置取得システムを構築することを目的とする. 本稿における公共空間とは,ショッピングモールや,駅といった不特定多数のユーザが一時的に訪れる場所と定義する. 公共空間では,どのようなユーザが利用するかは特定できず,ユーザが特定機器を所持していること想定することもできない. また,ユーザが公共空間の管理者を完全に信用できるとも限らない. そのため,公共空間における位置取得システムの備えるべき要件は,家庭やオフィスなどの特定ユーザのみを対象としたシステムとは異なる. 超音波タグや,RF-IDを用いる手法では,環境に設置された位置取得システムを用いて,ユーザの位置管理を行う. そのため,環境がユーザの識別を行うため,その識別子を一元管理する必要がある. この方式はオフィスなどの利用者が限られる空間では,このような手法は有効であるが,公共空間のように,不特定多数のユーザが利用する環境での利用は現実的ではない. 例えば,大型商業施設で利用する場合,入口や受け付けなどで,来場した顧客のID発行やIDと携帯電話との紐付けなどが必要となり,煩雑な作業となる. また,ユーザの位置をシステム側でトラッキングするため,プライバシが大きな問題になり,ユーザが利用する際の心理的障壁になると考えられる. また,機器を環境側に設置するため,そのコストも問題となる. 無線LANなどを用いて,端末側のみで自位置を測位する手法もあるが,精度が粗かったり,事前の測定が必要であるといった問題がある. そこで,本稿では,カメラを用いた動物体検出と,携帯端末上のモーションセンサ情報を組み合わせることで, ユーザ各々の携帯端末で自身の位置を取得する手法,ALTIを考案した. カメラは,公共空間では防犯目的などに設置されることが多くなっており,また,モーションセンサーは,低コスト化,小型化されており,携帯電話などに搭載されるようになってきている. ALTIでは,まず,設置されたカメラで環境に存在する不特定ユーザを撮影し,画像認識技術を用いてその移動軌跡を記録する. この軌跡データを,その環境にいる全てのユーザの携帯端末に無線LANを用いて逐次送信する. 携帯端末側では,モーションセンサーを用いて,ユーザの動き情報を時系列で記録しておく. 具体的には直進歩行,停止,右左折の動き情報を識別し,記録する. 携帯端末は,カメラより受信した軌跡情報と,自身のモーションセンサから得られた動き情報を比較し,複数の軌跡から自分自身を特定する. この際,軌跡の形状と,動きの時系列を比較し,もっとも近い軌跡を自身と特定する. ALTIでは,同じ空間にいる複数の携帯端末が全員の軌跡情報を受けとることができるが,各々は自身の動き情報のみしか 得られないため,他人の位置を知ることはできない. また,この軌跡データだけでは,個人を特定することはできないため,環境側では特定ユーザの位置を管理することはできない. そのため,環境がID管理や個人識別を行うことなく,携帯端末側でプライバシに考慮した位置取得を行なうことができる. また,環境のカメラと携帯端末上のモーションセンサによって実現することで,低コスト化を実現でき,商業施設などの実空間での 位置取得システムの設置を促し,位置依存サービスの普及に役立てることが可能となる. 本稿では,ALTIの設計と実装,ならびに評価について述べる.

3I-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名携帯電話における加速度・地磁気センサを用いた位置取得システム
著者*上坂 大輔, 岩本 健嗣, 村松 茂樹, 西山 智 (株式会社KDDI研究所)
Pagepp. 761 - 767
Keyword位置取得システム, 加速度センサ, 地磁気センサ
Abstract 近年,位置取得システムによって,ユーザの状況に合せた適切なサービスを提供したり,ヒューマンナビゲーションなどの位置情報を直接利用するサービスなどが可能になっている.例えば,屋外ではGPSを利用したナビゲーションや,プッシュ型広告などが実際に利用されている.しかし,これらのサービスはGPS衛星からの電波の届かない屋内では使用することが出来ない.そのため,屋内でも位置取得システムを提供するために,これまでに超音波を用いたものや無線LANを用いたものなどが提案されているが,コストや精度の点で普及には至っていない.特に,屋内では特定の機器を新たに設置する必要があったり,専用のセンサをユーザが保持する必要があるなどの制約がある手法も多い.  一方,環境に設置する設備を必要としない位置取得方法として,慣性航法(自律航法)が知られている.この手法では,ユーザの保持する機器に搭載された,加速度センサ,ジャイロスコープ,地磁気センサなどを用いて,移動距離と方向を求めることで,基準点からの相対的な位置の変位を求めることが出来る.またこれらのセンサは比較的安価であり,小型化も容易なことから,実際に携帯電話などに搭載されるケースも増えてきている.  しかし,慣性航法システムを人間の位置取得に応用することを考えると,センサ保持方法に制約が生じる.具体的には,腰などの人体の比較的安定した箇所に装着することが必要となる.  本研究では,携帯電話などの,日常で利用する機器で利用可能な位置取得システムを実現することを目的とする.そのため,手持ちやポケットへの収納など,様々な方法で機器が保持される可能性がある.このような状況では,一般的な慣性航法の手法では誤差が大きくなり,自位置を特定することは困難である.そのため,本稿ではまず,ユーザが機器を手に持った状態において,加速度センサ,地磁気センサを用いて自位置を推定する手法を提案する.  本手法では,まず,加速度センサから歩数を求め,歩数より移動距離を推定する. 一般的に,加速度センサを用いて歩数を求める場合,加速度センサから得られる加速度の大きさを合成し,その変化を閾値によって捉え,歩数を計測する.腰など比較的安定した場所にセンサを装着した場合,歩数とほぼ等しい周期で加速度が変化するため,閾値による検出で正確な歩数計測が可能である.  しかし,加速度センサを手に持って歩行した場合,手を振る周期と歩行そのものの2種類の周期を持つ波形が重なることで,閾値による検出では検出漏れがおこり,歩数を正確に計測することができない. そのため,検出漏れが起こる際に観測できる特徴的な波の形状を捉え,検出漏れを減少させる手法を考案した.  次に,進行方向を求める手法について述べる.  静止時においては,加速度センサは鉛直下向きの重力加速度を,地磁気センサは偏角・伏角を伴った北方向を示しており,両者から端末の姿勢を一意に決めることができる.そのため,ユーザに対する端末の姿勢(すなわち端末の保持状態)が固定的であるという制約下では,ユーザの向きを特定することは比較的容易である.  しかし,端末を手に保持し歩行した場合では,遠心力や運動加速度などの重力とは異なる向きの成分を含んだ合成加速度が検出されるため,重力方向がわからず,従って正しい端末の姿勢を求めることができない.また,手持ちされる端末の姿勢を固定しない場合,端末姿勢とユーザ姿勢の相対的な関係が不明であるため,端末姿勢が与えられたとしても,進行方向を判断することは出来ない.  本手法では,腕振り運動中の重力方向・北方向の検出方法,及び,加速度ベクトルが形成する平面から端末保持姿勢に依存しない進行方向を求める方法を考案し,両者からユーザの歩行方向を求める.  歩行者の腕が最下点に到達した瞬間,加速度の大きさは極大となり,その方向は重力及びそれと同一方向の遠心力の和にほぼ等しい.これを利用することで,手持ち運動中の重力方向及び北方向を推定することができる.また,腕振り運動の回転面が進行方向と重力方向の双方に平行な平面であると仮定することで,腕振り運動により加速度ベクトルが形成する平面から,端末姿勢に依存せず進行方向を推定することができる.面の前方・後方は,合成加速度の大きさの非対称性から判断可能である.  重力と北方向からなる面と加速度面のなす角がすなわちユーザの歩行方向である.  本手法では,上述したように移動距離として歩数,進行方向として腕振り運動の面を利用することで,ユーザの自位置を相対的に求めることができる.本手法によって携帯電話のように様々な保持方法が考えられる機器でも,搭載された加速度,地磁気センサのみで,相対的な位置を取得することが可能となる.



2008年7月10日(木)

セッション 4A  アクセス制御(1)(CSEC)
日時: 2008年7月10日(木) 8:30 - 10:10
部屋: ポラリス
座長: 福田 洋治 (愛知教育大学)

4A-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名機密情報の拡散追跡機能のソケット通信への適用手法
著者*植村 晋一郎, 田端 利宏, 谷口 秀夫 (岡山大学大学院自然科学研究科), 横山 和俊, 箱守 聰 (NTTデータ技術開発本部)
Pagepp. 768 - 775
Keywordセキュリティ, アクセス制御, ソケット, 情報漏えい検知, オペレーティングシステム
Abstract近年,機密情報が外部へ漏えいする事例が増加している.漏えいの経路としては,ネットワーク上へ流出する事例が増加傾向にある.我々は,プロセスの機密情報ファイルへのアクセスを契機として,機密情報が拡散する経路を追跡し,外部への漏えいを検知するという手法を提案し,機密情報の拡散追跡機能として実現している.この機能では,情報拡散の経路のうち,プロセス間通信による機密情報の拡散追跡機能については実現していない.そこで,本論文では,プロセス間通信の一つであるソケット通信において,機密情報の拡散追跡を行う手法を述べる.具体的には,ソケット通信において,送信データのやり取りを行うソケットを監視することによって,機密情報の拡散追跡と漏えい検知を行う.また,提案手法をLinux上に実装し,評価を行った.これにより,ソケット通信による計算機内部での情報拡散の追跡とネットワークを経由した情報漏えいの検知が行えることを示す.

4A-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名IDベース暗号によるアクセス制御方式
著者*小林 信博, 小俣 三郎, 宮崎 一哉 (三菱電機/情報技術総合研究所)
Pagepp. 776 - 781
KeywordIDベース暗号, セキュリティ, アクセス制御

4A-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名アクセス制御機能を備えたグラフィクス・システムの提案
著者*古市 実裕, 村瀬 正名 (日本IBM)
Pagepp. 782 - 789
Keywordアクセス制御, マルチレベルセキュリティ, グラフィクス
Abstract近年,内部統制の強化や個人情報保護のために,コンピュータリソースに対するアクセス制御をきめ細かく行う必要性が増している.特に,末端のクライアントPCにおけるアクセス制御機能は,基幹システムなどのサーバーサイドに比べて不十分であり,PCからの情報漏洩対策が急がれる. これまでにも,機密情報を含んだファイルへのアクセス制御や,クリップボードなどを介した情報のフロー制御を行う様々な方法が実用化されている.しかし,従来技術だけでは,情報の最終的な出力デバイスである画面上の画像情報を完全に保護することが困難であった.機密情報を含んだ画面上の画像は,どのプログラムからでも自由に読めるため,ファイルアクセスやプロセス間通信などの上流部分でいくら情報管理を行っても,最下流の画面上で保護を行っていない現状では,機密情報の漏洩を完全に防ぐことができない. 画面情報を保護する従来技術として,仮想化技術やセキュア・ウィンドウ・システムが存在する.仮想化技術を利用すれば,ゲストOS間の画面情報の隔離ができる.しかし,ホストOSからゲストOSの画面を自由に読むことができるため,ホストOSに悪意あるソフトウェアが潜んでいると,ゲストOS画面上の機密情報が不正に持ち出される危険がある.また,セキュア・ウィンドウ・システムや,仮想デスクトップ環境を導入すると,ウィンドウ単位やデスクトップ単位のアクセス制御が可能になる.ただし,ビデオメモリ上の画像データは保護されないため,バックグラウンドプロセスは自由に画像情報を読み取れる.また,近年,グラフィクスの性能向上に伴い普及した半透明ウィンドウなどのリッチなGUI環境では,機密情報を含むコンテンツが透過的に他のプログラムのウィンドウに表示されるため,単純なウィンドウ単位のアクセス制御だけでは不十分である.さらに,いずれの方法とも,既存システムとの親和性が低い点も,普及を妨げる要因となっている. そこで本稿では,情報の最末端出力デバイスであるグラフィクスのレイヤーでセキュリティを強化するために,グラフィクス・ドライバ上でセキュリティポリシーに基づいたアクセス制御を実現する新たな手法を提案する.具体的には,描画命令が実行されるたびに,どのような情報が描画結果に継承されるのかを,画像処理などの複雑なステップを踏まずに,描画命令の論理演算パターンだけから判断し,同時に画面やメモリ上の画像と1対1に対応するラベル付けされた領域マップを管理することで,画面に出力された画像全体の情報フローを制御する. より詳しく述べると,プログラムが画像データを書き込む際に,描画プロセスの属性や描画命令の内容に応じて,描画領域に対してセキュリティラベルを割り当てる.描画領域には,画面上の可視領域の他に,オフスクリーン・バッファ上の不可視領域も含む.ここで,本手法では,描画命令種別およびパラメータを解析し,描画命令を,描画領域の既存画像(Destination),描画演算の処理対象画像(Source),パラメータで指定された画像要素(Pattern)の3要素間の論理演算のパターンに分類する.分類したパターンに応じて,描画命令実行後にどの画像情報が残されるかを判定し,判定結果に応じてセキュリティラベルを割り当てる. プログラムが画面上またはオフスクリーンバッファ上の画像データを読み込む際は,プロセスのセキュリティラベルと,読み込もうとする画面領域のセキュリティラベルとを比較し,読み込み命令の可否を判定する.画面領域のセキュリティラベルが,読み込みプロセスのセキュリティラベルより高い場合は,読み込み命令を失敗させるか,あるいは,領域内の画像情報が,セキュリティラベルの低いプロセスに伝わらないように,墨塗りやマスク処理した画像データを返す. 提案手法では,数百から数千種類存在する複雑な描画命令を,高々256通りの抽象描画パターンに集約し,パターンと領域マップを照合してアクセス制御を実現するため,演算量・メモリ消費量ともに極めて負担が少ない.提案手法により,画面上に出力された機密情報は,適切なセキュリティラベルを割り当てたプログラムしか読み出せなくなるので,悪意あるプログラムは,画面上の機密情報画像を取得できない.その結果,画面スナップショットを介して機密情報が漏洩する危険性を解消できる. 提案手法の実装例として,Windowsにおけるグラフィクス・フィルタ・ドライバへの適用例を紹介する.ドライバインターフェースを維持することで,既存のOSやアプリケーションを修正せずに,グラフィクス・ドライバのレイヤーだけでアクセス制御を行なう高い汎用性を実現できる.

4A-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名クライアント単独で利用時間を厳密に管理でき、クライアント同士で利用権を委譲できるシステムの提案
著者*五百蔵 重典, 速水 治夫 (神奈川工科大学)
Pagepp. 790 - 794
Keyword著作権管理, 認証技術, アクセス制御, ネットワークプロトコル, マルチメディアネットワーク
Abstract1. はじめに コンピュータおよびネットワークの発展に伴い,ネットワーク経由でデジタルコンテンツを扱うことが多くなってきている。デジタルコンテンツは配布や複写が容易であるが、著作権者の権利を保護するのが難しいという欠点がある。そこで我々はデジタルコンテンツを期限付きで扱えるシステムを開発し、様々な応用例に適応できるよう開発・改良を進めている。 我々が数年にわたって開発してきているシステムの特徴として、利用者がシステムを利用できる時間(以下、利用権)をクライアント単独で管理できることがあげられる。図書館システムは、利用可能な期間(終了時間)を厳密に管理するシステムで、デジタルコンテンツを図書館的に共同利用するシステムである。強制返却機能を備えている。オンライン試験システムは、利用可能な期間(開始期間と終了期間)を厳密に管理、ユーザが入力した内容とその入力時間を厳密に管理することで、試験開始前に試験問題配布するが試験時間内でのみ閲覧・解答が可能なため、試験時間を厳密に確保できるシステムである。我々はこのシステムを拡張して、決済権の委譲が行える決済システムを作成することを目指す。 2. 決済システム 2.1 決済システムに求められる要件 コンピュータを利用した決済システムが増えてきている。決済処理には、決済者を認証するシステムが不可欠であり、パスワードなどを使って認証するのが通常である。決済者が出張などで長期不在の場合、決済処理が滞ってしまうため、決済を委託するためにパスワードを教えることが良く行われている。パスワードを他人に教えることがセキュリティ上好ましくないのは、言うまでもない。 デジタルコンテンツの期限付き扱えるシステムを応用することで、決済権を委譲する仕組みを実現し、パスワードを他人に教えなくてすむシステムの作成を目指す。決済システムの実現にあたっては、決済権の委譲の他に、委譲手続きをサーバの力を借りず、すなわちサーバは委譲されたことを知らずに委譲手続きが行えることが望ましい。そこで本研究では、クライアント側で決済権の管理および利用権のやり取りをできるシステムを提案し、有用性を実証する。 2.2. 決済システムの概要 本提案システムでは、図書館システムおよび試験システムと同様、トークンと呼ばれる「PCと接続可能であり,携帯可能な大きさであり,一般ユーザが変更できない時計を内蔵しており,一般ユーザが書き込めない機能」を持つ機器をそれぞれのユーザが所有していると仮定する.トークンの試作品は完成しており、大きさはクレジットカードサイズ(D80×W50×H15)で、重さは45gである。 トークンは一般ユーザが書き込めない耐タンパー領域および一般ユーザが変更できない時計を持っているので、認証用パスワードを有効期限付きで管理するこが可能である。しかしセキュリティ的な面からパスワードをコピーすることは望ましくない。そこで、権限を委譲する期間でのみ使用する情報を渡すことでセキュリティを維持したプロトコルを提案する 2.3決済システムのプロトコルの概要  正規ユーザは認証用の秘密鍵を持っているとし、サーバは公開鍵を持っているものとする。認証するための手順は以下のとおりである。 時刻と時刻の署名をサーバに送信する サーバは、時刻と現在時刻を比較 ・ 差が許容範囲ならへ ・ 差が許容範囲を超えていたら、認証失敗 時刻の署名が正しいか確認 ・ 署名が正しければ、認証成功 ・ 署名が正しくなければ、認証失敗 そして、権限を委譲されたものは、この認証プロトコルで必要な、委譲された期間内での時刻と時刻の署名の組を複数持つ。このプロトコルは、以下の特長によって、委譲を実現している。 ・ 正ユーザは任意の時刻で、[時刻、時刻署名]の組を出力できる ・ 委譲者は、委譲された時刻でしか[時刻、時刻署名]の組を出力できない  プロトコルの説明で出てきた許容範囲は、セキュリティを強化したい場合は短い間隔にするなど、調整が可能である。 2.4 提案方式実現に向けて  本提案システムを実現するためには、以下に述べる課題をクリアする必要がある。紙面の都合上、具体的な解決策は省略し、この問題の難しさ(課題)について述べる。 1. 図書館システム、試験システムでは、トークンに大事な情報を書き込むためには、サーバの支援を必要としていた。本提案システムを実現するためには、クライアント同士でデータをやり取りすることができないといけない。 2. [時刻, 時刻署名]の組をどれくらいの間隔で保持するかと、プロトコルで示された許容時間をどの程度に取るのが適切かは、密接に関係してくる。[時刻, 時刻署名]の組を細かい間隔で保持すれば認証時の問題はなくなるが、多くの記憶領域を必要としてしまうため、このバランスを取る必要がある。


セッション 4B  Webサービス(GN)
日時: 2008年7月10日(木) 8:30 - 10:10
部屋: ベガ
座長: 金井 秀明 (北陸先端大)

4B-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名Webマップにおける特定カテゴリの対象物への自動訪問の利用
著者山本 富士男, *小田 亮太, 宮崎 剛 (神奈川工科大学情報学部 情報工学科)
Pagepp. 795 - 799
KeywordWebマップ, Webサービス, 位置情報
Abstract Web地図上の対象物を自動的に訪問するシステムについて考察した。このシステムを活用すれば、単にそれらの対象物のリストを持っているだけの場合と比べて、いくつかの利点が得られる。Web地図上での自動訪問を閲覧していると、新たな発想が涌くというメリットがある。視覚によって人間の脳は刺激を受け、対象物のリストには無い情報が見えてくる場合が多いからである。本論文においては、ひとつの試みとして、約4,800名の学部学生のいる大学において、その在学生の全ての出身高校(約1,300校)の高校名リストから、それらの高校をWeb上で自動訪問するシステムを試作した。これを利用することにより、大学の広報担当者が高校を訪問するうえでの企画立案を促進できることが分かった。また、在学生にとっても大学への親近感を増す作用があることなどが明らかになった。

4B-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名テレコム-Webサービス連携アーキテクチャ利用方法の提案
著者*宮城 安敏, 中野 雄介, 山登 庸次 (日本電信電話株式会社/NTTネットワークサービスシステム研究所)
Pagepp. 800 - 804
Keywordサービス合成, ウェブサービス, シナリオ記述
AbstractテレコムイネーブラやWebサービスなどを容易に連携するための仕組みとして、我々は、ユーザに応じた柔軟なサービス連携を行うことができるサービス合成エンジンの研究を進めている。連携サービスの開発者としてWebアプリケーション開発者を想定しているが、細かなロジックの記述が難しいという課題がある。そこで、シナリオの作成を作成者自身の使いやすい任意の言語を用いて記述し、合成エンジンのプロセスモデルを利用したサービスエレメント選択機能を使用する方法を提案し、ケーススタディにより、学習容易性、作業時間の評価を行ったところ、アプリケーション製造時間が従来の合成エンジン利用法より約30%削減することができた。

4B-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名統合ブックマーク生成システムの提案
著者*渡辺 伸一 (神奈川工科大学 大学院 工学研究科 情報工学専攻), 服部 哲 (神奈川工科大学 情報学部 情報メディア学科), 速水 治夫 (神奈川工科大学 大学院 工学研究科 情報工学専攻)
Pagepp. 805 - 810
Keyword情報検索, 情報共有, ブックマーク
Abstract1.研究対象の現状 近年,インターネット上のWebページ数は増加の一途を辿っている.しかし,ブログをはじめとする,利用者が容易に情報を発信できるツールの登場によって情報の質の幅が広がった.このため,利用者が求める情報に対する信頼性の高さや,情報量が充実している優良なWebページを探す労力の増加が問題となっている. Webページを探す方法として,GoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用する方法が主流である.しかし,Webページの質を判定するのが難しいロボット型検索エンジンは,結果に不必要な情報を提示することがある.その例として簡単な用語の意味しか情報のない辞書ページや,検索キーワードに対する書籍販売ページがあげられる.これらのWebページは情報の量が少なく,利用者がキーワードに対する詳しい情報を持つWebページを要求している場合は不要となる.このようなWebページや,まったく情報を持たないスパムWebページなどが検索結果の上位に出力されることは,結果のさらなる絞り込みやWebページの比較が必要になる.これは利用者の負担増加となる.これに対しディレクトリ型検索エンジンは,優良なWebページが多く集まっている.しかし,カテゴリ数が多いため,カテゴリを把握していない利用者はロボット型検索エンジンより検索に時間がかかり,Webページを探しづらい.また,人手による収集のために管理するための費用がかかることや,管理する人間によって集まるWebページに偏りがある点も問題である. 検索キーワードに対し優良なWebページが探しやすい検索システムがあれば,利用者が現状より効率的にWebページを取得することができる. 2.解決策 Webブラウザにはブックマーク機能がある.ブックマークとは,利用者が再度訪れたいと考えたWebページをWebブラウザに保存できる機能である.ブックマークに保存されたWebページは,その管理者によりフィルタリングされているため,優良なWebページが多く存在すると推測される.また,登録されたWebページが多くなると管理者はフォルダを作り,その中にWebページを分類する.そして更にWebページ数が多くなると,フォルダの中に更にフォルダを作り,独自の階層構造によって管理するようになる.フォルダ名は,登録されたWebページに対するキーワードの一つであると推測される. 本研究では不特定多数,またはグループ内のブックマークを統合することにより,集団知を利用して優良なWebページの検索が可能であると提案する.しかし階層構造に利用するフォルダ名は,内部のWebページが同じでも利用者によって異なる.そこで同じ意味だと推測されるフォルダを統合することで,優良なWebページを探しやすい一つのリンク集を生成するシステムを提案する. 3.提案システム 実験システムは,PHP,Apache,MySQLを利用したWebアプリケーションである.データベースに登録されたブックマークを統合し,リンク集を画面に出力する.統合時の処理部分は順位算出部,構造構築部,構造調整部に分かれる.順位算出部では多くの利用者が作成したフォルダ名を上位に上げるため,フォルダ名ごとの順位を出す.この部分で,その他,巡回などの内部のWebページに一貫性が見られない汎用的なフォルダは除外する.この順位を利用し,構造構築部でフォルダ構造を作成する.この部分で同じ名前,同じ意味のフォルダを統合する.この時点では重複リンクが残っているため,最後に構造調整部でこれを削除し,最終的なリンク集とする. 4.評価実験 実験システムとGoogle,Yahoo!カテゴリを比較する.まず,Webページを探しやすいという点に評価を得るため,3人の実験協力者が目的のWebページを得るまでの時間を計った.この実験では他の両検索エンジンを上回る結果となった. 次に出力結果中のノイズから精度を出した.この実験では,Googleを多少上回り,Yahoo!カテゴリを下回る結果となった.これはロボット型検索エンジンの結果にある辞書ページ,書籍販売ページ,スパムWebページなどの情報量の少ないWebページを結果から取り除けた結果であると推測される. これにより,検索語に対する一定の情報量を持つWebページを探しやすい統合ブックマークを生成することができた. 続いて,出力結果が4人の実験協力者にとって役に立つかを5段階評価の有用性として計った.この実験では他の両検索エンジンより劣る形となった.ただしこれはWebページ全体の質が下がったわけではなく,本システムの結果は新規性が低く,有用性の標準偏差が大きいことから,優良なWebページとそうでないWebページの幅が広いといえる.この原因は実験に利用したブックマーク数が足りないためだと考えられる. 今後はこの点に関して実験を行う.

4B-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名学生会選挙業務支援システムの構築と評価
著者*杉浦 茂樹 (東北学院大学 教養学部)
Pagepp. 811 - 817
KeywordWebベースシステム, 選挙業務支援
Abstract 本学では,学内で行われる常任委員長選挙の投票率低下が問題になっている。この原因を検討したところ,選挙管理委員会の広報不足が考えられる。しかし,選挙管理委員会は投票率などを管理するための業務に時間を要するため,広報活動が十分に行えない状態であることがわかった。  本研究は問題を改善するため,選挙管理委員会の業務を支援するシステムの開発を行う。なお,本システムは票を入れる行為を電子化した電子投票システムではなく,投票率の算出などの選挙管理業務を支援するものである。よって本稿で述べるユーザは投票者ではなく,選挙管理委員である。  本システムは,投票者の登録・確認,クラス別の集計の機能を提供する。  投票は複数箇所で行うため,複数の端末を使用する。そのため,個々の端末で取得したデータをすべての端末に共有する必要ある。端末をコンピュータ・ネットワークで接続することができればデータの共有は容易に行える。しかし,学内の運用規定によりネットワークを利用することはできない。このような状況を解決するため,本システムでは,ネットワークによらない共有機能を設計・実装した。  実装したシステムを実際の学生会委員長選挙に活用することで本システムの評価を行った。


セッション 4C  モバイル端末と遠隔教育(MBL)
日時: 2008年7月10日(木) 8:30 - 10:10
部屋: シリウス
座長: 北須賀 輝明 (熊本大)

4C-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名モバイル環境における適応型e-ラーニングシステムの提案
著者佐藤 康二, 瀬川 慎介, *松原 剛 (シャープ株式会社/研究開発本部), Patrick Tschorn, Philip Edmonds (シャープ株式会社/英国研究所)
Pagepp. 818 - 821
Keywordモバイル, 教育, 適応型
Abstract近年、インターネットやモバイル端末の発達により、いつでもどこでも学習が可能な環境が整備されつつある。従来型のメディアである書籍やラジオ、CDなどによる学習から、Webを利用したインタラクティブ学習、電子辞書やiPod、ゲーム機端末を利用したモバイルでの学習スタイルなど幅広い学習スタイルが提供されており、通学や通勤の時間による学習やインタラクティブな学習が可能になってきた。 学習形態が多様化するにつれ、より個人に適した学習環境の提供、さらにはモチベーションを維持させるための仕組みが重要になってきている。学習者毎に習熟レベルが異なることに加え、異なる知識や関心へ対応するために画一的な情報提示に留まらず、個人にあわせた学習コンテンツ提供の仕組み、加えて学習を一過性のものに終わらせないためにモチベーションを維持し、積極的に学習に参加させるための仕組みが重要である。 一方、英語教育においては、単に文法を教えるだけではなく、ネイティブスピーカを講師としたスピーキングの能力や、リスニングの能力習得が重要視されてきた。身近な例では、大学入試センター試験においても、リスニング試験を取り入れるようになり、読解力のみならずリスニング力も重要となってきているものの相変わらずリーディング能力向上ニーズは高い。英語は現代社会においては無くてはならないコミュニケーションツールとして確立しており、社会人になっても学習を続ける人も数多い。 本稿では上記課題に鑑み、モバイル端末を用いたユビキタス環境下でのe-ラーニングシステム、特に英語学習において効果的な学習を可能にするための一手法を提案する。 利用者の語彙習得度を考慮した上で利用者に適切なレベルの学習コンテンツを提供し、かつ履歴や学習状況に応じて語彙学習の手法を変化させ、多様な語彙獲得アクティビティを提供、学習させることにより、効果的な語彙学習を可能にする。

4C-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名非接触ICチップ搭載携帯電話の権限モデルを考慮した電子チケット交換方法
著者*小倉 章嗣, 十河 卓司, 小池 雄一 (日本電気 サービスプラットフォーム研究所)
Pagepp. 822 - 829
Keywordモバイルコンピューティング, 電子チケット
Abstract電子チケットを利用者間で交換する際に、携帯端末間での直接通信を用いることで、操作性の高い交換処理が可能である。しかし、直接通信を用いた交換方法では、通信障害が発生した際に電子チケットの所在が不明確になり、復旧処理が困難であるという課題がある。この課題を解決する交換プロトコルが提案されているが、携帯端末が電子チケットへの全てのアクセス権限を持っていること、携帯端末内プログラムを介さずに電子チケットの状態が変更されないこと等の権限モデルを仮定している。しかし、商業サービスで広く使われているFeliCa 等では、この権限モデルに従わず、単純に適用することが出来ない。そこで我々は、FeliCa のような権限モデルを持つ端末を利用して電子チケットを利用者同士で交換する状況を想定し、その権限モデルを考慮した交換プロトコルを提案する。提案プロトコルでは、アプリケーションが書き換え可能なFeliCa 領域を用いた交換処理のロック、携帯端末のストレージ内への交換状態保存と電子チケットの遅延書き込みを行なう。これにより、FeliCa等の権限モデルに対応した上で、障害が発生した際でも復旧処理を容易に行なうことが可能である。我々は、プロトタイプ実装を通じて、提案プロトコルの耐障害性を確認した。

4C-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名携帯電話向け表示デバイス制御プロトコルの設計と実装
著者*小佐野 智之, 石川 憲洋 ((株)NTTドコモ), 北川 和裕 (慶應義塾大学), 長坂 文夫 (セイコーエプソン(株))
Pagepp. 830 - 835
Keyword情報家電, オーバーレイネットワーキング, モバイルネットーワーク
Abstract近年、ディスプレイデバイス技術の高度化により、液晶、PLDといった従来のディスプレイデバイスに加え、電子ペーパー、有機ELディスプレイなども製品化されている。また、それらの表示デバイスの中には、LAN、Bluetooth、赤外線などのネットワークインタフェースを持つものが有り、携帯電話から街頭情報ディスプレイが発行する電子クーポンを取得するといったデジタルサイネージ等の広告ディスプレイによる市場が形成されつつある。 本研究では、上記背景を鑑み、携帯電話からプロジェクタや液晶ディスプレイ等の表示デバイスを制御する表示デバイス制御プロトコルについて検討を行った。本研究で提案する表示デバイス制御プロトコルでは以下の要求条件を定義した。1.表示デバイスのサポートするデバイスの情報、機能を携帯電話から取得できること、2.携帯電話上で画像や映像のプレイリストを作成することができ、プロジェクタはプレイリストに従ってスライドショーを実行すること、3.表示デバイスが備える無線LAN、Bluetoothなどのネットワークインターフェースに依存しないこと、4.携帯電話向けの軽量なプロトコルであること、5.表示デバイスは再生するコンテンツを携帯電話もしくは、コンテンツサーバーから取得する。 本研究では、上記の要求条件を満たすために、下位レイヤのネットワークの差異を吸収するオーバーレイネットワーキングプラットフォームを用いた。また、オーバーレイネットワーキングプラットフォーム上で要求条件1、2、4、5の機能を提供するXML形式の表示デバイス制御プロトコルを設計した。設計したプロトコルでは、3つのメソッドを定義している。1つめのメソッドは、プロジェクタのデバイス情報、機能を携帯電話から取得するメソッド。このメソッドでは、製品名、メーカー名、メモリ容量などのデバイス情報の他に、表示可能なコンテンツ、サポートするコマンド(ページ送り、戻り等)を携帯電話から取得することが可能である。2つめのメソッドは、携帯電話上でプレイリストの作成を行うメソッドである。プレイリストはコンテンツのURLをリスト形式で表現している。このメソッドにより、プロジェクタに本体メモリ内のコンテンツをすべて表示してしまう恐れがなく、携帯電話上でプロジェクタ表示するコンテンツをユーザーの手で限定できる。また、本メソッドで定義するプレイリストのフォーマットに従うことで、コンテンツプロバイダなどの第三者がプレイリストを作成することも可能である。また、プロジェクタはプレイリスト内に記述されたコンテンツのURLをもとに、表示するコンテンツをHTTPやOBEX等を用いてダウンロードする。 3つめのメソッドは、表示制御を行うためのメソッドである。本メソッドでは、スライドショーの再生開始/停止、ページ送り、戻りなどの制御コマンドを記述することができる他、メーカーによる独自定義を可能としている。 設計したプロトコルを評価するために、携帯電話からプロジェクタの表示制御を行う試作システムを構築した。試作システムは無線LAN対応の携帯電話、市販の無線LAN対応のプロジェクタ、ゲートウェイ、コンテンツサーバーによって構成される。携帯電話とゲートウェイ上にオーバーレイネットワーキングプラットフォームおよび表示デバイス制御プロトコルを搭載した。ゲートウェイは本研究で提案するプロトコルメッセージと市販のネットワーク対応プロジェクタの制御メッセージの変換する。試作システムでは、携帯電話で撮影した画像リストや、携帯電話本体メモリもしくはコンテンツサーバー上に保存したパワーポイントやPDFといったドキュメントを、プロジェクタでスライドショー表示させることが可能である。

4C-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名携帯端末S/W更新における高速プログラム圧縮方式
著者*清原 良三 (大阪大学大学院 情報科学研究科), 三井 聡 (三菱電機(株)), 松本 光弘 (大阪大学大学院 情報科学研究科), 沼尾 正行, 栗原 聡 (大阪大学産業科学研究所)
Pagepp. 836 - 843
Keyword携帯端末, 圧縮, 差分, 更新


セッション 4D  位置情報(ITS)
日時: 2008年7月10日(木) 8:30 - 10:10
部屋: ペガサス
座長: 桐村 昌行 (三菱電機)

4D-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名位置特定のための携帯電話向け道路標識認識アルゴリズム
著者*宮川 了, 戸川 望, 柳澤 政生, 大附 辰夫 (早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻)
Pagepp. 844 - 852
Keyword歩行者ナビゲーション, 位置特定, 道路標識, 画像認識, 携帯電話
Abstract携帯電話による歩行者ナビゲーションにおける位置特定では,GPS測位,もしくはGPSと携帯電話の基地局を用いたハイブリッド測位が主流である.一方,都市部においてはマルチパスや補足衛星数の減少などの原因により大きな誤差が生じる.そこで我々は道路標識とランドマークの位置情報を利用した高精度な位置特定システムの構築を目指している.とりわけ道路標識の認識工程では,これまでに我々が提案しているシステムは,携帯電話カメラによって撮影された道路標識を含む画像をサーバに送信し,サーバによる画像処理結果を利用者に返す仕組みをとっており,サーバとの複数回の通信による時間コストが課題となっていた.本論文では道路標識の撮影から画像処理までを携帯電話内のアプリケーションとして実現し,サーバとの通信を1回のみとする新しいシステムの実現を目標とした携帯電話向け道路標識認識アルゴリズムを提案する.実地調査によって位置特定に必要とされる道路標識の認識要求を明らかにし,この認識要求と利用者が耐えうる待ち時間要求双方を満たす携帯電話向け道路標識認識アルゴリズムの実現を目指す.本手法をNTTドコモ社のiアプリとして実装し,携帯電話端末を用いて評価実験した結果,認識要求,待ち時間要求共に満足でき,目標システムに有効な手法であることを確認した.

4D-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名無線端末間の通信情報を利用した移動軌跡推定手法の実環境を想定した評価事例および実機による性能評価
著者*藤井 彩恵, 内山 彰 (大阪大学大学院情報科学研究科), 梅津 高朗, 山口 弘純 (大阪大学大学院情報科学研究科,独立行政法人科学技術振興機構(CREST)), 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科,独立行政法人科学技術振興機構,(CREST))
Pagepp. 853 - 861
Keyword移動軌跡, 位置推定, 遭遇情報, 無線アドホックネットワーク
Abstract我々はこれまでに,無線端末間の遭遇情報を用いた移動軌跡推定技法TRACKIEを提案している. 本稿では,実機実験により実装における課題発見を行い,その知見に基づきTRACKIEの改良を行った. 実環境における性能評価を行うために, Micaz Mote端末を所持した10人の実験参加者が屋外の領域内にてあらかじめ定められた経路を歩行した際の端末間の遭遇情報を収集し,TRACKIEにより移動経路の推定を行った. その結果,通信可能範囲の揺らぎが精度に悪影響を及ぼしていることがわかったため, 収集した遭遇情報を選別する手法を提案した.これを用いた結果,同じ環境において誤差が約30%低減されたことを確認した. また,現実に即した環境を再現したシミュレーションにより実利用環境における課題発見も行い,課題解決のためのいくつかの拡張案を提案した.シミュレーションによる評価の結果,それらの拡張が約20%の誤差低減に貢献していることがわかった.

4D-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名指向性アンテナを搭載した複数車両の協調による歩行者位置検出方式
著者*澤 悠太, 木谷 友哉 (奈良先端科学技術大学院大学), 柴田 直樹 (滋賀大学), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 862 - 871
KeywordITS, 危険通知, 歩行者検知, 車車間通信, 指向性アンテナ
Abstract現在、各自動車メーカーを中心として交通安全支援を目的とした歩行者・2輪 車検知システムの開発が進められている。それらのシステムでは、各車両に搭載 されているセンサを用いて自車両周辺の歩行者検知を行う方法や交差点の信号機 等にセンサを設置し、交差点領域において歩行者を検知しその結果得られた情報 を各車両に通信する方法が採用されている。しかし、前者の場合、各センサには 死角や誤差に起因する問題が発生し、後者の場合、交差点地点ごとに設置しなけ ればならずさらに導入コストの問題が発生するという問題がある。  本研究では、指向性アンテナを搭載した複数車両の協調によって安価にかつ高 精度で歩行者位置を検出可能となる手法を提案する。車車間通信を用いて車両同 士の協調を図ることにより、ある車両における車載センサの死角が存在していて も、その死角が他の車両の車載センサの範囲内にあれば、センシングの結果得ら れた情報を受け渡しすることで車載センサの死角の解消を図ることが可能となる。 誤差に関しても車両1台で検知した場合において無視できない誤差であっても複 数車両分の情報があればその誤差を低減できる可能性が高い。また、車車間通信 では車両同士で直接通信を行うため、交差点ごとにセンサを設置する必要がなく、 システム導入コストについても低減が期待できる。  提案手法では、歩行者は定期的にビーコンを発信する無線端末を保持し、車両 はビーコンを受信する指向性アンテナおよび自車両の位置を測定可能な装置(GPS など)を保持している環境を想定する。ビーコンを用いることにより歩行者は自 位置を能動的に検知する必要がなくなるため、システム導入がより容易になる。 提案手法では、各車両においてビーコン電波強度より歩行者と車両間との間の距 離を測定するとともに指向性アンテナによりビーコン電波の到来角度を測定する。 これら測定情報には誤差が含まれる。そこで、測定誤差が2変量正規分布に従う と仮定し、方向および距離の情報を用いて歩行者の位置を歩行者の存在範囲およ び範囲内の各地点における歩行者の存在確率として検知する。次に、各車両にお いて得られた歩行者の存在範囲および存在確率を、車車間通信により他の複数車 両と交換し、歩行者の存在確率の和を計算することにより新たに歩行者の存在確 率が更新され、歩行者の存在範囲も狭まり、歩行者の位置を高い精度で特定する が可能となる。連続して歩行者の存在範囲および存在確率を交換・解析すること により、歩行者の移動軌跡が推定可能となる。以上の方法により歩行者の移動方 向が車両の移動方向と交差する場合、歩行者と車両が接触するであろう危険な状 況であると判断できる。この判断を利用して運転手に対して注意喚起および警告 を行うことが可能となる。 本研究では、ネットワークシミュレータを使用した実験により、実環境に近い環 境において、車車間通信によりどのように歩行者の存在範囲および存在確率が変 化するかを評価する。


セッション 4E  アドホックネットワーク(1)(MBL)
日時: 2008年7月10日(木) 8:30 - 10:10
部屋: コスモ(1)
座長: 河口 信夫 (名大)

4E-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名RSSIを用いてQoS制御を行う指向性メディアアクセス制御について
著者*渡辺 正浩 (ATR適応コミュニケーション研究所), 小花 貞夫 ((株)国際電気通信基礎技術研究所 ATR適応コミュニケーション研究所), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 872 - 875
Keywordアドホックネットワーク, アクセス制御, 無線・移動体, センサーネットワーク, ユビキタス情報処理
Abstractスマートアンテナを用いたアドホック無線装置は,空間分割多重効果,通信距離の延伸化,総合スループットの向上等が期待できる.そこで,実際のアプリケーションに向けて,アンテナの小型化や無線モジュールの省電力化を図っている.指向性MAC(Media Access Control)プロトコルについては,コンパクトなサイズで実装を可能とするために,OS (Operating System)を用いずに,小型マイコン上のプログラムにて無線通信で特有な割り込み等のスケジュール管理を行うものとする.また,MAC層のみでルーティングを行うこととし,指向性ビームを用いた周辺端末方向推定とルーティング情報の交換や,RSSI(Received Signal Strength Indicator)の値とホップ数を考慮したQos(Quality of Services)制御を行うマルチホップ通信を実現する.

4E-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名指向性アンテナを使用したアドホックネットワークのルーチングについて
著者*小松 裕也, 萬代 雅希, 渡辺 尚 (静岡大学情報学部)
Pagepp. 876 - 883
Keyword指向性アンテナ, アドホックネットワーク, ルーチング
Abstract近年,インターネットの普及により光ファイバなどを通じて,世界中でさまざまな情報のやり取りが行われている.また,無線技術の進歩により,無線通信機能を備えたノートPC,携帯電話,PDA (Personal Digital Assistants)に代表される携帯端末が急速に普及している.従来は自宅や会社など限られた場所で利用されてきた無線LANも,ホットスポットのような小規模のインターネット環境が空港,駅,ホテルなどに設置され,インターネットの利便性は格段に向上している.現在の無線ネットワーク形態は,基本的に基地局などのインフラストラクチャを利用し,ユーザ管理,チャネル割り当てなどを集中管理することでネットワーク構築を実現している.しかし,地震などの自然災害が発生した場合,基地局がその影響を受けるとネットワーク全体が利用不可能になる可能性がある.  そこで,既存のネットワークインフラストラクチャに依存することなく,複数の無線端末が自律分散制御でネットワークを構築する無線アドホックネットワークが注目されている.各端末に中継機能を備えることで,直接通信可能な端末同士のみでなく,直接通信不可能な端末同士でも他の端末を中継することで通信を可能にする.無線アドホックネットワークは基地局やアクセスポイントが不要となり,地理的にネットワークインフラが設置不可能な場所,災害など緊急時の通信手段,高度道路交通システム (Intelligent Transport System),センサネットワークのようなネットワーク構築の手段としての利用が期待されている.無線アドホックネットワークは,いつでもどこでもネットワークが構成でき,端末は動的にネットワークに加入したり離脱したりし,端末が移動するためにネットワークトポロジが頻繁に変化するという特徴がある.  このような特徴を持つ無線アドホックネットワークを実現するための様々な研究が行われている.特に,無線チャネルを共有し効率良くデータ転送をするためのメディアアクセス制御 (MAC)プロトコルとネットワークトポロジの変化に対応する経路選択を可能とするルーチングプロトコルの研究が盛んに行われている.一般的なMACプロトコルであるIEEE 802.11 DCF(Distributed Coordination Function)は物理層に無指向性アンテナを用いることを前提に設計されている.しかし,無指向性アンテナでは通信を行わない方向まで電波を放射するため近隣端末に干渉し,空間利用効率が悪い.そこで端末が集中した場合の同時通信数を増やすための周波数有効利用のために ,特定の方向にビームを集中させる指向性アンテナを無線アドホックネットワークに使用する研究が進んでいる.指向性アンテナの無線アドホックネットワークへの適用には,空間利用効率の向上のほかに特定の方向に高い利得を持たせることによって通信距離を延長することができるという利点もあるがいくつかの課題がある.その一つが指向性隠れ端末問題である.指向性隠れ端末問題とは,無指向性ビームと指向性ビームのアンテナ利得の違いから発生する問題である.指向性ビームのほうが無指向性ビームよりもアンテナ利得が高い.あるペアが通信中のときその通信を知ることができないために高利得な指向性ビームで送信を始めてしまい,受信中の端末の受信ビームに送信ビームが届いてしまうため通信を壊してしまう問題である.指向性隠れ端末問題は現在行われている通信を壊してしまうためスループット性能に大きな影響が与える.指向性アンテナはMAC層での問題でありMAC層での対処方法が提案されている. 本研究では,指向性隠れ端末問題の対処の新たなアプローチとしてネットワーク層での対処を考える.ネットワーク層での対処とはMAC層で指向性隠れ端末問題が起こらないようなルートを構築するという方式である.指向性隠れ端末問題は直線ルートで発生しやすい問題であるので,リンクをジグザグにさせたルートであるジグザグルートによって対処できると考えられる.そこで,ジグザグルートを構築し,指向性隠れ端末問題に対処し,スループット性能を向上させるような方式を提案することを目的とする.

4E-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名透過型アドホックネットワーク構築ミドルウェアATMOS
著者*藤田 祥, 江崎 浩 (東京大学情報理工学系研究科電子情報学専攻)
Pagepp. 884 - 891
Keywordアドホックネットワーク, ミドルウェア
Abstract- 背景 アドホックネットワークは,従来ネットワークと比較して下位のリンク層への前提条件が緩いネットワークとみなすことが出来る.従来ネットワークでは論理的な単一ネットワーク内の全ノード対でリンク接続性が確立されており、品質の時間変動が少ないことを前提としているが、アドホックネットワークではこの前提は成立しない。このような不完全なリンク層を持つアドホック環境上のノード間でネットワーク接続性をマルチホップ通信で確立するために,トポロジー変化に対応する経路制御手法や冗長なパケット転送の抑制手法などが多く研究され成果を上げてきた. - 問題点 アドホックネットワークを従来ネットワークに統合していくためには両者を統一的な方法で扱えることが望ましい.しかし,設計の前提の相違により様々な不整合が存在する.ここでは例として接続性に関するスコープの不整合を挙げる.従来ネットワークではリンク接続性を持つノードの集合であるリンクスコープと論理的な単一ネットワークに含まれるノードの集合である”グループスコープ”を等価に扱うことが出来る.一方アドホックネットワークではグループスコープ内のノード対のリンク接続性が保障されないため、リンクスコープにはグループスコープより小さくなる可能性がある.DHCPやmDNSなどの多くのプロトコルがグループスコープ,すなわちネットワーク内の全てのノードに向けたつもりでリンクスコープマルチキャストを利用しているが,アドホックネットワークでは送信ノードにリンク接続性があるノードにしか配送出来ない. - 提案手法 本論文ではネットワーク層とリンク層の間に新たにリンク補完層を導入する.リンク補完層はアドホックネットワークで提供されるような不完全なリンク層上でネットワーク接続性を確立し,上位層にはリンクスコープとグループスコープが等しい完全なリンク接続性を提供する.本論文ではリンク補完層への制御インターフェースとアドホック経路制御手法などの実装フレームワークを提供するために設計・実装したミドルウェアATMOSについて説明する.ATMOSはアドホック環境のグループスコープ毎に1つ仮想ネットワークデバイスを作成し,従来のネットワークとアドホックネットワーク間,そして異なるアドホックネットワーク間を分離する.すなわち,物理ネットワークデバイスを利用した場合はリンク補完層を経由せず直接リンク層へアクセスし,仮想ネットワークデバイスを利用した場合はリンク補完層を経由し対応するATMOSの処理によってリンク補完を行う.問題点として挙げたリンクスコープマルチキャストについては,物理ネットワークデバイスから行った場合はリンク接続性のあるノードのみにパケットが配送され,仮想ネットワークデバイスから行った場合はグループスコープに含まれるノードにパケットが配送される.リンクスコープとグループスコープを区別して使い分けることが出来るようになっている.また物理ネットワークデバイスがアドホックネットワークと分離されているので,設定を変更せずに従来ネットワークとアドホックネットワークの間でハンドオーバすることも可能である. - 実装 ATMOSは様々なオペレーティングシステムで利用出来るTAPデバイスを利用する.TAPデバイスを用いて仮想ネットワークデバイスの全てのパケット入出力に介入し,アドホック環境内のルーティングとフォワーディング機能を全てユーザ空間内で実装している.これにより,これまで難しかったリアクティブ型アドホックルーティングプロトコルのオペレーティングシステム非依存な実装が可能になった.プロトタイプ実装はLinuxと各種BSDそしてOSX上で動作することを確認した.実際にリンク補完層で利用するアルゴリズムとして,ユニキャストにはIETFで標準化が進められているDYMOで用いられるものを,マルチキャストには同じくSMFで用いられるものを実装した. 評価 mDNSといった従来のアドホックネットワークでは利用出来なかったプロトコルがATMOS上では利用出来ることを確認する.また従来ネットワークとアドホックネットワークを設定変更なしで移動する中で,mDNSを使ってどのようにサービス提供ノードを発見し通信を開始するのか通信のトレースを用いて確認する.

4E-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名アドホックネットワークにおける受信側TCP主導による送信レート制御手法
著者*小嶋 明寿 (静岡大学大学院工学研究科), 石原 進 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 892 - 899
Keywordアドホックネットワーク, TCP, 自己干渉, 受信端末による送信レート制御
Abstract本稿ではアドホックネットワークにおける受信側TCP主導の送信レート制御手法を提案する. 一般にアドホックネットワークにおいてTCPは良い性能が得られないことが知られている.TCPの性能が上がらない要因の1つにMAC層における干渉の影響があげられる.アドホックネットワークでは,通信量が増大すると干渉や競合などが頻発し,ネットワークの性能が低下する.また,TCPは送信ウィンドウに余裕がある限り,データセグメントをバースト的に送信する.セグメントがバースト的に送信されると,送信端末付近の通信量が瞬間的に増大する. この干渉の影響を緩和するためにはデータセグメントの送信間隔を適切に空けることが有効である.データセグメントの送信間隔を制御する手法としてElRakabawaらが提案したTCP-AP(Adaptive Pacing),Chenらが提案したTCP-VAR(VARiant control)がある. しかし,これらの手法は送信側TCP,もしくは送信受信双方のTCPがアドホックネットワークに対応していなければならない.今,アドホックネットワークをインターネットに接続た混合ネットワークにおいて,Web等のインターネット上のサービスを利用することを考える.この場合,多くの送信側TCPはインターネット上のサーバにあり,アドホックネットワーク上にあるTCPは受信側となる.このような状況でTCP-AP,TCP-VARを用いた通信を行おうとすると,サーバ側のTCPを変更する必要がある.しかし,インターネット上のサーバがアドホックネットワークに対応していることを期待することは現実的ではない. 混合ネットワークにおいて有線ネットワークとアドホックネットワークの差を吸収するアプローチとして,専用ゲートウェイを設置し,ゲートウェイに制御機能を搭載することが考えられる.しかし,この方法はゲートウェイが複数の通信フローを管理,制御しなくてはならない.このためゲートウェイの負荷が大きくなり,規模性に乏しいという問題がある.また,アドホックネットワークはさまざまな用途,形態をとる.そのため,必ずしも専用のゲートウェイが設置してあるとは限らない.したがって,専用ゲートウェイに依存したTCP通信は汎用性に乏しく,多様性を制限してしまう可能性がある.このことから,専用ゲートウェイを設置することは好ましいとはいえない. そこで,本稿では受信側TCPに送信レート制御機能を持たせる受信側TCP主導の送信レート制御(RSC: Receiver initiated Sending-rate Control)を提案する.アドホックネットワーク対応のTCPの機能をアドホックネットワーク内の端末のみに持たせる.これにより汎用性,規模性を持ったアドホックネットワーク対応のTCP送信制御を目指す.RSCでは受信側TCPで適切な送信レートの予測を行い,予測された送信レートに合わせてACK送信間隔を調節する.受信側のACK送信間隔と送信側のデータ送信間隔を同期させることで受信側主導での送信レート制御を実現させる. 適切な送信レートの予測にはTCP-VARの送信レート予測を受信側TCPに応用する.TCP-VARはスループットを測定し,スループットの分散に基づいて送信レートを決定する. また,ACK送信間隔とデータ送信間隔を同期するためにACKセグメントとデータセグメント対応を1対1にする必要がある.この対応付けを実現させるために,ACKセグメントの広告ウィンドウを用い送信側の輻輳制御を制限し,適切なACK番号のACKを適切なタイミングで送信する.


