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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2009)シンポジウム

セッション 4C  車車間通信とアドホックネットワーク (ITS)
日時: 2009年7月9日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 観海
座長: 梅津 高朗 (大阪大学)

4C-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名車車間通信サービスにおけるCSMA/CA通信品質の解析
著者*今井 悟史, 宇式 一雅, 藤野 信次 (株式会社富士通研究所), 町田 守, 森谷 正義 (富士通株式会社), 蔡 晟尉, 間瀬 公太, 丹羽 栄二 (株式会社トヨタIT開発センター)
Pagepp. 711 - 724
KeywordCSMA/CA, 車車間通信
Abstract近年,安全運転を支援する車車間通信サービスが注目されている.車車間通信の代表的な通信方式としてCSMA/CAがあるが,事故を回避する運転支援サービスの実現に向け,車車間通信の品質特性を明確化することは急務である.CSMA/CAの品質を解析する数理モデルは古くから存在するが,理想的な環境を前提としており,実際の車車間通信の振る舞いとは合致しない.そこで本稿では,従来のモデルを実際の車車間通信に適用する場合の課題と対策について述べ,特定の車両間の通信品質を評価可能な数理モデルを提案する.さらに,特定事故ケースを想定し,提案モデルを用いて運転支援を実現する車車間通信品質の評価を行う.

4C-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名車々間通信のためのデータセントリックルーティングの検討
著者*加藤 隆志 (同志社大学大学院 工学研究科 情報工学専攻), 島田 秀輝 (同志社大学 理工学部), 小板 隆浩 (同志社大学 理工学部 情報システムデザイン学科), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院 工学研究科 情報工学専攻)
Pagepp. 725 - 730
Keyword車々間通信, アドホックネットワーク, ITS
Abstract近年,車々間通信を活用した自動車の安全性向上を図る動きが活発化している.車々間通信では,宛先となる車両が不特定であるため,ID情報に基づいたルーティングが困難である.また,アプリケーションの種別や周辺の状況により,最適な中継方法が変わるため,動的な中継制御が必要となる.本稿では,これらの問題を解決するため,フラッディングをベースに,各車両がデータ種別に応じて,自律的に再送判断を行うプロトコルを提案する.データの中継がフラッディングのため,ID情報を用いたルーティングが不要となり,データ種別に応じた再送判断により,柔軟なデータ伝搬が可能となる.提案方式の具体的な動作例,プロトコルの設計を示し,既存の車々間通信向けプロトコルと比較考察を行った.リアルタイムな運転支援アプリケーションを想定した場合,提案方式が既存プロトコルよりも適していることを確認した.

4C-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名車車間通信における複数通信モードを統一的に実現する条件ベース情報伝搬手法
著者*羽鳥 遼平, 岡田 陽次郎, 黒木 智也, 内川 亜美 (慶應義塾大学大学院理工学研究科), 重野 寛 (慶應義塾大学理工学部)
Pagepp. 731 - 738
KeywordITS, 車車間通信, アドホックネットワーク, ルーティング
AbstractITS (Intelligent Transport Systems:高度交通システム) では,車車間通信を用いて様々なITSアプリケーションを実現するための研究が行われている.ITSアプリケーション毎に通信目的が異なるため,それぞれに適した情報伝搬手法は異なってくる.しかし,既存の伝搬手法は,特定の通信モードを使用し,特定のITSアプリケーションの実現を目的としているため,既存手法で複数のITSアプリケーションを実現することは難しい.そこで本論文では,パケット中継や宛先決定の判断基準として伝搬情報の要求条件を使用し,受信車両がその条件から自身が転送車両か宛先車両かを自律的に判断する条件ベース情報伝搬方式CDDを提案する.CDDは,条件ベース自律的パケット転送制御とビーコン送信周期制御から成り立つ.シミュレーションにより,CDDの有効性を示す.

4C-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名車両間アドホックネットワークにおける固定ノード併用による効果的な位置依存情報複製配布手法の提案
著者*岡本 惇一朗 (静岡大学大学院工学研究科システム専攻), 石原 進 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 739 - 748
KeywordVANET, 複製配布, アドホックネットワーク, 位置依存情報, 固定ノード
Abstract端末の移動などにより端末間の通信接続性が保証されないアドホックネットワークにおいて,各端末が他端末の保持するデータに対するアクセス性能を向上させる手法として,生成した情報の複製を他端末に配布する複製配布が有効である.本論文では,車両間アドホックネットワークにおける位置依存情報の複製配布手法として,交差点に設置した少数の固定ノードと車両により複製配布を行うSystem for SharingObjects with Location information on Ad hoc network Fixed node eXtention(SOLA-FX) を提案する.SOLA-FX では,低車両密度下において,固定ノードが複製の保持及び配布を行うことで,情報を生成位置周辺に留める.様々な固定ノードの設置パターンを用いたシミュレーションにより,固定ノードの複製配布動作及び設置場所の評価を行った.固定ノードを情報生成位置周辺に設置することで,少ないノード数で情報に対するアクセス成功率を向上させることを確認した.また,複製配布車両が交差点で複製を配布するときにそこに存在する車両数が少ない場合にのみその交差点にいる固定ノードが以後他の車両にその複製を再配布させることで,低車両密度の車両間ネットワークで少ないトラフィックでアクセス成功率を向上できることを確かめた.