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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2010)シンポジウム
プログラム

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セッション表

表内のセッション名はそのセッション情報にリンクしています.

2010年7月7日(水)

朝陽の間3朝陽の間1倶楽部樹里苑如月弥生和風緑風の間1緑風の間2
WS (朝陽の間 3)
DICOMO2010併設シンポジウム 「コンシューマシステムシンポジウム」
9:00 - 11:30
開会式 (朝陽の間1)
12:20 - 12:40
1A 統一テーマセッション-クルマのネットワーク化-
12:45 - 14:55
1B マルチメディアシステム(1)
12:45 - 14:50
1C データ管理
12:45 - 14:50
1D コミュニケーション支援と機械翻訳
12:45 - 14:50
1E 無線システム応用
12:45 - 14:25
1F リスク分析/デジタルフォレンシック
12:45 - 14:50
1G コンテクストアウェアネス(1)
12:45 - 14:50
1H モバイルセキュリティ
12:45 - 14:50
2A 統一テーマセッション -未来社会を支える新技術と検証-
15:05 - 17:15
2B マルチメディアシステム(2)
15:05 - 17:10
2C ユビキタスコンピューティング
15:05 - 17:10
2D WEB閲覧履歴と情報検索
15:05 - 16:45
2E ITSアプリケーション
15:05 - 17:10
2F 不正検知
15:05 - 17:10
2G コンテクストアウェアネス(2)
15:05 - 16:45
2H センサーネットワーク(1)
15:05 - 17:10
3A 統一テーマセッション-人間行動理解に向けた新技術 -
17:20 - 19:30
3B アドホックネットワーク(1)
17:20 - 19:00
3C 情報流通と分散システム
17:20 - 18:35
3D 社会システム
17:20 - 19:00
3E グリッドコンピューティング
17:20 - 19:25
3F 安全技術とトラスト
17:20 - 19:25
3G 情報提示
17:20 - 19:25
3H センサーネットワーク(2)
17:20 - 18:35
夕食 (春秋の間)
19:40 - 21:20



2010年7月8日(木)

朝陽の間3朝陽の間1倶楽部樹里苑如月弥生和風緑風の間1緑風の間2
朝食 (春秋の間)
7:00 - 8:30
4A 遠隔教育と教育支援
8:30 - 10:10
4B アドホックネットワーク(2)
8:30 - 10:10
4C インターネット応用
8:30 - 10:10
4D ネットワークシステム
8:30 - 10:10
4E 屋外測位技術
8:30 - 10:10
4F ネットワークセキュリティ
8:30 - 10:10
4G ネットワークプロトコル
8:30 - 9:45
4H センサーネットワーク(3)
8:30 - 10:10
5A 統一テーマセッション-未来社会とCSCW研究−
10:20 - 12:30
5B アドホックネットワーク(3)
10:20 - 12:00
5C システム運用
10:20 - 12:00
5D アプリケーション
10:20 - 12:25
5E 位置情報サービス
10:20 - 11:35
5F 電子署名/認証(1)
10:20 - 11:35
5G データベース/ストレージ
10:20 - 12:25
5H センサーネットワーク(4)
10:20 - 12:00
昼食・アウトドアセッション (セッション会場他)
12:30 - 14:00
SS (朝陽の間1)
標準化セッション

14:00 - 15:00
6A 統一テーマセッション -モバイルコンピューティング-
15:10 - 16:55

6C WEBデザイン
15:10 - 16:50
6D スケジュール支援と映像配信
15:10 - 16:50
6E 屋内測位技術
15:10 - 16:50
6F 電子署名/認証(2)
15:10 - 16:25
6G 分散処理
15:10 - 16:50
6H センサーネットワーク(5)
15:10 - 16:50
SP (朝陽の間1)
特別講演

17:00 - 18:00
DS (朝陽の間4)
デモセッション/企業展示

18:10 - 19:30
夕食 (春秋の間)
19:40 - 21:20
NS (緑風の間)
ナイトテクニカルセッション

21:30 - 23:00



2010年7月9日(金)

朝陽の間3朝陽の間1倶楽部樹里苑如月弥生和風緑風の間1緑風の間2
朝食 (春秋の間)
7:00 - 8:30
7A 統一テーマセッション-未来社会のアプリケーションと関連技術
8:30 - 10:15
7B MACプロトコル
8:55 - 10:10
7C 分散と最適化
8:30 - 10:10
7D ソフトウェア開発とリソース共有
8:30 - 10:10
7E 放送コンピューティング
8:30 - 10:10
7F 実装/サイドチャネル攻撃
8:30 - 9:45
7G ネットワーク/ミドルウェア
8:30 - 10:10
7H P2P(1)
8:30 - 9:45
8A 統一テーマセッション-セキュリティソリューション-
10:20 - 12:30
8B 移動ネットワーク環境
10:20 - 12:25
8C 電力管理/制御
10:20 - 12:25
8D クラウド/センサーネットワーク管理
10:20 - 12:00
8E QoS
10:20 - 12:25
8F MANETとモバイルアプリケーション
10:20 - 12:25
8G センサーウェアラブル
10:20 - 12:25
8H P2P(2)
10:20 - 12:25
昼食(セッション会場)
12:30 - 13:30
閉会式・表彰式 (朝陽の間1)
13:30 - 14:00



論文一覧

(「*」印は講演予定者を表す)

2010年7月7日(水)

セッション 1A  統一テーマセッション-クルマのネットワーク化-
日時: 2010年7月7日(水) 12:45 - 14:55
部屋: 朝陽の間3
座長: 梅津 高朗 (大阪大学)

1A-1 (時間: 12:45 - 13:15)
題名(招待講演) 未来社会を支えるクルマのネットワーク化
著者*小花 貞夫 (ATR)
Pagep. 1

1A-2 (時間: 13:15 - 13:40)
題名車車間通信における道路セグメントを利用した情報伝搬手法
著者*内川 亜美, 羽鳥 遼平, 黒木 智也, 神田 翔平, 原田 亮 (慶應義塾大学理工学研究科), 重野 寛 (慶應義塾大学理工学部)
Pagepp. 2 - 7
KeywordITS, VANET, 車車間通信, アドホックネットワーク
Abstract公共サービスアプリケーションの1 つである優先車両の優先通行通知を行う場合, 優先車両の通行する道路に位置する車両にあらかじめ情報を伝搬する必要がある.し かし,既存手法では,冗長なパケットの増加によるパケット衝突が問題で,優先車両の 指定した道路に位置しているすべての車両へ情報を伝搬することが難しくなる.この 問題の原因として,「走行する道路外に位置する車両のフラッディング」と「パケット中 継の増加」が挙げられる.本稿では,道路をセグメントへと分割した道路セグメント を用い,冗長なパケットを減らしながらも,優先車両の走行する道路に沿った情報伝 搬を実現する手法を提案する.提案手法は優先車両の指定した道路のみへパケットを 伝搬し,パケットを受信した車両のうち1台がパケットを中継する.計算機シミュレー ションによって評価を行った結果,既存手法と比べ,トラフィック量を平均約60%減 少させ,パケット通過率を約20%高く保つことが確認できた.

1A-3 (時間: 13:40 - 14:05)
題名VANETにおける車速・車両密度を考慮したRNCを用いた位置依存情報配布の検討
著者*楠嶺 生宏 (静岡大学大学院工学研究科システム工学専攻), 石原 進 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 8 - 15
Keyword車々間アドホックネットワーク, アドホックネットワーク, 位置依存情報, ランダムネットワークコーディング, コンテンツ配信
Abstract車車間アドホックネットワーク(VANET:VehiculAr Ad hoc NETworks)において,現在位置周辺で起きた位置に依存する情報を自動的に取得できるアプリケーションを考える.情報を生成した車両からフラッディングなどによって情報配信を行えば,マルチホップの通信で通信可能な範囲にいる車両全体に情報配布を行うが,そのときに通信範囲外にいる車両はその情報を受信することは出来ない. 本稿では,データに関連する位置に近づいた車両が発するHelloパケットを受信した車両が,そのデータを持っていた場合に応じてデータを送信することでデータ配信を行うシナリオを考える. この場合,車両密度が高い場合には,すでにデータを保持する車両から多くの冗長なデータが送信され,帯域を浪費し,更にパケット衝突によりデータの配信性能を悪化させることが見込まれる. 本稿では,この対策のために1)データ配信でのランダムネットワークコーディングの利用,2)動的なHello送信間隔の調整,3)車両密度による応答確率の変更,を行う方法を提案する. シミュレーションの結果,提案方式は交通量が大きい場合に,少ないトラフィックで確実なデータ配信を可能であることが確かめられた.

1A-4 (時間: 14:05 - 14:30)
題名VANETにおける高車両密度地域へのトラフィック誘導を行う位置依存情報複製配布手法の検討
著者*岡本 惇一朗 (静岡大学大学院工学研究科システム工学専攻), 石原 進 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 16 - 24
KeywordVANET, 複製配布, アドホックネットワーク, 位置依存情報, 車両密度
Abstract端末の移動などにより端末間の通信接続性が保証されないアドホックネットワークにおいて,各端末が他端末の保持するデータに対するアクセス性能を向上させる手法として,生成した情報の複製を他端末に配布する複製配布が有効である.しかし,複製配布は周辺の端末密度に影響を受け,周囲に端末がほとんどいないような環境では,複製を効率的に配布するのは困難である.本稿では,車両間アドホックネットワークにおける位置依存情報の複製配布手法として,複製を車両密度の高い幹線道路へ誘導し,誘導先の幹線道路上の車両に複製の保持と配布を行わせる高端末密度地域誘導型複製配布手法を提案する.提案手法では,低車両密度地域で生成された位置依存情報の複製を,幹線道路方向へ誘導し,幹線道路上を走行する車両に予め複製を保持させることで,情報に対するアクセス性能を向上させる.本論文では,シミュレーションにより提案手法を評価し,位置依存情報が生成された位置周辺だけでなく,車両の多い地域まで複製を誘導し,誘導先の地域で複製を配布させることで,より小さな配送遅延で,情報に対するアクセス成功率を向上させることを確認した.

1A-5 (時間: 14:30 - 14:55)
題名無線環境下における複数無線通信システムの同時使用に関する検討
著者*松本 真紀子, 宮崎 悦子, 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 25 - 30
Keywordマルチパス, TCP
Abstract近年,ワイヤレスブロードバンドと呼ばれる種類の新たな電波利用通信システムが次々に開発され、導入が推進されている.しかし無線通信のブロードバンド化に伴い周波数帯域幅が不足し,これによる通信性能の低下問題が懸念されている.このため今後周波数帯を有効に利用する技術が求められており,その手段として周囲の電波環境の状況に応じて使用する周波数帯や無線規格を適宜変更し,通信に必要な帯域幅を確保するコグニティブ無線技術が提案されている.コグニティブ無線技術には周波数共有型とヘテロジニアス型の2つの方式があり,そのうちヘテロジニアス型は周囲の電波環境に応じて複数の無線通信システムを動的に変更して利用したり,組合せて無線通信を行う技術である.動的に無線通信システムを変更し通信を行う技術については実用化に向け議論が進んでいるが,複数無線通信システムを組合せて通信を行う技術については電波環境の認識,利用可能な周波数の検出,決定などのコグニティブ無線技術のベースとなる技術と,複数コネクションを集約する技術が別々に議論されることが多い.そこで本研究ではこの両技術を考慮にいれ,既存の複数コネクション集約技術を用いて複数無線通信システムを同時に利用した際の評価を行った.


セッション 1B  マルチメディアシステム(1)
日時: 2010年7月7日(水) 12:45 - 14:50
部屋: 朝陽の間1
座長: 木原 民雄 (NTT)

1B-1 (時間: 12:45 - 13:10)
題名環境適合型高品位ライブ映像中継システムの設計
著者*河野 康裕 (岩手県立大学大学院/ソフトウェア情報学研究科), 橋本 浩二, 柴田 義孝 (岩手県立大学/ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 31 - 37
Keywordマルチメディア通信, 分散協調
Abstractブロードバンドネットワークサービスの普及やコンピュータの処理能力向上, および音声や動画圧縮技術の進歩に伴い, 一般に普及しているコンピュータを通信端末とした映像の中継が実現しやすくなった. しかしながら, HD(High Definition)クラスの高品位な映像ソースを扱う場合, 中継先の利用者の通信環境に応じて映像フォーマットを変換する機能や, 中継パスを変更する機能が必要であり, これらの機能を適切なコンピュータ上で動作させる仕組みも必要となる. そこで本稿では, 利用者の通信環境にライブ中継処理を適合させるための中継パス選択手法を提案する. 中継パス候補リストと通信資源の利用状況に応じて, ライブ中継処理を適切な端末上で動作させる仕組みを設計し, 中継パス選択シナリオを示す. また, プロトタイプシステム構成を通して, 高品位映像を考慮した環境適合型ライブ映像中継システムについて概説する.

1B-2 (時間: 13:10 - 13:35)
題名民生用ハイビジョンカメラを用いた立体視映像伝送システムの構築と遠隔教育への適用
著者*近堂 徹, 相原 玲二 (広島大学情報メディア教育研究センター), 藤木 卓 (長崎大学教育学部), 津村 英幸 (長崎大学大学院教育学研究科), 柳生 大輔 (長崎大学情報メディア基盤センター)
Pagepp. 38 - 43
Keyword立体視映像, リアルタイムハイビジョンIP伝送, 遠隔講義
Abstract近年,臨場感・没入感の向上を目的とした立体視(3D)映像技術の開発が進んでおり,様々な分野での応用が期待されている.3D映像による立体的で奥行きのある映像はコミュニケーション向上のための有効な手段になり得ると考えられる.しかしながら,遠隔講義など実環境での適用例もまだ少なく,実践を通しての評価が必要になってくる.本論文では,民生用のハイビジョンカメラを利用したIP伝送システムによる立体視映像視聴環境の構築について述べる.さらに,提案システムと3DコンピュータグラフィックスによるVR環境を組み合わせた遠隔授業について紹介し,アンケートによる主観評価から,システムの有効性と今後の課題について述べる.

1B-3 (時間: 13:35 - 14:00)
題名創発を促すインターネットライブ動画放送システムの設計
著者*津田 侑 (京都大学 大学院情報学研究科), 森村 吉貴, 大平 健司, 森 幹彦, 上原 哲太郎, 喜多 一 (京都大学 学術情報メディアセンター)
Pagepp. 44 - 51
Keywordインターネットライブ放送, 消費者生成メディア, SNS, 電子透かし, 著作権保護
Abstractインターネット上で動画コンテンツを生放送する「インターネットライブ動画放送」に対する取り組みが活発になっている. この種のサービスには多数の視聴ユーザと放送ユーザが混在し, その間のコミュニケーションによって, 創造的な活動の活性化が見込まれる. さらにそこから, 今までにない利用方法や放送内容が産み出されるといった「創発的な現象」が引き起こされる可能性がある. 一方で, 著作権や肖像権を侵害する, 公序良俗に反する内容が含まれるなど問題ある放送がされうる. このような放送システムに動画コンテンツが流通する仕組みがなければ, インターネットを介して爆発的に伝播し, 流通の抑止が困難となる. そこで, 本研究ではさきに述べた問題を考慮した上で, 創発を促すインターネットライブ動画放送を設計する. 放送の不正利用を抑止するために, 動画コンテンツの暗号化, ユーザ管理, 運営者による視聴ユーザの追跡可能性の確保の仕組みを導入する. その上で, ユーザ間の協調活動を活性化させる仕組みを導入し, 創発的な現象の発生を促す. 評価実験は, 既存サービスの利用状況調査より利用の簡便性が重視される傾向にあったため, 構築したプロトタイプのユーザビリティを評価した. その結果, 本研究で挙げた不正利用防止の仕組みはユーザの利用の妨げになるため, これらをユーザに意識させない設計が必要であることがわかった.

1B-4 (時間: 14:00 - 14:25)
題名視聴者コメントを用いた紹介動画作成アルゴリズムの検討
著者*磯貝 佳輝, 齊藤 義仰, 村山 優子 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 52 - 58
Keyword動画共有サービス, 動画紹介, 視聴者のコメント, シーン抽出アルゴリズム
Abstract動画投稿サービスでは膨大な量の動画が投稿されており,これらの中から短時間で興味のある動画を探すのは難しい.ニコニコ動画では『世界の新着動画』というサービスがおこなわれており,その日に投稿された動画の冒頭30秒を視聴し,アンケートにより視聴を続けるかを決定するシステムが存在する.しかし,冒頭からのみ内容を判断することはできない.当該サービスでは,動画に対してコメントを行うことが可能であり,コメントにはその時の再生時間が記録される.このコメント情報を時系列毎に分析することで各シーンの性質を推測可能となり,紹介動画の作成に利用可能であると考えられる.本研究ではコメントの量だけでなくコメントの内容に着目した紹介動画作成におけるシーン抽出の検討を行う.本稿では,紹介動画作成アルゴリズムを検討するにあたり,2種類のカテゴリに属する動画2種類ずつ,合計4種類の動画を用いて紹介動画に必要なシーンの調査を行った.また,紹介動画の性質について考察を行った結果について報告する.

1B-5 (時間: 14:25 - 14:50)
題名リアルタイム動画多画面視聴Webアプリケーション
著者*中野 裕太 (神奈川工科大学大学院工学研究科), 服部 明, 速水 治夫 (神奈川工科大学情報学部情報メディア学科)
Pagepp. 59 - 64
Keyword動画視聴支援, 動画多画面同時視聴, RIA, Silverlight, XAML
Abstract現在,オンライン上で対戦できるゲームが増えてきており,ライブストリーミング配信によるリアルタイム動画サービス(Justin.tv,Ustream.tv,PeerCast,livetube,ニコニコ生放送など)において,ゲームの実況プレイをしている配信をよくみかける.更に,オンライン上で複数人と対戦できるゲームの中には,各プレイヤーのプレイ画面を同時に視聴する方が面白いゲームがある.視聴者が動画を配信しているプレイヤーのプレイ画面を同時に視聴する方が面白いゲームの例をあげると,RTS(Real-time Strategy, リアルタイムストラテジー)ゲームや,オンライン麻雀などがある.しかし,複数のリアルタイム動画を同時に視聴する機能のあるリアルタイム動画サービスはなく,複数のリアルタイム動画を同時に視聴するには,Webブラウザを複数使用し視聴しなければならず,動画を再生しているWebブラウザを配置するのが面倒であったり,操作性が悪いなどの問題点がある.そこで,本研究では,1つのWebブラウザ上で,複数のリアルタイム動画を同時に視聴することのできるWebアプリケーションを作り,Webブラウザを複数使用し視聴するよりも便利なものにすることが目的である.


セッション 1C  データ管理
日時: 2010年7月7日(水) 12:45 - 14:50
部屋: 倶楽部樹里苑
座長: 川原 圭博 (東京大学)

1C-1 (時間: 12:45 - 13:10)
題名ストリームデータの時系列予測のためのセンサデータベースシステム
著者*荒井 健次, 白石 陽, 高橋 修 (公立はこだて未来大学 システム情報科学部)
Pagepp. 65 - 75
Keywordセンサネットワーク, データストリーム, センサデータベース, トレンド検出, ストリーム予測
Abstractセンサネットワーク技術などの発展によって,データストリームに対する注目が高まり,ストリームマイニング研究に対する期待が高まってきている.ストリームマイニング研究にはデータストリームの過去のデータの周期性を分析し,その結果から未来のデータを予測するストリーム予測技術が存在する.しかし,実際のセンサ環境を想定する場合,センサがもたらす複数のデータストリーム間には変化の相関が存在する可能性があり,相関を考慮した予測を行うことで精度の向上が見込まれる.本稿は相関を考慮したデータストリーム予測手法について提案し,それを実現するシステムの概形を設計する.また,複数のデータストリーム間の相関が存在すると考えられる実環境について調査し,提案システムの有効性を検討する.

1C-2 (時間: 13:10 - 13:35)
題名大量スキーマレスデータの蓄積・検索を実現する新しいuTupleSpaceの設計と実装
著者柏木 啓一郎, *荒川 豊, 中村 隆幸, 中村 元紀, 松尾 真人 (NTT未来ねっと研究所)
Pagepp. 76 - 82
Keywordユビキタス, スキーマレス, データベース, uTupleSpace
Abstract我々はセンサ等デバイスへのデータ送受信を抽象化してアプリケーション構築を支援する実世界データ共有機構uTupleSpaceの研究開発を進めている。uTupleSpaceは、過去データの蓄積検索と未来データの待ち受け通知との統合などを特徴とする。従来のuTupleSpaceには、検索条件記述の自由度の低さと大量データ読み出しの遅さという2つの課題があったが、これらをそれぞれ解決するスキーマレスマッチング方式とチャンク化方式という2つの方式を提案する。また性能改善方式である後者については、性能評価により有効性を確認した。

1C-3 (時間: 13:35 - 14:00)
題名センサ特性を考慮したデータ管理機構をもつユビキタスデータロガーの設計と実装
著者*小野 健児 (神戸大学工学部電気電子工学科), 小林 泰貴 (神戸大学大学院工学研究科), 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻)
Pagepp. 83 - 91
Keywordユビキタスコンピューティング, データ圧縮, センサ特性, データロガー
Abstract近年の半導体部品の小型化により,ユビキタスコンピューティングへの関心が高まっている. ユビキタスコンピューティング環境ではセンサデータを収集する際に一般にネットワークに接続されたセンサノードが用いられるが,ネットワーク構築コストなどの問題から,アドホックでユーザにデータを直接提供するデータロガーに注目が集まっている. 本研究では,センサ特性を考慮したデータ圧縮機構をもつユビキタスデータロガーを提案する. 本論文では特に緩やかに変化する特性をもつセンサデータに適した近似に基づく圧縮アルゴリズムを提案する. 実際に提案機構をもつデバイスを実装し,またシュミレーション評価により 提案するデータ圧縮アルゴリズムの有用性を確認した.

1C-4 (時間: 14:00 - 14:25)
題名I-Tree: 異種センサデータの統合利用を支援する複合型索引機構
著者*木實 新一 (東京電機大学), 石塚 宏紀, 岩井 将行 (東京大学), 宮崎 純 (奈良先端科学技術大学院大学), 戸辺 義人 (東京電機大学)
Pagepp. 92 - 99
Keywordセンサネットワーク, データ統合, データ分析, 時系列類似検索, 時空間索引
Abstract様々な場所に設置された多種多様なセンサが生成するデータを用いて,市民や専門家に対して有用な情報を提供するためには,空間的な広がりを持つ時系列データから有意なパタンを高速に検索できなければならない.本稿では,大量の空間時系列データから,問合せ系列に最も近い系列や,特徴のある系列を高速に見つけ出すことを可能にする複合型索引機構I-Tree を提案する.I-Tree は,時系列データの次元削減手法を空間時系列データ向きに拡張し,空間時系列データを階層的な細分化が可能な記号配列表現に変換し,木構造を用いて管理するものである.I-Tree を用いて様々なセンサの空間時系列データを効率的に処理することにより,ある空間領域に設 置されたセンサ群の示す「現象」を容易に分析することができ,複雑な条件に基づいて警報情報を自動発信することもできる.

1C-5 (時間: 14:25 - 14:50)
題名集合知を用いたパノラマ表示位置誤差の補正手法
著者*新田 知之, 飯田 裕介 (立命館大学情報理工学部), 新井 イスマイル (立命館大学総合理工学研究機構), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 100 - 107
Keywordパノラマビュー, CMS, 位置情報
AbstractGoogle Street Viewに代表される球状パノラマ写真によって街の景観を閲覧できるシステムが普及している. 我々はこれまで、Google Street Viewのパノラマ写真上に,周辺に存在する建物・店舗へのコメントといったコンテンツにリンクするアイコンをオーバーレイ表示させることによって,ユーザが直観的な視点で,コンテンツを位置に基づいて登録・閲覧できる実世界指向CMSを開発してきた. しかし,Google Street Viewのパノラマ写真は撮影時に記録された緯度経度に誤差があるため,周辺に存在する建物や店舗などのコンテンツの座標とパノラマ写真撮影地点の座標にずれが生じ,パノラマビュー上のアイコンも適切な位置に表示されない問題が存在する. この問題は撮影時の測位精度を上げることで解決するが,測位技術で代表的なGPS による測位の場合は,気象条件や環境条件に左右されやすく,精度向上に限界がある. また,アイコンの表示位置が適切であるか,システム側で判断することは高度な画像認識技術を必要とするため自動的にこの誤差を修正することは困難である. そこで本研究では,ユーザのコンテンツ登録時に,問題となる誤差の修正に必要な情報をユーザに意識させずに取得し,誤差分布を分析することによって,自動的にパノラマ撮影地点の誤差を修正するシステムを構築した. パノラマビューだけを用いた登録インタフェースでは,奥行きの情報が取得できないためユーザが指定したコンテンツの緯度経度を取得することが困難である.そこで本システムでは,パノラマビューの他に二次元地図を併用し,二次元地図からコンテンツの緯度経度を取得する. コンテンツ登録時にユーザは,以下の2つの操作を行う. 1つ目の操作として,二次元地図上で登録したいコンテンツの緯度経度を指定し,パノラマビュー上にアイコンを設置する. 1つ目の操作の結果,前述の誤差の問題からアイコンが適切な表示位置に表示されない場合,2つ目の操作としてパノラマビュー上でアイコンの位置を調整する.2つ目の操作が,同一パノラマビュー上で2つ以上のコンテンツに対して行われた場合,得られた誤差情報から本来の地点を推定し修正する. また,交差点のパノラマ写真は,どのような進路で撮影したか判断が難しいのに対し,隣接する交差点間のパノラマ写真は撮影作業が連続的に行われたと考えられるため,誤差が修正された地点を含む交差点間の他の地点は同様の誤差が含まれている可能性がある.この特徴を利用し,交差点間の誤差修正済みの2地点から交差点間の誤差パターンを「撮影時に一定の速さで移動したことにより修正前と修正後の変位が一定で誤差の方向が同じ場合(パターン1)」「撮影時に加速・減速などを行ったことにより修正前と修正後の変位は異なるが,誤差の方向が同じ場合(パターン2)」「2地点の誤差に関連性がないことにより修正前と修正後の変位も誤差の方向も異なる場合(パターン3)」の3つに分類し,誤差修正が行われていない地点の誤差推定を行った. パターン1は,2地点の誤差が似ているため,2地点の誤差の平均により誤差を推定する.パターン2は,撮影時に加速・減速を行ったことを考慮して,片方の誤差がもう一方の誤差に徐々に近似するように誤差を推定する.パターン3は,2地点間の誤差に関連性がないため安易に誤差平均を行うと誤差が大きくなることも考えられるため誤差推定を行わない.これを京都駅周辺のGoogle Street Viewのパノラマ写真を対象に検証した結果,ランダムで選択した88ヶ所の内の約7割の誤差を軽減することに成功した.


セッション 1D  コミュニケーション支援と機械翻訳
日時: 2010年7月7日(水) 12:45 - 14:50
部屋: 如月
座長: 葛岡 英明 (筑波大学)

1D-1 (時間: 12:45 - 13:10)
題名遠隔会議における話者交替円滑化手法
著者玉木 秀和, *中茂 睦裕, 東野 豪, 小林 稔 (NTTサイバーソリューション研究所)
Pagepp. 108 - 116
Keyword遠隔会議, Web会議, 話者交替, 発話の衝突
AbstractWeb会議システムは利用や導入の手軽さがあるが,個々の参加者の映像が小さく,映像品質に制限があるため,誰がいつ発話し始めるのかを判断しにくく,発話が衝突してしまうことが多い.このため,発話の意欲が低下し,時間効率が悪くなり,生産性の低い会議になりかねない.人は普段,対面したコミュニケーションではノンバーバル情報をうまく利用して発話の衝突を避け,円滑に話者交替しているが,Web会議ではこれを行うことが難しい.そこで本研究では,Web会議において,人が発話の前に行う特徴的な動作を検知して最も次に発話しそうな参加者を決定し,全参加者へ示すことで話者交代を円滑化する手法を提案する.提案概念を実現するプロトタイプを実装し,会話実験を行ったところ,通常のWeb会議システムと比較し発話の衝突確率が減少することが分かった.

1D-2 (時間: 13:10 - 13:35)
題名機械翻訳を介したテキストコミュニケーションのための翻訳精度表示の影響
著者*宮部 真衣 (和歌山大学大学院システム工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 117 - 125
Keywordテキストコミュニケーション, 機械翻訳, 多言語コミュニケーション
Abstract機械翻訳を介したコミュニケーションにおいて,翻訳精度は話者間の相互理解に影響する.翻訳リペアを行うことで,ユーザは翻訳精度を向上することができる.しかし,翻訳リペアは,ユーザが文章の精度が低いと判断した段階で,初めて行われる作業であるため,ユーザの不正確な判定により,翻訳リペアの効果が得られない場合がある.この問題を解決するために,本稿では翻訳リペアにおける翻訳精度表示を提案する.翻訳自動評価手法を用いて精度を測定し,精度を3種類の手法(%表示,5段階表示,3段階表示)によって表示する.それぞれの翻訳精度表示を行うことによる,ユーザの不正確判定に対する効果を検証するために,テキスト修正実験を行った.実験の結果,以下の知見を得た.(1)今回の実験においては,精度表示を行うことによる不正確判定の減少効果は見られなかった.ただし,自動評価を用いたため,自動評価の失敗により不正確判定につながった場合もあると考えられる.今後自動評価の精度が向上することにより,不正確判定の減少効果につながる可能性があると考えられる.(2)実験の結果,3つの手法では,「5段階表示」が最も高い評価を,「%表示」が2番目に高い評価を得た.「%表示」は「5段階表示」のデメリットを補うことができると考えられ,2つの手法を併用することによってより判断しやすい表示となる可能性がある.

1D-3 (時間: 13:35 - 14:00)
題名多言語用例対訳共有システムにおけるプロジェクト型用例収集支援機能の設計と評価
著者*福島 拓 (和歌山大学大学院 システム工学研究科), 吉野 孝 (和歌山大学 システム工学部), 重野 亜久里 (多文化共生センターきょうと)
Pagepp. 126 - 132
Keyword用例対訳, 収集支援, 多言語, Webサービス
Abstract現在,在日外国人数や訪日外国人数は増加傾向にあり,多言語によるコミュニケーションの機会が増加している.多言語環境支援の一方法として,用例を正確に多言語に翻訳した用例対訳が用いられている.用例対訳は正確な多言語コミュニケーション支援が可能なため,医療分野などの正確性が求められる分野で多く利用されており,コミュニティを利用した用例対訳の収集も行われている.しかし,用例登録におけるモチベーション維持が十分に行われているとは言えない.特に,用例対訳の登録時には用例の利用場面を考えてから用例を登録する必要があるが,このことは用例作成者にとって負担であり,用例対訳収集の障害となっている.そこで本稿では,登録対象用例のカテゴリを明示することで用例対訳の円滑な収集を目指した,プロジェクト型用例収集支援機能を設計し,実験から以下の知見を得た.(1)プロジェクト型用例収集支援機能は,用例対訳の登録促進に一定の効果が見られた.(2)用例登録ランキングによるインセンティブは,用例対訳の登録促進に一定の効果が見られた.

1D-4 (時間: 14:00 - 14:25)
題名Let's Get Together: 食材持ち寄りによる近隣生活者コミュニケーション活性化支援
著者*金井 秀明 (北陸先端科学技術大学院大学知識科学教育研究センター), 北原 圭 (日立製作所 システム開発研究所)
Pagepp. 133 - 139
KeywordFood communication, social interaction, face-to-face interaction, community organisation
Abstract近年,Web上で様々なソーシャルネットワークサービス(SNS)によって共通の興味・趣味をもとに居住地域・国に関わらずコミュニケーションの活性化,新たなコミュニティの形成が進んでいる.一方,近くに住む者同士のつながりは希薄化が進み,その希薄化が「社会的孤立」の1つの要因であると指摘されている. 本研究では,近隣生活者を対象とし,人にとって必須要素である「食」を媒介にして直接出会うことのできるきっかけを提供する.各近隣生活者が所有する食材を相互提供/持ち寄りをし,それらの食材を使って共同で料理を作り,食事をする行為を通して,近隣生活者同士のつながりを深めるように試みる.このような行為を支援するために,各近隣生活者が所有する食材を利用する献立作成支援システムを構築した.近隣生活者として大学学生寮やアパートに住んでいる学生を対象に,提案システムの評価実験を行った.その結果,提案システムは多くの食材を使った多くの料理を提供できた.また被験者間の関係がより深まり,被験者間の友人関係が広がるなどコミュニケーションの活性化ができた.

1D-5 (時間: 14:25 - 14:50)
題名GAZO GAZO KUN:コミュニケーション支援のためのキャラクタ化した写真を用いた写真共有システム
著者*吉野 孝, 松尾 知哉 (和歌山大学)
Pagepp. 140 - 151
Keyword写真共有サービス, コミュニケーション支援, キャラクタ
Abstract現在,デジタルカメラの普及率は増加しており,大量の写真データを個人が所有するようになった.既存の写真共有システムにおいて,ユーザ間のコミュニケーションを促進させる機能は少ない.写真への閲覧やコメントなどを促進する機能を持つ写真共有システムは,写真を通して知らないユーザ同士のコミュニケーションを支援できるのではないかと考えた.そこで,写真をキャラクタ化し,キャラクタ化された写真(GAZOキャラ)がユーザ間のコミュニケーション支援を行う写真共有システム「GAZO GAZO KUN」を開発した. 開発したシステムと既存の写真共有サイトとの比較実験を行った結果,以下のことが分かった.(1)GAZO GAZO KUNにおける写真の閲覧回数は,既存の写真共有サイトを利用した場合よりも多く,本システムは他のユーザの写真の閲覧を促進させることが分かった.(2) GAZO GAZO KUNにおける写真のコメント投稿数は,既存の写真共有サイトを利用した場合よりも多く,本システムは他のユーザの写真のコメントを促進させることが分かった.(3)写真をキャラクタとして管理するGAZO GAZO KUNの特徴を利用した写真評価方法「なでる機能」は,コメント投稿機能と同様に,他のユーザの写真の評価機能としてユーザに利用された.


セッション 1E  無線システム応用
日時: 2010年7月7日(水) 12:45 - 14:25
部屋: 弥生
座長: 藤野 信次 (富士通研究所)

1E-1 (時間: 12:45 - 13:10)
題名指向性無線LANの受信信号強度を用いた被写体方向推定手法
著者*石川 翔太 (九州大学大学院システム情報科学府), 荒川 豊, 田頭 茂明, 福田 晃 (九州大学大学院システム情報科学研究院)
Pagepp. 152 - 158
Keyword被写体方向推定, 電波到来方向, インフラレス, 指向性
Abstract本研究では,撮影時における被写体と撮影機器にそれぞれ装着した1対の無線デバイスだけで被写体追尾が可能な被写体方向推定を提案する.提案は,画像処理による判別が難しい運動会など同じ色の服装をした人が多数存在し,互いに重なりあっているような環境においても利用が可能である.提案では,指向性アンテナを装着した撮影機器の検知器と被写体に装着したWi-Fiデバイスによる1対1間だけで被写体方向推定を行う.具体的には,被写体が装着したWi-Fiデバイスが発信する無線の信号強度の角度による変化を観測することにより被写体の方向を推定する.今回,信号強度変化の分析手法として,RSSI の角度実数上における観測期間の中間点での接線の傾きによる判別法を提案した.実験により,角度による信号強度の変化を用いた方向推定を行った結果,撮影者側からみて被写体が存在しない範囲での正解率は84%,被写体が存在する角度方向における正解率は53%となった.総合的な正解率は68%という結果となり,被写体の方向をナビゲートする上で提案が有用なことが確認できた.

1E-2 (時間: 13:10 - 13:35)
題名複数無線インタフェース使用時のミドルウェアにおけるコネクション集約に関する検討
著者*宮崎 悦子 (お茶の水女子大学), Onur Altintas (株式会社トヨタIT開発センター), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 159 - 163
Keyword大域幅集約, 無線, シミュレーション
Abstract近年,様々なモバイルネットワークアプリケーションの実行に必要なスループット はますます増加している.それ受けて様々な無線技術が開発されており,WAN,LAN やPAN 上のデータ通信に広く利用されている.しかし各々の帯域幅は有線のものと 比較すると未だに乏しいものが多く,また広帯域を確保している無線通信は使用可能 なシーンが限定されてるのが現状である.さらに現存する多くの無線は,同時に一つ の無線技術を使用することに限られている.そこで提案されているのが適用範囲にあ る無線技術の帯域幅を複数同時に使用することでより高いスループットを得ようとす るBAG(Bandwidth Aggregation)である.しかしBAG を行う際にTCP の性質 による性能の低下がみられることが分かっている.そこで本研究では,明らかになっ ている問題点を解決し,よりすぐれた実装を行うことを目標として,既存研究の追実 験を無線シミュレーションを用いて行った.また,問題点を解決するためにより上位 層の制御であるミドルウェアによる制御を実装し,既存方式との比較を行った.

1E-3 (時間: 13:35 - 14:00)
題名指向性アンテナを利用したマルチローブ送信レート制御ネットワークコーディング
著者*古川 恭史 (静岡大学), 萬代 雅希 (上智大学), 四方 博之 (関西大学システム理工学部), 小花 貞夫 (ATR Adaptive Communication Research Laboratories), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 164 - 170
Keyword指向性アンテナ, ネットワークコーディング, マルチレート
AbstractIn this paper, we propose a multi-lobe directional transmission for network coding in multi-rate ad hoc networks to improve throughput performance of XOR-based wireless network coding(WNC). The proposed scheme uses directional antennas that can make antenna beam forms with multiple main lobes. In the proposed scheme, a node transmits native packets with a beam form of one or multiple main lobe for realizing high-rate unicast transmissions. In addition, a node transmits XORed packets and native packets with a beam form of multiple main lobes with directional antenna to realize high-rate multicast transmissions. We evaluate and investigate the performance of the proposed scheme in terms of throughput via intensive computer simulations. The simulated results show that the proposed scheme can improve throughput performance of XOR-based WNC in some simple topologies such as 5 nodes straight line topology and X topology. In a fundamental evaluation, we have confirmed that the proposed scheme can achieve higher throughput than the conventional XOR-based WNC without using directional antennas in simple topologies. The proposed scheme is also applicable for other smart/directional antennas.

1E-4 (時間: 14:00 - 14:25)
題名コグニティブ無線システムにおける基地局位置情報提供システム
著者*菊地 慧, 高山 毅, 佐藤 永欣, Goutam Chakraborty, 村田 嘉利 (岩手県立大学ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 171 - 178
Keywordコグニティブ無線クラウド(CWC), 位置推定, モバイルネットワーク, アドホックネットワーク, 無線•移動体
Abstract次世代無線通信アーキテクチャの一つとして提案されているコグニティブ無線クラウド(CWC)においては,ユーザが通信事業者提供の通信システムだけでなく個人や企業が提供するシステムを状況に応じて選択することができる点が最大の特徴となっている.通信中,移動に伴って接続先基地局を切り替える際,事前に隣接基地局の位置関係が分かっていることが望ましい.CWCでは,複数の通信事業者と通信システムを跨がって統合的に基地局の位置関係を把握する必要があるが,そのようなシステムは存在していないのが現状である.本論文では,基地局および移動端末ともに位置が不明であるという条件において,移動端末が受信した周辺基地局からの電波の強さRSSIから各基地局の位置を推定するアルゴリズムについて提案する。


セッション 1F  リスク分析/デジタルフォレンシック
日時: 2010年7月7日(水) 12:45 - 14:50
部屋: 和風
座長: 藤川 真樹 (ALSOK)

1F-1 (時間: 12:45 - 13:10)
題名対策選定のためのセキュリティ,コスト,業務への影響の評価に関する検討
著者*佐々木 剛史, 西村 啓渡 (創価大学大学院工学研究科), 加藤 弘一 (創価大学工学部), 勅使河原 可海 (創価大学大学院工学研究科)
Pagepp. 179 - 187
Keywordセキュリティ対策選定, ISMS, リスク分析, 業務分析, アクティビティ図
Abstract組織のネットワークにおける対策選定では,経営者,管理者,社内ユーザ,顧客といった各関与者が満足することが重要である.このとき,費用対効果,業務手順の増加など,様々な評価の観点があるため,各関与者に対して適切な評価項目を提示することが必要である.しかし,対策選定に必要な評価項目および提示方法は体系化されていない.本稿では,各関与者の要望を反映したセキュリティ対策選定のため,各関与者が対策選定時に考慮すべき評価項目を分析,体系化し,各評価項目の評価方法を整理する.また,簡単なケーススタディを通して,本手法が対策選定時に関与者に応じた評価ができる見通しを得た.

1F-2 (時間: 13:10 - 13:35)
題名賠償リスクを考慮した情報セキュリティ対策選定方式の提案と評価
著者西垣 正勝 (静岡大学創造科学技術大学院), 臼井 佑真 (静岡大学情報学研究科), *山本 匠 (静岡大学創造科学技術大学院), 間形 文彦 (NTT情報流通プラットフォーム研究所), 勅使河原 可海 (創価大学大学院工学研究科), 佐々木 良一 (東京電機大学未来科学部)
Pagepp. 188 - 198
KeywordISMS, デジタルフォレンジック, リスクアセスメント
Abstract情報漏洩等のインシデントが生じなければ損害賠償も発生しないため,企業や組織のセキュリティ対策としてはまず,ファイアウォールやデータの暗号化等の既存のISMS(Information Security Management System)対策を適切に実施することが肝要である.しかし,現実には完全な対策は存在しない.このため,インシデントの発生,またそれに係る損害賠償が発生した際に備えて,システム稼動ログやユーザの操作ログの保管といったDF(Digital Forensics)対策も併用する必要がある.本論文では,ISMS対策とDF対策の両者について,費用対効果を見込んだ上でセキュリティ対策の選定を最適化する方式を提案し,ケーススタディを用いてその有効性に関する検討を行う.

1F-3 (時間: 13:35 - 14:00)
題名デジタルフォレンジックを考慮した個人情報漏洩対策に関する合意形成のための多重リスクコミュニケータの適用
著者*土方 広夢 (東京電機大学), 間形 文彦 (日本電信電話 NTT情報流通プラットフォーム研究所), 西垣 正勝 (静岡大学), 勅使河原 可海 (創価大学), 佐々木 良一 (東京電機大学)
Pagepp. 199 - 205
Keywordセキュリティ, デジタルフォレンジック, リスクコミュニケーション, 証拠, 個人情報漏洩
Abstract近年,内部統制の必要の高まりや,金融商品取引法の制定により多くの企業は情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得した.しかし,ISMSによるセキュリティ対策では,情報漏洩のセキュリティインシデントの発生を抑えることは可能であるが,セキュリティインシデントが発生してしまった際の訴訟において自身に有利な証拠を提示することが難しい.そこで,裁判における電子証拠の証拠性を高めるために,デジタルフォレンジックという概念を考慮に入れたセキュリティ対策を考える必要がある.セキュリティ対策を選定する際に,立場の異なる人間の意見を取り入れると最適な対策案の選定が困難になり,関与者間での合意が形成できないという問題が発生する.そこで,本稿ではデジタルフォレンジックを考慮した,関与者間におけるセキュリティ対策選定の合意形成を行う方式の提案と適用結果の報告を行う.

1F-4 (時間: 14:00 - 14:25)
題名訴訟対応のためのイベントと状態に基づく取得情報と相関分析の検討
著者*加藤 弘一 (創価大学工学部), 濱口 昌宏, 西村 啓渡 (創価大学大学院工学研究科), 間形 文彦 (NTT情報流通プラットフォーム研究所), 西垣 正勝 (静岡大学創造科学技術大学院), 佐々木 良一 (東京電機大学未来科学部), 勅使河原 可海 (創価大学大学院工学研究科)
Pagepp. 206 - 212
Keywordデジタル・フォレンジック, リスクマネジメント, ログ管理, 相関分析, 八何の原則
Abstract情報システムに関する訴訟では,ログが証拠となる場合がある.先行研究により,デジタルデータの証明力を高めるための13要件が提示され,我々は13要件の根拠性と安定性を確保する方法を検討してきた.本稿では,根拠性を満たし,要証事実を証明するために取得しておくべき情報を決定する手法について述べる.まず,インシデントに至るイベントと状態を特定するための7W1Hを定義する.そして,7W1Hの項目間に一定の関係性があることを示す.これにより,訴訟対応のために体系的に関連付けられたログの取得を可能とする.

1F-5 (時間: 14:25 - 14:50)
題名仮想計算機モニタによるログの改ざんと喪失防止システムの設計
著者*佐藤 将也 (岡山大学大学院自然科学研究科 山内研究室), 山内 利宏 (岡山大学大学院自然科学研究科)
Pagepp. 213 - 220
Keywordセキュリティ, デジタルフォレンジック, ログ, 仮想化
Abstract計算機の動作を把握するためには,計算機の出力するログが必要である.しかし,攻撃や不正行為の痕跡を消すためにログが改ざんされる恐れがある.また,問題の発生によりログが喪失する可能性がある.この問題に対処するため,本論文では,仮想計算機モニタ(以降,VMM)を用いることでログの改ざんと喪失を防止するシステムを設計した.提案システムでは,対象の仮想計算機上のログをVMMが取得する.VMMが取得したログは,別の仮想計算機上に保存する.これにより,ログ取得機構を対象から独立させ,ログ取得機構の安全性を高める.また,対象とログ保存用の仮想計算機上でログを隔離することで,ログファイル自体の安全性を高める.


セッション 1G  コンテクストアウェアネス(1)
日時: 2010年7月7日(水) 12:45 - 14:50
部屋: 緑風の間1
座長: 井上 創造 (九州工業大学)

1G-1 (時間: 12:45 - 13:10)
題名ユーザ生成情報を用いた携帯端末上での状況依存型サービス推薦
著者*矢野 幹樹, 白木 敦夫, 梶 克彦, 松原 茂樹, 河口 信夫 (名古屋大学)
Pagepp. 221 - 228
Keywordコンテキストアウェアネス, サービス推薦, 位置情報
Abstract近年,モバイル端末向けに提供されるWebサービスやアプリケーションなどのサービスの数は爆発的に増加しており,膨大な数のサービスの中から自分に必要な物を探し出すことが困難となりつつある.そこで我々は,ユーザの状況に応じてサービスの推薦を行うシステムの提案を行う.提案するシステムは,自分の現在状況をクエリとする検索サービスを提供する段階と,そこから収集した学習情報を用いて自動的な状況推定を行う段階の2つの段階に分けてサービス提供することで,ユーザから学習情報を収集しつつ状況に応じたサービスの推薦を実現していく事ができる.本論文では,提案するシステムの第1段階のプロトタイプを実装し,評価実験を行った.その結果,提案手法によりユーザが入力した状況に適したアプリを推薦できることを確認した.