セッション 4F  マルチメディア(1)(DPS)
日時: 2008年7月10日(木) 8:30 - 10:10
部屋: コスモ(2)
座長: 東野 輝夫 (阪大)

4F-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名複数ディスプレイを用いた高解像度ディスプレイ環境の構築
著者*千葉 豪, 柴田 義孝 (岩手県立大学 ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 900 - 905
Keywordマルチメディアネットワーク, グリッドコンピューティング, 分散処理
Abstract近年, ブロードバンドネットワークサービスの普及により IP ネットワーク上における DV や HDV のような 高精細映像の配信や, 三次元仮想空間におけるオブジェクト情報, テクスチャ情報等を利用した大容量データ通信, 高解像度の地図データの利用したといったことが実現されてきている. また, 高性能ビデオカードを搭載した複数の計算機と複数ディスプレイやプロジェクタを組み合わせたレンダリングクラスタの構築がソフトウェアレベルで可能となり, 過去の可視化, VR分野において利用されてきた専用グラフィックスワークステーションやマルチスクリーンを利用せずとも, 一般的に利用されている 計算機, ディスプレイ環境を応用することで容易に高精細で大画面かつ高臨場感を持つディスプレイ環境が実現できるようになった. そこで本研究では, 対象アプリケーションとしてバーチャルリアリティシステムや, 双方向ビデオ通信システム, 高解像度地図画像データを用いたシステム等を想定し, これらのアプリケーションを大規模高解像度環境において実現するため, 複数 PC クラスタと液晶ディスプレイを組み合わせ, これらを高速ネットワーク上で相互接続することにより, 容易にアプリケーションの出力結果をストリームとして配信し, 実質的にクラスタサイズに比例した高解像度ディスプレイ環境を達成できるプレゼンテーションシステムを開発する. 本システムはアプリケーションと独立してミドルウェアとして実装し, 複数のディスプレイからなる高解像度出力装置への描画処理を行うクラスタ, それらクラスタ群のの管理やストリーム配信制御を行うための管理ノード, 実際にアプリケーションが動作しユーザへのインターフェースを提供するクライアントノードの3つの要素から構成される. 本システムの提供する機能としてピクセルデータのストリーミング機能やディスプレイ間同期表示機能や多地点間映像表示機能を実現し, 高速ネットワーク上で柔軟に各ディスプレイへの描画サイズ, ストリーム送信先の指定といった制御を可能とする. 本稿では, 本システムのアーキテクチャや実現方法およびプロトタイプシステムについて述べる.

4F-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名全方位カメラとPTZカメラを利用した監視カメラシステムにおける自動追従撮影手法
著者*佐藤 洋介, 橋本 浩二, 柴田 義孝 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 906 - 912
Keyword全方位カメラ, 監視システム, 動体検出, 追従撮影
Abstract近年 安心や安全を確保するための監視システムが重要になり, 人間の建物への侵入や屋内での行動をリアルタイムに追跡し, 広範囲で高品質な映像の記録や行動の分析を行うことが求められている. 一般に利用されている従来型の監視カメラを使用し広範囲の監視を実現するためには, カメラの台数と膨大な記録メディアが必要となる. これは, 監視システムが大規模で複雑なものとなるだけではなく, 監視を行う人間が複数のモニター, 長時間の記録映像の確認をする必要があり, 高い負担を強いられるという問題がある. そもそもの問題である「多くのカメラを設置する必要性」は, カメラの撮影範囲が狭いことに原因がある. ある一本の廊下で, 近づいてくる人物を捉えられるようにカメラを設置したとき, カメラの真下を通過した後, 遠ざかっていく様子を撮影するためには2台以上のカメラが必要となる. もし十字路であった場合, 3台以上設置しないとその後の行先が判らなくなってしまう. そこで本稿では, 広範囲を一度に撮影可能な全方位カメラと, Pan, Tilt, Zoom制御をすることであらゆる方向を撮影可能なPTZカメラの組み合わせに着目した. 2種類のカメラを組み合わせたカメラユニットでは, まず, 全方位カメラで撮影した全方位映像を用いて動体を検出し, カメラに対する動体の相対位置を算出する. 次に, その検出位置情報に基づきPTZカメラを制御し, 動体や人物の顔を適切な位置・大きさで撮影することで, 人物の拡大画像を効果的な解像度で鮮明に撮影することが可能となる. これまで行われきた監視カメラの研究には, カメラの画像から人間の顔を検出し検出範囲を拡大するシステムや, 単方位カメラ(従来型のカメラ)を利用して顔を検出し, Pan/Tilt/Zoomカメラ(PTZカメラ)を用いて追跡撮影するシステムの研究がなされてきた. これらは人物や顔を検出し, 追従撮影することが可能であることを裏付けたが, ごく限られた範囲での動作を前提としていた. 一方, 全方位映像カメラを用いた自律ロボット制御や, 複数の移動物体を検出するシステム等, 周囲全体を認識する研究も多くなされている. これまでの研究で, 追従・拡大して効果的な解像度で撮影する事と, 広範囲を撮影する事を同時に成し遂げたものはなかった. 1台のカメラで広範囲を撮影すると, 解像度が著しく低下してしまい, その映像事体を監視映像として利用できなかったからだ. 本稿では動体や人物の顔を特定し, その位置情報を抽出, PTZカメラによって自動追跡撮影することで広範囲かつ高精細の監視が可能な新しい監視カメラシステムについて提案を行う.

4F-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名協調仮想環境における非同期協調作業支援システム
著者*小笠原 弘樹, 柴田 義孝 (岩手県立大学ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 913 - 918
Keyword仮想環境, 分散オブジェクト
Abstract近年のコンピュータやネットワーク、可視化技術の向上を背景として、マルチユーザによるコミュニケーションや協調作業環境を実現するCollaborative Virtual Environment(CVE)に関する研究が多数行われている。このCVEシステムは教育、医療、デザイン、エンターテイメント、ビジネスなど様々な分野で利用されている。CVEにおける協調作業では、参加者の状況や仮想空間内の情報(データ)を複数のユーザと共有する必要がある。ユーザは一拠点だけではなく複数拠点に存在していることもあり、遠隔地のユーザと一緒に作業を行う場合もある。 そのCVEで同期的な協調作業を行う場合、ユーザ同士の事前連絡によるスケジュール調整と時差を考慮する必要がある。また、一般的なCVEのシステムでは同期作業が前提のために作業内容を記録する機能が無く、途中から参加する場合にユーザは以前にその空間内で行われた作業内容を把握することができない。編集作業を行う場合にも作業内容が記録されないため、対象オブジェクトを最初から作り直すか完成品を編集しなければならないといった問題点が挙げられる。 その様な同期作業における問題を解決するために、本研究では非同期協調作業支援と作業記録の必要性に着目し、CVEの空間記録を用いた非同期協調作業支援システム(SAVE)の開発を行う。これは仮想空間をSoftware Configuration Management(ソフトウェア構成管理)の様にバージョン管理を行うシステムであり、新たにRevision Treeの概念を導入することでバージョン情報のインタラクティブな操作を可能とし、過去の作業空間の再生や、任意の時点の空間を再構築する機能を実現する。 これにより、非同期協調作業支援と協調作業の効率化が期待できる。仮想空間内の作業記録を行うことで途中参加のユーザも以前の作業内容を把握することができ、各ユーザが非同期に作業を進めた後にその成果物として空間情報をマージするということも可能となる。一方、効率化という面ではユーザが復元ポイントを残すことで任意の時点の空間を再構築することができる。過去の作業内容を再生することで先人や上級者の作業内容を学ぶことも可能となる。

4F-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名PrinterSurf:モバイル環境に適した印刷システムの機能拡張に関する検討
著者*齊藤 達郎 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科 ), 齊藤 義仰 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科), 峰野 博史 (静岡大学 情報学部), 村山 優子 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 919 - 924
Keywordプリンタ共有, オーバーレイネットワーク, PrinterSurf
Abstract現在,プリンタを利用する際にはドライバのインストールやプリンタの設定など煩雑な操作を必要とする.そのため,出張先や学会会場などで利用できるモバイル性を考慮された印刷サービスモデルが求められる.そこで本研究では,P2P (Peer-to-Peer) ネットワークの構築を行い,オーバーレイネットワークを用いてプリンタの共有スペースの構築を行う.本システムにより,プリンタ資源を有効的に利用できる仕組みを提案する.本稿では,プロトタイプシステムの実装を行い,オーバーレイネットワークを経由した印刷ができることを確認した.


セッション 4G  P2Pネットワーク(IOT)
日時: 2008年7月10日(木) 8:30 - 10:10
部屋: ぽぷら
座長: 峰野 博史 (静岡大学)

4G-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名P2Pシステムにおける実ネットワークトポロジを考慮したオーバレイネットワークトポロジ構築に関する一考察
著者*藤樫 淳平, 池部 実, 洞井 晋一, 藤川 和利 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科)
Pagepp. 925 - 931
Keywordインターネット, P2P, オーバレイネットワーク, ネットワークトポロジ, ISP
Abstract近年P2P方式で通信を行うサービスが注目を集めている.P2P方式はサーバ/クライアント方式に比べて単一障害点に強く耐障害性に優れており,論理的なネットワークによって柔軟なサービスを提供できる.その反面,実ネットワークのトポロジを無視してトポロジを構築するため,ISP間に余分なトラフィックが発生するという問題があり,ISPのインターネット中継リンクなどの回線を消費することになる. 本研究の目的は,P2Pシステムが実ネットワークトポロジを無視してオーバレイネットワークトポロジを構築することで発生する,ISP間の余分なトラフィックを抑制することである.本論文では,世界で最も普及しているP2Pファイル共有システムの一つであるBitTorrentを対象として,Autonomous Systemの接続情報を利用した隣接ピアの選択法について議論し,実現に向けて解決すべき問題を述べる.

4G-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名DTN環境を想定したトポロジ変化に強いメッセージルーティング
著者*落合 秀也, 江崎 浩 (東京大学)
Pagepp. 932 - 943
KeywordDelay Tolerant Network, Potential-Based Routing, 自律分散
AbstractDelay (or Disruption) Tolerant Networks(DTN)の技術は,無線に代表される通信回線が不安定なネットワークで効率よくメッセージを配送する技術として有望視されている.ただ,DTNの想定する環境ではネットワークが物理的に切断されるなどのため,全体で同期を取ることが難しく,従来のルーティング方式では期待通りにメッセージを配送することができない.本研究では,ネットワーク全体で同期を取ることなく近隣ノードとの相対的な関係だけでメッセージ配送を行うPotential-Based Routing(PBR)をDTN環境に適用し,トポロジ変化に強いルーティング手法,Topology Change Tolerant Routing(TCTR)を提案する.本研究では,プロトタイプシステムおよびTCTRシミュレータを開発した.プロトタイプシステムを使ってTCTRが実装可能であることを確認すると共に,シミュレータを使い100台規模のノードが行動する状況において,メッセージの配送時間,転送総量,メッセージプールサイズの評価を行った.

4G-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名社会ネットワークを用いたP2Pネットワークにおけるデータ保存方式の提案
著者*安藤 公彦, 水田 祥泰 (東京農工大学 工学府 寺田研究室), 大島 浩太, 寺田 松昭 (東京農工大学 共生科学技術研究院)
Pagepp. 944 - 951
KeywordP2P, 社会ネットワーク, アクセス制御
AbstractPeer to Peerネットワークには悪意ある利用者が容易に利用できることから,違法ファイルの交換やウィルス感染,情報漏洩といった社会問題がある.これまでに我々は,リンク構造に社会ネットワークを適用することでアクセス制御を行うP2Pネットワークを提案し,特定のノードのみへの情報送信,信頼性の低いノードとの中継も含めた通信拒否により安全性の向上に成功した.安全性は確保されたが,従来のP2P同様,ユーザの接続状況に依存するため利用範囲が限定的で,社会情報インフラへの適用が難しかった.そこで本論文では,離脱ノードの情報を利用できないという課題に対し,アクセス制御情報も含めた離脱ノードの保有するデータを知人ノードに複製し,知人ノードがこのデータを元にアクセス制御を行う方式を提案する.これにより,知人ノードがP2Pネットワーク上に存在すれば離脱したノードの情報の取得,更新が,アクセス制御を伴ったまま実現できる.また,知人数の平方根の数だけに配置する平方根配置を,複製の配置に適用することで,すべての知人に複製を配置する方式と比べ,少ない情報量で効果的に実現できることを,シミュレーションにより示した.

4G-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名気象センサ障害検知システムの網羅性及び利便性の検証と評価
著者*山内 正人 (慶應義塾大学 メディアデザイン研究科), 洞井 晋一, 松浦 知史, 藤川 和利 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学 メディアデザイン研究科)
Pagepp. 952 - 958
Keyword障害検知, センサネットワーク, 運用
Abstractセンサ技術の進歩や普及、ネットワーク環境の整備によって広域気象センサネットワークが構築されつつある。 広域気象センサネットワークでは負荷分散や冗長性を考慮すると共に、センサデータの信頼性確保を行う必要がある。 負荷分散や冗長性を実現し、センサデータを共有する方法としてP2Pを用いた方法がある。 また、センサデータの信頼性を確保するには障害検知を行う必要がある。 そこで、筆者らはP2Pネットワーク上にセンサデータの信頼性確保が可能な障害検知基盤を提案した。 提案基盤では、比較基準の導入、センサのグルーピング、を行うことでデータが分散している場合でも 全体の信頼性基準の整合性を統一、適切な信頼性の確保が可能となった。 障害検知を行う際に、各地域に最適な閾値などのパラメータ設定や障害検知手法を適用することが重要となる。 最適な設定値や障害検知手法を適用するには気象学の知識を用いることが考えられる。 また、各地域に異なるパラメータや障害検知手法を適用するため、容易に適用可能である必要がある。 しかし、提案基盤では障害検知手法やパラメータがシステムに組み込まれている。 そのため、障害検知手法やパラメータを適用するにはプログラミングなどの特別な技術が必要となる。 そこで、一般の気象学者でも容易に設定、適用可能にするためパラメータや障害検知手法をモジュール化して 適用可能とした。しかし、モジュール化すると柔軟性が低下し、障害検知手法が適用できなくなる可能性がある。 そこで、本研究ではモジュール化による障害検知手法の利便性向上と適用できる障害検知手法の網羅性について検証を行う。 実験の結果、利便性の向上とモジュール化による柔軟性の低下が障害検知手法に影響がないことを確認した。


セッション 4I  ユビキタスプラットフォーム(1)(UBI)
日時: 2008年7月10日(木) 8:30 - 10:10
部屋: ビューホール(2)
座長: 重野 寛 (慶大)

4I-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名音声を入出力とするユビキタスコンピューティング向けマイコンモジュールの設計と実装
著者*武田 淳佑, 竹川 佳成, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学), 細見 心一, 西尾 章治郎 (大阪大学)
Pagepp. 959 - 966
Keyword音声, ユビキタスデバイス, 入出力
Abstract音は,感情伝達やコミュニケーションを高める楽器演奏や,心地よい場の雰囲気を作り出すBGMといった日常生活の豊かさだけでなく,誘導・警告・宣伝・案内など便利で安心・安全な社会を形成するための重要な役割を担っている.また,不特定多数の人々に瞬時に情報を伝達できる便利さをもつ一方,騒音や雑音といった社会問題の一つとなっている.近年,この問題を解決するために,近年,音サイン(生活空間,商空間,公共空間,イベント空間などさまざまな場や空間において場所や方向などの情報を伝達する音のこと),BGM,環境音,反響音などの音要素を考慮し,快適性と機能性をあわせもつ機能美に優れた音の利用を目指す音環境デザインが提唱され,さまざまな取り組みがなされている.しかし,音環境デザインの専門家が不足している,音環境デザインの知識が体系化されていない,さまざまな音環境デザインの要求を満たす多彩な音サイン入出力制御機能をもつデバイスや,その動作制御を容易に行える開発環境が整っていない等の理由により,音環境デザインを考慮した空間設計は難しい.また,これまでの音環境デザインの取り組みは,専用のシステムで実現しており,汎用性や機能性に乏しく,効果音やスピーカの位置を工夫することで機能性と快適性を高めているだけであり,動的に変化するユーザの状況や環境を考慮されていない.これらを考慮することでさらに優れた音環境を提供できると考えられる.  一方,近年,情報エレクトロニクス技術の進展によるコンピュータの小型化・高性能化・高機能化に伴いユビキタスコンピューティング環境が実現しつつある.ユビキタスコンピューティング技術は柔軟な音環境デザインを実現する有効な手段の1つとして注目されているが,既存のユビキタスデバイスは,センサやアクチュエータを動作させる機構や,他のユビキタスデバイスと連携してサービスを提供するなど汎用性に優れ,ユーザの状況や周囲の環境を認識できる一方,音に関してはブザーを一定時間鳴らすといった単純な機能しかもたず,時々刻々変化するユーザの状況や環境に適した音のリズム・音色・音量などをコントロールするといった音環境デザインの要求に対し,柔軟に対応することが難しい. そこで,本研究では,高度な音響解析および生成機能をもち,汎用ユビキタスデバイスと協調することで,時々刻々変化するユーザの状況や環境に適した音サインを生成するといった音環境デザインの要求に対し柔軟に対応できるようにさせる音に特化した小型デバイスであるサウンドチップの構築を目的とする. サウンドチップは,ユビキタスデバイスやPCなどのデバイスと協調して動作するための通信ポートを備え,コマンドで動作する.また,マイクやスピーカを搭載し,マイクで収録した音声の保存,保存した音声の編集,編集した音声をスピーカで再生できる.さらに,録音時間や録音タイミング,再生時間や再生タイミング,エフェクトをかける時間を細かく設定でき,多種多様なエフェクト機能,周囲の環境音を考慮して動的に出力音を変更するといった,音環境デザインを構築する上で必要なコマンドをもつ.このように,サウンドチップはコマンドによって駆動するため,汎用ユビキタスデバイスはサウンドチップのコントロールを容易に行え,豊富なコマンドによって逐次変化するユーザの状況や環境に適した音サインを生成することができる.

4I-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名時区間関係表現に基づいたスマートオブジェクトサービス構築フレームワーク
著者*米澤 拓郎, 中澤 仁, 榊原 寛 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科), 國頭 吾郎, 永田 智大 (NTTドコモ総合研究所), 徳田 英幸 (慶應義塾大学環境情報学部)
Pagepp. 967 - 974
Keywordスマートオブジェクト, ユビキタスコンピューティング, エンドユーザプログラミング
Abstract近年,複数のセンサが搭載され,小型化・高機能化された無線センサノードをモノに取り付け,モノ及びモノの周辺の環境情報を利用したサービス(以下スマートオブジェクトサービス)の研究開発が盛んである.例えば,センサノードをコップに取り付け,飲み物の温度を感知し冷める前にユーザに通知する MediaCupや, センサノードを身の周りのものに取り付け,忘れ物があればユーザに通知する SPECsなどが挙げられる.我々の日常生活はモノとのインタラクションに溢れている.ユビキタスコンピューティングの目的である情報技術を利用したあらゆる場面での生活支援を実現するために,スマートオブジェクトサービスの重要性は高いと考えられる. 家庭内でスマートオブジェクトサービスを実現するためには,次の2点を考慮する必要がある.第1に,個々人は異なる数百のモノを所有しており,それらを対象とするサービスを構築するためには,各個人個人が自らモノにセンサノードを取り付け,環境情報を取得・処理可能なスマートオブジェクトとする必要がある.第2に,個々人の生活スタイルが様々であるため,求められるサービスも多種多様となる点である.この問題を解決するためには,家庭のユーザの生活スタイルに応じたサービスを,そのユーザ自身が容易に構築できる環境が必要となる. 我々は上述した2つの問題点を解決するために,今までセンサノードとモノの意味的な関連づけ手法及び,サービスを記述するために必要となるイベントモデリング手法(時区間関係表現に基く)を提案してきた.本稿ではイベントの対となるアクションの記述を加えることでサービス構築の必要条件を満たすとともに,それぞれのフェーズにおける作業をユーザがシームレスに行えるインタフェースを試作した.本研究はこれらの要素を基盤とし,エンドユーザ主体のスマートオブジェクトサービス構築フレームワークの構築を目指す.

4I-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名コンテキストアウェアサービスのための分散複合イベント処理
著者*佐藤 正, 磯山 和彦, 吉田 万貴子 (日本電気株式会社)
Pagepp. 975 - 981
Keyword複合イベント処理, CEP, イベントプロセッシング, 負荷分散, ルールエンジン
Abstract本稿では,RFID,センサから発生する膨大なイベントからアプリケーションが要求するイベントを抽出,配信するプラットフォームとしてスケーラブルコンテキストプラットフォーム(SCTXPF)を提案する. SCTXPFはイベントのフィルタ機能や関係する複数のイベントをまとめて複合イベントとしてアプリケーションに提供する機能を持つ.このような処理はComplex Event Processing(CEP)と呼ばれている. 従来から,SASE,GEMなどCEPに関する研究がなされており,CEPを実現するための方式が提案されている.また,分散pub/subの領域では,SIENAが複数のネットワークノード間でCEPを実行する方式を提案している.システム全体としてのパフォーマンス向上のために与えられた計算リソース間の適切な負荷分散は重要な要素であるが,これらの方式では複数の計算ノードに対する処理のスケーラビリティ,負荷分散については考えられていないことが課題としてあげられる. 提案するSCTXPFは,アプリケーション(App)により要求するイベントの条件(ルール)が登録され,その条件に合致するイベントが発生すると,それをAppに通知する.SCTXPFでは,イベントプロセッサ(EP)を並列に配置して,CEPを分散的に実行する.前段のディスパッチャ(Disp)がイベントをそのイベントを必要とするEPにのみ転送することで,EPにおける不要なイベントの処理負荷を低減する. EPへのルールの振り分け方によって,ディスパッチャが同一のイベントをどれだけのEPに通知するかが決まる.ディスパッチャが同一のイベントを複数のEPに送ることは,ディスパッチャにおける処理負荷の増大や,同じイベントを複数のEPが処理することによる計算リソースの浪費につながる.ラウンドロビンのようにルールの記述内容を考慮しない方法でEPにルールを分配する場合,EPに設定されるルール数が均一という意味で負荷分散を図れるが,ディスパッチャが同一のイベントをどれだけのEPに通知するかというイベント処理の効率化という観点では,最適とはいえない. そこで,我々は以下に示す2の制約の基で,1を実現するルール分配アルゴリズムを提案する.提案アルゴリズムはルールに記述されるイベント属性を基にルール分配することを特徴としている. 1.同じイベントを要求するEPを少なくする. 2.各EPのイベント処理負荷のばらつきを一定以内に収める. また,システム全体のスループットは,EP間の負荷バランスだけでなく,EPとディスパッチャの計算リソースの使用バランスにも依存する.そこでSCTXPFはアプリケーションからルールが登録された時点で,それらのルールを基にCEPとディスパッチャに振り分ける計算リソースの比率を決定する. ルール分配アルゴリズムでは,与えられた計算リソースに対して,CEP数とディスパッチャ数の各組み合わせにおける負荷のバランスを検証し,システムスループットを最大とする構成を,イベント当たりのイベント送受信処理,イベントマッチング処理の実測値を用いて決定する方式を提案する. 評価として,まず,EPの並列分散化効果を検証するために,スループットを計測する.アプリケーションが1000個のルールを設定し,各EPにはPentiumM 1GHz,256MB RAMのマシンを使用するものとする.EPを1台から5台とすることでスループットが約2300イベント/秒から約14000イベント/秒へと約6.23倍となり,拡張可能なアーキテクチャであることが確認できた.これは,複数のEPで並列にCEPを実行していることに加えて,各EPに設定されるルールが約1/5になり,EPの処理負荷が低減しているためである. 次に,我々は理論的に求められたCEPとディスパッチャのリソース割り当ての妥当性を実機により検証する.アプリケーションがルールを1000個登録し,タグIDとリーダIDは,それぞれ100個のIDからランダムに選択するものとする.計算リソースとして6台のマシンを仮定すると,CEP数3,Disp数3が導出された.導出した配置と,そこからCEPとディスパッチャを1台入れ替えた配置におけるCPU使用率を計測し,それぞれの構成における分散を求めたところ,導出された配置で最もCPU使用率の分散が小さくなり,システムスループット最大化を実現できることを確認した.

4I-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名City Compiler: 情報システムと実空間の統合的な設計/開発ツールのプロトタイプ開発
著者*三浦 稔隆 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科), 中西 泰人 (慶應義塾大学環境情報学部)
Pagepp. 982 - 990
Keywordソフトウェア開発, 空間設計, 統合開発環境, デジタルアース, シミュレーション
Abstract近年、エクスペリエンス・デザイン(Experience Design)と呼ばれる設計の領域が生まれつつある。エクスペリエンス・デザインは表層的な形状としてのデザインではなく、情報デザインの分野から空間、プロダクトに至るまで、また、サービスを含めたすべてを対象とした知識デザインの応用である。そうした設計対象の例としては、街中や公共空間に設置された大型ディスプレイを用いた広告手法であるデジタルサイネージや、建築空間と情報システムを統合的に設計した図書館などが挙げられる。 こうした例を設計するにあたっては、情報システムの設計と空間やプロダクトの設計を一体的に同時並行で行うことが望ましいが、現在は別々の専門家が異なるツールを用いて設計を行いながら、共同作業を行うことが多い。そのため共同作業におけるコミュニケーションの量が少なくなりがちである。そうした場合には、設置された端末内で動作するシステムのUIが使いづらいためにその端末が使われず端末周辺の空間がデッドスペースになるといったことや、端末を発見しづらい空間設計のためにシステムが使われない、といったような異なる領域のデザインの連携が取れていない状況が生じてしまうという問題点がある。 こうした問題点を解決するためには、これまでは異なる領域であると捉えられていた設計領域を統合的にかつ往来的に設計・開発できるツールと設計手法が求められる。 そこで本研究では、情報システムの設計と空間の設計を融合したエクスペリエンス・デザインを対象として、情報システムと実空間を統合的に設計/開発するためのツールである「City Compiler(CC)」の提案を行う。 この研究目的を実現するにあたり、本研究において必要と考えた機能は以下の通りである。  ・情報システム開発機能  ・実空間設計機能  ・多様なスケールのサポート(ソフトウェアスケールから空間スケールまで)  ・シミュレーション機能(システムが空間で動く様子の可視化)  ・情報システム開発と空間設計をつなぐためのモジュール群(ソースコード内で利用できる机、etc.) これらの機能を満たすため、我々はCCを以下3つのツールの組み合わせによって実現しようと考えている。  1.統合開発環境  2.デジタルアース  3.再利用可能なライブラリ群 1は情報システム開発機能を備え、ソースコードの記述・コンパイル・デバッグを担当する。 2はズームイン/アウトを用いた多様なスケールのサポートに加えて、実空間設計機能とシミュレーション機能を備える。 具体的には、図面の読み込みや、読み込んだ図面からの3Dモデルの再現、時間単位による情報システムや空間のシミュレーションなどである。 3は、1と2双方から利用可能なツールであり、情報システムと実空間の統合的な設計/開発に必要と思われる様々なオブジェクトが再利用可能な形で定義されている。例えば、机やディスプレイ、プロジェクタなどである。これらを統合開発環境から利用する際にはnew Desk()やnew Projector()と言ったクラス形式で呼び出し、デジタルアースから利用する場合は3Dモデルとして提供される机やプロジェクタをデジタルアース上に配置していく。 CCの利用例として、デジタルサイネージにおける情報システム的手法と空間設計的手法の比較・検討が挙げられる。例えば、デジタルサイネージにおいて商品の販売促進を行いたい場合、その目的達成は情報システムと実空間双方から可能である。つまり、「ディスプレイの前を歩く人の嗜好に合わせて、表示内容を調整するように情報システムを実装すること」と「商品が目立つように周囲の空間を再設計する」といった具合である。  通常のツールでこうした比較・検討することは複雑な作業を伴うが、CCではこうした設計手法を支援すべく、以下のような作業プロセスを想定している。まず、上記のような情報システムが動作する空間は、デジタルアースに対応する図面を読み込むことで、デジタルアース上に3Dモデルとして再現される。情報システムは上述の統合開発環境にて記述し、記述する際には、システムのソースコードに加えて、上述のライブラリ群から適切なオブジェクトを利用しながら(例:new Display()やnew Movie())、ディスプレイや再生される動画とシステムを紐づけて記述していく。これをコンパイル・実行すると、デジタルアース上の3Dモデルによって再現された空間内に動作するシステムの様子が表示される。システムの動作を変更したい場合は統合開発環境内のソースコードを変更し、空間を変更したい場合は、図面を書き直すか、デジタルアース上でGUIを用いてディスプレイのサイズや空間のレイアウトを変更する。 今回は、こうした構想中の機能群の一部について、Java言語を用いて実装したCity Compiler のプロトタイプ、およびその考察について述べる。


セッション 5A  アクセス制御(2)(CSEC)
日時: 2008年7月10日(木) 10:20 - 12:00
部屋: ポラリス
座長: 西垣 正勝 (静岡大学)

5A-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名分散システムにおけるアクセス制御/リソース制御フレームワークの提案
著者*本田 篤史, 朝倉 義晴, 才田 好則 (NEC)
Pagepp. 991 - 997
Keywordセキュリティ, アクセス制御, リソース制御, 分散
Abstract分散システムでセキュリティを確保するためには,他端末で提供されているオブジェクトやリソースも適切に管理し,不当なリソースの使用や不正なオブジェクトへのアクセスを防ぐ必要がある.そこで我々は,分散システムにおけるプラットフォームでのセキュリティ強化手法を提案する.提案するアクセス制御/リソース制御フレームワークでは,分散システムに提供するオブジェクトおよびリソースを各端末において適切に制御する機能を持つ.本フレームワークでは,オブジェクトおよびリソースへの制御に必要となる属性値を各端末において取得し,それを制御に反映させる.これにより分散システムおよび各端末の安全性を高めることができる.

5A-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名セキュリティポリシーモデルに基づく階層型隔離による情報フロー制御システム
著者*勝野 恭治 (日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所、筑波大学大学院 システム情報工学研究科), 渡邊 裕治, 工藤 道治 (日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所), 岡本 栄司 (筑波大学大学院 システム情報工学研究科)
Pagepp. 998 - 1006
Keyword強制アクセス制御, 情報フロー制御, コンポーネント隔離, 分散セキュアグループ
Abstract情報フロー制御は、コンポーネントのリソースへのアクセスをセキュリティポリシーに基づいて強制的に制御することによって、分散した複数のコンポーネントに対して特定のセキュリティポリシーを適応できる基本概念である。そして近年、情報フロー制御を実現する方法の1 つとして、分散したノード上のコンポーネント間で構築したグループに対してセキュリティポリシーを強制的に適応する、分散セキュアグループが注目されている。現在、分散セキュアグループのプロトタイプが幾つか提案されており、それらはコンポーネントのリソースのアクセスを制御してコンポーネントを隔離するコンポーネントコントローラーがノード上に1 つであることを想定している。そのため、OS レベルのコンポーネントコントローラーと仮想マシンモニターレベルのコンポーネントコントローラーのどちらかを取捨選択する必要があり、その結果、強固な隔離と細粒度なアクセス制御を両立させることができない。 本論文では、強固な隔離と細粒度なアクセス制御を両立した分散セキュアグループを構築するための、セキュリティポリシーモデルに基づく階層型隔離手法LCC(Layered Component Confinement)を提案する。LCC は、隔離を保証するセキュリティポリシーモデルに基づき、OS レベルの強制アクセス制御機構と仮想マシンモニターレベルの強制アクセス制御機構が連動して、OS プロセス、仮想マシンのリソースへのアクセス制御を行う。さらに、隔離を保証するセキュリティポリシーモデルの中で利害相反が起こるアクセスを簡易な記述で制御するポリシーとして広く使われているチャイニーズウォールポリシーモデルの概念を採用して、Microsoft Windows とXen 上で構築されるプロトタイプを示す。

5A-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名内部攻撃を検知可能なモバイル端末向け動的グループ鍵共有プロトコル
著者*村田 純一, 白石 善明 (名古屋工業大学), 福田 洋治 (愛知教育大学)
Pagepp. 1007 - 1016
Keywordグループ鍵共有, 内部攻撃者, 証明可能安全
Abstractビデオ会議やP2Pのような協調型のアプリケーションでは,通信に参加するノードが複数になり,n > 2の参加者間で同一のセッション鍵を共有するグループ鍵共有プロトコルが必要とされる.既存のグループ鍵共有プロトコルの多くは,プロトコル参加者は同等の計算および通信のコストで実行するものとなっている.ところが,多種多様な端末が接続されるモバイル環境を想定すると,無線アクセスポイントあるいはグループの中で処理能力の高い端末が,プロトコル中の重い処理を担当し,それ以外の端末は軽い処理だけで鍵共有が完了するようなプロトコルの必要性は高い.また,正規の参加者が途中から参加者のセッション鍵を一致させないように振舞う内部の攻撃についても考慮しなければならない.本論文では,動的に参加者が変化するグループ通信において,AKE安全かつ全参加者のセッション鍵が一致していることを確認でき,計算能力が異なる通信を考慮した3ラウンドでセッション鍵を共有するモバイル端末向けのプロトコルを提案している.提案プロトコルの安全性はCMA(Chosen-Message Attack)-EF(Existential Forgery)安全なディジタル署名方式とCDH(Computational Diffie-Hellman)問題の計算量的安全性に帰着される.

5A-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名A Secure Centralized Logging Scheme with syslog-ng based on Virtualization
著者*周 秉慧, 堀 良彰, 櫻井 幸一 (九州大学)
Pagepp. 1017 - 1022
Keywordcentralized logging, virtualization, syslog-ng
AbstractLogs contain actions and events that take place on a computer. Logging brings several important benefits such as system monitoring, trouble shooting, forensic investigation and so on. However, logging faces two threats. one is that the logging daemon could be stopped by attackers; the other is that existing log data could be tampered and deleted by attackers. Each threat results in the loss of logs. Thus, we design a centralized and virtualized logging scheme with the logging daemon syslog-ng which is the next generation of syslog. The syslog application provides a secure and reliable transfer to keep logs from tampering and deleting. The virtualization technology provides a more secure environment by isolation to protect the logging daemon from being shut down.


セッション 5B  Web DB(GN)
日時: 2008年7月10日(木) 10:20 - 12:00
部屋: ベガ
座長: 市川 裕介 (NTT)

5B-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名RSSを情報源とする書籍データベースの提案
著者*勝井 美沙緒 (神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻), 服部 哲 (神奈川工科大学情報学部情報メディア学科), 速水 治夫 (神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻)
Pagepp. 1023 - 1029
KeywordRSS, データベース, 新刊情報, 書籍管理
Abstract1.はじめに 電子書籍市場が拡大しつつある現在でも,紙媒体である書籍の需要は未だ高い.しかし書籍は冊数が増えると書籍名や巻数などの情報の管理・把握が困難になる.自分の蔵書についてきちんと管理・把握できれば,重複購入などのトラブルを避けることができる. また,インターネットが普及している現在では,数多くのネット書店が存在する.このような書店が配信する書籍情報や個人がブログなどで公開する書評のほか,新刊情報をRSSで配信する出版社も存在するなど,書店店頭や新聞・雑誌の書評の他にWeb上にも書籍についての情報は多い.しかし,それらを参考情報として利用したり,ネット書店で書籍を購入するなど,書籍購入時に参考にする情報や購入手段自体でインターネットを活用している人は少ない.これらWeb上の書店や情報を活用することで,購入手段や情報の幅を広げることができる. そこで,RSSを新刊書籍の情報源とすることでインターネットを活用しつつ,新刊と蔵書,さらに購入予定の書籍を一括管理できる書籍管理システムを提案する. 2.機能 本システムはユーザの書籍管理の支援を目的として次のような機能を備えている. ・RSSを情報源とする新刊情報の取得 ・ユーザの手入力による書籍情報の追加 ・語句によるAND検索 ・新刊・購入予定・購入済みの書籍情報をリスト表示 ・書籍情報のリスト間移動,削除 ・備考編集 ・現在情報源とするRSSの一覧表示 ・情報源の編集 これらの機能をID,パスワードによってユーザごとに管理する. 3.システム概要 本システムはApache,PHP,MySQLを用いて作成したWebアプリケーションである.RSS解析にはMagpieRSSを使用した. トップページからID,パスワードでログインし,メニューからリストなどのページへと移動する. リストページでは各リストの表示と共に,リストごとに語句による検索が行える.検索方式はAND検索である.リストは発売日の新しい順に書籍のタイトルや内容,出版社などが表形式で表示される.タイトルとRSS名はリンクになっており,それぞれRSSに記載されたWebページ(タイトルはその書籍の情報ページ,RSS名はそのRSS配信元のWebサイトなど)にリンクしている. 書籍情報を新しく追加する場合は,新刊情報ではRSSによって取得(A情報とする)し,マイリスト・プレリストでは書籍情報追加ページからユーザが手入力(B情報とする)で行う.A情報は新刊情報リストにまず表示される.このリスト中の書籍情報で購入予定のものがあればプレリストへ,既に所持しているものがあればマイリストへ移動できる.移動されなかったもののうち,発売日から2ヶ月以上経過した情報は新刊情報リストには表示されなくなる.B情報は入力時にプレリストとマイリストのどちらに情報を追加するか選択する. 追加された情報は新刊情報リストからマイリスト・プレリスト,またはマイリスト・プレリスト間で移動可能である.一度マイリスト・プレリストに移動(追加)された情報は新刊情報リストには移動できない.マイリスト・プレリストでは,リスト移動の他に備考の編集と情報の削除が可能である.備考は新刊情報リストに表示される内容とは違い,ユーザが自由に記入・編集が行える.備考の内容はそのリストを作成したユーザのみが閲覧でき,他のユーザには公開されない.情報の削除は,今後どのリストにもその書籍情報を表示させないようにする処理である. RSSについてはRSS情報ページで確認できる.ここでは,現在情報源としているRSSを一覧表示しているほか,登録されているRSSからユーザが新刊情報として取得するRSSをジャンル・出版社などで選択できる.また,システム既存のRSSの他にユーザが自由に取得したいRSSを追加することも可能である.出版社が公式に配信しているRSSはまだ少数であるが,ユーザがRSSを追加できることでネット書店の新入荷情報などよりユーザの求める情報を管理することが可能である. 4.まとめ 評価実験より,本システムは書籍管理と言う面においては有効であるとの評価を得ている一方で,ユーザの好みに合う情報の提示が求められていることがわかった.そこでまず,より多くの情報を利用するために情報源であるRSSの追加・編集機能の強化を行った.これにより,ただの「新刊情報」ではなく,「ユーザが興味のある新刊情報」を提示することによってより使いやすさの向上を目指した. 今後は書評の利用など,書籍に関連した情報を活用し,システムの強化を行う.

5B-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名医療分野を対象とした多言語用例対訳収集WebシステムTackPadの開発
著者*福島 拓, 宮部 真衣 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部), 重野 亜久里 (NPO多文化共生センターきょうと)
Pagepp. 1030 - 1036
KeywordWWWの応用サービス, コーパス・言語資源, 医療支援, 多言語, 用例対訳
Abstract医療従事者や外国人患者の支援を対象とした,多言語用例対訳収集WebシステムTackPadの開発を行った. 現在,在日外国人や訪日外国人は増加しているが日本語を理解できない外国人への支援は十分ではない.特に医療の分野ではコミュニケーション不足による医療ミスの懸念がある.また,医療通訳者による支援にも限界がある. そこで,正確な用例対訳群の収集・提供により医療分野の支援を行うシステムの構築を行った.本稿では,多言語用例対訳収集WebシステムTackPadの設計及びシステムの試用実験の結果を述べる.

5B-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名音楽情報サイトからキーワードを自動取得するWeb楽曲データベースの提案
著者*服部 哲 (神奈川工科大学情報学部情報メディア学科), 小林 直矢 (株式会社NSコンピュータサービス), 速水 治夫 (神奈川工科大学情報学部情報メディア学科)
Pagepp. 1037 - 1040
Keyword音楽情報サイト, 楽曲情報, Webデータベースシステム, 形態素解析, キーワード自動取得
Abstract 近年,パソコンに楽曲を保存し,音楽再生ソフトを使用して音楽を聴くユーザが増加している.パソコンで音楽を聴く場合,ユーザは楽曲のリスト(プレイリスト)を作成することが多い.しかし,アーティストやアルバムからプレイリストを作成すると,プレイリストが単調になりやすい.  そのため,ユーザ同士で楽曲にキーワードを付与しあい,ユーザの嗜好にあわせて楽曲を推薦するシステムが研究・開発されている.しかし,ユーザ参加によるキーワードの付与はユーザに手間がかかる.音楽再生ソフトの操作履歴を利用する提案もあるが,長期使用によりデータを蓄積しなければならず,新しい楽曲について推薦すべきかどうかを判断することは困難である.  本研究では,Web上に多数存在する音楽情報サイトや音楽コミュニティサイトに注目し,それらのWebサイトからダイナミックに楽曲に対するキーワードを取得し,ユーザが所有する楽曲に付与するシステムを提案する.これにより多様な視点からのプレイリスト作成を支援する.  本システムはWebデータベースシステムである.ユーザはブラウザに表示される3つのリスト画面を通じて楽曲情報の登録やプレイリスト作成などを行う.サーバは,楽曲の基本情報とキーワードを蓄積する楽曲情報データベース,楽曲情報の登録・検索などを行う楽曲情報管理部,音楽情報サイトから楽曲のキーワードを取得しデータベースに登録するキーワード取得部から構成される. システムの流れは次のとおりである.  (1)ユーザはブラウザを使用してサーバにアクセスしログインする.  (2)ユーザはパソコンに蓄積した楽曲について,楽曲名やアーティスト名などの基本情報をCSVファイルに書き出し,サーバにアップロードする.  (3)楽曲情報管理部がCSVファイルから楽曲の基本情報をデータベースに登録する.  (4)キーワード取得部は登録された楽曲の楽曲名とアーティスト名により音楽情報サイトを検索し,そのサイトで提供されている楽曲コメント文を取得する.  (5)キーワード取得部は楽曲コメント文を形態素解析した結果から不要な語を除去した上で,データベースにキーワードを登録する.  (6)ユーザはキーワードをもとに楽曲を検索し,プレイリストを作成し,プレイリストファイルをダウンロードする. ・楽曲のキーワード取得  キーワード取得では,楽曲名とアーティスト名を使用して音楽情報サイトを検索し,対応するWebページから楽曲コメント文を取り出す.次に,形態素解析を行いキーワード候補を抽出する.キーワード候補は名詞・形容詞・副詞とした.最後に,あらかじめ決めておいた不要語をキーワード候補から除去しデータベースに登録する.数字の羅列などを不要語とした.テレビCMなどタイアップ情報から楽曲名などを知りたいことも多いため,楽曲コメント文を取り出す際,タイアップ情報も取得する. ・楽曲情報の検索とプレイリストの作成  楽曲情報の検索は共有楽曲リスト画面,またはマイ楽曲リスト画面で行う.アーティスト名などによる楽曲情報の検索だけでなく,音楽情報サイトから取得したキーワードを利用した検索も可能であり,同じキーワードを持つ楽曲情報を得ることができる.キーワードは出現頻度が多いほど強調表示される.ユーザがキーワードを手動で追加することも可能であり,その場合,音楽情報サイトから取得したキーワードと区別して管理される.つまり,本システムでは音楽雑誌のライターなど専門家が付与するキーワードと,一般の音楽愛好者が付与するキーワードを同時に閲覧することができる.  マイ楽曲リストから選択することでプレイリストを作成できる.マイプレイリスト画面で作成したプレイリストを編集し,音楽再生ソフトで利用可能な形式でプレイリストをダウンロードすることができる.  本研究では,Apache,MySQL,PHP,MeCab(形態素解析エンジン)を利用して,提案システムを試作した.試作システムでは,音楽情報サイトとして「CDJournal」を利用した.「CDJournal」は有力な音楽雑誌のWebサイトであり,楽曲単位でコメント文を提供しており,他の類似サイトと比べ提供する楽曲数も多い.さらに,アルファベット表記とカタカナ表記など,アーティスト名表記の若干の違いにも対応している.  大学生の協力を得て,本システムで取得した個々のキーワードの適切さ,特定のキーワードによりリストアップされた個々の楽曲の適切さを評価した.その結果,キーワードの取得方法に改良の余地があるものの,聴きたい楽曲のテーマが決まっていれば,プレイリスト作成の支援として効果があるということを確認した.

5B-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名Webを活用した国際会議発表支援のためのナレッジ収集・共有システム
著者*服部 哲, 速水 治夫 (神奈川工科大学情報学部情報メディア学科)
Pagepp. 1041 - 1046
Keywordナレッジ収集・共有, 国際会議発表支援, Web, ワークフロー
Abstract1.研究の背景と目的  国際会議で発表するまでには,論文を作成し投稿する,査読結果を受けて修正し再投稿する,航空券を手配するなど様々な作業(タスク)を実施する必要がある.各作業を実施するためには多くの情報が必要となる.しかし,国際会議の経験が少ない人には分からないことも多いため,各作業で非常に苦労する.  国際会議で発表するまでに必要となる情報は,個人のパソコンにファイルとして存在していたり,Webや書籍から得られたり,研究室のメンバーからメール・電話・対面で得られたりする.そして各作業を実施した結果として新たにファイルが作成されたり,ノウハウが蓄積されたりする.  一連の作業を通じて必要になったり得られた情報・ノウハウなどのナレッジは国際会議での発表経験が少ない人にとってとても役に立つと思われる.そのため,これらのナレッジを研究室内で共有できれば非常に有益であるが,現状は個人的に管理されているだけである.Webページや書籍では国際会議への参加のプロセスなどが説明されていることもあるが,継続的にナレッジを蓄積する環境にはなっていない.  本研究では,国際会議で発表する人,特に発表経験が少ない人を支援するために,発表までの各作業で必要なナレッジをWebや研究室や研究グループのメンバーから収集し共有できるようにする. 2.国際会議発表までの作業と必要情報の分析  国際会議で発表するまでの作業は発表に関連する作業と参加に関連する作業に大きく分類でき,それらの作業にはある程度共通のフローが存在する.筆者らの経験を踏まえ,国際会議で発表するまでの必要作業および必要になった情報をピックアップし,その分類に当てはめて検討した結果,次のようなことが分かった. ・発表に関連するタスクは,英語論文や発表スライド作成とレジストレーションなどの手続きに分かれる.前者では自分で作成した英単語メモなどのファイルを利用することが多い.英単語メモや,成果物である投稿論文などは研究グループ内で共有すると便利である.国際会議発表のための手続きでは,投稿時のフォーム入力内容などを研究室や研究グループを問わず全体で共有すると便利である. ・参加に関連するタスクは,主に旅行の手続きや準備と大学の事務手続きに分けられる.前者ではWebも重要な情報源であるが,口頭発表とポスター発表で知りたい情報が異なることもある.大学の手続きに関するナレッジは研究室全体で共有すると便利であるが,他大学や研究機関の共同研究者と共有する必要はない.さらに,大学の事務手続きはユーザの身分(教員,学生など)によっても異なる. 3.国際会議発表支援のためのナレッジ収集・共有システムの提案  以上の検討を踏まえ,次の4機能を備えたシステムを提案する. (1)作業ナレッジ管理機能  作業を実施するとノウハウなどが得られるので,ユーザの入力により,作業単位でメモや成果物などのナレッジを収集する.収集したナレッジは研究室内で共有,研究グループ内で共有というレベルに分けて管理され,ユーザに応じて提供する.また,ナレッジに対して別のナレッジを追加したり,自身で入力したナレッジに簡単にアクセスできるようにもする. (2)Webからの情報収集支援機能  国際会議では,開催地や会場,スケジュールが初めにわかる.その後,航空券やホテルの手配など作業が進行すると経由地や宿泊先も明らかになってくる.そこで,広く共通的なユニバーサルブックマークを用意しておき,作業が進むにつれ,手配したホテルへのリンクを追加したり,開催地や経由地の空港へのリンクに変更したりして,ユーザ向けにユニバーサルブックマークをカスタマイズして提示する.Webページはダイナミックなものなので,カスタマイズされたブックマーク先の更新をチェックし,新着情報があればユーザに提示する.さらに,収集すべき情報の一覧や,そのために検索エンジンに入力するキーワードも支援情報として提供する. (3)ワークフローの管理機能  国際会議までの作業は所属する研究機関の違いなどにより相違がある.そのため,基本的なフロー(基本フロー)と組織などに固有のフロー(追加フロー)を管理し,ユーザ情報を利用し基本フローと追加フローから個別フローを生成する.基本フローと追加フローの定義にはXMLを使用する.国際会議は開催地やスケジュールなどが決まっている.これらをユーザが入力すると個別フローを提示する.これによりWebからの情報収集支援機能も起動されサポートを開始する. (4)ユーザ管理機能  ユーザ情報として,所属組織,身分,所属する研究グループなどを管理する.さらに,参加予定の国際会議,宿泊先,経路なども管理する.  今後は,これらの機能の詳細設計を行い,システムの実装・検証を実施する.


セッション 5C  位置推定(MBL)
日時: 2008年7月10日(木) 10:20 - 12:00
部屋: シリウス
座長: 清原 良三 (三菱電)

5C-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名無線LANによる電界強度の揺らぎを考慮した移動体位置推定法 ---判別分析によるマハラノビス距離と移動状態遷移モデルに基づく方法---
著者*伊沢 亮一 (神戸大学大学院自然科学研究科), 毛利 公美 (岐阜大学総合情報メディアセンター), 森井 昌克 (神戸大学工学部)
Pagepp. 1047 - 1057
Keyword位置推定, 無線LAN, モバイル端末, 電界強度, 判別分析
Abstract本論文は,屋内空間において,低コストで,かつ精度の高い位置推 定を目的として,IEEE802.11x等の無線LANインフラを利用する移動 体における位置推定方法を提案する.すでに無線LANインフラを測 位インフラとする方法については,いくつかの方法が提案されてい るが,測位物の位置と時間での電界強度の揺らぎによる,位置推定 の精度の低下が問題となっている.本論文では,位置と時間をパラ メータとする電界強度を適応的に学習し,適応的に変化するデータ ベースを作成し,測位物の電界強度との関係から,統計的な手法を 用いて,その位置を予測分析する手法を提案する.さらに測位物の 移動モデルとして,移動状態の遷移と移動速度に関するモデルを与 え,モデルに基ずく位置推定手法を提案する.地下街を推定した環 境での試行実験結果より,許容誤差を1mとしたとき97%の確率で正 しく認識し,許容誤差を5mとしたとき100%の確率で正しく認識した.

5C-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名センサネットワークにおけるHop-Vectorを用いたノード位置推定手法の提案
著者*油田 健太郎 (熊本県立大学), 河内 康佑, 岡崎 直宣, 冨田 重幸 (宮崎大学), 朴 美娘 (三菱電機)
Pagepp. 1058 - 1065
Keywordセンサネットワーク, 位置推定
Abstractセンサネットワークを構成するセンサノードは,バッテリ駆動の超小型無線通信端末であることから,センサノードのバッテリ枯渇を避けるため,センサネットワークには最小限の通信で経路制御やセンシングデータのやり取りを可能とする省電力化を追求したルーティングプロトコルが必要となる. センサネットワークにおけるルーティングプロトコルについて,各ノードにGPSなどの特殊なデバイスを備える必要がなく,コストや消費電力の点で有利な位置情報を必要としないプロトコルについて盛んに研究が行われている.しかし,アプリケーションの観点では,データとともにどこで発生したデータであるかということが重要な情報となるケースも多いことから,位置情報を必要としないルーティング環境下にあるセンサネットワークでは,各センサノードがどのように位置情報を知るかが問題となる. 本論文では,小数の位置情報を知るノード(ランドマークノード)から,各センサノードが自律的に自身の位置推定が可能なRange Free Localizationに基づく位置推定手法の提案を行う.提案方式では,ホップ数を元にルーティングを行う方式に着目する.従来,提案されているホップ数を元にルーティングを行うHVGF(Hop-Vector-based Greedy Forwarding)方式では,ルーティングの際に4つの基準ノードからのホップ数を基にしたホップ数ベクトルをアドレスとして各センサノードに対応させ参照しているため,位置座標が必要となるアプリケーションにおいて,明確な位置座標を通知することができない.そこで,任意の2つのセンサノードについて,センサノードが持つホップ数ベクトルから算出されるノルムと実座標から算出される実距離との相関関係に着目した距離推定手法の提案を行う.ここで,離散値であるホップ数を基に算出するノルムから実距離を推定するため,推定される実距離と実測値との間にはある程度の誤差が発生する.そのため,誤差を考慮した距離推定手法が必要となる.提案するノルムと実距離の相関関係に基づく距離推定手法は,測定したランドマークノードと非ランドマークノード間のノルムを基に,非ランドマークノードがある一定の確率で存在することが予想される距離領域を導出するものである.また,複数のランドマークノードから導出した上記の距離領域を基に非ランドマークノードの位置を推定する手法の提案を行う. 本提案方式の有効性を示すために,提案方式と既存方式であるAPIT(Approximate Point-in-Triangulation Test)を用いた方式をシミュレーションにより比較した.ここでは,評価項目として,推定座標と実座標との平均誤差を用いた.シミュレーション結果より,ランドマークノードの割合が少ない場合においても,目測で認識可能な程度の誤差で位置推定が可能であることが分かった.今後は,通信を遮断する障害物があるネットワークに対して,提案手法を適用した場合や幅広いパラメータによる性能評価を行う予定である.

5C-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名遭遇情報の相互利用による移動端末の軌跡推定法の提案と現実的環境での評価
著者*野村 崇志, 内山 彰 (大阪大学), 梅津 高朗, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学/独立行政法人科学技術振興機構,CREST)
Pagepp. 1066 - 1074
Keyword位置推定, 移動軌跡推定, アドホック通信, 性能評価
Abstract我々はこれまでに,屋内や地下街,都市環境において,近距離無線通信機能を備えたモバイル端末を持つ歩行者を想定し,近隣端末とのアドホック通信を利用したレンジフリーの移動軌跡推定手法について検討している.このような手法の評価を行う際には,現実にその手法が使用される状況を検討し,それに即したシミュレーションシナリオにおいて提案手法が十分な性能を発揮することを確認する必要がある.本稿では,我々が現在検討しているレンジフリー移動軌跡推定手法について,実際に使用される環境や利用例について検討するとともに,そのような使用環境を想定した領域やそこでの典型的な人の挙動を組み合わせた複数のシミュレーションシナリオにおいて実験を行うことで,この手法の性能,ならびに想定環境での実用性について評価している.

5C-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名GPS信号を応用した屋内外シームレス位置情報システムの開発
著者*川口 貴正, 江端 智一, 吉原 慎哉 (株式会社 日立製作所 システム開発研究所), 下垣 豊 (株式会社 日立製作所 情報・通信グループ 経営戦略室)
Pagepp. 1075 - 1080
KeywordGPS, 屋内, 携帯電話, IMES, 位置情報シームレス測位
AbstractGPS携帯電話を利用して歩行者ナビゲーションやモバイル広告などの周辺検索,児童見守りなどの第三者検索,緊急通報などの位置通知などへの活用が検討されている.しかしながら,GPS衛星からの無線信号は屋内や地下街には届かないため,屋内では何らかの別の位置測位手段が必要である.こうした中で,独立行政法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,GPS携帯電話などを屋内測位に利用可能とする方式として,GPS信号内の航法メッセージの代わりに位置情報メッセージを格納して送信する IMES方式を提案している.本研究ではIMES方式に対応したGPS信号送信機を開発し,屋内におけるIMESの有用性の評価と技術課題について検討した.


