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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2013)シンポジウム

セッション 5E  インシデント対策とトラスト
日時: 2013年7月11日(木) 10:40 - 12:20
部屋: 銀鱗
座長: 岩田 彰 (名古屋工業大学)

5E-1 (時間: 10:40 - 11:00)
題名内部不正インシデント防止対策として有用な職場環境に関する分析と考察
著者*島 成佳 (日本電気株式会社), 小松 文子 (情報処理推進機構/セキュリティセンター), 小川 博久, 岡松 さやか (みずほ情報総研/経営・ITコンサルティング部), 高木 大資 (東京大学大学院/人文社会系研究科)
Pagepp. 1217 - 1222
Keyword内部不正, 社会心理学, 情報漏洩, 職場環境
Abstract組織内部者の不正行為が原因となる情報セキュリティインシデントは,風評被害が発生する恐れがあることや関係者との調整がつかない等の理由から一般的に情報は外部に公開されない.情報が公開されないことで,内部不正の実態が把握できず,内部不正対策を検討することも困難な状況である.しかし,内部不正は発生すると影響が大きいため,組織として取り組むべき課題の1つである.このような背景から独立行政法人情報処理推進機構では組織において内部不正防止を推進するためのガイドラインを作成した.内部不正対策では,正規の権限を持つ内部者が情報や情報システムにアクセスして不正行為を犯す恐れがあり,これまでの技術面と管理面の情報セキュリティ対策では限界がある.このため,ガイドライン作成では,心理的に内部者が内部不正を犯さない職場環境について検討することが新たに必要となった.本論文では,内部不正防止に有用な職場環境の対策を策定した過程において実施したアンケート調査の設計及びアンケート結果の統計的な分析と考察について述べる.

5E-2 (時間: 11:00 - 11:20)
題名コンピュータウィルス対策行動の規定要因に関する検討
著者*浜津 翔 (日本大学 大学院 理工学研究科 吉開研究室), 栗野 俊一, 吉開 範章 (日本大学理工学部 数学科 吉開研究室)
Pagepp. 1223 - 1226
Keyword情報セキュリティ, コンピュータウィルス, 集団的防護動機理論
Abstract我々は,コンピュータウィルスに感染したと通知を受けた時,ヒトがどのように判断し,行動するのかを調査するために,説得心理学を基礎としたアンケート調査と実験を行ってきた.今回,集団的防護動機理論を基礎としたウィルス対策実行意思の説明モデルを作成し,分析を行い,各要因が対策実行意思に与える影響力について調査を行ったので,報告する.

5E-3 (時間: 11:20 - 11:40)
題名ユーザの知識レベルの影響を考慮した情報セキュリティ技術に関する安心感の要因の検証
著者*西岡 大, 齊藤 義仰, 村山 優子 (岩手県立大学 ソフトウェア情報学部)
Pagepp. 1227 - 1232
Keyword安心, トラスト, 因子分析, 質問紙調査
Abstract本研究では,オンラインショッピング利用時における知識のないユーザの情報セキュリティに関する安心感についての調査を実施してきた.しかし,先行研究の,ユーザの情報セキュリティ技術に関する知識レベルの定義は曖昧であり,明らかにした安心感の要因の妥当性が示されたとは言えない.そこで,本稿では,被験者の知識レベルを定義し,オンラインショッピング利用時における情報セキュリティに関する安心感の要因と被験者との知識レベルとの関係について分析した内容について報告する.本調査では,まず被験者の知識レベルを,低知識レベルグループAとB, 高知識レベルグループAとBの4つのグループに分類し安心感の要因の検証を実施した.調査の結果,ユーザの知識レベルにより安心感の要因は異なり,ユーザの知識レベルが高くなれば情報セキュリティ技術に関する知識以外のユーザの属性が影響する可能性があることが示された.

5E-4 (時間: 11:40 - 12:00)
題名インターネット利用における不安の対象とその要因の調査結果に関する一考察
著者*山本 太郎, 関 良明, 高橋 克巳 (NTTセキュアプラットフォーム研究所)
Pagepp. 1233 - 1241
Keyword安心, 不安, インターネット, 社会調査, 社会心理学
Abstract我々は,情報工学と社会科学の学際的アプローチにより,インターネットを利用する際の「安心」に関する研究を行っている.その一環として,不安を制御することによる安心の獲得を実現するための現実的なソリューションを検討しており.それにあたり,不安発生モデルの仮説構築と検証を目指している. 我々は,様々な視点から,仮説の傍証となるデータや,関連する要因候補を収集するための調査を複数実施してきた. 本論文では,そのうちの一つとして,インターネット経由での,a) 金銭取引,b) プライバシー情報の提供・公開,c) 見知らぬ人とのコミュニケーション,において不安を感じる1,059 名を対象として実施したWeb アンケート調査の結果について言及する. この調査における主な質問内容は,a〜c それぞれの局面において,起こると予想するトラブル(問題),そのような問題がより多く発生すると考えさせる要因,そのような問題の影響や恐ろしさを増大させる或いは軽減させる要因,そのことが不明なために漠然とした不安を感じる対象とその不明の理由,である. 本論文では,これら調査結果を提示するとともに,得られた知見と考察について述べるものとする.

5E-5 (時間: 12:00 - 12:20)
題名周辺ユーザ探索による緊急時判断機能を備えた家族間情報共有システム
著者*長谷川 友香, 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1242 - 1247
Keyword災害, 情報共有, クラウド, ライフログ
Abstract東日本大震災のような緊急災害時には通信回線の混雑などの影響で家族と直接連絡をとることが難しい.そこで本研究では,そのような事態に備えて平常時からライフログを蓄積しておき,緊急時には本人以外もそのデータにアクセスできるようにすることで,家族の安否の手掛かりとなるような情報を得ることのできるシステムを提案する.このシステムの構築にあたり,検討課題となるのはどのように緊急時を判断するかということである.既存研究では緊急地震速報などの外部情報を取り入れる手法や,階層型相互認証を用いる手法が提案されてきた.本論文では提案するシステムが多くのユーザに利用されている状況を想定し,多数のユーザの情報から緊急時判断を行う手法を提案する.本提案手法を模擬するシミュレータを作成し,シミュレーション結果から具体的な制御手法を考察する.