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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2009)シンポジウム

セッション DS  デモセッション
日時: 2009年7月9日(木) 17:50 - 19:20
部屋: 琥珀
座長: 清原 良三 (三菱電機 情報技術総合研究所), 田坂 和之 (KDDI研究所)

DS-1
題名P2P技術を利用した多数の端末間の動画共有システムの試作
著者*山之上 卓 (鹿児島大学)
Pagepp. 1784 - 1792
KeywordP2P, マルチメディア, 最適化
Abstract教育支援システムSOLAR-CATS の動画共有機能を試作したことについて報告する.動画をグループ内に配信するためには, 静止画を短い間隔でグループ内に配信すればよい. しかしながら大きな静止画をそのまま短い間隔で配信すると放送に必要なネットワークの帯域が広くなってしまう. SOLAR-CATS は完全2分木状に端末をTCPで接続する Structured P2P を利用している. 2分木状に接続された端末における放送に関し, 遅延を短くし, 単位時間当たりの情報伝送量を大きくするための理論的な考察についても述べる.

DS-2
題名実空間サービス提供のための競合検出モデル
著者*秦 崇洋, 武本 充治, 神林 隆, 内山 健太郎, 寺元 光生 (日本電信電話)
Pagepp. 1793 - 1796
Keyword競合検出, 連携サービス, 構造化オーバーレイ, エージェントモデル
Abstract現在では,高度なサービスを実空間において提供するための基盤技術が整いつつある.その一方で,サービス間の機能競合が未だに問題となっている.クローズな系ではサービスの種類を限定できるため,競合を起こしうるサービスの組み合わせを事前に検出することができる.しかし,我々の提案するオープンなモデルでは,新しいデバイスやサービスが追加される可能性があるため,サービス要求の度に競合を検出しなければならない.そこで本稿では,我々の提案モデルを紹介し,競合検出を行う手法を提案する.また提案モデルの課題としてセキュリティリスクを取り上げ,対策を議論する.

DS-3
題名コミュニケーション支援のためのキャラクタ化した写真を用いた写真共有システムの構築
著者*松尾 知哉 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 1797 - 1803
Keyword写真共有, コミュニケーション支援, 画像処理, キャラクタ, Webサービス
Abstract現在,デジタルカメラの普及率は増加しており,大量の写真データを個人が所有するようになった.これにともないWeb上には写真共有サイトが多く存在するようになった. しかし,写真共有サイトの利用者に関する調査では,写真共有サイトの利用者数は多くないことが報告されている. 理由として,写真を公開するだけであれば,写真共有サイトを利用せずに,ブログやSNSの一機能だけで解決してしまうためである. また,写真共有サイトにおける多くの写真はコメントがない状態で存在しており,ユーザ間における写真共有による交流が活発ではない. 写真共有サイトの利用者数を増やすためには,写真をただ公開するだけではなく,ユーザ間の写真共有を活発にする写真共有システムを開発することが必要である. 写真共有による交流を活発にするために,写真をキャラクタ化し,キャラクタ化された写真がユーザ間のコミュニケーション支援を行う写真共有システム「GAZO GAZO KUN」を構築した. キャラクタ化された写真は,ユーザの写真の閲覧や,写真へのコメント投稿を促進させる行動をする. 構築したシステムの評価実験を行った結果,作成した機能の中で「キャラクタの受けたコメント報告機能」と「キャラクタの他ユーザへの移動機能」がコミュニケーションを促進させる機能として比較的高い評価を得た.