セッション 5D  車載端末と車車間通信(ITS)
日時: 2008年7月10日(木) 10:20 - 12:00
部屋: ペガサス
座長: 屋代 智之 (千葉工業大学)

5D-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名ユビキタスITSにおける利便性向上に向けた端末間連携方式
著者*今井 尚樹, 井戸上 彰 (株式会社KDDI研究所)
Pagepp. 1081 - 1088
KeywordITS, 車内ネットワーク, 携帯電話
Abstract身の回りに多くのネットワーク端末が存在するユビキタス通信環境では,人と車をシームレスに接続することで快適・便利なITS社会を実現することが期待されている.例えば,タクシー等の車内に乗り込むユーザがアプリケーションを実行する場合,携帯電話の画面よりも後部座席のモニタを利用することで,より満足度の高いアプリケーション実行環境とすることが可能となる.本稿では,ユーザが持ち込む端末群と車内の端末群を動的に融合・分離させるためのシステムを述べ,プロトタイプの実装と性能評価について報告する.加えて,提案システムを用いたアプリケーション例についても示す.

5D-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名車車間通信を利用した信号機制御手法の評価
著者*桐村 昌行 (三菱電機株式会社情報技術総合研究所), 梅津 高朗, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1089 - 1096
Keyword信号機制御, 車車間通信, アドホックネットワーク
Abstract現在,全国の交通渋滞による経済損失は12兆円以上ともいわれており,一般道路での渋滞の一因として交差点で の信号待ちが挙げられている.その一方で,渋滞時におけるアイドリングによる二酸化炭素排出問題も指摘され ている.これらの交差点における渋滞問題の解決策としてさまざまな信号機制御方式が運用されている. 代表的な信号機制御方式として,プログラム選択制御方式やプログラム生成制御方式などの中央感応制御方式や ,プロファイル信号制御方式などがあり,総遅れ時間の短縮だけでなく交通事故の削減にも大きく貢献している .ただし,これらの信号制御方式は超音波車両感知器や光学式車両感知器などの路側固定センサーによる交通状 況把握を行っており,感知器未設置区間の交通状況の把握が困難である.設置区間を短くすることで交通状況の 把握を密にすることも考えられるが,固定センサーを大量に設置するには莫大なコストが必要となり,現実的で はない.そのため,あらゆる場所や状況に適した信号制御を行うことが困難である. 一方,車車間通信を利用したさまざまなアプリケーションが研究開発されているが,すべての車両に対応車載機 器を搭載することを前提としているサービスが多く,サービス黎明期において車載機器購入者がそのメリットを 享受できない状況となり,販売数の鈍化につながる可能性が高い.そのため,車載機器購入者が即座にそのサー ビスのメリットを享受でき,かつ,非購入者にもある程度のメリットが得られるサービスモデルが望ましい. そこで本稿では,すべての車両が利用する信号機に注目し,モバイルアドホック通信によって伝播させた車両情 報を利用した効率的なリアルタイム信号機制御手法を提案する.提案手法では複数の車両のブロードキャストに よって伝播した車両情報に応じてスプリットの配分やサイクル長の調整を行うことを特長としている.また,車 両感知器未設置区間における車両状況把握や,前方だけでなく後方や直交方向の信号機に車両情報を伝播するこ とにより交通状況に合った信号制御を実現している.そのため,車両状況に即したリアルタイムな信号制御を行 うことができるだけでなく,路側車両感知器の設置場所に依存しないため,感知器未設置区間における交通状況 の把握や,スキー場周辺や祭りなどの突発的な渋滞に対処した効率のよい信号制御を行うことが期待できる.ま た,対応車載機器購入者は交差点の交通円滑化に貢献し,そのメリットを最大限享受することが可能であり,非 購入者にとっても少なからず通行の円滑化を享受することが期待できる. 提案手法では車両情報伝播方式として, 〜以伝播方式, 後方伝播方式, D掌鯏素妬式, の拈楔鮑硬栖崚 播方式を提案する.前方伝播方式とは,車両の進行方向に位置する信号機を制御するための手法であり,信号機 間を走行する車両の車両情報を受信することで,それぞれの速度や位置情報などから信号機間のオフセットを計 算することでより最適なスプリットを算出することが期待できる.また,公共車両優先システムPTPSのようにあ る特定の車両の通行を円滑にするサービスへの応用が期待できる.後方伝播方式とは,車両の走行方向と逆方向 に位置する信号機あるいは通過した信号機を制御するための手法であり,冗長な有効青時間の縮小を目的とする .直交伝播方式とは,車両の走行方向と直交する車線に位置する信号機を制御するための手法であり,無信号交 差点における渋滞の解消を目的とする.隣接交差点間伝播方式とは,隣接する交差点間の信号機同士で信号機の 制御情報をその信号機間に存在する車両の車車間通信により送受信を行う系統制御手法である. また,車両情報および信号機情報のブロードキャストには我々研究グループが開発したブロードキャストプロト コルCRCPを利用する.CRCPは,自車がある一定期間受信したパケット数と検知したパケット衝突数の比率から自 車周辺のパケット衝突率および帯域利用率の推定をおこなう.そして,その推定値を元にデータ受信量が最大に なるようパケット送信間隔を調整する. なお,提案手法の有効性を示すため、シミュレーション評価のための車載機器および信号制御器の設計および通 信プロトコルの設計を行った.本稿ではシミュレーション結果として車両密度や対応車載器の普及率やブロード キャスト電波範囲の大きさなどによる総旅行時間の変化について検証を行う.

5D-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名車車間ルーティングプロトコルによる車両と基地局との通信プラットフォームの提案
著者*孫 為華 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 山口 弘純 (大阪大学大学院情報科学研究科), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科)
Pagepp. 1097 - 1104
Keyword車車間通信, 狭域通信, VICS
AbstractカーナビのVICS 受信装置などの狭域通信機は通信帯域が狭く,通信距離も短いため,一度に送受信できるデータの容量が極めて小さい.本研究では,車車間通信を利用して,路側に設置されたVICS ビーコン送信機などの固定基地局の付近で通信ネットワークを形成し,データの相互補完により基地局の送信データ容量を向上させる手法を提案する.基地局を中心とする数ホップの区域内で,ノードが自律的にネットワークを形成し,データを受信した複数のノードが一定区域内でデータを散布することで,区域内の全ノードに大きいデータを短時間に散布させることが可能となる.これにより,各車両が固定基地局と通信する際の通信量を軽減しながらより多くのノードに一貫性のあるデータを配信することを目指す.

5D-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名転送リストを用いた高効率・低負荷フラッディング方式の提案
著者*長谷川 淳, 板谷 聡子, 近藤 良久, デイビス ピーター (ATR 適応コミュニケーション研究所), 榊原 勝己 (岡山県立大学), 鈴木 龍太郎, 小花 貞夫 (ATR 適応コミュニケーション研究所)
Pagepp. 1105 - 1112
Keywordアドホックネットワーク, フラッディング
Abstract車車間通信のような自律分散ネットワークにおいて1対多の通信を行う場合,一般にフラッディングが検討されるが,通常の方式では全受信端末が転送を行うため,ネットワーク内の総パケット数が急激に増加する問題がある.本稿では,送信時に受信パケットの統計情報から中継端末を指定することにより,無駄な転送を削減する方式を提案し,端末50台の固定環境において,全端末が転送を行う従来方式で90%以上あったパケット損失率を20%以下に低減できることを計算機シミュレーションおよび実験により示す.この性能はフラッディング転送の効率化で代表的な既存方式とほぼ同等の性能であるが,その方式と比べ,端末負荷で優位性があり,かつ端末の移動がある環境においても,提案方式のパケット損失率が20\%以下を保つことが可能であることを示す.


セッション 5E  アドホックネットワーク(2)(MBL)
日時: 2008年7月10日(木) 10:20 - 12:00
部屋: コスモ(1)
座長: 古市 実裕 (日本IBM)

5E-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名実時間インタラクティブシミュレーションによる無線通信アプリケーションの性能試験
著者*前田 久美子, 中田 圭佑 (大阪大学大学院情報科学研究科), 梅津 高朗, 山口 弘純 (大阪大学大学院情報科学研究科 独立行政法人科学技術振興機構,CREST), 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科 独立行政法人科学技術振興機構,CREST), 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科 独立行政法人科学技術振興機構,CREST)
Pagepp. 1113 - 1120
Keywordシミュレーション, 無線ネットワーク, 設計・開発支援, 実時間, 実機
Abstract我々は,無線ネットワークアプリケーション開発支援環境TROWA の設計開発を行っている.TROWA はネットワークシミュレーションを実時間で進行させることにより,実機上の実際のアプリケーションと連動する機能を提供している.また,TROWA はシミュレーション中にノードの移動(モビリティ)などをユーザにより手動で操作できる機能を提供し,可視化ツールにより通信状態などを確認しながら評価対象とするシステムの実行環境を動的に再構成することで,効果的なデバッグや性能評価が可能としている.さらにTROWA ではより高精度な時間的正確性が求められるシミュレーションイベントを優先して処理することでシミュレーション進行の実時間との同期精度を向上させる手法を採用している.本研究では,TROWA の基本設計概念に基づき提案する機能を詳細設計した上で実装するとともに,これらを用いた無線通信アプリケーションの性能試験を行う.実験ではDSR ルーティングプロトコルを利用したマルチホップ通信シナリオにおいて,無効なルートキャッシュが経路再構築時間に与える影響を明らかにすると同時に,TROWA の動的な環境再構成機能の有用性を示す.

5E-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名A Study on Efficient Performance Tests of Wireless Networks by Finding Dominant Factors
著者*中村 雅俊, 廣森 聡仁, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学)
Pagepp. 1121 - 1134
Keywordアドホックネットワーク, センサネットワーク, 組み合わせ試験, ペアワイズ試験
AbstractPerformance of wireless networks is largely affected by depends on the protocol parameter settings, selection of functionalities in different protocol layers, and environmental factors like node density and mobility. Among these factors that possibly affect the performance to some or great extent, it is difficult to identify each “dominating set” of factors that together have great impact on the performance. We may apply some statistical strategies to find dominating sets, such as ANOVA, multivariable analysis and so on. However, most of them assume some restrictions that are too strong or not realistic. Also, we might have to prepare enough test cases to validate the analysis , however applying a considerable number of test cases consumes much time. In this paper, we propose a new test strategy based on the following ideas so that it can be used easily for performance analysis of wireless networks. (i) Pairwise method: it is used in a part of our procedure to generate test cases and reduces the number of test cases while keeping reasonable coverage. (ii) Stepwise strategy: test cases are generated based on analytical results obtained by former steps so that we can check iteratively whether a factor is included in a dominating set or not. (iii) Rank correlation coefficient: this is applicable to wide variety of measurements and helps us to grasp the trends relations between factors. Through a realistic case study, we have proved that we could find dominating sets in wireless network systems, which are probably hard to find in usual performance evaluations.

5E-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名時分割AWiMA Netにおけるデータ通信方式について
著者*明石 藍子 (静岡大学大学院情報学研究科), 西井 龍五 (三菱電機情報技術総合研究所), 萬代 雅希 (静岡大学情報学部), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院インフォマティクス部門)
Pagepp. 1135 - 1142
Keyword無線アクセスネットワーク, 非対称
Abstract本稿では非対称無線マルチホップアクセスネットワーク(AWiMA)をベースに,シングルホップ通信とマルチホップ通信それぞれのメリットを活かした時分割非対称無線マルチホップアクセスネットワーク(AWiMA Net)を提案する.APの出力を拡大して端末へ直接データ送信を可能にすることで下りデータ中継が解消され,端末にかかる中継負荷やデータ中継遅延を抑えることができる.また,出力の大きなAPが端末間の通信を阻害しないようにネットワーク稼動期間を上りデータ処理期間と下りデータ処理期間に分割することでスムーズな通信を行う.以上の提案方式の基礎評価として,AP1台と端末20台の設置を想定したシミュレーションを行うことで提案方式の有用性を示す.また,単一APでの性能を踏まえ,APを複数台設置した時分割AWiMA Netにおいて衝突が少ないデータ通信を行うためのAP協調型スケジューリングを提案する.複数のAPが存在する場合,サービスエリアが重複しているエリアにおいてデータ衝突や干渉が多発すると考えられる.スケジューリングを行って隣接APが端末情報を共有することで,重複エリアにある端末に対するデータ送信のタイミングをずらし,衝突を抑えたデータ通信を目指す.

5E-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名アドホックネットワークにおけるマルチキャストを用いたデータ転送方式の性能評価
著者*篠原 昌子, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 1143 - 1150
Keywordアドホックネットワーク, モバイルコンピューティング, 消費電力, データ転送
Abstractアドホックネットワークでは,移動体が自身のもつデータを他の移動体から要求された場合,通常,そのデータを要求した移動体までユニキャストを用いて転送する.この場合,頻繁に要求されるデータがネットワーク上を何度も転送されるため,移動体は多くの電力を消費してしまう.これまでに筆者らは,データの可用性を損なわず,移動体の生存時間を長くすることを目的として,マルチキャストを用いたデータ転送方式を提案した.この方式では,移動体が,複数の移動体から要求されたデータをマルチキャストを用いてまとめて転送することで,トラヒックを削減する. 本稿では,提案方式の性能評価のために行ったシミュレーション実験の結果について述べる.


セッション 5F  マルチメディア(2)(DPS)
日時: 2008年7月10日(木) 10:20 - 12:00
部屋: コスモ(2)
座長: 柴田 義孝 (岩手県立大)

5F-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名伝送遅延を考慮した分散機器の動作タイミング制御フレームワークの設計
著者*山本 佳代子 (東京大学大学院情報理工学系研究科), 早川 裕志 (九州大学大学院システム情報科学府), 田頭 茂明 (九州大学大学院システム情報科学研究院), 北須賀 輝明 (熊本大学大学院自然科学研究科), 中西 恒夫, 福田 晃 (九州大学大学院システム情報科学研究院)
Pagepp. 1151 - 1157
Keyword分散システム, ホームネットワーク, DLNA, フレームワーク
Abstractホームネットワークを構築するためのプラットホームの普及に伴い,ネットワークで接続された家電機器の連携やコンテンツの共有を実現する枠組みが整いつつある.既存のプラットホームは一対多の機器連携手法を規定しておらず,ベンダ毎に異なる手法を採用しているため互換性を保つことが困難である.このような環境下では,ユーザは依然として機器の互換性やケーブルの接続などに注意を払わなければならず,プラットホームのネットワーク機能が活かされていない.本稿では,メディアの形式に依存しない汎用的な分散機器のタイミング制御フレームワークの提案・設計を行う.複数機器がネットワークを介して連携を行う際には,輻輳やフレームの衝突による伝送遅延を考慮する必要がある.このため,提案フレームワークは即時値適用法と遅延予測法の2 つの手法を用いて遅延の見積もり行う.設計にもとづいて実装したプロトタイプシステムを用いて評価を行い,遅延見積もり手法の有効性を示す.

5F-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名開放型分散部分空間結合に基づく共生アプリケーション連携法
著者*酒徳 哲, 黒田 貴之, 北形 元, 白鳥 則郎 (東北大学電気通信研究所/情報科学研究科), 木下 哲男 (東北大学電気通信研究所/情報科学研究科/サイバーサイエンスセンター)
Pagepp. 1158 - 1166
Keyword共生コンピューティング, アプリケーション連携, 部分空間結合, 協調作業環境
Abstract近年,複合現実感技術や仮想空間共有技術が注目されている.これらの技術を応用することで,地理的に離れた利用者同士があたかも同じ空間に存在しているかのような協調作業・コミュニケーションが可能となる.しかしながら,既存のシステムでは,利用者が自由に空間やアプリケーションを構成するのは困難である.そこで,本論文では,ネットワーク上に分散配置した空間やアプリケーションの組み合わせによる協調作業環境構成法を提案する.これによって,利用者が自身の要求や状況の変化に柔軟に対応可能な協調作業環境構成基盤の実現を目指す. 既存の3次元仮想空間構成法として,CyberWalkがある.CyberWalkでは,最初に空間全体を設計し,それを部分的な空間に分割管理することで,効率的な空間管理を実現している.しかし,空間が単一の組織で管理されるため,利用者による空間構成の自由度には制限がある. また, 3次元仮想空間上でアプリケーションを利用する手法として,Behavior3Dなどがあり,それらの既存手法によって,アプリケーションを物理的な動作によって操作することが可能となる.しかし,その機構が当該アプリケーション内に閉じているため,アプリケーションの組み合わせ利用に制限があり,利用者が直感的に環境を構成することができない. 本論文では,まず,分散型部分空間の結合による開放型の空間構成法を提案する.本構成法では,部分的な空間を個別に設計・公開し,そのそれぞれを利用者端末間で共有する.利用者端末は,各部分空間を空間の結合関係情報に基づいて配置することで1つの空間を構成する.これによって,空間を複数の組織によって管理することが可能となり,利用者が自由に空間を構成することが可能となる. 次に,オブジェクトベースのアプリケーション間連携方式を提案する.本方式では,アプリケーションは空間上のオブジェクトと対応付けられる.アプリケーションはオブジェクトに発生する物理的なインタラクションを入力として,またオブジェクトの形状やテクスチャの変更を出力として動作する.また,アプリケーションは,動作の際にインタラクション要求を送信して他のアプリケーションと連携を図る.送信されたインタラクション要求は,空間の媒介により,インタラクションを発生させ,このインタラクションを入力として連携相手となるアプリケーションが動作する.この方式によって,利用者は,共生空間上のアプリケーションを実空間上の道具のように連携動作させることが可能となる. 提案手法を実現するシステムとして,空間共有クライアント,空間共有サーバ,およびアプリケーションサーバを設計した.空間共有クライアントは,空間を構成し,構成した空間に基づいて利用者やアプリケーションから要求されたインタラクションを媒介する.空間共有サーバは,部分空間を提供し,空間共有クライアント間で共有する.アプリケーションサーバは,発生したインタラクションに基づいてアプリケーションを起動し,その出力やインタラクション要求をクライアントに送信する. 以上の設計に基づいてプロトタイプシステムを実装した.プロトタイプシステムとして,空間共有クライアント,空間共有サーバ,アプリケーションサーバに加えて,アプリケーションサーバによって提供される黒板アプリケーションとレーザーポインタアプリケーションの2つのアプリケーションを実装した. このプロトタイプシステムの動作実験として,空間構成およびアプリケーション連携についてそれぞれ実験を行った. まず,複数のサーバに分散配置した部分空間から空間を構成する実験を行った.この実験によって,ネットワーク上で分散した部分空間が,利用者端末上において1つの空間として利用可能であることを確認した. 次に,アプリケーション連携の実験として,異なるアプリケーションサーバによって提供される2つのアプリケーションを連係動作させる実験を行った.この実験において,片方のアプリケーションが利用者の操作によって動作したとき,その動作で発生したオブジェクトを指し示すというインタラクションによって,もう片方のアプリケーションが動作したことを確認した.この結果から,ネットワーク上で分散したアプリケーションが,物理的なインタラクションによって連係動作可能であることを実証した. 結論として,本論文で提案する,開放型の空間構成法と,オブジェクトベースのアプリケーション間連携方式によって,ネットワーク上に分散配置した空間やアプリケーションの組み合わせによる協調作業環境の構成が実現した.これによって,利用者の要求や状況の変化に柔軟に対応可能な協調作業環境構成基盤を実現することが可能であると言える.

5F-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名メディアストリーミングにおける高速移動通信網に適した動的符号化レート制御手法の検討
著者*廣本 正之 (京都大学 大学院 情報学研究科), 筒井 弘 (大阪大学 大学院 情報科学研究科), 越智 裕之 (京都大学 大学院 情報学研究科), 小佐野 智之, 石川 憲洋 (NTTドコモ サービス&ソリューション開発部), 中村 行宏 (立命館大学 総合理工学研究機構)
Pagepp. 1167 - 1176
Keywordストリーミングシステム, レート制御, トランスコーダ, TCP/IP
Abstract移動通信端末においてネットワーク経由での動画像の視聴を行う場合,電波の受信状態の変化などにより通信帯域の大幅な変動や一時的な切断が発生するため,固定ビットレートでの配信では画像の乱れ等の発生や再生自体が停止する可能性がある.本研究ではこれらを回避するため,通信品質の変化に応じ動画像ビットレートの動的制御を行うストリーミングシステムを提案する.提案システムでは,サーバ側で実時間に対するトランスコード処理の遅延を検出することによりネットワークの変動を感知し,それに応じたレート制御を行う.本研究では特に高速移動通信網を想定し,発生しうる複数の帯域変動パターンに対し提案手法の評価を行い,画像の途切れ等のない安定したストリーミングが行えるレート制御手法の検討を行った.

5F-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名時間属性を持ったマルチメディアによる動画ダイジェスト手法
著者*伊藤 秀和 (中京大学大学院情報科学研究科), 濱川 礼 (中京大学情報理工学部)
Pagepp. 1177 - 1181
Keywordマルチメディア, 動画ダイジェスト, 時間属性, Time-Pliant Multimedia Objects
Abstract 本研究は,限られた時間の下で複数の動画を効率良く視聴するための動画ダイジェスト手法について考察している.近年,YouTubeなどの動画サイトの普及により多くのマルチメディアが配信されている.しかし,これらのマルチメディアは再生時間が決められている.そのため,内容を把握するためには再生時間以上の時間が基本的には必要であり,複数のマルチメディアでは最低でも各再生時間分の時間を要してしまう.従って,これらの視聴には必然的に膨大な時間と労力が必要となる.現在,スポーツ映像やニュースなどの限定されたマルチメディアでは,動画ダイジェストの研究が盛んに行われており再生時間を短縮させるための効率的な手法が考案されているが,動画サイトなどの不特定のマルチメディアにおいては,効率的な手法は少ない.また,動画サイトのような膨大な数のマルチメディアにおいては,一つ一つ再生時間を短縮させて視聴したとしてもまだ膨大な時間を要してしまう.従って,これら複数のマルチメディアをもっと効率良く視聴するための手法.そして,限られた時間の中で視聴するための手法が必要となる.本研究ではこの問題の解決策としてTime-PliantMultimedia Objectsの概念を適用している.この概念にはTeXのglueを拡張させたtemporal glueという考えがあり,オブジェクト(シーン)毎に時空間における伸縮パラメータを持っている.これによりマルチメディア全体の再生時間を伸縮させたときに各シーンはパラメータに従って再生時間を伸ばしたり縮めたりする事が可能となる.このパラメータをマルチメディアに付与するにはシーン毎の重要度を算出する必要がある.重要度は高ければ長めに再生させ,低ければ短めに再生させるようにパラメータを設定する.この重要度の算出法として,ユーザプロファイリング(再生操作履歴)を用いた再生頻度による重要度算出法を提案する.以上より,視聴者が指定した視聴時間を基にシーン毎の再生時間が算出できる.しかし,この概念はシーン毎の再生時間を決める事はできるが映像などの短縮法に関しては記述されていない.一般的に文章においては,流し読みや速読といった数多くの手法を用いて時間を短縮させることが可能である.これに対して動画などのマルチメディアにおける再生時間の短縮法は主に2つある.1つはシーンをカットする事により再生時間を縮める方法,もう1つは再生速度を速くする事により再生時間を縮める方法がある.本研究では,音が小さく映像のあまり変化しないシーンまたは視聴者にとって無駄なシーンとなる部分はシーンをカットする.そして,その他のシーンでは再生速度を速くすることにより目標とする再生時間までシーンを短縮させる手法を提案している.各シーンの検出方法として,音が小さく映像のあまり変化しないシーンは,音のパワーと分割カイ2乗検定法を用いる事によって検出ができる.視聴者にとって無駄なシーンは,複数人からのユーザプロファイリング(再生操作履歴)を用いる事によって検出ができる.その他のシーンの再生速度は,目標とする再生時間とカットしたシーンの再生時間から算出する事ができる.以上のことにより,限られた時間の中で視聴する事が可能となった.この手法により評価実験を行った.実験の結果,シーンのカットにおいては再生時間を短縮させてもほぼ内容を理解する事ができた.しかし,極度の再生速度の変化はシーンをカットしたものより理解の妨げとなる可能性があり,一部の音声付のマルチメディアでは不快な感情が表れた.この事から人は再生速度には敏感であることが明らかになった.今後は,内容把握が容易な短縮法の考案,効率的な視聴のための複数のマルチメディアによる同時再生,動画サイト内にあるマルチメディアを利用した検索システム,検索キーワードに応じた動画ダイジェストの生成,そして,実用化のための処理時間の短縮について検討する.


セッション 5G  管理ツール(IOT)
日時: 2008年7月10日(木) 10:20 - 12:00
部屋: ぽぷら
座長: 阿野 茂浩 (KDDI研究所)

5G-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名偽装応答によるscan攻撃抑制システムについて
著者*大塚 賢治, 兒玉 清幸 (大分大学大学院工学研究科), 吉田 和幸 (大分大学総合情報処理センター)
Pagepp. 1182 - 1189
Keywordネットワーク管理, ネットワークセキュリティ, scan攻撃
Abstract セキュリティホールが残っているコンピュータや特定のサービスを動作させているコンピュータの存在等を探すscan攻撃や,scan攻撃により発見したコンピュータやサービスに対しての攻撃が後を絶たない.コンピュータ1台あたり,1日4件の不正なアクセスを受けているという報告もでている.不正アクセスにより侵入された場合,侵入されたコンピュータが他のコンピュータを攻撃するための踏み台や,spamの中継,フィッシング詐欺などに利用され,他のユーザやネットワークに被害を及ぼすケースもある.そのため,ネットワークの管理者は攻撃への対策を行う必要がある.しかし,大学など複数の管理者によってネットワークが運用されている場合や,大規模のネットワークにおいては,全てのコンピュータに対策を行うことが難しい.  我々は透過型ブリッジとして動作し,throttlingを用いてネットワーク単位でscan攻撃を抑制するシステムを提案・構築し,運用を行ってきた.throttlingとはTCPによる接続要求の回数に応じて遅延時間を算出し,要求に対する応答を遅らせるというものである.このシステムの運用の結果,遅延をかけるthrottlingだけではscan攻撃を抑制できない場合があることがわかった. そこで,新たに偽装応答という機能を提案・追加し運用を行った.偽装応答とは,未使用IPアドレスに対するTCPの接続要求に対して,システムが応答を返すという手法である.未使用のIPアドレスから応答があるように見せ,scan攻撃による内部ネットワークの調査を妨害する.偽装応答を行うことにより,そのIPアドレスを攻撃者に使用中のIPアドレスだと考えさせ,未使用のIPアドレスに攻撃を誘導する.攻撃を特定のIPアドレスに誘導することにより,他のIPアドレスへの攻撃を減少させることを期待する.本システムを大学のLAN内に設置し、このシステムを2008年1月から運用している. 約1ヶ月分のscan攻撃抑制システムのログから,以下のことがわかった.(1)未使用IPアドレスへのコネクション要求に対して偽装応答を返すことにより,未使用IPアドレスの偽装ができていること.(2)システムを設置しているネットワークへのsshに対するscan攻撃のログから,偽装応答を行った未使用のIPアドレスに対して攻撃を行っていることから,偽装応答により未使用IPアドレスへの攻撃の誘導を行えていること.(3)攻撃者と判断された送信元IPアドレスから使用中のIPアドレスに対しても接続要求を行った場合,システムが偽装応答を返すことにより,攻撃者に対して内部ネットワークの情報の隠蔽ができていること.  複数の場所でtcpdump等のデータ収集を行い、それらを比較・解析することで,本システムの偽装応答によるscan攻撃の抑制効果や偽装応答をするアドレスブロックへの攻撃の誘導についての調査を行っている.  本論文では,sscan攻撃抑制システムが用いている攻撃者識別のアルゴリズムと本システムの概要について述べ、今までの運用ログ等の解析結果から本システムの有効性について論じる.

5G-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名Layer2ネットワーク構成情報推測・表示システムにおけるVLAN情報の収集と表示の提案
著者*藤田 俊輔, 飯田 隆義, 兒玉 清幸 (大分大学工学研究科), 吉田 和幸 (大分大学学術情報拠点情報基盤センター)
Pagepp. 1190 - 1197
KeywordLAN, ネットワーク管理, ネットワークトポロジー, VLAN
Abstractネットワークの構成情報を把握することは,ネットワーク管理を行う上で非常に重要である.ネットワークの構成を正確に把握することにより,ネットワーク管理者は問題に的確に対処し,あるいは予防することができる.しかしながら,物理的構成を反映しているLayer2レベルでのネットワークの構成を正確に把握することは困難である. ネットワークの急速な発達とその社会的有用性から,ネットワークの巨大化・複雑化が進み,その依存度も高くなっている.そのため,ネットワークが円滑に運用されていることが重要であり,ネットワーク管理者の負担の負担を軽減するために様々な研究がなされており,支援ツールが作られている.また,ネットワーク上のトラフィックを分散し,軽減するためにVLANが多く用いられている. VLANはLANスイッチの各ポートに所属IDを付けてグループ化し,それぞれのグループを独立したサブネットとして機能させるもので,端末の物理的な配置を特に気にすることなくネットワークの構成を変更することができる.また,VLANごとのネットワーク構成の把握も重要である.VLANでは設定がポートごとに行われるため,あるLANスイッチの何番ポートが,どのLANスイッチの何番ポートに接続されているかを知ることが重要となる.また,トラフィック解析を行う際にも,LANスイッチ間の接続関係を知ることが有効となる. 我々はLANスイッチから収集できるFDB(Forwarding Database)を用いてLANスイッチ間の接続関係を推測するアルゴリズムを提案し,LANスイッチのFDBからスイッチ間の接続関係を推測・表示するシステムを作製し利用してきた.FDBは受信フレームを適切なポートに送信するためのテーブルで,フレームの受信時に送信元MACアドレスを受信ポートに関連付ける.そのため,FDBによるLANスイッチ間の接続関係の推測が可能となる. 我々のシステムでは,FDB情報を取得するためにSNMP(Simple Network Management Protocol)を用いてBridgeMIBと拡張BridgeMIBの情報を収集している.また,FDB以外にもネットワーク機器のインタフェースごとに設定されているMACアドレス情報を用いることで,LANスイッチ以外のルータやサーバなどの接続関係も発見することができる. ネットワーク構成の推測の後,本システムでは推測したネットワークの構成情報を基にしてグラフィカルに表示することで,Layer2ネットワークの接続関係を分かりやすくユーザに提供する. 我々の提案してきたLayer2ネットワークのトポロジ発見のアルゴリズムとシステムでは,十分なFDB情報を収集できなくても,管理対象となるネットワークの接続関係を可能な限り推測することができる.しかし,現在ではVLANによるネットワークの分割が一般的であり,ネットワークの運用を円滑に行うためには,今までのLayer2ネットワークのトポロジだけでは不足している.そこで個々のVLANのトポロジ情報が必要となる. 本論文では,大分大学におけるLayer2ネットワークの構成要素と,FDBの収集方法について述べ,先行研究としてFDBの情報からネットワーク構成を推測するアルゴリズムについて述べた後に,個々のVLANのネットワーク構成を推測するためのVLAN情報の収集と,推測されたVLANネットワークの表示の方法について述べる.

5G-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名ネットワーク構成情報表示システムのための自動配置アルゴリズムの改良と評価
著者*飯田 隆義, 兒玉 清幸, 有田 敏充, 藤田 俊輔 (大分大学大学院工学研究科), 吉田 和幸 (大分大学学術情報拠点情報基盤センター)
Pagepp. 1198 - 1205
Keywordネットワーク管理, ネットワークトポロジ
Abstract 近年の通信技術の発達により多くの通信機器はネットワークで結ばれ、様々な場面で利用されるようになった。また、コンピュータネットワークの重要度や利用価値は計り知れないものがあり、教育機関や行政機関また、多くの企業にいたるまで幅広く利用されている。そのため、コンピュータネットワークは今や社会基盤の1つとして、その役割を担うまでに成長した。しかし、コンピュータネットワークがその利用価値を増すごとに、ネットワークの構成は大規模化・複雑化の一途を辿ることになり、我々がネットワークの利便性を享受する一方で、ネットワーク管理者への負担はネットワークの規模に比例して増加することになる。また、重要なシステムで利用されているネットワークに障害が発生した場合、迅速な対応を怠ると致命的な被害につながる可能性が高く、ネットワーク管理者は障害の処置を行うためにネットワーク構成を正確に把握しておく必要がある。ネットワーク構成の正確な把握は障害管理を行う際の基本的な情報となるが、ネットワーク構成情報の収集には多大な労力を要することになる。また、ネットワーク構成は変化することが多く、そのこともネットワーク管理に掛かる負担を増加させる要因となっている。  そこで、我々は管理者のネットワーク管理に掛かる負担を軽減させることを目的として、コンピュータネットワークにおけるLANスイッチ、ルータから、データリンク層、ネットワーク層の構成情報を自動収集し、Java Appletを用いて視覚的に表示するネットワーク構成情報表示システムの開発を行ってきた。本システムでは、変化したネットワーク構成情報を変化前と比較して表示することもできる。  本論文では、従来システムで利用していたネットワーク構成情報を見やすく表示するための自動配置アルゴリズムに注目し、従来のアルゴリズムが抱えている計算量における問題点の解消を研究目的とした新たなネットワーク構成情報表示のための自動配置アルゴリズムについて提案する。  従来のアルゴリズムでは、スプリングアルゴリズムと呼ばれる、バネが持つような収縮力・反発力の働きをノード間の接続に適応させる自動配置アルゴリズムをベースにしたものを採用していた。しかし、スプリングアルゴリズムによって自動配置を行うためには、全てのノード間に対して働く力の計算が必要であり、ノード数の増加に伴い収束にかかる時間は大幅に増加すると考えられる。  提案する新しいアルゴリズムである分割配置アルゴリズムでは、ノード数が増加しても、ネットワーク構成情報に対して段階的な自動配置を行うことで計算量の削減と、収束にかかる時間の短縮を図る。そのための条件として自動配置の対象となるネットワークを、大学や企業などで一般的に採用されるネットワーク形態である、キャンパスネットワークと呼ばれるネットワークに限定する。キャンパスネットワークにはバックボーンとなるループ構造と、また多くの機器を集約し、接続するためのスター型構造を特徴的な構造として持つことが多く、分割配置アルゴリズムではキャンパスネットワークの特徴的な構造ごとの自動配置を行う。  分割配置アルゴリズムではネットワークの構造を抽出し分割する、階層化プロセスと、分割した構造ごとの自動配置を行う、自動配置プロセスの2つから構成されている。階層化では、全てのノードに対して最端ノード、中間ノード、ループノードと定義した属性をつけることで特徴的な構造の抽出および分割を行う。自動配置では分割されたノードの集合を、構造の特徴に即した自動配置方法によって配置することで、見やすいネットワーク構成図をユーザに提示する。また、このアルゴリズムでは、ネットワーク構成情報の変化によって、新たに増加したノードを再配置する際にも有用に働く。従来のスプリングアルゴリズムでは、自動配置後に増加した少数のノードに対してもネットワーク全体を自動配置することで再配置を行っていた。しかし、分割配置アルゴリズムでは分割した構造ごとの配置が可能であるため、新たに増加したノードが属する構造のみを配置することによって、より無駄の少ない再配置が可能となる。  提案アルゴリズムと従来アルゴリズムの評価に関しては、移動処理における計算コスト、収束までの繰り返し回数、平均収束時間といった処理効率に関する評価と、ユーザに提示されるネットワーク構成図といった視認性に関する評価について比較を行う。

5G-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名トランスポートプロトコル解析のための多様なビューを持つ可視化ツールの開発
著者*石橋 賢一, 砂原 秀樹 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1206 - 1210
Keywordトランスポートプロトコル, 可視化, TCP
Abstract無線通信技術の発達や,10Gビットイーサネットの登場など,現在のインターネッ ト接続環境は多様化・高速化の一途を辿っている.この状況に際し,多様なデー タリンクの性能を十分に活用できるように,トランスポート層プロトコルの研 究,開発,改良が広く行われている.これらの研究開発では,ある問題に対し, 解決する手法の予測をたて,その手法を用いて実験し,得られたデータを評価 してから,再度手法やパラメータを変更して実験をやり直す,いわゆるPDCA (Plan-Do-Check-Act) サイクルを繰り返す.PDCAサイクルを機能させるには, Check,すなわち実験結果を解析,評価する部分において,何が起こっているか を正確に把握することが重要である.実験結果の解析を誤ると,解決したい問 題に対する適切な手法の開発やパラメータの設定が困難になる.従って,直感 的に分かりやすい表現形式を用いて実験結果を観察できるのが望ましい. 多くの場合,実験データは時系列にそった数値の羅列として記録される.しか し,数字の羅列を観察するだけでは,実験中に生じた事象を把握したり,デー タの遷移をつかみ取ることが難しい.特に,トランスポートプロトコルにおけ る解析では,パケットごとのパラメータの遷移やパケットの送信間隔,パケッ トのシーケンス番号の遷移などが重要であるため,これらを把握しやすい表現 形式でデータを提示したいという要求が強い.このことから,プロトコル研究 開発においては,実験データをグラフ化するなどの可視化手法が用いられる. データを可視化することで,(1)データを全体的に俯瞰できる,(2)シーケンス の流れを把握しやすい,(3)個々のパケットだけみていては認識できないパケッ ト群の特定パターンの抽出に利用できる,などの利点が得られる. データの可視化方法としては,tcpdumpなどを用いて得られたデータをGnuplot やMicrosoft Excelなどの汎用のグラフツールを使ってグラフ化する手法のほか, トランスポート層,特にTCPに特化した可視ツールがいくつか存在している.例 えば,TCPセグメントのシーケンスを可視化して表示するツールとして tcpillustがある.また,tcptraceはシーケンス番号の遷移やセグメントロス, セグメント再送のタイミングをグラフ化するツールである. しかし,これらのツールでは,グラフ化などの単一の表現形式しかサポートし ておらず,対象とするトランスポートプロトコルも固定されている.解析した いデータや事象によって,適切な表現形式は異なるため,可視化する際の ビュー,すなわち表現形式は柔軟に変更可能であるべきである.また,SCTP (Stream Control Transmission Protocol) やDCCP (Datagram Congestion Control Protocol) など,新しいトランスポートプロトコルが標準化されてお り,これらのプロトコルへの対応も必要である. そこで本研究では,トランスポートプロトコルのための可視化ツール(以下,本 ツール)を作成し,その有用性を検証する.本ツールは,以下の三点を必要条件 として開発する.一点目として,プロトコルに応じたビューを提供する.例え ば,TCPであればセグメントのロス,タイムアウトの発生,再送セグメントの送 信タイミングなどが重要な事象であるため,これらを分かりやすく表現する ビューを提供する.二点目として,同一プロトコルに対する複数のビューを提 供する.プロトコルが同じでも,評価対象が変われば適切なビューは異なる. TCPを例にとると,セグメントのロスや再送のタイミングを把握する場合は,セ グメントシーケンスによる情報提示が分かりやすいが,シーケンス番号の増加 量を把握したい場合はグラフを用いた情報提示の要が分かりやすい.三点目と して,複数のトランスポートプロトコルへ対応する.現在の主要な可視化ツー ルはTCPのみをサポートしているが,TCPのみならず,SCTPやDCCPなどのプロト コルにも対応できるように,MVC(Model-View-Controller)モデルを用い,プロ トコル依存の部分とビューの部分を可能な限り分離してツールの作成を行う. ツール作成の第一段階として,解析可能なプロトコルとしてTCPを取り上げる. また,ビューにはセグメントシーケンスを表現する機能を実装する.セグメン トシーケンスを提示するビューは,他のプロトコルへも適応可能であるため, 段階的にSCTPなど他のプロトコルへの対応を進める. 本ツールの主な対象者はトランスポートプロトコルの研究者や開発者である. ただし,本ツールはトランスポートプロトコルを学ぼうとする初学者にも有用 である.パケットの流れを可視化することにより,初学者に対して直感的な理 解を与えることが可能である.また,パケットの送受信の様子を提示すること で,初学者のネットワークに対する興味を促進できると考えられる.


セッション 5I  ユビキタスプラットフォーム(2)(UBI)
日時: 2008年7月10日(木) 10:20 - 12:00
部屋: ビューホール(2)
座長: 和田 雅昭 (はこだて未来大)

5I-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名振動の入出力を行う汎用的な小型デバイスの設計と実装
著者*久保 建太 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻), 竹川 佳成 (神戸大学/自然科学系先端融合研究環重点研究部), 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻), 細見 心一, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院/情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 1211 - 1218
Keywordユビキタスコンピューティング, ウェアラブルコンピューティング, 小型振動デバイス, インターフェース
Abstract近年,情報の秘匿性や視聴覚情報を拡張できるといった利点から,携帯電話やゲーム機のコントローラなど生活の様々な場面で,振動による情報提示が利用されるようになってきている.特に,携帯電話のバイブレーション機能が,ユーザが周囲の環境に及ぼす影響を低減できるため,ユーザに好んで用いられていることなどから,振動による情報提示の有用性を確認できる.以上のような利点から,振動を用いた情報提示の研究は盛んに行われている.従来研究では,マウスと振動子を組み合わせることによるポインティングの補助や,点字の入出力を行うデバイスによりコミュニケーションの支援をするなどの用途への振動の応用が提案されている.筆者らのグループではこれまでにマイコンや振動モータを用いて点字の入出力が行えるデバイスを開発し,振動を用いた新しい情報提示方式を提案した.これらの用途の他にも,環境の振動をセンシングし,振動情報の記録・再現を行うことで,ラジコンの車体の振動をコントローラに伝達し,車体と同じように振動させるといったような,振動の新たな応用が考えられる.しかし,現時点では振動パターンの制御は非常に単純で,あらかじめ設定された数種類程度のパターンを再生するだけであるか,あるいは映像に同期させた振動の開始・終了タイミングの制御を行っているだけであり,振動の伝達や記録・再生を行えるようなデバイスは提案されていない.特に,CGキャラクタの動きに合わせて現実世界を振動させるといったような,振動をメディアアートに用いる際には,複数個配置された振動子毎に振動パターンを記録し,再生するタイミングを同期させることは不可能な状況である. そこで,本研究では振動認識を行うセンサと振動子を搭載し,入出力の制御をマイコンにより行うことで,振動を用いた様々なアプリケーションに利用可能な汎用デバイスを提案する. 提案デバイスでは,振動認識センサが環境の振動やデバイスに与えられた振動を認識し,振動データをデバイス内に記録する.記録された振動データを振動子により再生することで,振動を再現できる.また,記録された振動データを他のデバイスに送信し,他のデバイスが振動データの再生を行うことで,振動の伝達ができる.具体的なアプリケーションの例として,野球のサインなどの秘匿情報を振動で伝達するシステムや,入力された振動のリズムを繰返し再生する振動メトロノームなどが挙げられる.提案デバイスは,デバイス内に入力装置,出力装置,記録装置,入出力制御装置を搭載することで,他のデバイスを用いることなく振動の再現や振動の伝達といった機能が利用できる.さらに,デバイスに特定の振動パターンを入力することでデバイスの動作モードの変更を行える手法を提案する.この手法は,ユビキタスコンピューティングやウェアラブルコンピューティングにおいて,デバイスをあらゆる環境に配置したり,体に装着したりした場合の動作モード切替えに有用である.例えば,ユーザがポケットに入れたデバイスの動作変更を行う際に,従来のようなスイッチやボタンによるモード切替えを使用すると,対象デバイスをポケットから取り出し,押したいスイッチやボタンを視認してから操作を行わなければならない.提案手法を用いることにより,ユーザは特定の振動パターンをポケットの上から入力することでデバイスの操作が行える.加えて,複数の振動子を振動媒体上に並べて振動媒体を振動させることでデバイスの一括制御が実現できる.これにより,各デバイスへの位置情報の付与や,振動の再生を行うタイミングの同期が複雑な制御を必要としない. 振動の入出力制御のパラメータを決定するための実験を行った.まず,ランダムに与えた数種類の振動パターンを,被験者に判別させて振動の認識率を調べた.次に,環境にデバイスを配置した際のデバイスによる振動の認識率を確認するために,振動認識センサを配置したさまざまな媒体に振動を与え,観測される振動データに対する評価を行った.前者の実験から,出力振動パターンのパラメータを適切な値に設定でき,ユーザは感覚的に振動による情報提示を認知できる.また,後者の実験結果をもとに振動認識時に生じる残響振動やノイズを除去するフィルタを製作することで,デバイス間において高精度な振動認識を実現した.

5I-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名小型センサノードのための環境適応型ルール処理エンジン
著者*児玉 賢治 (神戸大学大学院工学研究科), 柳沢 豊 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所), 藤田 直生, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1219 - 1226
Keywordセンサノード, センサネットワーク, ルール, コンコンテキストアウェアネステキストアウェアネス
Abstract近年,小型のセンサノードを実世界中の様々な場所に配置し,実世界で起こったイベントを情報化しようとする研究が盛んに行われている.これにより,多くの実世界の情報をコンピュータが扱えるようになり,今までにないサービスを提供することが可能になる.たとえば,センサノードをユーザや様々な物に取り付けて得られるセンサデータからそれぞれの状況を取得し,ユーザの生活を支援するコンテキストアウェアなサービスを提供するシステムが考えられている. このようなシステムの実現において,センサノードを用いてイベントを取得するために,ルール処理を用いたイベント駆動型のセンサノードの動作方法が提案されている.このルール処理エンジンは,ある設定された条件が満たされるとき,センサノードは設定されたそれに対応する動作を行う.この方式は,センサノードの動作を簡潔に記述できる点や通信量の削減,リアルタイム性などの点に特長がある. しかしながら,イベントを取得するための条件を固定で与えておくと,環境や状況の変化に伴い,予め与えておいた条件ではイベントの検知精度が下がることがある.たとえば,センサノードのバッテリ残量が少なくなり電圧が低下する場合には,バッテリ交換を要求するとともに動作周期を低くして消費電力を抑えたい.この場合,センシングの条件が予め設定したときの条件と異なるため,イベントの検知精度が下がる可能性がある. このような問題を解決する最も簡単な方法は,多くの状況に対応するルールを用意することである.しかし,多くのルールを用意することは小型センサノードのメモリ容量を圧迫し,用意できるルール数が実質的に減少してしまう.これを回避するには状況に合わせてルールを一斉に自動的に書き換える機構を用意する必要がある. そこで本研究では,メタルールと雛形のルールを用いて環境や状況の変化に対応した動作ができる環境適応型のルール処理エンジンを提案する.提案手法では,メタルールを用いて,センサノードの動作を決定するルールの適用条件や,パラメータを更新することで環境や状況の変化への適応を実現する.また,雛形のルールから対応するルールを生成し変化への適応を試みる.そして提案手法の評価のため,著者らが開発しているセンサノードに実装して実験し,その有効性の確認を行う.

5I-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名複数スマート・センサの協調による実世界イベント認識
著者*根岸 佑也, 河口 信夫 (名古屋大学大学院 工学研究科 電子情報システム専攻)
Pagepp. 1227 - 1234
Keywordスマート・センサ, 実世界イベント認識, スマート・オブジェクト構築支援, ユビキタス・コンピューティング
Abstract近年,我々の生活を取り巻く物や家具,建材までに計算機を埋め込み,日常生活の支援および豊かなユーザ体験を可能にするユビキタス環境の実現が期待され,Context-Awarenessや,実世界とデジタル世界とのインタフェースとなるスマート・オブジェクトが盛んに研究されている.ユーザや周囲の状況を取得するデバイスとしては,温度・圧力・加速度センサなどが利用され,それらを集約したMOTEなど小型デバイスも研究されている.特に加速度や環境音をデジタル信号解析する行動認識システムでは,より詳細に状況を認識可能なことがPaul Lukowiczらなど多くの既存研究により示されている.  しかしながら,既存研究の多くはそれぞれのアプリケーションに特化したデバイスやアルゴリズムに焦点を当てたものが多い.実世界のイベントは多種多様であり,個別に対応することは手間である.信号処理に詳しくないユーザにとって,特徴量解析や認識処理の設計は容易ではない.Do-It-Yourselfとして一般ユーザが,信号処理に詳しくない開発者が,環境音認識など用いたスマート環境を手軽に構築したい場合,信号処理プログラミングをすることなく即興的に,それら認識機能をシステムに組み込み可能なことが望ましい.  我々は高度なスマート環境の開発を支援するため,本研究を通じて,信号処理に詳しくないユーザでも,加速度や音を用いた詳細な実世界イベント情報を手軽に取得可能にするスマート・センサの実現を目指している.まず我々は,豊富な情報を含むコンテクスト・メディアの一つである音に着目し,実世界の音イベントを即興的に学習可能な小型・低コストのセンサ・デバイスであるInstant Learning Sound Sensor を提案してきた.このスマート・センサにより,ユーザは認識させたいイベント音を,対象物にマイクとして圧電素子を貼り付け,実演により指示する操作のみによって,対象音をセンサ・デバイスに教え込むことができる.また,1つのデバイスが認識可能なイベントを1,2種類に特化することにより,小型デバイス単体にて音認識処理を実現した.  本稿では,スマート・センサによって認識可能なイベントのさらなる多様化を目的に,複数のスマート・センサを協調させることにより,複数の音イベントを統合し,メタ-イベント情報を抽出する手法を提案する.本研究におけるメタ-イベント情報とは,イベント間の順序性や同時性などの依存関係,空間的な位置関係などの情報を指す.これまで提案してきたスマート・センサは,単一のイベントを検出するに過ぎなかった.しかし,実世界のイベントには,いくつかのイベントの集合によって構成されるメタ-イベントも存在する.複数のスマート・センサからの認識結果を組み合わせることにより,より多様な実世界イベントに対応できると考えられる.依存関係の例として,洗面所をオートメーション化したい場合,蛇口をひねる音の後に歯を磨く音があるかないかでは,ユーザが次に欲しいと思うものはタオルか,水が注がれたコップであるか異なる.位置関係の例として,研究室に入室するユーザを特別な携帯デバイスなしに識別したい場合,下駄箱に靴を入れる音の発生位置に応じて類推することが挙げられる.  本手法では,イベント間の同時性を識別するために,階層型ニューラルネットワークを利用する.イベントの有無を条件とするルールを用いた実現手法もあるが,本研究の対象は音である.そのため,基準パターンとの類似度の分散などを考慮し,単純なルールよる手法は適さないと考えた.各スマート・センサにおける観測信号と認識対象パターンとの類似度を入力層に,出力させたいアクションを出力層に対応付ける.出力層のニューロンの個数は,アクションの数だけ定義する.結合荷重の学習は,事前にユーザにトイベントの組み合わせと対応するアクションを指定してもらい,誤差逆伝播法により行う.  イベント発生源の位置推定は,2つ以上の圧電素子にて観測された音の振幅値の比率と,圧電素子と発生源との距離の比率の関係のモデルを用い,位置を推定する.比率を用いる理由は,ユーザの行動などによって発生した音は,毎回振幅レベルが同じとは限らず,絶対値によるモデル化が難しいためである.センサ2つの組みごとに,観測された振幅値の比率と各位置における存在確率を計算する.モデルは,ユーザが取得したい箇所においてイベントを数回観測することにより,誤差を考慮し構築する.  実際に,実環境より収集した観測音を用いて,同時性の関係を持つメタ-イベント認識と位置推定のシミュレーションを行い,本手法の実現性を確認した.本手法を用いることにより,複数の音イベントの依存関係,音の発生位置を利用したスマート環境の構築支援の実現を期待できる.

5I-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名RFIDタグ・センサの差異を隠蔽するプラットフォームとアプリケーションの提案
著者*石山 慎 (公立はこだて未来大学大学院), 高橋 修, 宮本 衛市 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 1235 - 1242
KeywordRFIDタグ, センサネットワーク, ユビキタス
Abstract 近年では、RFIDタグやセンサなどを利用したシステムが 社会に普及しはじめており、それに伴いRFIDタグ・センサ に関する研究が多数行われている。しかし、これらは個々の製 品をベースとしたものであり、異機種のRFIDタグ・センサ を組合せて利用する研究は殆ど行われていない。ユビキタスネ ットワーキングの基盤となり、種々のアプリケーションから異 機種のRFIDタグ・センサを組合せて統合利用出来る基盤シ ステムを提案する。具体的には、システムの基本アーキテクチャと実現方式、及びプラットフォームのAPIとアプリ ケーションを提案する。また、提案方式に基づきRFIDタグ・センサを用いた試作システムの概要 と、その実証評価結果を報告する。  本システムの基本動作は、各種タグ・センサの情報をPC・PDA などの端末(リーダ・基地局)で取得した後、別途設置された サーバに全ての情報が蓄積され、その情報がサーバに接続され たマシンから使用可能となるというものである。本システムに おいて、各種タグ・センサの情報を取得し、サーバに送信する 部分を「各種タグ・センサ部」、サーバでタグ・センサの情報 を受け取りデータベースに保存する部分、およびサーバに接続 された部分からサーバのデータベース内部の情報を取得する部 分を「ミドルウェア部」、サーバに接続された部分である「ア プリケーションシステム部」、そして、各部分を結ぶ「インタ ーフェース部」とする。本システムの特長としては、複数のR FIDタグ・センサネットワークが統合されているため、位置 情報・気温・光度・震動など様々な情報の取得が可能となるこ と、またRFIDタグ・センサを複数箇所に設置した場合でも 、それぞれの場所の情報が取得可能になることの二つがあげら れる。  本研究では本システムを構成する、各種タグ・センサ部、ミ ドルウェア部、インターフェース部の検討を行った。各種タグ ・センサ部では、RFIDタグ・センサ情報取得機能とRFI Dタグ・センサの配置方法について、ミドルウェア部ではRF IDタグ・センサ情報の統一・管理機能、データベース構造、 RFIDタグ・センサの取得地点確定方法、およびデータベー スからのデータ取得方法について、インターフェース部では各 部間のデータ通信機能についてそれぞれ検討を行い、検討に基 づき試作システムを構築した。  試作システムでは、アクティブタグであるSpiderV、パッシ ブタグであるV720、センサであるMOTEが組み込まれており、そ れらから情報を取得可能となっている。また、情報を蓄積する サーバ内部には、RFIDタグ・センサ情報を蓄積するための データベース、そのデータベースにアクセスするためのミドル ウェア、そして本システム利用者を支援するためのAPIが実 装されている。このうち、SpiderVとMOTEからの情報取得にはPC を用い、V720からの情報取得にはPDAを用いている。また、ミ ドルウェアはPHPで、データベースはMYSQLで構築されている。 実装したAPIには、サーバに設置されたデータベースからの データ取得を行うAPIとデータベースを管理するAPIがあ る。データ取得の際に用いるキーとなる値は、位置情報・時間 ・IDといった値があげられる。これらのAPIは、既存のアプリケーションを調査・分類し、アプリケーションに 必要な機能を検討した上で設計しており、様々なアプリケーション開発に用いることが可能であると言える。  試作システムの評価実験として、今後データ取得時間・デー タ取得精度といった性能評価と、システム用のテストアプリケ ーションを用いたシステムの評価を行った。  今後の拡張としては、セキュリティの実装、APIの拡張が 考えられる。前者は、現状のシステムではセキュリティは考慮 していないものの、RFIDタグ・センサで扱うことのできる 情報は人のプライバシーに関わるものが多いため、情報保護の 観点から、漏洩を防ぐ必要がある。後者は、今回提案したアプ リケーションを本プラットフォームで動作させる場合に、足り ない機能が有ることが発覚したため、それを補うためにAPI の拡張が必要であると考えられる。


セッション 6A  ネットワーク・セキュリティ(CSEC)
日時: 2008年7月10日(木) 13:50 - 16:00
部屋: ポラリス
座長: 竹森 敬祐 (KDDI研究所)

6A-1 (時間: 13:50 - 14:15)
題名ホストベース通信監視システムにおけるログ情報収集方式
著者*稲井 俊介, 白石 善明 (名古屋工業大学), 福田 洋治 (愛知教育大学), 溝渕 昭二 (近畿大学), 毛利 公美 (岐阜大学)
Pagepp. 1243 - 1251
Keywordネットワーク監視, 分散ログ保存, データ収集方式, セッション情報要約
Abstractシステムが出力するログ情報は,機器やその利用者の状態,挙動を知る上で欠かすことのできない情報である.効率的なログ情報の収集や保存,管理の技術は,システムを安定的かつ効果的に運用するために重要である.通信のログ情報を用いて通信監視を行う製品では,ネットワーク上のLANの出入り口やセグメントごとに設置されたルータのところに,専用ハードウェア(以下,プローブと呼ぶ)が設置されている.プローブが設置されたルータを通過する通信パケットだけが取得されるため,セグメント内のホスト同士の通信のログ情報の取得は困難である.我々は,監視対象のネットワークにおいて既存製品では取得が困難であった通信パケットをすべて取得し,ホスト同士の通信の詳細を把握することを目指している.本論文では,監視対象ホストにおいて通信のすべて記録するという新しい監視モデルを想定して,そこで考えられる課題のうち,各ホストごとの通信ログの集約に注目し,ログ情報の収集の一方式を提案する.

