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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2010)シンポジウム

セッション 2H  センサーネットワーク(1)
日時: 2010年7月7日(水) 15:05 - 17:10
部屋: 緑風の間2
座長: 渡辺 正浩 (三菱電機)

2H-1 (時間: 15:05 - 15:30)
題名WSN稼働時間延長のためのスリープスケジューリング手法
著者*勝間 亮 (奈良先端科学技術大学院大学), 村田 佳洋 (広島市立大学), 柴田 直樹 (滋賀大学), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 540 - 550
Keywordセンサネットワーク, 長寿命化, スリープ, k重被覆, レイヤ被覆
Abstract本稿では,多数のセンサノードが散布されたデータ収集型無線センサネットワー ク(WSN)において,必要最小限のノードを稼働させ,残りをスリープさせることで, WSNのk 重被覆時間を最大化する手法を提案する.本手法を実現するため,k重被 覆時間を最大化する,各時刻のノードの動作モード(センシングやスリープなど)お よびマルチホップ通信経路を決定する問題を定式化する.本問題は典型的な組み合わ せ最適化問題であり,短時間で最適解を算出するのは困難である.そのため,時間を 多期間に区切り,一期間にわたって維持される最適な動作モードとデータ収集経路を 繰り返し決定していくヒューリスティックアルゴリズムを提案する.まずk重被覆へ の貢献度合順に稼働させるノードを選んでいく既存手法を述べ,次に,フィールドを 1重被覆するノードの集合(レイヤ)を複数求め,k個の稼働レイヤを選択する耐故障 性能が高い新手法を提案する.提案手法におけるWSNのk重被覆時間および耐故障 性能を評価するため,提案手法と既存手法の比較実験をシミュレーションにより行っ た.その結果,提案手法を用いた場合のノード故障発生時のフィールドの被複数は, 既存手法より平均で1.03倍,最大で2.6倍改善される一方,kの値やノード数にかか わらずk重被覆時間の減少は5%にとどまることが確認できた.

2H-2 (時間: 15:30 - 15:55)
題名無線センサネットワークにおけるスリープ制御と空間補間を用いたデータ収集について
著者*近藤 真也, 神崎 映光, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 551 - 558
Keyword無線センサネットワーク, スリープ制御, 空間補間, 消費電力
Abstract無線センサネットワークでは,ノードが電池で稼動しているものが一般的であるため,サービスを長期間提供するためには,ノードの省電力化が重要である.筆者らは,消費電力の削減を実現するため,ODAS/SS (Overhearing based Data Aggregation using Spatial interpolation with Sleep Scheduling) を提案している.ODAS/SSでは,データの空間補間とスリープ制御を用いることで,発信されるデータ量を削減し,各ノードの消費電力を抑制する.しかし,ODAS/SSでは,発信されたデータを基地局に収集する方法を規定していない.本稿では,ODAS/SSにおいて発信されたデータを収集する方法を提案する.提案手法では,スリープ制御によって起動状態となるノードが動的に変化する環境において,各ノードが,近隣ノードの状態を認識し,データ収集の際の転送先を自律的に決定する.

2H-3 (時間: 15:55 - 16:20)
題名センサネットワークにおける CSMA/CA とビーコンモードに基づく省電力化プロトコル
著者*茅野 圭悟, 旭 健作, 渡邊 晃, 小川 明 (名城大学)
Pagepp. 559 - 565
Keywordセンサネットワーク, 省電力, CSMA/CA, ビーコンモード
Abstract本論文では,センサネットワークにおいて省電力化をするために休止状態を導入した簡単かつ順軟性の高いCSMA/CAに基づくMACプロトコルを提案する.この提案において,休止期間を決定するために2つの方式を検討する.第1の方式は,データの送信時にその終了時刻を予測し,その時刻まで休止する手法である.以降,NAVSleepという.NAVSleepでは,CSMA/CAに基づくネットワークに休止状態を導入するために,IEEE 802.11で用いられるRTS/CTSの仕組みを利用する.第2の方式として,ZigBeeで用いられるビーコンモードの導入を検討する.ビーコンモードにおいて不活性期間を導入することにより,さらなる消費電力の削減を行う.通信量に合せて不活性期間の長さを適応的に変化させることを考える.NAVSleepと適応的なビーコンモードを組み合わせた手法をBEACONSleepとする.これらの提案方式について計算機シミュレーションにより特性を評価し,従来のCSMA/CAに比べて消費電力を削減において有効であることを示す.

2H-4 (時間: 16:20 - 16:45)
題名TDMA無線ネットワークにおけるノード参入手法の評価
著者*川島 佑毅, 寺島 美昭, 城倉 義彦, 渋谷 昭宏 (三菱電機株式会社情報技術総合研究所)
Pagepp. 566 - 571
KeywordTDMA
Abstract災害救助活動における状況観測のために,センサ同士で情報共有を行う無線センサネットワークが注目されている.本稿では,無線センサネットワークのための動的なスロット割当を行うTDMA 方式を提案する.本方式は,TDMA のスロット割当を動的に行うことでノード数の変化に柔軟に対応する.また,複数ノードでグループを形成しTDMA ネットワークに接続する際にリーダノードが一括して参入処理を行うことで参入所要時間を短縮する.さらに,スロットマップを数スロット単位でまとめブロック化することでオーバヘッドを削減する.ネットワークシミュレーションによる評価により,提案方式の動作と性能を確認する.

2H-5 (時間: 16:45 - 17:10)
題名マルチホップセンサネットワークにおけるショートプリアンブルを用いたパケット衝突回避方式
著者*御園 恵子, 小室 信喜, 阪田 史郎 (千葉大学大学院融合科学研究科)
Pagepp. 572 - 578
Keyword省電力, 通信プロトコル
Abstractセンサネットワークは,バッテリ駆動で数年の稼動が必須条件となるため,省電力化が課題である.省電力化を実現する有効な手段の一つとして,パケットの衝突を回避することが考えられる.センサネットワーク向けのMACプロトコルとして,IEEE 802.15.4がある. IEEE 802.15.4ノンビーコンモードでは,省電力化のためにスリープ制御を行っている.しかし,トラフィックの増加などに伴い,シンクノード付近でのパケット衝突が発生する.それにより配信率の低下や消費電力の増大が引き起こされる.本稿では,IEEE 802.15.4ノンビーコンモードにおいて,ショートプリアンブルによりエンドデバイスの受信時刻を指定した後,ネットワークアドレスを用いてエンドデバイスのが送信時刻を決定することでパケット衝突を回避する方式を提案する.シミュレーションによる性能評価を行い,提案方式が高配信率を維持しながら低消費電力を実現することを示す.