1G-2 (時間: 13:10 - 13:35)
題名キーワード平面を用いたインタラクティブ検索の提案と評価
著者*林 大策, 佐藤 哲司 (筑波大学)
Pagepp. 229 - 237
KeywordWeb検索, インタラクティブ, 可視化, 二次元平面
Abstractキーワード入力型のWeb検索では,検索精度の向上など検索結果の質を向上する研究が盛んに行われている. しかし,検索目的によっては何度も検索質問を修正しながら検索を繰り返さなければならないのが現状である. 筆者らは,検索結果をアイコン化して二次元平面に配置することで,多くの検索結果を俯瞰的に概観し,ユーザがインタラクティブに視点を変えられる検索手法を提案している. 本論文では,提案法が有効となる検索条件について検討をするために,通常のWeb検索とCiNiiによる論文検索の実験を行った. 検索エンジンのフロントエンドとなるシステムを実装し,提案法がそれぞれの検索において実現可能性と有用性があることを確認した.

1G-3 (時間: 13:35 - 14:00)
題名センサ情報を用いた映像探索技術
著者*須山 敬之, 岸野 泰恵, 前川 卓也 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
Pagepp. 238 - 242
Keyword映像探索, センサーネットワーク
Abstract近年,映像などのマルチメディアのコンテンツがネットワークで大量に流通している.そのような状況においては,どのコンテンツのどこにどのような映像が含まれているのかを探すための検索技術がきわめて重要となる. ここではセンサ及びセンサネットワークの技術を用いてコンテンツにメタデータを付与することとで動画を検索する手法を提案する.ここでは人や物にセンサノードが付与されていることを前提とする. 映像を撮影する際に被写体となる人や物にセンサノードを付与し,動画と同時にセンサからの情報を記録する.このように映像とセンサ情報を対にすることにより,映像に情報を付加することができる.付加されたセンサデータを映像のメタデータとして用いることで,映像の中で起きた出来事に対応した映像の探索が可能になる. 更に,ここで提案する手法ではセンサデータを単なる時系列の波形として取り扱うのではなく,センサデータの内容を解釈し,何が起きているかを表現することで,同じ現象が起きている映像の探索を可能としている.

1G-4 (時間: 14:00 - 14:25)
題名ウェアラブル加速度センサを用いた文字描画動作における認識精度の向上 -認識前の処理と判定法による効果の検証-
著者*岡村 将志, 木村 竜 (神奈川工科大学 大学院 情報工学専攻), 平子 久智 (神奈川工科大学 情報学部 情報工学科), 西村 広光 (神奈川工科大学 情報学部 情報メディア学科), 五百蔵 重典, 田中 博 (神奈川工科大学 情報学部 情報工学科)
Pagepp. 243 - 250
Keywordウェアラブル, 加速度センサ, DPマッチング, 認識, 文字描画
Abstract近年,様々な製品にリモコンが利用されているが,リモコンを用いずに別の作業中でもTVのチャンネル切替えなどの操作を行いたいという事もある.また,家庭内でリモコンを探す場合も多く,リモコンを用いずに周辺機器の操作ができれば日常生活での利便性の向上が期待できる.そこで,加速度センサを利用して身体の動きを命令として周辺機器を操作する方法を検討してきた.この方法の最重要点は動きの認識であり,認識率の向上が操作性の向上に直結する.しかし,その動きの認識には問題があり個人差があるものの認識に誤りが発生する時がある.本研究では,認識前に処理を行う手法や判定法を工夫することによる認識率向上の方法を検討し,実験によって有効性を実証した結果を述べる.

1G-5 (時間: 14:25 - 14:50)
題名モバイルアプリケーション推薦のためのTwitter発言者の状況の推定
著者*白木 敦夫, 矢野 幹樹, 酒井 佑太, 小澤 俊介, 杉木 健二, 松原 茂樹, 河口 信夫 (名古屋大学)
Pagepp. 251 - 257
Keyword情報抽出, 情報推薦, 自然言語処理, 構文解析
Abstract近年,iPhoneやAndroid携帯に代表される高機能なモバイル端末が広く普及している. しかし,アプリケーションの数は膨大であり, ユーザが求めるアプリケーションを見つけることは容易ではない. また,有用なアプリケーションが存在するにも関わらず,ユーザがその存在に気付かないことがある. このような問題を解消するために, ユーザの状況に応じて適切なアプリケーションをリアルタイムに推薦できる環境を実現することが考えられる. そこで本論文では,ユーザの状況に適したモバイルアプリケーション推薦のための状況推定手法を提案する. 本手法では,ユーザの状況を推定するためにTwitterでのユーザの発言を利用する. Twitterにおける特徴的な言い回し「なう」に着目する. 「なう」を含む発言を分析し,状況を示す表現を検出することにより,Twitter発言者の状況を推定する. また,本手法に基づいてアプリケーションを推薦するシステムについて述べる.


セッション 1H  モバイルセキュリティ
日時: 2010年7月7日(水) 12:45 - 14:50
部屋: 緑風の間2
座長: 石原 丈士 (東芝)

1H-1 (時間: 12:45 - 13:10)
題名ハイブリッドデータストア方式と間接発着信方式とを組み合わせた高セキュリティ携帯電話システムの提案
著者*佐々木 靖彦, 矢野 正 (日立製作所/中央研究所), 杉浦 紀之, 宗廣 秀雄, 石川 徹 (日立製作所/情報・通信グループ)
Pagepp. 258 - 265
Keyword携帯電話, 情報セキュリティ, シンクライアント, ハイブリッドデータストア, 間接発着信
Abstractデータセンタを活用してセキュリティ,携帯性,利便性を向上させた携帯電話システムアークテクチャを提案する.本システムでは,ハイブリッドデータストア方式と間接発着信方式とを組み合わせることにより,ビジネス目的とプライベート目的とを区別した上で,高いセキュリティが求められるビジネスデータだけを選択的に電話端末に残さないようにすることが可能となる。また,SMSを活用することにより,従来同様の着信情報に関する視認性を得ることも可能となる。センタサーバ,センタPBX,携帯電話端末の3者が連携するためのシーケンスを定義し,これをシステム実装した上で,操作感上の性能ボトルネックとなりうるSMS送信数制限に依存したシステム応答性能の評価を行った。

1H-2 (時間: 13:10 - 13:35)
題名携帯端末のセンサ及び画像を用いたコンテンツ紐付け手法に関する提案
著者*藤本 数矢, 寺西 良太 (電気通信大学大学院 情報システム学研究科 情報ネットワークシステム学専攻 吉永研究室), 吉永 努, 入江 英嗣, 三好 健文 (電気通信大学大学院 情報システム学研究科 情報ネットワークシステム学専攻), 鈴木 良宏 (船井電機株式会社)
Pagepp. 266 - 273
Keywordスマートフォン, GPS, 加速度センサ, カメラ, インターフェイス
Abstract近年,iPhoneやAndroidといったスマートフォンの普及が進んできた.このような端末には速度センサやGPS,カメラといったデバイスを備えている.現在,これらのデバイスを用いたサービスや研究開発は盛んに行われており,今後ますます発展すると考えられる.そこで,本論文では携帯端末に搭載されたセンサとカメラの画像の情報を組み合わせることで,現実に存在する物とコンテンツ等を紐づけるための手法を提案する.今回は評価用のシステムを作成し,センサ情報及びカメラ画像から得られる色相を用いて実験環境における最適な許容幅を検討する.

1H-3 (時間: 13:35 - 14:00)
題名代理認証サーバを用いた携帯電話向けIMS認証方式の提案
著者*村越 一輝 (公立はこだて未来大学大学院), 南 裕也 (日本電信電話株式会社NTTサービスインテグレーション基盤研究所), 白石 陽, 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 274 - 280
KeywordIMS, 携帯電話, USIM, 認証, SSL
Abstract次世代ネットワーク(NGN)の中核技術であるIMS(IP Multimedia Subsystem)では,ISIMやIMS-AKAなどを用いたIMS-security方式により,耐タンパ性が高く一般的な認証方式と比較して高いセキュリティが提供される.しかし,ISIMやIMS-security方式に対応した端末は普及しておらず,IMS-security方式を個々の端末やアプリケーションに実装しなければならない.3GPPでは,携帯電話で利用されるUSIMを用いたIMS早期実現のための認証方式を規定しているが,IMSや既存の装置に修正を加える点や,本来公開しない情報を用いるため,いくつかの制限がある.そこで本研究では,携帯電話用の公開鍵認証局と,携帯電話の代わりにIMSと認証を行う代理認証サーバを用いた代理認証方式を提案する.また,提案方式がIMS-security方式と同程度のセキュリティレベルを提供することを示す.

1H-4 (時間: 14:00 - 14:25)
題名NATを跨る移動透過性を実現するMobile PPCの提案
著者*水谷 智大 (名城大学大学院理工学研究科), 鈴木 秀和 (名城大学理工学部), 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 281 - 287
Keyword移動透過性, Mobile PPC, NAT越え, トンネリング, カプセル化
AbstractIPv4は今後も使用され続けることが想定されるため,IPv4においても移動透過性を実現することは重要である.しかし,IPv4ではグローバルアドレス空間とプライベートアドレス空間があり,これらの空間を跨って移動することが想定される.この場合,通信経路上にNATが介在するため,NAT越えを解決しなければならないなど実現は容易ではない.本論文では,通信経路上にNATが介在するあらゆる通信パターンにおいて,Mobile PPC(Mobile Peer To Peer Communication)による移動透過性を実現する方式を検討した.

1H-5 (時間: 14:25 - 14:50)
題名NAT越え技術を応用したリモートアクセス方式の提案と設計
著者*鈴木 健太 (名城大学大学院理工学研究科), 鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学理工学部)
Pagepp. 288 - 294
Keywordリモートアクセス, NAT越え, VPN
Abstractモバイル端末の高性能化やモバイルブロードバンドの普及が著しい昨今,移動中や出張先等の遠隔地から自宅や社内のPCにアクセスできるリモートアクセス技術の需要が高まってきている. リモートアクセスでよく利用されるIPsec-VPNは複雑な設定が必要であり,NATとの相性が悪いなどの課題がある.SSL-VPNは手軽に利用できるが,使用するアプリケーションが限定されるという課題がある. 本稿では,NAT-fと呼ぶNAT越え技術に暗号化機能やアクセス制御機能等を追加することによりリモートアクセスを実現する方式を提案する.提案方式では,NATの存在を気にすること無く,安全なリモートアクセスを実現できる.


セッション 2A  統一テーマセッション -未来社会を支える新技術と検証-
日時: 2010年7月7日(水) 15:05 - 17:15
部屋: 朝陽の間3
座長: 土井 裕介 (東芝)

2A-1 (時間: 15:05 - 15:35)
題名(招待講演) 大規模ネットワークテストベッドへの期待
著者*首藤 一幸 (東京工業大学)
Pagep. 295
Keywordテストベッド, オーバレイ

2A-2 (時間: 15:35 - 16:00)
題名BGPネットワークエミュレーションにおける 仮想計算機を用いた大規模実験時の 効率的なメモリ割り当て手法の提案
著者*榎本 真俊, 櫨山 寛章 (奈良先端科学技術大学院大学), 三輪 信介 (独立行政法人情報通信研究機構), 門林 雄基, 山口 英 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 296 - 303
KeywordBGP, テストベッド, 仮想マシン, エミュレーション, 資源割り当て
Abstractテストベッドなどの大規模実験施設での実験が近年行われているが,テストベッドでの規模でもインターネットの規模にはほど遠い.より大規模な実験環境を構築するために,テストベッド上の計算機を仮想化技術を用いて増やすことにより実験規模の拡大が行われている.しかし,より大きな規模で実験を行うためには,限られた資源を仮想計算機が必要とする分だけ割り当てる必要がある.現在行われている資源割り当て手法は実験規模ごとにメモリ割り当てのためのパラメータを調整する必要があり,実験規模に応じてメモリ資源を仮想計算機が要求する量だけ割り当てることが難しい,そこで,本論文では規模拡大実験を行う上で,より効率的に資源を割り当てるために静的解析と動態解析によるメモリ割り当て値の決定手法の提案を行う.

2A-3 (時間: 16:00 - 16:25)
題名XBurnerを利用したトラフィック生成
著者*宮地 利幸, 三輪 信介 (情報通信研究機構), 篠田 陽一 (北陸先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 304 - 313
Keywordトラフィックジェネレータ, ネットワーク実験, ネットワークテストベッド
Abstractネットワーク実験の重要性が叫ばれて久しいが, 前もって対象技術への影響が予想される技術のみにより構成された実験用環 境を利用して検証が行われている場合が多い. しかし, 現在のインターネットをはじめとする実環境に存在する要素は多様かつ複雑 であり,要素間にどのような関連があるのかを前もって予想することは困難 である. したがって, ネットワーク実験においては, 検証対象以外の要素が発生するトラフィックが検証対象の要素にどのような 影響を与えるかをも検証する必要がある. 我々は,実機を利用した検証に注目し, 検証対象以外の要素が発生するトラフィック, すなわちバックグラウンドトラフィックを発生させるため, 多数のノード上で実環境用のソフトウェアアプリケーションを起動するため のプラットフォームであるXBurnerを提案している. 本論文では,XBurnerの実装および, トラフィック生成例を述べる.

2A-4 (時間: 16:25 - 16:50)
題名ライブトラフィックを用いた模倣インターネットの特性に関する一考察
著者*太田 悟史, 宮地 利幸, 三輪 信介 (情報通信研究機構), 櫨山 寛章, 榎本 真俊 (奈良先端科学技術大学院大学), 宮本 大輔 (情報通信研究機構)
Pagepp. 314 - 323
KeywordStarBED, ネットワークテストベッド, 特性, 模倣インターネット
Abstract我々は,ネットワークエミュレーションテストベッドとして,実インターネット上での実証実験と同程度のリアリティ, スケーラビリティを有する模倣インターネットを提供するため,その構築手法を研究してきた. 模倣インターネット環境は,その構築手法やその環境を用いた実験手法も確立しつつあり, さらに広く利用してもらうためには運用における特性の把握が課題となっている. そこで,実インターネットと,WIDE研究会のネットワークの間に模倣インターネット環境を挟み込み, ライブトラフィックを用いて模倣インターネット環境の観測を行った.

2A-5 (時間: 16:50 - 17:15)
題名1 Gbps / 10 Gbps Ethernetに対応した 高効率TCP/IPオフロードエンジン
著者*田中 信吾, 山浦 隆博, 菅沢 延彦, 谷澤 佳道, 山口 健作, 渋谷 尚久 (株式会社東芝 研究開発センター ネットワークシステムラボラトリー)
Pagepp. 324 - 331
KeywordTCP, オフロード, アクセラレータ, 10Gbps, FPGA
Abstract昨今,映像のハイビジョン化などによる高画質化・高解像度化により,ネットワーク上を流れる映像・音声などのリッチコンテンツのデータ量が増加している.ネットワークにおける通信プロトコルには主にTCP/IPが使われているが,現在その処理はCPUによって行われているため,特に組み込み機器の分野ではCPUの動作周波数や消費電力の増大が問題となってきた.そこで我々は,専用ハードウェアを用いたTCP/IPオフロードエンジンNPEngineTMを開発し,1 Gbps Ethernet向け実装で従来の組み込みCPUに比べて動作周波数あたりで80倍,消費電力あたりで22〜29倍の伝送レートを実現した.また,10 Gbps Ethernet向け実装では,90MHzで9 Gbps以上の伝送レートを実現し,FPGA全体の消費電力の予測値は564mWと従来のPCによる実現と比べて大幅に低い消費電力となった.


セッション 2B  マルチメディアシステム(2)
日時: 2010年7月7日(水) 15:05 - 17:10
部屋: 朝陽の間1
座長: 上原 稔 (東洋大学)

2B-1 (時間: 15:05 - 15:30)
題名Augmented Realityにおけるパズル式マーカの提案とARアプリケーションへの応用
著者月森 彩実, *宮崎 剛, 山本 富士男 (神奈川工科大学情報学部情報工学科)
Pagepp. 332 - 337
Keyword拡張現実, マーカ, ARアプリケーション, 3次元CG
Abstract近年,拡張現実(AR:Augmented Reality)に関する技術が注目されている. ARは現実世界の映像に仮想オブジェクトを合成表示させる技術であり,ARToolKit呼ばれるライブラリが公開されている. ARToolKitではマーカと呼ばれる画像パターンを映像中に認識するとその部分にオブジェクトを表示させる. 通常,1つのマーカに対し1つのオブジェクトを表示させるが,本研究ではマーカのパターンをパズル式にして組み替えられるようにし,多種のマーカを実現する``パズル式マーカ''を提案する. そして,このパズル式マーカを利用して室内に家具等を配置する際のレイアウトを支援するARアプリケーションを構築する. パズル式マーカで家具の材質や形状,色などの組み合わせを変更できるようにし,実際に部屋に家具を配置した場合の映像を作り出すことで,自分の部屋に応じた家具の選択を支援する.

2B-2 (時間: 15:30 - 15:55)
題名共感性コミュニケーションの実現に必要な要素の収集と検証
著者*根本 貴弘, 山内 正人, 遠峰 隆史, 杉浦 一徳 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)
Pagepp. 338 - 341
Keywordコミュニケーション技術, インタラクションデザイン, 臨場感通信, 感覚提示技術, クラウドコンピューティング
Abstract本論文では,インターネットを活用した,アマチュアモータースポーツ支援のための共感性コミュニケーションを実現し,レースの新しいエンタテインメントの可能性を議論する.共感性コミュニケーションとは,ドライバー,レース参加関係者,観戦者の3者間で実現される情報とコミュニケーションの共有環境によって実現される. ドライバーは,レース中に刻々と変化する状況を考慮しながら,レギュレーションの範囲内で柔軟喝安定した運転を行い上位入賞を目指す.レース参加関係者は,レースの状況,ドライバーの状況を把握しつつ,適切なレース進行に向けたコミュニケーションをドライバーと行い,戦略を共有する必要がある.一方既存のレース体系では,レース観戦者にとっては,レースの状況判断でしか,このような戦略を共有することは出来なかった. 本研究では共感性コミュニケーションを実現するために必要な情報の定義と選択,そして,それらをネットワークを用いることによって効果的に観戦者ならびに関係者と共有できる環境を構築する.

2B-3 (時間: 15:55 - 16:20)
題名極座標を用いた3DMIDIの実装と評価
著者*黒岩 謙 (東京工科大学大学院), 宮田 宙和 (慶応義塾大学大学院), 宇田 隆哉 (東京工科大学大学院)
Pagepp. 342 - 350
Keywordサラウンド, MIDI, 極座標, 3D
Abstract近年,DVDやBlu-rayの普及により,映画やその他のコンテンツが家庭でも5.1ch等のサラウンド環境で利用可能となった. また,現在,マルチメディアコンテンツの中で特に3Dを用いた映像,音声が注目を集めている. その中でも映像と音声を同時に体感できる3D映画の普及により,今後ますます3Dの普及率が上昇する事が期待されている. その結果,サラウンド環境で再生される事を前提とした音声ファイルの需要が高まり,様々な規格のサラウンド対応音声ファイルが作られた. しかし,従来から一般的に利用されていたMIDIはサラウンドに対応しておらず,依然としてモノラル環境のままであった. MIDIを用いたサラウンド楽曲の制作過程では,あらかじめ楽曲で用いる楽器の音をモノラルのMIDIで録音,用意しておき,最終的にミキサーを通して立体的な音を再現している. この方法では,サラウンド化された楽曲の部分的な音の取り直し,音色の変更をミキシングと同時には行えず,モノラルで楽器の音を用意し直さなければならない. つまり,MIDIを最初から用意し直すという事である. これでは,非常に手間と時間がかかってしまい,これがMIDIを用いたサラウンド楽曲を制作する上での大きな障害となり普及を妨げている. そこで筆者らは以前にMIDIをサラウンドに対応させ,ゲームのBGMや効果音として利用できるよう新たにサラウンド化に必要な情報を定義した. その際,既存のMIDI規格に従うよう情報ハイディング技術を用いて既存のMIDIイベントに対してサラウンド化に必要な情報を埋め込んだ. その後,2009年7月23日にMIDI Manufacturers Associationにてサラウンド再生に必要なパラメータが公開され,MIDIもサラウンド対応音声ファイルとなった. しかし,このパラメータは音源の位置が極座標で表現されていない. 音源がリスナーの周囲を旋回する動きの場合極座標表現であるほうが他の表現よりも有利であり,データサイズを節約できる. そこで,本稿では以前示したサラウンド化に必要な情報に改良を加え,パラメータを既存のMIDIファイルにSMFステガノグラフィを用いて埋め込み,実際にサラウンド環境で再生されるプレーヤーを用いて実際の音源の動きとの誤差を測定し,評価する.

2B-4 (時間: 16:20 - 16:45)
題名日本語の発話映像における初口形の検出方法提案
著者*宮崎 剛 (神奈川工科大学情報学部情報工学科), 中島 豊四郎 (椙山女学園大学文化情報学部文化情報学科)
Pagepp. 351 - 356
Keyword機械読唇, 聴覚障害者支援, 画像処理, 画像認識
Abstract情報処理技術を利用して読唇術を実現しようとする研究(“機械読唇”と呼ばれる)が進められている. 著者は,実際に読唇術の技能を身につけた読唇技能保持者が発話中の特徴的な口形に着目していることを受け,これまでにその特徴的な口形を計算機上で扱う方法や発話映像から終口形と呼ばれる口形を検出する方法を提案してきた. 本論文では,発話中に形成される初口形と呼ばれる口形の検出方法を提案する. これまでの提案では,発話映像から口形を検出する方法として特徴的口形をテンプレート画像としたテンプレートマッチングを採用してきたが,その際,初口形が形成されるときに,類似度データに特徴的な波形が表れることを確認した. そこで,ここではこの特徴を活かした初口形の検出方法を提案する.

2B-5 (時間: 16:45 - 17:10)
題名コンピュータスキルと時間的余裕を考慮したユーザインタフェースの検討
著者*稲永 真一 (福岡工業大学 情報通信工学専攻 杉田研究室), 杉田 薫, 横田 将生 (福岡工業大学)
Pagepp. 357 - 362
Keywordデジタルデバイト, 利用者の能力, レベル分け, ユーザインターフェースデザイン, 利用者の興味
Abstract近年、インターネットやWebの普及に伴い、コンピュータ上では様々な組み合わせのマルチメディア情報が利用されている。一方、その利用者は子供から老人まで広がり、利用者の能力や情報端末の性能、ネットワーク特性の違いからデジタルデバイドが重要な問題となってきている。本研究では、デジタルデバイドの解消のため、利用者の能力や環境の違いを前提としたマルチメディア情報の提供方法を目的している。利用者の操作スキルをレベルで分け、さらにパソコンの使用時間を考慮したメディアの分類を行い、メディアと情報端末の性能を選択し、利用者に最適なユーザインタフェースの提供する方法の検討を行ったので報告する


セッション 2C  ユビキタスコンピューティング
日時: 2010年7月7日(水) 15:05 - 17:10
部屋: 倶楽部樹里苑
座長: 白石 陽 (はこだて未来大学)

2C-1 (時間: 15:05 - 15:30)
題名複数の地磁気・加速度センサによるスキージャンプ選手のモーションモニタリングシステムの評価
著者*及川 正基 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科), 佐藤 永欣, 高山 毅, 村田 嘉利 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 363 - 371
Keyword地磁気センサ, 加速度センサ, ビデオカメラ, スキージャンプ競技, モニタリング
Abstract我々はスキージャンプ競技に関して,地磁気・加速度センサを使用した模型を用いての選手の滑降速度の測定,踏み切り位置の測定を行い,実際のジャンプ台に対する適用可能性が十分に高いことを確認した.また,選手とコーチからヒアリングを行い,測定要求項目として,アプローチ開始から踏み切りまでの速度,踏み切り付近での選手のフォーム,踏み切り位置でジャンプした選手の姿勢の傾きであることを確認した.我々は測定要求項目に対して,複数の地磁気・加速度センサとビデオカメラを連動させたモニタリングシステムを新たに開発し,スキージャンプ競技の練習に適用している.本稿ではその設計と開発した本システムを用いた評価について述べる.

2C-2 (時間: 15:30 - 15:55)
題名拡張現実感技術を用いた家電機器連携システムの構築
著者*坂本 陽, 綾木 良太, 岡部 朗 (同志社大学大学院 工学研究科 情報工学専攻), 島田 秀輝 (同志社大学 理工学部 情報システムデザイン学科), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院 工学研究科 情報工学専攻)
Pagepp. 372 - 377
Keyword情報家電, DLNA, 拡張現実感
Abstract近年,ネットワークに接続可能な家電機器,いわゆる情報家電が普及しつつある. これら情報家電はデジタル・リビング・ネットワーク・アライアンス (DLNA) が規定するガイドラインに準拠して実装されることで 相互接続性を保証され,ネットワークに接続するだけで異なったベンダ製品間での相互接続が可能となる. 一般に家電機器の操作には機器専用のリモコンを用いるため家電機器の増加に伴いリモコンの判別が困難であったが, 情報家電の普及により,相互接続可能となる機器が増えることで複数のリモコンを用いることなく各家電機器を操作することが可能となった. しかし,ネットワークに接続される情報家電が増えるにつれて,操作をネットワーク上で行うために操作対象となる情報家電の 特定が困難になる.本研究では,情報家電における操作を拡張現実感を用いて直感的に機器の特定,操作を行うシステムの提案を行う. また提案システムを実装し,拡張現実感を用いた場合の情報家電の動作,応答性などを評価することで提案システムの有効性を示す.

2C-3 (時間: 15:55 - 16:20)
題名Zigbee RF4CEを用いたホームネットワーク向け遠隔ペアリング手法
著者*奥田 悠介, 佐藤 康二 (シャープ株式会社 研究開発本部 ソフトウェア開発センター)
Pagepp. 378 - 382
Keyword家電制御, センサネットワーク, Zigbee, RF4CE
Abstract近年, TVやDVDプレイヤーなどの制御を行うリモコンは, 赤外線からRFへと移り変わろうとしている. Zigbee RF4CE仕様に基づくRFリモコン機器を用いる場合には, リモコン機器と被制御機器との紐付け(ペアリング)を予め行う必要があり, 従来手法として被制御機器にRFリモコンを近づけることで登録処理を行う方法がある. しかし, この場合に複数のネットワークにまたがる制御は困難であり, 動的に機器の制御を行う必要がある際に十分であるとはいえない. そこで, 本稿では, RFリモコンに事前に登録されている機器を介在させることで, 異なるネットワークに存在する被制御機器の識別情報を取得・交換を可能にする手法を提案する.

2C-4 (時間: 16:20 - 16:45)
題名個人向け情報配信システムにおけるユーザの興味に応じた知的情報フィルタリング
著者*中満 大介, 泉 真人, 平田 孝志, 樋上 喜信, 小林 真也 (愛媛大学)
Pagepp. 383 - 389
Keyword情報フィルタリング, 情報配信システム
Abstract我々はこれまでに,個人向け情報配信システムPinotを提案している.Pinotはインターネット上に氾濫する情報を,ユーザの興味に応じてフィルタリングし,ユーザ毎に必要な情報のみをTV画面に出力させるシステムである.本稿では,Pinotのフィルタリング機能に着目し,新たにベイジアンフィルタの機能と上位語を考慮するフィルタの学習手法を導入することで,フィルタリング精度のさらなる向上をねらう.また,本稿では実証実験により,提案手法の有効性を示す.

2C-5 (時間: 16:45 - 17:10)
題名呼びかけ呼びとめ誘うデジタルサイネージ「スポットアド」による実証実験
著者*渡辺 浩志, 木原 民雄 (NTTサイバーソリューション研究所)
Pagepp. 390 - 397
Keywordデジタルサイネージ, カメラセンサ, 位置移動, 実証実験
Abstract駅や商業施設などの公共空間に設置されるデジタルサイネージの数が増加している.デジタルサイネージの目新しさが薄れるにつれて,定型的な広告映像を繰返し提示するだけでは人々の関心を得ることが難しくなってきているが,人々の位置移動に合わせてタイミング良く情報提示を行えば,注意を引きつけてデジタルサイネージの認知率が向上すると予想できる. そこで筆者らは,人々に対してタイミング良く呼びかけ呼びとめ誘うような働きかけを行う状況即応型デジタルサイネージ「スポットアド」を構成した.「スポットアド」は,映像ディスプレイの前にいる人々の位置移動をカメラセンサによって捕捉して状況を解釈し,状況に応じた映像プレイリストを即応的に選択して提示する.この仕組みによって,例えば,映像ディスプレイの前に誰もいない時は静かなバックグラウンド映像プレイリストを再生し,人が近寄ってきたら即応的に映像プレイリストを切替えて呼びかけ,その場に立ち止まったり更に近付いたりしたら詳しい情報を提示して誘い,離れようとしたら呼び止め,去り際には「またお越しください」と声をかけ,人がいなくなったら再びバックグラウンドプレイリストを再生する,というような動作を可能としている. 本稿では,「スポットアド」を実店舗に設置して実施した実証実験について報告する.


セッション 2D  WEB閲覧履歴と情報検索
日時: 2010年7月7日(水) 15:05 - 16:45
部屋: 如月
座長: 金井 秀明 (北陸先端科学技術大学院大学)

2D-1 (時間: 15:05 - 15:30)
題名URL 表記と閲覧頻度に基づく Web 閲覧履歴からの嗜好キーワード抽出
著者*佐々木 健太, 岡本 昌之, 渡辺 奈夕子, 菊池 匡晃, 飯田 貴之, 服部 正典 (株式会社東芝 研究開発センター)
Pagepp. 398 - 405
Keyword嗜好キーワード, 履歴活用, パーソナライズ, ナイーブベイズ
Abstract端末に蓄積された Web 閲覧履歴のみからユーザの嗜好に合った嗜好キーワードを抽出する場合に,ノイズとなる単語の影響を減らす手法を提案する.ユーザが選択的に閲覧するニュース・ブログ記事などのコンテンツページと比べ,ポータルサイトやニュースサイトのトップページではユーザの興味・関心と無関係な単語が多いと考えられる.そこで,本稿では Web 閲覧履歴をトップページとコンテンツページに分類して,コンテンツページのみから嗜好キーワードを抽出する.実験の結果,従来手法の嗜好キーワード抽出方法に本手法を組み合わせることで,特定の Web 閲覧スタイルを持つユーザでは精度の向上を確認できた.

2D-2 (時間: 15:30 - 15:55)
題名ユーザのWeb探索履歴からのキーワード遷移グラフの抽出法に関する一検討
著者*枝 隼也 (筑波大学大学院図書館情報メディア研究科), 福原 知宏 (産業技術総合研究所 サービス工学研究センター), 佐藤 哲司 (筑波大学大学院図書館情報メディア研究科)
Pagepp. 406 - 413
KeywordWeb閲覧履歴, グラフ
Abstract近年Webページの数が急激に増加するのに伴って,ユーザは様々なページを閲覧・比較するなどの探索行動を繰り返して所望のページにたどり付かなければならない. 筆者らはユーザが閲覧するWebページのキーワード間の遷移に基づいてWebページを推薦する研究を行っている.作成したシステムでは連続して閲覧するページ間でキーワードをノードとする有向グラフを生成し,キーワード間の連結強度からキーワード遷移を推定する. 本論文では,,上記のシステムに適用する事を目的に,ユーザのWeb閲覧履歴に構築したキーワードの遷移に基づくグラフ構造から,階層的クラスタリングを行い,Web探索履歴内の話題の変化点を抽出する手法を提案する. 異なる話題を連続して閲覧したユーザの履歴に適用評価した結果,提案法によって話題の変化点を抽出できることを確認した.

2D-3 (時間: 15:55 - 16:20)
題名閲覧履歴の共有による情報検索支援システムの提案
著者*石田 武久 (神奈川工科大学 大学院 工学研究科), 服部 哲 (神奈川工科大学 情報学部), 速水 治夫 (神奈川工科大学 大学院 工学研究科)
Pagepp. 414 - 419
Keyword履歴共有, 情報検索支援, 情報推薦
Abstract検索エンジンはWeb上から目的の情報を入手する上で欠かすことのできないツールである.しかし,同じ目的を持ったユーザであっても同じ検索手順を経なければならないという問題点がある.問題解決に向けて「同じ目的で検索を行なった先人は必ずいる」と仮定した.そこから先人の閲覧履歴を利用することによって同じ目的を持った2人目以降のユーザの検索手順を短縮できるのではないかと着想した.着想を実現するために,ユーザが選択した文字列が新しい検索語句となる情報検索の流れを定式化し,それを基にシステム設計を行なった.さらに,現在の検索語句は,直前の語句によって得られたWebページ中から得られるという分析から検索目的を判定して,その目的を満たす情報のページを推薦するアルゴリズムの定式化を行なった.本論文では,閲覧履歴を共有することによってWeb検索の効率化を行う情報検索支援システムを提案する.

2D-4 (時間: 16:20 - 16:45)
題名ネットショッピングユーザによるユーザレビューの一元管理システムの提案
著者*小林 亮, 服部 哲, 速水 治夫 (神奈川工科大学情報学部情報メディア学科)
Pagepp. 420 - 426
Keywordネットショッピング, ユーザレビュー, Webアプリケーション, WebAPI, twitter
Abstractインターネット上での商品購入が身近になるとともに,インターネット上で公開されている商品についてのユーザレビューを購入の参考にする利用者も増加している.しかしそのユーザレビューには購入者の間違った使用方法によるレビューや,購入前・使用前のレビューといった参考にならないレビューが存在する.また,個人のブログや掲示板などに参考になるレビューが掲載されていることがあるが,これは普段からユーザレビューをインターネット上で検索し比較している人でなければ見つけることが難しい.そこで,これらの問題点を解決するために,他サイトとのレビュー比較や,参考になるレビューサイトを紹介することができる機能を備えたユーザレビュー一元管理システムを提案する.本システムの特徴は,本システムにアクセスするだけで複数サイトに分散したユーザレビューを収集し,かつ良質なレビューを提供することである.


セッション 2E  ITSアプリケーション
日時: 2010年7月7日(水) 15:05 - 17:10
部屋: 弥生
座長: 重野 寛 (慶應義塾大学)

2E-1 (時間: 15:05 - 15:30)
題名走行車群におけるグループ形成アルゴリズムと通信方式に関する評価
著者*中村 慎吾 (愛知県立大学大学院情報科学研究科), 岡村 拓 (愛知県立大学大学院情報科学研究科/中部電力株式会社), 井手口 哲夫, 田 学軍, 奥田 隆史 (愛知県立大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 427 - 433
KeywordITS, 車群内通信, グループ形成, 車々間通信, 通信方式
Abstract日本における交通事故発生件数は年々減少傾向にあるが、2008年度の交通事故発生件数は全国で76万6147件に上るなど、依然として多発している。交通事故削減などを目的としたITS (Intelligent Transport Systems)と呼ばれる取り組みがなされている。 そこで、著者等は車々間通信を応用して、自動車群にグループを形成し、各車が行動を起こす前に自車両の意図を周知し、グループに所属する車両と合意・協力を得て協調走行することで、車両相互間の事故発生件数の削減や快適な運転の支援を目指す。 本研究では、走行車群におけるグループ形成のための通信方式を提案し、評価する。また、これらの評価にはOPNET社のネットワークシミュレータOPNETにより、通信トラヒックの評価を行う。 研究背景としては、走行車相互間における交通事故の削減を目的として、走行車群における合意形成手法の検討を行う。これにより、グループ内でドライバーが事前に自車の行動を周知し、周囲の走行車との合意形成を行うことで協調走行が可能になり、事故防止や快適な走行支援ができる。 走行車群における合意形成を達成するためのプロトコルスタックの階層構造として、走行車群における合意形成プロトコルはアプリケーション層に位置付けられ、インターネット層には提案方式であるWireless Direct Distribution Protocol(WDDP)を位置付ける。本稿では、 インターネット層のWDDPに注目し、検討する。 走行車群におけるグループ通信方式としてWDDPを提案する。WDDPは走行車群における協調走行を可能とするためのグループを形成し、各車両の要求や突発事象に対応した情報配信を行うためのプロトコルである。前提条件として、各車両を一意に認識するアドレスをそれぞれ保持し、Source Nodeはオンデマンドに発生するものとする。 提案するWDDPは、グループ形成フェーズと合意形成フェーズの2つのフェーズが存在し、これらをまとめて1トランザクションとして定義する。グループ形成フェーズはSource Nodeの発生からグループ形成を行い、合意形成フェーズは生成したグループにおいて合意形成を行うフェーズである。 次に、グループ形成フェーズの評価を行う。評価には、既存の技術であるAd-Hoc Routing Protocolを適用する場合と適用しない場合についてそれぞれ考察する。Ad-Hoc Routing Protocolを使用する場合についてはAODVを用いて検討する。 AODVを用いる理由として、Source Nodeはオンデマンドに合意形成を行うため、移動性の高い自動車への適用と、全体的なトラヒック削減を考慮し、Reactive型であるAODVを用いる。AODVを用いる際の前提条件として、宛先ノードが既知である必要性から、仲間内での利用が考えられる。 適用しない場合は、エニーキャストに基づくフラッディング(Any-cast Based)により、グループ形成を行う。この場合は不特定多数を対象とした配信が可能であるため、一般的な交通流制御に利用可能である。 本稿における評価には通信ネットワークシミュレータのOPNETを用いる。前提条件として、合意形成を開始する車両ノードをSource Nodeの1台に限定し、その他3台の車両ノードをGroup NodeまたはRegular Nodeとする。各ノードの走行速度は時速50kmで一定として、T字路において車両が合流する時点からグループ形成を開始し、並走中はそれを維持する。また、無線通信はIEEE802.11bを想定するため通信距離は100mとする。 Source Nodeは常にグループ形成を行うものとし、グループ形成に要する時間と、トラヒック量についてAODVを用いるAODV方式とエニーキャスト型フラッディングによる(Any-cast Based)方式の比較評価を行う。 AODVを適用する場合は、経路生成にユニキャスト型の通信を用いて行うため、グループ形成に要する時間が大きく、トラヒック量に関しても、多数のノードを対象とする場面ではエニーキャスト型フラッディング(Any-cast Based)よりも不利であると考えられる。 シミュレーションによる結果について述べる。T字路において合流する際に、グループ形成を行う場面におけるSource Nodeから各ノードへの送信パケットの遅延時間を示す。測定対象とするパケットは、Any-cast Based方式の場合はGroup Packet、AODV方式の場合はRREQパケットに相当する。 どちらの方式でも100ms以下の遅延を十分満たす結果が得られたため、グループ形成後にグループ運用を行う際には、AODV方式もAny-cast Based方式も問題なく利用可能であると言える。 次に、最初のパケットが各ノードへ到達する時刻について比較、考察を行う。Any-cast Based方式はほぼ同時に3ノードへ到達しているが、AODV方式はAny-cast Based方式と比較して、Node2へは平均で約0.3sec後、Node3とNode4へは約0.5secの遅延が見られる。したがって、Any-cast Based方式はリアルタイム性に優れており有効であると言える。 最後に、本稿において、安全かつ快適な運転支援を目的とした、走行車群における合意形成手法について述べ、それらを行うためのグループ形成手法を提案した。また、グループ形成における通信方式として、AODV 方式とAny-cast Based方式について比較検討を行った。 今後の課題として、シミュレーションモデルの拡張やグループ運用に関するアルゴリズムの検討を行うことが考えられる。

2E-2 (時間: 15:30 - 15:55)
題名通信統計データを用いた運転支援システム評価シミュレータの試験的構築
著者*中村 慎吾, 井手口 哲夫, 田 学軍, 奥田 隆史 (愛知県立大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 434 - 437
KeywordITS, 車々間通信, 運転支援システム
Abstract現在、日本の自動車社会における渋滞、事故、環境問題は深刻化しており、これに対し最先端の情報通信技術や制御技術を用いたITS(Intelligent Transport Systems)とよばれる取り組みがなされている。特に近年では車々間通信を用いたドライバーの安全運転を支援するためのシステムについて研究がさかんに行われている。 こうした車々間通信を用いた安全運転を支援するためのシステムでは確実な情報伝達が鍵となるため、多くの研究で、通信系シミュレータを用いた車々間通信のシミュレーションがなされてきた。しかし、通信系シミュレータの多くはITSを対象システムとしていないため、車両の移動モデルが提供されておらず、研究者が独自のモデルを用いている現状がある。また、シミュレーション毎に多くの計算量が必要となるため、シミュレーションに時間がかかるという問題も挙げられる。 本研究では、エージェントベースモデリングによって交通流、ならびに通信特性のモデル化を行い、単一エージェントの行動規則として定義することによって、車々間通信を用いた安全運転支援システムの評価シミュレータを構築することを目的とする。モデル化したエージェントの実装環境として構造計画研究所のartisocを用いる。 安全運転支援システムの評価シミュレータにおいて必要とされる機能について述べる。 安全運転支援システムはどのような情報をドライバーに対して提供するかによって情報提供を行う道路環境が異なることが考えられる。したがって安全運転支援システムの評価シミュレータにおいては道路構造が任意に決定できる必要性がある。また、対象となる道路における車両の流量や速度についての設定ができる必要が挙げられる。 また、対象道路上における通信環境を把握するため、配信される情報の到達率を算出する必要が挙げられる。 最後に、車両間の位置関係や個々の車両における情報などの道路環境情報や通信特性情報について動的に情報を閲覧する機能が必要であると考える。 上記の機能を指標としてモデル化を行っていく。まずエージェントの移動規則に関しては車両挙動の制御を進行方向と車両の加速度をパラメータとして用いる。方向の制御については、道路網をポイントを連結する形で構成することを考える。このポイントには道路上を走行する際のドライバーの局所的な行動目的を設定し、車両生成時に取得するルート情報によって決定されるものとした。加速度の制御ではIDM(Intelligent Driver Model)を用いるものとした。通信モデルでは個々の車両間におけるデータ送信時に送信確率に基づきデータ送信の可否を判定するものとし、送信確率には車々間通信の代表的な通信方式であるCSMA/CA方式の理論モデルであるp-persistentモデルを用いることで統計的な数値を用いる。通信処理を統計的データに基づく処理にすることで、通信系シミュレータのようなミクロモデルでのシミュレーションに比べ高速に処理を行うことが可能となる。このため、従来の通信系シミュレータと交通流シミュレータを連携させる方式に比べ、シミュレーション終了時の結果だけでなく処理速度の向上によってシミュレーションの経過情報を利用者がより把握しやすくできるという利点が考えられる。 前述したモデルに基づき、シミュレータの構成を行う。構築したシミュレータ上において、データサイズ、送信周期や通信を行う車両の台数、通信対象との位置関係に応じて車々間通信の特性がシミュレーション結果に反映されていることを確認することができた。 本稿では交通流、ならびに通信特性を再現するための道路構造並びにドライバーモデル、及び統計的データに基づく通信モデルをマルチエージェントシミュレータ上に実装し、車々間通信を利用した運転支援システム評価シミュレータの構築を行った。また、構築したシミュレータの評価を行い、結果から車々間通信の特性が再現されていることを確認した。 今後はシミュレーション可能な道路環境の拡張並びに車両台数の増加、複数の安全運転支援システムが混在する場合での統計的データ取得方式の検討、本シミュレータを用いた安全運転支援システムの評価、シミュレータの利用性向上のためのインターフェースの充実などを行う予定である。

2E-3 (時間: 15:55 - 16:20)
題名渋滞学に基づく高速道路における自然渋滞抑制システム
著者*中村 真吾, 俵 明宏, 中島 剛史 (東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 市村研究室), 久保田 彰人, 小林 祐貴 (東京工科大学院 バイオ・情報メディア研究科 市村研究室), 市村 哲 (東京工科大学 コンピュータサイエンス学部)
Pagepp. 438 - 445
KeywordITS, 高速道路, 渋滞
Abstract現在,日本の渋滞による損失額は年間12兆円と言われている.さらに2009年3月末より高速道路通行料金が地方部に限り上限1000円となったことにより交通量が増加している.高速道路通行料金値下げの影響により交通量の変化は,昨年の同時期と比べて1割〜5割増加している. 渋滞の主な原因は上り坂およびサグ部(緩やかな上り坂に切り替わる箇所)での速度低下となっている.サグ部の渋滞発生要因は,速度低下を起こした先行車と後続車との車間距離が短くなり,後続車がブレーキを踏むことで車間距離を維持する.このとき,先行車の減速量より多く減速するため,最終的には渋滞となってしまう.また渋滞が発生した後,渋滞区間に多くの車両が次々に進入してくるため渋滞が延長してしまう.現在は,標識やLED表示板などで上り坂と知らせるなど,速度回復を促したり,渋滞発生後に電光掲示板やラジオで情報提供をしたりしている.しかし,渋滞箇所は常に移動しているため,設置式の標識や掲示板では注意を促すことが難しい.また,渋滞起因となる車両は渋滞に巻き込まれているわけではなく,ドライバーは渋滞を作るきっかけになっているとは意識しないため,標識などにも注意を払うことが少なくなる.そこで,渋滞起因抑制,渋滞延長抑制を指示できる走行支援システムを構築した.渋滞起因抑制は,速度低下を起こしていない車両に対して速度に適した車間距離を通知する.また,サグ部において速度低下を起こした車両に対して速度回復の指示を出すことにより,渋滞起因を抑制するシステムである.渋滞延長抑制は,後続車に速度と車間距離の指示を送り,渋滞区間に入る車を減らすことにより,渋滞区間を抑制し,抜ける時間を短縮させる.また,発生した渋滞の内部にいる車両に対しては渋滞解消地点の情報を,渋滞解消地点にいる車両には速度回復を促し渋滞区間から出る車の割合を多くすることにより渋滞延長の抑制解消を行うシステムである.本システムでは3つのフェーズに分け,指示内容と通信タイミングを変化させた.一つ目は,渋滞開始地点から数km手前に入った車両を誘導区間フェーズとし,5分間隔で通信を行う.2つ目は,渋滞区間に入ると渋滞内部フェーズとし,1分間隔で通信を行う.3つ目は,その他を通常走行フェーズし,アプリ起動時,速度低下時,10分間隔で通信を行う.ユーザ側の使用するデバイスとして,通信ができること,GPS情報が取得できること,画面が大きいなどの理由からiPhoneを使用した.ユーザ側は自車情報を利用して車両の位置情報と速度情報を取得し,サーバに送る.その際送り返されてくる渋滞情報も合わせて利用して指示の作成,表示を行う.画面表示情報は運転の支障をきたさないために,最小限の情報で,背景色が赤なら渋滞内部,黄色なら警告時などのようにわかりやすく表示させた.サーバ側はユーザ側から自車情報が送られてきた際に,適正な渋滞情報を送り返す.その際に,ユーザ側の現在位置が設定したエリア内であり,かつ車両から半径100km以内の渋滞情報を送信する.本システムの評価として,セルオートマトンによる交通流解析モデルである,Nagel Schreckenbergの原理に基づいたシミュレーションを用いて実験を行った.モデル区間は,サグ部・小仏トンネル・車線数減少など,渋滞の起因となる要素が多く含まれている中央自動車道の上野原IC〜八王子ICをモデル区間とした.シミュレーション動作は,左端から通常車両とiPhone搭載車両を流入させ,右端から流出させた.車両の最高速度は 20セル(1セル=5m)であり,一回の動作で20セル動く.iPhone搭載車両は通常,通常車両と同じ動きをするが,渋滞区間が発生し,渋滞区間から設定した距離内に流入することで,設定した速度に徐々に近づかせるプログラムを作成した.シミュレーション評価は渋滞延長を抑制するシステムにあたって用いられる適正速度,警告区間の適切な数値を求めた.また,本システムの受容性と指示の表示内容にあたっての文言の受容性をアンケートにより評価した.また,iPhoneとサーバとの情報通知が正しく出来ているかを確認した.評価の結果,本システムの受容性は高い評価を得た.しかし,表示内容にあたって文字が見にくいとの指摘があった.アンケート結果によって割り出されたシステムを利用してくれる人の割合と,シミュレーション実験で割り出された渋滞を起こさないために必要なシステム導入車の割合の条件を満たしたので,実用性があるという評価がでた.本システムに賛成という意見に対して,利用したいという意見は減少してしまった.ユーザの利用率を増やすために,ゲーム要素やポイント制のサービスを導入することを考えている.サーバは渋滞延長予測を導入するために,シミュレーションとの並列処理を行うようにする.

