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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2010)シンポジウム

セッション 5G  データベース/ストレージ
日時: 2010年7月8日(木) 10:20 - 12:25
部屋: 緑風の間1
座長: 佐藤 永欣 (岩手県立大学)

5G-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名ユビキタス環境におけるマルチデータベースの仮想化技術
著者*渡辺 裕太, 菖蒲 佳右, 三井田 浩 (東京電機大学大学院 情報環境学研究科), 和田 雄次 (東京電機大学 情報環境学部), 澤本 潤, 加藤 貴司 (岩手県立大学 ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 1262 - 1267
Keywordデータベース, 異種分散, XML
Abstract今日では,ユビキタスセンサーネットワーク環境上から大量のデータが収集されており,これらのデータの中に隠された知識や傾向を,データマイニング技術を用いて発見・分析し,業務の意思決定などに役立てることが重要となっている.そして,それらのデータは分散配置された多種多様なデータベース(すなわち,マルチデータベース)に存在する. しかし,このマルチデータベースに対し,データマイニングを行う分析者は本来的には分析やルール抽出作業に集中したいにも拘わらず,データマイニングの準備過程であるデータベース選択やデータ収集などの作業に多大な時間を費やしてしまうといった課題がある. そこで,本研究ではこのデータ分析者の負担を軽減するために,ユビキタスコンピューティング環境上のマルチデータベースが,あたかも一つのデータベースであるかのように利用できるデータベース仮想化技術の開発を目的とする. 本研究において,先ずリレーショナルデータベースから情報を取得し,構造化された共通スキーマを生成することができた.次に,データベース制約条件についても情報用コメントとして持たせることによって,制約条件の細かな情報も持たせることが可能となった.更に,仮想化データベースシステムの一部である共通スキーマ変換モジュールなどを開発したので,今回はこのスキーマ変換モジュールについて報告する.

5G-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名シングルテナント型システムからの移行に適したマルチテナント型データベースシステムの構成法
著者*黒田 貴之, 副島 賢司, 島村 栄 (NECサービスプラットフォーム研究所)
Pagepp. 1268 - 1278
Keywordクラウドコンピューティング, SaaS, マルチテナント, カスタマイズ, AOP
Abstract本論文では, 単一のテナント(利用者組織) による利用を前提としたシングルテナント型の既存システムから, 複数のテナントをホスティングする形態を持つマルチテナント型のシステムへの移行, すなわちマルチテナント化を, 効率的に実現する手法について論ずる. 特に, 本来マルチテナント型のシステムでは実現が困難であるテナントごとのデータスキーマのカスタマイズ機能を, 既存システムからの最小限の変更により実現する手法について述べる. 既存のマルチテナント型のリレーショナル・データベースの構成法をマルチテナント化に適用した場合, カスタマイズ機能の実現のためにデータベーススキーマに大量の拡張用のカラムを追加する必要が生じ, アクセス性能が大幅に劣化した. そこで本研究では, 各テナントが拡張したスキーマ上のデータをシリアライズして単一のカラムに挿入することで, マルチテナント化に際して追加すべきカラム数を最少で2 個に圧縮する手法を提案する. 本稿では提案システムの設計と実装までを説明し, さらに実験を通じて, 提案手法ではカスタマイズ機能によるデータベースのアクセス性能の劣化が既存手法を用いた場合の30% 程度に抑えられる効果について示す.

5G-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名VPN遠隔接続環境におけるiSCSI遠隔ストレージアクセスの各層最適化についての評価
著者*浅田 菜那, 比嘉 玲華, 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1279 - 1284
KeywordSAN, iSCSI, VPN, 広域ネットワーク, ネットワークストレージ
Abstractコンピュータシステムにおけるデータ量の増大に伴い,効率的にストレージを管理したいという要望が高まっている. このことからストレージの管理コスト低減などの目的でSANの導入が進んでいる. 現状では,SANは主にローカル環境のみで用いられているが,ネットワークを利用したIP-SANとしてiSCSIが注目されている. iSCSIを用いることにより広域環境におけるIP-SANを低コストで構築でき,遠隔地のデータセンサなどにデータをバックアップすることが容易となることから, ストレージのアウトソーシングといったサービスへの利用が可能になるためである. 本研究では,VPNを利用することによりiSCSIを広域ネットワークに適用させ,高遅延環境におけるiSCSIストレージアクセスの特性, 解析を評価しスループット向上の方法について検討する.

5G-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名NaryRAIDに基づく複数の小規模ディスク群による大規模ストレージの構築
著者*中村 祐司, 上原 稔 (東洋大学大学院工学研究科情報システム専攻)
Pagepp. 1285 - 1292
KeywordRAID
Abstract今日,ライフログやクラウドによりデータセンターのニーズが高まっている.我々は,プライベートクラウドの基盤となる組織内オンラインストレージを安価に実現するために仮想大規模ディスク(VLSD)ツールキットを開発した.VLSDでは,クライアントの遊休資源を用いてデータグリッドを構成する.これにより高価なアプライアンス製品より安価にオンラインストレージを構成する.我々は60TBの単一大規模ディスク(SLVD)を構築した. しかし,このようなシステムはファイルサーバが単一故障点と同時にボトルネックになる.そこで,我々は多数の小規模ディスクで大規模ストレージを構成する方式を提案した.また,クライアントはサーバより信頼性が低い.そのためクライアントを用いたデータグリッドは通常以上の信頼性が要求される.我々はRAID6を超える3耐故障RAIDであるNaryRAIDを開発した.NaryRAIDは基本RAIDより耐故障性に優れ,階層型RAIDより容量効率が優れている. 本研究では,MMVD方式にNaryRAIDを適用する.NaryRAIDに基づくMMVDはRAID6に基づくMMVDより性能は劣るが,耐故障性に優れる.

5G-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名大規模仮想ディスクに基づく3耐故障直交RAID
著者*上原 稔 (東洋大学)
Pagepp. 1293 - 1298
Keywordストレージ, 仮想化, RAID
Abstract低コストの大容量ストレージに対する要求は非常に高い。我々は、空容量を集約してこのようなストレージを構築するために、ディスクレベル分散型ストレージを構築するためのツールキットVLSD (Virtual Large Scale Disks)を開発した。しかし、大容量ストレージの信頼性を高めるには3 以上の耐故障性を持つRAID が必要になる。本論文では、直交RAID に基づく3 耐故障RAID としてMeshRAID を提案し、それをVLSD によって実現する方法を述べる。VLSD のクラスライブラリを組み合わせることで容易にMeshRAID を構成できる。MeshRAID は、同じく3 耐故障であるRAID55 やNaryRAID の中間的な特長を持つ。