(セッション表へ)

マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム

セッション 7F  Webサービス(GN)
日時: 2007年7月6日(金) 8:30 - 10:40
部屋: 展望サロンA
座長: 荒金 陽助 (NTT)

7F-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名「伊勢・志摩」を対象とした観光情報シソーラスの構築実験
著者*守屋 豊 (近畿大学経済学部), 井出 明 (首都大学東京大学院 都市環境科学研究科)
Pagepp. 1464 - 1470
Keywordインターネット
Abstract「伊勢・志摩」を対象とした観光情報シソーラスの構築実験 1. 研究の背景  今から数百年前の江戸時代は「口コミ」と「文字」による情報が非常に発達した時代であった。当時の旅のバイブル的存在であり、非常によく読まれていた『旅行用心集』には旅先での注意事項などと共に「道中にて日記認方之事」という項目が設けられている。ここには旅に出る際には日記帳を持参し、道中で名所、旧跡や景勝地を訪れた時には、詩歌連俳句や画をそれに書き付けよ、と記されていた。特に江戸時代後期、当時の人口比率にしておよそ20人に1人が参宮し社会現象ともなった「伊勢参宮」について書かれた日記で数多く現存している『参宮日記』には名所や旧跡、道中で購入した土産、さらには献立や宿賃まで詳細に書き記されているものもある。それは単なる一個人の道中の記録にとどまらず、翌年以降にお伊勢参りに旅立つ、講内の後輩へのオリジナルガイドブックとなり、さらに(これは意図したものではないであろうが)、数百年を経た今では当時のナマの社会状況を知る大変貴重な情報となっており、それをもとに我々は古人の「記憶」を鮮明に辿ることが可能となっている。  このように古来より人々は旅の記憶を伝達することを積極的に行ってきた。その営みは現在の我々にも綿々と続いており、人々は旅に出た思い出として記憶をとどめておくことを望んでいる。また観光を行う際に最も参考とするものとしてガイド本や旅行業者からの情報よりも、口コミで得た情報に重きを置いていることも変わっていないと言える。江戸時代では日記がその役目を果たしてきたが、現在ではその多くがインターネットのサイバースペース上に役割が移されている。「楽天トラベル」や「じゃらんnet」といった観光情報ポータルサイトでは観光者がそれぞれの旅の記憶を「口コミ」として書き残し、また別の人がそれに対するコメントを加えることが可能なスペースがあり、活発に利用されている。また個人でホームページやブログを立ち上げて自らの旅行記を公開することも盛んに行われている。それらはこれから旅に出ようと考えている者にとって大変参考となる情報として利用され、まさに“現代の参宮日記”と言い換えることが出来るであろう。  また、観光情報がサプライヤー側からの一方通行であった時代には、サプライヤーと観光者の間に“情報の非対称性”が存在していた。しかしながら、インターネットの急速な発展によって個人で容易に情報発信が出来るようになってからは、いくつかの観光情報ポータルサイトでは消費者の声を積極的に活用するようになってきている。その中でサプライヤー側も形だけのアンケートなどでは見えてこない“ナマの声”を得ることが可能となり、市場競争の中で観光の質が向上してきていると言える。 2. 現在までの取り組み  これまで筆者らは、現行の観光情報の提供形態についての調査を行い、その中からいくつかの問題点を指摘し、あるべき情報システムの方向性について提案してきた。  加速度的に情報化の進んだ近年、インターネットによって観光情報を求める動きが目立ってきている。前述のように多くの人は観光、旅に出た際の一番の思い出として記憶をとどめておくことを望んでおり、その記憶を他人と空間、時間を越えてインターネット上で共有し、オーガナイズすることによって観光の質は飛躍的に向上させることが出来る。しかし、現在のシステムにおいては、キャラクターコードで表すことの出来ない漠然とした情報、個人の記憶を辿るような情報検索は非常に困難であることが分かった。そこで観光に関するシソーラスを構築することによって、情報をオーガナイズし体系的な検索が行えるシステムの必要性を提案した。 3. 本研究の目的と方法  本研究ではこれまでの理論を踏まえた実装実験として『参宮日記』の中心舞台ともなった伊勢・志摩を対象とした“伊勢・志摩に関する観光情報シソーラス”を構築する。 方法としては『茶筅』、『termex』の形態素解析システムを用いてインターネット上の観光情報サイト、観光情報雑誌、さらに実際に伊勢・志摩で配布されている観光情報パンフレットなどからその土地ならではの特徴的な単語を取り出し、カテゴリごとにそれらの語を階層付け、関連付けを行い一つの伊勢・志摩に関するシソーラスとしてまとめる。最終的にはそれを用いることによって、旅の記憶を伝達する、また観光者とサプライヤー、観光者同士、サプライヤー同士が共に啓発しあい観光の質を高めていくことができるシステムの設計が可能かを検討する。

7F-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名SNSでのチャットによる友達の輪拡大支援システムの提案
著者*春日 章宏 (神奈川工科大学 情報学部 情報工学科), 三枝 優一 (神奈川工科大学 大学院 工学研究科 情報工学専攻), 速水 治夫 (神奈川工科大学 情報学部 情報工学 神奈川工科大学 大学院 工学研究科 情報工学専攻)
Pagepp. 1471 - 1475
KeywordSNS, チャット, 日記

7F-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名利用特性にもとづいたコンテンツ取捨選択アルゴリズムの提案
著者*高林 光 (神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻速水研究室), 速水 治夫 (神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻)
Pagepp. 1476 - 1479
KeywordRSS