2E-4 (時間: 16:20 - 16:45)
題名集合知としての走行軌跡により地図を更新するカーナビゲーションにおける道路位置推定手法
著者*菅原 弘光 (岩手県立大学院), 佐藤 永欣, 高山 毅, 村田 嘉利 (岩手県立大学)
Pagepp. 446 - 454
Keyword集合知, 地図作成, GPS
Abstract現在普及しているカーナビゲーションシステムの地図は,新道路開通後に,測量,地図データ作成・編集を経て,更新される.このため,地図データの更新に時間が掛かる.また,オンラインでの地図更新サービスも始まっているが,人手による測量と地図更新が必要であり,このため,高速道路のみが比較的短期間で更新されている.そこで,GPSによって得られる多数の車両の走行軌跡を集合知として用い,新道路開通を検出し,新道路の位置,形状などを走行軌跡に基づき推定する事により,地図を自動更新しオンラインで配布することで,新道路開通にも即時に対応できるシステムを提案する.

2E-5 (時間: 16:45 - 17:10)
題名UHF帯電子タグの高速移動における読み取り性能評価
著者*亀丸 敏久, 舩倉 英俊 (三菱電機情報技術総合研究所)
Pagepp. 455 - 462
KeywordRFID, 950MHZ, 高速移動, C1G2, タグ
Abstract自動車の車体の側面に電子タグを貼付し,リーダ装置によるID読み取り実験を行った.自動車がタグの読み取り可能エリアに入ると,リーダ装置がアンテナを経由し自動車に貼付されたタグを,連続的に読み続ける。主要な条件は,アンテナとタグ(自動車の走行路)の距離2m,リーダ装置とタグ間のタグ応答通信レート50kbps,自動車の走行速度100km/hである.10回の試行を行い,IDの平均読み取り回数4.8回という良好な結果を得た. 一方,実使用ではアンテナとタグの距離2mという条件はシステム構築上の制約となる.そのため,タグとの距離がより短いアンテナ設置条件において,読み取り回数がどうなるかを,現在進行している総務省令改正によるチャネル数の増加を踏まえて検討した.応答チャネルを3チャネル束ねることを想定し,200kbpsのタグ応答通信レートが実現できたれば,アンテナとタグの距離が1mであっても4.5回の読み取りが可能であるという見積もり値を得た.即ち,省令改正によるチャネル数の増加がもたらす通信速度の高速化が,アンテナ設置場所というシステム構築の制約を緩和することに貢献できることが確認できた.


セッション 2F  不正検知
日時: 2010年7月7日(水) 15:05 - 17:10
部屋: 和風
座長: 白石 善明 (名古屋工業大学)

2F-1 (時間: 15:05 - 15:30)
題名CoPS : 無線アドホックネットワークにおけるノード協調型攻撃防御機構
著者*星 北斗 (慶應義塾大学 総合政策学部), 森 雅智, 金澤 貴俊, 斉藤 匡人, 間 博人 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科), 徳田 英幸 (慶應義塾大学 環境情報学部)
Pagepp. 463 - 469
Keywordモバイルアドホックネットワーク, セキュリティ, 侵入防御, 協調制御, IEEE 802.11
Abstract近年,無線アドホックネットワークを利用できる機器が増加しており,今後さらに利用が普及すると考えられる. 既存のネットワークにおいて,ネットワークや各ノードへの攻撃を防ぐために IDS や IPS が利用されてきた. しかし,無線アドホックネットワークにおいては,ネットワークの性質や利用されるノード性能の問題があり,これらをそのまま適用することは難しい. 本論文では,無線アドホックネットワークにおいて,攻撃を行う不正なノードをノードの協調動作によりネットワークから切り離す機構として CoPS (Cooperative Attacker Prevention System) を提案する. 本論文において,通信を切断するためのモジュールをプロトタイプとして実装し,評価を行った.

2F-2 (時間: 15:30 - 15:55)
題名効果的なボットネット追跡のための統計調査と方針検討
著者*甲斐 俊文 (パナソニック電工), 佐々木 良一 (東京電機大学)
Pagepp. 470 - 476
Keywordボットネット, トレースバック
Abstractボットネットの被害が増大してきており,ボットマスター(ハーダ)まで追跡することが重要な課題となっている.通信経路はボットネットによって異なるが,経路上に防弾業者や一般ユーザの端末がある場合には追跡は困難になる.我々は防弾業者や一般ユーザの端末を使用しているボットネットの割合を統計的に調査し,ユーザ端末を使用しているボットネットの割合は1割から3割程度,防弾業者サーバ端末については少なくとも2割以上,専門のサーバ管理者に管理されている端末は4割から5割程度と見積もられることを示してきた.本稿では新たに国別の傾向について調査した結果を示す.また,これらの調査に基づき,ボットネット追跡の方針として,追跡の協力が得やすくボットネットでの使用割合も高い専門のサーバ管理者の端末を対象としてボットネット追跡の研究開発や普及策を講じることが効果的であることを示す.

2F-3 (時間: 15:55 - 16:20)
題名静的解析によるマルウェアの分類と結果の検討
著者*岩本 一樹 (日本コンピュータセキュリティリサーチ), 和崎 克己 (信州大学工学部情報工学科)
Pagepp. 477 - 491
Keywordマルウェア, 静的解析, 特徴抽出, クラスタ解析, アンチウイルス
Abstract本研究では,静的解析によるAPI推移(あるAPIが呼ばれた後に呼ばれるAPIの組)を用いたマルウェアの分類方法を提案する.提案する方法は4つの段階に分かれる.初めにマルウェアの検体の圧縮・暗号を復号し,次に検体を逆アセンブルする.その後,逆アセンブルリストに対して制御フロー解析を行う.最後に,制御フローグラフからAPI推移を取得して検体を比較する.比較のために本研究ではマルウェアの検体間の距離(不一致度)を定義し検体を比較した.階層型クラスタ分析を行い検体間の関係を可視化した.またアンチウイスル製品による名前と本研究による結果を比較した.

2F-4 (時間: 16:20 - 16:45)
題名低レート攻撃トラフィック検出に関する検討
著者*福島 祥郎 (九州大学大学院システム情報科学府), 堀 良彰, 櫻井 幸一 (九州大学大学院システム情報科学研究院)
Pagepp. 492 - 500
Keywordインシデント検知, ダークネット観測, ボットネット, 低レート攻撃, マルウェア
Abstractマルウェアによるネットワーク上の脅威(ネットワークインシデント)を早期に検知し対策を取るためには,ネットワーク観測が重要である.インターネット上のトラフィックを観測しその特徴を分析することで,マルウェアの感染活動の傾向を把握し,それをインシデント検知に役立てることができる.ネットワーク観測には通常,インターネット上で未使用のIPアドレス群であるダークネットを用いる.ダークネットで観測されるパケットは,設定ミスによるものを除けば全て不正なものとみなせるため,マルウェアの感染活動の傾向把握に有効である.従来は,インシデント検知のために時系列上の急激な値の変化に着目した手法が取られていた.しかし,近年のマルウェアの攻撃は低レート化が進み,従来の手法では検知が難しい.そこで本研究では,低レート攻撃の検知とその特徴分析を目的として,低レート攻撃の特徴に基づいてトラフィックの分類を行い,低レート攻撃に起因しないトラフィックを除外することで,その検知を行う手法を提案する.ダークネットトラフィックを用いた実験により,関連性が高く協調性のある低レート攻撃群を検知することが可能であった.

2F-5 (時間: 16:45 - 17:10)
題名データ送信間隔に基づくボット検知手法の提案ならびに実装と評価
著者*溝口 誠一郎, 釘崎 裕司, 笠原 義晃, 堀 良彰, 櫻井 幸一 (九州大学)
Pagepp. 501 - 507
Keywordマルウェア検知, IRCボット, 通信間隔, 累積分布, クラスタリング
Abstractマルウェアの一種であるボットは,分散サービス不能攻撃,スパムメールの配信,フィッシングサイトなど,インターネット上の脅威の元となっている.そのため,組織のネットワーク上に存在するボットをいち早く検知し,ボットを駆除するといった対策をとることが急務となっている.ボット検知手法として,ネットワークトラフィックを観測しペイロードを分析することによってボットを発見する手法が提案されてきたが,多数のクライアントを所持する組織では,すべてのペイロードを検査することは難しく,プライバシーの観点からも好ましくない.本研究では,人間の挙動とボットの挙動を区別することでボット検知を行う手法を提案する.人間が操作するクライアントとボットのデータ送信間隔に着目し,ボットの機械的な特徴をクラスタリングを用いて検出する.本稿では,提案するボット検知手法の実装と評価を行った.


セッション 2G  コンテクストアウェアネス(2)
日時: 2010年7月7日(水) 15:05 - 16:45
部屋: 緑風の間1
座長: 岸野 泰恵 (NTT)

2G-1 (時間: 15:05 - 15:30)
題名加速度と音による家庭内ユーザ状況認識の可能性検討
著者*大内 一成, 土井 美和子 (株式会社 東芝)
Pagepp. 508 - 515
Keyword状況認識, 加速度センサ, マイク
Abstract社会の高齢化に伴い,高齢者・障がい者など社会生活弱者の家庭内の生活状態を見守ることの重要性が増してきている.我々は,環境側へ機器を設置せず,携帯電話などの小型情報端末にすでに搭載されている加速度センサとマイクのみを活用した生活状態見守りを検討している.小型端末上での処理を念頭に置き,計算量を抑えた認識手法として,まず加速度センサを活用してユーザの動作状態を大まかに推定し,推定した状態に応じてマイクを起動して音環境の分析を行う方式を提案する.胸ポケットに格納した試作デバイスで実際の家庭生活のデータを収集して評価した結果,加速度センサのみで歩行,作業,安静の3状態を概ね95%以上の精度で分類でき,音環境の分析により,掃除機がけ,皿洗い,トイレの水洗/手洗い,歯磨き,髭剃りの各作業を平均85%の精度で推定できた.

2G-2 (時間: 15:30 - 15:55)
題名人間行動理解のための加速度信号処理とその応用
著者*小川 延宏, 梶 克彦, 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科計算理工学専攻)
Pagepp. 516 - 523
Keyword人間行動, 加速度信号, 信号処理
Abstract携帯機器に搭載された加速度センサ等を用い、ユーザの行動を識別する研究が進められている。これらの研究では、得られたセンサ情報から、事前に定められた行動の識別を実現している。しかし、個々の行動の詳細情報を理解することを目的としていないため、同じ種類の行動に対して“ 前回との違い”等の情報を知ることはできない。本論文では、人間行動を識別するだけでなく、そのより詳細な理解を目的として、加速度信号のみを用いた行動の詳細情報の取得手法を提案する。具体的には、まず、計測対象の行動に対して軌跡を厳密に規定し、対象とする行動のモデル化を行う。次に、センサから出力された加速度信号に対して、様々な処理を適切に組み合わせることによって、位置に関する物理量を求める。更に、これら物理量を、計測対象とする行動モデルに適用し、目的情報の取得を行う。今回は、平行運動、回転運動といった、基本的な行動に対して、本論文で提案したアプローチの有効性を確認した。

2G-3 (時間: 15:55 - 16:20)
題名顔認識を用いた周辺環境に基づく間接的状況認識システムの設計と実装
著者*武田 誠二, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻)
Pagepp. 524 - 532
Keyword間接的状況認識, 顔認識, 行動認識, ウェアラブルコンピューティング, 状況推定
Abstract近年のセンサ技術の発展により,装着型センサやカメラを用いてユーザの状況を認識する技術に対する注目が集まっている. 本稿では,これまでのユーザを直接センシングすることによる状況認識とは異なる新たな手法として, 周辺環境に基づいた間接的状況認識手法を提案する. 間接的状況認識システムは周囲の環境をセンシングし,解析した結果を用い間接的に自身の状況を認識する. 本研究では提案手法のプロトタイプとして,周囲の人の顔情報を用い自分が置かれている状況を認識するシステムを実装した. また実際にシステムを使用した評価実験により,提案手法が有効であることを確認した. 提案手法を使用することで,従来の直接的なセンシングでは得られなかった状況の取得を可能にする.

2G-4 (時間: 16:20 - 16:45)
題名利用ログに基づくコンテキスト生成に関する検討
著者*中津 寿秀 (福岡大学大学院工学研究科), 奥村 勝 (福岡大学総合情報処理センター)
Pagepp. 533 - 539
Keywordコンテキスト, コンテキストアウェアネス, 利用ログ
Abstract情報処理システムの発展に伴い,様々なシステムログが得られるようになってきた.近年では,それに意味づけをしたコンテキストとして利用者の行動や状況,集団的特徴を推定する研究が増えてきており,今後もますます注目されると考える. 本稿では,学内の情報システムから得られる利用ログを用い,利用者の利用状況や使用頻度,行動の特徴といったコンテキストを生成し,それを必要とするアプリケーションからコンテキスト情報を参照できるシステムについて提案を行う.本稿の前半では,各利用ログに対する生成処理関数やコンテキスト生成ルールについて提案する.本稿の後半では,その有用性を検討するために試作システムを作成し,評価した.試作システムでは,提案手法で示した関数やルールを実際にプログラムに組み込むことで,正しくコンテキストが生成されるかを確認した.最後に,提案手法と試作システムを踏まえての考察を行い,今後の目指していく方向を示す.


セッション 2H  センサーネットワーク(1)
日時: 2010年7月7日(水) 15:05 - 17:10
部屋: 緑風の間2
座長: 渡辺 正浩 (三菱電機)

2H-1 (時間: 15:05 - 15:30)
題名WSN稼働時間延長のためのスリープスケジューリング手法
著者*勝間 亮 (奈良先端科学技術大学院大学), 村田 佳洋 (広島市立大学), 柴田 直樹 (滋賀大学), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 540 - 550
Keywordセンサネットワーク, 長寿命化, スリープ, k重被覆, レイヤ被覆
Abstract本稿では,多数のセンサノードが散布されたデータ収集型無線センサネットワー ク(WSN)において,必要最小限のノードを稼働させ,残りをスリープさせることで, WSNのk 重被覆時間を最大化する手法を提案する.本手法を実現するため,k重被 覆時間を最大化する,各時刻のノードの動作モード(センシングやスリープなど)お よびマルチホップ通信経路を決定する問題を定式化する.本問題は典型的な組み合わ せ最適化問題であり,短時間で最適解を算出するのは困難である.そのため,時間を 多期間に区切り,一期間にわたって維持される最適な動作モードとデータ収集経路を 繰り返し決定していくヒューリスティックアルゴリズムを提案する.まずk重被覆へ の貢献度合順に稼働させるノードを選んでいく既存手法を述べ,次に,フィールドを 1重被覆するノードの集合(レイヤ)を複数求め,k個の稼働レイヤを選択する耐故障 性能が高い新手法を提案する.提案手法におけるWSNのk重被覆時間および耐故障 性能を評価するため,提案手法と既存手法の比較実験をシミュレーションにより行っ た.その結果,提案手法を用いた場合のノード故障発生時のフィールドの被複数は, 既存手法より平均で1.03倍,最大で2.6倍改善される一方,kの値やノード数にかか わらずk重被覆時間の減少は5%にとどまることが確認できた.

2H-2 (時間: 15:30 - 15:55)
題名無線センサネットワークにおけるスリープ制御と空間補間を用いたデータ収集について
著者*近藤 真也, 神崎 映光, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 551 - 558
Keyword無線センサネットワーク, スリープ制御, 空間補間, 消費電力
Abstract無線センサネットワークでは,ノードが電池で稼動しているものが一般的であるため,サービスを長期間提供するためには,ノードの省電力化が重要である.筆者らは,消費電力の削減を実現するため,ODAS/SS (Overhearing based Data Aggregation using Spatial interpolation with Sleep Scheduling) を提案している.ODAS/SSでは,データの空間補間とスリープ制御を用いることで,発信されるデータ量を削減し,各ノードの消費電力を抑制する.しかし,ODAS/SSでは,発信されたデータを基地局に収集する方法を規定していない.本稿では,ODAS/SSにおいて発信されたデータを収集する方法を提案する.提案手法では,スリープ制御によって起動状態となるノードが動的に変化する環境において,各ノードが,近隣ノードの状態を認識し,データ収集の際の転送先を自律的に決定する.

2H-3 (時間: 15:55 - 16:20)
題名センサネットワークにおける CSMA/CA とビーコンモードに基づく省電力化プロトコル
著者*茅野 圭悟, 旭 健作, 渡邊 晃, 小川 明 (名城大学)
Pagepp. 559 - 565
Keywordセンサネットワーク, 省電力, CSMA/CA, ビーコンモード
Abstract本論文では,センサネットワークにおいて省電力化をするために休止状態を導入した簡単かつ順軟性の高いCSMA/CAに基づくMACプロトコルを提案する.この提案において,休止期間を決定するために2つの方式を検討する.第1の方式は,データの送信時にその終了時刻を予測し,その時刻まで休止する手法である.以降,NAVSleepという.NAVSleepでは,CSMA/CAに基づくネットワークに休止状態を導入するために,IEEE 802.11で用いられるRTS/CTSの仕組みを利用する.第2の方式として,ZigBeeで用いられるビーコンモードの導入を検討する.ビーコンモードにおいて不活性期間を導入することにより,さらなる消費電力の削減を行う.通信量に合せて不活性期間の長さを適応的に変化させることを考える.NAVSleepと適応的なビーコンモードを組み合わせた手法をBEACONSleepとする.これらの提案方式について計算機シミュレーションにより特性を評価し,従来のCSMA/CAに比べて消費電力を削減において有効であることを示す.

2H-4 (時間: 16:20 - 16:45)
題名TDMA無線ネットワークにおけるノード参入手法の評価
著者*川島 佑毅, 寺島 美昭, 城倉 義彦, 渋谷 昭宏 (三菱電機株式会社情報技術総合研究所)
Pagepp. 566 - 571
KeywordTDMA
Abstract災害救助活動における状況観測のために,センサ同士で情報共有を行う無線センサネットワークが注目されている.本稿では,無線センサネットワークのための動的なスロット割当を行うTDMA 方式を提案する.本方式は,TDMA のスロット割当を動的に行うことでノード数の変化に柔軟に対応する.また,複数ノードでグループを形成しTDMA ネットワークに接続する際にリーダノードが一括して参入処理を行うことで参入所要時間を短縮する.さらに,スロットマップを数スロット単位でまとめブロック化することでオーバヘッドを削減する.ネットワークシミュレーションによる評価により,提案方式の動作と性能を確認する.

2H-5 (時間: 16:45 - 17:10)
題名マルチホップセンサネットワークにおけるショートプリアンブルを用いたパケット衝突回避方式
著者*御園 恵子, 小室 信喜, 阪田 史郎 (千葉大学大学院融合科学研究科)
Pagepp. 572 - 578
Keyword省電力, 通信プロトコル
Abstractセンサネットワークは,バッテリ駆動で数年の稼動が必須条件となるため,省電力化が課題である.省電力化を実現する有効な手段の一つとして,パケットの衝突を回避することが考えられる.センサネットワーク向けのMACプロトコルとして,IEEE 802.15.4がある. IEEE 802.15.4ノンビーコンモードでは,省電力化のためにスリープ制御を行っている.しかし,トラフィックの増加などに伴い,シンクノード付近でのパケット衝突が発生する.それにより配信率の低下や消費電力の増大が引き起こされる.本稿では,IEEE 802.15.4ノンビーコンモードにおいて,ショートプリアンブルによりエンドデバイスの受信時刻を指定した後,ネットワークアドレスを用いてエンドデバイスのが送信時刻を決定することでパケット衝突を回避する方式を提案する.シミュレーションによる性能評価を行い,提案方式が高配信率を維持しながら低消費電力を実現することを示す.


セッション 3A  統一テーマセッション-人間行動理解に向けた新技術 -
日時: 2010年7月7日(水) 17:20 - 19:30
部屋: 朝陽の間3
座長: 寺田 努 (神戸大学)

3A-1 (時間: 17:20 - 17:50)
題名(招待講演) 人間行動理解のための装着型センサによる大規模データベース構築にむけて
著者*河口 信夫 (名古屋大学)
Pagepp. 579 - 582

3A-2 (時間: 17:50 - 18:15)
題名携帯情報端末による大規模行動収集システムの運用と基礎評価
著者*服部 祐一, 竹森 正起, 井上 創造 (九州工業大学), 平川 剛 (ネットワーク応用技術研究所), 須藤 修 (東京大学情報学環)
Pagepp. 583 - 590
Keyword行動解析, 行動収集システム
Abstract人間の行動が客観的に計測できるようになれば様々な応用が期待できる.例えば,医療分野に於いては生活習慣病の予防のために生活習慣を客観的に計測でき,農業分野に於いては農業従事者の行動記録を自動的に得ることができる.それにより,効率化を図ることができる. これまではこういった行動の計測は難しかったが,近年,3軸加速度センサを搭載した携帯情報端末の普及によりそれらが可能となりつつある.本稿では,行動を解析するための行動解析エンジンの構築を目標とする.行動解析エンジンの精度向上には,必要な教師データとして,行動種別,3軸加速度データ,その他の付加情報を収集する必要がある.本稿ではこれらを行動情報と呼ぶ.行動情報の必要な特徴は3つあり,1つは行動種別と3軸加速度データが正確に対応づけられているという点,1つは地域,対象人数等に最適な行動種別や,付加情報で構成されているという点,1つは,多数の行動情報を含むという点である.本稿では,開発した行動情報収集システムで得られたデータの基礎評価および,運用時の利用者の動機付け向上策について述べる.

3A-3 (時間: 18:15 - 18:40)
題名同期シナリオを用いてセンシング携帯端末と協調連携するアプリケーションフレームワークの提案
著者坂本 憲昭 (立命館大学大学院 理工学研究科), 坂本 一樹 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 名生 貴昭, *市川 昌宏 (立命館大学情報理工学部), 新井 イスマイル (立命館大学総合理工学部研究機構), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 591 - 601
Keywordセンサ, 携帯端末, ユーザコンテキスト, フレームワーク
Abstract近年,複数のセンサが搭載された携帯端末の普及によって,日常のセンサデータを収集する環境が整いつつある.収集したセンサデータをマイニングすることで,ユーザの行動における周期性の発見や未来の行動予測を行う研究や個人の状況に応じたサービスが可能になる.このようなコンテキストアウェアサービスが提案されるに伴って効率的にライフログデータのセンシング及び管理を行うためのフレームワークの研究が行われている. 従来,リアルタイム性を確保した上で,高負荷なマイニングを実現をすることが課題であった. そこで,本研究では課題を解決する手法として同期シナリオを用いてサーバ・クライアント間で同期スケジュールを共有することで協調連携するフレームワークを提案し、プロトタイプの実装を行った.今後は作成したサンプルアプリケーションに提案フレームワークを適用し,評価する.

3A-4 (時間: 18:40 - 19:05)
題名情動・感情判別のための自然発話音声データベースの構築
著者*酒造 正樹, 山本 泰史 (東京大学), 志村 誠, 門間 史晃, 光吉 俊二 ((株)AGI), 山田 一郎 (東京大学)
Pagepp. 602 - 609
Keyword音声データベース, 感情, 情動
Abstract本研究では,従来別々に扱われていた情動の「快-不快」分類と個別感情分類の両方を同時に扱い,その関係を分析した.自然状況での発話と,演技発話の2種類の音声を取得し,その音声に含まれる感情と情動を,自己評価,他者評価の2パターンで分類した.約100人の実験参加者から多様な自然発話を取得し,発話音声データベースを作成した.これを用いて,快不快情動の判別を行ったところ,80%程度の結果を得た.また,感情判別分析の結果,判別率は,自然発話音声を用いた場合,感情ラベルの数が6個と従来に比べて増えたにもかかわらず50%以上で得られた.

3A-5 (時間: 19:05 - 19:30)
題名Aquiba: Adaptable Human Probes for Urban Sensing
著者*Niwat Thepvilojanapong (三重大学), Shin'ichi Konomi, Yoshito Tobe (東京電機大学)
Pagepp. 610 - 619
KeywordHuman Probes, urban sensing, adaptive sensing, energy efficiency, sensing resolution
AbstractPortable sensory devices carried by humans, which are referred to as Human Probes, facilitate easy-to-use sensing and monitoring of urban areas. However, when each Human Probe individually senses and transmits information, the sensing activity is inefficient in terms of energy consumption. In this paper, we propose an Architecture of Quality-enhanced Urban Information Blending and Aggregation (Aquiba), in which the sensing and uploading activities carried out by the Human Probes are adjusted autonomously under different conditions. Aquiba involves cooperative sensing that helps in efficiently maintaining the desired sensing resolution while minimizing overall energy consumption. We use the ns-2 network simulator to validate the adaptability of Aquiba in various situations. The simulation results demonstrate that Human Probes are adaptable to a wide range of population density and different movement patterns of human.


セッション 3B  アドホックネットワーク(1)
日時: 2010年7月7日(水) 17:20 - 19:00
部屋: 朝陽の間1
座長: 神崎 映光 (大阪大学)

3B-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名固定ノード環境におけるMANETルーティングプロトコルの評価
著者*遠藤 零始 (公立はこだて未来大学大学院), 白石 陽, 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 620 - 628
KeywordMANET, 無線LANメッシュネットワーク, ノード配置
Abstract無線LANメッシュネットワークやセンサネットワークなど固定されたノード間でMANETのルーティングプロトコルを用いることがある.従来の研究からノードが高速移動時する場合にパケット到達率の低下や遅延時間の増加が発生し通信性能が低下するということは分かっているが,ノードが移動せずに固定されている環境における評価はほとんど行われていない.また,無線LANメッシュネットワークの規則的に配置することを前提に研究をしており,配置を条件とした研究は行われていない.筆者らは無線LANメッシュネットワークにおいてアクセスポイントが不規則に配置された環境を想定して研究を行い,規則的に配置された環境と比べ通信性能が低下することを認識していた.本稿では,ノードの配置条件を変えた環境のシミュレーション評価を行うことで,ノードが固定された環境でMANETルーティングプロトコルを適用した際の発生する問題を明確にし,パケット到達率と遅延時間を基準として性能評価を行う.

3B-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名無線メッシュ網における動的メトリック下でのループ削減手法LMRの提案
著者*吉廣 卓哉 (和歌山大学システム工学部)
Pagepp. 629 - 636
Keyword無線メッシュ網, アドホックネットワーク, 経路制御, 経路ループ, リンク状態型ルーティングプロトコル
Abstract近年、固定ノード間で無線通信を用いてマルチホップ通信を実現する無線メッシュ ネットワークの研究が盛んである。無線メッシュネットワーク上でOLSRのような リンク状態型ルーティングプロトコルが動作する場合に、動的にリンクメトリックを変更することで、ネットワーク上のトラフィックを適応的に通信帯域の余裕があるリ ンクに誘導し、ネットワークのスループットを向上する動的メトリック計算法が多数 提案されている。しかし、動的メトリック環境では、一時的な経路表の不整合により パケットのループが発生する問題があり、これを解決することが安定した無線マルチ ホップインフラを実現するための重要な課題の一つになっている。本研究では、動的 メトリック環境において各リンクのメトリックの変動量を一定以内に抑えることで、 ループの発生を削減する手法を提案する。

3B-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名アドホックネットワークにおけるゾーン重複のない複数経路構築手法の提案
著者*油田 健太郎, 江藤 大 (大分工業高等専門学校), 岡崎 直宣 (宮崎大学), 朴 美娘 (神奈川工科大学)
Pagepp. 637 - 644
Keywordアドホックネットワーク, 複数経路構築, ロバスト性
Abstract近年,モバイル端末のみで構成されるアドホックネットワークが注目されており, 様々なルーティングプロトコルが提案されている.我々は,これまでネットワークを 重なりのない正方形のゾーンに区切り,ゾーンレベルで重複のない複数経路を1回 のフラッディングのみで構築することができるZDMR(Zone Disjoint Multi-path Routing)を提案している.しかしながら,ZDMR については従来方式と比較した特 性に基づく評価は行っているが,定量的な評価ができていない.本論文では,シミュ レーションによりパケット到着率やパケット量などに関する定量的な評価を行う. その結果,提案方式は従来方式と比較して,ネットワークの接続性が高いことを示す.

3B-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名通信状態を考慮したアドホックルーティングプロトコルの検討
著者*森崎 明, 渡辺 晃 (名城大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 645 - 651
Keywordアドホック, MANET, OLSR, 通信状態, トラヒック
Abstract無線LANを標準搭載した携帯端末の普及に伴い,無線端末のみでネットワークを構築するモバイルアドホックネットワーク(MANET:Mobile Ad-hoc Network)の研究が期待されている.MANETで提案されている多くのアドホックルーティングプロトコルは,経路生成の際にTCPやUDPのトラヒック状況が考慮されていない.そのため,最短経路が複数存在する場合にはどの経路を選ぶかは実装に依存したものとなっている.本論文ではOLSR(Optimized Link State Routing)を拡張することにより,TCP,UDPそれぞれの特性を活かした経路選択が可能なアドホックルーティングプロトコルを提案する.


セッション 3C  情報流通と分散システム
日時: 2010年7月7日(水) 17:20 - 18:35
部屋: 倶楽部樹里苑
座長: 砂原 秀樹 (慶應義塾大学)

3C-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名P2Pネットワークにおけるコンテンツのグループ化に関する研究
著者*佐々木 拓也, 澤本 潤, 加藤 貴司 (岩手県立大学), 和田 雄次 (東京電機大学)
Pagepp. 652 - 658
KeywordP2P, ネットワーク, クラスタリング
Abstract近年,情報通信技術の発達に伴ない情報の多様化,多在化が急速に進んでいる.これらの情報は利用者によって使い方も様々である. そういった中,P2Pネットワークを利用した情報の共有への注目が高まり様々な方面で利用されている.P2P型システムは負荷が分散される,耐故障性が高いなどの利点がある. 構造化オーバーレイの代表的な方式としてDHTがある.DHTによって,特定ピアに負荷が集中することなく大規模なコンテンツ探索を実現し,アドホック性とスケーラビリティの両立を目指している.その為,DHTでは非常に少ないメッセージ数で検索を行うことができるが検索時に情報の識別子を指定しなければならない為,一度に複数のコンテンツ取得や,キーワードの部分一致などによる検索には不向きであるといわれている.このように,DHTは完全一致検索しか行えないといった欠点が存在する.完全一致のみの検索は利用者にとって検索の柔軟性が不十分である為,検索の利便性に欠けている. そこで,本稿ではP2Pネットワークを利用した検索を行う際に,利用者の利便性を向上させることを目的に,検索履歴と検索頻度を利用したコンテンツのグループ化手法とそのグループに基づく効率の良いコンテンツ検索法を提案し,シミュレーションによる評価を行う.

3C-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名適応型コンテンツ配信ネットワークの広域環境での実験評価
著者*宮内 雄太, 松本 倫子 (埼玉大学大学院理工学研究科), 吉田 紀彦 (埼玉大学情報メディア基盤センター)
Pagepp. 659 - 665
Keywordコンテンツ配信ネットワーク, DNSアクセス誘導, Flash Crowds
Abstract従来のCDNは静的に形成されるため,急激なアクセス集中により短時間のうちにサーバ負荷が急上昇する「Flash Crowds」と呼ばれる現象に効率的に対処できない. 本研究室では,Flash Crowdsに対抗し動的にネットワーク形態を変化させる適応型CDNとしてFCAN(Flash Crowds Alleviation Network)を提案しているが,先行研究の段階ではシミュレーションにとどまっていた. そこで,本研究はFCANを実ネットワーク上で検証することを目指した.そして,実験を行った結果,FCANを導入することでサーバの負荷分散が実現することを確認した.

3C-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名コンテンツ流通管理サービスを想定した埋込型ファイルトレースシステムの検討
著者*二星 賢次 (創価大学大学院工学研究科), 加藤 弘一 (創価大学工学部), 勅使河原 可海 (創価大学大学院工学研究科)
Pagepp. 666 - 672
Keywordファイルトレース, 電子透かし, コンテンツ流通, 著作権管理
Abstract近年,音楽や動画などのデジタルコンテンツが普及し,ネットワークやリムーバブルメディアなどを介して流通されている.現在,デジタルデータの流通管理技術は様々存在する.しかし,既存技術では,管理対象ネットワーク外に流出して再び戻ってきた場合に流通の追跡が困難,あるいはコンテンツの多様な流通形態に未対応などの問題がある.本研究室ではこれまで,デジタルデータに流通経路情報を埋め込むファイルトレースシステム,および本システムにおいて埋込情報の改ざんを検出し,より正確な経路情報を収集する仕組みを検討してきた.そこで本稿では,本方式で未対応である流通手段や,コンテンツの埋込情報の改ざんを検出・防止するために必要な埋込方法などの課題とアプローチについて述べる.


セッション 3D  社会システム
日時: 2010年7月7日(水) 17:20 - 19:00
部屋: 如月
座長: 吉野 孝 (和歌山大学)

3D-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名就職支援サイトの一元管理システムの提案
著者*古谷 脩, 服部 哲, 速水 治夫 (神奈川工科大学情報学部情報メディア学科)
Pagepp. 673 - 676
Keyword就職支援サイト, Web Database, スケジュール管理, メール管理
Abstract就職を希望する学生はほとんどの場合就職活動を行う.就職活動では企業ごとのwebページや志望している企業が登録している就職支援サイトから求人情報を得て,企業を選び志望企業へエントリーを行う.それらweb上に点在する企業情報を管理する方法はサイトごとに異なっており,各企業の情報管理は就職活動を行う学生にとって大きな負担となる.本研究では主にスケジュールを管理するカレンダーと情報を管理する機能を連動させ,一つのシステムとして管理することでそれらに掛かる負担を軽減することを目的とした.

3D-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名市民活動団体のWebサイト上の活動場所情報の自動収集システム
著者*服部 哲 (神奈川工科大学情報学部情報メディア学科), 五百蔵 重典 (神奈川工科大学情報学部情報工学科), 速水 治夫 (神奈川工科大学情報学部情報メディア学科)
Pagepp. 677 - 682
Keyword市民活動団体, 活動場所, Web, 自動収集, 地図
Abstract近年,市民活動団体においてもWebは情報収集や発信のための非常に重要なツールとして位置付けられている.しかし現状では,各団体がそれぞれのWebサイトで情報発信しているため,どこでどのような活動が行われているかを把握することが困難である.そこで本論文では,市民活動団体のWebサイトから活動場所情報を自動収集する方法を提案し,提案手法に基づくシステムの試作と評価について述べる.本システムでは,無数に存在するWebサイトから市民活動団体のWebサイトを選択し,各サイトからWebページの構造や地図の有無などの情報を利用して活動場所情報を抽出する.試作システムの評価の結果,市民活動団体のWebサイト上で発信されている活動場所情報を1つの地図上に集約するシステムの有効性が示唆された.

3D-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名環境行動促進システム“エコまめ”の提案と地域コミュニティへの適用
著者*田仲 理恵, 土井 伸一, 小西 琢, 吉永 直生, 板谷 聡子, 山田 敬嗣 (日本電気株式会社 C&C イノベーション研究所)
Pagepp. 683 - 690
Keywordグループウェア, ソーシャルインタラクション, モバイルエージェント, 可視化, 行動変容
Abstract人々の日常行動の中には,近年問題視されている環境保護に関する活動や,選挙時の投票行動のように,一人ひとりの影響は小さくとも,それが集まれば環境や社会全体が変わる行動がある.しかし,自身の行動の影響が実感できない,周囲の人々の行動の様子がわからないなどの理由で実施できない人も多くいる.我々はそういった行動の実施,またはすでに行っている行動の更なる促進を目指しており,環境を例にとって,人々の行動の可視化による行動促進システム“エコまめ(Eco-MAME: Ecological platform for Motivating Activities with Mutual Effect)”の構 築を目指している.本研究では,可視化に必要な要素を抽出し,それらを実装したWeb サイトを用いて地域コミュニティで社会実験を行った.その結果,自身と他者の行動の可視化と実際の行動の間に正の相関があることが明らかになった.本稿では社会実験の結果を報告し,行動・情報の可視化と個人適応という要素を持つエコまめのシステムアーキテクチャの全体像について述べる.

3D-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名電子トリアージタグを用いた災害医療訓練システムの提案
著者*小嶋 洋明, 長橋 健太郎 (慶應義塾大学大学院理工学研究科), 岡田 謙一 (慶應義塾大学理工学部/JST, CREST)
Pagepp. 691 - 698
Keywordトリアージ, 生体情報, 災害訓練, 無線センサネットワーク
Abstract大規模災害時に多数の傷病者が発生した場合,緊急度が高く助かる見込みのある傷病者を選別するトリアージと呼ばれる手法が災害時の救命活動に導入されている.現在トリアージには紙製のタグが利用されているが,そのタグを電子化することでセンサネットワークを構築し,傷病者情報を収集する研究が行われている.タグが電子化されてからも迅速かつ的確な救命活動を行うには,普段から訓練を重ねておくことが重要である.しかしながら,電子化されたトリアージタグを用いた災害訓練法はまだ実現されていない.そこで我々は,電子トリアージタグを用いた災害医療訓練システムを提案し,構築した.本システムでは,まず訓練で使用する傷病者情報や搬送情報のシナリオ作成を支援する.そして,傷病者役の人に取り付けられた電子トリアージタグに傷病者の生体情報を擬似的に発生させ,それを収集し監視することで,変化する生体情報を考慮したより実践的な災害医療訓練の実現を目指す.


セッション 3E  グリッドコンピューティング
日時: 2010年7月7日(水) 17:20 - 19:25
部屋: 弥生
座長: 佐藤 文明 (東邦大学)

3E-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名高遅延環境における分散ファイルシステムHadoopの動作解析
著者*百瀬 明日香, 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 699 - 704
Keyword情報爆発, Hadoop, 分散ファイルシステム, 高遅延環境
Abstract情報爆発の現代における企業や個人のデータ処理の負荷とストレージコストの問題に応える手法として,コモディティなハードウェアを用いて高度な集約処理を行う分散ファイルシステムに注目が集まっている.本研究では,自然災害やテロなどの大規模なデータ損失に対応したバックアップが可能である広域分散環境における分散ファイルシステムの運用に着目し,高遅延環境を含む実装における性能評価を行った.このような分散ファイルシステムのプラットフォームとしてGoogle社のGoogle File System(以下GFS)を採用し,このオープンソース版であるHadoop Distributed File System(以下HDFS)を実験環境として使用した.Rocksをインストールしたクラスタ上でまず初めに基本性能を測定した結果,HDFSの性能,MapReduce性能ともに構成ノード数を増やすと処理時間が減少することが確認された.続いて人工遅延装置Dummynetを導入し,広域環境を模した高遅延環境下で測定を行った結果,HDFS性能,MapReduce性能ともに,特にread処理において遅延の影響が顕著であることが分かった. またパケット・アナライズ・ソフトウェアWiresharkを使用して,Namenodeと各Datanode間のパケット通信の振舞を調べた結果,read処理における実行時間の矛盾に関してreadプログラムのReduceプロセスにおける大きな時間短縮が原因の一つであることが分かった.今後はより詳しいパケット解析やHDFSのソースコード解析などを行い,高遅延を含む実装でのHadoopの振舞を調べ,結果から性能向上のための手法を提案したい.

3E-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名クラウドリソースを使用したデータ処理負荷分散のためのミドルウェア開発
著者*豊島 詩織 (お茶の水女子大学), 山口 実靖 (工学院大学), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 705 - 711
Keyword仮想化, クラウドコンピューティング, iSCSI, リモートストレージアクセス
Abstract高度IT社会の進展に伴いデータの管理やITコストの問題が深刻になっている. より効率的なデータ処理システムが望まれる中,データインテンシブアプリケーションにおいて,手元のクラスタ使用状況を観察し,リソースが不足している場合は外部のクラウドリソースを動的に使用する,クラスタのスケーラブルな運用のためのミドルウェア構築を目指す. クラスタを仮想マシンPCクラスタとし,そのネットワークストレージにSAN(iSCSI)を導入することで,サーバとストレージ間の広域環境における通信を低コストで実現できる他、動作中のアプリケーションの状態を維持したまま仮想マシンを別のノード上へマイグレーションしたり,サーバとストレージの位置を分離したリソースの柔軟な調達が可能となる. 本稿においてクラウドには商用のクラウドサービスであるAmazon EC2を用い,クラスタの負荷状況に応じてジョブを振分けるミドルウェアを構築した.

3E-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名仮想マシンを利用したHadoopクラスタ実行時のホストOSへの影響に関する評価
著者*山邉 大樹 (福岡大学大学院工学研究科), 奥村 勝 (福岡大学総合情報処理センター)
Pagepp. 712 - 717
Keyword仮想化, Hadoop, 性能評価, 教育用PCシステム, MapReduce
Abstract本論文では既存の教育用PCシステムを利用し,通常のPC利用と分散処理実行の2つのサービスを共存させるための検討, 考察を行う.大規模なデータで分散処理を行った場合, ディスクIOにかかる負担や計算ジョブによるPCの負荷が高くなり, ユーザーの操作性や処理に影響を及ぼす可能性があると考えられる. 今回, 通常のPC利用と分散処理のためのHadoop処理の2つを共存実行する方法として仮想化技術を用いる方法と用いない方法とで検証した.仮想化技術の利用の有無により分散処理がPCへ与える負荷や, 教育用PCシステムとしてのサービスに及ぼす影響や分散処理性能に及ぼす影響を検討, 考察する.

3E-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名処理率局所追加型待ち行列システムを用いたクラウドコンピューティングサービスにおけるリソース提供システムの検討
著者*日下 太智, 奥田 隆史, 井手口 哲夫, 田 学軍 (愛知県立大学)
Pagepp. 718 - 721
Keywordクラウドコンピューティング, グリーンICT, 待ち行列, リソース, 効率化
Abstract近年ICT 機器の設備投資費や電力費などのランニングコスト削減,グリーンICT の技術としてクラウドコンピューティングサービス(以下クラウド)が注目されている. クラウドとは,CCSP(Cloud Computing Service Provider)が拡張性に優れ,抽象化された巨大なリソース(サービスの処理をおこなうサーバやストレージなど)を,インターネットを通じて提供するサービスである. CCSPにとって,新たなリソースを増やすことなく制限されたリソースの量の範 囲内でサービスを提供することは,ランニングコスト削減,リソースによる温暖化ガス排出量の抑制という2点について重要である. そこで本稿では,クラウドの特徴を生かし,ユーザの要求に応じて一時的にリソースを追加するシステムについて, 待ち行列モデルを用いて検討をおこなう.

3E-5 (時間: 19:00 - 19:25)
題名モバイルスレッドを用いたGRIDの動的負荷分散
著者*宮下 雅哉, 松本 倫子 (埼玉大学大学院理工学研究科), 吉田 紀彦 (埼玉大学情報メディア基盤センター)
Pagepp. 722 - 727
KeywordGRID, 動的負荷分散, モバイルスレッド
AbstractGRID における重要な課題として,計算資源の効率的利用がある. この問題に対して,計算ノードの処理能力の違いを加味したジョブの分割・割り当てが有効ではあるが,このような手法はジョブの処理コストの事前予測を前提としており,適用困難な問題が多い. そこで本稿では,実行中のジョブを計算ノード間で動的に再配置し,負荷分散を実現する手法を提案する. モバイルスレッドを用いることで,実行中のジョブの動的な移送が可能となり,処理コストの事前の予測が困難な問題に対しても,自律的な負荷分散を行えるシステムとなる. 実験を通して,ジョブの処理コストの不均衡が大きい場合において,ジョブの移送による動的な再配置が負荷分散に有効であることを示す.


セッション 3F  安全技術とトラスト
日時: 2010年7月7日(水) 17:20 - 19:25
部屋: 和風
座長: 野秋 浩三 (NTTドコモ)

3F-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名一般ユーザのマルウエア感染のリスクに関する一考察
著者*東 結香, 猪俣 敦夫, 藤川 和利 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 砂原 秀樹 (慶応義塾大学メディアデザイン研究科)
Pagepp. 728 - 734
Keywordリスク, マルウェア感染, 情報漏洩
Abstract近年、コンピュータは社会に浸透する一方、同時に個人情報の流出やコンピュータを乗っとられ勝手に使用されるといった脅威にさらされている。これらの脅威に対して、企業ではISMS取得や情報漏えい事故を起こさないために、リスクアセスメントが盛んに行われているが、一般ユーザ向けのリスクというのは考えられていない。そのため、一般ユーザはインターネットの脅威について”危ないらしいがよく分からない”という漠然とした不安を持っている。そこで本論文では、一般ユーザのマルウェア感染のリスクを対象として、リスクの定量化を行うモデルを提案する。具体的には、現在の市場での情報の価値及びリソースの価値というものを金銭的に算出し、自然災害のリスク評価のモデルを拡張し、マルウェアの感染リスク評価モデルを提案し、考察を与える。

3F-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名視線誘導型なりすまし検知方式の検討(その2)
著者*高田 愛美, 鈴木 徳一郎 (静岡大学大学院情報学研究科), 山本 匠, 西垣 正勝 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 735 - 742
Keywordなりすまし検知, 視線, 興味
Abstractユーザ認証とは,本来,単なるサービス利用開始時の「不正アクセス検知」として実施されるものではなく,ユーザがサービスを利用している全期間中の「なりすまし検知」として機能するべきものである.キーストロークなどの個人の挙動特性を用いたなりすまし検知方式が研究されているが,人間の動作は基本的に曖昧であるため,表層的な挙動特徴だけでなく,ユーザの心理的な側面を考慮した挙動特徴を捉えていくことが肝要である.著者らは既に,ユーザの興味対象に対する視線の動き(眼球運動)に着目し,ユーザの顔画像を用いたたなりすまし検知方式を提案している.基礎実験から「ユーザは他人の顔よりも自身の顔に視線が誘引されやすい」という傾向が確認されたが,正規ユーザの「顔」は不正者も取得しやすい情報であるため,なりすまし検知方式としては不完全であった.本稿では,実在しない人物の顔画像を用いることにより,既存方式の改良を行なう.

