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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2010)シンポジウム

セッション 7A  統一テーマセッション-未来社会のアプリケーションと関連技術
日時: 2010年7月9日(金) 8:30 - 10:15
部屋: 朝陽の間3
座長: 勝本 道哲 (情報通信研究機構)

7A-1 (時間: 8:30 - 9:00)
題名(招待講演) センサ研究の新たな展開〜個人・モバイルユーザによるセンシングとその応用
著者*原 隆浩 (大阪大学)
Pagep. 1512
Keywordセンサ, モバイル
Abstractセンサネットワークやセンシングシステムが盛んに研究開発されるようになってから,およそ10 年が経過しようとしている.当初は,ネットワーク,デバイス,ロボティクス,データベースなど異なる分野の研究者・技術者が,縦割り的に個別に研究開発を進める傾向が強かったが,近年,異なる研究分野が連携して,大規模なプロジェクトを推進するようになってきた.特に,無線通信技術の発展,センサデバイスの高度化,安価化,携帯電話を始めとするモバイル端末の普及により,一般のユーザが収集したセンサデータを共有する「大規模センシングシステム」への関心が高まり,さまざまな研究が進められている.本講演では,このように大規模数のユーザが各自のセンシング機器を用いて収集したセンサデータを共有することを想定した,基盤技術および応用システムに関する代表的な研究プロジェクトを紹介する.

7A-2 (時間: 9:00 - 9:25)
題名災害情報デザインに関する研究 -災害復興ボランティアへの情報提供に関する検討-
著者*遠藤 大介 (福岡工業大学院 情報通信工学専攻/杉田研究室), 杉田 薫 (福岡工業大学)
Pagepp. 1513 - 1518
Keyword災害復興ボランティア, 迷惑ボランティア, 地震
Abstract我が国では、数日に1回の頻度で地震が起きており、現在も国内各地で大地震や2次災害による津波の可能性を抱えている。災害発生後、復興活動ではボランティアが活躍している。これは、震災時に被災地に赴き、復興活動を支援するボランティアである。その活動内容は、被災家屋の後片付けと避難生活に関連する支援であり、その時、被災地の迅速な復興の為、多くの人手が必要とされている。しかし、適切な知識をもたないボランティアは、災害復興の為に十分に機能しないだけでなく、その邪魔をする可能性がある。このようなボランティアを迷惑ボランティアと呼び、その存在が近年問題視されている。この問題を解決するため、 被災地の外部へ時間経過による必要なボランティアの人数の変化や状況の要約 の情報提供を行うコンテンツが必要である。本研究では、迷惑ボランティアがもつ問題点を情報分野の視点から解決することを目指し、スキルや知識によるボランティアスタッフの分類とそれらを実現するマルチメディアコンテンツを構築することを目的とし、ボランティア希望者に対する情報提供手法について検討した。 本手法の主な提案内容は、迷惑ボランティアになりうる人材の選別を被災地の外で行うことで復興活動の効率化を目指す。また、被災状況をコンピュータスキルの違いを考慮して表示させることで、緊急時の人員募集や災害発生時の復興活動時間の短縮が期待できると考察した。

