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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2011)シンポジウム

セッション 2C  アドホックネットワーク
日時: 2011年7月6日(水) 15:55 - 17:35
部屋: エメラルド
座長: 渡辺 正浩 (三菱電機)

2C-1 (時間: 15:55 - 16:20)
題名スマートアンテナのビーム幅と送信電力の適応的な制御方法について
著者*青木 勇太 (静岡大学情報学研究科), 木谷 友哉 (静岡大学若手グローバル研究リーダー育成拠点), 萬代 雅希 (上智大学理工学部), 渡辺 尚 (静岡大学情報学研究科)
Pagepp. 244 - 254
Keywordアドホックネットワーク, スマートアンテナ, 指向性ビーム
Abstractスマートアンテナとは,ビームの指向性を制御できるアンテナのことであり,これを利用することにより一定方向へビームを向け,通信端末間の干渉を防ぐことで無線通信の空間利用効率を向上できる.スマートアンテナの利点を活用するための指向性 MAC プロトコルの設計では,送受信アンテナの指向性 (送受信ビーム方向・幅),送信電力,送信レートの制御方法が主な課題となる.本稿では,まず,指向性制御に注目し,代表的な MAC プロトコルである DMAC をとり上げ,ビーム形成に関して移動環境における基礎評価をする.これにより,端末の移動とトラフィックフローによって最適なビーム幅が変動することを明らかにする.次に,この結果を用いて,通信端末の移動とトラフィックフローに応じて,通信端末のビーム幅を適応的に制御する方式 ADMAC (Adaptive Directional MAC) を提案する.提案手法では,通信端末の移動とトラフィックフローから,適応的にビーム幅を計算し,動的に変化する環境においても高いスループットを実現する.性能評価により,DMAC におけるビーム幅60°と比較して,端末が静止状態のときには最大 1.4 倍のスループット,端末移動速度が 40 km/h のときには,最大 1.2 倍のスループットを実現できることを示す.さらに,ADMACに送信電力制御を加味した方式も考案する.

2C-2 (時間: 16:20 - 16:45)
題名Experimental Discussions on Wireless Networks using Smart Antennas
著者*Jiefu Yu, Takashi Watanabe (Shizuoka University)
Pagepp. 255 - 262
Keywordnetwork, wireless, smart antenna, MAC
AbstractTypically wireless networks are assumed in omni-antennas, transmissions among neighboring nodes in wireless networks may interfere with each other. If a node unicast packets with a directional beam, the undesired interference to the neighborhood nodes lying outside its directional beam pattern can be largely reduced. Most studies evaluate the performance of transmission with smart antennas by simulations. In those evaluations the radiation pattern of antennas and wave propagation are ideally modeled. In this paper we evaluated the throughput performance of transmission in variety topologies using smart antennas with directional beamform and omni-directional beamform by experiments based on the UNAGI/ESPAR. We discuss the interference in these topologies with analysing the result of the experiment. As a result, we find that transmission of the smart antennas with narrow directional beamform to the same direction may have a higher throughput due to reduce the interference to the transmitter.

2C-3 (時間: 16:45 - 17:10)
題名複数周波数帯を利用するアドホックネットワークの通信方式について
著者*玉置 健太, Raptino H. Ari (静岡大学情報学研究科), 木谷 友哉 (静岡大学若手グローバル研究リーダー育成拠点), 萬代 雅希 (上智大学理工学部), 渡辺 尚 (静岡大学情報学研究科)
Pagepp. 263 - 270
Keywordアドホックネットワーク, マルチホップ, 周波数
Abstract近年,無線アドホックネットワークが注目されている.アドホックネットワークは 自律分散型のネットワークで,既存のインフラストラクチャのない場所で無線端末が 無線マルチホップ通信を行う.この無線マルチホップ通信の高送信レート化の研究が 多く行われている.しかし,単一の周波数に限定した高送信レート化の研究が多く, 複数周波数帯について考慮していない.そのため,本稿は,複数の周波数帯を効率化 する無線通信方式を提案する.周波数帯によって,特性や利用状況が異なることに着 目し,周波数帯の利用状況を考慮した通信方式を提案する.この通信プロトコルは周 波数帯を効率良く利用するために,遅延時間や混雑状況を考慮した通信方式である. まず,周波数帯ごとに宛先までの遅延時間を求め,遅延時間の小さい周波数帯を優先 して通信する.提案方式を計算機シミュレータにより評価し,IEEE 802.11a 単独に 比べて,スループットが最大約1.8 倍,IEEE 802.11b 単独に比べて,スループット が最大約2.6 倍向上することを示した.

2C-4 (時間: 17:10 - 17:35)
題名アドホックネットワーク上の周辺情報配布における情報受信による経路変更を考慮したフラッディング制御について
著者*藤井 俊充 (大阪大学大学院情報科学研究科), 加治 充 (パナソニック), 佐々木 勇和, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 271 - 278
Keywordアドホックネットワーク, フラッディング制御, Time To Live (TTL)
Abstractアドホックネットワークにおいて周辺に情報を配布するためのアプローチの一つに,フラッディングを用いる方法がある.筆者らはこれまでに,少数の固定端末が存在する環境を想定し,周辺情報を必要とする端末が存在しない方向への配布を抑制するためのack-carry 方式によるフラッディング制御手法を提案した.しかしこの手法では,受信確認(ACK) を配布元となる固定端末に直接返信することで配布範囲を決定しているため,渋滞情報といった受信後に経路を変更する情報には適用できない.そこで本稿では,周辺情報を受信した移動端末が経路を変更する状況を想定して,効率的に周辺情報を配布するフラッディング制御手法を提案する.提案手法では,情報を受信した移動端末が,最後に情報を経由した固定端末にACK を直接返信し,ACK を受信した固定端末がフラッディング範囲を拡張していく.これにより,周辺情報の受信後に移動端末が経路を変更する場合でも,効率的に情報を配布できる.提案手法の性 能評価をシミュレーションにより行い,有効性を確認した.