3F-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名ネットワークコミュニケーションに伴う不安調査結果について
著者*山本 太郎, 千葉 直子, 間形 文彦, 高橋 克巳 (日本電信電話株式会社 NTT情報流通プラットフォーム研究所), 関谷 直也, 中村 功 (東洋大学 社会学部), 小笠原 盛浩, 橋元 良明 (東京大学大学院 情報学環)
Pagepp. 743 - 747
Keyword安心, 不安, ネットコミュニケーション, CGM
Abstract手紙,電報,電話.離れた人と人を線で結ぶテレコミュニケーションは,やがてインターネットを代表とする広域ネットワークを介した面のコミュニケーションへと進化した.だが,これほど浸透しているのにも関わらず,果たして人々は電話のように安心してネットワークコミュニケーションを行えているのであろうか.我々は予備調査を元に,不安の軽減による安心の獲得を目指し,ネットワークコミュニケーションにおける不安に関する質問紙調査を実施した.本論文では,その結果の一部を紹介するとともに,不安の大きさと年齢やトラブル対策度合いなど各種要因との関係について分析した結果を示す.

3F-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名情報セキュリティ技術に関する安心感の質問紙調査の項目検討のための予備調査
著者*西岡 大, 藤原 康弘, 村山 優子 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 748 - 754
Keyword安心, 質問紙調査, 因子分析, 予備調査
Abstract本研究では,情報セキュリティ技術に対する安心の要因を,質問紙法及び因子分析を用いて抽出しモデルの構築を行ってきた.しかし,因子分析は変数の関係をもとに共通する因子を抽出する手法であり,変数である質問項目が不足していると因子がうまく抽出できず,抽出すべき因子を見逃してしまう可能性がある.そこで,本稿では,本研究で利用してきた質問紙の再検討をブレーンストーミングとKJ法を用い試みた.調査の結果,7つの要因がある事が判明し,新しい質問項目の候補として2つの要因が存在することが判った.この結果を基に,新たな質問紙を作成し,作成した質問紙を利用して予備調査を行った.その結果,3因子に分類することができたが,質問紙の修正を行う必要があることが判った.

3F-5 (時間: 19:00 - 19:25)
題名トラックドライバの安心に関する質問紙調査の分析
著者*藤原 康宏 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部), 永吉 孝行, 西山 義孝 (UDトラックス), 村山 優子 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 755 - 760
Keyword安心, トラスト, 質問紙調査, 安全運転
Abstract安全運転を支援するために,様々な安全技術やそれを実装した車両が開発されている.しかし,安全な車社会を実現するためは,安全技術のみで解決できない人間的な要因があると考えられる.本研究では,その人間的な要因をトラストの概念から明らかにするために,安全運転に対してドライバが感じる安心感の要因について調べるための質問紙調査を実施した.探索的因子分析の結果,安心感の要因として,「運転環境」,「リスクのある状況」,「車両の不調」,「運転者の初期状態」の4つの因子が抽出された.


セッション 3G  情報提示
日時: 2010年7月7日(水) 17:20 - 19:25
部屋: 緑風の間1
座長: 須山 敬之 (NTT)

3H-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名パノラマビューアにおける大量コンテンツの効果的な表示方法の提案
著者中島 弘貴, *安部 陽平 (立命館大学情報理工学部), 新井 イスマイル (立命館大学総合理工学部研究機構), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 783 - 790
KeywordCMS, フィルタリング
Abstract実世界上の物や場所に関するコンテンツを管理するシステムとして,実世界指向CMS(Contents Management System)と呼ばれるユーザがより直感的にコンテンツの位置や意味を理解できるような情報提供システムが提案されている. その内の一つであるGooraffitiは,全方位カメラで撮影されたパノラマ写真を3次元空間に形成した球面上に展開したパノラマビューアに,コンテンツのリンクをマッシュアップしたものをクライアントとしている. これにより,まるでその場所に居るかのような臨場感で情報を取得することができる. Gooraffitiでは,パノラマ写真を撮影した地点の周辺に実際に存在する物や場所に関するコンテンツ(店舗名,住所,コメント等)へリンクさせるアイコンを,パノラマ写真上に重量表示している. しかし,建物に隠れて本来見えないはずのコンテンツもそのまま表示されており,正しい実空間表現ができていないという問題が存在する. また,Gooraffitiではコンテンツの奥行きをアイコンの大きさによって表現しているが,それだけでは3次元空間におけるコンテンツの正しい位置をユーザが認識することは難しいといった問題も存在する. そこで本論文ではパノラマビューア上におけるコンテンツ描画に対し,表示するコンテンツの選定方法とコンテンツアイコンの描画方法の両面から検証し,より直感的にコンテンツを理解できる新しいインタフェースを提案する. 表示コンテンツの選定方法は,コンテンツの紐付いた場所が道路周辺か否かという位置関係をもとに,本来ユーザから見えるはずのコンテンツと見えないはずのコンテンツを区別し,それぞれのコンテンツに対しパノラマビューア上に表示するか否かの選択を可能とした. コンテンツアイコンの描画方法は,ユーザがコンテンツの位置関係を把握し易いように3次元空間に新たな道路とコンテンツアイコンを描画し,俯瞰的な表示を選択可能とした. また,コンテンツアイコンから道路に対する垂線を描画し,表示コンテンツの奥行きについての位置関係を把握可能とした. 評価として,従来のコンテンツの選定手法と本論文の提案する選定手法について,表示コンテンツの妥当性,理解の容易さに関してそれぞれ比較を行ったところ,パノラマビューの視点が存在する道路に紐付けられたコンテンツを区別して表示する方法では,本来見えないはずのコンテンツ表示数の大幅な削減に成功した. また,視覚的には位置の認識が困難となる同様の大きさの複数のコンテンツアイコンから,道路に対する垂線の描画を行い評価したところ,3次元空間における表示コンテンツの正確な位置を認識可能としたことによりビューへの理解度の向上が見受けられた. その他に,利用したシステムの実現性を確認するために,単純な範囲検索時のコンテンツ,パノラマビューの視点が存在する道路周辺に紐付けられたコンテンツ,コンテンツアイコンから道路に対する垂線に関して,それぞれ表示コンテンツ数を変化させ描画時間の計測を行ったところ,表示コンテンツの数が増加しても実利用に問題のない描画時間であることを確認した. よって,本論文の提案手法によってパノラマビューア上のコンテンツ表示性能は向上したことが分かった。

3H-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名多義性がある危険情報の提示による化学実験の安全技能向上支援システム
著者*宗官 祥史, 稲川 暢浩, 西條 洸介 (東京農工大学 工学府 情報工学専攻), 江木 啓訓 (東京農工大学 総合情報メディアセンター), 品川 徳秀, 藤波 香織 (東京農工大学 工学府 情報工学専攻)
Pagepp. 791 - 800
Keyword多義性がある情報提示, その場作業の安全訓練, ユーザの独立促進支援, テーブルトップアプリケーション, コンテクストアウェアネス
Abstract本論文では,化学実験初心者のための安全技能支援のために3種の多義性(意味的多義性,空間的多義性,時間的多義性)を用いた危険情報の提示を行うタンジブルなテーブルトップアプリケーションを提案し,多義性を実現することができるプロトタイプシステムであるA3(エーキューブ:Alerting Accidents with Ambiguity)を開発し,評価実験を行った.評価実験では,被験者8名にA3を使用してもらい,SUS(System Usability Scale)と独自アンケートによってシステムユーザビリティ評価を行った.結果として,A3は被験者に対して複雑に動作しているように感じさせず,また機能が一貫している印象を与えたことによって被験者は使い勝手について悪い印象を抱かなかった.一方,卓上認識の誤動作によって被験者に同じ作業を繰り返し求めることがあったため,たびたびシステムを使いたいと思わせる点においては十分な評価を得ることができなかった.今後の方針としては,3種の多義性の定義と設計を盤石なものにして行き,それと同時に上質な状況認識方法を検討しつつA3の改良を進めていく.

3H-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名Light footprint:時間的・空間的位置情報を考慮したオンラインのつながり提示システム
著者*綾木 良太 (同志社大学大学院工学研究科情報工学専攻), 島田 秀輝 (同志社大学理工学部), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院工学研究科情報工学専攻)
Pagepp. 801 - 807
Keyword位置情報システム, モバイルコンピューティング
Abstract近年,インターネットへの接続環境の増加とともに,インターネット上での交友関係であるオンラインのつながりを持つ機会が増加しており,現実空間における交友関係であるオフラインのつながりが希薄になってきている.位置情報サービスは,現実空間と強い関係性を持つため,オンラインのつながりをオフラインのつながりに発展させる可能性を持つ.しかし,位置情報サービスでは,主にユーザの過去の行動履歴に注目してサービスを提供していることと,個人を特定できないことが問題となり,オフラインのつながりを持つことは困難である.本研究では,ユーザのオンラインのつながりをオフラインのつながりに発展させるために,過去,現在,未来におけるユーザの位置情報を一元的に管理し,足跡メタファを用いて現実空間に提示するLight footprintを提案する.本稿では,提案方式のソフトウェア構成とデータベース設計を示し,プロトタイプ実装と評価を行った.評価では,システムの一連の動作であるユーザがLight footprintを利用してから,そのユーザのオンラインのつながりを提示するまでの応答時間を計測し,実運用上問題がないことを確認した.

3H-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名属性付き位置情報ログが示す行動特性と消費傾向の関係
著者*飯尾 淳, 吉田 圭吾, 小池 亜弥, 清水 浩行, 白井 康之 (株式会社三菱総合研究所), 桑山 晃一, 栗山 桂一 (株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ), 小浪 宏信, 高山 隼佑 (株式会社電通イーマーケティングワン)
Pagepp. 808 - 815
Keyword位置情報, 行動特性, GPS, 携帯電話
AbstractGPS機能を内蔵したモバイル機器の普及により,属性情報付きの 位置データを大規模に収集することが容易になった.オンライン アンケートで消費者の消費傾向や属性を取得し,個人情報保護に 配慮したうえでアンケート結果と位置情報ログを結びつけること によって,実際の行動と消費意欲の関係を分析することができる. 今回,首都圏において約1,800名の参加者を募って1ヶ月弱にわた り実験を実施した.その結果,参加者の意識は実際の行動に反映 されていることが明らかとなった.

3H-5 (時間: 19:00 - 19:25)
題名センサデータと画像ストリームによるライフログのアプリケーションを用いたデータ品質の評価
著者*岩木 紗恵子 (お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科理学専攻情報科学コース), 村瀬 勉 (NECプラットフォーム研究所), 小口 正人 (お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科)
Pagepp. 816 - 823
Keywordライフログ, センサネットワーク, 画像ストリーム, ミドルウェア, 品質評価
Abstract近年, ライフログが注目を集めている. デバイスやネットワーク技術の発展により,ライフログのような大量のデータを収集することは比較的容易になったが, 蓄積されたデータを有効に活用することが出来ていないのが現状である. そこで, 本研究では, ライフログのデータを活用するために, アプリケーションが必要とするデバイスと品質を指定してライフログのデータを利用することができるミドルウェア環境の構築を行う. 本論文では, ライフログから情報抽出を行うアプリケーションの例として, 現在開発が行われているセンサデータや画像ストリームなどの収集したデータから人間の行動を言語化するアプリケーションを取り上げた. ライフログを高度なデータ処理を 行うアプリケーションに適用するためには, データを収集や蓄積する際の品質の管理が重要になるため, アプリケーションが必要とするデータの品質を見極める評価を行い, その結果を報告する.


セッション 3H  センサーネットワーク(2)
日時: 2010年7月7日(水) 17:20 - 18:35
部屋: 緑風の間2
座長: 斉藤 裕樹 (東京電機大学)

3G-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名階層化ドロネーオーバレイネットワークを用いた空間補間のためのセンサ観測値収集手法
著者*四之宮 潤 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 寺西 裕一 (大阪大学 大学院情報科学研究科/独立行政法人情報通信研究機構), 春本 要 (大阪大学 大学院工学研究科), 竹内 亨 (独立行政法人 情報通信研究機構), 西尾 章治郎 (大阪大学 大学院情報科学研究科)
Pagepp. 761 - 768
KeywordP2P, センサネットワーク, 地理情報システム, 空間補間, 観測値分布
Abstract本研究では広域に大量かつ高密度でセンサが配置され,P2P ネットワークにより各 センサが相互接続されている環境において,センサから得られる観測値情報に対して, 指定した等値線幅で等値線図を取得するための効率的なデータ収集法を提案する.一 般に,離散的な観測点を持つセンサ情報の集合から指定領域の観測値分布を再現する には空間補間手法が用いられる.しかし,地理的に近いセンサ観測値は類似する可能 性があるため,対象領域に大量にセンサがある場合,空間補間のために全てのセンサ 観測値を収集することは冗長である.既存手法として,等値線付近のセンサ観測値の み収集する手法や,複数の密度で地理的に一様にセンサ観測値を収集する手法がある が,前者は特に等値線が密な領域で冗長となり,後者は収集するセンサ観測値が疎な 場合に特徴点を取りこぼしてしまう可能性,密な場合には冗長となる可能性があると いう問題がある.そこで,本研究では,冗長な情報を排除しつつ,少ないメッセージ数 で精度のよい等値線図を再現する方法として,階層化ドロネーオーバレイネットワー ク(HDOV) を拡張し,観測値を階層的に集約した上で,特徴点に存在するノードへ 検索メッセージを転送する観測値収集手法を提案する.シミュレーション評価の結果, いくつかの特徴点がある分布において,提案手法は指定詳細度が小さい場合にも区間 の誤差を3 以下に抑えられ,HDOV に対してセンサ観測値数を38%,メッセージ数 を56%に抑えられることが確認できた.

3G-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名有線/無線相互補完通信プロトコルの開発と評価
著者*栗山 央 (静岡大学創造科学技術大学院/自然科学系教育部自然科学専攻), 小幡 憲司, 澤田 尚志 (静岡大学大学院情報学研究科), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 水野 忠則 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 769 - 777
KeywordPLC, WSN, Overlay, Sensor network
Abstract近年、人的活動が消費するエネルギーを、センサネットワークを用いて可視化、最適化するための仕組みが注目されている。我々は、家屋やビルデイングにおけるエネルギーオートメーションシステム、Home / Building Energy Management System( HEMS/BEMS )に着目し、人々のライフスタイルに合わせて、高度なオートメーション制御を実現する、適応型HEMS/BEMS を提案する。 適合型HEMS/BEMS では、異なるベンダ間のセンサやアクチュエイターが、ヘテロジニアスなネットワークにおいて、相互通信可能である。また、センシングデータはマイニングされ、各人のライフスタイルに合わせて最適なオートメーション制御が実行される。 加えて、我々は適応型HEMS/BEMS に最適なセンサネットワークの形態を提案する。それは、無線と有線の二つの異なる通信メディアを相互補完的に利用し、互いの通信メディアを相互補完的に利用可能なセンサネットワークである。我々はこのようなセンサネットワークを、Mutually Complementary Overlay Sensor Network (MOSN) と呼ぶ。 MOSN では、有線メディアと無線メディアを相互補完的に利用することで、通信範囲を拡大することが可能であり、冗長性の確保に伴う通信頼性の向上、およびネットワークライフタイムの長期化を達成することができる。 我々は、MOSNを実現するために、いくつかの評価ボードを開発し、それらの評価ボードを用いて、実際に適応型HEMS/BEMS のプロトタイプ・センサネットワークおよびMOSNのプロトタイプ・センサネットワークを構築し、これを評価した。

3G-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名広域センサネットワーク活用システムのための信頼性確保アーキテクチャ
著者*山内 正人 (慶應義塾大学/NICT), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学/奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 778 - 782
Keywordセンサネットワーク, 信頼性, 分散処理, アーキテクチャ
Abstractセンサからデータを収集し、利活用するシステムが増えている。 しかし、利活用するためにはセンサの信頼性が重要となる場合がある。 本論文では、広域センサネットワークにおいて、リアルタイムでデータ異常の検知を行うための アーキテクチャの提案を行った。 提案では地理位置に基づいてデータを分散管理し、その上で多属性検索が可能な手法を適用した設計を行った。 その環境上で各ノードに筆者らが既に提案した信頼性確保システムを配置した。 提案アーキテクチャがリアルタイムでデータ異常の検知を行えることを確認するために、地理位置に基づいてデータを管理し、 信頼性確保システムを配置した場合と地理位置に関係なくデータを管理し、配置した場合の検知処理時間について計測を行った。 実験の結果提案アーキテクチャが局地的現象にも対応可能な時間間隔、密度で信頼性を確保してリアルタイムに情報収集を行えることを確認した。



2010年7月8日(木)

セッション 4A  遠隔教育と教育支援
日時: 2010年7月8日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 朝陽の間3
座長: 大平 雅雄 (奈良先端科学技術大学院大学)

4A-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名プログラミング特有表記を利用したソースコードアニメーション自動生成手法
著者*菊川 真理子 (北陸先端科学技術大学院大学/知識科学研究科), 井上 亮文 (東京工科大学/コンピュータサイエンス学部), 金井 秀明 (北陸先端科学技術大学院大学/知識科学教育研究センター), 星 徹 (東京工科大学/コンピュータサイエンス学部)
Pagepp. 824 - 831
Keyword講義支援, コンテンツ自動生成, プログラミング支援, モバイル学習, 動画生成
Abstract本研究では,ソースコードの解説動画自動生成システムを提案する.本システムでは,講師は簡単な書式に従ってプログラミング講義の解説用スライドを作成し,システムへ入力する.システムはスライド中のソースコード部分からコメントや関数といった箇所を画像として抽出する.これらの画像を組み合わせ,プログラムの動作を解説する動画を自動生成する.この際,携帯端末での視聴も可能なようにズーム・パン・チルトを駆使したカメラワークを適用する.講師は講義用スライドを流用できるため,動画教材を別個に作成する必要がない.学生は通学電車の中などでPCを用いずともプログラムの動作を確かめながら復習できる.

4A-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名板書の強調を利用した復習用講義動画コンテンツの自動生成
著者*井上 亮文, 品田 良太, 市村 哲, 星 徹 (東京工科大学 コンピュータサイエンス学部)
Pagepp. 832 - 840
Keyword教育, 復習支援, Web-Based Education

4A-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名演習講義動画における他者の視聴プロセスのリアルタイム共有
著者*堀口 悟史 (慶應義塾大学大学院理工学研究科), 井上 亮文, 星 徹 (東京工科大学コンピュータサイエンス学部), 岡田 謙一 (慶應義塾大学理工学部情報工学科)
Pagepp. 841 - 844
Keyword講義動画, 視聴プロセス, 復習コンテンツ

4A-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名U-MOS: 各種情報の収集・編集・表示機能を有する大学運営業務支援システム
著者*田岡 智志, 高藤 大介, 渡邉 敏正 (広島大学)
Pagepp. 845 - 854
Keyword大学運営支援, Webシステム, CGI
Abstract大学などの部局運営における業務の大半は,教職員や学生などの構成員か ら種々のデータを収集し,それを編集するといった作業であり,これに膨 大な時間や労力が費されている.例えば,学生による授業評価アンケート などの各種アンケート収集,卒業研究,修士研究などの題目や概要の収集, 教員の活動状況調査(業績リストの作成や様々な活動記録の集約),中期 計画や長期ビジョンなどの原案提示や意見集約,などが代表的な例である. 筆者らは,これら種々のデータを収集し,所定のフォーマットに編集/表 示する汎用メタシステム U-MOSを開発している.実際に,U-MOSを工学研 究科用にチューニングしたシステムENGSYS により,上記の作業に関して 6年以上に渡って広島大学大学院工学研究科の運営を支援してきた.本稿 では,ENGSYSに重点をおいてU-MOSの概要を報告する.


セッション 4B  アドホックネットワーク(2)
日時: 2010年7月8日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 朝陽の間1
座長: 神崎 映光 (大阪大学)

4B-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名すれ違い通信における複数の移動パターンを考慮した情報伝搬特性の評価
著者*末廣 創, 佐藤 文明 (東邦大学大学院理学研究科情報科学専攻)
Pagepp. 855 - 862
Keywordすれ違い通信, 無線ネットワーク, アドホックネットワーク, DTN, 情報伝搬
Abstract携帯端末同士が近接するたびに情報交換する「すれ違い通信」という通信方式が使われるようになってきた。この通信は、身近にいる端末同士で情報を交換するもので、ゲーム機での地図情報交換や電子チラシの配布などに応用できる。すれ違い通信での通信回数は端末の消費電力に影響するので、より少ない通信回数でより多くの端末に情報を配布できることが望ましい。この論文では、すれ違い通信を利用した環境において、より少ない通信回数で情報を伝搬させる方法を提案する。提案方式では、端末の過去の移動エリアに関する情報を使うことで、できるだけ広い地域に情報を伝搬してくれる端末を選んで情報を送信することとした。シミュレーションの結果、提案方式は端末の情報を用いない方式と比較して、優れた伝搬特性を持つことを確認した。

4B-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名信頼度と端末間の相対位置に関する制約条件を利用したMANETの端末位置推定方式
著者*安原 洸一 (東邦大学大学院理学研究科情報科学専攻), 佐藤 文明 (東邦大学理学部情報科学科)
Pagepp. 863 - 869
Keyword位置推定, 電波強度, MANET, 信頼度, 相対位置関係
Abstract屋内でのノード位置推定のために、無線LANを利用したノードの位置推定方式が提案されている。周囲のノードの位置を使ったレンジベースの推定方式では、周囲のノードが3点以上推定されていないとの位置を推定できなかった。本研究では、端末が存在できない領域を除くことで、2点、あるいは1点から端末の位置を推定する方法を提案する。また、推定された位置情報の信頼度を導入することで、なるべく信頼度の高い隣接ノードの位置情報から位置を推定することができる。シミュレーションによって推定誤差と推定可能なノード数を評価した。その結果、提案方式が推定可能なノード数においてレンジフリー方式と同等であり、推定誤差はレンジフリー方式より優れていることを示した。

4B-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名階層型Network Codingを用いたアドホックネットワークの設計と評価
著者*寺島 美昭, 清原 良三, 河東 晴子 (三菱電機(株)/情報技術総合研究所)
Pagepp. 870 - 878
KeywordNetwork Coding, Sensor Network, Ad-hoc Network
Abstract被災地では障害物や複雑な地形が電波伝搬を妨げるため、限られた無線リンクを効率よく利用できるNetwork Coding(NC)理論を応用した情報伝送が適している.NC理論を現実のネットワークにて実現する場合、受信パケットを符号化する負荷、及び複雑なリンク集合や符号化関数を決定する制御トラフィックが増大するため、パケット欠落が多発してスループットが劣化する問題がある.このスループット劣化は、NC理論による効率的な情報伝送の実現を妨げる原因となる. 本論文では階層型Network Coding方式を用いたアドホックネットワークを提案する.提案方式は災害救助における端末配置が計画的に行われる事を考慮して、全ての端末がTopology情報を共有する事により、リンク集合を決定する手順を単純化して制御トラフィック増加を抑制する.また、端末をグループ単位で管理する階層型のNC情報伝送により、各端末が保持するNC管理情報を軽減する.これらの効果により、パケット欠落を軽減して、NC情報伝送のスループット向上が実現する.提案方式のシミュレーション評価では、提案方式による約25%のスループット向上の実現を確認した.

4B-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名ネットワークコーディングを用いた多対多端末間高信頼・低遅延ブロードキャスト
著者*近藤 良久 (ATR/適応コミュニケーション研究所), 四方 博之 (関西大学 システム理工学部), 三浦 龍, 小花 貞夫 (ATR/適応コミュニケーション研究所)
Pagepp. 879 - 888
Keywordネットワークコーディング, 高信頼ブロードキャスト, リアルタイムアプリケーション
Abstract車車間通信における車同士の位置情報の交換や,携帯ゲーム端末同士のアドホック対戦ゲームなど,無線マルチホップネットワークにおいて,多対多端末間でブロードキャスト通信を行なうアプリケーションが注目されている.これらのアプリケーションにおいて,高い安全性や高い操作性といった性能を実現するためには,通信における高いリアルタイム性と信頼性を実現することが必須である.そこで本稿では,ネットワークコーディングを応用した,多対多端末間の高信頼・低遅延ブロードキャスト方式を提案する.提案方式では,符号化パケットの生成タイミングの調整に加え,隣接端末間相互の保持パケットの監視による,効率的な符号化パケットの生成数の調整により,リアルタイムアプリケーションの許容通信遅延の条件を満たしながら,多くの端末間での高信頼なブロードキャストを実現する.シミュレーションによる提案方式の評価を行ない,提案方式が,フラッディングやMulti point relay(MPR)といった従来のブロードキャスト方式よりも,高いブロードキャスト成功率を達成できることを示す.具体的には,従来方式では端末数5台の時のみでしか達成できい99%以上のブロードキャスト成功率を,パケット生成間隔および許容通信遅延時間が50msの場合で最大35台,20msの場合で最大25台の端末数において達成することを示す.


セッション 4C  インターネット応用
日時: 2010年7月8日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 倶楽部樹里苑
座長: 山之上 卓 (鹿児島大学)

4C-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名救急医療支援システムにおけるWebストリーミングアプリケーションの開発
著者*高濱 靖, 寺田 直美, 岡本 慶大, 藤川 和利 (奈良先端科学技術大学院大学), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学)
Pagepp. 889 - 894
Keywordストリーミング, 移動体通信, 医療支援
Abstract救急医療での救命率向上においては、適切な医療措置をいかに早く始めるかが重要となる。そこで、IKOMA119プロジェクトでは移動体通信およびウェアラブルコンピュータを用いた医療支援システム(MobileER)の開発を進めてきた。 MobileERでは現場の救急隊員と病院の医師との間で患者の容態を共有し、円滑なコミュニケーションを図ることによって迅速で的確な医療措置の実現を目指している。 本論文では、MobileERにおいて救急車、複数の病院と消防本部といった複数拠点での情報共有を可能とするWebストリーミングアプリケーションについて述べ、2009年10月3日に行われた本システムの公開実証実験を通じて得られたシステムの実用性を示す。

4C-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名携帯電話を用いた利用時間を厳密に管理するデジタルコンテンツ配信・送信システムの提案
著者*五百蔵 重典, 手塚 悠太, 服部 哲, 速水 治夫 (神奈川工科大学)
Pagepp. 895 - 900
Keyword著作権管理, 認証技術, アクセス制御, ネットワークプロトコル, マルチメディアネットワーク
Abstract我々はデジタルコンテンツを図書館的に共同利用するシステム(以下,図書館システム)を開発し、改良を重ねている.図書館システムを使うと,ネットワークを通してデジタルコンテンツを配信することができ,特定のユーザにのみその利用を許可することが可能である.さらに,クライアントは利用期間を判定するためにネットワークに接続する必要がなく,利用時間をクライアント環境のみで正確に管理できる.今までの研究では,本システムを実現させるためにトークンというハードウェアを必要とした.本研究では,図書館システムを広く普及させるために、携帯電話上のiアプリとして実装し,評価する.

4C-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名公開Windowsアプリケーションの更新支援システムの提案
著者*植田 裕作 (神奈川工科大学情報工学専攻), 宮崎 剛, 山本 富士男 (神奈川工科大学情報工学科)
Pagepp. 901 - 906
Keywordバージョンアップ管理, 自動更新確認, Windowsアプリケーション, フリーソフト
Abstract現在,インターネット上には数え切れないほどのアプリケーションソフトが公開されている. 我々は,それらをコンピュータにダウンロードし,インストールして利用することができる. だたし,コンピュータを安全に利用していくためには,インストールされているアプリケーションを適切に更新していかなければならない. しかし,アプリケーションの更新情報を1つ1つ確認することは容易なことではない. そこで,本論文ではWindowsアプリケーションの更新情報を利用者に通知するシステムを提案する. フリーソフトなどのダウンロードサイトで提供されているアプリケーションの更新情報を取得し,サーバのデータベースに蓄積する. クライアントソフトは,ユーザのコンピュータにインストールされているアプリケーションについて更新情報をサーバに問い合わせ, もしも更新情報が見つかれば利用者に通知する. 本システムを利用することで,利用者は容易にアプリケーションの更新情報を知ることが可能になる.

4C-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名ネットワークカメラシステムにおけるセキュアなプロファイル設定方式
著者*阿倍 博信, 若土 剛之, 中島 宏一, 小林 信博 (三菱電機株式会社/情報技術総合研究所)
Pagepp. 907 - 913
Keyword運用管理, ネットワークカメラ, プロファイル設定, セキュア化
Abstract本稿では,ネットワークカメラの動作に必要な各種プロファイルのネットワーク経由での設定処理をID ベース暗号の適用によりセキュア化する方式について述べる.方式設計にあたり,プロファイル設定処理をID ベース暗号の処理性能と使用頻度を考慮して初期設定と通常設定に分割した.本方式では,処理負荷の高いIDベース暗号処理は初期設定時のみ一回実行し,通常設定時には共通鍵暗号を使用する.評価システムを開発し,システムの基本性能について評価を行ったところ,その有効性について確認できた.


セッション 4D  ネットワークシステム
日時: 2010年7月8日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 如月
座長: 義久 智樹 (大阪大学)

4D-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名コンテキストアウェアIMEシステムの提案と実装
著者*荒川 豊 (九州大学大学院システム情報科学研究院), 末松 慎司 (九州大学大学院システム情報科学府), 田頭 茂明, 福田 晃 (九州大学大学院システム情報科学研究院)
Pagepp. 914 - 922
Keywordコンテキストアウェア, 日本語入力システム, マッシュアップ
Abstract本論文では,携帯端末における日本語入力を快適にすることを目的として,ユーザのコンテキストに応じて辞書データをダイナミックに更新する,コンテキストアウェア日本語入力支援システムの提案と実装について述べる.本論文では,代表的なコンテキストとしてユーザの現在位置に着目し,現在位置に基づいた動的な辞書作成手法,十分な応答速度を満たすシステムアーキテクチャ,Web検索ヒット数に基づくソート手法を提案する.提案システムをPCおよびAndroid端末上に実装し,被験者を用いた実験により有効性を示す.さらに,インターネット上の位置情報を含む文字列を分析し,位置情報と入力文字に相関があることを明らかにし,提案システムの有効性を示す.

4D-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名コンテクスト情報を用いたPC起動制御の一手法
著者*二村 和明, 郭 兆功, 伊藤 栄信, 矢崎 孝一, 中村 洋介, 山田 勇 ((株)富士通研究所)
Pagepp. 923 - 929
Keywordコンテクストアウェアネス, アクセス制御, 位置情報システム, セキュリティ, ユビキタス情報処理
AbstractPCでは、セキュリティ強化のため、BIOSパスワード、ハードディスクパスワード、OSのログインパスワードなど複数の認証が用意されている。しかし、全て設定するのは煩雑であり、特に個人のPCユーザは、パスワードを一切設定せずにPCを利用することも多い。このような状態のPC運用は、情報漏えいなどセキュリティのリスクが伴う。そこで、本報告ではPCのコンテクスト情報を利用することでユーザを煩わせることのない利便性向上を備えた方式について検討を行う。そしてPC起動時にPCの位置などのコンテクスト情報から起動するOSを切り替えや起動抑止を行う一つの制御手法を示すとともに、その実装・実験結果を報告する。

4D-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名携帯電話を利用したPersonal Network構築システム
著者*梅澤 猛, 中内 清秀, 井上 真杉 (情報通信研究機構), 松中 隆志, 蕨野 貴之, 岸 洋司 (KDDI研究所)
Pagepp. 930 - 937
Keywordパーソナルネットワーク, プライベートネットワーク, 仮想ネットワーク, 認証システム, セキュアネットワーク
Abstract情報共有機能は,ネットワークに対するユーザの普遍的要求の一つである.デジタルカメラの撮影データや会議資料の電子ファイルなど,デバイス間でのデータ転送は典型例である.現在市販されているノートPCの大多数は無線LAN機能を搭載し,携帯電話を含めた多くのデバイスがBluetooth他の無線通信機能を有しているなどデバイス間データ共有の条件は揃っているようにみえる.しかし,実際には操作手続きの煩雑さのため実際に既存通信機能を利用したデータ共有が行われることは非常にまれであり,仮に実行した場合もアクセス管理や安全なデータ転送など解決すべき課題は多い. 筆者らは,多様な接続環境(アクセスシステム,利用デバイス)においてユーザまたはユーザグループに閉じたセキュアな情報共有空間(PN: Personal Network)を動的に構築するためのユーザ主導型サービス構築プラットフォーム(USCP: User-driven Service Creation Platform)を提案している.USCPでは,複数のデバイスから構成され,ユーザが要求するサービスを提供可能な仮想環境を,簡易な操作でかつセキュアに構築することを目的とする.本稿では,これを元にして実装した,PNの試作システムについて述べる. 試作システムは,サーバPC,クライアントPC,携帯電話の3要素で構成される.ユーザは携帯電話のNFC(Near Field Communication)機能を利用して,クライアントPCとなるノートPCの認証手続きを行う.PN構築の際の共有鍵を携帯電話上で生成し,クライアントPCのIDと共にサーバPCへと携帯電話網を介してHTTP転送する.一方で,NFC機能によりクライアントPCへも鍵配布を行う.サーバPC上ではPNの生成・破棄などの状態管理が行われ,携帯電話により生成・配布された共有鍵を用いてクライアントPCとのセキュアな通信チャネルを確立する.サーバPCとクライアントPCの間では,PNで利用されるリソース情報が交換され,クライアントPC間のセキュアな通信チャネルとしてPNが構築される.実装したシステムの動作時の各シーケンスにおける所要時間を測定した結果について紹介し,考察を行う.

4D-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名通信アーキテクチャCGSCIPの管理運用評価
著者*村橋 孝謙 (名城大学大学院理工学研究科), 鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学理工学部)
Pagepp. 938 - 943
KeywordGSCIP, IPsec
Abstract企業などの組織においてネットワーク内部の端末に自由にアクセスすることを許可すると,内部関係者による情報漏洩などの問題が発生する可能性がある.通信グループを定義する方法は,この問題を軽減するのに有効である.通信グループを構築する既存技術としてIPsecがあるが,管理が煩雑になるという課題がある.我々は柔軟なグルーピングを実現する技術としてGSCIPを提案している.GSCIPではIPアドレスに依存しないグルーピングを実現でき,IPsecに比べ管理負荷が小さい.そこで特定のネットワーク構成を仮定し,IPsecとGSCIPの設定項目数を定量的に比較することによりGSCIPの有効性を確認する.


セッション 4E  屋外測位技術
日時: 2010年7月8日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 弥生
座長: 小口 正人 (お茶の水女子大学)

4E-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名Gaussian Mixture Modelを用いた無線LAN位置推定手法
著者藤田 迪, *梶 克彦, 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科)
Pagepp. 944 - 952
Keyword位置推定, 無線LAN, 混合ガウス分布, WiFi, パーティクルフィルタ
Abstractモバイル端末の普及や,家庭や公共施設等への無線LAN アクセスポイントの設置個所の増加に伴い,屋内・屋外を問わず電波を受信可能な無線LAN 情報を利用した位置推定手法が注目されている.一般に屋内における位置推定のアプリケーションでは屋外に比べて高い精度が細かい時間幅で要求される.しかし従来の無線LAN 位置推定手法では,推定精度を向上させるためには非常に大規模なデータベースが必要であり,かつ膨大な計算量が必要であるという課題がある.そこで本研究では,まず大規模な無線LAN データベースをGaussian Mixture Model (GMM) によって表現することで,無線LAN 情報のデータ量を従来の95% 以上削減する手法を提案する.次に,計算量を調整可能なParticle Filter を用いた位置推定手法を提案する.評価実験を実施した環境では,本手法により6〜10m 程度の精度での位置推定が可能であった.

4E-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名ばねモデルを用いた歩行軌跡補間技術
著者*森 信一郎, 肥田 一生, 花田 雄一 (株式会社富士通研究所 ITS研究センター), 峰野 博史, 水野 忠則 (静岡大学)
Pagepp. 953 - 960
Keyword地磁気, 歩数, GPS, 消費電力
Abstract近年,携帯電話にGPSが搭載され,位置情報を使ったサービスが増加している.しかし,GPSは消費電力が大きい為,常に携帯電話で動作させる事が出来ない.そのため,歩行履歴サービスなど,常時測位が必要なサービスの普及の妨げとなっている.そこで,GPSを間欠動作させる事で消費電力を削減し,低消費電力デバイスを使って補間する技術が研究されている.低消費電力デバイスの加速度センサや地磁気センサを使って歩行軌跡の形状を推定し,GPSの間欠測位による位置情報を用いて補正を行う.しかし,GPSの測位には誤差がある為,補正された経路の位置精度が劣化するという問題があった.本稿では,歩行軌跡の形状と,GPSの間欠測位による位置情報の関係を,GPSの誤差を弾性バネの変位とするバネモデルとして扱い,算出経路の最適化を行った.実証実験で検証したところ,GPSの取得回数を連続測位の5%以下にしても位置精度が劣化しない事を確認した.

4E-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名加速度センサを用いて歩行者ナビゲーションの位置を補正する手法の提案
著者*沼 杏子, 屋代 智之 (千葉工業大学)
Pagepp. 961 - 967
Keyword加速度センサ, 状態推定, 携帯端末, 歩行者ナビゲーション
Abstract携帯電話の機能は年々増加し,現在ではGPS,無線LAN,RFID,加速度センサといったユーザ位置や周辺環境に関する情報を取得するデバイスを持つものが多くなってきている.GPSなど衛星を用いた位置検出は,屋内や都市部などのアーバンキャニオンと呼ばれるビル街のような場所では,電波を受信することができないという問題点がある.これにより,歩行者ナビゲーションにおいて位置のずれが生じるという問題が起こる.そこで,加速度センサを用いて,歩行,階段昇降の行動状態を判別することで,現在位置を補正する手法を提案する. 加速度センサ等のデバイスはインフラを必要とせず,小型化・省電力化に伴い,高精度で安価なセンサを携帯端末に搭載することが可能となっている.加速度センサはユーザのジェスチャ入力を可能にするだけでなく,ユーザの移動状況や端末の向きなど多様の情報を取得できることから,新たなアプリケーションやサービスの可能性が模索されている. 本研究では,新たなインフラの設置を必要としない位置推定を目的とし,携帯端末に搭載されたセンサを用いて端末保持者の「歩行」「階段昇降」の行動コンテキストを推定する手法を検討する.これらの状態推定を行うことで,歩行者ナビゲーションにおいて,GPS等の衛星電波が受信できない領域で生じる位置のずれを補正するポイントとして利用することができる.

4E-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名携帯電話GPSの測位誤差測定に基づく道路標識とランドマークを用いた位置特定システムの改良
著者*田口 真史 (早稲田大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻), 児島 伴幸 (日立ビジネスソリューション株式会社), 柳澤 政生, 大附 辰夫, 戸川 望 (早稲田大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻)
Pagepp. 968 - 975
KeywordGPS, 位置特定, 携帯電話, 道路標識, 歩行者
Abstract近年,歩行者の位置特定には携帯電話に搭載されたGPS(携帯電話GPSと呼ぶ)が一般的に用いられている.しかし,携帯電話GPSは都市部においてマルチパスの影響により,数100m程度の測位誤差が生じる可能性がある.現在地が地図上で数100m程度離れてプロットされると,歩行者は現在地を地図上から認識し難い.我々は,携帯電話GPS,道路標識,ランドマークを用いた歩行者位置特定システム(従来TSPSと呼ぶ)を構築している.従来TSPSでは,携帯電話GPSの誤差を補正し,歩行者の正確な位置定ができる.しかし,問題点が2つある.1つは,同じ種類の道路標識が近くにある場合,ランドマーク選択ステップにおいて同一のランドマークが提示され,歩行者が混乱する事,2つ目は,道路標識の選択回数が多いため,歩行者の操作に時間がかかる事である.そこで,本稿ではこれら2つの問題点を解決する改良位置特定システム(改良TSPSと呼ぶ)を提案する.改良TSPSでは,近くに存在する同一の道路標識を1つのクラスタとして考えることで同一のランドマーク提示を減少させる,また,道路標識選択の探索範囲を狭めるために高層ビル街とそれ以外の都市部において,閾値を定義する.探索範囲の減少により,候補となる道路標識が減り,歩行者による道路標識の選択回数を都市部の高層ビル街以外において1回,高層ビル街において2回以下に抑え,操作の負担を減らす.以上により,ユーザビリティを向上させる.最後に,評価実験を通じて,改良TSPSが有効な手法であることを確認した.


セッション 4F  ネットワークセキュリティ
日時: 2010年7月8日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 和風
座長: 勅使河原 可海 (創価大学)

4F-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名シグナリングボディの完全性検証方式
著者*高原 尚志, 中村 素典 (総合研究大学院大学複合科学研究科)
Pagepp. 976 - 982
KeywordSIP, DTLS-SRTP, ZRTP, SIP Identity, Proxy Authenticate

4F-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名トポロジ特性を利用した確率的パケットマーキング手法
著者*金岡 晃 (筑波大学), 岡田 雅之 (筑波大学/日本ネットワークインフォメーションセンター), 國分 淳次, 岡本 栄司 (筑波大学)
Pagepp. 983 - 992
KeywordDoS攻撃対策, トレースバック, 確率的パケットマーキング, インターネットトポロジ
Abstract近年,DoS攻撃を行っているホストを特定するトレースバック技術の中でも確率的パケットマーキング(Probabilistic Packet Marking, PPM)技術が注目されている.PPM手法は他のトレースバック手法と比較して様々な利点がある反面,攻撃経路の再構成に必要なパケット数が多く再構成までに時間がかかることと,分散型DoS攻撃時などでのハッシュ値衝突による経路の誤った再構成の問題点が指摘されている.さらに,パケットマーキング処理の負荷に関してほとんど議論されていない. 本論文では3つの改良をPPMに施し,従来手法よりも効率良く被害者側が攻撃経路を再構築できる手法を提案する.そして,提案手法の評価として,数式評価と実装評価を行った.数式評価から従来手法よりも必要とするパケット数の削減に成功し,さらに衝突確率の改善も実現したことを示した.また実装評価からこれまで負荷が高いと予測されてきたパケットマーキングの処理はほとんど負荷にならないことを示した.

4F-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名位置情報管理システムにおける信頼性による通信型の切り替え方式の提案
著者*森 勇海, 白石 陽, 高橋 修 (公立はこだて未来大学 システム情報科学部)
Pagepp. 993 - 1002
Keyword位置情報管理システム, 信頼, 通信型
Abstract位置情報を利用したサービスが増加する傾向にあり,それらの位置情報サービスは個別に位置情報を管理している.これらの位置情報を共有することで位置情報サービスと位置情報サービス利用者の双方で有益となる.しかし,情報共有を行う上で位置情報サービス利用者の位置プライバシーの保護が問題となる.そこで,位置情報サービス利用者のプライバシー保護とサービスを行う時間を現状と変わらなくするために2つの通信型を利用した位置情報管理システムを提案する.この2つの通信型を選択する際に位置情報サービスの信頼度により選択する方式を提案する.位置情報サービスの信頼度は位置情報管理システムと位置情報 サービス利用者が判断し,それぞれが判断した信頼度を証拠理論を利用して信頼度の集約を行う.

4F-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名クラスタ型無線センサネットワークのための鍵管理方式の提案と耐盗難性に関する考察
著者*毛利 寿志, 小野 良司, 徳永 雄一, 平岡 精一 (三菱電機)
Pagepp. 1003 - 1010
Keyword鍵管理方式, One-Way Cross-Trees, センサネットワーク, アドホックネットワーク
Abstract機器にセンサノードを設置し,機器の設定変更や保守作業を無線通信によって実施する場合には,作業の対象ではないセンサノードへの誤接続や,第三者によるセンサノードへの不正アクセスが問題となる.この問題への対処としては,認証技術の導入が不可欠であり,センサノードの計算・記憶資源を考慮した場合,共通鍵暗号を用いたメッセージ認証子による認証が有効である.しかし,メッセージ認証子による認証を行うときには,機器間でいかに安全に鍵管理を行うかが課題となる.本稿では,機器の盗難・紛失による情報漏洩に対してシステム全体を安全に保つことのできる鍵管理方式を提案する.また,提案方式の安全性に関する考察を行い,提案する鍵生成方式と鍵更新方式との組み合わせにより,システム全体の安全性を保つことができることを示す.


セッション 4G  ネットワークプロトコル
日時: 2010年7月8日(木) 8:30 - 9:45
部屋: 緑風の間1
座長: 吉廣 卓哉 (和歌山大学)

4G-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名IP-PBXにおけるCTIサービス機能の実現に関する課題と考察
著者*渡辺 透, 櫛井 学 (三菱電機インフォメーションテクノロジー株式会社/ネットワーク技術部), 小泉 寿男 (東京電機大学/大学院理工学研究科)
Pagepp. 1011 - 1018
KeywordCTIサービス, CTIサーバ, IP-PBX, IP電話, SIPプロトコル
Abstract本論文では、外線通話の際にIP電話機やVoIPゲートウェイの間を流れる音声パケットの仕組みについての考察を行い、既存のIP-PBXの独自の機能に依存しないで、通話録音や電話会議あるいは音声自動応答のようなCTIサービスを提供できるCTIサーバの実現方式を検討する。このCTIサーバは、既存のIP-PBXのSIPサーバ部分と外線網との接続を行なうVoIP(Voice over IP)ゲートウェイ部分に対してSIPプロトコルによる通信を行い、音声パケットをCTIサーバに取り込むことで通話録音や電話会議あるいは音声自動応答などの各種のCTIサービスを実現する。本方式は、P-PBXの機種に依存するAPI機能を使用しないで、SIPプロトコルによる通信方式で既存のIIP-PBXに接続して音声パケットをCTIサーバに採取する点や、採取した音声パケットを蓄積・加工した後にWebサーバ機能の利用により各種のCTIサービスをPCだけでなく携帯電話やスマートフォンにも提供できる点と、CTIサーバをクラスター構成化することにより、通話録音が可能な同時通話チャネル数などが実質的に無制限になる点を主な特徴としている。

4G-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名無線リンクを含むネットワークにおけるTCPプロキシのバースト出力軽減方式の評価
著者*鹿間 敏弘 (福井工業大学 電気電子情報工学科)
Pagepp. 1019 - 1028
KeywordTCP, PEP, コネクション分割, ペーシング, バースト性
Abstractインターネットプロトコル(IP)を用いたネットワークにおいて,無線リンクを含む場合は伝送誤りの発生が不可避であるが,TCP の性能が低下する問題がある.これを解決する一つの方式として,TCPプロキシによるコネクション分割方式が考えられる.コネクション分割方式ではRTTが分割されて小さくなることによりスループットが向上する.本研究では最初にTCPプロキシの出力パケットがバースト的となる問題があることを指摘する.次にこのバースト性の影響を軽減する方式として,中継を行うアプリケーションでシェーピングすることによりパケットのピーク速度を抑制する提案し,ns-2によるシミュレーション結果によりその有効性を評価する.またLinuxを用いて実験システムにより実際のTCPを用いて評価を行った結果についても述べる.

