(セッション表へ)

マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2009)シンポジウム

セッション 2F  WSN−配信率向上− (MBL)
日時: 2009年7月8日(水) 15:30 - 17:10
部屋: サクラC
座長: 長谷川 輝之 (KDDI研究所)

2F-1 (時間: 15:30 - 15:55)
題名マルチパスを用いた無線センサネットワークにおける負荷分散方式
著者*廣瀬 文哉, 高橋 淳, 阪田 史郎 (千葉大学大学院)
Pagepp. 315 - 321
Keywordセンサネットワーク, IEEE 802.15.4, 複数経路, 負荷分散, ビーコン
Abstractセンサネットワークにおいて,センサノードはバッテリ駆動のため消費電力を削減することが重要な課題となる.IEEE 802.15.4ビーコンモードでは,スリープ制御の実装により省電力を実現する.しかし,間欠動作を行うため,トラッフィクの増大に伴う輻輳が起こり,到達率低下,遅延増大,再送による消費電力の増大などを引き起こす.本稿では,IEEE 802.15.4ビーコンモードにおいて,複数ビーコンを利用することで各ノードにマルチパスを持たせ,負荷を分散することで輻輳を抑制する方式を提案する.間欠動作から起こる輻輳を回避するReal-Multipath,シンクノード周辺の輻輳を回避するVirtual-Multipathの二種類のマルチパスを設定する.シミュレーションによる性能評価を行い,提案方式を用いることで低消費電力を維持しながら高配信率,低遅延,負荷分散を実現することを示す.

2F-2 (時間: 15:55 - 16:20)
題名過剰にノードを用いることによるセンサネットワークの稼働時間延長方式
著者*勝間 亮 (奈良先端科学技術大学院大学), 村田 佳洋 (広島市立大学), 柴田 直樹 (滋賀大学), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 322 - 332
Keywordセンサネットワーク, k重被覆, 過剰ノード, スリープノード, ネットワーク寿命
Abstract本稿では,環境情報の収集を目的とするWSNにおいて,広範囲の対象センシング領域にk 重被覆する上で過剰な数のノードが存在する場合に,対象領域をk重被覆し続ける時間を 最大化するような各ノードの適切な動作モードの決定手法と,データ収集のためのマルチ ホップ通信経路構築手法を提案する.対象問題はNP困難な問題であると予想される.さら に,初期配置からk被覆が不可能になるまでの全時間にわたる全ノードの動作モードとデ ータ収集経路を一度に決定することは,解空間が大きく難しい.提案方式では,対象問題 を多期間に分割し,各期間における最適な動作モードとデータ収集経路を構築する副問題 を繰り返し解くアプローチをとる.副問題を効率的に解くために逐次起動法,中継ノード 選択法を提案する.k重被覆維持時間を延ばすため,k重被覆を最小個数のセンシングノー ドで保ち,余分なノードをスリープモードにしてバッテリを温存させる.この際,よりk 重被覆に貢献するノードを優先的にセンシングモードにする.提案方式によるk重被覆保 持時間を,シミュレーション実験により評価した.その結果,提案手法は,スリープモー ド無しの場合に比べて30倍程度延長できた.

2F-3 (時間: 16:20 - 16:45)
題名無線センサネットワークにおける受信信号強度の実測に基づく経路構築について
著者*能勢 康宏, 神崎 映光, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 333 - 340
Keywordセンサネットワーク, 送信電力制御, 通信経路制御, RSSI
Abstract無線センサネットワークでは,ノードに搭載されるハードウェアは貧弱であり,電力や通信の面で多くの制約が存在する.そのため,電力効率および通信品質の良い通信経路の構築が重要であり,数多くの研究がなされている.その中でもノードの送信電力制御は,近年最も活発な研究が行われている分野の一つである. しかし,既存手法では,ノードが送出する無線信号が全方向に均等に伝播するモデルを前提としており,実環境への適用が困難である.そこで本稿では,電波到達特性の実測値を利用した通信経路構築手法を提案する.提案手法では各ノード間のパケット到達率とRSSI(Received Signal Strength Indicator)を測定する.ここでパケット到達率とは,送信ノードが送信したパケットのうち,受信ノードで受信できたものの割合である.その後,その測定値を用いて各ノードからシンクノードまでの通信経路および各ノードの送信電力を決定する.

2F-4 (時間: 16:45 - 17:10)
題名無線センサネットワークにおけるノード協調型分散モニタリング
著者*森 駿介 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 梅津 高朗, 廣森 聡仁, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学 大学院情報科学研究科/科学技術振興機構 CREST)
Pagepp. 341 - 348
Keywordワイヤレスセンサネットワーク, 分散モニタリング, プロトコル設計, 性能評価支援
Abstractワイヤレスセンサネットワーク(WSN)は,自然環境のデータの長期的な収集,大規模災害時の救命救急現場における情報交換など,様々な用途に有用な技術として注目されてきている.しかし,そのような多様な用途をもつWSNプロトコルやアプリケーションの開発が必要となってきている現状では,その開発過程にも多様性が求められる.特にその過程における機能検証や保守では,プロトコルの性質に応じた様々な内容の情報の取得,動作状況のリアルタイムな把握,異常発生時の検知などが必要であり,効率的かつ汎用性のあるWSNのモニタリング機構が必要である.しかし,多様なアプリケーションに対するモニタリングには同様に多様な要求が伴い,その構築にもネットワーク全体の振る舞いやトポロジを想定したWSNアプリケーションの開発と同様の労力が生じてしまい,その際に生じる労力や時間といったコストも開発過程において無視することができない.そこで本稿では,多様なプロトコルの機能検証プロセスの簡略化を実現するためのノード協調によるWSNの監視を実現する機構を生成する手法を提案する.モニタリング要求を,WSN全体の状態を対象とした,データセントリックの形による論理的な記述手法を設計し,その記述に従い,ノード間での通信やデータ共有などの協調による監視機構をどのように実現するかについて検討した.