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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2013)シンポジウム

セッション 7B  無線LAN
日時: 2013年7月12日(金) 8:55 - 10:15
部屋: 柏・ポプラ
座長: 山口 弘純 (大阪大学)

7B-1 (時間: 8:55 - 9:15)
題名ソフトウェア無線を用いた重畳符号化通信の基礎実装と評価
著者*山崎 景太 (静岡大学大学院情報学研究科), 猿渡 俊介 (静岡大学情報学部), 渡辺 尚 (大阪大学情報学研究科)
Pagepp. 1613 - 1625
Keywordソフトウェア無線機, 重畳符号化通信, Universal Software Radio Peripheral
Abstract重畳符号化は,2つの端末に対する異なる2つのフレームを1つのフレームに重畳して送信することができるため,無線通信のスループット向上が期待されている. 重畳前の2つのフレームをそれぞれファーストレイヤ,セカンドレイヤと呼ぶ. 本稿では,BPSKを用いた重畳符号化の実装と(0,π/2)-BPSKを用いた重畳符号化の実装と評価を示す. 実装では,ハードウェアとしてソフトウェア無線機であるUniversal Software Radio Peripheral N200 (USRP N200),ソフトウェアとしてUSRP Hardware Driver (UHD)とC++を用いた. 実装した重畳符号化の動作検証の結果,(0,π/2)-BPSKを用いた重畳符号化ではファーストレイヤとセカンドレイヤに割り当てられた電力が近い場合でも信号が分離できることを示す.

7B-2 (時間: 9:15 - 9:35)
題名光信号による端末位置検出と複数APの協調による無線LANのスループット向上手法の基礎評価
著者*伊藤 達哉 (静岡大学大学院 工学研究科 数理システム工学専攻), 石川 晃平 (静岡大学大学院 工学研究科 システム工学専攻), 石原 進 (静岡大学大学院工学研究科 数理システム工学専攻)
Pagepp. 1626 - 1633
Keyword無線LAN, スケジューリング, 位置検出, 負荷分散, 空間分割多重化
AbstractWi-Fiを利用した端末が普及し,無線LANアクセスポイント(AP)が複数利用できる状況が増えている. 複数APが存在すると,あるAPに負荷が集中し無線LAN全体の利用効率が低下する問題が生じる. そのため負荷分散手法が多数提案されている. しかしほとんどの負荷分散手法では,APは異なるチャネルを利用するものとしており,AP同士の干渉を考慮した負荷分散手法は少ない. 本稿では,同一チャネルを用いるAPが高密度に配置された環境を想定し,AP協調による負荷分散並びに無線LANの利用効率向上手法を提案する. 提案手法では,端末へフレームを送信する際に使用するAPを変更できるように,複数のAPを集約して制御する装置(以下,集約器)を導入する. 集約器は端末の位置情報に基づいて干渉推定を行うことで,同時通信が可能なAPと端末の組み合わせを推定する. この推定に従い,同時送信が可能なAPを使用して端末へフレームを送信する. 位置情報の取得には,可視光通信を用いる. シミュレーションにより,一般的な無線LANと提案手法の比較を行い,提案手法によって無線LAN全体のスループットが向上することを確認した.

7B-3 (時間: 9:35 - 9:55)
題名無線LAN高速認証 FILS(Fast Initial Link Setup)の実装及び多重アクセス評価
著者*真野 浩 (株式会社 アライドテレシス開発センター/山梨大学大学院医学工学総合教育部), 森岡 仁志 (株式会社 アライドテレシス開発センター), 上原 哲太郎 (立命館大学/情報理工学部 情報システム学科)
Pagepp. 1634 - 1639
Keyword無線LAN, IEEE802.11, 認証, FILS, IEEE802.11ai
Abstract現在のIEEE802.11無線LANは,接続にあたり行なわれる,基地局検索,認証,鍵交換,IPアドレス等上位層情報設定に,数十回のパケット交換を要するため,移動しながらの利用,同時大量のアクセスには適していない. 今後,スマートフォン等の普及により同時に接続する端末が増加し,伝送速度の高速化によりセルサイズがより小さくなる環境では,この初期の接続時間を短縮することが重要な課題となっている.そこで,FILS(Fast Initial Link Setup)方式が,筆者の提案によりIEEE802.11TGai として,国際標準化が進められている. このFILSの基本概念のうち,認証,鍵交換,IPアドレス等上位層情報交換を1回のパケット交換にて行なう手法を,商用アクセスポイント,及び端末に実装し,実証実験による評価を行なった. 具体的には,従来接続(WPA2)と高速接続(FILS)について,歩行者が遠方より基地局に接近する状況において,初期に接続が行なわれるまでの距離の比較を,端末が疎な場合,密な場合について測定比較を行なった. この結果,FILS方式では,従来方式に比べ大幅に接続までの距離(時間)が短縮されることを確認した.また,このFILSの特長を活かし,歩行者が個人ID及び接続基地局毎に異なるサービスをうける事が可能であることを,二つの基地局を用いて実証した.

7B-4 (時間: 9:55 - 10:15)
題名無線LAN通信における周辺端末の情報に基づく輻輳ウィンドウサイズ決定手法の評価
著者*飯尾 明日香, 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 1640 - 1645
Keyword無線LAN, Context, TCP, 輻輳制御, 通信制御
Abstract現在,自動車など数百種類の高性能センサが搭載された端末は,センサ情報から精密な周囲の環境情報を取得できる. しかし,通常,WLAN(Wireless Local Area Network)において用いられる通信パラメータは各々が独自のアルゴリズムに従って設定されているため,その場の環境に応じた通信設定は 行われない. したがって,センサから環境情報を取得可能な端末であってもリソースを効率的に利用した通信は行われておらず, 必ずしも最適ではない状態で通信を行っているという問題がある. そこで,本研究では,そのような端末が,取得した環境情報を無線通信パラメータ設定に利用し,各端末がそれぞれの状況に合った最適な通信設定を行う手法の検討を行う. 上位層であるTCP(Transmission Control Protocol)の輻輳制御に着目し,端末の周辺情報として,周辺端末数および端末の移動速度を利用することで適する輻輳ウィンドウサイズを決定し, スループットおよび端末間の公平性の向上を目指す.