4G-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名送信側管理型Eメールシステムの設計と実装
著者*白石 哲也, 鈴木 健二 (電気通信大学)
Pagepp. 1029 - 1036
KeywordEメールシステム, マルチメディアシステム, ネットワークプロトコル, インターネット, WEBサービス
Abstract近年,日常生活に不可欠なコミュニケーションツールとしてEメールが活用されてきているが,SPAMメールの増大の他,メールが確実に相手に届いているのかの送達確認,メールの誤送信事故対処など,対応すべき課題も多い.これらの課題は,従来からあるメールの送受信機能で,送信メールを受信側サーバに転送し,受信者からのアクセスを待つメール機能特有のStored and Forward方式に依存している可能性がある.このため,本稿では,送信者が送信したメールを,送信者が使用する送信者側メールサーバで管理し,受信側にはメールの存在と受信方法のみを通知して,受信者の要求に応じて,受信側に転送するメールシステムを提案・設計・実装した.この送信者管理型Eメールシステムを設計・実装したEメールシステムは,SPAMメール対策,送達確認機能,ならびに誤送信修正機能の向上などで利点がある他,従来のEメールシステムとも相互通信が可能である.また,リアルタイム通信との融合についても,知見を得たので,報告する.


セッション 4H  センサーネットワーク(3)
日時: 2010年7月8日(木) 8:30 - 10:10
部屋: 緑風の間2
座長: 西尾 信彦 (立命館大学)

4H-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名環境発電によって電力供給を行うセンサネットワークでのデータ収集方式
著者*吉田 将也 (静岡大学大学院情報学研究科), 木谷 友哉 (静岡大学若手グローバル研究リーダー育成拠点), 萬代 雅希 (上智大学理工学部情報理工学科), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1037 - 1048
Keywordセンサネットワーク, エナジーハーベスト, 環境発電, データ収集プロトコル
Abstract熱や光,振動などから電力を得る環境発電(エナジーハーベスティング)が次世代センサネットワークの電源として注目されている. エナジーハーベスティングは従来のバッテリーとは異なる不安定な電力供給となるため, データ収集時に中継するノードが常に動作可能とは限らず,パケットの欠落が頻繁に発生する. そこで本研究では,中継時のパケットの欠落に対応し,効率のよいデータ収集を行うため, パリティを用いて冗長にデータを送信する方式(PPT,APT)と通信成功確率に基づいてパケットの再送や破棄を行う方式(ERT,SRDD)を提案する. 計算機シミュレーションによって,エナジーハーベスティングを用いたセンサネットワークにおいて, 提案方式は従来方式と比較して高いデータ到達率を達成するという結果を得た.

4H-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名TV放送電波を電源として利用するセンサノードのための間欠動作周期決定手法
著者*西本 寛, 川原 圭博, 浅見 徹 (東京大学大学院)
Pagepp. 1049 - 1055
Keyword無線センサネットワーク, エネルギーハーベスティング, スケジューリング
Abstract日常生活において,ますます多くの電子通信機器が利用されるようになり,電波による無線通信の利用機会が拡大している. 著者らは,放送や通信のための電波をある種のエネルギー源としてとらえ,電波から電力を再生しセンサネットワークを駆動することを目指している. 本稿では,地上デジタル放送電波から電力再生を行うレクテナを用い,7日間にわたる放送電波からの再生電力の特性を報告する. その結果,受信した電波強度が弱いと整流効率が低下すること,また放送電波には周期性があり,再生電力に影響することが明らかとなった. また,センサノードの動作周期を最適に決定することにより最大頻度のセンシングを可能とする手法を提案し,プロトタイプへの実装により検証した. 本研究により,太陽光などを用いる従来のエネルギーハーベスティング無線センサネットワークに比べ,安価にセンサノードを構築することが可能である.

4H-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名光知覚神経ネットワークの機能拡張によるデータ通信とセンシングの特性検証
著者*川瀧 利之, 澤木 信正, 吉田 勝郎, 阿部 伸俊, 篠宮 紀彦, 勅使河原 可海 (創価大学)
Pagepp. 1056 - 1062
Keywordユビキタスサービス, センサネットワーク, 光ファイバセンサ
Abstract我々が生活する実空間の情報を利用したサービス,いわゆるユビキタスサービスを提供するための情報基盤として,センサネットワークの研究が注目されている.その中でも,散乱などの光の特性を利用した光ファイバセンサを用いたセンサネットワークは,従来の無線センサネットワークでは越えられなかった課題を解決するセンサネットワークとして期待されている.そこで本研究では,ヘテロコア光ファイバセンサをセンサ素子かつ伝送媒体として用いた,新たな光ファイバセンサネットワークとして光知覚神経ネットワーク(Optical Sensory Nerve Network)の研究開発を進めている.本稿では,まず,先行研究で指摘されてきた光知覚神経ネットワークを構成する際の問題点を取り上げ,それを克服するため,新たな機能を持つ通信機器と新型のセンサモジュールを導入したシステムの機能拡張法を提案する.さらに,冗長化機構を適用した光知覚神経ネットワークを対象に,上記機能拡張されたシステム運用時のデータ通信とセンシングの特性に関して,実機を用いて検証し,利点を明らかにする.

4H-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名無線センサネットワークの為のモデル駆動開発に向けたDSL非依存モデルの提案
著者*清水 遼 (早稲田大学), 鄭 顕志 (国立情報学研究所), 深澤 良彰 (早稲田大学), 本位田 真一 (国立情報学研究所/東京大学)
Pagepp. 1063 - 1070
Keyword無線センサネットワーク, モデル駆動開発
Abstract無線センサネットワーク(WSN:Wireless Sensor Network)におけるアプリケーション開発は複雑である.この複雑さを低減するために幾つものミドルウェアとドメイン特化言語(DSL:Domain Specific Language)のセットが提案されているが,各利用環境毎に異なるミドルウェアとDSLを用いると同じ要求に対するアプリケーションの開発工程が異なり冗長になってしまう.本論文では,複数の環境で動作するWSNアプリケーションを開発する為にモデル駆動開発(MDD:Model Driven Development)を適用することを目的とし,WSNアプリケーション開発にMDDを適用する際に用いるDSLに非依存なモデル(DSL-IM:DSL - Independent Model)を提案する.本手法では,DSL-IMをDSLの分類に基づき3つの分類毎に作成し,これら複数のDSL-IMをMDDのプロセスに導入する.これにより,単一のDSL非依存モデルを用いた場合にDSL非依存モデルからDSL依存モデルへの変換ルールに生じる冗長さを低減する事を確認した.


セッション 5A  統一テーマセッション-未来社会とCSCW研究−
日時: 2010年7月8日(木) 10:20 - 12:30
部屋: 朝陽の間3
座長: 小林 稔 (NTT)

5A-1 (時間: 10:20 - 10:50)
題名(招待講演) 工学と社会学の協調によるCSCW研究の実践
著者*葛岡 英明 (筑波大学)
Pagep. 1071
KeywordSCW, GN
AbstractCSCWやHCIの研究において、システム開発を志向するする研究者と分析を志向する社会学者、認知科学者、心理学者等との学際的協同研究が有効であると言われている。欧米ではそうした協同研究の成果が多く発表されているが、日本国内ではそうした実践例はあまり多く見られないようである。本講演では、工学研究者である講演者と社会学研究者との協同研究例を紹介する。特に、エスノグラフィー的知見をシステム開発に活かした例や、繰り返し手法によって徐々にシステムを発展させる過程を紹介することによって、同様の手法を目指す研究者の参考にしていただくことを目的とする。

5A-2 (時間: 10:50 - 11:15)
題名仮想共有空間上での半対面協調作業における注目動作に基づくアウェアネス支援機能
著者*森口 友也 (立命館大学大学院 理工学研究科), 高田 秀志 (立命館大学 情報理工学部)
Pagepp. 1072 - 1079
KeywordCSCW, 対面, アウェアネス
Abstract本稿では,同一の場所に集まった参加者がアドホックに接続されたPCをそれぞれ用いて,仮想共有空間上で行うような協調作業について考える. このような環境で作業していると,参加者は,対面しているにもかかわらず,他者の様子が把握できないことがある. そこで,我々はこのような協調作業の形態を半対面協調作業と名付け,半対面協調作業において作業者の操作状況を他者の共有画面上に通知するアウェアネス支援機能を構築する. 評価実験後,被験者にアンケートに回答してもらったところ,本機能が適用されていない環境に比べて,共有空間上で他者の操作状況を考慮しながら協調して作業できたという結果が得られたことから,本機能が半対面協調作業における参加者の協調性の促進に対して有用であることが示された.

5A-3 (時間: 11:15 - 11:40)
題名発想支援グループウェアGUNGEN-TOUCH IIの開発
著者*友安 宏, 伊藤 淳子, 宗森 純 (和歌山大学)
Pagepp. 1080 - 1089
Keywordテーブルトップインタフェース, 発想支援, KJ法
Abstract新たなアイデアを発案するための手法として,発想支援法の一種であるKJ法が知られている.KJ法を支援するシステムとしてテーブルトップインターフェースを用いたGUNGEN-TOUCHが開発されてきた.しかし,GUNGEN-TOUCHにはラベル回転時の視認性が良くない,島名の文字数が少なくても注意をする機能が無いといった問題点があった.そこで,この点を踏まえてGUNGEN-TOUCH IIの開発を行った.ラベルの回転の機能を見直し,文字数の短い島名では警告文を表示することによって,視認性や操作性の評価が向上した.

5A-4 (時間: 11:40 - 12:05)
題名写真と位置情報を用いた発想支援グループウェアGUNGEN-Photoの開発
著者*松井 崇浩, 伊藤 淳子, 宗森 純 (和歌山大学)
Pagepp. 1090 - 1100
Keyword発想支援, KJ法, テーブルトップインタフェース, 写真, GPS
Abstract発想法を使用したアイデア作成が再び注目されている.GUNGEN-Photoは文字での発想支援システムGungen-Touchをもとにして開発した.これに「写真の拡大」,「写真の位置整列」,「コメントラベル追加」といった機能を加えた.これら機能により写真を使った新しい発想法を目指す.写真を使って2種類の実験を行なったのでその結果を示す.

5A-5 (時間: 12:05 - 12:30)
題名コミュニティベースドリアルタイム協調作曲支援システム
著者*大澤 直哉, 木村 昌樹, Papon Yongpisanpop, 高井 雄治, 大平 雅雄, 松本 健一 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科)
Pagepp. 1101 - 1107
Keyword協調作曲, 遠隔楽曲編集インタフェース, 創造性支援, mixiアプリ, N次創作
Abstract近年,DTM (Desktop Music) ソフトウェアが作曲スキルを問わず幅広いユーザに利用されている.我々はこれまで,複数人がリアルタイムで協調作曲を行うための支援システムを提案してきている.従来のDTM ソフトウェアに比べ,提案システムが作曲に要する時間を短縮することを確認した.しかしながら従来の提案システムは,顔見知りのメンバとのオンラインでの協調作曲を想定して実装されているため,作曲知識を有するメンバがいなければ協調作曲自体が成り立たなかった.この問題を解決するために本研究では,作曲者コミュニティ機能を付加しmixi アプリとして試作したコミュニティベースドリアルタイム協調作曲支援システムを提案する.


セッション 5B  アドホックネットワーク(3)
日時: 2010年7月8日(木) 10:20 - 12:00
部屋: 朝陽の間1
座長: 石原 進 (静岡大学)

5B-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名アドホックネットワークのスループットの低下を防ぐ方式の検討
著者*後藤 秀暢 (名城大学大学院理工学研究科), 渡邊 晃 (名城大学理工学部)
Pagepp. 1108 - 1113
Keywordアドホックネットワーク, RTS/CTS, ビジートーン
Abstractアドホックネットワークで実現されるマルチホップ通信では,隠れ端末問題の影響で,大幅にスループットが低下することが知られている.隠れ端末問題を解決するためにIEEE802.11ではRTS/CTS方式を採用している.しかし,RTS/CTS方式だけではトラフィック負荷が高くなるとパケットの衝突が発生しやすい.これまで単一周波数の信号からなるビジートーンを用いた衝突回避策が提案されている.しかし,既存技術では,送信端末と隠れ端末のRTS同士の衝突については十分に検討されていない.そこで本論文では,ビジートーンの到達範囲を拡大させることで,周辺端末とのRTSの衝突を大幅に減少させる方式を提案する.

5B-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名アドホックネットワークにおける周辺情報配布のためのack-carry方式を用いたフラッディング制御について
著者*藤井 俊充 (大阪大学大学院情報科学研究科), 加治 充 (パナソニック株式会社), 佐々木 勇和, 萩原 亮, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1114 - 1120
Keywordアドホックネットワーク, フラッディング制御, Time To Live (TTL), ack-carry
Abstractアドホックネットワークにおいて周辺に情報を配布するためのアプローチの一つに,フラッディングを用いる方法がある. フラッディングの効率化に関する研究は多いが,密な環境での冗長なメッセージを抑制しつつ全域にメッセージを行き渡らせることを目的としており,周辺情報の配布に用いた場合には情報を配布する必要のない範囲のメッセージは削除されない. そこで本稿では,少数の固定端末が存在する環境を想定し,情報の発生地点を通過する移動端末がほとんど存在しない範囲へのフラッディングを抑制する手法を提案する. 提案手法では,受信した情報の配布元に直接通信できる地点に到達した移動端末が,中継経路の固定端末の識別子を記載した受信確認(ack)を返信し,ackで通知された固定端末がフラッディング範囲を拡張していく. これにより,情報の発生地点を通過する可能性の高い移動端末に効率的に周辺情報を配布可能にする. 提案手法の評価はシミュレーションにより行い,有効性を確認した.

5B-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名アドホックネットワークにおけるデータ数と値を考慮したTop-k検索
著者*佐々木 勇和, 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 1121 - 1128
Keywordアドホックネットワーク, Top-k検索, スコア分布, ヒストグラム
Abstractアドホックネットワークでは,膨大なデータの中から必要なデータのみを効率 的に取得するため,端末が何らかの値(スコア)によって順序付けられたデー タの上位k個のものを検索するTop-k検索を用いることが有効である.筆者ら はこれまでに,アドホックネットワークにおける効率的なTop-k 検索手法を提 案している. しかし,この手法では,ネットワーク全体のデータ数,スコアの下限値,上限値が既知であるという,非現実的な環境を想定していた. そこで,本稿では,ネットワーク全体のデータ数,スコアの下限値,上限値は未知である現実的な環境を想定し, 従来手法と同様に,検索結果の取得精度の維持しつつ,検索のためのトラヒックをさらに削減する手法を提案する.

5B-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名無線マルチホップネットワークにおけるチャネル利得を用いた送信電力制御による同時通信
著者*滝澤 慎也, 小室 信喜, 阪田 史郎 (千葉大学大学院融合科学研究科)
Pagepp. 1129 - 1135
KeywordMANET, マルチホップ, 送信電力制御, チャネル利得, 同時通信
Abstractモバイルアドホックネットワーク(MANET)において,IEEE 802.11 DCFではRTS/CTSにより隠れ端末問題を回避しているが, 通信の抑制によりネットワークの性能を十分に発揮できない場合がある. そこで性能を劣化させない一つの方法として,受信端末が信号を復調出来る最小の電力で送信を行うことにより複数の端末が データフレームを同時に送信する方法が研究されている. 本研究では,制御フレーム受信時のチャネル利得 (受信電力と送信電力の比)により送信電力を決定し, データフレームの同時送信を実現するIEEE 802.11 DCFベースのMACプロトコルを提案する. また,シミュレーションによりIEEE 802.11 DCFとシングルホップ,マルチホップにおける諸性能を比較し,提案手法の有効性を示す.


セッション 5C  システム運用
日時: 2010年7月8日(木) 10:20 - 12:00
部屋: 倶楽部樹里苑
座長: 上原 哲太郎 (京都大学)

5C-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名代理応答を用いたscan攻撃検知システムの運用と短期scan攻撃の遮断について
著者*永山 聖希, 大塚 賢治, 藤原 健志 (大分大学大学院工学研究科), 吉田 和幸 (大分大学学術情報拠点情報基盤センター)
Pagepp. 1136 - 1145
Keywordscan攻撃, セキュリティ, 不正行為, ネットワーク
Abstractscan攻撃とは,攻撃者が攻撃対象ネットワーク内の情報(存在するホストやサービスなど)を収集する行為である.攻撃者はscan攻撃実行後に,“パスワードクラッキング”などの具体的な破壊行為を実行する.そのため,scan攻撃は“事前攻撃”と捉えることができる.この事前攻撃の徴候を早期発見できれば,対策を講じることが可能になる.我々は,“scan攻撃”の徴候を発見し,管理者を支援するシステムの開発を行ってきた.本論文では,研究室で開発・運用している代理応答を用いたscan攻撃検知システムについて述べる.その後,システムを運用し、取得できたログから代理応答による攻撃の誘導や短期間に集中的な探索を行うscan攻撃の遮断の有効性について述べる.

5C-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名spam対策用whitelistを一元管理するためのメールシステムの改良について
著者*松竹 俊和, 飯田 隆義 (大分大学大学院工学研究科), 吉田 和幸 (大分大学学術情報拠点情報基盤センター)
Pagepp. 1146 - 1152
Keyword電子メール, spam対策, whitelist, メールゲートウェイ
Abstractspam対策として,メール受信時にゆっくり応答をするthrottlingや,一時エラーにより再送をうながすgreylistingといった相手のメールサーバを検査するspam対策がよく利用される.一部のメールマガジン送信者は送信プロトコル(SMTP)を守らないことがあり,throttling,greylisting等により誤検知されることがあるため,whitelistの利用が欠かせない. spam検出の精度向上のため,複数のspam対策を組み合わせて実施すると,各対策で利用するwhitelistの内容は共通であっても,各設定ファイルでの文法が異なるため,個々にwhitelistの管理が必要となる.しかし,登録件数が多いwhitelistを異なる文法で管理することは,誤りを起こしやすく正常なメールの受信拒否につながりかねない.そこで,我々はwhitelistを一元管理するために,whitelistによってメールの振り分けを行う分別装置を利用したメールシステムを構築し,さらにその改良を行った.本論文では改良したメールシステムの運用経験について述べる.

5C-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名IPv6におけるネットワーク構成隠蔽に関する検討
著者*久保敷 透 (名城大学大学院理工学研究科), 鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学理工学部)
Pagepp. 1153 - 1158
KeywordIPv6, 隠蔽アドレス, アドレス管理
AbstractグローバルIPv4アドレスの枯渇に伴い,IPv6への移行が必須とされている.これまでIPv4では,NATによりネットワークが隠蔽されるという利点があった.IPv6へ移行した場合においても同様にしてネットワークを隠蔽したいという要求がある.これを実現するための方式として,Mobile IPv6を用いた方式や,ルータにホストルートを設定する方式が提案されている.しかし,Mobile IPv6を用いた方式では,経路冗長やカプセル化によるオーバヘッド,ホストルートでは,ルーティングテーブルの増大が課題となる.本稿では,これらの課題を解決できる方式を提案し評価する.

5C-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名大規模キャンパスネットワークにおけるMACアドレス認証システム
著者*田島 浩一, 近堂 徹, 岸場 清悟, 大東 俊博, 岩田 則和, 西村 浩二, 相原 玲二 (広島大学 情報メディア教育研究センター)
Pagepp. 1159 - 1165
KeywordMACアドレス認証, 認証システム, MACアドレス管理
Abstract組織ネットワークへの認証利用の導入に際しては,よく知られている点や運用のしやすさのほか, 利用者への抵抗感からWEB認証がよく用いられるが,全ての機器のネットワーク接続を認証利用と させるためには,WEB認証に対応できない機器への対策としてMACアドレス認証が併用される. WEB認証についてはこれまでにさまざまな研究や実装および製品化が 行われており,接続時のID送信等の認証操作や認証成功後のユーザ端末の状態確認には主にIP層で 行われ,実用的な方法が確立されている.しかしながらMACアドレス認証の場合には層が異なるため, IP層での方式をそのまま適用することができない違いがあり,大規模キャンパスネットワークでの 利用ではこの問題に配慮したMAC認証システムが必要とされる.本稿では,このMAC認証システムに ついての実現方法やWEB認証との相違点について述べ,性能測定結果などを示す. なお,本報告で対象とするMACアドレス認証は,市販の認証スイッチ等で実装されているMACアドレス 認証を対象としており,WEB認証の様にユーザによる認証操作ではなく,認証されるユーザ端末が 接続された際に接続に用いたMACアドレスが,スイッチやルータ,ファイアウォール等認証する側の 機器に検出されたされた時に認証が行われ,アクセス制御が行われる.そのため,この認証を利用する ためにはMACアドレスを事前に認証サーバに登録しておくといった動作を対象としている.


セッション 5D  アプリケーション
日時: 2010年7月8日(木) 10:20 - 12:25
部屋: 如月
座長: 大内 一成 (東芝)

5D-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名マネーフローコンテキストを利用した携帯家計簿システム
著者*韮澤 賢三, 志築 文太郎, 田中 二郎 (筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻)
Pagepp. 1166 - 1174
Keywordコンテキストアウェアネス, 家計簿, プッシュ型提示, 位置情報, マネーフローコンテキスト
Abstract携帯電話やスマートフォンの普及に伴い, それらの携帯型情報端末上において動作する家計簿アプリケーション(以下携帯家計簿アプリ)が開発, 利用されている. 携帯家計簿アプリは, 外出先においても出金の情報を記入, 確認できるという利点と, プル型の情報提示を行うという特徴を持つ. しかし, どのような商品にどの程度金銭を使用(以下出金)しているか, という情報は購買を行う前に知っておきたい場合が多く, プル型の提示のみでは購買直前のタイミングでユーザに出金の傾向を知らせることはできない. また, 既存の携帯家計簿アプリにおいて主に取得, 利用する情報は費目, 金額, 日付である. 出金の傾向の分析方法は費目毎や月毎にまとめたグラフ表示を行うというものばかりで, 費目, 金額, 日付以外の情報が用いられていない. これら以外の情報を用いることによって, 分析の幅を広められると考えられる. そこで本研究では, 費目, 金額, 日付に加えて, 位置, 時刻, 残金, 天気, 気温, 購買の頻度という, 入金, 出金が行われた際の状況をマネーフローコンテキストと定義し, これを用いて出金の傾向のプッシュ型提示を行う機能と, 出金履歴を地図上で可視化する機能を提案, 実装した. また, これらの機能が, 出金の傾向をユーザが把握するためにどの程度有効であるのかを検証するため, 予備実験を行った.

5D-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名リアルタイム性の高い情報を対象とした地域情報共有システム
著者槙島 量, *田島 孝治 (東京農工大学大学院 工学府), 大島 浩太, 寺田 松昭 (東京農工大学大学院 工学研究院)
Pagepp. 1175 - 1182
KeywordリアルタイムWeb, モバイルアプリケーション, 地域情報共有
Abstract本論文では,リアルタイム性の高い情報を,価値を失う前に,その恩恵を受けられるユーザに伝える地域情報共有システムを提案する.提案システムは,(A)地域情報に対するユーザの閲覧動作,(B)情報の投稿時刻,(C)情報の投稿場所とユーザの現在地,(D)ユーザの設定に基づく受信レベルを考慮した情報整理を行う.地域情報に対するユーザの反応を4段階に分別して取得し,これに基づいて価値判断と,地域間の関係性の抽出を行う点に特徴がある. 提案システムをiPhoneOS上に実装し,動作を確認した.

5D-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名人が消える地下街パノラマビューアの開発
著者*新井 イスマイル (立命館大学総合理工学研究機構), 堀 磨伊也, 河合 紀彦 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 安部 陽平, 市川 昌宏, 里中 祐輔, 新田 竜規, 新田 知之, 藤井 陽光, 向井 政貴, 堀見 宗一郎 (立命館大学情報理工学部), 牧田 孝嗣, 神原 誠之 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部), 横矢 直和 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科)
Pagepp. 1183 - 1189
Keywordパノラマ写真, 位置情報, Wi-Fi測位
Abstractナビゲーションアプリケーションをより便利にするには地図だけではなく、背景写 真が閲覧可能になることが望まれている。従来の屋外のパノラマビュー撮影の位置情 報取得は GPS が利用できたため比較的容易に実現できたが、屋内では GPS が利用 できない問題がある。また、屋内公共空間は人が絶えずいるため、混雑エリアでは例 えプライバシーを考慮してぼかしたとしても、ぼかしの割合が多く風景写真としての 価値を損ねる。そこで我々は背景差分法を活用して人を消し、その撮影時間に人手で 正確な位置を入力する撮影手法を提案し、日本でも有数の混雑地域である梅田地下街 において、人のいないパノラマ写真を生成することに成功した。

5D-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名ヒューマンプローブ技術を利用した動的ストリート画像フロー生成手法の提案
著者*石塚 宏紀 (東京大学/JST CREST), 木實 新一, 戸辺 義人 (東京電機大学/JST CREST), 瀬崎 薫 (東京大学/JST CREST)
Pagepp. 1190 - 1202
Keywordユビキタスコンピューティング, 空間情報処理
Abstract現在,Google Street ViewやLocation Viewのような,全方位写真画像を用いて仮想的に街を散策できるサービスが認知されてきている.しかしながら,これらの既存サービスは,ある定められた時間に撮影された画像群を用いるため,季節,時間帯,個人の嗜好等の条件を考慮した多様な風景を再現できない.本論文では,こうした条件に応じて適切な風景を再構成できるサービスを実現するために,街にいる人々自身をセンサとして捉えるヒューマンプローブ技術を適応し,街を歩く人々が,さまざまなセンサデータと合せて撮影した写真をデータベースに蓄積し,道路に沿って必要な画像列を高速に検索できる動的ストリート画像フロー生成機構を提案する.本提案システムは,センサ情報付き写真を新たに提案するKDRN-Treeという多次元索引によって管理する.

5D-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名高齢者ドライバを遠隔地から見守るシステムの検討
著者*山岸 弘幸 (名城大学大学院理工学研究科), 鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学理工学部)
Pagepp. 1203 - 1209
Keyword高齢者ドライバ, センサデータ管理, テレマティクス
Abstract人,車両,道路を情報通信技術によって一体化したITS(Intelligent Transport Systems)が注目を集めている.特に,テレマティクスサービスは,国内・海外に関わらず各自動車会社が独自のサービスを展開している.しかし,これらのサービスはいずれもドライバ自身を支援するサービスであり,高齢化社会が深刻化している日本では,ドライバを見守る周囲の人々に対するサービスが重要になると考えられる.そこで,本稿では高齢者ドライバを抱える家族が遠隔地から安心して見守ることができるサービスを提供する.


セッション 5E  位置情報サービス
日時: 2010年7月8日(木) 10:20 - 11:35
部屋: 弥生
座長: 荒川 豊 (九州大学)

5E-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名断続的に移動する無線ノード群の位置推定
著者*樋口 雄大, 藤井 彩恵, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1210 - 1220
Keyword位置推定, 移動無線ネットワーク, 分散協調, 測位効率, レンジベース
Abstract本稿では,少数のランドマークとノード間の測距結果を用いて,断続的に移動するノード群の位置を推定する手法を提案する.提案手法では,各ノードが周辺ノードとの測距結果に基づき自身および周辺ノードの移動状態を検出し,ランドマークに加えて位置誤差が比較的小さいと想定される静止状態のノードを位置基準として利用することで,高精度な位置推定を実現する.また,静止状態のノードの測位頻度を下げることにより総測位回数の軽減を図る.シミュレーションによる性能評価の結果,提案手法では平均誤差0.30(m) 以内の高い位置推定精度を実現できた.また,全ノードが一定頻度で測位を行った場合と比較して,提案手法では,同等の位置精度の実現に必要な測位回数が最大76%削減された.さらに,歩行者や室内の障害物による測距信号の遮断を考慮した現実的な環境における性能を評価し,提案手法の有効性を示した.

5E-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名レーザレンジスキャナと無線通信を用いた歩行者の移動軌跡推定手法の検討
著者*木山 敦之, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学 大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 モバイルコンピューティング講座)
Pagepp. 1221 - 1229
Keywordレーザレンジスキャナ, 軌跡推定, 無線通信
Abstract本稿では,展示会など人物が集まる空間において,人物(以下,ノードとよぶ)の移動軌跡をレーザレンジスキャナとノード間の直接無線通信情報を用いて推定する手法を提案する.レーザレンジスキャナは測域内の物体までの距離を正確に測定できる一方,見通し範囲外の物体が検出できないため,展示物やノードが多く存在する場合は検出率が低下する.また,ノードの識別ができないため,どのノードがどのように移動したかの軌跡を決定できない.これに対し提案手法では,レーザレンジスキャナで得たノードの存在位置候補点と,各ノードが発信する無線ビーコンを用い,各ノードの軌跡を特定するアルゴリズムを提案する.レーザレンジセンサの遮蔽領域が存在する環境を想定したシミュレーション実験において,提案手法は各ノードの軌跡を高い精度で決定できた.

5E-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名GPSログ情報に基づく行動履歴獲得アルゴリズムの検討
著者*松尾 宣夫 (創価大学工学部情報システム工学科高見研究室), 高見 一正 (創価大学工学部情報システム工学科)
Pagepp. 1230 - 1236
KeywordGPS, ログ情報, 位置情報, 行動履歴, 趣味・嗜好
AbstractGPS(Global Positioning System) の搭載された携帯電話の普及に伴い,位置に応じた情報提供サービスの進展が期待されている.しかし,携帯電話に搭載されているGPSの精度制限と屋内での測位不安定のため,ユーザが真に望む情報を獲得するためには,複雑な手順が必要な場合があり,ユーザの負担となっている.本稿では,ユーザの長期間の行動を記録したGPSログ情報からユーザの趣味・嗜好を抽出する手法を提案する.特に,GPSログ情報からユーザの行動履歴(移動中,停止位置,施設滞在時間)を獲得するためのアルゴリズムを提案し,試作と実験により抽出精度を評価した.


セッション 5F  電子署名/認証(1)
日時: 2010年7月8日(木) 10:20 - 11:35
部屋: 和風
座長: 佐々木 良一 (東京電機大学)

5F-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名RFIDタグ内部データ改竄検出手法と低コスト化の提案
著者*山中 一哉 (東京工科大学大学院), 江原 正規, 宇田 隆哉 (東京工科大学)
Pagepp. 1237 - 1245
KeywordRFID, デジタル署名, 証明書, トレーサビリティ
Abstract近年,国際的にユビキタス社会への関心と需要が高まっている. ユビキタスコンピューティングを構成する技術のひとつに非接触型ICタグがあげられる. 非接触型ICタグを使うことによって得られる利点の一つとして,トレーサビリティの向上が挙げられる. 一例を挙げると,商品の製造者がそれぞれの商品にRFIDタグを取り付け,そのタグ内部の記憶領域の中に製造者や賞味期限等を記録しておく.消費者や流通経路上の業者は,リーダを用いてこれらの情報を読み取る事により,商品についての情報を確認することができる.しかし,ICタグは常時読み書き可能な状態で利用されていることが多く, 流通経路上に不正な業者がいる場合,ICタグ内のデータを自分の都合の良いデータに書き換えてしまうことがある.また,扱う商品の数に比例して編集の手間が掛かることも,管理側へのコスト的な負担となる. 本稿では, RFIDタグ内のデータの正当性を検証できる手法を提案する. そして,データを編集及び追記した者を特定できるようにして問題があった際の責任の所在を明らかにできるようにする. さらに商品の数に編集の手間が比例する問題も,管理方法を工夫することで解決する.

5F-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名即時送信できる配達証明付き電子メール
著者*西浦 翔平, 白石 善明 (名古屋工業大学), 土井 洋 (情報セキュリティ大学院大学), 毛利 公美 (岐阜大学), 福田 洋治 (愛知教育大学), 岩田 彰 (名古屋工業大学)
Pagepp. 1246 - 1252
Keyword配達証明付き電子メール, 即時送信, IDベース暗号
Abstract電子メールで公平な取引を行うためには配達証明の機能が必要である.受領書によってメールが受信者に届いたことを証明する配達証明付き電子メールが考えられている.本研究では,仲介人を用いた公平な取引を実現する配達証明付き電子メールに注目する.PKI(Public Key Infrastructure)に基づく配達証明付き電子メールシステムが提案されている.PKIを用いる場合,送信者がメール送信を行う前に,受信者は認証局,送信者は受信者との予備通信が必要となり,その利用は容易ではない.本稿では,IDベース暗号を用いた即時送信できる配達証明付き電子メールの一方式を提案する.

5F-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名携帯電話を用いた本人認証と電子商取引システムの実装と評価
著者*黒岩 謙, 宇田 隆哉 (東京工科大学大学院)
Pagepp. 1253 - 1261
Keyword携帯電話, デジタルフォレンジック, 電子商取引, ヒステリシス署名
Abstract近年,オンラインショッピングやインターネットバンキングなど,金銭の授受を伴う契約をオンラインで電子的に行えるサービスが増加してきている. このようなサービスの多くは,Webブラウザの画面表示や電子メールの送信といった,電子データをもって取引の完了を通知しており,従来の取引のように注文書や請求に応じる署名などが紙面として残らない. 電子データは誰でも作成や変更が容易に行えるため,取引に関する問題が発生すると,電子データの記録で取引内容を証明することは困難である. 電子商取引の利用者は年々増加しており,それに伴いトラブルも増加している事から,電子商取引におけるデジタルフォレンジックの整備が必要ではないかと考えた. そこで,筆者らは,電子商取引においてユーザとサービス提供者が取引の記録に対してお互いに電子署名を施し,お互いに保存する事でデジタルフォレンジックを実現できるのではないかと考え,その手法について提案を行ってきた. 本稿では,以前に筆者らが提案した方式を見直し,ログの保全方式やログの構造を明確化し,電子商取引において有用なシステムが構築出来るか検証した. 今回,実装システムの単体の処理速度を測定し,実在する電子商取引サイトに対して実装システムを適用したと仮定した上で,システムが行う処理がユーザからのリクエストに遅延無く応答可能であるか,実装システム単体での処理速度を踏まえた上で検証を行った. 検証の結果より,システムの処理速度が実在する電子商取引サイトに対して適応した場合であっても処理は滞りなく行われる事から,提案方式及び,実装システムの有用性が確認できたので報告する.


セッション 5G  データベース/ストレージ
日時: 2010年7月8日(木) 10:20 - 12:25
部屋: 緑風の間1
座長: 佐藤 永欣 (岩手県立大学)

5G-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名ユビキタス環境におけるマルチデータベースの仮想化技術
著者*渡辺 裕太, 菖蒲 佳右, 三井田 浩 (東京電機大学大学院 情報環境学研究科), 和田 雄次 (東京電機大学 情報環境学部), 澤本 潤, 加藤 貴司 (岩手県立大学 ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 1262 - 1267
Keywordデータベース, 異種分散, XML
Abstract今日では,ユビキタスセンサーネットワーク環境上から大量のデータが収集されており,これらのデータの中に隠された知識や傾向を,データマイニング技術を用いて発見・分析し,業務の意思決定などに役立てることが重要となっている.そして,それらのデータは分散配置された多種多様なデータベース(すなわち,マルチデータベース)に存在する. しかし,このマルチデータベースに対し,データマイニングを行う分析者は本来的には分析やルール抽出作業に集中したいにも拘わらず,データマイニングの準備過程であるデータベース選択やデータ収集などの作業に多大な時間を費やしてしまうといった課題がある. そこで,本研究ではこのデータ分析者の負担を軽減するために,ユビキタスコンピューティング環境上のマルチデータベースが,あたかも一つのデータベースであるかのように利用できるデータベース仮想化技術の開発を目的とする. 本研究において,先ずリレーショナルデータベースから情報を取得し,構造化された共通スキーマを生成することができた.次に,データベース制約条件についても情報用コメントとして持たせることによって,制約条件の細かな情報も持たせることが可能となった.更に,仮想化データベースシステムの一部である共通スキーマ変換モジュールなどを開発したので,今回はこのスキーマ変換モジュールについて報告する.

5G-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名シングルテナント型システムからの移行に適したマルチテナント型データベースシステムの構成法
著者*黒田 貴之, 副島 賢司, 島村 栄 (NECサービスプラットフォーム研究所)
Pagepp. 1268 - 1278
Keywordクラウドコンピューティング, SaaS, マルチテナント, カスタマイズ, AOP
Abstract本論文では, 単一のテナント(利用者組織) による利用を前提としたシングルテナント型の既存システムから, 複数のテナントをホスティングする形態を持つマルチテナント型のシステムへの移行, すなわちマルチテナント化を, 効率的に実現する手法について論ずる. 特に, 本来マルチテナント型のシステムでは実現が困難であるテナントごとのデータスキーマのカスタマイズ機能を, 既存システムからの最小限の変更により実現する手法について述べる. 既存のマルチテナント型のリレーショナル・データベースの構成法をマルチテナント化に適用した場合, カスタマイズ機能の実現のためにデータベーススキーマに大量の拡張用のカラムを追加する必要が生じ, アクセス性能が大幅に劣化した. そこで本研究では, 各テナントが拡張したスキーマ上のデータをシリアライズして単一のカラムに挿入することで, マルチテナント化に際して追加すべきカラム数を最少で2 個に圧縮する手法を提案する. 本稿では提案システムの設計と実装までを説明し, さらに実験を通じて, 提案手法ではカスタマイズ機能によるデータベースのアクセス性能の劣化が既存手法を用いた場合の30% 程度に抑えられる効果について示す.

5G-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名VPN遠隔接続環境におけるiSCSI遠隔ストレージアクセスの各層最適化についての評価
著者*浅田 菜那, 比嘉 玲華, 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1279 - 1284
KeywordSAN, iSCSI, VPN, 広域ネットワーク, ネットワークストレージ
Abstractコンピュータシステムにおけるデータ量の増大に伴い,効率的にストレージを管理したいという要望が高まっている. このことからストレージの管理コスト低減などの目的でSANの導入が進んでいる. 現状では,SANは主にローカル環境のみで用いられているが,ネットワークを利用したIP-SANとしてiSCSIが注目されている. iSCSIを用いることにより広域環境におけるIP-SANを低コストで構築でき,遠隔地のデータセンサなどにデータをバックアップすることが容易となることから, ストレージのアウトソーシングといったサービスへの利用が可能になるためである. 本研究では,VPNを利用することによりiSCSIを広域ネットワークに適用させ,高遅延環境におけるiSCSIストレージアクセスの特性, 解析を評価しスループット向上の方法について検討する.

5G-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名NaryRAIDに基づく複数の小規模ディスク群による大規模ストレージの構築
著者*中村 祐司, 上原 稔 (東洋大学大学院工学研究科情報システム専攻)
Pagepp. 1285 - 1292
KeywordRAID
Abstract今日,ライフログやクラウドによりデータセンターのニーズが高まっている.我々は,プライベートクラウドの基盤となる組織内オンラインストレージを安価に実現するために仮想大規模ディスク(VLSD)ツールキットを開発した.VLSDでは,クライアントの遊休資源を用いてデータグリッドを構成する.これにより高価なアプライアンス製品より安価にオンラインストレージを構成する.我々は60TBの単一大規模ディスク(SLVD)を構築した. しかし,このようなシステムはファイルサーバが単一故障点と同時にボトルネックになる.そこで,我々は多数の小規模ディスクで大規模ストレージを構成する方式を提案した.また,クライアントはサーバより信頼性が低い.そのためクライアントを用いたデータグリッドは通常以上の信頼性が要求される.我々はRAID6を超える3耐故障RAIDであるNaryRAIDを開発した.NaryRAIDは基本RAIDより耐故障性に優れ,階層型RAIDより容量効率が優れている. 本研究では,MMVD方式にNaryRAIDを適用する.NaryRAIDに基づくMMVDはRAID6に基づくMMVDより性能は劣るが,耐故障性に優れる.

5G-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名大規模仮想ディスクに基づく3耐故障直交RAID
著者*上原 稔 (東洋大学)
Pagepp. 1293 - 1298
Keywordストレージ, 仮想化, RAID
Abstract低コストの大容量ストレージに対する要求は非常に高い。我々は、空容量を集約してこのようなストレージを構築するために、ディスクレベル分散型ストレージを構築するためのツールキットVLSD (Virtual Large Scale Disks)を開発した。しかし、大容量ストレージの信頼性を高めるには3 以上の耐故障性を持つRAID が必要になる。本論文では、直交RAID に基づく3 耐故障RAID としてMeshRAID を提案し、それをVLSD によって実現する方法を述べる。VLSD のクラスライブラリを組み合わせることで容易にMeshRAID を構成できる。MeshRAID は、同じく3 耐故障であるRAID55 やNaryRAID の中間的な特長を持つ。


セッション 5H  センサーネットワーク(4)
日時: 2010年7月8日(木) 10:20 - 12:00
部屋: 緑風の間2
座長: 川原 圭博 (東京大学)

5H-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名エクサテイメント支援システムリモートケンケンの開発と適用
著者*山下 裕考, 伊藤 淳子, 宗森 純 (和歌山大学)
Pagepp. 1299 - 1308
Keywordエクサテイメント, ケンケン, 圧力センサー, ゲーム
Abstractセンサを利用して身体全体を使うゲームが普及している.しかし,既存のゲームは位置が固定されるといった問題がある.本研究では実際と同じように身体を動かすことができるシステム“リモートケンケン”を提案する.圧力センサを実際の“ケンケン”と同じように配置することで動きの制限を排除している.実験の結果,幅広い年代で楽しみながら運動できることが分かった.また,対戦を行うことで,ケンケンの実施結果を明確にでき,エンターテイメント性が高められた.

5H-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名複数ユーザの嗜好を推測し快適性を実現するスマートスペースの提案
著者*山本 眞也 (山口東京理科大学), 神山 直也, 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1309 - 1317
Keywordコンテキストアェアネス, ユビキタス情報管理, 情報家電, スマートスペース, デバイス制御
Abstract近年,ユーザが意識的な操作を行わなくても,有用なサービスを提供することが可能なユビキタスシステムが注目されている.これまでに,家庭内など限られたユーザを対象とし,ユーザ毎に嗜好やルールを記述し設定することで,ユーザの嗜好に合わせて家電等のデバイスを制御するための研究がいくつか提案されている.しかし,これらの既存研究は,多種多様な嗜好を持つ不特定多数が集まる公共スペースなどには適用できない.本稿では,ユビキタスシステムが導入された空間(スマートスペース)において,多種多様な嗜好を持つ不特定多数のユーザが自由に出入りする空間を想定し,ユーザ満足度の最大化を目的としたデバイス制御手法及びそのシステムアーキテクチャを提案する.また,コンテキストのとりうる値の広大な範囲におけるユーザの好み情報を効率良く取得するため,コンテキスト間の距離を定義し,距離に応じて取得済みの満足度から補間することで,新規に出現したコンテキストに対するユーザの満足度を推測する方法を提案する.本稿では,提案する推測法の有効性を検証するために,アンケートをとり,その結果によるサンプルを基に本手法による推測の精度を評価した.その結果,提案手法は,4 段階中1 未満の精度で,ユーザの満足度を推測できた.

5H-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名ユビキタスセンサネットワークにおけるプライバシーを考慮したRDF活用の動的な空間管理とサービス制御の検討
著者*粟津 光一, 平島 大志郎 (創価大学大学院工学研究科), 加藤 弘一 (創価大学工学部), 勅使河原 可海 (創価大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1318 - 1325
Keywordセンサネットワーク空間, Resource Description Framework, 情報管理基盤, プライバシー保護, サービス制御
Abstractセンサネットワーク空間では,多種多様なセンサが周囲の情報を自動的に取得し,ユーザの状況に応じたサービス提供ができる.しかし,センサネットワークにおいて,プライバシー保護とサービス提供の両立は困難である.これに対し本研究室では,情報取得とサービス利用に関するユーザ要求を抽出し,その要求を基に使用センサを決定・制御する手法を検討している.しかし,センサ制御のみでは必ずしもユーザの要求を満足できない.本稿では,RDFを用いることで,空間内の情報を一元管理し,サービス提供者に必要最低限の情報を渡すことで,プライバシー保護と必要なサービスを実行可能にする手法を述べる.また,本手法を自動化するためのルール構築を試みる.

5H-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名資源制約下における複数タスクへのセンサ割当問題
著者*鳥海 晋 (東京大学), 本位田 真一 (国立情報学研究所/東京大学)
Pagepp. 1326 - 1334
Keyword無線センサネットワーク, 資源競合
Abstract複数のユーザが複数のタスクを投入する共有型無線センサネットワーク(WSN)においては資源競合問題を解消する必要がある.この問題はタスクに対しセンサを割り当てる問題として見なすことができる.既存の研究においては,単純なモデルを用いてセンシングに用いる電力のみをモデル化していたが,WSN のコンテクストにおいては通信にかかる電力が重要であることが知られている. 上記のような背景から,本論文では,通信が関わるセンサ・タスク間割当問題を定式化するとともに,割当ノードからベースステーションまでの通信路を考慮した分散アルゴリズムを提案する.我々は対象としているネットワークがクエリに応答するシステムであることを利用して,クエリに通信路の情報を上乗せする.観測データを送る通信路を考慮することによって,既存手法と比してよりネットワークを有効活用できることが期待される. ソフトウェアによるシミュレーション結果より,我々の提案した割当手法が通信路を考慮しない既存手法と比べて電力効率が良いことを示した.


