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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2013)シンポジウム

セッション 1B  災害時通信
日時: 2013年7月10日(水) 12:55 - 14:35
部屋: 柏・ポプラ
座長: 中村 嘉隆 (公立はこだて未来大学)

1B-1 (時間: 12:55 - 13:15)
題名大規模災害時の3G通信不可能エリアにおける情報発信および収集を可能とするDTNベースメッセージ中継法の提案と評価
著者小山 由 (奈良先端科学技術大学院大学), *水本 旭洋 (奈良先端科学技術大学院大学,日本学術振興会特別研究員DC), 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 26 - 33
Keyword災害時通信, DTN, Social Networking Service, すれ違い通信, ルーティング
Abstract本稿では,大規模災害発生によりセルラ通信が利用不可能になった地域においても,スマートフォンを用いて安否確認情報の送信および取得を可能にするDTN(Disruption/ Delay Tolerant Networking)に基づいたメッセージ中継法を提案する.提案手法では各ユーザのセルラ通信状況と時刻を含めた移動履歴に加え,他ユーザ端末との遭遇履歴を記録し経路表を作成する.この経路表を利用し,より短い時間で到達する可能性の高いユーザへメッセージを中継することでセルラ通信が可能なエリアおよび特定ユーザに向けて効率よくメッセージを配送する.現実的なマップおよびモビリティモデルを用いた計算機シミュレーションを行い,メッセージ到達率などに関してエピデミックルーティングと比較を行った結果,通信可能なエリアと通信不可能なエリアのユーザへのメッセージ中継において,それぞれ到達率が80%,70%と,エピデミックルーティングに匹敵する性能を達成した上で,交換された総メッセージ数を,エピデミックルーティングに比べ,それぞれ30%,45%削減することができた.

1B-2 (時間: 13:15 - 13:35)
題名耐災害NDNベース分散型アプリケーションの情報伝達性能に対するユーザ移動モデルの影響評価
著者*小河原 健生, 川原 圭博, 浅見 徹 (東京大学大学院情報理工学系研究科)
Pagepp. 34 - 42
KeywordP2P, Named Data Networking, 階層型IDベース暗号, 耐災害アプリケーション
Abstract災害時においては,安否確認や被災状況など周囲状況の的確な把握が被害拡大を防ぐ上で重要となる.しかしながら,そのような情報の伝達を担う携帯電話網などの通信インフラは大規模な災害時には機能しないことが多い.その原因の一つは,現在の情報インフラは,サービスを提供および管理するサーバが利用できなくなると,基地局といった末端設備が健在でも機能しなくなる,センター集中型の構造をとっていることである.本研究では,災害時に断線などによりサーバ類が利用できなくなった場合にも,基地局など残存した設備を利用して局所的なネットワークを構築し,サービスを継続させることを目指す.そのために,Named Data Networking(NDN)により自立分散型ネットワークを構築し,Hierarchical ID-Based Encryption(HIDE)による自律認証を行うことで,災害時にも通常時同様に利用できるサービスおよびアプリケーションを構成した. 本稿では,ユーザの行動モデルがアプリケーションの情報伝達性能へ与える影響についてシミュレーションにより調査した.

1B-3 (時間: 13:35 - 13:55)
題名災害によるネットワーク不接続時のDelay/Disruption Tolerant Network接続を用いた安否情報送信法
著者*山下 諒馬, 高見 一正 (創価大学 工学部 情報システム工学科)
Pagepp. 43 - 48
KeywordDelay/Desruption Tolerant Network, 無線通信, 情報運搬者, 災害, 安否確認
Abstract広域災害では,設備障害,電力不足のため携帯電話等の公共性の高い通信は,いつものようには利用できなくなり,被災地域内の安否確認に支障をきたすことが予想される.本稿では,被災者が携帯端末を保持していることを想定し,それらの端末と救助者の携帯端末及び避難所サーバがDTN(Delay/Disruption Tolerant Network)を構築し,安否情報を集約するための被災者と情報運搬者の各端末間及び情報運搬者と避難所の端末とサーバ間の各プロトコルを明確化した.また,ネットワークシミュレータに提案プロトコルを実装して,1. 2km2の被災地域に被災者をランダムに分布させたモデルを構築した.被災者数,情報運搬者数,等を変化させ,安否情報の避難所までの到達率とデータ集約過程を評価し,被災者数の1/5程度の情報運搬者を配備すれば,安否情報を95%以上集約できることを確認した.

1B-4 (時間: 13:55 - 14:15)
題名孤立LANからのHTTP通信によるインターネット接続のためのMANET中継方式
著者*清水 正明, 等々力 宏之, 高見 一正 (創価大学 工学部 情報システム工学科)
Pagepp. 49 - 55
KeywordMANET, 孤立LAN, HTTP, ルーティング, アドレス変換
Abstract近年,固定インフラを必要とせず,移動端末同士の直接通信により,一時的に自律型のネットワークを構成するモバイル・アドホック・ネットワーク(Mobile Ad-hoc Network : MANET)が注目されており,災害時などへの応用方法や,MANETとインターネットとの相互接続に関する検討も行われている.本稿では,災害時の広域ネットワーク障害、等によりインターネットに接続不能な状態に陥ったLAN(以下,孤立LAN)を,MANETを経由してインターネットに接続するための所要機能について検討した.具体的には,孤立LANとインターネット接続点にMANET経由機能を具備したアクセスポイント(Access Point : AP)を配置し,MACアドレスルーティング,MAC/IPアドレス変換,AP間フロー制御の各機能を提案した.また,MANETエミュレータに提案機能を実装してHTTP通信により提案機能の有効性を評価した.