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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2012)シンポジウム

セッション 3H  ユーザインタフェース1
日時: 2012年7月4日(水) 17:20 - 19:25
部屋: 安宅の4
座長: 梶 克彦 (名古屋大学)

3H-1 (時間: 17:20 - 17:45)
題名共有タイルディスプレイシステムと個人端末を連携させた協同文書編集作業環境
著者*池上 智彦, 高田 秀志 (立命館大学 協調メディア研究室)
Pagepp. 835 - 843
Keywordタイルディスプレイ, 共有ディスプレイ, 協同編集, 協調作業, チェックイン・チェックアウト
Abstract大画面出力デバイスには,単一の大型ディスプレイによるものと,複数のディスプレイを格子状に並べて構築したタイルディスプレイの2種類があり,後者のタイルディスプレイは,大型ディスプレイに比べ高解像度なディスプレイであると言える.そのため,大型ディスプレイ上に表示させると細部が読み取ることが困難なドキュメントでも,タイルディスプレイ上に表示させることで細部まで読み取ることが可能である.このような特徴を持つタイルディスプレイを,複数人が同時に作業できる協調作業に用いれば,グループのメンバはドキュメントの全体像を把握しつつ,協同して編集作業を行うことができる.本研究では,ドキュメントをcheck-in/check-out方式を使って編集できる協同編集機能を持った作業環境を実現する.協同編集機能とは,タイルディスプレイに表示されている全てのドキュメントから,編集に必要な部分のみを手元のPCに取り出して編集を行い,その後,タイルディスプレイに反映させることができるようにするものである.この機能により,グループのメンバは,自分がドキュメントのどこを編集しているかを把握しつつ,各メンバの手元のPCで編集したい部分を同時に編集することができる.このような協同編集機能が,複数のメンバによるドキュメントの協同編集に適しているかを検証する実験を行った.これにより,複数人によるドキュメントの同時編集作業が行えることがわかった.

3H-2 (時間: 17:45 - 18:10)
題名複数視点からのオブジェクト操作を連携させたマルチユーザータッチインタフェースの提案
著者*樽川 香澄 (慶應義塾大学), 井上 智雄 (筑波大学), 岡田 謙一 (慶應義塾大学)
Pagepp. 844 - 851
Keyword空間認識, グループウェア, テーブルトップ
Abstract都市設計やスポーツ戦略など,特定の空間にオブジェクトをどう配置するかプランニングする際,イメージする空間の空間情報を適切に把握することがタスクの効率化に繋がる.我々は仮想空間内の空間情報を把握するために,空間を俯瞰的に見下ろす視点と,空間内の個別のオブジェクトからの視点を利用していることが多い.しかし,現状ではこれら2つの視点を同時に提示するシステムは少なく,また複数人での作業が支援されていないため,両視点の情報を得て協議しながら空間のプランニングをすることはできない.そこで,本研究では2種類の視点情報を提示して空間把握を促進する協調作業環境を提供する.本論文において,提案システムを用いた試用実験を行い,提案システムの有用性の確認を行った.

3H-3 (時間: 18:10 - 18:35)
題名Presentation Gadgets:理解し易いスライドの作成を支援するための情報提供モジュール群
著者*羽山 徹彩 (金沢工業大学), 國藤 進 (北陸先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 852 - 859
Keyword創作支援, Webデータベース, プレゼンテーションスライド
Abstractプレゼンテーションスライドは視覚的な方法で聴衆に対し発表内容の理解を促進させるため,プレゼンテーションの重要な役割のひとつといえるが,情報量が多過ぎるスライドは逆に聴衆の理解の妨げとなることが指摘されている.そのための対策として,スライドの内容を直観的に理解できる表現を利用することが挙げられる.しかしながら,そのようなスライドを作成するには,十分な経験やスライドの良い構成へ気付く能力が必要となるため,経験不十分の多くのスライド作成者にとって困難な作業となる.そこで本研究では,スライドソフトウェアを使って作成されたスライドをわかり易く改善するための支援システムとして,Presentation Gadgetsを提案する.Presentation Gadgetsはいくつかの情報提供モジュールから構成される.各モジュールにはWeb上から,視覚的表現を含んだスライドページ,要点が明確に表現されたスライドページ,Webページ,ニュース,画像,および動画がそれぞれ提示される.さらに,編集中のスライドページのなかで改善を要するスライドに気付かせるための情報提供モジュールも装備している.それらモジュールへの情報アクセス性を高めるために,編集中のスライドページに含まれるテキスト情報をもとにして,各モジュールの提供情報を自動的に更新させる.評価実験では通常通りの方法で作成されたスライドと比較し,聴衆への発表内容への理解とわかり易い表現を含んだスライドの作成に有効であることが確認された.

3H-4 (時間: 18:35 - 19:00)
題名オペレータアシストによる電子申請システムの操作性向上評価
著者*宇田 吉広, 吉田 和広, 村田 嘉利 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 860 - 866
Keyword社会・行政サービス, 電子申請, コールセンタ, Webサービス, コンシューマシステム
Abstract電子政府をはじめとする電子申請システムの普及のためには,システムの操作性改善が求められている.筆者らは,既存のWeb申請システムの使い勝手の改善策として,コールセンタのオペレータによる申請のアシスト方式を提案し,模擬システムを用いた実験により効果を検証した.申請者が単独で手続きする場合に比べ,誤りが1/3程度に減少することを確認した.同時に,この方式が利用効率の改善につながる上,これまで利用をためらっていた高齢者やPCに不慣れな層への利用拡大が期待できることを明らかにした.

3H-5 (時間: 19:00 - 19:25)
題名利用者に適した情報提示を行う電子マニュアルの提案
著者*谷口 亜実, 松井 加奈絵, 山内 正人, 加藤 朗, 砂原 秀樹 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)
Pagepp. 867 - 872
Keyword電子マニュアル, カスタマイズ, tips, 知識共有, 経験共有
Abstract商品制作に関するマニュアルは一般的に内容が統一的である。しかし、利用者によっ て習熟度や理解度は異なる。そこで、利用者の状態に適したマニュアルを提供するこ とで利用者の技術の習得が容易となる電子マニュアルを提案する。熟練者の経験から 得た、マニュアルに文章化されていないコツやノウハウであるtipsを表示すること で、初心者はより早く熟練者になることが可能となると考えた。そのため、利用者に 必要なtipsをデータベースに格納し、利用者に合わせて提供する環境を作る必要が ある。本研究では、tipsの必要性を明らかにするために、tipsを与えた場合と与えな い場合、時間、見栄えが変化するか、折り紙を用いた実験を行った。その結果、tipsを全て与えるのではなく、利用者の習熟度や属性に合わせ段階的にtipsを与えること で、tipsが2つの項目に対して有効的に働くことが示唆された。この結果を踏まえ、 作業習得を目的とした電子マニュアルに必要な機能を整理した。