セッション 6A  統一テーマセッション -モバイルコンピューティング-
日時: 2010年7月8日(木) 15:10 - 16:55
部屋: 朝陽の間3
座長: 清原 良三 (三菱電機)

6A-1 (時間: 15:10 - 15:40)
題名(招待講演) 未来ビジョンに向けたモバイル技術
著者*竹下 敦 (NTT ドコモ)
Pagep. 1337
Keywordモバイル
Abstract未来社会を創り出すためには、未来社会を描いたビジョンを創り、その実現に向けて研究開発を行うという枠組みが有効であると考えられる。本講演では、まず、そのような枠組みの有効性や有効になるための条件を検討するために、過去に作られたビジョンとそれに向けたモバイル技術の研究開発を確認する。その後、近い将来あるいは少し先の将来に向けたモバイル技術の研究開発を紹介する。

6A-2 (時間: 15:40 - 16:05)
題名モバイル端末におけるアプリケーション動作時間予約機構
著者*森 雅智, 由良 淳一 (慶應義塾大学政策・メディア研究科), 中澤 仁 (慶應義塾大学環境情報学部/JST-CREST), 徳田 英幸 (慶應義塾大学環境情報学部)
Pagepp. 1338 - 1344
Keyword電源管理, バッテリ, 計測
AbstractノートPCやネットブックといったモバイル端末において,バッテリ切れによるサービス停止対策は重要である. 本研究ではこうした複数アプリケーションが動作する端末において,アプリケーション 実行時間の保証を行うP-Surviveシステムを提案する. P-Surviveでは事前にデバイス毎の使用量とバッテリ消費量を計測し,その計測結果を 解析することで,デバイス毎の電力消費量を算出する. その後,解析結果を基にアプリケーション毎の電力消費量を計算することでアプリケーションの 消費電力予測を行い,ユーザから要求されたアプリケーション実行時間を満たすことができるかを 判断する. 本システムにより,ユーザは重要度の高いアプリケーションの実行時間を予約することができるようになり, バッテリ切れによる予期しないサービス停止を避けることができる. 本論文ではP-Surviveシステムを実装し,消費電力計測・予測の評価を行った.

6A-3 (時間: 16:05 - 16:30)
題名モバイルCO2センサを用いた通勤者自身による生活圏レベル空気計測システム
著者*岩井 将行 (東京大学生産技術研究所), 齋藤 修 (茨城大学地球変動適応科学研究機関), 中嶋 紀夫 (株式会社ユードム), 戸辺 義人 (東京電機大学未来科学部), 瀬崎 薫 (東京電機大学空間情報科学研究センター)
Pagepp. 1345 - 1351
KeywordCO2濃度, 環境計測, Human Probe, GPS, 健康
Abstract近年,都市部の経済活動や人間の生活活動により車両から排出されるCO2などの温暖化効果ガスなどが急激に増加していると言われている. 温暖化効果ガスの計測システムはアメダスなどにより局所的,部分的にしか設置しておらず,細かい粒度の生活圏レベルで計測できていない現状にある.そのため発生源の推測や地域ごとや生活圏ごとの危険度の掌握などができていなかった. そのため,世界的なグローバルの地球温暖化の波の中で温暖化ガスの一つであるCO2の消費量がどの程度個々の生活のなかで利用されているのかが不明確であった.このため個人は本問題を自己の問題として認識することが希薄になったままの現状であることは否定できない. また計測器のインフラのコストが高く機材も大型になるため設置できる場所が限られ市民に生活圏とは乖離した場所での計測に留まっており根本的な温暖化ガスの解決への道筋が見えない状況となっている. 本研究により,我々は本問題を解決するモバイルCO2センサによる日常空間の計測の研究を開始した. 測定結果から十分に生活のコンテクストや日常生活のCO2の増減を「見える化」することが可能であることを示す.

6A-4 (時間: 16:30 - 16:55)
題名被災地DTNにおけるPub/Sub情報取得システム
著者*呉 和賢, 江崎 浩 (東京大学)
Pagepp. 1352 - 1359
Keyword災害, DTN, Publish/Subscribe
Abstract平成7 年1 月17 日未明に発生した阪神・淡路大震災は戦後最大の自然災害と言わ れ,被災地区の社会生活に甚大な被害をもたらした.このような壊滅的な自然災害に おいて,被害が最も甚大な地域から多少離れた地域に於いても,電気・ガス・水道の みならずロジスティクス及び情報通信システムを含む,いわゆる現代のライフライン が停止し,人々は不便な生活を,数日から数週間にかけ強いられてしまう.このよう な被災地環境では被災者への物資の提供等のための情報共有がきわめて重要であり, ライフラインの復旧後においても,生活に必要な物資の確保・取得のための情報の提 供と共有が,被災生活から正常生活への復帰のために非常に有効である.そのような 情報の流れとして,公的機関からのトップダウンなものも重要だが,むしろ被災者間 での双方向性の情報提供・共有が正常生活への復帰を有効に支援する. このようなシステムを既存の通信インフラストラクチャー上に構築するには,その 頑健性と通信相手の名前解決という面で問題がある.そこで本研究では,被災者個々人 の情報機器から構成するDelay/Disruption Tolerant Network 上で,トピックベー スに柔軟な通信が行えるPublisher/Subscriber モデルを用いて被災者側からの積極 的な情報提供・共有を実現するシステムアーキテクチャを提案し,プロトタイプシス テムの実装を行い,その動作検証を行った.


セッション 6C  WEBデザイン
日時: 2010年7月8日(木) 15:10 - 16:50
部屋: 倶楽部樹里苑
座長: 土井 裕介 (東芝)

6C-1 (時間: 15:10 - 15:35)
題名複数軸の情報整理による情報視覚化を行うためのビジュアライズフレームワークの提案
著者*松井 加奈絵, 山内 正人 (慶應義塾大学 メディアデザイン研究科), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学/奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1360 - 1364
Keywordインフォメーションビジュライゼーション
Abstractインターネットの使用者にとってWebの主な使用目的は情報取得であるが,情報爆発時代と称される今日において,従来の情報抽出方法や表示方法では大量の情報から必要とする情報のみを取得することは難しい.情報取得を困難にしている原因として,生成時間などの1軸のみで整理された情報が表示されていること,情報視覚化が有効的に機能していないことが挙げられる.これらの要因を解決する為,複数軸の情報表示 を可能にするビジュアライズフレームワークの提案を行う.本フレームワークはWeb全体から情報と必要なメタ情報を抽出,生成時間や関心度などの複数軸からメタ情報を変換することで注目の高い情報に変換する.また情報は情報視覚化に必要な大きさ,色などの新しいメタ情報を保有した状態で使用者へ提供される.使用者はこの情報を使うことでデータの解析を自身で行う必要がなくなり,情報視覚化を行うWebぺージやアプリケーションを容易に作成できる. 本稿では提案するビジュアライズレームワークの構成,及び評価について論じる.

6C-2 (時間: 15:35 - 16:00)
題名Webページの構成と文章に着目したWeb検索結果の子供向けリランク手法
著者*岩田 麻佑 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻), 荒瀬 由紀 (マイクロソフトリサーチアジア), 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 1365 - 1372
KeywordWeb検索, インターネット, リランク, 子供向け
Abstractインターネット環境の普及により,子供がWeb検索を行うことが一般的となっている.しかし難解な文章を苦手とし,画像を好むというような子供の特徴を考慮したWeb検索エンジンは存在しない.そこで本稿では,子供のWeb検索を支援するため,検索エンジンの検索結果を子供向けにリランクする手法を提案する.提案手法では,Webページの文章量などの構成に関する指標,子供向け表現の数などの文章に関する指標を設定し,これらの指標をスコア化する.そして,各指標のスコアを組み合わせて算出した各ページの子供向け度合いに基づき,検索エンジンの検索結果をリランクする.評価実験の結果,文章量,子供向け表現の数といった指標により,子供向けページを上位にランクできることを確認した.

6C-3 (時間: 16:00 - 16:25)
題名Web記事のレイアウト条件による可読性予測手法の提案と評価 - 自己組織化マップによる一致率の算出 -
著者*有賀 千裕, 納富 一宏 (神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻), 斎藤 恵一 (東京電機大学先端工学研究所), 齋藤 大輔 (芝浦工業大学工学部電気工学科)
Pagepp. 1373 - 1376
Keyword自己組織化マップ, 一対比較法, Webアクセシビリティ, 可読性

6C-4 (時間: 16:25 - 16:50)
題名Webアクセシビリティの分析と評価-RIAにおけるボタンデザインと反応時間-
著者*畑中 基希, 有賀 千裕, 納富 一宏 (神奈川工科大学大学院), 斎藤 恵一 (東京電機大学先端工学研究所)
Pagepp. 1377 - 1380
KeywordWeb, アクセシビリティ, ボタン, 反応時間, RIA
Abstract近年,インターネットの普及率が増加している.Webを利用する誰もが扱えるようにWebアクセシビリティを考慮したWebサイトの設計が求められている.Webを利用するときによく目にするのがボタンである.本稿では,Webサイトにおける基本操作として,垂直に整列配置されたボタンへのマウスカーソルのポインティングおよびクリック動作に着目した.条件呈示から操作までの反応時間を計測することで,ボタンのデザインおよびボタンの配置がアクセシビリティに与える影響について分析を行った.特に,Adobe Flashを用いたRIAにおけるボタンの視認性と操作性について実験した.さらに,アクセシビリティの向上を目指したボタンの設計について検討した.マウスカーソルを合わせたときのみ枠が表示されるボタンが最も反応時間が短いという結果が得られた.しかし,被験者の意見と一致する結果ではなかった.ボタン押下までの軌跡を含めた場合の分析が今後の課題である.


セッション 6D  スケジュール支援と映像配信
日時: 2010年7月8日(木) 15:10 - 16:50
部屋: 如月
座長: 井上 亮文 (東京工科大学)

6D-1 (時間: 15:10 - 15:35)
題名日常作業やイベントの作業効率向上に向けた段取り共有システムの提案
著者*佐藤 仁美 (神奈川工科大学 大学院 工学研究科), 服部 哲 (神奈川工科大学 情報学部 情報メディア学科), 速水 治夫 (神奈川工科大学 大学院 工学研究科)
Pagepp. 1381 - 1386
Keyword段取り, 知識共有, 経験管理, 予定管理, 生産性向上
Abstract近年では人々の生活水準が向上し,誰もが行動に様々な選択肢を持つようになった.その結果,作業効率やその作業が成功するかどうかは,作業にどのような行動を含めるか,それらの作業をどの順序で行うかに依存するようになった.つまり,作業の段取りの質によって生産性が向上するといえる.本論文では他者と段取りを共有することにより,たくさんの中から自分に合った質の良い段取りを探すことと,段取りの質の評価を通じて生産性に貢献することを目標に,段取り共有システムを提案・開発した.

6D-2 (時間: 15:35 - 16:00)
題名キャラっとスケジュール:アバタを用いたカジュアルなスケジュール管理・共有システム
著者*吉野 孝, 山野 孝幸 (和歌山大学)
Pagepp. 1387 - 1396
Keywordスケジュール共有, アバタ, SNS, モチベーション, mixi
Abstract既存のスケジュール管理・共有システムはモチベーションの維持が困難であり,企業内などの特定の環境でしか十分に活用されてこなかった.そこで,モチベーションの維持を目的とした,アバタを用いたスケジュール管理・共有システム「キャラっとスケジュール」を開発した.本システムではスケジュールの入力状況に応じて,アバタを着飾るアイテムが得られる.本システムをmixi上で提供し,評価実験を行った.実験の結果,スケジュール管理・共有システムにアバタを利用することは,ユーザのモチベーション維持のための一つの手段として効果があった.また,他のユーザとスケジュールを共有し,閲覧することに関しては好意的な意見が多かった.

6D-3 (時間: 16:00 - 16:25)
題名協調学習機能を備えたモバイル学習向け動画作成・配信システム
著者*平野 洋行, 伊藤 信 (東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 市村研究室), 梶山 拓哉 (東京工科大学大学院 バイオ・情報メディア研究科 市村研究室), 市村 哲 (東京工科大学 コンピュータサイエンス学部)
Pagepp. 1397 - 1404
KeywordGN, mobile
Abstract近年,脳を鍛えるゲームの普及に伴い携帯ゲーム機を使用する人が増加している.また学校や塾などの教育機関では,PlayStation®Portable(以降,PSP®と呼ぶ)を授業に使用する場面や,在宅学習として授業映像が見られるサービスなども開始されている.しかし,既存のモバイル学習コンテンツの多くは単なる動画又は音声であり,インタラクティブ性が無く学習内容が記憶に残り辛い.さらにゲームなどのインタラクティブなコンテンツは個人で作成することが困難であるため内容は極めて限定されるという問題がある.これらの問題に対し,過去に著者らが板書を用いた講義映像からインタラクティブ性のある学習コンテンツを容易に生成できるTalkCastシステムの研究が行われた.しかし近年,多くの教育現場でPowerPoint(以降,PPT)を使用した講義が増えている.そのためPPTを使用した講義であっても容易にモバイル学習用コンテンツの作成が行えるシステムが必要と考えた.また,モバイル学習であっても講義に対する一体感を持ち,モチベーションを維持しやすい仕組みが必要であると考えた. PPTファイルからスライドショーの動画,演習問題を含むコンテンツを自動作成するPC用ソフトTC2 Slide Recorder(以降,TC2SLと呼ぶ)を開発した.これにより,講師は通常講義を行うだけで容易にコンテンツの作成が行える.また,コンテンツの再生が可能なPSP®用ソフトTC2 Content Player(以降,TC2CPと呼ぶ)を開発した.TC2CPではスライド単位で再生位置を指定して動画の再生が行える他,演習問題の出題や回答を行う.加えて,他の人が投稿したコメント(講義に対する意見)や注釈(補足説明や覚書など)を表示する機能を実装した.また,コメントや注釈の投稿には携帯電話を使用し,無線LANなどのネットワーク利用が難しいモバイル環境であっても投稿できるようにした.これらの機能により,講義に対する理解度の向上やモチベーションの維持を支援した. システムの使用手順は,まず講師が講義で使用するPPTファイルを作成する.TC2SLを使用し講義を開始することによって,コンテンツの作成が行われる.講義終了後に作成されたコンテンツをWeb上にアップロードし,それを受講者がネットワークが利用できる環境下でPSP®にダウンロードする.コンテンツの視聴中にコメントや注釈を投稿する際にはQRコードを表示し,携帯電話で専用サイトのフォームから投稿する.投稿されたコメントや注釈は再度コンテンツをダウンロードする際に更新される. TC2SLはPPTファイルを読み込むとスライドショーを開始する.その間,バックグラウンドで演習問題の解析やスライドショー画面とマイクから入力された講師の音声を動画として記録する.また,スライドの切り替わる時間や演習問題などに使用するスライド画像をファイルとして出力する.演習問題はPPTのスライドとして作成し,ノート部分に選択肢と答えの対応付けを行う制御情報(以降,スクリプトと呼ぶ)を記述する.スクリプトの記述方法としては,簡易機能版と高機能版があり,簡易機能版は1つのスクリプトを記述するだけで演習問題を作成することができる.また,高機能版は複数のスクリプトを記述することで,選択肢毎にそれぞれ異なる解答・解説を割り当てるなど,よりインタラクティブ性の高い演習問題を作成することができる. TC2CPではPPT動画や演習問題,コメントや注釈の表示を行う.また,コメントは画面下部を流れるように表示し,注釈に関しては任意の注釈を全画面表示する機能を持つ.コメントや注釈の投稿時は,WebサイトのURLにコンテンツの識別情報や動画の再生時間などを付加したQRコードを画面に表示する.ユーザは携帯電話でQRコードを読み取りWebサイト内のフォームから投稿する.演習問題では方向キーで答えを選択し,選択肢に対応する解答スライドなどが表示される. コメントや注釈の投稿は携帯電話用Webサイトとして構築した.投稿されたコメントや注釈はデータベースに登録し,コンテンツがダウンロードされる際にデータベースにある情報でコンテンツの更新を行う. システム評価として学生12名を対象にTC2SLとTC2CPを使用してもらい,アンケート調査を行った.TC2SLの結果として,既存製品と比較して演習問題の作成方法が容易であったという評価が得られた.TC2CPの結果として,コメントの文字サイズがやや小さいが,操作は使い易いという評価が得られた.またモチベーションの維持に関してはPSP®の標準の動画プレイヤーと比較し,TC2CPの方が内容を理解し,学習意欲が湧くという評価が得られた. 今後は評価実験で得られた結果をシステムに反映すると共にコンテンツ利用者の学習進度や演習問題の正解率などをWEB上で管理するLMS(学習管理システム)への対応などを行いたいと考えている.

6D-4 (時間: 16:25 - 16:50)
題名移動速度に応じた擬似3Dスクロールによる情報空間ナビゲーション
著者*中込 訓之 (山梨大学大学院医学工学総合教育部), 郷 健太郎 (山梨大学大学院医学工学総合研究部)
Pagepp. 1405 - 1410
Keywordインタフェース, 情報ナビゲーション
Abstractコンピュータの表示画面上で,情報を管理・閲覧する基本的な手法として,表示位置を制御するスクロールや表示の拡大縮小を行うズーミングがある.これらの手法は,限定されたサイズの表示領域で膨大な情報にアクセスするために必要不可欠な技術である.これらの発展型として,スクロール速度に応じて自動的にズーミングを行うという複合の手法が近年提案されている.しかし,本手法はズームアウトした際に細かい表示内容が判別しにくくなるという特徴がある.そこで,本稿では,このような複合型の手法に,3D表現を加え,自動的にカメラ位置を移動する情報ナビゲーション手法を提案し,比較実験によりその特徴を明らかにする.


セッション 6E  屋内測位技術
日時: 2010年7月8日(木) 15:10 - 16:50
部屋: 弥生
座長: 河口 信夫 (名古屋大学)

6E-1 (時間: 15:10 - 15:35)
題名超音波を用いた屋内測位における広域化の検討と実験評価
著者*須永 光, 羽田 昂史 (神奈川工科大学 大学院 情報工学専攻), 秋山 征己, 五百蔵 重典, 田中 博 (神奈川工科大学 情報学部 情報工学科)
Pagepp. 1411 - 1417
Keyword超音波, 位置検出, 逆GPS, 屋内測位, 同期誤差
Abstract本研究では室内エリアでの人や移動物体の測位という観点で,100mm程度の精度を要求条件とし超音波を用いた測位システムについて検討した.超音波を利用する意義としては,超音波の方が電波を用いる方式に比べて指向性が強いためマルチパスの影響を受けにくいという点がある.また,センサ自体が安価で容易に入手できるという点があげられる.他にも電波法の制約を受けないことや,電波に比べて伝搬速度が遅いため超音波の伝搬時間差が大きくなるため,マイコンでの処理が容易であるということが挙げられる. より広域での測位を行うためには,受信センサを接続した受信回路を追加した構成で測位を行う必要がある.受信回路を複数用いて測位を行う場合,それぞれの受信回路内のH8マイコンのタイマカウンタを同時に開始する必要がある.その際,処理用PCから各受信回路内のH8マイコンにカウントアップ開始命令を同時に与えることが現試作装置の構成ではできないため,H8のカウントアップ開始に誤差が生じる.したがって,開始誤差である同期誤差を明らかにしてそれを補正する必要がある.カウントアップ開始命令送信時刻の差がカウントアップ開始誤差,命令を送信する通信時間の差が通信誤差であり,この二つの和が同期誤差となるとなる.複数の受信回路を用いて,同期誤差の算出方法を明らかにするとともに,その補正を行った状態で測位実験を行い手段の妥当性とともに,測位が問題なくできることを確認した.

6E-2 (時間: 15:35 - 16:00)
題名ライフログセンシングにおける停留判定精度向上のためのGPS測位誤差除去手法
著者*松倉 祐, 光山 哲平, 宮崎 孝信, 里中 裕輔 (立命館大学情報理工学部), 新井 イスマイル (立命館大学総合理工学部研究機構), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 1418 - 1425
KeywordGPS, 誤差除去, 停留判定, ライフログ
Abstract近年,複数のセンサを搭載した携帯端末が広く普及し,取得したセンサデータをライフログとして利用することができるようになりつつある. 中でもGPSで取得できる位置情報を用いたナビゲーションサービスなどが増え,将来的にはユーザが店舗に訪れた際にそのユーザがその店舗に何回も訪れていることがわかれば,その店舗の会員になるようにユーザに推薦するサービスなどが生まれると考えられる.\par しかし,GPSで取得した位置情報には,停止時の緯度経度に一定でないノイズが含まれる問題や,移動しているのに取得した移動速度が0km/hになるという問題がある. このように,緯度経度のノイズや移動速度の欠落が存在すると,ユーザが滞在したことを判定するのは困難である. 本稿では,ある特定の範囲内でのユーザの停留を判定するために,補正した移動速度を用いて停止時の始点と終点の緯度経度を抽出し,2点の緯度経度から計算した移動速度を用いることでノイズを判定し,除去する手法を提案する. その結果,ノイズ除去後のユーザの移動軌跡が実際の移動軌跡に近くなり,通過と判定してしまったGPSデータを停留と判定することができた.

6E-3 (時間: 16:00 - 16:25)
題名Wi-Fi基地局の観測履歴を利用したユーザの状態遷移解析
著者太田 健吾 (立命館大学大学院理工学研究科), *向井 政貴 (立命館大学情報理工学部), 新井 イスマイル (立命館大学総合理工学研究機構), 西尾 信彦 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 1426 - 1433
Keywordユビキタスコンピューティング, Wi-Fi, コンテキストアウェアネス
Abstract近年,GPSやカメラ等のライフログを記録可能なデバイスが搭載された高性能な携帯端末が普及しつつあり,そのライフログを解析し,ユーザの行動に合わせた情報を提供できることが期待されている.しかし,GPSや映像・音声から得られるライフログは屋内や公共空間では利用できないという問題がある.そこで,本研究ではライフログとしてWi-Fi基地局の観測履歴を利用してユーザの行動を把握するための手法を提案する.この手法では,現在観測されているWi-Fi基地局と一定時間過去に観測されているWi-Fi基地局を比較することで,ユーザの移動・停留を判定し,その移動停留情報から行動モデルを作成し,行動予測に用いる.評価の結果,予測精度は最大で71.3%であった.本稿では,提案手法,設計,実装および評価について述べる.

6E-4 (時間: 16:25 - 16:50)
題名位置情報サービスにおける実環境を考慮したユーザ位置曖昧化
著者*鈴木 晃祥, 岩田 麻佑 (大阪大学情報科学研究科), 荒瀬 由紀 (マイクロソフトアジア), 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学情報科学研究科)
Pagepp. 1434 - 1441
Keyword位置情報サービス, 位置プライバシ, 携帯端末, GPS
AbstractGPS技術の発展に伴い現在多くの携帯端末がGPS受信機能を搭載しており,ユーザの位置情報を 利用した位置情報サービスが数多く提供されている. このようなサービスでは,ユーザの位置に関係した情報を簡単にユーザに提供することが可能になる. 位置情報サービスを利用するユーザは自身の位置情報をサービスプロバイダに送る必要があるが, この位置データが第三者に露見することによって,住所などの個人情報が明らかになってしまう危険性がある. このようなユーザの位置情報に関連したプライバシは位置プライバシと呼ばれている. 本稿では,ユーザの位置情報をもとに架空の位置情報を作成し,ユーザの位置と合わせて送信することにより,ユーザの位置プライバシを保護する手法を提案する. また,地図データ上で,実際にユーザの動きをシミュレーションし,本手法の有効性を確認した.


セッション 6F  電子署名/認証(2)
日時: 2010年7月8日(木) 15:10 - 16:25
部屋: 和風
座長: 佐藤 証 (産業技術総合研究所)

6F-1 (時間: 15:10 - 15:35)
題名自己組織化マップを用いたジェスチャー認証
著者*中山 亮介, 納富 一宏 (神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻), 斎藤 恵一 (東京電機大学先端工学研究所)
Pagepp. 1442 - 1447
Keywordバイオメトリクス認証, 加速度センサ, 自己組織化マップ, ジェスチャー

6F-2 (時間: 15:35 - 16:00)
題名クラウド環境におけるインベントリ証明書を用いた端末制御
著者*脇田 知彦 (名古屋工業大学), 福田 洋治 (愛知教育大学), 白石 善明 (名古屋工業大学), 毛利 公美 (岐阜大学), 野口 亮司 (豊通シスコム)
Pagepp. 1448 - 1452
Keywordクラウド, TPM, アクセス制御, 構成証明
Abstract本論文では,クラウド環境においてサービスを提供するサーバネットワークの保護やサービス利用端末の適応的制御を実現するための,利用端末のインベントリ情報に対して信頼できる第三者機関が証明書を発行するアクセス制御モデルとその実現方法を提案する.証明書に従ったアクセス制御の形態を採用することで,クラウドのようにサービス提供サーバおよび管理組織が分散,変化するような環境においてもポリシー強制やサービス提供を行うことが容易になる.また,継続的にインベントリ情報を取得して証明書を発行することで,現在に至る運用管理の変遷を把握でき,管理運用の過程と端末の信頼性を結びつけて柔軟なサービス提供,端末制御が可能になる.

6F-3 (時間: 16:00 - 16:25)
題名電子署名の暗号移行に伴うタイムビジネスへの影響と対策
著者*宮崎 一哉 (三菱電機株式会社), 上畑 正和 (セイコーインスツル株式会社), 中嶋 勝治 (セイコープレシジョン株式会社), 西山 昇 (セコムトラストシステムズ株式会社), 岩間 司, 田中 秀磨 (独立行政法人 情報通信研究機構), 本田 雅裕, 石井 秀一 (財団法人 日本データ通信協会 タイムビジネス協議会)
Pagepp. 1453 - 1458
Keyword電子署名, タイムスタンプ, PKI, 暗号移行, 危殆化
Abstract今後数年から10年程度の間にRSA1024bitやSHA-1等の暗号アルゴリズムの危殆化が予測されている.それに備えるため電子署名に関して,危殆化が予想されるアルゴリズムをより強いアルゴリズムへと移行するスケジュール案について検討している. タイムビジネス協議会では,電子署名の暗号移行に伴うタイムビジネスへの影響調査並びに対策検討会を設置し,タイムビジネスにおける暗号アルゴリズムの移行スケジュール案につき検討した.その際,暗号アルゴリズムの危殆化がタイムスタンプに与える影響の検討,各団体における電子署名の暗号アルゴリズム移行スケジュールに関する検討状況の調査,タイムスタンプの失効や有効期限の考え方の検討,時刻配信業務及び時刻認証業務の信頼性及び安全性を認定する(財)日本データ通信協会のタイムビジネス信頼・安心認定制度への提言内容の検討等をあわせて実施した.本稿ではこれらの検討内容及び結果として得られた対策案について説明する.


セッション 6G  分散処理
日時: 2010年7月8日(木) 15:10 - 16:50
部屋: 緑風の間1
座長: 田上 敦士 (KDDI研究所)

6G-1 (時間: 15:10 - 15:35)
題名異種端末混在環境における端末の性能を考慮したオブジェクト複製手法
著者*山本 佑樹, 植田 亘 (立命館大学大学院 理工学研究科), 高田 秀志 (立命館大学 情報理工学部)
Pagepp. 1459 - 1466
Keyword分散オブジェクト, モバイルネットワーク, P2P, グループウェア
Abstractリアルタイムな協調作業を支援するシステムを構築するためには,端末間でのネットワークの通信やデータの共有などを考慮する必要がある.そこで,我々はこうしたシステムを構築するためのフレームワークを開発している.近年,スマートフォンなどのさまざまな種類の端末が普及し,これらの端末も協調作業に利用できるようになることが,今後より必要になっていくと考えられる.しかし,さまざまな種類の端末間で動作する協調作業支援システムを構築するとき,異種端末間の性能差や環境の違いなどを考慮しなければならない.本稿では,性能の低い端末上で行われる処理を削減することで,異種端末間の性能の差異を吸収する手法を提案する.本手法の有効性を検証する実験を行った結果,処理の遅延が減少し,スムーズな協調作業ができることが示された.

6G-2 (時間: 15:35 - 16:00)
題名内部統制のための複数のログ収集に関する提案
著者*友野 敬大 (東洋大学大学院工学研究科情報システム専攻), 上原 稔, 島田 裕次 (東洋大学総合情報学部総合情報学科)
Pagepp. 1467 - 1473
Keyword内部統制, ログ管理, ログ統合
Abstract近年,米国企業に留まらず,日本企業でも不祥事が多発し,内部統制の必要性が急速に高まっている.中でも,ログ監査は重要であり,これが適切に行われていない内部統制システムは,脆弱なものになる.また,ログには最終防衛的な意味に加えて企業改善につながる情報が多く含まれている.したがって,ログの的確な活用は,企業において有益である.しかし,ログ監査のためのシステム導入や管理・運用のコストは決して安価ではなく,ログのデータ量に比例してコストがかかる.ログを用いて内部統制を実現するためには,より長期的な保存と多くの種類のログが必要となる.我々は,VLSDを用いた低コストかつ半永久的にログを保存可能なシステムを開発した.しかし,長期間保存する際,スキーマが変更される可能性を考慮しなければならない.そこで,本研究では,複数種類あるログをYAMLによって統一することで,スキーマの変更にオンデマンドに対応できるログを提案する.また,独自のカラムを持つログについても考慮して,データベースとの比較および検討を行う.

6G-3 (時間: 16:00 - 16:25)
題名分散型メタバースサーバにおけるレスポンスに関する評価
著者*松原 麻佑, 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1474 - 1479
Keywordメタバース, OpenSim, 分散型サーバ
Abstract将来的な普及が期待されている「メタバース」は,電子データとして構築された仮想3次元空間に,インターネットを通じて接続し利用する新しいサービスである. このメタバースサービスの高機能化と高性能化のために,サーバの負荷とレスポンスという観点から評価を行う. 本研究では,オープンソースソフトウェアとして提供されており,ユーザが所持するマシンにインストールしてサービスを提供可能な分散型メタバースサーバであるOpenSimシステムを用いて評価を行う. すなわち,メタバース実行時のサーバ側の実測評価に焦点を当てる.

6G-4 (時間: 16:25 - 16:50)
題名個人情報の安全な利活用に向けた分散型認証法の提案
著者*半井 明大, 中山 誠也 (東北大学大学院情報科学研究科/東北大学電気通信研究所), 武田 敦志 (東北学院大学教養学部情報科学科/東北大学大学院情報科学研究科), 北形 元 (東北大学電気通信研究所/東北大学大学院情報科学研究科), 橋本 和夫 (東北大学大学院情報科学研究科), 白鳥 則郎 (東北大学電気通信研究所/東北大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1480 - 1485
Keyword個人情報活用, オーバーレイネットワーク, パーソナライズドサービス, 分散認証
Abstract本稿では,次世代のユビキタス情報社会における高度なユビキタスサービスの実現のために, 安全な個人情報の利活用に向けた分散型認証法を提案している. 次世代ユビキタス情報社会においては,ユーザの個人情報を積極的に利活用した様々なサービスの登場が予想され, ユーザの個人情報を安全に管理,利用する仕組みが必要不可欠となってくる. 本提案では,公開鍵認証に基づいたオーバレイ認証ネットワークを用いて, 分散型でかつ安全な個人情報の登録と利用を可能にしており,ユーザのプライベートな情報を用いた高度なユビキタスサービスの実現の一助となると考えられる. また本稿では,提案に基づいたプロトタイプの実装を行い,提案の効果を確認している.


セッション 6H  センサーネットワーク(5)
日時: 2010年7月8日(木) 15:10 - 16:50
部屋: 緑風の間2
座長: 植原 啓介 (慶應義塾大学)

6H-1 (時間: 15:10 - 15:35)
題名小型無線デバイスのためのプログラム配布機能を備えたCIL仮想マシン
著者*岸野 泰恵 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所), 柳沢 豊 (西日本電信電話株式会社), 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学大学院工学研究科), 須山 敬之 (NTT コミュニケーション科学基礎研究所)
Pagepp. 1486 - 1494
Keywordセンサデバイス, 仮想マシン, ユビキタスコンピューティング
Abstract本稿では,CIL (Common Intermediate Language)に対応し,実行ファイルを無線で配布できる小型軽量の仮想マシン,Cilixについて述べる.Cilixは,Windows の Visual Studio で作成した実行ファイルを,小型デバイス上でそのまま実行できる.このため,開発者が自由に開発用のプログラミング言語を選択でき,異なるプラットフォーム(デバイス)で動作するソフトウェアを開発できる.Cilixは無線通信の送受信,マルチスレッド,プログラム配布の制御といった機能を備え,多数のデバイスがある状況でもプログラムの開発や,配布が容易である.さらに,CilixをMSP430マイコン上に実装し,簡単なアプリケーションを実装して動作を確認した.

6H-2 (時間: 15:35 - 16:00)
題名センサネットワークにおけるソフトウェア更新手法の一実装
著者*橋詰 葵 (静岡大学大学院情報学研究科), 栗山 央 (静岡大学大学院創造科学技術研究部), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 水野 忠則 (静岡大学大学院創造科学技術研究部)
Pagepp. 1495 - 1500
Keywordセンサネットワーク, ソフトウェア更新
Abstractセンサネットワークを管理する上で,センサノード上のソフトウェアを更新する技術は重要である.ネットワーク規模の拡大と共に,効率的にソフトウェア更新を行う手法の必要性も高まっている.現在までに多くのソフトウェア更新プロトコルが研究されてきたが,それらの多くはソフトウェアデータの配送手法に焦点を置いており,ノード上のソフトウェア更新部分については議論がなされていない.そこで,本論文ではソフトウェア更新部分に焦点を当て,実環境のセンサネットワークに対してソフトウェア更新機能の設計および実装を行った.

6H-3 (時間: 16:00 - 16:25)
題名ルールベース言語によるネットワークロボット制御サーバソフトウェア構成法
著者*新歩一 正己 (創価大学工学部情報システム工学科高見研究室), 松岡 幸一 (創価大学大学院情報システム工学専攻高見研究室), 高見 一正 (創価大学工学部情報システム工学科)
Pagepp. 1501 - 1507
Keywordネットワークロボット, ルールベース言語, ソフトウェア構成法, 共通化, オントロジー
Abstractロボットの機種が異なっていても、同一のネットワークロボットサービスを提供するロボット制御サーバにおいては、機種に依存しない単一のサービスプログラムで提供できるソフトウエアアーキテクチャとすべきである。本研究では、サービスプログラムを共通化できるネットワークロボット制御サーバのソフトウェア構成法を提案する。具体的には、ロボットに非依存な共通信号の定義と共通信号から個々の制御信号の変換テーブルの定義を行うためのアルゴリズムを提案する。STAR( SofTware Architecture using Rule based language)をベースに提案手法を実装したネットワークロボット制御サーバを開発し、ごみ収集サービスを試作して実験した。実験にはAIBOとAmigoBotの異機種ロボット2台を使用した。

6H-4 (時間: 16:25 - 16:50)
題名ネットワークロボットシステムの実装とその信頼性評価
著者*服部 将太, 奥田 隆史, 井手口 哲夫, 田 学軍 (愛知県立大学)
Pagepp. 1508 - 1511
Keywordネットワークロボット, 信頼性評価, アベイラビリティ, 離散シミュレーション
Abstractネットワークロボットは,異なるタイプのロボットが互いにネットワークを介して連携・協調することで,ロボット単体ではできなかった新しいサービスを提供できる. 本稿では,複数体のヒューマノイド型ロボット,センサーユニット,ネットワーク環境から構成される試作ネットワークロボットシステムを実装し, そのサービス品質を維持する最適なメンテナンススケジュールを提供する.


セッション NS  ナイトテクニカルセッション
日時: 2010年7月8日(木) 21:30 - 23:00
部屋: 緑風の間
座長: 砂原 秀樹 (慶應義塾大学/奈良先端科学技術大学院大学)



2010年7月9日(金)

セッション 7A  統一テーマセッション-未来社会のアプリケーションと関連技術
日時: 2010年7月9日(金) 8:30 - 10:15
部屋: 朝陽の間3
座長: 勝本 道哲 (情報通信研究機構)

7A-1 (時間: 8:30 - 9:00)
題名(招待講演) センサ研究の新たな展開〜個人・モバイルユーザによるセンシングとその応用
著者*原 隆浩 (大阪大学)
Pagep. 1512
Keywordセンサ, モバイル
Abstractセンサネットワークやセンシングシステムが盛んに研究開発されるようになってから,およそ10 年が経過しようとしている.当初は,ネットワーク,デバイス,ロボティクス,データベースなど異なる分野の研究者・技術者が,縦割り的に個別に研究開発を進める傾向が強かったが,近年,異なる研究分野が連携して,大規模なプロジェクトを推進するようになってきた.特に,無線通信技術の発展,センサデバイスの高度化,安価化,携帯電話を始めとするモバイル端末の普及により,一般のユーザが収集したセンサデータを共有する「大規模センシングシステム」への関心が高まり,さまざまな研究が進められている.本講演では,このように大規模数のユーザが各自のセンシング機器を用いて収集したセンサデータを共有することを想定した,基盤技術および応用システムに関する代表的な研究プロジェクトを紹介する.

7A-2 (時間: 9:00 - 9:25)
題名災害情報デザインに関する研究 -災害復興ボランティアへの情報提供に関する検討-
著者*遠藤 大介 (福岡工業大学院 情報通信工学専攻/杉田研究室), 杉田 薫 (福岡工業大学)
Pagepp. 1513 - 1518
Keyword災害復興ボランティア, 迷惑ボランティア, 地震
Abstract我が国では、数日に1回の頻度で地震が起きており、現在も国内各地で大地震や2次災害による津波の可能性を抱えている。災害発生後、復興活動ではボランティアが活躍している。これは、震災時に被災地に赴き、復興活動を支援するボランティアである。その活動内容は、被災家屋の後片付けと避難生活に関連する支援であり、その時、被災地の迅速な復興の為、多くの人手が必要とされている。しかし、適切な知識をもたないボランティアは、災害復興の為に十分に機能しないだけでなく、その邪魔をする可能性がある。このようなボランティアを迷惑ボランティアと呼び、その存在が近年問題視されている。この問題を解決するため、 被災地の外部へ時間経過による必要なボランティアの人数の変化や状況の要約 の情報提供を行うコンテンツが必要である。本研究では、迷惑ボランティアがもつ問題点を情報分野の視点から解決することを目指し、スキルや知識によるボランティアスタッフの分類とそれらを実現するマルチメディアコンテンツを構築することを目的とし、ボランティア希望者に対する情報提供手法について検討した。 本手法の主な提案内容は、迷惑ボランティアになりうる人材の選別を被災地の外で行うことで復興活動の効率化を目指す。また、被災状況をコンピュータスキルの違いを考慮して表示させることで、緊急時の人員募集や災害発生時の復興活動時間の短縮が期待できると考察した。

7A-3 (時間: 9:25 - 9:50)
題名イベント型電子カルテの考案とその試作評価
著者*和久井 真司, 吉開 範章 (日本大学大学院総合科学研究科)
Pagepp. 1519 - 1526
Keyword電子カルテ, ユーザーインターフェース, 業務分析フロー, データベース
AbstractICTの普及により、社会のあらゆる活動が活性化され、情報が爆発的に増加しているが、IT新改革戦略、U-JAPAN計画、及びEHR計画等の報告にあるように、日々、膨大なデータが生み出される医療現場でのICTの活用が十分でなく、依然として紙ベースでのデータの処理が多い。少子高齢化となった社会の医療業務の効率化にむけて、様々な電子カルテシステムが実用化され、普及し始めているが、それらの多くは、医療報酬明細書(レセプト)を主体とする事務処理の効率化に力点があり、医療現場の主体である患者及び医師の立場から見ると、まだ改善すべき点が多数存在する。本資料は、心臓外科医師とICT研究者との連携により、患者と医者に優しくかつ効率的な医療情報システムの実現を目指して検討した結果を報告するものである。 2007年に、試作システムを日大病院に設置し、実際の医療現場で使ってもらうことにより、提案コンセプトの評価を行った結果を発表したが、その後の検討から、第1期システムの課題を改良したシステムを試作し、その評価を行ったので報告する。 まず、電子カルテシステムの現状の問題点として、電子カルテの構造上の欠陥、医療情報処理の非効率性と低信頼性を説明する。次に、それらに対する解決策として心臓外科現場の診療業務フローモデル分析も基にしたユーザーインターフェースの検討結果を示す。具体的には、必要となるテキストベース医療書類の種類と情報の内容、及びリアルタイムな表示が必要となるサマリー情報の内容、さらに内服薬情報の正確な把握を可能とするインタフェースの例を示す。 さらに、データーマイニングを可能にするデータベースの実現に向けて、重複を避ける項目の設定方法、重複回避と細分化による利点について考察する。さらに具体的な細かい項目設定によるデータマイニング方法についても示す。 今回のシステムは、日本大学板橋病院内の複数の端末をネットワークで繋ぎ、分散環境で動作する構成とし、大手ベンダー型の電子カルテに代表される分散配置・垂直データ分割型データベースではなく、分散配置・イベント分割型データベースを基本構造とし、患者情報を複数のテーブルで効率良く管理し、ベンダー型システムでは不可能な患者間データの取り扱いを容易に可能とした。さらに、日大心臓外科の後方病院である関野病院内のネットワークと日大板橋病院内のネットワークをVPNによって接続し、日大病院から関野病院への転院時の情報交換の効率化を試験的に開始している。 以上の点で、第1期システムの機能及び性能を向上させている。 データベース及びアプリケーションプログラムをFileMakerPro上に作成し、評価は、日本大学板橋病院心臓外科教室の医師及び看護婦に協力してもらった。 現在も、このシステムは日本大学板橋病院の医療現場において継続して使用されている。

7A-4 (時間: 9:50 - 10:15)
題名地磁気加速度センサを用いた作業トレースシステムにおける作業録画システムの設計と実装
著者*佐藤 永欣 (岩手県立大学/ソフトウェア情報学部), 及川 正基 (岩手県立大学/ソフトウェア情報学研究科), 上田 浩市, 鈴木 潤, 石川 泰二 (関東自動車工業/岩手工場), 高山 毅, 村田 嘉利 (岩手県立大学/ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 1527 - 1535
Keyword地磁気/加速度センサ, モーションキャプチャ, 録画
Abstract工業製品の品質保証は、設計,原材料,部品の品質保証のほかに,製品自体の 製造工程での品質保証も重要である. これは規定通りの作業が製造工程で行われたかどうかを確認することで実現でき, 通常は製品自体を検査することで確認されている. しかし,中には作業完了後に規定を満たして製造されたかの確認が難しい場合がある. たとえば,タイヤを取り付けるときのように複数のボルトを用いて部品を固定する 場合,締め付け順序が決まっている.しかし,締め付け順序を守らなくても 部品は固定されるため,作業完了後に外見からは手順違反を発見できない. この場合,部品の取り付け精度は保証されないため,製品は潜在的に不良品である 可能性がある.そこで,我々は地磁気・加速度センサを用いて自動車組立工場 の作業をモニタするシステムの開発を行ってきた.標準作業手順から逸脱した作業を 行った場合,警告を発し,ラインを停止する.標準的でない作業の検出がほぼ100\% 可能になったので工場内で利用を始めたが,実用化にあたりさまざまな問題が 発見された.そのうちの一つが,ボルトの締め付け順序は正しいものの, システムが異常と判断し,なおかつ地磁気・加速度センサのデータが通常と 異なる場合である.作業者からの聞き取りにより,通常と異なることがおきた のは確実であるが,実際に何が起きたのかの同定が難しい. そこで,本システムに,オプションとして自動録画機能をつけた. 本論文ではその設計と実装について述べる.


セッション 7B  MACプロトコル
日時: 2010年7月9日(金) 8:55 - 10:10
部屋: 朝陽の間1
座長: 中村直毅 (東北大学)

7B-1 (時間: 8:55 - 9:20)
題名オポチュニスティック型通信を適用した指向性MACプロトコルについて
著者*加藤 泰大 (静岡大学大学院情報学研究科), 萬代 雅希 (上智大学理工学部情報理工学科), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1536 - 1546
Keyword指向性アンテナ, deafness, MAC, オポチュニスティック
Abstract近年,アンテナのビーム方向を電子的に制御可能な可変指向性アンテナを無線アドホックネットワークに適用することが注目されている.そして,送信ビームと受信ビームを適切に制御して空間利用効率を向上させるMACプロトコルが提案されている.しかし,指向性MAC(Medium Access Contorol)プロトコルにおいて,通信したい相手がビジーであることを知らず通信を試みるdeafness問題が発生する.deafness問題により端末のRTS(Request To Send)再送回数が増加し遅延の増大やパケットの破棄が起こり,結果としてスループット性能の低下を招く.一方,オポチュニスティック通信は特定の端末との通信に固執せず,その時に通信可能な端末を利用するという考えを基にした手法である. 本稿ではオポチュニスティック型通信により再送確率を低減することができる点に着目しdeafness問題の解決策としてDOMAC(Directional Opportunistic MAC)を提案する.指向性アンテナとオポチュニスティック型通信の両方の利点を活かすため,DOMACでは指向性アンテナを用いたプロトコルに部分的にオポチュニスティック型通信を適用する.計算機シミュレーションにより提案方式はdeafness問題の発生を低減し,スループット性能が向上することを示す.

7B-2 (時間: 9:20 - 9:45)
題名干渉を考慮したビームパターンを用いるMACプロトコルについて
著者*木村 真樹 (静岡大学大学院情報学研究科), 萬代 雅希 (上智大学理工学部), 渡辺 尚 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1547 - 1552
Keywordスマートアンテナ, SINR, レート制御, MACプロトコル
Abstract近年,アドホックネットワークにスマートアンテナを利用することが注目されている. スマートアンテナはメインローブとヌルの方向を電子的に制御することが可能である. スマートアンテナの指向性を制御する指向性MAC (Medium Access Control) プロトコルが考案されている. 従来の多くの MAC プロトコルは,通信相手端末にメインローブを向ける手法だが, 周辺端末の干渉波をバックローブやサイドローブ等のマイナーローブで受信することでスループット性能が低下する問題がある. 一方で,周囲端末の一つにヌルを向けて干渉を低減する MAC プロトコルも考案されている. 本研究では,スマートアンテナを用いてメインローブとヌルの両方を組み合わせたビームパターンを利用するMAC プロトコルを提案する. 提案手法では,あらかじめメインローブの方向とヌルの方向を計算した複数個のビームパターンを計算する. 計算により求められたビームパターンを用いて,所望方向へ高いアンテナ利得を得つつ干渉端末方向へのアンテナ利得を低くすることでSINRを向上させ, 高い送信レートで通信を行い,スループット性能を向上させることを目的とする.

7B-3 (時間: 9:45 - 10:10)
題名アドホックネットワークにおけるコードセンスCDMA型MACプロトコル
著者*宮路 祐一, 村中 裕貴, 古橋 彬, 上原 秀幸, 大平 孝 (豊橋技術科学大学電気・電子情報工学系)
Pagepp. 1553 - 1562
KeywordマルチチャネルMACプロトコル, マルチチャネル隠れ端末問題, CDMA, コードセンス
AbstractアドホックネットワークのMAC (Medium Access Control) プロトコルにはIEEE 802.11 DCFに代表されるシングルチャネルMACプロトコルが広く用いられている. 近年,さらなるスループット向上のためにFDMA型やCDMA型のマルチチャネルMACプロトコルが検討されている. しかし,マルチチャネルMACプロトコルではマルチチャネル隠れ端末問題や短縮NAV問題といった新たな問題が発生してしまう. そこで本稿では,干渉除去とコードセンス機能を有するCDMA型MACプロトコルを提案する. 提案方式では,近隣端末で使用されている拡散符号を検知するコードセンス機能を用いた拡散符号の選択によって,マルチチャネル隠れ端末問題を解決できる. また,端末毎に個別にNAVを設定する拡張NAVによって短縮NAV問題を解決する. さらに,提案方式はCDMA型特有の遠近問題に対処するために,送信抑制制御を行う. シミュレーションにより,IEEE 802.11 DCFならびにFDMA型のマルチチャネルMACに比べ,衝突などを抑えスループットが向上することを示す.