6A-2 (時間: 14:15 - 14:40)
題名Evanescent Blacklisting for Automated Network Attack Mitigation
著者*Erwan Le Malecot (Kyushu University), Pascal Jinkoji (Supelec), Yoshiaki Hori, Kouichi Sakurai (Kyushu University)
Pagepp. 1252 - 1257
KeywordBlacklist, Firewall, Network, Security, Mitigation
Abstract1. Abstract With a skyrocketing number of proposed services, TCP/IP networks have been adopted by numerous organizations as part of their infrastructure. Unfortunately, that diffusion quickly attracted the attention of malicious people and as a result, TCP/IP networks are now facing a massive and incessant flow of attacks. A large portion of this flow is generated by automated processes such as scanning tools and worms. To counter those attacks, system administrators usually rely on Intrusion Detection Systems (IDSs) coupled up with the blacklisting of offensive hosts. However, that approach is showing its limits with the multiplication and dissemination of the attackers. In this paper, we propose to adapt current mitigation techniques to those new traits of attackers by associating a fading mechanism to blacklists. 2. Background In order to cope with network attacks, system administrators use active devices, typically firewalls. A firewall is a device that inspects the traffic exchanged by specified networks and, denies or allows the associated packets to pass based on a set of rules. The rules match selected packet attributes and specify the actions to perform in case of successful matches. Thus, by applying intrusion detection techniques, system administrators can gather lists of IP addresses corresponding to malicious hosts and then use firewalls to deny further traffic coming from those hosts (i.e. blacklisting). Still, this approach is showing its limits: IP addresses are increasingly assigned dynamically and reassigned frequently, attackers can forge suspicious packets seemingly coming from genuine hosts (i.e. spoofing), or simply can control many hosts (i.e. botnets). Consequently, blacklists should frequently be purged to avoid being overloaded by outdated information, and more importantly, to avoid denying access to previously spoofed genuine hosts. But, concurrently, attackers can also slow down their packet emission rate to try to evade such blacklisting mechanisms. 3. Evanescent Blacklisting Scheme System administrators are then confronted with contradictory directives as mitigating such slow attacks would require long term blacklisting, which is quite incompatible with the previously mentioned constraints. To deal with that rising conflict, we propose an original blacklisting scheme based on the use of random packet dropping as a way of penalizing initially blacklisted IP addresses while providing (mistakenly judged) genuine hosts a chance to pass traffic through the regulating system. The percentage of random packet dropping associated with an IP address, flagged by the system as potentially malicious, is to decrease progressively from 100% to finally become null after a specified amount of time. So a flagged IP address goes through several statuses, from fully banned to fully trusted again. If an IP address happens to be continuously sending malicious traffic, it is to be kept as untrusted, and thus will be continuously penalized. 4. Leads In order to validate the proposed approach and experimentally determine several required parameters, we started to implement our scheme using several Commercial Off-The-Shelf (COTS) firewalling frameworks. The initial testing results are really encouraging so we plan to polish our prototype to finally deploy it on a live network portion.

6A-3 (時間: 14:40 - 15:05)
題名IPSec通信が可能なアドレス変換によるIPv6機器の位置透過なアクセス手法
著者*黒木 秀和 (ユビテック ユビキタス研究所/静岡大学創造科学技術大学院), 井上 博之 (広島市立大学大学院情報科学研究科), 荻野 司 (ユビテック), 石原 進 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1258 - 1265
Keyword機器管理, 固定アドレス, アドレス変換, IPv6, IPSec
Abstract近年,IP通信機能が搭載された情報家電やセンサデバイスなどの機器が製品化されている.これらの機器は,機器ユーザのネットワークに対応したアドレスが付与されるが,つねに同一のIPアドレスでこれらの機器と通信できれば,遠隔から機器の保守,操作,監視を行うことが容易になる.筆者らは,双方向のアドレス変換機構を持つアドレス変換装置を用い,固定のIPv6アドレスを用いた機器と他ノードの通信を可能とする手法LTA6を提案している.しかし,この手法では,機器の保守,操作,監視を行う端末と機器の間でIPSec通信ができないという問題があった.本稿では,これらの間のIPSec通信を可能とするアドレス割当て手法を提案する.本手法では,アドレス変換の前後でICMPv6,TCP,UDPヘッダ内に含まれるチェックサムに変更が生じないように動的なアドレスを割当てることで,IPSec通信を可能にしている.また,チェックサムの書き換えを不要とすることで,アドレス変換装置の処理負荷の低減を可能にしている.

6A-4 (時間: 15:05 - 15:30)
題名セキュアマルチキャストの通信量効率化
著者*伊藤 隆, 米田 健 (三菱電機株式会社 情報技術総合研究所)
Pagepp. 1266 - 1269
Keyword鍵管理, 放送型暗号, マルチキャスト, Subset Cover

6A-5 (時間: 15:30 - 15:55)
題名構成証明機能を持つ車内通信プロトコルの提案
著者*吉岡 顕, 小熊 寿, 西川 真 (トヨタIT開発センター), 繁富 利恵, 大塚 玲, 今井 秀樹 (産業技術総合研究所情報セキュリティ研究センター)
Pagepp. 1270 - 1275
Keyword車載システム, セキュリティ, プロトコル, 構成証明
Abstract1.序 近年,車両内の構成部品について電子制御対象となるものの増加, それらをつなぐ通信部分について標準化されたネットワーク技術の 導入がすすみ,車両内LANは一般のオフィスや家庭にあるLANと類似 した形態となってきた. また,ITS業界では,車車間通信機能の全車両への搭載とそれを 用いた交通事故低減アプリケーションが議論されている.これは, 各車両が自車の位置,速度等の状態情報を周囲にブロードキャスト し,それによってある車両は周囲の車両の今後の動きを予測できる ことから,衝突事故の可能性がある場合に,注意喚起,警告あるい は介入的に制御することで,事故の低減をねらうものである. このため,悪意ある者が誤った情報を車車間通信で送出すること で交通を麻痺させるようなことが可能となる.言い換えれば,車は 社会を支えるインフラの一部となったということであり,電力網, 鉄道制御といった SCADA システムと同様のセキュリティを求められ る. これを実現するには,車両内に搭載されネットワーク化されるコン ピュータノード(車載器あるいは ECUと呼ぶ.本稿では,以下 ECU と記す)が正しい意図したプログラムで動作していることを保証す る仕組み,すなわち構成証明が必要となる.しかしながら,車両内 に搭載される ECU は,一般のPC 等に比べ低リソースなものである ため,そこで利用されている構成証明の方式をそのまま利用するこ とはできない. このような背景から,本稿では,低リソースな多数のノード + ややリソースを持つ少数のノードがネットワーク化されている という条件において, それら全体が協調して構成証明を実現する ためのノード間での認証 (Attestation) 方式を提案する. 2.必要機能 提案方式では,下記の基本機能を実現する. ・車内LANにおいて各 ECU は,ソフトウェア構成が許可された版で あることが確認された ECU とのみ,通信可能となる ・各 ECU 間通信における改竄防止 ・車両においては,修理により ECU そのものの交換,各 ECU に おいて搭載プログラムをより新しい版への交換の可能性があり, これらの出荷後の変更に対しても正しく ECU の構成が認証され る 前2項により,車両状態を測定するセンサー部から通信によるデー タの移動,ECU における加工,車車間通信による発信という全ての フェーズにおいて,改竄できる可能性を回避できる. 3.提案手法の概要 まず,車両内で Attestation を専門に行う Attestation Master ECU (以下単に Master ECU と記す) を新規に導入する.Master ECU は 予め信頼できるセンターとの通信により,自車両に搭載される可能 性のある全ノードの種別とプログラムの版に関するデータベースを 持つ.各ノードは,起動時に自搭載プログラムのハッシュ値を Master ECU に報告し,Master ECU は保有データベースを参照し,それが 許可された版のものであるかを確認する.確認された場合のみ,当 該ノードに対し,Attestation Token を発行する.各送信ノードは, 他ノードとの通信に際し全通信パケットにおいて Attestation Token をつけ,各受信ノードは Attestation Token を確認できた場合のみ その通信内容を受理する. 4.プロトタイプ試作による評価 プロトタイプ試作により, ・3章で提案した手法が2章で述べた機能を満たしていること ・一般に普及している TPM チップを用いた構成証明に比べ,同一 CPU でおよそ 100 倍高速であること,言い換えると 100 分の1 の低リソースな ECU でも同等機能を実現できること を確認した.


セッション 6B  チャット・掲示板(GN)
日時: 2008年7月10日(木) 13:50 - 16:00
部屋: ベガ
座長: 大平 雅雄 (奈良先端大)

6B-1 (時間: 13:50 - 14:15)
題名リアルタイム遠隔コミュニケーションにおける対人許容レスポンス時間の評価
著者*宮部 真衣 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 1276 - 1283
Keyword協調基礎, コミュニケーション支援, リアルタイム遠隔コミュニケーション, レスポンス時間, アウェアネス情報
Abstract近年,世界規模のインターネットの普及により,ネットワークを介したコミュニケーションの機会が増加し,電子メール,掲示板,チャットなどの様々なツールが利用されている.コンピュータを介したテキストベースのコミュニケーションでは,メッセージを入力,作成する必要がある.しかし,メッセージ作成の長時間化は,円滑なコミュニケーションを妨げる.この問題が顕著となるのが,リアルタイムコミュニケーションである.コミュニケーションを円滑に行うためには,相手が許容できる時間内にメッセージ作成を終える必要がある.これまでに,システムの応答時間に関する人間の許容レスポンス時間については明らかにされている.しかし,システムを介した対人リアルタイムコミュニケーションにおいて,相手の応答をどれだけ待つことができるのかについては明らかにされていない.本研究では,リアルタイム遠隔コミュニケーションにおける対人許容レスポンス時間の評価を行う.評価実験より,以下の知見を得た. (1)対人許容レスポンス時間は,平均で1分51秒であった. (2)対話の序盤においてアウェアネス情報を提示するという条件下において,対人許容レスポンス時間は平均2分35秒であり, アウェアネス情報の提示により,対人許容レスポンス時間が長くなる可能性が高い. (3)対話の経過時間は,対人許容レスポンス時間に対して大きな影響を及ぼさない可能性が高い.

6B-2 (時間: 14:15 - 14:40)
題名機械翻訳テキストおよび画像の注釈を用いた異文化間コミュニケーション支援の効果
著者*吉野 孝 (和歌山大学システム工学部/情報通信研究機構言語グリッドプロジェクト), 藤井 薫和 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 重信 智宏 (情報通信研究機構言語グリッドプロジェクト)
Pagepp. 1284 - 1293
Keywordコミュニケーション支援, 協調基礎 , 機械翻訳, 異文化, アノテーション
Abstract異文化間コミュニケーションにおいては,言語や文化の違いは大きな障壁である.とくに文化の違いを克服するための方法として,本研究では,意味情報の共有に着目し,語句へのアノテーション(注釈)付与機能を持つチャットシステムを提案する.チャット中に手動でアノテーションを付与することは,ユーザの負担が大きくなることから,自動的にチャットメッセージからアノテーション付与語句を抽出し,アノテーションコンテンツとなる画像および文章をWebから自動獲得するシステムを開発した.開発したシステムを,日本人学生と外国人留学生の間での異文化間コミュニケーションに適用し,提案手法の評価を行ったところ,以下の評価を得た.(1) アノテーションの語句について,話し手と聞き手の付与に関する意見が一致する対象は,文化独特の事象を表す語句であった.また,話し手と聞き手の付与に関する意見が一致しない語句について,それぞれの文化で多様なイメージがある場合,両者でイメージを共有するためにアノテーションが重要な役割を果たすと推測される.(2) 自動獲得機能で得られるアノテーションコンテンツは,画像に関しては現在の手法がおおむね良好な評価を得たが,文章に関しては翻訳精度が影響するため,対案として提案した``受信者側の言語で作られたコンテンツ''が最も高い評価を受けており,自動獲得の精度向上に対する改良の余地がある.

6B-3 (時間: 14:40 - 15:05)
題名絵文字チャットコミュニケータIIの開発と適用
著者福田 太郎, Binti Mohd Yatid Moonyati , 橋崎 裕人, 伊藤 淳子, *宗森 純 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 1294 - 1301
Keyword絵文字, チャット, 異文化コミュニケーション, PC, 履歴タブ
Abstract  1.はじめに  現在、チャットやインスタントメッセージといったテキスト形式でのコミュニケーションが普及している。しかし、言語の異なる人同士においてテキスト形式での会話は言語の違いが壁となる。また、習得するにも時間が掛かり手軽にできるものではない。そこで感情や微妙なニュアンスを伝えることのできる絵文字に注目した。絵文字はテキスト形式での会話を行う場合、主にテキストでは伝えきれないニュアンス等の補足や感情の強調といった、あくまで補助的な役割で使用される。しかし、本システムでは絵文字のみでのコミュニケーションの実現を目指した。絵文字の場合、その絵が何を表しているか知っていればコミュニケーションをとることは可能だと考えた。今回作成した絵文字チャットコミュニケータ?は「どのように文章を作ってよいかわからない」や「目的の絵文字を探すのに時間が掛かる」といった既存のシステムの問題点を履歴タブの作成、入力フィールドでの絵文字の削除方法の変更、過去の会話からの予測入力という方法での解決を目指す。これにより目的の絵文字を探し、文章を作成する時間の短縮や円滑に会話が進めることを目標にした。また、本システムは異なる言語の人同士のコミュニケーションを考えているので、基本的にテキストを一切用いないものを目指す。 2.絵文字チャットコミュニケータII  本システムの概要を示す。 (1)VAIO type U上での実行  本システムはSONYのVAIO type UのVGN-UX90PS上で実行させるためにいくつかの特徴がある。画面を直接タッチして操作するので、押し間違えが起こりにくいよう、本システムの絵文字の大きさを54px×54px、VAIO-U上で約5mm×5mmで表示されるようにした。また、キーボードが小さくキーが押しにくいためキー入力をしない設計とした。 (2)絵文字の種類  絵文字は550種類用いた. (3)絵文字の選択方法  絵文字選択画面では、タブによりどこにどの絵文字があるか分かりやすいように分類し、また最近使用した絵文字を選択できるタブ(履歴タブ)を作成した。 (4)絵文字の追加方法  チャットはスムーズにメッセージを入力し、情報交換できることが重要である。そのためにVAIO-Uの特徴であるタッチパネルを利用し絵文字を直接クリックすることで選択できることで また、絵文字の削除もより直感的に行えるよう考慮した。 3.実験  被験者の組み合わせは、留学生(中国人2名,マレイシア人1名,インドネシア人1名)と日本人学生の4組で行った。実験前に被験者には絵文字の追加や消去などシステムの使い方のみ説明し、絵文字の意味については説明していない。実験はLANで結ばれた2台のPCを用いて30分間行った。実験終了後、被験者には自分の発言と相手の発言について全て意味を書き留めていってもらった。  30分間で入力された絵文字の行数は平均29行(36行,23行,13行,42行)である。また,理解度の平均は83%(79%,94%,70%,88%)である.履歴タブの使用は平均24%(21%,30%,9%,36%)であった。  履歴タブの使われ方を考察する。履歴タブは、直前の相手の内容や相手のアイコン、「?」といった良く使われるものを選択するのに非常に有効だったと考えられる。特に普段行わない絵文字の会話においては、「○○は好きですか?」といった簡単なやりとりが会話のきっかけに使用されることが多いことから、絵文字では「?」や「ハート」が使われることが多い。このように質問や同じような話題が続く実験では履歴タブの使用が増えたと、割合から考えられる。また、相手の発言の意味が理解できずに聞き返すといった場合にも有効であると考えられる。絵文字を入力した個数と履歴タブの使用頻度から、絵文字を多く入力した被験者の方が履歴タブを多く使用しているという結果となったが、履歴タブ表示されている絵文字を必ずしも履歴タブから選んでいるというわけでもないこともわかった。 4.おわりに  適用実験で得た絵文字の入力個数と履歴タブの使用頻度、実験後のアンケートの結果から以下のことが分かった。 (1)30分で入力された文章が平均29行となった。 (2)平均の理解度が83%となった。 (3)履歴タブは入力された絵文字の中で、平均24%使用された。 (4)履歴タブは絵文字の行数が増えてくると使用頻度が高くなる。 (5)使いやすくするためには、カテゴリ分けと絵文字の整理が必要である。  今後は実験結果を踏まえてシステムを改良するとともに、外国等で実験を行い、その効果を検証する。

6B-4 (時間: 15:05 - 15:30)
題名対話フレーズによる検索情報を自動付与するチャットシステム「GaChat」
著者*堀口 悟史 (慶応義塾大学大学院 理工学研究科 開放環境科学専攻), 井上 亮文, 星 徹 (東京工科大学 コンピュータサイエンス学部), 岡田 謙一 (慶応義塾大学理工学部 情報工学科)
Pagepp. 1302 - 1307
Keywordチャット, インスタントメッセンジャー, テキストコミュニケーション
Abstractテキストチャットは手軽に利用されている。 しかし会話のニュアンスや相手の理解度が伝わらないため、冗長な やりとりが発生しがちである。 本論文ではチャットの会話内容に関連する情報を会話テキストに同 期表示させるシステム「GaChat」を提案する。 GaChatでは会話テキストを解析し、その中の固有名詞に対してオン ラインの画像情報と百科事典の記事情報を付与して表示する。 任意の語句に対する意味を明示的に固定・統一することで、未知の 用語に対する検索活動や知識すりあわせといった冗長なコミュニケーションの 削減が期待できる。 本稿ではプロトタイプの実装と最初の基礎的評価について述べる。

6B-5 (時間: 15:30 - 15:55)
題名ネット掲示板の議論の盛り上がりと参照関係の可視化
著者*塩澤 秀和, 中山 博文 (玉川大学工学部)
Pagepp. 1308 - 1315
Keywordネット掲示板, 情報可視化, ネットワークサービス, 2ちゃんねる
Abstract【1 はじめに】 インターネットにおける掲示板サイトは日本においては特に盛んであり、日々膨大な情報がやり取りされている。このようなネット掲示板は、玉石混交の情報が飛び交っているが、多くの人が議論に参加し議論が盛り上がっている状態には、価値のある情報が含まれている可能性が高いと考えられる。しかし、通常の掲示板のインタフェースでは、メッセージを順々に読んで議論の盛り上がっている状態を探し出すのは非常に時間がかかる。そこで、本研究ではネット掲示板の議論の盛り上がりとメッセージの参照関係を可視化するソフトウェアを提案する。 現在のところ試作したソフトウェアは、日本最大(おそらく世界最大)の掲示板サイトである「2ちゃんねる」を対象としている。2ちゃんねるは様々な話題を扱う多数の掲示板の集合である。各掲示板には議論のテーマごとにスレッドが作られ、各スレッドにはユーザから投稿されたメッセージが1から最大1000までシーケンシャルに表示される。 【2 関連研究】 ネット掲示板の盛り上がりについては、2ちゃんねるのログを分析した松村ら[1]の研究がある。松村らは2ちゃんねるの全掲示板のデータを収集し、1メッセージあたりのサイズ、1スレッドあたりのメッセージ数、1メッセージあたりの返信数、1スレッドあたりのアスキーアート(文字絵)のサイズ、などの8つの指標によって定量化し、2ちゃんねるの各カテゴリの傾向を定量的にモデル化した。 また、ネット掲示板のスレッドごとの議論の盛り上がりを可視化するソフトウェアには、2ちゃんねる型掲示板用のブラウザV2C[2]がある。V2Cは、横軸を時間、縦軸を累積メッセージ数として、スレッドを折れ線グラフでプロットする。このグラフでは、傾きが単位時間あたりのメッセージ数(スレッドの“勢い”)を表すことになる。 ネット掲示板とは直接関係ないが、本研究で参考にしたものに、Thread Arcs[3]がある。これはシーケンシャルに並んだメッセージの関係を可視化する手法であり、個人のメールボックスの中の電子メールの返信関係を可視化する手法として提案された。これは、メッセージの返信元と返信先を弧(半円)でつなぐことによって、ツリー表示などの2次元的な配置を用いずに、1次元配置のままでメッセージの返信関係を可視化するものである。 【3 試作したソフトウェア】 本研究では2章で紹介した研究を参考にして、ネット掲示板の議論の盛り上がりとメッセージの参照関係を可視化するソフトウェアを試作した。基本的な表示としては、横軸を時間、縦軸を書きこみ数としたグラフによる可視化を用いた。これはV2Cと同様である。これにより、グラフの傾きが議論の盛り上がりを表すことになり、傾きが大きければ議論が盛り上がっている状態、傾きが小さければ議論が盛り上がっていない状態を表すことになる。 また、個々のメッセージの情報量の目安を示すため、各メッセージの全文字数と、同じく記号を除いた文字数を、グラフ上のプロット位置から上に伸びる小さな棒グラフで示した。全文字数と記号を除いた文字数の差は、多くの場合アスキーアートと呼ばれる文字絵の部分を示すことになる。松村らは辞書を用いてアスキーアートをメッセージサイズから除去しているが、メッセージごとの可視化としては本手法で十分であろう。 さらに、このグラフ上でThread Arcsの手法を応用し、メッセージの返信関係を返信先と返信元を結ぶ半円の弧で表示することにより、対話的な議論の盛り上がりの様子が分かるようにした。Thread Arcsは1次元上に配置できる手法であるため、折れ線グラフ上に付加的な情報としてプロット点同士のつながりを可視化することが可能になった。上述のメッセージの文字数の可視化と重ならないように、弧は折れ線グラフの下側に表示する。 また、スレッドごとの経過表示では盛り上がりの分析に限界があると考え、1日のそれぞれの時間帯における掲示板サイト全体の平均メッセージ数(≒アクセス人口)を取得して、個々のスレッドと比較表示することも行った。このために、数週間にわたり2ちゃんねるのデータを約20GB収集し、1スレッドあたりの10分間での平均メッセージ数を算出した。 【参考文献】 [1] 松村真宏他: 2ちゃんねるが盛り上がるダイナミズム, 情報処理学会論文誌 Vol.45, No.3, pp. 1053-1061, 2004年3月. [2] n|a氏: Java+Swingによる2chブラウザV2C, http://v2c.s50.xrea.com/, 2004年3月〜. [3] B. Kerr: THREAD ARCS: An Email Thread Visualization, Proc. IEEE InfoVis 2003, pp. 211-218, 2003.


セッション 6C  グループホーム・センサ活用(GN)
日時: 2008年7月10日(木) 13:50 - 16:00
部屋: シリウス
座長: 岡本 昌之 (東芝)

6C-1 (時間: 13:50 - 14:15)
題名アウェア技術を駆使した見守り中心の介護支援システムの研究
著者*國藤 進, 金井 秀明, 藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学), 中田 豊久 (新潟国際情報大学), 高塚 亮三, 三浦 元喜 (北陸先端科学技術大学院大学), 加藤 直孝 (石川県工業試験場), 山口 聖哉 (富士通北陸システムズ), 伊藤 禎宣 (東京農工大学大学院), 小柴 等 (国立情報学研究所)
Pagepp. 1316 - 1322
Keywordアウェアネス, 介護支援システム, 認知症高齢者, 位置情報, 見守り
Abstract文部科学省知的クラスター創成事業金沢地域における5ヵ年プロジェクト「アウェアホームのためのアウェア技術の開発研究」における最終年度の研究開発の現状と課題について述べる.グループホームの介護者の負担軽減を目的とし,そこに入居する認知症高齢者のためアウェア技術を駆使した“見守り”介護支援システムの研究開発と実証実験が前進した.またスリッパで入居者の室内位置を知るRFIDマットシステムなどの研究が進展し,見守り介護支援システムとの統合を試みている.

6C-2 (時間: 14:15 - 14:40)
題名音によるグループホームにおける入居者の状況把握支援システム
著者*金井 秀明 (北陸先端科学技術大学院大学知識科学教育研究センター), 中田 豊久 (新潟国際情報大学情報文化学部情報システム学科), 半場 雄介 (リコーソフトウエア(株) ソリューション事業部), 國藤 進 (北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科)
Pagepp. 1323 - 1328
Keywordアウェアネス, ambient notification system
Abstract目的: グループホーム(認知症対応型共同生活介護施設)において,介護者が入居者の状況を常に把握する必要がある.入居者のプライバシの観点から,各部屋にビデオカメラ等を用いて視覚的に,入居者の状況を把握することはできない.我々は,ビデオカメラ等の視覚情報を用いずに,推定した状況に応じた音によって,グループホームでの入居者の状況把握を支援するシステムを提案する. メソッド:  この研究で,我々は,ビデオカメラ等の視覚情報を用いずに,グループホームでの入居者の状況把握を支援するシステムを提案する.提案するシステムでは,入居者の行動を予測し,その予測した行動を表す効果音を用いて,入居者の状況を介護者等に通知する.システムは,2つのユニット(状況推定部と通知部)からなる.状況推定部は,各種のセンサ情報を入力にしたベイジアンネットによって,入居者の状況を推定する.通知部は,推定した状況をその状況を代表する効果音によって,介護者等に知らせる.その際,推定した状況の確信度に応じて効果音にノイズをのせ,通知した状況をその確信度を含めて,介護者等に知らせる. 結果: グループホームでの実験を行う初期段階として,我々の実験室で,提案システムの各ユニットの動作や性能実験を行った. 状況推定部では,約90%の割合で,被験者の状況を推定できた.通知部では,選択した効果音によって,受信者が推定した状況を音で把握できる割合は,実験に用いた効果音によって,大きなばらつきがあった.したがって,利用する効果音の選択が重要であることがわかった.また,推定した状況の確信度に応じた効果音へのノイズの効果は,テレビ等の日常的な雑音がある場合には,ノイズをのせない場合に比べ,効果があった.しかし,深夜のような静かな環境では,ノイズによる効果はなかった.そのため,環境に応じてノイズの利用は考慮する必要がある. 結論: 結果で述べたように,提案システムは状況をモニタリングする点で有効であった.今後は,実際のグループホームでの実験のために,構築したシステムの改良を行っていく.

6C-3 (時間: 14:40 - 15:05)
題名グループホームにおける介護者支援のためのRFIDマットシステム
著者*三浦 元喜 (北陸先端科学技術大学院大学), 伊藤 禎宣 (東京農工大学), 高塚 亮三, 國藤 進 (北陸先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1329 - 1335
Keyword認知症高齢者介護, RFID, アウェアネス
Abstract我々はグループホームにおいて認知症高齢者介護を行う介護者を支援するため,RFIDアンテナを利用したマットシステムを構築し,実際のグループホームに導入して実験を行っている.介護者は個々の入居者の行動に常に気を配りつつ,個人にあわせた対応と介助を行う必要があるが,介護士の人数が少ないことから,特に夜間は介護士一人で6〜9 名の入居者に対応する必要があるなど,負担が多くなりがちである.提案システムはスリッパに埋め込まれたパッシブRFIDタグをマットが読み取ることにより,誰がいつ,どこに居たかを記録するとともに,必要に応じて介護者に音声で通知を行う.介護者が他の入居者に対応している間など,どうしても状況把握が困難な状況において,システムを用いることによりあとから状況を理解することができる.またそれぞれの入居者の夜間におけるトイレ利用回数や,1日の行動量(移動量)といったデータを蓄積することができ,介護記録を付ける際の参考とすることができる.

6C-4 (時間: 15:05 - 15:30)
題名ファイル管理機能を強化した戸下通信システムの実装と評価
著者山田 翔 (岩手県立大学 ソフトウェア情報学部), *川田 剛志, 藤原 康宏, 齊藤 義仰, 村山 優子 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 1336 - 1343
Keyword戸口通信, グループウェア, アクセス制御, システム評価
Abstract実世界における「戸」は,部屋の入り口としての役割の他に,部屋を訪れる訪問者と部屋の住人との様々な情報交換の媒体としての役割を持つ.本研究では,戸をメタファとしたコミュニケーションを戸口通信と定義し,ネットワーク上で戸口通信を行うシステムを構築してきた.本稿では,戸の下から書類を差し入れるコミュニケーション方法に着目し,ネットワーク上で実現するためのシステム設計と実装,評価について報告する.

6C-5 (時間: 15:30 - 15:55)
題名文献講読履歴を利用した研究支援
著者*鍵福 雅世 (東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科コンピュータサイエンス専攻), 井上 亮文, 星 徹 (東京工科大学コンピュータサイエンス学部)
Pagepp. 1344 - 1349
Keyword知的生産, 研究活動支援
Abstract研究活動では,研究者は参照文献として挙げたもの以外にも様々な文献を講読する.そのような潜在的な文献や活動は,研究者の試行錯誤の過程を含んでおり,他の研究者が新しいアイデアを考え付くのに役立つと考えられる.本論文では,文献に関わる様々な履歴を利用した研究活動支援システムを提案する.提案システムでは,講読した文献の明示・暗示的な情報が共有データベースへ登録される.蓄積されたデータは時系列順に整理され,一覧表やグラフなど様々な形で他者に提示される.システムのプロトタイプを開発し,履歴の登録・提示機能について検討した結果,意識せずに履歴を記録できる仕組みや,履歴の流れをより詳しく把握できる仕組みが必要であることがわかった.


セッション 6D  放送コンピューティング(BCC)
日時: 2008年7月10日(木) 13:50 - 16:00
部屋: ペガサス
座長: 長谷川 輝之 (KDDI研究所)

6D-1 (時間: 13:50 - 14:15)
題名動的な遠近感を演出する香りのパルス射出提示手法
著者*大津 香織, 門脇 亜美, 佐藤 淳太 (慶應義塾大学理工学部), 坂内 祐一 (キヤノン), 岡田 謙一 (慶應義塾大学理工学部)
Pagepp. 1350 - 1357
Keyword嗅覚情報, パルス射出, 嗅覚ディスプレイ, 呼吸同期, 遠近感
Abstract他のメディアと共に香りを用いる場合には,時間に伴って変化する映像や音声の動きに合わせて香りの提示を制御する必要がある.特に映画のシーンでは,映像に適合した香りを配信することによりさらに臨場感が高まると考えられる.しかし,これまでは残り香や順応の影響により細かな射出制御ができず,香りで動きを演出することが不可能であった.そこで我々は,微小時間の香り提示であるパルス射出を用いてこれらの問題にアプローチし,動きのある映像や音声に同期して動的な遠近感を演出する香りの提示手法の構築を目指した.その際,人間の香りの感じ方に着目し,パルス射出に対する嗅覚特性を主観評価により測定した.その結果,香料の使用射出量を2 倍系列に設定することにより誰もが遠近を感知できること,また射出量を2 呼吸ずつ段階的に変化させて香りを提示することで動的な遠近感を感じることができると分かった.評価実験により,本提案手法は,動的な遠近演出を可能とするものであることが示された.映像や音声に香りを付加する際,この提案手法を用いることによってメディア間の同期が容易になると期待される.

6D-2 (時間: 14:15 - 14:40)
題名ラジオとWWWのメディア連携
著者*糸賀 優樹, 村田 嘉利, 高山 毅, 佐藤 永欣 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部), 佐藤 大誠 (株式会社セントラル情報センター), 堀口 賞一 (NTTドコモ サービス&ソリューション開発部)
Pagepp. 1358 - 1365
Keywordラジオ, Web, 放送連携
Abstractラジオ,特にコミュニティFMは,FMピッカラが新潟県中越沖地震の際に地元向けに震災関係情報を流して活躍したように,地域に根ざしたコミュニケーション手段として有効である.しかし,広告収入の落ち込みから2/3の局が赤字とも言われている.ラジオの再活性化のためには,新たな表現機能の追加が有効と考えられる.ラジオは,表現機能としては聴覚情報に限られているが,多くの人が時間と情報を共有する点で優れているといえる.その一方,インターネットは表現できる機能は多彩であるが,個々の人がアクセスしに行くPULL型の情報形式である.本論文では,ラジオからWebサイトへのアクセスをコントロールすることにより,ラジオに視覚情報を付加した新たな同報メディアを提案する.また,システムの開発を行い,主観評価したので報告する.

6D-3 (時間: 14:40 - 15:05)
題名視聴者主導型インターネット放送システムの提案
著者*齊藤 義仰, 磯貝 佳輝, 村山 優子 (岩手県立大学 ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 1366 - 1371
Keywordインターネット放送, 視聴者主導, AdlivTV
Abstract 本稿では,視聴者を中心として放送を構成することができる視聴者主導型インターネット放送システムについて提案し,プロトタイプシステムの設計と実装を行う.プロトタイプシステムではチャットによるコミュニケーションの他に,視聴者が放送者の画面上に数種類の意味をもつアイコンを表示させることができ,放送者に対して「ここを撮ってほしい」「あれをやってほしい」といった要求ができる.放送者はその要求に応えることで,視聴者にとって魅力的な放送を提供することができる.放送実験により,視聴者主導のインターネット放送では,従来型の放送と比べ,視聴者が長時間にわたり継続して放送を見続ける傾向があることがわかった.

6D-4 (時間: 15:05 - 15:30)
題名視聴者からの能動的な入力情報を用いたダイジェスト動画自動生成手法に関する検討
著者*磯貝 佳輝, 齊藤 義仰, 村山 優子 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 1372 - 1377
Keywordインターネット放送, ダイジェスト生成
Abstract近年,インターネット回線の広帯域化が進み,インターネットを介した映像配信サービスが日常的に利用されるようになってきた.インターネット放送は,安価なWEBカメラ,汎用PCとインターネット回線さえあれば誰でも簡単に行うことができるため,今後さらに広がっていくと考えられる.しかし,テレビを含む従来の映像配信サービスは,放送者が映像を配信し,視聴者が配信された映像を見るという,放送者から視聴者への一方向サービスとなっており,視聴者からの能動的な入力情報を得ることができない.そのため,視聴率のような受動的な視聴者情報しか用いることができず,放送内容の詳細な分析を行うことが難しいといった問題がある.例えば,視聴率ではどの程度の視聴者が見ているということしかわからなく,視聴者がその放送に対して何を感じたのかについて分析を行うことはできない.よって,放送内容を分析するためにも,双方向サービスを実現することが,インターネット放送における重要な課題の一つとなっている. 一方,著者らは毎年,岩手県立大学の学位記授与式をインターネット中継してきたが,平成19年度からは双方向性を持たせた視聴者主導の放送システム導入に取り組んでいる.本システムは,文字によるチャット機能や,カメラ撮影者に対して視聴者が撮影して欲しい対象や方位などを指示できる機能を備えており,視聴者からの能動的な入力情報を蓄積することが可能である.視聴率のような受動的な情報だけでなく,このような能動的な情報を有効に活用する事で,放送内容をより適切に分析することが可能になると考えられる. 本研究では,その一手法として,視聴者から能動的に入力された情報を用いたダイジェスト動画自動生成手法について検討する.提案システムに適用する前段階として,現存する類似サービスからサンプルを取り検証する.現存するものとしては,映像のタイムラインに合わせて視聴者がコメントできるオンデマンド型映像配信サービスがある.当該サービスでは,映像に対してコメントを行った場合,コメント内容と同時にどの場面へのコメントなのかが記録される.これらのコメント情報を抽出することで,映像に対してどの場面にコメントが集中しているかを分析することが可能である.視聴者からのコメントは,印象的な場面に対し行われるものと仮定すると,コメントの多い場面をダイジェストの1カットとすることができる.このように,動画へのコメントの濃度を分析し,上位に上がる場面を結合した時にダイジェスト動画として成立するのかを検証する.

6D-5 (時間: 15:30 - 15:55)
題名連続メディアデータ放送のためのP2P配信システムの設計と実装
著者*鈴木 健太郎, 後藤 佑介 (京都大学大学院情報学研究科), 義久 智樹 (大阪大学サイバーメディアセンター), 金澤 正憲 (京都大学学術情報メディアセンター)
Pagepp. 1378 - 1385
Keyword放送型配信, 待ち時間, ストリーミング, P2P, ピア選択
Abstract近年の放送通信融合環境の高まりにともない,インターネットを利用して動画を 視聴するサービスが注目を集めている. サーバ・クライアント型のネットワークでは,複数のクライアントが同時にサー バに接続すると,サーバが配信に必要となる帯域幅が増加し,クライアントが データの受信を要求してから再生開始するまでに発生する待ち時間が増加する. このとき,クライアントはサーバだけでなく他の端末からもデータを受信できれ ば,サーバに集中する負荷が分散され,待ち時間を短縮できる. そこで,P2P(Peer-to-Peer)ネットワークを利用した動画配信を考える. P2Pネットワークでは,ピアと呼ばれるクライアントが1つ以上接続し,ネット ワークを構成する. ピアは他のピアと通信を行い,それぞれがサーバとクライアントの役割を果たす. P2Pのネットワーク構成の形態として,ピアのみで構成されるピュア型や,ピア とサーバで構成されるハイブリッド型があるが,今回はハイブリッド型P2Pを対 象とする. ハイブリッド型P2Pでは,サーバは動画配信を行い,ピアと呼ばれるクライアン トは,ダウンロードだけでなく他のピアからデータを要求されたときはサーバと して動作する. サーバ・クライアント型に比べて,ピアがデータの供給を行うため,サーバに データを要求するクライアントの数が減少する. サーバは必要となる帯域幅が減少し,クライアントの待ち時間が短縮される. 筆者らはこれまで,P2Pネットワークを利用した動画視聴ソフトウェアとして Brossom (Broadcasting System with P2P Environments)を作成してきた. Brossomでは,P2Pネットワークを用いてストリーミング配信を行う. Brossomのストリーミング配信では,データをセグメントと呼ばれる部分に等分 割して配信する. データの先頭部分のセグメントの受信が完了すると再生を開始できるため,デー タをすべて受信しなければ再生を開始できないダウンロード配信に比べて,デー タ受信時の待ち時間を短縮できる. 現在のBrossomで使用しているストリーミング配信では,各ピアが使用できる帯 域幅の大きさを考慮していない. しかし,実環境では,各ピアが使用できる帯域幅は異なっており,使用できる帯 域を考慮しなければ,再生中にデータの途切れが発生する. ここで,ダウンロードの要求を出すピアを要求ピア,データを供給するピアを供 給ピアとする. 使用できる帯域幅が小さい供給ピアを要求ピアが選択した場合,セグメントの配 信時間が大きくなる. 供給ピアから受信したセグメントの受信終了時刻が再生開始時刻に間に合わない 場合,再生時に途切れが発生する. 一方,使用できる帯域幅が大きい供給ピアを優先的に選択すると,帯域幅が大き い供給ピアにデータの要求が集中するため,P2Pネットワーク全体の転送効率が 低下する. このため,要求ピアは,P2Pネットワーク全体の負荷と再生中の途切れを考慮し て,データ受信に使用する供給ピアを選択する必要がある. そこで後藤らは,P2Pネットワークのデータ受信時におけるピア選択手法を提 案,評価した. 提案手法では,各供給ピアが使用できる帯域幅をもとに,セグメントの配信終了 時刻が一番早い供給ピアを選択してスケジューリングを行う. 使用できる帯域幅とセグメントデータの再生時間を考慮して,供給ピアを分散し て選択することで,再生中の途切れの発生を抑えながら負荷分散を行う. 具体的には,帯域幅が大きい供給ピアから順番に,セグメントを先頭から割り当てる. 要求ピアは,ある供給ピアからセグメントのダウンロードが終了すると,次のセ グメントを配信した場合の終了時刻が一番早い供給ピアに要求する. これをすべてのセグメントのダウンロードが終了するまで行う. この手法では,帯域幅が大きいピアがすべてのセグメントを配信するのではな く,帯域幅が小さい供給ピアからもダウンロードをできる限り行うため,ネット ワーク全体に負荷が分散する. 提案手法のシミュレーション評価では,ランダムで供給ピアを選択する場合と比 較して待ち時間が減少するという結果が出ている. 本研究では,この手法をBrossomに実装し,評価を行う.


セッション 6E  アドホックネットワーク経路構築(MBL)
日時: 2008年7月10日(木) 13:50 - 16:00
部屋: コスモ(1)
座長: 藤野 信次 (富士通研)

6E-1 (時間: 13:50 - 14:15)
題名DHTによる高信頼アドホックルーティングプロトコルの提案
著者*鳴海 寛之 (公立はこだて未来大学大学院), 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 1386 - 1393
Keywordアドホックルーティング, DHT, オーバレイルーティング, 信頼性
Abstract 近年,無線通信技術の発達と移動無先端末(ノード)の小型化・高性能化に伴い,モバイルアドホックネットワーク(MANET)に関する研究が活発に行われている.MANETは,基地局などの既存インフラに依存せずにノードが即席で形成する自立分散型のネットワークである.MANETではマルチホップ通信と呼ばれる通信方式を採用しており,通信経路上に位置するノード(中継ノード)がデータを転送することによってエンド−エンド間の通信が実現される.MANETにおけるルーティングプロトコルの代表的なものとして,リアクティブ型と呼ばれるプロトコルがある.本研究では基礎シミュレーション実験を通して,通信密度およびノード移動頻度の高いネットワーク環境ではリアクティブ型プロトコルの経路構築特性がデータ転送に悪影響を及ぼし,データ到達率が低下するという結果を得た.この結果をさらに分析することで,ノード密度の高い環境においてエンド-エンド間の通信経路が長経路となった場合,その経路の構築を行うために周囲のノードが一斉に制御メッセージを送信することによって大規模な混信状態が発生してしまい,その結果経路構築に失敗し送信元ノードがデータパケットを送信キューからドロップしてしまうことが,データ到達率の低下を招く主要因であるという結論を得た.同様の理由によって,従来のリアクティブ型のルーティングプロトコルは,高移動頻度のネットワークにおいて複数のノードが同時に通信を行うと,データ到達率が著しく低下する.このように,リアクティブ型プロトコルによる長経路通信はネットワークに大きな負荷を与えてしまう.  そこで本研究では,長経路通信を複数の短経路通信に分割するというアプローチによって,従来よりも高密度・高移動頻度のネットワークにおいて高いデータ到達率を提供する,新たなアドホックルーティングプロトコルの実現について検討する.  長経路分割を実現するために,本研究ではDHT(Distributed Hash Table)と呼ばれる技術を用いる.DHTは,効率的なデータ分散やスケーラビリティを提供するデータおよびノードの探索手法の総称であり,Pure-P2Pネットワークを構築する際に用いられる.DHTは,物理ネットワーク上にオーバレイネットワークを構築し,オーバレイネットワーク上に一様に分散配置されたノードが協調的に動作することによって任意のノード間の通信を実現する.このDHTのオーバレイルーティングの特性を応用することによって,MANETにおける長経路通信を複数の短経路通信に分割する.これによって,経路構築やデータパケットの中継などといった,1つの通信に関わるノード数を少なくでき,高いデータ到達率を実現することが可能となる.同時に,経路構築時にネットワークに与える負荷を最小限に抑えることもでき,複数のノードの同時通信も可能となる.ただし,DHTはインターネットでの利用を前提として設計されたアルゴリズムであり,MANETの特性でもあるノード移動などについては考慮されていない.そこで本研究では,オーバレイネットワーク上で近傍性を実現するRLM(Random Landmarking)と呼ばれる動的クラスタリング手法をさらに改良することでノード移動への信頼性を高め,ノード移動頻度の高いネットワークにも対応できるようにする.  本研究では,DHTと動的クラスタリングによる新たなアドホックルーティングアルゴリズムを検討方式として提案する.また,ネットワークシミュレータを用いて提案プロトコルと従来のルーティングプロトコルを比較評価し,本提案方式の有効性について評価する.

6E-2 (時間: 14:15 - 14:40)
題名固定宛先通信のためのアドホックネットワークルーティングプロトコル
著者*川口 麻美, 山本 潮 (群馬大学大学院工学研究科情報工学専攻)
Pagepp. 1394 - 1401
Keyword無線アドホックネットワーク, ルーティングプロトコル

6E-3 (時間: 14:40 - 15:05)
題名Multipath RoutingにおけるNetwork Codingを用いた符号化・転送手法の評価
著者*嘉義 智紀 (公立はこだて未来大学システム情報科学研究科), 高橋 修 (公立はこだて未来大学システム情報科学部)
Pagepp. 1402 - 1407
KeywordMANET, Multipath Routing, Network Coding
Abstract近年,無線通信技術が発達・普及し,さまざまな端末に無線デバイスが搭載されている.これに伴い, アクセスポイントなどの通信インフラを介さずに無線端末のみでネットワークの形成を行うモバイルアドホックネットワーク(MANET)の研究が盛んに行われている.MANETでは,通信を行う2つの無線端末が互いの無線到達範囲に存在しない場合,他の無線端末を中継するマルチホップ通信を行うことで通信を可能にしている.無線通信はノイズ・フェージング・コリジョン等の様々な要因からパケットをロストしてしまいデータ到達率が低く,信頼性が低い.さらに,MANETでは,中継端末を中継して通信を行うため,複数回の通信が必要になり,データ到達率がより低くなってしまう.エラーに対してデータ到達率を高める手法として,FEC(Forward Error Correction)がある.FECは,送信側がデータパケットを符号化することによって冗長な符号化パケットを生成し,その符号化パケットをデータパケットとは別に送信し,受信側はデータパケットが正しく受信出来なくても符号化パケットからデータパケットを復元可能とする.関連研究として,FECと複数経路を構築するMultipath Routingを併用することでデータパケットと符号化パケットを複数経路上に分散して送信する手法がある.各経路でデータパケットと符号化パケットを独立して転送する.このため,一方の経路上の中継ノードはデータパケットのみを転送することになり,符号化パケットを中継するという負荷が増えない.しかし,送信元ノードは,データパケット・符号化パケットの全てを送信しなければならず,送信回数が増えて,ネットワーク全体のオーバーヘッドも増加するという問題点がある. そこで,本論文では,Multipath Routingによって複数経路の構築を行い,送信元ノードではなく,中経ノードが符号化を行うNetwork Codingを用いる手法を提案する.送信元ノードは複数経路に対し1つのデータパケットを1回で同時に送信する.ある1つの経路の中継ノードが符号化を行い,符号化パケットを送信する.これにより,送信元ノードの送信回数を増やすことなく,符号化パケットを宛先ノードに転送し,効率的に,パケット到達率の向上を行うことが出来る. 本論文では,中継ノードが複数存在する場合に符号化を行う中継ノードの位置,複数経路の役割(データパケット転送/符号化パケット転送)の決定を理論評価にてを行う.最後にシミュレーションにより、理論評価を実証する.


セッション 6F  遠隔教育とWeb応用(DPS)
日時: 2008年7月10日(木) 13:50 - 16:00
部屋: コスモ(2)
座長: 上原 稔 (東洋大)

6F-1 (時間: 13:50 - 14:15)
題名学生が作成した問題の類似度算出手法の提案と評価
著者*高木 輝彦 (創価大学大学院), 高木 正則 (創価大学工学部), 勅使河原 可海 (創価大学大学院)
Pagepp. 1408 - 1417
Keyword類似問題, 作問演習, 自動分類, 類似度, 自然言語処理
Abstract1.研究の背景と目的本研究室では2002年度から高等教育におけるe-Learningコンテンツの不足解消と教師−学生間,学生同士のインタラクティブ性の向上を目的とした,学生が協調的に作問可能なWBTシステム「CollabTest」を開発し,実装・評価を行ってきた.本システムでは学習者が問題を作成し,作成した問題をグループ内の学生間で相互に評価(グループレビュー)し,教師はその問題を集めてオンラインテストを作成する.これまで過去5年間にわたり,本学の講義,本学通信教育部の講座,八王子市の小学校などで利用実験を実施し,作成された問題数は4400問以上,レビューで投稿されたコメントは10000件以上となった(2007年12月時点).このことから,e-Learningコンテンツ不足の解消に寄与できると考えられ,また,教師−学生間,学生同士のインタラクティブ性の向上を示した.しかし,CollabTestの課題の1つとして,作成された問題の管理・再利用があげられる.本システムでは学生が問題を作成するため,講義を重ねるごとに問題は増加し,それらの問題の種類や内容の把握・管理は困難になる.また,1つの講義内でオンラインテストに出題する問題数は多くても100問から200問程度であり,実際,多くの問題は再利用されずに埋もれている.これらの過去の講義で作成された問題をいかに再利用するかが重要となってくる.そこで,現在,我々は過去の問題の有効利用を目的とし,類似問題群から動的に問題を出題するテスト出題方式について検討している.この方式を実現するためにはまず,学生が作成した問題を類似問題群へ分類する必要がある.本研究では,類似問題群への自動分類方式を提案し,自動分類における類似度算出手法の有効性について種々実験を行い定量的な評価尺度により検証を行った. 2.類似問題群への自動分類方式の概要 2.1.似問題群への自動分類手順CollabTestの問題はカテゴリ,サブカテゴリ(以下,カテゴリ項目)によって管理されている.このカテゴリ項目は教師が登録し,学生は問題を登録する際にカテゴリ項目を選択する.まず,教師はクラスライブラリ(各講義で作成された問題群)の問題を利用してテストを作成する.そして,テスト問題の中から類似問題群に登録したい問題を選択し,検索対象をコースライブラリ(過去に行われた全講義の問題をカテゴリごとに統合した問題群)から指定する.検索対象は選択した問題と同じカテゴリ項目を選択する.そして,類似元となる問題と検索対象の問題との類似度を算出し,あらかじめ登録してある類似度の閾値を超えた場合,その問題が類似問題群に登録される. 2.2.類似度算出手法提案する類似度算出手法について順を追って説明を行う.なお,これらの過程は類似元となる問題と検索対象の問題の両方において行われる. (1)問題情報の決定CollabTestでは問題情報としてキーワード,問題文,選択肢,解説が登録されている.このうち,キーワード,問題文,正答(正解となる選択肢)を使用して類似度を算出する.ただし,問題文の形式が「〜適切でないものを選べ.」などのようにその問題文の内容とは異なる選択肢を選ばせる問題である場合は正答もその他の選択肢も使用しない. (2)索引語の単位前述した問題情報から単名詞,複合名詞を索引語として抽出する. (3)重み付け複合名詞は語の連接頻度と出現頻度から重み付けを行い,単名詞に関しては語の出現頻度のみから重み付けを行う. (4)不要語の削除一般的には低頻度語や高頻度語を不要語の対象とする.まず,サブカテゴリ内で出現頻度が1の語を削除する.そして,出現頻度が極端に高い語に関しては同じ問題内にその語よりも高い重みの語が存在するときだけ削除する.さらに,言い換え表現による上位概念を表わす語(「目視的コミュニケーション」に対して「コミュニケーション」は上位概念を表わす語)が同じ問題内で存在する場合その語を削除する.その他に,問題特有の決まり文句に含まれる語を不要語として削除する. (5)類似度算出式最後に,一般的に最も使用されている類似度算出式であるコサイン尺度により類似元となる問題と各問題との類似度を算出する. 3.実験と評価本研究では,提案した類似度算出手法の有効性を検証するために実験を行い,定量的な評価を行った.前述したように提案する類似度算出手法には5つの過程が存在する.そして,各過程において様々な手法が考えられる.そこで,各過程において提案手法が有効であるかどうかを示すために,考えられる他の手法を適用した場合どのような算出結果になるか比較実験を行った.また,講義によって作成される問題の形式や表現の仕方など様々である.そこで,比較的講義内容の異なる講義間で類似度算出結果がどのように変化するか比較し,分析を行った.実験は,予めあるカテゴリ項目における問題集合を手動で類似問題群に分類し,提案した類似度算出手法での類似問題の算出結果を比較する.評価尺度としては情報検索の分野で一般的に利用されている再現率,適合率,F尺度を利用した.関連研究の手法と比較した結果,F尺度において本手法の値が高くなり,有効性が示唆された.

6F-2 (時間: 14:15 - 14:40)
題名デスクトップブックマーク:計算機上の仕事状態の保存と復元機能の評価
著者*小笠原 良, 乃村 能成, 谷口 秀夫 (岡山大学 大学院自然科学研究科)
Pagepp. 1418 - 1423
Keyword分散処理, 応用・社会システム, インターネット
Abstract計算機内で過去に参照したデータの想起と参照を効果的に行うため,我々は,計算機上の仕事状態の保存と復元の機能を提供する「デスクトップブックマーク」を提案した.本稿では,デスクトップブックマークによって仕事の途中状態を容易に復元できるかについて,関連ツールと比較考察した結果を報告する.具体的には,各ツールが統一的履歴情報として取得したパスに着目し,評価尺度としてデータの再現率と適合率を導入した.そして,デスクトップブックマークは,関連ツールに比べ,データの再現率は同程度であるものの,データの適合率は大きく改善されることを示した.

