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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2011)シンポジウム

セッション 4A  統一テーマセッション-モバイルコンピューティング-
日時: 2011年7月7日(木) 8:00 - 9:45
部屋: サファイア
座長: 清原 良三 (三菱電機)

4A-1 (時間: 8:00 - 8:30)
題名(招待講演) 震災支援用情報システムと保健医療行政
著者*奥村 貴史 (国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
Pagep. 564
Abstract2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東北3県の沿岸部を中心とした被災地に甚大な影響を及ぼし、原発事故による電力供給の不安定化を通じて、我が国全体に未曾有の混乱を引き起こした。こうした災害への備えとして、行政側には緊急時の放射能影響予測システムや緊急地震速報システムなどの危機管理用システムがあり、保健医療行政においても災害により生じうる様々な健康問題に備えた震災支援用情報システムを備えている。本発表では、そのような保健医療行政における震災支援用情報システムについて概説し、今回の震災を通じて明らかとなった課題と今後の展望について紹介する。

4A-2 (時間: 8:30 - 8:55)
題名SmARt Projection: モバイル端末内データを共有するための情報掲示システム
著者*土佐 伸一郎, 田中 二郎 (筑波大学大学院 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻)
Pagepp. 565 - 575
Keyword情報共有, 拡張現実感, PDA, 画面プロジェクション
Abstract近年、多くの人々はモバイル端末を持ち歩き、その内部には種々のデータが保存されている。このモバイル端末内データを研究室の友人や学校のクラスの友人といったような,日常生活で同じ場所で過ごす人々と共有したいという場面は数多く存在する. 本研究では,同じ場所を利用する人々とのモバイル端末内データの円滑な共有を行うためのシステムであるSmARt Projectionを提案,実装した.本システムは普段から過ごす実世界空間の壁面に自由にデータを配置して,モバイル端末内データの共有を行うことが出来る.そして拡張現実感を利用したインタラクション手法を用いて直感的なデータの「貼り付け」,データの「閲覧,取得」を行うことが出来る. この拡張現実感を利用したインタラクション手法により,高い操作性を実現し,円滑なデータ共有を可能とする.また,普段から利用する空間の壁面上でデータの共有を行うことで,web にアクセスする等の必要が生じず,日常生活の自然な延長としてデータの共有を行うことが出来る.そして,壁面の自由な位置にデータを貼り付けられることに加え,壁面に存在する物理オブジェクトとの関係性を利用することで,より円滑な共有を可能とする.

4A-3 (時間: 8:55 - 9:20)
題名レーザレンジスキャナとモバイル端末を活用した屋外地図推定
著者*井ノ口 真樹, 藤井 彩恵 (大阪大学大学院情報科学研究科), 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科,独立行政法人科学技術振興機構(CREST))
Pagepp. 576 - 586
Keyword無線端末, 地図生成, 位置情報, 通信履歴, レーザレンジスキャナ
Abstract地震などの大規模災害における救助活動では,災害現場の環境を早急に正確に把握することが重要となる.なかでも災害現場の地理情報は傷病者の救助,搬送を行う上で必要不可欠である.これに対し我々は,救命チームが保持する端末の無線アドホック通信機能とGPS測位機能を利用し,それらの端末が移動しながら収集した位置情報や通信履歴を用いて対象領域の地図をリアルタイムに自動生成する手法を開発している.しかし,この手法では建物の詳細な形状を再現することが難しいことや地図生成時間や精度に限界があることなどの課題があった.そこで本研究では,無線端末の位置情報や通信履歴に加え,一部の端末が保持するレーザレンジスキャナ(LRS)から得られた障害物情報を利用し,高精度かつ短時間で屋外地図を生成する手法を提案する.提案手法のシミュレーションによる性能評価を行った結果,15端末のうちの3端末がLRSを保持することにより,150m×190mの領域において200秒で約90%程度の精度での地図生成を実現し,LRSが地図生成時間の短縮および推定精度の向上に大きく寄与していることを確認した.また,従来手法との性能比較により,提案手法の有用性を示している.

4A-4 (時間: 9:20 - 9:45)
題名複数の携帯端末を用いた協調作業における地図操作に関する一考察
著者*足利 えりか, 岩田 麻佑, 小牧 大治郎, 原 隆浩 (大阪大学情報科学研究科マルチメディア工学専攻), 上向 俊晃 (株式会社KDDI研究所), 西尾 章治郎 (大阪大学情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 587 - 594
Keyword地図アプリケーション, 協調作業, ユーザインタフェース, スマートフォン, WEBサービス
Abstract近年,スマートフォンの急激な普及に伴い,GPS を利用した地図アプリケーションが頻繁に利用されるようになった.地図アプリケーションを使用することで,地理情報に基づいた検索サービス等を容易に利用できる.このような地理情報に基づいた検索は,一緒にいる友人や家族と話し合いながら行われることが多いため,その場にいるユーザ同士が各自の携帯端末を利用し,協調して作業を行えるシステムが有効であると考えられる.しかし,既存の地図アプリケーションは単独で使用することを前提として設計されているため,地図上の情報を相手に伝えることが困難である.そこで本稿では,地図アプリケーションを使用した協調作業を支援することを目的とし,複数人で地図を操作する際に重要となる事項を調査した.協調作業を支援するための機能を実装したアプリケーションを用いてユーザによる評価実験を行った結果,複数人で地図を操作する際には,1) 端末間で情報を共有し,それらの情報を自身の端末上で 閲覧できること,2) 地理情報を円滑に伝えるために端末画面および地図操作の同期・共有を考慮することが重要であることがわかった.