セッション 7C  分散と最適化
日時: 2010年7月9日(金) 8:30 - 10:10
部屋: 倶楽部樹里苑
座長: 吉田 和幸 (大分大学)

7C-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名組合せによる条件付き品質を考慮したWebサービス選択
著者*渡辺 敦, 片渕 聡, 高橋 竜一 (早稲田大学), 鄭 顕志, 石川 冬樹 (国立情報学研究所), 深澤 良彰 (早稲田大学), 本位田 真一 (国立情報学研究所/東京大学)
Pagepp. 1563 - 1571
Keywordサービス指向アーキテクチャ, Webサービス, 合成サービス, サービス選択, 条件付き品質
AbstractWebサービスの合成において,生成される合成サービスは要求される機能に加えて, 価格等の非機能的要求であるサービス品質を考慮する必要がある.サービス品質には,サービス単体によって決定される単体品質と サービスの組み合わせによって決定される条件付き品質が存在する. 条件付き品質の評価を行うためには,サービスの組合わせを考慮するため,合成サービスの選択時間が増大してしまう. そこで,本研究では,条件付き品質を考慮したサービス合成のアルゴリズムを提案し,条件付き品質を考慮しない全探索法との比較実験を行った. また,アルゴリズムの改善として,条件付き品質の枝刈りによる実行時間削減についても研究を行い,枝刈りの有効性を実験により示した.

7C-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名ネットワークトラフィックによるWebアプリケーション性能分析
著者*薄田 昌広 (関西電力), 上原 哲太郎 (京都大学), 中野 博樹 (トランス・ニュー・テクノロジー)
Pagepp. 1572 - 1576
Keywordネットワーク, システム管理, Webアプリケーション
Abstract企業などの組織内でWebアプリケーションの利用が増えてきており,Webの性能評価やトラブルシューティングの重要性が増している.Webの性能はWebブラウザとWebサーバ間の転送プロトコルであるHTTPに強く影響を受けるが,HTTPは多様なネットワーク機器を経由して転送されるため,そのふるまいの把握が困難となっている. 本研究では,我々は,Webアプリケーションの性能評価を目的として,ネットワークトラフィックによるHTTPの分析方式を提案した.さらに,試作システムで動作を検証し,実ネットワークへ適用することで方式の有効性を確認した.

7C-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名CIM(Common Information Model)を利用した業務における障害影響分析方式
著者*小池 賢一 (三菱電機株式会社 情報技術総合研究所)
Pagepp. 1577 - 1581
KeywordBIA, CIM
Abstract企業のミッションクリティカルなシステムでは、システムの中断や停止により、業務が多大な影響を受ける可能性がある.本来は、障害の原因を特定して、その原因を取り除き、業務を復旧させる手続きを行うが、障害の原因特定に時間が掛かる場合は、サーバの再起動や待機系への切り替えなどの暫定処置を行って業務を復旧させる必要がある.適切な暫定処置を行うためには、障害の影響範囲を正確に把握する必要がある.しかし、既存の方式では影響範囲を過小評価してしまうという課題があった.また、全てのサーバやプロセスの状態を調べると影響分析が完了するまでに時間が掛かるという問題があった.これらの課題に対して既定案方式では、業務やサービスの依存関係を利用しながら、検出した障害と関連する範囲の障害発生状況を調べることで、迅速な影響範囲の解析が行えることを示した.一方、この方式では障害の影響で業務が停止することや、業務処理の性能が低下するなど、業務への詳しい影響内容の解析ができていないという課題が残っていた.そこで本稿では、依存関係の種類を区別できるようにして、詳細な影響分析を行う方式を提案する.また、依存関係の定義にCIMを利用して、実際のCIMエンジンにおいて、拡張したCIMのクラスの有効性の検証を行った.

7C-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名TCPコネクション単位でトラフィックの視覚化を行うツール
著者*宇都木 進 (明星大学大学院情報学研究科情報学専攻), 渡邊 晶 (明星大学情報学部情報学科)
Pagepp. 1582 - 1593
Keywordネットワーク管理, トラフィック, 視覚化, TCPコネクション, リアルタイム
Abstractネットワーク管理者にTCPトラフィックの概要をリアルタイムに提示するためのツール, necositを開発している.necositはネットワークトラフィックをTCPのコネクション単位 で帯状に視覚化し,単位時間あたりのトラフィック量を色のグラデーションによって表示 する.本論文では,necositが管理するコネクションのデータ構造の改良とパケットの とりこぼしによって発生する未検出の切断済みコネクションのガーベージコレクション 機能について述べる.また,遠隔地のトラフィック情報をリアルタイムに調査できる リモートモニタリング機能について述べる.


セッション 7D  ソフトウェア開発とリソース共有
日時: 2010年7月9日(金) 8:30 - 10:10
部屋: 如月
座長: 宗森 純 (和歌山大学)

7D-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名動的ウェブページのブラウザ共有
著者中村 大介, *疋田 輝雄 (明治大学理工学研究科)
Pagepp. 1594 - 1604
Keyword共有ブラウザ, 協調ブラウジング, プロキシ, 動的ウェブページ, JavaScript
Abstractユーザが利用しやすい協調システムを,簡単に実装できる汎用的な方式として,プ ロキシを用いてウェブページを共有可能なウェブページに書き換えるという手法を採 り上げ,詳しく考察し実現した.これはウェブサーバと各クライアントブラウザの間に 一つのプロキシを置いて,そこにウェブページのコピーを置き,ウェブリクエストと それへのレスポンスを仲介するものであり,以前から提案例のあるものである.スク リプトの同一生成元ポリシーにも対応できる.適用できるウェブページはHTML お よびXHTML,CSS,JavaScript からなるものである(Flash ページは扱えない). ブラウザの種類およびバージョンは問わない.この手法ではフォームのレスポンス, JavaScript の動作,Ajax など,つまり動的なページをも共有可能であることを示す.

7D-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名忘却防止作用素によってファイル提供を促進するファイル配送システム
著者*羽佐田 貴紀, 毛利 公美 (岐阜大学), 白石 善明 (名古屋工業大学)
Pagepp. 1605 - 1613
Keywordファイル配送, ホスト間直接通信, 忘却防止作用素, 応答促進
Abstract本論文では,複数の組織間でファイルの伝達をスムーズに行うための仕組みを検討する.業務の中でのファイル送受信は,ファイル送信の契機という観点から“一方的にファイルを送るもの”と “ 要求されてファイルを送るもの”の2つのタイプに分類できる.これらのうち,円滑な業務遂行のためには,後者のケースについて遅滞なく行えるようにユーザを支援することが重要であるが,一般に送信者/受信者が異なる組織に属する場合は,それが難しくなる.提案方式は,ファイル提供を要求されたユーザの要求確認・ファイル送信にかかる操作負担を軽減するとともに,ユーザインタフェースに忘却防止作用素を導入することによって応答(ファイル送信)を促進させることを狙っている.これにより,円滑な業務の遂行を支援する.

7D-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名ソフトウェアの利用目的推定と操作予測方法
著者*岡原 弘典, 長島 勝 (三菱電機(株) 情報技術総合研究所)
Pagepp. 1614 - 1619
Keywordグループウェア, 操作ガイダンス, ユースケース
Abstract開発環境などの対話型ソフトウェアは多くの機能を提供しており,ユーザは機能のいくつかをある順序で組み合わせて実行することで,目的とする作業を行っている.これらの手順をユーザへ提示する方法として,マニュアルやウィザード機能などがあるが,ユーザの実操作との対応が不明瞭である点や操作自由度が制限される点などの問題がある. 本稿では対話型ソフトウェア開発の上流工程で行われるユースケース分析フェーズに注目する.ここで列挙された複数のユースケースと,ユーザが実際に対話型ソフトウェアを使用した際の操作履歴との比較を逐次行うことで,ユーザの操作履歴を最も的確に表現しているユースケースを特定し,ユーザの目的作業を推定して,ユーザへ推奨する次操作の提示を行うシステムを提案する. また本稿では,提案システムの技術課題である,ユーザの操作履歴とユースケースの比較方法について,アルゴリズム案を提示した.

7D-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名OSS開発における保守対応の効率化のためのアウェアネス支援システム
著者*伊原 彰紀, 山本 瑞起, 大平 雅雄, 松本 健一 (奈良先端科学技術大学院大学/情報科学研究科)
Pagepp. 1620 - 1629
Keywordオープンソースソフトウェア, 分散開発, アウェアネス, ソフトウェア保守
Abstractミッションクリティカルなシステムで利用されているオープンソースソフトウェア (OSS) は,OSS開発者によって不具合を迅速に修正する必要がある.しかしながら,OSSは言語や文化,習慣等が異なる世界中の不特定多数のボランティア集団によって開発を進められているため,OSS管理者が保守作業の適任者を特定することが容易でない.そこで我々は,OSSの保守作業を依頼すべき開発者を効率的に決定できるようにするためにアウェアネス支援システムACTION(Awareness Communication Tool for Interactive Open Negotiation)を開発した.ACTIONは(a) 保守対象のソースコードの開発に関与した経験のある開発者, (b) 開発者の活動地域と開発者の活動時間,をOSS管理者が直観的に把握できるよう支援することができる.本稿で,ACTIONが開発者の活動地域や活動時間によって生じるコミュニケーションの遅延を軽減できることを確認した.


セッション 7E  放送コンピューティング
日時: 2010年7月9日(金) 8:30 - 10:10
部屋: 弥生
座長: 阿倍 博信 (三菱電機)

7E-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名有線・無線組合せデジタル・ディバイド解消システムのフィールド試験報告
著者*村田 嘉利 (岩手県立大学 ソフトウェア情報学部), 真野 浩, 森岡 仁志 (ルート株式会社)
Pagepp. 1630 - 1637
Keywordデジタル・ディバイド, 海底ケーブル, WiMAX, IPマルチキャスト
Abstract東北地域には,地上波デジタルテレビ放送および高速インターネットのサービスを受けられない地域が多数存在する.この二つのデジタル・ディバイドの問題を経済的に問題解消するシステムとして,対象エリア内では光ファイバを用いてチェイン状に各戸を結び,対象地域までのエントランス回線として地域WiMAXを使用するシステムを提案する.これまでに二つのデジタル・ディバイドエリアの現地調査を行った結果を報告した.また,大学において提案システムの伝送特性,海底ケーブル敷設の耐衝撃性に評価を行い,問題ないことを確認し,報告している.以上の結果を受けて2009年12月から2010年3月まで,岩手県北上市更木においてフィールド試験を行った.その結果,住民自らネットワークを構築できる可能性があり,少しトラブルはあったが,冬季でも問題なく動作することを確認した.本論文では,フィール試験を中心に報告する.

7E-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名呼吸に同期させた香りの切り替え手法
著者*杉本 紗友美, 野口 大介 (慶応義塾大学大学院 理工学研究科), 坂内 祐一 (キヤノン株式会社), 岡田 謙一 (慶応義塾大学 理工学部)
Pagepp. 1638 - 1645
Keyword香り, 嗅覚情報, パルス射出, 嗅覚ディスプレイ, 切り替え
Abstract映像メディアでは,シーンの切り替えが多くみられ,それに合わせて香りを切り替えることにより更なる臨場感が得られると考えられる.しかし,これまでの香りディスプレイでは微少な制御ができず,残り香や順応といった嗅覚特有の問題点を克服できなかったため, 高速な香りの切り替え提示手法は研究されてこなかった.そこで我々は,微少時間の香り提示であるパルス射出を用いて,映像に同期して香りの切り替えを行える提示手法の構築を目指した.様々な香り提示パターンに対する嗅覚特性を測定した結果,高速切り替えに適した手法の構築に成功した.今後,映像や音声に香りを付加する際にこの手法を用いることで,今まで以上に臨場感を高めることが可能であると期待される.

7E-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名視聴者コメントを用いた広告動画挿入タイミング決定アルゴリズムの提案
著者*齊藤 義仰, 長野 将広, 村山 優子 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 1646 - 1651
Keywordインターネット放送, インタラクティブTV, 広告動画, ミッドロール型広告, 視聴者コメント
Abstract動画共有サービス上の広告として,テレビのように動画の途中で広告動画を挿入する,ミッドロール型の広告手法が徐々に表れ始めている.しかし,既存のミッドロール型広告動画挿入手法では,一定の時刻になると時報のように広告動画を再生させたり,ランダムな再生時間に広告動画を再生させたりする手法が取られており,動画の視聴を妨げるタイミングで広告が再生されるという問題がある.そこで,動画の視聴を妨げないタイミングで広告動画を挿入するため,視聴者コメントを用いたミッドロール型広告動画挿入タイミング決定アルゴリズムを提案する.適切な広告動画挿入タイミングには,コメント数に何らかの変化があると仮定し,コメント数の特徴から視聴を妨げないタイミングを決定する.本稿では,広告動画挿入タイミング決定アルゴリズムを作成するための予備実験の結果と,提案アルゴリズムの詳細について報告する.

7E-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名放送通信融合環境における再生中断時間短縮のための端末数を考慮したデータ配信手法
著者*後藤 佑介 (岡山大学大学院自然科学研究科), 義久 智樹 (大阪大学サイバーメディアセンター), 谷口 秀夫 (岡山大学大学院自然科学研究科), 金澤 正憲 (京都情報大学院大学)
Pagepp. 1652 - 1659
Keyword放送通信融合環境, 連続メディアデータ, 再生中断時間, スケジューリング
Abstract近年の放送通信融合環境の急速な発達にともない,音楽や映像といった連続メディアデータを受信しながら再生するストリーミング配信が注目されている.放送通信融合環境では,データを再生する端末は放送と通信の両方のチャネルを用いてデータを受信することで,再生時に発生する中断時間を短縮する.これまでの研究では,サーバは使用できる帯域幅に制限がない状況で放送と通信がどちらも同じデータを配信していたが,帯域幅に上限がある場合,データの受信時間が増加し,再生中断時間が増加する.そこで本研究では,クライアントの端末数を考慮したストリーミング配信の再生中断時間短縮手法を提案する.端末の視聴要求の到着間隔をもとに放送と通信でそれぞれ使用する帯域幅を設定し,データのどの部分を配信するかをスケジューリングすることで, 再生中断時間を効率的に短縮する.


セッション 7F  実装/サイドチャネル攻撃
日時: 2010年7月9日(金) 8:30 - 9:45
部屋: 和風
座長: 福田 洋治 (愛知教育大学)

7F-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名ハッシュ関数Luffaのハードウェア実装
著者*佐藤 証, 片下 敏宏 ((独)産業技術総合研究所/情報セキュリティ研究センター), 菅原 健, 本間 尚文, 青木 孝文 (東北大学大学院 情報科学研究科)
Pagepp. 1660 - 1665
KeywordSHA-3, ハッシュ関数, 回路実装
Abstract本論文では,次世代ハッシュ関数SHA-3の候補アルゴリズムLuffaのハードウェア・アーキテクチャを提案する.提案アーキテクチャを90nm CMOSスタンダードセル・ライブラリにより性能評価を行った結果,高速実装では35Gbpsという極めて高いスループットが得られ,また小型実装では14.7kgatesが示された.同じスポンジ関数型のSHA-3候補Keccakや,現在の標準ハッシュ関数SHA-256との比較においては,高速から小型回路までより柔軟に対応できるLuffaの優位性が明らかとなった.

7F-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名暗号LSIの電源ノイズシミュレーションによるサイドチャネル解析
著者*片下 敏宏, 佐藤 証 (産業技術総合研究所), 藤本 大介, 永田 真 (神戸大学大学院システム情報学研究科)
Pagepp. 1666 - 1672
Keywordサイドチャネル攻撃, 電力解析, シミュレーションモデル, 標準評価ボード
Abstract現代の暗号技術では,アルゴリズムの安全性は理論的に検証されているが実装の不備などを悪用する物理的な攻撃にさらされる危険性がある.物理的な攻撃の1つであるサイドチャネル攻撃は,暗号モジュールの消費電力や放射電磁波などの物理量を計測・解析することで非破壊的に内部情報を暴露する手法であり,様々な解析手法や対策の研究が進められている.また,対策手法をLSIに施し効果を実装後に検証するには莫大な製造コストが必要とされるため,暗号モジュールの実装前に実装安全性をシミュレーションなどによって評価する研究もなされている.しかし,各々の研究では独自の実装環境からデバイスの近似モデルを構築しており,そのモデルを用いたシミュレーションにより物理的な特性を正しく近似できているか検証を行うことが困難であった.このような理由から,我々は暗号LSIを製造し実際の物理的なパラメータから近似モデルを構築することにより,サイドチャネル攻撃向けの標準シミュレーション評価環境の構築を進めている.本研究ではシミュレーション評価環境の構築に向け,暗号アルゴリズムのAES回路を65 nmテクノロジのASICに実装したモジュールの近似モデルを生成し,シミュレーションにより得られる電力波形の検証を行った.その結果,モジュールの寄生容量を1つのキャパシタとして近似するモデルを用いたシミュレーションの波形によりサイドチャネル解析が可能であることを確認できた.また,AES回路のS-box構成を4種実装して電力解析を行った結果,回路構成の違いによる解析結果への影響が表れることを確認できた.

7F-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名GPGPUによるパスワードクラックツールの並列化の実装と評価
著者*笠原 竜大, 村上 智祐 (明治大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻), 齋藤 孝道 (明治大学理工学部情報科学科)
Pagepp. 1673 - 1677
KeywordGPGPU, 暗号解読, 並列処理, マルチコア
Abstract本論文では,Linux/UNIXのログインパスワード解析を,GPGPU(General Purpose computing on GPUs)を用いて並列化することにより高速化を試み,その評価を行った.


セッション 7G  ネットワーク/ミドルウェア
日時: 2010年7月9日(金) 8:30 - 10:10
部屋: 緑風の間1
座長: 岩井 将行 (東京大学)

7G-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名コンテンツ単位のグルーピングを可能とするリモートアクセス方式の提案
著者*三浦 健吉, 鈴木 秀和, 渡邊 晃 (名城大学大学院理工学研究科情報工学専攻)
Pagepp. 1678 - 1682
Keywordリモートアクセス, NAT越え, 通信グループ
Abstractリモートアクセスで主に利用される既存技術として,IPsec-VPN やSSL-VPN がある.しかし,IPsec-VPN は複雑な設定が必要で管理が面倒であり,NAT との相性が悪いなどの課題がある.また,SSL-VPN は手軽に利用できるが,使用するアプリケーションが限定されるという課題がある.そこで我々は,GSRA(Group-based Secure Remote Access)と呼ぶ,NAT 越え技術をベースとした新たなリモートアクセス技術を提案している.しかし,GSRA はネットワークレベルの対策であり,アプリケーションの内容には干渉できない.そこで,本論文ではコンテンツ制御プロキシ(以下CPROXY)を新たに導入し,GSRA とCPROXY が連携することで,コンテンツ単位のグルーピングを実現する.

7G-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名マルチパスの伝送路可逆性を用いた伝送路特性に基づく共有情報生成方式の応用
著者*岩本 智裕, 田頭 茂明, 荒川 豊 (九州大学), 津村 直樹 (リコー), 福田 晃 (九州大学)
Pagepp. 1683 - 1689
Keyword伝送路可逆性, 秘密鍵共有, 周波数成分, フェージング, マルチパス
Abstract携帯電話やPDAなどの小型無線端末の普及に伴い,利用者同士が端末を持ち寄っ て一時的な無線ネットワークを形成し,互いにデータ通信を行う機会が今後ま すます多くなることが予想される.このような近距離無線ネットワークにおい て,安全なデータ通信を容易に実現できることは,今後社会の情報基盤として 老若男女を問わず利用されるユビキタスシステムに必要不可欠な技術課題だと 考える.近くにいる者と安全かつ簡単にデータ交換をすることが可能になれば, 近距離無線通信の信頼性を飛躍的に高めることができると考える. 本論文では,安全なデータ通信を実現する上で必要な共通鍵(共有情報)の共 有を,送受信端末で個別に生成することで実現する手法を提案する.提案手法 の主なアイデアは,送受信端末を振ることにより生じる無線伝送路の変動をも とにして,各端末で個別に共有情報を生成することである.この変動は,送受 信端末間でのみ同一の振る舞いとして観測されるが,第三者においては,異な るように観測される.この性質を利用し,共通鍵を安全かつ容易に生成する手 法を実現する.また,提案方式では特別なデバイスや下位層プロトコルの指定 をせずに,共通鍵を生成できるように生成プロトコルを設計している.提案手 法の認証への応用についても紹介する.さらに,プロトタイプシステムを構築 し,提案手法の有効性を実環境において評価した.

7G-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名ホームネットワークにおける待機電力の削減に向けた遠隔起動技術の提案
著者*石原 丈士, 大山 裕一郎, 村上 貴臣, 渋谷 尚久, 鎌形 映二 (株式会社東芝 研究開発センター)
Pagepp. 1690 - 1698
Keywordホームネットワーク, 低消費電力, 遠隔起動

7G-4 (時間: 9:45 - 10:10)
題名電子ペーパーネットワークシステム実現のための通信プロトコル設計
著者*平川 剛, 石西 洋 (ネットワーク応用技術研究所先端ネットワーク研究部), 井上 創造 (九州工業大学大学院工学研究院基礎科学研究系), 服部 励治 (九州大学産学連携センタープロジェクト部門フォトニックシステム領域)
Pagepp. 1699 - 1704
Keyword電子ペーパー, 応用システム, 無線電力
Abstract電子ペーパーデバイスの特徴を生かすためには,電池を用いない(バッテリレス)端末や,一人が複数端末を同時に使用することを想定する「どこでもプリンタ」システムが必要である.本システムを実現するため,マルチチャネル通信路を用いた複数端末に対する電源制御を行う通信プロトコルを設計した.また,ユースケースとして会議資料配布を想定し,本通信プロトコルを採用する「どこでもプリンタ」システムの評価試験を実施することにより性能評価を行った.


セッション 7H  P2P(1)
日時: 2010年7月9日(金) 8:30 - 9:45
部屋: 緑風の間2
座長: 寺西 裕一 (大阪大学)

7H-1 (時間: 8:30 - 8:55)
題名ノードIDの動的再配置によるDHTの検索性能改善方式の提案
著者*嶋野 裕太, 佐藤 文明 (東邦大学大学院理学研究科情報科学専攻)
Pagepp. 1705 - 1712
KeywordP2P, 情報検索, 分散ハッシュテーブル, Chord, 動的再構成
Abstract現在P2Pの検索方式として分散ハッシュテーブル(DHT)を利用した手法が盛んに研究開発されている。DHTの一つであるChordは、ノードを論理的なリング構造に構成し、リング状に検索要求が転送される。効率的な検索をするためには、検索を始めてから結果が返ってくるまでの時間が短いほうがいい。しかし、Chordのオーバーレイネットワークは実ネットワークの状況を考慮せず構築されるため、無駄の多い検索が含まれる問題点がある。本研究では、Chordリングのノードの配置を動的に再配置し、実ネットワークの状況をオーバーレイネットワークに反映させることで、検索要求の転送時間を削減する方式の検討を行った。提案方式のシミュレーションを行い、検索要求の転送時間を削減することを示せた。今後の課題はさらなる効率化及びノードの再配置を行うことで増加したメッセージ数を削減することである.

7H-2 (時間: 8:55 - 9:20)
題名柔軟な経路表によるオーバレイネットワークのルーティング方式
著者*長尾 洋也, 首藤 一幸 (東京工業大学 大学院情報理工学研究科 数理・計算科学専攻)
Pagepp. 1713 - 1722
Keywordオーバレイネットワーク, DHTアルゴリズム, P2P
AbstractDHT アルゴリズムにおいて経路表を柔軟に管理する概念である柔軟な経路表を示す.この概念に基づいてDHT アルゴリズムを設計することで,従来のDHT アルゴリズムの利点を保ちつつ,高い拡張性が得られる.また,サーバサイドシステムのような数ノードから数百ノードの小さなネットワークから,Peer-to-Peer のような百万ノード超の大規模ネットワークまでに対して一貫して利用可能なDHT アルゴリズムを提供する.一方で,本手法はその拡張性により,分断されたネットワークやネットワーク近接性等を考慮するアルゴリズムの基礎となる.柔軟な経路表をChord に適用したアルゴリズムFRT-Chord を構成した.実験により,FRT-Chord がノード数の小さいネットワークにおいてゼロホップDHT を実現し,ノード数が大きいネットワークにおいてO(logN) の経路長を実現しているこ とを確認した.

7H-3 (時間: 9:20 - 9:45)
題名Chordネットワークにおけるシーケンシャルアクセスに最適な配列の配置
著者*福地 大輔 (東京大学,日本学術振興会特別研究員DC), 本位田 真一 (国立情報学研究所/東京大学)
Pagepp. 1723 - 1732
KeywordP2P, DHT, 配列
Abstractオーバーレイネットワークをアドレス付け可能なように構造化することにより,純粋なP2P環境において,データを効率良く一貫して管理することができる.しかし,このアドレッサブルネットワーク上へのデータ配置は,通常のメモリ上へのデータ配置とは異なる.ピア間で負荷を分散するため,データを散らさなければならない.データセット内での連続アクセスを効率良く行うため,ネットワークの振舞いに合わせてデータセットを配置しなければならない.本論文では,これらを満たす配列の配置規則を提案する.これは最適なシーケンシャルアクセスを実現する最初の手法である.本手法は,既存の配列の配置規則と同様に,代表的なアドレッサブルネットワークであるChordネットワークに対応する.データの分散性,要素から要素への連続アクセスの性能等は既存手法と同等である.この結果は,いくつかの仮定と近似の下,理論的に導かれる.


セッション 8A  統一テーマセッション-セキュリティソリューション-
日時: 2010年7月9日(金) 10:20 - 12:30
部屋: 朝陽の間3
座長: 西垣 正勝 (静岡大学)

8A-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名(招待講演) スマートフォンの未来を支えるセキュリティ技術
著者*竹森 敬祐 ((株)KDDI研究所)
Pagep. 1733
Keywordスマートフォン
Abstract昨今、AndroidやiPhoneなど、携帯電話と情報処理端末(PDA:Personal Digital Assistance)の機能をあわせ持つスマートフォンの普及が目覚しい。従来の携帯電話に比べてオープン性や利便性の高いスマートフォンであるが、それゆえにセキュリティ上の脅威も問題となっている。本発表では、スマートフォンのセキュリティ機構と利便性の裏に潜む脅威を洗い出し、今後の発展のために必要となるセキュリティ技術や教育について整理する。

8A-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名情報セキュリティ教育のためのeラーニング教材作成システムELSECの開発と評価
著者*川上 昌俊, 安田 浩, 佐々木 良一 (東京電機大学)
Pagepp. 1734 - 1744
Keyword情報セキュリティ教育, eラーニング, Webラーニング, アニメーション, アドベンチャーゲーム
Abstract情報セキュリティに関する脅威とその対策は日々変化していくものがあり,それらをユーザに教育するためには,それらの変化に合わせて教育内容も柔軟に変化させる必要がある.このため,著者らは拡張性と柔軟性が高い情報セキュリティ教育用eラーニングコンテンツを作成するためのELSECというシステムを開発した.ELSECは教育効果を高めるとされているアニメーションを利用したeラーニングコンテンツを容易に作成できる.また,そのコンテンツは多くのユーザがWeb上で快適に利用できる.本稿では,ELSECの開発目的,構成,機能等について記述するとともにELSECの構成要素であるアニメーション作成ソフトDigital Movie DirectorとFlash形式のスクリプトエンジンKScripterの学生による適用と評価について報告する.

8A-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名ITリスク対策に関する社会的合意形成支援システムSocial-MRCの開発構想
著者*佐々木 良一 (東京電機大学), 杉本 尚子 (株式会社アドイン研究所), 矢島 敬士, 増田 英孝 (東京電機大学), 吉浦 裕 (電気通信大学), 鮫島 正樹 (大阪大学), 舩橋 誠壽 (東京電機大学)
Pagepp. 1745 - 1754
KeywordITリスク, リスクコミュニケーション, 合意形成, 離散型最適化, 社会的合意
Abstract1つのリスクへの対策が別のリスクを生み出す多重リスクの問題が存在するなかで,情報フィルタリング問題や監視カメラの導入などITリスク対策に関する社会的合意形成を支援するシステムの必要性が高まっている.組織内合意形成用に著者らが開発した多重リスクコミュニケータ(MRC:Multiple Risk Communicator)を改良し,オピニオンリーダ間のコミュニケーションと一般関与者参加型のコミュニケーションの2階層多重リスクコミュニケーションを総合的に支援するシステムSocial-MRCの開発構想を固めたので報告する.これにより,関与者の数が数千人を超える問題にも適用することもできると考えられる.

8A-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名複数組織にまたがる疫学調査におけるプライバシー確保のための大容量耐タンパー装置HiGATEの適用方式の開発
著者*長谷部 浩司, 佐々木 良一 (東京電機大学)
Pagepp. 1755 - 1764
Keywordセキュリティ, 個人情報漏洩, 疫学, プライバシー, データ照合
Abstract従来,PCの持ち主はデータの処理を自由に行い,その入力や中間結果を自由に見ていた.しかし,疫学調査などのように個人情報などを2つ以上の団体で扱う場合においては,統計処理を行うコンピュータ使用者が入力データや処理内容を自由に見ることはプライバシーなどの観点から問題が生じることがある.この問題を解決するために,秘匿したいデータに対して情報提供者が暗号化を施し,特定の耐タンパー装置内のみで復号やデータ処理を行い,最終結果のみを出力することで対応が可能である.このような耐タンパー装置としてICカードがあるが性能的に問題があり,著者らは先にそのようなことを可能とする大容量耐タンパー装置HiGATEを試作した.本稿では,疫学調査におけるプライバシー確保のためのHiGATEの適用方式,応用ソフトの開発結果,ならびに適用結果を報告する.

8A-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名USBメモリを用いた仮想化環境のセキュリティを考慮した利用方法の検討 −教育用アプリケーションソフトを用いたユーザ評価−
著者*高橋 雅隆, 中山 亮介, 納富 一宏 (神奈川工科大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1765 - 1768
Keyword仮想化環境, ポータビリティ, USB, OS, セキュリティ
Abstract現代社会において,パソコンは使用目的の多様化により,企業だけでなく大学を含む教育機関や一般的な家庭に至るまで広く浸透している.今日では,ユビキタス化の進展とモバイル機器の普及とにより,場所に依存することのない利用環境の整備が着実に進められているといえる. しかしながら,使い慣れたコンピュータ環境(OSやアプリケーションソフトウェアなどを含む)は個人によって異なる.そこで,本稿では,セキュリティ機能を持たない一般的なUSBメモリとオープンソースソフトウェアを用いて,汎用性とセキュリティを考慮したコンピュータ環境を持ち運ぶシステムの作成と,実用性を示すための評価実験を行った.実験の結果,実環境と比較して仮想化環境の操作性評価値は18.2%低下したが,被験者が操作に不満を抱かないことを確認した.また,システムのセキュリティ機能の向上のため,自己組織化マップを用いた顔画像認証の基礎的検討を行った.


セッション 8B  移動ネットワーク環境
日時: 2010年7月9日(金) 10:20 - 12:25
部屋: 朝陽の間1
座長: 渡邊 晃 (名城大学)

8B-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名Android端末の解析に基づく無線LAN通信の性能向上のための一検討
著者*三木 香央理 (お茶の水女子大学院人間文化創成科学科理学専攻小口研究室), 小口 正人 (お茶の水女子大学理学部情報化学科)
Pagepp. 1769 - 1774
KeywordAndroid, スマートフォン, 組込み機器, モバイル端末, ソフトウェアプラットフォーム
Abstract近年,スマートフォン市場の成長に伴い,携帯端末で動作する組込み機器のソフトウェアプラットホームとしてGoogle社開発のAndroidが注目されている. アプリケーション開発や柔軟な拡張性において注目度の高いAndroid携帯に対し,本研究ではそのサービス提供を可能にしたシステムプラットホームとしてのAndroidに焦点を当て,特にそのネットワーク能力およびネットワークコンピューティング能力について評価する. Androidのソースコードをx86系CPU搭載パソコン上で動かし,その無線ネットワークにおける通信能力について解析し,そのトランスポート層を 最適化することで,より高性能な通信を目指す.

8B-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名多様なノード移動制約と地理制約を指定できるWaypointモビリティモデルの提案
著者*上野 瑛次郎, 廣森 聡仁, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学 大学院 情報科学研究科)
Pagepp. 1775 - 1782
Keywordモビリティモデル, ネットワークシミュレーション, 性能評価
Abstractモバイルワイヤレスネットワークにおいては,対象とする領域のノード密度分布やノードの移動がネットワーク性能に大きな影響を与えることが知られている.したがって,性能評価や信頼性の評価をシミュレーション実験で網羅的に行うためには,様々なノード移動パターンやノード密度分布を実現できる移動モデルが求められる.Random Waypointモデルなどに代表される汎用性の高いモビリティモデルでは,あるランダムな移動パターンを想定するのみであり,指定されたノード密度分布を実現することは考慮されていない.本稿では,ノードの移動速度や滞在時間などの移動制約だけでなく,ノード密度分布などの地理制約を満たすモビリティモデルを導出する手法を提案する.この地理制約では,ノード密度が高い領域とノード密度が低い領域の二種類を設定することができ,これらを組み合わせることで多様なノード密度分布を生成することができる.評価実験では,提案手法により導出したモビリティモデルにより,指定した領域のノード密度と他の領域のノード密度との間で明確な差をつけることができ,パラメータ変更のみで現実的なノード密度分布を簡単に導出できることを示した.

8B-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名移動透過通信を利用したIPマルチキャストに関する考察
著者*鎌田 恵介 (広島大学 工学研究科), 関 顕生 (広島大学大学院 総合科学研究科), 正岡 元, 近堂 徹, 相原 玲二 (広島大学 情報メディア教育研究センター)
Pagepp. 1783 - 1789
KeywordIPマルチキャスト, 移動透過通信, ストリームアプリケーション
Abstract昨今のIP対応機器の急速な増加と回線の高速化により,インターネット経由で大容量コンテンツをリアルタイムに多数に配信する要望が高まっており,移動端末で映像コンテンツを視聴するといった場面も増えてきている.しかし,現在一般的に使われているユニキャスト方式の通信では,配信規模が大きくなるほどネットワークの帯域を圧迫する.IPマルチキャストを用いることで帯域効率の良い同時多数配信を行えるメリットがあるが,通信しながらネットワーク間を移動すると切り換え及びマルチキャストツリーの再構築に伴う途絶が発生するというデメリットもある.本稿では,IPマルチキャストを受信しながらネットワーク移動をする際,一時的に複数の物理ネットワークインタフェースを使用してネットワーク切り換え時のストリーム途絶を吸収する方式を提案し,その設計及び利用シーケンスを説明する.

8B-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名移動型ノードを用いたセンサデータ収集におけるデータ収集量向上のための通信方式
著者*清野 航, 坂下 卓 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 義久 智樹 (大阪大学 サイバーメディアセンター), 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学 大学院情報科学研究科)
Pagepp. 1790 - 1797
Keywordセンサネットワーク, ユビキタスセンサ環境, 大規模センシング, センサデータベース
Abstract近年,街中の環境把握や気象予測のため,移動型ノードを用いたデータ収集方式が研究されている. 移動型ノードがセンシング領域を移動して各センサから直接データを収集することで, センサネットワークを構築してデータ収集する場合に比べて通信量を削減できる. これまでに,移動型ノードを用いたデータ収集方式として,公平性を考慮した手法が提案されているが, 各センサに対する通信時間のデータ収集量が少なくなるという問題があった. そこで本研究では,公平性を確保しつつ,データ収集量を向上する通信方式を提案する. 提案方式では,新たなセンサを発見できなかった場合, 通信済みのセンサと再度通信を行う.性能評価の結果,提案手法の有効性を確認した.

8B-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名移動ネットワーク環境におけるSNMPを用いた情報収集手法
著者*中村 直毅 (東北大学医学系研究科), 丸山 貴史 (東北大学情報科学研究科), 菅沼 拓夫 (東北大学電気通信研究所), Glenn Mansfield Keeni (サイバー・ソリューションズ), 白鳥 則郎 (東北大学電気通信研究所)
Pagepp. 1798 - 1807
KeywordNEMO, SNMP, 監視, 移動ネットワーク, モビリティ
Abstractネットワークモビリティ(NEMO)プロトコルが用いられる環境では,モバイルノーやモバイルルータがネットワーク間を移動するため,ネットワーク構成の変化が頻繁に発生する.このような移動ネットワーク環境を遠隔監視する場合,不安定な通信環境のため,収集する管理情報が経路途中で頻繁に損失する問題が生じる.また,監視トラフィックが通信帯域占有し他の通信を阻害するといった問題も起きる.そこで本稿では,これらの問題を解決するため,モバイルルータにおいて,管理情報を一時的にバッファリングし,監視トラフィックの配送を分散する手法とSNMP メッセージを集約し,監視トラフィックを大幅に圧縮する手法を提案する.評価実験を通して,提案手法が効果的に機能することを確認し,その有効性を示す.


セッション 8C  電力管理/制御
日時: 2010年7月9日(金) 10:20 - 12:25
部屋: 倶楽部樹里苑
座長: 新井 イスマイル (立命館大学)

8C-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名スマートスペースにおける省エネ行動支援システムの提案
著者*小倉 和也 (奈良先端科学技術大学院大学), 山本 眞也 (山口東京理科大学), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 1808 - 1816
Keywordスマートスペース, コンテキストアウェアネス, 情報家電, 省エネルギー, 行動支援
Abstract近年,エネルギー問題および環境問題に対する人々の関心が高まっている.各家庭において省エネを達成しようとした場合,設定した省エネ目標に対して,どのデバイスをどれだけ節電すれば目標を達成できるのか,複数のデバイスが稼働している際には,どれを優先的に節電することでユーザの快適性を高く保つことができるのか,などをユーザに具体的に示すことが必要不可欠である.本稿では,ユビキタスシステムを活用した,省エネ行動支援手法を提案する.本稿で取り扱う問題では,供給電力量を減らすことによるユーザの快適度の低下度合いが,各デバイスに対して与えられると仮定する.その上で,快適度が最大になり,ユーザの設定した省エネ目標を達成するような,各デバイスの設定値を決定する問題を定式化する.定式化した問題に対して,ユーザの置かれたシチュエーションとデバイスそれぞれに対する単位消費電力当たりの快適度の低下度合いを重みとして,重みの小さいシチュエーションおよびデバイスほど消費電力の削減量を大きくする.これによって,快適性を大きく保持しながら省エネ目標を達成する.また,ユーザがシステムの提案した行動プランに無理に従わなくてもよくするため,各シチュエーションでいくつかの選択肢から行動プランを選ぶだけで,省エネ目標に誘導するユーザインタフェースを提案する.さらに,典型 的な適用例を通して,本手法の有効性を示す.

8C-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名細粒度電力センシングによる浪費電力の検出
著者*上田 泰嵩 (名古屋大学大学院 工学研究科 計算理工学専攻), 梶 克彦, 河口 信夫 (名古屋大学大学院 工学研究科)
Pagepp. 1817 - 1821
Keyword電力センサ, 細粒度計測, 省エネ
Abstract近年, 省エネルギーへの関心が高まってきているが, 実際に省エネ活動が盛んに行われているとは言い難い. 省エネ行動を継続してもらう方法の一つとして電力可視化が行われているが, 削減可能な電力を示さなければどこを削減すれば良いのか分からず, 省エネをするのは難しいと考えられる. 本論文では, 個別の電気機器用の小型電力センサを用いて機器の消費電力を計測することにより, 機器の消費電力量の内訳を明確にし, 削減可能な浪費の発生箇所を把握出来る様にすることを目的とする. 実験として, 機器の浪費電力を検出・生じた原因ごとに分類するために, どのような方法や特徴量を使用すれば良いのか調査した. 浪費電力の検出と分類によって削減可能な浪費電力を明確に示すことで, 無駄を削減できる箇所と方法を機器使用者に認識してもらうことができ, 長期間省エネ行動を実行してもらうことを図る.

8C-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名複数台ノートPCのバッテリ充放電制御による供給電力最適平準化
著者*角田 忠信, 大島 弘敬, 山本 寛, 原 政博, 藤野 信次 (富士通研究所)
Pagepp. 1822 - 1831
Keyword電力平準化, バッテリ, スマートグリッド, PSO, 最適化問題
Abstractバッテリの充放電の制御により,商用電源からの総供給電力の時間変動を抑制する電力平準化は,電力消費者の生産活動を低下させずに電気料金削減やCO2削減が実現可能な技術として注目されている.単一の大容量バッテリを用いた電力平準化は,バッテリの設置にコストがかかるため,本研究はノートPCのような小容量で安価なバッテリを複数台用いたスケーラビリティの高い電力平準化システムの構築を目指している.複数台のバッテリを用いる場合,各バッテリの充放電を個別に制御して電力平準化を行っても,総供給電力のピーク値を単一の大容量バッテリを用いた平準化ほど下げることはできない.そこで,本論文は,制御サーバが通信ネットワークを通じて各バッテリと負荷の状態を監視し,各装置に設置されたスイッチを制御することにより最適電力平準化を実現するシステムにおける,各スイッチのON/OFF制御の実用的アルゴリズムを提案する.本手法では,過去のデータを用いた統計分析よりシステムの総供給可能電力量を算出し,この値を各装置に対して,各バッテリ残り時間がなるべく均一になるように 振り分ける.これにより,単一の大容量バッテリを利用した電力平準化と同等の効果が得られる.シミュレーションにより評価を行った結果,本手法は複数のバッテリを個別に制御するよりもピーク電力を削減可能で,理論限界に近い効果を示すことを確認した.

8C-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名有線/無線相互補完通信を用いたエネルギー管理システムの評価
著者*安部 惠一 (静岡大学創造科学技術大学院), 澤田 尚志, 増井 崇裕 (静岡大学情報学研究科), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 水野 忠則 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 1832 - 1843
Keyword無線センサネットワーク, 省エネルギー, 消費電力, HEMS, PLC通信
Abstract地球温暖化防止のため,工場及びオフィスだけでなく,家庭においても省エネルギー対策が益々重要となってくるものと考えられる.現在,研究ではHEMS(Home Energy Management System)技術が注目を浴びているが,HEMS技術の普及にはいくつかの課題がある. 本稿では,HEMS技術の課題を解決する技術として,有線PLC/無線ZigBee相互補完通信ネットワークにより既存建造物並びに既存家電に一切の改変を行わずに,建物内の住環境情報並びに家電などの電気機器のエネルギー消費量を可視化できるEMSについて提案する.建物内の住環境情報及び電気エネルギーの消費量の可視化を行うことで,これまでに気づくことがなかった電気エネルギーの無駄使いの発見や,各種センサによる住環境情報との併用取得により建物内の人の生活習慣における電気エネルギーの消費量の関係がどの程度把握できるか調査する目的で,今回PLC/ZigBee通信相互補完通信機能を除いたEMSのプロトタイプを開発し,実証実験により評価を行ったので報告する.

8C-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名磁界共振結合式マルチホップ無線電力伝送方式の解析と評価
著者*澤上 佳希, 宮坂 拓也, 川原 圭博, 浅見 徹 (東京大学大学院情報理工学系研究科)
Pagepp. 1844 - 1850
Keywordスマート環境, ユビキタス情報処理, 情報家電, 無線電力伝送, 磁界共振結合
Abstractユビキタスコンピューティング環境では室内に大量に情報通信機器を取り付けるた め,給電方式が設置と運用の大きな課題になる.我々は,磁界共振結合を利用した無 線電力伝送技術に着目し,非放射,高効率でありながら,面的な給電を可能にする無 線電力伝送システムの実現を目指している.本方式の特徴は,アンテナを格子状に多 数配置しマルチホップさせる点にある.従来の電磁界共振結合方式に関する研究報告 は,二つの送受信アンテナ間の伝送特性を論じたものに限られていた.本稿ではマル チホップにおける伝送効率について報告し,提案システムの実現可能性を論ずる.具 体的には,半径 15cm のヘリカルアンテナを 9 個使った直線状のマルチホップにおい て,2m40cm の伝送距離で 70%以上の高い効率を測定することに成功した.また,今 度はそれらアンテナを 3×3 の格子状に並べ,給電アンテナからその他の 8 個のアン テナへの伝送効率を測定した結果,4 ホップ離れた最も遠いところの効率は 84.1%で あったことを報告する.


セッション 8D  クラウド/センサーネットワーク管理
日時: 2010年7月9日(金) 10:20 - 12:00
部屋: 如月
座長: 市村 哲 (東京工科大学)

8D-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名クラウドコンピューティングにおけるQoEを考慮したリソース追加モデルの提案・評価
著者*藤田 直也, 奥田 隆史, 井手口 哲夫, 田 学軍 (愛知県立大学)
Pagepp. 1851 - 1856
Keywordクラウドコンピューティング, QoS, QoE, AHP
Abstractクラウドコンピューティングモデルが現在広がりつつある.このモデルを多数ユーザが利用することにより,クラウドを提供するサービスプロバイダは,「リソースをいつ・どのくらい提供するのか」という最適リソース.配分問題を解決しなくてはならない. 本稿では,この問題を,リソース追加に要するコストをできるだけ抑えたうえで,ユーザからみたサービスの品質を表す指標であるQuality of Experience(QoE)を最大にするという制約付き最適化問題とし,エージェントベースモデリングによるアプローチによって評価する.

