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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2009)シンポジウム

セッション 7G  センサネット(1) (UBI)
日時: 2009年7月10日(金) 8:30 - 10:10
部屋: コスモス
座長: 戸辺 義人 (東京電機大学 未来科学部情報)

7G-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名無線センサネットワーク向けドメイン特化型言語の提案
著者*一野 浩太朗 (九州大学大学院システム情報科学府), 久住 憲嗣 (九州大学システムLSI研究センター), 井上 創造 (九州工業大学大学院工学研究院), 中西 恒夫, 福田 晃 (九州大学大学院システム情報科学研究院)
Pagepp. 1578 - 1586
Keywordセンサネットワーク, DSL, ドメイン特化型開発
Abstract近年,センサデバイスや無線通信デバイスの小型化,高機能化が進んでおり,防災,商業,軍事,医療など幅広い分野で無線センサネットワークアプリケーションが活用されている.また,ソフトウェアの開発現場では製品の高機能化に伴いソフトウェアの複雑化・大規模化が進んでいる.その一方で,ソフトウェア開発技術者にはユーザのニーズに迅速に対応するため,開発期間の短縮,および開発コストの削減が求められており,無線センサネットワークアプリケーションにおいても例外ではない.そこで,短期間で高品質なソフトウェア開発を行うためのソフトウェア開発方法論が注目され始めている.本研究では,ドメイン特化型開発を用いて無線センサネットワークアプリケーションの開発を容易にする,当該ドメイン向けのDSLを提案する.また,既存のアプリケーションを提案DSLで記述して,提案DSLの記述力を評価する.

7G-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名無線センサネットワークにおけるアプリケーション配置を考慮した効用最大化
著者*鳥海 晋 (東京大学), 清 雄一 (三菱総合研究所), 末永 俊一郎 (日本ユニシス), 鄭 顕志 (早稲田大学/国立情報学研究所), 本位田 真一 (国立情報学研究所/東京大学)
Pagepp. 1587 - 1591
Keyword無線センサネットワーク, 効用
Abstract無線センサネットワーク(WSN)とは多数のセンサノードからなるネットワークである.センサノードは各種の測定を行うセンサと無線通信可能なデバイスを搭載しており,これらのノードがアドホックなネットワークを形成することによって現実世界のモニタリングを可能にする.センサノードは基本的にバッテリで駆動するため,ネットワークの長期利用のためには消費電力や通信量といった様々なパラメタを考慮する必要がある.既存の多くの研究では,ネットワーク内には一つのアプリケーションのみ存在することを想定しており,そのアプリケーションの特性に合わせた効率化を図っていた.しかし,今後デバイスの発達とともにセンサノードのコモディティ化が進めば,インフラとして敷設されたWSNに複数のユーザが種々のアプリケーションを導入して利用することが想定される.その際,導入するアプリケーションが利用するノードの資源に関してアプリケーション間で競合が起こることが考えられる.中でも電力資源はWSNの生存時間と密接に関わるため注意深くアプリケーションに割り当てる必要がある. そこで,本論文では,WSNとそこに導入されるアプリケーションをモデル化し,WSNを利用することで得られる効用を最大化する問題として定式化を行うことで,複数アプリケーション間での資源共有を実現する手法を提案する.

7G-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名移動シンクを利用した協調型データ蓄積方式について
著者*高田 悠 (静岡大学大学院情報学研究科), 萬代 雅希 (静岡大学情報学部), 木谷 友哉 (静岡大学若手グローバル研究リーダー育成拠点), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1592 - 1603
Keywordセンサネットワーク, 移動シンク
Abstract一般にセンサネットワークにおける観測対象となるのは, 気温, 光, 振動などの比較的データ量の少ない数値データである. しかしこれらのデータに加え, 音声や動画によりさらに高度な観測が可能になると考えられる. だが音声や動画のデータは, 数値データと比較するとデータ量が大きく, データの蓄積が困難であることが考えられる. また, センサネットワークにおける課題のひとつであるノードの省電力化という点においても, 既存の方式ではその実現が困難であることが考えられる. そこで本稿では, 大容量データ蓄積を可能とするCB (Cooperative Buffering)を提案する. CBでは, 複数のノードが協調してデータの蓄積をおこない, 単体のノードではオーバーフローをおこすサイズのデータを扱うことを可能にする. また, 複数のノードが蓄積したデータをシンクが移動して回収することで, ノードの消費電力を削減する. 提案手法の消費電力を定式化し, 既存のマルチホップ送信と比較して, CBが低消費電力であることを示す.

7G-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名無線センサネットワークにおける自律分散型ストレージ方式の提案
著者*大島 浩太, 大塚 英悟, 田島 孝治, 安藤 公彦, 寺田 松昭 (東京農工大学)
Pagepp. 1604 - 1611
Keyword無線センサネットワーク, 自律分散型ストレージ
Abstract本論文では,シンクノードを不要とする無線センサネットワークにおける,自律分散型ストレージ方式について述べる.無線センサネットワークは屋外に設置すると自然環境によりノードの故障率が高くなる.データをシンクノードに集約するセンサネットワークでは,シンクノードの故障により多くのデータが失われる.そこで,シンクノードを用いず,センシングデータを近隣ノードに保存することでノード故障によるデータ損失の影響を軽減する.提案方式の特徴は(1)複数のセンサデバイスが搭載されたセンサノードを対象に,デバイス別に2ホップ以内に存在するセンサノードにデータを保存,(2)保存方式に適したクエリおよびセンシングデータの収集方式による通信電力量の抑制である.提案方式をTinyOS上に実装し,TOSSIMによりシミュレーション評価を行った.結果,ノードダウン時のデータ収集率を向上しながら,全体としての消費電力量の増加を抑制した.一般的なセンサネットワークとの比較では,データ収集率を20%向上し,電力消費量の増加は0.1%程度に抑えられており,提案方式が有効であることを確認した.