6F-3 (時間: 14:40 - 15:05)
題名グループワーク手法による情報系学生の育成実践
著者*吉田 幸二, 坂下 善彦 (湘南工科大学/情報工学科), 宮地 功 (岡山理科大学/総合情報学科), 山田 圀裕 (東海大学/情報メディア学科), 市村 洋 (サレジオ工業高等専門学校)
Pagepp. 1424 - 1428
Keywordグループ学習, 協調学習, 遠隔教育, プログラミング教育, ソフトウエア工学
Abstract1.概要  近年ソフトウェア開発の大規模化に伴い,グループによる開発が重要になってきている.しかし,コミュニケーションが不得手で,協調する作業やプログラムを効果的に分担して作成することが,不得意な学生が増えてきている.そこで,ゼミ等で情報系の学生にグループワークでの実践を行い,その問題点と効果を分析し実践してみた.  第一に,遠隔システムを使用して一定の知識獲得には良いが、自力でプログラムを完成するのは難しい.第二に,お互いの教え合いや議論の活発化は,モチベーションを高め完成する意欲を高める効果がある.第三に,活発な議論と協調性に比例して,アイデアや作業が効果的に進む.一方,枠組みの規定の絞り込みすぎは自由度を奪い,教師の放任性は目的への方向性を失うため,この効果的なバランスが大事であることも判明したのでここに報告する. 2. システム概要  このシステムは,プログラムの作成学習を通して,設計からプログラミングまでを理解する.次に,perl言語によりプログラミングの基本から応用までを学ぶこと共に,グループによるプログラムの結合その中のプロセスを通して議論やコミュニケーションの学習もする.そして,グループによるプログラムの組み合わせの実習を体験することにより,プログラムを繋いだり結合したりする注意点を体得できる特徴がある.  学習者はまず支援システムエントリから閲覧し,PERL言語学習支援,コミュニケーション支援等により学習とグループ作業を進めて行く.また,プログラム作成やプログラム結合についても学ぶことができる.また,確認問題を解くことによって理解度をチェックする.  一方,学習内容を閲覧するだけでなく,学習者間や講師とコミュニケーションすることや,データベースの検索機能により情報の検索と閲覧が可能となり,情報も検索することができる. 3.まとめ  グループ学習においても,遠隔システムや支援機能を使用しての効果は知識獲得には効果があるが,これでマスターできるわけではない.また,お互いの教え合い,特にグループを越えての討議に効果があった,一方,電子によるコミュニケーションは,一部の感情面での意思疎通に欠け問題が発生しやすい.しかし,ゼミ等の対面によるコミュニケーションが週に2回程度あるため,その問題も解決されていた.  電子によるコミュニケーション・ギャップやグループの枠組とそのフォローアップを体系的にシステム的にサポートして,よりよい支援できるシステムの開発につとめたい.今後は,これらのことを基本に枠組みをサポートするシステムの構築と,教師の指導が効果的に生きるアドバイスのサポート方式を取り入れるシステムの構築を進めて行く.

6F-4 (時間: 15:05 - 15:30)
題名音情報によるフィードバックを用いた動作の非同期型学習支援システム
著者*渋沢 良太, 渡邉 貴之 (静岡県立大学経営情報学研究科), 酒井 美那 (静岡県立大学経営情報学部), 湯瀬 裕昭, 鈴木 直義 (静岡県立大学経営情報学研究科)
Pagepp. 1429 - 1434
Keyword遠隔学習, 非同期型学習, 教育工学, マルチメディアシステム, ヒューマンインタフェース
Abstract 現在までに様々な分野の学習において,ICTを活用した支援に関する研究がなされている.その中で筆者らは,学習内容および評価の客観化が特に困難であり,また遠隔学習,非同期型学習が困難な動作の学習支援を研究対象としている.本研究が対象とする動作学習は特定の動作に限定しておらず,様々な分野に適用できる知見を得ることを目的としている.しかし,以下に示す研究背景を踏まえ,支援の必要性が高いフィジカル・アセスメントスキルに関係する動作をまず考察対象として設定した.  フィジカル・アセスメントとは, 臨床現場において患者の健康状態や必要なケアを決定するために,視診,聴診,打診等により患者の全身をスクリーニングし,得られたデータを患者のライフスタイルにマッチングさせながら分析するプロセスを指す.現在国内において,看護のフィジカル・アセスメント教育を正規に受け,自らその技術を使いこなしている技術指導者は数少ない.また,フィジカル・アセスメントスキルが国内の看護大学教育に導入されたのは1996 年であるため,臨床現場においては未だ定着していない.加えて初級レベルのスキルを学習するために,60時間にわたる実習主体のプログラムをこなさなければならず,現職の臨床看護師にとって,その教育を受ける機会を作ることは困難な現状である.このようにフィジカル・アセスメントスキルに関する動作学習は,遠隔学習,非同期型学習を効率的に支援する必要性が高い具体例の一つであると言える.  動作の学習における指導は通常,模範動作と言語情報によってなされる.しかし,それらはいずれも表現と解釈の一意性が乏しく,学習者の経験や知識の差によって受容のされ方が異なってしまう.この問題は特に直接接触による指導が不可能な,遠隔学習や非同期型学習においてより顕在化する.筆者らは2005年および2006年の2度に渡り,現職の看護師に対するフィジカル・アセスメントスキルの遠隔実習指導の支援を行い,この問題を確認している.筆者らはこの問題に対して,模範動作と言語情報に加え,各種センサにより動作の客観的指標を生成して提示する学習支援方法を提案する.この指標は,動作の新たな客観的な評価基準の一つとして,また動作指導の補助的役割としての活用が期待できる.動作学習には,(1)身体の動かし方の理解,(2)対象物への作用の理解の側面があるものとして考えることができる.筆者らは現在,前者に加速度センサ,後者に圧力センサを用いた指標生成を行っている.  筆者らはまず,フィジカル・アセスメントスキル学習の一項目である触診および打診を模擬した動作の学習を題材に,動作の客観的指標の提示による効果を調査するための実験を実施した.実験結果からは,指標提示時における動作の改善を確認することができたが,一方で指標の提示支援がなくなった際に,動作の記憶,再現性に問題があり得ることが明らかとなった.実験時に使用したシステムでは,動作の指標を視覚情報として波形グラフで学習者役の被験者に提示していた.これに加えて指導者の動作についても視覚情報として提示しており,双方を同時に見て学習することが困難であったことが質問紙調査の結果から明らかとなった.  この課題に対して,動作の指標提示を音情報で行うようにシステムをさらに改良し,その効果を調査するための実験を行った.本システムには,指導者の模擬試技の映像,およびその動作時の圧力指標,加速度指標の値を教示データとして予め記録させる.そして学習者が本システムを利用して動作を行うと,学習者の動作の指標データと教示データを比較し,学習者に対して自らの動作と指導者の動作との差異を音情報により自動的にフィードバックする.実験では本システムによる支援の有無,およびフィードバック方法の違いによる,被験者動作の指標データの差異を調査した.  本研究では,動作の非同期型学習の支援を想定したシステムを試作,実験を行った.今後は,同期型遠隔学習と非同期型学習を連携した形での学習支援を行えるように改良,評価を行っていく.

6F-5 (時間: 15:30 - 15:55)
題名フォルダ・プログラミングとネットワーク・フォルダ・サービス
著者*赤間 浩樹, 内藤 一兵衛, 内山 寛之, 山中 真和, 谷口 展郎, 長谷川 知洋, 三井 一能, 山室 雅司 (日本電信電話 NTTサイバースペース研究所)
Pagepp. 1435 - 1442
Keywordフォルダ・プログラミング, 処理付きフォルダ, ネットワーク・フォルダ・サービス, 追記・参照DMS
Abstract本研究は,Web上の部品に対して (1) 幅広い層のエンドユーザがダイレクトに,かつ,気軽に部品群を組合せて活用可能な環境を提供すること,同時に,(2)プログラマもRESTの延長上として気軽に利用可能なマッシュアップ環境であること,といった,エンドユーザとプログラマの双方の要求を満足する共通のプログラミング基盤の創出を目指している.我々は,フォルダ名に処理を割り当て,そのフォルダへのデータ投入によって処理が実行され,フォルダの階層構造に従って処理が連鎖していくプログラミング・モデルによって前述の狙いにアプローチする.本論文では,我々の提案するフォルダ・プログラミング・モデルについて特徴,プログラミング環境,サンプル・プログラムなどを紹介し,また,それを活用したネットワーク・フォルダ・サービスについて考察を行う.


セッション 6G  分散システム(IOT)
日時: 2008年7月10日(木) 13:50 - 16:00
部屋: ぽぷら
座長: 山井 成良 (岡山大学)

6G-1 (時間: 13:50 - 14:15)
題名LDAPとSambaによる分散型統合認証システムの試作構築
著者*坂下 善彦 (湘南工科大学/メディア情報センター), 川戸 貴之, 大谷 真 (湘南工科大学/情報工学科)
Pagepp. 1443 - 1448
Keywordユーザ認証, 統合認証, ディレクトリサービス, 分散システム
Abstract目的・背景: Windows Computer User の認証はActive Directory, SambaあるいはRadiusにより行い,Unix Computer User の認証はNISあるいはLDAPにより行うことが一般的である.しかし,大学の中ではWindows 系とUnix系のシステムが混在しており,異なる施設に存在するコンピュータシステムをネットワークドメインも超えた形態で利用し,且つ両方の系を同一ユーザが利用することも多い.このような状況においても,ユーザは単一のアカウントでどこででもコンピュータシステムを利用できることを望んでいる,同時にシステムの運用管理の視点からユーザの認証は,重要な要素となっている. 企業などの組織体と異なり,組織の変更は少ないが教育あるいは研究環境はよく変わるので,このような特性に応じたユーザ管理や認証機能が求められる. 概要: 我々は,Windows 系ユーザの認証をSambaを経緯してLDAPで行い,Unix系ユーザの認証を直接LDAPで行う基本構成を試作した[2007報告].しかしながら,両方の系が大学キャンパス内に混在するコンピュータシステムとユーザの管理と認証を行える体制には到ってない.本報告では,認証用のデータベースを備えるLDAPシステムの複製を持ち,ドメイン対応でこの複製の認証用のデータベースによる認証を行うシステムを試作構築したので,その概要を報告する. 核となるのはSamba のwinbind機能,とLDAPSAM機能である.前者は,UnixとWindows NTの統合アカウントマネジャーの機能を備え,後者はSamba自身をPDC/BDCとして構築し,ActiveDirectory相応の機能を提供する.この2つの機能を組合わせることにより,前述の両系のユーザの管理が可能となる. 認証システムの複製を作成してネットワーク系あるいはグループ対応で対応することを想定している,これは学部あるいは学科ごとの運用管理を想定したものである.複製間での同期の取り方には,PUT型とPULL型があり,我々は後者に焦点を当てた. なお,委託認証機能Referralを利用することで,地域的にもはなれたシステムの認証管理を行うことが可能となる.

6G-2 (時間: 14:15 - 14:40)
題名PLCを用いた一般家庭向けUPS電力共有システムの検討
著者*小幡 憲司 (静岡大学大学院情報学研究科), 栗山 央 (静岡大学創造科学技術大学院), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 水野 忠則 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1449 - 1454
Keyword電力制御, PLC, 負荷平準化, 分散電源
Abstract電力は,文化の発展に不可欠なインフラである.現在の社会,国民の生活において,電力は欠かせないものとなっている.電力の消費量は,人が活動する時間帯に最も多くなるため,日中にピークとなり,深夜になると減少する.現在の技術では,消費電力量を供給可能な容量を持った,蓄電装置を作ることが困難なため,消費電力量に合わせて発電量を調節している.発電は一定の発電量を維持し続けることが,最も効率が良い.しかし,電力消費量に合わせるために,発電量を調整せざるを得ない.また,発電の種類によっては,柔軟な発電量の調節が難しいため,発電量を抑えきれず,余剰電力が発生している. 情報機器が一般家庭に普及し,その安定動作のために無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply 以下UPS)が一般家庭にも導入され始めている.そして,高速PLC(Power Line Communication)の解禁により,PLCの利用が一般家庭で拡大している. これらを背景とし,家庭内にある複数のUPSをPLCで制御し,深夜の電力を蓄電し,蓄電された電力を共有して使用するシステムを提案する.蓄電された電力を,日中に使用することで,電力負荷をピークシフト(平準化)することができる.これにより,電力負荷が均一に近づくため,発電効率を高めることができる.余剰電力の活用と,発電効率の上昇によって,発電による環境汚染を抑えることが可能である.また,停電などのインフラからの切断時に,放電を行うことで,家庭全体に電力を供給し続けることが可能である. 本システムは,家庭内のUPSをPLC 通信を用いて制御し,蓄積された電力を,家庭内の家電で共有する,一般家庭向けのエネルギー制御システムである.一般家庭で利用されるインフラからの電力(以下商用電源)と,ブレーカ以下の家庭内配線を利用する.順次UPS に蓄電された電力を,家庭内の配線に逆流させ,UPS に接続されていない家電に供給することで,蓄電された電力を共有する. 商用電源から家庭に流れる電力と,接続されているUPS を管理するため,ブレーカにリレーとPLC マイコンを設置する.UPS にも同じくリレーとPLC マイコンを設置し,UPSの状態を監視する.リレーは,PLC マイコンによって制御される. UPS に接続されたPLC マイコンは,UPS のバッテリで稼働できる最大の時間を予測する.また,予想した結果を,ブレーカのPLC マイコンに送信する.ブレーカのPLC マイコンでは,UPS から送信されてきた時間を比較し,電力供給源として使用するプライマリUPS とセカンダリUPS を選択する. UPS からの電力供給に切り替える場合は,商用電源を切断し,プライマリUPS から家庭内の配線に電力を流しPLC 通信と,家電の稼働を維持する.セカンダリUPS は,プライマリUPS の残量が減少した際,プライマリUPS となり,電力供給源となる. 日中の電力ピーク時に,電力供給源をUPS に切り替えることで,商用電源への電力負荷を軽減し,ピークシフトすることを目的とする.また,停電などの外的要因による商用電源からの切断時にも同様に,UPS から電力を供給することで,家庭内の電力供給を維持することが可能である. 本システムは, PLC 通信と,既に存在する電力線を使いNo New Wire で設置が可能であるため,ユーザの負担を抑えられる. 本稿では,システム提案とUPS切り替えアルゴリズムの検討を行う.

6G-3 (時間: 14:40 - 15:05)
題名仮想計算機の移動・複製に基づく負荷変動に強いサーバ構築システムの設計と実装
著者*神屋 郁子 (九州産業大学 大学院 情報科学研究科), 下川 俊彦 (九州産業大学 情報科学部)
Pagepp. 1455 - 1460
Keyword仮想計算機, 規模適応性
Abstract現在のインターネットにおけるサーバシステムにはいくつかの問題点がある。一つ目は処理能力不足である。もしサーバの処理能力が低いと、十分なサービスが提供できない。二つ目はネットワークの混雑である。狭帯域なネットワークにたくさんのリクエストがサーバに来るとネットワークが溢れてしまう。本研究では、処理能力の不足とネットワークの混雑という二つの問題を解決するために、「サーバ増殖」を提案する。「サーバ増殖」では仮想計算機を用いて動的にサーバの処理能力やネットワークの帯域を増やす。具体的には二つの手法を用いる。仮想計算機の複製と仮想計算機の移動である。仮想計算機を複製することにより、処理能力の増加とネットワーク帯域の増加を図る。仮想計算機の複製により、処理する計算機が増えるためサーバシステム全体での処理能力が増加する。また、仮想計算機を広域に分散配置することで利用できる帯域を増やすことができる。更に新しいサーバに新規の利用者を誘導することで、サーバへの負荷を分散する。仮想計算機を移動することにより、処理中あるいは接続中の利用者に対する処理性能の向上を図る。実行中の仮想計算機を移動させることにより、その仮想計算機の計算能力や帯域の動的な向上を実現する。仮想計算機は仮想HDDファイルと仮想計算機構成情報ファイルで構成されている。本研究では、この2つを仮想計算機構成ファイルと呼ぶ。仮想計算機構成情報ファイルを複製するのは容易である。したがって仮想計算機の複製も容易である。 本研究ではサーバ増殖を実現するために、仮想計算機制御プロトコルVMCP:Virtual Machine Control Protocolを設計した。VMCPには六つの機能がある。一つ目はVMCPクライアントをVMCPサーバが認証する機能である。二つ目は転送先の物理計算機のCPUスペック、メモリサイズ、HDDの空き容量、ネットワーク帯域などについての情報を取得する機能である。三つ目は転送先で仮想計算機を動かす際に使うIPアドレス、デフォルトゲートウェイ、ネームサーバ、ネットマスクを取得する機能である。四つ目は仮想計算機の転送を行う機能である。五つ目は仮想計算機の起動・停止・一時停止・一時停止の解除・強制終了・再起動といった仮想計算機の制御を行う機能である。六つ目は物理計算機上で起動中の仮想計算機の一覧の表示やVMCPサーバとVMCPクライアントの接続を終了する機能である。更にVMCPを用いたサーバ増殖プロトタイプシステムPIYO:ProlIferate and Yield Objectsを実装した。PIYOはサーバクライアント方式を用いている。サーバ側ではVMCPの処理と仮想計算機の制御を行う。クライアント側ではVMCPの処理と仮想計算機の複製を行う。 実装したPIYOを評価した。まず、サーバ増殖の効果を確認するために、実際に広域で仮想計算機を複製する実験を行った。実験の結果、広域で仮想計算機を複製し、起動できることが確認できた。しかし仮想計算機構成ファイルのコピーと仮想計算機の転送に時間がかかることもわかった。次に、転送速度がPIYOの実装上の問題ではないことを確認するために既存の転送用プロトコルであるSCP、FTPとの転送速度の比較を行った。結果、PIYOはSCPよりも転送速度が速く、FTPと同様の転送速度が出るということがわかった。この結果より、PIYOでのファイル転送速度は他のプロトコルと比べて遜色がないと考えることができる。また、広域転送実験にて転送速度が遅いことが問題となったがPIYOの実装上の問題ではないということがわかった。 実験の結果などを踏まえ、今後の課題について考察した。まず、PIYOはVMCPの機能を全ては実装できていない。そこで今後は、設計したVMCPの機能を全て実装する。次にセキュリティ面での改良を行う。現在、認証は平文パスワードで行っている。これはセキュリティ面から危険であると考えている。また、本研究では適切なサーバへ利用者を誘導しなければならない。そのためにリクエスト誘導システムと連携する必要がある。更に、実験で複製時間や転送時間が長くかかることが分かった。そこで、今後は複製時間や転送時間をできるだけ短くする。複数の仮想計算機を一度に転送したり、スナップショットを取り差分だけを転送するようにしていく。最後に、仮想計算機を広域分散する際にはアクセスの多い地域に仮想計算機を分散配置することでネットワークの混雑を緩和することができる。そこで、仮想計算機を転送する前にアクセスの動向を調査し、アクセスの多い地域を特定する機能も必要である。

6G-4 (時間: 15:05 - 15:30)
題名OSレベル仮想化を利用した模擬ネットワークの構築
著者*曽根 直人 (鳴門教育大学), 森井 昌克 (神戸大学)
Pagepp. 1461 - 1464
KeywordOSレベル仮想化, 模擬ネットワーク, 検証用ネットワーク
Abstract*はじめに LAMP環境などとも呼ばれるLinuxとオープンソースの組み合わせは,アプリケー ションの開発コストやソフトウェアのライセンスコストを抑えることができる ため,多くの企業や組織でウェブアプリケーションの開発や実行環境として導 入され広く普及している。 LAMP環境の普及にともない,ウェブアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃も 増えている。ウェブアプリケーションは開発体制もさまざまであり,小規模で 開発されているものも多く,報告された脆弱性がすぐに修正されるとは限らな い。また既に開発が終了しているアプリケーションも存在する。このような状 況で攻撃に対応するにはポートの遮断など運用レベルでの対応が必要になる。 運用レベルでの対応は脆弱性の根本的な対策とはならないため,実際に攻撃に 対して有効であるかを検証する必要がある。しかし実際に運用しているシステ ムで検証作業を行うことは難しい。また,検証用のシステムを構築するのもコ ストなどの点から小規模なサイトでは難しい。そこで,我々は従来よりも手軽 にLAMP環境で構築されたサーバやネットワークを仮想化し,1台のホストの中に 検証用の模擬ネットワークを構築するシステムを開発した。 *模擬ネットワーク システム管理者やアプリケーションの開発者が手軽に模擬ネットワークを使っ て脆弱性の確認や対応を行えるようにするため,我々のシステムは1台のホス トで多くのサーバ,ルータ,ネットワークの仮想インスタンスが生成できるこ とを目標とする。またアプリケーションに対する脆弱性に注目するため, アプリケーションレイヤーの再現性は重要であるが,それより低位のOSレイヤー などはそれほど再現性を求めない。これらの要求を満たすため,我々はOSレベ ル仮想化技術OpenVZを使った模擬ネットワーク構築システムを開発した。 OSレベル仮想化はホストOS上にコンテナと呼ぶゲストOSインスタンスを生成す ることができる。コンテナはホストOSとカーネルを共有するが,IPアドレス, プロセス,ライブラリ,ユーザなどはそれぞれが独立して持つ。カーネルを共 有するため,ハードウェアの仮想化を行う他の仮想化よりも効率が良くより多 くの仮想化インスタンスを生成できる。模擬ネットワークのサーバ,ルータは コンテナを使って実現する。ネットワークはホストOSに生成したブリッジイン スタンスに各コンテナを接続することで実現する。これら模擬ネットワークの 記述はXMLを用いて行う。 **サーバ 仮想OSインスタンスを生成し,サーバとして利用する。仮想OSはテンプレート ファイルを展開することにより生成され,必要なアプリケーションは通常のOS と同じようにパッケージマネージャ経由で導入を行う。テンプレートは基本的 にインストール済みの各種ディストリビューションのファイルをtarアーカイ ブしたものであり,自作することも可能である。 **ルータ 複数のネットワークインタフェースを持つ仮想OSインスタンスを生成し,IP FORWARDを有効にすることで,ルータとして機能させる。IPTABLESを設定するこ とでIPパケットフィルタ機能を有効にすることでパケットフィルタ型のファイ ヤウォールを模擬することもできる。 **ネットワーク Linuxのブリッジ機能を用いて仮想ネットワークを構築する。生成したブリッ ジインスタンスに対して仮想OSインスタンスのネットワークインタフェースを 登録することで通信が可能になる。コマンドで生成したブリッジインスタンス は揮発性のため,ホストOSをリブートすれば消滅する。模擬ネットワークを永 続化するため,設定情報をファイルに保存し,起動時にブリッジインスタンス を再生するようにしている。 **利用例 模擬ネットワークを構築し,模擬ネットワーク内部で独自のDNSルートサーバ を構築した。DNSを独自に持つことにより,DNSを使ったさまざまな検証を模擬 ネットワーク内で行った。また脆弱性が確認されたアプリケーションを模擬ネッ トワーク内で稼働させ,攻撃の検証を行った。 *まとめ 軽量な仮想化技術であるOSレベル仮想化を利用することにより,模擬ネットワー クを1台のLinuxマシンで構築できる。模擬ネットワークはXMLによって定 義しており,仮想マシンやブリッジを構築するためのコマンドの特別な知識が なくとも簡単に構築できる。 本システムでは,従来の仮想マシンを利用した模擬ネットワークよりも手軽に 構築できる。そのため,ネットワーク管理者や開発者が手元のマシンをつかっ て模擬ネットワークを構築し,脆弱性の確認や対策の検証が行える。今後ます ます増えていくウェブアプリケーションの安全性を確保や検証,ネットワーク 管理の訓練などに本システムは非常に有効である。

6G-5 (時間: 15:30 - 15:55)
題名大量連続負荷データを収集・予測するための逐次分散処理方式
著者*藤山 健一郎, 喜田 弘司, 今井 照之, 中村 暢達, 柳沢 満, 竹村 俊徳 (NEC サービスプラットフォーム研究所)
Pagepp. 1465 - 1470
Keywordデータストリーム, 大規模, 分散処理, 負荷予測
Abstract本稿では、VM型シンクライアントシステムにおいて、多数のVMから大量かつ連続的に発生する負荷データ―これをデータストリームという―をリアルタイムに処理してVMの負荷予測を行う方式について述べる。負荷予測を行うには、過去のVMの負荷データを収集し解析する必要がある。しかし、従来のデータベースを用いた一括集中処理では、我々が想定する100,000台規模のVMから毎分発生する大量の負荷データストリームをリアルタイムに処理することができない。そこで、データベースにデータを貯めることなくデータの流通経路上で処理する逐次処理方式と、システムを階層化することで処理を分散する分散処理方式を用いて、負荷データストリームを処理する方式を提案する。また、我々が研究開発しているデータストリーム処理基盤を用いて、上記提案方式に基づくVM負荷予測アプリケーションを実装し、フィジビリティ評価を行った。評価の結果、100,000台のVMシミュレータからなる擬似シンクライアントシステムにおいて、1分毎に負荷データを収集し、10分毎に負荷予測が行え、想定した要件を満たすことを確認した。


セッション 6I  コンテクストアウェアネス(UBI)
日時: 2008年7月10日(木) 13:50 - 16:00
部屋: ビューホール(2)
座長: 今野 将 (千葉工業大学)

6I-1 (時間: 13:50 - 14:15)
題名省電力化に向けたユーザ適応型姿勢推定機構の評価
著者*林 敏樹, 小澤 政博, 川西 直, 川原 圭博, 森川 博之 (東京大学)
Pagepp. 1471 - 1478
Keywordユビキタス, コンテクストアウェアネス, 姿勢推定, 加速度センサ, 省電力
Abstractユビキタスコンピューティング環境で期待される,いまだけ,ここだけ,あなただけのきめ細やかなサービスを実現するためには,時々刻々と変化するユーザのコンテキストの推定が重要となる.これに向けて筆者らは,3軸加速度センサを搭載した省資源な携帯端末をひとつ身に着けるだけで,ユーザの姿勢を推定する機構の開発を進めてきた.しかし,日常生活における実サービスでの使用に耐えうるコンテキスト推定機構の実現に向けては,推定機構のさらなる省電力化と多様なユーザへの適応性が重要な課題となる.携帯端末は外部電源を持たず常時動作するものであるため,携帯端末上でユーザの状況の推定を行う際には,いかに消費電力を抑えて電池持続時間を長くするかが重要である.幅広いユーザを対象とすると,年齢や男女の差,歩き方の癖などによって,推定に用いるべき閾値にばらつきが生じてしまい,画一的な閾値を用いた推定アルゴリズムでは十分な推定精度が得られない可能性がある.このような観点から,本稿では,CPUのスリープ時間を増やすことで消費電力を抑えることを目的とした,計算量削減のための推定計算の高速化と,画一的な閾値ではなくユーザごとに適切な推定基準を設定可能なユーザ適応機構の導入について述べる.推定計算の高速化では,従来計算時間の多くを占めていたFFTの代わりに,より計算量の少ないアダマール変換を適用することで,計算時間が大幅に削減できたことを示す.また,アダマール変換の適用によって歩行ペースの推定誤差が大きくなってしまったが,ゼロ交差法を用いた新たな推定手法によって,高精度でペースの推定ができたことを示す.一方,ユーザ適応機構の導入では,加速度の分散値とスペクトラムの最大値の2値に対する判別直線をユーザごとに引くことで,従来よりも高精度で姿勢の推定ができたことを示す.

6I-2 (時間: 14:15 - 14:40)
題名ウェアラブルコンピューティングのためのユーザ状況を考慮した知覚影響度に基づく情報提示手法
著者*田中 宏平 (大阪大学大学院情報科学研究科), 寺田 努 (神戸大学大学院工学研究科), 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1479 - 1486
Keywordウェアラブルコンピュータ, 情報提示, コンテクストアウェアネス
Abstractコンピュータの小型化により,コンピュータを装着して利用するウェアラブルコンピューティングのためのさまざまなアプリケーションが開発されている.ウェアラブルコンピューティング環境では,ユーザの行動や周辺環境といったユーザの状況が変化するため,状況によっては特定の提示装置では情報が認識できないといった問題が発生する.これまでのウェアラブルコンピューティング向けアプリケーションではあらかじめ決められた提示装置を想定し開発されているため,刻々と変化する状況に適応的に対応させることが困難であった.そこで本研究では,ユーザの状況に合わせて提示装置を動的に変更できる情報提示機構を実現する.提案機構では,すべての提示装置について知覚影響度を計算し,その最適な組合せを動的に選択する.提案機構を用いることで,ユーザの状況に応じた最適な装置で情報を提示可能となる.

6I-3 (時間: 14:40 - 15:05)
題名その場プログラミング環境実現のための状況定義ツールおよび状況処理エンジンの開発
著者*寺田 努 (神戸大学), 宮前 雅一 (ウエストユニティス株式会社), 山下 雅史 (大阪大学情報科学研究科)
Pagepp. 1487 - 1495
Keywordウェアラブルコンピューティング, コンテキストアウェアネス, その場プログラミング

6I-4 (時間: 15:05 - 15:30)
題名ホスト情報を用いたユーザコンテキスト推測機構とその応用
著者*坂本 憲昭, 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 1496 - 1503
Keywordコンテキストアウェア, モバイルコンピューティング
Abstract近年,ユビキタス環境において,コンテキストアウェアコンピューティングの実現が重要視されている.これまで,様々なセンサやRFID タグなどを我々の生活空間に遍在させ,それらから取得したデータを解析することでユーザの状況(ユーザコンテキスト) を推測する研究が多くなされてきた.また,そのユーザコンテキストに応じたサービスを提供するためのフレームワークやミドルウェアの研究も多く存在し,今後それらの研究が行われるにつれ,有益なコンテキストアウェアサービスの提供が増加していくことが予想される.しかし,外部的にセンサなどのデバイスを特別に持ち歩くことや,生活空間内に配置させることは,コストやユーザの煩わしさなどの問題があり,未だに解決されていない. 一方で近年,PC やPDA,スマートフォンといった小型・高性能化された端末を持ち運ぶことが一般的となっている.ユーザは何気なく高性能なデバイスを持ち歩き,様々な用途で利用する機会が増加している.ユーザは,何気なく端末を持ち歩き,仕事やプライベートに関することなど,様々な利用する機会が増加している.つまり,我々の行動の多くは持ち歩く個人の端末に大きく依存しており,逆に言えば,それら個人端末の情報のみからユーザの行動を予測することが可能となれば,様々なコンテキストアウェアサービスに適応できる. 以上のような背景より,我々はこれまで,ユーザは必ず何らかの目的を持って端末を操作していることに着目し,端末に関係する情報のみを用いることによって,ユーザのコンテキストを推測することを目指し,ホスト情報を用いたユーザコンテキスト推測機構の提案と実装を行ってきた.実装したシステムでは,実行中のプロセスや,接続されているデバイス,接続しているネットワーク(位置情報)などのユーザがホストを使用する際に動的に変化するものを対象とした.それらホストコンテキストを取得し,ユーザコンテキスト推測を行うためのセンサ情報として扱う.また,ホストコンテキストとユーザコンテキストの対応付けはユーザ自身が行う(ラベリング).これは,そのユーザにとって最適なホストコンテキストの組み合わせが異なるためであり,ユーザ自身がラベリングすることによって,高精度な推測が可能となることが予想される.そのため,ユーザにとってラベリングしやすいGUIの実装も行った.実装したGUIでは,取得している現在・過去のホストコンテキストを一覧表示しており,ユーザはこのGUIを用いてラベリングを行う.ラベリングされたユーザコンテキストとホストコンテキストの組み合わせは,コンテキストルール集合として保存される.このコンテキストルール集合と現在のホストコンテキストを用いて最適なユーザコンテキストを推測する.また,推測されたユーザコンテキストやホストコンテキストは,変化が生じるたびにログデータとして保存される.さらに,すべてのユーザコンテキストはAPIを通じて実装する外部アプリケーションから取得可能にするためにAPIの実装も行った. また,実際の日常行動を基に評価を行い,その妥当性や有用性の検証を行った.評価に用いる指標として,ポジティブマッチ・ネガティブマッチを用いた.ポジティブマッチとは,実際のユーザコンテキストを漏らさず推測できる確率であり,その分誤差を拾ってしまう.一方,ネガティブマッチとは,推測してはいけないときに推測しない確率であり,漏れが生じてしまう.今回の評価では,これら両方の評価指標で結果の値を求める.両方ともに値が高いほど,正確な推測が出来ていることを示す.評価方針として,一日間システムを動作させ,ユーザ自身でコンテキストを記録しながら評価を行った.その結果,全体的なコンテキストを対象とした場合,84.4%の精度を記録した.全体の場合は,ポジティブマッチとネガティブマッチが等しくなる.また,ユーザコンテキストに対して個別に評価結果を算出すると,ポジティブマッチかネガティブマッチのどちらかが極端に小さいコンテキストが観測された.この結果より考察を行うと,ネガティブマッチの値のみが小さい場合は,他のコンテキストに対して影響力の強いルールが記述されており,推測してはいけないときに誤って推測してしまう.影響力の強いルールとは,他のルールで対象となっているものや,普段常駐させているホストコンテキストを多くルール内に含めていることを示す.また,ポジティブマッチの値のみが小さい場合は,影響力の強いルールに引っ張られてしまい,推測しなければならないときに推測できなかったことを示す.これらの結果より,重みづけを行い,ルール記述の際に影響力の強いホストコンテキストを対象とする場合はその重みを減らすなどの対応を行う必要がある. また,本機構を用いての応用事例として,自動的なクエリ生成機構の実装も行った.ホストから得られる情報のみを用いて,位置情報や,グルーピング,検索履歴などを用いて学習し,自動的に検索クエリを生成するものである.発表時に利用状況の映像を含めて報告する.

6I-5 (時間: 15:30 - 15:55)
題名Bluetoothデバイス存在検出手法の考察
著者*新井 イスマイル (立命館大学総合理工学研究機構), 広渕 崇宏 (産業技術総合研究所情報技術研究部門), 藤川 和利 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)
Pagepp. 1504 - 1509
Keyword存在検出, Bluetooth
AbstractBluetoothデバイスの普及性と低コスト性に着目し、コンテクストアウェアサービスのためのデバイス存在検出手段としてBluetoothを活用することを試みた。ユーザが持ち歩くBluetoothデバイスには仕様上Inquiry Commandに応答しないものがある。一方、MACアドレスを指定してデバイス名の返答を要求するRemote Name Request Commandがあり、これはスタックの仕様上、返答時間は長いが、全てのデバイスが返答可能といった特徴を持つ。本論文ではそれぞれの要求に対する一般的なBluetoothデバイスの応答性能について基礎評価を行い、Bluetoothデバイスを活用した位置検出の有効性について述べる。



2008年7月11日(金)

セッション 7A  セキュリティ管理(CSEC)
日時: 2008年7月11日(金) 8:30 - 10:10
部屋: ポラリス
座長: 下川 俊彦 (九州産業大学)

7A-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名A Proposal of a Knowledge-based Tool to Support ST Developers on Acquisition of Cryptographic Requirements
著者*Guillermo Horacio Ramirez Caceres (Graduate School of Engineering, Soka University), Atsuo Inomata (Nara Institute of Science and Technology), Yoshimi Teshigawara (Graduate School of Engineering, Soka University)
Pagepp. 1510 - 1515
KeywordSecurity Evaluation, Cryptographic Requirements, Knowledge-based
AbstractAt the present time, owing to advance of the broadband mobile communications and the Internet, many home users are enjoying services of IT revolution. Nevertheless, only limited people are aware of the danger of information eavesdropping and privacy invasion, when it comes to security policies. The security information can be understood as the ability of an information system which uses the Evaluation Assurance Levels (EAL) as defined in international standards ISO/IEC 15408 to avoid all accidents or malicious deliberate actions. Accidents and actions which will endanger availability, integrity, and confidentiality of stored or transmitted data as well as corresponding services offered by these networks and systems. Many international standards exist in the IT security field. We have been developing a knowledge-based tool based on multiple international standards. In this paper, we propose a new knowledge-based tool based on FIPS 140-2 and SP 800-57 in addition to ISO/IEC 15408(CC), ISO/IEC 15446, ISO/IEC 13335, ISO/IEC 17799, and ISO/IEC 19791. ISO/IEC 15408 also known as Common Criteria (CC) for Information Technology Security Evaluation is an international standard used as the basis to evaluate the security properties of IT products. CC Part 3 describes 7 security requirements package used for the evaluation, called Evaluations Assurance Level (EAL). In order to evaluate IT products based on CC, developers must create security target (ST). According to CC, the subject of criteria for the assessment of the inherent qualities of cryptographic algorithms is not covered in the CC. However, the Target of evaluation (TOE) may employ cryptographic functionality to help to satisfy several high level security objectives. In this case, ST developers must be able to refer to an external standard. FIPS 140-2 are different from the CC in the abstractness and focus of tests. FIPS 140-2 testing is against a defined cryptographic module and provides a suite of conformance tests to four security levels. All these 2500-odd pages about these international standards may not be the biggest issue. The principal problem of these international standards is the technical languages used with the large number of unfamiliar and technical terms. Specifically, on the cryptographic field, there are too many new technical words, and several standards to apply for cryptography. All these make the contents difficult to understand and the ST developer must read many times when trying to create a ST for evaluation. From the FIPS 140-2 point of view, FIPS 140-2 specifies 11 security requirements to secure design and implementation of cryptographic module. In addition, 4 security levels are specified for each of 11 requirement areas. According to FIPS 140-2, if the operational environment is modifiable, the operating system requirements of the CC are applicable at Security Levels 2 and above. This knowledge-based tools works as a web application and will be able to access at http://teshilab.net. The knowledge-based tool supplements deficiency in ST developer’s knowledge by allowing easy access to often complex but necessary information on international standards and security requirements for cryptographic modules. In addition, this knowledge-based tool can also be used to support ST developers to understand the Cryptographic Module Validation Program (CMVP) process. Most of the information on FIPS 140-2, CC and other standards, are graphically displayed on this site. In addition, references in the same standards or to other standards are graphically represented, to help user to read and understand this relationships. Finally, we are working to include in this knowledge-based tool, other important international standards and special publication from NIST to support other aspect of cryptography and risk assessment as our future works.

7A-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名セキュア通信アーキテクチャGSCIPを実現するグループ管理サーバの実装と運用評価
著者*今村 圭佑, 鈴木 秀和, 後藤 裕司, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1516 - 1522
Keywordセキュリティ, IPsec, KINK, 通信グループ, イントラネット
Abstractイントラネットでは企業が管理する個人情報の漏洩など,社員や内部関係者の不正による犯罪が多く報告されている.しかしながら,イントラネット内部のセキュリティ対策はユーザ名とパスワードによる簡単な相手認証,アクセス制御程度しか行われていないのが現状である.そのため企業ネットワークにおいてセキュリティを確保するために,部門や業務に応じた通信グループを構築し,暗号通信を行うことは有効な手段である.そこで我々は柔軟性とセキュリティを兼ね備えたネットワークの概念としてFPN(Flexible Private Network)と呼ぶシステムを提唱してきた.FPNを具体的に実現するための通信アーキテクチャとしてGSCIP(Grouping for Secure Communication for IP)を検討している.GSCIPでは端末が所属する通信グループ,および動作モードの組み合わせにより,通信の可否および暗号通信の有無を動的に決定することができる.GSCIPの管理は,グループ管理サーバGMS(Group Management Server)で行う.GMSでは通信グループと動作モードの定義,およびグループ鍵の生成,更新などを行う.本稿ではイントラネットにおいてGSCIPとIPsecをそれぞれ運用する場合に発生する管理負荷を定量的に求め,有効性を確認する.

7A-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名デジタルデータ証拠保全プラットフォーム『Dig-Forceシリーズ』の開発と評価
著者*芦野 佑樹 (東京電機大学大学院先端科学技術研究科情報通信メディア工学専攻), 藤田 圭祐, 入澤 麻里子, 佐々木 良一 (東京電機大学大学院工学研究科情報通信メディア学専攻)
Pagepp. 1523 - 1530
Keywordデジタルフォレンジック, TPM, ログ, ヒステリシス署名, カメラ
Abstract 近年,インターネットの普及に伴い,コンピュータを使った犯罪やトラブルが増えている.また同時に,法科大学院の設置や裁判員制度などにより,訴訟がより身近になってきている.したがって,訴訟でデジタルデータが重要な証拠として取り扱われるケースが増えて くるだろうと考えられる.  こうした状況に備えるため,企業では,(1)コンピュータによるデジタルデータの取扱中に生じる作業のこん跡や作業の履歴をデジタルデータとして確保し,(2)訴訟を起こすだけではなく訴訟された際でも説明責任が果たせるようにするための手順や技術であるデジタルフォレンジック(以下,DF)の整備が重要になってきている.  デジタルフォレンジックシステム(以下,DFシステム)とは,コンピュータが動作した内容を記録し,後から検証ができるようなコンピュータシステムである.筆者らは,このDFシステムは,設置形態により2種類に分類した.一つは,管理されたネットワーク環境下で利用するネットワーク型と,それ以外の場所で利用するスタンドアロン型である.  ネットワーク型はコンピュータを操作する従業員が属している組織が管理するネットワーク(以下,管理されたネットワーク)を介してコンピュータを一元管理しているためリアルタイムで動作を監視することができる.ネットワーク型のDFシステムは企業にも導入されはじめてきており,関連研究もいろいろ行われている.しかしながら,従業員のコンピュータによる作業は常に管理されたネットワーク環境下であるとは限らない.管理されたネットワークに接続されていないコンピュータで従業員の作業を記録するためには,スタンドアロン型のDFシステムが必要である.このようなスタンドアロン環境下でのDFシステムの研究は筆者らが知る限りでは従来行われてこなかった.  スタンドアロン環境下では,コンピュータの動作をリアルタイムで監視したり,ハードディスクを取り外すといった物理的な作業をチェックすることができないことから,ネットワーク型よりも証拠データに対する不正に耐性を持つ必要がある.  そこで筆者らは,ヒステリシス署名と暗号機能を持ったセキュリティデバイスを用いることにより,(1)スタンドアロン環境下で,(2)コンピュータの操作を行えば必ず記録が残るようにするとともに,(3)操作した人を特定し,(4)記録したデータが改ざんされていないことを後から第三者が検証できるスタンドアロン型DFシステム「Dig-Force」を考案した.  実際にプロトタイプを開発し,検証を行った結果,安全性の高いDFシステムであることが分かったが,DFシステムの各プログラムが不正に変更されないという前提があるため,Dig-Forceを実現するためには新たなる検討が必要となった.  そこで,Dig-Forceをより安全に動作させるためにTrusted Platform Moduleを用いて,DFシステムの安全性を検証できるシステム「Dig-Force2」を開発した.このDig-Force2を用いてDFシステムの動作を保証するだけでなく,不正なプログラムが動作しない環境を作り出すことができた.  また,Dig-Forceのアプリケーションとして,医療関係などの現場への導入を想定したシステム「MILY」を考案した.このシステムは,コンピュータなどのデジタルデータの他,カメラによる撮影をデータとして同時に処理することから,コンピュータ以外のデータをログデータとして取り扱えることを特徴としている.MILYを実現することにより,手術の現場においては心電図や脳波などとともに術中をカメラによって撮影し,それらをDig-ForceをベースとしたDFシステムに蓄積することにより,医療事故などにも対応できる物と考えている.  本稿では,Dig-Forceの解説と,Dig-Force2及びMILYのプロトタイプを作成し有用性を検討したので報告を行う.

7A-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名多層防御の概念に基づくリスクと対策効果のモデル化に関する検討
著者*加藤 弘一, 勅使河原 可海 (創価大学大学院)
Pagepp. 1531 - 1540
Keywordリスク分析, 多層防御, フォルトツリー解析, リスクモデル, ベイジアンネットワーク
Abstract一般に,組織のネットワークにおけるリスクや対策は,あるリスクの顕在化が他のリスクの顕在化を誘発するなどのリスク間の依存関係,複数のリスクに効果を発揮する対策の存在など複雑な関係を持っている.そのため,リスクの正確な把握と適切な対策の決定は容易ではない.さらに,我々はこれまで,対策変更を伴うネットワーク特別利用時においてセキュリティを維持可能な対策決定手法を検討してきたが,対策がリスク顕在化のどの段階を,ネットワーク上のどこで抑制しているのかが不明瞭であった.そこで本稿では,リスクが顕在化する流れを状態遷移図で表現し,対策と併せてネットワークモデル上へ配置する.これにより,リスク顕在化の流れや対策効果をネットワーク環境と照合して確認できる.さらに,状態遷移確率を用いることで,本モデルをベイジアンネットワークとして扱い,リスク顕在化の原因の推測が可能となる.


セッション 7B  SNS(GN)
日時: 2008年7月11日(金) 8:30 - 10:10
部屋: ベガ
座長: 井上 亮文 (東京工科大)

7B-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名グループアクティビティの向上を目指す大学内研究室向けSNSの設計と開発
著者*土井 渉 (電気通信大学大学院), 鈴木 健二 (電気通信大学)
Pagepp. 1541 - 1548
Keywordグループウェア, SNS, 情報共有, WEBサービス

7B-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名SNS内の情報を用いた話題提供支援の効果
著者*吉野 孝 (和歌山大学システム工学部), 村上 豊聡 (和歌山大学大学院システム工学研究科)
Pagepp. 1549 - 1557
Keywordコミュニケーション支援 , SNS(ソーシャルネットワークサービス), 会話分析, 話題提供
AbstractWebを介したコミュニケーションの場としてソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の利用者が急増している.SNSの特徴として人間関係の構築が挙げられるが,実際には閉じた人間関係の中で利用されていることが多い.そこで,SNSユーザのプロフィール情報を用い,話題を提供する話題提供支援システムComfTalkを開発した.ComfTalkはSNSユーザ同士の会話において,共通の友人,共通の趣味,コミュニティ情報を相手に提示することで,話題を提供する.本システムを用いて異性または同性と会話を行い,有効な話題を提供できるかを検証した.実験の結果,以下のことが分かった.(1) 話題を探索することに時間がかかる媒体は話題提供としては不適切であり,相手の興味を端的に表すものが必要である.(2) コミュニティ内の話題であるトピック情報は,話題として実際に取り上げられることはあまりなかった.トピック情報は内容が過度に詳細のため,リアルタイムでの話題としての利用は難しいと考えられる.(3) 趣味やコミュニティにおいて,まったく共通点のないユーザが会話する場合がある.その場合,話題提供ができないため沈黙時間が増加した.

7B-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名ソーシャルグラフの連結による複数SNS情報の統合利用の提案
著者*横山 輝明 (サイバー大学 IT総合学部), 山口 英 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1558 - 1564
Keywordソーシャルネットワーク, ソーシャルグラフ, コンテクストアウェアネス, SNS
Abstractユビキタス時代を迎えて、より人間指向のサービスを実現するために人々の関心事の取り扱いが求められている。こうした関心事を表す情報を得るために、我々はSNS (Social Network Service)と呼ばれるコミュニケーションサービスに注目した。 SNSが保持する情報からは、人間と関心事のつながりを表すソーシャルグラフというグラフ構造を得ることができる。 我々の先行研究においても、このSNS内の情報を外部から利用することを議論してきた。現在では、大小のさまざまなSNSが登場し、それぞれが特化した関心事を取り扱っているしかし、これらのSNSは独立したサービスであるため、ソーシャルグラフのつながりは各SNS内部に限定されている。 本論文では、それぞれのSNS内に格納されているソーシャルグラフをSNSを越えて統合して利用する方法について考察と提案を行う。 提案手法によって、SNSをコミュニケーションの場のみでなく、それぞれ特化した関心事を保持する人間指向のデータ源として利用することを図る。 提案手法が可能にする人間指向のアプリケーション例として、サンプルの小規模SNSを構築して、大規模SNSの代表事例であるmixiとの連結実験を行う。 この実験で、異なる関心事間の相関関係を利用したアプリケーション事例についても考察する。

7B-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名コールセンター連携電子自治体システムの提案
著者*村田 嘉利 (岩手県立大学), 佐藤 佳久 (岩手銀行), 高山 毅, 佐藤 永欣 (岩手県立大学)
Pagepp. 1565 - 1571
Keyword電子自治体, Webコラボレーション, コールセンター
Abstract総務省は, 電子政府推進計画と題し, 2010年度までに国に対する申請・届出等手続のオンライン利用率を50%以上とすることを目標に掲げている. しかし, 既存の電子政府システムや電子自治体システムは, 開発コストがかかっている割には利用されていないのが現実である. 多くの地方自治体が導入するためには, 経済的かつ利用しやすい電子自治体システムの研究開発が急務である. 利用されない理由の一つとして、電子自治体システムの操作が分からないということや、申請内容が複雑でどのようにして良いか分からないという事があげられる。また、申請しても記入ミスした場合には、再度窓口に行って申請する必要がある。WWWのみでこれらの課題を解決しようとすると、記入ミスを減らすためには条件分岐を細かく分ける、詳細な説明書を用意する、等が必要となる。その一方で、これらの事項を実施すると利用し難くなるばかりでなく、開発量の増加とそれに伴う開発費の増加につながる。 窓口で申請をする場合には、市役所職員に申請書類や記入箇所をその場で確認できる。時には、職員と相談しながらで申請資料を作ることもある。この形態は非常に利用性に優れるだけでなく、記入ミスも非常に少ない。 本論文では, コールセンターシステムとWebシステムを組み合わせることにより, 窓口に当たる部分をオペレータが担当し、Webコラボレーション技術を用いて相談しながら申請できるシステムを提案する。この形態にすることによりコンテンツ量は数分の一に減少し、経済的にも優れた電子自治体システムとなる. 本論文は, 以下のように構成する。 まず, 第2章では現在の電子自治体システムについて概要と問題点について述べる。主な課題としては、認知度の問題もあるが、利用しづらい点、開発コストの問題が大きい。続いて、第3章において先行研究であるWebコラボレーション技術およびコールセンターとWebシステムとの連携システムについて紹介する。また、それらの技術を電子自治体システムへ適用する場合の問題点について言及する。大きな課題としては、電話という音声回線とWWWの回線はそれぞれ独立であることから以下にこの2つの回線を同一エンドツーエンド間に確立するかという問題がある。また、コンテンツ制作のようなWebコラボレーションと異なり、申請者とそのアシストをする人というアクセス権レベルが異なる人の間のコラボレーションをどのように実現するかという問題がある。 第4章では, 提案システムについて述べる。具体的には、本システムの設計コンセプト、開発環境、システム構成などについて述べる。今回は3章で述べる課題に対して、ログイン時にこれからかける電話の番号を入力することで解決を図った。また、Webコラボレーションのアクセス権限に関しては、オペレータは編集用のテンポラリーなデータベースしかアクセス出来ないようにし、申請者はテンポラリーデータベースと本登録データベースの両方にアクセス可能とする方法を採用した。 第5章において、花巻市役所の職員に対してでもストレーションをアンケートを行った結果を報告する。アンケートを行った結果、非常に好意的な評価を頂いた。 最後に第6章で結論と今後の展望について述べる


セッション 7C  MobileIPと光通信(MBL)
日時: 2008年7月11日(金) 8:30 - 10:10
部屋: シリウス
座長: 岡崎 直宣 (宮崎大)

7C-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名光知覚神経ネットワークにおける高品質・高信頼化のための通信特性検証
著者*花田 雄一, 阿部 伸俊, 篠宮 紀彦, 勅使河原 可海 (創価大学工学部)
Pagepp. 1572 - 1579
Keyword光ファイバセンサ, 光通信, イーサネット
Abstract 近年,光ファイバ通信の発展に伴い,FTTH(Fiber To The Home)に代表されるようなブロードバンドサービスが,一般の家庭や小規模オフィスへ幅広く普及している.さらに,光の散乱特性を利用し,光ファイバ自体をセンサとして機能させるヘテロコア光ファイバセンサが開発され,様々な環境情報をモニタリングするための研究が行われている.これら別々に発展している通信とセンシング両機能を,同じファイバシステムのインフラによって実現できれば,様々な効果が期待できる.本研究では,このような通信とセンシングを融合させた“光知覚神経ネットワーク”(Optical Sensory Nerve Network:OSN)を対象に研究開発を進めている.  OSNは,ヘテロコア光ファイバセンサとEthernetスイッチから構成される通信とセンサの併用ネットワークである.ヘテロコア光ファイバセンサとは,光を漏らす点(ヘテロコア部)を作為的に作ることによって曲げに対する感度を高め,センサとして機能させる.このシステムでは,センサ情報をそのまま伝送することが可能であり,その情報を取得することによって空間の環境情報などを把握することができる.つまり,ドアや窓などの開閉時にヘテロコア部の曲率が変化するモジュールをファイバ上に導入することにより,データ通信とセキュリティ監視を同一のファイバで実現することができる.  しかし,ヘテロコア光ファイバセンサを通信リンクとして用いる上で懸念すべき点がある.システム内でセンシングする際,光ファイバのヘテロコア部には曲げが与えられ,光の強度が減衰する.この光強度の減衰は,通信の観点から見ると,受信機に入る信号が減衰するため,符号誤り率の増加を招く恐れがある.さらに光信号が受光感度を下回った場合には信号自体を認識できなくなり,リンク断を引き起こす.  OSNでは,上記のリンク断問題を解決するため,Ethernetにおける冗長化機構であるRSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)を適用している.しかし,データ転送実験により,通常のネットワークよりもOSNの方がリンク断発生時の通信断時間が長いという通信特性が明らかにされた.さらに,リンク断箇所やネットワーク構成の違いに依存して,通信断時間が異なることも明らかになった.  これまでは,ネットワークを単純なリング型にのみ接続して実験を行ってきた.一般的には,ネットワークの冗長度を高めるために,より複雑な構成になっているため,OSNにおけるネットワークトポロジの違いが,通信品質にどのような悪影響を及ぼすのかを検証する必要がある.実証実験では,6台のスイッチを使用し,異なるネットワークトポロジの構成法によって,ネットワーク全体の平均通信断時間を測定した.実験結果から,ネットワーク全体の平均通信断時間が長くなる場合のトポロジ特性が明らかになった.また,同一のトポロジにおいても代替経路のリンクコストを変えることによって,経路切り替えが数回行われてしまい,通信断時間が長くなるという結果も得られた.今後は,実験によって得られた通信特性を基に,OSN構成法に関する要求事項を分析し、高品質・高信頼なネットワーク設計手法の検討を行っていく.

