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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム

セッション 3E  ユビキタス情報処理2(UBI)
日時: 2007年7月4日(水) 16:50 - 18:30
部屋: 鶴・亀
座長: 和田 雅昭 (はこだて未来大学)

3E-1 (時間: 16:50 - 17:15)
題名カメラを搭載したラジコンヘリコプタの飛行制御システム
著者*國本 佳嗣 (神戸大学大学院/自然科学研究科), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院/工学研究科), 小道 学 (ヒロボー 研究開発所)
Pagepp. 553 - 560
Keyword自律飛行, ヘリコプタ, 画像処理, ユビキタスコンピューティング
Abstract近年,空中停止や空中での自由度の高い移動が可能なヘリコプタが産業用として注目 を集めている.それと同時に自律飛行に関する技術の発展,ラジコンヘリコプタの小型 化,高性能化も急速に進み,自律飛行可能な小型ヘリコプタの実現が近づきつつある. そのような機体に小型のコンピュータを搭載することで人間の行けない場所から 様々なサポートを行う新しい形態でのコンピュータ利用が可能となるが, 多くの制限により,現在の自律飛行の手法では実現は難しい. 本研究では,その問題を踏まえ,小型ラジコンヘリコプタの制 御を行うためのシステムを構築した.画像処理を用い,遠隔のPCから地上に設置 されたマーカ上の小型ラジコンヘリコプタに制御を行う. これはペイロードや電力等の様々な制限の中で,画像処理単独での位置, 姿勢推定による自律飛行を検証するためのプロトタイプのシステムである. 評価実験を行った結果,画像処理による飛行制御で一定の精度を実現できることが確認できた.

3E-2 (時間: 17:15 - 17:40)
題名日常生活における情報機器利用のための足ステップ入力方式
著者*山本 哲也 (神戸大学大学院/自然科学研究科情報・電子科学専攻), 塚本 昌彦 (神戸大学/工学部電気電子工学科), 義久 智樹 (京都大学/学術情報メディアセンター)
Pagepp. 561 - 568
Keywordウェアラブル, 足ステップ, ジェスチャ入力
Abstract近年の情報機器の小型化,高性能化に伴い,日常生活の中で携帯型端末を利用することが多くなっている.例えば,夕食を作りながら携帯型音楽プレーヤーのiPodを利用する場合や,携帯電話を歩きながら利用する場合が考えられる.ほとんどの場合,手を使ってこれらの携帯型端末に入力を行うが,手をつかった入力インタフェースでは腕を振っていたり振動により入力しにくい.既存研究として,音声を用いた入力インタフェースなどもあるが,雑音に弱く環境によって入力しにくいといった問題がある.そこで,我々の研究グループでは足ステップを用いた入力インタフェースを提案している. 足ステップとは,足の運びであり,足ステップを用いることで,ハンズフリーでの入力ができる.携帯型端末の操作のほとんどはメニュー選択形式であるため,提案手法では,足ステップでメニュー選択を行えるように設計,実装している.本研究では,足ステップを用いた入力インタフェースにおける入力方式を幾つか評価する.評価を行うことで,状況に応じて適した入力方式を明らかにする. 3軸の加速度センサを取り付け,メニュー選択をおこなう.メニュー選択の特徴として,選択操作と決定操作があり,選択操作は選択したい項目までカーソルを移動する操作であり,決定操作はカーソル位置の項目を選択し次のメニューへと決定する操作である.選択操作ではカーソルが継続的に次々と移動することで行われ,決定操作は意図的におこなう動作である.日常生活の中には,歩行時やジョギング時などに,継続的な動作と,意図的な動作がある.継続的な動作は歩みのように意図せずとも繰り返される動作であり,ユーザが静止している状態では発生しない特徴で,しかも継続的であり普段は意識しないが,多少であればユーザがコントロールすることもできる柔軟性を持っている.この継続的な動作は,例えば,メニュー選択で選択肢を順次選択する操作といったように,繰り返して行う操作に応用できると考えられる. 提案するシステムでは3軸加速度センサを両足の靴に取り付けている.従来の入力インタフェースの研究では,Ubi-Finger:指を使ったジェスチャ入力(塚田・安村)やダブルリング:両手に小型ジョイスティックによる入力(中村他)のように手を使ったものが多く,歩いたり走ったりしながらでは操作しにくく,また入力用のデバイスを新たに身につける必要があるが,提案システムは靴にセンサを取り付けており,新たなデバイスを身につける必要がない. 両足の3軸加速度センサからのデータはしきい値とDPマッチングの2つの方法を用いて解析した.本システムでは入力としてリアルタイム性が必要とされるので,単純で素早い解析方法としてしきい値による解析を試みた.静止状態の加速度センサの値から,ある設定したしきい値を超えたときにメニューへの入力とする.これにより歩みのような継続的動作を検出することができる.そして,足ステップによる入力として様々な入力が考えられるが,上記に述べたしきい値による入力では意図的な動作などの複雑な動きを入力として検出できない.そこで複雑な動きに対応するため,あらかじめ登録した動きの加速度センサのデータをテンプレートとし,これにどれだけ近いか検出するために DP マッチングを用いた.DP マッチングとは,動的計画法(DynamicPrograming) を用いて系列になっているデータ同士の類似度を比較するものでこれにより,様々な意図的な動作で入力をおこなうことができる. しかし,選択に用いるジェスチャの波形をあらかじめ任意に登録するため,入力しにくかったり,誤作動が多いといった問題があった.そこで,本研究では,幾つかのジェスチャ入力方式を評価し,入力しやすい手法を明らかにする.そこで本研究では日常生活において,静止時や歩行,走行時にどのような入力が可能であるかの評価をするため様々な動きについて検証を行った.

