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マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2014)シンポジウム

セッション 2A  統一テーマセッション-実世界情報処理
日時: 2014年7月9日(水) 15:20 - 17:00
部屋: 飛天
座長: 重野 寛 (慶應義塾大学)

2A-1 (時間: 15:20 - 16:00)
題名(招待講演) 情報流:情報の流れに着目した実世界情報処理基盤
著者*安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学)
Pagep. 253
Keyword情報流, 実時間情報ストリーム, M2M, 実時間処理, キュレーション
Abstract近年,センサやM2M,クラウドコンピューティング技術の進展により,人・車・機械などから位置トレースデータや映像ストリーム,ソーシャルコンテンツといった実時間情報ストリームが時々刻々と連続的に生成されるようになった.これらの実時間情報ストリームをリアルタイムに組み合わせて処理することで,社会的に大きな価値を生み出せる.例えば全国で数百万台規模のプローブカー情報,公共交通機関情報,物流情報,携帯電話ユーザの匿名行動情報などを即座に組み合わせることができれば,都市における人やクルマ,モノの動きをリアルタイムに把握でき,都市効率化や防災に活用できる.情報システムは,従来の想定を遙かに超える量で湧出する情報の流れ(以下,情報流)を活用すべき時代へ移行しつつあると言える.多様な時空間から様々なメディアを介して溢れ出る非構造的・非画一的な大量の情報流を,統一的に高次融合した上でリアルタイム活用するには,情報流を直接対象とした新しい基盤技術の確立が急務である.本講演では,情報流の基盤技術を確立するために,我々が今後取り組むべき研究課題について述べる.

2A-2 (時間: 16:00 - 16:20)
題名クラウド上でのライフログ解析のためのオンラインフレームワークJubatusを用いたアプリケーション実装
著者*黒崎 裕子 (お茶の水女子大学), 竹房 あつ子, 中田 秀基 (産業技術総合研究所), 小口 正人 (お茶の水女子大学)
Pagepp. 254 - 257
Keywordライフログ解析, オンライン処理, 情報抽出
Abstract近年ではカメラやセンサ等を手軽に利用できるようになり,一般家庭でもライフログの取得が容易になった. 防犯対策やセキュリティ,お年寄りや子供のための安全サービスを目的として,ライフログ解析アプリケーションが数多く開発されてきたが, 実際に一般家庭で採用する場合は,サーバやストレージを設置して解析までを行うことは難しいため,クラウドでのライフログ解析が必要となる. しかしながら,動画のようなセンサデータはデータ量が大きいため, 特徴量抽出等の前処理は各センサ側で行い,特徴量のみをクラウド側で収集して解析する手法も考えられる. 本研究では,ライフログ解析の前処理をセンサ側で行う場合とクラウド側で行う場合での性能比較を行うことを目的として, 評価対象となるオンライン学習アプリケーションを実装した. 実装したアプリケーションでは,カメラが動体検知すると前処理として撮影した画像の特徴量抽出をOpenCVを用いて行い, その特徴量をもとにBag-of-Features手法を用いてベクトル化したデータに変換する. そのデータを入力値として,オンライン機械学習フレームワークJubatusを用いて学習し,人の行動の判別を行う. 実験から,カメラ画像を前処理したデータを入力値として,Jubatusを用いて行動判別が行えることが確認され,実装したアプリケーションの動作確認ができた.

2A-3 (時間: 16:20 - 16:40)
題名スマートフォンと靴センサを活用した災害時通行路の状況推定
著者*佐藤 匠, 廣森 聡仁, 山口 弘純, 東野 輝夫 (大阪大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 258 - 265
Keyword環境推定, 災害支援, ウェアラブルセンサ
Abstract都市部などでの災害時には建物の倒壊や落下物の散乱,道路陥没など,地形が大きく変化していることが多く,迅速な避難誘導や救助活動のためには,災害時環境の把握が求められる.しかし,災害救助チームや警察,自治体は被害対応に追われ,それらの状況把握に割り当てる人的余裕はないため,救助活動や避難行動などの個人センシングからそのような状況把握が可能であることが望ましい.そこで,本研究ではスマートフォンとウェアラブルセンサを用いて災害現場の安全状況や地形を推定する手法を提案する.スマートフォンを用いて被災者の避難行動を認識し,災害時特有の行動(危険回避行動など)を検出することで,各地点の安全性を判断する.また,複数人からの情報集約により推定精度を向上させる枠組みも設計している.さらにスマートフォンで把握できない詳細な地形情報は,救助隊などが装着すると仮定する靴に装着された三軸加速度センサを用いて地面の傾斜ならびに歩きやすさを算出する方法も提案する.評価実験を行い,スマートフォンを用いて移動行動を識別できること,ならびに靴のセンサを用いて地面の傾斜が高精度で算出できることを示した.

2A-4 (時間: 16:40 - 17:00)
題名地下街におけるスマートフォンの光を用いた避難誘導方式の提案
著者*冨永 拓也, 柴田 直樹 (奈良先端科学技術大学院大学 ソフトウェア基礎学講座), 孫 為華 (滋賀大学), 伊藤 実 (奈良先端科学技術大学院大学 ソフトウェア基礎学講座)
Pagepp. 266 - 277
Keywordスマートフォン, 避難誘導, 地下街, 分散アルゴリズム, Mobile Adhoc Network
Abstract地下街が停電し,避難が必要である状況を考える.地下街が停電すると,壁や床等が見えない状況下におかれる.そのような状況下では唯一の目印である避難誘導灯を用いて避難することになる.しかし先行研究によると避難誘導灯を利用する避難者は2割程度であることがわかっている.このように避難誘導灯は避難誘導の役割を十分に果たしているとは言えない.本稿では,避難者の携えるスマートフォンのバックライトとフラッシュライトの光(スマホライト) を用いた避難誘導方式を提案する.避難すべき方向(避難方向) に光の帯が流れるように見えるよう,各スマホライトを制御する手法を取る.避難者は光の帯が流れるように見えた方向に避難すればよいことになる.提案するシステムは避難誘導装置とスマートフォンからなる.避難誘導装置は無線LAN を具備し,電源は非常用電源に接続されており,非常用電源が入ると起動する.給電された避難誘導装置は,あらかじめ設定されている避難データを近隣のスマートフォンにブロードキャストする.避難データを受け取った各スマートフォンは,あらかじめ設定されている分散型アルゴリズムにしたがって,避難方向に光の帯が流れるように見えるよう,スマホライトを制御する.提案手法では,光の帯は一定の幅を持ち避難方向に等速に移動するものとし,光の帯の範囲内にあるスマホライトを点灯させる手法を取る.また,要素技術として位置推定アルゴリズムと時刻同期アルゴリズムを用いる.