(セッション表へ)

マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2009)シンポジウム

セッション 5D  システム管理技術 (IOT)
日時: 2009年7月9日(木) 10:20 - 12:25
部屋: サクラB
座長: 安東 孝二 (東京大学)

5D-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名多地点高解像度遠隔講義システムと予約・自動制御システムの構築
著者*櫻田 武嗣, 萩原 洋一 (東京農工大学/総合情報メディアセンター)
Pagepp. 1005 - 1010
Keyword多地点遠隔講義, 予約システム, 高解像度遠隔講義
Abstract本論文では、多地点を高解像度映像で結ぶ遠隔講義システムと予約を利用した自動制御システムの構築について述べる。近年大学間連携の流れが進み、複数の大学を結んだ遠隔講義が行われてきている。SCS(Space Collaboration System)を利用した遠隔講義が行われてきたが、衛星通信を利用するため、天候に左右されて通信が安定しないなどの問題点を抱えていた。機器の老朽化による故障などもあり、安定的に遠隔講義を行うことは難しくなっていた。一方で、ネットワークの広帯域化が進み、ネットワークを利用した遠隔講義を行うことも可能となってきた。これまでの遠隔講義システムの画質はアナログテレビ程度の品質以下が大半であり、詳細な資料等を提示しながら高度な教育を行うには不十分なものであった。そこで我々は、多地点を高解像度映像で結ぶ遠隔講義システムを導入することとした。本構築では全国18 国立大学法人をHD品質の高解像度映像、高品質な音声で結び、実運用に向けて利用者の負担を減らす仕組みの設計・構築を行った。2009 年2 月23 日に全拠点を結んで遠隔講義を行った。運用を開始した段階のため、現在も安定稼働、より使いやすくするための改良、調整を続けている。本システムは、利用者はWeb から簡単な予約を行うだけで、後はシステム側が予約時間に自動的に立ち上げ、設定、接続を行うもので、利用者の負担を減らすことが可能である。また今回構築するシステムを利用して北海道から沖縄までの18 国立大学法人23 拠点をHD 品質で結び、実運用を行う例は過去に無く、高品質な映像、音声を生かした幅広い活用が今後期待される。

5D-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名サーバの動的広域分散配置システムの実現
著者*神屋 郁子 (九州産業大学 大学院 情報科学研究科), 下川 俊彦 (九州産業大学 情報科学部), 吉田 紀彦 (埼玉大学 情報メディア基盤センター)
Pagepp. 1011 - 1017
Keyword仮想計算機, 広域分散配置
Abstract現在のインターネットにおけるサーバシステムは,高い処理能力や広帯域なネットワークを必要としている.しかし,全てのサーバシステムがいつでも高い処理能力や広帯域なネットワークを必要としているわけではない.そのために高性能な計算機や後退粋なネットワークを保持しておくのはコストがかかるため,サービス提供者は必要なときに必要なだけ資源を行いたい.しかし,.計算機の処理能力を上げるためには,スケールアップとスケールアウトの2つの手法がある.スケールアップは,計算機単体の処理能力を上げる手法である.プロセッサの数を増やしたり,強力なプロセッサを利用したりする.スケールアウトとは,計算機の数を増やして処理能力を向上させる手法である.スケールアップは物理的に限界がある.近年では,グリッドコンピューティングやCDN,クラウドコンピューティングのように,スケールアウトの技術が広く用いられている.特にクラウドコンピューティングは,動的な計算機の処理能力の向上が容易な点で注目を浴びている.さらに Open Cloud Testbedのように広域に構築されたクラウドシステムでは,ネットワークのボトルネックの排除も可能である. しかし,これらの手法はバックグラウンドに大規模な計算機環境を必要とし,その環境は誰でもが構築できるものではない.パブリッククラウドのような第三者が構築した環境を利用する方法もあるが,その場合セキュリティに懸念が残る.しかし,小規模な計算機環境しかない場合でも,動的な広域分散環境を構築し,スケールアウトによる処理能力を向上とネットワークボトルネックの排除をしたい場合がある.そこで,本研究では,小規模な計算機環境での動的な広域分散環境構築手法を提案し,プロトタイプシステムを用いてその実現性を示す.

5D-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名イーサネットワーク構成情報表示システムにおける構成推測条件へのVLAN情報の適用について
著者*藤田 俊輔, 飯田 隆義 (大分大学大学院工学研究科知能情報システム工学専攻), 吉田 和幸 (大分大学学術情報拠点情報基盤センター)
Pagepp. 1018 - 1025
KeywordLAN, ネットワーク管理, ネットワークトポロジ, VLAN
Abstract我々はLANスイッチを主として構成されるLayer2ネットワークのトポロジを推測するアルゴリズムを提案し,機器間の接続関係を推測・表示するシステムを作成し利用してきた.本システムはFDB(Forwarding DataBase)を基にしてインタフェース間の接続を推測し,物理的な接続関係を実際にはケーブルを辿ることなく決定するものである.一方,LANスイッチではネットワークを分割するためVLAN技術も多く利用されている.VLANを利用することでLANスイッチ間にループが発生することがあり,正確なトポロジの推測ができないことがある.本論文ではVLANに起因するループの中でも推測が困難な特殊な例を解決するため,VLAN情報の収集を行い推測にVLAN情報を適用することについて述べる.

5D-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名移動透過通信を利用したP2P型ファイル配布システムの性能評価
著者*正岡 元 (広島大学大学院 総合科学研究科), 関 顕生 (広島大学 工学部), 岸場 清悟, 近堂 徹, 西村 浩二, 相原 玲二 (広島大学 情報メディア教育研究センター)
Pagepp. 1026 - 1032
KeywordP2P, 移動透過通信
Abstract近年,LinuxやFreeBSDなどUnix系OSの配布などで,BitTorrentをはじめとしたP2P型のファイル共有ソフトウェアが利用されている. P2P型のファイル共有プロトコルは,ノードのアドレス変更や切断にある程度対応する機能を持っている.また,ダウンロードの並列化やネットワーク障害への対応などのために,ファイルを複数の断片に分割し,断片ごとにダウンロードを行う.しかし,耐障害性のために断片のサイズを小さくすると,帯域の使用効率が低下してしまうというデメリットもある.一方,ネットワークを移動してもセッションを中断することなく通信を継続できる技術として移動透過通信がある.移動透過通信を利用しP2P型ファイル配布を行うことで,ファイル転送の速度向上を実現することができる.本稿では,移動透過通信を利用した場合のP2P型ファイル配布時間を測定することにより,多くのノードが頻繁に移動する環境におけるファイル配布方式について評価する.