DS-4
題名複数のセンサと自然言語処理技術による使いやすい音声入力インタフェース
著者*大内 一成, 若木 裕美, 屋野 武秀, 住田 一男, 土井 美和子 (東芝)
Pagepp. 1804 - 1814
Keywordマルチモーダル, 音声認識, センサ, 愛称
Abstractテレビでの番組検索やWeb検索など,キーボードが使えない機器での文字入力の機会が増加している.そのような場面に適した音声認識の課題は,受理可能な語彙数と音声認識率の二律背反である.実用的な認識率を確保できる語彙数の制約の中で,発話に対するカバー率を上げるため,検索対象にあわせて認識語彙を切り替える語彙切替と,愛称,略称などの言い換え表現推定による語彙の拡張を提案する.テレビの番組検索をモチーフとした実験では,スクリーンキーボードを用いた従来手法による番組検索に比べて,提案手法の方がタスク完了までの所要時間を約40%短縮することができた.更に,15.3%の頻度で発生した音声認識区間を指示するためのボタン操作忘れに対する対策として,センサ駆動ハンドヘルド型音声認識入力方法を開発し,ユーザビリティの向上についても検討した.

DS-5
題名BlogWear:ウェアラブルコンピュータを用いたブログ記事自動生成システムの開発
著者*小菅 徹 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部デザイン情報学科)
Pagepp. 1815 - 1821
Keywordウェアラブルコンピューティング, ライフログ, ブログ, 自然文章生成
Abstract現在,コンピュータ・ネットワークの普及によりWeb メディアの発展は著しい.特に,一般ユーザにより発信されるメディアとしてWeblog やSNS などが流行している.しかし,多くのユーザが,その手間と見返りの少なさから利用をやめている.そこで,小型PC と周辺機器をウェアラブルコンピュータとして身につけ,日常の活動を行うことで自動的にブログ記事が生成されるシステムBlogWear を提案する.本論文ではBlogWear の開発,および記事の評価実験の結果について報告する.実験の結果,(1)記事へ作成者の意図を反映する必要性,(2)多量な記事を効果的に表示するためのユーザインタフェースの必要性,(3)画像によるプライバシー侵害の可能性,があることが分かった.

DS-6
題名PLCとZigBeeによるセンサノード向け相互補完通信プロトコルの実装
著者*小幡 憲司 (静岡大学大学院情報学研究科), 栗山 央 (静岡大学創造科学技術大学院), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 水野 忠則 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1822 - 1826
KeywordPLC, ZigBee, 相互補完通信, センサノード, 通信プロトコル
Abstract我々は無線と有線の通信技術を相互に利用して通信を行う相互補完通信センサネットワークを提案する.このネットワークは,無線通信と有線通信で通信可能範囲を相互に補うことでで通信可能範囲を拡大するものであり,提案するネットワークの概要と設計概念を示す.提案手法では無線通信と電力線通信を必要に応じて相互に利用することで,通信可能範囲,通信信頼性,ネットワークライフタイムを向上させることができる.我々は,ネットワークのプロトタイプを実装した.このプロトタイプは,ZigBee とPLC を利用し,お互いに通信できない範囲を相互に補完する.このプロトタイプを用いて実験を行い,無線で通信できない範囲をPLC による有線通信で補完することで,通信範囲の拡大を確認した.

DS-8
題名無線通信テストベッドの構築 - GNU RadioとUSRPを用いたアドホックセンサネットワーク -
著者*坂本 浩 (静岡大学), 星川 雄大 (静岡大学大学院工学研究科システム工学専攻), 萬代 雅希 (静岡大学), 石原 進 (静岡大学創造科学技術大学院), 四方 博之, 小花 貞夫 ((株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)適応コミュニケーション研究所), 渡辺 尚 (静岡大学創造技科学技術大学院)
Pagepp. 1827 - 1831
Keywordアドホックネットワーク, センサネットワーク, GNU Radio, USRP
Abstract近年,無線通信ネットワークにおいて他ノードを中継することでデータ送信を実現するアドホックネットワークやセンサネットワークが注目されている.そしてそれについて多くの研究がなされているが,性能評価実験ではシミュレーション評価が多いため,実機での確認が重要であると考えられる.そこで,最近登場したソフトウェア無線プラットフォーム GNU Radio とUSRP2 (Universal Software Radio Peripheral)が,各種の研究に利用される可能性を秘めている.本稿ではこれらを用いた無線通信テストベッドを構築した.これにより,従来新たに基板を起こす必要があり困難だった無線物理層技術の研究開発の低コスト化が図れ,企業や大学などの研究教育機関での利用が進むことが期待される. 本デモ発表では,上記プラットフォームを利用して無線ネットワークのプロトコル評価を効率的に行うことができるテストベッドを構築した.このテストベッドを利用することで,例えば,パッチアンテナと組み合わせることによる指向性通信,ネットワーク上のセンサノードの通信状況監視,パケットリカバリー等が行える.

