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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2010)シンポジウム

セッション 8E  QoS
日時: 2010年7月9日(金) 10:20 - 12:25
部屋: 弥生
座長: 山口 弘純 (大阪大学)

8E-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名無線センサネットワークにおける複数経路を用いたQoS制御方式
著者*廣瀬 文哉, 小室 信喜, 阪田 史郎 (千葉大学大学院 融合科学研究科 情報科学専攻 阪田・小室研究室)
Pagepp. 1883 - 1889
KeywordIEEE 802.15.4, ビーコン, QoS, 複数経路
Abstract近年,無線通信機能を搭載したセンサノードの小型化,無線ネットワークの発達により, センサネットワークの研究が盛んに行われている1),2) .センサネットワークは環境モニタ リング,セキュリティ,家電制御など,幅広い環境への適用が期待されている技術である. ネットワークに用いられるセンサノードは,センシング範囲の拡大や設置自由度を高める ために,バッテリ駆動であることが要求される.そのため,省電力化が重要な課題となる. また,センサデータの種類は,温度,湿度データといった定期的に収集するものや,セキュ リティ,医療データなど即時性が求められるものなど様々であり,データの到達率や,それ ぞれのセンサデータのQoS(Quality of Service)の保証が要求されている. 本稿では,IEEE 802.15.4 ビーコンモードにおいて,各中継ノードが複数経路を設定し, データの優先度別に経路を切替えることによりQoS を保証する方式を提案する.提案方式 では,シンクノード,中継ノードに着目し,それぞれにデータの優先度別の経路設定を行う. シミュレーション評価により,提案方式が,高負荷時でも高到達率,低消費電力を実現しな がら,QoS を保証していることを示す.

8E-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名無線LANにおけるアソシエーションの最適化を行うQoS制御システムの評価
著者*川口 雄二郎 (立命館大学理工学研究科), 瀧本 栄二, 毛利 公一 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 1890 - 1897
Keywordミドルウェア, QoS, 無線LAN, 性能評価
Abstract近年の無線LANでは,VoIP(Voice over Internet Protocol) や動画像のストリーミングなど,リアルタイム性が高くかつ大容量な通信を利用する機会が増えている.しかし,現在一般に利用されている無線LANでは,通信品質(QoS;Quality of Service)の保証がされておらず,ストリーミングなどを利用しようとすると,コマ落ちなどが発生してしまうことがある.QoSの低下が起きる主な原因としては,(1)アプリケーションが必要とする通信帯域などのパラメータを予約するような仕組みがない,(2)同一チャネルを用いて通信するためにパケットの衝突が発生する,(3)複数の無線LAN基地局(以下,基地局)があっても無線LAN端末(以下,端末)が集中してしまうことがある,などが挙げられる.現在,我々は,これらを解決すべく無線LAN 向けのQoS 保証システムを開発している.本システムでは,特定基地局への端末の集中や同一チャネルへの端末の集中による送信見合わせの発生を回避し, かつアプリケーション毎の帯域を予約する仕組みを付加することによって問題の解決を試みる.具体的には,基地局がトラフィック状況, 帯域予約状況, 各端末の接続状況の変動を監視する. そして,それらの値を基に基地局と端末の適切な組合わせを決定し,端末の接続先を切り替える.本論文では,本システムの処理方式とソフトウェア構成について述べ,評価結果を報告する.

8E-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名無線LANの様々な条件における帯域公平性の検証とQoS保証TCPの性能評価
著者*安藤 玲未 (お茶の水女子大学), 村瀬 勉 (NEC), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1898 - 1904
Keyword無線LAN, 公平性, QoS
Abstract近年,マルチメディア通信の需要の高まりにより,QoS(Quality of Service)の保証が重要となっている.ここで定義するQoSとは指定された帯域を確保することである.これを実現するTCP-AVという帯域確保TCPがこれまでに提案,実装され,有線環境における評価や無線環境におけるシミュレーションが既に行われてきた.しかし,無線の実機環境においてはこれらとは異なる問題が存在する.例えば複数台の端末で通信を行った時の送信権の制御メカニズムが原因となって,端末ごとのスループットに不公平が生じる場合があり,その結果TCP-AVを用いても有効な帯域制御が行えない可能性がある.そこで本研究では,アクセスポイント(AP)のバッファサイズとTCPのスループットの関係や,長時間通信時における帯域公平性について調査し,このような環境でのTCP-AVの振舞を検証した.

8E-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名無線LANにおけるシンクライアントシステムのトラヒック特性
著者岩木 紗恵子 (お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科理学専攻情報科学コース), *村瀬 勉 (NECプラットフォーム研究所), 小口 正人 (お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科)
Pagepp. 1905 - 1910
KeywordQoS制御, モバイルネットワーク, 無線・移動体, トラヒック
Abstractアプリケーションのトラヒック特性の把握は、QoS制御の構築や評価において、重要である。近年増加しているシンクライアントシステムのトラヒック特性を評価した。シンクライアントシステムとは、クライアントからキーボード・マウスイベントを送信し、サーバから画面情報を受信するシステムを指す。有線における分析で、すでにバルクとインタラクティブという2状態遷移モデルが提唱されている。しかしながら、無線におけるトラヒック特性およびデータ量(画面解像度)を変化させたときのトラヒック特性についての報告は見あたらない。本稿では、IEEE802.11g無線LAN環境にて、解像度を大小変更して、トラヒック特性を調査した。その結果、解像度の大小による差異はあまり見られず、無線においては、有線よりも、バルクデータのパケット間隔が22%程度大きくなることがわかった。

8E-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名パケット重要性を考慮したパス多重度可変ルーティングの提案
著者*小林 ひかる, 友澤 弘充, 田村 寛樹 (慶應義塾大学大学院 理工学研究科), 重野 寛, 岡田 謙一 (慶應義塾大学理工学部/JST CREST)
Pagepp. 1911 - 1918
Keywordセンサネットワーク, ルーティング, パス多重度, トリアージ
Abstract災害発生時に,傷病者の状態から救命の順序を決定する「トリアージ」と呼ばれる救命救急方式の導入が進んでいる.救命順序の決定に使用されるタグを電子化してセンサネットワークを構築し,傷病者の情報を監視・収集する救急救命支援システムの 研究が活発となっている.センサネットワークを介して傷病者のデータを収集する際,それぞれのノードが生成するデータの重要性とそのデータのロバスト性を考慮する必要がある.本稿では,データの重要性に応じて送信元ノードごとに使用できる経路の本数,種類を決定することにより,各ノードが送信したデータの伝送のロバスト性を向上させるルーティング手法VPMR(Variable Path Multiplicit Routing) を提案する.計算機を用いたシミュレーションにより,本提案の有効性を示す.