3E-3 (時間: 17:40 - 18:05)
題名ルール型動作制御機能を備えた小型無線モーションセンサノードの開発
著者*児玉 賢治, 藤田 直生 (神戸大学大学院工学研究科), 義久 智樹 (京都大学学術情報メディアセンター), 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科), 田川 聖治 (近畿大学理工学部)
Pagepp. 569 - 576
Keywordセンサネットワーク, ユビキタスコンピューティング, センサノード, コンテキストアウェア
Abstract現在,無線センサネットワークの研究開発のため,様々なセンサノードが提供されている.しかし,これら既存のセンサノードは,設置後の動作過程における機能変更が容易でないという問題がある.さらに,多くの既存のセンサノードは,様々な利用を考慮して汎用性の高い設計となっており,人やものに取り付けられるほど小型でない.柔軟な機能変更を実現する方法としてルール型の動作制御がある.ルール型の動作制御は,様々な状態対する動作が記述されているルールを逐次処理することで動作を行う.このルールを追加,削除することで,ファームウェアを書き換えることなく機能変更を容易に実現することができる.本研究では,小型性と省電力性に優れ,加速度センサを搭載するセンサノードを開発し,ルール型の動作制御を適用した.センサデータを実行条件とするルール型動作制御を組み込み,センサノードの基本的な動作を実現した.さらに,開発したセンサノードに対して評価と考察を行いその有効性を示す.

3E-4 (時間: 18:05 - 18:30)
題名物理構成を考慮した仮想スマート環境
著者*榎堀 優 (立命館大学大学院/理工学研究科), 西尾 信彦 (立命館大学/情報理工学部)
Pagepp. 577 - 582
Keywordユビキタスコンピューティング, 仮想化
Abstractユビキタス環境を構築するための様々な機器を敷設した空間が,オフィスや家庭,駅ナカなどに敷設されていくと予想され,本稿ではこの空間をスマート環境と呼ぶ.各スマート環境上でサービスフレームワークが動作することでユビキタス環境が実現するが,単一のユビキタス環境の構成を複数のスマート環境で利用するのが困難である問題,各入出力機器のアクセス制御が難しい問題や,各ユビキタス環境を構築するサービスフレームワーク間で利用機器が衝突する問題などが残存していた. 我々はこれらの問題に対して,各ユビキタス環境に合わせて動的に構成を変更する仮想スマート環境を提案している.仮想スマート環境は,実スマート環境を構成する各機器を仮想化し,組み合わせ方と仮想機器へのアクセス制御を用いて,ユビキタス環境ごとに適切なスマート環境を提供した. 本稿では仮想スマート環境の概略について述べ,ポータブル用途で利用するために実ユビキタス環境との連携を考慮して配置先の物理構成や利用可能なサービスに適応する仮想スマート環境を提案する.提案では,仮想スマート環境のポータブル化時に必要となる仮想スマート環境構成の自動調整,仮想スマート環境に対する通信制御,実ユビキタス環境内サービスとの連携について述べた.