7A-3 (時間: 9:25 - 9:50)
題名イベント型電子カルテの考案とその試作評価
著者*和久井 真司, 吉開 範章 (日本大学大学院総合科学研究科)
Pagepp. 1519 - 1526
Keyword電子カルテ, ユーザーインターフェース, 業務分析フロー, データベース
AbstractICTの普及により、社会のあらゆる活動が活性化され、情報が爆発的に増加しているが、IT新改革戦略、U-JAPAN計画、及びEHR計画等の報告にあるように、日々、膨大なデータが生み出される医療現場でのICTの活用が十分でなく、依然として紙ベースでのデータの処理が多い。少子高齢化となった社会の医療業務の効率化にむけて、様々な電子カルテシステムが実用化され、普及し始めているが、それらの多くは、医療報酬明細書(レセプト)を主体とする事務処理の効率化に力点があり、医療現場の主体である患者及び医師の立場から見ると、まだ改善すべき点が多数存在する。本資料は、心臓外科医師とICT研究者との連携により、患者と医者に優しくかつ効率的な医療情報システムの実現を目指して検討した結果を報告するものである。 2007年に、試作システムを日大病院に設置し、実際の医療現場で使ってもらうことにより、提案コンセプトの評価を行った結果を発表したが、その後の検討から、第1期システムの課題を改良したシステムを試作し、その評価を行ったので報告する。 まず、電子カルテシステムの現状の問題点として、電子カルテの構造上の欠陥、医療情報処理の非効率性と低信頼性を説明する。次に、それらに対する解決策として心臓外科現場の診療業務フローモデル分析も基にしたユーザーインターフェースの検討結果を示す。具体的には、必要となるテキストベース医療書類の種類と情報の内容、及びリアルタイムな表示が必要となるサマリー情報の内容、さらに内服薬情報の正確な把握を可能とするインタフェースの例を示す。 さらに、データーマイニングを可能にするデータベースの実現に向けて、重複を避ける項目の設定方法、重複回避と細分化による利点について考察する。さらに具体的な細かい項目設定によるデータマイニング方法についても示す。 今回のシステムは、日本大学板橋病院内の複数の端末をネットワークで繋ぎ、分散環境で動作する構成とし、大手ベンダー型の電子カルテに代表される分散配置・垂直データ分割型データベースではなく、分散配置・イベント分割型データベースを基本構造とし、患者情報を複数のテーブルで効率良く管理し、ベンダー型システムでは不可能な患者間データの取り扱いを容易に可能とした。さらに、日大心臓外科の後方病院である関野病院内のネットワークと日大板橋病院内のネットワークをVPNによって接続し、日大病院から関野病院への転院時の情報交換の効率化を試験的に開始している。 以上の点で、第1期システムの機能及び性能を向上させている。 データベース及びアプリケーションプログラムをFileMakerPro上に作成し、評価は、日本大学板橋病院心臓外科教室の医師及び看護婦に協力してもらった。 現在も、このシステムは日本大学板橋病院の医療現場において継続して使用されている。

7A-4 (時間: 9:50 - 10:15)
題名地磁気加速度センサを用いた作業トレースシステムにおける作業録画システムの設計と実装
著者*佐藤 永欣 (岩手県立大学/ソフトウェア情報学部), 及川 正基 (岩手県立大学/ソフトウェア情報学研究科), 上田 浩市, 鈴木 潤, 石川 泰二 (関東自動車工業/岩手工場), 高山 毅, 村田 嘉利 (岩手県立大学/ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 1527 - 1535
Keyword地磁気/加速度センサ, モーションキャプチャ, 録画
Abstract工業製品の品質保証は、設計,原材料,部品の品質保証のほかに,製品自体の 製造工程での品質保証も重要である. これは規定通りの作業が製造工程で行われたかどうかを確認することで実現でき, 通常は製品自体を検査することで確認されている. しかし,中には作業完了後に規定を満たして製造されたかの確認が難しい場合がある. たとえば,タイヤを取り付けるときのように複数のボルトを用いて部品を固定する 場合,締め付け順序が決まっている.しかし,締め付け順序を守らなくても 部品は固定されるため,作業完了後に外見からは手順違反を発見できない. この場合,部品の取り付け精度は保証されないため,製品は潜在的に不良品である 可能性がある.そこで,我々は地磁気・加速度センサを用いて自動車組立工場 の作業をモニタするシステムの開発を行ってきた.標準作業手順から逸脱した作業を 行った場合,警告を発し,ラインを停止する.標準的でない作業の検出がほぼ100\% 可能になったので工場内で利用を始めたが,実用化にあたりさまざまな問題が 発見された.そのうちの一つが,ボルトの締め付け順序は正しいものの, システムが異常と判断し,なおかつ地磁気・加速度センサのデータが通常と 異なる場合である.作業者からの聞き取りにより,通常と異なることがおきた のは確実であるが,実際に何が起きたのかの同定が難しい. そこで,本システムに,オプションとして自動録画機能をつけた. 本論文ではその設計と実装について述べる.