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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2010)シンポジウム

セッション 7B  MACプロトコル
日時: 2010年7月9日(金) 8:55 - 10:10
部屋: 朝陽の間1
座長: 中村直毅 (東北大学)

7B-1 (時間: 8:55 - 9:20)
題名オポチュニスティック型通信を適用した指向性MACプロトコルについて
著者*加藤 泰大 (静岡大学大学院情報学研究科), 萬代 雅希 (上智大学理工学部情報理工学科), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1536 - 1546
Keyword指向性アンテナ, deafness, MAC, オポチュニスティック
Abstract近年,アンテナのビーム方向を電子的に制御可能な可変指向性アンテナを無線アドホックネットワークに適用することが注目されている.そして,送信ビームと受信ビームを適切に制御して空間利用効率を向上させるMACプロトコルが提案されている.しかし,指向性MAC(Medium Access Contorol)プロトコルにおいて,通信したい相手がビジーであることを知らず通信を試みるdeafness問題が発生する.deafness問題により端末のRTS(Request To Send)再送回数が増加し遅延の増大やパケットの破棄が起こり,結果としてスループット性能の低下を招く.一方,オポチュニスティック通信は特定の端末との通信に固執せず,その時に通信可能な端末を利用するという考えを基にした手法である. 本稿ではオポチュニスティック型通信により再送確率を低減することができる点に着目しdeafness問題の解決策としてDOMAC(Directional Opportunistic MAC)を提案する.指向性アンテナとオポチュニスティック型通信の両方の利点を活かすため,DOMACでは指向性アンテナを用いたプロトコルに部分的にオポチュニスティック型通信を適用する.計算機シミュレーションにより提案方式はdeafness問題の発生を低減し,スループット性能が向上することを示す.

7B-2 (時間: 9:20 - 9:45)
題名干渉を考慮したビームパターンを用いるMACプロトコルについて
著者*木村 真樹 (静岡大学大学院情報学研究科), 萬代 雅希 (上智大学理工学部), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1547 - 1552
Keywordスマートアンテナ, SINR, レート制御, MACプロトコル
Abstract近年,アドホックネットワークにスマートアンテナを利用することが注目されている. スマートアンテナはメインローブとヌルの方向を電子的に制御することが可能である. スマートアンテナの指向性を制御する指向性MAC (Medium Access Control) プロトコルが考案されている. 従来の多くの MAC プロトコルは,通信相手端末にメインローブを向ける手法だが, 周辺端末の干渉波をバックローブやサイドローブ等のマイナーローブで受信することでスループット性能が低下する問題がある. 一方で,周囲端末の一つにヌルを向けて干渉を低減する MAC プロトコルも考案されている. 本研究では,スマートアンテナを用いてメインローブとヌルの両方を組み合わせたビームパターンを利用するMAC プロトコルを提案する. 提案手法では,あらかじめメインローブの方向とヌルの方向を計算した複数個のビームパターンを計算する. 計算により求められたビームパターンを用いて,所望方向へ高いアンテナ利得を得つつ干渉端末方向へのアンテナ利得を低くすることでSINRを向上させ, 高い送信レートで通信を行い,スループット性能を向上させることを目的とする.

7B-3 (時間: 9:45 - 10:10)
題名アドホックネットワークにおけるコードセンスCDMA型MACプロトコル
著者*宮路 祐一, 村中 裕貴, 古橋 彬, 上原 秀幸, 大平 孝 (豊橋技術科学大学電気・電子情報工学系)
Pagepp. 1553 - 1562
KeywordマルチチャネルMACプロトコル, マルチチャネル隠れ端末問題, CDMA, コードセンス
AbstractアドホックネットワークのMAC (Medium Access Control) プロトコルにはIEEE 802.11 DCFに代表されるシングルチャネルMACプロトコルが広く用いられている. 近年,さらなるスループット向上のためにFDMA型やCDMA型のマルチチャネルMACプロトコルが検討されている. しかし,マルチチャネルMACプロトコルではマルチチャネル隠れ端末問題や短縮NAV問題といった新たな問題が発生してしまう. そこで本稿では,干渉除去とコードセンス機能を有するCDMA型MACプロトコルを提案する. 提案方式では,近隣端末で使用されている拡散符号を検知するコードセンス機能を用いた拡散符号の選択によって,マルチチャネル隠れ端末問題を解決できる. また,端末毎に個別にNAVを設定する拡張NAVによって短縮NAV問題を解決する. さらに,提案方式はCDMA型特有の遠近問題に対処するために,送信抑制制御を行う. シミュレーションにより,IEEE 802.11 DCFならびにFDMA型のマルチチャネルMACに比べ,衝突などを抑えスループットが向上することを示す.