7F-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名感性表現を用いたコンテンツ検索支援手法
著者*原 雅樹, 水口 弘紀, 中村 暢達 (NEC)
Pagepp. 1480 - 1485
Keywordナビゲーション, 検索支援, 感性表現, Webサービス, インタラクション
Abstract ECサイトや映像ポータルなどの各種ポータルサイトにおいて、ユーザが欲しいコンテンツを見つけるための機能は、ユーザ利便性のみならず、サイト利用率や購買数といった観点からも重要な機能である。ポータルサイトにおけるコンテンツの探し方は、検索機能を使って自らキーワードを指定してコンテンツを探すケースと、画面上に表示されたコンテンツやリンクを逐次クリックしながら所望のコンテンツを探すケースに大別できる。前者の場合、キーワードが適切に指定できれば、欲しいコンテンツを見つけられる確率が高い。しかしながら、ユーザが自身の意図をキーワードで表現することがに出来ないケースでは、コンテンツを見つけられないユーザが少なからず存在する。一方、後者の場合、ユーザはポータルサイト上に用意されたカテゴリの中から絞り込みキーワードを選択し、絞り込んだコンテンツの中から所望の ものを探すが、カテゴリの分類がユーザの意図と必ずしも合っているとは言えず、コンテンツ発見率はさほど高くない。また、ソーシャルフィルタリング(協調フィルタリング)等を使ってユーザの意図を推測し、コンテンツを自動的に絞り込むコンテンツ推薦機能も、近年多く提供されている。(これは、絞り込みキーワードの自動設定といえる)。しかしながら、ユーザの意図を的中させるのは至難であるため、コンテンツ発見率を飛躍的に向上させるには至っていない。このように、従来機能では、絞り込みのためのキーワードを適切に選ぶことが難しいという問題があった。 我々は、映像ポータルサイトを対象として、絞り込みのためのキーワードをユーザに推薦することで、大量の動画コンテンツからのコンテンツ探しをサポートする『感性ワードナビ』を設計・開発した。感性ワードナビで提示するキーワードは、アニメ、映画などのジャンル属性に加えて、泣ける、スカッとするといった感性的な表現(感性ワード)も採用した。これにより、ジャンル属性でうまく絞り込みが出来ない状況でも、感性ワードを使って、気分に合わせた絞り込みができる。 本稿では、感性ワードナビのシステム構成、および主要機能として感性ワード付与機能と、対話型情報ナビゲーション機能の2つの機能を議論する。 感性ワード付与機能は、事前にコンテンツに対する感性ワードの付与する。付与する感性ワードは、サービス運用者によって予め定義し、感性ワード付与機能では、感性ワードと、対象コンテンツのタイトルや作品紹介文など属性情報との相関を判定することで、コンテンツと感性ワードとの対応付けを行う。属性情報が少なくても、感性ワードの使われ方から、関連キーワードを抽出し、幅広く対応付けを行うことを可能としている。対応付けをほぼ自動的に行えるため、膨大な動画コンテンツへ効率的に感性ワードを付与することができる。 対話型情報ナビゲーション機能は、その時々の状況に合わせてコンテンツを絞り込むのに適したキーワードを提示する機能である。ユーザは、提示されたオススメキーワードの中から、気分にあったキーワードを選択する簡単操作で、所望のコンテンツにたどり着くことができる。提示するキーワードは、ユーザの操作履歴から推測した各キーワードに対する期待度合いと、各キーワードで絞り込んだ場合の絞り込み効率を掛け合わせて、その状況下において適切と思われるキーワードを算出する。コンテンツに対応付けられたキーワードの中には、その時のユーザの気分にマッチせず提示しても選ばれないキーワードや、該当コンテンツ数が多すぎたり、少なすぎたりするキーワードが存在する。対話型情報ナビゲーションでは、各キーワードの期待度合いや、絞り込み効率を考慮することでユーザの効率的な絞り込みを実現する。 感性ワードナビのプロトタイプを用いて被験者実験により評価したところ、知らないコンテンツの発見や、操作着手時に念頭に無かったコンテンツへの興味喚起という効果が確認できた。今後、実際のポータルサイトにおける有効性評価を予定している。

7F-5 (時間: 10:10 - 10:35)
題名Webサービスの提供を目的としたデジタルアーカイブシステムの設計と実装 〜建築・空間デジタルアーカイブスの実践〜
著者*南 政樹, 遠山 緑生, 大久保 成, 村井 純 (慶應義塾大学)
Pagepp. 1486 - 1489
Abstract近年,貴重な資料やコンテンツを数多く収蔵するデジタルアーカイブが,インターネットを通じて利用可能になっている.これらの多くは,WWW(World Wide Web)技術を基盤としたWebサイトであり,検索機能や高精細な資料閲覧機能を提供している.  そのWeb技術は,「Web2.0」という言葉に象徴されるように,この数年の間に単なる「情報を検索し閲覧する」から「情報を活用し新たなサービスを作る」ための技術へと変化してきた. これにより,先進的な利用者は,複数のWebサイトが提供する情報やサービスを組み合わせることで,自分のニーズに合った新たなサービスを作り出すことができるようになった.  デジタルアーカイブに収蔵されている資料やコンテンツをWebサービスとして利用できるようにし,自分の価値観やニーズに合わせて自由に組み合わせ表現できるデジタルアーカイブシステムの設計と実装を行った.また,建築写真を中心とした建築資料を収蔵・公開している建築・空間デジタルアーカイブス(Digital Archives for Architectural Space:DAAS)で運用をはじめた.  本論文では,DAASで用いたデジタルアーカイブシステムの設計と実装,そして運用について概要を報告する.