DS-9
題名ユーザ主導サービス構築プラットフォームのための近接無線通信による仮想ネットワーキング手法
著者*梅澤 猛, 中内 清秀, 井上 真杉 (情報通信研究機構), 松中 隆志, 蕨野 貴之, 岸 洋司 (KDDI研究所)
Pagepp. 1832 - 1836
Keywordパーソナルネットワーク, 近接無線通信, プライベートネットワーク, セルラネットワーク, 仮想ネットワーク
Abstract情報共有機能は,ネットワークに対するユーザの普遍的要求の一つである.デジタルカメラの撮影データや会議資料の電子ファイルなど,デバイス間でのデータ転送は典型例である.現在市販されているノートPCの大多数は無線LAN機能を搭載し,携帯電話を含めた多くのデバイスがBluetooth他の無線通信機能を有しているなどデバイス間データ共有の条件は揃っているようにみえる.しかし,実際には操作手続きの煩雑さのため実際に既存通信機能を利用したデータ共有が行われることは非常にまれであり,仮に実行した場合もアクセス管理や安全なデータ転送など解決すべき課題は多い. 筆者らは,多様な接続環境(アクセスシステム,利用デバイス)においてユーザまたはユーザグループに閉じたセキュアな情報共有空間(PN: Personal Network)を動的に構築するためのユーザ主導型サービス構築プラットフォーム(USCP: User-driven Service Creation Platform)を提案している.USCPでは,複数のデバイスから構成され,ユーザが要求するサービスを提供可能な仮想環境を,簡易な操作でかつセキュアに構築することを目的とする.本稿では,これを元にして実装した,PNのコンセプトデモシステムについて述べる. コンセプトデモシステムは,サーバPC,クライアントPC,携帯電話の3要素で構成される.ユーザは携帯電話のNFC(Near Field Communication)機能を利用して,クライアントPCとなるノートPCの認証手続きを行う.PN構築の際の共有鍵を携帯電話上で生成し,クライアントPCのIDと共にサーバPCへと携帯電話網を介してHTTP転送する.一方で,NFC機能によりクライアントPCへも鍵配布を行う.サーバPC上ではPNの生成・破棄などの状態管理が行われ,携帯電話により生成・配布された共有鍵を用いてクライアントPCとのセキュアな通信チャネルを確立する.サーバPCとクライアントPCの間では,PNで利用されるリソース情報が交換され,クライアントPC間のセキュアな通信チャネルとしてPNが構築される.PNで提供されるサービスのサンプルとしては,ファイル共有と映像ストリーミング配信の2種を実装した.

DS-10
題名災害時救急救命支援に向けた電子トリアージシステムの設計開発
著者*木山 昇, 楠田 純子, 内山 彰, 廣森 聡仁, 梅津 高朗, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1837 - 1848
Keywordアドホックネットワーク, トリアージ, タッグ, センサー, 位置推定
Abstract本稿では,大規模事故や災害時に発生する多数の傷病者の生体情報(バイタルサイン)をリアルタイムで一括監視し,現場での救命活動を支援する電子トリアージシステムの設計開発について述べる.本システムでは,IEEE802.15.4 および生体センサーを備えたセンサーノードを傷病者に装着し,それらの間でアドホックネットワークを構築する.これを介して傷病者の生体情報を収集すると同時に,センサーノード間の無線通信情報を活用したノード位置特定を行い,救命活動従事者に対し適切な状況把握に不可欠な情報提供を行う.開発したプロトタイプシステムを大学付属病院で実施されたトリアージ演習で使用し,システムの有用性を確認するとともに,今後のシステム開発に向けた医療従事者からの有意義なフィードバックを得ている.

