(セッション表へ)

マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2014)シンポジウム

セッション 7D  位置推定(1)
日時: 2014年7月11日(金) 9:00 - 10:40
部屋: 朝日
座長: 寺田 努 (神戸大学)

7D-1 (時間: 9:00 - 9:20)
題名GPSログにおける欠損とノイズの分析手法
著者北沢 匠 (立命館大学 大学院 情報理工学研究科), 坂本 大輔 (立命館大学 情報理工学部), 安積 卓也 (大阪大学 大学院 基礎工学研究科), 望月 祐洋 (立命館大学 総合科学技術研究機構), *西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部)
Pagepp. 1595 - 1602
KeywordGPS, 位置情報, ノイズ, 欠損
Abstract近年,携帯端末の高機能化に伴い,ユーザやその周りの環境に関するライフログの常時取得が可能になりつつあり, 中でも特にGPSレシーバから得られる位置情報は様々なサービスに広く利用されている. この位置情報は常に安定して取得できるわけではなく,環境や,端末の不具合などによって欠損や精度の低下が起き, サービスにおける処理精度の低下要因となってしまう可能性がある. 本研究ではこの問題に対処するため,取得されたログ中に存在する不完全なGPSログを分析し,それぞれの特徴に合わせて類別する手法を提案する. 類別はGPSログと歩数情報を併用して段階的に行う. 提案手法を用いて類別を行うことで,GPSログを用いたサービスやシステムにおいて, ログの特性を正確に把握したり,不完全なログの占める割合によって利用するログの取捨選択をしたりできるため, ユーザの行動認識をより正確に行うことが可能となる. 提案手法を用いて,三週間分のGPSログに対して不完全なGPSログの類別を行い, その結果からユーザが建物内に滞在していた区間の推定を行った結果, ユーザの実際の行動を約97%再現できていたことを確認した.

7D-2 (時間: 9:20 - 9:40)
題名携帯電話通信履歴による位置情報を用いた次滞在地推定とその評価
著者*石塚 宏紀, 黒川 茂莉, 渡邉 孝文, 村松 茂樹, 小野 智弘 (株式会社KDDI研究所/データマイニング応用グループ)
Pagepp. 1603 - 1607
Keyword行動推定
Abstract昨今,スマートフォンに搭載された各種センサを用いた位置履歴情報の収集が容易になったため,ユーザの行動予測に関する研究が注目を集めている.しかしながら,GPSセンサ等による定常的な位置履歴情報取得は,スマートフォンの電池を著しく浪費するため,行動予測の基礎データである位置情報履歴の大規模な収集は困難であり,小規模のユーザに対する行動予測の研究しか行われていない.一方で,移動体網を経由して取得される携帯電話通信時に得られる位置情報履歴の利活用は,全国を網羅的且つリアルタイムに人々の移動が把握可能であるため災害時における首都圏の避難対策や都市交通施策等さまざまな分野で期待されている.そこで,本研究では,携帯電話の通信履歴による位置情報履歴を用いて大規模な行動予測を実施した一例を示し,その可能性について考察する.本論では,一都六県在住の18〜60歳のスマートフォン利用者に個別許諾を得た約2000名分の1ヶ月間(2013年2月及び2014年3月において各個別の約1000名分)における位置情報履歴に基づいて各ユーザの次滞在地推定手法とその評価について述べる.

7D-3 (時間: 9:40 - 10:00)
題名スマートフォンの非可聴音を用いた測位システムの開発と実現性の確認
著者*村田 翔太郎, 屋良 朝克, 金田 一将, 五百蔵 重典, 田中 博 (神奈川工科大学大学院 工学研究科 情報工学専攻)
Pagepp. 1608 - 1613
Keyword位置情報システム, 屋内測位, 非可聴音, スマートフォン, 測位精度
Abstract筆者らはナビゲーション,ロボットの自動走行などへの適用を目標に10cm以下の測位誤差を実現できる超音波を用いた屋内測位システムを開発してきたが,測位対象に専用の超音波送信機を所持・装着する必要があり,一般ユーザ利用展開への課題になっていた.そこで,一般に広く普及し,携帯性も高いスマートフォンを送信器として利用するシステムの検討を行った.しかし,スマートフォンから超音波は発生できないため,発生可能な非可聴音を用いて同様の屋内測位システムの開発に着手した.まず,スマートフォンから非可聴音を発生させるプログラムを作成し,その動作を確認した.次に非可聴音に対応する受信機を試作し,送信信号取得に必要な検波閾値の決定と測位計算に用いるタイマカウント値の取得実験を行った.それらを踏まえて測位実験の環境を構築し,測位実験を行った.その結果,非可聴音で高い測位精度が得られることと,フィルタを用いることで騒音環境でも測位が可能なことを確認し,スマートフォンを用いた測位ステム実現の見通しを得た.

7D-4 (時間: 10:00 - 10:20)
題名歩行者自律測位における行動センシング知識の利用
著者*村田 雄哉, 梶 克彦 (名古屋大学大学院工学研究科計算理工学専攻), 廣井 慧 (名古屋大学未来社会創造機構), 河口 信夫 (名古屋大学大学院工学研究科計算理工学専攻)
Pagepp. 1614 - 1619
Keyword位置推定, 歩行者デッドレコニング

7D-5 (時間: 10:20 - 10:40)
題名スマートフォン搭載気圧センサを用いた移動経路推定手法における気圧センサ値の評価と補正手法の検討
著者*岩波 慶一朗 (明石工業高等専門学校 機械・電子システム工学専攻), 新井 イスマイル (明石工業高等専門学校 電気情報工学科), 田中 誠一, 下原 寿々花, 村田 将宏 (明石工業高等専門学校 機械工学科)
Pagepp. 1620 - 1626
Keywordセンサデータ解析, 測位システム, ライフログ, 気圧センサ
Abstractスマートフォンの普及を背景として種々の行動をセンサなどにより記録するライフログが盛んに研究されている.このライフログの中では,ユーザの位置情報を用いて移動の履歴を記録する移動経路ライフログが最も広く使われているが,現在はGPS受信機を用いた手法が主流である.一方で,GPS受信機によって移動経路ライフログを記録するためにはGPS受信機を常時使用する必要があるが,スマートフォンのバッテリー消耗を激しくする.そこで,気圧センサ値を用いてGPS受信機の稼働時間を削減し,補完するような移動経路推定手法を研究している.本稿ではその手法中において高度導出を行う際に誤差の原因となる気圧センサ値のスパイクに対して対処を行った.スパイクを観測した気圧センサのログに対して,移動平均とメディアンフィルタをそれぞれ適用し,スパイクを除去するウィンドウ幅を選定し,検証した.この補正処理においては,日常生活では発生しないと思われる0.5hPa以上の突発的な気圧変化の除去を目指し,移動平均ではウィンドウ幅n=40以上,メディアンフィルタではウィンドウ幅n=7以上に設定することで0.5hPaを超えるスパイクの除去を確認できた.そして,補正後の気圧センサ値において再現性向上を確認でき,基準とした一般的な気圧ロガーとのオフセット誤差補正後における気圧変化量の誤差が効果が高いもので約1.0Pa程度削減されていることを確認した.