7C-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名Mobile IPv6を用いた通信回線共有方式における中心端末の外部リンク切断に伴う通信途絶回避方法
著者*谷本 慧, 石原 進 (静岡大学)
Pagepp. 1580 - 1587
KeywordMobile IPv6
Abstract筆者らは,近接した複数の移動端末(Mobile Node:MN)が短距離高速リンクを用いて一時的なネットワーク(Alliance)を構築し,複数のMNが持つインターネットへの経路(外部リンク)を同時に利用して,各端末が利用可能な帯域を増大する手法:通信回線共有方式SHAKE(SHAring multipath procedure for a cluster networK Environment)を提案している.SHAKEを利用し,複数経路通信を行う端末をAlliance Leader(AL),ALのためにトラフィックを転送する端末をAlliance Member(AM)と呼ぶ.Mobile IPv6(MIPv6)を用いたMIPv6 SHAKEでは,ALおよびAMの外部リンクのアドレス(External Address:EA)をHome Agent(HA)に登録するが,このEAに対応するHome Address(HoA)を持つALの外部リンクが切断すると,複数の経路すべてが利用できなくなるという問題点があった.これはEA登録にHoAを持つALの外部リンクのみを用いているためである.本稿では,ALの外部リンクが切断しても他の経路を利用することで通信を維持するNever Disconnect SHAKE(ND SHAKE)を提案する.ND SHAKEでは,ALが自身の外部リンクが使用できない場合に,AMの外部リンクからAMのEA(以下,EAM)の登録を行うことで,ALとインターネット間の通信を維持する. MIPv6 SHAKEでは,ALが自身の外部リンクからBinding Update(BU)を送信する場合,BUの送信元アドレスにALのEA(以下,EAL)を設定する.しかし,ALの外部リンクが切断した場合,EALが使用できなくなる.そこでND SHAKEでは,EALではなく,EAMをBUの送信元アドレスとする.これはAM-HA間でイングレスフィルタリングによりBUが破棄されるのを防ぐためである.ALは,AMの外部リンクからHAにEAMの登録を行うために,まずAllianceを介してAMにBUを送信する.ALからBUを受信したAMは,HoA optionで示されているアドレスが,自身が保持しているALのHoAと一致していればAM自身の外部リンクからALのHAへBUを転送する. HAでは,EAMの登録が完了すると,Binding Ack(BAck)を送信する.BAckはBUの送信元アドレスに対して送られるため,HAはBAckの宛先アドレスとしてBUの送信元アドレスであるEAMを設定し,さらにALのHoAを含んだタイプ2経路制御ヘッダを挿入して送信する.AMはBAckを受信すると宛先アドレスとタイプ2経路制御ヘッダに含まれているALのHoAを入れ替える.そして,BAckの宛先アドレスがALのHoAである場合,Allianceを介してALに転送する.  また,MNと通信相手(CN:Correspondent Node)間で直接通信可能なMIPv6の経路最適化をND SHAKEでも行う方法について検討を行った.ND SHAKEにおいて経路最適化を実現するためには,ALがAMの外部リンクからReturn RoutabilityおよびCNへEAMの登録を行う必要がある.しかし,AMがHome Test(HoT)を受信した場合,HoTはIPsecのESPにより暗号化されており,AMはこのHoTをALへ転送すべきかどうかを知ることができない.従って,AMはALへ転送せず破棄してしまう.Care-of Test(CoT)を受信した場合,CoTは暗号化されていないが,同様にAMはCoTを破棄してしまう.そこでHome Test Init(HoTI)に,新たに用意したSHAKE(S)フラグを追加する.ALはこのフラグをオンにして,EAMを送信アドレスとしたHoTIをAllianceを介してAMに送信する.AMはHoTIをALのHAへ転送し,HAではSフラグを追加したHoTIを受信すると,HoTIに含まれているHome Init Cookie(HoIC)を保持する.HAはCNからのHoTを受信すると,HoTに含まれているHoICが,保持しているHoICと一致しているかを確認する.一致している場合は,HoTにALのHoAを含んだタイプ2経路制御ヘッダを挿入してAMに送信する.AMはタイプ2経路制御ヘッダを処理し,宛先アドレスがALのHoAである場合はAllianceを介してALに転送する.また,ALからAllianceを介してCare-of Test Init(CoTI)を受信したAMは,CoTIに含まれているCare-of Init Cookie(CoIC)を保持し,CNへCoTIを転送する.CoTを受信すると,CoTに含まれているCoICと保持しているCoICが一致しているかを確認し,一致していればAllianceを介してALへ転送する.

7C-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名プロキシ中継型Mobile PPCの検討
著者*張 冰冰 (名城大学大学院理工学研究科情報科学専攻), 鈴木 秀和 (名城大学大学院理工学研究科電気電子・情報・材料工学専攻), 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1588 - 1592
Keyword移動通信, Mobile IP, Mobile PPC, Proxy, モバイル
Abstract ノートパソコンやPDA(Personal Digital Assistant)などのモバイル端末の普及や無線ネットワークの環境の普及により,いつでも誰でもどこからでもネットワークへのアクセスが可能なユビキタス社会を実現するために,移動しながら通信を行える環境が要求されている. TCP/IP では,IPアドレスがノード識別子の役割だけではなく端末の位置情報を含んでいるため,端末が通信中に異なるネットワークに移動すると異なるIP アドレスを取得する.トランスポート層ではIP アドレスが通信識別子の一部に用いられており,端末が移動してIP アドレスが変化すると別の通信と判断され通信が継続できない.そこで,端末が移動してIP アドレスが変化しても,それまで行われていた通信を継続させる移動透過性の研究が盛んに行われている.移動透過性を実現する技術には,特殊な第3 の装置を使用するプロキシ方式とそれを必要としないエンドツーエンド方式がある.プロキシ方式は,移動端末と通信相手の間にプロキシサーバを置き,そのプロキシサーバが移動端末のIP アドレスの変化を隠蔽させる.エンドツーエンド方式は通信する両端末間で課題を解決し,上位のソフトウェアに対してIP アドレスの変化を隠蔽する.  プロキシ方式で移動透過性を実現する方式としてMobile IPが提案されているMobile IP は, プロキシサーバとしてHA(Home Agent)を使用する.HA は移動端末(以下,MN)のIP アドレスの管理や通信相手端末(以下,CN)からMN へ送信された通信パケットを受信し,MN へカプセル化転送を行う役割を持つ.MN からCN へ通信パケットは直接送信される.この方法によりMNが移動してIP アドレスが変化しても通信を継続させることができる.しかし,Mobile IP はHA が必須であり,通信経路がそのHA を経由するために冗長な三角経路となる.また,MNとHA間ではカプセル化が行われるために,オーバヘッドが発生し,通信効率が低下するという課題がある.  そこで我々は,移動透過性を実現する一方式としてエンドツーエンド方式で移動透過性を実現するMobile PPC(Mobile Peer to Peer Communication)の研究を行っている.Mobile PPC は,通信開始において通信相手端末のIP アドレスを知る方法と通信中に移動した通信相手端末のIP アドレスを知る方法を分けて考えている.前者の解決には,既に実用化されているDynamic DNS(以下,DDNS) を使用し, 後者の解決に対してMobile PPC を使用する.Mobile PPC では,MNとCN間で通信を開始する際,認証ネゴシエーションを行って暗号鍵を共有する.その後,暗号化したTCP/UDP通信を開始する.このとき,両端末はIP 層にIPアドレス変換テーブルCIT(Connection ID Table)を生成する.CITには端末の移動前と移動後のコネクションID情報が含まれている.しかし,この時点ではMNは移動していないため,移動後の情報は空の状態となっている.  MN が別のネットワークへ移動し,新たなIP アドレスを取得した場合は,MN はCNに対して新しく取得したIP アドレス情報を含むICMPパケットを送信し,両端末のCITに移動後の情報を追加する.以後の通信パケットは,更新したアCITをもとにアドレス変換処理を行う.この方式によりエンド端末の上位ソフトウェアからIP アドレスの変化を隠蔽することができ,通信を継続させることが容易に実現できる.  Mobile PPC では, CN がMobile PPC の機能を実装していなくても通信を開始することは可能であるが、MNが異なるネットワークに移動すると,通信を継続させることができない. CN はインターネット上の一般サーバである可能性もあるので,それらに改良を加えてMobile PPCの機能を実装することは望ましくない.そこで, CN がMobile PPC を実装していない場合でも,移動透過性を保証するための仕組みがあることが望ましい.これらの課題を解決するためにMobile PPCのプロキシ型GEP(GSCIP Element for Proxy)を用いた手法を提案する.本提案では, CN がMobile PPCを実装していない場合はGEPを経由してアドレス変換を行い,通信パケットをCN に中継させる.この方式によりCNは通信相手がGEP のように見えるため,MN が移動してIP アドレスが変化しても通信を継続させることが可能となる.

7C-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名IPv4/IPv6混在環境で移動透過性を実現するMobile PPCの検討
著者*寺澤 圭史, 鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学)
Pagepp. 1593 - 1599
Keyword移動透過性, Mobile IP, IPv6, デュアルスタック
Abstract「IPv4/IPv6混在環境におけるMobile PPCの検討」 IPv4 がIPv6への移行は必然と考えられているが,IPv6 へ一挙に移行するのは困難であり,当分の間IPv4 とIPv6 が混在するネットワーク環境が続くと予想される.このようなネットワーク環境においても,移動透過性を実現できることが望ましい. 我々はIPv4 における移動透過通信を実現する技術として、Mobile PPC(Mobile Peer to Peer Communication)[1]を提案している.Mobile PPCは,エンドエンドで移動透過性を実現できる通信プロトコルである. IP層にCIT(Connection ID Table)と呼ぶアドレス変換テーブルを保持し,通信中にIPアドレスが変化した場合,CU(CIT UPDATE)ネゴシエーションを行ってCITを更新する.移動後の通信は,更新されたCITに従ってアドレス変換を行うことにより上位層からIPアドレスの変化を隠蔽して通信を継続する. 現在のMobile PPCはIPv4スタックへの実装を完了しており,IPv6スタックにも同様の考え方で適用可能である.しかし,IPv4とIPv6のネットワーク間を端末が移動した場合,アドレスの変化だけでなくアドレス体系も変化するため現在のままでは通信を継続することができない.本研究では,Mobil PPCv4とMobile PPCv6を統合し,IPv4/IPv6混在環境においても自由に移動可能なMobile PPCを提案する. IPv4/IPv6混在環境における移動パターンは,MN又はCNどちらかがデュアルスタックネットワークに存在する互換ネットワーク間通信とCNとMNがそれぞれIPv4ネットワークとIPv6ネットワークに存在する異種ネットワーク間通信の二つに分けられる. 前者のパターンでは,Mobile PPCv4とMobile PPCv6を統合し,かつIPv4とIPv6のアドレス体系の違いを吸収するトランスレータ機能の追加が端末に必要となる.Mobile PPCの統合は,移動前と移動後のアドレス体系が異なっていても変換を可能とする.トランスレータ機能はIPv4とIPv6ヘッダを相互に変換し,アドレス体系の変化を吸収する.移動時の通信動作は以下のとおりである.デュアルスタックネットワークに存在するCNとIPv6ネットワークに存在するMNがIPv6通信をしているときにMNがIPv4ネットワークに移動した場合,IPv4通信しか行えない.そこで,送信時は上位層から送られてくるIPv6パケットをトランスレータによりIPv4パケットへ変換し,かつMobile PPCでアドレスを変換を行うことによりIPv4通信を行う.受信時は,受け取ったIPv4パケットをトランスレータによりIPv6パケットに変換し,Mobile PPCでアドレス変換を行ってから上位層にIPv6パケットを送る. 後者のパターンでは,IPv4ネットワークと IPv6ネットワークの間にNAT-PTがあることを前提としMobile PPCプロトコルにMappingネゴシエーションを追加する. NAT-PT は,パケットのIP ヘッダをv4とv6の間で相互に変換して,異種ネットワーク 間の通信を可能にする装置である. 移動時の通信動作は以下のとおりである.CNとMNがIPv4ネットワークでIPv4通信中に,MNがIPv6ネットワークへ移動する.IPv6ネットワークへ移動したMNはNAT-PTから配布されているプレフィックスを元にNAT-PTのIPv6アドレスを作成する.次に,Mappingネゴシエーションを行うことにより,NAT-PTのIPv4ネットワーク側のアドレスを取得し,NAT-PTのマッピングテーブルの生成を行う.最後に,CUネゴシエーションによりCNとMNがお互いNAT-PTが通信相手となるようにCITの内容を更新する.


セッション 7D  シミュレーションと交通予測(ITS)
日時: 2008年7月11日(金) 8:30 - 10:10
部屋: ペガサス
座長: 梅津 高朗 (大阪大学)

7D-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名統合シミュレータによる現実都市環境を模擬した車車間通信シミュレーション
著者*疋田 敏朗, 笠井 俊典, 吉岡 顕 (トヨタIT開発センター)
Pagepp. 1600 - 1605
Keyword車車間通信, ITS, 安全運転支援システム, ネットワークシミュレーション, 電波伝搬
Abstract我々は「シミュレーション要素」をプラットフォーム上で連携させ,対象となるITS 通信アプリケーションの系全体をシミュレートする統合シミュレータの開発を行ってきた.今回,我々は統合シミュレータの特徴である粗結合アーキテクチャを活用し,電波伝搬シミュレータを都市環境向きのシミュレータに変更するとともに,その処理フローを変更することで電波伝搬計算について1000 倍近い高速化を行った.また実際の都市データを元とした3D データを地形データとして活用できるように拡張することで現実の都市環境に極めて近い環境をシミュレータ内に作り出すことに成功した.これらの拡張により,実際の都市を模した3D データ数万ポリゴンが存在する環境においても100 台規模の車車間シミュレーションが可能となった. 本拡張により,従来は大変困難とされていた都市部を模擬した大量の車戴機が存在する環境において,車車間通信アプリケーションによる高度な影響評価が可能であることを確認した.

7D-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名交通流シミュレーションと通信システムシミュレーションの統合
著者*大和田 泰伯, 前野 誉 (スペースタイムエンジニアリング), 高井 峰生 (早稲田大学)
Pagepp. 1606 - 1610
KeywordITS, シミュレーション, モバイルシステム
AbstractITS をシミュレートする際、交通流と無線通信システムの挙動は相互依存の関係にあるため、両方のモデルを含むシステムモデルを構築し総合的にシミュレーションを行う必要がある。しかし、交通流は通常タイムステップを用いてモデル化されている一方、無線通信システムは離散事象システムとしてモデル化されているため、モデル化のパラダイムが大きく異なり、単純に統合を行っても非常に効率の悪いシミュレーションとなる。本稿では交通流モデルと無線通信システムモデルを統合してシミュレーションを行う際に生じる問題点を幾つか挙げ、その対策について議論する。

7D-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名長期休暇中の旅行時間を予測するための統計交通情報の検討
著者*奥出 真理子, 藤原 淳輔 ((株)日立製作所日立研究所), 遠藤 芳則, 天谷 真一 ((株)ザナヴィ・インフォマティクス)
Pagepp. 1611 - 1615
Keyword交通情報, 旅行時間, 予測, 長期休暇, カーナビゲーション
Abstractゴールデンウィーク・盆・年末年始のシーズンには,長期間の連続休暇を取得して旅行を楽しむ人が多く,交通情報を利用するユーザが増え,より信頼できる交通情報が望まれる.しかしながら,このようなシーズンには,従来の統計交通情報では予測できない非日常的な交通状況が発生する.また,このシーズンに人々が取得する長期休暇は,暦上の休日とは限らないため,日種を特定することが難しい.そこで我々は,長期休暇の非日常的な渋滞が発生する日を「特異日」とし,特異日に対応した統計交通情報と日種カレンダーの設定方法を提案し,長期休暇の交通状況の予測を可能とした.本稿では,長期休暇以外の三連休をはじめとする連続休暇の活用を提案する.連続休暇中に発生する非日常的な渋滞を特異日に含めることによって,より新鮮な交通状況が統計交通情報に反映され,長期休暇の交通状況がより精度良く予測できることを確認した.

7D-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名プローブデータを用いたリアルタイム推定補完技術の評価
著者*蛭田 智昭, 熊谷 正俊 (株式会社日立製作所 日立研究所), 鈴木 研二 (株式会社日立製作所 CIS事業部 ), 横田 孝義 (株式会社日立製作所 日立研究所)
Pagepp. 1616 - 1620
KeywordITS, ナビゲーションシステム, プローブカー, 欠損, 補完
Abstract近年、プローブ交通情報システムが国内外問わず注目されている。このシステムは、車両自身が交通情報収集のセンサとして振舞い、プローブカーと呼ばれる車両が走行した位置情報、時刻情報などのデータを収集するものである。収集されたデータは交通情報センタにアップリンクされ、交通情報に変換され、提供される。このシステムの利点は、路上センサなどのインフラの必要が無く、低コストで広範囲の交通情報を取得できる点にある。 しかしながら、プローブデータを路上センサと同様に扱う場合、データの補完手段が必要になる。なぜならセンサであるプローブカーの走行経路は確率的なものであり、その情報品質は路上センサで収集される連続的な情報とは異なり、空間的・時間的に大きな欠損を含み得るためである。例えば、プローブカーの台数を全国で10万台とした場合、プローブデータが取得できる時間密度は、道路リンク当たり1時間に平均1回程度である。このプローブデータを現行の路上センサと同等の5分周期のデータとして利用する場合、同時刻でのデータのカバー率(全リンク数に対するプローブデータを収集できたリンク数の割合)は全体の1割程度である。よって路上センサと同様に扱う場合、欠損しているデータの補完手段が必要になる。補完手段の一般的な手法として、現況のプローブデータを一定時間保持する、つまり、補完データとして、直近に提供された過去のプローブデータを提供する手法(前置補完技術)がある。この方法は安定した補完情報を提供することはできるが、補完情報の精度と補完できるデータ数は、プローブデータのカバー率に依存する。プローブデータのカバー率が高い場合、過去のプローブデータを保持する時間を短くしても、多くの欠損データに精度の高い補完情報を提供することができる。しかし、プローブデータのカバー率が低い場合、過去のプローブデータを保持する時間を長くすることで、多くの欠損データに補完情報を提供できるが、その精度は低いものになる。なぜなら、過去に提供されたプローブデータで欠損データを補完しているため、現況の交通状況を反映できない可能性があるためである。 この解決策として、特徴空間を用いたプローブデータのリアルタイム推定補完技術が報告されている。これは、道路間の混雑の相関を、特徴空間と呼ばれるモデルで表現し、情報の得られている道路の状況から、他の道路の状況を推定することで、欠損しているデータを補完する技術である。道路間の相関現象は、例えば、幹線道路と駅前の道路が同時に混雑することなどに見られる。この道路リンク間の相関パターンを基底ベクトルと言う。さらに基底ベクトルの集合を特徴空間という。リンク間の相関パターンを抽出するためには、蓄積した過去のプローブデータを用いる。 このリアルタイム推定補完技術では、プローブデータのカバー率が5%以上であれば、安定した推定補完を行うことを筆者らは報告済みである。さらに、蓄積した過去データの欠損率が低い場合でも、過去データの蓄積期間を延長することで、十分な特徴空間を生成できるという特徴空間の性質を報告した。ここの特徴空間が十分であるとは、抽出した道路リンク間の相関パターンが、実際の道路間の混雑の相関を十分に表すことができる状況をいう。 しかし、プローブデータのカバー率と、その欠損データを補う前置補完技術の精度及びリアルタイム推定補完技術の精度の関係は明らかにされていない。このため、さまざまなプローブデータのカバー率に対して、欠損データを補完するには、どの方法が適しているのかを決めることが困難であった。 そこで本報告では、プローブデータのカバー率と前置補完技術の精度、リアルタイム推定補完技術の精度の関係は明らかにし、プローブデータのカバー率に応じた適切な補完技術を明らかにする。


セッション 7E  アドホックネットワークセキュリティ(MBL)
日時: 2008年7月11日(金) 8:30 - 10:10
部屋: コスモ(1)
座長: 神崎 映光 (阪大)

7E-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名VANETにおける孤立端末が生成した位置依存情報の信憑性評価方法
著者*深谷 大樹 (静岡大学大学院), 石原 進 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1621 - 1627
KeywordVANET, 位置情報, セキュリティ
AbstractVehicular Ad hoc Networks(VANET) では, 車両 が自身の位置及びその位置で取得した位置依存情報(位置,交通,広告情報など) を他端末に配信することにより衝突回避や広告配信などに利用することが考えられている.そのためVANETでは配信情報に含まれる端末の位置が大きな意味を持つ.例えば端末が他端末とマルチホップで通信する際に,本来その通信経路に含まれていない端末が,その通信経路に含まれるようにするため自身の位置情報を偽る.これにより不正に取得することが可能となる. このような位置情報を偽る端末による問題に対して,M.Rayaらは,相互に直接通信可能な複数端末が,同一地域で同様の情報が取得できたかによって信憑性の判定を行う手法を提案している.しかし端末が他端末と通信ができない状態(孤立状態) では,提案手法の前提(同一地域で複数の端末が同じ情報を取得する) が成り立たない.そこで本稿では端末が孤立した状態で観測した位置依存情報の信憑性を,その端末が孤立していないときに他端末と交換した情報に基づいて評価する方法を提案する.  孤立端末が生成した位置依存情報の信憑性判定手法の前提として,多くの車両が移動先で位置依存情報(センサ情報,渋滞情報等) を取得し,それを他の車両と共有する状況を考える.VANET を構成する各車両に搭載された端末は観測可能範囲内に存在する他端末の位置を観測できる.端末は他端末を観測すると,観測情報にデジタル署名を付加してブロードキャストする.この時,端末が固有の識別子を用い続けると位置トラッキングが可能となるため,各端末は複数の識別子を定期的に変更する.ただし,端末が孤立中に識別子を変更すると孤立前と孤立後の識別子の対応づけができなくなるため,端末は孤立中に識別子を変更しない.  以上のような前提で,端末i が孤立中の時刻t1 に位置P(i, t1) で生成した位置依存情報L(i, t1, P(i, t1)) を受信した端末j が,受信した位置依存情報L(i, t1, P(i, t1)) の信憑性評価を行うまでの動作を述べる.  端末i が孤立中の時刻t1 に位置P(i, t1) で生成した位置依存情報L(i, t1, P(i, t1)) を端末j に送信する場合,孤立する以前に他の端末k により時刻t0,位置P(i, t0) において観測された最も新しい端末i の観測情報I(k, i, P(i, t0), t0) と孤立直後に他の端末l に観測された観測情報I(l, i, P(i, t2), t2) を位置依存情報L(i, t1, P(i, t1))と共に端末j に送信する.端末j は受信した位置依存情報L(i, t1, P(i, t1)) と観測情報I(k, i, P(i, t0), t0) 及び,道路毎に定められた端末の最大移動速度Vmax を用いて,時刻t0 からt1 における端末i の移動可能範囲Ai,t0 を求める.Ai,t0 は中心がP(i, t0),半径r0 = Vmax(t1 − t0) の円である.同様にして位置依存情報L(i, t1, P(i, t1)) と,孤立後の端末i の観測情報を用いて端末i の移動可能範囲Ai,t2 を求める.求めた移動可能範囲Ai,t0 ,Ai,t2 の積集合が,端末i の時刻t1 における予測エリアAi,t1 である. Ai,t1 が以下に示す二つの条件を満たす時,孤立端末が生成した位置依存情報に信憑性があるとみなす. (1)孤立端末i が生成した位置依存情報L(i, t1, P(i, t1))の生成位置P(i, t1) が予測エリアAi,t1 内に存在する. (2)Ai,t1の面積|Ai,t1 | が,閾値α よりも小さい.(閾値αは各端末が任意に設定したセキュリティレベルにより決定される)  提案手法には,悪意のある孤立端末が偽りの位置依存情報を生成した場合に,その情報に付加する自身に対する観測情報を,自身が複数保持している識別子を用いて作成するという問題がある.この問題に対する対策として,位置依存情報の信憑性を評価する端末が,受信した位置依存情報の生成端末が同一端末であるかを端末の識別子を管理している認証局に問い合わせることが考えられる.しかし,認証局を介したこのような確認を許容すると,定期的に変更される各端末の一連の識別子について調べることにより,第三者が容易に端末の位置トラッキングが可能になる.従って,このような機能を認証局が提供することは適切ではない.  そこで,フラッディング等により配信された端末に対する観測情報とビーコンを,位置依存情報生成端末以外の端末からマルチホップで受信することで,位置依存情報の信憑性評価を行う方法が考えられる.しかし,この手法ではネットワーク負荷が大きいため,観測時刻からの経過時間,観測地点からの距離,観測端末からのホップ数などに基づいて, 観測情報とビーコンを間引きながら配布するなどの工夫が必要である.  VANETにおける孤立端末が観測した位置依存情報についての信憑性評価手法を検討した.今後,特に孤立端末の送信する自身への観測情報を信用しない場合に注目して,シミュレーション等によって提案手法を適用可能な条件について検討する予定である.

7E-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名アドホックネットワーク(VANET,MANET)のセキュリティ評価項目の明確化とセキュリティ要素の相互補完可能性の検討
著者*森 拓海, 森 郁海 (公立はこだて未来大学大学院), 小野 良司, 撫中 達司 (三菱電機情報技術総合研究所), 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 1628 - 1635
Keywordアドホックネットワーク, VANET, MANET, ITS, セキュリティアーキテクチャ
Abstractアドホックネットワークの代表的モデルとしてMANET(Mobile Ad hoc Network)とVANET(Vehicular Ad hoc Network)がある.MANETはモバイル機器をノードとするP2Pネットワークとして,VANETは車載機と路側機をノードとする車車間/路車間通信として研究されている.これらは互いに,ハードウェア,プロトコル,アプリケーションなどが異なり,そのセキュリティも個別に議論されてきた.VANETにおけるセキュリティは,ITS関連の団体などで研究と標準化が進められている.VANETのセキュリティアプローチでは,想定されるアプリケーションを限定してセキュリティ脅威のスコープを絞ることで,効率的なセキュリティアーキテクチャの確立をめざしている.MANETではIETFにより多くのルーティングプロトコルが議論され,AODV,OLSR,TBRPFなどがRFCで仕様化されている.MANETにおけるセキュリティアプローチは,ルーティングプロトコルをベースとしたネットワーク層のセキュリティ機構を主眼としている.本稿は,アドホックネットワークにおけるセキュリティ脅威への対策を適切に行うための,OSI参照モデルの各層ごとにセキュアプロトコルスタックを作成し,セキュリティ評価項目を作成することを目的とする.この目的のため,VANET,MANETのネットワーク構成を各層ごとに想定し,2つのアドホックネットワークにおいて使用可能なセキュリティを調査した.既存研究では,VANETはアプリケーションごとにセキュリティ要件が異なる.一方で,MANETでは使用されるアプリケーションの種類が明確化されていない.そこで,我々は,アプリケーションに依存しない攻撃を中心に調査を行い,対応するセキュリティを考察した.その結果,多くの部分で互いに類似したセキュリティ技術が使用されていることが判明した.その結果をもとにセキュリティ評価項目を作成し,要求されるセキュリティがMANET,VANET間で相互補完可能性を検討した.

7E-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名アドホックネットワーク(VANET,MANET)におけるセキュリティの定性評価とセキュアルーティングプロトコルの現状と課題
著者*森 郁海, 森 拓海 (公立はこだて未来大学大学院), 小野 良司, 撫中 達司 (三菱電機情報技術総合研究所), 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 1636 - 1643
KeywordMANET, VANET, セキュリティアーキテクチャ, セキュリティメカニズム, セキュアルーティングプロトコル
Abstractアドホックネットワークの代表的モデルとしてMANET(Mobile Ad hoc Network)とVANET(Vehicular Ad hoc Network)がある.MANETはモバイル機器をノードとするP2Pネットワークとして,VANETは車載機と路側機をノードとする車車間/路車間通信として研究されている.VANETにおけるセキュリティはITS関連の団体などで研究と標準化が進められている.VANETのセキュリティアプローチでは,想定されるアプリケーションを限定してセキュリティ脅威のスコープを絞ることで,効率的なセキュリティアーキテクチャをめざしている.MANETではIETFにより多くのルーティングプロトコルが議論され,AODV,OLSR,TBRPFなどがRFCで規格化されている.MANETにおけるセキュリティアプローチは,ルーティングプロトコルをベースとしたネットワーク層のセキュリティ機構を主眼としている.MANETで議論されている既存のセキュアルーティングプロトコルでは,ネットワーク層を含む下位層で行われる可能性のあるすべての攻撃を防ぐことは,一般に困難である.個々の具体的なセキュアルーティングプロトコルを使用した場合に確保されるセキュリティを明確化することで,各セキュアルーティングプロトコルについて残された脅威を整理し,これよりも上位または下位の層で対策しなければならないセキュリティ要件を明確化することができる.一方ITS関連の団体などで研究されているVANETのセキュリティアーキテクチャでは,セキュアコミュニケーションで用いる具体的なセキュアルーティングプロトコルは含まれていない.本稿では,現時点で利用できるセキュアルーティングプロトコルに対してその利用条件を挙げるとともに,現状での課題を明確化する.

7E-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名MANETにおける汎用OSを用いたセキュリティメカニズムの応答性評価
著者*宇野 美穂子, 小口 正人 (お茶の水女子大学大学院)
Pagepp. 1644 - 1650
Keywordモバイルコンピューティング, モバイルネットワーク, セキュリティ
Abstract 近年,無線通信技術の進歩に伴い,様々な形態の無線ネットワークが考えられるようになった.特に,既設のインターネットなどインフラネットワークとの接点を持たず,無線LAN機能を持つ端末のみでネットワークを構築することで,より自由な形でネットワークを構築できるMANET (Mobile Ad-hoc Network)が,大いに注目されている.MANETでは,ノードがある程度広い範囲に分散している場合など目的のノードへ直接通信できない時に,途中ノードが通信を中継していくことでより広範囲の通信を可能にしている.このように構築されるネットワークを,一般にマルチホップネットワークと呼ぶ.  マルチホップネットワークでは,各端末が通信経路の制御等を行うルーティングプロトコルに従ってルーティングを行い,ネットワークを構築している.このためノードの参加や離脱によるネットワーク構成の変化を気にすることなく,無線の電波範囲にとらわれない通信が行えるため,ユビキタスネットワーク実現する技術として大いに期待されている.利用法としては,例えば,災害時やイベント会場などでの通信やインフラが整備されておらずアクセスポイントの電波が届かない場所での通信,車車間通信などが挙げられる.  一般に無線通信は有線と比べ通信の傍受や改竄がされやすい環境であり,セキュリティを考慮することは必要不可欠である.特にMANETのような環境は不特定多数のノードが存在し,知らない相手が通信経路に加わるため,よりセキュリティ上の危険性が高くなる可能性がある.  MANETにおけるセキュリティ技術は現在研究が広まりつつあるが,その提案の多くはアクセスポイントなどの固定インフラを介し,一時的にインターネットに接続できるような環境を前提としている.しかしマルチホップネットワークにおいては,固定インフラの存在しない状況で安全な通信が必要となる場合も考えられる.そのため,固定インフラの存在しないネットワークにおいても有効となり,かつネットワーク構成の変化にも柔軟に対応するセキュリティ対策が求められる.ただし,利用環境により認証強度や応答時間の要求は異なるという点を配慮する必要がある.ユーザやアプリケーションの制約によっては,応答時間が長過ぎるセキュリティメカニズムの利用は難しい.  そこで本研究では,セキュリティメカニズムのリアルタイム性に着目した.リアルタイム制御可能なシステムには組込みOSと汎用OSがあるが,前者は厳格なリアルタイム制御を実現しやすいものの,拡張性が乏しい.よって,プラットフォームとしては応用範囲の広い汎用OSを用いることにした.マルチホップ通信環境を構築してセキュリティメカニズムを実装し,プリエンプション機能を有効にするためにカーネル再構築を行った後,CPUに与える負荷を変化させてそれぞれの場合での応答時間を測定し,アプリケーション負荷などによる影響を評価する.また、逆にセキュアコネクション構築のプロセスの条件を変えて、ストリーミングのアプリケーションに影響を与えるかどうか測定し、評価する。


セッション 7F  ナビゲーション(DPS)
日時: 2008年7月11日(金) 8:30 - 10:10
部屋: コスモ(2)
座長: 重野 寛 (慶大)

7F-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名天気の変化に対応可能な観光スケジュール作成手法
著者*武 兵 (奈良先端大), 村田 佳洋 (広島市立大), 柴田 直樹 (滋賀大), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端大)
Pagepp. 1651 - 1660
Keywordコンテキストアウェアナビゲーション, 位置情報システム, ITS, スケジューリング
Abstract現在,観光旅行は人々がリラックスする手段のひとつになっており,特に個人旅 行の人気はますます高まっている.しかし,満足の行く観光旅行を立案するには 様々な要因を考慮しなければならない.例えば,季節によって最適な観光地を選 び出すことや,旅行中の天気の変化により訪問する観光地を変更することは,観 光スケジュール作成の際にはよく考慮すべき問題である.中国は面積が広く,地 形が複雑で,気候がよく変化する国である.同一の地域でもごく短い間に天気は 急激に変化する可能性がある.また,天気予報がはずれることも多い.本稿では, このような問題を効果的に解決するための観光スケジュール作成手法を提案する. 本稿で提案する観光スケジュール作成手法は,天気の変化に対応可能な観光案内 を目的としたパーソナルナビゲーションシステムにおいて使用することを想定し ている.提案手法では,以下を基本方針として採用する. ・観光の前に,天気予報に基づいてスケジュールを作成する. ・観光地の属性および訪問する時の天気によって観光地の満足度が変化すること を考慮してスケジュールを作成する. ・天気予報ははずれる場合が多いので,途中で天気が変わることを想定した分岐 を含むスケジュールを計算し,予想される満足度総和の天気予報に対する期待値 を最大化する. ・観光地の満足度の総和を最大化するとともに,移動距離を最小化する. ・一日の観光時間,各観光地に対する重要度(魅力),各観光地での希望到着時 間および希望滞在時間などの制約を満たす観光地巡回スケジュールを作成する. 提案手法における入出力は以下の通りである.入力は, (1)出発地点,出発時刻,帰着地点,および帰着時刻, (2)複数の訪問したい観光地の候補(観光地の名称,重要度(魅力),属性( 屋外型,室内型,その他),時間制約(営業時間など),滞在時間), (3)時間帯ごとの天気予報(各時間帯における晴れ,曇り,雨の確率), (4)各観光地の天気による重要度の変化度合(天気の時は100%の満足度とな るが,雨の場合は満足度が50%に低下するなど)である.(2),(3),(4) はデータベース入力としてシステムに事前に与えられるものとする.(1)およ び(2)の各観光地の重要度,時間制約,滞在時間はユーザが与える,もしくは, デフォルト値から変更できるものとする. 出力はツリー形式のスケジュール(スケジュール木と呼ぶ)である.スケジュー ル木の各ノードは観光地に対応し,根は出発地点,葉は帰着地点を表す.各ノー ドからは次に訪問する観光地への分岐が出ており,晴れの場合,曇りの場合,雨 の場合に対応させる(分岐確率は,親ノードでの滞在が終わった時刻における天 気予報に基づく). スケジュール木の評価は,木のすべてのノードに対して,対応する観光地を 訪れた際の満足度と天気の確率を掛け合わせたものの総和(すなわち,期待満足 度)により行う.期待満足度を最大化するスケジュール木の算出は組み合わせ最 適化問題であり,最適値を実用時間で求めるのは困難なので,本稿では,以下の ヒューリスティックアルゴリズムを採用する. (A)出発地点をスケジュール木の根ノードとして組み込む.根ノードを注目ノー ドとする.現在時刻を出発時刻とする. (B)現在注目しているノードに,晴れ,曇,雨の分岐を追加する. (C)各場合(晴れ,曇り,雨)について,重要度と天気による変化度合を掛け 合わせた値が最大の観光地iを選択し,子ノードとして追加する.現在時刻に, 観光地iへの移動時間および観光地iでの滞在時間を現在時刻に加える. (D)各子ノードを注目ノードとして,(B)からの手順を繰り返す.ただし, 現在時刻+帰着地点への移動時間≧帰着時間となる時は,終了する. 北京市街図に対して提案手法を適用し評価を行った.実験環境として,CPU Celeron 1.30GHz,メモリ 768Mbyte,OS WindowsXP Professionalの計算機を使 用した.実験では,北京市内の観光候補地数を363,目的地間の移動速度を時速 20km/hとした.結果,総期待値が9628となるスケジュール木を瞬時に算出できる ことがわかった.今後,最適値との比較,実際の天気の変化をあてはめた時のユー ザの実際の満足度などの評価を行う予定である.

7F-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名床面標識情報案内システムCompassMarkによるUser Generated ID実証実験
著者*渡辺 浩志, 木原 民雄 (NTTサイバーソリューション研究所), 小川 克彦 (慶應義塾大学)
Pagepp. 1661 - 1668
Keyword携帯電話, ナビゲーション, 方向
Abstract人々は公共の空間を共有しながら日々の生活を営んでいるが,そこでの発見や体験を共有することは容易ではない.発見や体験は個人的なものであり,個人の発見や体験に基づく情報を実空間と結びつけて簡単に表現できるメディアはこれまで存在しなかった.本稿では,情報提供者がコンテンツと実空間を結びつける手法としてUser Generated ID (UGID)を提案する.UGIDは,情報提供者が識別子となるIDを実空間に設置し,IDと結びつけてコンテンツを記述することを基本コンセプトとしている.筆者らは,従来から研究を進めている床面情報案内システムCompassMarkを拡張してUGID機能を実装した.さらに,拡張したCompassMarkシステムを用いて秋葉原の市街で実証実験を実施し,UGID手法の有効性を明らかにした.

7F-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名WEBカメラを用いた物体検索システムのための対象記述言語
著者*池田 卓朗, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻), 山本 哲也 (神戸大学大学院/自然科学研究科情報・電子科学専攻), 寺田 努 (神戸大学大学院/工学研究科電気電子工学専攻), 柳沢 豊 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
Pagepp. 1669 - 1674
Keywordアノテーションシステム, 画像認識, ウェアラブル, ユビキタス, 拡張現実感
Abstract近年,カメラを搭載した携帯電話や小型PCの普及に伴い,小型で高性能なカメラが開発されている.また,計算機の処理能力の飛躍的な向上により,ものや人といった実世界の物体を,画像中から探し出す物体認識の研究が行われている.しかし,これらの多くは,研究者がそれぞれ研究を行っており,特定の認識対象のみを扱っているため,認識対象の表現が異なる.このため,複数の物体認識アルゴリズムを統合しようとした場合,統一的な表現で検索を行うことは困難である.本稿では,様々な物体を記述するための対象記述言語の提案・実装を行う.対象記述言語を用いることにより,表現が異なる対象に対しても対象を記述することができる.対象記述言語と物体認識アルゴリズムを組み合わせることにより,複数の物体認識アルゴリズムを統合できる実世界探索システムの構築を目指す.

7F-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名NAT-fを用いたホームネットワーク間相互接続方式の検討
著者*鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1675 - 1682
Keywordホームネットワーク, インターネット, NAT越え, DLNA, UPnP
AbstractDLNA(Digital Living Network Alliance)準拠の情報家電機器が普及し,ユーザはホームネットワーク内の機器間で容易にメディアコンテンツを共有することができるようになった.しかしDLNAは規格上,同一ネットワーク内でしか利用することができない.そのため,インターネットを経由して他のホームネットワークやモバイル機器からホームネットワーク内のDLNA機器とコンテンツを共有することを可能とした様々な方式が提案されている.本稿では筆者らが既に提案済みのNAT越え技術NAT-f(NAT-free protocol)にDLNA機能を追加するアプローチにより,ホームネットワーク内外のDLNA機器を相互に接続する方式を提案する.提案方式はDLNA機器だけでなく,ホームネットワーク内の全ての機器に対して宅外から通信を開始することができる.


セッション 7H  情報家電(UBI)
日時: 2008年7月11日(金) 8:30 - 10:10
部屋: ビューホール(1)
座長: 斉藤 健 (東芝)

7H-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名IMクライアントを用いた異種スマート環境制御のためのサービス推薦機構
著者*田中 宏一, 藤原 茂雄 (内田洋行), 岩崎 陽平 (名古屋大学大学院工学研究科), 榎堀 優, 中野 悦史 (立命館大学大学院理工学研究科), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部), 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1683 - 1691
Keywordスマート環境, ユビキタスコンピューティング, 遠隔コミュニケーション, ネットワーク制御, ユーザインタフェース
Abstract 将来のユビキタス社会では,多数のセンサや情報機器,各種ネットワークによって構築される環境,スマート環境が様々な場所に遍在すると考えられる.これらのスマート環境は,構築された場所に応じて,様々に異なる機器,サービス,アーキテクチャで実装されることが予想される.しかし,これまでの研究は単一のスマート環境に閉じていることが多く,遠隔かつ異種のスマート環境を接続するのは困難である.本稿では,異種のスマート環境間での遠隔コミュニケーションに着目し,異なるサービスをつなぎ合わせて,ユーザにサービスを推薦する「ぬえ」システムを提案する.  遠隔地とコミュニケーションする場合,一般的によく利用される機能としては,映像・音声によるコミュニケーション,PC画面共有,ファイル共有,共同編集作業,などがある.これらは既に各機能を実現するサービスや,用途に特化されたプロトコルが存在する.しかし,これらのサービスはそれぞれに固有の知識,設定が必要で,一般的なユーザが利用するには技術的な知識が不可欠である.また,異種のスマート環境間においては,VPNなどのネットワークの接続,異なるフレームワークとの接続,IPアドレスの入力などのネットワークアプリケーションの設定,といった課題がある.  このような課題に対し,我々は,必要な機能に最適なサービス・プロトコルを利用し,それらを貼り合わせることをコンセプトとした,「ぬえ」システムを提案する.「ぬえ」システムは,異なるサービスを組み合わせて自動的に実行できる機構,ユーザにサービスを推薦する機構を持つ.つまり,「ぬえ」システムは,異種のサービス・プロトコルに対するユーザインタフェースとなり,一連の設定・制御を自動化する.その際には,サービスそのものを使用するとともに,別稿の,遠隔のスマート環境のネットワークを接続する「PeerPool」,異なるプロトコルのスマート環境をRESTによりWebサービスとして公開するアーキテクチャ,遠隔ユーザに対してスケーラブルな権限管理を行うための「チケット認証方式」を使用する.  我々は,遠隔地とのコミュニケーションを行うシーンとして遠隔会議を選び,そこで利用されるサービスを検討した.遠隔会議での一連の作業を自動化する場合には次に挙げる機能が必要である.(1)ユーザ特定:会議相手を特定する.(2)プレゼンス交換:会議相手の状況を確認し,開始を呼びかける.(3)サービス情報の交換:各々の環境で利用できるサービスと,プロトコルやIPアドレスなどのサービス情報を相互に確認する.(4)サービス推薦:ユーザに利用可能なサービスを通知し,使用するかどうかを確認する.(5)ネットワークの接続:双方向の通信が必要なサービスのために,ネットワークのトンネリングを行う.(6)サービス実行:異種かつ遠隔のサービスを実行する.  ユーザを特定し,かつプレゼンス交換を行う仕組みとして,「ぬえ」システムでは,その用途に特化した標準的なサービス・プロトコルを利用する,というコンセプトから,現在最も利用されているインスタントメッセンジャー(以下,IM)を利用している.これにより,ユーザは特殊なソフトウェアをインストールしなくてもよい.ユーザは遠隔地とのコミュニケーションを始めるにあたり,IMによって会議相手とのチャットを始める.「ぬえ」システムはIMクライアントの機能を持っており,このチャットに参加することで,参加ユーザと接続先のスマート環境を把握する.  「ぬえ」システムは,接続先のスマート環境でどのようなサービスが利用できるかを,スマート環境のゲートウェイとなるWebサービスから取得する.また合せて,ネットワークのトンネリングに必要な設定情報と,サービスのセマンティクス,プロトコル,接続先(多くはIPアドレスとポート)の情報を受け取る.これにより,「ぬえ」システムは,遠隔のサービスの実行可能性を判断し,ユーザに対して利用可能なサービスを推薦する.ユーザへのサービス推薦は,システム側からユーザ側へPUSHされる情報であり,一方でユーザは利用するサービスをシステムに伝える必要がある.これら一連の対話的操作に関して,「ぬえ」システムはIMを利用して推薦を行う.推薦のメッセージは「ぬえ」システムの管理するWebサーバへのURLになっており,ユーザはリンクをクリックすることでサービスの利用を指示する.サービスを利用するとき,「ぬえ」システムは「PeerPool」に対してネットワークのトンネリングを指示し,合せてスマート環境のゲートウェイに対して,権限情報を表すチケットとともに,サービス実行を指示する.  このように,「ぬえ」システムではクライアント端末に一般的にインストールされているソフトウェアを利用して,スマート環境のアーキテクチャに依存しないユーザインタフェースを実現している.また,スマート環境やサービスの情報,設定を把握し,自動的にネットワークのトンネリングとサービス実行を可能にする.

7H-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名デジタル家電ネットワークにおける制御メッセージの経路制御方式
著者*田坂 和之, 今井 尚樹, 茂木 信二, 磯村 学, 井戸上 彰 (株式会社KDDI研究所)
Pagepp. 1692 - 1699
Keywordホームネットワーク, 情報家電, 経路制御, DLNA, SIP
Abstract宅内に構築したネットワーク(HNW)で動画,音楽,写真などのメディアコンテンツを送受信可能なデジタル家電が普及している.また,移動端末の普及にともない,宅内外に関わらず,どこにいても,メディアコンテンツを楽しむことができるサービスへの期待が高まっている.そこで移動端末がHNWに接続する場合でも,HNW外のアクセスネットワークに接続する場合であっても,メディアコンテンツを送受信可能とするために,筆者らはデジタル家電の広域接続方式を提案している.しかしながら,アクセスネットワークを運営・管理する事業者は,広域接続方式によるサービスの実現に際し,トラフィックの増加やトラフィックの経路上に存在する装置の処理負荷の増加を懸念している.そこで本稿では,移動端末がメディアコンテンツを送受信する際の制御メッセージの経路を最短とすることで,アクセスネットワーク上のトラフィック量や各装置の処理負荷を抑制する経路制御方式を提案する.さらに本方式は,ユーザの移動により,移動端末の接続するネットワークがHNWからHNW外のアクセスネットワーク,もしくはその逆に切替っても,継続してメディアコンテンツを送受信可能とする.また,提案方式に基づいたシステムを実装し,経路の確立時間や接続方式の切替えにともなうメディアコンテンツの受信断時間などの観点から性能を評価することで,本方式の有効性を示す.

7H-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名DMPで操作するDLNA機器とテレビ放送の遠隔視聴システムの提案
著者*小山 卓視, 武藤 大悟, 吉永 努 (電気通信大学 情報システム学研究科)
Pagepp. 1700 - 1707
KeywordDigital Living Network Alliance (DLNA), Universal Plug and Play (UPnP), Digital Media Server (DMS), Digital Media Player (DMP)
Abstract 我々はDigital Media Player(以下DMP)を用いて操作する、DLNA機器とテレビ放送の遠隔視聴システムを提案する。以前、我々は従来同一のホームネットワーク内に限られるDLNA通信をインターネット経由で行うことが出来る、DLNA情報家電の相互遠隔接続支援機構Wormhole Device(以下WD)の提案を行った。今回、我々はテレビ放送動画をコンテンツとするDLNA情報機器「TV-DMS」を作成した。これらを用いて、インターネットを介してDLNA機器とテレビ放送を遠隔視聴することができるシステムを構築した。また、我々は視聴に関する操作を全てDMPから行うことができるようWDに改良を加え、テレビ放送動画をDMPの接続されたテレビやメディアプレーヤを搭載した携帯端末から再生することを実現した。 近年、ホームネットワーク機器の相互接続に関する統一規格であるDLNA対応の情報家電が普及している。また、インターネットへのブロードバンドアクセス回線が広く普及している。このことから、宅外からもDLNA情報家電を簡単・安全に利用したいという要求が生まれる。そこで我々はWormhole Deviceと呼ぶ、DLNA情報家電の相互遠隔接続支援機構を開発した。WDはインターネットを介したDMPとDigital Media Server(以下DMS)のDLNA通信を実現する。例えば、孫宅のDMSに蓄えられたホームビデオの動画を、インターネットを介して祖父宅のDMP で再生することが可能となる。また、我々はWDを携帯端末に応用し、Mobile-Wormhole Device(以下M-WD)を開発した。M-WDとWDを用いることで、携帯端末に搭載したDMPと自宅のDMSのインターネットを介したDLNA通信を実現する。例えば、自宅のDMSに蓄えられた音楽や動画をホットスポットに繋がった携帯端末で再生することが可能となる。  WD及びM-WDは、DMPとDMSのみならず種々のDLNA情報家電同士を相互遠隔接続させることができる。そこで、我々はTV-DMSと呼ぶ、テレビ放送の動画をコンテンツとするDLNA情報家電のプロトタイプを開発した。TV-DMSはUPnP Deviceとして動作するため、ローカルネットワーク上のDMPからSSDPを通じて検出される。TV-DMSの提供するコンテンツは、テレビ放送のリアルタイムストリーミング動画である。コンテンツのタイトルはテレビ放送局名であり、DMPからそれを選択することでテレビ放送を視聴することが出来る。また、録画機能も備えており、録画した動画はTV-DMSが内蔵するDMSに蓄えられ、いつでも視聴可能となる。TV-DMSのプロトタイプは、テレビチューナ付きビデオキャプチャボードを搭載したPCに、ビデオキャプチャボードから取得したMPEG2動画をストリーミング中継する機能を持ったUPnP Deviceソフトウエアを実装して開発した。そして、このTV-DMSとDMPをWDやM-WDによって遠隔接続することで、インターネットを介したテレビ放送の遠隔視聴システムを構築した。  ところで、WDはUPnP Deviceとして動作し、その操作はUPnP Control Pointとして動作するWD CPから行うよう設計されている。WD CPもWDと同様に現在はPCに実装されており、その操作インタフェースはキャラクタユーザインタフェース(CUI)である。しかし、CUIのコマンドラインからWDを操作することはホームネットワークのユーザにとって敷居が高いと考えられる。それに対して、DMPはホームネットワークユーザにとって最も慣れ親しんだ操作インタフェースであり、WDはUPnP Deviceとして動作するため市販のDMPからWDを検出することも容易である。故に、DMPのみを用いてWDを操作し、遠隔にあるDMSにアクセスすることができればホームネットワークユーザにとって WDの操作に関する敷居を低くすることが出来る。そこで、我々はWDにDMPから操作を行うことが出来るよう改良を加えた。DMPにはWDがUPnP Deviceとして認識され、これを選択すると遠隔にあるDLNA情報家電の一覧が表示される。そして任意の情報家電を選択すると自動的にDMPと情報家電の遠隔接続が開始される。すると、選択した情報家電に蓄えられたコンテンツのリストが表示され、あとはコンテンツを選択して再生を行えばよい。この仕組みを用いて、DMPからWDを操作し、インターネットを介してTV-DMSのテレビ放送動画をDMPにて視聴するシステムを構築した。  関連研究としては、ロケーションフリーとスリングボックスが挙げられる。ロケーションフリーはテレビ放送をMPEG2やMPEG4にリアルタイムに変換し、インターネットを介してテレビ放送動画をPCやロケーションフリーTVボックスを用いてテレビで視聴することが出来る。また、スリングボックスはPCと携帯端末にてテレビ放送動画を視聴することが出来る。それに対し、我々の構築したシステムはDLNAに準拠したホームネットワークにて使用することを想定しており、オールIPでDMPによるテレビ放送の遠隔視聴が出来るほか、種々のDLNA情報家電の相互遠隔接続が可能である。

7H-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名多様な機器を赤外線で制御可能なWebサービスの構築
著者春原 雅志 (名古屋大学大学院情報科学研究科), *河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1708 - 1723
Keyword情報家電, Webサービス, 赤外線リモコン, 機器連携, 機器制御
Abstract 近年,ネットワーク環境の整備や情報端末の小型化により,いつでもどこでも誰でも情報やサービスを受け取ることができるユビキタス環境が実現されつつある.ユビキタス環境では多数のセンサや機器を相互に連携させることにより,我々の快適な生活をさりげなく支援することが期待される.機器同士の連携を実現するためにUPnP(Universal Plug and Play)やDLNA(Digital Living Network Alliance),Bonjourといった仕組みが利用され始めている.これらの仕組みを用いると,機器をネットワークに接続するだけでIPアドレスの設定や機器が提供するサービスの公開を自動的に行うことができる.これらの仕組みはネットワークに接続して利用することが想定される情報家電を中心に広まりつつある.しかしながら現在我々が生活している環境にはネットワークへの接続性や機器連携機能を持たない「非情報家電」が多数存在している.非情報家電の多くは赤外線リモコンやシリアル通信を用いて外部からの機器制御が可能である.このような機器をネットワークを経由して制御したり,他の機器と連携動作させるためには,機器自体にそのような機能を組込んだり,ネットワーク経由で赤外線やシリアル通信を制御を行うシステムを構築する必要がある.しかし,機器自体に組込むのは容易ではなく,またそのようなシステムを構築するためには,機器ごとに赤外線通信やシリアル通信を行うためのプログラムを実装しなければならない.また多くの機能を持つ機器は制御を行うたびに内部状態が変化し,単純な制御指示では意図しない動作をさせてしまう可能性がある.例えば,機器の電源をONにするためにON/OFF制御を行った場合,既に機器の電源がONの状態の場合は電源がOFFになってしまう場合がある.そのため非情報家電を制御するシステムは,一方的に制御に対して指示を行うのではなく,機器の現在の状態や状態遷移を考慮して指示を行う必要がある.  本研究では非情報家電の内部状態を含んだ制御情報を効率的に制御システムに登録し,プログラムのコーディングなどを行わずにネットワークへの接続性や他のシステムと連携可能な環境を構築する手法の提案を行う.提案手法ではまず機器情報の登録を簡略化するために,様々な機器が持つ内部の状態をモデル化し状態遷移の仕方についてパターン分けを行う.そして,各パターンごとに状態遷移を含んだ機能テンプレートを作成する.この機能テンプレートに対して,機器を制御するために必要な赤外線信号やシリアルコマンドなどの対応付けを行う.このような手順を繰り返すことにより,様々な機器の情報を効率的に制御システムに登録することが可能となる.そして制御システムに登録した機器の制御をWebサービス化することにより,ネットワーク経由での機器制御や他のシステムとの連携が容易になる.さらに,Webサービスを用いて登録した機器情報を共有することにより,登録作業の手間を軽減することが可能となる.  上記の手法に基づき,機能テンプレートを用いた機器情報の登録とWebサービスの提供を行うシステムをWebサーバ上に実装した.機器情報の登録は,Webブラウザ上から利用可能なWebアプリケーションとして実装し,機器情報を管理するWebサーバ上にXMLファイルとして蓄積した.また,登録された機器をWebアプリケーションや他のシステムから利用するためのWebサービスAPIを実装した.そして実装したシステムを用いて赤外線リモコンによる制御が可能な機器の情報を登録するために赤外線送受信機を作成し,様々な機器の情報を登録した.実際にAPIを用いて機器情報の取得や制御を行うWebアプリケーションを作成し,携帯端末からの非情報家電の制御や連携制御が可能になることを確認した.  本手法を用いることにより複雑な手順を踏まずに非情報家電の制御をWebサービス化し,ユビキタス環境へ組込むことが可能となる.


