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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2014)シンポジウム

セッション 1F  災害とコミュニケーション
日時: 2014年7月9日(水) 13:20 - 15:00
部屋: 末広
座長: 吉野 孝 (和歌山大学)

1F-1 (時間: 13:20 - 13:40)
題名車載Wi-Fiの利用を想定した災害時情報共有手法の検討
著者*大西 亮吉, 松本 真紀子, 渡部 聡彦, 吉岡 顕 (株式会社トヨタIT開発センター)
Pagepp. 152 - 158
KeywordWi-Fi Direct, データ指向型ネットワーク
Abstract大災害の発生によりセルラー網が損壊した状況を想定し,被災者のメッセージを車車間のすれ違い通信により伝搬する仕組みを考案した.車載機はスマートフォンなどのユーザ端末からの被災情報の登録や照会へ対応する.車載機同士が出会った際にはお互いの持つ被災情報を共有し,インターネットや情報サーバなどのアクセスポイントを発見した場合は,接続して被災情報をアップロードする.車載機の通信インタフェースは基地局や端末の機能を提供可能なWi-Fi Directを想定し,前述のスマートフォンやアクセスポイントとの接続,複数の車載機同士の接続を可能とする仕様を考案した.また安否確認など,宛先の所在の分からないメッセージが大量に発生することが想定されるため,宛先を指定するセッション指向のエンド間通信ではなく,セッションを不要としデータの複製に基づく方法で設計した.これには保有情報のBloom Filterの共有により,相手の持たない情報を把握して情報共有を効率化する手法も含まれる.Android機器Nexus7を車載機と見なして試作を行い,これらのアイデアが実現可能であることを確認した.また大都市通勤圏の災害を想定して本システムの実用性を評価するためのシミュレーション手法を考案し,簡単な仮説に基づく初期評価を行った.

1F-2 (時間: 13:40 - 14:00)
題名災害時に向けたネットワーク適応型コミュニケーションシステムの提案
著者*松本 尚幸 (同志社大学大学院理工学研究科), 島田 秀輝 (同志社大学研究開発推進機構), 佐藤 健哉 (同志社大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 159 - 165
Keyword災害時支援, コミュニケーション, モバイル端末
Abstract近年のスマートフォンやタブレット端末の普及とインターネットにおけるソーシャル・ネットワーキング・サービスの発展により,誰もが容易に他者とコミュニケーションをすることができる. しかし,自然災害により通信インフラが破壊された地域では,コミュニケーション方法を掲示板などに頼るしか無い状況となってしまう.これに対して,携帯電話会社は災害用伝言サービスを提供しているが,小さいコミュニティでの利用に適していない点や,リアルタイム性に欠けているといった問題点が存在する.本研究は災害時でのモバイル端末を用いたコミュニケーションシステムを提案する.災害時における無線LAN環境での利用を想定し,多くの人が所持しているモバイル端末を用いる.サーバにはアプリケーションのインストールを必要とするが,クライアントは端末に備わっているWebブラウザを用いることで,事前の準備を必要とせず容易にシステムを利用することができる.本システムはインターネット接続の有無に適応可能であり,グローバルサーバと連携したサービスを提供可能となっている. また,本システムをモバイル端末を用いた実機環境にて遅延時間を計測,評価し,有効性を示す.

1F-3 (時間: 14:00 - 14:20)
題名服装情報の共有による気象情報の見える化の検討
著者*中野 裕貴, 齊藤 義仰, 西岡 大, 村山 優子 (岩手県立大学大学院 ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 166 - 170
Keyword気象情報, 災害, 情報共有
Abstract本研究は,服装情報を共有し,服装情報を気象情報として表示する,直感的に理解できる気象情報システムを提案する.気象情報は,日々の生活の行動を決定する上で重要な指標となる.我々は,メディアから気象情報を得て,日々の準備や行動を決めている.しかし,メディアから得る気象情報は直感的に理解できるものではない.気象情報の直感的な理解とは,気象の状態が体感的にどの程度かが理解できることである.例えば,傘の必要性,服装の決定や災害の危険度合いなどの理解である.本稿では,直感的に理解できる気象情報として服装情報を用いることを提案するとともに,既存の気象情報の可視化との比較と服装情報を共有するサービスの概要について報告する.

1F-4 (時間: 14:20 - 14:40)
題名静止画インターネット放送を用いた通りやすい道共有手法の提案
著者*廣田 夏輝, 中野 裕貴, 齊藤 義仰, 村山 優子 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)
Pagepp. 171 - 177
Keywordインターネット放送, 静止画, スマートフォン, インタラクティブ, 情報共有
Abstract近年,携帯端末やカーナビゲーションによるナビゲーションシステムの増加に伴い,運転者に快適かつ効率的な運転を支援するITS(Intelligent Transport System)が発達している.しかし,現状のシステムではセンサから情報を収集し,分析した結果をユーザへ提供するため,提供された情報と実際の現状に差が生じてしまうなどの課題が挙げられる.そこで,運転者が安全に通行できるように,道路の路面情報をタイムリーに提供する必要が考えられる.本研究では,路面情報を共有する手法として,静止画インターネット放送システムを利用する.利用者はタイムリーな情報共有をすることで,通りやすい道路を選択することが可能となる.また,利用者間でのコミュニケーションによる新たな知識の獲得が期待される.本稿では,既存のITSの現状と課題を挙げ,解決案および提案システムの設計と実装について述べる.また,実装したプロトタイプシステムを用いた予備実験を実施し,その結果についての考察を行う.

1F-5 (時間: 14:40 - 15:00)
題名加速度センサを活用したクラウドサービスによる高齢者見守りシステム
著者*藤吉 良太, 三宅 隼 (岐阜工業高等専門学校/電子システム工学専攻), 田島 孝治 (岐阜工業高等専門学校/電気情報工学科)
Pagepp. 178 - 183
Keyword見守りシステム, クラウドサービス, 加速度センサ, 高齢者, スマートフォン
Abstract近年,少子高齢化や高齢者の孤独死といった社会問題や,高齢者の行方不明なども珍しくなく,高齢者を対象とした見守りサービスの必要性が高まっている.しかし,既存の見守りサービスには,(1)見守りに利用する位置情報や電話番号などのプライベート情報を運営会社へ預ける不安,(2)運営会社が情報管理することで生じるコスト,(3) 高齢者が専用端末を持たされるという意識から生じる「監視されている」という嫌悪感,といった課題がある.本研究では,これらの課題を解決するため,高齢者とその家族の双方が持つスマートフォンとクラウドサービスを利用して,高齢者を見守るシステムの研究開発を行う.開発したシステムは,クラウドサービスを用いて,利用者の家族単位でデータを管理する領域を確保するため,運営会社に情報を預ける必要がない.また,スマートフォンのみで動作するように設計し,サーバ等の管理コストと,専用端末を利用することによる嫌悪感を無くした.本稿では,提案したシステムの実装と性能の検証について報告する.