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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2011)シンポジウム

セッション 5A  統一テーマセッション-P2P-
日時: 2011年7月7日(木) 10:00 - 11:20
部屋: サファイア
座長: 田上 敦士 (KDDI研究所)

5A-1 (時間: 10:00 - 10:30)
題名(招待講演) Bloomフィルタに基づく柔軟な情報検索方式
著者*佐藤 文明 (東邦大学)
Pagep. 786
AbstractP2Pシステムにとって情報検索方式は基本的な技術となる。本報告では、Bloomフィルタに基づいて、検索要求の転送制御を行う情報検索方式を提案する。Bloomフィルタは保持するコンテンツの特徴を表現する固定長のビット列である。フィルタ同士のOR演算により複数のフィルタを統合したり、AND演算によりフィルタの検索をすることができる。分散ハッシュテーブルでの検索と異なり、複数のキーワードでの検索が可能であったり、複数のサイトに格納されている同じコンテンツを同時に検索することが可能である。我々は、Bloomフィルタを使って、検索要求のルーティングを行う構造型のBloomフィルタを研究しており、特に木構造に基づくBloomフィルタの検索アルゴリズムを提案している。本報告では、Bloomフィルタの特性や、いくつかのBloomフィルタに基づく情報検索アルゴリズムの概要と特徴、分散ハッシュテーブルとの違いなどについて解説する。

5A-2 (時間: 10:30 - 10:55)
題名階層化ドロネーオーバレイネットワークにおけるシステムの制約設定に基づくセンサ観測値収集手法の検討
著者*四之宮 潤 (大阪大学 大学院情報科学研究科), 寺西 裕一 (大阪大学 大学院情報科学研究科/独立行政法人 情報通信研究機構), 春本 要 (大阪大学 大学院工学研究科), 竹内 亨 (日本電信電話株式会社未来ねっと研究所), 西尾 章治郎 (大阪大学 大学院情報科学研究科)
Pagepp. 787 - 796
KeywordP2P, 地理情報システム, 空間補間, 観測値分布, センサネットワーク
Abstract本稿では,広域に大量かつ高密度でセンサが配置され,P2Pネットワークによりそれらセンサが相互接続されている環境において,センサから得られる観測値情報に基づいて,指定した等値線幅で等値線図を取得するための効率的なデータ収集手法を提案する.離散的な観測点を持つセンサ情報の集合から指定領域の観測値分布を再現するには空間補間手法が用いられる.しかし,地理的に近いセンサ観測値は類似する可能性があるため,対象領域に大量にセンサがある場合,空間補間のために全てのセンサ観測値を収集することは冗長である.また,精度を維持した上で冗長性を排除する従来手法があるが,精度を保つために非常に多くのセンサ観測値を収集する可能性があり,システムへの負荷が大きくなる.そこで,本研究では,収集センサ観測値数およびメッセージ数をシステムサイドで設定し,そのシステム制約の範疇でユーザが要求する観測値分布の把握の仕方に応じた等値線図を再現する方法を提案する.提案手法では,階層化ドロネーオーバレイネットワーク(HDOV)を拡張し,観測値を階層的に集約した上で,領域ごとに収集すべきセンサ観測値数をユーザの要求に応じて決定する.シミュレーション評価の結果,特徴点がある分布において,提案手法はシステム制約の範疇で特徴点の把握に重きを置いた等値線図,特徴点を除いた等値線図,領域全体に対して正しい位置に等値線を引いた等値線図を再現できることを確認した.

5A-3 (時間: 10:55 - 11:20)
題名階層型DHTにおける効率的な探索手法の提案と評価
著者*舟橋 知論 (公立はこだて未来大学大学院), 中村 嘉隆, 白石 陽, 高橋 修 (公立はこだて未来大学)
Pagepp. 797 - 805
KeywordP2P, DHT, 階層型DHT, 再帰探索, 反復探索
AbstractDHTにおける探索手法である再帰探索と反復探索は,ノードの離脱といったchurn動作の影響により探索の性能が悪化することがわかっている.churnが少ない場合においては反復探索より再帰探索の方が有効に働き,多くなると再帰探索が不利となり反復探索が有効となる.よって,最適な探索を行うために,churnの頻度により再帰探索と反復探索を使い分けることが必要となる.そこで本研究では,churn率によって再帰探索と反復探索を使い分ける探索手法を提案する.しかし,一般的なDHTでは周囲のchurn率を把握することが困難である.DHTを階層化した階層型DHTがあり,ノードの信頼性を考慮してノードを集約する階層型DHTではchurn率を把握することができる.そこで,信頼性を考慮した階層型DHTに対して再帰探索と反復探索を使い分ける探索手法を適用する.また,再帰探索,反復探索のどちらか一方のみを利用した場合と比較して,両探索手法の利点を活かすことができることをシミュレーション評価により示す.