セッション 7I  情報センシング(1)(UBI)
日時: 2008年7月11日(金) 8:30 - 10:10
部屋: ビューホール(2)
座長: 中島 秀之 (はこだて未来大)

7I-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名プログラム配信によるデータ予測型センシングシステム
著者*藤田 直生 (神戸大学大学院工学研究科), 義久 智樹 (大阪大学サイバーメディアセンター), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1724 - 1731
Keyword放送型センシング, 無線センサネットワーク, プログラム配信
Abstract 近年,気象観測,地形観測や安全安心確保のため,温度,加速度やカメラといったセンサが情報ネットワークを形成し,データを収集するセンサネットワークに対する注目が高まっている.センサネットワークでは,ネットワークを形成するセンサを備えた小型の計算機をセンサノードと呼び,これらが互いに通信しすることで,センシング情報を収集する. 例えば,気象観測システムや河川モニタリングシステム,構造ヘルスモニタリング,ホームセキュリティーがある.これらほとんどの応用例では,センサデータを処理するため,シンクノードやコーディネータと呼ばれる特定のノードでセンサデータを収集している.各センサノードがセンサデータをシンクノードに送信するため,シンクノード付近の通信量が多くなる.このため,センサデータを効率よく収集するさまざまな手法が提案されている.しかし,各センサノードが通信経路を確保してセンサネットワークのみを経由してセンサデータを収集するものがほとんどであり,非常に多数のセンサが存在する場合,通信量が多くなり,データの収集に時間がかかるといった問題がある.今後,センサの数は爆発的に増加する可能性があり,多数のセンサが存在する状況で効率的にセンサデータを収集する方式が求められている. 本研究では,センサデータを推測し,予測プログラムを放送により配信を行い,実際の時系列センサデータから予測プログラムに基づきデータを送信するデータ収集方式である.一部のセンサノードのみ予測プログラムに基づくセンサデータを送信するため,通信量を削減でき,データ収集時間の短縮につながる.一般に,幾つかのセンサノードのセンサデータは近い特性をもっており,高密度センシングでは近いセンサノード,多種センシングでは同じ種類のセンサノードのセンサデータが近い特性になる.配信するセンサデータの予測プログラムににより,特性の似たセンサノードに対して従来の瞬間のセンサデータの処理ではなく時系列データにおいて評価を行うプログラム配信できる.例えば,高密度センシングにおいて,ビルに取り付けられた加速度センサが100個存在する場合,風や外部の振動などによる振動は似た特性があると考えられる.しかし,ビルが痛み始めた場合に,特定の場所のみ特性が変わることが考えられる.このような場合,加速度データを100個すべて同時刻に収集することは従来技術ではメモリを多く必要とするなど難しい問題がある.しかし,予測プログラムを配信することで特定の箇所のみの加速度データを抽出することが可能となり,効率よく建物の管理を行うことが可能となる. 本研究では,放送型による予測プログラム配信を行うデータ予測型センシングシステム方式を提案しており,複数のセンサノードに同じ予測プログラムを同時に配信できるため,データ予測プログラムの配信を効率的に行い,センサデータの時系列の評価をセンサノードで行うことにより同時刻による相関関係のある環境のセンシングを行うことが可能となる. センサノードに放送型配信により予測プログラムを送信する場合,センサノードのプログラム実行環境を整える必要がある.そのため,本システムではネットワーク及びセンシング処理を行う基本プログラムと,放送される予測プログラムの2種類のプログラムを実行する環境を構築する.基本プログラムは一定の期間ごとに動作し,予測プログラムからはセンサ情報取得のためのインタフェースが提供されるシステムを構築した.これにより予測プログラムは通常のマイコンプログラムと同じ環境で開発することが可能となる.また,基本プログラムと予測プログラムが同じプログラム空間内で実行されていることにより,予測評価処理以外の動作プログラムなども可能となり,大量のコンピュータを用いたユビキタスコンピューティング環境の構築が可能となり,センシングと同時にインタラクションなどを提供することができるユビキタスセンシングシステムが実現できる. 本研究では,放送型による予測プログラム配信を行うデータ予測型センシングシステムの構築を行った.本システムにより,予測プログラムを放送することで,センサノードの動作を変更することが可能となり,センサ情報の時系列データ処理などを付加することで,通信帯域の改善や大量ノードの同時刻センシングなどを実現できるシステムを提案する.

7I-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名センサー情報ASPサービスシステムの開発
著者*松浦 芳樹, 川口 貴正, 五十嵐 悠一, 森井 陽子 (株式会社 日立製作所 システム開発研究所)
Pagepp. 1732 - 1737
Keywordセンサーネット, センサーネットゲートウェイ, センサー情報ASPサーバ
Abstract近年,無線デバイスの小型・省電力化技術が発展し,これまでは継続的かつ即時的に把握できなかった身の回りの物や環境や人の,動き,温度・湿度,血圧・体重などのセンサー情報をネットワーク経由で収集することが可能になりつつある.このようなセンサー機器を家庭やオフィスに設置することで,生活習慣病改善,在宅介護支援,児童・高齢者見守り,防犯・防災,省エネなどのサービスに役立てることが期待されている.  センサーネットを活用したサービスをサービス事業者が開始するには,サービス事業者が個別にセンサー情報を取得・提供するためのシステムを構築していた.そのため,サービス事業者が負担するセンサー設置,システム開発,サーバ運用等のコストが大きく,センサーネットを気軽に利用することは困難な状況にあった.また,家庭やオフィス内でセンサーネットを利用する場合に,PCに一旦センサー情報を転送し,PCからインターネット経由でサーバに転送する方法がとられている.このような方法では,サービス利用ユーザはPCや専用ソフトによる設定や操作が必要になるため,児童や高齢者,普段PCを利用しない主婦層などセンサーネット活用が期待されているユーザ層にとって気軽に利用できないという状況にあった.  このような状況を鑑みて,日立製作所では,テクノロジー・アライアンス・グループと共同で,サービス事業者がセンサーネットサービスにおけるシステム開発およびWebサービス運営の一部をアウトソーシングできることを目指したセンサー情報ASPサービスシステムを開発した.このシステムは,PC不要で直接インターネットに接続してセンサー機器の情報を収集できる小型のセンサーネットゲートウェイと,センサー情報を一元管理してサービス事業者に提供するセンサー情報ASPサーバから構成される.センサーネットゲートウェイは家庭内のブロードバンド環境に接続することで,自動的にセンサー情報ASPサーバにセンサー情報を送信する.センサー情報ASPサーバでは,汎用的なWeb APIによりサービス事業者にセンサー情報を提供する.  現在,本システムを用いて,生活習慣病予防サービスの適用を目指している.特に,2008年4月施行の「特定保健指導」義務化を視野に,メタボリック健康指導とネットワーク健康機器とを連携させてサービスを行うシステムの開発を健康管理サービス事業者と進めている.その過程で,本システムの有効性および,技術面やサービス面での課題について検討した.

7I-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名省資源性を考慮したセンサセレクション手法
著者*中村 善行 (早稲田大学), 鄭 顕志 (早稲田大学/国立情報学研究所), 深澤 良彰 (早稲田大学), 本位田 真一 (東京大学/国立情報学研究所)
Pagepp. 1738 - 1745
KeywordSensor Network, Object Tracking, Sensor Selection
Abstract無線センサネットワークは,現実世界の情報を取得できるセンサにより構築される無線アドホックネットワークであり,今後我々の生活補助や防犯などの多分野での応用が期待されている.現在のセンサでは,観測する際に様々な要因でノイズが発生し,観測結果に誤差が含まれる.そのため,複数のセンサを用いて対象を観測することで,観測精度を向上させることが必要である.しかし,センサに搭載できる計算資源(CPU,メモリ)は非常に乏しく,バッテリ駆動のため使用可能な電力も乏しい.そのため,観測に有効な必要最小限のセンサのみを用いて観測を行うことが有効である.不要なセンサは待機状態にすることで消費電力を節約したり,他のアプリケーションのためのタスクを割り当てたりすることが可能となり,無線センサネットワークの寿命を延ばすことができる.しかし,センサの持つ計算資源は非常に乏しいため,センサにて膨大な処理量の処理を行うことは現実的ではない.そこで,本研究では評価のための処理量を抑えつつ,対象の観測に有効なセンサを選択する手法を提案する. 観測に有効なセンサを選択するためには,センサの有効性を評価する指標が必要である. センサの評価指標を提案している研究として,Spread-based heuristic[V.Sadaphalら,2006]が挙げられる.Spread-based heuristicではレンジセンサ(対象との距離を計測するセンサ)を使用する場合を想定しており,複数のレンジセンサを用いて対象の位置を推定する際に用いる評価指標を提案している.しかし,提案された指標を全センサの組み合わせに対して評価を行う場合には処理量が膨大となり,センサの計算資源の乏しさと合わせて計算時間が膨大になるという問題が発生する.この問題への対策として,Spread-based heuristicでは各時間に全てのセンサの組み合わせを選択しなおすのではなく,前回使用したセンサのうち1つだけを再選択することで新たな組み合わせとする手法を提案している.これによりセンサの有効性を評価する際の計算量をO(N^n)からO(N)に低減することが出来る.なお,Nは選択候補となる全てのセンサ数,nは選択するセンサ数を表している.しかし,この手法では再選択されなかったセンサは過去の対象の位置によって決定されているため,対象が移動する場合には観測に有効なセンサでは無くなっている可能性が高い.そのため,Spread-based heuristicでは処理量を低減している反面,観測の精度を低下させてしまっている. そこで本論文では処理量と観測精度の適切なトレードオフを取れるセンサセレクション手法を提案する.一般的に,観測対象とセンサの距離が離れるほど誤差が大きくなるため,観測には対象周辺のセンサが有効である.そこで本手法では,観測対象の移動履歴から現在の位置を予測し,観測対象周辺の一定範囲に存在するセンサから選択を行う.つまり,選択候補となるセンサ母集団の数を減らし,有効性評価の際にかかる処理量を低減する.なお,評価指標には既存手法であるSpread-based heuristicと同様のものを使用する.このとき,限定する範囲の大きさにより観測精度と処理量のトレードオフを調整することができると考えられる.範囲が広過ぎた場合,範囲内に存在するセンサ数が多く,評価を行う際の処理量が増加する.逆に範囲が狭過ぎる場合,範囲内に存在するセンサ数が少なく,有効な組み合わせが選択できないため精度が低下する.そこで,適切な範囲の大きさに影響を与えるパラメータを検討し,定式化を行う.この式に基づいて範囲を動的に調整することで,対象の移動モデルや移動速度に応じて適切な範囲を用いることができる. 本手法の評価では,シミュレータ(TOSSIM[P.Levisら,2003])を用いてトラッキングアプリケーションを実装し,観測精度と処理量,消費電力の評価を行う.観測精度の評価指標には,観測対象の実際の位置と観測結果から推定した位置との誤差を用いる.処理量の評価指標には,センサセレクションの際にかかる処理時間を用い,実機のセンサを使用して処理時間を計る.消費電力の評価では,シミュレータとしてPowerTOSSIM[V.Shnayderら,2004]を用いて,各センサノードの平均消費電力量を比較する.シミュレーションにより,既存手法に比べ精度の向上,処理量と消費電力の低減が出来ていることを確認した.本手法を用いることで,選択する際の処理量を低減し,対象の観測に適したセンサの組み合わせを選択することができる.

7I-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名センシングデータの意味的解釈に基づく分散センサ情報管理アーキテクチャ
著者*川上 朋也, Ly Bich Lam Ngoc, 竹内 亨, 寺西 裕一 (大阪大学大学院情報科学研究科), 春本 要 (大阪大学大学院工学研究科), 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1746 - 1753
Keywordセンシングデータ, P2P, 分散処理, セマンティックウェブ, 演繹処理
Abstractユビキタス環境ではセンシングデータを共有し,ユーザの状況に応じて内容を変化させる「コンテキストアウェアサービス」の実現が期待できる.このとき,膨大な数のセンサ端末が存在することが予想されるため,端末から情報を直接取得することで高いスケーラビリティを維持するP2P モデルが有効である.しかし,計画的にではなく自律的にセンサ端末が配置される分散環境を想定する場合,設置状況を事前に把握できないため,指定する種類のセンサが適切な地域に存在するとは限らない.そのため,必要なセンサ情報を取得できず,ユーザの要求に応答できないという問題が発生する.また,短期間に同様の取得要求が繰り返された場合においても,想定する分散環境ではそのたびに周辺端末への問い合わせなどが行われ,それらの冗長な処理が端末やネットワークに不要な負荷をかける問題が考えられる.本稿ではまず,指定するセンサが存在せず状況判断が行えない問題に対して,周辺に存在する他のセンサ端末から情報を収集して意味的に把握し,演繹処理により状況判断の結果を導出するセンサ情報管理アーキテクチャを提案する.次に,同様の要求に対する冗長な処理の問題に対しては,要求に対する処理結果を共有するための仮想センサを設置し,過去の結果を再利用することで処理の実行を抑制する手法を提案する.本稿で提案するアーキテクチャを実装し,仮想センサによって負荷を削減する手法の有効性をシミュレーションにより評価した.本シミュレーション結果により,高い正答率を維持しつつトラヒックの発生を大きく抑制できることを確認した.


セッション 8A  コンピュータ・セキュリティ(CSEC)
日時: 2008年7月11日(金) 10:20 - 12:00
部屋: ポラリス
座長: 白石 善明 (名古屋工業大学)

8A-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名分散相互バックアップサービスの品質について
著者*小田 哲, 山本 剛 (NTT情報流通プラットフォーム研究所)
Pagepp. 1754 - 1762
Keywordバックアップ, 品質, P2P
Abstractデータのバックアップは重要であるが, データが失われる原因が多岐に渡るため, データを失わないことを保証するためには非常にコストを要する.本研究では, ネットワークを介した分散相互バック アップシステムが, 遊休資源を利用することで比較的安価に実現できることに注目した. そして分散相互バックアップシステムにおけるデータを失わない保証を行う仕組みについて情報セキュリティの 秘匿性, 完全性, 可用性の3 点から考察を行った.そして, 実利用における要求条件を抽出しながら,要求条件に沿った分散相互バックアップサービス方式を提案する.

8A-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名MIDIファイルのピッチべンド・チェンジコードを対象とした新たな情報埋め込み方式の提案および評価
著者*松本 圭祐 (東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科), 宮田 宙和 (慶應義塾大学大学院理工学研究科), 宇田 隆哉 (東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科)
Pagepp. 1763 - 1769
Keywordステガノグラフィ, 情報ハイディング, MIDI, ピッチ・ベンド

8A-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名広域ネットワークにおける接続制御機構のAAA機能配備方式の検討
著者*北見 広和, 大嶋 嘉人, 川島 正久 (日本電信電話株式会社/情報流通プラットフォーム研究所)
Pagepp. 1770 - 1776
KeywordAAA, 接続制御, EAP-TLS, 認証, 機能配備
Abstractはじめに:ユーザの移動に対応したノマディックなサービスを全国規模に広く展開するにあたり、公衆無線LAN等の接続拠点への不正接続などといったセキュリティ脅威に対抗するためには、NW接続制御機構におけるAAA(認証、認可、アカウンティング)機能群が重要な位置を占める。AAA機能群を構成する、NW接続認証、プロファイル確認、接続状態更新などの機能要素を広域ネットワーク上にどのように配置し、連携させるかは、AAAを含む接続制御機構の安全性、運用性、経済性などを左右する重要な課題である。本論文ではAAA機能配備案を複数示し、これらの間の得失を特に性能面について詳細に比較評価した結果を示す。 接続制御機構が備えるAAA機能要素:接続制御機構が有するべきAAA機能は、以下の5つの機能要素から構成されると著者らは考える。まず、認証の観点からは、なりすましを確実に防止するために、クレデンシャルを確認して接続ユーザを識別・認証するNW接続認証機能を備える。認可に関しては、接続要求中のユーザが有効なNWサービス加入者であり、当該サービスを利用する権限を有するかを加入者プロファイルを都度参照して確認するプロファイル確認機能と、その加入者プロファイルを記憶するプロファイル管理機能を備える。アカウンティングについては、課金情報の収集やセキュリティ侵害への事後対策用にユーザごとの接続/未接続の別や接続拠点等の接続状態情報を的確に把握し、更新する接続状態更新機能と、その接続状態を記憶する接続状態管理機能を備える。 前提条件(NWトポロジと認証方式):本検討では、下記2階層のNW構成を想定する。例えば、県単位などのエリア内にある接続拠点をつなぐローカルネットワークを定義し、端末〜ローカルネットワークの間はNW遅延なしと想定する。一方、それらローカルネットワークをつなぐ中央ネットワーク(全国で1つ)を定義し、ローカルネットワーク〜中央ネットワークの間はNW遅延を想定する。認証やセキュリティに関する端末の能力は、市中に普及しているWiFi端末が持つ範囲とし、認証方式は無線LAN接続環境で普及しているEAP-TLSとする。なお、1往復の通信で済むパスワード認証とは異なり、EAP-TLSでは最低4往復のメッセージ交換が必要であることからNW遅延の影響を受けやすいと想定される。また、EAP-TLSは公開鍵暗号に基づくため、採用する鍵長の影響を受けやすいと考えられる。機能配備を考える上では、これらファクターによる影響も考慮に入れて、得失を評価すべきと考える。 比較方式:AAA機能配備案を以下のとおりに抽出した。なお、ユーザの移動を考慮し、DB(プロファイル管理機能と接続状態管理機能)は中央ネットワークで一元的に管理することとしている。Direct構成は、5つの機能要素すべてを中央ネットワーク上に集中配置する形態である。Local構成は、認証機能、アカウント有効性確認機能、接続状態更新機能をローカルネットワーク上に分散させて配置する形態である。なお、Direct構成はローカルネットワークの無線APと中央ネットワークの認証機能が直接連携する形態と、ローカルネットワークの仲介機能によって間接的に連携する派生形態が考えられる。そこで、後者をProxy構成と呼んで前者と区別し、合計で計3つのAAA機能配備案とした。 評価実験:上記の配備案を性能面での得失を詳細に評価するために、検証システムにおける実験を実施した。検証システムでは、複数端末から発生する認証要求、認証処理を擬似する負荷生成プログラムを用いて認証サーバに対して負荷を掛け、単位時間当たりの認証成功数や認証にかかる所要時間などの測定を行った。参考データとして、認可とアカウンティングを行わない(すなわち、アカウント有効性確認機能と接続状態更新機能を追加しない)純粋なEAP-TLSの場合(NON_DB構成)についても測定対象とした。なお、上述のとおり、性能に影響を与えうるNW遅延や鍵長、証明書サイズなどのファクターを数パターン変化させながら測定を行った。 実験結果とまとめ:実験の結果得られた主な知見は以下の通りである。まず、NW遅延なしの条件においては、Direct構成およびLocal構成との間には単位時間あたりの認証成功数や所要処理時間には差異が見られず、 NON_DB構成の認証成功数270/秒、処理時間40msecという数字に対して、2%の成功数低下、35msecの処理時間増加という結果が得られた。処理時間は倍程度に大きくなるが、単位時間当たりの認証成功数はほぼ影響ないといえる。なお、NW遅延の増大に伴い、処理時間の差は開いていくが、認証成功数には大きな影響を与えないことが分かった。また、Local構成とDirectおよびProxy構成と比べた場合、認証成功数には大きな違いは無いが、認証処理時間についてはLocal構成の方が60%程度優れており、この優位性は遅延の増加に伴いより顕著となることが分かった。さらに、鍵長の変化は処理時間や認証成功数に関する方式間の優劣に大きな影響を与えないこと、すなわち、性能面ではNW遅延が支配的であることなどが分かった。

8A-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名ネットワークアクセスのためのAAA システムの構築
著者*安武 佑 (慶應義塾大学大学院 理工学研究科), 寺岡 文男 (慶應義塾大学理工学部情報工学科)
Pagepp. 1777 - 1785
KeywordAAA, 認証, セキュリティ
Abstract 現在のインターネットは複数のISP (Internet Service Provider) がそれぞれのドメインを管理しているマルチドメイン環境であるが,近年無線環境が充実し,PC やPDA といった端末が小型化したことで,自分が契約しているドメインに拘らずにネットワークにアクセスしたいという需要が高まっている.本研究では,このようなマルチドメイン・モビリティ環境におけるネットワークアクセスのための認証・権限付与・サービス利用情報収集(AAA) システムを構築し,その実用性を検証した.本研究では,ドメインをまたがってユーザ情報を分散管理できるDiameter,トランスポート層でユーザ情報を転送するPANA,様々な認証方式をサポートしたフレームワークであるEAP を組み合わせてAAA システムを構築し,これらのプロトコルの未実装部分,また仕様で未定義となっている部分に関して設計・実装を行った. 関連する既存技術としては,IEEE802.1X + RADIUSというシステムがある.IEEE802.1X はIEEE が標準化したユーザ認証方式であり,認証サーバであるRADIUS サーバと組み合わせて現在広く普及している.LAN スイッチや無線LAN のアクセスポイント(AP) などにIEEE802.1X の機能を搭載すると,認証に成功したユーザにだけネットワークアクセスを許可することができる.IEEE802.1X においては,ユーザとスイッチ(AP) の間ではユーザを認証するための情報がEAPOL で運ばれる.EAPOL はデータリンク層で動作するプロトコルであり,認証情報であるEAP メッセージを運ぶ.こうしてスイッチ(AP) まで運ばれたEAP メッセージは,RADIUS プロトコルによって認証サーバまで運ばれ,認証サーバによって認証処理が行われる.このIEEE802.1X は,データリンク層でEAP パケットを交換するため,問題点がいくつか存在する. 1. データリンク層より上位のプロトコルを利用したアクセス制御ができない 2. データリンク層の構成に依存してしまう 3. アクセスポイントが認証エージェントとして動作しなくてはならない IEEE802.1X は,例えば特定のIP アドレスやポート番号をアクセス許可/拒否するというようなアクセス制御ができない.また,EAPOL ではデータリンク層のメディアごとにフレームを定義しているため,これからデータリンク層のメディア構成が多様化した場合,EAPOL がそれらすべてに対応することは難しいと考えられる.さらにデータリンク層での認証を行うという性質上,AP が認証エージェントとして認証の処理を行う必要がある.そのため各AP が認証の機能を持たなくてはならず,機器そのもののコストやそれらを設置・管理するためのコストが大きくなってしまう可能性がある.これらのことから,IEEE802.1X をモビリティ環境に適用するのは難しいと考えられる. そこでこのIEEE802.1X + RADIUS での問題点を解決する手法として,PANA-Diameter システムを提案する.DIAMETER はRADIUS の後継プロトコルであり,ドメイン間でのFailover の仕組みを定義するなど,RADIUS よりもマルチドメイン環境での利用を考慮に入れたプロトコルである.PANA はトランスポート層でEAP メッセージを運ぶプロトコルである.データリンク層の構成が多様であっても認証処理を統一して行うことができ,IP アドレス,ポート番号などを用いたアクセス制御が可能である.また認証モジュールとAP を分離できるため,無線LAN AP といった数多く配置される機器に認証機能を持たせる必要がない. PANA-Diameter システムの有効性を検証するため,動作確認と処理時間測定の実験を行た.実験では,ユーザが契約していないドメインからネットワークにアクセスしようとするという環境を想定した.実験の結果,約3 秒程でネットワークにアクセスできるようになるので,実用的な処理時間でAAA システムを構築できたと言える. 本研究ではPANA-Diameter システムを構築し,その有効性を確認した.今後の課題として,今回はユーザ数が数名程度の環境しか用意出来なかったので,もっと大規模な環境での動作確認が必要である.


セッション 8B  Webナビゲーション・嗜好活用(GN)
日時: 2008年7月11日(金) 10:20 - 12:00
部屋: ベガ
座長: 服部 哲 (神奈川工科大)

8B-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名Web行動履歴を用いたユーザ嗜好特性推定技術の検討
著者*市川 裕介, 中村 美穂, 後藤 真一郎, 岸本 康成, 黒川 裕彦, 中川 哲也 (日本電信電話株式会社 NTT情報流通プラットフォーム研究所)
Pagepp. 1786 - 1792
Keywordパーソナライズ, プロファイリング, 行動履歴, 嗜好推定, 推薦システム
Abstract インターネット上で流通する情報量の爆発的な増加,端末やユーザ層の多様化による非PCユーザの増加の傾向はいっそう加速するものと考えられる.その結果,キーワード検索のようにユーザからの特別な入力を要求することなく,ユーザの行動履歴等から推定したユーザ個々の嗜好や状況に合わせ,最適化された情報を提供する「パーソナルコンシェルジュ」サービス実現への期待が高まっている.  ユーザの行動履歴に基づき,ユーザが興味を持ちそうな情報を推薦する既存方式には,大別すると,協調フィルタリングに代表される傾向の類似するユーザを集めて推薦情報を抽出する方式と,コンテンツベースフィルタリングに代表される情報の内容の類似度に基づきユーザが興味を持った情報と類似する情報を抽出する2方式が挙げられる.しかし,協調フィルタリングでは,推薦を受ける全てのサイトに対してユーザが履歴を提供しなければいけないことや,コンテンツベースではサイトやカテゴリをまたがって推薦することが困難などの課題がある.従って,パーソナルコンシェルジュサービス実現の為には,ユーザの嗜好特性をサイトやカテゴリをまたがって利用可能な値でプロファイリングする技術と,そのプロファイルに基づき情報推薦を行うレコメンデーション技術が必要となる.また,プロファイリング方式は,情報量の爆発的な増加やユーザの増加に対応でき,なおかつユーザからの特別な入力を要求しない方式である必要がある.  我々は,前回調査において,ユーザが新規性や話題性を重視して商品選択をしていることに着目し,この特性で分類する手法である「革新性」でユーザを分類することが有効である見通しを得た.革新性とは,ユーザがどの普及段階にある商品を好んで採用するかを表す特性を指し,革新性の違いによって分類されたグループ内では,商品の採用時期以外の行動にも,例えば「話題性を重視する」等の共通する特徴があることがわかっている.  そこで,我々は「嗜好特性(革新性)が類似するユーザ同士はWeb上での行動にも共通する特徴がある」と仮説を立て,Web上での行動が類似するユーザ群をWebアクセス履歴の単純な統計処理により抽出することで,前記課題を解決する嗜好特性の推定方式について検討を行った.  革新性推定方式の検討は,(手順1)まずユーザの革新性とWeb上での行動に対する態度の相関についての分析により,Web上の行動から革新性を推定する「モデル構築」を実施,(手順2)次に,構築したモデルに対し「実際のWebアクセス履歴を用いてモデルの推定精度の評価」を実施して行った.  手順1:モデル構築は,商品カテゴリ毎のユーザの革新性とWeb上での行動に対する態度についてアンケートにより調査を行い,両者間の相関を分析することで行った.アンケート調査は,EC サイトの利用経験のある251人を分析対象とし,革新性に関連するユーザ嗜好に関する質問(革新性調査),および,実際に購買経験のある商品カテゴリについてのWebサイトの利用の仕方(Web行動に対する態度調査)について質問を行った.  アンケート回答を分析した結果,(1)革新性を持つユーザの分布は商品カテゴリ毎に異なり,食品,化粧品において革新性を持つユーザが多く,書籍については少ない傾向があること,(2)革新性が似たユーザ同士でWeb行動が類似する傾向があり,線形判別分析で推定できる見通しを得た.  手順2:次に,手順1で得たモデルの推定精度の評価を,予め革新性が判明しているパネルユーザが使用するブラウザから収集したECサイトへのWebアクセス履歴を用いて,実際に革新性の推定が可能か精度評価することで行った.推定の手法としては,手順1(2)で見通しを得た,「Web行動の傾向の類似性を用いて推定する手法(手法A)」の他に,比較対照として,「ユーザが商品を選択した時期(採用時期)で推定する方法(手法B)」の2つの手法について精度評価を実施した.  手法Aについての評価の結果,(a)一部ユーザの外れ値が推定精度に与える影響が大きく,外れ値を取り除く仕組みが必要であること,(b)履歴の量が推定精度に与える影響が大きいこと,(c)逆に商品カテゴリやWebサイトの特性が推定精度に与える影響は少ないことがわかった.対して,手法Bについては,革新性で分類したユーザ群と採用時期との相関が見られず,単純に選択行動の時期のみでの革新性推定を行うことが困難であることがわかった.  今後は,手法Aに対し,外れ値等のノイズ要因を取り除いた推定精度向上度の評価,革新性以外の嗜好特性への適用性の評価,革新性を用いた推薦サービスの評価を行っていく予定である.

8B-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名Wikipediaの語彙資源を利用したインタラクティブ型Web質問応答システム
著者*三枝 優一 (東京工業大学大学院 総合理工学研究科 知能システム科学専攻), 服部 哲 (神奈川工科大学 情報メディア学科), 速水 治夫 (神奈川工科大学大学院 工学研究科 情報工学専攻), 奥村 学 (東京工業大学 精密工学研究所)
Pagepp. 1793 - 1802
Keyword情報検索, 情報抽出, 質問応答, Wikipedia, シソーラス
Abstract1.はじめに  近年,人類が発信する情報は爆発的に増加している.特にWorld Wide Web(以下,Webと総称)における情報の増加率は様々な情報源の中で最も高いことが報告されている.しかし,Web上の情報には統制がないため,利用者が膨大な情報を十分有効に活用しきれているとは言い難い.現在,こうしたWeb上の膨大な情報を体系化された知識源として扱おうとする研究が広く行われている.  そうした情報の一つに文書情報が挙げられ,膨大な文書情報から必要な情報を検索する既存のシステムとして検索エンジンがある.既存の検索エンジンは,リンク構造を基に検索結果をランキング表示するなど検索結果の見せ方に様々な工夫を施しているものの,本質的には利用者から入力されたキーワードに対し,そのキーワードを含むWebページや関連するWebページを利用者に提示するのみである.したがって,利用者は検索エンジンにより提示された文書の中から,求める情報を再度自らで探し出さなければならないという問題がある (問題点1).  一方で,Web上には同種の情報が多様な表現で記述されている.そのため,利用者は検索エンジンに対して,どのようなキーワード入力が効果的に情報を絞り込めるのか,「適切なキーワードを一意に選べない」,また,「求める情報を導くキーワードを想起できない」などの理由から,多様な表現による複数回の検索を行なわなければならない.さらに,期待する情報が含まれるWebページが,必ずしも入力されたキーワードを含んでいるとは限らないため,期待する情報が必ず見つかる保証もない.現状これは,利用者自身の知識や経験といった力量に依存しているため,必ずしも全ての利用者が有用な情報に到達できる保証はないという問題がある (問題点2). 2.問題解決の着眼点  問題点1に対する解決策として,Web質問応答システムが挙げられる.Web質問応答システムは利用者が自然言語で質問文を入力する.これに対し,Web上から情報を収集し,関連文書を出力するのみならず,質問文から利用者が要求する情報を判定し,直接質問に対する回答を提示する.しかし,質問文や回答候補を抽出する文書中に形態素解析辞書やシソーラスなどの自然言語処理に用いられる既存の言語資源には登録されていない,人名や地名,時間表現などの固有表現に代表される多様な新しい表現が数多く存在するという問題がある.また,時間の経過とともに新しい表現が増大するという問題もある.このような表現は自然言語の解析ミスを引き起こしやすく,精度よく回答を抽出できないなどシステム全体の精度低下を招く.そのため,獲得できる固有表現などの新たな表現は情報の更新頻度が高い他の資源などを利用して獲得することが必要とされる.  問題点2に対する解決策として,多様に表現される同種の情報を吸収し効率よく情報検索を行う必要がある.同種の情報を吸収するために,同義語辞書や関連語辞書などの言語資源が必要である.しかし,Web上には既存の言語資源には登録されていない多様な表現が数多く存在し,また時間の経過とともに増大するという問題がある.そのため,獲得できる同義語・関連語表現は情報の更新頻度が高い他の資源などを利用して獲得することが必要とされる. 3.解決手法 3.1  インタラクティブ型Web質問応答システム  本研究では,人に優しい情報検索を実現することを目的とし,人名や地名,時間表現などの固有表現が回答に含まれる質問文に対して,Webを情報源に情報を検索し,利用者が求める情報のみを探し出し,利用者に提示するインタラクティブ型Web質問応答システムを提案する.これはエキスパートシステム等のある特定の分野(以下,ドメインと総称)の知識や情報を提示するシステムと異なり,Webを情報源に用いることでドメインを問わない多様な情報を扱うことができる. 3.2  Wikipediaシソーラスの構築  また本研究では,多様な表現が数多く存在し,時間の経過とともに新しい表現が増大するWeb上の文書情報に対応するための言語資源としてオンライン百科事典Wikipedia[1](以下,Wikipediaと総称)に注目した.Wikipediaにおいて,記事の見出し語には固有表現が数多く含まれる.また,記事間のアンカーテキストやリダイレクトにより別の記事を参照することができ,記事が属するカテゴリからカテゴリ間の関係や同じカテゴリに属する関連記事を抽出できる.さらに,記事内には見出し語に関する事柄のみが記述されており,同一記事内のリストや表には,見出し語の素性や,関連語などが含まれる.その上,Wikipediaは,日々新たな記事が追加されるため既存の言語資源に比べ言語情報の鮮度,網羅性が高い.このような特有な構造をもつWikipediaは固有表現と同意語・関連語表現の獲得に適した資源であると言える.  しかし現状では,Wikipediaの記事は人が閲覧することを前提に記述されているため,そのままではコンピュータから利用することは難しい.そこで本研究では,上記のような特徴を持つWikipediaを言語資源としてコンピュータから用いるため,固有表現と同義語,関連語などの語彙同士のネットワークを抽出したWikipediaシソーラスを構築した.  これを質問応答システム上で利用することより,多様な表現で記述されている同種の情報を吸収することが可能になる.また,あるカテゴリに属する記事には,どの単語が多く含まれているかという情報を抽出し,どの単語がそのカテゴリを特徴づけるかを導く文書分類における確率情報を教師付き機械学習手法であるナイーブ・ベイズ分類器を用いて学習した.Wikipediaのカテゴリツリーの構造からカテゴリ同士の距離を,情報の絞り込みに適用させることにより,利用者の質問意図から外れた情報を除外することが可能になると考えられる. 4.まとめ  本研究では,上記の解決手法をふまえ,Web質問応答システムの各モジュールに対し,Wikipediaシソーラスの各情報を適用することによるインタラクティブ型Web質問応答システムの回答精度と利用者の利便性の向上を目的とし,実験を行った.実験結果より,本研究の提案手法が有効であること確認した.よって,これを報告する.

8B-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名記事集合からのトピック抽出とトピック間の探索的ナビゲーション方式の提案
著者*島田 諭 (筑波大学大学院図書館情報メディア研究科), 福原 知宏 (東京大学人工物工学研究センター), 佐藤 哲司 (筑波大学大学院図書館情報メディア研究科)
Pagepp. 1803 - 1810
Keywordトピック, ナビゲーション
Abstractブログ等を中心とするCGM(Consumer Generated Media)においては,単独では内容が完結していない断片的な記事が多い.このような断片的な記事の理解には,同じ著者が書いた記事や,同一のトピックを含む記事など,関連する記事を合わせて読むことが必要となる.本論文では,利用者に検索語の入力を求めることなく,情報空間を探索的に移動できるようにする手法を提案する.具体的には,記事集合中に出現するキーワードの反復度を用いてトピックを形成すると思われるキーワード集合を抽出する.相互に関連するトピック間ではキーワードの一部が共有されていると考え,キーワードの共起関係を用いて複数の記事を局所的に関連付ける.これにより,利用者の情報空間の把握を支援する.提案手法をブログ,質問回答サイト,新聞記事のデータに適用して記事の関連付けを行なった結果,記事間の明示的なリンクのみによるネットワークに比べ平均クラスタ係数が向上し,到達不可能なノードが削減できることがわかった.

8B-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名ブログを用いた人とセンサとの情報共有システムの開発
著者*溝渕 昭二 (近畿大学理工学部情報学科), 横前 拓磨 (近畿大学大学院総合理工学研究科), 白石 善明 (名古屋工業大学大学院工学研究科), 井口 信和 (近畿大学理工学部情報学科)
Pagepp. 1811 - 1815
Keywordブログ, アノテーション, 情報共有, センサ, マイニング
Abstract本論文では,ブログを媒介として,センサから観測されたデータとを,それに対して人が付与した言語データとを共有するシステムを提案する.従来の環境モニタリングシステムには,視覚化や分析等の機能により獲得した観測データに潜んでいる意味や知見をフィードバックする手段が備わっていない.そのため,獲得された意味や知見が何らかのメディアに形式知化されない場合,それらは活用される機会を持たないまま失われてしまうか,あるいは,それを見出した個人のみが暗黙知として利用するにとどまってしまう.本システムでは,観測データから見出された意味や知見を観測データ自身にフィードバックする手段にブログのコメントやトラックバックを利用する.この仕組みにより,個人が見出した意味や知見が言語データとなって観測データに付与される.また,それらをブログを閲覧しているユーザで共有することもできる.


セッション 8C  システム管理(DPS)
日時: 2008年7月11日(金) 10:20 - 12:00
部屋: シリウス
座長: 金井 敦 (法政大)

8C-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名新世代ネットワークサービス基盤としての仮想化技術に対する理論的アプローチ
著者*片山 喜章, 泉 泰介, 和田 幸一 (名古屋工業大学大学院情報工学専攻), 鈴木 俊博, 滝田 亘 ((株)NTTドコモ総合研究所)
Pagepp. 1816 - 1824
Keyword新世代ネットワーク, 仮想ネットワーク, ネットワークモデル, 分散アルゴリズム
Abstract現在,IP ネットワークを基盤とする次世代ネットワークに対して,さらに先を見据えた新世代ネットワーク(NWGN) の検討が始まっている.本稿では,NWGN を実現するための要素技術として,サービス基盤としての仮想ネットワーク構築のためのネットワーク仮想化技術とそのモデル化について考察する. (詳細は添付参照)

8C-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名巻貝ビューを用いた時系列データ可視化手法
著者*品田 良太 (東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科コンピュータサイエンス専攻), 井上 亮文, 星 徹 (東京工科大学コンピュータサイエンス学部)
Pagepp. 1825 - 1830
Keyword可視化, 時系列データ, 3DCG
Abstract時系列データの可視化には一般的に折れ線グラフが用いられる.しかし,折れ線グラフには,限られた画素数の中に多くのデータを表示すると概観は得られるが詳細は得られない,データの量を少なくすれば詳細は得られるが概観が得られないという問題がある.また,概観と詳細を切り替える手間が発生してしまうなど操作性にも問題がある.本システムでは,巻貝の特徴である螺旋構造や模様,とげなどを用いて時系列データを可視化する手法を提案する.提案手法では,時系列データを巻貝の螺旋に表示することで概観と詳細を両立させる.時系列データの変位は模様として表現し,特徴的な変化にはとげを表示する.これにより,時系列データの概観や詳細,周期性を同時に把握することができる.実際にプロトタイプを作成し,時系列データを可視化することでシステムの有用性が確認できた.

8C-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名メインテナンスエフェクティブなネットワークについて
著者*小野 悟 (静岡大学情報学部情報学研究科), 萬代 雅希 (静岡大学情報学部), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1831 - 1837
KeywordPLC, ホームネットワーク, ITS, 無線LAN, IPv6
Abstract急激に発展したネットワークシステム及びこれを取り巻く周辺装置や関連技術であるが、多種多様なソリューションをはじめ、乱立する機器等、いわゆるマルチベンダー化された各社製品群を有機的に結合・稼働させるためには相応のスキルが求められており、且つこれらの複雑怪奇なネットワークシステムの管理・運用のために、企業などの組織においては、実に多くの財的コストを費やしていることは周知の事実である。さらに、一般家庭においては、社会生活上必要不可欠となりつつあるインターネットへの接続という目的に対し、決して少額とはいえない経費を投下していることもまた現実であろう。このようにネットワーク環境を導入・運用するための維持管理コストが増大している情勢を踏まえ、関連技術者は帯域の向上や、利便性を実現するためのメソッドの開発に終始するのではなく、その存在を意識させることのない普遍的なインフラストラクチャとしてのネットワークシステムの実装に向けて、さらなる努力を費やすべきではないかと考える。例えば、爆発的に普及したUSB規格(Universal Serial Bus)を利用したコンピュータの周辺機器などは、プラグアンドプレイと称されるように、ほぼ何もしなくても機器の接続・運用が可能なものであり、こうした手軽さ・わかりやすさが普及の原動力になったといえよう。本論文は、ネットワーク環境の導入・運用における維持管理コストを抑制するための手法について、現時点で実装が可能な様々な技術を活用しながら検討を行うことを主眼としている。ここでいう実装可能な技術とは、実際に動作が可能なものを称しており、一般に認知されていない研究的実装レベルにあるようなもの(例えばIPv6トランスレータなど)も含めている。著者が知る限りにおいて、これら様々な技術を実際に個々に検証・確認した上で、相互な組み合わせについて、維持管理コストの抑制という視点から考察していきたい。IPv4ネットワークでは、現在問題となっているグローバルアドレスの枯渇問題を解消するため、ルータによって隠ぺいされたプライベートネットワークが普及している。このネットワークでは、グローバルな接続性を犠牲として、それなりにセキュアな環境が担保されているが、接続性とセキュアという二律背反な事象を両立させるために、ニーズを満たした環境構築にあたっては、ネットワークプロトコル全般について相応の知識が必要とされる。また、プライベートネットワークを構成するノードの設定作業軽減のために、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバなどを設置することが一般的であるが、DHCPを利用したネットワークを構成・稼働させるためには、default gateway、subnetmask、leasetime等の各種パラメータの設定や、アドレスプール情報、スコープ名など、やはりネットワークに関する総括的な知識が必要とされる。これらの設定作業を軽減するために、IPv6の利活用を考えた。また、ネットワークケーブルや情報コンセントなど、物理的インフラストラクチャの抑制のために、IEEE802.11x及びPLC(Powerline Communication Alliance)技術を応用し、ケーブルレス化などによる維持管理コストの低減に加え、一般的にケーブル設備を保有しないホームネットワーク環境などへの適用も加味していく。IPv6では、構成ノードにおける自律構成機能の一つとして、linklocal addressというルータ内のネットワークでのみ有効となるIPv4におけるプライベートアドレスに相当するものが自動生成される。これらのアドレスはDAD(Duplicate Address Detection)によってその一意性が保障される。さらに各ノードはルータからのRA(Router Advertisement)パケットを受け、この情報に含まれるプリフィックス情報と一意のインタフェースIDを用いてグローバルアドレスを生成し、ネットワーク上のグローバルな接続性を確保する。このようにIPv6は対応ルータの設定作業のみで、ほぼ全域に対する透過的なネットワークが構成可能である。さらにPLCターミナルアダプタ機能をノードの電源装置内部に実装することにより、ネットワークインタフェースへの物理結線を不要とするとともに、電源分配装置(テーブルタップ)内に接続された近隣ノード間の通信を行う。電源分配装置内は回路的にも単純な構成であり、変圧器や配線用遮断器など、PLCにおける通信帯域周波を阻害する要素が少ないため、ほぼ理論値の速度が期待できる。また、この電源分配装置内部に、無線LAN機能を実装することによって、各所に配置された電源分配装置間におけるLAN間通信が可能となる。IEEE802.11nなどでは理論値300Mbpsの帯域を有しているため、これらのネットワークシステムは無線・電力線ネットワークではありながら、十分に実用可能な帯域が提供可能といえよう。また、このような機器構成によって、ユーザから見た場合、ノードを電源分配装置に結線するだけの作業でネットワークに参加できるようなイメージとなり、ほぼ家電並みの極めて簡便な操作感が期待できる。このように、IPv6、IEEE802.11x、PLCなどの技術を適材適所に配置・機能させることによって、従前のネットワークシステムで行われてきた設定・管理作業の低減が相応に可能となると思われる。また、ケーブルや情報コンセントなどのインフラストラクチャをノード毎に多数敷設する必要がないことからも、比較的小規模で且つこれらのインフラを有しない事業体やホームネットワークなどへの応用が有効であると考える。

8C-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名通信デバイスドライバの動的な更新手法の評価
著者*田中 裕之, 乃村 能成, 谷口 秀夫 (岡山大学大学院自然科学研究科)
Pagepp. 1838 - 1843
Keywordオペレーティングシステム, ネットワーク, デバイスドライバ, 信頼性
Abstract近年のオペレーティングシステムに実装されている,システム動作中の機能モジュール追加や削除の機能を応用すると,システム全体を停止させることなくデバイスドライバの更新が可能となる.しかしながら更新処理の間,デバイスドライバ自身が提供するサービスは停止することから,無停止でのサービス提供を考慮すると可能な限りこの停止時間を短くすることが必要不可欠である. そこで我々は,一連のモジュール更新に必要な処理手順を見直し,旧ドライバから新ドライバに制御を切り替える際に,旧ドライバの動作状態も新ドライバに引き継がせることによって,デバイスドライバの更新処理を高速化する手法を提案している.本論文では,提案方式をFreeBSDの通信デバイスドライバに実装し,ドライバ更新処理中の通信停止時間を従来方式と比較評価した結果から,提案方式の有効性を示す.


セッション 8D  ナビゲーションと情報提示(ITS)
日時: 2008年7月11日(金) 10:20 - 12:00
部屋: ペガサス
座長: 木村 裕 (日本電気)

8D-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名屋内用歩行者ナビゲーションにおける階層構造表現に特化した経路表示手法
著者*廣石 敏行, 戸川 望, 柳澤 政生, 大附 辰夫 (早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻)
Pagepp. 1844 - 1850
Keyword歩行者ナビゲーション, 経路表示, 階層構造, 鳥瞰視点, 携帯電話
Abstract 携帯電話の性能の急激な進歩により情報通信サービスが広く展開されてきた.それに伴い,携帯端末上での歩行者ナビゲーションサービスが注目されるようになり,現在では徒歩だけでなくバスや電車などの交通手段も組み合わせたナビゲーションなど多様なコンテンツが実現されている.しかし,これらのサービスは屋外を対象としたもので,屋内を対象としたサービスは実用化の段階に届いていない.一方,近年の建築物は郊外の大型ショッピングモールやデザイン性に富む複雑な建物が増えており,都市部への各種施設の集中という傾向にあることから建築物の深層化・煩雑化・大規模化が進んでいる.そのため,屋内は屋外以上に構造が複雑で迷いやすく,屋内向け歩行者ナビゲーションの必要性が増している.  ここで,屋内向け歩行者ナビゲーションにおける携帯端末上での経路表示に関して考える.屋外は一般的に階層構造を持たず開放的であり,交差点と道路で空間を構成する.それに対し,屋内は一般に階層構造を持ち,閉鎖空間であり,広間とそこから派生する廊下と階段等で空間を構成するとされている.特に,階層構造は重大な特徴の相違点である.例えば,表参道ヒルズでは,螺旋状の坂道に店が並び階層構造を持つが階層の境界が明確でない.駅や空港では階層移動の際に1階から3階への直通のエスカレータ等の複雑な階層構造もある.このように,屋外と特徴が大きく異なる屋内に真上からの視点や単純な鳥瞰視点といった従来の経路表示手法を適用するだけでは地図の描画が困難であり経路理解の妨げとなる.  経路表示に関する研究は,屋外では一般に階層構造がなかったことから,地図のデフォルメ化手法に関する研究や案内文の生成に関する研究や有効なランドマークの抽出に関する研究など地図以外の情報に対する研究が多い.これらはいずれも屋外を経路表示の対象としている.屋内を対象とした経路表示の研究もあるが,これも複数の視点からの地図を冗長的に与えることを目的とした研究で,応答時間が短くなるような順序で複数の地図を作成するための方法論を説明しており,階層移動のときの表示に関しては言及されていない.ナビゲーションの基礎である空間構造の表現方法や屋内の特徴に関して深く議論されていない.  歩行者ナビゲーションの目的は,人を目的地に到着させることだけでなく,歩行中のユーザが案内通りの場所にいるかという不安やこのナビゲーションが正確なものなのかという不安を取り除くことも重要である.歩行中のユーザに提供するナビゲーションは深く考えさせることや描画のための待ち時間を与えることも望ましくない.人間が頭に思い描く認知地図は一般にサーベイマップ型であると言われ,サーベイマップをユーザに与えることは,ルートマップだけをユーザに与えることに比べて短時間で経路理解を可能にすることが知られている.一方,前述したように従来の経路表示手法では,立体的な階層構造をユーザに短時間で把握させることが困難である.案内する経路の一部として,階層構造を適切に表現しユーザに与えることができれば,ユーザは経路の概観を掴むことができ,直感的に階層構造を理解することができる.その結果としてユーザの不安を取り除くこともできる.  以上のような議論のもと,本論文では階層構造に特化した屋内向け経路表示手法を提案する.階層構造を表現するときに最も有効な視点として鳥瞰視点が知られている.提案手法は,経路探索結果と屋内地図データを入力としたときに,階層構造を表現したい部分で鳥瞰視点を用いることでユーザにとって直感的に理解しやすい経路を携帯端末上に表示するものである.提案手法は,階層の移動を含む屋内の経路を表示するときに以下の手順をとる.  まず,経路全体を鳥瞰視点で表示することで経路全体の概観をユーザに掴ませ,大まかな認知地図を形成させる.鳥瞰視点にすることで上の階層が下の階層に覆いかぶさり下の階層の経路の一部が見えなくなるという問題が生じる.この問題に対し,経路自体と経路理解に必要な部分だけを抽出することで階層同士の重なりを引き起こす不要な部分を間引き,地図をxy平面上で回転させて視点を最適化することで解決する.経路理解に必要な部分は,経路自体と,経路に隣接する広間,廊下,階段とする.ここで,広間はその形状が特徴となることから広間全体を表示することにする.一般に経路は地図の中のごく一部しか通らず,閉鎖空間であるためユーザが認識すらできない場所が大半を占める.そのため,必要な部分の抽出は階層の重なりを軽減するために有効であり,携帯端末での利用が想定されるため描画データ量を少なくすることにも有効である.次に,経路の歩行中では平坦な道は真上からの視点で十分であり,必要な部分だけを抽出した階層別の経路表示とする.そして,階層を移動するときのみ,階段の手前で鳥瞰視点の表示に切り替えることで階層構造を理解させながら案内する.ここでの鳥瞰視点は,経路全体ではなく階段付近をさらに抽出したものである.  提案した経路表示手法を用いて,2次元ベクターグラフィック記述言語SVGにより作成した経路を携帯電話に表示し歩行実験を実施した.一般的な平面のフロアマップの地図と比較して,階層構造が理解できたか,不安を感じたか等のアンケート調査をすると共に階層構造を理解する時間を測定することにより,本手法の有効性を確認した.

8D-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名あいまいな目的地を複数持つ移動体ナビゲーションにおけるユーザ最適経路の計算
著者*沢柳 佑, 濱川 礼 (中京大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1851 - 1855
Keyword移動体ナビゲーション, 遺伝アルゴリズム, 経路探索
Abstract 本研究では時間・行き先が決まっていないあいまいな目的地が複数ある時にそれらの行き先と順序を決定し,かつユーザの経路嗜好を満たすユーザ最適経路の計算を遺伝アルゴリズムを用いて行った.またユーザ毎に違う最適経路を計算するためにユーザ毎の経路に対する嗜好を評価関数の重みを調整することで学習させた.  従来のナビゲーションの目的は目的地を1つ決め,そこに至る経路と所要時間を計算することであった.しかし,これだけではユーザの要求を満たせない場合が多々ある.例えば,“10時に家を出発して,17時に帰宅する.その中で12時ごろにどこかで昼ごはんを食べ,都合の良い時間にどこかの本屋に立ち寄り,さらに都合の良い時間に図書館に寄る.”というようなあいまいなルールは現実には多く存在するが,従来のナビゲーションでは解釈ができない.さらに,ユーザにはそれぞれに経路に対する好みの違いが存在すると考えられる.例えば歩行者であれば,“定期券を持っている交通機関の利用”,“屋根の多い経路”,“できるだけ交通量が少ない経路”といった好みがあると考えられる.同様に車であれば“信号が少ない経路”,“できるだけ右左折が少ない経路”といった好みである.本研究の目的は時間・行き先のあいまいな目的地の行き先を決定し,その目的地の順序を最適化し,ユーザ毎の経路の好みを反映した最適経路を計算することである.  あいまいな目的地の制約条件は場所的制約・時間的制約・移動手段制約の3つから構成される.場所的制約は固定制約,ジャンル制約のどちらかから成り,固定制約は“名古屋城”のような任意の固定の目的地を,ジャンル制約は“城”のようなあいまいな制約を条件に与える.時間的制約は目的地の到着時間,滞在時間,出発時間,目的地の前後関係の4つから成る.移動手段制約は目的地間の移動手段を徒歩,車,公共交通機関のいずれかで与える.  ユーザ毎の経路の好みを反映するユーザ最適経路は,評価関数として次の5つ(1)経路長,(2)経路嗜好度,(3)立ち寄り地嗜好度,(4)必要料金,(5)経路実現性を持つ.ここで経路長とは全ての目的地を通った時の経路全体の長さ,経路嗜好度とは大通りを通るか,普段使う交通機関であるか,といった経路への嗜好度,立ち寄り地嗜好度とは場所的制約によって指定されたあいまいな目的地が適切な目的地を示しているか,必要料金は公共交通機関を使った際の料金,経路実現性は制約条件を満たした上で実行が可能な経路であるかを,それぞれ示す尺度である.最終的な評価値は前述の5つの評価値にそれぞれ重みをかけた値の和とする.  あいまいな目的地の決定,目的地順序の決定,ユーザ最適経路の計算はどれかを先に計算できるものではない.あいまいな目的地を先に決定することでより良い経路を選択できなくなってしまうような場合があり,ユーザ最適経路の計算の為には目的地や順序を変えてこの3つの計算を反復的に行う必要がある.本研究ではその手段として遺伝アルゴリズムを用いる.遺伝アルゴリズムを用いる理由としては前述の3つの計算を並行して行える,一定時間を超過した場合に計算を打ち切ることができる,準最適解を複数得られるためにユーザに複数の経路を提案できる,以前の経路情報を保存しておくことで経路の再計算を途中から行える,といった利点が挙げられる.  遺伝アルゴリズムの遺伝子構成は,目的地の順序をコーディングしたものとする.実際には目的地に最も近い道路ノードの番号を,立ち寄る順に格納する.ここで場所的にあいまいな目的地は適合するジャンルの目的地をランダムに選択する.評価関数は前述の(1)〜(5)を[0,1]で正規化したものに重みをかけたものの和を用い,最も評価値が高くなるものを経路として採択する.ここで重みは(1)〜(5)のどれをユーザが優先するかというユーザそれぞれの嗜好を示すものとなる.交叉手法には順序交叉を用い,突然変異として,遺伝子のうち2点をランダムに選択して交換する2-opt法,場所的にあいまいな目的地のランダムな置き換え,の2つの方法を用いる.選択手法はトーナメント選択とルーレット選択の2つを組み合わせたものを用いる.終了条件は以前の探索結果と比べて評価値の平均がしきい値以下だった場合と,計算時間があらかじめ与えられた既定時間を超過した場合のどちらかを満たした場合となる.  経路の好みはユーザ毎に別のものとなるため,(1)〜(5)の評価関数に対する重みを調整することでユーザ毎の経路の好みを反映させる.計算された経路をユーザが許容した場合,(1)〜(5)の評価値の中で最も値が高かったものはユーザが重要としている評価値であると考え,その評価値に対する重みを増加させて他の評価値への重みを減少させる.逆にユーザが経路を拒否した場合,最も高かった評価値に対しては重みを減少させ,他の評価値に対する重みを増加させる.  これらをラップトップコンピュータ上で実装し,経路の妥当性,計算時間,目的地が増えた場合のスケーラビリティについてそれぞれ検証した.

