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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2013)シンポジウム

セッション 7F  電力制御
日時: 2013年7月12日(金) 8:55 - 10:15
部屋: 竹・梅
座長: 齊藤 義仰 (岩手県立大学)

7F-1 (時間: 8:55 - 9:15)
題名AC電源周波数センサーを備えた家電制御デバイスとそのソーシャルWeb上の運用による電力需用者側による電源周波数調整について
著者*山崎 重一郎 (近畿大学)
Pagepp. 1722 - 1726
Keyword電源周波数調整, ソーシャルネットワーク, 地域通貨, 電気マネー, センサー
Abstract電力はほとんど貯蔵できないため,電力事業者は電力の需要と供給が常に同量になるよう発電量を制御している.電力の需給のバランスのずれは発電機のトルク負荷の変動として作用しAC電源の周波数を変動させるため,電源周波数調整力も電力事業者が提供する「電力供給サービス」の一つになっている.本研究の目的は,需用者側がAC電源の周波数変動を検知することによって,電源周波数調整力のみの発電サービス供給に参加できる方法を提案することである.この目的のために,我々はAC電源周波数の変動を検知する安価なセンサー装置を開発した.この装置の効果を検証するために,九州の7都市に設置し約3ヶ月にわたってAC電源の周波数変動を測定した.この実験の結果,すべての都市のAC電源周波数の変動が正確に同期していることが確認できた.この結果を受けて,我々はこのデバイスに需給状況表示用のLEDと赤外線LEDを追加することによって,周波数変動に反応して,人の節電行動を促したりエアコンの出力を制御したりする機能を追加した.本稿では,この装置による電源周波数調整力についても議論を行う.また,この装置の所有者コミュニティのソーシャルな協調行動によって,「仮想発電所」を構成する案についても議論する.

7F-2 (時間: 9:15 - 9:35)
題名3Gトラヒック削減とプッシュ通知を共存させるアプリ単位の通信制御手法
著者*高木 雅, 川原 圭博, 浅見 徹 (東京大学大学院情報理工学系研究科)
Pagepp. 1727 - 1734
Keyword通信制御, スマートフォン, 3Gトラヒック, 消費電力, プッシュ通知
Abstract本研究では,スマートフォンにインストールされている様々なアプリに対して,アプリ単位で通信制御を行うことで,スマートフォンの3Gトラヒックと消費電力を効果的に削減する手法を提案する.スマートフォンのトラヒックには,バックグラウンド待機中のアプリが行う通信など,直接的にはユーザに必要とされていない通信が含まれている.このような通信を,ユーザに不自由を感じさせることなく削減するためには,アプリ単位での通信制御を行うことが望ましい.しかしながら,Android SDKにはアプリ単位での通信制御を行うAPIが存在しない.そこで我々は,AndroidがLinuxカーネルを採用していることに着目し,iptablesコマンドを用いて通信制御を行うことを提案する.また,制御対象とするアプリは,ユーザの手を煩わせることなく自動的に選択されることが望ましいが,トラヒック量や通信頻度だけを頼りにユーザへの影響が少ないアプリだけを抽出することは容易ではない.そこで我々は,アプリの「比スリープ通信率」という指標を定義し,スマートフォンの画面点灯中/スリープ中の通信量の比率を基準として,制御対象の自動選択を行う手法を提案する.また,本研究では,SMSやGCMによるプッシュ通知を重要視し,プッシュ通知を妨げることのないよう制御機構の実装を行った.

7F-3 (時間: 9:35 - 9:55)
題名スモールデータアプローチによるオフィスビルの電力需要予測方式
著者*川野 裕希, 山田 敏志, 阿倍 博信, 中島 宏一 (三菱電機株式会社 情報技術総合研究所)
Pagepp. 1735 - 1740
Keyword電力需要予測, 回帰分析
Abstract東日本大震災以降,電力不足や電気料金の値上げにより省エネの重要性がこれまで以上に高まっている.オフィスビルを対象とした省エネ技術の一つに,翌日の電力需要量の予測結果に基づく計画的な機器制御による節電がある.しかし,オフィスビルの電力需要量は,気温や湿度,天気,季節,曜日,行事,建物内の人数などの多様な条件で複雑に変化するため予測が困難であった.また,既存の方式では,予測精度向上のために多数のパラメータと過去数年分のデータを必要とし,適用可能なオフィスビルが限られてしまう課題があった.そこで,本論文ではより多くのオフィスビルに適用できるように可能な限り少ない種類と量(期間)のデータ,つまりスモールデータで各時間帯の電力需要量を予測する方式を提案した.具体的には,過去の電力需要量と気温のみを用いた重回帰分析による予測方式において,オフィスビルの電力需要予測に適した説明変数の提案・選択や,重回帰分析を用いた予測方式の課題である外挿への対応を検討して予測精度の向上を図り,オフィスビルの1年間の電力需要量を用いた予測精度評価によりその有効性を確認した.

7F-4 (時間: 9:55 - 10:15)
題名オンデマンド型電力供給ネットワークにおける電力分配アルゴリズムの提案
著者*前田 朋孝 (京都大学 学術情報メディアセンター), 横畠 誠也 (京都大学 大学院), 岡部 寿男 (京都大学 学術情報メディアセンター)
Pagepp. 1741 - 1746
KeywordPoE, LLDP
Abstract近年の家庭におけるエネルギー消費量は増加傾向にある。現在の電力供給網では、機器をコンセントに接続した瞬間電力が機器に必要な分だけ無条件に供給されるため、生活者の自主的な省エネ行動などによってしか消費電力を抑える術がない。その解決方法として,オンデマンド型電力供給ネットワークが提唱されている。オンデマンド型電力ネットワークを作成するために、 LAN ケーブル上に情報と共に電力を伝送するPower over Ethernet (PoE) に着目した。PoEではリンク層探索プロトコル (Link Layer Discovery Protocol:LLDP)が用いられ, 消費電力の微調整をすることが可能である.しかし,LLDPにおいては電力スイッチ(PD)から末端機器(PSE)に対して要求電力は送信することはできるが優先度は伝えることができないことからLLDPの拡張を行ってきた。しかしながら、供給可能な電力量を各機器の要求する必要電力と優先度を基にどのように分配することが生活者の品質をなるべく下げずに維持することができるかについては考えられてきていない。そこで本論文において,PSEにおいて供給可能電力値およびPDからの要求電力値および優先度を入力とし出力としてその電力の割り当てを行うモデルを考え、すべての機器が優先度に基づき公平に供給可能電力の分配を行うことが可能なアルゴリズムを考案した。また、このアルゴリズムにおいてすべての処理が定数時間内に終わることを示し、公平性が妥当であることを検証した。