DS-11
題名人体通信による電子トリアージタグへの情報伝達:システムの実装
著者*安倍 史江 (静岡大学大学院情報学研究科), 山本 匠 (静岡大学創造科学技術大学院), 西垣 正勝 (静岡大学創造科学技術大学院, 科学技術振興機構 CREST)
Pagepp. 1849 - 1854
Keyword電子トリアージ, 人体通信
Abstract近年,事故・災害現場で行われるトリアージを電子的に支援する電子トリアージシステムの開発が進められている.その中の重要な課題項目の一つが,トリアージ実施者が判断した優先順位を電子トリアージタグへ入力する方式の検討である.特に医療スタッフが足りず,混乱が予想される事故・災害現場では,タグ入力にあたってトリアージ実施者に余分な作業が極力増えない,劣悪な環境(泥や血液で汚れている等)においても技術的に入力が不能とならない,など多くの要件を満たした入力方式が求められる.この要求に対し,著者らは,電子トリアージタグへの情報入力手段として人体通信を利用することを提案している.本稿では,トリアージ実施者のモバイル端末から傷病者のトリアージタグに人体通信によってトリアージ結果を伝達するシステムのプロトタイプの実装を目指す.

DS-12
題名P2Pネットワークを利用したフォトペイントツール
著者*洞井 晋一, 松浦 知史, 藤川 和利 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 砂原 秀樹 (慶応義塾大学 メディアデザイン研究科)
Pagepp. 1855 - 1862
KeywordP2P, 写真, ペイント
Abstractデジタルカメラの普及に伴い, 写真のデジタルデータを利用した様々なツールが提案されている. その一つにフォトモザイクという技法がある. これは多数の写真を規則的に並べることで別の写真を表現するという技法である. 1枚の写真の色成分だけを考慮する単純なものから, 写されている内容を考慮し,物体の形状を考慮するようなものもである. こうしたフォトモザイクの写真を生成するためには非常に多くの写真を集め, それらを解析する必要がある. しかし、ユーザが一人で多量の写真を撮影しているとは限らない上, 収集することも難しい. また、ペイントツールのように写真を使って自由にフォトモザイクを描くようなツールはこれまで提案されてこなかった. そこでDICOMO2008で発表したP2Pネットワークによる写真共有ソフト「PSP2P」を拡張し, 写真のサムネイル画像を用いたフォトモザイクペイントツールを提案する. P2Pネットワーク上の写真データを全て使えるため, フォトモザイクに必要な多量の写真を扱うことができる. また,色相により写真データの割り当てを変えるため, 少ないクエリで写真データを取得することが可能になり, ペイントツールのような応答性を要求するアプリケーションも実現可能になった.

DS-13
題名スプライトモデルを用いた絵地図型のWebコンテンツ構築システム
著者*久保田 秀和 (産業技術総合研究所), 前川 博文 (ニューロネット株式会社), 西村 拓一 (産業技術総合研究所)
Pagepp. 1863 - 1869
Keywordグループウェア, ホワイトボード, コンテンツ可視化, ワークショップ支援, WEBサービス
AbstractWebページに対して空間的な情報配置の自由を与えるスプライトモデルを用いたコンテンツ構築システムについて述べる.スプライトモデルはWebコンテンツをカプセル化することにより,小さなコンテンツ部品をWebページ上の任意の位置に配置するための統一的な手法を実現する.また,オンラインエディタとドラッグおよび拡大縮小の可能な地図インタフェースを備えることによって,Web上での共同作業や直感的なブラウジングを実現する. 本稿では,スプライトモデルとその実装であるPositLogおよびSaasBoardシステムの概要を述べる.また,PositLogに対する人々の反応や利用事例を分析することによって,Webコンテンツのデザインに対して与えられた空間的な自由度が, 人々に受容される様子について議論する.