8D-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名Webサービスを導入したデマンドバスシステムにおける運行情報表示システムの提案
著者*小田 亮太, 宮崎 剛, 山本 富士男 (神奈川工科大学)
Pagepp. 1856 - 1864
KeywordWebサービス, マッシュアップ, デマンドバス
Abstract 近年、乗客の要求に応じた運行を行うデマンドバスの需要が高まっている.特に地方の過疎部では,路線バスの利用は下降線をたどり、行政の補助金でなんとか路線を維持しているという状況があるためである.本論文では、Google MapsとGeOAPのWebサービスを利用した、デマンドバスにおける運行情報表示システムを構築した.顧客の要求に応じてバスの運行ルートを決定し、Google Maps上に赤線でその経路を表示する.また、デマンドのポイント間の距離を算出して表示する.それにもとづき、出発地から全てのデマンドポイントまでの到着予測時間も表示する.さらに、バスの現在位置をアイコンで示し、その運行状況をアニメーション表示することもできる.バスが通過したポイントにはチェックマークを付加して視認性を高めている.このシステムを実用化すれば、顧客に高い利便性を与えるだけでなく、デマンドバス運行会社にとって、効率の高いバス運行が可能になると考えられる.

8D-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名Roundaboutパターン表示に適した制約つき最適化に基づく要約地図生成アルゴリズム
著者*淺原 彰規, 丸山 貴志子 ((株)日立製作所 中央研究所), 嶋田 茂 (産業技術大学院大学), 住沢 紹男 ((株)ザナヴィ・インフォマティクス 先行開発本部 技術開発センター), 貴島 昌司 ((株)ザナヴィ・インフォマティクス プロダクトエンジニアリング本部 ソフト開発センター)
Pagepp. 1865 - 1872
Keyword要約地図, デフォルメ, ITS, 地図情報
Abstractモバイル端末の小さな画面には道路形状を単純化し見やすくした要約地図が適している.そのため,モバイル端末向けに要約地図の自動生成方式が研究されている.従来方式では道路形状の局所的最適性を表す項の和により目的関数を定義し,道路の位置関係や接続関係を保つように最小化する.しかし,従来方式は,道路の一部を円や矩形などのパターン形状にて表現した要約地図の生成には適用できない.そこで,欧州にて円や矩形として認識されているRA(Roundabout)とよばれる道路を含む地図を対象に,RAをパターン形状にて表示しかつ周辺道路をも要約する方式を提案する.提案方式では,最初にRAのパターン種別を道路形状から判定し,次に周辺道路と矛盾しないようにパターン形状にて置換する.その後,RAの座標を一般化座標に変換し制約条件を与えることにより,パターン形状を保ちつつ周辺道路を要約する.提案方式の有効性を検証するため,カーナビゲーションの案内用拡大図を想定して実際のデータに要約処理をかける実験を行った.その結果,RAはパターン形状にて表現しつつ,周辺道路も矛盾なく整形した要約地図の表示できることが確認できた.


セッション 8E  アドホックネットワーク応用(MBL)
日時: 2008年7月11日(金) 10:20 - 12:00
部屋: コスモ(1)
座長: 渡辺 正浩 (三菱電)

8E-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名無線メッシュネットワークにおけるゲートウェイ分散方式の提案と評価
著者*伊藤 将志 (名城大学大学院), 鹿間 敏弘 (福井工業大学), 渡邊 晃 (名城大学)
Pagepp. 1873 - 1879
Keyword無線メッシュネットワーク, ns-2, ゲートウェイ, MANET
Abstract無線LANは,ケーブルが不要で,自由に端末のレイアウトが組めること,端末の移動が可能であることから,広く普及してきた.一般的な無線LANのシステムでは,無線部分はAP(Access Point)から端末の間のみであり,AP間およびインターネットへのアクセスは有線で接続されている.そのため,大量のアクセスポイントを設置すると,バックボーンとなる有線の敷設コストが増大し設置にも時間を要する.このような問題を解決するシステムとして,無線メッシュネットワークがある.無線メッシュネットワークとは,AP同士が相互にアドホックネットワークで接続されたシステムである.端末は通常の無線LAN のAP に接続する場合と同様の手順でシステムを利用できる.無線メッシュネットワークはAP を適切に配置するだけで無線LAN の通信エリアを容易に拡大することができ,増設や移設にも迅速な対応が可能である.IEEE802.11 委員会では2004 年6 月にタスクグループs を発足させ無線メッシュネットワークの標準化を進めている状況である.しかし,802.11s ではインターネットとの接続方法については,詳しい検討は行われていない. 無線メッシュネットワークのような無線リンクのみで構築されたLAN では,有線バッ ボーンネットワークとの接続点となるゲートウェイ付近での負荷集中が問題となる可能性がある.無線ネットワークの帯域幅は有線ネットワークと比べて劣るため無線資源を有効に利用する必要がある.ゲートウェイの負荷集中を回避するため,複数個のゲートウェイを設置し,AP が適切にゲートウェイへの経路を切り替えられると有効である.この際,端末はゲートウェイの切り替えを意識せずに済むことが望ましい. 複数のゲートウェイを用いる既存の研究として,ゲートウェイを切り替え時に通信ロスを最小限に抑える研究,複数のゲートウェイにパケットを分配転送する研究がある. 前者の方式としては,MANET(Mobile Ad-hoc Network)のゲートウェイ選択手法として議論されている.MANET 内のゲートウェイは有線により上流ルータに接続する.ゲートウェイは上流ルータの設定情報を端末へ配布する.端末は最寄りのゲートウェイを選択してパケットを転送する.端末が移動してゲートウェイを切り替えても端末の選択する上流ルータが変化しないため,端末上のアプリケーションはゲートウェイの切り替えの対処を行うことなく外部と通信が可能となる.しかし,端末が複数のゲートウェイを同時に利用することは想定していない. 後者はAP が各ゲートウェイの状態を検知し,パケット毎にゲートウェイを選択することによりトラヒック量を均等にし,ネットワークの公平性を高める.AP が複数のゲートウェイを同時に使用することによりトラヒックを分散させることができるため,本論文の目的と最も関連する研究である.しかし,単純にパケットを分配する方式では同一TCP セッション内で通信のゆらぎが発生し性能劣化が発生するという課題がある.そこで,本論文ではパケットのプロトコルタイプ,IP アドレス,ポート番号をもとに同一セッションの通信は同一のゲートウェイを選択することとする.これにより同一TCPセッションでの通信のゆらぎを抑えることができ,通信性能を向上させることができる. ネットワークシミュレータns-2 上に提案方式を実装し,その有効性を確認した.シミュレーションの結果,提案方式の方がパケット単位で分配する方式よりもTCPスループットが向上することがわかった.また,ネットワークに背景負荷を与えたとき,その差が更に顕著になることがわかった.今後はテストベッドの構築などによる性能評価を行い,その結果を基に災害通知システムや車車間通信などへの応用を検討していく.

8E-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名スムースな拡散を目指した カウンタベース リブロードキャスティング
著者*榎本 正 (NEC通信システム)
Pagepp. 1880 - 1883
Keywordフラッディング, リブロードキャスティング, スムースな拡散
Abstractネットワークではブロードキャストパケットがさまざまな目的で使われている.無線アドホックネットワーではブロードキャストストーム(中継パケット数の爆発的な増加)は大きな問題でありさまざまな対策の提案がなされている.しかし,これらの提案は中継パケット数の削減と到達率が大きな関心であった. われわれは,上記の2つの指標のほかに,スムースに広がることも重要と考え,カウンタベースの方式をベースにスムースに広がる方式を開発した.提案方式は中継するかどうか判断するまでの待ち時間を従来の[0,Tmax]からランダムに選ぶ方法から、一呼吸おいて[Tmin,Tmax]からランダムに選ぶ方法に改良したものであり、シミュレーションにより、発信ノードからの同心円状のノードまでの遅延時間の標準偏差/平均の値が従来方式に比べ10%程度削減されており、よりスムースに拡散されることを確認した。

8E-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名移動飛行体を用いた無線ネットワークサービスに関する一考察
著者*島田 秀輝, 藤川 和利, 砂原 秀樹 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1884 - 1887
Keywordモバイルネットワーク, アドホックネットワーク

8E-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名セルラーネットワークとアドホックネットワークを併用したBitTorrent風動画広告配信手法
著者*花野 博司 (奈良先端大), 村田 佳洋 (広島市立大), 柴田 直樹 (滋賀大), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端大)
Pagepp. 1888 - 1893
Keywordセルラーネットワーク, アドホックネットワーク, BitTorrent
Abstract 近年,携帯端末に動画コンテンツを配信するサービスが提供されている.その一つとして動画広告配信が近年注目を集めている.動画広告配信において,高い広告効果を得るためにはユーザのコンテキストにあった動画の配信が重要となる.動画配信に利用できる帯域幅には制限があるため,多数のユーザがそれぞれ多様なコンテンツの配信を要求すると,セルラーネットワークの電波資源を圧迫し,すべてのユーザに満足の行く配信を行うことは困難となる.そのため,多数のユーザが多様な動画広告を要求する環境において,効率的な動画広告配信手法が必要となる.携帯端末への広告配信の現状として,コンテキストアウェアな動画広告配信サービスは提供されていない.現在行われている待ち受け画面へのヘッドライン広告はセルラーネットワークのみで行われているが,セルラーネットワークの帯域は限られているため,同じ方法で多種多様な要求が発生するコンテキストアウェアな動画広告配信は行えない.一方,携帯端末同士でアドホックネットワークを使ってBitTorrentを適用し効率的にファイルのやり取りを行う研究が行われている.しかし,端末同士のアドホック通信では通信範囲が限られており,広域に情報を伝えるのは伝達率などの面で実用上問題がある.  本研究では,多数のユーザの多様なコンテンツ要求に対応できる動画広告配信を行うことを目的として,セルラーネットワークとアドホックネットワークを併用した動画広告配信手法を提案する.多数のユーザが居る都市を対象とし,ユーザの携帯電話はセルラーネットワークとアドホックネットワークが同時に使用できるものとする.提案手法では,ユーザのコンテキストによって,端末が自動的に受信したいコンテンツを決定し,ユーザのスケジュールや生活パターンから各コンテンツに対してデッドライン(受信期限)を設定する.以上に対して,各ユーザ端末が近隣の端末と協力して如何に効率よくデッドラインを満足するよう動画広告を受信するかという問題を扱う.  提案手法では,以下の3つの基本方針を採用する.1つ目はセルラーネットワークの通信帯域をできるだけ抑えることを目指して,近隣端末が持っていないファイルはセルラーネットワークから,近隣端末が持っているファイルはアドホックネットワークからダウンロードする.2つ目は近隣の端末同士が協力して効率的にダウンロードするために,BitTorrentの様にファイルを断片に分割し近隣の端末と交換する.3つ目は多数の端末が存在する時にもうまく動作させるため,サーバによる集中制御は行わず,各端末が自律的・確率的に取るべきアクションを決定する.  提案手法では,端末はアクション決定アルゴリズムにおいて2つのフェーズを持っている.近隣の情報を収集するフェーズと端末がアクションを決定するフェーズである.近隣の端末と断片を交換するのに必要な情報を交換するために,近隣の情報を収集するフェーズでは各端末がハローメッセージを定期的にブロードキャストする.ハローメッセージには自分が欲しいコンテンツのリストと,各コンテンツに対し自分が持っている断片の情報が含まれている.各端末は周りから送られてきたハローメッセージから近隣端末の断片所持状況や需要情報を収集する.アクション決定フェーズでは,端末は近隣の情報から自律的・確率的に行動を決定する.自分が持っている断片は周りに貢献するためにブロードキャストする必要があるが,その断片を持っている全端末がブロードキャストすると電波資源を無駄に使ってしまう.そこで持っている端末数,欲しがっている端末数に依存した確率でブロードキャストを行う.すなわち,各断片に対し,その断片を持っている端末が多かったり欲しがっている端末が少ない場合には確率を下げ,持っている端末が少なかったり欲しがっている端末が多い場合には確率を上げる.  自分が持っていない断片は,周りにその断片を持っている端末があれば送られてくるのを待つが,周りで誰も持っていない断片についてはセルラーネットワークでダウンロードする必要がある.しかし,その断片を欲しがっている全端末がセルラーネットワークからダウンロードしようとするとコストが高くなってしまう.そこで欲しがっている端末数に依存した確率でダウンロードする.つまり欲しがっている端末数が多ければ確率を下げ,少なければ確率を上げる.  提案手法の評価を行うためにユーザの満足度を,実際の都市を模したシミュレーション空間でのシミュレーションにより調査する.デッドラインに遅れるとユーザが見たい時に見られないため評価値は0となる.逆にデッドラインより早くダウンロードできると評価値が高くなる.これをあるタイムスパンで全ユーザ,全リクエストについて評価を行う.


セッション 8F  グリッド(DPS)
日時: 2008年7月11日(金) 10:20 - 12:00
部屋: コスモ(2)
座長: 小口 正人 (お茶の水女大)

8F-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名処理目的の隠蔽技法の冗長性を利用した処理の真正保証手法
著者*宮岡 広寿, 樋上 喜信, 小林 真也 (愛媛大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1894 - 1898
Keywordグリッドコンピューティング, セキュリティ, 処理の真正保証, プライバシー保護

8F-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名処理目的の隠蔽法における依存関係に基づくプログラム分割サイズに関する考察
著者*高須賀 智, 樋上 喜信, 小林 真也 (愛媛大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1899 - 1904
Keywordグリッドコンピューティング, セキュリティ, プログラム分割, 依存関係

8F-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名隠蔽効果の高いプログラム断片作成のためのプログラムの特徴に関する考察
著者*姫田 健生, 樋上 喜信, 小林 真也 (愛媛大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 1905 - 1908
Keywordプログラムの特徴, 処理目的の隠蔽, セキュリティ, グリッドコンピューティング, 断片化
Abstract分散コンピュータ環境では、それに属するすべてのコンピュータ資源が有効に使われているとは限らない。その中には、低負荷なコンピュータが多数存在している場合がある。実行したいプログラムを複数所持している場合、その低負荷なコンピュータの資源を利用できるシステムが構築されれば、複数のプログラムを同時実行できるので、1台のコンピュータで実行するよりも全体として早く処理を終えることが可能となる。しかし、プログラムを他のコンピュータで扱うので、プログラム中の情報を不正に解析され、悪用される恐れがある。このため、機密情報や個人情報などを扱ったプログラムを扱う場合、信頼性が保障されたコンピュータのみでシステムを構築しなければならないという制約がある。この制約を解消するためにプログラムを保護する方法を考えなければならない。 プログラムを保護する手法には暗号化や難読化などがある。暗号化はプログラムの一部またはすべてを暗号化することにより、解析を困難にするが、実行するためには一度復号化しなければならないので、その過程で解析される恐れがある。難読化は、処理を複雑にすることによってプログラムを読みにくくし、解析を困難にする手法であるが、解析される可能性は残る。そこで、これらとは別の方法として、我々の研究室では処理目的の隠蔽法を提案している。 処理目的の隠蔽法では、信頼できるコンピュータを少なくとも一つ用意する。そして、その信頼できるコンピュータ上で、実行したいプログラムを1つ、または複数用意し、それらのプログラムを分割し、細かくインタリーブすることで断片を生成する。さらに生成された断片の中にダミーコードを挿入する。各断片は複数のコンピュータに送付され、送付された断片は先行制約を守りながら処理を行う。このとき入出力データの受け渡しは信頼できるコンピュータで行う。また、ダミー断片を用いたり、生成された断片の一部を信頼できるコンピュータで実行させる。これらの操作によって、解析者による断片の解析を困難にし、また複数の解析者が共謀し、多くの断片を手に入れたとしても断片の解析は困難になる。 処理目的の隠蔽法において隠蔽効果の高いプログラム断片の作成をするには、解析者がプログラム断片からどのような情報を得るかを知ることが重要となる。一方、解析者はプログラムの特徴を元に様々な情報を得ることができる可能性がある。本稿ではプログラムの特徴としてプログラム全体での行数と変数の数、プログラム断片でのプログラム全体に対する行数の割合と変数の数の割合に注目し、それらを統計的に測定し、プログラム断片の行数、変数の数からプログラム全体の行数、変数の数をどの程度の精度で推測可能か検証を行った。 プログラム断片の特徴として、一つの元となるプログラムから切り取った断片の行数が増えるほど、含まれる変数の数は増加傾向にあるが、行数が増えるほど増加は緩やかになるという特徴がある。また、プログラム全体の特徴として、行数が増えると含まれる変数の数が増えるという特徴がある。これらの特徴を元に、それぞれの関係を近似相関関数で表すことによって、プログラム断片の行数と変数の数からプログラム全体の行数と変数の数を計算で求めることができる。しかし、計算で求められた値と実際のプログラム全体の行数と変数の数には誤差が生じる。真の値がこの誤差の範囲におさまる確率を示すことによって、推測がどの程度の精度であるかを示す。

8F-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名Windows Gridを用いたLinux Grid on Virtual Machine の構築
著者田中 堅一 (東洋大学大学院工学研究科情報システム専攻), *上原 稔, 森 秀樹 (東洋大学)
Pagepp. 1909 - 1916
KeywordGrid, Virtual Machine
Abstract近年ではコンピューティング需要が非常に高まっている。そしてそのための環境として、グリッドコンピューティングの研究も行われてきた。また計算環境としての仮想環境も注目されている。そして仮想環境によるコンピューティング環境を提供するAmazon EC2などのCloud Computingと呼ばれるパラダイムも登場している。しかしながらこのようなサービスはWindowsを搭載したPCをベースにしたものではないことが多い。本論文ではWindowsベースの環境のもつ計算資源を、仮想環境とグリッドによって利用するシステムについて提案する。提案システムはWindowsベースのグリッド環境によって、仮想環境上にLinuxによるグリッド環境を構築するものである。本システムにより、Windowsベースの環境で完全なグリッド環境を構築することが可能となる。


セッション 8H  ユビキタス応用(UBI)
日時: 2008年7月11日(金) 10:20 - 12:00
部屋: ビューホール(1)
座長: 寺田 努 (神戸大学)

8H-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名配信ルールの解析効率化によるバリュー配信システムの性能改善
著者*岡下 綾, 小池 雄一 (日本電気株式会社 サービスプラットフォーム研究所)
Pagepp. 1917 - 1923
Keyword電子クーポン, 配信システム, ICカード, 分散協調アーキテクチャ, 効率化
Abstractバリュー配信システムは管理サーバとICカードリーダライタが連携することで,ICカードを搭載したユーザ端末にユーザ属性に適した電子バリュー(電子クーポンなど)を高速に配信するためのプラットフォームである.管理サーバはユーザ属性に応じた電子バリューを選択するための配信条件データのリストである配信ルールを生成し,電子バリューを配信するリーダライタに送信する.リーダライタにおいて配信ルールは一定サイズごとに主記憶に複写しながら解析されるが,このデータ読み込みには多くの時間を要する.また,すべての電子バリューに対して配信可能かどうかが決定した時点で解析処理は終了し,それ以降の配信ルールに関するデータは主記憶に読み込まないため,解析される確率の低い配信条件データが2次記憶の上部に配置されると主記憶に無駄なデータが多く読み込まれることになる.このような問題を解決するため,解析時にはユーザ属性によって分割されたグループのインデックスに紐付けされたデータだけを取得することでメモリ複写回数を減少させるアプローチ,及び解析確率によって配信条件データの配置変更を行う高速化アプローチを適用した.

8H-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名識別アルゴリズムを動的に適用する人物追尾機構
著者*太田 健吾 (立命館大学院 理工学研究科 情報理工学専攻 計算機科学コース), 西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部)
Pagepp. 1924 - 1934
Keyword人物追跡, 背景差分, 画像認識, 色相ヒストグラム

8H-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名ユビキタスプロトコルアナライザの設計と実装
著者*森下 達夫, 廣津 登志夫 (豊橋技術科学大学), 福田 健介 (国立情報学研究所), 菅原 俊治 (早稲田大学), 栗原 聡 (大阪大学)
Pagepp. 1935 - 1939
Keywordユビキタスコーパス, プロトコルアナライザ

8H-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名不可視バーコード技術における印刷支援システム
著者*上條 浩一, 張 綱, 上條 昇 (日本アイ・ビー・エム 東京基礎研究所)
Pagepp. 1940 - 1950
Keyword不可視バーコード, ユビキタス, 画像処理, アナログとデジタルの融合, 携帯電話
Abstract 携帯電話,ブロードバンド,HDTVの普及,デジタル放送の全国展開等,様々な分野でデジタル化が進んでいるが,新聞,書籍等,紙媒体は依然多く流通しており,今のところこれらがデジタル化の波に完全にのみこまれてしまう兆候は見えない.しかし,これら紙媒体とデジタルの世界とを結びつける需要は増えており,それを実現する手段の例として,RFID, 2次元バーコード,電子透かし等がある.しかし,RFIDは,チップであり印刷できないため,紙媒体への適応は現実的ではない.また,QRコード等の2次元バーコードは,バーコード自体が印刷物のスペースをとってしまう,あるいは印刷物の美観を損ねてしまう,という問題があり,また,スペースのない新聞や雑誌の記事に印刷するのは難しい.また,電子透かしは,情報を埋め込む対象が自然画のような場合は,耐性が強く印刷後にも透かしの情報が比較的残りやすく,画質への影響が少ないが,新聞の記事に使用されるようなテキストに対しては,耐性が弱いだけでなく,透かしが目立ちやすい,という問題がある.また,埋め込められる情報量もバーコードと比べ少なく,URLのアドレスを埋め込むことは難しい場合が多い.  筆者らは,以前,これらの問題を解決しつつ紙媒体とデジタルの世界を結びつける,不可視バーコード技術を開発した.不可視バーコード技術においては,不可視インクを用いてQRコード等の2次元バーコードを新聞,雑誌等の記事に重畳して印刷する.抽出時には,ユーザはそのインクに反応するブラックライトLEDで不可視バーコードを発光させ,カメラ付き携帯電話,PCに接続されたWebcamera等で撮影し,元の記事等が重畳している画像に画像処理を施し,バーコードの情報を取り出す.筆者らは,本抽出技術の実装を行い,カメラ付き携帯電話や,PCに接続されたWebcameraからの抽出を可能にし,CPUパワー,メモリー量の乏しい携帯電話を用いた場合でも,撮影から0.5秒での抽出を可能とした.このように紙媒体に場所,見栄え,大きさを気にせずにバーコードを印刷する事により,紙メディアに2重,3重の情報を埋め込む事が可能となり,紙メディアとデジタルの世界をシームレスに繋ぐ事が可能となった.しかし,使用される不可視インク,紙媒体,記事に使われるインク,抽出用ブラックライトLED,撮影用カメラの組み合わせによっては,上記画像処理を施しても情報がうまく抽出できない,という問題があった.例えば,記事に使われるインクが不可視インクの成分を吸ってしまうような場合には,画像処理を施しても情報を抽出する事が困難となった.  筆者らは,これらの問題を解決するために,不可視バーコードの印刷支援システムを開発した.本システムにおいては,印刷する不可視バーコードと不可視インク,印刷される紙媒体と不可視バーコードの印刷が許される範囲,抽出用ブラックライトLED,撮影デバイス,撮影環境等が与えられたとき,その印刷範囲内で,抽出成功率が最大となる不可視バーコードの位置,大きさ,角度を決定する.1つ考えられる方法としては,印刷対象となる紙メディアに実際に印刷し,撮影,抽出を行い,エラー率を測定する方法が考えられるが,そのためには,同じ紙メディアを大量に用意して,様々な位置,大きさ,角度のコンビネーションで印刷し,抽出実験を行う必要があり,毎日大量に印刷される新聞等に適応することは非常に困難である.そこで,本システムにおいては,実際に毎回印刷,撮影は行わずに,上記不可視バーコードや印刷範囲等の情報が与えられた状態で,様々な位置,大きさ,角度の不可視バーコードを印刷,発光,撮影した疑似画像をシミュレーションで作成し,その擬似画像から,実際の抽出アルゴリズムを用い抽出を行い,最大の抽出成功率を与える位置,大きさ,角度を決定する.ただし,疑似画像作成においては,印刷対象と同じ性質をもった紙媒体と不可視インクを用い,可視インクの上に重畳したものとしないもののテストパターンを印刷し,それらを実際に利用するブラックライトLED,撮影デバイスを用い,発光,撮影した画像と,そのテストパターンに対しブラックライトを発光していない状態で撮影した画像との相関から,擬似画像作成関数を求めておく.その際,ブラックライトによる乱反射やカメラ撮影時におけるノイズも考慮に入れる.本稿では,上記印刷支援システムのアルゴリズムを紹介し,実験により,本システムの有用性を確認する.本システムを用いることにより,不可視バーコードの抽出率が大きく向上し,重畳する紙メディアと不可視インクの相性が悪い場合でも,抽出できる可能性が増え,紙メディアとデジタルの世界との橋渡しの更なる強化が実現できた.


セッション 8I  情報センシング(2)(UBI)
日時: 2008年7月11日(金) 10:20 - 12:00
部屋: ビューホール(2)
座長: 今井 尚樹 (KDDI研究所)

8I-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名遮蔽による受信強度変化を利用した状態検知方式 −扉,窓の開閉状態の遠隔モニタへの適用とその実証−
著者*田中 博, 五百蔵 重典, 谷中 一寿 (神奈川工科大学 情報学部)
Pagepp. 1951 - 1955
Keywordセンサーネットワーク, RFID, 受信強度, 携帯電話, データベース
Abstract ユビキタス時代を迎え,至るところにコンピュータ,センサが存在し,かつそれらがネットワークで接続されるしくみが実現可能となりつつある.特に最近のマイコンやワイヤレス機器の小型化,低消費電力化,高機能化は上記のしくみを多様な領域でコスト負担も少なく構築できることに大きく寄与していると考えられる.アクティブRFIDは微弱無線を用いた個別の識別情報であるIDの発信機器である.これまではその通信エリア内における人の存在や物品の有無の検知手段の一つとして主に用いられてきたが,電波を用いたID送信機であることからID情報とともに各RFIDから発信される電波の受信強度も情報として得ることが可能である.本論文では,アクティブRFIDが発信するID情報とともにその発信する電波の受信強度を利用する新たな状態検知方法を提案するとともに,応用システムを構築し,その有効性を実証した結果を示す.  基本的に受信強度は発信側と受信側の距離が広がる,あるいは金属などの遮蔽物が両者の間に置かれると低下するが,提案手法は後者の現象を利用して状態の変化を検知するものである.まず提案手法の妥当性を確認するために,引き扉を利用した.扉が開状態のときは発信機は遮蔽されず,閉状態のときは扉に取り付けられた発信機が固定側に取り付けられたアルミ板によって遮蔽される構成を設定した.なお本構成では発信機として,微弱無線装置であるアクティブRFID(寸法:48×29×9mm,重量:11g(ボタン電池を含),電池寿命:5.3年(10秒発信間隔),通信距離:半径10m程度)を用いた.そして,その構成において開閉の状態で受信機の受信電力強度が大きく変化(15dBm)することをスペクトルアナライザを用いて明らかにし,手法の妥当性を確認するとともに受信機のRSSI(Received Signal Strength Indicator)出力が受信強度に比例して変化することを確認した.本提案手法は,従来の開閉状態に連動するプッシュ(マイクロ)スイッチや固定側と可動側の距離に応じた磁力によって反応するリードスイッチなどのセンサを設ける必要がなく構成が容易であること,設置対象である既存施設の改造なども不要であることに特徴がある.  本提案手法の有効性を実証するために,研究室(100m2超)の扉,窓などの開閉状態の遠隔モニタへ適用した.実証システムの基本構成は,一定の時間間隔でRFIDから送信されるID情報とRSSI値を受信機を介してサーバが取得し,RSSI値の変化から開閉状態の変化を判断してサーバ内のデータベースを更新する.そして,このデータベースに格納した開閉状態やその変化の日時をPHPを用いてHTML形式で出力して携帯電話のWebブラウザで閲覧可能なしくみとし,どの場所からでも状態をモニタできるようにした.ここで,フェージングや各RFIDタグから送信される電波のコリジョンによって,RSSI値の変化や受信不可の状態も発生することを考慮し,一定時間内でのRSSI値の積算から開閉状態を判断するようにしている.  本システムでは各管理者が異なるモニタ箇所を有していることから,管理者ごとにモニタ箇所を限定することが重要となる.一方で,携帯電話からの操作を考慮すると可能な限りキー入力操作を少なくすることが望ましい.実証システムではこの点を考慮し,携帯電話が所有者自身のみの使用に限定されている実際の使用状況に着目し,携帯電話の個体識別番号とRSSI値を取得している受信機のアドレス情報を括りつけた.すなわち,各RFIDによるモニタ箇所→受信機アドレス(設置場所)→携帯電話所有者(設置場所の管理者)というリンクでモニタ点を限定するしくみを実現し,実験によって機能を確認するとともに実際に運用してその有効性を確認した.今回提案した手法は扉,窓の開閉監視だけではなく,ある領域におけるモノの有無の状態を検知するという目的にも適用可能であり,広範囲に適用可能な手法であると考えられる.

8I-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名センサネットワークにおけるプライバシーとサービス品質を考慮した提供情報決定方式の検討
著者*中川 紘志, 一枚田 隆史, 加藤 弘一, 勅使河原 可海 (創価大学大学院)
Pagepp. 1956 - 1963
Keywordプライバシー, センサネットワーク, ユビキタス, 意思決定
Abstract1. 研究の背景と目的 近い将来、至る所に設置されたデバイスが人や環境の情報などを自動で検出し、利用者に対して快適なサービスを提供するユビキタス社会の到来が期待されている。このユビキタス社会を実現するための技術の一つとしてセンサネットワーク空間があり、人や環境などから多種多様の情報を取得し、利用者に対してサービス提供を行うための研究や開発が多く行われている。このセンサネットワーク空間において、利用者に対し様々なサービスを提供するためには多種多様な情報が必要であり、利用者が気付かない間に個人の情報が取得されてしまう可能性がある。そのため、空間の利用者はプライバシーに関わる情報の取得に関する不安を抱くことが予想される。 本研究はこれまで、センサネットワーク空間における安全な情報利用環境の実現を目的とし、ユーザの望むサービス提供と情報の保護を実現するために、ユーザが取得を許容する情報の範囲内でサービスの提供を最大化するための提供情報決定方式について提案してきた。この方式は、取得してよい情報や利用したいサービスをユーザが選択的に決定し、ユーザの要望をユーザポリシーとして定義する。しかし、本方式においてユーザの選択結果がプライバシーやサービス品質にどのような影響を与えるのかが不明瞭であった。そこで本稿では、プライバシーへの影響やサービス品質を考慮した提供情報決定方式について検討する。 2. ユーザの要望の抽出方法とその課題 ユーザの望むサービス提供と情報の保護を実現するためには、ユーザの要望を正確に抽出し、定義することが必要である。しかし、提供サービスや取得情報は空間によって異なり、空間利用時ごとの要望の定義はユーザの負担を考えると現実的ではない。さらに、要望が曖昧なユーザからも要望を正確に抽出する必要がある。また、サービス提供に必要な情報と取得されたくない情報が競合する可能性がある。仮に情報保護を優先した場合、情報不足によりサービスの品質が著しく低下したり、サービスの提供自体が不可能となる。 本研究では、自身の望むサービス提供と情報保護を定義したユーザポリシーを作成し、それを利用空間に反映するアプローチを取る。またユーザが空間の性質に応じたユーザポリシーを所持することにより、空間ごとの要望の違いに対応する。ユーザポリシーの作成時には、要望の曖昧さを解消するために、取得されうる情報や利用可能なサービスを具体的に提示し、その中から利用サービスや取得情報を選択する。この選択方法として、利用するサービス、コンテキスト、センサ情報の項目を選択的に決定する方法や、守りたい情報のみを決定する方法が考えられる。前者は要望の変化や細かい設定に対応できるが、新サービスの導入など状況の変化時には要望の再定義が必要となり、また項目数が多くなるとユーザの負担が大きくなる。後者は、ユーザが保護したい情報を取得しない範囲内でサービスを提供する方法である。一度要望を定義すればサービスに変更があっても再定義の必要はなく、また項目数が少ないためユーザの負担を軽減できる一方で、望むサービスを享受できるとは限らない。 さらに、サービス提供と取得情報が競合した場合、代替可能な別の情報をユーザに提示し、ユーザが代替情報の取得を受け入れればユーザの望むサービス利用と情報保護を達成できる。 しかし、取得情報や利用サービスを選択できたとしても、その達成がプライバシーの保護やサービスの品質に与える影響が不明瞭であると、選択結果がユーザの要望を正確に反映しているのかが曖昧となり、結果として望まない情報取得やサービス享受へと繋がってしまう。そのため、ユーザの選択結果に対するプライバシー保護やサービス品質の程度を評価できる仕組みが必要である。 3. プライバシー保護とサービス品質を考慮したユーザ要望の抽出 ユーザの要望がプライバシー保護を十分に達成できているのか、提供されるサービスの品質がどの程度なのかをユーザが確認できるよう、これらを客観的指標により提示する。ここで、どの情報の取得がプライバシーの侵害と捉えるかといったプライバシーへの考え方はユーザにより異なり、取得する情報がプライバシーに影響を与えるのかを評価することは難しい。そこで例えば、ユーザの望む情報取得をどの程度守れるかという、ユーザの要望に対する達成度などにより、プライバシーの保護の程度を評価する。 一方、サービス品質については、ユーザ個々にパーソナライズされたサービス提供、取得情報を利用した自動的なサービス提供など、品質を評価するためにはいくつかの項目が考えられる。そのため、品質評価に必要な事項を洗い出し、事項ごとや総合的なサービス品質を評価する。 これらの評価により、取得情報や利用サービスについてユーザが選択した結果として、どの程度のプライバシー保護とサービス品質が得られるのかをユーザに明示することができ、ユーザの要望を正確に抽出する上で効果的である。

8I-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名三次元環境での無線センサネットワークにおける省電力性を考慮したイベント検出
著者*鳥海 晋, 清 雄一 (東京大学), 本位田 真一 (国立情報学研究所/東京大学)
Pagepp. 1964 - 1972
Keywordセンサネットワーク, イベント検出
Abstract無線センサネットワークにおけるイベント検出技術は環境モニタリング,目標追跡などに応用できることから非常に重要な技術である.イベントを検出するためには各センサの測定値を収集する必要がある.しかし,各センサはバッテリで駆動しているため,計測値の収集に伴う消費電力量を低減する必要がある.既存の集約ベースによるイベント検出手法は,全てのセンサ計測値を必要とするため,省電力性が低い.そこで,本論文では,一部のセンサ計測値のみを用いて環境の概要を推定し,推定された概要に基づいてイベントを検出する手法を提案する.本手法では,三次元環境のイベントを検知するために,既存の二次元空間での等位図作成手法を三次元空間対応に拡張し,環境の概要を等値面の集合としてモデル化する.一部のセンサ計測値からイベントを検出することができるため,全センサ計測値を用いる既存のイベント検出手法と比較して,本手法は省電力性を向上させることができる.本論文では,シミュレーション結果に基づき,本手法を省電力性の観点に基づき評価する.この結果より三次元環境でのイベント検出の省電力性を向上させることが示せた.

8I-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名ユーザとの近接関係に基づいた最近傍センサノード検知とデータ取得手法の提案
著者*小島 一允, 樫原 茂 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科インターネット工学講座), 横山 輝明 (サイバー大学), 奥田 剛, 山口 英 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科インターネット工学講座)
Pagepp. 1973 - 1979
Keyword無線センサネットワーク, コンテキスト, 近接関係, データ取得, ZigBee
Abstractユビキタス環境では,ユーザのコンテキストに応じた有用な情報やサービスを提供することが求められている.コンテキストはユーザの周囲の情報から構成される.現在,無線センサネットワーク(Wireless Sensor Network : WSN)を用いることで,そうしたコンテキストを構成する情報を収集することが可能である.しかし,現在の無線センサーネットワークでは,収集したセンシングデータとユーザの対応関係を明らかにするために,追加の位置検知機構が必要となる.本稿では,WSN上で追加の位置検知機構を必要とせずに,ユーザの周囲のコンテキストを取得する手法を提案する.提案手法では,ユーザとともに移動する端末が最近傍のセンサノードを検知し,そこからユーザの周囲のセンシングデータを直接取得する方法を提案する.また,ZigBeeセンサノード上に本提案手法を実装し,そのプロトタイプを用いて実環境において有効性の評価を行う.


セッション DS  デモセッション
日時: 2008年7月10日(木) 17:50 - 19:20
部屋: ビューホール(3)
座長: 梅津 高朗 (大阪大学)

DS-2
題名災害救助・避難訓練を目的とした無線ネットワークシステムの開発支援環境の提案
著者*中田 圭佑, 前田 久美子 (大阪大学大学院情報科学研究科), 梅津 高朗, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科 独立行政法人科学技術振興機構, CREST)
Pagepp. 1987 - 1994
Keyword災害救無線ネットワーク助避難訓練, 無線ネットワーク, 開発支援環境
Abstract本稿では災害救助・避難訓練を目的とした災害現場で利用される無線ネットワークシステムの開発支援環境を提案する.提案する支援環境では災害現場で無線ネットワークシステムを構成するプロトコルやアプリケーションの評価のために,災害時特有の環境を再現するためのノードモデル,モビリティモデル及び地理モデルを導入した.それらのモデルをワイヤレスネットワークシミュレーMobiREALに実装し,様々な災害状況を再現するための開発環境を構築した.提案手法ではMobiREALと3DViewerを連携させることにより,実際に災害現場に居合わせる一員の視点で通信端末やモビリティの操作が可能となる災害救助・避難訓練環境を提供している.いくつかの実験例を通して提案する支援環境の有用性を示す.

DS-3
題名マルチエージェントモデルによる自律的信号機制御システムの構築
著者*佐藤 和宏, 長岡 諒 (大阪大学大学院情報科学研究科), 安場 直史, 矢野 純史, 香川 浩司, 森田 哲郎 (住友電気工業株式会社), 沼尾 正行, 栗原 聡 (大阪大学産業科学研究所)
Pagepp. 1995 - 1999
Keyword信号機制御, マルチエージェント
Abstract本研究では,交通の動的な変化に対し即応性の高い信号機制御システムとして,ばねモデルを用いた自立的信号機制御システムを提案する.また,現実の道路ネットワークのデータを用い,実環境に近い環境での評価を行う. 道路の交通状況は,日中と夜間などの時刻の変化や交通事故などの原因によって,動的に変化する.交通状況に応じて適切な信号機の制御パラメータは変化するので,信号機の制御パラメータも交通状況の変化に合わせて動的に変化させることが望ましい.しかしながら,定時制御方式や中央管理型の交通応答方式などの現在主に使われているシステムでは,動的な交通状況の変化に十分に対応することは難しい.定時制御方式とは,予め計算しておいたパラメータを用いる方法である.パラメータを何組か用意しておき,時間帯によって切り替えることで,日中と夜間の交通状況の変化などには対応することもできるが,交通事故などの予期しない交通状況の変化に対しては対応することができない.これに対して中央管理型の交通応答方式は,交通状況に応じて自動的に制御パラメータを変化させる方法であり,予期しない交通状況の変化に対しても対応することが可能である.ただし,各交差点の交通状況を一度中央サーバに集め,中央サーバで全信号機の制御パラメータを計算するため,状況の変化に対して即応性が低くなるという問題がある.また,制御対象地域が広がると計算コストが大きくなるという問題もある. そこで近年,上記の問題を解決する方法として自律分散的な信号機制御方式に注目が集まっている.これは,ローカルな情報のみから自律的に制御パラメータを変更する信号機を組み合わせ,信号機網全体として適切な動作を実現する方法である.したがって,中央管理型のような計算コストの問題が発生しない.しかしこれまでの研究では,時刻による交通状況の変化のような比較的緩やかな変化のみを考慮した研究が主流で,即応性に関しては十分に考慮されていない. 本研究では,交通事故のような急激な交通状況の変化に対して即応性の高い信号機制御方式として,ばねモデルを用いた手法を提案する.まず本研究では,一般的に信号機制御に用いる3つのパラメータ(サイクル長,スプリット比,オフセット)のうち,スプリット比のみを制御する手法を提案する.スプリット比とは,交差点の各状態(東西が青,南北が青,全赤など)の時間比のことである.この手法では,各交差点のスプリット比が次の2種類のばねの力で変化すると考える.1つ目のばねは,各交差点に直接流入する道路の交通状況のみを見た時に,最適なスプリット比になるように力を加えるばねである.2つ目のばねは,各交差点のスプリット比を近傍の交差点のスプリット比に近づける方向に力を加えるばねである.これにより,負荷の分散をはかる.この2種類のばねを想定した時に,交通網全体でのばねの位置エネルギーを最小にする方向に各交差点のスプリット比を変化させる.このように,ばねという単純な物理モデルを用いることで,交通状況の変化に対して即応性の高い制御が可能になると期待される. また,この手法の有効性の検証のために,碁盤目状の道路ネットワークと,現実の道路ネットワークの2種類のデータを用いて,シミュレーションによる実験を行う.

DS-4
題名携帯端末から制御可能なセンサ・家電連携環境の構築
著者*伊藤 崇洋, 小倉 正利, 神谷 英樹, 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 石川 憲洋 (NTTドコモ), 水野 忠則 (静岡大学情報学部)
Pagepp. 2000 - 2007
Keywordセンサネットワーク, ホームネットワー, ネットワークアーキテクチャ, P2P, モバイルコンピューティング
Abstract 近年、コンピュータの小型化・高性能化や無線通信技術の発達によって様々な機器のネットワーク化が進んでいる。今や携帯端末はインターネットに繋がるのが当たり前の時代であり、家電製品においては数年前から各社が「FEMINITY」「くらしネット」「ホッとねっとサービス」など家電製品にネットワーク機能を持たせた自社の製品を用いて独自のサービスを展開している。  このような流れはセンサにおいても同様であり、ネットワーク機能を持った小型のセンサノードが開発されたのを期に複数のノードが繋がりあって機能するセンサネットワークに関する研究が環境調査やホームセキュリティ、医療、健康管理など様々な分野でおこなわれている。しかし、現時点で存在するセンサネットワークに関するサービスや研究はそのほとんどが単一のセンサネットワークの管理やそのデータを用いたサービスの提供など非常に基礎的かつ簡易的なものにとどまっており、汎用性にかけるものである。そのため、まだ現実味を帯びたサービスの提供にはいたっていないというのが現状として挙げられる。これがもし、センサネットワークと他のネットワーク(インターネット、ホームネットワークなど)とが自由に繋がりあいセンサの持つ情報を幅広く利用することができるよ うになれば、今までには存在しなかった新たなサービス創造の余地が生まれ、ユーザにとってより便利なサービスの提供が可能となるのではないかと考えられる。  以上のような背景を踏まえ本論文では、P2Pネットワークによってさまざまな機器を相互に接続・運用する技術の開発を目的としたコンソーシアム PUCC (P2PUniversal Computing Consortium)において現在開発中の技術を用いて、センサネットワークをインターネット・ホームネットワーク・モバイルネットワークと接続可能とする環境の構築について述べる。本環境においてユーザは、携帯端末を用いてその場で利用可能なセンサおよび家電を動的に把握することができ、センサの取りうる情報を用いて家電を制御するセンサ・家電連携動作の設定を既存のサービスよりもより柔軟におこなうことが可能となる。

DS-5
題名モバイル端末向けプッシュ型コンテンツ配信アプリケーションの実装
著者*北原 亮, 山本 和徳, 近藤 靖, 石川 憲洋 (NTTドコモ サービス&ソリューション開発部)
Pagepp. 2008 - 2010
Keywordプッシュ型配信, 差分情報, モバイル端末
Abstract携帯電話の急激な普及に伴うモバイルインターネットの普及によって、空間的に離れた人とのコミュニケーションや、サイバー空間上に広がるコンテンツやサーバへのアクセスが可能となった。さらに、第3世代の移動通信システムにおいてはネットワークの広帯域化だけでなく、携帯電話の情報処理能力が目覚しく向上することにより高品質な動画像の再生も可能となり、動画像を含むマルチメディア情報をリアルタイムに提供しユーザが閲覧するサービスが現実のものとなってきている。 また,近年外国為替や株式等のオンライン取引が盛んになると共に個人でオンライン取引するためのインフラが整備されてきた。さらに、いつでもどこでも利用可能な携帯電話からのオンライン取引の需要が高まりつつある。オンライン取引で使用される為替レートや株価等の情報は刻一刻と変化するため、多くのユーザに対してできる限り遅滞なく提供される必要がある。オンライン取引の例のようにスケーラブルにリアルタイムで情報を配信するための実現技術として、1980年代前半から提案されてきたIPマルチキャストがある。IPマルチキャストは同一の情報を多数のユーザにプッシュ型で配信する方式として知られているが,それ自身にはTCPのような送達確認機能および再送機能を具備しないため、データ誤りの発生しやすいモバイルネットワークにおいては配信データを必ずしも確実に配信できるとは限らない。そこで、配信データの誤りについては前方誤り訂正符号やNACKに基づく再送等の上位層プロトコルの機能によって回復するのが一般的となっている。IPマルチキャストで用いられる上位層プロトコルについてはIETF (Internet Engineering Task Force)等において様々な提案が行われてきたが、第3世代の移動通信システムの標準仕様を策定する3GPP (3rd Generation Partnership Project)および3GPP2 (3rd Generation Partnership Project 2)ではIETFで標準化されたFLUTE (File Delivery over Unidirectional Transport)およびRaptor Codeがファイル転送プロトコルおよび誤り回復プロトコルとしてそれぞれ採用されている。ただし、前記の仕様で規定されているのは誤りなくデータ配信を行うための機能だけであるため、上記の株価や為替レートの配信サービスを行う様なアプリケーションおよびそのデータフォーマットについては別途設計する必要がある。 そこで我々は、既存のFLUTEプロトコルによるプッシュ型配信方式を基に、第3世代の移動通信システムおよび無線LAN等の複数のモバイルネットワーク環境での利用を前提として、かつ配信データ量を削減することにより配信システムのスケーラビリティを更に高めるための差分情報配信機能の追加を提案する。具体的には、前回の配信情報を基に生成されたデータ量の少ない差分を配信する差分情報配信方式を提案する。ここで、本アプリケーションで使用するデータフォーマットは、配信サーバおよび受信クライアントのOS等に依存しないと共に、容易にコンテンツを作成可能とするために、Webで一般的に用いられているHTML,XML,JavaScript等を採用する。さらに、LinuxおよびWindows Mobile上でそれぞれ動作する配信サーバおよび受信クライアントのアプリケーション実装について紹介すると共に、実端末を使用したコンテンツ配信のデモンストレーションを行う。

DS-6
題名無線端末を用いた暗号化通信のための近距離鍵認証手法の提案
著者*阿瀬川 稔, 野田 厚志 (九州大学大学院システム情報科学府), 北須賀 輝明 (熊本大学大学院自然科学研究科), 北口 貴史, 津村 直樹 (リコー), 田頭 茂明, 中西 恒夫, 福田 晃 (九州大学大学院システム情報科学研究院)
Pagepp. 2011 - 2019
Keyword公開鍵暗号, アドホックネットワーク, モバイルコンピューティング
Abstract無線端末の普及に伴って,ユーザ同士が端末を持ち寄ってネットワークを形成し, 相互にデータ通信を行う機会が増加することが 予想される.本稿ではこのような状況において,ユーザ同士がデータを安全に 通信するための一つの方法として,互いの公開鍵をその場で認証する仕組みを 提案する.公開鍵基盤やPGPなどの既存技術では,被認証者は事前に第三者か ら信頼を得ておき,認証者はその第三者の認証を頼りに被認証者を認証する. 本稿の想定環境では対面などの近距離に存在するユーザが互いの端末を認証対 象とするため,信頼のおける第三者の存在を必要としない. 提案手法は,視覚情報を利用して公開鍵の認証を行う. 交換した公開鍵のデータなどから得られるハッシュ値を視覚情報に変換し,近距離に いるユーザ同士でその同一性を確認しあうことによって公開鍵の認証を行う.本稿では その視覚情報として,英単語を配置した4×4の表,または文字列を用いる. 提案手法をアプリケーションの機能として実機上に実装する.

DS-7
題名S-UNAGI:スマートアンテナを用いた階層型センサネットワークの実装
著者*坂本 浩 (静岡大学情報学部), 渡辺 正浩 (ATR適応コミュニケーション研究所スマートネットワーク研究室), 萬代 雅希 (静岡大学情報学部), 小花 貞夫 (ATR適応コミュニケーション研究所), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 2020 - 2024
Keywordセンサネットワーク, スマートアンテナ, UNAGI
Abstractセンサネットワークの一実現方法として,スマートアンテナと無指向性アンテナを併用するネットワークを構成する.安価で大量に利用が可能な無指向性アンテナのノードによりセンシングを行い,高価で少量利用が望ましいスマートアンテナをクラスタヘッドとして利用するネットワークを形成する.スマートアンテナによって通信距離が拡張されることから,中継におけるスループットの向上や中継ホップ数の削減からセンサ全体の中継負荷の減少が見込まれる.本発表では,スマートアンテナとしてUNAGI(Ubiquitous Network testbed with an Adaptively Gain-controlled antenna for performance Improvement )を使用し,無指向性アンテナとしてMICA MOTEを使用したでもを行う.MICA MOTEのセンサを利用してセンシングデータに応じたネットワークを構成する.

DS-8
題名プリペイド型簡易商店システムの開発と運用
著者*佐藤 義祐, 藤原 康宏, 齊藤 義仰, 村山 優子 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 2025 - 2029
KeywordPOS, システム開発, バーコード, 簡易商店システム
Abstract本研究では,2002年から無人商店システムを開発し,実験的に運用をしている.著者の所属している研究室では,学生が主に活動する部屋が複数あるが,このうちの一部屋に店舗を設置している.利用者からは,複数の部屋に店舗を設置が要望されてきた.先行研究のシステムはスタンドアローンなシステムであるため,複数の部屋に店舗を設置する場合に,管理者の手間が大きく,複数の店舗を利用する者は店舗ごとに事前入金をする必要があり,実現が困難であった.本研究では,先行研究で開発された商店システムを元に,複数の店舗を管理できる,サーバ/クライアント方式の簡易商店システムのプロトタイプを開発し,運用を行う.


セッション KS  企業展示
日時: 2008年7月9日(水), 10日(木)
部屋: 会議室前ホール

KS-1
題名(企業展示) ネットブート型シンクライアントCoreBoot
著者*中嶋 正臣 (株式会社NTTデータ)
Pagep. 2030

KS-2
題名(企業展示) アクセシビリティチェックツール:HAREL
著者松永 充弘, *与那原 亨 (株式会社NTTデータ)
Pagep. 2031

KS-3
題名(企業展示) DEEPMail、SPAMBlock、MailSuite
著者李 潤采, *下津 正太郎 (ディープソフト株式会社)
Pagep. 2032

KS-4
題名(企業展示) できるStarBED 仮想機械で簡単SpringOS体験
著者*宮地 利幸 (情報通信研究機構)
Pagep. 2033

KS-5
題名(企業展示) 認証アプライアンスサーバ AXIOLEを用いた統合認証環境
著者*秋田 智香 (株式会社ネットスプリング)
Pagep. 2034

KS-6
題名(企業展示) SIGMABLADEとSigmaSystemCenterで実現する仮想化と統合運用管理
著者*岸 克政 (日本電気株式会社)
Pagep. 2035

KS-7
題名(企業展示) 電力線による長距離通信ソフトウェア
著者*栗山 央 (株式会社ルネサスソリューションズ)
Pagep. 2036

KS-8
題名(企業展示) 802.11n高速無線LAN 〜面展開する無線LANの構築のポイント〜
著者*中西 良夫 (メルーネットワークス株式会社)
Pagep. 2037

KS-9
題名(企業展示) モバイルソリューション
著者*上田 拓右, 渕井 浩樹 (株式会社アイ・ブロードキャスト)
Pagep. 2038

KS-10
題名(企業展示) 「バーチャルビュー」仮想化環境でのネットワーク自動化と管理
著者*橋本 賢一郎 (フォーステン・ネットワークス株式会社)
Pagep. 2039

KS-11
題名(企業展示) AllConfによるカンファレンス運営支援
著者*田岡 智志, 渡邉 敏正 (広島大学)
Pagep. 2040


セッション SP  招待講演
日時: 2008年7月10日(木) 16:30 - 17:50
部屋: ビューホール(1),(2)
座長: 宮部 博史 (NICT)

SP-1 (時間: 16:30 - 17:10)
題名(招待講演) 今なぜ「Culture First」なのか
著者*松武 秀樹 (芸団協著作隣接権センター運営委員,日本シンセサイザープログラマー協会会長)
Pagep. 2041