8D-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名CO2センサを用いた学習環境の計測
著者*尾関 亮 (上智大学理工学部電気電子工学科), 高岡 詠子 (上智大学理工学部情報理工学科)
Pagepp. 1857 - 1866
KeywordCO2, 二酸化炭素濃度, 教育, 学習環境, センサ
AbstractNDIR(非分散赤外線)方式センサを3台用いて教室内のCO2濃度の測定を行った。10月22日〜12月10日の期間、センサ3台をそれぞれ「教室の後ろ」「給気口下」「排気口下」に設置し、特定の曜日で授業中に測定を行い、必要に応じて外気の測定や、1日測定など全部で24回測定を行った。このデータを用いて測定結果の全体像、曜日毎の比較、人数との相関関係、教室の位置による違い、1日を通したCO2濃度の変化などを解析した。これらの結果からCO2濃度と人数の間に相関関係は見られたのだが、人数が同じでも曜日や教室、時間帯によって結果に差が出ることが分かった。その他、外では人数がCO2濃度に影響することはほとんどない、換気回数の違いについては教室の容積に加えて、換気機能など他の原因が影響する、曜日によって換気効率に違いが見られるなどの現象が観察された。簡易センサを用いてCO2濃度を計測し、換気を促すことで学習環境向上に役立てることができる。また、学生の集中度、他の教室の環境データと併せて、より学生の学習環境を向上させることが可能である。Live E!ではセンサ情報をインターネットを介してサーバーに送る仕組みを開発している。今後、インターネットを利用することで様々な場所における屋内CO2濃度情報を集め、より詳細な解析を行い、その結果を学習環境向上に役立てることが可能である。

8D-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名仮想Linuxを活用したネットワーク構築演習のための自動評価システムの開発
著者*梅田 雅一 (近畿大学大学院総合理工学研究科エレクトロニクス系工学専攻), 井口 信和 (近畿大学 理工学部 情報学科)
Pagepp. 1867 - 1874
Keyword情報技術者教育, ネットワーク構築演習, 仮想Linux, 自動採点
Abstract本研究では,実機を用いることなく,ネットワーク構築の演習が可能なシステムを開発した.また,本システムでは学習者が実施した演習手順を自動的に評価できる.今回のシステムを開発するために,まず,学習者が実施した演習手順を自動的に採点する機能を開発した.そして,本機能を組み込むために,これまでに開発したネットワーク構築学習システムを一部改良した. ネットワークの構成要素には,実機ではなくネットワーク機器として動作させた仮想マシンを利用する.そのため,演習に必要な実機を確保する必要が無く,実機による演習と比較し,より手軽に演習できる.本システムでは,学習者が使用するPCで動作するOSをホストOSとして,仮想Linux環境であるUML(User Mode Linux)による仮想マシンを起動する.起動した仮想マシンをホストやルータとして動作させ,これらの仮想的なネットワーク機器同士を相互に通信させることで,1台のPC上に仮想的なネットワークを構築する. 自動採点機能では,学習者が構築した仮想ネットワークの設定内容を自動的に採点する.採点結果を参照することで,学習者は構築手順の誤りについて確認できる.これにより,演習と間違いの確認を繰り返し実施することで,学習した知識の習熟,実践経験による技術の習得が期待できる.さらに本機能を応用することで,ネットワークトラブルの対応演習にも利用できる.

8D-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名仮想Linux環境を活用したネットワーク構築演習システムと実ネットワークとの通信を可能とするゲートウェイ機能の開発
著者*西嶋 崇, 井口 信和 (近畿大学理工学部情報学科)
Pagepp. 1875 - 1882
Keyword情報技術者教育, ネットワーク構築演習, 仮想Linux
Abstract本研究は,仮想Linux を用いて実装した仮想ネットワーク機器と,実ネットワークとの通信を可能とする機能の開発を目的とする.開発する機能により,実ネットワーク機器と仮想ネットワーク機器を組み合わせた,ネットワークの構築演習が実施できる. ネットワークの学習では,講義によって取得した知識をネットワークの構築演習を通して実践することが重要である.しかし,実機を用いた構築演習には,構築するネットワークに応じて,実機のネットワーク機器を用意する必要がある.これに対して我々は,仮想Linux を活用することで,一台のPC 上に仮想的なネットワークを構築するネットワーク構築演習システムを開発してきた.開発したシステムにより,学習者は実機を用いた演習と比較して,より手軽にネットワークの構築演習を実施できる.しかし,仮想ネットワーク機器のみを用いて演習した場合,学習者は実機の操作を経験 することができない.また,仮想ネットワークを構成する仮想ルータは,実機のルータと比べて,扱えるコマンドや機能に制限がある. そこで,本研究では,実機ルータと仮想ネットワーク機器を通信させるためのゲートウェイ機能を開発した.今回開発した機能により,実機と仮想環境を組み合わせた複合環境でのネットワークの構築演習が実施できる.


セッション 8E  QoS
日時: 2010年7月9日(金) 10:20 - 12:25
部屋: 弥生
座長: 山口 弘純 (大阪大学)

8E-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名無線センサネットワークにおける複数経路を用いたQoS制御方式
著者*廣瀬 文哉, 小室 信喜, 阪田 史郎 (千葉大学大学院 融合科学研究科 情報科学専攻 阪田・小室研究室)
Pagepp. 1883 - 1889
KeywordIEEE 802.15.4, ビーコン, QoS, 複数経路
Abstract近年,無線通信機能を搭載したセンサノードの小型化,無線ネットワークの発達により, センサネットワークの研究が盛んに行われている1),2) .センサネットワークは環境モニタ リング,セキュリティ,家電制御など,幅広い環境への適用が期待されている技術である. ネットワークに用いられるセンサノードは,センシング範囲の拡大や設置自由度を高める ために,バッテリ駆動であることが要求される.そのため,省電力化が重要な課題となる. また,センサデータの種類は,温度,湿度データといった定期的に収集するものや,セキュ リティ,医療データなど即時性が求められるものなど様々であり,データの到達率や,それ ぞれのセンサデータのQoS(Quality of Service)の保証が要求されている. 本稿では,IEEE 802.15.4 ビーコンモードにおいて,各中継ノードが複数経路を設定し, データの優先度別に経路を切替えることによりQoS を保証する方式を提案する.提案方式 では,シンクノード,中継ノードに着目し,それぞれにデータの優先度別の経路設定を行う. シミュレーション評価により,提案方式が,高負荷時でも高到達率,低消費電力を実現しな がら,QoS を保証していることを示す.

8E-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名無線LANにおけるアソシエーションの最適化を行うQoS制御システムの評価
著者*川口 雄二郎 (立命館大学理工学研究科), 瀧本 栄二, 毛利 公一 (立命館大学情報理工学部)
Pagepp. 1890 - 1897
Keywordミドルウェア, QoS, 無線LAN, 性能評価
Abstract近年の無線LANでは,VoIP(Voice over Internet Protocol) や動画像のストリーミングなど,リアルタイム性が高くかつ大容量な通信を利用する機会が増えている.しかし,現在一般に利用されている無線LANでは,通信品質(QoS;Quality of Service)の保証がされておらず,ストリーミングなどを利用しようとすると,コマ落ちなどが発生してしまうことがある.QoSの低下が起きる主な原因としては,(1)アプリケーションが必要とする通信帯域などのパラメータを予約するような仕組みがない,(2)同一チャネルを用いて通信するためにパケットの衝突が発生する,(3)複数の無線LAN基地局(以下,基地局)があっても無線LAN端末(以下,端末)が集中してしまうことがある,などが挙げられる.現在,我々は,これらを解決すべく無線LAN 向けのQoS 保証システムを開発している.本システムでは,特定基地局への端末の集中や同一チャネルへの端末の集中による送信見合わせの発生を回避し, かつアプリケーション毎の帯域を予約する仕組みを付加することによって問題の解決を試みる.具体的には,基地局がトラフィック状況, 帯域予約状況, 各端末の接続状況の変動を監視する. そして,それらの値を基に基地局と端末の適切な組合わせを決定し,端末の接続先を切り替える.本論文では,本システムの処理方式とソフトウェア構成について述べ,評価結果を報告する.

8E-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名無線LANの様々な条件における帯域公平性の検証とQoS保証TCPの性能評価
著者*安藤 玲未 (お茶の水女子大学), 村瀬 勉 (NEC), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1898 - 1904
Keyword無線LAN, 公平性, QoS
Abstract近年,マルチメディア通信の需要の高まりにより,QoS(Quality of Service)の保証が重要となっている.ここで定義するQoSとは指定された帯域を確保することである.これを実現するTCP-AVという帯域確保TCPがこれまでに提案,実装され,有線環境における評価や無線環境におけるシミュレーションが既に行われてきた.しかし,無線の実機環境においてはこれらとは異なる問題が存在する.例えば複数台の端末で通信を行った時の送信権の制御メカニズムが原因となって,端末ごとのスループットに不公平が生じる場合があり,その結果TCP-AVを用いても有効な帯域制御が行えない可能性がある.そこで本研究では,アクセスポイント(AP)のバッファサイズとTCPのスループットの関係や,長時間通信時における帯域公平性について調査し,このような環境でのTCP-AVの振舞を検証した.

8E-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名無線LANにおけるシンクライアントシステムのトラヒック特性
著者岩木 紗恵子 (お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科理学専攻情報科学コース), *村瀬 勉 (NECプラットフォーム研究所), 小口 正人 (お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科)
Pagepp. 1905 - 1910
KeywordQoS制御, モバイルネットワーク, 無線・移動体, トラヒック
Abstractアプリケーションのトラヒック特性の把握は、QoS制御の構築や評価において、重要である。近年増加しているシンクライアントシステムのトラヒック特性を評価した。シンクライアントシステムとは、クライアントからキーボード・マウスイベントを送信し、サーバから画面情報を受信するシステムを指す。有線における分析で、すでにバルクとインタラクティブという2状態遷移モデルが提唱されている。しかしながら、無線におけるトラヒック特性およびデータ量(画面解像度)を変化させたときのトラヒック特性についての報告は見あたらない。本稿では、IEEE802.11g無線LAN環境にて、解像度を大小変更して、トラヒック特性を調査した。その結果、解像度の大小による差異はあまり見られず、無線においては、有線よりも、バルクデータのパケット間隔が22%程度大きくなることがわかった。

8E-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名パケット重要性を考慮したパス多重度可変ルーティングの提案
著者*小林 ひかる, 友澤 弘充, 田村 寛樹 (慶應義塾大学大学院 理工学研究科), 重野 寛, 岡田 謙一 (慶應義塾大学理工学部/JST CREST)
Pagepp. 1911 - 1918
Keywordセンサネットワーク, ルーティング, パス多重度, トリアージ
Abstract災害発生時に,傷病者の状態から救命の順序を決定する「トリアージ」と呼ばれる救命救急方式の導入が進んでいる.救命順序の決定に使用されるタグを電子化してセンサネットワークを構築し,傷病者の情報を監視・収集する救急救命支援システムの 研究が活発となっている.センサネットワークを介して傷病者のデータを収集する際,それぞれのノードが生成するデータの重要性とそのデータのロバスト性を考慮する必要がある.本稿では,データの重要性に応じて送信元ノードごとに使用できる経路の本数,種類を決定することにより,各ノードが送信したデータの伝送のロバスト性を向上させるルーティング手法VPMR(Variable Path Multiplicit Routing) を提案する.計算機を用いたシミュレーションにより,本提案の有効性を示す.


セッション 8F  MANETとモバイルアプリケーション
日時: 2010年7月9日(金) 10:20 - 12:25
部屋: 和風
座長: 峰野 博史 (静岡大学)

8F-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名MANETにおけるSIPサーバレスシステム
著者*下坂 知輝, 戸川 望, 柳澤 政生, 大附 辰夫 (早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 情報理工学専攻)
Pagepp. 1919 - 1927
KeywordMANET, SIP, Ad-hoc Network, NGN
Abstract近年,携帯通信端末でも映像や音楽配信などのマルチメディア通信を利用する機会が増えてきている.しかし,無線通信インフラを利用するには基地局が必須である.そのため,アクセスポイントを必要とせず,全ての端末がルータ機能を持つMobile Ad-hoc Network (MANET)が近年注目されている.また,Voice over Internet Protocol(VoIP)に代表されるようなマルチメディア通信を行う前段階で,セッションを確立するためのプロトコルとしてSession Initiation Protocol(SIP)が利用されるようになってきている.しかし,MANET上でSIPを利用しようとするとSIPの動作が保証されないという問題がある.本稿では,MANETにおいてSIPの動作が保証されない問題を解決する,SIPサーバレスシステムの提案,およびシミュレーションによるシステムの評価を行った.このシステムは,SIPサーバ上で行うべき位置情報の更新をアドホックルーティングプロトコルの経路構築機能に委託することで,SIPサーバレスでMANET上でのSIPの動作を保証する手法である.シミュレーションによる評価によって,SIPサーバレスシステムによるMANET上でのSIP動作の保証と,既存手法に比べ制御パケットの削減できるシステムであることを確認した.

8F-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名コグニティブ無線をベースとした災害情報ネットワークにおけるMin-Max法を用いた拡張AHPによる経路選択
著者*内田 法彦 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科), 高畑 一夫 (埼玉工業大学人間社会学部), 柴田 義孝 (岩手県立大学ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 1928 - 1938
Keywordcognitive network, wireless network, AODV, AHP
Abstract防災災害情報システムにおいて、無線ネットワークは速やかなネットワーク網の復旧が行えることから有効な手段である.しかしながら、単一の無線LAN通信などの場合、その物理特性などから距離などの制限があり、また災害直後から推移していくユーザ要求に応じたネットワーク構成の変化には対応できない.そこで、本稿では防災災害情報ネットワークにコグニティブ無線を導入した際の通信方式を提案する.提案方式では、拡張AHP方式によって、ユーザ要求に対して最適な無線リンクを選択し、Min-Max法を導入した拡張AODV方式により、最適な経路決定を行い実行する.またその有効性をシミュレーションによって検証した.

8F-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名様々なコンテキストを統一的に利用できるコンテキスト管理プラットフォームの開発
著者*篠原 昌子, 松倉 隆一, 角田 潤, 矢野 愛 (株式会社富士通研究所)
Pagepp. 1939 - 1945
Keywordコンテキスト, モバイル, プラットフォーム, センサ
Abstract本稿では様々なコンテキストを統一的に利用できるコンテキスト管理プラットフォームについて述べる.本プラットフォームは位置情報以外の様々なユーザの状況を組み合わせることで,ユーザのコンテキストの判定精度を向上させることが可能である.また,具体的なコンテキストとして同行者を取り上げ,本プラットフォームを利用した場合の判定精度の評価結果について報告する.

8F-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名子どもの防犯・安全のための携帯電話によるGPSと加速度センサを用いた交通モードのコンテキスト判別
著者*神崎 啓, 猪俣 敦夫, 藤川 和利 (奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科), 砂原 秀樹 (慶應義塾大学)
Pagepp. 1946 - 1953
Keywordモバイル, 行動認識, 加速度センサ, 位置情報, 子どもの安全
Abstract近年,子どもや高年齢者の防犯や安全確認のためにGPSやRFIDを用いた位置情報確認サービスが実用化されている.しかし,既存のサービスにおいては,ユーザの位置情報だけを確認できるだけで実際にユーザが危機的状況にいるのかを判別する事が出来ない.そこで本研究では,高機能化が進み,カメラやGPS,RFID,加速度センサなどのセンサデバイスが搭載されている携帯電話に注目する.具体的には,単一モバイル機器としてApple iPhoneを対象とし,位置情報と加速度センサから得られた変化を過去の行動からの遷移的状態として計測し,突発的な加速度の変化に対応し,各交通機関の特有の移動モデルの定義を行いバス,電車といった交通機関を正確に判別する手法を提案する.また,提案手法で判別したコンテキストと位置情報をもとに子どもの危機的状態の検知について評価するために実装したプロトタイプについて報告し,考察を与える.

8F-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名スマートフォンによる遠隔地間作業指示支援システムの実装とその評価
著者*阪本 敦哉, 鈴木 直義, 湯瀬 裕昭, 渡邉 貴之 (静岡県立大学大学院経営情報学研究科)
Pagepp. 1954 - 1961
Keyword遠隔教育, マルチメディアシステム, 電子会議, 応用・社会システム, 実世界指向インタフェース
Abstract著者らは,これまでにスマートフォンを用いた簡易な遠隔地間作業指示支援システムのプロトタイプを構築し,評価実験を実施済みである.その結果,プロトタイプシステムを用いた際に作業時間の短縮効果が確認できたため,システムが有効であるとの結果が得られた.しかしその一方で,両手をともなう作業が困難になる場面が見受けられるという問題点があった. 本論文では,プロトタイプシステムで顕在化した問題に対応するため,ライブ映像とスチル画像を切り替えて作業者に提示する機能を追加した改良型システム「SPRInT」について述べる.また,本システムを用いた場合の評価実験を実施し,システムの有効性を評価する.


セッション 8G  センサーウェアラブル
日時: 2010年7月9日(金) 10:20 - 12:25
部屋: 緑風の間1
座長: 木實 新一 (東京大学)

8G-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名みかけディペンダビリティ: ウェアラブル・ユビキタスエンタテインメントシステムのための新たな評価軸の提案
著者*寺田 努 (神戸大学)
Pagepp. 1962 - 1967
Keywordウェアラブルコンピューティング, ユビキタスコンピューティング, ディペンダビリティ
Abstract近年,コンピュータ技術を応用したエンタテインメントシステムが活発に利用されるようになった.特にメディアアートやステージパフォーマンスにおいては,コンピュータ技術やセンサ技術を活用した新たな表現が創出され,大きな効果を上げているが,一方で故障などのトラブルは絶えず,特にステージパフォーマンスにおいてはそのトラブルがパフォーマンスの出来に大きな影響を与える.従って,出来る限り信頼性の高いシステムを構築する必要があるが,エンタテインメントシステムの信頼性指針とは,従来のコンピュータシステムにおける信頼性とは意味が異なるといえる.そこで本稿ではみかけディペンダビリティという言葉を定義し,エンタテインメントシステムにおける信頼性について議論する.

8G-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名ヘテロコア光ファイバセンサマットにおける足裏操作情報通信方式
著者*高落 要 (創価大学大学院工学研究科高見研究室), 下野 光明, 西山 道子, 渡辺 一弘, 高見 一正 (創価大学大学院工学研究科)
Pagepp. 1968 - 1974
Keywordヘテロコア光ファイバセンサ, センサネットワーク, 足裏通信, センサマット, 足裏圧力
Abstract演奏中のオーケストラ奏者のように,身体の動作が制約された状況で,情報機器を扱うのは容易ではない.本研究では,ヘテロコア光ファイバセンサマットを用いた足裏操作による通信方式を提案する.具体的には,足裏の体重位置と,その組み合わせによって,4bitの情報化を行い,メッセージを作成する方法を提案する.提案方式を実装したシステムを試作し,ユークリッド距離と閾値によるパターン判別に基づく情報化アルゴリズムと,メッセージの作成の評価実験を行い,提案方式の有効性を示す.

8G-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名Cost-Efficient Deployment for Full-Coverage and Connectivity in Indoor 3D WSNs
著者*Marc T. Kouakou (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科), 山本 眞也 (山口東京理科大学 工学部 電気工学科), 安本 慶一, 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)
Pagepp. 1975 - 1982
Keyword3D Wireless Sensor Network, Full-Coverage, Connectivity, Sensor Deployment, Ubiquitous Computing
AbstractIn WSNs, coverage of the target field and wireless connectivity among sensor nodes are important criteria in terms of the performance required for WSN. In indoor environments, the target field is in general 3D space, thus WSNs deployed for such environments are called 3D WSNs. The sensor node deployment problem for 3D coverage and connectivity is NP-hard even without obstacles in the target field. Furthermore, no study has systematically examined the optimal 3D WSN deployment considering both obstacles and deployment cost. In this paper, we propose a new heuristic algorithm for computing a near optimal sensor node deployment that minimizes the cost for achieving the full coverage and node connectivity of a 3D target space with obstacles. First, we represent the monitoring area as well as the sensor node deployable area in the target 3D space, by a set of grid points. Our algorithm puts sensor nodes one by one on a grid point of the deployable area in the descendant order of the cost-performance value (i.e., how many monitoring space points are covered by the deployable area point per unit deployment cost) of the deployable area points. Then, the algorithm adds extra nodes to cover the shadow area of each node’s sensing region cut off by the obstacles. Moreover, to ensure the connectivity among all WSN nodes, the algorithm adds extra nodes and/or moves each unconnected sensor node one by one towards the closest connected sensor node in order to reduce the number of extra nodes. We implemented our proposed method in the UbiREAL simulator and evaluated the performance through simulations. As a result, we have confirmed that our proposed method can provide reliable and cost-efficient solutions for WSN deployment in indoor environments.

8G-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名導電性素材上に配置されたデバイスのためのカメラを用いた位置検出手法
著者*磯山 直也, 寺田 努 (神戸大学), 秋田 純一 (金沢大学), 塚本 昌彦 (神戸大学)
Pagepp. 1983 - 1991
Keyword導電性素材, 位置検出, LED
Abstractウェアラブルコンピューティング環境において様々なデバイスを用いる場合,安定した電力供給方式,通信方式と空間配置自由度の確保が問題となる.近年では自由なデバイス配置を実現する導電性素材を用いたネットワークシステムが開発されており,導電性素材から構成される衣服上の好きな位置にデバイスを配置し,多様なアプリケーションを利用できる環境が整いつつある.従来の導電性素材では配置されたデバイスの位置を正確に知ることは難しかったため,本研究ではカメラを用いてデバイスの位置を正確かつ効率的に検出する手法を提案する.具体的には,装着したデバイスに付属するLED を点滅させ,それをカメラで撮影することで各デバイスの位置を推定する.シミュレータを用いた評価により,提案手法を用いることで効率良く各デバイスの位置を検出できることを確認した.

8G-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名ウェアラブルコンピューティングのためのユーザ状況を考慮したプログラミング環境の構築
著者*秋山 翔太郎, 寺田 努, 塚本 昌彦 (神戸大学)
Pagepp. 1992 - 2000
Keywordプログラミング
Abstractコンピュータの小型化・高性能化により,計算機を常に身につけて利用するウェアラブルコンピューティングに対する注目が高まっている. ウェアラブルコンピューティング環境では,常に変化するユーザ状況に応じた様々なサービスの要求が想定されるため, ユーザがその場の状況に応じて必要なサービスを定義できるシステムが必要となるが, 従来のデスクトップ環境でのアプリケーション開発手法をウェアラブルコンピューティング環境にそのまま適用するのは難しい. そこで本研究では,ユーザがその場の状況に応じて必要とするサービスを,容易にかつ短時間で定義できるシステムOn-siteDevelopingToolを提案する. 提案システムでは,イベント駆動型ルールの要素をチップとして提示し,必要なものを選択することによってサービスを定義する. 提案システムはユーザの入力履歴の学習することで,チップの提示を最適化する機能をもつ.


セッション 8H  P2P(2)
日時: 2010年7月9日(金) 10:20 - 12:25
部屋: 緑風の間2
座長: 田上 敦士 (KDDI研究所)

8H-1 (時間: 10:20 - 10:45)
題名P2P ネットワークにおけるクエリの発生特性を用いた動的なクラスタリング手法
著者*小林 由依, 渡辺 俊貴 (大阪大学 大学院 情報科学研究科 マルチメディア工学専攻), 義久 智樹 (大阪大学 大学院 サイバーメディアセンター), 原 隆浩, 西尾 章治郎 (大阪大学 大学院 情報科学研究科 マルチメディア工学専攻)
Pagepp. 2001 - 2008
KeywordP2P, 検索, クラスタ生成, クエリ発生数
AbstractP2P ネットワークで情報検索の効率を向上させるために,内容が類似したデータをまとめ,それらを所持するピアをクラスタ化する研究が行われている.これらの研究の多くは,クラスタが予め設定されており,動的に変更できない.このため,ある話題のもとで関連するデータ群が複数のクラスタに配置されてしまい,検索に必要なメッセージ数が増えるという問題が発生する.筆者らはこれまでに,予め設定されたクラスタに適合しないデータ群へのクエリ数が一定の閾値を越えた場合に新たなクラスタを生成する手法を提案してきた.しかし,急激にクエリが発生した場合など,クエリ数が少なくてもクラスタを作成する方がメッセージ数を削減できる場合がある.そこで本稿では,クエリの発生特性も考慮することにより,適切な時点で動的クラスタを生成する手法を提案する.

8H-2 (時間: 10:45 - 11:10)
題名コンテンツ類似度に基づくP2Pネットワークの動的再構成
著者*山口 拓也, 松本 倫子 (埼玉大学大学院理工学研究科), 吉田 紀彦 (埼玉大学情報メディア基盤センター)
Pagepp. 2009 - 2014
KeywordP2P, ネットワーク再構成, フォークソノミー
AbstractPure P2P では,検索をパケット転送方式で行っているが,この検索方式はネットワークの構成に影響されやすいためにヒット率が低くなる場合があり,またネットワーク内にパケットが充満する問題がある.一方でネットワークを意図的に構造化させる分散ハッシュテーブルなどの手法は,検索効率の向上と引き換えに構造の維持コストや検索制約がある.そこで本研究では,Pure P2P の持つネットワーク柔軟性と構造化手法の検索効率性の両立を目指し,ネットワーク再構成機能を持つP2Pネットワークを提案する.具体的には一般社会で散見される同一興味のグルーピングに着眼し,コンテンツの類似度に基づいてリンクの張り替えを行うことによるネットワークの動的な再構成手法を提案する.提案手法を用いたP2PネットワークをPC上でシミュレーションを行い,検索ヒット数の増加を確認した.

8H-3 (時間: 11:10 - 11:35)
題名要求度の変化を考慮した普及度ベースP2P複合型検索手法
著者*遠藤 伶, 松本 敬, 藤本 貴也 (慶應義塾大学大学院理工学研究科), 重野 寛 (慶應義塾大学理工学部)
Pagepp. 2015 - 2022
KeywordP2P, 複合型検索, 人気
Abstract複合型検索は,オブジェクトの人気により効率が変化する2種の検索手法を,人気に応じて使い分ける事で検索の効率を高めている。 既存手法ではオブジェクトの要求度を人気として定義しているが,検索効率には普及度の方がより大きな影響を与える。 そのため、要求度が急激に変化し,要求度と普及度に大きな差が出る状況では検索の有用性が低下する. そこで本論文では,オブジェクトの要求度が急激に変化しても有用性が低下しない,普及度ベースの複合型検索手法を提案する. 本手法では,各スーパーノードが周囲のオブジェクト情報を元にグローバル普及度を推定し、検索手法の選択に使用する事で,選択ミスによる有用性低下を抑える. また、シミュレーションを行い,提案手法の有用性を効用関数を用いて示す.

8H-4 (時間: 11:35 - 12:00)
題名構造型Bloomフィルタにおける類似性に基づく集約コスト削減方式の提案
著者*佐久間 洋 (東邦大学大学院理学研究科情報科学専攻), 佐藤 文明 (東邦大学)
Pagepp. 2023 - 2031
KeywordP2P, 分散処理, Bloomフィルタ, 分散ハッシュテーブル, B木
AbstractP2Pにおける情報検索では、分散ハッシュテーブルやBloomフィルタなどの様々な検索アルゴリズムが提案されてきた。Bloomフィルタは、情報の特徴をビットパターンによって表現するデータ構造であり、OR演算による情報の結合や、AND演算による情報の検索に用いられる。従来研究では、B木構造を持つBloomフィルタによる情報検索方法があるが、Bloomフィルタの類似性については考慮されなかった。そこで、本研究ではBloomフィルタの類似性に着目して、ノードを木構造に追加削除する際の結合処理を削減する方法を提案する。

8H-5 (時間: 12:00 - 12:25)
題名クラスタリングを用いたP2P型SIPにおけるDHT参加ノード数の最適値の検討
著者*澤田 あかね, 鳴海 寛之 (公立はこだて未来大学大学院), 白石 陽, 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 2032 - 2038
KeywordP2P
AbstractSIP (Session Initiation Protocol) はセッションの開始・変更・終了などセッション制御を行う,IETFで標準化された拡張性の高いプロトコルであり,VoIP技術を用いたIP電話において利用されている. SIPではセッションを確立する際に,宛先SIPクライアントの電話番号に相当するSIPアドレスから,それに対応する現在位置(IPアドレス)を求める必要がある.これをアドレス解決という.しかしSIPはクライアント−サーバ型の構成をとり,リクエストのあったSIPクライアントのアドレス解決を SIPサーバが行うため,クライアント数の増加によってサーバに負荷が集中し,ボトルネックが生じる. こうした背景から,近年では,DHT (Distributed Hash Table) を用いてノード同士が対等に通信するP2P (Peer-to-Peer) ネットワークを構成し,SIPサーバの機能をP2Pネットワーク上に分散させることで,高いスケーラビリティと耐故障性を確保するセッション制御の手法が提案されている.SIPサーバの代わりにDHTネットワークを構成し,それぞれのノードがSIPアドレスとそれに対応するIPアドレスを協調して持ち合うことで,クライアント数の増加に伴う負荷の一極集中を防ぐことができる.しかし,セッション確立の際に,SIPクライアントがINVITE(SIPにおける通話開始を要求する)リクエストを出してから宛先のSIPアドレスを解決するためにはDHTによる探索処理を実行する必要がある.そのため,P2P型の SIPはクライアント−サーバ型のSIPよりもセッション確立時の遅延が大きいということが知られており,相手を呼び出し実際に通信を開始するまでに時間がかかるという問題がある. こうしたP2P型SIPにおけるセッション確立時の遅延を解決する代表的な手法として,クラスタリングが用いられる.筆者らは,P2P型SIPにクラスタリングを適用し,階層化したP2PネットワークによるSIPアドレス解決手法を提案する.一般に,ノードをクラスタリングしDHTネットワークのサイズを制御することでDHT探索ステップ数が減少するが,DHTの利点であるスケーラビリティ/耐故障性が損なわれる.これは,DHT参加ノード数がDHTネットワークを左右するためである.DHT参加ノード数が多いとスケーラビリティ/耐故障性に優れるが探索ステップ数が増加し,DHT参加ノード数が少ないと探索ステップ数は減少するがスケーラビリティ/耐故障性が損なわれる.そのため,セッション確立時間とスケーラビリティ/耐故障性はトレードオフの関係にある.よってP2P型SIPにおいて,クライアント−サーバ型のSIPでは得られない高いスケーラビリティや耐故障性を確保するとともに, DHTを利用することにより発生するセッション確立時の遅延を減少させる必要がある. 本稿では,P2P型SIPにおけるDHT参加ノード数に焦点を当て,スケーラビリティと耐故障性を保ちつつ,短い時間でセッション確立を行うDHT参加ノード数の最適値を検討する.計算機シミュレーションによりDHT参加ノード数を変化させ,それぞれのノード数における平均探索ステップ数を測定する.また,全DHT参加ノード数に対する離脱/故障ノードの割合を変化させ,それぞれの割合における探索成功率を求めることでスケーラビリティ/耐故障性を測定する.これらをもとに少ない探索ステップ数と優れたスケーラビリティ/耐故障性を確保するDHT参加ノード数を求め,クラスタリングを用いたP2P型 SIPにおけるDHT参加ノード数の最適値とする.



2010年7月8日(木)

セッション DS  デモセッション/企業展示
日時: 2010年7月8日(木) 18:10 - 19:30
部屋: 朝陽の間4
座長: 梅津 高朗 (大阪大学)

DS-1
題名人体通信技術を利用した2つのシステムの提案
著者*藤川 真樹 (ALSOK/中央大学研究開発機構), 西垣 正勝 (静岡大学), 吉沢 昌純 (東京都立産業技術高等専門学校), 古澤 健治 (三矢研究所)
Pagepp. 2039 - 2042
Keyword人体通信技術応用, Personal Area Network(PAN), センシング技術, セキュリティ, セーフティ
Abstract本稿では,人体通信技術を応用した装着物着脱検知システムを紹介する.このシステムは,セキュリティ分野およびセーフティ分野における活用が期待できる.デモ・セッションでは,2つのプロトタイプ・システムの実演を行う.

DS-2
題名二画面積層表示を用いて視線の向きを表現するテレビ会議システムの提案
著者*磯 和之, 伊達 宗和, 高田 英明, 安藤 康子, 松浦 宣彦 (日本電信電話株式会社 NTTサイバースペース研究所)
Pagepp. 2043 - 2050
Keywordテレビ会議, 視線表現, 二画面積層表示, DFD
Abstract我々は,遠隔から会議に参加したとしても,あたかもその場にいるかのように会議ができるテレビ会議システムの実現を目指している.本研究では,遠隔にいる参加者の視線の方向や顔の向きが,他の参加者へ自然と伝わる機能を実現するため,二画面積層表示を用いた代理参加型会議端末を開発している.実験の結果,二画面積層表示は,人間の正面顔を表示した場合に,目があっていると感じる範囲を,約17°に制限することができ,また前後面に表示されている映像を,左右にずらすことによって目が合うと感じられる方向を制御することが確認された.さらに,これらの特徴を応用してリアルタイムに会議が可能な実験用プロトタイプシステムを構築したので報告する.

DS-3
題名電子トリアージ評価のための多人数参加型シミュレータの設計
著者*野上 大樹 (大阪大学大学院情報科学研究科), 内山 彰 (大阪大学大学院情報科学研究科/独立行政法人科学技術振興機構 CREST), 中田 康城 (市立堺病院/独立行政法人科学技術振興機構 CREST), 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科/独立行政法人科学技術振興機構 CREST)
Pagepp. 2051 - 2060
Keyword災害医療, 電子トリアージ, 災害医療訓練, シミュレータ
Abstract災害など多数の傷病者が同時に発生する状況では,トリアージの概念に基づき傷病者に対して治療の優先度を決定し,処置に当たることが求められる.災害時における救命活動を支援するため,我々の研究グループでは電子トリアージシステムの設計開発を行っている.本システムを活用するためには,支援機能の有効性を示すことが重要である.そこで本稿では,電子トリアージシステムの評価を目的とした多人数参加型シミュレータの設計を行った.提案シミュレータでは訓練実施者があらかじめ指定したシナリオに従って時間経過とともに傷病者の容態変化を再現する.各傷病者の容態に適した治療を制限時間までに実施することで傷病者の救命が可能であり,訓練ではできるだけ多数の傷病者を救命することが目標となる.本シミュレータにより,電子トリアージの支援機能である容態変化の通知機能および情報収集機能を取り入れたトリアージ訓練が可能となり,電子トリアージシステムの有効性評価が実現できる.シミュレータのプロトタイプを用いて試験運用を行った結果やその評価についても報告する.

DS-4
題名携帯情報端末による大規模行動情報収集システム「ALKAN」
著者*服部 祐一, 竹森 正起, 井上 創造 (九州工業大学), 平川 剛 (ネットワーク応用技術研究所), 須藤 修 (東京大学情報学環)
Pagepp. 2061 - 2065
Keyword行動解析, 行動収集システム
Abstract人間の行動が客観的に計測できるようになれば様々な応用が期待できる.例えば,医療分野に於いては生活習慣病の予防のために生活習慣を客観的に計測でき,農業分野に於いては農業従事者の行動記録を自動的に得ることができる.それにより,効率化を図ることができる. これまではこういった行動の計測は難しかったが,近年,3軸加速度センサを搭載した携帯情報端末の普及によりそれらが可能となりつつある.本稿では,行動を解析するための行動解析エンジンの構築を目標とする.行動解析エンジンの精度向上には,必要な教師データとして,行動種別,3軸加速度データ,その他の付加情報を収集する必要がある.本稿ではこれらを行動情報と呼ぶ.行動情報の必要な特徴は3つあり,1つは行動種別と3軸加速度データが正確に対応づけられているという点,1つは地域,対象人数等に最適な行動種別や,付加情報で構成されているという点,1つは,多数の行動情報を含むという点である.本稿では,行動を解析するための行動解析エンジンの構築を目標とし,開発した行動情報収集システム「ALKAN」について述べる.

DS-5
題名Efficient Biometric Authentication Protocols Using 2-DNF Evaluation
著者*Mitsuhiro Hattori, Nori Matsuda, Takashi Ito, Yoichi Shibata, Katsuyuki Takashima, Takeshi Yoneda (Mitsubishi Electric)
Pagepp. 2066 - 2074
Keywordbiometrics, authentication, homomorphic encryption
AbstractWe propose two biometric authentication protocols in this paper. The first one is a protocol using 2-DNF (disjunctive normal form) homomorphic encryption schemes in a black-box way. The second one is a protocol using the Okamoto-Takashima homomorphic encryption scheme proposed at Pairing 2008. In our protocols, user's biometric data are all encrypted and only a similarity metrics such as the Hamming distance can be recovered. Although a similar protocol has been proposed by Rane, Sun, and Vetro at ICIP 2009, our protocols have advantage in communication cost between a user and the verifier; it is reduced from 2 to 1 for 1:1 authentication and from 2N to 1 for 1:N authentication. The security of our protocols is proven in the semi-honest model under the decisional subgroup problem assumption.

DS-6
題名ファイル管理機能を強化した戸下通信システムの実用化に関する検討
著者*川田 剛志, 藤原 康宏, 齊藤 義仰, 村山 優子 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 2075 - 2080
Keyword戸口通信, グループウェア
Abstract実世界における「戸」は,部屋の入り口としての役割の他に,部屋を訪れる訪問者と部屋の住人との様々な情報交換の媒体としての役割を持つ.我々は「戸」を介したコミュニケーションを「戸口通信」と定義し,ネットワーク上で戸口通信を行うシステムを実現してきた.本稿では,戸の下から書類を差し入れるコミュニケーションに着目した戸下通信システムの問題点について報告し,これらの問題点を解決するための,ログ機能と部屋の自動生成機能の実装を行った.また,戸下通信システムを1年間運用した.さらに,運用結果から6つの問題点を抽出し,問題点の1つであるインデックス機能の対応を行った.

DS-7
題名入退室管理−照明連携省エネルギ制御システム−密集度定量化による照明制御技術−
著者*安田 晃久, 金子 洋介, 北上 眞二 (三菱電機株式会社 情報技術総合研究所)
Pagepp. 2081 - 2084
Keyword環境, 照明, 省エネルギ
Abstract現在,東京都が中小ビルを対象とした省エネルギ化対策を課題と捉え,施策を検討している様に,オフィスビルの省エネルギ化対策はCO2 排出量削減において大きな課題となっている.これに対し,筆者らは入退室管理システムを利用した照明制御システムを開発し,オフィスビルの省エネルギ化に取り組んでいる.筆者 らが先に開発したシステムでは室内在席者の分散状況を把握出来ず,照明最適制御が実現出来ていなかった.そこで,グラフ理論を適用した室内在席者定量化手法を考案し,照明制御システムへ適用した.本稿ではこの定量化手法の考え方,及びその効果について述べる.

DS-9
題名EVANS:拡張現実感技術を用いた無線ネットワーク可視化システム
著者*島田 秀輝 (同志社大学), 坂本 直弥 (同志社大学大学院), 岡田 昌和 (同志社大学), 綾木 良太, 佐藤 健哉 (同志社大学大学院)
Pagepp. 2085 - 2090
Keyword拡張現実感, 無線ネットワーク, モバイルコンピューティング
Abstract近年,スマートフォンの登場と共に拡張現実感(AR:Augmented Reality)技術を利用したソフトウェアが注目され,様々なアプリケーション,ならびに開発環境が登場している.このAR技術を利用することにより,現実環境を映し出すカメラ画像に,web上の情報など,様々なアノテーションをマッピングすることが可能になっている.我々は,アノテーションとして,無線ネットワークに着目する. そこで,我々は,無線ネットワークシステムを可視化するシステム,EVANS(Embodied Visualization with AR for Network Systems)を提案する.EVANSでは,AR空間上に,無線ネットワークの状態を可視化することによって,ノード間の接続状態を直感的に把握することが可能である.また,接続状態を表示するだけでなく,AR空間上のアノテーションを操作することによって,現実空間のノードに対して操作することも可能である. 本稿では,EVANSの設計を述べ,無線センサを用いたEVANSのプロ卜タイプシステムの実装に関して述べる.プロトタイプシステムを用いた無線ネットワークデバイスのリンクの可視化/制御を通して,システムの有効性を確認した.

DS-10
題名有線/無線相互補完通信を用いたセンサ/アクチュエータネットワーク
著者*澤田 尚志 (静岡大学大学院情報学研究科), 栗山 央, 安部 惠一 (静岡大学創造科学技術大学院), 峰野 博史 (静岡大学情報学部), 水野 忠則 (静岡大学創造科学技術大学院)
Pagepp. 2091 - 2095
Keyword無線センサネットワーク, EMS, 有線/無線相互補完通信, 環境モニタリング, 遠隔自動制御
Abstract我々は有線と無線の通信技術を相互に利用して通信を行う相互補完通信ネットワー クを提案する.このネットワークは,有線/無線それぞれの通信で通信可能範囲を相 互に補うことにより通信可能範囲を拡大するものである.提案手法では無線通信と電 力線通信を必要に応じて相互に利用することで,通信可能範囲,通信信頼性,ネット ワークライフタイムを向上させることができる.我々は,ネットワークのプロトタイ プを実装した.このプロトタイプは,IEEE802.15.4 とPLC を利用し,お互いに通信 できない範囲を相互に補完する.実験では,有線通信と無線通信の2 つの通信方式を 併せ持ったデバイスを用いて,有線/無線の相互補完通信が行われることを確認した.

DS-11
題名ユビキタスセンサ環境における移動型端末によるデータ収集のための送信可能データ量を考慮したファイル送信方式
著者*義久 智樹, 清野 航, 西尾 章治郎 (大阪大学)
Pagepp. 2096 - 2103
Keywordモバイルノード, センサネットワーク, ユビキタスコンピューティング
Abstract近年のセンサの小型化に伴い,いたるところにセンサがあるユビキタスセンサ環境において 移動型端末を用いてデータ収集する研究が盛んに行われている. ユビキタスセンサ環境では,複数個設置されたセンサから移動型端末がデータ収集することで,様々な応用が可能になる. しかし,移動型端末が通信とは無関係に移動するため,写真や映像のようにファイル形式で 1個あたりのデータ量が大きい場合には,収集に時間がかかって通信時間内にファイルを受信完了できないという問題が発生する. そこで提案方式では,同じデータ内容に対してデータ量の異なる幾つかのファイルを用意する. 以前の移動型端末との通信データ量から送信可能なデータ量を考慮して送信するファイルを決定することで, 高い確率で通信時間内にファイルを受信完了できる.

DS-12
題名オンデマンド型家庭内電力ネットワークのための電力ルーティングスイッチ
著者*柴田 知輝, 藤本 圭 (京都大学大学院情報学研究科), 坂井 一美 (京都大学学術情報メディアセンター), 小山 洋一 ((株)トランス・ニュー・テクノロジー), 岡部 寿男 (京都大学学術情報メディアセンター)
Pagepp. 2104 - 2108
Keywordオンデマンド型電力ネットワーク, エネルギーの情報化, ルーティング
Abstract我々は,生活者の利便性を失わず,かつ生活者が意識することなく,確実に消費電 力の削減を達成できる技術を確立するため,「エネルギーの情報化」に基づく電力管理・ 制御技術の研究開発を行っている.そのためにオンデマンド型電力ネットワークを提 唱し,必要となる,電力の品質 (Quality of Energy; QoEn) を考慮した経路制御に, 通信における QoS 保証の技術を用いたアーキテクチャを提案している.本発表では, プロトタイプとして作成した,電力ルーティングスイッチについて述べる.これは, PoE (Power over Ethernet; IEEE802.3af)のインターフェースを独自に拡張する 形で,消費機器から電力ネットワークへの明示的な力要求に応じてのオンデマンド型 の直流給電を実装したものであり,電力要求の優先度,緊急度に応じて分散電源から の電源選択や優先度の低い電力の横取りを実現している.

KS-1
題名(企業展示) Scenargie™による安全運転支援システムのシミュレーション評価
著者前野 誉, 金田 茂 (株式会社スペースタイムエンジニアリング), 高井 峰生 (早稲田大学/UCLA)
Pagep. 2109

KS-2
題名(企業展示) Android端末によるセキュアなデバイス間連携
著者大畑 真生, 中川 智尋, 太田 賢, 稲村 浩 (株式会社NTTドコモ)
Pagep. 2110

KS-3
題名(企業展示) 「ネットワークコーディング概論」紹介
著者河東 晴子 (三菱電機(株))
Pagep. 2111


セッション SS  標準化セッション
日時: 2010年7月8日(木) 14:00 - 15:00
部屋: 朝陽の間1
座長: 茂木 強 (三菱電機)

SS-1 (時間: 14:00 - 14:30)
題名(招待講演) 電気通信事業者のための情報セキュリティマネジメントガイドラインの策定及び関連規格の標準化動向
著者*中尾 康二 (KDDI株式会社)
Pagep. 2112
Keywordセキュリティマネジメント, 標準化
Abstract近年,情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)構築,運用の重要性が叫ばれ,多くの組織/企業が保有する情報資産のセキュリティ確保を目的としてISMS認証取得・運用のための活動を推進している.このような環境において,さらに特定のセクター(金融,電気通信分野など)における情報セキュリティマネジメントのあり方が注目されている.これまで,ISO/IECおよびITU-Tでは,セクター分野の中で初めて「電気通信事業者向けの情報セキュリティマネジメントのためのガイドライン」の国際規格化をISMS規格と連携する形で完了した.本発表では,電気通信事業者セクターのための国際規格ガイドライン策定の背景・必要性を述べ,本セクター規格の概要,及び具体的なガイドライン策定に関わる技法をまとめるとともに,本ガイドラインの業界への影響,及び今後の方向性について紹介する.さらに,ISMSに関連する最新の国際標準化動向(ISMS規格の改定状況,監査技法規格,セキュリティガバナンス規格など),及びISOやITU-Tにおけるクラウドコンピューティングなどの関連する国際規格化動向についても紹介する.

SS-2 (時間: 14:30 - 15:00)
題名(招待講演) 映像符号化技術の国際標準化
著者*浅井 光太郎 (三菱電機(株)先端技術総合研究所)
Pagep. 2113
KeywordMPEG, 標準化
AbstractISO/IECのMPEGやITU-Tなど,映像符号化技術の国際標準化は1980年代後半に活発化し,企業や研究機関,大学などの研究成果を集約して技術の進化を牽引した.その成果が現在のデジタル放送,モバイルマルチメディア,DVDやブルーレイなどのパッケージメディアに生かされている.現在もなお,臨場感あふれる高品質映像やモバイル向けの高効率な標準方式を目指した議論が活発に進行中である,最新の標準化と技術の動向について紹介する.


セッション SP  特別講演
日時: 2010年7月8日(木) 17:00 - 18:00
部屋: 朝陽の間1
座長: 村上 篤道 (三菱電機)

SP-1 (時間: 17:00 - 18:00)
題名(特別招待講演) 三菱東京UFJ銀行におけるIT活用(メガバンクのIT戦略) 〜システム統合に見るプロジェクト運営とIT活用〜
著者*根本 武彦 (三菱東京UFJ銀行)
Pagep. 2114
Keywordシステム統合, 銀行
Abstract変化の激しい時代を迎え、コスト競争力向上、選択と集中の実践、経営統合や事業の買収・売却などによる経営変革が求められています。これらを実現させる為にはIT部門の貢献、それを引き出すITガバナンスの発揮が不可欠です。こうした中、世界で活躍できる金融グループへの前進を目指し、旧東京三菱銀行と旧UFJ銀行は2006年1月に経営統合し、4千万のお客様にお取引頂く新銀行として誕生しました。統合の実現、世界的飛躍の土台作りにシステム統合は避けて通れない最大の経営課題であり、IT部門の真価が問われる事態となりました。そこで、当行のIT戦略をご紹介すると共に、11万人月に及んだ大規模なシステム統合に現場責任者として携った体験に基づくプロジェクト運営の実際を、教訓、士気向上策を交えご報告させて頂きます。